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1951-03-23 第10回国会 参議院 通商産業委員会 第17号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年三月二十三日(金曜日)    午後二時十二分開会   —————————————   本日の会議に付した事件 ○通商及び産業一般に関する調査の件  (臨時物資需給調整法の一部を改正  する法律案に関する件)  (事業者団体法に関する件) ○輸出品取締法の一部を改正する法律  案(内閣提出) ○地方自治法第百五十六条第四項の規  定に基き、日用品検査所出張所の  設置に関し承認を求めるの件(内閣  提出衆議院送付) ○熱管理法案衆議院送付)   —————————————
  2. 廣瀬與兵衞

    ○理事(廣瀬與兵衞君) 只今より委員会を開きます。  本日は通商及び産業一般に関する調査の一環として、臨時物資需給調整法の一部を改正する法律案について、立案者たる経済安定本部より説明を聴取し、更に事業者団体法について研究することになつております。この二法律産業との関連が極めて密接であり、その制定又は改正に際して、以前には当委員会の前身たる鉱工業又は商業委員会が関与して参つたのでありますが、経済安定委員会が生れたため、現在ではその主管が安定委員会に移つておるのであります。従つて、現在の臨時物資需給調整法の一部改正安定委員会において審議されておる際、本来ならば連合委員会を申入れる必要があるかと存ずるのでありますが、当委員会としては、一応別個に本法案内容を聴取して見ようということになつておるのであります。事業者団体法については、前々からこれが研究考えておりましたが、最近では吉田首相戰後法律の中で我が国事情に不適当なものは講和を待たずして改廃する意向ありと申されたように新聞が報道しておる際でもあり、事業者団体法も一応再検討の時期に相成つたように考えますので、本日は特に関西関東商工業経済団体の当事者に参考人として御出席を願い、事業者団体法に関する御意見を伺うと共に、その改正の是非について論議の機会を持とうとした次第であります。参考人のかたがたには、御多忙のところ本委員会のために特に御出席下さいまして有難うございました。委員会を代表して厚く御礼を申上げます。  それでは先ず事業者団体法に関し参考人の諸君の御意見を伺うことにいたします。  先ず関西経済連合会常任理事工藤さんからお話を願います。
  3. 工藤友惠

    参考人工藤友惠君) 事業者団体法に関しまして考えるところを述べるようにというお話でございますが、実を申しまするというと、事業者団体法というのは初めから経済界におきまして無理な法律であるということが言われておるのでありまして、従つて細部亘つていろいろ研究等は、むしろ当然にこれは早く何とかしてもらわなくちやならんというだけあつて、すでに数回私ども意見を述べたことがございまして、事新らしく申上げるほどのこともないというように存ずるのでありますが、一応私ども考えておりますることを申し述べて 一つ国会のほうの善処をお願いしたい、こう思うのであります。  事業者団体法そのもの考えてみますというと、戰後日本経済民主的再編のために制定されました独占禁止法補充的立法性質でございまして、これは戰時経済統制機構戰後にそのまま継続しました民間統制団体を徹底的に除去するためでございまして、これを一面に申しまするというと、政府による完全な統制戰後経済処理のためにするという目的が一面あつたということは、争われないと思うのであります。その結果、我が国に現在ございます事業者団体法というものは、欧米にもその比を見ないような、徹底的に民間経済団体というものの自立的行動制限しておりまして、その最初申しましたような目的から申しますれば、今日その制定当時の任務は完全に果しておると考えるのであります。その上現在いわゆるデモクラタイズされたところの日本経済の現状におきましてはむしろ事業者団体法のそのままの存続は、企業産業の自主的な活動の促進を阻害する面が露呈されておりましてその点についてはすでに各方面から事業者団体法改正要望されておることは、申すまでもないところでございます。殊に最近の内外経済情勢の変化と緊迫に伴いまして、これに応ずる経済の何らかの調整が必要となつて来ており、或いは来つある現在におきまして、事業者団体法のこのままの存続は、企業の自主的な活動業界の安定、輸出入貿易確保のために、非常な手枷、足枷になつておるのではないかと存ずるのであります。今簡單ながら各主要条文について私ども考えを申上げたいと思います。  先ず第一に、第二条は定義でございまするが、余りに広汎過ぎまして、本来事業者団体でないものまでも含んでおるのでありまするから、少くも会社その他の共同企業のごときものは取りあえず除外する必要があると思うのであります。第四条の規定事業者団体許容活動条項でございますが、これは第五条の禁止規定があれば足りることでございまして、本来本質的に自由であるべきものにこれとこれだけを許すという規定自身があることにおいて、少くとも今日の社会におきましては無意味ではないかと思うのでございまするから、これは全部削除するを適当と信じます。  第三に申上げたいのは、第五条の禁止条項で、これがまあ本事業者団体法の生命と申しますか、根幹であろうと思いますが、これについて二、三申上げたいと思うのであります。  第一項につきましては、第一号乃至第四号は、独禁法第四条、第五条及び第六条と実質的に重複しまするから、これは全文削除するのが適当と考えるのであります。勿論私ども法律は余り存じませんが、法律上としましては、恐らく法の対象が違うというような議論があるのでございまするけれども、そういうことは末の議論でございまして、本来独禁法で若し必要ならば処理できる問題と考えるのでございまして、これは削除するほうが穏当と考えます。併しこれは私どもとしましては、事業者団体法というものを一刻も早く改正する必要があるということからしまして、その目的に副うために、例えば物調法の第一条第一項及び第三条の二の適当な改正によつて、第一号乃至第四号の適用除外と同様な目的が達せられるかと存ずるのでございます。その次には第五号でございまするが、第五号は、原材料の不足等によつて過剰設備の生じた場合、新規事業者の濫出を防止することが必要とすることはもう目に見えておりまするから削除すべきであると思うのであります。と申しまするのは、御承知通り例を申上げますれば、例えば非常に適当かどうか知りませんが、今日例の機屋のごときものでございまして、つまわ織物でございますが、そういうような機屋さんのごとき、非常に機の数を盛んに、世に言われる鶏が一声鳴くごとに卵が一つ殖えるというふうに殖えておりますが、これに対して原糸の供給が果してできるかどうかということはわかり切つた話でございまして、無用な競争になると思うのであります。こういうことに対しまして、新規事業者も、或いは旧来の事業者でもむやみなことをしないために、これに対して、何らかの措置が必要となるかと思うのでございまするが、特にこの第五号は削除すべきものではないかと存ずるのでございます。暫定措置といたしましては、物調法第一条第一項第三号にも書いてございまするから、これを適当に改正することによつて目的を取りあえず達し得るものと存ずるのであります。第六号は優秀業者優良製品業者の推薦をも禁止することは、経済界の発展、生産技術向上を阻害するものでございまして、故意又は意識して事業内容経理等を誤り伝えることを禁止するということは必要でございまするが、その他のことはこれを削除すべきだと思うのであります。第七号及び第八号につきましては、自主的節制を阻害するが故に不適当だと存じます。特に第七号中の助言までも禁止してあることは非常識だと我々は考えるのでございます。当面の対策としましては、この事業者団体法そのものに手が着かんのであれば、物調法第一条及び第三条の二を改正することによつて適用を除外することが適当かと存じます。第九号は、事業者団体経費節減経理運用のため認められるべきでございまして、これを禁止することは不適当であるから削除すべきだと考えます。但し株式につきましては、一定の制限、例えば保有限度制限等を認めてもよいかと存じます。第十号及び第十一号は生産技術向上を阻害するものであつて共同研究所及び特許発明等共同利用斡旋までも禁止することは行過ぎであつて、これは削除すべきものだと思います。第十二号は削除すべきだと思いますが、例えば滞貨を生じて来ましたような際には、融資措置によりダンピングを防ぐ必要がございまして、即ち一般に基礎強固と言えない我が国経済の不測の破綻を起させないためには、融資斡旋はむしろ進んで進めるべきではないかと思うのであります。第十三号は独禁法第五条と重複する上に、自発的に業者が行うこれらの行為禁止することは行過ぎであります。第十四号は、現在の状況においては、海外に出張所等を開設することは、経費その他の面で容易なことでなく、特に中小企業についてそうだと思うのでありますが、業者共同出張所を設け、代理契約をすることまで禁止する必要はなく、従つて削除するか又は別個アメリカに託けるような輸出組合注等を設けて適用を除外する必要があると思います。  第十五号において、自発的に必要とする集金までも禁止する必要はないと思います。従つて削除いたしてはどうかと思います。第十六号につきまして、構成事業者間の紛争は不公平でなく、不当な圧迫又は強制解決が加えられるのでなければ、事業者団体において仲裁することは好ましいことであつて禁止する必要はないと思います。すべてを裁判に待つというがごときは、我が国裁判現実に反して、全く意外とされるところであります。従つてこれは削除する必要があると存じます。第十七号中「不当」というのは不法の意味と思いますが、これは立法又は政府の政策に影響を与えることが禁止されるのは自明のことであつて、本法中に改まつて規定する必要はないのじやないかと思うのであります。第十八号について、入札に参加して不当な影響を与えたり、不当に入札を規制することは禁止すべきでございますが、一般的な参加までも禁止する必要はないと思います。従つてこれは改正を要すると思います。  第三項、第四項、第五項は第一項第十号の削除伴なつて当然削除を必要とすると思います。第六条以下につきましては私どもとしましては、衆議院におきましてこの問題をお取扱いになつておりまする経済安定委員会の多田小委員長が試案を出しております。それに私どもとしては同意すべきだと思います。こうやつて見ますとみんな殆んどそれならば全部なくしてしまえばよいと言われますが、その通りでありまして、私どもは本来この法律は全部廃止されるのが適当ではないかと思いますが、併し初めからこれは無用であるとか、当時の立法間違つたということを私どもは申上げておるのではなくて、当時として私どもとしては不適当だと思いましたけれども、いろいろな事情がございまして、あつたならば、今日の事情からするならば先ほど委員長からお話がございましたが、総理大臣の御演説にもあるようでありますから、これは今日の日本事情に適しないものとして廃止等処置が適当ではないかと思うのであります。なお私が以上述べました事業者団体法改正するということは、実は一面にこれに即応するように、独占禁止法についても再検討を要するのじやないかと思うのであります。と申しますのは、独禁法その他につきまして、地方の、私どもがいろいろの土地に参りまして、地方の割合に小さい事業者などにも聞きますと、やはりまじめな、そうして一生懸命に表立つたと申しますか、この筋道の通つた仕事をしている人たちが、やはりこの関係の独禁法のために非常に苦労していることを聞くのであります。それにつけましても独禁法自身についても再検討をなすべきと思うのであります。  以上簡單でありますが、私ども考えております点を申上げた次第であります。    〔理事廣瀬與兵衞君退席、委員長着席
  4. 深川榮左エ門

    委員長深川榮左エ門君) 次に仲矢さんどうぞ。
  5. 仲矢虎夫

    参考人仲矢虎夫君) 先ず物調法改正案を先に申上げたいと思いますが、これは頂きました提案理由、その他を拝見いたしますと、物調法有効期間を一年延長する、第二は物資需給調整協議会設置すること、第三に統制に関するいろいろな瑣末なと申しますか、余分的な主務大臣権限を縮小するというのが、大体三つの点が骨子になつておるように拝見しますが、これはいずれも時節柄大体適宜の処置考える次第であります。特にこの第二条の物資需要調整協議会設置は従来の統制かとかく官僚独善と申しますか、産業界実情を無視した嫌いがありましたので、業界実情に精通した生産者、或いは物によりましては消費者意見が十分反映されるような組織を作る意味で非常に結構なことだと考える次第であります。もともとこの物調法がたしか昭和二十一年だつたと記憶いたしますが、第九十議会で成立いたしました際には、第二条に民主的に組織された産業団体に対しては主務大臣の指定によつて資材割当政府に代つて行う権限を与えることができるというような規定があつたように拝見するのでありますが、その後統制政府統制を行うからには政府自身の手で行うべきものであるという強い意見が出まして、遂にこれが第九十二議会で二条が削除なつたことは御承知通りでありますが、この統制国家の必要によりまして、例えば戰争の場合でありますれば軍需生産の充足、又現在のような場合でありますれば、国民生活の維持或いは経済自立というような、そういう国家の必要によりまして、そして又やり方も国家が定むる方法に基いて全国民の利益のために行われるというような場合には、これはいわゆる世によく言われておりますカルテル統制とは本質を異にするわけでありまして、これは勿論本来国家機構に属するものでありますから、政府が、最後責任政府がとるということはこれは当然のことでありまして言うまでもないことであります。併しながらさればと言つて統制経済の運営までも官庁独裁に任せるということが果して妥当であるかどうか、大いに疑問なきを得ないのであります。というのは統制最後責任を誰がとるかという責任の主体に関する問題と、それから統制をどうしたらうまくやれるかという統制方法に関する問題とは、これは全然問題が違うのでありまして、国家責任を負うからと言つてすぐ国家がやらなければならないという結論にはならないのではないかと、こう私ども考える次第であります。この点に関しましては我々産業界として考えなければなりませんことは、過去における官僚統制のたびたびの失敗の原因であります。どうして官僚統制が失敗したか、或いは失敗せざるを得なかつたかと言いまと、その原因はいろいろな事情が挙げられると思いますが、最も大きな原因産業界実情に通じない一般行政官吏産業統制という一般行制とは性質を異にした知識と経験を要する仕事、これをやつたからであります。而も他方においてそういうことをやりながら、産業界実情行政面産業統制というそういう行政面に反映させるような、生きた、有機的な組織を持たなかつたというよりは、むしろ官僚が意識的にそういう組織を作ることを無視して来たという点に結局現実から遊離したいわゆる官僚統制、或いは官僚独裁という弊害に陷つたためであると思うのであります。この意味におきまして、このたびの物調法改正に際しまして不十分でありますが、物資需給調整協議会というものを設けまして、そこで調整基本方針、或いは一般的事項を審議することになることが、誠に時宜に適した措置であると考える次第であります。ただ産業界といたしまして、遺憾に堪えないと思いますことは、物調法最初に成立いたしましたときにおいて、最初に申上げました第二条の規定にあつたような、民間産業団体自主統制が認められなかつたということであります。国際情勢の進展に伴いまして、物資の種類によつてこれは全般的に必ずしも統制が強化される必要もなければ、又その見通しもないと思うのでありますが、ただ物によりましては或いは配給統制或いは消費割当といつたようなものをしなければならんようなことになるかと思うのでありますが、それをそういう場合に実情にマツチしたような統制を行うためには工場、或いは鉱山等現場事情に関する詳細な知識と、それから正確な判断を必要といたしますが、それは現実企業を経営しておる経営者でなければできないことでありまして、事務机に坐つておるところの官吏には到底できない仕事であります。これはそういつた面から言いましても、勿論官吏の才能が低いということを私は申しておるのではなくしてもともと官吏の担当しておる仕事が本来そういう仕事でない。官吏の担当しておる職能は本来別個のものである、そういうところから来るところの一つの制約であります。勿論こうは申したからと言いまして、私ども統制が完全に民間自治に移管さるべきであるというようなむちやなことを主張するものではないのでありまして、例えばここに岡村さんがおいででございますが、鉄鋼を例にとつて申しますと、鉄鋼をどの産業部門にどれだけ割当てるかという、産業部門別割当といつたようなものは、これは勿論政府の決定すべきことでありまして、鉄鋼業者が決定すべきことではないのであります。実際又鉄鋼業者の中で誰一人としてそういうことを主張した人もなければ、又現在においてもそういう主張をしている人もないのであります。ただ産業界が要求しておることは、この産業部門別割当鉄鋼なり、石炭なりというような資材産業部門別割当をきめる場合に、事情に精通した生産者、或いは消費者意見が十分反映されるような組織を作るということでありまして、いま一つは、又更に今度産業部門別割当てられた枠の中で、その業界の中で、どの会社に、どの工場に幾ら割当てるか、そういう工場別、或いは会社別資材割当はこれは一概には申上げられませんが、団体にその資格があるというような場合におきましては、原則としてこの事業者団体に自主的に任したらどうかということでありまして、ただこの場合におきましても、官庁は手放しにするというわけには参りますまいから、併しそれにしましても、官庁がただこれをオーソライズするために承認し、或いは更に監督するという程度に止めてもらいたいということであります。今の場合には資材割当を例に引きましたが、特に価格統制について申しますと、今度の場合は戰時統制の場合とは違いまして、国際市場との繋がりを保ちながら行わなければならないという事情もあります。又価格差補給金が非常に多くなるという財政上の事情もありまして、これまでのように原価計算方式によるマル公制度を全面的に実施するということは極めて困難かと思うのであります。物によりましては、いわゆる協定価格を認めたほうが便利である場合もありはしないかと思うのでありますが、併しながらこのような自主統制を行うためには、独禁法事業者団体法改正、或いはそれができなければ臨時的な適用除外措置が必要となつて来るのであります。事業者団体法は大体先ほども工藤さんからお話がございましたが、事業者団体法というものはアンチ・トラスト・ローの本家本元アメリカは勿論のこと、日本と同じような事情の下にあります西ドイツにもない、いわば世界に例のない、世界二つとない日本独得法律であります。この法律制定されるときに、これは私は独禁法に輪をかけて行過ぎであることを繰返し繰返し国会にも申上げて陳情いたしました次第でありますが、微力及ばず遂に今日に至つたことは誠に遺憾とするところでありますが、幸いにしてこの法律改正についてはいろいろ国会のほうでも取上げられておるようでありますが、私どもとしては経済民主化のためには独禁法さえあればそれでもう十二分である。従いましてむしろ団体法は全面的にこれを廃止してしまうことを希望いたします次第であります。若し廃止がむずかしいということであれば、せめてこれを独禁法の線にまで緩和してもらいたいというのが大体産業界の年来の一致した要望であります。詳しいことは、この日産協海運会社或いは海運団体要望を取りまとめて経済資料として印刷したものを差上げておりますので、それを見て頂きたいと思いますが、極く要略申上げたいと思います。  この団体法根本理念というものは、大体公正な確保或いは私的独占禁止という独禁法根本理念と全く同じものでありますが、この点につきましては本来取締らなければならないような不届きな事項はすべてもう独禁法でむしろ十分以上十二分に取締つておるのでありますから、その上更に団体法というようなものを別個制定する必要はなかつたと思うのであります。勿論団体法の中には独禁法禁止していないいろいろな事項禁止事項にこまごまと書き上げられております。それをよくよく読んで見ますというと、それ自体は何も弊害のあることではなく、單にそれが行過ぎになるときは私的独占に導く虞れがあるという予防的な意味取締つておるものであります。冷静な考えからいたしますれば、もともと初めから取締る必要のないものばかりであります。單にひよつとすると弊害を伴う危險がある、そういう必配がある。そういう行為を一々全部取締つていたのでは、極端にいいますと殆んど我々の日常の行為そのものを大体取締らなければならないというような変な結果になりはしないか。こういうふうに私ども考える次第であります。法律というものは自由を原則として、明瞭な違反行為のある場合にこれを取締ればいいものであつて、不当にこの産業活動の自由を制限するということは差控えるべきものであると我々は考える次第であります。なぜ一体そういうような法律が、行過ぎた法律が、団体法というようなものができたかということを今過去を振返つて見ますと、終戰後経済民主化の線に沿いまして、各種の統制団体が解散されたり、或いは閉鎖機関に指定されたりいたしまして、その後できた産業団体がどうしていいか迷つたあげく、各方面に伺いに出まして、差支えのない団体活動の基準を示してもらいたいということから、単に団体というものは大体こういうことをすればいいのだという、そういう啓蒙的な意味からこさえられたものが、何だかんだいつているうちに遂に法律という形にでつち上げられたものであります。本来法律の形をとる必要のないものであります。従いましてこういう結果になつたことにつきましては、これは自主的に自分の判断で行動しなければならないにもかかわらず、権威に頼つたという業界自身にも一半の責任があると思うのですが、いずれにいたしましても法律による必要のないものが法律になつておるというのが団体法に関する私の感想であります。このような団体法はその成立に至るまでの経緯に顧みましても、又法律とする必要のなかつたものでありますが、次にこれを内容の点から検討して見ましても、殆んど独禁法と重複しておりますので、独立の法律にする必要がなかつたのであります。このことは先ほどの団体法の布かれておる国がないという上からしても明瞭であります。大体こういうような意味から私は団体法そのものを完全に廃止することを希望するものでありますが、それが不可能であるというならば、先ほど申しましたように、これを独禁法の線まで緩和して頂きたいというふうに考える次第であります。ただ具体的にそれではどの条文をどういうふうに改正するかということにつきましても、お手許に差上げました資料で詳細にその理由を、どこをどう改正して欲しいということと、それからその理由を詳細に説明してございますので、私はここで一々の条文について説明を申上げることを差控えたいと思います。
  6. 深川榮左エ門

    委員長深川榮左エ門君) 次に岡村さんどうぞ。
  7. 岡村武

    参考人岡村武君) 本日は独禁法並びに事業者団体法二つ法律につきまして、業界の代表といたしまして私どもお招きを頂きまして、意見を申上げる機会を頂きましたことを誠に有難く御礼を申上げたいと存ずる次第であります。  只今の工藤さん並びに仲矢さんの御意見は、二つの代表的な総合団体の御意見でございまして、私ども全く全面的にこれに同調をする次第でございます。而もこの問題はかねがねこの二つ団体を主にいたしまして、業界の代表者が集まりまして仔細に検討を尽したその総合の結果でございまして、只今お述べになりました御意見は、あらゆる業界を通ずる共通の極めて熾烈なる要望であつたとおとりを願つてよろしいのだと思うのであります。従つてさような点につきまして重ねて私から申上げる必要もないかと存じまするが、いずれにいたしましてもこの事業者団体法立法経過を見ますると、いわゆる戰時中の統制団体を除去するという点にその主眼があつたことは明瞭でございます。従つて戰時中の経済団体の過去の性格が統制の補助と業界組織化とにあつたために、当局がその幻想に惑わされた結果、アメリカは勿論のこと、イギリスにもフランスにもドイツにもないという極めて特異な性格を持つたものができ上つたものでございます。  この法律は先ほどからお述べになつておりまするように、その所期の目的は今日の段階においては一応達成したものといたしまして、大幅の改正をなさるか、或いはいさぎよく廃止すべきものであるという結論は、恐らくあらゆる業界を通ずる意見であろうかと思うのであります。特に強調いたしたいのは、輸出貿易についてアメリカではウエツプ・ポメリン法が制定されまして、アンチ・トラスト法の適用を免除している。欧州では最近は、鉄鋼について申しますと、鉄鋼シンジケートが結成されたような事情もございまして、これらの諸点に鑑みまして、我が国においてもアメリカのウエツプ・ポメリン法のような法律が一日も早く制定せられるということが極めて望ましいのであります。自由を基調といたしまするアメリカの民主的な経済政策の流れにおきましても、一九三三年のNIRA、つまりナシヨナル・インダストリーズ・リカヴアリー・アクト、この制定されました前後の事情等は非常に私どもの以て他山の石とすべきものだと思うのでありますが、これは明瞭にカルテルの助長政策でございまして、後に違憲とされましたけれども、とにかくある。これは命脈を保つて当時のアメリカ経済界の危急を救う役目を相当果して参つたという事実は否むべからざるところであろうかと思うのであります。尤もこの点につきましては、只今のアメリカ一般考え方は、これに似たような考え方をとることは面白くないというふうな考え方でございまして、先般私がアメリカでこの問題について特に連邦商業委員会、或いは司法省まで参りましていろいろと意見を尋ねたのでございますが、こういう考え方を今の日本経済界に与えることは我々としてはとらない、又ウエツプ・ポメリン法の適用になる団体もどちらかと言えば減少をしておる、そういうふうな角度から日本経済界組織化を考えるということは、これはやめたほうがいいだろうと、こうはつきり申しておつたのでございますが、これはまあ時の流れであり、政策の変遷でございまして、これを参考にいたしますることは一向差支えないかと思うのでございます。この法律の個個の微細の点に亘りましての意見は只今のお二人の御意見でことごとく尽きておりまするので、それを繰返す煩を避けたいと思いますが、私どもは業種別の団体でございますので、現実の問題としてこの法律が如何に不都合な事態を招来したかという二、三の例証を申上げまして、御参考に供したいと存ずるのでございます。  第一に屑鉄の問題でございまするが、御承知通り屑鉄は非常に大幅の値上りをいたしまして、最近一万二千円のマル公が制定せられたのでございますが、その前は六千三百何十円、その前は更に四千円というふうな調子でございまして、実際市価と非常にかけ離れてはおつたのでございます。従つてややもするとこのマル公を突破する実際の市場価格が横行する心配がございましたり、又現実違反行為が相当生起いたしましたことは御承知通りでございます。そこで業界といたしましては、たとえこのマル公が不当に安い、市価から隔絶した値段であることにいたしましても、いやしくもマル公として存する以上はこれを嚴守すべきであるということから、そのマル公嚴守の申合せをいたそうということになつたのでございまするが、これをこの事業者団体法条文に照らして見ますると、やはり価格統制を対象とするということは明らかでございまするから、事業者団体法の違反になるわずらいがある、第五条第四号に果して抵触するかしないかという点について非常に疑義を生じたのでございます。結局これはGHQにも、関係方面にも、或いは公取委員会にも御注意を申上げたのでございまするが、マル公を維持するという申合せ、つまり法律を遵守するという申合せが法律に牴触するかしないかということについて心配をしなければならんような事態そのものがこの法律の矛盾を物語つておる、かように考えるのでございます。  第二の例といたしまして、屑鉄の不足を緩和いたしまするために酸素製鋼という新らしい製鋼法が研究され、現に実施の段階に入つておるのでございますが、これは日本では何分初めての製造法でございまするので、数社が共同研究をするということになりまして、連盟がそのお世話を承わつたのでございます。この研究は極めて有用な研究であるというので政府から補助金の交付を頂けるようなことにも相成つたのでございまするが、これをその関係数社が共同団体としてやるということになりますると第三条の届出も要りまするし、第五条第十号の認可を受けなければならんということになるのでございますが、かようなことはこの予算の支出が年度末になると至急を要することになる場合もございますのでなかなか早急にはできかねることもございまするし、又このことはむしろ奨励すべき性質のものでございますので、第五条第十号のごときものは当然削除されるべきものとこの一例から申しても考えられるのでございます。  第三の例といたしましては製鉄の輸入に関しまして数社共同しなければうまく行かんという場合が多々ございます。御承知通り鉄鉱石にいたしましても、原料用の石炭にいたしましても、或いはマンガン鉱等にいたしましてもその所要いたします製造業者は僅かに数社でございまして、その用途は限定をされてほかには使いようもないしろものでございます。これが数社が若し共同をして買入れるということが許されますると、その価格の点におきましても、或いは輸送の便宜の面におきましても非常に都合よく参るのではないかと思われるのでございますが、これ又法律の建前から申しますると第五条第十三号を以て律せられるということに相成るのでございます。殊に極く少量の需要者が集まつて共同工業をいたしまする必要が緊切に認められるのでございますが、つまりこれは一つの船をチヤーターいたしまして、それに積合せて持つて来るというふうな場合に、そういう共同的な操作が許されませんと非常に不都合が起るということは自明の理であろうと存ぜられるのでございます。その他輸入の面におきましてもこの法律の制約が非常な日本全体の福祉、鉄鉱石自体に見ましても、その間における市場の獲得等に妨げをなしておるということは他の産業と全く同じでございまして、かような極めて少い、二、三の僅かな例から見ましても、この事業者団体法が現在の段階におきましてもはや必要のない、或いはむしろ害をなす存在であるということは明瞭であるかと存ぜられるのでございます。  何とぞ業界のかような希望が達成できますよう御研究を煩わしまして、一日も早くさような目的達成のためにお力添えを頂きたいと思う次第でございます。
  8. 深川榮左エ門

    委員長深川榮左エ門君) 次に能勢さんからどうぞ。
  9. 能勢昌雄

    参考人(能勢昌雄君) 私デパートメント・ストア協会の能勢でございます。本日はお招きを受けました趣旨の独禁法並びに事業者団体法改正に対する意見につきましては総合団体日産協仲矢さんからお話がございましたように、私どももその参加団体といたしまして同氏の意見に総体的に同調をする次第でございます。ただ私のほうは今お話のありました、私のほうも業種別の団体でございますので、時間の関係上、独禁法の補全法としての事業者団体法の改廃の問題、或いは事業者団体法のうちの禁止事項、並びに許容事項に対する総体的な考え方、或いは各条についての意見というようなものは省略いたしまして、特に商業に関係いたしておりまする私ども団体として直接関係のある問題を二、三取上げまして、御参考に供したいと思います。独禁法につきましては先ほどもお話がございましたように、定義が非常に窮屈になつておりますが、一定の取引分野におきまして実質的に影響のない業態は含まれないものとするということは第二条の第一項に附加えを願いたいと思うわけでございます。そのわけは第二条の第一項と申しまするのは、売手の競争の問題でありますが、同一需要者に対するところの問題であります。御承知通り我々業者といたしましては地方に支店を持ち、或いは又同一業種のものが、例えば東京と大阪或いは名古屋、九州というふうにございますが、その需要者という解釈を非常に嚴格にいたしまして、少数のものでも同一の需要者であるというふうに考えますときには、非常に窮屈なことになりまして、例えば一人のお客さん、一人と申しましても数人のお客様が大阪でも買物をする、或いは大阪の甲なる百貨店でも買物をする、又東京の乙なる百貨店でも買物をする、そういうことがやはり競争の状態にあるものであるというふうに断定されますならば、その競争の規定のすべてを適用されることになりますので、実質的に影響のない業態は含まないというふうに御解釈を附加えられんことを希望する次第であります。事業者団体法につきましては、事業者団体法の第二条の事業者団体の定義から事業者共同企業組織を除外せられたいということは先ほどお話がございましたが、極く小部分の共同行為をするという場合もあり、或いは独占的でもなく又公共の利益にも反しないという場合、これは我々のほうの問題でもありませんが、一例を挙げれば豆腐屋が豆を仕入れる場合に、共同で豆を仕入れるということがコストも安くつき、消費者にも便益であるという場合にすらやはり組合を作るということをそのことが事業者団体とみなされていろいろ制約を受けるということになると非常に非能率的にもなりまするし、又不経済を強いるということになると思うのであります。それはそういう組合或いは会社は、事業者としてその行為独禁法に触れる場合には独禁法規定によりまして掣肘を受けるわけでありますから、ただ事業者団体としてみなさないようにしてもらいたいと思うのであります。  次に第三条の第一号に「但し、政府の求めによりこれに関する資料提出することはこの限りでない」という文字を附加えられたいのです。現行法規は非常に極端に解しやすいのでありまして、我々が資料政府の求めに基きまして出す場合もやはり禁止事項に触れるというふうに解釈されることは非常に活動の上において、又政府御当局としても不便な点があると思うのでありまして、資料提出することはこの限りでないということをはつきり明確にお願いしたいと思うのであります。次に第五条の第八号のの中の但書に「但し、注意又は勧告は制限若しくはその着手に含まれない」ということを附加えられたいのであります。事業者の機能、活動を制約するということはもとよりいけないことではありましても、事業者団体を単なる構成事業者のサービス機関にとどめて置かないで、事業者の陷らんとする弊を防止して業者全体の向上を図るために、かかる行動につきましては、団体が注意又は勧告をなし得ることとして、行為制限の着手に含まれないことを明確にされたいのであります。これは現実の問題といたしまして、最近物価騰貴であるとか、或いは過当サービスであるとか、或いはいろいろ中小企業等に対する問題で、我々は互いに気を付けて営業して参りたいと思つておりましても、どうも一堂に皆を集めてそういう勧告をするというようなことも事業者団体法に触れるのではないかというような懸念を持つのであります。この条文の中にあります宣伝啓発という中にそれを入れて、そうして差支えないではないかということも一応考えられますが、業者全体でなく、特定の店に対しましても私どもは勧告をするという程度は差支えない、これは公共の利益のためである、又経済のためにもなるというふううな解釈を以ちまして、こういう意思味を可決されたいと思うのであります。この点を希望する次第であります。大体許容事項禁止事項、その間のものは許可を得てやればいいということでありましても、なかなか商売はその日の朝広告を見るとか、或いはそういう計画があるということを直前に知りまして、そういうことはしないほうがいいんじやないかというような勧告をこちらは、決して活動禁止するという意味ではありませんが、勧告をするという程度くらいのこともできないということは、全般的に弊害があつて益がないのではないか、こう考える次第であります。  その次にお願いしたいことは、統制物資又は放出物資等につきましては第五条第十二号、第十四号、第十五号を適用しないということをはつきりして頂きたいと思うのであります。この放出物資或いは統制物資等につきましてはそのもの自体が自由競争で売れるものではないのでありますけれども、只今のところによりますと、やはり我々はそのものにつきまして非常に取扱の上に困難を感じるばかりでなく、当局としましても同一行為を各事業者に承服せしめることは、非常に時間的にも、経費の上にも多大の犠牲を払います、延いては事業者に無用の費用を負担させるということになりますので、この条規の例外を認めて、事業者団体として構成事業者に代つて契約をしたり、取扱に要する資金の立替、集金等をなし得ることを明確にして頂きたい、こう考えるのであります。大体特に私ども業者として申上げたい点はこういうことであります。
  10. 深川榮左エ門

    委員長深川榮左エ門君) いろいろ有難うございました。  次に、通産省においては事業者団体法に関してすでに相当な研究を積んでおられることを聞いておりますので、今述べられました参考人の御意見をも聞かれました上に通産省側としての御見解をお述べ願いたいと思います。
  11. 首藤新八

    政府委員(首藤新八君) 言うまでもなく日本経済民間団体の強力な協力を得て今日まで発達して参つたのであります。然るにたまたま三年前この事業者団体法が発令されまして、およそ組合設立の目的である内容が全部骨抜きになつてしまつた、そうしてそれがためにこの通産省の経済面に対する諸施策に対しましても重大な影響を及ぼして参つておるのであります。かるが故に機会がありますれば、これを廃止或いは大幅に修正いたしたいという念願を持つておるのでありますが、今日までその時機を得なかつたのであります。然るに昨年の朝鮮事変を契機といたしまして、日本経済の様相が根本的に変つてつた、而も運営のよろしきを得ますれば、この機会に多年の要望である経済自立が完全に目的を達し得るであろう。そうしてそれがためにはやはり経験とその業界における高い識見を持つておる業者の御協力を得ることが最も効果的である。かような見解の下にその後検討して参つたのでありまするが、御承知通りこの主管庁は安本であります。安定本部におきましてもしばしばこの問題について御検討なさつておるということを承わつておりまするし、又通産省との間にもしばしば意見の交換をいたしたのであります。只今参考人の公述を詳細に承わりまして、大体において通産省の考えておることと同一であります。従つてこれを詳細に申述べることは却つて煩になるかと考えまするから省きまするが、最も大きなものはこの事業者団体法で申しますれば、第二条の一項中の「営利を目的とするとしないとを問わず、」、これを削除をしてしまう。そしてその同項に但書を次のごとく加える。「但し二以上の事業者が株主若しくは社員である会社又は二以上の事業者を組合員とする組合若しくは契約による二以上の事業者の結合体であつて営利を主たる目的とするものについては、この限りでない。」という但書をつけたい。  更に第二条の第一項中の第一号中の「株主又は」及び「会社、」とあるのをこれを削つてしまいたい。それから四条を、これを一応削除する。これは先ほども工藤さんの御意見にあつたかと思います。ただこういうふうに代案を作つたらどうか。第四条、「事業者団体は、構成事業者の共通の利益を増進するため、第五条第一項各号の規定によりしてはならないこととされている行為を除き、左の各号に掲げる活動その他の行為をすることができる。」こういうふうに第四条を一応削除しまして、こういう新らしい案を作つたらどうか。それから第五条第一項第二号に次の但書を加える。「但し国際取引又は国内取引の一定の分野における競争に対する当該協定又は契約の影響が問題とする程度に至らないものである場合には、この限りでない。」又第五条第一項三号中「若しくは拘束する虞があり、」を削つて、「統制し、若しくは統制する虞がある」を「統制する」ということに改めたい。それから第五条第一項四号を次のように改めたい。「将来の対価、将来の販売条件若しくは顧客の分類に関する情報の流布その他の方法により、不当に対価を統制し、又は決定し、その他対価に著しい影響を与えるための行為をすること。」かようにこの五条の一項の四号を変えたい。それから第五条の一項の六号を次のように改めたい。「特定の事業者を排斥するための表の配布、特定の事業者事業内容、経理若しくは信用の状態に誤り伝える情報の流布その他の方法により、特定の事業者に不利益を与えること。」それから第五条の一項の第九から十二までを一応削除したい。それから第五条一項九号として次の一号を加える。「資金の貸付又は特許権若しくは特許に関する権利の所有若しくは支配その他の方法により特定の事業者事業活動を不当に拘束すること。」他にまだ小さいところがいろいろありますが、大体主な点は最小限度においてこういうところまでは改正いたしたい、かように強く実は希望いたしまして、主管官庁でありまする安定本部に対しまして早急にこの目的を達成するよう努力されたい旨を実は要請して参つておるのであります。先ほども申上げましたごとく、各参考人の公述とは大体において通産省の意見は一致しておると考えておるのであります。同時にこの独占禁法に対するところの能勢さんの御意見等、又全く同感でありまして、こういうふうに改正できますれば非常に結構だというふうに考えております。  以上であります。
  12. 深川榮左エ門

    委員長深川榮左エ門君) 委員のかたに申上げますが、御質問のおありのかたは御発言をお願いいたします。参考までに只今政府側として出席されておられる人員を御報告申上げます。公正取引委員会の総務部長内田君、通産省の企画局の次長の斎藤君が見えております。それから安本産業局の産業政策課の井土君が見えております。それから政務次官がお見えになつておりますから御意見のおありのかたは御発表願います。
  13. 首藤新八

    政府委員(首藤新八君) 私は先ほど答弁中に主官庁を安定本部と申しましたが、これは公正取引委員会の誤りでございますから一応訂正いたします。
  14. 加藤正人

    ○加藤正人君 この法律は今まで皆さんのおつしやつた通りでありまして、この法律制定されましたときには日本経済を民主化して自由公正な取引を行わしめる、それがためには消費者の利益を考え生産者の利益などは多く問わず、又経営がうまく行くかどうかというようなことも余り考えられなかつたのでありますが、だんだん時勢が変りまして、今日は関係方面でも日本経済自立ということについて非常に熱心に助力をして頂いておる今日であつて、かような法律が残つておりますことは、自主統制の面においても非常な支障になりますので、一日も早く大幅に……、各条項検討して見ますと、どれもこれも今日の自主経済確立に皆邪魔になるものばかりであります。殆んど全部がそうと言つていいくらいでありまして、まあ理想としては全然この法律を廃棄するということであると思います。併しこれは私の理想でありますが、止むを得ざる場合におきましても、今通産次官の言われたのを最小限度として、できれば参考人皆さんのおつしやつた程度までは是非ともこの改正を実現したい。それにつきましては通産省のほうから是非この公正取引委員会のほうに対して強力にこの上もこの問題を強調して頂きたい、私はかように考えます。もう一々ここで各条項について申上げる必要を認めない、全部いかん、これは……。そういうことを言つておる時間がないです。誠に悪法です。二、三日前にも私は臍の緒だと言いましたけれども、これは臍でなく盲腸みたいなもので、一日も早く切取る必要がある、かように考えております。
  15. 深川榮左エ門

    委員長深川榮左エ門君) ほかに御発言ありませんか。
  16. 境野清雄

    ○境野清雄君 今加藤委員からお話があつた通り事業者団体法並びに独禁法というものは、これは我々が公述人の皆さんの御意見を聞かなくも大体わかつておる問題ですが、ただこのもの自体に対して政府自身がどういうふうなお考えを持つておるのか、或いはどんな見通しでおられるのか、その点差支えない範囲において一つ通産次官からお話願いたいと思うのであります。
  17. 首藤新八

    政府委員(首藤新八君) この問題につきましては、主管庁の公正取引委員会の担当者が出席しておりますから、詳細な御回答があるかと思いますが、我々の今日まで承わつております段階におきましては、総理の当初における言明もありまして、どうしても経済自立達成のために、この最も大きな障害となつておる独禁法並びに事業者団体法、これを大幅に修正する必要があるということで、通産省におきりましても、又安本におきましてもそれぞれ原案を作成いたしまして、多分公正取引委員会を通じて関係筋に交渉をしたと考えておるのであります。但しその後承わるところによりまするとどうしてもこの独禁法並びに事業者団体法の修正は困難だ。従つて止むなく臨時物資需給調整法を一部だけ修正するに止まるのほかないということを実は承わりまして、非常に遺憾に考えておるのであります。先ほど物資調整法の中で物資調整議会を作る。これはせめてもの、このくらいでも作つて置けば多少でも役に立ちはせんかという程度にまあ過ぎないのではないかというふうに考えられておるのであります。非常に現在の日本経済にマツチしないこの法律が、このまま残るということは遺憾に思いまするが、私の今日まで承わつた経過は以上申上げた通りであります。なお公正取引委員会の担当者が見えておりまするから、総体に御報告があろうと思います。
  18. 境野清雄

    ○境野清雄君 只今の次官の御説明は大体我々が承知しておる範囲でありまして、多分そういうような問題だろうと思つていました。又これにはなかなかデリケートな問題があると思うのであります。ただそういう場合に、今の臨時物資需給調整法を一部改正する、或いは臨時物資需給調整法に対する審議会を設けるというようなお話ですが、又審議会そのものの運行が従来のような形ではこれは又何にもならんので、その審議会に対する構想なり、或いは通産省として、こんなふうにして人員を構成するというような、腹案でもおありになつて……、お差支えなかつたお話願いたいと思うのですが……。
  19. 首藤新八

    政府委員(首藤新八君) この物資需給調整法は御承知通り、安本が主管庁でありまして、この委員会の性格、その他も従来の協議会とは若干変つたものでありまして、物資を対象とするのでなくして、物調法の、そのものの運営等に対する審議を主とするのじやないか、というようなことも承わつておるのでありますが、幸い主管庁から担当者が見えておりますから御回答願つたらいいと思います。
  20. 井土武久

    説明員(井土武久君) お答え申上げます。今回の臨時物資需給調整法改正によりまして、第二条において物資需給調整議会を設けたわけでございます。この委員の人選につきましては、法律においては政令に、組織、所掌事務、その運営につきましては政令に委ねておるわけでございますが、只今政令につきましては検討中でございまして、まだ決定いたしておりませんが、大体の構想といたしましては、委員は約二十名以内で、学識経験者の中から経済安定本部の総裁が任命するように考えております。委員といたしましては学識経験者は、一般産業界及び学界並びに消費者等から最も公平にこの法律について経済安定本部総裁に意見を申述べられる人を選ぶ予定でございまして、現在その人選については考慮中でございます。
  21. 境野清雄

    ○境野清雄君 今のお話で大体わかりましたが、いつも政府が作る審議会や何かというものは、看板は大変いいのですけれども、実質がいつもまずい。安本長官が来ておらなければ私のほうからもつと突つ込んだ質問をしても無駄ですから、一つ通産省としても直接自分のほうの管轄下でなくても、これは非常に通産省に重大な関連性のあるものなので、たまたま政務次官もおられるので、政務次官も善処して頂いて、安本長官にもその実体を把握するように御交渉なり、何なりして頂いて、一つうまく運行して行くように通産次官にお願いをしたいと思います。
  22. 首藤新八

    政府委員(首藤新八君) 境野委員の御趣旨は全く同感でありますので、通産省といたしましても意のあるところを安本のほうに申達いたしまして御希望に副うように努力いたしたいと考えます。
  23. 加藤正人

    ○加藤正人君 今の学識経験者を安本長官から指定するというようなお話ですが、これは例えば経団連とか、関西経済連合会というような経済団体に人選を委託するというような方法をとつたほうがいいのじやないか。なかなか学識経験者と言つても、今までの審議会を見ますと、どうも我々の満足せんような人が多い。これは経済団体にその選出を委任したほうが妥当な人選ができると、こういうように思いますから、機会がありましたら、そのことを申し伝え願いたい。
  24. 首藤新八

    政府委員(首藤新八君) 御意向を尊重いたしたいと考えますが、ただ御承知通り昨年末でありましたか、かような委員の構成員に対する非常に大幅な実は制約の通知が参つておるのであります。これらの命令と若干矛盾を来たしはせんかというような考えがあるのでありますが、併しでき得る限り御趣旨を体したいと、かように考えております。
  25. 深川榮左エ門

    委員長深川榮左エ門君) それでは只今の問題はここで打切ります。   —————————————
  26. 深川榮左エ門

    委員長深川榮左エ門君) 次に輸出品取締法の一部を改正する法律案を議題に供したいと思います。この法律案につきましては昨日までに殆んど質疑が終了したと思いますが、質疑は終了したものと認めてよろしうございますか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  27. 深川榮左エ門

    委員長深川榮左エ門君) それでは御異議ないものと認めます。これより討論に入ります。御意見のおありのかたはそれぞれ賛否を明らかにしてお述べをお願いいたします。別に御発言ございませんか。    〔「なし」と呼ぶ者あり〕
  28. 深川榮左エ門

    委員長深川榮左エ門君) 別に御意見もないようでございますから、討論は終局したものと認めて、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  29. 深川榮左エ門

    委員長深川榮左エ門君) 異議なしと認めます。  それではこれより採択に入ります。輸出品取締法の一部を改正する法律案について採決いたします。輸出品取締法の一部を改正する法律案を原案通り可決することに賛成のかたの挙手をお願いいたします。    〔総員挙手〕
  30. 深川榮左エ門

    委員長深川榮左エ門君) 全会一致と認めます。よつて本案は原案通り可決すべきものと決定いたしました。  なお本会議における報告の件は例によつて委員長に御一任をお願いいたします。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  31. 深川榮左エ門

    委員長深川榮左エ門君) それでは御署名をお願いいたします。   多数意見者署名     古池 信三  廣瀬與兵衞     栗山 良夫  結城 安次     上原 正吉  小野 義夫     小松 正雄  椿  繁夫     加藤 正人  山川 良一     駒井 藤平  西田 隆男     境野 清雄
  32. 加藤正人

    ○加藤正人君 ちよつとその問題とは離れておりますが、昨日資産再評価の問題について盛んに参考人や何かでここで熱心に討論しておりまして、我々の討論中にすでに隣りでは大蔵委員会で決定を見たということは、それも知らずに三十分間も参考人議論しておるということは余り気の毒過ぎると思う。これらについては何らか今後大蔵委員会なり、何なり、その主管の委員会との連絡をもう少しして置いて頂きたい、こういうふうに私はお願いいたします。
  33. 深川榮左エ門

    委員長深川榮左エ門君) さように今後取計らいます。昨日は折角参考人も見えておりましたので、一応御意見を承わつておりましたが、今後注意をいたします。   —————————————
  34. 深川榮左エ門

    委員長深川榮左エ門君) それでは次に地方自治法第百五十六条第四項の規定に基き、日用品検査所出張所設置に関し承認を求めるの件、これにつきましては大体質疑は終了しておるように存じまするが、質疑は終了したものとして、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  35. 深川榮左エ門

    委員長深川榮左エ門君) 御異議なしと認めます。  それではこれより討論に入ります。御意見のおありのかたはそれぞれ賛否を明らかにしてお述べをお願いいたします。他に御発言はございませんか。    〔「討論省略」と呼ぶ者あり〕
  36. 深川榮左エ門

    委員長深川榮左エ門君) 別に御意見もないようでありますから、討論は終局したものと認めまして採決に入ります。地方自治法第百五十六条第四項の規定に基き、日用品検査所出張所設置に関し承認を求めるの件について採決いたします。本件を原案通り承認を与えることに賛成のかたは挙手をお願いいたします。    〔総員挙手〕
  37. 深川榮左エ門

    委員長深川榮左エ門君) 全会一致と認めます。よつて本案は原案通り承認すべきものと決定いたしました。  なお本会議における報告の件は例によりまして委員長に御一任下さいますようお願いいたします。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  38. 深川榮左エ門

    委員長深川榮左エ門君) それでは御署名をお願いいたします。   多数意見者署名     古池 信三  廣瀬與兵衞     栗山 良夫  結城 安次     上原 正吉  小野 義夫     小松 正雄  椿  繁夫     加藤 正人  山川 良一     駒井 藤平  西田 隆男     境野 清雄   —————————————
  39. 深川榮左エ門

    委員長深川榮左エ門君) 次に熱管理法案を議題といたします。
  40. 西田隆男

    ○西田隆男君 この前の委員会で私多少政府委員にも御質問したのですが、余りはつきりした結論が得られなかつたので、今日もう一回まとめて質問したいと思います。今までの委員会でたびたび質疑されたことであるかもわかりませんが、重ねて一つ御答弁を頂きたいと思います。  先ずその第一は、第三条の第二項「通商産業大臣は、予算の範囲内において、」と条文が書いてありますが、その予算はどれくらい大体計上してありますか、それを先ず……。
  41. 中村純一

    衆議院議員(中村純一君) 只今お尋ねの点でございますが、予算といたしましては、来年度中央関係の費用といたしまして三百三十五万円、地方関係といたしまして四百九十万円が計上されておるのでございます。
  42. 西田隆男

    ○西田隆男君 中央関係の三百三十五万円並びに地方関係の四百九十万円ですか、この地方関係の四百九十万円と申しますのは、地方の何がこれは使うのですか、監督官の費用か何かになつておりますか。
  43. 中村純一

    衆議院議員(中村純一君) 地方関係と申しますのは、各通産局におきまする関係の役人の給与なり或いは事務費等でございます。中央も又同様のものでございます。
  44. 西田隆男

    ○西田隆男君 これは人件費だけですか。
  45. 中村純一

    衆議院議員(中村純一君) 人件費用び事務費、出張費、指導費等でございます。
  46. 西田隆男

    ○西田隆男君 経費の問題は又あとで御質問いたしますが、今度は第四条の条文の一番おしまいのほうに、「鉱工業品単位当りの目標となるべき燃料又は熱の使用量を公表する。」とこういうふうに条文が書いてございますが、その前に「熱管理の実施上の目標を明らかにするため必要がある」云々ということも書いてありますが、目標に到達するために何か四条でははつきりしないのですが、強制するという考え方があるのですか。或いは目標に達するためには設備の改善命令を出すとか、別の改善を慫慂するというようなことをやるのか、或いは熱源、例えば石炭なんかの使用についてまでも干渉するのか、この点を明らかにして頂きたい。
  47. 中村純一

    衆議院議員(中村純一君) 只今の点は熱管理がうまく行きます場合におきまして、この程度の単位であるのが適当であるという目標を公表するのでございまして、それに対して匡正をするとか或いは干渉をするとかということは考えておらないのでございます。むしろそれに対して、それに達成するように援助したり、指導したり、そうしてみんながいい目標に到達するようにと、かように考えておる次第であります。
  48. 西田隆男

    ○西田隆男君 この第四条の問題をお聞きしたのは、この前お聞した熱管理者の意見を尊重しなければならないということと非常に重大な関連性があると思うからであります。それは今御答弁を頂いたように、指導するということですが、指導される面において当然熱管理者にそういう問題が提供され、熱管理者を指導するということになると思うのですが、そうされた場合に、この熱管理者は、結局ただ石炭の消費の方法等によつての目標が達成されるならばいいと思うのですが、との問題に関連して設備の改善をしなければならないとか何とかいう問題が当然起きて来ると思うのです。そうした場合に、熱管理者に対して監督官庁のほうからそういうことを態通されるような意見が若し述べられた場合は、熱管理者は当然その工場のそういうふうな設備の改善等、経営者に対して恐らくこれも強硬な意見を述べるであろうと思うのです。その場合に、この「熱管理者の意見を尊重しなければならない。」という規定があれば、これは字句的には決して強制規定でもなければ何でもない、道徳規定のように書いてありますけれども、指定工場経営者というものは熱管理者の意見を十分尊重して設備の改善を早急に行わなければならないという羽目に当然私は陥ると、又その場合に熱管理者の意見を尊重して聞くということにならなければこの熱管理法案目的は達成できないと、こういうふうに考えますので、この前も申しましたように、熱管理者の意見を尊重しなければならないという規定は少し行過ぎではないかと、こう私考えるのですが、これに対して中村さんはどういうふうにお考えになつておるのですか。
  49. 中村純一

    衆議院議員(中村純一君) 只今の御意見、一応御尤ものように考えられるのでございますが、もともとこの法律事業主を対象として根本的に私ども考えておる次第でございまして、第三条におきましても、事業主というものを対象として考えておる次第でございます。従いまして、熱管理士というものは、事業主の無論使用人として、専門の枝術家が専門の枝術の面において事業主を援助して行くという立場においてこの熱管理士というものを考えておる次第なのでございます。そこでこの熱管理士の意見を尊重するということでございますが、これは全く何と申しますか、文字通り、折角まあ国家試験までして通つた熱管理士というものを置きまして、専門的な技術的なその工場の熱の管理に当らせる。これは併しながら、単にその工場の機能の一部である熱の面だけが百点を取ればいいわけではないのでありまして、やはり工場全体の運営とのバランスにおいて、その工場としての可能なる限度に熱管理の 成績を挙げて行きたいという趣旨にほかならないのであります。従いましてこの、熱管理者の意見を尊重するということを申しますのも、どの程度まで尊重したかどうかということは、多分にこれは主観的な要素が混る問題なのでございまして、その結果として、無論工場主におきまして可能なる限度における熱管理施設の改善等につきましては、それは官庁としても忠告をいたす場合もございましようし、又智慧を貸す場合もございましよう。そういう場合に、ただ熱管理者だけをつかまえて、工場事業主の全体としての経営の面は顧みないで、ただこれをけしかけて猛烈にやらせるというようなことは毛頭考えておらない次第でございまして、その辺のところはまあ御心配頂くようなどとには相成らないと考えておるのでございます。
  50. 西田隆男

    ○西田隆男君 あなたが熱管理者になられるならば、私安心いたしますのですが、熱管理者になられる人が必ずしも中村さんのような御良識のあるかたではないと考えます。従つて、若しこういう字句の表現をどうしても使わなければならんということになると、これは却つて反対に事業主に対して熱管理者は意見を述べなければならんというような表現をお使いになるのが適当であつて、熱管理者という一つの特殊なものをここに法律の中で規定して置いて、この熱管理者に対する義務規定というものは殆んどない。結局今あなたがおつしやつたような意味であれば、「熱管理者の意見を尊重」なければならない。という規定を作るよりも、熱管理者が熱の管理をやつているうちに若し気付いたことがあつた場合、或いは合理化せねばならなんことがあつた場合、必ず熱管理者はその改善をしなければならないという意見事業主に具申しなければならんとか何とかいつた意味合においてむしろ熱管理者を義務付けるということのほうが、あなたの今のお話のような趣旨に適合するのではないかと、私はこう考えますが、まあ解釈の相違と言われればそれまででありますが、これをどうお考えになりますか。
  51. 中村純一

    衆議院議員(中村純一君) いろいろ表現の方法について御意見もございますが、まあ大体今お述べになりましたような気持、又私が申上げたような考え方でこの条文を挿入したわけでございまして、決してそれ以上の強い意味考えておらないわけでございます。
  52. 西田隆男

    ○西田隆男君 あなたはお考えになつておりますまいが、こういう条文を作られると、これは私が申上げたような結果になる虞れが多分に考えられるのです。従つて、この条文の「意見を尊重しなければならない。」という点を何らかほかの字句に改められないと、何か私はこの法案に賛成ができがたいのです。  その次にもう一つ聞きたいのは、第五条の第二項に、「指定することができる。」と末端に書いてあります。非常に柔かい表現ですが、「指定することができる。」ということは、指定しないでもいいということになるのですか、指定することもできるが指定せんでもいいという解釈になるのですか、どういう御解釈ですか。
  53. 中村純一

    衆議院議員(中村純一君) この点は、或る一定の条件を備えたものにつきまして、指定するところの通産大臣の権限を定めたものでございまして、従いまして、その権限を定めたという意味から申しますると、指定することができる可能性をまあ書いたわけでありまするが、その条文に合致いたしますものにつきましては、これは指定する意味考えておるのでございます。なお政府側からこの点に関連して申上げてよいことがあれば申上げます。
  54. 井上春成

    政府委員(井上春成君) 政府側といたしましても、只今の中村さんの御説明通り考えております。
  55. 西田隆男

    ○西田隆男君 第六条の第四項、「第一項の熱管理者が旅行、疾病その他の事故によつてその職務を行うことができない場合において、その期間が引き続き六箇月をこえたときは、その六箇月の期間が経過した日においてその熱管理者が欠けたものとみなす。」と、非常にややほしい条文が書いてありますが、この条文から行きますと、当然前後の条文から考えますと、新らしい熱管理者を選任しなきやならん問題が起きて来る。第七条には、「省令の定めるところにより、他の者にその職務を代行させなければならない。」、こういうことが書いてあります。この代行という意味は、熱管理士の資格を持たん者でもやつてよいということなのかどうか、この点を一つ。第七条の「他の者にその職務を代行させなければならない。」ということですね。この代行は無資格者でもいいのかということです。
  56. 富松四郎

    説明員(富松四郎君) 只今の御質問につきましてお答え申上げます。この第七条の「他の者にその職務を代行させなければならない。」という場合は、これは資格を持つていない者でもいいと解釈しております。
  57. 西田隆男

    ○西田隆男君 前に返りまして、第六条に移ります。「六箇月の期間が経過した日において…欠けたものとみなす。」となつておりますが、欠けた場合には、あとの条文で、事業主は選任しなければならないという義務を負わされているようです。そうしますと、病気で六カ月間熱管理者が休んだと、代行はこれは人事的な問題であつて、必ず適格な資格を持つ管理者を選任しなければならんということが、この法案の建前からいつて当り前だと思うのです。そうしますと、事業主は、一人を休ましておるまま又新らしい一人の熱管理者を雇わなければならんという結論になるわけですが、その場合に、この前の説明で、千トン以上は一人、五千トン以上は二人というお話がありましたが、千トン焚いている工場で熱管理者が、そういうことはあるまいと思いますが、次々病気になつて、二人も三人も六カ月以上熱管理者が休んでおるという場合に、新らしい熱管理者を次々雇つて行かなければならん、前の熱管理者は解職するわけにはいかない。こういう結果が生じて来る慮れが起きると思いますが、そういう場合のことはこの際お考えになつておるのかおらんのか。そうした場合は当然これは解任をすることができるというような、何らかの規定を設けて置かなければ、こういう規定を置かれておるのでは事業者は甚だ迷惑すると、こう思うのですが、それに対する御見解を承わりたい。
  58. 富松四郎

    説明員(富松四郎君) 只今の問題について御説明申上げます。誠にそういうように見えるのですが、実は六カ月の期間をたちまして初めて熱管理士が欠けたものとみなすということになりまして、そうして欠けた場合には、その欠けた日から六カ月の間に又熱管理士を選任すればよいと、一番長い場合は一年間猶予があると、こういうことになるわけでございます。
  59. 西田隆男

    ○西田隆男君 病気というものは必ずしも一年間で治るものとはきまつておりませんので、随分長い病気に罹る場合もあり得る。一年の間に病気が治るであろうという予測でこういう規定を設けられておるとすると、甚だ面白からん規定だと思うのですが、こういう規定を設けられるなら、若し熱管理者が長期に亘つて疾病のために欠勤するというような場合には熱管理者として解任ができるというような規定をお設けになるととが適当ではないかと私思うのです
  60. 中村純一

    衆議院議員(中村純一君) この熱管理者は、先ほど申上げましたように、事業主の使用人でございますので、それが不適当と認められる場合は、事業主において随時それは解任して一向差支えないことと考えておるのであります。この今の規定の面から申しましても、欠けたものとみなすというのは、そのときに若し解任の手続がなされておらなくても解任されたものと考える趣旨に考えておるのでございます。
  61. 西田隆男

    ○西田隆男君 私の申上げておるのは、事業主のために不都合だというので解雇するという意味合ではありません。熱管理者としての資格を持つておる者を、仮に熱管理者でないと法律でお考えになつても、事業主それ自身は熱管理者を解任する権利はないわけです。病気をしておるということが不適当ということには、雇用契約等で必ずしも考えられんので、その点を私は心配してお尋ねしておるのです。若しこういう規定をお設けになるならば、少くとも一年間疾病をした者は熱管理者として解任することができるという規定を置かないと、事業主としては解任ができんわけです。官庁のほらは熱管理者として認めないということであつても、会社対熱管理者の関係というものは、やはり熱管理者としての俸給を支払つて病気の治るまで置いておかなければならんということになると、会社のために不適当だとは考えられません。ただ熱管理者の職務が病気のために果せんという問題であつて、そういう点を私はお尋ねしておるのです。若しそういうことが困難であるとすれば、第七条にある「他の者にその職務を代行させなければならない。」という規定だけで、病気が治るまでは代行者でという便法を講ずるとか何とかしないと、一遍病気をして欠けたら必ず雇わなければならんということになるわけです。雇わなければ、事業主は制裁規定適用される。三万円か何かの罰金規定適用されるということになるので、一人の人間を抱えておるのに他の人間を雇わなければならんということに当然私はなるだろうと思う。第七条の代行云々の規定を、熱管理者が欠けた場合に長期間活用できるということであれば別ですが、これは立法の趣旨から言つて、極めて短期間のものであると思うのです。次の熱管理者を雇うまでの間という意味合のものであると思うので、私はお聞きしておるのです。
  62. 富松四郎

    説明員(富松四郎君) 今の問題についてお答え申上げますが、熱管理者が病気とか旅行でその事務を実際にとることができないような場合には、六カ月までは他の者に代行さしてよいということが第七条にございまして、第六条の四項が、その期間が引続いて六カ月を超えたときにその熱管理者が欠けたものとみなすということで、その人は熱管理者でなくなつたというふうに解釈しておるわけでございます。
  63. 西田隆男

    ○西田隆男君 だから、熱管理者でなくなつたというように官庁は解釈しましても、雇用関係においてはこれを解職する権利はないのですよ。だから、その点をはつきり条文に表現してお置きになるほらが適当ではないかと、こら私は申上げておるのです。
  64. 中村純一

    衆議院議員(中村純一君) この法律は全面的に事業者の立場というものを無論十分考えまして、それを主にして考えておる次第なのでございますが、従いましてこの熱管理者の選任又は解任につきましても、一定の抽象的な条件に合致する者の範囲からの選任ということだけをきめておるのでありまして、具体的な人事につきまして、その者の選任は無論のことでありまするが、従いまして解任の点につきましても、この法律の上でどうこうするということではなく、その点は全く事業主にお任せしたほうがよいのではないかという考え方で、この法律考えた次第でございます。
  65. 西田隆男

    ○西田隆男君 それはそうかも知れませんけれども事業主には選任の義務を負わされておりまして、熱管理課長が言われたように、欠けたものとみなすことが熱管理者としての資格を失つたことにはなりません。資格は持つております。事業主は資格を持つておる者を解任することはできません。そういう意味において、何とか法的に規定をして置かなければ、事業主として徒らに負担が重くなるばかりではないか、事業主として非常に困るだろう、何とか明文を作らんでもよいかという意味言つておるのです。事業場における熱管理者としての資格の欠けた者というのは、必ずしも病気をしておる者が熱管理者としての資格を失つたということにはならないと思うのです。そこに問題があると思う。まあこれはあとで研究してもらえばいいです。御答弁は要りません。  それからその次に、第九条の第二号に、「当該指定工場の熱管理に関する設備」ということが書いてありますが、この熱管理に関する設備と申しますのは、特殊の設備を指して言うのか、或いはその工場の現在あるままの何らかの部分を指して言うのか、その点を一つ承わりたい。
  66. 富松四郎

    説明員(富松四郎君) 「当該指定工場の熱管理に関する設備」と申しますのは、例えて言いますと、ボイラーであるとか、それからボイラーから出ました蒸気を乾燥に使う場合の乾燥機であるとか、そういう現在の設備を言うのでございます。
  67. 西田隆男

    ○西田隆男君 それから第十条に、「熱管理の実施の適正を確保するため」云々とこうありますが、熱管理の実施の適正を確保するということはどういうことを意味しておるか、御説明願いたい。
  68. 富松四郎

    説明員(富松四郎君) お答え申上げます。これは熱管理の実施がうまく行つておるかどうかということを確かめる必要がある場合、その工場の報告なり調査をすることができるという規定でございます。
  69. 西田隆男

    ○西田隆男君 私のお聞きしておりますのは、熱管理の実施の適正を確保するという意味を聞いておる。どういう意味なんですか。各工場々々皆違うはずですが、それを一つの目標なんかを作つて置いて、そうしてそれに当てはめて、適正を確保されておると考えられるのですか、個々の千八百ワットの工場の適正な線というものを一々お出しになつて、それによつて監督されるというのか、どつちの意味であるかを私はお伺いしているのです。
  70. 富松四郎

    説明員(富松四郎君) お答え申上げます。只今のような御質問は、これは尤もだと思いますが、例えて言います。と、吹管式のボイラーでございますれば、大体工率が六五%以上出るというボイラーであれば、そういう適正な熱管理の実施の状況と、熱量を燃焼さす状況はわかつておりますので、それ以下のような場合に個々についてやる、こういうわけでございます。
  71. 西田隆男

    ○西田隆男君 そうしますと、今あなたがおつしやつたような状態における適正を確保し得ていない工場に対しては、報告をさせることができるとだけなつておるようですが、報告のし放しで、監督官庁としては何もされないのですか。その報告に基いて熱管理者に対して、或いは事業主に対して、設備の変換をするとか、或いは設備の変更を、改善をしなくても、個々にこういうふうにやれということを勿論指導されると思いますが、設備の変更までもお命じになるとか、示唆されるとかいうことをお考えになつておりますかどうか、その点をお伺いいたします。
  72. 富松四郎

    説明員(富松四郎君) 教管理につきましては、三年間、もう過去四年近くになりますがやつて参りまして、我々の考え方といたしましては、先ず現有設備を工率を上げてやるということを第一の目標としてやつております。そういう場合に、現有設備を変えないで、どこまで工率を上げられるかということについて、我々のほうとしては現在までいろんな指導をして参つております。
  73. 西田隆男

    ○西田隆男君 ここに参考資料として出ておると思うのですが、熱管理云々とありますが、私よく読んでないのですが、熱管理の規則と、この法律案との差異を御説明願いたいと思います。熱管理規則の説明を願う際に熱管理規則ではなぜいけないか、なぜこの法律を作らなければならんかという基本的な考え方を一つ説明願いたいと思います。
  74. 中村純一

    衆議院議員(中村純一君) それはまあ細かい点は後ほど政府関係係官から申上げさせてもよろしいと思うのでありますが、根本的には現在の規則は御承知のように臨時物資需給調整法に基いておりますところのものでございまして、元来この基本法でありまする法律が臨時的な性格を持つておるものでございます。過去数年間この法律に基きまして、現行の規則によつてつてつたのでありまするが、その結果は非常に良好でございまするし、従いましてまあ民間の輿論調査におきましても、これは非常にいいという賛成の声が非常に多いわけでございます。そこでまあ過去何カ年か、のいわばまあ試験的な時代を過ぎたわけでございますので、この際これは恒久的な法律でやつて行くほうが適当ではないか、かように考えた次第でございます。  又一つには臨時物資調整法から出ました考えというものは、この工場経営の合理化という面よりも、むしろ物資の消費規制という面のほうが割合に強く出ておるのでございます。この熱管理法の狙いといたしまするところは、無論直接にはこの熱資源の節約ということもありまするが、究極の狙いはそれによつて能率の向上を図るというところにあるわけでございます。さような意味合からここに新らしく立法して行くほらが適当であると考えまして、かような措置を講じておる次第でございます。そのほかの細かい点がありますれば、政府側から御説明をいたさせます。
  75. 井上春成

    政府委員(井上春成君) 物調法の熱管理規則とこの法律の違いの点、作らんでもいいじやないかというお話でございましたが、政府といたしましては、実は初め熱管理規則でいいんではないかという考えもあつたのでございますが、いろいろな陳情がございまして、熱管理法案を単独法としてやつたほうが熱を有効に使う、こういうことに非常に力が強くなりまして、従つてこれをやつたほうがよかろうということがございましたので、やはり単独法にしたほうがいいのではないか、かように考えた次第であります。それからもう一つ違いまする細かいところは今お話のごとくでございますが、細かいところといたしましては、罰則が物調のほうは十年以下又は十万円以下、こういうふうになつておりましたのを、それではどうも面白くないからということで、非常にやわらげまして三万円以下、こういうふうに変えた次第でございます。
  76. 西田隆男

    ○西田隆男君 只今お話なつた罰則の問題ですが、今まで熱管理規則によつて罰則の適用を受けた者がありますか、ありませんか。あつたらどれぐらい、何件ぐらいあつたか、御説明願いたいと思います。
  77. 富松四郎

    説明員(富松四郎君) 現在まで物調法の罰則、熱管理規則によります罰則の適用を受けた者は一件もございません。
  78. 西田隆男

    ○西田隆男君 今仰せになつていたように、十年とか十万円とかいうような重い罰則がきめられておつたにかかわらず、その罰則の適用を受けた者は一人もないという御説明ですが、その辺中村さんその他政府委員の御説明を聞くと、極めて民主化した立法であつて企業の合理化と熱源の云々ということだけに役立つ法律であると仰せになつておるのに、而も軽くなつておるのに三万円以下の罰金というような罰則規定をこれで設けられておりますが、私がここで基本的な問題としてお聞きしたいことは、あなたがたから御配付になつた戦後に ける熱管理の概況、こういう熱管理課で書かれた本がありますが、この一番おしまいの頁にこういう意味のことが書いてある、「合理化は時機を失しては無意味であるのみならず、特に日本においては根本的な合理化は到底望むことを得ない」という一面があります。「従つてかかる現在においては先ず従来より非常な成果を挙げて来たこの熱管理を法制化して国民に合理化の一方策について進むべき方向を示唆することが必要であろう」ということが第二面、「又たとえそれが良いととであるという認識を十分持つていても強制されねば実行できないのが人情の常である。」第三面、「熱管理はよい事である。併し実行に移されて初めて成果が挙がるので、単に認識しているということだけでは意味をなさない。この実行は、或る程度強制されて可能となるものであるから、」こういう意味のことが書れておる。私が指摘しました通り、とても民主国家としては誠に恥ずかしいことである。こういう基本的な観念に基いて若しこの法案が立案されておるとするならば、これは私は由々しきことだと思います。従つてこれに規定されておりまする熱管理者の意見を尊重しなければならないということを問題として取扱わざるを得ないわけであります。私の質問はまあこの程度で切上げはしますが、こういう基本的な考え方で作られておるとすれば、私はこの法律案に対して多少修正を加えないとなかなか承認ができない。
  79. 中村純一

    衆議院議員(中村純一君) 只今罰則の点に関しましての御意見でございましたのですが、これは実は今何かの資料でございましたか、御覧になりましたということよりも、私といたしましては、かように考えておる次第でございます。それは成るほどこの熱管理の実施によりまして、いい成績が挙がりますることは、直接には当該企業の成績に関連をいたすことでございます。いい成績が挙がれば、工場の成績が挙がつて行くということでございまするが、私どもこの法律を立案いたしました趣旨は、無論その個々の各企業の業績を挙げて行くということは勿論でありまするが、同時にこれらの工場におきまして、指定された工場におきまする各種の熱管理の実績の報告を国が聴取いたしまして、これを以て又全般的に熱管理のレベルを上げて行く。従つて全般的に我が国工場生産の能率を上げて行く材料にして行きたい。そこでこの第何条でありましたか、冒頭にありました目標を定めるということも、そういう趣旨からまあ考えておるのでございます。従いまして、この罰則の点も、今お読みになりましたような趣旨ということよりは、むしろ全般の利益に繋がる問題であるが故に、正しい報告を出して頂きたいと、かような趣旨で立案をいたしたのでございます。御了承を願いたいと思います。
  80. 西田隆男

    ○西田隆男君 中村さんに重ねて聞きますが、これは思想的な問題ですから、こういう委員会でそういうことを聞くことはどうかと思うのですが、あなたはその熱管理者に共産主義者がなつておらないという前提に立つておりますが、そういう趣旨に解釈されるのですが……若しこの熱管理に千八百の工場に三千人以上の共産主義者だけが集まつた場合を予想されて、国家的見地から何か不安をお感じになりませんかどうか。
  81. 中村純一

    衆議院議員(中村純一君) 私も実は共産主義者が全部この熱管理者になろうとは考えておらないのでございまするが、その問題につきましては、まあ対共産主義の問題につきましては、私はかような技術的な法律の面でよりは、むしろもつと根本的な面で考えることは考え措置すべきことは措置すべきものではないかと考えておる次第でございまして、御満足は行かないかも知れませんが、さように考えておるわけでございます。
  82. 西田隆男

    ○西田隆男君 今の問題を私が提供したことは、少し飛躍し過ぎたことであるかもわかりませんが、結局熱管理者の意見を尊重しなければならないという条文に、やはり関連性を持つておるわけでありまして、この条文の末端のこの表現の仕方では私は賛成ができません。これで質問は打切つて置きます。
  83. 結城安次

    ○結城安次君 もう同僚西田委員からいろいろ御質疑があつてので、私から言うことはありませんが、例えば第六条の政令で定める云々というところで、年何千トンの石炭を消費するところは一人ということですが、月に八十トンの石炭を消費するところに熱管理士という特別のものを置く力のない、又そういう余力のないところはどうなさいますか。
  84. 富松四郎

    説明員(富松四郎君) 私のほうで、現在まで熱管理規則によりまして運営しておつたのを見ますと、現在まで四年間やつておりましたが、熱管理指定工場が、現在五百トン以上の工場が二千四百ばかりございまして、すでに熱管理士になるもの、なつておりますものは三千何人もございます。これを千トン以上に上げました場合にも、もうすでに現在熱管理士を持つておるものが殆どでございまして、ただ一小部分まだ充足していない工場があるだけに過ぎないわけでございます。
  85. 結城安次

    ○結城安次君 続いて第六条の5ですが、西田委員から非常に熱心な御意見がありましたが、この熱管理者の意見を尊重しなければならないといううとでありますが、大体工場経営者としていいことをやらないというものは想像することが間違いじやあないかと思う。熱管理士の進言したことでいいのならば必ず採用するにきまつておる。採用しないようなものは想像するのが間違いじやないかと思う。それを殊更にここに書くというのは、何か意味があるように思われるのですが、先ほどの御説明を伺うと、何も意味はないというようなことですが、それならこれは削つたらどうですか。これは中村さんにお伺いいたします。削つたらどういう害がありますか。
  86. 中村純一

    衆議院議員(中村純一君) 何も意味がないと申上げ差したのは、他の意味がないということを申上げましたので、書きました趣旨はこの熱管理の効果を有効に挙げて行きたいために、一つのまあ宣言的な意味で、文字通り意味で書いたのでございます。
  87. 結城安次

    ○結城安次君 文字通り意味とすれば、今私が申上げました通り工場経営者或いは管理者はわざわざ余計に熱を使うというようなことを考えるものはないのでございまして、管理する者がいい意見を出してくれるならば、必ずや採用するにきまつておる。それを殊更に書く必要はないじやないかと思うのだが、削るお考えはありませんか。これは削つても差支えないと思うのだが、削つた場合にどういう支障を来たすでしようか。
  88. 中村純一

    衆議院議員(中村純一君) どうか一つ原案で御通し願えればこれに越したことはないと思います。
  89. 結城安次

    ○結城安次君 私は今の中村君の御説明のようなら差支えないが、三千人もある熱管理士というものの中には、或いはいろの考えの下に自己の説を主張する者もありましようし、工場経営者としては誠に困るような場合も出て来やせんか。つまり改善の意見にも程度があります。その程度を越えて、尊重という意味は相当に取入れなければならん、或いは全部取入れないにしても九割は取入れなければならないというような意味にも取れますので、これらはやはり経営者に任すべきものだと思うのだが、特に書いた意味はないのだ、熱管理者の意見はいいものは取るべきだというお考えならば、何も殊更こういうことを書く必要はないじやないか。それから附加えてお伺いしますが、こういう案で、その担当者の意見を尊重しなければならないというような法文を入れたものは何かありますか。
  90. 中村純一

    衆議院議員(中村純一君) 先ずこの尊重しなければならないという点なんでございますが、これはたびたび申上げましたように、文字通り意味で書きましたので、他に隠れた意図とか何とかいうものは毛頭ないわけでございます。従いまして、この法律自体におきましても、尊重したかしないかということに対する罰則等のものは、全然考えておりません。まあ尊重されたかどうかということは、通常の社会常識で決せられるものと考えておる次第でございます。それから他の立法例のお話でございまするが、これと全然同じようなものは、只今のところ、私ども的確に同じものというものは見当らないのでありますが、やや似たものは二、三あるやに思われるのでございます。
  91. 結城安次

    ○結城安次君 二、三あるやに思われるというのは、どういう点でございましようか。
  92. 中村純一

    衆議院議員(中村純一君) 例えばこれはまあこれがそのまま当てはまるかどうかわかりませんが、これはまあ古  い立法でありますけれども、なお今日まで生きている法律なんです。例えば自家用電気工作物施設規則というものがございますが、この規則でははつきり電気工作物の施設者は主任技術者を先ず選任しなければならん。そうして技術に関する事項を担任させなければならない。同様に特定の技術者を選定し、或いは選任した者について、これこれの事項を担任せしむべしというような規定は、現在なお生きておる。技術的な法律の中に同様のものが、他にも二、三ございます。そこでこれまあ解釈の問題でございまするけれども、この選任をして、更にこれこれの事項は必ずこの者に担任をさせなければならないというきめ方は、むしろこの尊重をせよというきめ方よりももつときついように考えられるのでございます。まあ私どもはそこまで行かないで、これは社会常識の程度において尊重されだかどうかということの判断がまあ成り立つものではないかと考えておる次第でございます。
  93. 西田隆男

    ○西田隆男君 私はこの前の発言で、ちよつとこの前私は政府委員にその問題で、電気の主任技術者と同じように考えて、条文を作つておらんかということを聞いたときに、そうでないという御回答があつたが、今中村さんの御説明を聞くと、そういう例があるので、それよりももつとやさしくしたのだということは、むしろそういうことを考えてやつたというので、なお更問題であると思います。電気の技術者というものは、国家的に見て保安上必要なので、そういう厳密な規定が設けられてあるので、この熱管理者というのは免状を与えることになつておりますけれども、資格は規定してありますけれども、これは電気の主任技術者とは全く性格を異にする技術者であつて、それとこれを比較対照して御説明になるということになると、なお更私は尊重しなければならんという条文に対して承知ができなくなつてしまう。
  94. 中村純一

    衆議院議員(中村純一君) 政府の関係者が如何なるお話を申上げたか実は私は前回欠席をいたしまして、失礼をいたしたのでございますが、私の申上げましたのは、強いてそういうものを探せとおつしやればこれに当てはまらんとは思うけれども、という前置で例を申上げたのでございます。なお且つ只今申上げましたように、それとこれとは違うからして、遙かに全く抽象的なものをここに書いたに過ぎないと、かように申上げただけでございます。どうぞ御了承を願います。
  95. 結城安次

    ○結城安次君 先ほどお話なつた電気主任技術者、これは電気主任技術者は自分に責任があるのです。保安設備なんかの事故の場合に、この会社の設備に保安上欠くるところあれば、本人も同時に免状を取られる罰則があるから、それの意見は相当に考えられなければなりませんが、これには別にそういう本人に義務はないのでしよう。それにもかかわらずその意見を尊重しろというのは、どうも工場経営者に対する、何だか圧迫というと言い過ぎかも知れませんが、どうも要らんことを書いている。できるだけ法は簡単なのがいいので、この一項を削るだけでどこに支障を来すか。第六条は四項にとめて置けば簡単であつて、短かくなるのにわざわざ長くしてむずかしくする必要はないのだが、如何ですか。どうもあなた方は極めて簡単に考えて公正に考えておられるでしようが、これを実施する場合、末端では大分困る者ができた場合に気の毒だから私はこれを削りたい。而も熱管理士を雇う人というのは、やはり自分のところの熱管理をよくしたいというのでやるのだから何も、或いは三千五千の人の中には一、二の例外ができるかも知れんが、そのくらいは辛抱して、こういう誤りを来たすような条文を削つたほうがいいのじやないか。削る意思はございませんかというと、何とかいいじやないかということを言われるのだが、これは僕は要らんことだと思うが、よくお考え願いたい。  それからこれに罰則があるので、前にも罰則を受けた人は一人もないということをお話したが、熱管理の工合が悪かつたから三万円の罰金だというのは要らんことだと思うのですが、如何でしようか、罰則を削つてしまつたら……。
  96. 中村純一

    衆議院議員(中村純一君) それは御覧下されば御理解が行くと思うのでありますが、その工場の熱管理のやり方が悪かつたからという罰則は一つもございません。虚偽の報告をされたり、或いは報告しなかつたり、かような、先ほど申しましたように、この法律が当該企業の利益ばかりでなく、日本工場経営の全般のレベルを上げて行きたいという狙いがありますので、それに関連いたしまする分野につきましては最小限度の罰則を設けたいという趣旨でございます。決してその企業の、お前のところのやり方が悪かつたからお前のところは罰するということは全然ございません。
  97. 結城安次

    ○結城安次君 それはまさにその通りで、ただ併しその届出をせずというのはどのくらいの期間か存じませんが、その間或いは役所に睨まれると一月遅れても届出をせずということになると、三万円からの罰金というようなことで、どうも罰則というようなことは必要がないならば、これはないほうがいいのじやないか。殊に皆が今本当に石炭なんか持つているときで、できるだげ活用しようというのが工場経営者全部の考えですから、黙つてつても熱管理はやるのだから、こんな罰則は要らんじやないか。そうするとまだこの条文は減つて来るのです。いわゆる法三条式に簡単に行くがいいと思いますが、如何でしようか。
  98. 中村純一

    衆議院議員(中村純一君) 黙つてつてもいいことだから、やるだろうからということでございますけれども法律がそれでは要らなくなるかも存じませんが……。
  99. 結城安次

    ○結城安次君 罰則だけですよ。
  100. 中村純一

    ○農議院議員(中村純一君) それは今申しましたように全体の公益と申しますか、全体の利益に繋がると思われる制度に対する怠慢、或いは違反というものに対して最小限度の罰則を考えている次第でございます。決して全体の利益に繋がらないような問題につきましては、何らの制裁方法考えているわけではございません。よろしく御了承願います。
  101. 西田隆男

    ○西田隆男君 たびたび発言するようですが、今中村さんのおつしやつたような意味合で若し罰則を作ると、むしろ熱管理を合理的にやることを促進する意味合において、熱管理者の意見の具申、或いは帳簿等を検査することによつて、設備の改善を命じて資金まで世話してやり、そうして技術まで示して、それに違反したならば罰するということが国家目的に副うゆえんである。ただやるのは何でもやつておれ、悪かつたら罰するというのでは罰則の濫用であつて決して善用ではない。私は罰則についてそう考えている。それで今最後の文章を読んだのですが、いいことであつて、強制せなければならんというふうな考え方でこの罰則を考えられはせんか、そういうことであると、この法律案はなかなか審議はむずかしくなるということを申上げたので、そこまで行かなければ意味はなさんと思う。
  102. 中村純一

    衆議院議員(中村純一君) 罰則の趣旨は私から申上げましたところで一つ御了承を願いたいと思うのでございます。強制しなければやらんからということが、どこか資料の一部に書いてあるようでございますが、これは資料としてお取り捨てを願いたいと思うのでございます。只今申上げましたような意味で、この日本全体の工場経営のレベルを上げて行くという問題に関係する分につきましては、最小限度の罰則を考えた次第でございます。さような意味一つ御了承願いたいと思います。
  103. 西田隆男

    ○西田隆男君 そういうことであればなお更、合理化するときは今だ、こう書いてある。成るほど今ですよ。これから設備を改善しなければならんという段階に、日本の熱源を使つて行かなければならんという段階に日本産業は入つておる。そういう意味から言つても、今中村さんのおつしやることは、どうもロジツクは私は合わんと思う。だからむしろ熱管理というものはそういう点を考慮されて、そういう点が条文になつて現われて来たのでは意味をなさんと思います。
  104. 中村純一

    衆議院議員(中村純一君) 実は言葉が足りませんでございましたが、この法律は申上げるまでもなく楯の両面を持つておる次第でございます。直接にはこの熱管理の成績の向上によりまして、その工場自身の利益に帰する問題でございます。又間接にはそれによりまして全部の日本産業のレベルを上げて行きたいと、こう二つの面を持つておる次第でございます。従いましてこの罰則等の点につきましては後の面に関連する部分についてのみ考えたのでございまするが、もつと予算も取り、金も出して熱管理の成績の向上に努力すべしという御意見は誠に御尤もと思うのでございます。併しながらこの面におきましても当該企業それ自身の利益となつて現われて来る面もありまするので、その辺とも考え合せまして、これはまあ是非そういう方向に持つて行きたいと考えておる次第ではございますが、今日の現状におきましてもこの中小企業等の方面におきましては、中小企業向けの資金の世話なり或いは設備の改善の世話をできるだけいたしまするし、又何か特殊の新らしい熱効率の利用の非常によくなるような、特殊の新らしい機械設備ができて来た。こういう面につきましては、工業化試験に対する補助金等の制度も今日ございまするので、そういう面も極力活用いたしましてできるだけこの後方からの支援と申しますか、援助と申しますか、というものにつきましては、十分の、できるだけのことをいたしたいと考えておる次第でございます。
  105. 結城安次

    ○結城安次君 最後一つ私はお聞きしたいのですが、先ほど中村君の御説明、殊に又第十一条には通商産業大臣は、設備改善に関する「事項の実施について必要な勧奨をすることができる。」とありますが、これは予算は相当ございますか。どのくらいありますか。政務次官にちよつとお伺いしたいと思います。
  106. 首藤新八

    政府委員(首藤新八君) 予算は約七、八百万円ばかりございます。
  107. 結城安次

    ○結城安次君 これはお伺いをやめようと思つたのですが……。七、八百万円で何ができましよう。
  108. 中村純一

    衆議院議員(中村純一君) 何ができるかとおつしやいますが、それだけの指導に参ります経費等も無論計上いたしてあります。指導いたしますることによつてその工場の施設が改善されまするならばこれは当然その企業の利益となつて還元して参る次第でございます。必ずしも全部が全部国費を以てこの改善施設の負担をしなければならないとは私ども考えていないのであります。特殊の場合とか、或いは非常に困つておる向等に対しましては、これはむしろ熱管理という特定の面からだけでなく、中小企業の援助というような全面的な面におきましてこの熱管理の面をも加味してできるだけ面倒を見て行きたいと、かように考えておる次第であります。
  109. 結城安次

    ○結城安次君 私は政務次官にお聞きしたいのですが、七、八百万円というのは中に出張旅費からいろいろな費用が入つて来ると誠に些細なもので、熱管理の必要なことはこの法案自体は賛成しておると申上げておるくらいで、これはよほど……一基の炉をこしらえても二百万や三百万すぐかかるので、これは相当多くして、あなたがた金が足らなければ銀行から保証はむずかしいですが、役所が世話してやる、そこを改善するくらいの熱意を持つて頂きたいということで、私は質問ありません。
  110. 深川榮左エ門

    委員長深川榮左エ門君) それでは只今の熱管理法案の審議は次回に廻すことに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  111. 深川榮左エ門

    委員長深川榮左エ門君) 御異議ないと認めます。
  112. 境野清雄

    ○境野清雄君 動議を提出したいのですが、先ほど問題になりました臨時物資需給調整法の一部を改正する法律案の中の第二条にある物資需給調整議会についてその委員の選任に、広く学識経験者を入れて、その任免については主要経済団体の意向を徴し、以てその運営に民間要望も強く反映するよう配慮するという意味の申入を委員長から経済安定委員会に急速に申入れされたらどうか、こういう動議を提出いたします。お諮り願います。
  113. 深川榮左エ門

    委員長深川榮左エ門君) お諮りいたします。只今の境野君の動議、即ち臨時物資調法に関し経済安定委員会に対し、物資需給調整議会の構成並びに運営について本委員会意見委員長より申入れることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  114. 深川榮左エ門

    委員長深川榮左エ門君) 異議ないと認めます。それではさよう取計らいます。  本日これで散会いたします。    午後四時三十七分散会  出席者は左の通り。    委員長    深川榮左エ門君    理事            古池 信三君            廣瀬與兵衞君            栗山 良夫君            結城 安次君    委員            上原 正吉君            小野 義夫君            小松 正雄君            椿  繁夫君            加藤 正人君            山川 良一君            駒井 藤平君            西田 隆男君            境野 清雄君   衆議院議員    中村 純一君   政府委員    公正取引委員会    総務部長    内田 藤雄君    通商産業政務次    官       首藤 新八君    工業技術庁長官 井上 春成君   事務局側    常任委員会専門    員       山本友太郎君    常任委員会専門    員       小田橋貞寿君   説明員    工業技術庁熱管    理課長     富松 四郎君    経済安定本部産    業局産業政策課    勤務      井土 武久君   参考人    関西経済連合会    常任理事    工藤 友惠君    日本産業議会    理事      仲矢 虎夫君    日本鉄鋼連盟    会専務理事   岡村  武君    日本デパートメ    ントストア協会    理事長     能勢 昌雄君