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1951-03-01 第10回国会 参議院 通商産業委員会 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年三月一日(木曜日)    午後一時三十九分開会   —————————————   本日の会議に付した事件 ○通商及び産業一般に関する調査の件  (中小企業等協同組合法改正に関  する件)   —————————————
  2. 深川榮左エ門

    委員長深川榮左エ門君) 只今より通商産業委員会を開会いたします。  本日は中小企業等協同組合法改正を研究いたします。この協同組合法に関しては政府改正案を提出する意向がありまするが、本委員会といたしましても、非常な関心を持つていますので、本日特にこの委員会を開いた次第でございます。そして事業界意向をも参考にする必要があると存じましたので、参考人といたしまして日本中小企業連盟常務理事稻川宮雄君、東京精密機器工業協同組合理事長藤齊三君、東京魚商協同組合理事長鹽澤達三君、東京商工信用協同組合專務理事川端巖君のかたがたに特に出席をお願いいたしまして、業者側の御意見を伺うことにいたしたのであります。参考人かたがたには御多忙のところ、本委員会のために貴重な時間を割いて出席下さいましたことを厚く御礼申上げておきます。御承知のように中小企業等協同組合法昭和二十四年六月一日公布、同七月一日より施行したものでありますが、審議当時より法案と業者の希望には若干の開きがございました。例えば組合預金業務兼営員外理事の容認などに関して異なつ意見があつたのでございます。その後約二年を経過して、当時と経済事情も異なり、まさに再検討の機会に到達したと思うのでございます。そこで本日は先ず参考人の御意見をお聞きし、これに対する政府側の答弁と申しますか、回答と申しますか、とにかく今度の改正案にどの程度までそれらの声が盛り込んであるかをお伺いして、それから質疑応答に入りたいと思います。  先ず委員長は、協同組合法改正関係はこれを徹底せしめますれば、当然に事業者団体法関連すると思いますので、その関連を考えまして、特に通商企業局公正取引委員会の御出席をお願いしておきましたから、各位におかれても、事業者団体法に関しても、協同組合法関係する範囲において言及されることを希望しておきます。  それでは先ず日本中小企業連盟稻川さんに改正に対する要望事項の大要をお伺いすることにいたします。
  3. 稻川宮雄

    参考人稻川宮雄君) 日本中小企業連盟常務理事稻川でございます。中小企業等協同組合法改正の問題につきましては、私ども連盟におきまして特に委員会を設置いたしまして、一応要望の案をまとめておりますので、その点につきましてお願いを申上げたいと存ずる次第でございます。  なお本日御出席の他の三人のかたも、私どものそれぞれ委員として案の立案に御参画願つておりまするので、その意味におきましては、私から代表してお話申上げるような形になることを御了承願いたいと思います。今回の組合法改正として提出せられておるやに聞いておりまする案につきまして、一応意見を申上げまして、その後になおこれに漏れております点で、更に私どもといたしまして是非とも改正をお願いいたしたい点を申述べたいと存じます。  先ず第一に、今回改正を企図せられておりまする問題といたしまして、組合名称を、実体事業協同組合、或いは企業組合というものでなくして、そうしてその文字を使うという場合にはこれを認めよう、例えば協同組合研究会であるとか、或いは協同組合協会とういうようなものを作りました場合にも、協同組合という文字があるためにいけないということは不合理でございますので、そういう場合には、協同組合とか、或いは企業組合という字を使つても差支えない、こういう改正趣旨であるように考えるのでございますが、これは誠に結構な修正案でございまして、私どもからも是非その実現いたしますことを要望申上げたいと存じます。  第二点におきまして、総会における議決権代理を従来は一人しかできなかつたものを、今度は四人まで認めよう、こういう案でございますが、これも従来から私どもも強く要望して参りました点でございまして、現在の組合制度におきましては書面表決ということが認められておりまするので、その点によつてカバーはされまするけれども、なお実際組合員数の多いような場合には、一人しか代理ができないということは甚だ不便がございましたので、これも是非とも案通り実現することを希望いたしておる次第でございます  それから第三点といたしまして、定款必要記載事項の中に、出資第二回以後の拂込みの時期を書かなければならんということになつておりまするが、第一回の拂込みはこれは当然最初にきめなければならんものでございまするが、第二回以後の拂込みは組合の状態によりましてその事業内容によりまして時期がきまるものでありますから、あらかじめ定款に書かなければならんということは非常に不便がある点であり、又それがなければ定款認証が得られないというような不合理があつた点でありますので、この改正も誠に実情に適した案であるというふうに考えております。  第四点といたしまして組合定款は従来公証人による認証を得なければならなかつたのでございますが、これを今回は行政庁認証制度に改めようということでございまして、これも私どもといたしましては、結構に存ずる次第でございます。この点につきましては、私どもの会の意見といたしましては、認証制度はこれを全廃する、実際認証いたしましてもその実効がありませんので、全廃することを要望いたしたのでございまするが、併しながら政府案にありますような行政庁による認証制度に変えて頂くということも、これも結構だと思います。従来組合の成立には必ず行政官庁の認可を必要としたのでございますが、現在の組合法におきまして、は行政官庁が何らの監督権を持たない。全く自由に、自主的に組合設立運営をするということでございまして、私は趣旨といたしまして誠に結構でございますが、やはり行政官庁相当強い指導権を持つておるということが、組合奨励のために、組合発達のために非常に必要であるということは、従来の経験に徴して明らかなところでございまして、例えば昔、産業組合が非常に発達いたしましたのは、各地方に監督官というものが置かれて以来のことであるというようなことを聞いておりますので、強い監督をするということは、これは如何かと存じまするが、定款認証というような制度によりまして、組合実情を把握して頂くということは、行政庁といたしましても必要でございましようし、又組合発達のためにも必要な制度と思いまするので、この改正案で結構であろうと存じております。ただその場合に定款変更の際にも、その都度行政官庁認証を受けなければ効力を生じないというように、案がなつておるようでございまするが、現在の会社におきましては、やはり設立の際だけの認証でありまして、その後定款変更につきましては、公証人認証を受ける必要がないということになつておりますのに、組合の場合におきましては、定款変更の際にも認証を要するということは、やや負担が重いようにも考えられるのでございまするが、併しながら、この点につきましては、それを緩和する規定もございまするので、実際組合がその都度内容変更いたしまするについては行政官庁において把握して頂くという意味において、あえて定款変更の都度認証を受けるということも、反対するものではございませんが、この点は若干の疑義を持つておる次第でございます。従来公証人によりまする認証は、殆んどその実効がなかつたように考えられるのでありまして、公証人の中には実情に明るい人もありまするが、中には殆んど内容を検討しないで認証をする、ところがその認証されました定款を以て登記をいたしますると、登記所のほうにおいてはこれを受付けない。認証をもう一遍変えて来いと、こういうことでありますが、公証人は一旦認証をしたものは変更することができないというので、そういう場合には創立総会をやり直さなければならんと、こういうような弊害がある。而も公証人認証いたしました定款が、中には全くでたらめであるというものも少くなかつたのでありまして、公証人認証よりも行政庁認証のほうが遥かに確実なものであると考えておる次第であります。  次に第五の点といたしまして改正商法が近く施行せられるというのにつきましてそれに併せまして組合商法準用條文を改めまして取締役会に関する規定を準用いたしまして組合重要事項については、理事会というものを設けて、理事会の決定によると、こういうことになるような案でございまするが、特に理事会というものを法律上設けるということは、実際上不便がありまするので、成るべくならばそういう制度を設けなくても従来通り理事過半数によつてきめることができると、こういう規定に変えて頂いたほうが便宜ではないかというふうに考えるのでございます。と申しますのは軽微な事項とか或いは緊急な事項につきましては一定招集手続を以ちまして、一定人数を以て、初めて成立するところの理事会というものを開かなければならんということは非常に煩瑣でもありまするし、又時期を要する……相当の期間を要するというような関係もありまするので、従来ありましたように、或いは書面によつて持廻り式同意を得るとか或いは電話その他によつて連絡をするとかいうような、理事会という一つ形式をとらなくても、理事過半数同意を得れば同じ目的が達せられるのでありまするから、そういう形式をとらずに、理事者過半数によつてこれらのことができると、こういうふうにして頂いたほうが実情に即するのではないか。即ちこのことにつきましては、民法社団法人にその規定ありまりすので、民法のその規定を準用して頂くなり或いはそういう趣旨規定組合法の中に置いておくことが実情に即するのでありまして、特に取締役会に関する改正商法規定を準用するということは、組合のような小さな団体におきましては煩瑣ではないかというふうに考える次第でございます。  第六点でございますが、理事責任につきまして、新らしい商法規定を準用いたしまして、その責任規定を明確にするということでございまするが、この点はこれで結構であろうというふうに考えております。  それからその次は改正商法のうちの監査役に関する規定を準用いたしまして、監事権限会計監査に限定するということでありますが、会社のような相当の資本を持つた組織と違いまして組合中小業者の小規模な団体でありまするので、やはり従来通り監事会計監査のみならず、業務監査も行えるように、いわゆる内部の自治監査をやつて行くということのほうが適当、ではないか。従つて商法をそのまま準用するのでなしに、組合特殊性によりまして従来のような別個の組織を持つて行くことが適当であるように考える次第でございます  次の点でありますが、改正商法取締役に関する訴訟についての規定を準用いたしまして総組合員の五分の一以上の同意を得た組合員に対しまして代表訴訟及び差止請求権を認めると共に、訴を提起した組合員担保提供の義務を免除するということは組合運営民主化を図ります上におきまして結構なんでありまして特に異議をさしはさむ余地はないと存じます。  それから第九と第十の点は、行政庁指導権を強化するという案であるように考えるのでありまするが、これは先ほど申上げましたように行政官庁が非常に強い監督権を持ちまして組合に干渉を加えるということは好ましくないのでございまするが、併し行政庁が本当に組合発達のために力を入れ、これを指導するということは必要でありましてこの程度権限を持つて頂くということは、組合発達のために必要であろうと思いまするので、この点につきましても賛意を表する次第でございます。  以上今回の改正案は、二、三の点ににつきまして修正をお願いいたしたい点もございまするが、大体におきまして私どもが従来から要望して参りました点を取入れて頂いておるものでありますので、大体におきましてこれに賛意を表する次第であります。  なおこの案以外におきましてこの際組合発展のために是非とも改正をお願いいたしたい箇所がございますので、その点につきまして以下述べたいと存じます。  第一に組合名称の問題でありまするが、今回の改正は勿論結構でありまするが、そのほか実際上組合と同じ実体を備えながら、協同組合とか企業組合という文字を使うものに対しまして従来の組合法におきましては、過料の制裁規定を設けて頂くことが必要であろうというふうに考えております。  第二点といたしましては、他の法律に基いてできましたところの協同組合、例えば農業協同組合でありますとか、水産業協同組合でありますとか、或いは消費生活協同組合、こういう組合も本法によりますところの事業協同組合組合員となることができると、こういう一つ規定を入れて頂く必要があろうかと思います。これは中小業者要望であるのみならず、農業協同組合とか或いは消費生活協同組合の側におきましても、是非加入していろいろ便宜にあずかりたいと、こういう要望がございますので、加入するとしない、とは、その組合の自由なんでありますから、一応制度といたしましては、加入できる途を開いて頂くことが便宜ではないか、他の法律によります組合は、連合会には加入できますけれども單一事業協同組合に加入できないということは、農業組合とか或は生活協同組合というものが、事業協同組合と同じレベルに立つておるかのごとくに錯覚されておるからでありましてそういう他の法律による組合は、丁度事業協同組合組合員と同じレベルにあるべきものでありますのでそういうふうに改正して頂くことが必要であろうと思います。  第三点といたしまして、組合設立手続が、現行法におきましては相当複雑でありまして設立の公告をし、設立準備会を開催し、定款作成委員選任し、そうして定款を公告して創立総会を開くと、こういうように非常に手続が煩瑣でありまして、少くとも法定の手続を経て作りますのには一カ月を要すると、こういうことになつておりまするが、併しながら中には四人、五人の極めて同志的な小人数でできる組合があり、又そういう組合のほうが協同組合趣旨に副つておるわけであるにかかわらず、非常に手続が煩瑣でありますので、この手続をもう少し簡略にして頂きたい。殊に企業組合の場合にはその組合に入ります人数も少く、全く同志的なものでありますから、こういう軍なる形式手続を踏むような規定は省略して頂きたいということを要望いたしたいのであります。  第四の点といたしまして、定款必要記載事項の中から、今度の案におきましては、出資第二回以後の拂込の時期だけを削る案になつておりますが、それ以外におきましても是非とも削除して頂きたい項目があるのであります。どういう点かと申しますると、第一には経費分担に関する規定であります。協同組合事業体でありまして、その協同事業によつてその経費を賄うというのが原則でありまして、経費組合員から徴收するという行き方は昔の同業組合のやり方でありますから、組合の本則ではないわけであります。併しながら勿論経費組合員が出さなければ賦課金を取らなければならない場合もありまするので、経費を取ること勿論結構でありまするけれども、取らない組合相当に多い、又それが原則であるべき組合法におきまして、経費分担に関する規定というものが定款必要記載事項にあるということは一つ矛盾であると思います。中には経費を取らない組合も、本組合組合員から経費を徴收せずとこういう不必要な規定を置きませんと、定款必要記載事項が洩れておるというので、定款ぞのものの効力に影響すると、こういうことがございますので、経費分担に関する規定のごときものは削除して頂きまして、本当にそれを取らなければならない組合は、なお任意的記載事項として書けばよろしいではないかというふうに考えるのでありますが、それが第一の点であります。それから組合負担に帰すべき設立費用、それから発起人の受くべき報酬の額というものも定款必要記載事項なつておりますが、これも任意記載事項でよろしいではないか、例えば、本組合発起人に対して報酬を支給せずとそういうような規定定款に置くことは、定款体裁から申しましてもよろしくありませんので、必要があればこれはそれぞれ各組合において書けばよろしいのであつて定款必要記載事項にする必要は毛頭ない。又会社におきましてもそういうふうになつておると考える次第であります。  それから定款認証制を廃止すること、これは先ほど申上げた通りであります。  第六の点といたしまして、組合理事現行法におきましては必ず組合員からでなければ選任できないということになつておりますが、これを一定の数を限度といたしまして、例えば理事総数の四分の一とか、或いは二人を限るというように限度を設けて頂きまして、員外理事選任を認めて頂きたいと思うのであります。現在の組合制度におきましては、顧問であるとか、参事であるとかいう制度がございますけれども顧問参事では十分でございませんので、やはり理事として組合に参画してもらう必要がある、而もその人は組合員でないために理事になれない、こういうことがございますので、この点は是非とも改正をお願いいたしたい点であります。中にはそういうものを設けることは組合にボスを入れることになると、こういう意見もございまして、誠に御尤でありますが、併しながら組合員全部が選挙をして行く以上、その責任組合員にあるわけでありますから、制度といたしましては、やはり員外理事を認めて頂く。中には業者組合の專務になる以上自分事業を放擲いたしまして、自分事業を犠牲にして、みずからの事業は廃業して、專心組合のためにやりたいと、こういう人もあるわけでありますが、併しながら自分事業をやめたとたんに理事もやめなければならんと、こういう矛盾も起つて参りまするので、是非とも員外理事を認めて頂きたい。  それから次は、企業組合監事はこれも任意機関にして頂きたいのであります。企業組合には現在理事及び監事を必ず置かなければならんことになつておりますが、併しながら事業協同組合のような全く同志的な、お互いが組合の中に没入するという制度の中におきましては、必ずしも監事を置かなくてはならないというものでないと思います。これは民法における公益法人、或いは有限会社と同じように任意機関にして頂くことが必要ではないか、殊に組合法規定によりまして、監事組合理事又は使用人と兼ねることを得ずと、こういう規定が別のところに置かれておりまするがそういうふうになりますと、企業組合でありますから、監事もやはり組合従業員として組合の中で働かなければならないという現実の必要に迫られる。然るに監事組合理事とか使用人と兼ねることができないというので、その監事は結局監事のなり手がない、こういう結果も出て参りますので、監事任意機関にして頂くことが適当であろうと考えます。  それから第八の点といたしまして、総会招集通知は現在発信主義であるのか、到着主義であるのか、解釈上はつきりいたしておりませんので、疑義を生じますから、これを発信主義にいたしまして、会社におけると同じように、総会通知は幾日前に組合から発してもらう、こういう発信主義であることを明確にして頂きたいと考えております。  第九の点といたしましては総代会というもの、二百人以上の組合員を持つております場合に、総代会を置くことができるのでございますが、折角総代会を置きましても、組合定款変更であるとか、役員選任であるとかいう事柄が、すべて総会の決議を経なければならん。こういうことになつておりまして、総会が開けないために総代会制度を設けたにかかわらず、定款変更も……單なる一字句修正するに過ぎないというような事柄につきましても、総代会ではできない、こういうことがございますので、総代会におきましては組合の解散、或いは合併、事業全部の讓渡というような重要な事項は、総代会がありましても総会の議を経ることが必要であると思いますが、その他の事項総代会がある以上総代会に任せるということが実情に即するものではないかと考えるのでありま正す。  それから第十の点といたしまして、事業協同組合事業の中に、組合員の債務を保証するという事業が掲げられておりまするが、この場合には必ず組合定款で定めた金融機関に対して保証をする、こういうことになつておるのでありまするが、各金融機関の名前をそれぞれ定款において指定するということは、定款体裁の上からいたしましても、又組合員がいろいろな銀行と取引いたしておりますので、その都度すべての金融機関を書かなきやならんというような不便を生じますので、「定款で定める金融機関に対して」と、こういう字句を削除して頂きたいと考えております。  それから次に、事業協同組合事業のうちで、組合員に対しましてただ資金を貸付けることは認められておりますけれども組合員預金を受入れるという事業が認められていないのでありまするが、これは是非とも修正して頂きまして、組合員預金も受入れることができるようにして頂きたいと考える次第であります。組合員貯金を預かるということは、その運用よろしきを得ない場合には、貯金者に非常な迷惑を與える、こういうことは当然考えられることでございますけれども、併しながら組合はお互い同志的なものでありまして、銀行などが一般不特定な人から金を預かるのとは違つておりまして組合役員を選挙するのも組合員でありまするし、組合員組合に対しましていろいろな面において監督する権能を持つておるわけでありまするから、自分たちの信頼する役員に、又自分たちが同志的に作つた組合預金をするということは一般金融機関預金とはおのずから性質が違つておる点であります。又組合組合員資金を貸付けました場合に、これを回收するためには、やはり預金形式を以て回收するということが必要でありまするし、又貸付ける場合には或る程度預金をあらかじめさせまして、例えば日掛貯金などをいたしまして、その成績を見て貸付けるというように、貸付と預金というものは非常に関連が深いものでありまするし、又貯蓄奨励、その他いろいろな意味におきまして預金事業というものを認めて頂くことが必要であろうと考えるのでございます。  それから次に信用協同組合につきましては、為替業務及び有価証券の拂込金の受入業務をも行うことができるようにして頂く必要があろうと思つております。  次に現在の連合会におきましては、ブロック單位の、例えば通産局以内の組合ならば経済事業を行うことができるのでありますが、その地区を超えまして、例えば全国の地区組合というような場合には全く経済事業を行うことができない。事業者団体法における事業者団体と全く同じ範囲の仕事しかできないことになつておりますが、併し零細な中小の規模の業者が作り、ました組合が仮に全国的にまとまりましても、それが独占をするとか、或いは協定をいたしましてカルテルを組むということは容易にできることではございませんし、そういう心配は殆んどありませんので、やはり零細な業者が広い範囲でまとまつて行く必要がありますので、広地域の連合会に対しましても経済事業を認めて頂きたいと思うのであります。少くとも購買事業のごときものは、どの観点から見ましても決して独占行為に亘るようなことはないのでありまして、その購買事業も認められないということは、余りに組合というものを恐れ過ぎる結果ではないかと考える次第であります。  最後に、特にお願いいたしたいと思いまする点は、現在の法律中には損害保險事業を目的といたしまするところの保險協同組合というものが認められておりませんが、これは最初この法律が国会に提案されましたときにありましたように、是非とも中小業者損害保險料を軽減いたしまする意味におきまして、この損害保險の協同組合を新らしく認めて頂く、これは業界の極めて強い要望に相成つております。  以上が大体私どもにおきまして研究いたしました結果であり、又業界、組合界の要望をとりまとめました案でございます。
  4. 深川榮左エ門

    委員長深川榮左エ門君) 只今稻川さんから詳細な御意見の開陳がありましたが、稻川さんは用事がありまして早くお帰りにならなければならないようなお話でございますから、稻川さんに対する質疑だけこの際お願いいたしたいと存じます。……別にないようでございますから、次に東京商工会議所の中小企業委員会会長で東京精密機器工業協同組合理事長である五藤さんにお願いいたします。なお稻川さんの触れられました点に重複する場合は、成るべく省略してお願いいたしたいと思います。
  5. 五藤齊三

    参考人(五藤齊三君) 只今御紹介を頂きました東京精密機器工業協同組合理事長の五藤でございます。  只今稻川さんから今度の協同組合法改正案と、将来の改正に対する要望につきまして、詳しく御証言があつたのでありまして、私のほうの言わんとすることはことごとく盡して頂いたように思つておるのであります。ただ一、二の点に関しまして、稻川さんのお触れにならなかつたことで、私どもの考えておりますこと或いは稻川さんのおつしやつたことに裏付けを申上げるようなことを、極く簡單に申上げて見たいと存じます。今度の改正案は、主として事務手続的のことが大変たくさん盛られております。殊に商法改正の結果これを準用するために、いろいろの手続法が改正せられておりまするわけであります。これらの点につきましては、日本中小企業連盟において、稻川さんが主宰をされましていろいろ研究をなさつて、詳細に亘つて意見がまとまつておるわけであります。この点を縷々お述べになつたわけでありまするので、私は極めて簡單に申上げたいと存じます。  現在の改正案の中の、定款認証行政庁に行わしむることにするということに対しまし予ては、私も同感でありまして、これは結構だと存じます。ただこれが官庁の干渉を繁くするような結果を招来いたしませんために、認証の形が実質的に認可制のような形がとられないように、うまく運用をせられることを希望をいたしておきたいと存じます。まあこれは法案の問題ではな問いと思いまするが、運用の問題と思いますけれども、そういうことを申上げておきたいと存じます。  もう一つは、監事権限を会計検査に限定をする、これも大体においてそのイデオロギー的な面においては同感でありまするが、稻川さんも触れられましたように、協同組合は少数の同志的団結によつてこそうま運営のできるものでありまするので、何らかの除外例を設けて頂きたいような気がいたしますわけであります。殊に企業組合のような極少の業者の、少数の同志的結合によつて沒人的な運営を必要といたしますような場合は、監事が他の仕事に携われないために、組合員でない監事を雇わなければいかんというようなことに隔りまして、実質上経経的な運営ができないといつたような実情に追込まれるような場合もあるのではないかと思われますので、この点は考慮を拂われる必要があるのではないかと存ずるわけであります。  次に行政庁が報告を徴し検査をなし得る場合のことも、大体において御同解によつて組合員からの申出がない場合でも、何時でも検査ができるということになつているようでありまするが、これはむしろ組合員から不服の申出があり或いは検査の請求のあつた場合に、行政庁がこれを行うことができる、こういうふうにせられたほうが、官庁の干渉を少くするという考え方からいいのではないか、こういうふうに私は考えるわけであります。以上が監事に対し帳簿書類の閲覧又は謄写を求むることができるようになつておりますが、これも又組合民主化の精神から申しますと、誠にいい規定であると思うのでありまするが、ただこれを無制限にこの権利を行使いたしまするというと、ときに組合の混乱を招く嫌いができるのではないかと恐れるものでありまして、少しこれは但書を付けて頂いて、理由を附した書面を以てこれを請求して、その理由による帳簿書類に限つて閲覧謄写の請求ができる、こういうふうな但書を付けて頂くことが、組合運営を円滑ならしむるために必要ではないか、このように考えるものであります。  まあ現行法に対する私の特に考えておりますことはこの程度にいたしまして、次に将来の改正要望申上げたいのでありますが、全国連合会経済事業を許して欲しいという御説は、これも私全く御同感であります。このためにトラスト、カルテル的の弊害を起さないであろうということは、稻川さんのおつしやつた通りであります。これを理論的に申しましても、中小企業の団結権によりまして、大企業が全国に支店を持つているような経営体に中小企業が対抗して行くというような理論的根拠からも、これは必然に許さるべきものではないか、こういうふうに私は考えるものであります。この法律のできました当初におきましては、経済民主化の初期におきましてこういう制限が必要でありましたでしようが、今日におきましては……一応経済民主化の軌道に乗りました今日、今後の日本経済の発展が中小企業の振興に負うところが多くなければならん観点から、こういつたような制限が緩和さるべきではなかろうか、こう考えるものであります。急速にこれが困難でありまするならば、せめて連合会の地域が行政管轄区域を超えて、二つの行政管轄区域に跨がつておる場合でありましても、公正取引委員会が、その地域間は密接な経済的な関係があると認めた場合に、経済事業行い得るというような但書ぐらいは、せめて付けて頂くことが差当り必要ではないか、こんなように考えるものであります。それから従業員の制限を超える組合でも、公取が実質的に中小企業と認めた場合は、独禁法の非適用組合と認めるということを明文化じて頂きたいように思う次第であります。で、今日大企業に関連する下請工業の中で、協同組合組織が発達をいたしますような状況が見られるのでありますが、これらの場合に下請工業なら下請工業として一つのグループを組んで親工業と取引をする、こういうやり方がいいのではありまするけれども、ややもすると対立的な形が起る嫌いもないではないかと思うのでありまして、むしろ親工業、下請工業を打つて一丸とした協同組合が当然法規上作り得るということにいたしましたほうが、今後の経済を円滑に運営するゆえんではなかろうか、こんなふうに考えるものであります。で、預貯金の受入れ斡旋を認める問題も私同感であります。納税貯金を預かるなんということは、国家の施策に協力することではあるけれども、これは行えない。殊に先ほど稻川さんの触れられましたように、金融の斡旋等の場合にはどうしても預貯金を預かる必要が生じて来るわけであります。今日の協同組合の使命の最も大きな一つであります金融斡旋の事業に、この制限がありまするので、非常に制約を受けておる、こういう点から考えまして、是非ともこれは認めて頂きたいと思います。それから保險協同組合をもう一度法案として出して頂くということも私ども同感であります。で、稻川さんは先ほど料率の安く扱い得る点、中小企業の振興の必要性を述べられたわけでありますが、又これの安全性から申しましても、決して営業保險事業と譲らない安全性を持ち得ると思うのであります。それはおのずからこの業種、業態別の保險組合ができまするならば、櫛比した町において軒並みに保險をつけるということで、比較的安全性も固く運営ができる、こういうことが考えられると思う次第であります。又一つ協同組合で共済事業ができるということを一つ明文化して頂きたい。で、この点に関しましては、実際現在共済事業を行なつておる協同組合が多々あるのでありまして、これが法律上許される行為であるかどうかということに非常な疑義がありまして、中小企業庁あたりへ伺いを立てておる点もあるのでありまして、大体差支えなかろうというような御回答も頂いておるようでありまするけれども、せめてこの保險協同組合法ができますまで、これを協同組合法の中に明文化して頂きまして、これを公然とできることを周知徹底せしめることが必要ではないか、そういうふうに私は考えるものであります。でこの際、事業協同組合範囲外でありますが、信用組合の問題でありまして、近く信用金庫法も実現をするように承わつておるのでありますが、この信用金庫法が実現いたしますというと、これの選に洩れました信用組合は員外利用のない信用組合になるわけであります。その場合に組合員の最低限度を三百人以上、出資を五百万以上というふうな枠をはめられておるようでありまするが、極く小さい信用組合はむしろ企業組合のような沒人的な同志的結合によつて行う、うまく運営ができるのではないかと思いますが、この最小限度をずつと引下げるか、或いはこれを撤廃して頂きたいように考えるものであります。これら企業組合組合員の加入の場合に、或る程度の制限を認めることを規定をしたいと思うものであります。加入脱退の自由を認めますことは、民主化の線に沿つた誠に結構な規定であると思うのでありまするが、脱退は勿論制限をすべきではないと思うのでありまするが、同志的結合という面から自由なる加入というものには、時に組合の混乱を来たすような加入も拒めないというようなことになりますのであります。これはいろいろの制約を付けることができるという苦しい解釈をしておる現状でありまするけれども、これを法文上明確にすることがよりよいのではないかと、かように私は考えるものであります。  それからいま一つ企業組合組合員事業分量に応じて割戻す配当は、課税上損金と認めることを明文化して頂きたい。企業組合の税務の取扱についてはいろいろの議論が出ておりまするし、紛議も起つておりまするのでございまするが、これらの点を一つ税法上明確にすることが今後の企業組合の発達に資するゆえんではないかと、こういうふうに考えるものであります。この組合法改正案に対しましての意見は、以上の程度でございまするが、昨日御連絡においでを頂きましたかたが、この折に中小企業振興に対する要望も述べてくれという、こういう御要望でありましたから一言触れさして頂きます。中小企業の振興策の大事であることは、今更申すまでもないわけでありまするが、これを大別いたしまするならば、税の問題と金融の問題と、経営合理化の問題に盡きると思う次第であります。その中の税の問題を二三ちよつと申上げて見たいと思いまするが、只今同族会社の保留所得の課税を、七%から五%に二十六年度予算において引下げられることになつておるようであつりまするが、これは一般法人の保留所得の二%課税を撤廃せられることにバランスを合せまして、こういうことを計画せられておるようでありまするが、資本蓄積の叫ばれており、ます現在におきましては、中小企業の振興のためにこの保留所得の課税を是非とも全廃さして頂きたいと私は考えます。この点について大蔵当局に意見を聞いて見ますると、いうと、個人所得税の課税率と非常なるアンバランスになるので、それは困難だということを言われるのであります。その点に関しまして私は個人所得の中でも資産所得と企業所得とあるわけでありまして、この企業所得の中の企業中の保留所得の分に対しては、よろしく法人税並みに税率を軽減すべきだと私は考えております。中小企業の大部分は個人の経営であると思うのでありまするが、この個人経営の所得が資産所得、企業所得も同一に見られまして、非常に税の上に圧迫を受けておる。それにバランスをとるために同族会社の保留所得税の撤廃を困難ならしめておると、こういうことを考えますならば、両方の問題を一括して考えまして、個人所得の中の、企業所得の中の保留しました保留分に対しましては法人並みの税率に軽減すべきであると考えるものであります。それからその一つは、同族会社の株の評価が現在富裕税の徴收とからみまして、実際に行われておるのでありますが、これが甚だしい不均衡な評価を徴税当局から受けておる実情であるのであります。昨日も商工会議所の会合におきましてその一つの実例を聞いたのでありますが、一機械工業の中におきましてその株の評価を、税務署によつて五十円の株を二千五百円と評価された実例がある、併し同じ程度の含み資産を持つている大企業の市場上場株の機械工業の株は額面を出たり入つたりしている程度の評価を受けている。これは資産上取引所上場株の値段で評価をせられる。中小企業なるが故に上場株でないから、それが二千五百円にも評価をせられる。又地方の小さなデパートの株が、当然な評価をいたしますと百円か百五十円くらいの含み資産の評価でありますものを千円と評価を受けた。非常にそれは不当だというのでだんだん交渉をいたしました結果、それでは君のほうで公正だと思う値段を出して見ろ、但し東京における三越の株を下廻つては絶対に認めない、こういうことを税務署が言つている。こういうような実情を実は昨日商工会議所で聞いたのであります。こういつたようなアンバランスを税の上で行われておりますということは、中小企業の振興を阻害する大きな問題であろうと思いまするので、これは是非とも適正を期せられなければならんことではないかと思います。  それからいま一つ、償却不足額の繰越を認めて頂きたいことであります。企業のうちで或る期におきまして利益が少くて、法定償却をなし得なかつた場合には、その不足償却額を後期に繰越して償却ができるということを税法上作つ頂きたい。  いま一つは、棚卸資産に一割程度の含みを許容するということを認めて頂きたい。それから機械類の耐用年数の短縮を、今資本蓄積の観点から大蔵省で委員会を作つて審議しておられるようでありまするが、非常に細分化しまして表を作ります関係上、十八年の耐用年数で償却を許されておつたものを、二十三年に長期化するという案が当局から出されているということを聞き及ぶものでありますが、これなどは資本蓄積の観点から逆行するものでなかろうかと思うのであります。耐用年数の短縮は、いわゆる短縮に徹底しなければり資本の蓄積の可能性が極めて薄いものである。このように考えるわけであります。一連のこういつたようなものを併せ行うことによりまして、現在の至上命題でありますところの企業内の資本蓄積というものが初めてできるのではないか、このように考えます。  それから金融の問題につきましては、中小企業專門の地方銀行がぼつぼつあちらこちらに生れつあるようでありまするが、これは是非とも促進を図るような施策を講じて頂きたいと存じます。中小企業金融に関しましては商工中金あり、信用組合あり、無盡あり、或いは市中銀行の專門店舖がありますけれども、それぞれ性格に制約を受けまして、中金のごときは組合金融でなければできないという法令上の制約がありまするし、無盡、信用組合は余りに少額の資金しか取扱えない、全国平均におきまして約七万円、東京平均におきまして十一万円の貸付しか行われてないという実情に鑑みまするならば、中小企業の真に必要とする五十万円程度資金の出所が非常に少いのであります。そういう面から中小企業專門の地方銀行是非設立せられたいと思う次第であります。これに関しまして独禁法の関係で、金融機関がこれらの新らしくできます株式の所有を阻まれている現状がありまするので、この点は事業者団体法に独禁法の関係におきまして緩和規定ができますことを希望いたしたいと存じます。  それから見返資金の融資を、長期運転資金一つ拡げて頂きたいということであります。これは現在の国際情勢の下におきまして、いわゆる資材の備蓄輸入を政府は懸命に図つておられますのでありますが、各企業におきましても一定期間のランニング・ストックを持つているということはどうしても必要なことでありまして、大企業におきましてはそれぞれの金融機関に連絡をとりまして、大童で資材の買漁りをやつている隠れなき事実がある現在であります。ところで中小企業にはそういう意欲はありましても金融の途がない、こういう点から考えまして是非とも見返資金の長期運転資金への放出を希望したいと思います。これは設備資金に限つての放出が許されておるのでありますが、一面におきましては現段階の日本経済の睨み合せにおきまして設備の拡張は極力避けるべきだという指導が中小企業庁あたりで行われておりますることから考えまするならば、設備資金としてたくさんの運用がしかく容易ではない、事実昨年の暮以来たくさんの余剩が生れまして、日銀のほうに眠つておる状態であると聞き及んでおりますが、この際は是非とも長期運転資金にこれが放出せられるように願いたいと私どもは熱望をいたしますものであります。  それから信用保險の保險限度の引上げもできないかと考えるものであります。現在七五%の保險を付せられることになつておりますが、これ又周知のごとくなかなか促進が図られない、年度内三十六億の貸付をせられる予定で進んでおられますけれども、必ずしも容易でない。殆んどこれは不可能ではなかろうかと考えられます今日、やはりこの保險限度が低いということもその一つの原因になつておるのではないかと存じますのでこれを経営上ペイする、コンマーシヤル・べースに乗せるようなアイデアによつて政府運営せられますというと中小企業の振興策にはならん、よろしく多少の損失を政府が覚悟せられてやつてこそ中小企業の振興策になるのではないか、こういう面から九〇%或いは一〇〇%の引上げができまするように改正が願いたいものと存ずるのであります。  経営合理化の点を一、二点、二十六年度予算におきまして工業技術庁に技術奨励の補助費が四億五千万組まれておるようでありますが、それに対しまして特許庁に対して同じ予算で僅かに八百万円しか組まれてないのであります。工業技術庁におきましては大体研究の終りました工業の実施化資金に対しまして補助が與えられておる現況のようでありまして、これは主として塩化ビニールの新らしい工業というようなふうに、長期企業の実施化資金に対して多額の補助が與えられておる現状であります。でありまするから金額も四億五千万というふうになつておりますが、特許庁におきましては町の発明家を掘り出しまして無から有を生ずるような小さな発明に補助を與えるということをやつておるようであります。それに対して僅かに八百万円の補助費しか計上せられていない、少くともいま少しく訂正されまして、中小企業の明日の発達のために無から有を生ずる特許の補助等をもう少し増額して頂きたい、かように考えるものであります。協同施設の補助も年額二億円と承わつておるのでありますが、これももう少し全国的な面におきまして殖やして頂きたい、それから補助の手続が如何にも煩瑣でありまして、三分の二は自己資金で賄つて、三分の二できたときに初めて資金放出の請求ができるというような余りにも嚴重な枠がはめられておりますので、事実協同施設を進めます上に非常に不便を感じ、やり得ない面がありますので、これも簡素化するようにお願いを申上げたいと存じます  最後に甚だ私の奇矯な議論でありまするが、今日の経済の段階が、いわゆる税によります政府の強制蓄積を考えました戰後の経済界の推移に鑑みまして、今日におきましてはとにかく一先ず安定の方向の軌道に乗りまして、今後ば企業内の自己資本の蓄積を至上命題と考えなければならない段階へ参つておりますので、これを容易ならしむるために一つ経営報賞制度を創設して頂きたい。或る企業が最も優れた才能を持ち、最も勤勉な当事者を持ちまして、非常な利益を上げましたような場合には、一定率の利益は控除いたしまして、過剩利益に対しましては、まさに国家の要請する資本蓄積に協力したものとして、それによつて徴收せられる税の半額ぐらいは補給をするという制度一つ考えて頂きたい。今日有能な経営者がありますならば、多く儲ければ儲けるほど税は過重にかかつて来るというようなことで、怠惰にもなりましようし、或いは少し何とかしてカムフラージしようというようなことも考えられましようし、あらゆるアンバランスがこの面から生れると思うのであります。まさに国家の期待する資本蓄積に逆行しているものであると思いまするので、有能なこれらの者に対しましては、相当の国家の保護が與えられますことによつて、こういう企業が一つ一つと殖えて参りまして、すべての経済界の繁栄が導かれますようなふうに施行せられます配慮が與えられたいと存ずるものであります。  甚だ長くなりましたが、私の証言を終ります。
  6. 深川榮左エ門

    委員長深川榮左エ門君) 只今中小企業振興に関して言及されましたが、この問題はあとで触れたいと思います。差当り協同組合法に限定しようと思うのでありますが、その意味におきまして鹽澤さんから御意見の開陳をお願いいたします。
  7. 鹽澤達三

    参考人(鹽澤達三君) 先ほど来稻川君から協同組合法改正に対することを申上げ、又五藤君から振興策につきましていろいろお話がありましたので、もう私どもとしては附加えて申上げることは殆んどないのでありまして、その点は同じことをやはり繰返すような形になりますので、ただ振興策のほうのことにつきまして、あとで又申上げる時間が許されまするならば、少しく私ども実際に組合運営している者として、苦しんでおる点を実は申上げたいと思います。その規約のほうの改正につきましては、すでに申上げた通り、この通りに私どもも実際にそれに参加して作つたものであります。別に変りがありませんから。
  8. 深川榮左エ門

    委員長深川榮左エ門君) 次に川端巖さん、御意見の御開陳を……。
  9. 川端巖

    参考人(川端巖君) 私は東京信用協同組合專務理事の川端巖でございます。私の証言いたしたい事柄は、金融に関して協同組合範囲に限定して申上げたいと存じます。  今日の中小企業問題が、その解決が協同組合にあり、又協同組合の問題は多く金融という点に焦点が置かれており、この金融問題を解決することによつて中小企業問題も協同組合問題もかなり相当な部分が解決とでも申しまするか、すると考えますので、この中小企業問題について特に特別の御配慮を願いたいと思いまするが、最近の問題といたしましては信用金庫案というのができるということであります。又併せてこの信用協同組合改正ということがありますようでありまするが、元来が、もつと抜本塞源的に申しまして、今日の中小企業金融というのは、産業政策と全く反対の方向を走つているのじやないかということが考えられるのであります。産業上から見ますると、中小企業は大体六割とか七割とか、それ以上というような産業上の地位を占めておる。然るに金融のほうにおきましては大体二割見当である。中小企業が融資されている部面は二割である。二割の金融を以つて日本の六割、七割の産業をこのままでやつて行くということに対しては、政策的にもつと方法が講じられなきやならん、かように先ず考える。この点が根本的に解決されない限り、このいろいろの組合法の端をいろいろと改正しましても、なかなか根本的な解決がむつかしいだろうと、かように思いまするが、併しなおこれらの点につきまして私の存じますることを申上げますれば、この信用金庫案というのは、大体現在の信用協同組合が甚だ不信用である。不信用であるが故に信用あるものを、新たに金庫案というものを作ろうというように承わつておりまするが、まあその他のことなんかも多少事情がいろいろ附帯的にありまするが、主たる目的はそういうところにあると存じます。この金庫案というのは大体どういう意味合いのものであるか。今日この金融業務に限りましては資本の集中、大企業中心と、これがまあ銀行の、一番この経営の焦点であつて、そして金融に関する限りはどうしても合理化とか何とかいうことが資本集中になつて、大銀行主義になつておる。それを先ほど申上げましたような中小企業のためには、どうかこの中小企業に向くような金融機関協同組合等の方法を用いまして進めて行くことが必要であろうというのでありましてで、協同組合の金融事業の免許制度という問題もこの点にかなり関係があると思いまするけれども、金庫案ということは 一切その大企業は銀行がやる。そして協同組合というものは、協同組合の線によりまして、この中小業者の相互扶助の線において国家がこれを補助してやつたならば、それでよろしいじやないか。で、中小企業のためには協同組合も信用事業をやり、産業の合理化、集中のためには銀行に行くというような傾向がありまするならば、その傾向の意味におきまして協同組合制度をもつと監督を強化して、そうして改善して参りますれば、大体金庫というものを作らなくても、その中間的なものを作らなくてもよろしいじやないかというように考えるのであります。  更にこの協同組合の、長年、私は商業組合、工業組合のほうの体験を約三十年間持つておりまして、そうして商業組合、工業組合の金融事業につきましても相当の体験を持つておるわけでありますが、商業組合、工業組合の金融事業もすでに許されておつた時代が相当年数あつたわけであります。然るに金融上におきましてはそれほどに大きな実績を残さなかつた。何がその実績を残さなかつたかということの点でありますが、これは要するにこの業種別ということと、地域制ということが問題になつておつたと、それで業種別金融と申しますれば、結局全国組合であれば全国に組合がある。それから一府県單位でありましても一府県單位の組合がある。長野県、新潟県、これは一つの信用組合を置きましても、商業組合、工業組合の金融事業を始めましても、それが数つ時間を費して行かなければならないというところでは、預金に行くことは殆どできない。預金ということは距離性というものが金融業務の絶対要件のように考えるのでありまして、従つて先ず一丁先に銀行がありますれば、一時間も電車に乗つて行くところよりは一丁先のところへ預けるということは、これは当然のことでありまして、預金は従つて距離性というものと離れない。従つて商業組合、工業組合の業種別金融というものがなかなか伸びなかつた。ただ、後ほど申上げまするけれども、例えばこの協同販売とか協同購入とか、或いはその他の事業をやつておりまするときに、その事業関連制においてその事業と併せて兼営するという面におきまして相当な成績を示しておつたのが、今日までの商業組合、工業組合事業の成功したというのは殆どそれでありまして、それ以外のこの一般的なものにおきましては、これは市街地信用組合になるわけでありまするからして、そのような 発展はいたさなかつた。かようにまあ私は考えるのであります。従つてこの企業協同組合にこれから預金の受入れをさせるということを認めるということは、これは勿論先ほどお話のありました通り結構なことであつて預金の受入れは認めるが、これはおのずと範囲があつて組合事業というものと併せ行うという範囲、そうして又対象を、取引の対象を特に組合員に限定して行くという場合において、非常に効果的な範囲においてお認め願うということが法律改正上必要だと思いますが、併しながら一つ銀行業務のように金融業としてそれのみを業務とする場合、到底そのような業種別に、組合員が五十人や百人くらいの組合で金融業務などということはできない。少くとも数千人の人が預金者になつて、そうして又その中から入用の人があつたらその人に貸出するということにならなければ、金融業務としての事業ができないのでありまして、金融業務は信用協同組合としてこれは專門的なものでなければならない、かように存じますわけであります。更にそういう意味合いにおきまして、区協同組合法を信用組合のほうにつきまして特に改正して頂きたい点がたくさんあると存じますが、現在の協同組合法におきましては、七十六條に一カ條だけ「信用協同組合は、左の事業を行うものとする。」と書いてありますが、それ以外に中小企業等協同組法の適用とか準用とかいうことがありますが、中小企業協同組合は自由主義の、民主主義の立場に立つて設定されておりますのに、中小企業の預金者保護ということについて甚だ欠けるところが多いのであります。中小業者の金融は、どうしても預金者保護ということが絶対に監督的に強化されなければならないと思います。従つて免許制ということと無免許制、免許の要らないという考え方におきましては、これはやはり免許制を置いて、そうして政府監督相当届かなければ、今日の信用組合がいろいろと取付けとか或いは整理というような段階になつて不信用を招く、この不信用を招くことの原因には、やはり監督の必要がある。勿論これに対しましては民主主義の建前から申しますれば、潰れるような不信用のところに預けたのはお前の責任だと言われてしまえば、それはそれでやむを得ないのでありますが、それはそれといたしまして、やはり制度的には健全なる金融業務に関する限り、金融業としての適当なる監督規定があるこりとが当然ではないか、かように存じますので、信用組合については出資に関する点、或いは積立金に関する点、或いは役職員に関する人の問題、或いは選挙方法、それから預金に対する方法、それから貸出に対する一つの、例えば最近の信用組合が破綻をいたしましたのは、一組合員に対して非常に大きな金を貸したということがありますが、こういうようなものも貸出についても必要である。或いは資金の運用であるとかいうようなことが監督是非しなければならないのに、今日の中小企業等協同組合法についではこれが協同組合のほうの任意的な取扱に放任されておる。かように考えるわけであります。  それからなお今日の協同組合法では、員外利用ということが殆んど認められておらない。従つて今日の信用協同組合の取扱いを見ますと、組合員に限る、組合員でなければ預金は認めない、預入れをしてはならないし、貸出をしてもならない、こういうことが殆んど決定的に行われておる。これは是非預金の吸收くらいは員外利用を認めるようにして頂きたい、かように考えるわけです。かようにいたしまして、これは結論的に申上げますれば、要するに今日の金融という面から見る限り、集中と合理化は絶対避けられない。従つて中小企業の金融については信用協同組合をもつと強化して、そうして一般の信頼を繋げるよりに、預金者の信頼を繋げるような信用組合を作つて、そうしてこれに対しては免許制を採用して、政府監督相当に行なうということが必要であろうと、従つてさようなことがこの中小業者の相互扶助の建前から認められまするならば、信用金庫というものは何の意味を持つもつのということについて甚だ疑わしく考えるような次第であります。  以上で大体私の申上げることを終りましたわけでありますが、ただもう一言この金融事業以外の組合法改正の点をちよつと一言……、先ほど来の何についてちよつと申上げますが、改正案の中に、代理人を五人ということになつておりますが、代理人五人ということは、結構でありますけれども、これは十人ぐらいの組合の場合には、一人が五人の代理権を持ちますと、全く絶対権になるわけでありますから、これは数を、協同組合の、百人とか二百人という線を引いて、それ以上の場合に限つて五人、それからそれ以下のものについてはやはり従来の通りで差支えないのじやないか、かように考えます。一言申添えて置きます。以上で終ります。
  10. 深川榮左エ門

    委員長深川榮左エ門君) これで参考人のかたの御意見は殆ど拜聽いたしたと存じます。  次に政府側から現在の協同組合の現状、或いは組合法改正意向と、只今の参考人の御開陳の回答をも兼ねて御説明をお願いいたしたいと思います。
  11. 首藤新八

    政府委員(首藤新八君) 今回の協同組合法改正の要点は、先ほど来参考人の言われたように大体十点の改正を目途といたしているのであります。然るに先ほど来鹽澤氏並びにその他の参考人の御意見を承わりますと、大体においてこの改正案につきましては御賛成のように承わつたのであります。ただこの間、理事会を従来の通りの方法でやつてもらいたいということと、監事権限をこれも従来の通り、一経理面で限定せず、他の事務の面にも及ぼしてもらいたいという御要請のように承わつたのであります。  一つ理事会でありまするが、これは今日まで組合には理事会という表現の明文はなかつたのでありまするが、併し実際問題といたしまして、理事会というものは如何なる組合もこれを持つておつたと考えるのであります。理事会のない組合は恐らく私はないのじやないかと思う。そうしてその理事会過半数の賛成があつたときに最終的に決定するということは常識的な行為でありまして、今回この理事会を明文化したということだけでありまして、内容には何ら相違ないのであります。或いは先ほど稻川参考人のお説によりますると、小さいことも一々理事会に諮らなければならん、非常に煩わしいという御意見のように承わりましたが、これは若干稻川氏がこの解釈を間違つているのじやないか、要するに我我の見解は、今日までの組合理事会の運用そのものを認めているのでありまして、同時に又その権限も同様でありまして、小さいことは恐らく理事会において、これこれの範囲のものは理事長或いは專務理事というもので行使するのだということは、一応これはきまつていると思うのでありまして、ここに理事会というものを明文化いたしましても、それがために運用上には何ら相違がないと考えておりますもので、むしろ理事会というものをはつきりいたしたほうがいいのじやないかと考えているのであります。  もう一つはこの監事権限でありまするが、これも解釈の如何でありまして、従来監事一般事務までも監査する、要するにそういう面から、監事によりましては、理事よりも上だと、理事のしたことを監事が監査をするのだというようなことを考えておる監事もあるのでありまして、組合運営如何によりましては、むしろ監事をそういう面まで権限があるということにすることによつて、却つて弊害が多いのではないか。むしろ監事はやはり会計のみの監査でありまして、事務の面におきましては理事長或いは專務理事その他がやはり直接監督するほうが適当ではないかというふうに考えておるのでありまして、恐らくこれを実行いたしましても、弊害はないのだというふうに考えております。  なお只今川端さんの御意見でありまするが、代理権の五人以上という……。成るほどこれは御指摘の通り十人とか少数の組合でありますれば、お説のようなことになる虞れもなきにしもあらずと考えます。従つてこの点は一応検討いたしまして、その結果が御希望に応じ得るかどうかわかりませんが、成るべく御希望に応ずるような方法をとつて見たいと、かように考えておるのであります。  なおこの訴訟問題につきまして若干御意見があつたようでありまするが、これも大体これでいいのではないかというふうに考えております。なお今後のありかた、できるならば改正して頂きたいという事項、これは稻川さんなり五藤さんなり詳細な御意見を承わりまして、非常に参考になる点もたくさんありまするし、又実質的に御意見の非常に妥当であることも多々あるのでありまするが、いろいろな今までの歴史的事実、或いは又それを修正することによつて他の方面に及ぼす影響等々も相当あるかと考えますので、愼重にこれらの問題を検討いたしまして、実行できるものに対しましては、速かに実行に移すという方針に進んで参りたいと考えておるのであります。更に又この五藤さんの振興策の面も、これ又非常に愼重に検討する必要があり、特に富裕税の問題或いは又同族会社の留保の問題等々、特にその必要を痛感いたすのであります。早急にこれらの問題を愼重に検討いたしたいと、かように考えております。
  12. 深川榮左エ門

    委員長深川榮左エ門君) 委員のかたの御質問はありませんか。  なお本日政府側から出席しておられますのは中小企業庁長官の小笠公韶君、それから中小企業庁振興部長の記内角一君、公正取引委員会事業者団体課長遠山親文君、三氏が御出席なつております。
  13. 境野清雄

    ○境野清雄君 細かい質問はあとでしたいのですが、今次官から説明がありましたようで、参考人のかたのほうからのお話では、定款の問題だとか監査、検査というような問題が、大体政府のほうの権限が強過ぎるから、これの運行如何によつて相当行政庁としての権限を振り廻されちや困る、こういうような大体お説のように私は承わつたので、たまたま今次官の御説明では、大体その程度でいいのじやないか、まあ訴訟の問題にしてもその程度でいいのじやないかと、これはその程度でいいにきまつているので、閣議で決定したわけですから、この程度でいいにきまつているでしようが、ただ專門家の中小企業庁長官も来ておられるので、これはあなたのほうからこの案を出したものがそのまま呑まれたものか、或いは中小企業庁としては、こういう点は強調して見たのだが、たまたまそれは閣議でそのほうは受入れられなかつたのだというような点があつたら御説明を願いたいと思うのですが。
  14. 小笠公韶

    政府委員(小笠公韶君) 只今境野さんからのお尋ねの点でございますが、実は協同組合法改正は、これで制定以来第二回目であります。それで改正するに当りまして、私ども実はこういうふうなことを考えたのでございます。この法律ができましたときに、非常に現在の他の協同組合法に比較いたしまして進歩的なのであります。例えば認可主義をとり、行政庁監督権限というものが直接及ばない。飽くまで準則主義というので、経済の民主化という線の一つの連関的な考え方で行つたわけであります。ところがその後の施行の状況から見てみますと、いろいろな点で実は非常に不便になつたのであります。先ず当初考えましたのは三点を中心にして考えたのであります。  第一の問題は、いわゆる自由設立設立に当りて認可制をとらない。農業協同組合とか水産業協同組合とか、爾余の協同組合が認可制度をとつておるのに、これはとらなかつたのでありまして、これを中里に当初の定款が正しい、法令に違反しないのだという確認行為を公証人にとらせるというだけで進めたのでありますが、その後の運用状況を見てみますと、協同組合法と申しつまするか、そういうふうな考え方、協同体に対する認識がまだ十分に徹底せずに、一部の人々の指導によつて、言葉は惡いのでありますが、これが利用されておるという傾向が実は出て参つたのであります。一例をとりますと、一部の人によつて多数の人の同意を得まして、例えば第一回の拂込金を集めて廻る。そうしてこれを極く一部の人に融資して廻る。貸付をして廻るというような形のものが若干出て参つたのであります。そうしますと、善意の組合員の利益を害するというふうなことが出て参りまして、これではまだ日本の中小企業の現状から見ると、自由なる判断の下に自由なる設立をするのはちよつと早いのではないか。もう少し組合制度に対して行政庁との関連を附ける必要が起るのではないか。必要があるのではないか。こう考えまして、公証人の公証制度行政庁との関連を附けて行くというようにしたらどうかと考えたのが一つであります。ただ行政庁認証制度という新らしい制度でありましたので、認可、許可と違いまして、法令に違反しない限りは認証をしなければならんのでありまして、そこに自由裁量の余地がないのであります。そこでこの制度によつて地方行政庁組合設立の指導というふうな手掛りというものを與えて行つたらどうかというふうな考え方で改正の第一点を考えたのであります。  それから第二点は、これは中小企業等協同組合法と申しますか、いわゆる協同組合による金融制度の問題でございまするが、いわゆる信用協同組合制度が、ああいうような形で動いておるのでありますが、この協同組合による中小企業の金融の限度という問題につきましては、先ほど川端参考人から御意見もありましたが、実はいろいろその限界において問題が多々あると思うのであります。ただ最小限今日の中小企業の一つの大きな問題は資金の問題でありまして、資金を預けるよりも借りる、如何にして資金の融資を受けるかということにあるのでありますが、その際にできるだけいわゆる返済を確実にする、或いはその人の信用振りと申しますか、誠実振りを見るというような意味において、補助的な意味においてこの資金の貸付事業の裏打としての預金の受入れを認めて行く必要があるのであります。飽くまで二義的な意味においてこれを考えたのであります。ところがこの問題につきましては、現在の金融機関当局の意見といたしましては、金融は飽くまで金融機関、いわゆる金融機関の線で行くべきだというふうな強い御意見があつたのでありまして、そういう点からこれを取やめることにいたしたのであります。で、これは私は事情が許すならば今後どうしても、強い金融疏通の、意義を持つとは思いませんが、二義的な、補助的手段としての意味におきましてこれを認めて行く必要があるというふうに考えておるのであります。これが改正案の第二点。  第三点の問題につきましては、現在の組合制度の事情が、先ほども申上げましたように、飽くまで自由なる運営を期待いたしておりましてさ、行政庁との繋りにおきましては組合員からの申出がなければ、積極的に行政官庁はその報告を取つたり或いは検査をするというふうなことができないようになつておるのであります。ところが先ほど申上げましたように、未だ自由な形、自由な判断において正当な組合運営がまだできにくいという事実が出て参りましたので、特定の場合に限つて積極的に行政庁組合の事情を聞いたり検査をして持つて行く。そのほうが却つて組合の健全な発達を所期する上において適当ではないかというふうな考えかたに実はなつて、そこを改正いたしたい、こう考えたのであります。従いまして、行政庁の干渉を繁くする筋を開くというお話があつたのでありますが、これは一定の制限の下に法令、定款に違反するとか或いは他の一般組合員の利益を害することを認めるというふうな、一定條件の下においてのみ積極的に行政庁が指導し得るというふうな形に実はいたしたのであります。経済民主化の線から申しますと、そこまで改正することは、どちらかと言うと遺憾でありますが、そういうほうが却つて健全な組合制度の発達であり、全体的な中小企業の振興に役立つと考えたのでそういうふうにいたしたのであります。  以上三点が主たる狙いで実はあつたのでありまするが、残つておるのが二点であります。あとは事務的な小さな点が残つておりまするが、これは飽くまで事務的な都合に過ぎないのであります。  それから七月の一日から改正商法が施行せられることに相成つておるのでありまするが、新商法のことにつきましては詳しくは存じませんが、つ今度の新商法につきましては株主の権利が非常に強化された。同時に又取締役会権限が非常に強化されて参つておるのであります。でこの際に協同組合法におきましては、旧商法規定を非常にたくさん準用乃至適用いたしておるのでありますが、改正規定をそのままに持つて行くとついうことが、組合制度の上から見てどうであろうかというふうなことを考えまして、その改正商法規定を、最小限、組合制度の実態を維持するに必要なだけの特例を設けたい、こう考えたのがこの趣旨であります。ただこの際にざつくつばらんに申上げますと、非常にむずかしい問題がございまするのは、現在のような協同組合におきまして株式会社としての法人、法人と組合制度の経済的実態の差異をどこに認めて行くかという問題が非常にあると思うのであります。従来組合としては、協同組合は資本と人との繋りを根抵とした一つの経営体だと考えられておるのでありまして、特にこれが平公共的性格を持つ法人格であると言われておるのでありまするが、新らしい中小企業等協同組合法の考えかたは、その半公共性というふうな点は比較的薄くなつておるということは、従来の商工協同組合法その他に比較して見て考えられるのであります。そこでいわゆる会社組合の実態の差異をどこに認めて行くか、そのニュアンスによつて改正商法の適用をそのままするかしないかという問題がいろいろ起つて参るのであります。実はこの点は経済專門の人たちがおつしやいますと、いろいろな議論が立つと思うのでありまするが、少くとも日本の組合制度というものは、直接にそれ自身の利潤を追求しないという、間接的な、いわゆる協同的な体制によつてその構成員の利益の増進を図つて行くというところにあると思うのでありまして、その協同組合という形態を通じて協同の利潤を追求するということは、一面におきまして人と人との繋りということを一つの大きな本質にしておることも否定できないのでありますので、そこで人と人との繋りの関係の特色を活かす部面についてのみ特例を認めるというふうなことに実はいたしたのであります。  なお、小さいことでありまするが、いわゆる組合制度運営上、できるだけ円満な組合制度の運用を図つて行き、そこに我々の立場だけで事を処して行かないというふうな配慮を一部加えたのでありますが、そういうふうなことで商法の準用の特例を規定したのであります。  なお一つの問題といたしましては以上申上げましたような考えかたのほかに、従来中小企業の振興の第一線の監督官としての府県当局の意見というものを、これは府県当局からの要望として、本中小企業等協同組合法施行以来提示されておりました大きい一つの問題は、いわゆる中小企業筆協同組合法による組合行政庁との繋りが何もない、先ほど申上げたような点で、そこで認可制度をできるだけ復活しろという要望が一昨年から非常に強かつたのであります。最近各府県当局におきましても、予算の許す範囲内において補助金その他を交付いたしておるのでありまするが、なかなかいわゆるその実態がわからない。いわゆる補助金を欲しい人だけ出て来る。或いは又出してしまつたあとは余り顔を出さないというようなり状況で、その後の帰趨、状況がわからんというような点もありまして、この繋りの手掛りが欲しいということで認可制度要望が非常に強かつたのであります。  それから第二点といたしまして、府県当局からの御意見といたしましては、そういう裏腹の関係としてのこれに対する一つ指導権の足掛りを作つてもらいたいということで、いわゆる報告、調査、検査の権限を要求して参つておつたのであります。そういうふうな第一線で指導の任に当つておられるかたがたの御意見も伺い、その後の組合運営の実態等から考えまして、今この法案にありますような制度を一応この際適当ではないかというふうに実は考えたのでございます。なおそのほかにも、例えば本中小企業等協同組合法におきまする本質的な問題といたしまして残つておりますのは、中小企業の範囲の問題でございます。これは事業者団体法との関連もございまして、いわゆる民主化法制の一連の法律を一本として考えることが適当だと考えておりますので、中小企業を常時従業員百人以下という問題に触れずにこの際通して行きたい。適当な民主化法制、事業者団体法との関連においてこれを考えて行くということにいたしたいと考えておるのであります。この点は恐らく今後の組合の運用上の問題として、日本の中小企業の実体から見ると、最も重大なことだということは十分承知いたしておるのでありますが、そういうふうに実は考えたのであります。そのほかには特に、例えば先ほど御指摘のありました全国地区連合会のいわゆる経済事業等の問題、いわゆる民主化法制に関連しての改正の問題というものがあるのでありますが、それは先ほど申上げましたような員外の取扱というものも一緒に取扱つて行きたいと、こういうふうに考えて、見送つておるような次第でございます。  以上改正法律案を考えるに当りまして私どもの頭に置いた点を簡單に申上げました次第でございます。
  15. 境野清雄

    ○境野清雄君 今の御説明でよくわかりましたが、大体先ほどどなたかお話のありました通り中小企業の振興策と申しますか、そういう問題に一番ウエイトの多いものはやはり金融問題であるという観点から見まして、信用協同組合と、いうような問題がまあ一番大きく見られるのですが、二十四年に中小企業等の協同組合法ができましたときに、当時の法律自体から見ますと、信用協同組合は非常にうるさい、大蔵省の権限が加わるのでなかなか新らしいものは許可されない市街地信用組合が転換したものだけの十一月末の統計でも、三百三十幾つという組合のうちで、僅かに六十八だけが新らしい新設された信用協同組合というような状態になつておりましたものが、たまたま今年の一月にこの方針が緩和されて、そうして最近では信用協同組合というものが相当できるのではないかと、そういうような形体になつて来たときに、今度は従来の市街地の信用組合というものは信用金庫に格上げする。これの格上げを信用金庫にすれば、又今新らしくできた信用協同組合運営というものは、殆んど価値のないものになりはしないか。折角最初の法案でできましたものを、途中一月にこれを改正して、そうして信用協同組合相当でき、効果があるというときに、又信用金庫というものでこれの格差をつけてしまうというようなことができては今後の信用協同組合というものは又も有名無実になりはしないかという心配が相当あるのですが、そういう点に関して中小企業庁はどんなお考えを持つておりますか。つ
  16. 深川榮左エ門

    委員長深川榮左エ門君) 速記とめて下さい。    〔速記中止〕
  17. 深川榮左エ門

    委員長深川榮左エ門君) 速記始めて。
  18. 境野清雄

    ○境野清雄君 そういうように強い考えもないように解釈してよろしうございますか。
  19. 小笠公韶

    政府委員(小笠公韶君) 中小企業のものにつきましては、実は私は見ておらなかつたのですが、新らしい制度をどう思つておるかという問題につきましては、まだはつきした意見もきめておらない、こういうような状況で、筆の廻し方で或いは誤解があるかも知れませんが、その点よろしくお許しを願いたいと思います。
  20. 境野清雄

    ○境野清雄君 先ほどどなたからの、参考人のかたからの説明で、税金の問題ですが、デパートならデパートというようなものの法人に対しての、地方における基準が大変高いというお話がありました。これは勿論そういうことはないと思いますが、協同組合に対して何かそういうようなお話があつたかどうかということを一つ承わりたいと思います。
  21. 五藤齊三

    参考人(五藤齊三君) これは協同組合の問題ではございません。協同組合員の中にはあるかと存じますが、協同組合自体の問題ではございません。
  22. 境野清雄

    ○境野清雄君 大蔵省から誰か来ておりますか。
  23. 深川榮左エ門

    委員長深川榮左エ門君) 今日は見えておりません……。
  24. 鹽澤達三

    参考人(鹽澤達三君) 先ほどお話になりましたように、企業組合が実際今行き詰つております問題は、要するに税の問題でありまして、企業組合に対しましては営業所得と給與所得というものになつておるのでありますがその他の一般法人と実際にやつておることにおいては変りがないのでありまして、一般の法人のほうは御承知のように源泉課税でやつておる。私ども組合の傘下におきましてもやはり企業組つ合とか或いは会社みたいなものを組織しておりますが、やつぱり一番企業組合関係しておる者が実際は困つてつて会社組織にやつておる者のほうは救われておる。これは内緒だけれども大変楽だというようなことを私ども耳にしておりますので、やはり企業組合に対しても一般の法人と同じようなふうに税を課してもらいたい、こういうことを皆申しております。  それからなお私どものほうの協同組合におきましても、やはりこれも協同組合が御承知のような今のような不振な状態に落ちておりまして、この際にやはり特に、これは又逆に、一般の税よりは、こういうような者に対しましてはむしろ税を安くしてもらいたい、こういうふうな希望が多いのであります。その点……。
  25. 境野清雄

    ○境野清雄君 大体この法律改正案は一昨日きまつたようですが、この問題が、たまたま我々がちよつと見ましても、現在普通の品物に対して統制強化というような議論が出ておる。統制強化は、即官庁の権限が増大するということに何か一脈似通つたような点があつて、いろいろな問題が官庁のほうに、行政庁のほうに監督権が強化するようにとられるのですが、たまたま従来のような組織からいたしましても、中小企業庁は大体中小企業の味方であるというような観念が一般に強いので、一つ行政庁としての監督文字通りの解釈でなく、うまく運行して頂きたいと、こう思います。
  26. 深川榮左エ門

    委員長深川榮左エ門君) ほかに御発言ありませんか。
  27. 加藤正人

    ○加藤正人君 今五藤さんでしたか、例の富裕税に関して非上場株の評価の問題ですが、それらについては次官からあとで又よく研究してというようなお話がありましたが、これは目前に迫つた問題でありまして、これは何とか早く解決して頂きたい、こういうふうに思うのです。  なおそれに関係して事業者団体法の話も出たのでありますが、今日は協同組合の問題が主でありますから、事業者団体法のような重大な問題は今ここで論理ができないと思いますが、これは日を改めて一つここで論議をして頂くことに……、今日は公取のかたも折角見えておりますけれども、これは別個の問題として非常に重要な問題と私思いますので、是非お願いしたい。近い機会にお願いします。
  28. 深川榮左エ門

    委員長深川榮左エ門君) それでは事業者団体は改めてやることにいたします。
  29. 境野清雄

    ○境野清雄君 先ほど中小企業の将来の希望というので皆さんからお話のありましたのは、大体全国の連合体の経済活動を許可せいというような問題が何かあつたようでありますので、たまたま今日は公取のほうから見えておられるようですな。
  30. 深川榮左エ門

    委員長深川榮左エ門君) 事業者団体課長が見えております。
  31. 境野清雄

    ○境野清雄君 団体課長に一つそういうような問題が、今将来への希望というもので出ておりますのりで、従来協同組合とか或いはその他の中小業者に対しての団体法違反事件というものがどんなふうになつておるか、御説明願いたいと思います。
  32. 遠山親文

    ○説明員(遠山親文君) 従来の団体法違反関係の事件について概略を申上げます。  団体法ができましたのは昭和二十三年七月のことでありますが、その以後、大体二十三年七月から施行になりました団体法の違反事件につきましては、概略申上げますと、今まで大体三十八件ございまして、団体法違反事件として審判開始決定になりましたのはそのうち大体その違反の主体について区別しますと、本来の意味事業者団体、例えば何々協会とか何々工業会とか、そういうような本来の意味事業者団体、それから適用除外になつております協同組合、これが違反に問われた場合、これが第二、それから会社形態における事業者団体、この三つの大体形態になつております。  第二の協同組合適用除外、本来適用除外になつておる協同組合が違反事件に問われたと申しますのは、特に協同組合につきましては、団体法の第六條に、協同組合が適用除外になりますについて條件があるわけであります。この條件を欠いておるために適用除外を認められないで適用団体なつた、それで団体法上の違反ということで問われておる場合があるのであります。  それから株式会社形態のものは、大体共同購入、共同販売というような形態になりますが、これは第五條の禁止規定に直ちに触れることになりますので、これが違反になります。それから本来の事業者団体、先ほど申上げましたように何々協会、何々組合、何々業会というような団体が違反事件に問われましたのは大体統制行為に類することをやつた違反事件であります。あと団体法の五條の禁止規定の、構成事業者の機能、活動を制限したとか、或いは報告書の提出を強要したとか、価格に対して強制行為をしたとか、そういうような大体形態になつております。  以上大体概略を申上げました。
  33. 境野清雄

    ○境野清雄君 今の一つの統制行為というようなものに福井市の体機というようなものが入つたわけですか。
  34. 遠山親文

    ○説明員(遠山親文君) 福井の体機の問題は、実態は調査いたしましたが、別に大して適用いたしておりません。
  35. 境野清雄

    ○境野清雄君 先ほどやはり希望條件の中に保險問題が出たようですが、私どもも第一回の二十四年に中小企業等協同組合法ができるときに、最初保險というものは確かにこの中に入つていた。それがいつの間にかなくなつた。噂によれば、保險会社が自由党の政調会に運動をしたのでなくなつたというような話を聞いているのですが、その後において一体中小企業庁としてはこういう保險の問題に関して何か考えておられるか、或いはこれはもう全然いかん問題として考えておらんか、その点を一つ長官にお伺いしたいと思います。
  36. 小笠公韶

    政府委員(小笠公韶君) 保險協同組合の経過につきましては御指摘の通りであります。で、あれは当時の二十四年の三月の国会におきまして、国会修正で削除に実は相成つたわけであります。その後私どもといたしましては保險協同組合をできるだけこれを作りたいと、こういうふうな希望を以て研究を進めておるのでありますが、保險事業の性格に鑑みまして、普通の協同組合と同じような形ではなかなか行きにくい、そこで特殊なニユアンスを持つた態勢と申しまするか、構成を折込んで行きたい。その線で検討を続けておるような次第でございます。ただ問題は保險協同組合に対する一部の御異論もあるように聞いておりまするが、政府は別といたしまして、検討だけは続けている。今のような頭から検討を続けております。
  37. 境野清雄

    ○境野清雄君 参考人のかたにお伺いしたいのですが、先ほどのお話では、事業協同組合にこの預金制を設けさせてくれというような御意見もあつたようですが、その御意見によりますと、大体信用協同組合事業協同組合とを同じ構成員でやらせてくれというような御希望なのか、信用協同組合信用協同組合なりの従来の行き方で、あれは是なんだと、ただ事業協同組合のほうの事業上のこの権限を拡大して、そしてその中へ預金の吸收というものをやりたいというのか、いずれですか。もう一度御説明願いたいと思います。
  38. 五藤齊三

    参考人(五藤齊三君) 後段の御指摘の通りでありまして、信用協同組合は現在の性格の通りでますます発達を希望いたしまするし、事業協同組合の中の事業分野の中に預金の受入をお許し頂きたいと、こういう希望でございます。現在事業協同組合はすでに貸付はなし得ることになつておりまして、金融の斡旋の形におきまして貸付をやつておるのでありますが、でそれらに関連をいたしまして、資金繰りを受けるという意味ではございませんで、それらの資金の貸付等を通じまして、或いは共同仕入れ、共同販売或いは納税貯金といつたような組合の完全なる運営を図る上において預金の受入を許されることを希望いたしたい。こういう次第でございます。
  39. 境野清雄

    ○境野清雄君 これは最初事業協同組合信用協同組合と、同じ構成員による二枚看板はいかんということが、最初中小企業等協同組合法で決定されたのですが、その後この事業協同組合の中の同じ組合でもいわゆる條件としての三百人以上というのですか、そういうような第三者を集めて来れば、二枚看板でもよいというふうに多分私は法律改正されたようなふうに記憶しておるのですが、現在のところ事業協同組合と信用組合というものが同じ構成員……勿論それは資格において違いますが、同じ構成員でやつておるというものが現在あるかどうか、中小企業庁のほうにお伺いしたいと思います。
  40. 小笠公韶

    政府委員(小笠公韶君) 御承知の通りに、この信用協同組合監督に関する法律というものがありまして、前国会におきまして一部御修正なつたわけでございまするが、この法律の中に信用協同組合の免許制の條件として、最低三百人以上というようなことになつております。そこでダブつて同一の人間を以て構成員とする二枚看板の例があるかどうかというお話でありますが、詳しくは存じませんが、例えば丹後の縮緬の組合のごときは従来商工協同組合信用協同組合と両方やつておるというようなことで、法令の関係上二枚看板でいたしておるというような関係がございます。
  41. 鹽澤達三

    参考人(鹽澤達三君) 私のほうは魚商業協同組合ですが、大体同じような、多少私どもの魚商業協同組合は、足立区魚商業協同組合とか 大田区魚商業協同組合というようなものが寄りまして、一つの信用組合を現在ずつと古くからやつておるので、そこは特に青果の場合と魚商の場合は認められて、現つ在やつております。
  42. 川端巖

    参考人(川端巖君) 只今の御質問で、ちよつと私の先ほどの陳述に不備な点があつたと思いますから、一言申上げますが、私が事業協同組合預金受入という金融業務は、それは各組合が、比較的人数の少い事業協同組合が、他のいろいろの事業と合せて行うという意味において意義がある。それから信用協同組合の場合には殆んど銀行と同じであつて銀行の極く小さな、一口当りの金額の小さな、そうして人数の非常に多い金融業務として独立の、全然別個の特殊性を持つておる。ひとしく協同組合の金融業務と申しましても、全然そこには全く性格が、特殊性が、別々に異なつておる。先ほどのダブつておるかどうかということに対するお答えは、従つて信用協同組合のほうは数千人の各種の業種を入れております。併しながら事業協同組合がそのままで入つておりますので、その線におきましてはダブつておる。金融という面から行きますと、現在はダブつております。事業協同組合信用協同組合組合員と諸共に全部入つておるというような形態があり、殊に又金融業務というものが先ほど来触れておりませんことは、誤解を受けましたことは、一つの業種が金融業務をやるということは、要するに組合員資金の要るときと、それから資金の余るときが同じ時期になる。多数の業種が大勢の数千人の人々と混つておる場合におきまして、預金のできる人と、それから貸出を受けたい人と両方の人が混つて行くところに金融業務の独自性があると、かように補足いたします。
  43. 境野清雄

    ○境野清雄君 もう一つ中小企業庁にお伺いしたいのですが、その前の参考人からのお話の、事業協同組合に対して預金の受入をそのように法律改正するとかというようなことに対しての中小企業庁としての御意見は如何ですか。
  44. 小笠公韶

    政府委員(小笠公韶君) 事業協同組合預金の受入を認める方針の下にアイテムを考えたのでありますが、先ほど申上げましたような事情で次の機会に見送つた、こういう状況でございます。
  45. 境野清雄

    ○境野清雄君 次の機会に見送つたということは、先ほどお話願いましたか。あとで速記を見て……。
  46. 深川榮左エ門

    委員長深川榮左エ門君) なおこの際、先ほど鹽澤さんから中小企業振興に対する御意見があるように承わつておりましたが、御意見がありましたら、御発表を願います。
  47. 鹽澤達三

    参考人(鹽澤達三君) 大体それから後に事業協同組合の発達の点につきましては、途中の御質問等で申上げましたように、税の問題で触れて置きました、この事業協同組合の現在の情勢でありますが、御承知のように統制中は非常に華々しい活躍をいたしたのでありますが、統制解消後は殆んど今の協同組合というものは同業組合と同じようなことで、する仕事を失つてしまつたような形に今なつておりまして、これは惰性で今協同組合が存続しておるといつたようなものが今の事業協同組合の大部分でありますので、最近金詰りのことから中央金庫から金を借りるために協同組合がその借りる仕事をやるというようなことが、今協同組合の仕事の大部分になつておりまして、私どものほうでも相当の金額を実は中央金庫からお借りして、業者にそれぞれ貸付けておるのでありますが、ところが実際にその貸付けるとなるとやはり組合といたしましても、中央金庫に相当責任を持ちますし、かたがたやはり同ず組合のうちでも、相当有力なものに自然金を貸して、そうして本当に必要であるがどうもあれは返す見込がつかんというようなものには成るべく金を貸すことを避けるというようなことで、実際に借りた金が、私どもが見  て貸してやりたいという人のところへは十分行かん、こういう点で、これを何とか実際にそういうところへも行つて、それらが本当に更生するようなふうにさせてやりたい。殊に私どものほうのような衞生施設を要するものは、やはりその衞生施設ができないということになると、その業を取消されるような結果になりますので、この金融を組合へ貸して下さることは有難いことでありまして、それによつて多数の業者は救われるのでありますけれども、更に一段とそういうような危險がある者にまでも、或る程度の金融をしてやりたい。こう私ども組合運営しておる者としては思いますのですが、事実上そういうことが不可能なために弱つておる。それで協同組合といたしましても、そのほかやはり青色申告をするというようなことで、これらもいわゆる本当と言えばやはり先ほどお話がありましたが、事業協同組合の実績の挙がるもので、そういうような仕事までしてやるということがいいのですけれども、大部分は御承知のように組合費を取つてつておるのですが、今組合費が満足に納まつておるというような組合が非常に少いのでありまして、これを何とか軌道に乗せてやるためには、上部のいわゆる指導機関といいますか、東京で申しますれば、いわゆる協同組合協会とかいうようなものがその各協同組合の指導に当つておるのですが、ところが又この協同組合資金難に入つておりまして十分の活躍ができん、こういうようなことで実は非常に弱つておるのですが、これらにつきまして、やはり中小企業庁のほうでもいろいろ御心配を下すつておるのでありますが、更にいわゆる指導機関を本当に充実さして行かなければ、今の協同組合というものがレールに乗らんというようなことになつておりまするから、この点につきまして中小企業庁としましても格段な御配慮を願いたい。かように思つておりますし、それから今協同組合といたしまして、大体大きな協同組合におきましては、表向きいかんかも知れませんが、いわゆる共済会のようなものをやつておるのでありますが、ところがこれは非常に成績がいいのでありまして、これをやはり生活協同組合とか、或いは水産協同組合に法文化して、やはり明らかに共済会というものが認められるように今度して頂いて、そうして而も、つまり小さな協同組合は幾つもありますが、こういうようなものは一括いたしまして、協同組合協会というようなところへ……そうしてその共済会をやつてやるというようなことにいたしますれば、共済会の組合員も全部救われるのじやないか、こういうふうに思つております。ですから、やはり生活協同組合とか、或いは水産業のようなふうに協同組合共済会というようなものを明らかに認めて頂くようにして頂きたいと思うのであります。まあ大体、そういつたようなところで……あとはもう全部五藤さんその他のかたがたから申上げましたが、そういう点でやはり共済会というようなものを法文に入れて生きるようにして頂きたい。  それから今の零細なものに対する補償制度といいますか、それがやつても何とか全般が迷惑をこうむらんような方法に対するいわゆる危險負担をどこでするかというようなことにつきまして、もつと進んで考えて頂きたい、かように思います。
  48. 椿繁夫

    ○椿繁夫君 この参考人の御発言の中で最も私ちよつと注意深くお聞きしましたのは、協同組合の全国的な団体の経済行為の問題でありますが、前に政務次官は、この経済情勢の変動に対処するために、事業者団体法、独禁法の改正等を今改正のために研究中であるという御挨拶が年の初の御挨拶のときにあつたように思う。で、協同組合を本当に育成強化するためには全国的な団体の経済活動はやはり認めて行くような工合に仕向けて行くことが私は現在の情勢の下においては正しいように思う。そういう際に事業者団体法や独禁法の一部の改正をお考えになりますのと並行して、こういう点をお考えになる御意思がありますかどうか。
  49. 首藤新八

    政府委員(首藤新八君) 御指摘の通り、この前のこの委員会で、現下の経済情勢に即応いたしまして、各団体相当活動してもらいたい、それにはどうしても前提といたして事業者団体法並びに独禁法を或る程度修正しなければ目的を達成されない。そこで政府はこの独禁法並びに事業者団体法是非とも修正をいたしたい、かように考えまして、それぞれ適当な原案を作りまして、司令部との間で相当折衝いたしたのであります。これは安本を中心といたしまして、幾度か折衝いたしましたが、どうも司令部のお考え方といいますか、非常にこの問題の修正に対しましては態度が強いのでありまして、我々の希望する点までの修正はなかなか困難な事情にあるのであります。併しながら若干今日までのところ、若干の修正ができるのではないかという見通しもつきましたので、本日この中小企業等協同組合法と併ぜて事業者団体法の問題につきましても今日までの経過、それから修正内容というものを申上げまして御意見を承わりたいというふうに考えておつたのであります。この次の委員会でもこの内容を詳しく申上げまして御意見を承わりたいというふうに考えております。  なお先ほど鹽津さんの御意見で、労働組合が、統制が撤廃されたことによつて、非常に、何といいますか、端的に言えば、蛻の殻といいますか、骨がなくなつたというような状態になつておるということはその通りでありまして、併しこれは統制がなくなつたからということだけでなく、それもありますが、主として事業者団体法によつて非常な制約を受けておる。ここに労働組合が折角設立されながら、思うような活動ができないというような現状に立ち至つておる理由が大きいのであります。そこで御希望のいろいろな問題もあります。御尤もな御意見でありまして、できるならば全部の御要望を入れたいというふうに強く希望するのでありまするが、これが前提といたしましては、どうしてもこの事業者団体法と独禁法を修正しなければならんということが絶対的な條件となつておるのであります。それだけに特に修正には関心を持つておるのでありまするが、先ほど申上げましたごとく今までの交渉経過におきましてはこのようなところに参つておりません。但し若干の修正はできるかというふうに考えておりますので、この次の委員会で詳細申上げまして併せて御意見を承わりたいというふうに考えております。
  50. 椿繁夫

    ○椿繁夫君 私は今次官からこの次の委員会にでもというお言葉でありまするから、それを期待してお待ちすることにいたしますが、関係方面で特に事業者団体法や独禁法の改正について愼重に構えておられるととは、ややもすると資材が不足して来ると、統制ということをすぐに又考え出す、そういうことは戰時経済への転換を容易ならしめることになるというような見地から、愼重な態度をとつておられるのではないかと推察をいたすのであります。私が先ほど協同組合法改正を、特に全国的な団体の経済活動についてこれを許容するような改正要項を一つお考え頂きたいと要望いたしましたのは、それが即統制団体の復元を意味する内容を持つものではないということを二、三附加えてお願いをいたして置きたいと思うのであります。前に鉄鋼関係の現状を証人にお聞きいたしまし  たときにも、富士製鉄でありましたか、この世界市場において困難な鉄鋼の原材料を購入する場合に、国内の各業者の間にも買競争がある、少くともそういうようなことをしなくともいいように、相談のできるような法的措置を御研究願いたいという御要望がありました。国内の中小業者団体は、それを今度は縮めまして、ますます資材入手などに困難を感じておりますし、なお今後もますます窮屈になつて来るのではないかということが予想される現状におきまして、全国的な団体が原材料の共同購入ができるというようなこと、或いは特需の発註などに当つても共同の受註ができるような態勢が整えられておるといたしますならば、今のように業者でない人がこれを受註いたしまして、而も協同組合組合員の多数がその下請をやらなければならないというようなことが是正されて来るのではないか。少くとも統制行為に亘らない共同受註であるとか共同購入であるとかというような経済行為のできますようなことは、限定をしてお話頂けば当局においてもそういうことはそう神経を尖らせて愼重な態度を構えられる必要はないというふうに考えられますので、どうぞ独禁法なり事業者団体法改正のことについて折衝されます場合、協同組合の全国団体の経済行為が認められますような改正が続いてできますように一つ折衝なり御準備を重ねてお願いいたして置く次第であります。
  51. 古池信三

    ○古池信三君 簡單に一二お尋ねしたいのですが、先ほど事業者団体法の違反事件について計数的の御説明があつたのでありますが、これは事業者団体法施行以来現在までの間に年々殖えて来ておるのでありましようか、或いは減つて来ておるのでありましようか。年度別の数字がございましたら一つお聞かせ願いたいと思います。
  52. 遠山親文

    ○説明員(遠山親文君) 概略申上げますと、昨年は相当多かつたのであります。計数的に申上げますと二十四年が十一件、二十五年が二十六件、二十六年が二件であります。
  53. 古池信三

    ○古池信三君 もう一つお尋ねいたしますが、先ほど違反の実態といいますか、種類として三つの枠、仮にこれを第一種、第二種、第三種と分けますというと、どの団体の違反が多いのでありますか。これも計数がわかつておりましたらちよつとお聞かせ願いたいと思います。
  54. 遠山親文

    ○説明員(遠山親文君) 会社形体が七つ、それから協同組合が六つ、それからその他が二十六ということになつております。
  55. 境野清雄

    ○境野清雄君 先ほど企業庁長官から協同組合の高邁な理想のお話を承わつてよくわかり、協同組合と法人との差異もよくわかつたのですが、たまたま先ほど鹽澤参考人からのお話で、借入金に対する危險の負担というような問題が起り、又共済会を認めてくれというような問題が起りましたけれども、大体従来できておりました協同組合というものは、この組織に対しては相当認識不足で各協同組合ができておるのではないか。本格的に協同組合設立概念というものを持たないで作つてある協同組合が今までに相当あるのではないか。そういうようなものがたまたま今の借入金に対する危險負担というような問題まで起つて来るので、現実の協同組合が長官の話されるような理想的なものでできておれば、その協同組合員の危險負担というものはもう負うべきが至当なものではないか。そういうような形から言いまして、現在の形になつて来ると、相当事業協同組合というものの設立した後の年限から見ましても、再検討の時期にあるのではないか。こういうことを考えておりますことと、それから又今の協同組合自体というものが、政府中小企業の協同組合を作り放しということでは、そうでなくても中小企業協同組合というものは弱いので、なかなか金融面その他で一人歩きができない形になつておる。言い換えれば、政府の格段の援助がない限りは、今後組合設立したものでも所期の目的は貫徹できないのではないか、こんなふうに考えるので、是非一つ今の二点に対して、一つ事業協同組合の再検討という時期、言い換えれば、中小企業庁として従来できておる協同組合に対してもう一度指導方針を立てるというようなお考えがあるかどうか。もう一つは、政府として金融問題その他に対しての格段の援助というものに対して何かお考えになつているかどうか。今朝の新聞を見ますと、たまたま政務次官が大蔵大臣と面会して、そうして中古の船の買入れに対しては金融の措置が大体講ぜられたというようなことが新聞に出ておりますので、この御努力に対しては満腔の敬意を表するのでありますけれども中小企業に対しても一つそういうような手で一応何とか金融状態に対しても打開の途を政府として講じて頂きたい。一つの例にしますと、勿論これは一般に周知していないと思うのですが、中小企業の金融の保險というような問題でも、先ほどどなたかからもお話になりました通り、三十六億というものを計上して置きながら、僅か一カ月間に六件、一千万きり金融ができておらない。こういうものはどちらにしましても、市中銀行というものと、それから政府が立ててくれた中小企業のいろいろの擁護策というものが根本を衝いていない。市中銀行は、自分のほうは営利事業なんだから危い中小企業には金は貸せないということが根抵になつているので、これを貸すように一つ政府は考えて頂かないことには、どんな方針を立ててくれても、営利会社としての市中銀行はなかなか中小企業には金を貸さないというのが実態ではないか。こんなふうに思うので、この金融問題に対する政府のお考えなり、或いは中小企業庁長官として協同組合を再検討するお考えがあるかどうか、この二点についてお伺いしたいと思います。
  56. 首藤新八

    政府委員(首藤新八君) 中小企業の金融に対しましては、政府といたしましては、終始熱意を持つてこれが打開を図りたいという点を検討いたしておるのでありまして、今日まで見返資金の枠を拡大するとか、或いは又従業員その他貸出の限度も上げるとか、それから更に又信用保險というものもやつたのでありまするが、今日までの経過から見ますると、全く御指摘の通り、その成績の挙らないのに実は驚いておるのであります。一体欠陷がどこにあるのかと、まさに御指摘の通り、この問題を緊急に探究してその隘路を打開することに專念する時期が来たと、かように私は考えておるのであります。そこでこの隘路打開の最も大きな打つ手は、今まで我々の聞いたところでは、要するに銀行並びに信用組合、無盡等におきましても、自己資金がない。ある自己資金は、かような複雑な方法をとらなくても、自己の意思によつて簡單に貸付ける、安心して貸付ける対象がたくさんある。わざわざ保險をかけなくても十二分に運用ができる。そこで結局は、自己資金によらずして、国庫から相当な額を紐付で融資するということが非常にこの際は効果的ではないか。そうして、信用保險に対しましては、中金を一応中検体といたしておりますので、中金に相当大幅の資金を出せば、従つてそれが漸次流れて行くということになれば或る程度解決するのではないかというような一応の考えを持つておるのであります。  更に又見返資金の問題でありまするが、これは先般の委員会でもちよつと申上げたのでありまするが、現在の三百万円を今度は五百万円に拡大されましたが、併し現在の物価情勢から考えますると、この程度の金融は、中小工業の中でも小工場を対象とした金融でありまして、最も資金を必要とする中工場、これらの金融打開には何ら役立たないと、従つてこの中企業を対象としてもつと大幅な金融のできる方法を講ずることが、これ又目下当面した一番大きな問題ではないかというふうに考えておるのでありまして、それがためには、見返資金もこの際最低一千万円ぐらいに枠を拡げて、そうしてやれば多少でも効果があるのではないか。同時に又、一千万円の融資ができるということになりますれば、おのずから、中企業でありまするので、銀行の信用その他又内容の点から申しましても、従来の小工場を対象としたよりも遥かに却つて銀行のほうでも安心して融資ができるのではないかというふうな考え方も持つておるのでありまして、それらの問題につきまして急速に関係筋と折衝をして見たいと、実はかように考えておるのであります。いずれにいたしましても、金融問題につきましては、この際真劍にこれを検討いたして、我々もできる限り努力いたしたいと考えておりまするが、国会のほうにおきましても、何らか一つよい叡智を貸して頂きまして、共にこの問題の解決を促進いたしたいと、かように考えておるのでありまするので、今後ともこの問題につきましては格別の御援助をお願い申上げたいと存ずる次第であります。
  57. 川端巖

    参考人(川端巖君) 只今の信用保險の利用につきまして、信用組合は全部がその信用保險を利用することができない今日の状態なんでありまして、大多数の信用組合は、申込みたくても申込むことができないような状態にありますので、一般の信用組合も申込むことができますよう御配慮願いたいと思います。
  58. 首藤新八

    政府委員(首藤新八君) これも御尤もな御意見でありまして、我々当初考えた場合におきましては、銀行相当契約するであろうと、そこで三月までの限度は三十六億でありまするが、大部分は銀行が申込んで、無盡会社に契約する率が非常に低いのではないかと、そこで一定の枠をこしらえまして、貸出の実態を調査いたしまして、これ以上の貸出のある信用組合或いは無盡というものを対象といたしたのでありますが、その後銀行の契約が意外に進んでいないのでありますので御指摘のようなことも改めてこの際検討すべきではないかというふうな考え方を持つておるのであります。
  59. 小笠公韶

    政府委員(小笠公韶君) 先ほど境野さんのお話のありました協同組合に対する再検討の意思ありやというお話でありますが、先ほどのお話非常に理論的なお話で御尤もでありますが、私どもといたしましては新らしい協同組合の思想の徹底にできるだけの努力を実はいたしております。それで抽象的な理論も結構ですが、同時にこういう組合はこういう規模でこういう仕事をしておるというような、できるだけ実際の例を挙げて一つお話を進めて行きたいというふうなことで、これも一つの方法でありますので、そういうものを集めて配付するとか、或いは講演会等において組合制度の考え方の基本を指導するというようなことで努力をいたしておるわけであります。それで組合の中には従来の統制組合或いは商工協、同組合がそのまま移行したという面もあるのですから、いろいろな問題があるようでありますが、新らしい組合制度の精神を掴んで、そうしてその業界業界の実情に合つたような組合を作つて行くように、何も画一に小さいのがいいというわけでもないので、そういうふうな実体に即した指導をできるようにいろんな角度から持つて行きたいと考えておるわけであります。それから私が日本におきまする組合制度の発達、即ち明治十七年の太政官布告による組合準則施行以来今日まで大分たつておるのでありまして、各種組合制度を経て参つておりますが、日本における組合の発達の跡を振返つて見ますると、どうしても外部からの或る程度の援助というものが私は必要だと思うのです。或る程度の一人歩きができるまで、できるだけ援助をしなければいかんというふうに実は考えておるのであります。この援助は專ら中心的には税法上のいわゆる特典の問題も一つあると思うのでありまするが、具体的な問題として国からできるだけの補助金なり何なりを出して行くということも一つであろうと思うのでありますが、更に重要なことは最近のような政治経済におきましては地方公共団体の財政の決め方を従来の土木教育中心から商工予算に一つ目を向けてもらうように府県知事当局をできるだけその方向に引張るということが一番必要ではないかということで昨年来府県知事のかたがたにお願いして参つておるような次第であります。少くとも日本におきまする実際から見ますると、協同組合の発達は或る程度の外部からの援助が必要であるというようなことでできるだけの努力をいたしておるのであります。  金融の問題につきましては、政務次官からお話のような線でありまして、我々といたしましてはできるだけ、結局問題はこういうところに、金融に帰一するのでありまするので、政治を新らしくし、又した結果を更に検討するというふうにして順次推進して行きたいと、こういうふうに考えております。
  60. 境野清雄

    ○境野清雄君 もう一つ、これは別の問題ですが、今協同組合設立に関する統計というのを頂いたのですが、この中に中小企業等協同組合法施行以前の各種組合設立数というところに市街地信用組合が三百六十六というものが謳つてあり、その次のところに信用協同組合が六百三十という数字が謳つてあるのですが、前の中小企業金融対策の現況のほうを見ますと、現在、昨年の十一月末で六百三十三のうち新法によつて設立されたものは六十八ということになりますと、一応十一月末日で五百六十五というものが市街地信用組合から変つて来たのだというふうに解釈されますが、この数字はどちらが本当なんでしようか。
  61. 小笠公韶

    政府委員(小笠公韶君) 若干数字ははつきりしませんが、市街地信用組合のほかに、産業組合法に基く信用組合が実はあつたのです。それが特記していないのでその数字の差が出たのじやないかとこういうふうに考えております。一応正確な数字を調べて後刻御報告申上げます。
  62. 境野清雄

    ○境野清雄君 すると一緒にお願いして置きたいのですが、昨年十一月現在で六百三十三のものが一月以降相当殖えた、然るにここにありますが二十六年の一月二十日で三十になつておりますから、この点何らか数字が違つておると思いますが、お願いいたします。
  63. 深川榮左エ門

    委員長深川榮左エ門君) ほかに御発言ございませんか。  最後に先ほど椿氏の御意見によります事業者団体法並びに先ほど五藤さんから中小企業振興について税の問題が重点でありまして、減価償却不足額の繰越とか、或いは棚卸資金に一側程度の含みを持たせるということ、そのほか設備耐用年数の短縮という意見がございましたが、これは他日大蔵省側の出席を得ましてから御研究することにいたしたいと思つております。  それでは本日の委員会はこれで閉会いたします。    午後四時二十六分散会  出席者は左の通り。    委員長    深川榮左エ門君    理事            古池 信三君            廣瀬與兵衞君            結城 安次君    委員            上原 正吉君            松本  昇君            加藤 正人君            山川 良一君            境野 清雄君            椿  繁夫君   政府委員    通商産業政務次    官       首藤 新八君    中小企業庁長官 小笠 公韶君   事務局側    常任委員会專門    員       小田橋貞壽君   説明員    公正取引委員会   事業者団体課長  遠山 親文君   参考人    日本中小企業連    盟常務理事   稻川 宮雄君    東京精密機器工    業協同組合理事    長       五藤 齊三君    東京都魚商業協    同組合理事長  鹽澤 達三君    東京商工信用協   同組合專務理事  川端  巖君