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1951-02-08 第10回国会 参議院 通商産業委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年二月八日(木曜日)    午後一時四十四分開会   —————————————   本日の会議に付した事件 ○通商及び産業一般に関する調査の件  (最近の纖維事情に関する件)   —————————————
  2. 結城安次

    理事結城安次君) 只今より開会いたします。本日は最近の纎維事情中心として研究することになつております。本日は業界の実情をも併せてお伺いいたしたいと存じまして、特に御用席をお願いいたしておりまするのは、日本紡績協会東京事務所次長野町克利さん、日本絹人絹織物同業会会長茂木富二さん、日本化学纎維協会理事長信足立修三さん、日本羊毛工業連合会長代理伊藤廉三さん、綿スフ機業会常務理事原與一郎さん、新光レーヨン営業部長中原博造さん、これらのかたがたです。御多忙のところ本委員会のために特別に御出席下さいまして誠に有難うございます。当委員会を代表してお礼申上げます。  委員会議事進め方は先ず政府側説明を伺い、次に業界かたがたからお話を願い、そのあと質疑応答に入りたいと思いますが、如何ですか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 結城安次

    理事結城安次君) それでは先ず農林省蚕糸局長最上章吉さんから生糸需給、及び価格事情と、その安定方策について御説明を伺います。
  4. 最上章吉

    政府委員最上章吉君) それでは生糸需給状況、その他の問題につきまして極めて簡單に御説明申上げたいと思います。只今手許にお配りいたしました資料に基きまして御説明を申上げたいと思いますが、先ず昨年の生糸需給状況から申しますると、生産といたしましては機械生糸生産高が十四万八千百二十四俵でございまして、これは一昨年に比べると相当減産にたつておりまするが、これは手持繭の、つまり繰越時期における手持繭の減少、或いは昨年の春におきまする操短というような事情から、生糸生産はかように減つておるのであります。なお、このほかに約一万一千俵くらいの坐繰生糸玉糸がございますので、それを入れますると合計約十六万俵の生産ということに相成ります。それから輸出は昨年は九万四千六百二十一俵でありまして、これは玉糸等も入れまして九万四千俵余りなつておりますが、これは一昨年から見ますれば約二倍近くの数量なつておるのであります。  それから国内消費高輸出絹用内需用、その他と申しますのはPXその他でございますが、そういうものを入れまして十万三千五百七十八俵でございます。従いまして昨年は十六万俵作りまして二十万俵近くの輸出とか国内消費があつた。こういうことでございまして、相当不足をいたしたのでありまするが、それは昨年の春におきまする在庫高が五万俵以上ありましたので、それを結局食い潰して間に合せたと、こういうことでございまして、要するに需給が非常に逼迫しておることが顯著であります。  次に輸出生糸数量及び金額でありまするが、輸出数量九万四千六百二十一俵と申しますのは、ドルに換算いたしますると三千八百七十八万九千ドルでありまして、このほかに絹織物その他絹製品が約二千五百万ドルばかりありますので、生糸絹織物合計いたしますれば約六千三百七十万ドルくらいの純外貨手取り高になるわけであります。  それから輸出先アメリカが四万七千俵余りでございますが、イギリスフランス、スイスその他も四万数千俵でございまして、いわゆる戰争前に八割まではアメリカ輸出されておりましたものが、割合から申しまするとアメリカ以外のイギリスフランス等相当つて来て、大きな割合を占めておるのであります。尤もイギリスフランス等輸出されまする生糸は、その相当部分製品なつアメリカその他に再輸出をされておるような状況であります。それからアメリカにおきまする生糸需給状況でございますが、昨年は七万二千四百十二俵輸入をいたしまして、消費が六万七千俵余りでございまして、在庫といたしまして現在ありまするものは約一万一千五百八十七俵でございまして、従来いわゆる司令部手持をいたしておりました司令部管理在庫というものは、昨年の秋に全部売れてしまつたのでありまして、現在はいわゆるデイーラーの手持だけが一万俵余りという、かような状況なつておるのであります。  それから本年の需給見通し簡單に申上げまするが、これは本年生糸がどのくらいできるかということは、御承知のように生糸農産物である繭からできますので、天候その他によつて強く支配される農産物のことでございますので、どのくらいできるかということは的確な予想を立てることが困難でありまするけれども、先ず現在の段階におきまする推定をいたしますならば、大体生産高は二十万俵から二十一万俵ぐらいの生糸生産になるものと推測されるのであります。それに対しまして輸出といたし卒して約十万俵から十一万俵、それから輸出絹織物といたしまして三万俵前後、内需用といたしまして七万俵前後、合計二十万俵から二十一万俵、かような推測をいたしておるのであります。無論これは非常に変動の多い商品でございますので、文今後の外国状況等によりまして相当の狂いがあることも予想されるのでありますが、只今段階におきましては、かような予想をいたしておるのであります。  次に横浜における生糸相場の表をつけて置きましたが、一昨年の六月頃は大体十万円から十一万円だつたものが十二月には十四、五万円と上つております。それから昨年の正月には十三、四万円だつたものが暮には二十万から二十一万円ぐらいに上つておるのであります。それから本年は二十二、三万円であつたものが一時は二十六万円から二十七万円近くまで行つたのでございますが、現在は二十六万三、四千円のところでやや落ち着き加減であります。なお、この価格の問題につきまして一番問題になりまするのは、アメリカ物価凍結令でございますが、これは皆様新聞紙等においても御承知のように、いろいろの報道がありまして、私どもといたしましても新聞に出る程度しかわからないのでございますが、まだ司令部等にも確たる確報がないのでございまして、この点は全く五里霧中でございまするけれども、併しながら新聞紙情報等から判断いたしまするならば、大体十二月の十九日から一月の二十五日までの最高価格輸入価格を押えられるであろうということであります。尤も生糸は除外するというような話もございまして、そういうことについてのまだ見通しがつかないのでありますけれども、一月二十五日までの最高価格輸入をされるとしますと、新聞等にもありまするように、五ドル四十五セントか五十セントぐらいになるのではなかろうか。そういたしますると、又横浜渡し価格が約二十五万円程度になるのではないかと想像されるのでございまするが、只今申上げましたように、この点につきまして、アメリカ側の態度がまだはつきりいたしませんので、その情報を待つておるような次第でありまするが、いずれにいたしましてもアメリカ生糸或いは絹織物というものの価格がはつき、りいたしまするならば、何と申しましても世界生糸の一番大きな市場であり、又ヨーロツパ等に出ます生糸も、結局アメリカ製品として出る部面が相当多いのでありまするからして、アメリカ生糸なり或いは絹織物価格というものが非常に大きな影響を持つことは極めて当然でありまして、そういうものをはつきりいたしますれば相場も漸次そういうところに落ち着くのではないかと、かように考えている次第であります。甚だ簡單でございますが、需給その他について御説明申上げた次第であります。
  5. 結城安次

    理事結城安次君) 先ほど議事進め方についてお諮りいたしましたが、蚕糸局長はお急ぎのようでありますから、お帰りにならなければならない御事情があるようでありますから、すぐ蚕糸局長に対する質疑に入りたいと思います。又業界から御出席の参考人かたがたも、蚕糸関係について御意見がございましたらどうぞ簡單にこの際お述べ願いたいと思います。又業界かたがたからの蚕糸局長に対する御質問も結構でございます。御質疑はございませんか。局長だけちよつと帰られるのでありますから……。
  6. 境野清雄

    境野清雄君 只今お話で大体わかつたのですけれども在庫が非常に本年は昨年に比較して少いようでありますし、今日のような値段が出ておるのも勿論アメリカ凍結令関係があると思うのでありますけれども一説にはアメリカのほうが、今局長お話の五ドル五十セントという点でとめていることと、もう一つ絹織物価格がまだわからない、絹織物のほうはどうも日本の内地と同じように、原料高製品安の傾向がありはしないか、そういうような関係から、若し絹織物価格が非常に低い値で凍結されると、局長からお話のありました五ドル五十セント、二十四万七千円から二十五万円ぐらいの価格を堅持できるということが相当困難になりはしないかと同時に、たまたま今日地方選挙もありまして、そういうような関係から見まして、農家の方は二十四万七千円ぐらいをスタンダードにして大体、一万二千掛け、乃至は一万三千掛けで今年は売れるのだというような気がまえが相当強いのです。場所によりましては一万五千掛けぐらいを唱えておるというような点があるので、私どもとしては成るべく一日も早く農林省自体としてそういうものに対して見通しを立てて、従来うるさく言われているこの生糸安定価格というものをお出し願うようなことの御研究をしているかどうか、これをお聞きしたいことと、先般来若しこれが思惑面に走つているようなら勧告価格を出すぞというようなお話も、多分農林省から出ておるだろうと思いますが、その辺に関して何か御構想がありましたら承わりたいと思います。
  7. 最上章吉

    政府委員最上章吉君) 只今お話でございますが、第一にアメリカ価格凍結令のことでございますが、これは只今申上げましたように、いろいろの記事が新聞に出ておりまして、これ以上のことはまだ何にもわからないというのが現状でございまして、又アメリカにおいてもはつきりしないようであります。併しながら絹織物価格というものと、生糸価格と同時に押えられますならば、最近における生糸相当値上りにもかかわらず、絹織物は御承知のようにそれほど値上りをいたしていないのであります。従いまして原料製品価格においてアンバランスがあるのではないかというお話でございますが、この点につきましてはそういうことも予想されるのでありまするが、同時にあの凍結令自体が必要があれば適当な調整をするというようなことになつておりまするので、そういうアンバランスというようなことは結局において何らかの形で調整されるのではないかと、かように考えておるのであります。要しまするに、この問題はもう少しはつきりした向うの模様がわかつた上で、こちらとしてはいろいろの問題を考えなければならないと、かように考えておる次第であります。それから繭の価格その他に関連いたしまして、何か価格の安定というようなことを考えておるかというお話でございますが、これは前々からいわゆる市価安定の問題といたしましてたびたび議会等でも問題になり、又業界等においても強く要望されておるのでございますが、いろいろの関係から、殊に関係方面の了解を得られないために現在に至つておるのでありまするが、まあそういうことができないといたしまするならば、何かこれに代る蚕糸業の安定に立つような案をいろいろと目下検討をいたして、政府部内打合せをいたしておるのでございまして、私どもといたしましては何かそういうような施策を是非講じたいと、かような方針で政府部内或いは関係方面とも種々折衝いたしておるのが現在の状況であります。
  8. 境野清雄

    境野清雄君 今の繭の安定策でありますけれども、大体日本は現在釜数が五万釜ぐらい許可されておる。一年二千五百万貫なければ一年間の操業ができない。二千五百万貫にならなければならない。たまたま今局長からのお話では二十万俵というのは勿論二千万俵は突破しますが、その産繭高とこの設備とのアンバランスがあるのか。バランスのとれる二千五百万貫という最低基準のところは何年頃にそれへ行くお見通しですか。
  9. 最上章吉

    政府委員最上章吉君) 只今の問題につきましては、本年は大体最近の情報によりますると、二千百万貫ぐらいの昨年は蚕の收繭高なつておるのでございまして、これは本年は二千三百万から四百万貫くらいの、尤もこれは天候に支配されまするので非常にむずかしいのてありますか、大体二千三百万から四百万ぐらいの收繭高を目標にしてやりたいと、かように考えておるのであります。従いまして二千五百万貫ぐらいには、来年は大体それに近いような数字に行くのではないかと、かように考えておる次第でございます。この点につきましてはなお安本を中心といたしまして、自立経済審議会等におきまして三カ年後の日本経済自立計画を立てておりますが、そこの中に蚕糸業についてもいろいろ詳しい計画を立てておるのでありますが、そういうことにつきましていろいろ打合せをいたしておりますので、そういう協議がはつきりいたしましたならば、できるだけ早い機会に蚕糸復興計画政府としても決定して、公表したいとかように考えておる次第でございます。
  10. 境野清雄

    境野清雄君 もう一つお聞きしたい。それはこの問題と違うのですが、咋来決定しました商品取引所の問題大体神戸と京都から商品取引所生糸問題については出ておるような話であるが、最近の情勢では綿、それから羊毛、並びに生ゴムというような輸入主体にしておる商品取引所に関しては相当難点がある。併し化繊生糸はよいじやないかというような話を聞いておるのですが、まだ遅々として化繊のほうも大阪以外のところは許可になつておらないようであります。化繊の問題に関してはあと纎維局長さんのほうからお伺いしますが、大体今農林省のほうから見たいわゆる生糸取引所の問題はどんなようになつておりますか、簡單で結構でございますが一つ
  11. 最上章吉

    政府委員最上章吉君) 生糸取引所の問題は、司令部に正式に書類を出しまして目下向う審議を願つております。
  12. 境野清雄

    境野清雄君 お見通しはどうですか。
  13. 最上章吉

    政府委員最上章吉君) これはアメリカ価格統制令が出ましたために、その結果がどういうことになるかという点が問題であるようですが、ほかには大して問題はないようであります。
  14. 境野清雄

    境野清雄君 一説に何か今の輸出主体にしたもののほうの取引所と一緒に処理するために、そのほうが取下げなり何なりするまで、化繊生糸はお付き合いで待つているというような話を聞いておりますけれども、そういう点は如何でございますか。
  15. 最上章吉

    政府委員最上章吉君) そういうことは何も聞いておりません。
  16. 結城安次

    理事結城安次君) ほかに御質疑ございませんか。委員のかたからございませんければ、参考人のかたに御意見があつたらお述べになつてよろしうございます。
  17. 茂木富二

    参考人茂木富二君) アメリカ生糸凍結令が明らかになるのに伴いまして、こちらのほうも基準価格とか何とかいうような形で、それに一応倣うというようなことがあるのではないかというようなことを私どもは懸念いたしておるわけであります。その場合生糸で示されるか、或いは織物までも示されるかということを考えておるわけですが、生糸で若しお示し頂く場合でも、織物だけは私どもは自由にしておいて頂きまして、できるだけ織物にして輸出のできるよう希望いたしておる次第でございます。なお又アメリカ以外の他の国が買い進まれた場合、これはどういう結果になりますか。輸出だけがまあフリーであつて、他の国が盛んに買い進まれた場合に、非常に我々の絹織用として使う面がそのほうに流れて、更に少い原料が窮屈になるというようなことを懸念しておりますので、そんな点につきましても、然るべく御考慮のほどを願いたいと、こう思いますので、ちよつとお願いを申上げる次第であります。
  18. 結城安次

    理事結城安次君) ほかに御意見もございませんければ、次は通産省纎維局長近藤止文さんから…。
  19. 近藤止文

    政府委員近藤止文君) 只今蚕糸問題につきまして、農林省蚕糸局長から需給関係概略お話がございました。私から綿花羊毛化繊原料である人絹パルプ、これらの需給見通し並びにそれに伴いまして綿製品毛製品或いは化繊製品はどのくらいの生産が今後行われるかという概略見通しにつきまして御説明申上げます。お手許纎維関係原料輸入及び生産見込という資料を差上げてありますから、これによりまして御説明申上げます。この御説明を申上げます前にあらかじめお断りをしておきたいと思いますのは、この原料輸入生産見込み表を作りましたのは、本年一カ年間に亘りまして年間の計画にいたしましたので、相当部分につきましては、すでに確実にこちらに到着しているとか、或いは輸送中であるとか、買付の済んだものもございますので、そのほかに今後将来に亘りまして、日本買付けし得るであろうという見込数字が入つておりますので、結論といたしまして、この数字が必ずしも的確にここに参るということは申しかねるのでありまして、そういつた予想部分につきましては多分に通産省としての見込が入つておりますので、その点をあらかじめ御了承置き願いたいと思います。  最初に綿花につきまして御説明申上げますと、この表にございますように昨年の十二月末現在における在庫は四十二万八千俵でございます。次にすでに昨年中に買付を済ませまして、今年の一月以降に逐次入荷して参ります見込のものが七十八万九千俵でございまして、その内訳米綿が三十一万八千俵、その他の地域の綿が四十L万一千俵ということになつております。これはすでに買付が済みまして現に入荷しつつあるものもございますし、又輸送途中のものもあるわけでございます。入荷状況は一月は比較的良好でございまして、二十万俵を超えるくらいの入荷が現にございました。只今のところでは船腹その他の関係で特にこの入荷が遅れるということの予想はございません。むしろ一、二、三と相当多量に入荷いたしまして、国内におけるこれらの入荷綿花の資金繰りのほうがむしろ問題になるというような状況でございますので、船腹のほうは差当りとしては非常な困難に遭遇しておるというようなことはございません。それから次に、この一—十二月一ぱいまでに、今年の十二月までにどのくらい入るか、つまりこれから新たに買付をいたしまして、年内に品物が入る見込数字をこの表におきましては七十万三千俵と押えてございまして、その内訳は  一応米綿を三十一万俵、その他の地域のものを三十九万三千俵と見込んでおるのであります。ただこの見込のなかで確実に決定いたしておりますのは、米綿の中でこの一月に追加割当がございました十七万俵でございまして、それ以外のものにつきましてはまだ的確にどれだけの数字が、買付けたとか一又買付見込が十分であるというところまでは参らんのでありまして、相当予想数字が入つておるのであります。ただこの米綿三十一万俵という数字は確実になつておりますので、残り十四万俵だけが今年十二月までに入荷するという見込なつておりまして、この見込数字は非常に内輪に数字を見ておるのであります。大体アメリカの新編が八月くらいから出廻つて参りまして、これが十一、十二月当りにおける日本貿易用綿花には十分間に合うのでございまして、又四月以降におきまして米綿の古い綿の追加割当があるかどうか、これも予想ができませんのでこれは一応ゼロということで計算して三十一万俵という数字を出しました。そうして実は足らず前の数字は、その他の地域オートマチック・アプルーバル・システム、パキスタン、ベンゴール、アルゼンチン、エジプト、メキシコ、ブラジル、その他の地域のほうに三十九万三千俵という数字を挙げておるのでありますが、実際問題といたしましてはもう少し米綿のほうが殖えまして、その他の地域のほうが減るということになりはしないかとも考えております。こういつた供料予想量を立てますと、一月—十二月におきます供給予想量は百九十二万俵であります。そのうち需要といたしまして消費綿として百六十九万俵、ランニング・ストックどいたしまして二十三万俵という計画を立てておるのであります。大体この計画の中で先ほど申上げました点だけが不安定な要素でございまして、その他の分のものは現に買付が済んでおる。或いは割当が来たというようなことで確実な数字が入つておりますので、このくらいの綿花供給ということは本年度におきましてさして困難ではないというように考えるのであります。この予想から参りました場合に、生産一体どのくらいになるかという見通しでございますが、今年はこの数字で参りますと、綿糸の総生産高といたしまして七億七百十五万ポンドという数字見込んでおります。これは昨年の実績に比べまして三割七分増加でありまして、昨年は五十一億七千七百万ポンドという数字なつております。その内訳をここに書いてございますが、輸出が一応十三億五千万ヤールという織物輸出見込んでおるのでありますが、昨年は十億六千方ヤール、これが大体三割近く増加するということになつておるのであります、が、一体輸出をどのくらい見込むかどうかということは非常にむずかしい問題でありまして、これらイギリスなり或いは印度における外国に対する輸出の量が、どうなるかという問題ともからんで参りますし、又その他の諸国におきまして一体どのくらいの資金を用意すべきかというような金繰りの問題も出て参りまして、はつきりいたしませんが、できるだけ品質の良好なものを少く出しまして、多くの外貨を得るという、最も能率的な輸出を今年はやらなければならんと私ども考えておるのでありまして、一応十三億五千万ヤールというような数字を押えて見たのであります。実際はどういうことになりますか、もう少し経過いたしませんとはつきりいたしません。ただ問題は本年中に非常な世界情勢の不安でもありますれば別でありますが、若し正常の状態から参りますならば現在の綿花市場というものはアメリカの新綿の出廻りによりまして、よほど変化を見、なければならないというふうに思われます。従つてそれに伴いましての綿糸、綿布の価格の問題、輸出数量の問題、こういうものにつきましても必ずしも楽観論ばかりでは参らないのでありまして、今年の下半期におきましては或いは逆鞘等の問題も起つて来る可能性があり、もう暫らく様子を見ませんとはつきりいたしませんが、一応輸出は十三億五千万ヤールということに押えまして、糸及び二次製品八千万ポンドと踏んで参りますと、国内においては特需を除きまして約五億五千万ポンドの供給ということになりまして、昨年に比べまして三割の増という数字が出るわけであります。大体こういつた需給見通しを立てておるのでございますが、何分にもはつきりしません要素がございますので、この計画も将来多少は変更せざるを得ないというふうに思うのでございますが、全般的に申しまして綿製品生産というものは、昨年に比べて相当増加いたします。又昨年あたりに比べますれば急速に増加する趨勢にあるわけでございます。設備の、増錘様子などを見ましても、相当の増産を見込むことは決して間違いないというように考えております。  それから次に羊毛につきまして概略説明を申上げます。実はこの羊毛の表は大変わかりにくい表になつておりまして甚だ恐縮なんでございますが、無理に今年一カ年間の計画をここに織り込みましたので、数字が今まで御説明を申上げておりましたような数字と少し懸け離れた数字が出て参つておるのであります。と申しますのは、大体綿花は従来は普通毎月ならして買付けできるような状態が多うございました。特に米綿は一年中買えるが、ほかの地域につきましては季節的に買付けしなければならんというものがございますが、概して年間平均して買えるのが普通でございますが、羊毛のほうはシーズンがございます。そのシーズンに一年分を買つてしまうということになりますので、一月から十二月というので、その期限を切りまして数字を出しますと、非常に不自然な数字になるのでございまして、この点はあらかじめお含みを願いたいと思います。羊毛につきましては普通七月から翌年の六月までを一応年度といたして計算をいたしまして、そうして濠州羊毛オークシヨンの始まります頃からスタートいたしまして、一年間を計算するというのが普通でございますが、資料関係で  一月から十二月といたしましたので、数字が少し馴染みにくい数字なつておりますが、お含み置き願います。昨年の十二月現在の在庫は六万八千俵でございます。買付け済みで今年の一月以降に入荷して参ります見込のものが二十七万三千俵でございます。これを合計いたしますと三十四万俵程度数字になるのでございますが、大体これくらいが昨年の七月から今年の六月までに見込みます普通の年度計画における数字でございます。三十四万という程度のものを確保するということでスタートしておるのでございますが、実は買付けのほうは比較的昨年の十月——十二月の間におきまして順調に行つたのでございますが、現実には支拂條件を四月以降に遅らせる、その他の操作をいたしまして、ポンド不足の関係をカバーしておりますので、結局買付けはいたしましたが、現実に入荷いたして参りますのが、今年に入つてから非常にたくさんになつたという関係上、十二月末の在庫が非常に少くて  一月以降に入つて参りましたりが非常に多い、こういうことになつておるのであります。なおその他に新らしく買付けいたしますものといたしまして、ここに十五万俵の数字見込んでございますが、そのうちで新らしい羊毛年度に入りましてから買付けをいたしますのが、この十五万俵のうちの大部分でございまして、極く僅かの数量がこの一月から六月の旧羊毛年度におきまして買付け得られる数字ということになつておるのであります。従つてこの十五万俵を加えますと、一月から十二月の供給予想量は四十九万一千俵という非常に大きな数字に上つておるので  ございますが、それにいたしましても、実は新羊毛年度の買付数というものを比較的に内輪に見ておりますので、もう少し余計な数字によらなければなりませんし、又のぼせたいと、かように思つておるのであります。新旧羊毛年度の年度が重なりましたので、四十九万一千俵という数字が出たのであります。供給量に対して大体需要の予想を申上げますと、四十六万乃至五十五万という数字があるわけでございますが、毛の関係につきましては、実は輸出のほうの関係余り重要性はございません。大部分国内消費されるものであります。而も国内消費されますもので、極く特定な緊急な需要というものは比較的多くありません。大部分は民生用に充てるということになつておりますので、結局原毛が余計人つて参りますれば、それだけ余計作りまして、これを国内に流すというかつこうになるのであります。設備関係から申しましても、大体六十万俵ぐらいの原毛が入つて来ましても消化できる能力がございますので、結局原毛の入り方如何によつて供給量が増減するという、こういうことになるのであります。一応その消費状況を四十万俵乃至四十九万俵というふうにいたしまして、その間にランニング・ストツクの所要量を六万と見て四十六万乃至五十五万俵要るということになるのであります。最低の場合には四十六俵で間に合うという程度になるのでございます。この消費予想に非常に開きをおいてありますのは、何か突発な特別な需要が起りました場合においては、そういうものがこれくらいまで要るという予想数字が入つておりますので、消費予想量相当の幅を置いたわけであります。この場合に一体どのくらいの生産ができるかということが下に書いてあるのでございまして、四十万俵を前提といたしまして計算いたしました場合におきましては、梳毛糸が四千二百六十万ポンド、紡毛糸が四十八万五千ポンド、これは昨年の率に比べますと、二割八分及び二割の増加ということになりまして、合計九千百十万ポンドという数字が出て参りますと、二割六分増ということになるのであります。その他にフエルト或いは帽帶というものを加えまして四十万俵という生産量を見込んでおるわけでございます。大体羊毛関係需給只今申上げました通りでありますが、次に人絹パルプ及びそれに伴いましての化繊生産予想について申上げます。これは実は年間を予想いたしまして、一月から十二月までの数字を出したいと思つたのでございますが、計画を大体四月から三月というふうに組んで大体ほうぼうで発表されておりますので、その数字を一応とつて見ます。年間の計画と殆んど同じようなかつこうになるのでありまして、ただ三月末の在庫が四千トン、そういたしまして一年間の入荷及び生産見込が二十万五千トンと、こうなつておりますが、この在庫関係が多少食い違いまして、昨年の十二月末の在庫におきましては、四千トンの数字がもう少し大きなところになつておるのであります。一—三における入荷余り順調でございませんので、結局相当三月末に在庫が減つて来るという計算になるわけでございます。あと数字は大体ここに挙げましたのと同じ数字になるわけであります。その二十万五千トンというものに対しまして、四千トンの在庫を持ちますと、二十万九千トンの供給になりまして、消費予想で二十万五千、従つて普通に必要といたしますランニング・ストックを二万トンと見込むといたしますと、実は少々不足をするということになるのでございますが、この二十万五千トンの数字を前提にいたしまして生産計画を立てて見ますと、人絹におきまして一億四千ポンド、スフ二億五千万ポンド、計三億九千万ポンドの生産見込まれますから、そうすると、昨年に比べまして五割四分の増加ということになるのであります。ただ人絹パルプは、御承知のように、国産パルプの生産が非常に進みまして、又特に国産パルプは増産体制が非常に顯著でございまして、むしろうつちやつておきますと、国産の人絹パルプは十三万五千トンはおろか、もう少し大きな数字ができる可能性があるのでございますが、そういたしますと、ほかの製紙用パルプなり、石炭の坑木なり、そういつた方面との摩擦も生じますので、一応十三万五千トンに押えてございますが、国産パルプは現在の状態でございますと、これ以上に増産される形勢にあると思うのであります。その半面輸入パルプは昨年一カ年聞の長期の為替資金の割当をもらいまして、九万二千トンの買付けをするということで始めて見たのであります。多少時期が遅れました関係もありまして、又同時に北欧あたりにおける生産が思うように進んでおらんというところから、実は売物が少いのでありまして、当初は九万二千トンと予想いたしましたけれども、よほど努力いたしまして七万トンくらいの輸入が確保できるということじやないかと思われます。これも今年の下半期になりましてどのくらい買付けができるか、そういつた問題ともからみますので、はつきりいたしませんが、実態というものは、このくらいは買付け得るのじやないかと考えておるわけであります。だんだん化繊関係におきましては、国産のほうの依存度が高まつて来ておるという現状でございます。ただこれだけの生産をいたしますのに必要な塩の問題と、それから塩の輸入の問題と、それから国産の硫黄の増産の問題、この二つが、現在ではレーヨン・パルプの問題に劣らず重要な問題になつておるのでございまして、近海の塩がなくなつて参りまして遠海塩を入れなければならんということから、結局苛性ソーダ、そういつた方面の供給が十分行くかどうかという問題、硫黄に関しましても、今の公定価格等の関係がございまして、現状ではなかなか増産がスムースに参らないというようなこともございます。これらも隘路になつておりまするので、これだけの予想生産が上るかどうかということには多少疑問を持つのでございますが、併し最低少くとも三億五千万ポンドの生産は十分挙げられるということに思つております。  主な纎維の原料につきまして、輸入状況只今申上げました通りでございますが、この問題に関連いたしまして現在の統制の問題につきまして、どういう状況にあるかということを一応御参考までに申上げておきたいと思います。現在纎維につきまして統制の行われておりますのは、極く一部の種類につきまして輸入為替資金の割当制を残しておるものがございます。これは綿につきましては、米綿、それから羊毛につきましては、大体濠州及びアルゼンチンにつきまして割当をすることがございますが、それから人絹パルプ、これにつきましてメーカーに対しまして輸入為替資金割当をいたしておりますが、その他の部分につきましては全部オートマテイツク・アプルーバル・システムで自由に買えるようになつておるのでございます。為替の統制の問題に引続きまして、国内関係で統制を現在でも残しておりますのは綿だけでございまして、その他の纎維はすべて自由になつております。綿につきましては御承知のように、昨年の四月以降末端における消費統制というものは撤廃をいたしまして、逐次下から上のほうに統制を撤廃する段階を辿つて来つあつたのでございますが、丁度只今綿糸割当、それから綿布につきまして極く一部分生産資材につきましての割当制度を残しておりますのと、それから綿糸、綿布につきまして公定価格の制度がございまして、価格統制をこれは小売の末端まで実施いたしておるのであります。この問題を今後どういうふうにするかという問題でございますが、これは現在のところではまだ安本或いは物価庁等と相談中でございまして、結論は出ておりません。但し綿につきましての問題は、最近の機会におきまして国内用に充てておりました政府手持綿花が種切れになるのでありまして、この政府手持綿花がなくなりますと、国内用に充てられます綿糸、綿布の原料になります綿花につきましても、民間で買付けをいたしました綿を充てなければならないということになるのでありまして、これは大体三月の末までにはそういう時期になるのでございます。その場合に従来は政府手持の綿をプール計算によりまして平均価格を出しまして、拂下げいたしましたその拂下げ価格をべースにいたしまして、綿製品の公を形成いたしておつたのでありますが、民間買付けの綿ということになりますと、そのプールをいたす方法がございませんし、又買付けました綿の値段にしましても各社が各様の買い方をいたしておりますので、千差万別であります。その場合に一体どういう価格の形式をするかということが、相当これはむずかしい問題でございまして、同時に綿製品が非常に重要な輸出品であると同時に、国民生活にも重要なものでございますので、これらの統制のあり方を今後どうするかという問題は、緊急にきめなければならない問題でありますと同時に、非常に重要なる問題でございます。ただ現在の段階におきましてはまだどうするかという結論を出しかねておる状態でございます。近い将来には何らかの決定が行われると思つておりますが、そういう状態でございます。なおほかの纎維につきまして再統制云々という話もぼつぼつあるようでございますが、只今段階におきましては自由になつております纎維につきまして、もう一遍統制をするということは現在考えておりませんが、但し今後の状況如何によつてどうなるかわかりません。只今のところではそういうことは考えておりませんし、又只今説明申上げましたように、全般的に纎維の製品生産が増加するのでありまして、而も今後これらの原料輸入は非常に困難になるということは考えられますが、なくなつてしまうということは考えられませんので、そういつた情勢から判断いたしまして、再統制というようなことにつきましては現在私ども考えておりません。  簡單でございますが、以上概略説明申上げました。
  20. 結城安次

    理事結城安次君) それでは続いて紡績協会東京事務所次長野町克利さんから御意見をお伺いしたいと思います。時間もございませんので成るべく簡單に十分間ぐらいでどうぞお願いいたします。
  21. 野町克利

    参考人(野町克利君) 大体只今纎維局長からお話がありました統制の問題について、我々業界では先般来いろいろ研究しておつたのでありますが、最近結論を得ましたので、当局のほうに意見を具申しておる状態であります。問題は価格の統制の問題と、数量の統制の問題に大きく分けられますが、お手許に配付してあります私のほうの月報の意見書をお開き願いますれば大綱がおわかりと存じますけれども只今局長からお話がありました通り、四月以降における生産原料である綿花が各社まちまちに買付けました価格によつて得られました原綿を使用する関係上、一本の公定価格でこれを押える、統制するということが困難になるようなことになりますので、この際公定価格を廃止してもらいたいという結論に到達しておるわけであります。それは又生産数量に関連するのでありますけれども、先ほど来局長が申されたように、本年度の綿花輸入見通しとしましては非常に楽観的な見通しが立てられまして、原綿の輸出割当制度が実施されました以後における日本に対する割当は、非常に予想以上に大きい数量に達しておりますので、本年度の生産計画といたしましては、恐らく内需用としまして月平均五万五千梱、昨年度来からの数量からいたしますと非常な増加になつております。一人当り三・〇三ポンドというような状況生産になるわけであります。この点からいたしまして公定価格を廃止しても現在の価格以上に暴騰するという懸念がないわけであります。それで統制を外した場合に、どういう価格に依存するかという問題が生じますが、この点につきましては意見書にも説明してありますごとく、輸出価格中心にしてやる、輸出価格よりも内需の価格は非常に高くなりますと、これは国際的な問題となりまして、ダンピングのそしりを受ける懸念があるのでありますから、この点は嚴重な監視をしなければならんということで、大体輸出綿糸価格中心にし国内価格を是正して行こうということになつておるのであります。  それから数量統制の問題でありますけれども、内需の民間の生産が六十一方九千梱でありますから、これに対する綿製品生産統制というものは漸次緩和されますけれども、大枠だけをきめておいて、綿糸段階で規制をするという方式にしたらいいのじやないかということになりまして、紡績の内需、輸出の大枠をきめまして、その範囲内で生産を責任を持つてやり、引渡しも責任を持つてやるという方式にいたしたいという意見なつておるのであります。それで生産計画は元来非常に遅れておりますので、これをあらかじめ六カ月分をきめまして、早期にこれを計画する、それで紡績糸商、需要者それぞれの先物約定を許してもらいたいということであります。これはいろいろ国際価格関係を持ちます綿糸のことでありますので、一応そのときの相場をヘツヂするという関係もありまして、国内取引も輸出の取引と同様に先物約定ができるような組織にしてもらいたいということであります。勿論輸出については従来の通り自由でありまして、従来問題になりますのは輸出生産量が少いのと、引渡しが非常に計画通りに行つておらなかつたという問題がありますので、今後は引渡しについて嚴重に業者間で自主的に責任数量をきめまして、受渡しの円滑化を図るという方式になつておる次第であります。大体以上述べましたような点が私どもの綿業統制に関する意見でございますが、現在問題になつております問題といたしまして、資金の問題がございますが、これは纎維局長も先ほど申されたように、四月、五月において綿花が非常に殺到して参りまして、これの買取資金が従来の国内における金融の最高限度を突破するという懸念がありますので、これに対する対策としていろいろ関係方面に陳情しております。幸いに現在のところでは従来の三百七十六億の枠の範囲内で経過しておりますが、今後は六月くらいには九百億近くになるという計算になつておりますが、これはピーク時でありまして、あらかじめそれだけの枠をもらつて置くということでありまして、決してそれだけを使用するということではないのであります。それから設備の制限撤廃が昨年六月以降にありまして、本年度の生産計画を満たすべき設備の増加を、只今各社ともやつておるのでありますが、現在のところ十二月末現在で四百三十八万錘の据付錘数があります。今後年末までには約四百八十八万錘に増加する予定でありますが、これに要する設備資金の調達が問題であります。大体において設備資金は社債によつてつておるのでありますが、毎月紡績業者が希望しますものよりも、社債の限度が非常に少いので、生産設備増設に支障を来たすような状態でありますので、これを日銀その他に陳情いたしまして、社債の発行を円滑にするようにしてもらいたいということを、陳情しておるわけであります。そのほか紡績業としまして再再評価の問題がございますが、これにつきましては、他の産業よりも收益その他で非常に増しておりますけれども只今の評価の限度ではなお資本の食い潰しということが行われる虞れがありますので、評価の限度を引上げてもらう。それには評価税の軽減、それから償却の経費に落す部分の増大等、いろいろの意見をとりまとめまして、今後資本蓄積に対する対策を講じておりますが、これに対してはやはり課税に対する税率が問題だと思うのであります。それでこの再生産される資本蓄積の問題を中心として、課税が障害となつている点を早く除去して、資本蓄積に十分効果が挙るように、業界としては切望しておる次第であります。以上簡單でありますが……。
  22. 結城安次

    理事結城安次君) 有難うございました。では次に化繊協会理事長足立修三さん。
  23. 足立修三

    参考人(足立修三君) 先ず最初に、最近の化学纎維の生産及び化繊会社の持つております製品在庫量、それから今後の生産というようなものについてちよつと申上げたいと思います。  化繊は戰後の生産を振り返つて見ますと、二十年の終戰の年には僅かに二千七百万ポンドくらいの生産をやつておつたのでありますが、最近一月の生産の実積を見ますと、人絹につきましては一千四十七万五千、それからスフにつきましては一千七百五十八万六千、こういう非常に大きな数字になりまして、終戰当時一年に作つた数字を最近におきましてはこの一月で、一カ月で作つておる。こういうような大きな増加になつて参つたわけであります。そこで最近機業地あたりで相当糸の不足の話も聞くのでありますが、化繊界におきましては今申上げました最近人絹が大体一千万、スフが一千七百万くらい、この数字が殆んどそのまま消費者のほうの手に入つておるわけでありまして、現在スフについては僅かに十日分くらい、人絹についても僅かに十七、八日分くらいの在庫化繊会社が持つておるに過ぎないのであります。そこで現在の輸出事情から見ますと、国内相当窮屈のような感じもいたすのでありますが、二十五年におきましては人絹製品が糸並びに織物を合せまして約三二%、重量の比で見まして約三二%ぐらい出ておりますし、スフにつきましては約一二、三%のスフ糸並びにスフ織物が出ておるわけであります。そこでその輸出の面で非常に特異な点は人絹糸につきましては二十四年の人絹糸の輸出に比べますと、二十五年に至りましては三分の一以下に糸の輸出が減つて参つた。反対に織物につきましては二十四年に比べますと、五倍に殖えております。これは日本の機業地を通して一段稼行度を高めて輸出しておるという最も顯著な点だろうと思つております。そこで今申上げましたように在庫が非常に少いので、我々としてはできるだけこの際生産をいたしませんと、輸出も最近非常に高値であると同時に、輸出数量も殖えて参りまして、十二月あたりまでの集計を見ますと、大体金額にしまして六千二百万ドル化学製品輸出が出ておりますし、数量につきましては今申上げたごとく非常に輸出も順調になつております。そこで先ほど近藤局長から御説明がございましたが、大体三億九千を目標に努力をするというような点は、我々もその通りでありますが、一応各社は最近もつともつと大きな考え方をしておりまして、私の手許に集めてあります数字は五億一千万ポンドを越しておるわけであります。併し現実に現在の塩の輸入見通し、硫黄の生産状況、それからパルプの事情等から見ますと、五億という生産は我々のところでは、ちよつと今のところは解決し得ない問題が大きいのじやないか。そこで我々は三億九千を如何にやるかという問題でありますが、先ほどもお話がありましたように化纖の、輸入のパルプにつきましては外貨資金を需要者に割当てて頂いて購入しておるわけでありますが、九万二千トンの資金の割当に対しまして、今日までわかつております今年度の買付け契約は僅かに四万二千トンぐらいなようでございます。従いまして我々としてはどうしても国内に大きく依存しなければならないのでありますが、S・Pの関係もありますので、思うような期待ができず、只今ここにもありますように十三万七千トンぐらいの数字が書いてありますが、我々は現実にはもつと作つてもらうように期待をいたしております。その理由といたしましては、御承知のようにパルプの中でも紙に使いますパルプはマル公がありますし、人絹に使つておりますパルプは人絹が輸出製品であり、従つて輸出製品に使う原料のパルプは統制がない。そこでパルプ事業としてはR・Pを作る、人絹パルプを作るということが紙パルプを作るというよりも、非常に有利でありますために、現在の価格統制制度がそのまま続く限りにおきましては、R・Pがずつと余計作られるのじやないかというふうに期待いたしているからであります。ただこのパルプ問題につきましては化纖界として問題にいたしておりますのは、只今大蔵省のほうから提出になられます関税の改正法律案でありますが、あれには一応現在まで従量税で殆んど無税に近かつたパルプに対して、五%の関税がかかるそうであります。今度の関税の趣旨は、いわゆるガツト参加の前提であるとか、或いは保護関税的な考え方を相当強くとつているにかかわらず、現在国内パルプは相当パルプ事業が利潤を挙げているにもかかわらず、大体価格的に見ますと二百ドルちよつとであります。ところが、輸入パルプは現在すでに三百六十ドル、或いはそれ以上の高値でありまして、約八割ぐらいは国内パルプに比べますと輸入パルプは高いわけであります。そこで我々といたしましては高いパルプを買つて、それに関税をかけられるということは非常に重荷になりまするので、一応高いパルプを買つて国内のパルプ事業に対しては何ら影響がないというような点で、関税の意味から見ますれば無税か免税が適当であるという線で考えておるのであります。それから現在アメリカはパルプとして約百万ドル以上買つております。人絹パルプについては十五万ドルぐらい買つておるのでありますが、これがやはり無税で入つておるわけであります。従つて将来国際貿易関税協定あたりに日本も参加する上から見ましても、これは一つ免税の線でやつて頂きたいという点を化纖界としては考えておるわけであります。  それからサルフアーの問題でありますが、サルフアーの問題は、これは現在世界的に不足をいたしておりまして、二、三日前にミスター・テイラーとお会いしましたところ、アメリカのパルプ・メーカーはサルフアーの窮屈なために生産を下げなければならないというようなことを申しておりました。御存じのようにアメリカは、年間四百八十万トンぐらいサルフアーが取れるのでありますが、日本と違いまして硫黄を大部分硫酸のほうに使つておる関係で、又欧州にたくさん輸出する関係で非常に窮屈なようであります。併し日本には御存じのようにサルフアーはたくさん埋蔵量がございますので、これを地表に出して有効化すればよろしいわけであります。ところが現在硫黄の価格につきましては一万四千七百円というマル公がございまして、すでに採業している礦山では、それで大体採算は立つていますけれども、新らしい鉱区を開発してもらうためには、その価格ではできないわけでありますので、ここで若し価格を外して頂けるならば量的な心配は先ずないのではないか。現に鉱山局あたりで調査をいたしました生産量から見ましても、マル公が外れるならば現在よりも一万五千トンぐらいは二十六年度に増産ができるだろうという一つ見通しを立てておられます。そこでこの価格というものが、増産するために外されるならば、我々の三億九千を達成するに必要な硫黄の問題については心配はなくなるという見方もできるわけであります。そこで化纖界といたしましては、この際増産のためにサルフアーの価格統制をやめて頂きたいという点が目標であります。  それから塩の問題でありますが、塩はアメリカの中共貿易の停止に伴いまして、ピーク時には約五〇%程度外塩の依存度をかけておりました中共からの塩が入りませんので、これをその他の地域に変えなければならん。ところが塩の輸入につきましては、予算制度の面から見まして、スターリングとオープン・アカウントの地域からこれを買うことにいたしておりますので、例えばアメリカの話がありましても、ダラーの塩を輸入するという点が認められていないわけです。最近司令部あたりでも、スターリングとオープン・アカウントの塩の輸入が困難だという関係で、一応O・A・S・、オートマチツク・アプルーバル・システムで若干買つてもよくなりそうだという程度であります。併しまだ正式に司令部から日本政府のほうにないようであります。併し現在サンフランシスコの近くカリホルニアに、対日向けに三十万トンくらい出し得るというふうな話が来ておるわけでありますが、少くともパルプと違いまして塩につきましては、爾来ダラーの長期契約についての輸入司令部は認めないという考えを現在持つているようであります。こういうような点を改正して頂きますれば、中共から大きく買つておりました塩を、一応アメリカに置き換えて頂くということが塩の確保の点においては是非必要ではないかと、こういうふうに考えるわけであります。そこで今年度は大体塩の輸入につきましては百五十万トンの塩、現実使うのと、五十万トンの備蓄ということで、大体二百万トンを目標に輸入を進めるために、塩の需要者である化纎関係、或いはパルプ、或いはガラス、或いはアルミニユーム、こういつた産業が全部集まりまして、塩の輸入促進連盟というものを結成いたしまして、そうして関係方面にいろいろ二百万トンの輸入を是非達成すべく努力をいたしておるわけでございます。  そこで今申上げましたように、原料関係見通しがつくならば、現在の化纖の設備そのままでも四億ポンド以上を生産できるのでありまして、これが達成の度によつて違いますが、三億九千くらいは努力をしたら何とかできるのではないかというふうに考えております。  簡單に申上げました。
  24. 結城安次

    理事結城安次君) 次に、羊毛工業連合会会長代理伊藤廉三さんから御意見を伺います。
  25. 伊藤廉三

    参考人(伊藤廉三君) 羊毛関係といたしましては、一番問題として考えておりますのは再統制の問題なのであります。先ほど局長から再統制はしないという御説明がありましたが、何かというとやはり再統制の声が出て来るわけでありまして、我々としてはこれを絶対にやつて頂きたくないという強い希望を持つているわけであります。局長は大体しないとおつしやいますから、ひとり相撲になるわけでございますが、局長説明にもありましたように、本年度は羊毛輸入その他を入れまして五十万トン近い供給量があるということでございまして、生産高も民需用として八千万近い数量従つて国民一人当り一ポンドの羊毛製品ができる勘定になりまして、戰前に近い数量が確保される情勢にあります。又羊毛は昨年の一月からすでに民間輸入のシステムになつておりますので、価格をその面からも公定することができない。又羊毛製品というものは綿布などと違いまして、大量生産の方式によらない、非常に個人的の趣味、嗜好というものが重要視されますので、従つて非常に種々雑多の製品を作るために、統制というものが非常に困難であり、統制するというとすぐ品質が非常に低下するということは戰時、戰後の統制によつても証明されているところでありまして、我々としては生産も増加され、原料も非常に入つて来るということが殆んど確実になつているのでありますから、再統制ということは是非やめて頂きたいということが一番強い要求であります。  それから先ほどの局長の御説明で、今後本年度中に十五万俵ぐらいの羊毛輸入する計画であるということでございましたが、この十五万俵は九月以後でなく成るべく四—六あたりから大部分輸入するようにして頂きたい。御承知の通り羊毛は、この三月までで大体の日本羊毛工業に対する適品の原料というものは終りになりまして、四月から九月までというのは、殆んど日本に適当する原料は出ないというような関係もありますので、為替の割当を至急やつて頂きたい。業界としては四—六の割当としての五万俵、それから備蓄用としての十三万俵、会計十八万俵を希望するわけであります。それを成るべく早く為替の割当をして頂いて、早く輸入ができるように、そういたしませんというと、アメリカその他非常に備蓄用として、軍需資材としての買付け競爭が起つておりますので、折角計画いたしましても輸入が困難になるというようなこともございます。ですからこの新規の買付け分の為替割当を是非急いで頂きたいということ。それからもう一つは綿のほうは非常に買付け分につきましては、船舶の事情ども好都合に行つているようなお話でございましたが、羊毛についてはこれまでのところは買付け量につきまして入荷状況が非常にはかばかしく行つておらないのであります。船腹の獲得ということが非常に重要な問題になつている。これについても是非順調に行きますようにお骨折りを願いたい。まあこういうことが主な要望でございます。簡單でありますが。
  26. 結城安次

    理事結城安次君) 次は綿スフ機業会常務理事原與一郎さんにお願いいたします。
  27. 原與一郎

    参考人(原與一郎君) 先ほど纖維局長さんからのお話、大体のことを承わつたわけなんですが、御承知のように綿のほうにつきましては、四月以降がどうなるかということについて非常にこれはまあ関係業者だけでなしに、一般の国民も関心を持つているように見られているのです。統制がとられるだろうという通産省の省議も決定したとかいうようなことが新聞に出れば、それを見てやや闇の相場は上つているように見えます。それから統制が再強化されるのじやないかということで、これ又値段が上つているような状態にあるのであります。で、これは国民の生活を安定する意味においても、四月以降の綿業統制というものをどうするかということを、日本政府全体の意見として早くきめて頂いて、そういう方針の決定がしていないために起きる価格の不安定とか、思惑とかいうようなことがないようにして頂きたいと思います。で、最近には調査庁その他取締り方面におきまして闇値が非常に高騰しているので、重大な関心が拂われているようでありますが、取締られるほうは、なお更これについては不安な気持を持つているだろうと思うのでありまして、そういつたようなことから折角店頭に出始めた纖維製品が再び姿を消しているというような傾向も見えるのであります。そういうような意味におきまして、できるだけ早く四月以降を如何にするかという御方針を決定して頂くと同時に、それを中外に発表して頂きたいということを我々の業界としましても、又日本国民としても切望するのであります。  それからそれにつきまして、私ども綿糸原料にいたしまして綿織物を製造する全国十五万台、約六千工場の業者の大体の見解を、その方針を決定する参考にして頂きたいために申上げますと、先ほど局長さんが申されました本年の国内供給量が二億五千万ポンドということが、本当に国内の需要から見て十分であるかどうか。不足しているのじやないが。過度に大きい不足をしているのじやないかということを愼重に御検討願いたいと思うのであります。それは経済安定本部のほうで、昭和二十五年度中の各官庁からとらえました工業用の資材になる綿布その他の綿製品の総量が年間十六億になつている。二十五年度の、局長さんの御説明では二十五億が供給の総量である。その中で工業用の資材は十六億を希望されて出ているわけであります。実際二十五年度中に供給された工業用の資材は、各官庁から出た需要量の半分にも達しておらないというようなわけです。それで二十五年度中はどういう方法でそれを確保したかというと、綿織物業者に割当をするときに、そういうような不足している工業用資材を作る人には割当を三割余分に上げます。予備隊の物を作れば四割余計にやりますと……、まあ予備隊は工業用資材ではありませんが、まあそういつたように生産統制に便乘した配給統制ということをやつて、漸くにして二十五年度を切り拔けておるのではないかというふうに、我々は思つておるのでございますが、二十五年に現実にどれだけ出ましたかというと、四万四千梱のものが国内供給されておるわけであります。そうすると二億五千万ポンドと見ますと、二十五年度に比べまして本年は約一割殖える次第であります。それだけを以て国内需給は大体標準がとれておるだろうと考えることとか、それから価格が、大体マル公を外すということになつて、国際相場の点まで引上げられますと、大体現在のマル公より五割ぐらい値上りになります。併し国際相場というものが最近に辿つておる跡を見ますと、恐ろしく急ピツチに上昇しておるわけであります。果してそのような国際的の値の動きが、この均衡予算の敢行されておる国内の購買力から見て、普通の勤労大衆までこれが行き渡るであろうかというような点についても、よくお考えを頂きまして、その上で四月以降をどうするかということを早急に決定して頂きたいと、こういうことが我々のほうの希望意見であるわけであります。
  28. 結城安次

    理事結城安次君) 有難うございました。次に絹人絹織物同業会副会長茂木さん。
  29. 茂木富二

    参考人茂木富二君) 最近、生糸の異常な高騰によりまして、我々業界は非常に困難をいたしております。輸出の羽二重はどうやら生糸価格に伴いまして売れておりまするのでよろしうございますが、内需の絹織物に至りましては、非常に只今生糸価格では到底売行がスムースに参らん、特殊の高級織物はともかくといたしまして、大衆向きの銘仙類のごときは全く採算難で苦しんでおる状況でございまして、そこで自然この絹に代わる化纖の織物にだんだん移行しつつあるわけでございます。人絹、スフ、或いは合成纖維等に入りつつあるのでありますが、ただでさえ人絹が不足勝ちで困つておるところを、生糸に代つてこれを消費する関係もありまして、只今では基準価格一杯でもなかなか入手困難であるという状況で、産地によりましては一部休機のやむなきに至る、或いは操短をせざるを得ないというようなところまでもありまして、非常に困難をいたしておるのであります。先ほど局長さんからの生産計画やら、或いは足立さんからの御報告を頂きまして、私どもやや安堵はいたしておるのでありますか、どうかその計画通り生産のできますよう、パルプの輸入におきましても、殊に塩が困難いたしておるようでございますが、どうぞこの塩の輸入とそれに引き当てる船腹等につきましては、特段の御配慮を頂いてこの目的を達成するように、我々のほうからも是非お願いを申上げる次第でございます。なおこのパルプ等によらざる、主として国内で賄い得る合成纖維の発達などにつきましても、最近は大分進みつつあるようでありますが、もう一歩進めて更に増産の実を挙げるように、この点にも御配慮が願いたいと思うのでございます。  なお先ほど化纖のかたからの御報告によりまして、糸輸出がだんだん減つて織物輸出が殖えているというのを伺いまして、非常にこれは我々織物業界だけではなく、この工賃を加えての輸出というものは、国家的に見ても非常に喜ばしい現状であるのでありますが、現在では内需のほうの糸には基準価格が置かれて、輸出のほうは御承知のようにフリーである。やがて輸出に準じて基準価格も上る建前でありますが、ややもすると糸輸出のほうが、自然会社としては有利になるので、そつちに流れ過ぎやせんかということを、織物業界では心配いたしておりますので、この絲の輸出につきましても御考慮願いまして、織物原料として十分確保できるように、これが内需に十分引き当てられるように御配慮が願わしく思うのであります。それからなお実は原料生産状況と、私どものほうの織りの設備との均衡がとれておりません。むしろ織りの設備のほうが過剩のような状況にもありまするものですから、非常に原料難で困つておるのでありますが、この機会に私どもは是非アメリカや、或いはイタリー、その他の国の最近の織物を見ましても、非常に技術的にも優秀でありますので、糸の強度におきましても、細かく、質もよく、更に織りの技術が非常にいいのを見まして、私どもは是非この絶対量の少い原料を最も効果的に使つて行きたい。それにはこの際日本の纖維工業の技術を向上せしめるには最も絶好の機会じやないかとも思いますので、これに私どもも力を入れて行きたいと考えておる次第でございまして、殊に生糸が大衆衣料に使い難い今日、この生糸に代つて人絹や、その他の化纖を使うとすれば、なお更この技術の向上を必要といたしております。殊に輸出としても従来のもののみでなく、向上したものを出したいという希望を持つておるのであります。それにつきまして、この研究を指導する機関として実はこの纖維工業試験所が横浜にございまするが、甚だ貧弱でございまして、この国のいろいろこうした指導機関を見ましても、電気試験所を始めとして、十一ほどの指導所の昨年度の予算などを見ましても、電気試験所で二億四千六百八十六万四千円というような数字では、纖維試験所は約十分の一としても、陶磁器試験所の最下等の二千三百八十四万九千円にも劣るようなことになつておりまして、陶磁器の試験所よりも更に少いような状況でありまして、こんなに重要な纖維産業の指導をする試験所がこんなに貧弱とは、実際驚くのほかない次第でございまして、是非どうかこの試験所を設備し、或いは外国の機械も十分入れ、或いはいろいろな一つ御指導を願いまして、願わくば横浜だけでなく、織物の主要産地のある地方には、その支所を設けるまでのお力添えを頂きますならば、この織物の向上に非常な力になるのじやないかということを、私ども希望いたしておる次第でございます。  それからなお、この席でお願いすることは筋が違うかも知れませんが、実はこの染料等の輸入につきましても“国内でできない特殊な染料等は是非我我輸入したいのでありまするが、例の関税なども現行以上に引上げるやのお話も承わつて、非常に憂慮をいたしておりますので、どうぞ染料等にしでも十分こういうものが我々入手できますよう、特段の御配慮を願わしく思うのであります。  なお、この資金問題なども実は非常に最近の糸の値上りがきついために、生糸も御承知のように十数万のものが二十数万というようなことになりまして、或いは人絹も二万何がしが只今四万というようなことになつておりまして、まだ資本の蓄積も到底倍額になるような力はありません。そのために、非常に金融に困つておる次第でございまして、これらに対してもどうか、例えば例の庫荷証券のごときでも、今までは糸のみを扱つて織物は認めていなかつたというような点も、織物をも認めて頂く、或いは今この技術向上に伴う設備の改善につきましても、その設備改善に要する資金等についても御考慮が願わしく思うのでございます。どうぞこれらの点につきましても何分の御配慮を願いまして、この私どもの纖維工業を是非とも何とかこの際一歩前進するよういたしたいと思うのでありまして、御指導のほどをお願い申上げる次第であります。
  30. 結城安次

    理事結城安次君) これで、本日参考人としておいで願いましたかたがたの御意見は全部伺い終りましたが、どうぞこれから委員かたがたから御質疑をお願いいたします。
  31. 加藤正人

    ○加藤正人君 纖維局長ちよつと伺いますが、今綿スフのかたからも御議論がありましたように、又紡績協会のほうの会長からもお話がありましたように、政府綿の切れ目ですね、まあ大体四月以降、何とかこれを公定価格の問題を解決しなければならんのでありますが、幸いにして纖維局は我々の主張に大体同調されておるように伺つておるのでありますが、物価庁が何かこれに対しては多少違う意見を持つておるようであります。従来とかく物価庁はああいうふうな傾向になるので、この問題については纖維局が一等よく真相に通曉されておるのでありますから、いつも我々の主張と必ず一致するのは纖維局であります。そういう意味からいつて、纖維局の御方針が非常に妥当だと我々思うのであります。全然我々と同様ではないのでありますけれども、そういうような次第でありますから、今も御発言のあつた通り、成るべく早目にこの問題を解決しませんと、衣料に関係している全国の各層に対して非常に不安を與えているというような状態でありますから、この問題は急速に一つ解決をお願いしたいと思うのでございます。  それから更に先ほど化纖のほうからサルフアーの値段についての御要望がありましたが、誠にこれは私は適切だと思つた次第でありまして、この点を何とか改善して頂くことによつてサルフアーの供給量も殖え、化学纖維の増産もできるというのでありますから、何か一つ纖維局のほうでもこの点について御斡旋を願いたいと思うのであります。塩の長期契約の問題は、昨日通産省のほうの御方針が発表されましたけれども、これは長期契約のできるようなほうに向いつあるようであります。この点はいいようでありますかり、以上二点について特別の御配慮を願いたいと存じます。
  32. 近藤止文

    政府委員近藤止文君) 只今お話のございましたこの三月で政府の綿の切れます以後におきまして、綿の統制の問題をどうするかという問題は、これは業界ばかりでなく、一般にもこういつた問題があるということは大分認識されて来ておりまして、そのために現住方針が最後的にきまりませんために、いろいろな摩擦が起つておるようでありまして、或いは思惑のようなものも或る程度は見られるようになつておると思うのであります。私らのほうは今日おいでの皆様がたと実は立場が同じでありますから、意見がいつも余り変らないのでありますが、やはり役所によりましては国民生活安定の面を受け持つておる所もございますし、他の生産関係を担当しております面もございますし、又いわゆるインフレと申しますか、徒らなる物価高騰という問題について相当細心の注意を佛つておる役所もございまして、そのために早急に意見がきまりませんで、大変全般的に御迷惑をかけておると思います。ただこの問題は非常に時間的に差迫つておりますので、私ども現在安本を中心にしまして連日事務的には協議をいたしております。近く最後的な決定を見られると思つております。一日も早くこの問題が解決いたしますように努力する考えでありますから、御了承願いたいと思います。それから硫黄の問題でございますが、これは実は硫化鉱との関連の問題等ございまして、価格の問題を簡單に撤廃することがむずかしいような状況であつたのでございますが、最近私どもも鉱山局と一緒になりまして、いろいろ関係方面その他にも陳情いたしまして、早急に解決して欲しいということでやつておりますが、近くこの問題は解決をするものと実は考えておるのであります。
  33. 境野清雄

    境野清雄君 この前の十二月の委員会のときに、大体このときは予定だつたのですが、綿花の問題ですが、十一月、十二月が二十九万二千俵、一—三月の入荷予定が六十三万二千俵というお話がありまして、今度の表によりますと大体一月から一カ年間の入荷見込なつておりますが、一月が二十万俵を突破したというようなお話によりますと、十一、十二は勿論予定通り二十九万二千俵が入り、一—三月六十三万二千俵のうち二十万俵入つたということになりますと、一—三月六十三万二千俵というものはもう確実に確保できるというふうに解釈してよろしいのでございますか。
  34. 近藤止文

    政府委員近藤止文君) 十一、十二の入荷見込数字が多少一月にずれましたのがございまして、そのために十二月末現在までに入ります数字は少し減つておるのでありますが、それがこの一月以降の入荷のほうに入つて参ります。この一月以降の入荷見込七十八万九千というのは、これは確実に入る数字でございます。
  35. 境野清雄

    境野清雄君 そうすると、今度のあれを見ますと、大体米綿のほうが先ほど局長の御説明の通り、その他の地域よりも少い。従来の経過を見ますと、トルコ綿にしても、パキスタン綿にしても、価格は非常に違つておりまして、米綿が四十七、八というシフ・ジヤパンで入つておりますので、これは米綿をたくさん入れるほうが日本の紡績界のためにはいいのじやないか。何か事情があつて米綿のほうを少くしてあるのか、米綿は特に今年の秋は増産計画を立てておるようでありますから、その他の地域よりも、米綿が余分のほうが、日本業界もいいのじやないかと思いますが、その点は如何ですか。
  36. 近藤止文

    政府委員近藤止文君) お話の通り、米綿を一俵でも余計に買いたいと思つております。
  37. 境野清雄

    境野清雄君 それから現在の国内の綿布の需給状況というようなものが、私どもが聞いておるところによると、切符は殆んど価値がない状態なつておるのじやないか。要するに紐付きの形でなければ売買が行われていない。ただ單に問屋側から綿の切符は、切符によつて簡單に出すというようなことはしないで、その織物は必ず紐を付けてその間屋へ入れるのでなければやらんというようなことが、各地区に相当行われておりまして、殆んど今月の情勢では切符というようなもののもう価値がないのじやないか。これは勿論政府自体としても知つておると思うのでありますけれども、こんな状態が続いて行きますと、これはなかなか問題になるのじやないかというふうに思いますが、この国内の綿布というようなもの、数字だけで従来の三万七千五百俵が大変上つたようでありますけれども、これに対する裏付けというようなもの、或いは若しそういうことが行われない場合には、政府はどういうふうな方針をとるというようなことはお考えでありますかどうか。
  38. 近藤止文

    政府委員近藤止文君) 只今お話もございましたように、昨年の秋くらいまでの時期におきましては、糸屋さんが機屋に糸を渡します場合に、その代りに織物をよこせという、いわゆる往復取引というのが非常に行われておつたのでありますが、その後比較的順調に内需用綿糸は、計画量以上に出荷されておりました結果と思いますが最近の状況におきましては一〇〇%往復というようなものはございません。よほど有力なところでせいぜい三割、機屋によりましてはお返しは全然お断りするというようなことで、結局これは従来原糸の入手が非常にむずかしかつたことから往復というような取引が行われたのでありますが、それが比較的原糸が潤沢になりまして、結局製品は機屋が自分の判断で売るのだ、こういうようなかつこうになつて来ておりますので、その点は糸の需給関係相当緩和されて来ておやというようには考えられると思うのであります。ただそれから、できました織物数量が一般国民の需要なり或いは特殊な生産資材というような面につきまして十分であるかどうかということになりますと、これはいろいろ議論のあるところでございまして、二十六年におきましての綿糸生産量から参りましても、これが需要を十分充足するだけの数量があつて、もう需給は完全にバランスがとれるというところまでは簡單には参らんと思うのであります。但しその場合におきましても、一体どのくらいの内需用の品物を出せば結局昨年の春のような、品物があつても、誰も買いに来ないというような状態になるかというような判断は、非常にむずかしいのでございますがそういう問題に関連いたしまして、先ほどからお話のございましたように、四月以降の統制のやり方をどうするか。こういう問題になつて来ると思うのであります。但しまあ相当生産は増加して参りますし、又実際に今までは公団の放出というようなふうに、品物はございますけれども、必ずしも内地使いのものでないというようなものが多かつたのでありますが、今後はそういつたものでなしに、国民の需要を目当にいたしまして、生産をいたすということになりますから、質の点におきましても必ず改善をされて参ると思いますので、そういつた点からまあ過渡的にどういう措置をするかということは別にいたしまして、比較的近い将来に或る程度需給のバランスがとれる時期が来るのじやないかというように予想されるわけであります。そういう実際の需要と睨み合せまして四月以降の統制の問題をどうするかという問題をきめようということで、現在関係各省と協議中というような次第であります。
  39. 境野清雄

    境野清雄君 今の纖維局長お話は、大体纖維局に入るニユースは甘過ぎるというニユースのほうが多いので、今のようなお話ですが、現実にはもう大体切符で糸を出しましてもひどいものになりますと八〇%の還元売買をやつておる。或いはもう優秀なものでも五〇%を取つておるというような状態なつておるのが現実なのでありまして、これを一つ又よくお調べ願つて何らかの纖維局として御注意をお願いしたいと思います。  それからもう一つ次に、今現在買つておりまする綿花というようなものの価格が、大体現在のところでは混綿した場合平均相場は五十二、三セントというような状態なつておつて、本年度はそれ以上に、この秋はそう暴騰しないのじやないかというようなのが大体一般の綿花に対する意見なのでありまして、そういうような点から見ますると、今操業を続けるために特に綿花自体は少くなつておるときなので、七十セント或いは六十八、九セントというようなものを買つておるようでありますけれども、そういうものに対しては一応紡績会社としては相当の危險を負担するのではないか。又それに対して紡績会社自体としても一応困難な状態になるのじやないかというようなことは私どもも考えておるのでありますけれども、こういうような綿花を買わなければこの操業が続いて行かないというようなものに対して、一つ政府としましてもこれに対する裏付けと申しますか、先般次官からのお話では備蓄法を通すというようなお話で、備蓄法でも通ればそういうものもくついて来るのではないかと思いますが、こういうものに対しての危險に対する補助的なものか何か考えておられるかどうか。
  40. 近藤止文

    政府委員近藤止文君) 実はそういつた問題がございまして、先ほど参考人として出ておられます紡績協会のかたからも、内地物についても先物を売らせるようにして欲しいというお話もあつたのであります。大体私どもの考え方といたしましては、先般国会を通過いたしました商品取引所法によりまして綿花綿糸、綿布の取引所を設けて、そこでヘツジをいたしまして、この危險を分散すると、こういつた考え方をしておつたのでありますが、最近の事情商品取引所はそう簡單にアプルーヴアルをやられるということにはなりそうもございませんので、その場合にどうするかという問題なのでありますが、実際は国におきましてこれらの危險を負担する損失補償、或いはそれに類するような方法をとることが一番いいのでありますが、これもそう簡單に参りません。まあ備蓄のほうの問題でも実現すれば、或る程度はそういつた危險の分散ということもできるのでございますが、現状ではちよつと方法がない。できれば私どもとしましてはこういう情勢ではありますが、輸出関係は全く自由な状態にあるのでありますから、取引所というものでこれをまあできるだけ早く認めて頂くようにしまして、これによりまして危險の分散をするというふうに持つて参りたい、かように今考えておるのであります。
  41. 境野清雄

    境野清雄君 次にレーヨン・パルプの問題で質問したいのですが、大体人絹、スフの現況というのは御承知の通り今日の新聞では、取引所も遂に大阪では休止したというようなことで、暴騰に暴騰を重ねており、なお且つ先ほど化纖協会からのお話では、相当の量が出ており、会社の在庫というようなものは非常に少いというような状態であるということから見ますと、何か思惑でも手伝わない限りは、今日のような人絹とスフが姿を消してしまうのはおかしいのじやないか。まして人絹のようなものにしましても現在より糸で五万円を突破しておるというような状況にあり、糸屋さんのほうからは六万円だ、七万円だというようにけしかけておるというような情勢を見ておりますことは、これは甚だ遺憾なことでありまして、朝鮮動乱の起りました当時、四万円になりましてもすぐにこれに対して勧告価格を出すか出さんかという問題が起つたのに、今日あの時よりも非常に国際物価は上つておりますにしても、現在この生産コストというものに、採算コストというものに対して、非常に上迴りしたものが売買されておる。これは私ども考えましても生糸以上に思惑なり何なりがなければ、今日のような人絹の状態、或いはスフの状態というものはないんじやないか、こんなようなふうに考えておりますけれども、今日の非常に高くなつておるというような状態が、昨年やはり委員会でお聞きしましたときは、大体一月—三月のこの入荷というようなものが、輸入パルプが一万二千トン、国産パルプは二方二千トンというもので、合して三万四千トンというものを持ち、そうして在庫の一万二千トンというものを持つておつたその尻が、大体四千トンというものが、今日出ました数字にも、三月末予想在庫が四千トンとなつておりますところを見ますと、大体今の国産パルプなり或いは輸入パルプなりが特に入つて来ないというようなことが原因をなして、今日の人絹スフの暴騰をしておるのかどうか、その辺をお聞きしたいと思います。
  42. 近藤止文

    政府委員近藤止文君) 現在の人絹、スフの値段が相当つておりますこの原因でございますが、これはまあいろいろな要素がございまして、一言では申しかねると思うのでありますが、最近特に英国及びヨーロツパ方面における人絹の今後の生産見込というものが、非常に悲観的な状態なつて来ておるようでありまして、先ほども話が出ましたが、アメリカからの硫黄の輸入が非常に減る、従つて英国あたりにおきましても、今年は生産が昨年よりは極端にいえば半減するんじやないかというような空気もあるようであります。又イタリーあたりがインドへ従来出しておりましたのでありますが、これも殆んど現物を売り切つてしまいまして、余り出さない、従つてヨーロツパ方面におきましては、中南米方面に相当この輸出があつたんでありますが、これらが直接日本のほうに引合いを入れて来る。又インドあたりも日本から相当買おうというような気配がありまして、まあ何と申しますか、世界的に相当暴騰するという要素が強くなつておりますのが、一つは大きな原因だと思うのであります。それからもう一つは昨年中の実績を調べて見ましても、人絹会社の生産は毎月上つておりまして、又同時に織物業者その他人絹、スフを需要いたす方面におきましても、実際の受入の数字は数カ月上つて来ておりまして、昨年の一月に四百六十万ポンドぐらいの受入を、絹、人絹織物関係ではしておりましたのですが、十二月には八百四十万ポンドというように、相当大幅に供給量は殖えておるのでありますが、併し同時にこの絹、人絹の織物等におきましては、新らしい業者があつて、どんどん仕事を始めるというのがございまして、而も目先非常に高いという関係から、極く僅かな数字でも手近なものを買漁るというような関係がありまして、そういつたことからもまあ現物が入りにくいということで、値段を吊り上げるという問題もあるようでございまして、そういつたことから相当不自然と思われるくらいに暴騰しておるのでございますが、これも今の状態に或る程度落ちつきまして、而も先ほど申しましたような生産が数カ月上つて参るということになりますれば、適当なところへ落ちつくものと考えておるのでありますが、大体まあそういつたところに原因があるんじやないかというように考えております。
  43. 境野清雄

    境野清雄君 今の問題は大変結構でありますし、まあ私ども通産委員会としましても、余り物価庁が何かを刺戟しまして、勧告価格だの何かというものは、どうも業界生産を阻害するような点が多いので、こういう面に関しては、特に一つ余りそういうような方面を動かさずに、皆処理ができるように、纖維局として格段の御配慮が願いたいと思うのであります。  なお、政務次官が何か時間が忙しいのでお帰りになるというので、政務次官に一つ質問したいと思うのでありますけれども、大体日本の纖維工業というようなものが、輸出にしましても五五%からのものを占めておる、いわゆる纖維王国的な日本の存在である。その纖維王国的な日本の存在であるのにもかかわらず、衣料が逼迫しておる、衣料が窮迫し、又予定しないような纖維品の暴騰が行われ、特に朝鮮動乱などというものを受入れ、第三次世界大戰的なものを考えると、直ちに、一番先に響く、纖維に関係するというようなことは、もうこれは実際日本の現在の情勢から見れば、纖維王国として謳われる日本から見れば、非常に恥なんじやないか。こんなようなふうにも我我考えられるので、一つ通産省の当局としましても、もつと纖維問題には、余り少しぐらいの他からの影響によつて育ちにそれがしよつちゆう動いておるというようなことでなしに、百年の大計でなくてもいいのですが、三年でも五年でもの一つ大計を立てるように次官に特別の御配慮を願いたい。特に纖維の問題に関しては、従来買占めだ、買溜めだというような場合も殆んど纖維に限られておる。朝鮮動乱以来纖維が一番問題になつておるというようなことは、どうも政府当局のこれに対する措置がどうも幾らか惡いのじやないかというふうにさえ我々考えるので、この点に関しては一つ政務次官におきましても、是非格段な今後の御配慮を願いたいということを特にお願いしたいと思います。
  44. 首藤新八

    政府委員(首藤新八君) 御指摘のように最近綿糸、綿布の値上りが他の商品に比較しまして非常に急激なのであります。而もそれが国民生活に直ちに最も大きな影響を及ぼしまするので、それだけに関心が深いと考えておるのであります。従つて政府といたしましても、この問題につきましては不断に非常な関心を持つておるのであります。昨年、先ほど御指摘ありましたが、朝鮮事変直後において、実は勧告価格を出したのでありますが、当時の情勢から見ますると、業者に対して余り抑制を加えるというようなことは、大局から考えてとるべき対策でないと、かように我々は考えまして、勧告価格も極めて緩やかな方法を実はとつたのであります。然るに最近になりまして、当時の勧告価格よりも遙かに上廻つて参つた。尤もこれは原綿が相当高くなつておることが一番大きな原因でありますけれども、もつと大きな原因は、纖維局長が先ほど申述べられました通りでありますると共に、更に最近この統制が近く始まりやせんかというような気構えから、全国的に仮需要が膨湃として起つておることが一番大きな原因じやないか。言うまでもなく衣料であります。八千万国民がことごとくこれを必要とする、従つて一たび仮需要が起りますると、誠にそれは幅が広く、そうして奧は深いのであります。今日も実はこの問題を省議で取上げたのでありますが、結局然らば今これをどうするかという問題になりますると、自由経済を原則といたしておりまする関係上、これに人為的抑制策を講ずるということは如何かと考えておるのであります。ただそれかといつて漫然採算を無視いたしまして、値上りに放任することはいいかどうか、これ又国民生活の安定の建前から十二分に考えなければならんと考えておるのであります。併し少くとも今の値上りの大きな原因が一般の仮需要にある。そうしまするならばおのずから仮需要には限度がありやせんか。先ほども局長から詳細に申述べられたと思いますが、幸い国内生産相当順調に上昇いたしまして、四月から統制を撤廃いたしましても、需給のバランスに何ら不安がないというような状況になりまして、若し国内向けとして五万梱以上の放出ができるということになりますれば、大体需要に応じられるのじやないか。そういうことになりますれば、現在仮需要の盛んに行われておりまするのも大体来月頃までで一服いたしまして、むしろ四月になればそうした面から売物が出て来やせんか、新らしい放出と、両方からこれらの売物が出まして、市況がそこで初めて安定するのじやないか、こういうような見方もいたしておるのであります。ただ、御承知の通り、最近国際的物価があらゆるものを通じて値上りしております。従つて仮需要を封ずる時期といたしましては、どちらかというと客観情勢が味方しておるのでありまして、現在は仮需要であるけれども、併しその中には海外が高くなつて、結局それが採算値になつて来るというようなことにもなりますので、この仮需要の飽和点に達することが多少時期が延びるかも知れないというふうな見方も行われるようでありまするが、併しいずれにいたしましても、現在の急激な値上りは早晩安定いたすのではないか、若しなお若干の時間を置きましても安定しないということになりますれば、その際におきましては、格段な措置をとらざるを得ない、かように考えておるのであります。
  45. 境野清雄

    境野清雄君 大変結構なお話で、この間も次官から二十六年度の通産行政に対する抱負をお聞きしたのですが、大体そういうような線で進んでもらえれば非常に結構だと思うのでありますけれども、なかなか甘く見られない状況もありますので、一つ格段の努力を願いましで、今申上げましたような線で日本の纖維王国としての面子を保てるように通産行政をやつて頂きたい。  もう一つ伺いたいことは、こういうような外貨の問題、その他割当の問題をこうする、ああする、これは勿論輸入を確保しなくちやならんのでありまして、そういうことは必然的に行われ、政府も大いに力を入れて頂いておると思うのでありますけれども、大体政府のほうで見ております、特に通産省のほうで見ております点で、私のほうで一つ次官に格別の努力をしてもらいたいと思うことは、実際の問題としては、各業界ともおいでになつておるかたがたも遠慮をして申さないであろうと思うのでありますけれども、同資金の枯渇というものは、重大な問題になつて来ておる。特に日銀自体といたしましても、インフレの再現の虞れが四月以降は相当発生するじやないかというような見方から、二月三月における通貨の膨脹ということも相当警戒を要するということを発表しておるのでありまして、若し日銀が膨脹を極度に警戒するというような事態が出て来た場合には、これは業者個々には到底解決つかないというような問題がありますので、こういう点につきましても、通産省としては一つその面で格段なお骨折りを願います。それから四月以降の統制撤廃と言いますか、統制撤廃ということは、若し言葉が惡ければ、統制に関する再認識をするという場合には、是非一つ先ほど局長からもお話がありましたし、今又次官からもお話がありましたが、通産省自体として統制が撤廃でき得るように一つ格段な努力をしてもらいたい。事態がこうだから、こう言うのでなく、ただ通産省自体の方針として、こんなばらばらに原綿が入つて来るものを統制して置くというようなことは、もう殆んど理窟が成立たないように我々は考えることと、内需面が、先ほどお話の通り、五万俵確保できるということによつて一応の国内需給のバランスがとれるということですから、一つあちらさんにも極力協調して頂きまして、統制は撤廃するということに格段のお力添えを願いたいと思います。
  46. 首藤新八

    政府委員(首藤新八君) 御趣旨は全く御同感でありまして、我々も極力その線に従つて邁進いたしたいと考えるのであります。更に金融の問題でありまするが、これは境野委員も御承知と思いまするが、昨年までは要するに金融を締めることによつてインフレを終息せしめるという考え方と、我々は逆に金融を多少緩めて、そうして生産を増強する、物の供給を十分にすることによつて初めてインフレは終息するのだという方針を堅持いたしまして、過去六カ月の間関係方面相当折衝を続けて参つたのでありまするが、最近におきまして漸く各方面とも我々の主張に同調してくれそうなような情勢なつて参つたのであります。特に緊急な厖大な輸入を促進しなければならんということが、各方面とも御了解が得られましたので、従つて金融の面もみずから解決して行けそうなような情勢なつて参つておるのであります。やはり今のところ一—三の輸入資金は七百億円程度予定しておるのでありまするが、これらの金も大体確保できる見込がついた、かように我々は考えておるのであります。殊に本年の上半期におきましては、どうしても厖大な原料輸入しなければならない。原料輸入すればそれだけ資金が必要になる。従つて上半期は或る程度金融がインフレ的な傾向を示すかとも考えまするけれども、併しながらそれも生産が増強いたし、更に下半期に至りまして輸出が構想通り振興いたしまするならば、必然的にこれに従つて金融は又締つて行くのでありまするから、上半期に仮に金融が相当緩和いたしましても、それによつて生まれるところのインフレ的傾向は極く一時的であつて、これは永続性のないものである、かように考えておるのであります。
  47. 加藤正人

    ○加藤正人君 次官がこの前ちよつと言及された備蓄法のその後の経過、それからそれの財源をどこに求めるかというような、概要がもうおわかりでしたらついでに……。
  48. 首藤新八

    政府委員(首藤新八君) この前の委員会で御説明いたしました、いわゆるこの厖大な輸入をいたしまするために、民間の資金だけでは到底賄えない。そこで政府がこれにタツチいたしまして、金利、倉敷或いは相場の値下り等々を補償いたす。そしてこの民間輸入の促進をやりたいという構想をいたしております。大体これが資金といたしまして、今度の国会の予算に提案いたしておりまする二十五億以外に五百億を予定いたしておるのであります。そしてその五百億はインベントリー・ファイナンスによりまして、外為のほうに相当の余裕金ができておるのであります。更に又預金部資金等の暫定的借入金を以ちまして、そうしてこれを賄いたいという構想を以ちまして、幸い大蔵省との間は了解ができておるのであります。昨今は主としまして関係方面と折衝を続けておるのでありまして、本日もマーカツト会談に際しましてこの問題を提案いたしまして、極力了解を求めたのでありまするが、非常に重大な問題であるので、いま暫らく検討さしてもらいたいということで、一応本日は終つておるのでありまするが、本日受けた感じでは若干難色がありはせんかというようなことを承わつておるのでありますが、今後も引続き実現いたすために強力に交渉を進めて参りたい、かように考えておるのであります。
  49. 加藤正人

    ○加藤正人君 備蓄輸入というからには、金額は相当のものでなければならんと思いますがね。
  50. 首藤新八

    政府委員(首藤新八君) 全部のものをこれに入れますると、厖大な金額になりまして、到底所要の金額は獲得できないと思います。そこで非常に重要な商品、殊に将来獲得しにくくなると予想される商品、又相場の波乱が大きくて、値幅の動きが大きくて契約のないにもかかわらず輸入することに危險を感ずる商品、こういう商品を対象として備蓄いたしたい、かような構想を持つております。
  51. 加藤正人

    ○加藤正人君 折角御努力願います。
  52. 境野清雄

    境野清雄君 もう一つ次官にお伺いしたいのですが、大体今の備蓄法にしましても、或いは先般の輸出銀行にしても大体大企業に対する手は政府もよく打つてくれる、こういうふうに思うのでありますけれども、今の人絹糸にしても、スフにしても突然の暴騰を来たす。何の理由も一般関係業者としてはわからない間にぽんぽんぽんぽん上つてしまうというような場合のしわ寄せがいつも中小企業に来てしまう。中小企業自体としては在庫品も十分に持つてつて向う一カ月なり二カ月なりの操業には影響ないというようなものはないのでありまして、その日その日に原料を買つてやる、こういうような形態が果して日本の実情に即応するかしないかということは別でありますけれども、現在の中小企業の状態としてはそういうような形態に相成つておる。そういうような問題のために貿易面の統制が出るというような問題になりますと、漁網組合であるとか或いは綿、スフの機業界というようなものから反対が出る。又羊毛の問題にすると紡績会社のほうは賛成しても、この傘下にある織物業者から反対が出る、こういうような問題は、大体政治自体の中小企業に対する認識が少い、と言うと語弊があるのですが、中小企業の声が余り聞かれないので、中小企業に対する手の打ち方が少いので、こういう問題が従来出て来たということも一つお考え願いまして、大企業形態に並行して中小企業に対する金融措置、その他の問題に関しても一つ格段の御考慮を願いたい、こういうふうに希望する次第であります。
  53. 首藤新八

    政府委員(首藤新八君) 中小企業が、大企業に比較しましてあらゆる面に非常な脆弱性を露呈しておる。そうしてこれがために中小企業が非常な熱意を持ちながら拡大、拡張が困難だ、そうしてその一番大きな原因は金融だということは御指摘の通りでありまして、従つて中小企業の金融面につきましては、我々といたしましてもでき得る限りの努力をいたしまして、幾分でも金融の疏通いたすような方法を講じて参つたのであります。御承知の通り昨年十一月からは見返資金の融資を三倍にする、更に又臨時国会で御協賛を経まして、信用保險制度を確立いたしたのも、中小企業の金融を如何にすれば獲得できるかということを目的とした措置に過ぎないのであります。ところが最近我々が非常に奇異に感じておりますのは、折角見返資金を三倍にいたしましたにもかかわらずその見返資金に対する申込が極めて寥々たるものでありまして、一月末におきましても殆んど十五、六億という金額は余裕を生じておるのであります。一体なぜ申込がないか、これはまあ常識的に考えますと、昨年十一月までは一カ月一億円でありましたために非常に申込者が多かつた。而もそれに貸す金額は僅か一億円でありましたので、申込の大部分が拒絶された。その期間が大分長かつたので、見返資金は申込んでも駄目だという観念が一般に深く入つておるのじやないか。そこで中小企業庁を督励いたしまして、見返資金には余裕がある、簡單に貸すということをもう一度徹底するように一つ宣伝したらどうかということで、実はその措置を現在講じておるのであります。信用保險のほうもいろいろの事情によりまして、これが運用の開始の時期が遅れましたが、先月の二十日以来、大体すべての各銀行、信用組合等々の契約は完了いをしまして、ぼつぼつ貸出が始められておると思うのであります。併しこれもまだ初期でありますので、予定額を年末までに融資するということは恐らく困難ではないか。従つてこの面におきましてもあらゆる方法をとりまして、至急に融資を申込むような措置を講じておるのであります。かような次第でありまして、今後もこの金融面につきましてはありとあらゆる構想を持ち、又それによつて各位の御援助と御指導の下にこの問題の解決を進めたい、かように考えておるのであります。
  54. 境野清雄

    境野清雄君 今の中小企業の金融対策の問題は、時間もかかりますので又後日金融問題でも取上げたときに申しますが、大体今の政務次官のお話では見返資金の金が余つておる、借り手がない、こういうようなお話ですけれども、それは中小企業の実態を把握していないのじやないか、我々から見れば……。税務署のやつたいわゆる青色申告というようなものすらなかなかやり得ないような中小企業の現状であるにもかかわらず、向う一カ年間の生産計画を出せというような手続そのものが非常に煩瑣である。中小企業の実態に対して到底一年先の事業計画というようなものが立たないというようなネツクで、あの金は借りたいのだけれども、借入れする書類が面倒でやり得ない。又地方銀行というようなものは一切実際問題としては、政府の考えておるような状態ではなく、地方銀行は実際を言えば営利を主体としておるので、国策的なことなど殆んど考えておらんというような形から、やはり信用というようなものであるか、或いは惡く言えば腐れ縁的なものに重点を置いて金を放出しておるのでありまして、又一つそういう面に関しても私からいろいろ材料的なものを提出いたしますから、今後一つ中小企業の実態を把握して頂きまして、それに即応するような金融方針を通産省として一つ立てて頂きたい、こういうことをお願いいたしまして、私の質問を打切ることにいたします。
  55. 結城安次

    理事結城安次君) 参考人のかたから何か御意見を申立てることございませんか。
  56. 足立修三

    参考人(足立修三君) ちよつと言わして頂きます。先ほど化纖といたしまして人絹とスフのことについて申上げましたが、合成纖維のことにつきましてちよつと一言申上げたいと思います。合成纖維につきましては最近見返資金の問題が、お陰様で三社、七億ばかりの話がきまりまして、生産のほうも逐次本格化して参つたのであります。そこで最近、昨年一カ年を見まして全化纖生産量に比べますと、合成纖維で〇・四%程度でありまして、又新らしい半合成纖維と申しますか、醋酸纖維は〇四%くらいが昨年の実績であります。併し昨年の十二月には、年の平均に比べますと、ずつと高くなつておりまして、十二月には合成纖維で全化纖の〇・五三%、それから半合成纖維の醋酸纎維は〇・八一%、相当生産が上つて参つたわけであります。そこで今日のこ合成纖維のいろいろな問題を考えて見ますと、ビニロンにつきましては六社ばかり建設を進めておりまするし、又アミランという合成纖維につきましては、東洋レーヨンと他の一社が試験を……、東洋レーヨンはすでに工業的に始めておりますが、日本レーヨンも試験が大体済んで、これも現実に生産を始めようというような状態にあるわけであります。併し今後この問題をやりますにつきましては、折角見返資金を頂いておりますのですけれども、もう一歩これにつきましては、こういうような資金面について御面倒を見て頂きたいという問題が一つと、現在ビニロンなんかにつきましては、主要原料はカーバイトでありますが、そのカーバイトが電力の関係もありますので、化学肥料に使われます石灰窒素の分などが間接に廻つて来たりなんかするので、思うように利用できない。そこで石灰窒素の行政面のほうにおきましても、纖維関係と或いは肥料関係と一本にしてこれを考えてもらいたいというような点、ビニロンにつきましては行政面でできるだけこの線を一元化してもらいたいということが熱心に希望されているのでございます。一応合成纖維の問題につきまして特にそういう点をお願いいたしたいと思います。資金の面並びに行政面でできるだけ一元化して、これが順調に伸びられるように一つ御配慮願いたいと思います。
  57. 茂木富二

    参考人茂木富二君) 先ほどもいろいろ局長さんから、統制のお考えはないということを明らかにされておりましたが、御承知のように昨年の丁度二、三月頃には、私ども業界では全くその滯貨に悩み、有効需要を如何にして喚起するかというようなことで、大変な騒ぎをやつたわけでございます。当時は我々の手持ちのほかにも、例の公団の保有のものが四カ月分もあつたので、それが皆放出され、更にその後我々のほうの内需のほうの関係相当に増産されておる状況でありまして、全く御論説ように製品消費者との関係におきましては、統制の必要はどこにもないと思つておる次第でございますが、ただ先ほど将来統制があるのじやないかとか、将来の値上り見込んで売惜み等があるのじやないか、そのために糸の廻りが惡いのじやないか、先ほど人絹会社はもう皆売つておるというのですが、中間にある商社側に若しそうしたようなお考えがあつた場合に、甚だ迷惑するのは我々中小企業者であります。どうかその統制の必要なしと、そういう考えのないというようなことを明らかにお示しが頂ければ、そういつたようなことが解消いたしまして、円滑に原料の入手もできるのじやないかということを考えておるわけであります。どうかその点をよろしくお願いを申上げる次第でございます。
  58. 境野清雄

    境野清雄君 もう一つ纖維局長羊毛の問題でお聞きしたいのですが、大体羊毛は最近の情勢を見ますと、紡績会社の織機台数は相当アンバランスなつておるのじやないか、大体戰前の日本としましては、梳毛が百六十万錘、紡毛が七百三十台というようなもので平均しましても、年間六十五万俵くらいのものを消費しておつた。その当時織機台数一万二千台であつたというのが、今日は大体一万五千台くらいになつておるのじやないだろうか、二十五年の三月、昨年の統計でも、梳毛は八十万錘になつておる、紡毛八百十五台というようなことで、梳毛のほうとしては戰前の半分きりしかないというのにもかかわらず、織機台数は戰前を上廻つており、自立経済方式ですか、二十五年の三月の統計を見ましても、梳毛百六十万錘、紡毛千二百台という約戰前と同じ水準にまで行くのに、今日現在すでに一万五千台というような織機台数がありますと、どうしても紡績設備と織機の台数とのアンバランスが今後とも統制問題やなんかに引つからまつて来まして、紡績会社の賃織をやつておるほうはさして問題を起さないが、自分の力で羊毛を手に入れようというほうは、どうしても品が入らないというようなことから、いつもこのほうがネツクになつて統制問題を起して来やしないかというふうに思うのでありますが、その辺に対しての局長としての見解は如何でございますか。
  59. 近藤止文

    政府委員近藤止文君) 只今お話は毛の話でございましたが、私は実は毛のみならず、人絹、スフの織機にいたしましても、綿織機にいたしましても、紡績或いは人絹、スフの製造の設備から比べて見ますと、非常にアンバランスなつておるのでありまして、いずれも非常に大きいのであります。而もそういつた非常に大きな織機がありながら、なお且つ現在でも相当数毎日増加しておるという状態でございまして、なかなか紡績の設備と機の設備とがバランスをするということが簡單に出て参らないのじやないかというように思うのでございます。これは一つは非常に老朽になりました織機でも、やはり一台として存在しておりまして、そこに新らしい技術なりその他の関係設備の新設が起りました場合に、古いものが廃棄されずそのまま残つてつて、台数としては非常に大きい、それを持つているために、原料が手に入らなければ商売にならないというような事情もありますし、それから一つは織機の設備制限をやつておりました当時、あれだけ嚴重にやりましても、非常に多量な闇織機というものがございまして、これが取締を嚴重にやりまして何千台というものを封印をしたようなことがあるのでありますが、そうなりますと却つて封印されたほうがこれではやり切れんということで、止むを得ず登録をしてしまつたというような事例もありまして、不自然に増加しておるのであります。そこでこれを紡績とバランスするという程度に、設備の新増設というようなものをとめるかどうかという問題でございますが、これはやはりいわゆる統制的にそういつたものの新増設をとめるという問題ではなくて、やはりむしろ能率的なものが能率的に生産をするというところに本筋がなければならんのでございまして、嚴重な統制をやつてもやはりもぐつて新らしい織機を作るというような人があるわけなんです。結局これはやはりいわゆる中小企業につきましての協同組合組織というようなものをできるだけ強化いたしまして、その組織化によりまして無謀な競争をさせないような、設備の濫設というようなことを防止するような、お互い同士の中におきまして、そういつた操作をして参るということより仕方がないと思うのでありますが、ただ紡織或いは人絹、スフの製造という面と、中小企業である機屋の面というのは、戰前におきましても実はバランスがいつもとれておりません。絶えずその間に紛争があつたのでありまして、一面中小企業の特質というようなところもあると思うのでございます。只今のところでは特段にこれらの設備の新増設を許可制にして、抑えて見るというようなことを考えませんで、むしろ中小企業それ自体のあり方をもつと改善して行くという方向で、この問題は解決して参りたいと考えております。  なお、毛につきましては実は梳毛の設備は非常に少いのでありますが、紡毛の設備予想以上に大きなものが現在できておりまして、これはやはり機屋さんと同じように設備の濫設によりまして操業度が下り、又品質のよくないところは商売が非常にやりにくいというような状態でございまして、現在約九百セツトぐらいのものができておるというふうなことで、この点はほかの綿紡などとはちよつと違つておりますが、そういう事情で紡毛関係につきましては設備がふくらみ過ぎているというかつこうがあるわけであります。できるだけこれらの問題につきましては業界の自主的な認識と申しますか、自省によりまして適正な運用をして行くというふうにやつて参りたい、かように思つております。
  60. 境野清雄

    境野清雄君 最後に一つお聞きしたいのですが、一—三月と言いますか、現在入荷しつつある原綿とレーヨン・パルプと原毛等の価格はどんなものであるか、一つお聞かせ願いたい。
  61. 近藤止文

    政府委員近藤止文君) 実は只今的確な数字を持つておりませんので、はつきりお答えしにくいのでございますが、現在入荷しつつありますものの価格はそう極端に高いものではないと思います。はつきりした数字只今持合せておりませんので、後ほどお出しします。
  62. 境野清雄

    境野清雄君 何か私のほうの聞いておりますのは、大体レーヨン・パルプは二百五十ドルくらい。併しこれは三百ドルくらいまで行く形勢があるのではないかというニユースも聞いております。原毛では、この間新聞に出ておりました三百十三ペンス半というようなものがありますので、一つその価格と同時に、先の見通しもおわかりでしたらそのとき一緒に……。
  63. 足立修三

    参考人(足立修三君) 先ほど四万一千トンばかり契約ができたやつがございますが、あれは大体安いもので二百八十ドルくらいから、高いもので三百六十五ドルまで契約をいたしております。御参考までに申上げますが、終戰後一番安値で買つた時分が百六十ドルでございます。
  64. 境野清雄

    境野清雄君 足立さんに一つお聞きしたいのですが、大体現在の化纖の生産状況として、人絹とスフのパルプの占める率がどのくらいあるのか、私の聞いておるのは、人絹は六二%くらいがパルプの占める量ではないかという話を聞いておりますが、若しおわかりでしたらちよつとお知らせ願いたいと思うのであります。
  65. 足立修三

    参考人(足立修三君) 大体の概数を申上げますと、まあ生産原価の二割くらいだろうと思つております。この点は「くらい」と申上げますのは、パルプが非常に値段がまちまちでございまして、国内パルプは安いし、輸入パルプは高い。混ぜ方その他がまちまちになりますので、はつきりした数字ちよつと申上げることができません。ただ大体現在国内パルプは三十五円で買つておりますので、一ポンド作るのにパルプが一・四ポンド要るというくらいな計算でやれば、すぐスフが一応一〇〇%国内パルプで行くという場合には、大体御想像がつくと思います。
  66. 結城安次

    理事結城安次君) どうも長いこと参考人かたがたからいろいろな話を伺いまして有難うございます。  別に御発言もなければ、今日はこれで散会いたします。    午後四時十五分散会  出席者は左の通り。    理事            古池 信三君            結城 安次君    委員            上原 正吉君            小野 義夫君            下條 恭兵君            加藤 正人君            高瀬荘太郎君            山川 良一君            境野 清雄君            西田 隆男君   政府委員    農林省蚕糸局長 最上 章吉君    通商産業政務次    官       首藤 新八君    通商産業省通商    纖維局長    近藤 止文君   事務局側    常任委員会專門    員       小田橋貞壽君   参考人    日本絹人絹織物    同業会副会長  茂木 富二君    日本紡績協会東    京事務所次長  野町 克利君    日本化学纖維協    会理事長    足立 修三君    日本羊毛工業連    合会      伊藤 廉三君    綿スフ機業会常    務理事     原 與一郎君