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1951-05-26 第10回国会 参議院 通商産業委員会 第36号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年五月二十六日(土曜日)    午前十一時二十二分開会   —————————————   委員の異動 五月二十四日委員松本昇君辞任につ き、その補欠として黒川武雄君を議長 において指名した。   —————————————   本日の会議に付した事件 ○緊要物資売払に関する法律案(内  閣送付) ○硫酸アンモニヤ増産及配給統制法を  廃止する法律案内閣提出衆議院  送付) ○計量法案内閣提出衆議院送付) ○計量法施行法案内閣提出衆議院  送付)   —————————————
  2. 深川榮左エ門

    委員長深川榮左エ門君) 只今から通産委員会開きます。  先ず緊要物資売払に関する法律案提案理由説明政府側からお願いいたします。
  3. 首藤新八

    政府委員首藤新八君) 只今上程せられました「緊要物資売払に関する法律案」の提案理由について御説明申上げます。  緊要物資輸入基金特別会計は、本第十国会におきまして御賛同を得て設置せられた次第でありますが、同会計は、御承知通り政府において特殊需要に応ずるため緊急に取得することを必要とする外国生産せられた物資で、民間貿易によつて輸入できないもの乃至は輸入困難なものの取得及び売払を行うことを目的とするものであります。  而して、御承知通り、最近輸入されます稀少物資乃至は緊要物資国内価格騰貴の結果、いわゆる特需調達価格が高くなつて参りまして、そのため特需提供が困難乃至は不可能となるような有様でありまして、一面には日米経済協力の障碍となり、他面には少なからざる貿易外収入の減退を憂えねばならぬようになりましたので、この際、緊要物資輸入基金を以て取得する物資については、必要に応じて輸入原価に諸掛を加えた価格特需受注者に払い下げることによつて特需受注を円滑にする必要があると考えるのであります。  併しながら、「物品無償貸付及び譲与等に関する法律」によりますと、国の物品時価よりも低い価格で売り払うことは、法律によつて定める場合のほかは許されないことになつて居りますので、緊要物資輸入基金で取得する物資時価よりも低い価格で売り払うことができるようにするためには同法律特例を、新たに法律を以て設ける必要があるのであります。これが、この法律案を提案いたしました理由であります。何とぞ速かに御審議の上、御賛同を頂くことをお願いいたします。
  4. 深川榮左エ門

    委員長深川榮左エ門君) 只今通産政務次官かぢ抽象的な説明がありましたけれども、なお政府におきまして敷衍的な説明がありましたら御説明願います。
  5. 石井由太郎

    説明員石井由太郎君) 提案理由につきましては、概括只今政務次官から御説明申上げた通りであります。緊要物資輸入基金特別会計は二十五億の資金を以ちまして、外国生産された物質で、特需の用に充つるために必要とするものを政府みずから輸入いたしまして、これを国内売払うことに運用する資金会計でございます。国会承認を得ました資本金は二十五億、そのほかに事務取扱経費といたしまして歳入、歳出七千五百万円の予算を附ぜられておるのでございます。この会計が成立しました当時は、政府の方針といたしまして輸出入はすべて民間貿易によるの原則を立てておりました関係上、特別なものでなければこの会計を扱うことは予想されなかつたのでございますが、最近、只今提案理由におきましても御説明申上げました通り特需提供につきまして関係方面等よりもいろいろと注意を受けておるのであります。その一番大きな問題は、特需生産価格が高くなりまして、そのために折角の国内に落ちるでありましようところ貿易外収入としての外貨が、海を越えまして米本国等調達されてしまうことになるという事例がだんだん多くなつて参りまして、何らかの形で特需の適正な価格による調達を可能ならしめる必要が起つてつたのであります。このうちで一番大きなのが何と申しましても資材費でございまして、加工費その他は大体米本国等におけるコストに比べて決してこちらが落ちるということはないのでございますが、資材につきましては稀少物資或いは国際的に強く割当を行われておるような物質につきましては、数段の違いがある。このようなことのためにこれを下げる方法を講じなければならないということに相成つたわけでございます。たまたまニツケル等につきまして特需の用途に向けるものだけに限りまして特に安い値段を以て、我が国に供給してくれるという意図が明らかにされまして、この意図に即応いたしました売払を可能ならしめるためには、どうしても財政法特例といたしまして、原価で売り得るという承認国会から政府といたしましては受けなければならないことに相成るわけでございます。なおこの法律財政法乃至は物品無償貸付及び譲与等に関する法律例外をなすものでございますから、との例外法として制定することも法律形成としては考えられるわけでございまするし、又緊要物資輸入基金特別会計法の改正という形で考えることもできるのでございまするが、国の財産の無償譲与等に関する法律は、御承知通り、或いは伝染病予防ための血清の払下であるとか、或いは家畜増殖ための種牛の払下でありますとか、或いは不時の災厄の場合における物資の廉価な払下といつたような国民生活一般に対しまして利益を与えることを考え法律でございまして、特需というような特別な需要ために特に安く払下げるという場合を規律する法律としては適当でないと考えまして、特に軍行法律を提出いたしまして御承認を受けたいと考えておる次第でございます。
  6. 深川榮左エ門

    委員長深川榮左エ門君) ご質問ございませんか。
  7. 山川良一

    山川良一君 差向きこれを適用しようという対象になる物資はどんなものですか。
  8. 首藤新八

    政府委員首藤新八君) 現在も稀少物資として且つ又而も非常に高いものになつているニツケルであります。
  9. 加藤正人

    加藤正人君 二十五億というと大したものじやないと思いますが、そんなことで賄えるお考えですか。
  10. 首藤新八

    政府委員首藤新八君) ニツケルだけのあれですから簡単に解決できると思つております。今後なお相当これに類するものが日米経済協力の推進と共に出て来はせんかという気持はいたしておりますが、大体、併し二十五億を三回ぐらいに回転いたしますれば、或る程度今後多少できましてもこれで目的達成するのではないか、こういう構想を持つております。
  11. 加藤正人

    加藤正人君 安く供給された物資政府意図に反してほかに流したような場合には、この前ニツケルの御説明のときでも、時価と、安く供給された値段との差額の倍額を追徴するというようなことになつているようですけれども、そういうことがわかつてからそういう処置がとられるのですか。あらかじめそういうことを監視する機関でもあるのですか。
  12. 首藤新八

    政府委員首藤新八君) 当初御指摘のような差額の倍、或いはそれ以上の何といいますか罰則的な追徴金を取るということも考えたのでございますが、これは立法上面白くないということで、現在のところでは臨時物資需給調整法を適用いたしまして、この面で取締つて行きたいと、かように考えている次第であります。
  13. 栗山良夫

    栗山良夫君 対象物資は当面はニツケルだけだという話ですが、大体予想しておられる物資はどういう物資でありますか。
  14. 首藤新八

    政府委員首藤新八君) まだはつきりいたしませんけれども、現在もニツケル同様に稀少物資として獲得困難なものは、コバルト、コツトン・リンター、合成ゴムというようなものも今後こういう同じ制度によつて適用することがいいのじやないか、こう考えます。
  15. 栗山良夫

    栗山良夫君 ころいう工合にして時価と離れた特定な価格法律で以てきめるわけでありますが、そういたしました場合にこの物資の買取りによつて生産をいたした品物価格というものは、やはり国が統制をすることになりますか。或いはそういうものは完全に自由に放置されるのか、その点を伺います。
  16. 首藤新八

    政府委員首藤新八君) 大体こういう法案によつて制約を加えた原料は、日米経済協力の線に包括されるアメリカ側発注に適用いたしたいとかように考えておるのでありますが、そこで今後それではどういう価格になるかということでありますが、これは軍のほうの相当の関与がありまして、入札をする。要するに競合い価格で落すということになつておるのであります。而も現在のところは非常に日本物価がインフレ的な関係上、競争に負けるのではないかという不安が多分にありますので、こういう面に特殊の措置を講じまして、そうしてこの国際競合いに負けない態勢をとりたいということがこの法案を作つた大きな原因であります。従つて価格も当然国際価格にマツチするということが根本原則と相成つて参るのでありまして、別の方面価格を設定しなくても、当然こういう安い原料を使わなければ国際価格にマツチできないということになりまするので、法的の措置を講じなくても、この問題は余り問題なく推進できるのではないかというふうに考えております。
  17. 栗山良夫

    栗山良夫君 そういたしますと、特需に対して入札をする業者というのは、ニツケルでありますならばニツケル割当を受けた業者に限定をされるのですか。その入札はどういうことになりますか。
  18. 首藤新八

    政府委員首藤新八君) ニツケルを必要とする製品の受注したもの、これを対象といたします。
  19. 栗山良夫

    栗山良夫君 注文を受けた者でありますか。
  20. 首藤新八

    政府委員首藤新八君) そうであります。
  21. 栗山良夫

    栗山良夫君 そういたしますと、只今ニツケルの製錬法案が出ておりますが、ああいうふうな一般市場価格、或いはそれよりも高くなるかわかりませんけれども、そういうような材料によつて運転をしておるような工場が、一般民需をやつておる工場が、たまたま特需入札をいたしたい、そういうふうな場合に、その入手すべきニツケルが確保できるかできないかという見通しがなかなか困難に陥つて入札競争に遂に負けなければならないという現象が起きるような恐れはありませんか。
  22. 首藤新八

    政府委員首藤新八君) この特需に対するところ受注者に対しまして、あらかじめこういう資材は格安の価格で支給するということを前以て周知徹底方法をとつております。
  23. 栗山良夫

    栗山良夫君 この法律によると、「当該物資の買入代金及び当該物資に係る輸入諸掛、保管料事務取扱費その他の諸掛の合計額を下つてはならない。」とありますが、こういうような計算と申しますか、作業は何処がやるのでありますか。
  24. 首藤新八

    政府委員首藤新八君) 政府がこれに当りたいと思つております。
  25. 栗山良夫

    栗山良夫君 それは一般経験者等意見、或いはその他こういうことに適当な人の意見を聴取されての上ですか。或いはそういうことがなくただ政府で決定されるのですか。その辺の要領は……。
  26. 首藤新八

    政府委員首藤新八君) この特別基金による輸入をいたすのでありますから、原価も諸掛もすべて正確な数字が把握できることに相成つておるのでありますから、その数字を根拠といたして計算をいたしたいと、かように考えております。
  27. 椿繁夫

    椿繁夫君 ちよつとお伺いしますが、今御説明を承わりますと、国際市場での価格競争に堪えられないからこういう措置をとるのだということでありますが、他の物資であつても、国際市場価格競争ができないものに対して、国家資金を投入したり、或いは国がその事業援助をしたりして、その国際競争に堪えられるような措置を講ずることは、他の事業であつてもできるのですか。
  28. 首藤新八

    政府委員首藤新八君) 目下ところは主として日米経済協力というものの線に沿つた特需発注に対して、これを適用いたしたいと考えているのであります。而も資材の面で非常に余裕があるということに相成りますれば、又別の御指摘のような考え方も起るかとも考えまするが、目下ところではこれらの資材は極端に払底いたしておりまして、他の産業に転用すべき余力はないのでありますので、一応そういうことは考えていないのであります。
  29. 椿繁夫

    椿繁夫君 それは日米経済協力の線ということですが、米国需要に応ずる物資限つて、そういう国家援助を与えていいということで、他国、米国以外の他の国との競争に堪えられないような事情が起つた場合には、これは別だと、それはできないのだという考えでしようか。
  30. 首藤新八

    政府委員首藤新八君) 御指摘通りであります。
  31. 栗山良夫

    栗山良夫君 只今伺つているお話は、私ども完全にわからない点は、国際価格へ大体鞘寄せするという、価格面だけではないような気がするのですが、その点をもう少し御説明頂きたいと思いますのは、ニツケルというものを使う、まあどういう特需品があるかも知りませんけれども、そういう特需品の中で、ニツケルをこれだけ安く抑えたために、その生産原価にどの程度影響を及ぼすのか、私は各特需品の中でニツケルが占める生産原価というものは非常に低率なものじやないかと思うのですね。今政務次官のおつしやつたように、鉄その他一般材料、そういうものは非常に国際価格と比較して割高にある。そういうところニツケルをこれだけ安く注ぎ込んでみたところで、到底国際価格鞘寄せはできないと思うのでずが、どのくらいの状況にあるのかおわかりになつたら御説明を願いたい。
  32. 首藤新八

    政府委員首藤新八君) 非常にむずかしい御質問でありますから、的確なお答えはできかねると思いますが、ニツケルを特にこういう措置を講じましたのは、大体ニツケルの現在の国際価格は四十万円、それに諸掛りを加えましても、五十万円そこそこで売ることができるのであります。然るに時価は大体三百万円至極く小口の売買値段は四百五十万、五百万を唱えているような状態になつておりまして、国際価格との開きがあまりにも大き過ぎるのであります。従つて然らばこれを安く売ることによつて原価にどういう影響があるかということになりますると、これはその品によつてニツケルの占めるパーセンテージによつてそれぞれ異なりまするから、簡単には申上げかねまするが、原価時価との開きが余りにも大き過ぎるということで、その時価のままこれを使用しましたならば、常識的に考えても国際価格にマツチできないのじやないか。もう一つニツケル獲得が、一般民間では実際問題として困難であります。御承知通りカナダでできるだけで、ほかの所では殆んど……、フランスに多少できまするけれども、これは両方とも民間貿易では絶対に入手ができないのでありまして、近く若干入りまするが、これも関係筋の特別の配慮によりまして、特にこういう方面に使用するという条件の下に許されるということになつておりますので、特にニツケルに対して当面かような措置が必要であろうという考え方からとういう措置をとつたであります。
  33. 栗山良夫

    栗山良夫君 入手難であるということは私もよく承知をしております。入手難価格の問題とは私は別だと思うのです。今あなたのおつしやるように、国際価格鞘寄せをするために、ニツケルが割高であるから、これは国際価格のほうに流してやろうというふうに考えるならば、その他の主要資材に対しても、やはりそれと同じ考えでもつて国操作されなければ、国際価格には私はなかなか鞘寄せできないと思う。それで今ニツケルは、生産原価にどの程度の比率を占めでおるかということはおわかりにならないとおつしやつたのですけれども、これはベヤリングにしてもその他の特需品については、もうすでに統計的なものがあるはずなんで、それから大体何パーセントになるかということは十分おわかりにならなければならんと思います。そこで今ここで即答が願えなければそれは一つ後ほど出して頂きたいと思いますが、ですから結局価格操作を、国際価格への操作だけでなくて、そのほかに何か目的がおありではないか、そういうことを私は伺つておるわけなんです。どうももう少しよく御説明願つて価格操作だけの問題であるということがはつきり立証できれば私は了承いたしますけれども、そのほかに何か問題があるのじやないか、そういうことをお伺いいたします。
  34. 首藤新八

    政府委員首藤新八君) 先ほど申上げましたように、時価輸入価格開きが余りにも甚だしい。そうしてその時価のものを使用いたしますれば、常識的に考え国際価格にマツチできないであろう。而もこれを特別資金によつて輸入いたしますために、国家時価で売らなくても損をしない範囲において輸出の増進、いわゆる外貨獲得ためにこういう措置を講ずることがいいのではないか。又必要ではないかということ、更に又日米経済協力の線をできる限り促進するような態勢を整えまして、以て日本経済の自立、或いは又経済向上という点に、こういう面からも可能ならしめるような間接な措置を講ずることが必要であるという考え方に出ておるのであります。
  35. 栗山良夫

    栗山良夫君 そういたしますと、三月のときの御説明では、アメリカから入つて来るニツケル国内時価にほぼ近いような価格で売りまして、そうしてこれによつて国内ニツケルの足りない分を充足するということを、一応政府考えとして私ども聞いたわけですが、その考えと今の考えとは大分違つておるようなんですね。私は先ほどから申上げておるように、成るほどニツケルだけではアメリカ価格国内市場価格は非常に差のあることは知つておりますけれども、その価格をそれだけ差があるから、特需品にすぐに大きな影響を及ぼすものとはちよつと考えられない。例えば化学工業の触媒に使うところの白金なんかにつきましても、非常に高価なものでありますけれども、これは別にそう大して原価影響を及ぼすようなものではないわけであります。ということは化学生産品に入つて来るニツケル極あて微量になるからそういうことになる。ここのところはどうもちよつと納得できかねる。ただ、今ここで政務次官のおつしやつた一番重要な日米経済協力促進ためということをおつしやつたのですが、その意味をもう少し具体的におつしやつて頂きたいと思います。これはやはり価格の問題とは少し別な問題だとこう思うのです。
  36. 首藤新八

    政府委員首藤新八君) 三月にニツケル助成法を出したいという考えの下に、当時案を作つたのでありまするが、御指摘通り、その当時には、その輸入品時価との鞘をこれに充てたいという考え方を持つてつたことは御指摘通りであります。併しその後情勢が非常に変化いたしまして、特に最近において日米経済協力、これを強力に推進する、それがためには日本物価が著しくインフレ的であつて、このままでは到底アメリカに対して輸出が困難であろう。従つて本当に日本日米経済協力に忠実にこれに協力するならば、日本物価をできる限り低くすることが前提であるという、強い要請が何回も政府のほうにあつたのであります。こういう要望に応え同時に又日本品物をできるだけ安く且つ広く販路をこの機会に拡充いたしたいという考え方から、これがためにはこういう措置を講ずることがいいのではないかという実は考えの下に立法いたしたのであります。そこで一方内地ニツケル製錬助成に関しましては、すでにお手許に法案を差上げてあります通り、別個の措置をとつてでも時価よりも遥かに安い原価供給できますので、これは国内或いは一般輸出向けに振向けることが適当であろう。こういう考えの下に進んでおるのでありまして、別に大きな理由はその他にはないのであります。
  37. 栗山良夫

    栗山良夫君 特需だけに限定してもいいわけですが、まあ今の言われるところによりますと日本発注するところ特需というものは、アメリカ価格の一〇%引ぐらいが好ましいということを言われておるようであります。こういうような考えで以て進むとするならば、今政務次官お話の最も中心になつておるところなんでありますが、従つてこのニツケルだけでなく、その他のいろいろな主要物資について、これは輸入基金関係でないと思いますけれども、そういうものについても特段の措置政府がせられなければ、私は目的を達成し得ないと思いますが、その点如何ですか。
  38. 首藤新八

    政府委員首藤新八君) この特別基金は、すでに御承知通り民間では輸入できないもの、又困難なものは政府のこの基金を使用することによつて可能ならしめるという一線を実は引いておるのであります。御承知通り現在の輸入民貿原則といたしております。できるだけ民貿によつて輸入をいたしたい。併しそれがどうしてもできないもの、国内で絶対に必要なものに関しまして、この基金を使用したい。かように考えておりますから、今後もこれに該当するような原料輸入が非常に必要な場合には、ニツケル同様そういう措置を講じて参りたい、かように考えております。
  39. 栗山良夫

    栗山良夫君 特需品或いは新特需品、そういつたものの物資は全部アメリカから支給されるわけでなく。国内でやはり調達することになると思います。従つて政務次官の言われる日米経済協力促進というのは、輸出特需品輸入価格を下げることである。国際価格への鞘寄せをすることにあると、こういうふうな工合におつしやつた場合に、ニツケルのような入手困難な金属に対してはこういうような方式をとられることは私どもよくわからないではないのですけれども、その他の一般民間輸入をされて来る物資国内で非常に国際価格を上廻る状態にある。それで生産されて来る品物というものは国際価格より上廻りますから、従つてアメリカ考えておられる特需発注に応ずるところ入札価格に適合しないようになる。従つてそれをどうされるおつもりですかということを私は伺つておるわけです。ニツヶルだけに限定されないで特需品全体のことを御説明願いたい。
  40. 首藤新八

    政府委員首藤新八君) 民貿で殆んどの原材料輸入ができておるのでありまするが、これらのもので内地国際価格よりも非常に割高であるというものは殆んどないのではないか。併し先ほど申上げましたコバルトであるとか、或いはモリブデンであるとか、極く少量のものがあります。これは現在のところ民貿獲得が困難な状態でありますので、別個にこれが獲得方法については現在検討いたしておりまして、一般民間輸入原料の非常に割高のものは他には余りないと思います。
  41. 栗山良夫

    栗山良夫君 銑鉄とか鋼材或いは石炭なんかはどうですか。
  42. 首藤新八

    政府委員首藤新八君) 鉄鋼が非常に国際価格よりも高いという御指摘であります。これは御承知通り中共貿易の中断から鉱石或いは粘結炭等を遠くアメリカから大分供給を受けておる。従つて支那から供給を受けておりまする場合には、運賃が七ドル前後で済んでおつたものが、現在は二十ドル近くも運賃を払わなければならん。これが一番値段を高くした大きな原因であります。従つてこのインフレ抑制ため国際価格よりも、余りにも高いという司令部側からの要請もありますけれども、特殊の事情、即ち日本だけが高くなければならん特殊の事情がありまするので、こういうものに対しましては、できるだけ生産合理化、或いはその他の諸がかり等における節約等によつて原価を安くいたすほかには方法はないのでありまして、こういうものに国家助成するということは現在の国家財政状態から見ましても困難である、かように考えております。
  43. 栗山良夫

    栗山良夫君 そうしますと、特需品主要構成資材たる銑鉄鋼材等国際価格より非常に高いということをお認めになりまして、そうして而もそういう高いもので生産された特需品というものが国際価格鞘寄せしなければならんという原則もお述べになつた。そうして而もそういうことにするためには、企業の合理化をしなければならん、こういうことをおつしやつた。そうしますと、合理化の内容というものを大体どういう程度にやるつもりにお考えになつておりますか。
  44. 首藤新八

    政府委員首藤新八君) これも非常にむずかしい問題でありますが、取りあえず政府といたしましては設備改善、いわゆる近代化によるところの能率の向上、そうしてその面におけるコストの引下げ或いは一般経費節約等々に重点を置いて行政的に指導をして、合理化を進めるかように考えております。
  45. 栗山良夫

    栗山良夫君 この設備改善経費節約、この経費のうちには人件費も勿論入ると思いますが、そのうちでどこに一番重点を置いて行かれるのでありますか。
  46. 首藤新八

    政府委員首藤新八君) 重点を置くということになりますれば、やはり設備改善、いわゆる設備近代化いたして能率をできる限り増進するということが、合理化目的に副う一番大きな対策だと考えております。
  47. 栗山良夫

    栗山良夫君 設備改善は私ども大体伺つておりますが、鉄鋼にしても、或いは機械工業にしても、やりたくて業者は困つておるけれども、その機械の輸入もうまく行かない。国内生産される工作機械もうまく行かないというようなことで非常に困つておるようですが、こういうものはしばしば合理化を口にされるときに伺うことで、もう常識語になつておりますが、ここまで話をずつと突込んで来たわけですが、実際に政府生産設備改善というものを政策的にどういう工合におやりになるということが大体決定されておるのですか。今のよろな常識的の合理化でなく、政策的として具体的に……。
  48. 首藤新八

    政府委員首藤新八君) 或いはこの国会近代化法案が議員提出で提案されるものと考えておりますが、若しこれが提案されますれば、内容を御了解願えると存じておるのであります。一応その内容は積極的に機械の輸入を有利にできまするように、それがためには免税措置を講じまして、又機械購入のための積立金に対するところの免税等々の措置によつて、おおむね半額くらいは免税措置によつて補償されるというような法案を議員提出で現在用意されておるのでありまして、これが今国会で通過いたしますれば相当今後新らしいいわゆる近代的な機械の輸入促進されるのではないかと、こういうふうな期待を持つておるのであります。
  49. 栗山良夫

    栗山良夫君 昨日も実は安定本部の長官と少し議論したのですが、途中で時間もないし、果てしもないから途中でやめたのですが、結局こういう工合合理化をやつて行きますと、国内物価はなかなか上昇しておる。生活水準は下つて行くということになるのですが、今お話聞いておりますと、やはり経費節約ということが相当中心点になつて来ておるし、わけてもそれに朝鮮事変が勃発する直前の状態から直後の状態をずつと考えてみますると、人件費節約ということにしても、労働能率の向上という名目で以て相当な搾り方が労働力或いは労働賃金の面で行われておるのでありますが、そういうものは更に現内閣としては強化して行く、そういう方針でありましようか、どうでしようか。
  50. 首藤新八

    政府委員首藤新八君) 能率の向上という問題につきましては、できるだけそれを強化いたして参りたい。そうして原価をできるだけ下げたいという気持を持つておりまするが、それだからといつて労務者の賃金が低下するというようなことは毛頭考えていないわけであります。
  51. 小野義夫

    ○小野義夫君 これは何じやありませんか、大分今の質疑応答で少し問題が拡大されたようでありますけれども、私はそれは政府は安く売るということに非常に疑点が起つて、国民の不安を呼ぶから、原価で仮に仕入れて原価で売れという命令ではないのですけれども、これで儲けられては困る、お前のほうへやつてあるものをこれで儲けてやられちや困るというところが、との立法の基礎になつておると私はまあ拝察するのであります。でありますから今後私どもの考え、栗山氏の質問の要旨もまだまだこれから特需がだんだん殖えて参ると、その特需を受けるときには、非常に高度の銅が必要だ、ところがその鋼がない、そり鋼をつけてやるからというて鋼を持つて来た場合には、それで儲けるということはできないのですね。まあ特需というものは、元来金よりも物をこちらにつけてもらうことが、まあ特需の日米協力経済の中に資金よりも我々は物に重点を置いているので、この場合に物をできるだけ特需ではたくさん向うから安く頂戴したい。それについては政府は儲けてはいけないのだから、又はかの我々の一般輸出にそれを寄与するということも私は余りいいことではないかも知れない。そういう意味におきまして、これは儲けられないということの実情から、政府原価で売つてもいいのだ、市価よりそれは格段安くても原価で売り得るというところに立法の趣旨があるのではないかと拜察するのでありますが、さような意味でありますれば、我々はいろいろな原料についても、そういう場合においては、やはり本法の働きによつて政府が利益を取らずにどんどんと原価同様で特需品材料に、ニッケルに限らず、すべての諸物資について同様のお考えを持つことが希望であると思いますが、その点は如何ですか。その点はそうすれば栗山委員の狙いもそこにあると思うのですが……。
  52. 首藤新八

    政府委員首藤新八君) 先ほど栗山委員に申上げました通り、根本の目的はインフレを抑制いたしたい。できる限り安い価格輸出の増進をやりたいということが原則的な目的であります。と同時に小野委員の御指摘なされた通り政府はこれを利益を取つてそうして物価を上げるような措置を講ずることは避けなければ相成らん。要するに経済向上、それが要するにその輸出促進でありますが、それがためにはできるだけ原価を安くせねばならんという建前から、同時に政府は利益を得なくてもいいという考えの下に、こういう措置を講じたのでありまするから、今後もこれに類するような原材料がありましたならば、先ほど申上げました通り、これと同様の措置を講じて行きたい、かように考えているのであります。  なお、この機会に申上げて置きたいと思いますのは、先ほど栗山委員の御質問の中にありましたが、ニッケルは多量に政府輸入しなければ民間では輸入が困難であります。従つてこういう措置を講じたのでありますが、なおその他の鉄鋼も含めましてできる限り原価を安くしなければならん。それには先ほど申上げたような、現在のように遠隔な地から原料輸入しておりましては、合理化によつてもそう大した原価の引下げは困難ではないか。結局原価を引下げます一番大きな対策は成るべく安い原材料獲得するということ以外にはないのであります。そこで東南アジヤ方面におけるところの地下資源の開発を今後積極的に推進いたしまして、これには日米経済協力の線によつて米国の金融の措置も相当便宜を与えられそうな情勢にありますので、この際急速に東南アジヤの資源の開発を進めたい。そうしてできる限り、近距離から安い原材料獲得できるような措置を進めたいと、かように考えているのであります。
  53. 山川良一

    山川良一君 甚だ細かい話になりまして、これは一体運用はどうされますか。成るメーカーに特需が来て、そうしてニツケルとしては、そのままはなかなか使われないと思うんですね。そうしますと特需の来た工場の製品の中にニツケルが幾分入つているだろうかという前提の下に、そこにメーカーにニツケルを与えられるのか、或いは製鉄会社で特需用に使われるだろうという想定の下に機械なら機械の原材料を作るところ特需引当の原料を造るものとして出されるのか。
  54. 首藤新八

    政府委員首藤新八君) これはニツケルを必要とする製品の受注者に対して恐らく司令部のほうで原単位の計算をいたしまして、そうしてこの製品にはニツケルが幾ら要るという一応の計算をして、その計算によつて切符を発行する、そうしてその切符によつて受注者が通産省のほうに配給を出講して参る。そうしてそれが適当であるか否かということを更に検討いたしまして、そうして現物を配給するという方法をとつて参りたいというふうに考えております。
  55. 山川良一

    山川良一君 例えば日立なら日立に特需が来て日立にニツケルを渡したところで、実際は日立はしようがない。だから日立なら日立が鋼材として八幡なら八幡にニツケルが行かなければ何もならないんです。八幡に特需用の鋼材を作るものとして八幡に渡るのか、日立に渡るのか、それがこういうふうなコースで行くから、何も安いニツケルを渡されても、変なことにはならないという安心感があれば、問題は案外了解がつくと思うんです。何となくどうなるかわけのわからんのじやないかという疑問が多少皆さんお持ちじやないか。私も多少そういうふうな気がするんですが、こういうふうになれば問題はないのだということがはつきりすればいいと思う。
  56. 井上尚一

    政府委員(井上尚一君) どういうルートを通してその基金会計のほうからニツケルが流れるかという点につきましては、これはそのときの注文の内容によつても異つて来るかと存じます。即ち或いは電気通信機械であつたり或いはべアリングでありましたりというような工合に、言い換えるならばその対象業者は機械メーカーであつたり、或いは鋳鍛鋼業者でありましたり、特殊鋼メーカーであるというふうに、その場合によりまして異つて来るかと存じまするが、二ツケルにつきましては、現在物資需給調整法上の統制品目でもございまする関係上、大体のやり方としましては軍の発注官が発注の証明書を出す。その発注証明書を持つて参りました業者に対して、その当該製品の担当官庁即ち通産省で申しますれば、機械局とか、鉄鋼局とかそういう担当官庁のほうで、契約ベースとしましては、発注証明書と引換えに当該原料供給するということに相成りまするが、と同時に現在の物資需給調整法上の割当証明書というものをこれと並行しまして発行するというということになろうかと存じまするので、言い換えるならば現在ニツケルに物調法の統制方法としまして割当証明書を使つている。あれと同様の方法を今度の軍発注官の発注証明書に加えまして、それを並行してそういう方法の実施をやつて参るということになろうかと考えます。
  57. 栗山良夫

    栗山良夫君 私政務次官にもう一点だけちよつと伺つて置きたいのですが、先ほど特需品国際価格鞘寄せするという場合に、原材料が非常に高いので、合理化によつてやると、こうおつしやつたのですが、その場合にくどいようですが、重ねて伺いますることは、設備合理化の問題であります。今日本が如何に合理化しよろと思いましても、これはアメリカのレベルまで行くのは、精一ぱいだと思う。一〇〇%合理化しましてもアメリカのレベルまで、それ以上越すことはなかなか困難だと思う。なかなかそこまで行かないのが常識だと思う。そういう場合に、原材料輸入状況、或いは船腹その他の関係によつて現実に高くなつて行く。そういう悪条件そのものがアメリカの産業よりは格段と高いものがあるわけですね。条件そのものが悪い。そこでアメリカの能率のいい工場まで、日本設備改善をしてもなお現在そのものには差異があるということになりますと、結局国際価格鞘寄せしようとした場合には設備合理化を一〇〇%やつてもできない。やるところはどこかということになると、結局私は経理面に及んで来るに違いないと思う。経理面に及んで来るということになれば、いろいろな諸雑費の節約はありましようけれども、結果において労働時間の延長とかそういつたような問題にしわ寄せをして来なければできない。そういうことをやるということは結局国民生活水準がぐつと下つて来る。下りまするとマーカツト声明にあつた国民生活の水準は維持するようにしなければならないということができなくなると思う。その辺り考え方は、産業の直接担当政務次官としてどういうふうにお考えになりますか。
  58. 首藤新八

    政府委員首藤新八君) これを非常に窮屈に考えますれば全く御指摘通りになる虞れがあるのではないかと思います。併し国際価格にマツチさせるということは強制的ではないのでありまして、できる限り政府はこの目的を達するような措置援助したいということからこの法案作つたのでありまして、従つて設備近代化しても全く御指摘通りその他の条件が日本は惠まれておりませんので、或いは国際価格に完全にマツチするということは困難であるかも知れませんが、そういう場合になりましても要するに引合わないものは輸出が減るというだけでありまして、絶対的に国際価格で出さなければならんという強制命令はないのであります。同時に又今労働問題に入りますると、これはその企業と労働組合との問題でありまして、容易に第三者からかれこれ云々すべきものでないのではないか。又栗山委員の御指摘のような事態に立至りましても、恐らくそれは強制的でありませんので、或る特定の鉄鋼の会社の労働者が非常に賃金を低められたという場合になりましたならば、日本の労働賃金の水準から見てそれは非常に低いのだということになれば、当然それらの従業者は辞職をいたして他の方面に改めて転職するなんというような方法が講じられまするならば、それはこれがために特に日本一般的労働賃金よりも安い賃金を強いるということは実際問題として困難ではないか、こういうふうに一応考えているのであります。
  59. 深川榮左エ門

    委員長深川榮左エ門君) まだ質問もございましようけれども、この法案に対する質問は後刻に譲ります。   —————————————
  60. 深川榮左エ門

    委員長深川榮左エ門君) 次に硫酸アンモニア増産及配給統制法を廃止する法律案を議題に供したいと思います。
  61. 小野義夫

    ○小野義夫君 この硫酸アンモニアの法律廃止案でございますが、法案は極めて簡単でございますし、もうこの法律それ自身残つておるだけで中味はもうなくなつておるので、いわば蝉のぬけ殻のようなものであることは当然だと思います。この機会に肥料政策に関しまして一、二点本委員会としてもお考えを願いたいと思いますが、皆様にこの肥料問題について要望を申上げたいと思うのであります。これは御出席の首藤政務次官は非常に熱心にこの問題につきましては各方面との折衝を遂げて頂いてはおるのでありまするけれども、まだその解決点に至つておらんのでありますが、それは過燐酸肥料は最後に残つた政府の補助金を受けておつて、この過燐酸肥料に対する補助金の根拠と申しますのは、運賃が非常に高くなつて従つて過燐酸の価が高くなつたからということで補助金が出されておるのでありまするが、大蔵省の全体のこの補助金政策を打切るという大きな政治の方向から申しますならば、当然打切つて行くのが私は本旨であると考えているのであります。すでにこの補助金は曾つては一トンに対して五千何百円しておつたものが今日においてはすでに二千何百円というふうにだんだんと補助額は逓減して参つておるのであります。従いましてこの業界は今日のような補助金をもらうというと、それにマル公をつける、補助金とマル公というものは、不可分一体のものであるかのごとき情勢に追い込まれておるのでありますけれども、過燐酸だけにマル公を再びつけるということは、経済の玄関になるところの、例えば硫化鉱であるとか、電力であるとか、縄叺であるとか、運賃であるとか、電気料であるとか、かような過燐酸製造のエレメントに対してマル公を付するのであらざれば決定できないということは、これは常識的に考えられることであります。従いましてなんか過燐酸というものがぽつねんと取残されておる産業になつておるのでありまして、その波及するところ価格政策に非常に無理が起る。そうして今日の流通経済の上に一大支障を来たしておりまして、すでに四月以降の新らしく値段をきめなければならん段階にありながら、依然として今日なお本当の指示額を定めることができない。業者政府との間に妥結ができないという現状にあることは、非常に私は肥料政策の上に歎かわしいことである。今まさに肥料を根肥としてたくさん入れなければならない状態にありながら、例えば全購連のごときは、自分の持つておる品物をなんぼに売つたらいいか見当がつかんというような取引上の大混乱を来たしておる。従いましてこの肥料の流通が阻止されておるというようなことになつておるのであります。このことにつきましては、この硫安に限らず一般に対する肥料行政と申しますか、肥料政策というものにつきまして、この我が通産委員会におきましても、今後この問題は農村政策と非常に重大な関連を持つておるのでありまして、単に農林委員会が自分たちの農村を愛する余り、その経済の実態を捕捉することができなくて、ただ補助を出せばいいんだ。肥料が安ければいいんだというような、そういう単純な考え方でこれに臨まれることは、甚だ肥料工業、インダストリーとしての工業の基礎を危うくすることになるのでありまして、どうしても今後の我が国の経済は、御承知通り自力で、採算的で、それが暴利でなくとも、資本に対する配当若しくは償却が行われるのでなければ、産業の基礎が危うくなる。然るに今の態勢を以てするというと、農村政策のためならば、如何なる肥料会社を犠牲にしても、なおかまわないという農林委員会の今までやり来つた、盲目的な結論にいつも陷つて、これによつて農林省のかたがたも農林委員会の非常な鼻息が強くて、これに対してどうも手も足も出ないようなことを我々は承わるのであります。かくては非常に全国的な肥料政策の誤りになると思いますので、この点につきまして、特に通産委員のかたがたにおかれても本委員会にこの問題はいつか今議会中はむずかしいかも知れませんけれども、補助金を過燐酸に与うことの可否、並びに農村経済との関係について一つ深く継続的の御研究をお願いしたいということを私は要望いたしまして、この法案に私個人として賛意を表するものであります。
  62. 深川榮左エ門

    委員長深川榮左エ門君) それじや時間も大分経過いたしましたから、一時間ばかり休憩いたしたいと思います。御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  63. 深川榮左エ門

    委員長深川榮左エ門君) それじや一時半から又続行いたします。これを以て休憩いたします。    午後零時二十五分休憩    —————・—————    午後二時十一分開会
  64. 深川榮左エ門

    委員長深川榮左エ門君) 只今から通産委員会を続行いたします。  午前中に引続きましで硫酸アンモニア増産及配給統制法を廃止する法律案について御審議を願います。
  65. 椿繁夫

    椿繁夫君 法案そのものについては別に意見はございませんが、これに関連して……。頂いております資料によりますと、昨年度の硫酸アンモニアの生産の実績であろうと思いますが、百五十万トンというのはこれは実績でございますか。
  66. 長村貞一

    政府委員(長村貞一君) 実績でございます。
  67. 椿繁夫

    椿繁夫君 このうちで輸出国内需要というのはどのくらいの比率になつておりますか。
  68. 長村貞一

    政府委員(長村貞一君) はつきりした数字は今資料を持つておりませんが、大体のところは、昨年大体硫安換算にいたしまして十一万くらいになつております。
  69. 椿繁夫

    椿繁夫君 十一万トンですね。それで国内需要というのはどのくらいでございますか。
  70. 長村貞一

    政府委員(長村貞一君) 昨年度は大体二百万トンであります。
  71. 椿繁夫

    椿繁夫君 二百万トンの需要に対して生産が百五十万トン、そのうち十一万トンを輸出して約六十万トン国内需要不足ということですか。
  72. 長村貞一

    政府委員(長村貞一君) 御承知通り昨年は公団手持ちのものが多量ございましたので、それで賄つております。
  73. 椿繁夫

    椿繁夫君 今後の需給の見通しは如何ですか。
  74. 長村貞一

    政府委員(長村貞一君) 数字につきまして申上げますと、昭和二十六肥料年度の窒素肥料の需給の見込みを申上げます。これはもとより前提として電力の問題等いろいろございまして、これがこの肥料年度の中でどう変りますかということによつて現実の実績が多少異なつております。  一応私どもの予定いたしておるところ従つて申上げます。以下全部硫安換算にいたしまして硫安、石灰窒素等を含めまして、窒素肥料総体といたしまして硫安換算して昭和二十六肥料年度の供給の総量が二百四十一万トンと考えております。これに対しまして大体需要が二百十一万トン程度考えております。
  75. 椿繁夫

    椿繁夫君 これで今後も輸出をして行くことは必要でもありまするし、要請されることと思いますが、国内需要をそのために圧迫するというふうなことはお考えになりませんか。
  76. 長村貞一

    政府委員(長村貞一君) お尋ねのように硫安の輸出につきましては、でき得る限りこれが伸びて行くことが望ましいと思いますが、根本的な考え方といたしまして、私どもは肥料というものの性質から国内需要の充足ということを第一義的に考えております。先ずこれを充足いたしまして、然る後に余力を駆つて輸出をいたしたい。言葉を換えて申しますれば、強いて国内需要に対する供給を切りまして輸出に振向けるという考え方はとつておりません。
  77. 椿繁夫

    椿繁夫君 只今の御説明を承わりましても、当面必要な国内需要がまだ満されていない。生産の状況、今後需要を満たすだけの増産計画について何かお考えでしようか。
  78. 長村貞一

    政府委員(長村貞一君) 先ほど申しました昭和二十六肥料年度の窒素肥料の需給関係から申しますと、二百四十一万トンの供給に対します需要二百十一万トン、つまり需要供給関係では供給国内需要を上廻つている数字が出ているわけであります。これは硫安と石灰窒素両方含めました数字でございますのでかようになつております。先ほど申上げました……、資料として差上げてありますのは硫安だけでございます。私の申上げましたのは、硫安石灰窒素含めまして考えますならば、窒素肥料といたしまして昨年度は十分に国内需要を充足し得たものとかように考えております。
  79. 椿繁夫

    椿繁夫君 この法案はもうすでに先ほど小野委員から御指摘になりましたように、すでにこれはないものになつているも同様である。従つてこの法案が今度廃止になりましたからといつて国内価格、肥料価格に直接影響を与えるようなことはないと思いまするが、当局でも肥料価格の上にこの法的措置を講ずることが今後影響を与えるという心配はないというふうにお考えになつておりますか。
  80. 長村貞一

    政府委員(長村貞一君) この法律数カ条残つておりまするが、実質的には始んど中味がからになりまして、僅かに残つておりますのは、社債の限外発行に関する規定だけでございまして、実質的にはこの限外発行に関する規定とほぼ同様な規定が商法改正法律その他によりまして新らしくできておりますが、それと丁度入れ代るという関係で無用になりまして廃止をするというだけにとどまると思います。従いましてこの法律を廃止いたしましても、社債の問題その他の金融操作の面では、ほかの法律で従前と同じような効果を得られると思います。特に価格の問題につきましては、この法律の廃止によりましては全く影響ない、かように考えます。
  81. 椿繁夫

    椿繁夫君 当局のその言明を聞いて私も安心いたしましたが、主要な農産物価につきましては、特に主食につきましては未だに供出の制度が残り、更に米価につきましても、政府でこれをきめてその価格で買上げている。一方その主要な生産費とも目さるべき肥料価格というものが全く手放しになつているというようなことは、私は国の政策としては片手落ちだと思うのですが、これは局長にお伺いするのはちよつと無理かと思いますが、御見解を承わりたいと思います。
  82. 長村貞一

    政府委員(長村貞一君) 非常に大きな問題でございまして、私からお答え申すのは如何かと思いますが、先ほど申上げましたように需給の面から申しまするならば、現在の供給力は国内需要を十分に満たし得る程度になつておるわけでございます。従いまして、この需給の関係から、もとよりこれは季節的な需要のある問題でございますが、一年のうちの季節的なフラクチエーシヨンはあり得るわけでございますが、通観して見ますならば、需給関係から推しましても、価格の問題についても、甚だしくこれが上るというような心配はないものと考えております。ただ私どもは、御承知通り肥料の価格というものは、食糧の関係その他農業面におきましても非常に大きな影響を及ぼすわけでございます。肥料工業というものが健全な基礎におきまして十分に伸びる、同時に又その価格もその基礎において合理的なでき得る限り安いものでありたい、行政面でもさような気持で参りたい、かように存じております。
  83. 下條恭兵

    ○下條恭兵君 私は午前他の会議に出ておりまして、若し午前中にどなたかから私が今から質問しようとします一、二の点についてのお尋ねがあつたとすれば、特にお答え願わなくてもいいのですけれども、今の椿委員質問に関連して一、二お尋ねしたいと思います。  その第一は、心配いたしますのは、今問題になつている電力料金値上の問題であります。仮に今論議されているように、七割上ると硫安の価格に二二%ぐらいのコスト高が生ずるということでありますけれども、それについて化学局としてはどういう対策をお考えになつておられるか、その点をお伺いしたいと思います。
  84. 長村貞一

    政府委員(長村貞一君) 電力の値上りの価格に及ぼしまする影響計算は、今検討中でございまして、はつきりしたことは何でございますが、大体電解法によりまする硫安、これについて見ますると、一〇%から十数%ぐらいの影響があるのではないかと今のところつておるわけでございます。石炭のほうは、御承知通り、電力の消費というものは、電解法に比べて非常に少うございます。これに対しまする影響は更に少いと思います。
  85. 下條恭兵

    ○下條恭兵君 いま一つお尋ねしたいと思うのですが、電力の事情は今年の降雨量にもよると思いますけれども、非常に不足して来ると思います。一方に又特需或いは新特需という方面の電力の需要があつて、肥料のほうの電力が非常に制限されるというような虞れがありはしないかと心配しているのですが、そうしますと、今椿委員指摘しましたように、硫安の供給量が非常に少くなつて、硫安の価格が非常に上つて来るというような虞れも生じやしないかという心配もあるわけでありますけれども、それに対する見解と当局の対策を一つお尋ねいたします。
  86. 長村貞一

    政府委員(長村貞一君) 電力の年間の割当の見通しは、いろいろ問題があると思いますが、御承知通り肥料以外の面におきましても相当の需要もあるかと思うのであります。私どもといたしましては、肥料の性質と申しますか、肥料の用途面、これは是非とも国内需要は十分に充足しなければならんと思います。少くともその線までの電力の確保というものはこれは十分にできるかと思つております。更にそれ以上何ほどの電力を以て、従つて又何ほどの輸出余力ができるかという問題が起きるのでありますが、国内需要の面では、先ほど申しました二百十万トンの国内需要に不足するような電力面から来る生産減少ということは、只今ところは懸念をいたしておらないのであります。
  87. 山川良一

    山川良一君 法案自体の問題でありませんが、硫安の物価その他の値段のことがありましたので承わりたいのですが、現在流布されておる電力代の値上の影響、あれは事務局案と言われておりまするけれども、あの案を実施すると、硫安に使用する電力代は三倍くらいになるような案になつておるように思われるのです。それを消費者に転嫁されることはちよつといかんのじやないかと思いますが、ああいう電力の値上げ、まだ事務局案という段階ではありますが、当局としてはああいうことについてどういうふうにお考えになつておりますか。
  88. 長村貞一

    政府委員(長村貞一君) これはやや一般的な問題になるかも知れませんが、肥料の方面では特に電力を喰います関係で、肥料の価格というものは、御承知通り、農業面に非常に影響を及ぼしますものであります。従つてその価格もでき得る限り安いのは望ましいわけでございます。そういう関係から申しますると、電力の値上げ、これによりまして価格の構成面で相当な影響も見えますので、無論私どもといたしましては、肥料生産の面からは電力料金は少しでも安いことは望ましいと思うわけであります。先ほど値上げの影響につきましてちよつと数字を申上げましたが、我々事務的に申しまするならば、やはり肥料面から申しまするならば、電力料金というものはできるだけ安い、而も豊富な良質な電気というものが望ましいと、かように考えております。
  89. 山川良一

    山川良一君 実は公益委員会で電力代をきめるという話の過程において、某方面から、政府は消費者の立場になつて考えたらいいだろうという話もあつたように聞いておりますが、私は少し今度の電力代の値上げについて、政府考え、事務当局は少し熱意がないのじやないかというような電力関係の当局者のかたはむしろ電力会社の味方のような案を考えておられるような気がしますので、まあ全体の電気の二割くらいを消費されておる化学工業でありますので、是非それがどういうふうになつてどういうふうに国民生活に影響を及ぼすか御研究願いまして、妥当なところへ落ちつくように御壷力願いたいと思うのであります。(「異議なし」と呼ぶ者あり)
  90. 深川榮左エ門

    委員長深川榮左エ門君) ほかに御発言ございませんか。
  91. 栗山良夫

    栗山良夫君 電力の問題が出ましたですけれども、私は化学局長に方針としてのお考え一つ承わつて置きたいと思うのは、普通の産業とのバランスをとる意味におきましても、こういう生産原価の中に、材料的な意味を以て高率なパーセンテイジを占めておるような、例えば硫安のような工業におきましては、電気料金を国の政策からして、昔行なつておりましたような工合だ、割安にするとか、そういつたような措置をとるための政策料金的なものを私は設定しなければいかんのじやないか、そういう工合考えるのでありますが、これに対しての御見解は如何ですか。
  92. 長村貞一

    政府委員(長村貞一君) お話のように、化学工業の電力は、量から申しましても、いわゆる大口の三分の一くらいを占めております。それから性質から申しましても、普通の動力の電気と違うのでございまして、影響も非常に大きいわけであります。先ほどからの御指摘通りに、私どももこの問題は真剣に取上げておるわけでありますが、料金の立て方の問題も、今のお話のような御見解御尤もな御見解だと思うのであります。これはただ料金制度全般の問題とも関連いたしますので、その点私どもとしてもなお十分に検討させて頂きたいと思つております。
  93. 栗山良夫

    栗山良夫君 私はしばしばそういう政策料金という考え方を主張して参つておるのでありまして、これは特定産業だけでなしに、一般社会政策的な意味を以てそれを行わなければならんということを力説して来たのでありますが、いろいろな事情で似てそういうことをやり得るような時期もだんだん近づきつつあるように私は考えますので、どらか政府のほうとしては、そういう構想を以て本当に国民にサービスをする産業のあり方を考えて頂きたい。そのためには、やはり材料である電気についても格段の措置をしなければならんという考え方の具体化に研究を一つ願いたいと考えます。
  94. 小野義夫

    ○小野義夫君 これは一つ硫安についてまあ硫安が一番……電気は高くても、電気も国産品だし、その他石炭等につきましても国産品で、殆ど硫安というものは国産品だと思うのです。そこで今要請されている台湾、朝鮮、これは勿論のことでございますけれども、東南アジヤ地方も、だんだん中国あたりに対しても日本が将来硫安を供給するということは、距離的に見ましてもその他の条件から見ましても、日本が一番いい資格を持つていると思います。従いまして、この輸出問題を単に農林省の当局の考えは硫安を極力ダブつかしてしまう。そうして資金的にも困り、それから競争的にも安売りをして叩き合いをして、硫安製造業者はできるだけ採算を割つて出見るようなことを要望されているように思われるのですけれども、私どもはそうでなく、これはどうしても国策として、将来やはり硫安をうんと輸出するような国にならなければならん。電力拡充問題もありますけれども、その最終目的は、やはりこの化学工業の発達に寄与してこれを輸出しよう、こういうものだと思うのです。それで昨年は御承知通り非常にたくさんな需要があつたのですけれども、結局農林省に非常に頑張られちやつて、十一万トンかそこらの輸出しか出せなかつた。今年は僅かに五万トン内外を輸出するというようなことになつたようでありますけれども、今度不需要期になりますと、どうしても業者の手許には三十四、五万トンくらいな滞貨を見ると思うのですが、今までは公団とかなんとかいうもので政府が一応買上げて、それで調節をして高く売れば政府が放出するというような、大変うまいそこにやり方があつたのですね。もう政府持ちというものは、殆んどなくなつたろうと思うのですが、その点はどうですか。あれは政府が持つてつたいわゆる公団の残品ですね、硫安の……。
  95. 長村貞一

    政府委員(長村貞一君) 公団の残品は殆んどございません。
  96. 小野義夫

    ○小野義夫君 そうしますと、これは非常に今のように一方に輸出は極度に抑えられて来るし、それから業者の手許に丁度公団的な一つの役割が自然に来るということになると、これに対して特別の金融か何か措置をとらなければならんのですが、その点はどういうことになりますか。
  97. 長村貞一

    政府委員(長村貞一君) 公団の手持は九万トンくらいしか、殆んどない状態でございます。従つて新らしい配給機関に途中で変るということが必要でございまして、それに対する金融問題があるのでございます。これは配給関係にもなりまするので、只今農林省が中心になりましていろいろと心配しているのであります。
  98. 深川榮左エ門

    委員長深川榮左エ門君) 今本会議が始まりますので、半時間くらいで済むらしいですから、ここでちよつと半時間くらい休憩いたします。なお引続いて御質問のあるかたは、次回に審議をいたしますから、そのときに御発言をお願いいたします。    午後二時三十六分休憩    —————・—————    午後三時四分開会
  99. 深川榮左エ門

    委員長深川榮左エ門君) それじや通産委員会を続行いたします。
  100. 小野義夫

    ○小野義夫君 それでは簡単にまとめて一つ申上げますが、日本の硫安というのは、今のように農民と申しますか、地方の需要だけというか、何ぼ要るということをそのまま放置するにおきましては、いつまで経つても私は本当の肥料価値を発揮するものが却つて窒素肥料をやり過ぎるところの弊害もあると思うのです。そこで反当どれくらいにすればいいということは、農林当局ではつきり科学的に決めなければならんのに、私が従来農家その他農林関係の間に硫安をやり過ぎるじやないか。日本は堆肥もあり、緑肥もあり、化学肥料もあつて、その上に又硫安をやらなくたつていいのだから或る程度、ただ、需要々々といつてめちやくちや硫安をやると、却つて農作物に害があるのじやないかという議論をしましても、これに対してなお間違つているという御議論もまだ出ないのです。かような次第でありますから、農林省と将来輸出を御折衝になる場合、どうしても今自分のところばかり言うて、朝鮮の農業はどうなつても、台湾の農業はどうなつてもかまわないというような態度に出ますというと、勢い私は肥料の市場をアメリカなりその他の国に譲つてしまうということになるのでありますから、どうしても或る程度輸出は是非多少不十分でも継続してやる必要があると認めるものでありますが、輸出に関する化学局長の現在及び将来のお考え一つ承わつて置きたい。
  101. 長村貞一

    政府委員(長村貞一君) この硫安のみならず化学肥料工業が、一面におきましては国内の食糧の生産の確保の上から基本的に必要なものであることは疑いのないところでございますが、輸出産業としても、これは非常に大きな意味を持ちまして、特に日本の立地的な立場を考えまするならば、東洋市場におきまする最も大きな、又最も力のある供給源であると思います。この意味で輸出産業としての肥料工業の確立及び振興ということは私どもといたしまして特に力を入れなければならんと思うのでありまするが、同時に又国内供給の確保ということも考えなければならんのでありまして、我々としましてもこの農業経済に及ぼします影響、或いは農業経営面に占めますウエイトというものは、十分考慮に入れなければならんと思うのであります。両面を満足して行くということになると思うのであります。この点から特に最近は一面におきまして国内供給を満足すると共に、輸出促進について特別の力を入れておるわけであります。需要面等を特に見ておりまする農林当局におきましても、輸出産業としての肥料工業に対する理解、及び日本輸出用肥料工業の健全な発達ということにつきましては十分の理解を持つておられると私どもは確信しておるわけでございますが、問題は現実の需給のバランスの数字の問題に帰するわけであります。この点におきましても、供給の面におきましては或いは電力の関係或いはパイライトの関係生産のキヤパシテイーの関係から比較的誰が見ましても確実な数字をつかみ得るのでありますが、需要の面では只今指摘のございましたようにいろいろと議論が存在するわけであります。この点私どもは常に事務的に安本を中心にいたしまして、関係者集りまして実績に基きます数字の検討ということを繰返しつ、少くとも余力を見つけまして輸出をいたしたいと思つておるのであります。特に時期的に見ましても東亜市場、東洋市場に対しまする肥料の輸出ということは最も大切な時期になつておると思いますので、今後とも更にかような意味におきまして輸出の面に一段と力を入れて参りたいとかように存じておるわけであります。
  102. 深川榮左エ門

    委員長深川榮左エ門君) ほかに御発言もございませんようですから、質疑は盡きたものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  103. 深川榮左エ門

    委員長深川榮左エ門君) 異議ないと認めます。それではこれより討論に入ります、御意見のおありのかたはそれぞれ賛否を明らかにしてお述べをお願いいたします。  別に御意見もないようでございまするから討論は終結したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  104. 深川榮左エ門

    委員長深川榮左エ門君) 異議ないと認めま。  それではこれより採決に入ります。硫酸アンモニア増産及配給統制法を廃止する法律案について採決いたします。硫酸アンモニア増産及配給統制法を廃止する法律案を原案通り可決することに御賛成のかたの御挙手をお願いいたします。    〔総員挙手〕
  105. 深川榮左エ門

    委員長深川榮左エ門君) 全会一致と認めます。よつて本案は原案通り可決すべきものと決定いたしました。  なお本会議における委員長の口頭報告の内容は本院規則第百四条によつてあらかじめ多数意見者の承認を得なければならないことになつておりますから、これは委員長において本案の内容、本委員会における質疑応答の要旨、討論の要旨及び表決の結果を報告することとして御承認願うことに御異議ございませんか、    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  106. 深川榮左エ門

    委員長深川榮左エ門君) 御異議ないと認めます。  それから本院規則第七十二条によりまして委員長が議院に提出する報告書に多数意見者の署名を附することになつております。本案を可とするかたは順次御署名をお願いいたします。   多数意見者署名     栗山 良夫  小野 義夫     上原 正吉  下條 恭兵     椿  繁夫  高瀬荘太郎     山川 良一  駒井 藤平     境野 清雄   —————————————
  107. 深川榮左エ門

    委員長深川榮左エ門君) 次に計量法案並びに計量施行法案、両案を議題といたします。質問のあるかたの御発言をお願いいたします。
  108. 栗山良夫

    栗山良夫君 この計量法で問題になりまする点は、やはり計量の検定行政につきましては検定官にすべてを一任をする恰好になるわけであります。従つて検定官が真に国の検定官として公正妥当な処置をとられるかどうかということは、この計量法案の中の重要なポイントであろうと私は考えるのでありますが、ただ問題は、検定官が業者との共謀、その他業者とのいろいろな好ましくない関係において、厳正たるべき検定が曲げられるということがあれば、由々しいことだと思うのでありますが、この際過去にそういうような実例があつたかどうか。若しあつたといたしまするならばそういうものにつきまして今後どういうような取締り、或いは具体的な対策を以て臨まれんとしておるのか、その点を伺つて置きたい。
  109. 玉置敬三

    政府委員(玉置敬三君) 計量調査官のほうは今回初めて作つたのでありますが、お話通り極めて重要な職務でありまするから、これが任用その他につきましては、遺憾のないように、十分人選をいたしますときに、計量行政の極めて重要なことを常に指示して参りたいと思います。御質問の点は、或いは県の実際の検定官或いは府県或いは中央の検定官についてのお話も中に入つておるのでないかと思いますが、これらにつきましては、いろいろ業界その他からの立場におきまして多少のお話しその他を聞いたことはあるのでありますが、かかる事実の点がないように、私どもとすれば、従来からも実はあらゆる面で注意をして来た点であります。今回も特に取締りでありますとか、検定に当ります者は教習所の過程を経るということで、一方におきましても教育、又その勤務の極めて重要であることを常に力説滲透せしめまして、遺憾のないように先ずかかりたいと思うのであります。そのために今回この法律の中にも計量教習所というものを設けまして、検定等に従事する者はこの課程を終了した者を採用するという途を講じたわけであります。  更に具体的の問題等におきましては、事前に調査官がそういうことのないように、当然行政としても指導育成すべきものでありまして、万一遺憾な、検定の方法を誤つたり、或いは認定の方法を誤るというようなことかありました場合には、更に制度を設けまして利害関係者に十分なる利益を確保せしむるという途を更に講じたわけであります。  以上申上げましたように本来の職務の重要性とそれから、その職員の採用につきましては、極めて重要なることを想定いたしまして慎重を期し、爾後におきましても万一かように本法案に書きましたような事態がありましたならば、それを以て更に遺憾のないように注意しまして、関係業者の利益を損しないということをモットーとしたいと思つております。
  110. 栗山良夫

    栗山良夫君 この計量法案目的一つは、計量器の検定を全国的に統一いたしまして国民の利害を公正に図りたい、こういうことが狙いであろうと思いまするが、そのためには中央、地方或いは地方相互間の検定の厳正なる統一を図らなければならないというので、私はこの前そういう任務を遂行させるために、計量調査官の性格を明らかにしたらば如何かということを質疑をいたしたことがあります。そのときに政府側の答弁といたしましては、私の意図する計量調査官の性格とは違いまして、全国的に数名の調査官を任命するに過ぎない、こういうお話があつたのであります。従いましてその点は了承したのでありますが、実際問題といたしましてこれを具体的に調整をし、そうして統一を図つて参りますためには、常時査察官のような制度を設けまして、そうして事故が起きましたあとでなくて、起きないうちに然るべき善処を行政の面で加えて行かなければ、目的は達せられないのではないかと思うのでありますが、そういうような一種の査察官制度のようなものを、行政の実行にあたりまして考えられる余地がありませんかどうか、この点を伺いたいと思います。
  111. 玉置敬三

    政府委員(玉置敬三君) お話通りその点は極めて重要な点でありますことと考えますので、調査官の一つの行政行為といたしまして、十分事前的にかかる法律に書きましたような欠陥の起らないように十分注意いたしまして、平素の重要なる任務の一つといたしたいと考えております。
  112. 栗山良夫

    栗山良夫君 これは大臣並びに局長にちよつと伺いたいと思いますことは、検定官が計量器を検定いたします場合には、勿論定められました基準によつて行うのでありますけれども、検定官の自由裁量によりまして、相当に運用の面においては幅があると思うのであります。従いましてその自由裁量の分野の運用如何によりましては、業者に不公正な取扱いを与えて、そして好ましくない事態も招来すると思うのであります。今までのところそういつた問題がありましたかなかつたか、そういうような事情を大臣がお聞きになつたことはありませんか。その点を一つ伺いたいと思います。
  113. 横尾龍

    ○国務大臣(横尾龍君) 只今の栗山委員お話、至つて重大な問題であります。裁量によつて左右するということについては、これは避けなければならぬ事柄であります。併しそういうことのないように努めておりますけれども、不幸にしてそういうことがあつたということは耳に入つたことがありますが、実際それがどういうことをしたかということは調べていないのであります。併し今後はそういう事態が起らんように是非善処いたしたいと考えております。
  114. 玉置敬三

    政府委員(玉置敬三君) そういう事態が起らないようにすることは当然でありますが、構造、公差につきましてはつきりともう少し基準を考え、内容を改める必要があるということを私ども考えまして、その点そういう面からも只今指摘の点が起らないように十分注意をいたして行きたいと考えております。
  115. 栗山良夫

    栗山良夫君 話がちよつと前後した感がありますが、先ほど私が局長に御質問し答弁を願つたことと合せまして、只今質問並びにこれに答えられたお考えを十二分に運営の面において完璧を期せられるように一つ御努力を願いたいと思います。
  116. 深川榮左エ門

    委員長深川榮左エ門君) ほかに御発言ございませんか。……ほかに御発言もなければ質疑は盡きたものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  117. 深川榮左エ門

    委員長深川榮左エ門君) 御異議ないものと認めます。  それではこれより討論に入ります。御意見のおありのかたは、それぞれ賛否を明らかにしてお述べをお願いいたします。なお修正意見のおありのかたこの際お述べをお願いいたします。
  118. 栗山良夫

    栗山良夫君 私は計量法案に対する修正案を提出いたすものであります。修正の内容を申上げます。  先ず第二百十条第一項中に「二四人」とありますのを「三〇人」に改めたいと思います。  又第二百十条第二項及び第二百十二条第二項中「関係行政機関の職員」の下に「及び学識経験のある者」を加えるようにいたしたいと存じます  修正案に対する説明を申上げたいと思います。  先ず最初に二百十条の関係でありますが、本条の第二項には、計量行政審議会の会長及び委員はすべて関係行政機関の職員のうちから通商産業大臣が任命するというのが原案であります。私が考えまするのは、こういう計量行政全般に亘りまする重要な問題に関しましては、審議会を設けまするならば、ただ単に関係行政機関の職員のみに限定をするのでなくて、更に広く一般民間の学識経験者の参加を求めまして、この計量行政の権威ある運営を進めて行かなければならんと思うのであります。そういう観点からいたしまして、私は関係行政機関の職員のほかに学識経験のある人を加えたいと思うのであります。これと全く同じ考え方をもちまして、第二百十二条の計量行政審議会におきまする専門委員につきましても、又学識経験のある者を加えられたいと思うのであります。  そこで第二百十条に委員二十四名とありますのを三十名に変更いたしましたのは、これは学識経験者を加えます場合におきましては、関係行政機関の職員を選ぶにいたしましても、非常に行政部内におきまして各方面に計量行政は関係がありまするために、二十四名を予定せられたような状態であるのでありまして、これに更に学識経験者を民間から加えるということになりますと、いささか以て人数の点において不足するのではないかと考えるのでありまして、三十名というのは、絶対的に動かすべからざる数字であるというところまでは私も確信がないのでありますけれども、一応この程度の人数を確保して置く必要があるのではなかろうか、こういう考えで修正案を提案いたしたわけであります。  だがここで以上のような理由でございますけれども、修正案を提出いたしますると同時に、政府側に私は意見を申上げて置きたいことは、只今説明をいたしましたような理由からいたしましても、この行政審議会の運営というものは特段な注意と配慮によつて運営を是非ともせられたいということであります。特に学識経験者を民間から参加せしめる場合でありますが、この法律案においては、関係行政機関の職員と学識経験者の振り合いについては一言も触れていないのであります。政府の全く自由裁量になるわけでありますが、私は少くとも委員におきまして、又専門委員におきまして、その必要とする人数の三分の一程度は学識経験者の参加を得なければならないと思うのであります。かような点におきましては、どうかその運営に当りまして、十二分に本員の意のあるところを尊重せられまして、そうして実行せられたいと思うのであります。  又行政審議会はこの法案の審議の過程におきまして、いろいろな意見が各方面から提出せられておつたのでありますが、そういうような未解決の問題も重要事項として審議をせられるでありましようし、又この計量法案の定めるところによりまして、計量行政の画期的の運営をせられなければならんのでありますが、そういう恰好について通産大臣の諮問に応じて答申をし或いは建議せられることになつております。どうかこの行政審議会が十二分に機能を発揮し得るような弾力性のある処置を願いたいと思うのであります。  私は只今申上げました修正案を除きまする残余の部分につきましては賛成をいたすものであります。ただ一言意見を申述べさせて頂きたいことは、この性格といたしますところは、国際的に協力の立場からメートル法をとるのは当然でありまして、そして産業の国際的発達を期する上から、メートル法の上に計量行政を築いて行こうという考え方でありまして、私どもといたしましては極めて賛成をいたすものであります。併しいろいろ日本の昔の計量行政の経緯を俄かに払拭することができないために、ヤード、ポンド法並びに尺貫法の計量単位を昭和三十三年の十二月三十一日まで延ばすことになつておるのであります。私は今一歩思い切りまして、この辺でメートル法一本建による、すでに米国、英国ともそういう方針に向つて前進しつつあるのでありまするから、一歩を先んじてさような飛躍的な計量行政の確立を是非とも図りたいと考えたのでありますけれども、原案はそこまで参つておりませんので、遺憾といたしまするが、今後の運営におきまして、この法の定めるところによつて昭和三十三年十二月三十一日までには、是非ともメートル法一本建に相成りまするような国民的指導を是非とも願いたいと思うのであります。勿論法律だけによつてさようなことを行うことができないのでありまして、これは普段におけるところの国民的な計量に対する関心を高めまして、そうして国民みずからがこれを行うような指導と措置政府がせられない限りにおきましては、幾ら法律に魂を入れましても入らないわけであります。さような意味でお願いしたいと思うのであります。  それから先ほども私は質問して申上げておりますように、この計量法案の中心となつておる点は、計量器の検定を全国的に統一いたしまして参りたいというのが趣旨でありまするから、そのためには政府側の答弁にもありましたような工合に、是非ともこの目的が達せられるような格段の措置を願いたいと思うのであります。  そうして検定官がややもすると自分の自己裁量によりまして、検定に差等を設け得る融通の幅もあるわけでありまして、こういうことによつて業者を苦しめ、或いは延いては使用者であるところの国民全体にその影響を及ぼすようなことがあつてはなりませんので、飽くまでも検定官は厳正公平な立場を以ちまして、統一的な検定が行われるように指導をせられて然るべきものと考えるのであります。特にすでに政府側においては若干はお認めになつておりますように、今までの検定官がややもいたしますると、そういうような極めて高い権限を持つておりまするがために、その権限を好ましくない方面に使用せられまして、そうして中には特定業者の利益に偏するような行為が行われた事例もなしとしないのであります。従いまして飽くまでもさような検査官か出ませんように、検査官自身の教育指導に重点を置いて頂きますと同時に、その検査が真に公平の立場に立つて計量行政を行いますことのできるような指導、監督に最も意を用いられたいことを附加えて私の賛成意見とする次第であります。
  119. 深川榮左エ門

    委員長深川榮左エ門君) ほかに御発言はございませんか。……別に御意見もないようでございますから、討論は終結したものと認めて御異議はございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  120. 深川榮左エ門

    委員長深川榮左エ門君) それでは計量法案について採決いたします。  先ず討論中にありました栗山君の修正案を議題に供します。栗山君提出の修正案に賛成のかたの挙手をお願いいたします。    〔総員挙手〕
  121. 深川榮左エ門

    委員長深川榮左エ門君) 全会一致でございます。よつて栗山君提出の修正案は可決されました。  次に只今採決されました栗山君の修正にかかる部分を除いて内閣提出にかかる法案全部を問題に供します。修正部分を除いた原案に賛成のかたの挙手をお願いいたします。    〔総員挙手〕
  122. 深川榮左エ門

    委員長深川榮左エ門君) 全会一致と認めます。よりて計量法案は全会一致を以て修正議決されました。   —————————————
  123. 深川榮左エ門

    委員長深川榮左エ門君) 次に計量法施行法案について採決いたしたいと思います。計量法施行法案を原案通り可決することに賛成のかたの挙手を願います。    〔総員挙手〕
  124. 深川榮左エ門

    委員長深川榮左エ門君) 全会一致と認めます。よつて本案は原案通り可決すべきものと決定いたしました。 両案合わせまして本会議における委員長の口頭報告の内容は、本院規則第百四条によつてあらかじめ多数意見者の御承認を得なければならないことになつておりますが、これは委員長において両案の内容、本委員会における質疑応答の要旨、討論の要旨及び表決の結果を報告することとして御承認を願うことに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  125. 深川榮左エ門

    委員長深川榮左エ門君) 御異議ないと認めます。  それから本院規則第七十二条によりまして、委員長が議院に提出する報告書に多数意見者の署名を附することになつておりますから、両案を可とされたかたは、順次御署名をお願いいたします。   多数意見者署名     古池 信三  栗山 良夫     小野 義夫  上原 正吉     下條 恭兵  高瀬荘太郎     山川 良一  境野 清雄     椿  繁夫
  126. 深川榮左エ門

    委員長深川榮左エ門君) この際通産大臣から発言を求められておりまするから、許可いたします。
  127. 横尾龍

    ○国務大臣(横尾龍君) 計量法、計量法施行法の二案を提出いたしましたが、殊に計量法は非常に長いものでありましたが、短い期間で御審議を願つて御可決を願いましたことに対して厚くお礼を申上げます。今度の修正につきましては、私どもこの修正に対しましては同意見で賛成をいたすものであります。又栗山委員からいろいろな点について御指摘頂きましたことに対しましても、その趣旨に副つて善処して行きたいと思いますので、さよう御了承をお願いいたします。
  128. 深川榮左エ門

    委員長深川榮左エ門君) 速記をとめて。    〔速記中止〕
  129. 深川榮左エ門

    委員長深川榮左エ門君) 速記を始めて。それでは通産委員会はこれで閉会いたします。    午後三時五十一分散会  出席者は左の通り。    委員長    深川榮左エ門君    理事            廣瀬與兵衞君            古池 信三君            栗山 良夫君    委員            上原 正吉君            小野 義夫君            小松 正雄君            椿  繁夫君            加藤 正人君            高瀬荘太郎君            山川 良一君            下條 恭兵君            駒井 藤平君            境野 清雄君   国務大臣    通商産業大臣  横尾  龍君   政府委員    通商産業政務次    官       首藤 新八君    通商産業省通商    振興局長    井上 尚一君    通商産業省通商    機械局長    玉置 敬三君    通商産業省通商    化学局長    長村 貞一君   事務局側    常任委員会專門    員       山本友太郎君    常任委員会專門    員       小田橋貞壽君   説明員    通商産業省振興    局経理部長   石井由太郎