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1951-02-07 第10回国会 参議院 通商産業委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年二月七日(火曜日)    午後二時三十一分開会   —————————————   本日の会議に付した事件 ○通商及び産業一般に関する調査  (最近の貿易状勢及びその対策に関  する件)   —————————————
  2. 結城安次

    ○理事(結城安次君) それでは只今から委員会を開会いたします。  本日は公報でお知らせいたしました通り貿易に関する点を議題といたします。最近の国際事情の急変に伴いまして日本経済貿易に対する見かたも又変化して参りました。又講和條約が近く結ばれるだろうという見通しが確実となつたにつれまして、貿易に関する諸制度の整備というようなことも問題となつて参りました。そういう意味合から申しまして、本日は特に輸入促進確保に関する問題、関税定率法改正に関する問題を中心として、併せて船舶増強に関する通産省側の意向を聴取いたしたいと存じます。なお本日は問題の性質に鑑みまして、第一物産株式会社常務取締役水上達夫さん、日本産業協議会理事仲矢虎夫さん、江商株式会社社長高見重義さんのお三かたに御出席をお願いいたしまして、実業界から見た御意見も拝聴いたしたいと存じます。議事の進めかたといたしましては、先ず通産省大蔵省安本順序政府側の御説明を願い、次に高見さん以下お三かたの御意見を伺いまして、これに対する質疑応答を行う順序でいたしたいと存じます。先ず第一に通産省通商局長黄田多喜夫君の今後の輸入計画とその対策についてお願いいたします。
  3. 黄田多喜夫

    政府委員黄田多喜夫君) 大体三段に分けてお話を申上げます。第一が輸出入一般状況、それからその次が重要物資別にそれがどういうふうになつておるかという問題、それから最後に輸入促進措置としてどういうことを考えているかという大体その三段階に分けましてお話申上げます。  大ざつぱに申しまして昭和二十五年暦年の輸入上半期には大体月平均八千万ドルくらい持続して参つたのであります。それは輸入状況であります。それから七十月、これはいわゆるスキヤツプの商業勘定による輸入が減少いたしましたこと。それから上半期における民間の輸入の不振、この理由は又あとで申上げますけれども、そういうことが崇りまして、月間おおむね六千万ドルという平均数字に転落いたして参りました。数字といたしましては十月くらいまでしかはつきりした数字は出ておりませんので、七—十月というふうに申上げたのでございますが、十一月、十二月の公式な数字はございませんけれども、大体我々が研究して得ました数字によりますと、十一、十二の両月には約月に八千万ドル以上になつていはしないかと考えるのであります。それから今年になりまして一月、二月、三月というものは十—十二月における輸入公表の額の増大ということに伴いまして、一、二、三の三カ月におきましては約月平均一億ドルくらいも入るのではないかというふうに考えております。従いまして昭和二十五年一年の輸入実績というものは只今ここで明確に申上げるわけに参りませんけれども、大体九億ドル乃至十億ドルというふうに推定いたしておりますし、これを更に暦年でなしに会計年度で申しますとその数字が更に上昇いたしまして、十億ドル乃至十一億ドルくらいに達するというふうに予測いたしております。昨年の輸入が九億四千万ドルという数字が出ておりますので、今年の輸入はこれを若干上廻るという程度で落着くのじやないかと考えております。  それから次は輸出の現状と見通しを申上げますと、昭和二十五年度の輸出は一四月の間は毎月平均四、五千万ドル、それから五、六両月が六万ドル、七月以降は大体七千万ドル台に上昇しております。それから朝鮮事変の勃発後下半期からの輸出は非常な上昇を示しまして輸出認証統計によりますと、大体年間七億八千万ドル実績というものを示しております。これを商品別に見ますと依然として纎維がトップを切つておるのでありまして、四三・二%、金額にいたしまして三億三千八百万ドルで第一位、第二が鉄鋼の九千四百万ドルで一二・一%、以下非鉄金属、機械、農水産物、雑貨、化学品、石炭という順になつておりますし、又これを地域別に見ますと、ドル地域が三億四千三百万ドルで第一位それからスターリング地域が二億二千三百万ドルオープンアカウント地域が二億一千五百万ドルという形態をとつております。  次に重要物資別輸入の概況を申上げますと、食糧、肥料、纎維原料、それからゴム皮革、塩、鉄鋼原料ボーキサイト並びに原油と、大体これらの重要品目に対しまして御説明を申上げますと、食糧は二十五年度の輸入実績は米が六十七万トン、小麦が百六十万トン、大麦二十七万トンとなつておりまして、主食の合計が二百五十四万トン、この数字は前年の実績に比しまして二十三万トンの減になつております。その理由といたしましては、大体御承知の最近の船腹不足、例えばイラクの大麦が七万トン輸入が不可能になつたのでありますけれども、これは船腹不足が原因しております。それからパキスタンにおきまして非常な洪水、大雨が降つたということ、それからスターリングが足りなくなりまして、これの手当ができなくて、十分間に合うようにスターリングの手当ができませんでしたためにスターリング地域からの主食の手配がうまく行かなかつたということ。それから貿易方式立てかたによりましてドルを使うということをまあ出し憎んだというふうなこともあつたのでありますけれども、これらの理由のために主食輸入は前年の実績に比して、先ほども申しましたように二十三万トン減ということになつております。  然らば今後これをどうするのかと申しますとカナダアメリカ等から大麦、小麦の買付をやります。それからタイ、ビルマから米を、それからアメリカの大豆、キューバの砂糖というふうなものの買付に関しまして、すでに一部のものに関しましては手を打つておりますし、まだ手を打つていないものに関しましても極めて近くその手を打てるというような状況なつております。船の問題が一番今ネックになつておるのでありますけれども、この問題に関しましては後ほど又改めて触れることにいたします。  それから肥料でありますが、二十五年度の輸入実績燐鉱石が百万トン、これは前年に比しまして三十万トンの増加であります。それから加里が十三万トン、これは前年に比しまして三万トンの増であります。二十五年度計画は、大体計画に比しまして実績は一割乃至二割上廻るという状況であります。  それから纎維原料に関しましては昨日纎維局長から説明がありました通りであります。需要が原綿にいたしまして百六十八万俵これに対しまして供給のほうもそれにちやんと見合うという数字なつておるのであります。内需のほうは一人当りが三ポンドということも昨日纎維局長が申上げました通りであります。  次に羊毛でありますが、約二十万俵の購入実績を示しております。前年に比べまして四万俵の増であります。計画に比しましても僅かに計画を上廻るという予定なつております。昨年七月以降一年間に三十七万俵買付予定したのでありますけれども、三月末までにこれを全部完了いたしまして六月末までには四十万俵程度の買付ができる見込なつております。  レーヨンパルプでありますが実績は四万一千トンでありまして前年に比し十倍になつております。二十五年度の計画に対しましても三割方上廻るという見込であります。ただレーヨン、スフの増産計画に基く需要の充足は、国際的にパルプ不足している状況でございますのでこれは困難かと見ております。  それから次にゴムでありますが実績は五万八千トンでありまして、前年に比し一万八千トンの増産計画は十分達成できる見込であります。最近御承知通りスターリング地域からもゴム購入し得るということになりましたので順調に入荷する見込であります。ただ御承知のようにゴムの値段が非常に上りまして、恐らくこれが羊毛と共に一番値段の上つた品目じやないかと考えますけれども、朝鮮事変勃発前の価格に比べますと四倍の価格を示しております。  それから次は皮革でございますが昨年に比べまして二倍も入つております。現在もアメリカ、それからインドのほうから買付をやつております。ただ皮革の一番の供給源であるところのアルゼンチン貿易尻関係からまだ買付をいたしておりません。最近の情報によりますとアルゼンチンのほうも日本のほうから相当のものを買い始めるという情報でございますので、そういう状況になりますればアルゼンチンからの皮の買付も今後見込があるということに相成る次第であります。それからキツプスキン、カーフスキン、こういうものは米国輸出統制をやりました結果、我が国におきましてもこれの自由なる輸入ということを制限いたしまして、今まではいわゆる自動許可品目でございましたけれども、輸入の割当にするというふうなことをやりましたのでありますけれども、とにかくその結果これらの皮革類も先ず支障なく入つておるという状況でございます。  次は塩でございますが、これが今では一番輸入が困難と申しますか、うまく行つていないがために一番困つておる品目一つであります。実績は六十四万トンでありまして、前年に比しまして九十三万トンの激減振りを示しておるのであります。これは一—三月間のクオーターにおきまして十五万トンの供給不足が予想せられておるのでありまして、目下一番何をおいても輸入しなければならんという物は塩であります。現在のところいわゆる自動承認制というものの中のアイテムといたしまして、スターリング地域とか、オープンアカウント地域というところから買付けておるのでありますけれども、それでも十分買付け得ないという状況でありまして、どうしてもこれはドル地域から買わなければいけないというので、ドル地域からの塩の購入ということを考慮いたしまして、極めて最近のうちにドル地域からの購入もでき得るようにいたしたいと考えております。これは船舶の不足から運賃の高騰という二つの惡い要素に最も影響される品物でありますだけに、これの買付というものには相当の努力を要するものと考えております。  それから次は鉄鋼原料でございますが、米国からの購入ということに関しまして随分長い間骨を折つたのでありますが、最近に至りまして漸くドル地域からの自動許可制による購入ということの発表をいたすことに成功いたしまして、只今ドル地域から購入中であります。鉄鉱石は二十五年度の実績が百四十三万トンで前年に比しまして十六万トンの減、安本の計画に比しまして約七〇%の達成ということになつております。二十六年度におきましては三百九十五万トンを輸入する予定なつております。フイリツピンから百万トン、マレーから百万トン、米国から百四十万トン、その他はインドのゴアそれからエジプトというふうな所から輸入しようという計画を立てております。  強粘結炭につきましては実績が七十五万トンになつております。前年に比し殆んど半減いたしておかます。二十六年度の輸入予定量は二百三十五万トンでありまして、そのうち二百二十五万トンを米国炭でカバーして残余をインド炭に仰ごうという計画を立てております。これらの二品目は最近に至りましてやつと自動許可制に挿入することに成功したと申しますか、自動許可制にいたしました品目でありますために、これらの輸入は今後に実績を見なければならないという状況なつておりまする品目であります。それから次はボーキサイトでございまするが実績は十三万トンでありまして、前年に比して一万トンの増ということになつております。  それから次の原油はおおむね順調に行つておりまして、二十五年度の実績は二百五十万トン、前年に比し百四十万トンの増加ということになつております。  さて概略は以上申上げた通りでございますが、最近国際情勢の激変に伴いまして輸入促進すべきである、或いは備蓄をやるべきであるというふうな声が膨湃として起つて来たわけなんでありますが、概略いたしまして二十四年が約九億四百万ドル、二十五年も大体それと同額或いは少し上廻るだけだという状況でございまするのに対し、輸入のほうは二十四年度が五億幾らでありますが、二十五年度はお手許に配付してございます資料によりますと七億八千万約八億ということになつておりまして、輸出の躍進に比べて輸入のほうは依然として遅々としてしか進んでいないということは、概括として言えるのであります。然らば輸入促進する途はどういうふうな途をとるかということでございますが、お配りいたしました資料の一番上に附いております輸入促進措置というのがございますが、大体我々が考えております輸入促進措置というものはこのライン、即ち第一は外貨予算編成及び運用改善であります。これは外貨予算というものは去年の初頭から外貨予算を組んで物資の輸入をやるという方式をやつたのでございますが、四期別に予算を組みますのでありますが、一—三におきましては予算が一億二千三百万、それのうち公表いたしましたものが七千三百万、更に公表いたしまして輸入承認いたしました額は僅かに六千五百万ドルという状況に終つているのであります。それから四—六におきましては予算が一億七千三百万ドル公表いたしました額は一億六千万ドル輸入承認額は一億三千万ドル。七—九の予算におきましては、七—九からぼつぼつ輸入を急がなければならんと申しますか、或いは今までのやりかたにおいては折角予算を組んでもそれの公表額なり、或いは承認額というものは非常に少なかつたのであります。それでは将来困るということの考えが七—九の予算から考え始められまして、七—九からは予算も多くし公表も多くしてやろうという考えかたでやりました最初でございますが、その結果予算は実に四億四百万ドル組んだのであります。そのうち公表いたしましたのが三億九千九百万ドル。それから輸入承認額が三億四千六百万ドルというふうになつております。なお別に七—九の期間から長期予算というものを組みました。その額が一億二千二百万ドルというふうになつております。只今申上げましたことでおわかりのごとく一—三、四—六においては最初予算額も非常に少かつたのであります。公表額は更にその何%かになる、輸入承認額至つては更に小さいという状況であつたのでございますけれども、七—九からは予算額公表額輸入承認額も非常に飛躍的に増大しておる、こういうことがいえるのであります。それで輸入承認をいたしますとその承認有効期間というものは六カ月間でございますので、七—九ぐらいの予算に基いて輸入許可をしたものというものがやつと年末ぐらいになつて入つて来つあるという状況なつております。最近の輸入の数量が相当多くなつておるというのは、即ち七—九以後の我々の打つた手がやつと効果を現わし始めておるということに相成るのであります。七—九の次の十—十二におきましては予算を実に五億二千六百万ドル組みまして、公表額が四億六千七百万ドル。それから輸入承認額は十二月末の現在で三億八千万ドル。これはまだ申込期限只今は続いておりますので、これがどのくらいになるかという最終の数字はまだ出ておりません。  以上通算いたしまして、昨年におきましては十二億二千六百万ドル予算を組み、十億九千九百万ドル公表をいたしましてそのうち承認されましたものが九億三千万ドルということに相成つております。それから今年の一月三月におきましては更に予算が殖えまして五億九千三百万ドル予算を組みまして、殆んど全額を公表する予定にいたしております。こういうことによりまして輸入促進をする一番大きな手を打つておるつもりなのであります。これが輸入促進手段といたしましては何といたしましても第一段に挙げらるべき手段だろうと考えます。  更に外貨予算編成に伴いまして、それの運用によつて輸入促進を図るという手段といたしまして自動承認制の拡大ということがございます。つまりこれは少し技術的な言葉になりますので御説明申上げたほうがいいかと思うのでありますけれども、七月から輸入促進手段として自動承認制というものを布いたのであります。つまり一定外貨を保有いたしましてそうして一定品目をきめまして、これらの品目をこれらの地域から入れたいと思う人は誰でも好きなだけ入れなさい、金のある限り許可をいたしますという制度なんであります。その一定の取つて置きました金がなくなつた場合には、それはもう全部蓋を閉めるのですが、金のある限りは一定地域から一定品目に関しまして物を入れるという人人には外貨の割当とか何とかいうことをやらないで、誰でも幾らでも入れなさいという制度自動承認制度というものなんであります。これを七月から初めまして、七—九月の期間におきましては最初四十入品目というものをそれに入れたのでありますが、それをだんだん殖やしまして七—九の最後におきましてはそれを六十五品目に殖やした、更に十—十二に至りましてはその品目を実に百二十六に殖やしたのであります。それから今年の一—三月の予算におきましては百六十一品目がこの自動承認制品目に載つておりまして、当初に比べますると三倍以上の品目の増加が見られておるということになみのであります。尤も自動承認制は非常にいい制度なのではありますけれども、何しろ外貨の構うの制約がございますために、或いはしばしばこれを閉じなければならないという問題が起きておるのでありまして、まあこれは十分な外貨が出ない限りどうしてもそういうことは止むを得ないことだろうと考えられるのであります。  それからその次に外貨運用によつて輸入促進する手段といたしましては、長期契約予算というものを七—九月の期間から考えましてこれを実施いたしております。つまり或る品目によりましてはスポツト買だけではどうしても買い切れない、長期契約をするにあらざれば原材料確保が不可能であるというものであります。つまりパルプとかボーキサイトとか、或いは塩とかそういうものがこのカテゴリーに入るのでありますが、そういうものに関しましては長期契約予算というものを組もうということにいたしまして、七—九月におきましては先ほど申し費したように一億二千二百万ドル予算を組んだのであります。それ以後ずつと長期契約という構想を爾来続けてやつておるのであります。これによつて輸入促進と或いは輸入原材料確保ということをなし得る一つの手だてであるというふうに考えておるのであります。  更にその次にはドル地域からの買付の増大ということは、これが今では一番大きな問題になつておるかと考えるのでありますが、当初ドルが非常に不足いたしまして、それに各国ともドルの蓄積ということには力をいたしたのであります。先ほど申上げました本年当初の外貨予算組みかたが少かつたり、或いは公表額が少い、輸入承認額が少いというのも、成るべくドルの節約をしようということも一つの原因になつていたのでありまして、更に輸入が思うようなものが買えないということの理由には、成るべくオープンアカウントから買おう、或いはスターリングのほうから買おう、ドル地域のほうからの購入は成るべく差控えようという考えかたがあつたのであります。つまり今日本貿易をしております相手は大体三つの分類になし得るのでありまして、一つオープンアカウント清算勘定の国と言つておりますけれども、ドルを佛わずにお互いに勘定尻だけで商売をやつて行こうというのがそれであります。第二がスターリング地域であります。これは英本国、濠洲、南ア、ニユージランド、インドというような所でありますけれどもそういう地域、それからその他アメリカカナダ、メキシコ、キユーバというような所が大体ドル地域ということにたつているのでありますけれども、この当初におきましてはオープンアカウント地域スターリング地域と、こういう所からは物を買うけれども、ドルを使わなければ物が買えないという所からは成るべく買い控えようというような考えをしたのであります。その結果ドル地域からの買付は一—三月におきましては大体予算総額の三〇%、それから四—六におきましては二〇%、それから七—九におきましては三六%、十—十二月におきましては三九%というものしかドル地域からは買わなかつたというふうな関係なつているのであります。ところが最近に至りまして売手市場なつて来た関係から、ドルを佛つてくれるならば必要なものをやるけれども、そうでなければもう売らんということに変つて来たのであります。従いまして最初の方針でありましたドルの節約、ドル地域からの買控えということは一擲いたしまして、ドル地域のほうからドルをどんどん拂つて買うのだということに方向転換をしなければ買えないということになつて来たのであります。従いましてそういう要請に応ずるような手を打とうというのが最近の我々の考えかたなんでありまして、一—三月の予算におきましてはドル地域からの買付約五三%という、予算総額の五三%というものを予定いたしているのであります。  更にその次の外貨予算運用に上りますところの輸入促進措置といたしましては、スワツプポンド現物買の、ドル先物売ですね、つまりそういうことでありますね、スターリング地域と協定があるのでありますけれども、そうして大体只今のところ片道が年間九千三百万ポンドの物を買つて九千三百万ポンドの物を売ろうというような協定になつているのであります。日本のほうはポンド地域からの買付が時期的に集中するのであります。例えば羊毛がそうであります。羊毛も年の暮あたりまでに買わなければどうも買えないというふうなものでありますし、綿花もそうであります。そこで年間をずつと平均して見れば、総額は平均するのであるけれども、時期的に日本側のほうにはポンド資金不足するという問題が常に起るのであります。そこでそのポンド資金不足を補うためにポンドを買いまして、一時的にドルを売つてポンドを買いまして、その逆の操作を将来やるという方式なのであります。これを常にやらなければいけないというので、この問題は相当まあこのドルの尊重という思想からいたしますれば、これの実施に相当時間がかかつたのでありますけれども、結局スワップでやるということになりまして、一部すでにやりましたし、又三月末くらいに至りましてポンドが足らないというふうなことになりますれば、そのときには更に又スワツプをやるということにいたしておます。  それから外銀によるユーザンスの問題でありますが、これも利率の関係等におきまして相当交渉に手間が取れたのでありまするけれども、円満に交渉が成立いたしまして、一月二十三日以降外銀によるユーザンスというものも実施されておる。  それから更に外貨予算編成及びその運用改善による輸入促進措置といたしましては、オープンアカウント協定運用改善の問題、それから許可制度運用の緩和、つまり仕入地域を変更するとか、或いは標準外決済をやるとか、或いは輸入限度の超過で為るとかいうふうな問題がありまして、これらの規則を何といいますか、輸入促進に重きを置いて、それのラインによつてこれらの許可、不許可を決定するという方向にもつて行こうという問題でございます。その問題と、或いは輸入担保の軽減の問題という問題が考えられる。これらにつきましては全部輸入促進の線に沿うという方法で以つて処理しております。  それから輸入促進措置に関連いたしまして、只今まで申上げましたことは外貨予算編成と、それの運用改善による促進措置であつたのでありますけれども、そのほかには輸入金融円滑化の問題、それから船腹確保の問題、これが只今のところ一番大きな、且つ重要な問題となつておるのでありまして、その問題、それから場合によりましては今まで政府輸入というものをなるべく少くして、民間貿易に移そうということを主眼といたしまして、その線に則つてつて来たのでありますけれども、品物によりましては国際情勢の変化と共に、民間貿易ではできないもの、或いは政府でやつたほうが有利なものというものが考え得るのであります。これらの品目なり、或いは政府がやつたほうが有利な場合というふうな場合には、或いは政府輸入という形式をもう一遍とることが望ましくないかどうかという問題があるのでありますが、これらに関しましては振興局長もお見えのようですから、振興局長にお願いいたします。
  4. 岡部邦生

    政府委員(岡部邦生君) それでは輸入金融の点につきまして御説明いたしたいと思います。輸入金融と申上げましても、第一に為替の関係の問題と、国内金融の問題と二つに分れるわけでございますが、前者につきましては、先ほど通商局長が申上げましたように、只今まで為替管理委員会のほうの日銀に対する外貨売拂いのユーザンスという形におきまして、大体約二千億のユーザンスを行なつておるわけでございますが、なおそのほかに補完的な措置といたしまして、ポンド地域に対しましてポンド外銀によるユーザンスが行われておるということも御説明いたしましたので、その点は省略いたしまして、国内の引取資金について御説明いたしたいと存じます。大体民貿形態が本格的になりましたのにつれまして、輸入引取資金につきましても、これが本格的になつて参りまして、お手許にお配りいたしてございますように、一—三月におきます輸入引取資金の新規需要総額は約八百七十億円に上る見込みでございます。そのうちで食糧関係の百億円はおのおの政府勘定で拂いまするので、それを除きましても大体少くとも七百億円の金を用意しなければいけないということになるのでございますが、これに対しまして従来十—十二月の間に利用いたしました金が約三百五十億円と推察されますので、この期におきまして大体倍額の資金需要が要る、これが更に四—六になつて参りますと、恐らく千億円を超え、千百億円ぐらいに相成るだろうと考えられるわけでございます。この問題につきましてこの引取資金金融を円滑にしてもらうために、我々のほうでは大蔵省及び日銀にそれぞれ申出をしておるわけでございますが、現在一—三につきましては專らスタンプ手形の適用を拡大いたしまして、従来は綿花、原毛及び原油についてスタンプ手形が認められておるのでございますが、その範囲を拡大いたしまして鉄鋼原料皮革を含めることに相成ります。更に必要に応じましては麻、油脂、燐鉱石というようなものに範囲を拡大いたしまして、それによつて何とか泳いで行こうということになつておるわけでございます。我々のほうも大体一—三につきましてはこのスタンプ手形の活用で泳げるのではなかろうかというふうに存じておるのでありますが、四—六につきましては更に構想を新たにしないと、なかなかこの運営はむずかしいんじやないかということを考えて、今折角折衝しておる次第でございます。  次にお手許にお配りいたしました海運資料並びに昭和二十六年度輸入見込量という両方の資料を御覧願いたいと思いますが、この海運資料のほうは、第一が日本船の現在の船腹の現況でございます。二は船級取得の時期及び付倍取れるかということの表でございます。第三が船の大きさ別の船級取得の表でございまして、第四が繋船量の推移、第五表は低性能船の買上予定船腹でございます。第六表が終戰後の造船実績でございまして、これは輸出船は含まれておりません。その次は第七が日本船腹量の推移でございます。これは御覧になりますように、終戰当時百五十二万トンということになつておりましたものが、現在では百九十万トンに相成つておるわけでございます。その次の表は日本船の活動状況でございまして、どういう地域に就航しておるかということを記載したわけでございます。その次の表は物資輸送の実績でございます。輸出及び輸入に分けて記載いたしました。第三表は定期航路の開設計画表でございます。大体現在のところ一番最初許可されるものが南米地域であろうと考えておるわけでございます。又この表のごとく続々と許可される見込みでございます。第三に国際運賃の値上りの状況を掲げて置きました。これはこれといたしまして、その次の昭和二十六年度輸入見込量という表を御覧願いたいと思いますが、御覧になりますようにバルキー・カーゴーにつきまして明年度大体約手四百ガトンの輸送が必要でございます。従いましてこれを日本船及び外国船というように分けて考えて見ましても、現在までの実績は大体外国船が七、日本船が三の割合で就航しておるのでございますが、これを日本船五、外国船五という割合で就航するというような程度に直しまして計算いたしまして、大体輸送可能量が千百六十三万トン、差引不足量が三百六十七万トンに相成つておるというわけでございます。この対策といたしましては、第七次船の造船計画促進というものも勿論考えますほかに、現在民間の手によりまする船腹輸入を予期しまして、すでに二三隻現に買つたものもございます。なお貿易特別会計の余裕金を以ちまして船腹を一時政府で買いまして、これを民間に拂下げるという方法も現在考究いたしまして関係方面と連絡をしている次第でございます。大体船腹状況はそのようでございます。  なお先ほど物資貯蔵の話が出ましたが、先ほどの金融状況から御覧になりましてもおわかりになりますと思いますように、平常の民間貿易の形におきましてもなかなか引取資金がつかないという状況でございます。それを更に貯蔵関係のものまで果して持ち得るかどうかという問題がございます。これにつきましては輸入信用保險というようなものを一つ考えて、業者が安心して輸入できるようた措置を考究せられたいというような業界の要望もございますし、又業種によりましては自分らの方では到底持てないので是非政府輸入をしてもらいたいというような話合いもございます次第でございますが、御存じのように政府輸入は大体やらない方向予算を組んでおります。ただ一つ緊要物資輸入基金特別会計が只今予算で提出されておりまして、現在その特別会計法を立案中でございます。その中でそういうファンクシヨンを織込めるように一つ出行えたいというとろで、只今折角考究しておる次第でございます。  簡單でございますが……。
  5. 結城安次

    ○理事(結城安次君) 次は安本貿易局次長の松尾金藏さんに輸入計画についてお願いいたします。
  6. 松尾金藏

    政府委員(松尾金藏君) 二十六年度、来年度の貿易計画、特に輸入計画が問題でありますが、実は最近のように御承知のような非常に情勢の変化が激しいときでもありますので、二十六年度の輸出計画特に輸入計画の点については、まだこれが来年度の輸入計画だという成案はまだ用意はないのであります。併し一応現状で予想されます限りという意味で、まあ仮案という程度のものを今持つておるわけでありますが、そういう意味で御説明をお聞き取り願いたいと思います。  輸出のほうは簡單に申上げますれば、大体十一億ドル程度輸出が、今年度の実績が約九億ドル見込でありますが、来年度約十一億ドル程度輸出が行くであろうというふうに予定をしております。これに対しまして輸入のほうが問題であると思いますが、今の私どもの一応の見通しといたしましては、先ほど申しましたような意味での見通しでございますが、約十四億七千五百万ドル、これは勿論CIF建でございますが、その程度輸入が一応現状で見通しできるのではないか、こういうふうに考えております。内容は、概略申上げますと、食糧がその中で約三一%程度を占めまして、金額にしまして四億五千七百万ドル程度、大きなものでいいますれば、纎維原料が同じく三〇%程度を占めまして、これが四億五千万ドル程度、あとは石油、原油が大部分でありますが、石油原料の石油及び石油製品の関係で約一割程度を占めまして、金額にしまして約一億六千万ドル程度こういうものが大きなものでありますが、品目で今非常に問題になつておりますような物資を概略拾つて見ますと、米が約八十万トン程度、それから小麦が百七十五万トン、大麦が六十五万トンそれから石油が二百三十二万キロリットル、綿花が百七十万俵、羊毛が三十四万俵、鉄鉱石、これは生産ベースがまだ多少問題でありますが、一応の予定としては三百九十五万トン程度、それからボーキサイトが十六万トン、塩が百四十万トン、生ゴムが六万トン、原皮が一万八千トン、レーヨンパルプが六万トン、今問題になつております重要物資を拾つて見ますと、おおむねこういうことになる予定であります。  先ほどお断りしましたように、この輸入計画は特に輸入單価の点で今後どういうふうに変動をするのかまだはつきりした見通しがないわけであります。一応十二月末現在程度くらいの單価で一応見ておりますが、今後の傾向はこれよりも更に單価は一般的にいつて上る傾向であることは想像にかたくないのであります。更に又これの計画は、輸入物資はいずれも到着ベースで組んでおりますから、これを外貨予算に引直して輸入の実施をいたします際には、当然これよりも金額は相当大きな外貨予算を組んで輸入を律することになるであろうと思います。    〔理事結城安次君退席、高瀬荘太郎君委員長席に着く〕 先ほど申しましたのはこの程度の入荷があれば、大体来年度の生産計画にもおおむねマッチしたものになるであろうという、こういう意味の輸入計画であります  概略御説明いたしました。
  7. 結城安次

    ○理事(結城安次君) 次は大蔵省の関税局のかたにお願いします。
  8. 藤田茂

    説明員(藤田茂君) 関税定率表の別表輸入税法の改正に関しまして簡單に御説明申上げます。  先ず改正の理由でございますが、お手許にお配りいたしました資料について簡單に御説明申上げて見ますと、一番大きな理由は戰後貨幣価値が非常に下落いたしまして、そのために従量税率、つまり一斤につき幾らとか、或いは一キログラムにつき幾らというふうに定めてございます従量税率が殆んど無税に等しくなつてしまつたわけでありまして、これは従量税率と申しますものは、大体貨幣価値の下落に応じまして、貨幣価値が下落いたしますると、大体例えば百分の一に下落いたしますると、従量税率も実質的には百分の一ぐらいになつてしまうというのでありまして、この従量税率は現行輸入税表のうち納税費目のうちの約六割五分を占めるというふうに目当大きな部分を占めているものなのでありますが、これが殆んど戰前の二百分の一とか三百分の一というふうな非常に低いものとなつて参りましたために、どうしてもこれを回收するという必要があつたわけでございます。  その次に第二点といたしまして大正十三年に、つまり震災後に定められました贅沢品等の輸入税に関する法律、この法律によりまして二百四十二品目につきまして、これは贅沢品であるというので従価一〇〇%の関税率を課するということにきまつているのでありますが、その後贅沢品でございましても、現在の国内事情から申しまして、そう贅沢品ではないのではないかというふうに考えられるものもできて参りましたし、又ITOとかGATTなどにおきましては余り高い関税をすることは好ましくないから、成るべく引下げて行う。こういう考え方になつておりますので、このときこういうたくさんの品目について従価一〇〇%というような関税率をきめて置きますことは、こういう国際機関に入る際におきましても好ましくないという考えがございまして、こういうものを成るべく引下げようということの必要が今度の改正の一つ理由であつたわけでございます。  それから現行の輸入税表はこの前の大正十五年の全面的改正からすでに二十五年経つているのでありまして、その間若干の改正はございましたが、全面的な改正というものはなしに今日に至つているのであります。そうしてこの二十五年の間には国内国外の産業貿易の事情は大きな変化を遂げているのでありまして、従いましてこの意味におきましても根本的な改正が必要となつて来たわけでございます。この意味におきまして終戰後からいろいろと関税率の改正の問題について研究して参つたのでありますが、この改正の方針といたしましては第一が税率をすべて従価税率にするということでございます。只今申上げましたように通貨価値の下落のために従量税率が殆んどゼロになつてしまつておりますので、これに対して新らしい税率を設ける必要があるわけでありますが、新らしく又従量税率としてきめるか、或いはこの際従価税率にしてしまうかという点は一つの問題点であつたのでありますが、世界的な経済情勢から申しまして、将来の価格変動の見通しはまだちよつとはつきりしていない、価格が本当に世界的に安定したものと見通しがたいという点からいたしまして、一応全部従価税率によつてきめるということにいたしたのであります。  第二点といたしまして成るべく低い関税を採用するようにしようという方針をとつたわけでありまして、我が国といたしましては将来貿易に依存いたしまして経済的に自立しなければならないわけでありまして、それにはITOやGATTなどに加入する必要があるのでありますが、それには従価十割というような贅沢品関税とか、或いは七〇%の自動車の関税であるとか、そういつた高い税率は廃止するという方針をとりまして、税率の最高は一番高いものでも五〇%にしようという方針で参つたのであります。  第三点といたしまして、重要産業等に対しては適当な保護関税を設けるという方針をとつたわけでございまして、我が国の経済自立のために必要な重要産業であるとか、或いは将来発達の見込みのある新興産業などに対しましては、その維持育成というような見地から、必要と考えられる保護関税を設けることにいたしたのであります。  第四点といたしまして、輸入税表の記載を平易化するという方針をとつたのでありまして、現在の関税率は、関税定率表の別表、輸入税表に国定税率を定めているのであります。これが別の法律によつて「ぜい沢品等の輸入税に関する法律」とか、或いは輸入税の従量税率に関する法律、こういつた別の法律によつてこの税率がいろいろ変つているのでありまして、実際に適用される税率というものがどれであるのか、輸入税表を見ただけでは大変わかりにくいということになつておりますので、これを一つにまとめることにいたしたのであります。それから品目の分類を簡單にいたしますとか、或いは用語をできるだけわかりやすくするというように、輸入税表の記載の簡易化を図つたわけでございます。  次に改正案を作成するに当りまして、関税率を定めるのはどういう標準にいたしたがと申しますと、第一点といたしましては、原料品、半製品、全製品という順に従いまして、段階的に税率を高めるというふうにしたのでありまして、勿論原料品は成るべく安く、全製品の方は比較的高い税率にするというふうにいたしたわけでありまして、例えば綿花、羊毛、皮、これは原皮でありますが、それから鉱石、石炭などは無税にいたしております。それから綿花の無税に対しまして、糸は五分乃至一割五分、なめし皮は一割五分、織物が一割乃至二割というふうにいたしたのでございます。  関税率を定める標準の第二点といたしましては、実用品とか生活必需品は成るべく低い税率にいたしました。贅沢品は比較的高い税率にしたわけであります。例えば歯磨、洗濯石鹸は二割にいたしたのでありますが、化粧用石鹸は二割、香水は五割というふうにいたしてございます。  第三点といたしましては、我が国に生産のないもの、或いは生産がありましても、今後供給増加見込みがないというようなものは無税、或いは低い税率にいたしまして、その半面我が国に生産がありまして、これを保護育成する必要があるというものに対しましては、適当な関税率を設ける。例えば桐油、これは我が国において生産がございませんので無税とする。それから牛の脂、牛脂は我が国に余り生産がありませんので、これは五分にする。これに対しましてソーダ灰は二割五分、合成樹脂は二割から三割というふうにいたしてございます。    〔委員長代理高瀬荘太郎君退席、理事古池信三君委員長席に着く〕  第四点といたしましては、農産物に対しましては食糧価格というものが非常にフラクチエーシヨンがあるのですが、又は我が国の農業が零細農業であつて、外国の機械農業というようなものと又別個の性質を持つているという点に鑑みまして、これは関税による保護を必要とするというふうに考えるものでございます。多面余り高い税率をかけますと、消費者が非常に困るというような点も考慮いたしまして、その税率を適当に定めるという必要があるのでありまして、又主食につきましては、ここに特別の場合と書いてございますが、これは外国から来る食糧が非常に高くなつて、これ以上輸入税をかけて保護する必要はないというような場合が起りましたそういうときには、免税をするというふうにいたして案を立てておるのでございます。それから税率でございますが、煙草に対しましては三五五%という高い税率になつておりますが、これは專売益金に相当します部分を関税として徴收することになつておるのでありまして、これは例外でありまして、その他はすべて五〇%以下ということにいたしておるのでございます。その税率区分は五〇%、四〇%、三五%、三〇%、二五%、二〇%、一五%、一二・五%、一〇%、七・五%、五%及び無税の十二段階でございまして、ここに一二・五%とか七・五%とか大変半端な税率がございますが、これはどうも権衡上一〇%と五%との間にあるのだが、何とか適当な関税としたいというようなことで権衡上七・五%というものをとるというふうにして、こういつたような七・五%とか一二・五%というような半端な税率が生まれたのでありまして、これは極く少数のものについてだけこういつた半端な税率を盛つておるのでございます。  次に今回の改正案の概要を申しますと、税表に掲げました品目の総数は九百三十二でございまして、そのうち有税品が七百六十一、無税品は百七十一でございます。尤も無税品は非常に大きな項目で掲げてあるのでありますから、輸入される品物が大部分有税だというわけではございませんので、むしろ実際に輸入される場合は無税のほうがずつと多いのでありますが、列べた品目といたしましては無税品がずつと少いというふうになつております。それから有税品のうちで税率一五%のものが二百ありましてこれが最も大いのでありまして、税率二〇%と一五%のものは大体百五十ほどありまして、結局関税といたしましては一〇から一五、二〇というようなところが一番多い、一番普通のものであるということがいえると考えるのでございます。なお個々のものの大体の関税率といたしましてはお手許の資料に大体書いてございますので御覧頂きたいと思つております。簡單でございますがこれにて私の説明は終ります。
  9. 古池信三

    ○理事(古池信三君) 只今政府側から貿易事情その他につきまして説明があつたのでありまするが、引続いて今日参考人として御出頭を願つておりまする三人のおかたの御意見を伺つて、その上で質疑をいたしたらどうかと考えますが、如何でございましよう。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  10. 古池信三

    ○理事(古池信三君) それでは江商株式会社常務取締後の高見さんから御説明を承ることにいたします。
  11. 高見重義

    ○参考人(高見重義君) 私江商の常務高見でございます。輸入促進問題につきまして政府の政策を民間側から概略的に御批判申上げまして、更に現在最も必要な改正的要素を申上げて、そこから私の述べようと思います纎維原料の需給状態というものに説き及んで行きたいと思うのでありまするが、日本貿易促進が、輸出促進のみに力を入れで、輸入というものを相当なおざりにしていた。そのためにこの援助資金による輸入以外は殆んど見るべきものの輸入がなかつたということは、非常に残念であつたのでありまするが、一昨年のローガン構想によつて、いわゆる輸入優先主義ということに方策が変えられて以来、我々は非常に輸入優先主義を期待して待つていたのでありますが、併し事実に現われた政策は、とかく輸出優先主義であります。輸入が非常に等閑に附せられていたということを申上げたいのであります。それは恐らく外貨の保有によつて左右されると思うのでありますが、先ず輸入関係の一番大きな蹉跌は、昨年の二月、三月の輸入の大きな中絶であつた。特にポンド地域よりの輸入超過が約千六百万ポンドぐらいになつたために、非常にあわてて、すべての輸入を中止してしまつたということに大きな日本輸入の蹉跌があつたのであります。  それから次に朝鮮事変が起りまして、七月八月、この二月に亘るところの最も重要な輸入、特に備蓄的な輸入をしなければならない時期におきまして、これが相当なおざりにされておつた。漸く九月に至りましてから輸入外貨相当大幅に殖やしたのでありますが、ときすでに遅く、もう価格は二割、二割上つてしまつたというようなわけで、これも又大きな輸入の蹉跌を来したのであります。爾来政府の方針は、輸入促進ということに大きな力を入れて来たのでありますが、現在から見ますると、我々がこの朝鮮事変勃発後に現在のような多額の外貨を使用いたしましてやつておれば、今日のごとき非常な差迫つた窮屈な輸入は起らないということを、非常に慨嘆に堪えないのでありますが、併し今でも遅くない。今でも遅くないからどんどんやつて行く、あらゆる外貨物資に代えて行くということが絶対必要である。理由といたしましては、この米ソの関係がいよいよ緊迫化して、アメリカは四百十四億ドルの軍事予算を成立せしめ、恐らく今年の下半期からは相当猛烈に、値にかかわらずアメリカは自己の必要な物資を世界市場から買い集めるということがはつきりわかつて来つあるのであります。而もイギリスにおきましても、四十七億ポンドの軍事予算を作つている。この英米ブロックの物資獲得というものが恐らく私はこの下中期頃から猛烈になつて来る。共産地域を排除いたしまして、非共産地域物資の物動配給という本のが、恐らく英米によつて一応計画されているということは想像し得られるのでありまして、この物動計画は、恐らく日本もこの中に入ると思うでありますが、まだ完成せざるうちに、早く日本はできるだけの物を集めるということが必要である。特に日本といたしましては、東南アジア、アフリカ、或いは南米地域というもりに相当輸入資源を期待しております以上、できるだげこの地域輸入を、あらゆる機関を利用いたしまして確保することが、絶対に必要であると私は考えるのであります。政府の所有されるところの外貨は、いわゆる米ドルでありまするが、この米ドルの価値というものも私は相当考えて行かなければならんのじやないか。曾て敗戰直後におきましてはポンボが弱り、米ドルのみ王座を占めていたのでありますが、最近の情勢はややもすれば米ドルの価値というものが漸次下落して来る。折角持つたこの宝が恐らく価値が少しずつ減つて来るのではないかというような気がするのであります。で、この徴候は最近のポンド・ブロックからの売買状況を見ますと、ポンド・ブロックは一時はドル不足に弱つていたのでありますが、最近は相当ドルを獲得した。而もそのドル資金を何に使うかというと、アメリカから大体物が入つて来ない。アメリカは買うばかりである。そういたしますると、このポンドのほうを持つたほうがいいのじやないかというような気配が少しずつ見えて来つつあるのでありまして、この点はこれは相当政府当局は考えなければならんのじやないかということを感ずるのであります。従つてこの二つの理由によりまして、できるだけドルというものを奔放に使つて行くということが絶対に必要でありまして、特に先ほど通商局長から説明がありましたオープンアカウント地域とか、或いは非協定地域というような地域からの物資の獲得というものは、極力これは自由ドルというものを使つて行く。むしろドルの借金をしてまで使つて行くということが一番いい方法である。且つ又このオープンアカウント地域並びに非協定地域におけるところの日本の必要な重要物資というものは相当この地域にあるという現状におきましては、ますますその必要を感ぜざるを得ないのであります。このドルの使用ということが私は現在の輸入促進における最も必要な要素であると考えているのであります。その他いろいろな條項が政府によつて計画されているのでありますが、現在におきましてはこのドルの使用、それからこの使用の方法を極力緩和して行くという二点にあると私は思うのであります。特にこの我々が考えております纎維原料におきましては一体どうであるか。日本の自立経済達成の上におきまして、一応日本纎維原料というものは約五割の輸入というものが期待されているのでありますが、その原料をどういう工合にして獲得して行くか。恐らく日本纎維原料の大部分は綿花であると思うのでありますが、その次には羊毛ぐらいでありますが、その綿花を使つた綿布というものが七割、八割ぐらいを占めているのでありますが、私はこの綿花の輸入相当大きな注意を起して行かなければならん。この綿花は、現在アメリカにおきましては最近発表されました物価並びに賃金の凍結令というものによりまして、綿花の価格というものは或る程度まで統制されて行く。恐らくすべての食糧、又製品はこの凍結令によつて或る程度の統制をされて行くということが一応想定されておりまして、最初におきましてはアメリカの物価政策は綿製品のみでなく原料、それから農産物については、価格統制はやらないというふうに我々は了解しておつたのでありますが、最近の情報によりますと、どうやらこれもおかしくなつて来た。従つて現在棉花の取引所も閉鎖しております。ただ今後の綿花の供給が、そういう或る釘付けされた価格によつて日本に出されるかどうかということも我々は疑問を持つております。且つ又この数量がどのくらい入つて来るかということに大きな危惧の念を我々は持つているのであります。現在の日本の綿花の需要数量は本年度は米棉が今のところ八十六万三千俵、その他の外地綿が約六十万俵の契約をしているのでありまして、今後米綿はもう入つて来ないかと申しますと最近の情報によりますと、アメリカの昨年の産額が九百八十八万俵になつていたのでありますが、これが相場の上騰によりまして俵の目方を減らして、俵を殖やして行く。一俵の目方を減らして俵の数を増やすというようなことをやりまして、同じ目方でありましても、俵の数だけが相当殖えて行くというようなわけであります。恐らく七、八十万俵というものは殖えるのじやないかというような気がするのでありますが、これは勿論私の推定でありますが、そうしますと恐らく日本に対しては約二割くれる。若し七十万俵殖えますと、十四、五万俵は新らしく四月以降の積出として割当てられて来ると思います。そういたしますと、百万俵の綿が入つて来る。その他の外地から約六十万俵綿が入つて来ますので、一応は日本纎維原料としては大体所期の目的を達成できると思います。併し将来はどうなるかと申しますと、今日本の自立経済その他又これからの鉄鋼その他の機械、金属などの資源ということを想定いたしますと、どうしても纎維というものの比重を大きくして行かなければならん。現在の自立経済では約五割の纎維を保つておりますが、将来六割、七割を確保することによつて自立経済を維持して行かなければならん。そういたしますとその原料は極力確保して行かなければならんと思いますが、そのためには大体日本では二百万俵見当の綿花が要るということを感ずるのでありまして、そういたしますと米綿の需給状態はどうであるか、今年度の作付は約千六百万俵ということを想定されておりますが、そういたしますと、昨年に比べまして約六百万俵殖えて来るのであります。その六百万俵殖えますと、その割当によつて日本に対する輸出も殖えるのでありますが、私の想像いたしますところによりますと、アメリカの軍備拡張で約二百万俵というものは軍服に使つて行かなければならん。そうしますと千四百万俵、大体この線によりますと日本には百二、三十万俵という綿が入つて来る。これは日米経済協定によつて私は大体確保し得られるのではないかという感じがするのでありますが、他方ポンド・ブロック、或いは南米地域におけるところの綿花がどうなるかということに大きな危惧の念を抱かざるを得ないのであります。このポンド・ブロック即ちエジプト、東亜、パキスタン、インド、或いはビルマ、この地域の綿花というものが漸次この作付を食糧に換えられつあるということが伝えられておるのであります。而もイギリスは大体年間二百万俵使うのでありますが、その中で約二割しかアメリカがくれない、四十万俵しかくれない。日本には相当大量にくれるのでありますが、イギリスには非常に少い。百六十万俵の綿というものはすべて自分のポンド・ブロックから買つて来なければならないということになりまして、勢い日本に対する輸出というものが相当つて来るわけであります。そうして食糧に転作するということによりまして、このポンド・ブロックの綿花の日本に入つて来る量というものが減つて来るということを憂えておるのであります。よほど思い切つた政治力を活用するということが絶対必要であると思います。ただこの綿花に残された唯一の途は南米の綿花であります。ブラジル、アルゼンチンの綿花でありますが、ブラジルには約百二十万俵、アルゼンチンは約百六十万俵の綿花が出るのであります。ところがこれらの地域買付というものが非常にまずい。現在の政府のとられておる綿花買付方針が非常にまずいのであります。折角いいところの市場を持つていながらなかなかこれからうまく買つていない。と申しますのは、この二国は日本といわゆるオープンアカウント協定を結んでおるのであります。日本が何か出さなければ向うも出さない。いわゆる通商貿易の線に乗つておりますので、ブラジルが日本から或いはアルゼンチン日本から買わなければ、日本もブラジルから綿花を買うことができない。而も多少値段アメリカと比較して高いために、ややもすれば遅疑逡巡しまして折角の好機を失つてしまうというこ之は誠に残念であります。これらの地域には先ほど申しましたように、自由ドルヘの転換、最も私は自由ドルを使うに好機である。こういう国々からフリーなドルで以て買付ければ、必ず私は相当の数量を確保できるという気がするのであります。ましてや世界各国、米英自由国家群の物動計画は、ややもすれば日本への配給に不安を来さんとする現状におきましては、今のうちに早く加工原料を確保するということが絶対必要であるということを強調したいのであります。  それから綿花の次に羊毛でありまするが、大体羊毛は濠州羊毛が一応私は日本の主要原料になつている。これはやはりポンド・ブロックとの協定によりまして、大体私は羊毛も三十七万俵、いわゆる南阿羊毛、或いはアルゼンチン、ウルガイ等の羊毛を加算いたしますると、現在におきましては大体確保できる。従来のようにソ連並びに中共が買つております数量も、現在はこれらの地域に対する輸出制限というものがされておりますので、相当私は日本への羊毛というものは大体供給できるような気がするのであります。  それから今度パルプの問題でありますが、先ほど局長のお話に八万トンのパルプが四万トン入つて来た。ただ問題は非常に値段が高い、現在日本パルプ相場の二倍も二倍半も高い。これが果してマッチするや否やということを非常に疑念を持つのでありまして、むしろこういうパルプは国産パルプによつてできるだけ補給して行くということが、最も策を得たものであるということを感ずるのであります。  それから麻は印度のパキスタン、ジユート、それから香港、中国にできますところのラミー、こういうものがあるのでありまするが、大体パキスタンにおきましては年間十二万俵、月に一万俵想定されておるのでありまするが、船腹さえ確保ができますれば、一応麻も足りる。大体香港地域のラミーが、最近中共の輸出禁止というものによりまして、広東には相当品物があるということを聞いておるのでありまするが、香港には出さないということで、今行悩んでおりまするが、いずれにいたしましても、これらの纎維原料日本輸出貿易の最も重要なものであり、又自立経済に非常に役立つところの輸出品であるということを想定いたしますると、極力今のうちに自由ドル外貨を活用いたしまして、一番早い時期に使つて行く。それによつて備蓄或いは民間、いずれの立法を問わず、極力これを確保して行く。私はよく主張しておるのでありまするが、この輸入方式にいろいろ異論がある思うのでありますけれども、現地備蓄をやつてつたらどうか、現在の日本の買入れ方式はCIF或いはFOBとか、いずれにいたしましても、こつちで船舶を持つて取りに行くとか、或いは荷物を向うからこちらへもつて来るといういろいろの條件が付いておるのでありまするが、向うの倉庫に積んでおいたらどうか。この倉庫にとめる保險料とか、或いは倉敷料、或いは金利というものは、今後起るところの物価の値上りというものに対して、相当私はむしろこのほうが安くつくのじやないか。ただ船腹の問題を非常に憂うるのでありまするが、これは日本の定期船とか、いわゆる満載して出すとか、入れるとかというような形態をとりますならば、相当私はいい方法じやないか。ただ各国の最近の輸出禁止というものが非常に話題に上つておりまするので、折角現地に備蓄いたしました重要原料が、輸出禁止というような目に会いますると、元も子もなくなるということになるのでありまするが、それはやはり日本の国際政治力、外地に在外事務所を設置いたしまして、よくその運用を誤らなかつたならば、相当私はこの問題は解決するのじやないかというような気がするのであります。  それから更にこの政府のやつていらつしやいますところに附加えて置きますが、即ち無為替輸入でありまするが、これには無為替輸入がないのでありまするが、従来無為替輸入は、外人商社に日本のマーケットを壟断される、或いは闇の取引も起つて来るというような、いろいろな原因から禁止されていたのでありますが、最近は物を入れるということが先決問題であります以上、多少のいわゆる弊害というものも六日に見て頂きまして、極力物資確保ということに邁進したらどうかというような気がするのであります。その他の点におきましては、大体この輸入促進措置というものは、私は全面的に賛成するのでありまして、一言私の意見を申上げるわけであります。
  12. 古池信三

    ○理事(古池信三君) 次に日本産業協議会の理事仲矢さんに一つ意見を承わりたいと思います。
  13. 仲矢虎夫

    ○参考人(仲矢虎夫君) 日本産業協議会の仲矢でございます。本日の問題は、輸入の問題と、それから関税定率法の改正の問題と二つございますのですが、先ずその中から輸入の問題を先に簡單に申上げたいと思います。御承知のように現在我が国が当面しておりまする問題といたしまして、当面していると言つていいですか、恐れられておる二つの問題といたしましては、インフレの問題と、それから最近新聞紙上で相当やかましく言われております再統制の問題があるのでありますが、この懸念されておるインフレといい、或いは再統制の問題といいましても、結局これは押し詰めて行きますというと、結局原材料輸入が停滞しておるという点に相当大きな原因を来すと思つておるのであります。ところがこの問題に関しましては、勿論我が国として如何ともすることができない外国の何といいますか、軍拡競争に基く買い漁りというような、こちら側としては如何ともしがたい原因もございますが、併し日本としても先ほど来いろいろお話がございましたが、輸入金融の問題、それから輸入方式の問題、それから更に船腹の問題、こういつた点に癌と申しますか、難点が介在しておるように思うのでありまして、従いましてこの問題を解決するということは、煎じ詰めれば輸入金融円滑化、更には船腹の拡充と申しますか手当、それから今一つ輸入方式改善といつたようなことに結局帰着するわけでありまして、これらのことが産業界といたしましては、かねがねから要望されておる次第であります。この輸入金融の問題におきましては、とかくどうも見ておりますと、財政金融当局と申しますか、考え方がどうも支配的で、見ておりますと、いわゆるそれに先行すべき財政金融政策がそれに従つてついて来るべき性質のものである。産業政策といつたものがどうも疎かにされておるといつたような嫌いがあるのでありまして、この点は最も考慮すべき点ではないかと私どもは思つておる次第であります。とかく財政金融当局としては、インフレを防止するといつたような、これは当然のことでありますが、そういう観点から通貨の増発を極度に嫌うという傾向があるわけでありまして、これは勿論当然いわれなくして通貨が増発することを恐れることは当然のことでありますが、併し増発すべき当然の理由があつて増発されるというような場合に、これを恐れる必要は私どもはないと考える次第であります。こう考えて参りますというと、言い換えればインフレの原因といたしまして、通貨が増発されることによつて来るインフレということが專ら考えられておる次第でありますけれども、併し場合によつて物資が逆に不足するということからもこれはインフレの懸念があるわけであります。そういうわけでありますからして、單に通貨面だけでなしに、物資不足を如何にして防止するかということも考えて頂きたいと思うのであります。それから又先ほども申しましたようにこれは通貨量の点から考えましても、輸入促進ということは、結局はこれは時期の問題がありますが、円資金の吸い上げになるわけで、結局はむしろインフレを抑制するというほうに作用することもあるわけでありまして、ただ一時的な問題として若干そういうことが心配されるに過ぎないわけであります。そういう観点からいたしまして、この輸入金融円滑化という点に特に政府並びに関係方面におきまして、一般の考慮をお願いしたいわけでありまして、この点につきましては先ほど関係当局のほうからもスタンプ手形の拡大といつたようなお話もございましたが、若しでき得べくんば工業手形の再割の復活ということも考えて頂きたい次第であります。  次に輸入方式といたしましては先ほど振興局長でございましたか、通商局長でございましたか、お話が通産省のほうからございましたが、あの考え方は、実は先般日産協といたしまして同会員に、輸入除外になつておる事項、それについての希望條項を募りました際にも、先ほどお話があつたような点が縷々述べられておる次第でありますが、今述べられたほかに、外貨予算編成に当りまして、四半期ごとの枠の区切り、これをもう少し六カ月とか、或は場合によつては一年というふうに延ばしてくれるわけに行かんかというような希望も出ておる次第であります。それから自動許可制のお話がございましたが、これも業界のかねがねからの希望でございまして、でき得べくんばもう少し拡大して欲しいということの希望が出ておる次第であります。それから更にこれは細かい点になると思いますが、輸入方式の問題に関連いたしましては、一社当りの割当の制限をもう少し引上げて欲しい、或はでき得べくんば撤廃して欲しいという希望が出ておるわけであります。それからいま一つこれは促進の問題として関係はちよつと外れると思いますが、輸入のクレームに際しまして裁定が、これは敗戰国として止を得ないことかも知れませんが、ややもすれば一方的になる、何とかこれを公平な裁定ができる機関を設置して欲しい、こういう希望が出ておる次第であります。  第三の船腹の問題につきましては、すでに造船或は傭船、或に買船ということについて、種々手は打たれておるようでございますが、これについても更に一段の考慮を願いたいと思うのであります。  お手許に差上げてございます緊急輸入物資の希望表が差上げてございますが、今まで申述べましたことは、大体輸入の一般の問題につきましての希望でございますが、特に緊急輸入の問題につきましても、会員にそれぞれ照会を発しまして、要望を調査したものでございます。ちよつとお断り申して置ぎたいことは、その場合に値段をどう見込むかとか、或は何カ月持つかといつたようなことは、こちら側として別に制限を加えずに、業界の自主的な判断にお委せしまして、要望が出されておる次方でございますから、中には相当長期に亘る希望が出ておる向もあるように見受けられます。ただ輸入の問題につきましては、原則的には民間輸入を希望しておる次第であります。ただ金融の関係、或はリスクその他の関係で、どうしてもそれでは及ばないというところだけを補完する意味において政府輸入も又止むを得ないと、これはそういうふうに大体の意見は一致しておるわけであります。ただその場合におきまして政府輸入は飽くまで補完的な、或は補完的な意味といたしまして、民間輸入に優先する場合においても、民間輸入自身についても、相当これは單に業界だけの利己的な採算というものによるだけのものではございませんから、相当それ自身国家的な重要性を持つ次第でありますから、その民間輸入についても、一般原則のところで申しましたような特別の金融措置といつたような、特例的な方法を講じて頂きたいと思うのであります。それといま一つ輸入物資政府輸入にする場合におきましても、買付の時期であるとか、或は価格或は品質というようなことについて時期を失したり、或は判断を誤らないためには、やはりそこにメーカー、或は貿易業者、関係業者の意見を十分尊重して、独断的にやらないで欲しいという希望を縷々申出ておる次第であります。大体におきまして輸入の問題につきましては、以上に盡きておる次第でございます。  次に関税定率法の問題につきましては、これもお手許にそれぞれの業界から、それぞれの関係物資についての税率の希望をとつて、それをそのまま加工しないで編纂したものを差上げてございますが、その中には生産者としての立場と消費者としての立場が、同じ産業界の中でも矛盾、衝突する場合がありまして、従いましてそれはどちらの意見であるかということを示すために、希望税率のところを、生産者の意見であるか、或は消費者の意見であるか、それを分けてございまして、その矛盾したものがそのまま出ておるわけであります。ただ甚しく矛盾しておる場合におきましては、関係者のお集りを願いまして、その調整に当つた次第でございますが、何分にも最後まで意見が対立したままで終つておるものも相当ございます。これらのものにつきましては、我々といたしましては権力機関でございませんので、無理に多数決できめて、どつちかに片付けるというわけに参りませんので、そのまま参考までに関係方面に提出した次第でありますが、最近この問題につきましては、結論を申しますと、大体におきまして先ほど大蔵省のほうからのお話の、関税定率の改正の基本方針といつたようなものについては、これは至極御尤もなことでございまして、賛成でございます。ただ税率を一律に従価税に今なつておる次第でございますが、これは先ほど御説明もございましたが、一応国際的な通貨価値の安定といつたような情勢が見られる際におきまして、物によつて従量税に変えるということの御説明がございましたが、そういう点をお忘れなく御考慮を願いたいと思う次第であります。その他個々の物資についての税率に関しましては、産業界としましては、必ずしもその一々の税率に全面的に賛成しておるわけではございません。先ほども申しましたように利害が一々違いますので、生産者としての立場と消費者としての立場は、どういうふうに税率をきめましても、そこにどつちに傾いても、最後まで割り切れないものが残るのは、これは当然でございますので、まあ政府としては公平な第三者という高い立場から税率を決定された点につきまして、その御苦心をお察しする次第でございますが、従いまして一々のことにつきましては、必ずしも全面的に賛成であるというふうには申しかねるのでありますが、併し大体におきまして先般関税審議会で御決定になりました答申案の線で、産業界としては賛成でございます。即ち税率の外に、大豆或は船舶、それから砂糖とか原油といつたような現在、先ほども申しましたような理由から、当面非常に急いで入れなければならないような物資についての税率は、暫くその適用を、実施を延期するような希望條項が附されて関税審議会で議論が行われたように伺つておりますので、大体におきまして産業界としましても、関税審議会のその答申案に賛成いたす次第であります。大体私の意見は……。
  14. 古池信三

    ○理事(古池信三君) それじや最後に第一物産株式会社常務取締役の水上さんにお願いいたします。
  15. 水上達三

    ○参考人(水上達三君) 私、第一物産の常務取締役の水上でございます。  輸入促進措置につきましては、前のお二人のお話に私も全面的に賛成でありますので、余り重複しないように簡單に、特に私が強調したい点だけを申述べたいと思います。  大体この輸入促進措置というふりなことが叫ばれるに至つた理由は、申すまでもなく、昨年の初めローガン構想というものがうまく行かなくて、そこに又朝鮮事件というものが起つて、それに対する対策がずれて来たというようなところにあると思います。具体的に申上げますというと、一昨年から昨年の初めにかけまして日本の物価は相当下りまして、海外の相場はむしろ漸騰を続けておりますにもかかわらず、日本の物価は、ローガン構想によつて輸入が非常に豊富になつておるというふうな考え方もありまして、又一方金融的にも大分各事業家が弱つてつたものですから、非常に買控えた、その結果原料の輸入は減るにもかかわらず、海外のほうは日本に対する需要が旺勢で、輸出がどしどしと出て行くというふうなことから、一昨年から去年の夏頃までにかけましては、つまり朝鮮事件の起る頃までにおきましては輸入は減る、輸出は殖えるというふうな傾向を辿つたのであります。そこに朝鮮事件が起きまして、ますますそういう情勢に拍車をかけたというふうな結果になつておるわけであります。併しそれを煎じ詰めますというと、結局いろいろの構想、プランは非常にいいのですけれども、それに対する資金の裏付とか、その他の施策が伴つていないというところに一番の原因があつたと思います。従いまして今ここで輸入促進措置をいろいろ考えるに当りましても、よくその辺を考慮されまして、その一つ一つ措置はみんな結構なんでありますが、相関的といいますか、総合的の施策において、特に政府の各関係庁におかれまして十分な連絡協調を保たれたいことを特に希望する次第であります。大体輸入の隘路といいますと、その輸入のやりかたの問題、船の問題、資金の問題くらいに盡きるのでありますが、方式の問題につきましては、ここに挙げられました程度のことをうまく運用して行きますれば十分だと思うのです。資金の問題につきましては、とかく日銀、大蔵省、その他表向きの政策とは違つたやりかたが窓口では行われておるように感じますので、こういう点を特に是正して頂きたいと思います。  それから何と言つて船腹の問題が、この輸入の一番の障碍になつていると思うのでありますが、御承知のように日本が海外から買付けなければならない物資はすべて大量貨物です。従いまして最近の運賃の値上りによる日本輸入価格の騰貴というものは、これは実に莫大なもので、お手許に政府の資料としてございます海運関係資料の中の、国際運賃市況というので御覧になるとおわかりのように、例えば鉄鉱石なども昨年の四月と今年の一月とでは、運賃が約三倍になつております。而もその原価は、塩にしましても、燐鉱石にしましても、鉄鉱石にしましても、石炭にしましても、皆三、四ドルから十ドルとか、非常に安いものであります。それに対して運賃は十何ドル、二十ドル近く佛わなきやならないというふうな状態になつているのでありまして、最も力を入れなければならない当面の問題は、船腹確保に集中されなければならないと考えておるわけであります。いろいろと方法が講じられているように伺つておりますけれども、通産省、運輸省、それぞれの立場において多少の違いがあるようにも聞いておりますが、この際はとにかく船腹確保して、日本の安い船員を使つてできるだけ、少くとも半分くらい、現在は大体三分の一しか日本の外航船はないわけでありますから、過半くらいになるまでの数量を確保できたら、或る程度日本向けの運賃につきましては日本の運賃というものがそこに出て来るのじやないか。現在では三分の二は外国船に依存している関係もありまして、日本側の運賃市況というものよりも、外国の運賃市況に左右されておる。そこに或いは日本側の船主が多少便乗しているような形もあるやに聞いておりますが、とにかく非常に僅かしか持たないものですから、少くとも過半数乃至は三分の二程度を目標にして是非努力して頂きたい、こう考える次第であります。  それからこの施策のほかに、先に高見さんがちよつと触れましたが、観点をちよつと変えて申上げます。昨年のトルーマン、アトリー会談以来、ソ連圏内に重要物資が流れ込むことを防ぐために、重要物資を国際割当にしよう、つまり自由国家群の物動といいますか、自由国家群が重要物資確保のために国際割当をやろうというふうなことが相談されまして、今それがだんだん運用方向に向いつあるわけでありますが、これに有利に均霑するために、こういう種類の国際協定に参加することは、特に政府側におきまして御盡力願いたいと希望するわけであります。例えば国際小麦協定、これは昨年英国の反対によりまして入れなかつたのでありますが、国際小麦協定に例えば入りますというと現実に安く買えることと、数量の割当確保されるというふうな利便があるわけでありまして、是非そういう点につきましては、我々業者の力ではなかなか行かないものであります。特に政府において御霊力願いたいと思います。それから先ほどの当局の御説明によりますと、本年度の輸入達成率の割合でございますが、これは成るほど初め考えました予定数量に対しましてはあの程度の達成率になるかと思いますが、併し飜つて考えて見ますというと、初めのこれを起案した当時の日本の、或いは国際的な情勢というものと現在とは、そこに大きな隔りがあるわけでありまして、それで達成率が初めの数字に達して、こういう達成率になつているからと言つて、甘んじておられるということは、これは余りに実情を無視した態度ではないかと思うのでありますが、そこでどうかこういう問題につきましては一年を考えずに、大きな問題の起つたたびごとに変えて行くというふうな彈力性を持つて頂きたい。すべて経済の動きは非常に変転極まりないのでありましで、今日のこと、明日のこと、又違わなければならんということがあるわけでありまして、政府におかれましてももう少し弾力性を持つて考えて頂きたい。従いまして先の発表されました数字は、決して満足すべきものではないと思うのです。もつともつと大きくなければいけない。例えば鉄鉱石にいたしましても二百五十万ドルを今年度見まして、来年度三百九十五万ドルを計上されるというふうなことは、何も今ここに突発的に起つた問題ではない、昨年の夏以来起つていなければならない問題だと思う。そういうまあ考え方で、関係方面もありますし、なかなか面倒だと思いますが、是非そういうふうに御霊力願いたいと思います。それからよく五億二千万ドルドルがあるからというふうなことが言われますが、これを洗つて見ますというとそうたくさんでもないように思うのであります。勿論これは活用しなければならないものでありますけれども、例えば信用状での輸出輸入との差額が約二億ドル近くあるのではないかと思うのです。そういうものを差引きますと、大体三億余りそれになると思うのでありますが、ウワーキング・ファンドといいますか、そういうものも必要だと思いますから、そうたくさんではないと思いますが、結局日本貿易は、輸出をするための輸入というふうなところが、日本の国情から言まして本質的な問題になつていると思うのです。従いましてドルを思い切つて使うと同時に、輸入を余りに重視するために輸出を軽視しないということも是非御注意願いたいと思うのです。どうしてそういうことを私が申上げるかといいますと、ボンド・ブロックとの貿易が非常に拙くなるといいますとドルにすぐに換える、ドルのほうがまずくなるとすぐポンド・ブロックに換えるというふうなことが、余り極端に行われて来たという実例が一昨年来あるのであります。今輸入促進措置に大いに霊力することは勿論でありますけれども、輸出も決して軽視してはいけないということを附加えたいのであります。大体重だつたことはこの程度であります。甚だ簡單でございますが……。
  16. 古池信三

    ○理事(古池信三君) 本日参考人として御出席頂きましたかたがたに私から申上げたいと思います。本日は非常にお忙しい中を御出席頂きまして、極めて貴重な御意見、御説明をして頂きましたことを、委員会として厚くお札申上げます。  さて本日の政府当局の説明並びに参考人のかたがたの説明に関しまして、質問がありましたらこの際どうぞ御発言を願いたいと思います。
  17. 松本昇

    ○松本昇君 大分時間が過ぎておりますからちよつと簡單に一つ。私どもは貿易について頗る素人でありますが、大体バイヤーとかセーラーというような者で日本に来ておるところの、いわばブローカー、又は直接に代表者も来ておるようですが、これらによつてなされたところの輸出入の額と、直ちにこちらの商社から海外の商社に電報、その他の普通のビジネスとして取引をしたものとのその比較、量の関係、それから又海外に、政府は最近各所に派出員を出しておりますが、これらがどういう方法を以て事業先の見込その他についての情報を、通産省貿易課に電報、その他の文字によつてどういう通信が行われておるかというようなことを承わることができれば非常に仕合せであります。
  18. 小室恒夫

    説明員(小室恒夫君) かなりお答えするのにむずかしい問題でございますが、存じのよりのところを申上げます。向うからこちらに参つております、昔言つたハイヤー、外国の貿易業者であります。それから又日本からアメリカとかインドとかパキスタンに行つております、向うから言えばバイヤー、こつちの貿易業者、この活動の仕かたというものは多種多様でありまして、なかなかどういう取引を実際やつておるかということを知ることは私非常に困難であります。例えば日本貿易業者であつて、現地に人が行つてつても、大抵はその出張員がすべて商売するのだろうと思います。併しものによつては本社から直接にその国と商売することもあり得る。何パーセントぐらいそういう駐在員、派出した人から商売が行われているか、何パーセントぐらい隔つた土地で商売しておるかということはむずかしいのでありますが、概して言えば、今日ではアメリカならばアメリカの売り手の本社と、日本ならば日本の買い手の本社で、輸入の場合であるならば、直接電報が往復して商売するというようなことがむしろ多いだろうと思います。ただやはり現地に買付けのために專門家を派遣しておるところは、どうしてもいい得意先をつかみ、いい情報をつかみ、早く安くていい物をつかむということになりますので、今日のように各国とも輸入をできるだけ廉価に、迅速に、良質の物をつかむということを努力している場合には、そういう業者をできるだけ外地に派遣して、産地に直結するという傾向になつているかと思います。一時日本貿易態勢がまだこういう平常化を遂げておらなかつた頃、民間貿易の初め頃、日本の業者が外に出られないいろいろな制限がありますので、海外から来たバイヤーが引きずり廻して来た憾がありますが、今日では戰前の状況に復したと見ていいと思います。今日日本の商社、出張員が海外各地に出ておりますが、米国、それから特にパキスタンあたりが多いようです。インドにも出ております。その他かなり広汎な地域に亘つてインドネシヤあたりにも出ておるようであります。勿論そういう商業入国者を許さないところもあります。濠州とかフイリピン、そういうところはまだ認めておりません。一概に申せませんけれども、相当多数の業者が或いは旅行の形で、或いは駐在の形で出ております。それぞれ商売でございますから、商売上の電報は毎日のように本社に送つて来ておりますし、そのことを、参考になる事項は、各社が自発的に役所のほうに出して下さつておるという状況でございます。それから申すまでもないことでありますけれども、政府の在外機関が今日アメリカインド、パキスタン、それからフランス、ベルギー、スエーデン、又その他の所にございまして、又今後続々と設置されることになると思います。すでに設置された所からは、毎日のように電報なり或いは公信という文書、手紙の形で報告が参つております。このほうは自分で商売をやるわけではありませんから、これは商社の情報とは違います。相当一般的な情報を寄せたり、或いは場合によつたら物を買付ける、或いは売るというような問題にも、政府の立場で関與しているというのが実情でありまして、甚だ一般的なお答えになりますが……。
  19. 境野清雄

    ○境野清雄君 今日は厖大な輸入促進措置のお話を聞きまして、実は質問したいのですけれども、時間も遅いから、又明日から個々の問題について質問したいのですが、大体輸入促進は、政府のほうとしましては、先ほど高見さんのお話にありました通り、六、七月頃からの備蓄の時期を逃がしてしまつたので、殆んど今日では、輸入促進計画というものは泥縄式のものを作つておるということは明らかなんであります。大体金融措置にしましても、国内的のものはスタンプ手形を拡大すればそれによつて一応解消する、そんなあいまいな考え方では到底今の輸入促進できるわけはない。先般政務次官のお託によりますと、大体備蓄法というようなものを通す、この備蓄法にしましても、私どもは大変眉唾ものじやないか、言い換えればそういう権限を政府が取上げまして、いわゆる統制方式的に持つてつて、業界人のほうの力がなくなるのじやないかというような点もあるので、備蓄法をもう少し詳しく一つ機会を見て御説明を願いたい。先ほど高見さんのお話で、現地備蓄というようなお話がありましたが、それにしても大体金融措置というようなものは、国内の円資金の不足というようなことが殆ど謳つてなくて、円貸金の措置を講じないで、ただスタンプ手形だけを拡大するというようなことでは、今日の輸入は到底促進できないじやないか。まして今ここにある輸入促進の方法なんかを見ますると、逆に輸出を制限しなければならないというような憂いさえ我々は感ずるのでありまして、こういう点は一つ一段と輸入措置に対してはもう少し急速にやつてもらいたい。文業界の意向を聞いておるかどうかわからないのでありますけれども、例えばこの羊毛というようなものも、この間の新聞紙上を見れば、大体三百十三ペンス、昨年の一月は百十ぺンスぐらいしていたものが三倍からになつておる。又原綿にしましても最近のものは、トルコのもので七十二七ント以上出しておる。パキスタンあたりのものでも六十八セントか七十一セント出しておる。米国物はそれに比して非常に穏当な値段で、四十七せんとから四十八セント、このような状態でありまして、紡績業者としましても、この七十セントというような高いものを買うということには一応の不安があるのじやないか。先ほども高見さんからもお話のありました通り、米綿のこの間の予想收穫というものは千六百万俵ぐらいできるのじやないか、我々にしましても大体そういう面から行きまして、相当業界は高いものを買いまして、そうしてそのものによつて幾分の危險も背負わなければならないのじやないかという点に、相当苦慮しておるように私どもは聞いておるのでありますけれども、そういう点に対しては更に政府は手を打つておらない。業界の意向も更に聞いておらないというような点も相当多い。私どもはこの輸入促進措置というものに懸念があるのでありまして、こういう点は一つ原綿なり或いは原毛なり、或いは人絹、パルプというようなものについても、是非一つ個々の問題では改めて質問は申上げますが、概括的にそういうような面を一つ御考慮願いたい。又もう一つには、先ほど安本からの報告を聞きますと、大体ドル説明しておる。ドル説明されましても、我々は昨年に比較して実際国際物価が非常に値上りしておる今日、どのくらいの数量が増しておるのかというようなことがさつぱり頭に入らない。是非こういうものも昨年と比較した数量的な資料も出して頂きたい。又その他の資料一つ是非安本資料を頂戴したい。先ほど安本のお話を承わると、大体通産省のほうは相当に食い違いのある輸入計画にもなつておるようなんでありまして、そういう点の食い違いの理由というようなものも、又機会を見て質問したいと思うのでありますけれども、いずれにいたしましても、一つ今後若し今御出席の政府委員かたがお手すきがありましたら、明日は纎維の問題をお取上げのようであります。続いて我々の委員会として鉄鋼その他全部取上げたいと思いますから、その際お手すきでしたら出て来て頂きまして、担当局長さん以外にもそういう点について一つでき得れば御説明願いたい、こういうふうにお願いしたいと思うのであります。
  20. 古池信三

    ○理事(古池信三君) ほかに質問或いは意見の御発言はありませんか。参考人のかたも若し政府側に対して何か御質問がございましたら御発言になつても結構です。
  21. 水上達三

    ○参考人(水上達三君) 政府輸入のことでございますが、成るほど政府輸入は私どもとしましては希望しないのでございますが、併し時期により、又場合によりましては、又情勢の変化によりましては必要になつて来るかと思いますが、絶対に反対するのではありませんが、現在の段階においては少くともやらないほうがいいのではないかというような気がするのですが……。
  22. 小室恒夫

    説明員(小室恒夫君) 皆さん毎日の新聞を御覧になつていることに、私から申上げることは別に新らしいことを附け加えることにならないので、甚だ恐縮でありますが、実は本年度までは政府輸入を賄うための貿易特別会計というものがございまして、これは来年度以降なくなるわけであります。本来日本の経済が平常化して参りまして、貿易態勢も民間貿易一本で行くというのが一応の傾向であつたのでありますが、朝鮮事変以来様子がちよつと変りまして、止むを得ない場合には或る小さな枠の中で政府貿易をやらなければならんのではないかということになりまして、今日緊要物資輸入特別会計などと一応呼んでおりますそういう会計で、二十五億円程度の会計を以て回転基金で賄い得る範囲のもので特別のものを政府輸入しよう。これは特殊の原料であるとか、外国が輸出統制をした物資で、政府が乗り出して買わないと埓が明かないもの、相手国が政府輸出なつていて、こつちも政府が受けて立つたほうがよい、そういう特殊なものを拾つて政府で例外的にやろう。枠も二十五億円で回転させる程度でいいということで参つたのでありますが、参考人のかたがたがいろいろおつしやつているような国際情勢の変化というものに対して、もつと備蓄というようなことを考慮に入れて、直ぐどの程度のものを備蓄するかは別といたしまして、来年度中には相当思い切つた措置もしなければならんのではないか。備蓄の方法に応じるような態勢にしたらよいじやないかという意見も中には出て来ているのであります。どの程度の枠で備蓄するか、又備蓄の対象になる物資或いはその買いかた民間備蓄と政府備蓄の関係、そういうようなことは目下政府部内で検討しているわけでありまして、私の口からどうこう申上げることもできませんし、又きまつていないのであります。何ら御説明にならんと思いますが……。
  23. 古池信三

    ○理事(古池信三君) ほかに御発言はございませんか。それでは本日の会議はこれを以て終ることにいたしたいと思いますが、最後に重ねて参考人のかたに厚くお札を申上げます。これを以て散会いたします。    午後四時四十八分散会  出席者は左の通り。    理事            結城 安次君            古池 信三君    委員            上原 正吉君            小野 義夫君            重宗 雄三君            松本  昇君            下條 恭兵君            加藤 正人君            高瀬荘太郎君            駒井 藤平君            境野 清雄君            西田 隆男君   政府委員    通商産業省通商    局長      黄田多喜夫君    通商産業省通商    振興局長    岡部 邦生君    経済安定本部貿    易局次長    松尾 金藏君   事務局側    常任委員会專門    員       山本友太郎君    常任委員会專門    員       林  誠一君    常任委員会專門    員       小田橋貞壽君   説明員    大蔵省主税局税    関部調査統計課    長       藤田  茂君    通商産業省通商   局通商政策課長  小室 恒夫君   参考人    江商株式会社常    務取締役    高見 重義君    日本産業協議会    理事      仲矢 虎夫君    第一物産株式会    社常務取締役  水上 達三君