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1951-02-17 第10回国会 参議院 通商産業委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年二月十七日(土曜日)    午前十時五十分開会   —————————————   本日の会議に付した事件 ○地方自治法第百五十六條第四項の規  定に基き、纖維製品検査所支所及  び出張所設置に関し承認を求める  の件(内閣送付) ○特許法の一部を改正する法律案(内  閣提出衆議院送付) ○実用新案法の一部を改正する法律案  (内閣提出衆議院送付) ○意匠法の一部を改正する法律案(内  閣提出衆議院送付) ○弁理士法の一部を改正する法律案  (内閣提出衆議院送付) ○商標法の一部を改正する法律案(内  閣提出衆議院送付) ○炭鉱スト問題に関する件   —————————————
  2. 深川榮左エ門

    委員長深川榮左エ門君) 只今より委員会を開きます。本日の議題は予め公報にて御通知申上げました特許法の一部改正法案外法案纖維製品検査所支所及び出張所設置に関する承認事項に関してでございます。なお特許法の一部改正法案外法案衆議院を去る十三日通過いたし、目下審査として当委員会に付託せられております。承認事項予備審査でございます。   —————————————
  3. 深川榮左エ門

    委員長深川榮左エ門君) 先ず承認事項について提案趣旨の御説明を願います。横尾通産大臣
  4. 横尾龍

    国務大臣横尾龍君) 本件は、地方自治法第百五十六條第四項の規定に基きまして、纖維製品検査所支所及び出張所設置について、国会の御承認をお願いするものであります。  纖維製品検査所は、輸出品取締法による輸出纖維製品臨検検査及び輸出纖維製品依頼検査規則による輸出絹人絹織物依頼検査を行う国の検査機関で、現在京都外七カ所に本所を、その他主要生産地十九ヵ所に支所及び出張所設置してありますが、検査の円滑且つ迅速確実な施行を図ると共に、業界要望にこたへその利便を図るために若干の支所及び出張所増設せんとするものであります。  今回のこれら支所及び出張所増設はこれによつて人員及び経費増加を必要としないのでありまして、検査能率的運営を図り品質の向上海外の声価の向上に資さんとするものでありますからよろしく御審議をお願い致します。
  5. 小野義夫

    小野義夫君 只今説明によりまして、この経費を伴わないで支所を設けるというのは、どういう方法によつてやるのでありますか。それから各地からこの支所設置をいろいろ希望する向きもあるのでありますが、これの選択決定のことにつきましてはどういう方法によつて支所設置場所を、例えば従来の実績からこの方面に設ける必要があるということになるのでしようが、その取扱の今までの実績状態等も同時に御説明願いたい。
  6. 近藤止文

    政府委員近藤止文君) 只今お尋ねについてお答え申上げます。人員経費増加いたしませんで、一支所四十張所ができるという提案理由で、大臣が御説明申上げたのでありますが、これは実は今回設置いたしたいと考えております場所おきましては、従来から非常に支所或いは出張所設置要望がございまして、すでに地元おきまして、相当の施設を持ちましてこれを無償に提供いたすから、是非ここに支所或いは出張所を設けてくれというような要望がございまして、そこに支所出張所を設けるというのでございます。これらの場所おきましては、従来は本所から出張いたしまして検査をいたしておつたのであります。その出張いたしまして検査いたします場合に、その場所をやはり使用はいたしておつたのでありますが、出張検査ということになりますと、旅費その他の関係がございまして毎日出かけるというようなことにも参りませんで、一日おきとか二日おきというようなことで参りますものでございますから、地元の方で急に輸出の注文が参りまして、一遍に大量のものを輸出したいというような場合には往々検査に間に合わないというようなことがございました。これを支所又は出張所ができまして、そこに職員を常駐いたさせますと、いつでもそのときどきに応じての検査要望に応ずることができますし、又出張というようなことで余計な経費がかかるというようなこともなくなりますので、地元といたしましても非常に便宜になるわけであります。その場合に新らたに職員を増置いたしませんでも、現在の職員出張させずに常駐させるということで、むしろ今の人間でも検査能率は倍ぐらいに上るという工合になりまして、同時に施設地元おきましてすでにできておりますものを提供して使用するということになつておりますので、経費人員増加なしにこの支所及び出張所ができるということを御説明申上げた次第であります。それからだんだん輸出が盛んになつて参りますにつれまして、特に従来輸出をいたしておりませんでした産地おきましても輸出の品物だんだん出て参るというようなことで、支所出張所設置要望がございましたが、それを大体今回は五カ所今まで要望が特にありまして、この委員会等おきましても請願陳情等を採択されておりますものを今回支所及び出張所として認めることにいたしたのであります。そのほかはごく最近二カ所ほど要望が出て来ておりますが、これはなお今後の情勢によりまして判断をしなければならんと思つております。従来出ていましたものは大体今回の支所出張所増設によりまして解決をすることと思つております。この支所出張所を設けます選択をいたします基準でございますが、これは大体現在やつております検査には二通りのものがございまして、絹人絹織物関係でございますと大体業界おきまして国の検査に委託をして参りまして、全部国の検査を受けたい、こういう要望がございますので、こういつた産地おきましては、生産量が比較的少くても検査をいたす数量が非常に増加するということになりますので、そういつた所を先ず選びますということと、それからもう一つ検査はいわゆるスポツト・チエツクと言いますか、その都度、国の検査機関が参りまして、いわゆる製品の格付のグレードの抜取検査式にやるのでございますが、これも最近の輸出状況からみますと可なりの数量上つて参りますし、又それらのスポツ・トチエツクをできるだけその産地においてやらなければならんというような場所おきましては、ここに支所出張所を設けるというような標準選択をいたしておりまして、大体それらの検査数量及び回数というものをみまして、出張では到底間に合いかねるというような場所には支所出張所を作るという、こういう考えでおるわけであります。
  7. 小野義夫

    小野義夫君 この御提出になりました資料の中の二十五年度の一番末端の、このスポツト・チエツク実績の表でございますが、このパーセントの上にあるのは件数ですか、どういう説明になりますか。
  8. 近藤止文

    政府委員近藤止文君) 上の数字は件数でございます。つまり神戸おきましては千三百六十三件のスポツト・チエツクをいたした、こういうことでございます。
  9. 小野義夫

    小野義夫君 パーセンテージが四九・二%とはどこを標準にいたしたのか。
  10. 近藤止文

    政府委員近藤止文君) これは全国のスポツト・チエツク割合に対しまして、神戸纖纎維製品検査所おきましてのスポツト・チエツク割合が四九・二%……。
  11. 小野義夫

    小野義夫君 そうしてその中の岡山が七%、こういうわけですな。
  12. 近藤止文

    政府委員近藤止文君) お話通りでございます。   —————————————
  13. 小野義夫

    小野義夫君 それではほかの方面につきましてちよつとお伺いしたいのでありますが、今回特許法実用新案法意匠法、及び商標法弁理士法改正によりまして、特許料及び登録料をそれぞれ現行法の約三倍に増額することは、相当大きな引上げであると思いますが、併しこのことは終戰後インフレ高進に伴いまして、特許庁の予算上における收支のバランスをとるためには、誠に止むを得ない措置でありまして、あえて反対するものではございませんが、この料金の値上げによりまして、発明者に大きな負担をかけるということになりますので、一般発明創意を阻害するようなことがないかどうか、この点について懸念をいたしておるものであります。政府におかれましては、発明指導奨励に対して、この特許料値上げと共に、他に如何なる方途を以てこれを奨励するというようなお考えがありましたならば、その点承わりたいのであります。  次に連合国人我が国における特許実用新案意匠商標について、戰後処置の問題は、国内的にも国際的にも極めて重要な事項があると思われるのでありますが、この問題の解決は、我が国産業界に與える影響も頗る大きいと思いますのでありますが、どういうふうになつておりますか、その実情を承わりたいのであります。  第三に、次に日本人外国へ今のような特許出願、或いは特許実用新案意匠商標、その他の措置日本人外国に登録しようという場合におきましては、御承知のごとく、日本国際社会から全く孤立しておる現状ではありますが、今後工業所有権保護同盟、その他仮に講和條約以前と言いましても、だんだんと交渉をして、その以前でもそういう方法のできるような処置をとるのが、極めて緊急に必要な問題であると思うのでありますが、この点に関する政府のお考えを承わりたい。
  14. 松永幹

    政府委員松永幹君) 只今の御質問に対しまして御答弁申上げます。  第一点の発明奬励方途についてはどういうことを考えておるかという御質問でございましたが、その点につきましては、特許庁といたしまして各種の方策をとつておるのでございまして、優秀な発明でありまして、それを実地に製作して見る資力のない者に対しましては、その優秀なものを選びまして、実施化試験費補助というものを支給しておるのでございまして、本年度は一千二百万円でございますが、来年度は一千七百万円計上してございます。  次に発明者に対しまして精神的奬励としまして、藍綬褒章の授與も行われております。そのほか優秀な発明家が世の中の資力ある人に認められますために、毎月注目すべき発明というものを特許庁で選びまし、これを公表しておる次第でございます。そのほか発明展覧会或いは発明者の会というようなものを開催いたしまして、発明者士気鼓舞に資しておるような次第でございます。  本法律案改正によりまして値上げになりまして支障がないかどうかという点に関しましては、大体物価と均衡がとれておりますので、さほどの影響はないと考えておりますが、若し貧困な発明者特許料の納められないという者に対しましては、特許法の六十六條によりましてこれは免除できることにもなつておりますので、そういつた制度を活用して行きたいと考えております。  第二点といたしまして、日本人工業所有権外国出願はどうなつておるかという御質問でございまするが、その点につきましては、昭和二十四年の九月から認められておるのでございます。ただ国交が十分に回復せられておりませんので、国によりましてできないようになつております国も若干ございまするが、アメリカとかイギリスとか大部分の国は、目下のところでは出願可能の状況でございます。なお海外おきます取扱につきましては、特許庁といたしまして文書その他で照会いたしまして、現状把握に努めておるわけでございまするが、若干返事の来ない所等もございまして、不明の所もある次第でございます。第三点といたしまして、外国工業所有権戰後どういうような取扱になつておるかというような御質問でございまするが、この点につきましては、外国人工業所有権に関する戰後措置の政令が出まして、一つは戰時中に行われましたいろいろな措置、或いは特許料が納められなくて無効になつておるとか、そういつた戰争中措置を回復することが一つ、もう一つは、戰争中海外諸国おきまして出願せられましたものは、平時の條約によりますと一カ年の優先権を主張できるのでありますが、戰争中長らく交通が杜絶しておりましたので、昭和十五年にまで遡つて、即ち開戰前一年まで遡つて優先権が認められるというふうになつておる次第でございます。簡單でございますがお答えいたします。
  15. 小野義夫

    小野義夫君 今のに関連しまして、ソ連及びその衞星諸国との間の関係は、まだ絶対にできないという状態でありましようか、或いは多少その中にも実現かできる所もあるのでございましようか。
  16. 松永幹

    政府委員松永幹君) チエコスロバキア目下不許可になつておりますが、その他の衞星諸国につきましては回答等が来ておりませんので不明の状況であります。
  17. 深川榮左エ門

    委員長深川榮左エ門君) 本日は委員の出席も非常に少いようでありますし、特許法の一部を改正する法律案その他、並びに承認事項につきましては審議を次回に讓りたいと思つておりますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  18. 深川榮左エ門

    委員長深川榮左エ門君) 異議なしと認めます。   —————————————
  19. 深川榮左エ門

    委員長深川榮左エ門君) この際特にお諮りいたしたいことがございます。  目下進行中の炭鉱ストについ、吉田法晴君より、委員外議員として発言を申出ておられます。委員長といたしましてはこれを許可したいと思いまするが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  20. 深川榮左エ門

    委員長深川榮左エ門君) 異議なしと認めます。
  21. 吉田法晴

    委員外議員吉田法晴君) それでは、実は本会議緊急質問をいたしたいと思つておりましたけれども、その時期がございませんのに、丁度通産委員会がございますので、この席を借りまして政府に問い質し、問題解決に資したいと実は考えまして……。  炭鉱の現在の賃金につきましては、私が今申上げるまでもないことでございますが、昭和二十三年の十二月の協定によりまして坑内三百六十三円、二十二日間として七千九百八十六円、八千円に十四円切れの賃金であります。坑外二百十六円、二十五日間といたしまして五千四百円、これが基準で、多少上廻つておる所もありますが、これの八割しか貰つておらん中小炭鉱もあることは御承知通りであります。その後昨年の三月、炭鉱とそれまでずつと同じ賃金水準で参りました金属産業労働者賃金上つたのであります。或いは電産、專売等が上りましたことは御承知通りであります。公務員給與は一番遅れておりますが、昨年の暮、八千五十八円の勧告もございましたけれども、いろいろ論議の末、千円平均に近いものが上つておることはこれも御承知通りであります。そこで一般生計費物価も三十三年十二月から較べまして、ずつと上つて参りましたし、各産業、或いは国家公務員地方公務員給與上つて参つたわけであります。炭鉱といえども今日或いは若干の黒字も出ておりますし、配当もなされ、経営能力もございますので、世間並賃金値上げをして貰いたい、これが要望であります。然るに会社側から出されました回答では、殆ど従来と変りない、例えば能率を二五%上げたなら賃金を一五%上げよう、こういつたような据置、或いは実質的には引下げになるような案が出て参りましたので、ストライキになりまして、すでに一週間になんなんとしておるわけであります。この両三日、当事者交渉で五百円に足りませんうちの、一番高いところで五百円にちよつと切れておりますが、そういう案が出て参つておるのであります。ところが去年の三月にも同じ炭鉱賃金問題、同じ賃金水準の問題についてストライキを十二日やつて、そうしてそのストライキ中止勧告がなされ、ストライキ中止した上で政府から調停が申請され、中労委にかけられたのでありますが、中労委おきましても、これは資料が出て来なかつたとか、或いは炭鉱実情が分りにくかつたという点もありましようけれども、いわば炭鉱経営者の言い分を主として聞いて、最後に出て参りましたのは斡旋案のような、双方で協議をせいというような案が出て参つたのであります。その際政府に私は緊急質問をいたしたのでありますが、他の部分は除くといたしまして、中労委といたしましても、或いは復金融資返済期限の繰延べ、或いは炭住融資の利子の引下げ等が実現するならば、この面は解決が容易であるという話もありましたし、そういう意味の質問を織込んだのであります。それに対しまして池田大蔵大臣は、……その当時通産大臣でありますが、現任通産大臣といたしまして、復金金利引下げについては枠を決めて引下げるべく検討をしておつて、近く発表しよう、炭鉱方面に対しましても特に炭住と言いますか、炭鉱労働者の住宅に対します貸付金につきましては、できるだけ沢山金利を切下げる、こういうふうに考えて進んでおるのであります。いずれ近日中に発表されることと御了承願いたいと思うのでありますという本会議での答弁があつておるのであります。言い換えますれば、今度の問題にいたしましても、去年からの持越しでありますし、それから去年の政府の責任というものも、その中止、或いは調停、或いはその際の言明、そういうものが尾を引いて今日に至つておるわけであります。で、炭鉱の低賃金の原因は、これは昭和十二年十二月から出発しておりますから、一般的にドツジ・ライン、或いは賃金三原則というものがあると思うのでありますが、併しこの問題につきましても昨年の三月電産の争議等の場合におきましても、あの当時電産に一億数千万円の黒字が出ておつたのでありますが、五万からの人の組合従業員の働きでこれだけの黒字が出ておるのだから、それの半分と申しますか、一部を賃金に廻すことについては政府としても異存がなかろう、政府としても異存がありません、こういうことでドツジ・ラインの今の枠内で賃金値上げができているのであります。その後事情は変つておりますが、炭鉱自身に未拂金も溜つておる。それから復金融資返済生産費の上に大きな負担になつておりますが、私の記憶しておりますところでは、昨年あたりにしてもトンに二、三百円、或いはもつと見込んでおつた所もあつたように思うのであります。それから確か資金の調達をせいということで、相当無理をしまして配当をしておりますことも、これも御承知通りであります。なお今後運賃の値上り、その他物価の諸高騰によりまして、生産費が抑えられた、こういう点に、賃金を上げてはやりたいけれども、上げられぬ理由があると言われておるのであります。併し生産費を見てみますというと、能率はこれは昭和三十三年頃から較べますと、五割近くも上つておるし、それから労務費も低下しまして、戰前の程度、或いはそれ以下に下つておるのであります。而も坑内十時間、或いは越しておるところもあるかと思いますけれども、労働強化によつて、なお、そういう方策も取られようといたしておるわけであります。この点は最初会社側から出ました案にしましても、なお強い能率向上を求め、或いは労務費の低下と言いますか、抑圧を志しておられるということはわかるのであります。で、政府としてこれは炭鉱の正常な復興を図る立場からしまして、かような坑内八千円に満たないような賃金、或いは坑外五千四百円これよりも下つておる所がある。漸くここまで今上ろうかとしているような炭鉱もある。こういう状態に対して、これは石炭の健全なる生産政策としても取らるべきではないと考えられるのでありますし、今後の炭鉱の真の復興というのは今後の日本産業の発達、或いは経済全体の向上から大きな産業政策の問題だと思うのでありますが、今日に至りました賃金交渉の模様を見ておりましても、私どもが考えますと、いろいろ議論はありましようけれども、公務員の千円上つた、いろいろな末に上りました、その程度のものを、これはいくら炭鉱といえども上げてやるべきだと、こういうふうに考えるのでありますが、それを金額に直しますと、坑内五十円、坑外四十円ということになりますが、今出ております会社、まあ四社が中心になつておりますが、七次案、八次案というものにいたしますと、大体一番高い三井でその半分をちよつと切れておる。一カ月五百円に満たないという状態でありました。今後の発展と申しますか、百尺竿頭一歩を進めて今明日中に問題を解決しまして、今後の日本経済への大きな影響を防止するためには、政府施策がいると考えるのであります。これは今までだまつておられたのが政府として不行届、無責任だと考えるのでありますが、特に先ほど申上げましたような、昨年のスト中止の際における池田通産兼任大臣言明等からいたしましても、何らかの政府言明或いは施策がありまして問題を解決せらるべき段階だと、これは大所から見ましても、今日の情勢から見ましても考えられるのでありますがその点についての通産大臣の御意見を承わりたいと思います。
  22. 横尾龍

    国務大臣横尾龍君) 炭鉱ストにつきましては監督官庁として、出炭も減じ、貯炭も減じて行く状況を見ますと、甚だ痛心に堪えないと思つております。且つ又早くこれが解決いたしまして日本産業に寄與することを熱望するものでございます。  つきましては、政府としては今炭鉱ストライキが純然たる経済鬪争であるがために、すべてかかる闘争は自主的に解決両者間でなさることを要望するものであります。そのことに関しては、実は経営者並び労働者組合方々に来て頂きまして、労働大臣とともどもに是非早く自主的に解決して頂きたいと、これを要望しております。幸いにその後いろいろと話合いの進展できまして、実は本朝の六時半頃であります。私の所に三井労務部長から電話がかかつて参りまして、昨晩の二時に大体において話合いがついた。今日九時から四社が本社で経営者労働組合との話合いをするようになつている。遠からずして解決するだろうという話であつたのであります。この解決内容につきましては、経営者労働者側話合いでありまするので、それで話合いがついて解決をすることになれば、その金額は如何にあろうとも私らはこれは両者間が満足したとまでは行かぬとしても、この際いたし方ないとして御解決なさつたと思いまするので、内容についてはまだ実は承わつておりません。又干渉すべきものでもないかと思います。先刻から炭鉱運営につきましていろいろのお話がございましたが、私も実は就任以来炭鉱方々から金融上非常に困つておる。炭住の借入金に対してもいろいろと償却等に対し、又は金利等に対しての陳情を聞いておるのでございます。又その外、年末の金融の如きも或いは遡つて申しますと、八、九月の貯炭に対する資金の如きも、いろいろ聞いておりまして、足らずなりにも或る程度金融ができたとして、実は炭鉱方々から喜んで貰つたこともある。併しながら今のお話通り炭住資金負担の多い、又金融面の困難なることは解決がしていないので、この後もその解決についてはできるだけの我々の努力もして行きたいと、こう考えるのでございます。そういうことが重なり、又は今のお話通りに、二十四年の後、据置になつて、或いは公務員等給與引上つたというような際にどうかというお話でありまするが、政府としては自主的に話合いがあつて解決することをのみ願うものであります。放任はいたしませんけれども、その方が私は順当なり、かかることに対して賃金その他に関與しまして政府がこれに嘴を容れることを避けるのが当然ではないかと思う。重ねて申上げますが、その要素をなすところのものに対して混乱をされておるものに対しましては、政府といたしましては極力御援助もし協力もして行きたいと考えるのであります。
  23. 吉田法晴

    委員外議員吉田法晴君) 重ねて問いますが、スト進行について当事者交渉に俟ち、政府としては関與したくない。すべきではない。これは公式にはそうでありましよう。それから特に労働大臣であるならばそれでいいと思うのであります。併し私はお尋ねをいたしておりまするのは、産業政策として通産大臣として昨年以来持越しになつておる問題を中心にいたしまして御答弁を求めておるわけであります。炭鉱のこの一番低いと申してよろしいと思うのであります。平均をとつてみますと纖維よりもちよつと上つておりますけれども、これは纖維は大部分女工さんで、一人者の女の賃金でありますから、紡績産業は下つておるとしても、これは私妥当と申しますか仕方ないと思うのでありますが、他の産業に比べまして抗内労働のあの不利な仕事、危險な仕事をしておるに拘わらず、一番低い水準に二十三年の末以来ずつと釘付けにされて来た、その原因は炭鉱のいろいろな経済的な條件にある。それから又産業政策にかかつておるところである。或いは未拂金、復金融資、自己資金の無理をして調達、それから諸物価の高騰、運賃その他の今後の値上りの見通し等といつたような問題につきましては、これは当事者の相談に委せればよろしいと、こういう問題ではなくて、通産大臣の所管であろうと思います。そうしたこの炭鉱の実態、或いは生産費の実態、こういうものについて、これは通産大臣として無関心ではないでありましようし、関心も持つておられましようし、一つ産業政策のいろんな問題だと思うのであります。それが引掛つてかかる低賃金を実施して来られた。而も今日まで参りまして恐らく最後に近い段階に来ておることは我々も認めるのでありますが、それは一週間になんなんとする争議をやつてここまで来て、余り国民経済全般に、或いは産業に大きな影響を與えたくないという民主労働組合のこれは配慮である。併し公務員の千円引上げに比べて、その半分程度では、これは炭労として、或いは労務者として、何としても不満な点が残つておる。残つておるが、ここで何とかして解決したいという気持の現われであります。他方経営者のほうの話を聞きましても、上げたいのは上げたいけれども、こういう條件が山積して上げ得られぬのだと、そこで通産大臣に対して私がお尋ねしているのであります。特に去年の四月、これは四月の十一日でありますが、人は替られましたけれども機関は一つ、通商産業省の代表であります国務大臣が約束されたのであります。而もその約束が果されずして今日に至つておる。賃金の問題、べースの問題にしても、そのまま来ておつて、そして諸條件が如何に解決されるかということによつて賃金の最後的の決定がどうなされるかという段階であるから、通産大臣にその点についての御所見、或いは約束、今後の処置というものについて承りたいと思う。こういう工合に考えておりますので、具体的に炭住融資、その他復金融資の債務期限、或いは利子の問題について、或いは生産費、生産材の値上り、特に運賃等について今後値上りをさせないのだと、こういう点がございますならば、これは問題解決の一端になり得るかと思うのであります。それらの点につきまして、具体的に一つ答弁を重ねてお願いしたいと思います。
  24. 横尾龍

    国務大臣横尾龍君) 只今の御質問、これは炭鉱労働者側の御要望のあることは御尤もであります。併し何と申しましても現在におきましては、炭価も自由価格であります。ただ賃金を如何にきめるかということは、これはやつぱり労働組合経営者とのお話であつて、それでおきめになることが至当だと思います。先刻お話のような、炭住復金融資返済の繰延べその他自己資金金融の途を開くこと等に対しましては、これは何といたしましても我々は努力して御協力したいと思います。又合理化とかその他につきましては、これは当然御協力をしたいと思います。ただ石炭運賃の値下げをどうかということになりますと、今日私はここでお答えをし得ない。ということは、ただ單に石炭だけの特殊の値下げをし得ることは、或いはでき得ないかも知れない。併しいろいろの條件を加味して、そして値下げし得るようなことであれば、それには又よくその関係当局に相談をして見ることにいたしますけれども、そういうことをやるとかやらんとかということに対しましては、私、今日御答弁をいたしかねるのであります。重ねて申上げますが、金融その他につきましては、これは先刻申上げますように及ばずながら趨勢は解決して行きつつあるのでありますから、今後もその方向に向つて努力したいと考えております。
  25. 吉田法晴

    委員外議員吉田法晴君) 最後に、これは一般的に考えまして、炭価の問題は従来大きな問題であつたと思うのでありますが、それを生産設備の復興機械化その他について復金融資及び見返資金等について御協力願つたことは、私共もよく知つておるところでありますが、併しそれ以上に労務費の節減或いは労働強化、それによる労働力の低下に基いた点に問題があつたわけでありますが、今日のような世界の情勢では、外国においては統制がだんだん強化されて参ることになつております。日本の諸物価はどんどん上つて参る。例えば生産資材の値上りというのがその現われだと思うのであります。それは自由主義の建前で放つて置く、そうして経済九原則の中の、特に賃金三原則については強力は堅持する、こういうことになりますならば、今のような低賃金が今後も続きまして、労働者の生活の荒廃、特に今まで八割を支拂つて参りました炭鉱労働者の生活というものは惨澹たるものであります。そのために月に五千或いは六千と人が減つて行く。而も減るのが、惡い人が減つて行けばいいのですが、減るときにはいい人がその炭鉱に魅力を感じなくなつて出て行く、そうしますならば、これは炭鉱生産力の大きな、全体として大きな問題になると思う。そういう方針が、これは通産大臣が先ほどのお言葉によりますと、当事者の折衝に委せておけばいいのだ、賃金の問題については私の知つたところではありませんと言われるけれども、併し通産省の中には炭政局の労務課というものがあるのであります。つまり炭鉱労働行政というものはあるわけであります。そういう炭鉱の荒廃或いは労働力の荒廃、低下、そういうものを放つて置いてよろしいか。それに次いで賃金の問題もありますが、全体の或いは石炭の価格に影響をいたします諸要素についての、或いは額の問題或いはその他について、それが直接的な統制がなされますか、或いは間接的な統制がなされますか、或いは形式はとにかくといたしまして、これは問題のあることは、はつきりいたしております。それらの点について今までのような状態ではこれは今度のような問題も起るし、或いは今後も起るであろうということは考えられますが故に、それらの点について通産大臣なり通産省の努力を願いたい。放つて置いてそれは労使の問題だという問題ではないという点を通産政策に関連してお問いをし要望をしておるのであります。重ねて一つ御努力を願いたい。
  26. 横尾龍

    国務大臣横尾龍君) 吉田さんのお話は、非常に炭鉱労働者現状を御存じのかたであり、そしてその窮状を痛感されておる故のお話かと思います。私らはこれを等閑に附するものではありません。併しながら各産業おきまして監督官庁賃金のことについて、かくあるべし、かくある金額にせよということは、私は現在考えていないのであります。重ねて、最も発達したる労働組合のかたがたと、最も労働者に対して同情あるべき筈の経営者でありますから、両者間において最もよき話合をなされるならば、私は労働者の現在の状況も打開するものなりと、こう信ずるものであります。官がこれに嘴を入れることは、現在の段階においていたさないつもりでありますから、惡しからず御了承願います。
  27. 小野義夫

    小野義夫君 吉田さんの御質問は、むしろ御要望と言いますか、の点が多いので、私が発言する必要がないような問題でございますが、私は現に今炭鉱を経営しておるのでありますが、非常な大きな炭鉱でなく或いは余り小さくなくまあその二千人内外を使つておる炭鉱を十数年来やつておるのでありますが、この賃金問題に関して、これは炭鉱にも限りませんと思いますが、この大臣なり、その他が関與してで呉れるということはですね、これは非常事態で如何なる方途もないというので、国家公安上非常に寸分もゆるがせにできないというような緊急状態でも発生すれば、特別の何か法律に基いていろいろ賃金問題に容喙せられますということも止むを得ぬと思いますが、原則としてはそれは非常な迷惑なことでありまして、その結果も又よろしくないのでありまして、先年の例を申上げますというと、水谷商工大臣がよろしい、上げてやるというようなことを組合側に言つてしまつた。ところで我々の業者側が、それは怪しからん、そういうことを大臣が勝手にやるならば、政府が金を出すならよろしい、政府の予算内において、予算を、その賃金を上げるという分を政府みずからが出すというなら、勝手に上げてやるとかやらないということを言うのはいいけれども、我々企業人がやつておるのはどうしても各企業体の採算ということがあるのだから、そこへ大臣が職権を濫用して介在されることは甚だしく迷惑であるから、今後は絶対にして呉れちや困るということの我々は要望をいたしまして、その話は実際に余り行われなくしてやつたと思うのですが、このあとを受けた稻垣商工大臣ですか、しきりと、前大臣がやつたんだから、あとの大臣もその前大臣のやつたことを継承しろというように詰寄つたと思うのですが、稻垣氏は確かその前の大臣のやつたことをそのまま実行しなかつたように記憶しておるのですが、いずれにしても前例から見まして大臣がやつた場合はおおむね結果が惡いのでありまして、何かやるというとすぐ両方からですね、これはひとり組合のほうとも限りません。企業家も時の大臣に言つて、どうかあれを抑えつけて呉れ、ああいうことをやられては非常に我々は企業家ば困るんだ、賃金は出せないが、併し抑えるだけは大臣に抑えて呉れということを事業家のほうも言わんとも限らない。そういうことは甚だ惡い。いわば夫婦喧嘩と申しますか、それを官庁へ持ち込んで行つてやるという癖は惡いから、それはむしろ犬も食わないと育つちや甚だ惡いが、その両方が本当に誠意を披瀝してきめるべきだというように我々はまあ考えておるのでありまして、是非とも今後の日本の労使の関係は和やかに、争うことも激しく争つても、すぐ打開することも両方の間で行くというふうに外国、アメリカ、その他の国々のストライキのように、誠に外から見ていても気持のいいようにやつて欲しいということを我々は念願しておるような状態で、従つて主管大臣その他の人が余り多くこの労使の問題に立ち入ることについては甚だ望ましくないという考えを持つておるのでありますが、併しあとの吉田さんの言われるように、どうして労働者を待遇ができるようにするかということにつきましては、これはまあ政府産業政策として吉田さんのおつしやるようなあらゆる手をできるだけやつて欲しいのでありますが、これも予算というものがあることで、まあ金融予算もあり、本当の予算もあつて炭鉱あたりは今度九十何億の借入金を要望しておるが、そのうちの二、三十億できるかできないかという状態のものでありまして、非常に財政的に困つておるということは、この設備の改善にいたしましても、或いは運転資金おきましても、関連産業も非常に困つておるというようなことも何とかしてこれを打開の途を政府において御努力を願いたいということは考えるのでありますが、ところでなかなかその金を借りたら直るかということを退いて我我経営者の側が考えて見ると、金を借りただけでは採算の採れないような実情にもあるので、それじや炭価を上げればいいのだが、これ又需要家が応じて呉れないということでありまして、なかなかこの石炭経営は容易ならざるものでありまして、経営者として非常に困難な状態にある産業であると思つて、これは一つ労使ともにですね、一段の努力を拂わなければならんというように考えておるような次第であります。私は甚だ余計なことを申上げるが、吉田さんの要望に応ぜられて大臣がうかうかと、それじや俺は今後労使の問題に立ち入るなどとおつしやられては、私ども甚だ迷惑を感ずる次第でありまして、一言余計なことでありますけれども……。
  28. 吉田法晴

    委員外議員吉田法晴君) 小野さんも誤解しておられると思うのでありますが、ここで小野さんと私といわゆる労使の立場から論争をしようとは思つておらんのであります。又通産大臣質問をいたしておりますのも或いは要望をしておりますのも、賃金をここで幾らにしてくれとか、或いは幾らにするのが妥当であろうか、こういつたような議論をしておるわけではないのであります。炭鉱の低賃金の由つて来たるところは、未拂金なり、復金債務、或いは自己資金の無理な調達、そのための配当、それから生産財の値上り等等であつて労働者負担が重くかかつておる結果である。これは生産費を分析されればはつきりわかるのであります。そこでその小野さんのお言葉で言いますならば、金を借りる云々ということになりますが、有機的構成の低いのを最高の有機的構成に上げるためにはどうすればよろしいか、これは産業政策になつて参ると思います。さし当り問題になつております賃金の最後の段階に来て、或いは生産財その他において値上りが見込まれないということになりますならば、それだけでも賃金は上り得る。或いは復金債務の残額が三百二十億程度になつておるかと思うのでありますが、これの償還を五年、七年で相当短期間で返してしまおう、それがトン当りに二、三百円といつたような数字になつてつておる。或いは自己資金の調達のために無理に配当をする、こういうことになつておりまするので、その点についての政府の考慮と努力とを願いたい。問題は去年から持越しになつておるのです。去年のとにかくスト中止、それから調停によつて問題が片付かなかつた。而もそのときに政府としては、通産大臣としては約束されておるその約束を果されておらない、今日それをどうして呉れますか、或いはそれ等の問題についてどうして呉れるかということを主眼点において、それまでは説明をしたわけでありますが、これは質問をし、要望をしておるわけであります。小野さんも誤解のないように。なお通産大臣についても多少最後の御答弁もピントが外れて、前のほうの労働問題云々を言われが、労働大臣とは心得ておりませんから、その点を一つ間違えずに……。
  29. 境野清雄

    ○境野清雄君 ちよつと速記を止めてもらつて呉れませんか。
  30. 深川榮左エ門

    委員長深川榮左エ門君) 速記を止めて下さい。    〔速記中止
  31. 深川榮左エ門

    委員長深川榮左エ門君) 速記を始めて下さい。本日の委員会はこれで散会いたします。    午前十一時五十一分散会  出席者は左の通り。    委員長    深川榮左エ門君    理事            廣瀬與兵衞君            結城 安次君    委員            小野 義夫君            松本  昇君            加藤 正人君            高瀬荘太郎君            山内 卓郎君            駒井 藤平君            境野 清雄君   委員外議員            吉田 法晴君   国務大臣    通商産業大臣  横尾  龍君   政府委員    通商産業省通商    纖維局長    近藤 止文君    特許庁総務部長 松永  幹君   事務局側    常任委員会專門    員       山本友太郎君