○
小野義夫君 吉田さんの御
質問は、むしろ御
要望と言いますか、の点が多いので、私が発言する必要がないような問題でございますが、私は現に今
炭鉱を経営しておるのでありますが、非常な大きな
炭鉱でなく或いは余り小さくなくまあその二千人内外を使
つておる
炭鉱を十数年来や
つておるのでありますが、この
賃金問題に関して、これは
炭鉱にも限りませんと思いますが、この
大臣なり、その他が関與してで呉れるということはですね、これは非常事態で如何なる
方途もないというので、国家公安上非常に寸分もゆるがせにできないというような緊急
状態でも発生すれば、特別の何か法律に基いていろいろ
賃金問題に容喙せられますということも止むを得ぬと思いますが、原則としてはそれは非常な迷惑なことでありまして、その結果も又よろしくないのでありまして、先年の例を申上げますというと、水谷商工
大臣がよろしい、上げてやるというようなことを
組合側に言
つてしまつた。ところで我々の業者側が、それは怪しからん、そういうことを
大臣が勝手にやるならば、
政府が金を出すならよろしい、
政府の予算内において、予算を、その
賃金を上げるという分を
政府みずからが出すというなら、勝手に上げてやるとかやらないということを言うのはいいけれども、我々企業人がや
つておるのはどうしても各企業体の採算ということがあるのだから、そこへ
大臣が職権を濫用して介在されることは甚だしく迷惑であるから、今後は絶対にして呉れちや困るということの我々は
要望をいたしまして、その話は実際に余り行われなくしてやつたと思うのですが、このあとを受けた稻垣商工
大臣ですか、しきりと、前
大臣がやつたんだから、あとの
大臣もその前
大臣のやつたことを継承しろというように詰寄つたと思うのですが、稻垣氏は確かその前の
大臣のやつたことをそのまま実行しなかつたように記憶しておるのですが、いずれにしても前例から見まして
大臣がやつた場合はおおむね結果が惡いのでありまして、何かやるというとすぐ両方からですね、これはひとり
組合のほうとも限りません。企業家も時の
大臣に言
つて、どうかあれを抑えつけて呉れ、ああいうことをやられては非常に我々は企業家ば困るんだ、
賃金は出せないが、併し抑えるだけは
大臣に抑えて呉れということを事業家のほうも言わんとも限らない。そういうことは甚だ惡い。いわば夫婦喧嘩と申しますか、それを官庁へ持ち込んで行
つてやるという癖は惡いから、それはむしろ犬も食わないと育つちや甚だ惡いが、その両方が本当に誠意を披瀝してきめるべきだというように我々はまあ
考えておるのでありまして、是非とも今後の
日本の労使の
関係は和やかに、争うことも激しく争
つても、すぐ打開することも両方の間で行くというふうに
外国、アメリカ、その他の国々の
ストライキのように、誠に外から見ていても気持のいいようにや
つて欲しいということを我々は念願しておるような
状態で、従
つて主管
大臣その他の人が余り多くこの労使の問題に立ち入ることについては甚だ望ましくないという
考えを持
つておるのでありますが、併しあとの吉田さんの言われるように、どうして
労働者を待遇ができるようにするかということにつきましては、これはまあ
政府の
産業政策として吉田さんのおつしやるようなあらゆる手をできるだけや
つて欲しいのでありますが、これも予算というものがあることで、まあ
金融予算もあり、本当の予算もあ
つて、
炭鉱あたりは今度九十何億の借入金を
要望しておるが、そのうちの二、三十億できるかできないかという
状態のものでありまして、非常に財政的に困
つておるということは、この設備の改善にいたしましても、或いは運転
資金に
おきましても、関連
産業も非常に困
つておるというようなことも何とかしてこれを打開の途を
政府において御努力を願いたいということは
考えるのでありますが、ところでなかなかその金を借りたら直るかということを退いて我我
経営者の側が
考えて見ると、金を借りただけでは採算の採れないような
実情にもあるので、それじや炭価を上げればいいのだが、これ又需要家が応じて呉れないということでありまして、なかなかこの石炭経営は容易ならざるものでありまして、
経営者として非常に困難な
状態にある
産業であると思
つて、これは
一つ労使ともにですね、一段の努力を拂わなければならんというように
考えておるような次第であります。私は甚だ余計なことを申上げるが、吉田さんの
要望に応ぜられて
大臣がうかうかと、それじや俺は今後労使の問題に立ち入るなどとおつしやられては、私ども甚だ迷惑を感ずる次第でありまして、一言余計なことでありますけれども……。