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1951-08-09 第10回国会 参議院 通商産業委員会 閉会後第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年八月九日(木曜日)    午後一時三十一分開会   —————————————   本日の会議に付した事件 ○通商及び産業一般に関する調査の件  (報告書に関する件)  (繊維に関する件)   —————————————
  2. 廣瀬與兵衞

    理事廣瀬與兵衞君) 只今より委員会を開きます。  本日は公報にお知らせいたしました通り、最初に先般関西、中国、四国方面に派遣いたしました結城、栗山両委員報告を承わるはずでありますが、両氏とも所用あつてまだ見えておらないようでありますから、次の機会に報告を求めることにいたしましたら如何でしよう。御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 廣瀬與兵衞

    理事廣瀬與兵衞君) ではさよういたします。   —————————————
  4. 廣瀬與兵衞

    理事廣瀬與兵衞君) 次に通商及び産業一般に関する調査議題といたします。この調査は前国会から引続き行なつているのでありますが、近く第十一臨時国会が開催されるにつきましては、これが報告書を提出しなければならんと思うのであります。この報告書等についても、今までの調査並びに本日の議事を適当に取まとめて報告することをこれ又委員長に御一任願いたいと存じます。如何ですか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 廣瀬與兵衞

    理事廣瀬與兵衞君) 御異議ないと認めます。   —————————————
  6. 廣瀬與兵衞

    理事廣瀬與兵衞君) それではこの通商及び産業一般に関する調査の一環として、繊維に関する件を議題といたします。最近における繊維品価格暴落は実に著しいもので、一部のものは大正九年の暴落に匹敵するものであると言つております。我が国経済のうちに占める繊維工業重要性を考えますと、この暴落は等閑に附しがたいものであると思うのであります。元来輸出産業でありますから、国際競争に堪え得るような価格でなければならんのは勿論でございますが、現在の位置はそれまで下つていないのかどうか、又価格の動揺がこのように著しいことは輸出に支障を与え、生産に悪影響を与えはしないか。その他種々の問題が累積しているのでありますが、これらの点について業者かたがた説明を承わり、その上でこれが対策に触れて見たいと思うのであります。業者皆様にはお暑いところを当委員会ためにおいで下さいまして誠に有難う存じました。多数の御出席を煩わしましたがお暑い折からでもあり、且つ御発言のかたがたも多いので、恐縮でございますが、御説明は成るべく簡単に、できれば五分間ぐらいに要点を尽されるようお願いいたしたいのでございます。そして議員からの質問もあるでしようし、対策を論議する時間も欲しいので、さよう御了承願います。現在政府のかたはまだ来ておりませんが、いずれ参りましたら申上げます。それでは日本繊維協議会奥理事長さんからお願いいたします。
  7. 奥正助

    参考人奥正助君) では私繊維協議会の奥でございますが、皆さんの先陣を承わりまして、公述申上げたいと思います。  今日は我々繊維関係の問題を本委員会で取上げて頂きまして、不況打開の何らかの措置を講じようという大変御親切な皆様のお取計らいに対しましては、厚くお礼を申上げます。只今お話がございましたように、昨今の繊維業界不況は、大正九年のあの暴落当時の大きなシヨツクがありましたが、それにも増す実は実勢を持つておる悪い状態を呈しておると思います。いずれ詳しいことは幸い各繊維別に最も有力な代表者のかたがおいでになりますので、そのかたがたから具体的なお話があると思いますので、私は御遠慮申上げまして、ただ一言私から申上げたいのは、この不況に対する政府態度と申しますか、政府のお取計らいがどうも我々には納得が行かん点を申上げたいと思うのであります。  御承知通り朝鮮事変が勃発する前、いわゆる一昨年には例の経済九原則、又引続いてはドツジ・ラインが強硬に実施されまして、闇とインフレはようやく或る程度撲滅されましたけれども、全産業自体は、政府デイス・インフレ政策を目標としておりましたけれども、逆にデフレ傾向を帯びまして産業が整頓される一面、むしろ不況をかこつような状態になつてつたのであります。ところが昨年の六月朝鮮事変が勃発いたしまして、内外の情勢は一変いたしまして各産業は勿論のこと、我々繊維業界も蘇生の思いをいたして実は喜んでおつたような次第でございますが、朝鮮事変の進行と共に昨年末項から第三次世界大戦というところまでは行きませんが、何となく重い気分戦争気構えといつたような空気が非常に濃厚になつて参つたのであります。そういう関係各国はいわゆる備蓄用意といいますか、そういうような情勢が段々進んで参りまして日本でも世界物価が段々上つて来るにつれて、このままでじつとしておつてはいかん、幸い当時外貨資金があるので、早くこの際何らか手当をして置く必要があるのじやないかというような情勢になりまして、民間でも勿論そう考えておつたのでありまするが、政府が率先されまして、早く一つこの外貨資金を使つて要るものを早く輸入しようじやないかというふうにされたのであります。ところが本年に入りまして段々その戦争気構えといつたよりな気が薄らいで参つたのでありまするが、今年の三月頃までは今申しましたような情勢がありましたので、物の値段はだんだん上つて行く、政府はこの価格の暴騰を抑制するという態度に出られましたけれども、実際は御承知通り米綿なんかは、米綿はこれは米国抑制政策で或る程度でとどまりましたけれども、その他の綿花市場綿花価格というものは七十セントから八十セントまで行くといつたような状態、又羊毛のごときは三百二十ペンスまでも暴騰するというような恰好になりましたので、それを原料とする日本製品自然高値になつて来るというのはこれは止むを得ざる現象でありまして、それを当時の政府態度は、如何にも業者欲張つて値段を無理に吊り上げているといつたような見方があつたように我々は受け取つておるのであります。併し実際はそうではなくていわゆる世界情勢従つて物値段が上つておるのであつて抑制政策政府がとられたのに対して、業界としては或る程度自粛態度をとつて、無理な値上げをしないようにいろいろ申し合せもして来たくらいなんであります。決して業者自体が勝手な真似をしたわけでも何でもないのであります。ところが今申しましたように、戦争空気がだんだん薄らいで参りますと共に朝鮮事変もいわゆる停戦協定を結ぶというような段階になりまして、世界情勢は一変したのでありまするが、こういうような情勢になれば物の値下りはこれは当然でありまして、落付くところに落付くのでありますけれども、その当時の政府態度を見ますというと、繊維製品値下りは誠に喜ばしい結果である、或いはあれだけの高い値段を出したのは業者が勝手な真似をしたのであつて、この値下り一つのお灸であるというような政府お話もあつたのでありまして、一にも二にもこれは業者の罪だというふうな解釈で、この未曾有不況に対しても政府としては何らの手を打たれないのであります。そこで、我々としては成るべく政府にお世話にならず、いわゆる業者自体でこの不況を打開しなければならんというので、いろいろ工夫を重ねて参つたのでありまするが、どうもこの値下りは必要以上に値段が下つて来た。その原因はどこにあるかというと、まあ失礼な言い方だけれども、政府態度によるところが非常に多かつたのじやないかと、こう私どもは考えておる次第であります。従つてこういう不況に対しては我々からかれこれお願いするまでもなく、政府自体が率先してこれに対する対策を講ずべきが当然じやないかと、こう考えておるのであります。先般或る会場で私聞いたのでありますが、この世界的不況は、これは完全にソ連の謀略にかかつておるのだということを或る外人の有力者言つてつたという話を聞きましたのですが、それは少し穿ち過ぎた話であつてソ連共産主義資本主義との対立の立場にありますので、この際一つ資本主義の最も悪い面を暴露さして、そうして共産主義との比較を示すという意味で、或る程度戦争気分を濃厚にして、それによつていわゆる資本主義の崩壊というものを目指したという話を聞いておりましたが、私はこれはその真偽は別といたしまして、結果はまさにそうなつておると思うのであります。こういうような情勢になつて民間で始末をしろと言つても到底今では民間の手には負えないような状態になつておりますので、幸い本日参議院の通産委員会でこの問題を取上げて、何らかの対策を講じてやろうというお話を承わりましたので、大変私は結構なことだと考えております。どうかこの問題を取上げて頂きまして、もう時期も相当切迫しておりますので、議論でなしに、一ついい対策を直ちに実行に移して頂くということを特にお願い申上げまして、あとの具体的な話につきましては、各関係代表者のかたからお話し願うことにいたしたいと思います。
  8. 廣瀬與兵衞

    理事廣瀬與兵衞君) 有難うございました。先ほど申上げました、政府からは首藤政務次官並びに記内繊維局長が見えております。御報告を申上げます。  次は新光レイヨンの社長の賀集益蔵さんにお願いいたします。
  9. 賀集益蔵

    参考人賀集益蔵君) 私は化繊協会を代表いたしまして、一言お話を申上げます。  繊維と申しましても、化繊は他の天然繊維と違いまして、特殊性を持つておる次第でございます。と申しますのは、御承知通り化学繊維でございますから、パルプとか苛性ソーダとか、硫黄とかを原料にして造つておるものでございまするが、世界的の大略申しますと、趨勢から考えましたら、一九四五年から一九五〇年を比較をいたしましても、約三倍の増産をしておる次第でございます。これは綿なり羊毛がふんだんにあるアメリカですら、一九四五年から一九五〇年に比較いたしますと、約八億から十二億六千万も殖えておる次第でございます。これは他の天然的に支配される綿とか羊毛とかと違いまして、技術の進歩、改善によつて殖えて来るように次第々々に消費も増強して来るというような建前をとつてこういうふうな増産数字が現われて来た次第でございます。日本におきましても戦後だんだん増産いたしまして、昨年度におきましては、一九四五年といいますか、今から丁度五年前でございますが、それは二千七百万ポンドくらいのが、二億五千二百万ポンド、こういう数字が出て参つておりますが、戦前日本の最高は四億六千四百万ポンドまで生産しておつたのであります。只今のところでは約七〇%ほどのところまでまあ到達した次第でございます。これが今奥さんからお話のように、朝鮮事変を契機といたしまして、非常に暴騰いたしましたのですが、本年の六月以後非常に下落いたしましたので、私は協会を預つておる建前上、どれくらいのストックがあるかと考えて見ましたら、一カ月に人絹が一千百万ポンドの生産に対して、一千九百万ポンドくらいしかストックがございません。スフにいたしまして約二千万ポンド、糸と綿と両方でございますが、これに対しましても約一カ月分に過ぎないストックでございます。それくらいのストックなれば、我々の過去の二十年の経験から見ますれば、今申上げたようなパニックの来るというような、恐慌が来るというような数字ではございません。かたがた世界的な綿の増産ということも影響されておるかも知れませんが、アメリカが綿がたくさんあつてもやはり生産は年々殖えておるというような状況から考えまして、やはり日本金融力に非常に弱いところがあるのじやないか、それがためにどういう影響を受けたかと申しますと、今年の四、五月以来の契約キャンセルというのではありませんが、契約はちやんとしておきながら信用状を送つて来ない。それがためキャンセルと同じような結果が来たという事実が頻頻として起つて来るのでありますが、我々の業者としてはバイヤーに対してそれのコンプレインをいたしますと、向うが言うのには、向う市場は非常に混乱して、あなたのほうから契約したものは契約するたびに下がつて来る。そういう事情であるから我々はバイヤーとして自分の国にインポートした場合に破産するような運命にある。現在ボンベイで非常に化学繊維恐慌を来して市場の混乱したのは、日本が無暗に値下げをして次から次へと値下げをして来たために、向う輸入業者がそれがために破産に瀕したようなことになつたために、市場が非常な恐慌を来したのである。こういう事実から考えて見ると、約束はしたけれども、そういうような日本状態から原因して来る値下りが我々に大きな致命的な打撃を与える以上はまあ信用状を送れない、従つてキャンセルと同じような結果になるというのは当り前じやないか、こういうような事実があるわけでありますが、そういう点を考えますと、金融に対する力が弱かつたため市場が大混乱したということは、全部でないかも知らんけれども、言い得るのではないかと思う。こう考えるのであります。  そこで一体それでは輸出はどれくらいあるのかと申しますと、化学繊維輸出原料面につきまして苛性ソーダ原料である塩の輸入パルプの極く一部の輸入しかございませんですから、その点綿花とよほど趣きを異にしておりまして、輸出をいたしました金額の先ず九〇%は国内へ落ちる、木材が非常に計画を立てて増産されておりますが、将来この増産の暁に輸入パルプが要らないということは或いは困難かも知れませんが、そういう輸入パルプが極く僅かだということになりますと、輸出した金額の九五%までは内地に金が落ちる、これは国際経済貸借の上に非常に有効なものだと私は考えるのであります。昨年の輸出の総額はこれは非常に少いのでありますが、約六千万ドルでございました。併し今年になりますと、すでに六月までに六千五百万ドルに達しておるような次第でありまして、値は非常に下つておりますが、値の下つたため輸出が増進されておるような傾向がありますから、本年は少くとも一億二三千万ドルの輸出ができる。これは円に換算して、三百六十倍すればいいわけでありますが、そういう見込を持つておる次第でございます。そういうところから考えますと、化繊輸出というものは国家経済の上に相当大きな貢献をするものじやなかろうかと思うのでありますが、如何にせんこういうような僅か一カ月くらいのストックに対してああいう暴落を来し、現在においては海外バイヤーズ・マーケツトになりまして、それがために値はますます叩かれるというようなことが起るのでありますが、これに対して我々は政府の当局においても事情をよく申上げ、なお日本銀行のほうへも事情をよく申上げた次第でございますが、これを何か改善する方法がないと、市場が安定しない限りは輸出は非常に叩かれるか、然らずんば伸びない、こういう事実が現われるということは、今回の経験によつて明らかになつた次第であります。  我々の現在の状態を大雑把に申上げますと、右のような次第でございますが、なおこの化繊は昨年の下半期以来相当な成績を挙げ、それによつて設備改善をいたしました関係上、今日の相場から見ますると、国際相場の約九割であります。国際相場より下廻つておるということは八割乃至九割であります、ということははつきり現われておりますので、この点は儲かつた金相当設備改善と増強を図つたということは、我々の産業の先に明るい見通しを付けたものではなかろうか、こう考えるのであります。なお我々といたしましては、相当設備を持つておりますから、将来雑綿あたり輸入するのにステープルフアイバーに替える、これは用途によつて替えるのでありまして、ステープルフアイバーを混用してやつたらどうか、こういう話も出ておる次第でございます。これはただ無暗に使用者に御迷惑をかけるようなやり方をしてもいけないのでありますが、品質は年々向上しておりますから、戦前品質と今日の品質とはよほど異つておりますし、又用途によつて却つてそれが使用者に愛用されるような物ができるのじやないか、こう思つてその方面も考え、それによつて海外からの綿を幾らかでもチェックすれば、国際貸借に貢献することと存じております。併しながら消費者に御迷惑をかけないという点には十分考慮を払うつもりでやつておる次第でございます。  それからちよつと蛇足でございますけれども、これをちよつとお願いしたいのでございますが、我々のほうでは合成繊維というのをやつておりますが、只今のところではナイロン系のアミランとビニールをやつておる次第でありますが、こういう新らしい産業はパイオニアにおいても非常な努力と犠牲を払つておる次第でございますが、これに対する市町村税に支払う電気使用税金は是非免除して頂きたいと思うのでありますが、こういう産業は将来日本では非常に有望なものであります。殊に原料的に考えまして、石炭と電気と石灰石でできる仕事で、我が国でも十分その原料を供給できるものでもあり、最も高度の化学工業で、是非我々もこれを発展さすことは国の方針としても結構なことではなかろうかと思うのでありますが、これに対する電気地方税免除を是非お願いしたいと思いますが、首藤次官ちよつと特にこれに御配慮願いたいと思うのです。どうぞよろしく一つお願いいたします。
  10. 廣瀬與兵衞

    理事廣瀬與兵衞君) どうも有難うございました。次に旭化成の取締役堀深さんにお願いいたします。
  11. 堀深

    参考人堀深君) 一般情勢につきましては、只今賀集さんから大体の御説明がありましたから、私からは特に業界金融問題について御説明申上げたいと思います。  御承知のように、三月の例の高値を頂上といたしまして、六月にかけまして殆んど暴落状態を呈しまして、具体的に申しますと、清算取引は約五万円から二万円を割るという半分以下の価格に下りまして、その間殆んど三カ月以上に亘つて国内取引は停止され、海外の注文というものも日本国内相場が安定しないために殆んど中絶するというような商状を呈しまして数字的には只今お話がありましたように、約毎月一千万から千二百万ドルの輸出金額外貨を獲得しておりました化繊も六月までは……。大体どうやら今日まで経過しておりましたが、このままの不安定の状態では、この下半期輸出というものは非常に我々業界に携わつておる者といたしましては危惧しておる点でありまして、その結果、内地相場が次から次と安くなる、そのため輸出の先の契約の物について、LCの未解決、それから引取の拒否、いわゆるキャンセルでありますが、そういうものがまだ数字的にははつきりした線が出ておりませんけれども、相当数字に、昨日の大阪の業界の集まりでは織物だけで約四十億とかいう数字が出ておりますが、そういう工合で先行非常な不安があるのでありまして、結局輸出の不振ということも内地が不安定なために商売ができない。それでこの内地相場を何とかして安定させなければならんというので、六月の下旬から業界は一時的にお互いの負担におきまして操業を或る程度短縮して、一時的にでも市価安定の術策になりはしないか、それから同時に取引の不円滑は結局生産会社問屋、それから機業家、次に織物の取扱いというような段階取引の不円滑を来たしまして、荷物が動かない。そのため生産会社から段階的にできたものが溜つて来るというような事態になりまして、化繊全体といたしまして、日銀に金融的措置を考えてもらいたいという申出をいたしましたが、これは至上命令によりまして、滞貨金融というようなことについては一切相成らんというようなことで、結局七月当初において五十億の融資をしてもらいたいというのが各社のケース・バイ・ケースということになりまして、約半額に近い金融ができたのじやないかと思われますが、これは御承知のように化繊各社といたしましては、この昨年の動乱勃発以来未曾有の高額の配当をやつた所もありますし、収益率資本金の何倍というような収益を挙げましたが、結局利益の半分というものは税金に納める。次の半分というものは終戦後老朽に達した機械の改造改善というようなものに殆んど費やされたために、手持資金というものが殆んどない。それで荷物が多少でも溜つて来れば、さしずめ運転資金に困つて来るというような事態でありまして、不安定なため荷物引取りが、大衆商品が動かないために、各段階が同じような傾向を呈しまして、我々の業界におきましては多少の金融力はできましたが、その下の段階におきましては、銀行筋においても困つているという事実はわかつておりながら結局商社に対する金融というものについては、非常にいわゆるコムマーシヤル・ベースと申しますか、そういう観点からなかなか進捗しない。それからもう一つ下段階機業家段階に至りまして、御承知のように絹人絹機業界というものは非常に代表的な中小工業でありますがこれも融資の対象としてなかなか取上げられないというので、生産会社只今申上げましたように多少の運転資金の融通はつきましたが、それから以下の段階におきましては、我々以上に金融的に逼迫しておるというのが今日の進展状態の現状じやないかと思います。以上であります。
  12. 廣瀬與兵衞

    理事廣瀬與兵衞君) 有難うございました。只今大蔵省銀行局総務課長福田久男さんが見えられました。  次に日本羊毛工業連合会会長吉田初次郎さんにお願いいたします。大分大勢でございますから、時間を短縮してお願いしたいと思います。
  13. 吉田初次郎

    参考人吉田初次郎君) それでは当面しております問題のみにつきまして、成るべく簡単に申上げます。  昨年度羊毛工業は一億八千二百万ドルの外貨資金割当を受けまして、事前割当並びに英領のを込めまして約四十万俵の羊毛輸入したわけでありますが、その中にはあとから申しますところのいわゆる備蓄羊毛の八万俵を含んでおるわけであります。ところが昨年の六月朝鮮動乱が起りまして以来、各国羊毛備蓄ために買煽りましたために、当時の相場標準物の一ポンド百五十ペンスでありましたものがずつと上りまして、今年の三月中旬には同じ品物が三百二、三十ペンスに約倍以上になつたわけであります。ところがそのときから米国の軍需その他一般備蓄品買付方針の変りと共に、又国際情勢の多少の変化が見えましたために、ほかの商品と共に暴落を始めまして、僅か二カ月の間、三カ月といいますか、六月の中旬までにこれが暴落しまして、百七十ペンスという約半分の相場暴落したわけであります。ところが業界におきましては、この羊毛の性質上オークシヨンで買つております関係上、九月に買占めまして今年の三月に大部分の買付を終つたわけであります。丁度高値を境界として日本におきましては外貨資金割当がありませんために、ここで買い終つたわけであります。かようなわけでありますので、業界におきましても四月以来の羊毛製品値段がこれ又非常に暴落しまして、只今では最高値が約四割乃至五割下げたというところまでこれ又暴落を極めたのであります。のみならず八月以来は契約引取りも遅れ、販売もよろしくなくなつたほかに、売上代金も非常に減りまして、ここに現金の勘定が非常な不足を来たしたというわけであります。手持ちの状況を見ますると、数字は避けまするが、大体紡績におきましては、六月末現在に約一月半の製品を持つてつたわけでありますが、七月には引取りと売行きが悪いために現在では約二月分の製品が溜つておるというふうに大体見ておるわけであります。その他問屋手持、機屋の手持、仕上整理屋手持を入れますると、かれこれ四、五百億円の手持があるわけでありますが、勿論この中には常時のローリング・ストツクも含んでおるわけであります。羊毛工業の今直面しております特異性と申しますのは、今の高値羊毛がだんだんと買付を終り積出されまして、その手形ユーザンスがだんだん期限が来つつあるわけであります。手形は約四カ月の手形を組んであるわけでありますが、その支払後更に大体五カ月のユーザンスを見まして、業界はやつておるわけであります。九カ月になりますが、その中の一カ月半というものは運送並びに引取りに要する時でありますので、四カ月でありますが、実際羊毛にするときにおきましては、糸にするまでに四カ月、機にするまでに約三カ月、そのほかに六十日と見ております関係上、かれこれ九カ月、十カ月の期限が要るのでありまして、今の期限を以てしてもなお足らんところへ持つて参りまして、期日に来るものは非常に高値羊毛であり、最高の羊毛が期日が来るわけでありまして、而も売上代金は今非常に下つた値段であるというために、ここに非常なギヤツプが出まして、金融に非常な困難を来たしておる。羊毛暴落によりまして、大体年度末に新らしい羊毛を作ることをしなければならんというような情勢でありまして、たださえその手配に苦しいところへ持つて来て、当面は非常に高値羊毛を買つたわけであります。その結果支払状況を見ますると、ユーザンスの期限の来ますものが八月において百二億、九月において百十八億、十月が百二十五億、十一月が百十七億ありまして、このユーザンスが今の五カ月のスタンプ手形に変つたわけでありますが、その結果羊毛工業全体としての金融が要りますことが、八月におきましては三百七十億、これが九月には四百三十二億に殖え、十月がピークでありまして、これが四百五十四億に殖えるわけであります。十一月に至りましてもなお且つ四百二十五億の金融が要るようなわけになつておりまして、毎月今後高値羊毛の支払いというもの、古い羊毛の支払いのために毎月非常に資金が要るわけでありまして、ここに非常に業界が困つたわけであります。特に申上げたいと思いますことは、昨年の暮から輸出インフレの防止と必要物資の備蓄政府方針の下におきまして、羊毛業界のほうにおきましても国家の政策に協力をいたしまして、羊毛備蓄買付政府に懇請し、政府の非常行政措置の間に合せのため業者の力によつて政府の了解の下に八万俵の羊毛を買つたのであります。この金高は三千五百十万ドルでありまして、丁度邦貨に換算して百二十六億になるわけであります。これを買いますときには、国際情勢の変化によつてはこれを国家に肩替りするか、又は国家の金融を受けるというほぼ了解の下にこれを買つたわけでありまして、その条件といたしましては、通産大臣の指示に従つてこの買付をするという条件付で買つたわけでありまして、その指示といいますものは、この保有期間を昨年の十二月末までは使用してはいかんということ、次には通産省の承認を受けたところの倉庫に搬入してそのリストを通産省に提出する。使用する場合においてはすべて通産省の許可を得るという全く備蓄の目的で以てこの輸入業者の責任において、金融においてやつたわけであります。ところがその後いろいろの事情がありまして、この条件は解消されたわけでありまするが、このため業界といたしましてはこの八万俵の羊毛を最も高いところで以て買つてつて来た。これが只今申上げたような金融の上に非常に大きな支障を来たした原因を作つておるわけでありまして、丁度三月に買いました羊毛は四月に積出しをいたしまして、荷物は五月に着いておるわけでありますが、この四カ月のユーザンスの期限が丁度八月から期限が来るわけでありまして、その結果が八月のユーザンスが百二億、九月が百十八億、十月が百二十五億というように殖えて来ておるわけでありまして、従いまして業界といたしまして結論を申上げますると、こういうふうの情勢一般的に見ても非常に金融の苦しい高値羊毛買付物が到着したほかに、いわゆる備蓄羊毛的の約八万俵の高値羊毛を背負いまして、このため業界といたしましても五、六十億の損害をすでに受けておるわけでありますが、これはともかくといたしましても、少くともこの百二十六億の備蓄羊毛に対しましては政府の特別な措置をお願いしたいと思つておるわけであります。従いまして我々の希望といたしましては、一般的には今後輸入するものに対しましてユーザンスを二カ月延ばして頂くか、又はスタンプを二カ月延ばして頂き、そのほかに今の八万俵の備蓄羊毛的の買付に対しましては、それに加うるに特別の金融措置をお願いしたいというのが業界の希望であります。  なお申上げまするが、輸出のほうにつきましては、最近の下落によりまして日本羊毛製品値段は国際物価の水準、又はその水準以下に下つておるのであります。如何にせん、金融のむずかしいために一部の少数の金融相場投げものが出まして、内地相場が非常に不安定である。業界といたしましては国内物価の安定策を今考究中でありますが、如何せん金融が苦しいために投げものが出て来るというために、海外におきましては相場の先行きを懸念して思い切つた国際物価の如何にかかわらず入つて来ないというわけでありまして、何とかして国内の物価の安定を図るため金融措置を最も必要と思いまして、ここにこの点を皆さんに特にお願い申上げます。
  14. 廣瀬與兵衞

    理事廣瀬與兵衞君) 次は綿スフ機業会の理事長安藤梅吉さんにお願いいたします。成るべく時間を短縮して下さい。
  15. 安藤梅吉

    参考人(安藤梅吉君) 私は綿スフ機業会の理事長の安藤であります。  御承知通り私らの組織しております連合会は全国に六千五百の業者とそれからアウトサイダー、    〔理事廣瀬與兵衞君退席、委員長着席〕  家内工業的のものが約千五百ぐらいあるという現状であります。そこで我我の直面しておりまする現状を簡単に申上げますと、不況というような生やさしい言葉は、蹴り飛ばされまして、現在におきましては恐慌、混乱というような惨状を呈していると申上げましても過言でないと思います。私五十年の綿業生活中、今日のごとき悪質な恐慌に直面したことは曾つてないのであります。先ほど奥さんも言われましたが、大正九年の大変動がありましたが、あの際と比較いたしましても、今日のほうがよはど深刻であり悪質であるということが考えられるのであります。大正九年の場合には御承知通り相当欧洲戦乱の好影響を受けまして業界は恵まれておりました。而もその時代の大蔵省の御方針か、政府の御方針か、とにかく税金というものが相当対象を内輪に見られまして、それから税金を納めておつた従つて相当の資金の蓄積というものを各業者は持つてつたのであります。そこで値下りの損失を補填いたしましても底力があつたために僅か一カ月半か二カ月の回復によりまして、又常道に復したということができましたが、今回は先ほどもどなたかが仰せになりました通り当然の話でありますが、或る程度利益があれば税金は半分取るのだということで搾り取られてしまつておるのであります。こういうことで、あとの利益金というものは政府の御指導によりまして、でき得るだけ生産の合理化、設備改善ということに意を用いまして、殆んど余裕の資金というものはないのであります。そこえ持つて来て今度の暴落に次ぐ暴落の現状におきましては、殆んど前マル公の綿糸十四万円を基礎といたしましたマル公価格の約半分、五割五分ぐらいまで綿織物暴落して来ておるのであります。そこでこの綿織物暴落の原因を申上げますれば、御承知通り統制が停止になりまして、そこで内外共通と申しますか、輸出キャンセル品と称しまして不適品というようなものが無制限に内地に流入せられた、これが一番の最大の原因だと思います。従つて市場に現われました現象を見ましても、この内外共通である広幅物において暴落程度が非常に高いのであります。内地専門の小幅織物に対しましては暴落程度比較的少ない、これから考えましても、輸出キャンセル品が無制限に内地を圧迫したということははつきり断言ができると思います。それから更に又これは不可抗力でありますが、綿花の先安ということも大いに原因をなしていると思います。更にそのほかに我々はずつと前には、やはり統制の解除になつた場合心おいては三品の取引と綿糸の定期というものを開所して頂きたいということをお願いしたときがありました。ところがこの六月十一日大阪におきまして綿糸と三品が立つという一カ月乃至一カ月半ばかり前に二回、三回に亘つて繊維局長の近藤さんのところにお願いに参りまして、今の現状を似てすれば、三品を立てたら必ず市場を圧迫する、相当これはお考えを一つ慎重にして頂きたい、少くも三カ月はこの開所を延して頂きたいということを申上げましたが、先ほどどなたかも言われました通り、どんどん値の下ることを歓迎しておる今日君らのいうことは全然我々として耳をかす要はないというようなことで、蹴倒されてしまつたのであります。そこでいよいよ六月十一日から三品が立ちまして、立つた結果はどうかといいますと、紡績にいたしましても、輸出にいたしましても、綿商連にいたしましても、内地問屋かたがたにいたしましても、生産者の我々機屋にいたしましても、殆んど三品というものを利用しておらないのであります。大部分、我々の見込みは八、九割は株屋であるとか若しくは競輪、競馬に投機心を似て臨むような連中が殆んど利用しておる。従つて差金取引という妙味と申しますか、賭博心と申しますか、こうしたようなことが合いまして、どんどんと綿の先安というようなことや綿糸の増産というようなこととを睨み合せまして、どんどん先売をして行つてしまう。実際これがどんどん暴落して、やはり一方において輸出キャンセルがどんどん内地に流入するということが重り重なつて暴落というようなことに立ち至つたと思います。そこで我々機屋といたしましては、昨年の第四期の割当の量より今年の四——六の第一回の割当の糸は約倍額の糸を繊維局から割当を頂いたのであります。この割当の糸が十四万円の糸を約六万五千梱というものを全国の機屋が頂いたと思います。そこで現状におきましては完全に一梱で五、六万円という欠損があります。欠損がありますが、この欠損をこれを政府に御援助頂きたいとかいうような虫のいいことは申しません。これは全部我々機屋が背負い込んだことが不運だと諦めまして、これは背負つて立つつもりであります。併し現状におきましてはどうしてもこの機屋を或る程度、紡績の輸出品におきましては相当量、一カ月に八、九千万ヤードの賃織りをやつておりますが、この工賃の支払いを殆んど受けることができない。織工の賃金は払わなければならん、消耗品の代金も払わなければならんというようなことで、その日の資金にぼいまくられて止むを得ず内地品の十四万円で買つた綿糸で以てでかした非常に割高な綿布をその日その日の現金に追われまして、実際の相場というものを遥かに二割、三割切りまして、そうしてこれを金に換えて、現金と引き換えに売つて行く、これは僅かな数量でありますが、その僅かな数量がやはり地相場になつてしまつて、そうしてだんだんと業界は混乱に陥つてしまつた、こういうような現状であります。そこで我々といたしましては、先ず差当り我々を是非ここで救い上げて頂きたい。実は先月の二十五日に通産大臣に名古屋へお越し頂き、続いて大阪、京都、神戸へお越しになりまして、名古屋におきましても私らは真に迫る気持を以て御陳情申上げました。更にそれだけでは足りないということから、大阪へ又追つ駈けて参りまして、いろいろお願いをいたしていたのであります。そこで我々を救つて頂きたい。若しくは見殺しにせられるのか救つて頂けるのかはつきり御答弁が頂きたいということを申上げましたが、とにかくお前たち決して見殺しにはしない、できるだけ一つ救済の方法を考えて見よう、こういうような有難いお言葉を頂きましたが、そのときも私ははつきり申上げましたが、とにかくこれは急速にやつて頂きたい、命がなくなつてから如何にカンフル注射を打つても駄目です。まだ脈のあるうちにカンフル注射を打つて頂きたい。これは日数の問題ではない、時間の問題だ。是非一つ早急にカンフル注射を打つてもらいたい。そのカンフル注射は、一にも金だが、二にも三にも十まで金だ。金以外に妙薬はないのだ。そこで我々は厖大な資金をお願いするのじやない。先ず或る程度市場の安定ということを目標にして、我々八千有余の業者全体が救われるという金額は僅かに三十億の金の御融資さえ願えれば結構だ、併し三十億ということを一応書いてあげても恐らくいよいよ実行に移して頂いた場合においては十五億、その半額の十五億でたしかに私は助かると思う。これをただ無抵当で融資がして頂きたいということは申上げん。現在手持をしておる製品並びに原料の綿糸、これを倉庫に放りこみまして、倉荷証券によつて一つ是非金融の途を開いて頂きたい。併し滞貨金融まかりならんという至上命令があるというお話でありますので、我々は滞貨金融でなく、このまま放任せられんか、持つておる製品は投売をせねばならん、それからあとの多数の職工を擁しておる関係上、これはどうしてもあとの綿糸も或る程度操業を続けて行く上において買入れなければならん。その資金が足りないんだということからこれは運転資金一つ融資を願う、こういう意味で結局は十五億で結構だと思いますが、先ず振出しは三十億と振出して頂いて、我々のほうで必らず十五億で食いとめますということでお願いを申上げたのであります。どうかいろいろ今の何を見ましても、そのほかに応急施策はお願いせねばならんと思いますが、先ず第一に業界の安定ということで金融の途を図つて頂くこと、それからその次には、この頃繊維局長殿にもお願いを申上げましたが、内地輸出が共通であつて輸出が出ない場合には内地には無制限に幾らでも増加があるのだというような不安を与えて頂くということはこれが一番悪い。従つてこれは適当に現在の紡績の生産額の分野を数量的にラインをきめて頂いて、輸出はこれくらい、内地はこれくらいと、従つて輸出品として生産をいたしましたものを内地へ流入する場合には、繊維局の許可制にして頂くというようなくらいにして頂いたらばということが考えられるのであります。  更にもう一つお願いしたいことは三品の取引所でありますが、御承知通り綿糸、綿布をやつておりますが、綿布のごとき金巾にいたしましても、細布にいたしましても殆んど数に足らない売買によつてあの相場を付けておるのであります。ああしたものは百害あつて一利なしということは断言できるのであります。従つてあれは直ちに差止めて頂きたいということをお願いする。更に綿糸におきましては、現在六カ月の延べ取引でありますが、これはできるだけ一応業界が安定するまでは三カ月間くらいの期間においての取引を認めて頂く、こういうことに是非御処置が願いたい。  以上であります。いろいろ申上げたいことがございますが、時間の都合でこれぐらいにいたしておきます。
  16. 竹中七郎

    委員長(竹中七郎君) 御苦労様でございました。  次に、立川君。
  17. 立川豊

    参考人(立川豊君) 私のほうは専ら民需品の取扱をいたしまする綿織物の卸問屋の立場から、現在の当面の問題だけを取上げまして御説明を申上げたいと思います。現在この綿業界で一番問題になつておりますのは、輸出キャンセルによりまするところの措置、この問題が本日紡績の代表或いはこの綿スフの輸出の代表のかたの御列席がないようでありますが、途中の段階で御説明を申上げるようでちよつと間が切れるような形になりまするが、只今内需生産方面におきまして安藤さんから大体のお話がありましたので、先ず内地市場の安定、要するに市価の安定はどうして得られるかということについて私見を申上げたいと思います。  先ず需給の関係を調べて見ますと、一応八月以降の紡績の生産量というものは大体操減の関係で七月の十六万梱を頂上といたしまして、若干減産に行くのじやないかというふうに私どもは考えております。一応八月以降の生産を月十五万梱、五カ月七十五万梱と見ております。これに対しまして輸出の予想でございまするが、八月以降よほど輸出が好転するものと見ましても、月に八万梱、五カ月四十万梱以上は困難だと思います。これは六月までの輸出実績が約六億ヤールでありますから、これから考えましても、現在の低調な輸出が今後好転いたしましても、時期的な関係によりまして、恐らくこの数字はよほど甘い数字のように考えますが、一応かように考えます。そういたしますと、この紡績生産が内需に転換されるものは約三十五万梱と認められるのでございます。この内訳は縫糸、メリヤス、雑品等のいわゆる糸で処理さるものにつきまして、約月に一万五千梱、五カ月七万五千梱、生産資材、いわゆる工業用の生産資材の一万五千梱、これが七万五千梱、衣料で廻りますものが月三万梱で十五万梱、特需に廻りますものが月一万梱で五万梱、かようにいたしまして、特需を含めて内需が三十五万梱で一応バランスは合つておるのであります。でありまするが、先ほど問題になりました七月末におきますところの輸出キャンセル品の滞貨、並びに八月、九月にキャンセルの予想せられるものが十万梱と推定されております。これも内輪に考えておるのであります。この十万梱というものはいわゆる生産過剰になるわけなのでございます。で今後只今私が申しましたように紡績の生産が月十五万梱くらいに制限を受けますならば、まだしもこの十万梱くらいの滞貨は今後朝鮮におきますところの救済物資に充てるとか、或いは中共貿易の再開とか、これは努力によつてこの辺の滞貨はあえて苦にすることは必要ないと思うのでありまするが、若しも現在六月末を以て計算せられる紡績の据付け錘数、これが五百万錘としますれば、これが更に十一月末頃に相当数の紡績の稼働錘数が殖えるわけであります。そういたしますと、この数字が更に上昇する、こういうことになりますと、もはや綿業界も完全なる生産を更により以上げて行くということは一考を要する問題じやないか、適当な調整を考えなければならない段階にあるのじやないか、かように考えておるのでございます。で、内地問屋は三月以降の価格の約六カ月に亘る暴落を受けまして、かなり苦境に当面いたしております。でありまするが、純内需を取扱いますものは比較的損害は軽微でありますが、六百軒に上る当業者の中の二十数社は皆輸出の兼営でありまして、これらの業者が内需の取扱を占むるパーセンテージは非常に大きい、それをむしろ二十数社、恐らくその四割程度が内需の取扱をなすものと見られるのであります。従いましてこれらの業者の当面しております苦境は絶えずこの内地市場に圧迫を加えまして食い物の用意をいたさなければならん時期になつておりますが、未だにこの準備に掛かれない、市況が不安定で用意ができないというような面に当面いたしております。殊に現在昭和二十六年におきますところの綿製品の民需の供給は大体極く大ざつぱに申しまして国民一人当り三ポンド、八千万国民に対する総量が二億四十万ポンド、これは月五万梱、年六十万梱になる、即ちこれを先ほどの説明と合せまして考え合せますと、民需といたしましては、もはや月に六万梱以上の有効需要は起らない。輸出が十二億といたしますと大体これに十二億の割出と今の内需とを考え合せますと、どうも先ほど申しましたような生産の面に圧迫があるように私ども考えておるのであります。先ほど申しました大阪におきまする輸出商社の問題は、キヤンセル品の値下りのほうを誰が持つかの問題でありまして、この問題は恐らく紡績業者輸出商の間に個々に取りきめられると思うのでありますが、これはよほど生産者と輸出商が互譲の精神を以てこの問題の解決を速かにいたしませんと、大きな障害が起つて来るのじやないかと、非常に不安視されるのでありまして、今日すでに代表が再三出ておりまして、政府の各当局に当つているのでありまするが、まだ完全な結論に達しておらないのであります。この点につきまして、参議院におかれましてもこの問題をお取上げ下さいまして綿の市場の好転は他のすべての繊維に対する好転の材料になるのでございまして、この点特に御協力をお願いいたしたい、かように考えております。
  18. 竹中七郎

    委員長(竹中七郎君) 御苦労さまでございました。  次に東京綿糸スフ商協会の野口小吉郎さん。ちよつとお願いいたしますが、あといろいろ御質問その他ありますから、時間を十分以内に……。
  19. 野口小吉郎

    参考人(野口小吉郎君) 私は東京綿糸スフ糸商協会理事野口でございます。本日会長が不在中でありまするので、私が代理に参りました。  先ほどから縷々機業家、並びに生産業者側からのいろいろのお話がありまして、私は中間の糸商の立場から当面の問題を簡単に申上げまして御参考にいたしたいと思います。実は綿糸スフの統制が約十二年間続きまして、御承知通り七月十九日に停止ということになりまして、以来自由糸として一番最後に取上げられた綿糸でございますけれども、御承知のごとく先ほど機業家側からもお話がございました通り生産取引市場はすでにその前に外れておつて、自由価格として大阪三品で取扱われておつたのであります。我々は七月十九日に外れて、その間に七月までに四——六の四半期を統制されて来まして、約その糸が十五万梱割当てられておつたのでありますけれども、それも四万梱は残つたのでございます。それが自由糸として現在出ているわけでありますけれども、それもいろいろの事情からいたしまして、海外輸出不振、キャンセル問題等もあり、内地の各市場とも低落に低落を重ねまして、自由糸として外れたときは非常な暴落ため手も付けられんという甚だ不況な時代に立ち至つたときに、我々糸商としましては、最も関心を持つて生産会社、糸商、それから機業家に円滑なる配給をやるという機関で我々の従来の立場を堅持して行つたにもかかわらず、且つ生産会社の立場を考えまして、すでに自由糸といたしましても新マル公でありました。旧マル公は八万円でありましたけれども、二十で十四万円の価格で買わされた糸が大体外れて以後大阪におきましても約四万梱以上でございました。東京方面ではその割り少うございましたけれども、さようにして高い糸を買わされ、且つ輸出入ともキヤンセル問題もあり、或いはLCの来ないという問題もありまして、非常なる糸商の立場といたしましては、悲境の立場に立つている現状でありまして、これは恐らく我々業者は一応相場を安定すべく維持している次第でありますけれども、如何せん十四万という価格におきましては、一頃十四万というのは非常に高い価格でありまして、現在アメリカにおきましても、この前の計算でありますけれども、大体アメリカの綿糸二十番単糸に換算しまして十二万、印綿におきましても十一万円くらいが大体相場でありまして、如何に割高で糸を我々業者が買つて紡績にやり、又生産品を機業家に流すという立場におきましても、非常に苦境な立場に立つている次第であります。  さてすべて悪いということはわかつておりますけれども、問題は結局先ほど申上げました通りに、関連性のあるものでありまして、一にこれは我々がこれをどうして相場が下つたかということにつきましては、これは金融相場というような見方をしておりまして、御存じのごとく昨今の資本は、糸商においても或いはメーカーにおきましても、御存じのごとく全部自己資本で賄い得られるものではありませんで、皆融資を仰いでおる折柄でありますので、そういう厖大な金額一つ暴落があつたときには誰がこれを救済するかという問題が差迫りますので、恐らくこれはつぶれるものはつぶれてよろしいという方針であつても、大体の輸出の対象である綿スフなり、或いは国内用の需要から行きましての綿糸の需要替をするものに対しまして、少なくとも政府の御当局の金融対策というものは、本当にすでにもう遅いくらいだろうと我々見ておるのでありまして、今日この委員会で御説明申上げるまでもなく、対策もできておることでございましようけれども、緊急問題であるということをお考え下さいまして、円滑に三者の立場を御了解下さいまして、要は綿糸というものが第一安定すればほかの化繊糸すべてのものが全部安定するというふうに我々は思つておるのでございますから、一日も早くこの対策をして頂きたい、こういうつもりであります。  大体大略はそうでありますけれどもほ先ほどお話がありました通りに、輸出のほうで、今日は輸出のほうでおいでになつておりませんけれども、綿布で現在まで、七月までに内地で転売されておるものが一億ヤードあります。それから七——九で三億ヤード、これは三十八セント平均になつておりますけれども、その中で輸出綿布の滞貨しておるものが約六千万ヤードございます。それから十月先物におきましても一億ヤード、これはまだ予定でございますけれども、そういうような要するに海外市場における契約はできておりますけれども、それが先ほど申上げておる通りに、内地に転売される場合もあつて市場暴落させ、手も付けられん状態にあります。これも昨今非常に緊急問題とされておるのでございましようけれども、大体がケース・バーイ・ケースというので、個々に解決してもらいたいという御当局のお話でありますけれども、我々糸商の立場として生産会社、糸商、それから機業家が円滑に安定して行けるという域に一日も早く達成して頂けるということを念願する次第であります。簡単でありますが……。
  20. 竹中七郎

    委員長(竹中七郎君) 御苦労様でございました。  次に日本人絹織物同業会の副会長であります茂木君にお願いいたします。
  21. 茂木富二

    参考人(茂木富二君) 絹人絹織物関係では、大体小規模の業者が非常に多いのであります。福井、石川等の大規模な所は別といたしまして、全国平均いたしますと、織機の数は大体二十万台と推定いたします。業者の数は一万数千、それに伴ういろいろの関係業者を入れると相当数になるわけでございますが、そこで実はこの春頃には糸の供給量と我々のほうの設備とがマッチいたしておりません関係上、あの糸よこせ大会まで騒ぎをやつて非常な高値で買わざるを得なかつたというような次第で、人絹の五万乃至六万というところまでも買い進まざるを得なかつた。そうしたようなものを今度は売るときになつたら意外な結果に出ておりまして例えばスフの服地のごときがヤール二百七、八円のものを百円乃至それ以下で売る、サツカーのごときが百七、八十円のものを五、六十円まで行かざるを得なかつた。銘仙類にしても二千円のものが千円乃至それ以下だというようなことで、極端な不況に見舞われて、今非常に苦心惨憺いたしております。産地の現況は大体四割程度の操業でございますが、併し中には到底その四割もでき得ないというようなものがある実情である。最近この四大集散地の問屋が相次いで倒産というものがありまして、その不渡手形等の処理に全く産地がかぶつてしまいまして、この処置に今汲々としておるような状況でございまして、このままでは到底四割操業なんということももはや不可能な状態であり、延いてはこの一般の労務者賃金までも支払いが困難であるというような現況に今追い込まれております。このままでおきますというと、その影響は全く勤労大衆にまで及ぶというような現況であります。  そこで、ここで私どもがお願いをしたいと思うのは、何と言つても糸価の安定でございます。ところが先ほど来皆さんからお話の出ておるような現下のごとき金融情勢では到底糸価の安定は望めないのでありまして、先ずこれは集散地は滞貨で、相次いで投売りするというような、投売りを常に交互に競争しておるような有様で実に惨憺たる状況であります。そうしてこの糸価の安定につきましては、かねて生糸に対しては国際絹業の、例のアメリカの大会におきましても、或いは日本における、この初夏の頃でございましたか、日米の会談におきましても、強くこの生糸の価格の安定を叫ばれていたわけでございます。これは決して諸外国のみでなく、我々内地業者としても望むところでございまして、是非ともこれに対するの処置は早急に御配慮が願いたいと共に、生糸のみでなく、この人絹、スフその他の繊維に対しましても是非とも余りに暴騰、暴落等のなきよう糸価の安定策が望ましく思うのであります。それには何と言つて金融を先ず第一に一つ御配慮が願いたい。同時に私どもは先ほど申上げましたような小規模業者が多いのでございますので、業者みずからが自制して生産の調整等をなせばよろしいのでありますけれども、なかなかそうも行きませんで、結局中小業者はやはり組合等の力によりまして適当なる調整を行わねばならんと思つております。それには今の事業者団体法ではいろいろ又行いたいこともこの法に触れるというような関係でできかねておりますので、事業者団体法の適当なる改正を希望してやまないのでございます。又私どもは単にこの生産調節も、織機をあけるのみが調節でないのでありまして、実はこの際に技術的の向上も是非図るということも一方法であろうと思いますので、我々も金融の途を開いて、もう少し落ついてこの技術的向上を図りたいと思つております。ところがこれに対しまして、実は我々の民間の研究ばかりでなく政府におきましても、これの試験所等につきましてもうちよつと力を入れてもらいたい。伺いまするというと、電気試験所が二億四千万円の予算を二十五年には取つておる。或いは地質調査所が一億一千七百万、ところが繊維工業の試験所では二千三百万何がしというような、多分十一カ所かの主なる試験所の中の最下等だと記憶いたしておりますが、こんなようなことでは到底駄目だ。でありますから私どもは先ず我々業者金融の途を開いて、落ついた研究をさせると共にこれに併せて政府のやはり指導機関を是非とも充実いたしまして、この織物の技術向上を図ることが不況打開の第一方策である。又輸出にもこれが十分役立つことと思いますので、これも是非とも御考慮を願いたいと思う次第であります。又余りに安売りばかりすることは必ずしも好結果を得ないのでございまして、例えば羽二重にしても、これを馬鹿安に売ればダンピング税がかけられる。そうして日本では如何に安く売つても、買受ける諸外国の消費者にはちつとも安くないというような結果になるということを考えますというと、これも余りに安く売るばかりでなく、適当なる調整を必要と思うのでございます。輸出方面につきましては前田副会長が今日は来ておりますので、殊に福井等の実情を是非このあとからお聞き取りを願いたいと思います。大体私どもはこの際お願い申上げたいのは、何と言つても当面の金融一ついて特段の御配慮を願うことをお願いいたしまして、簡単に……。
  22. 竹中七郎

    委員長(竹中七郎君) 御苦労さんでした。次に同じく日本人絹織物同業会の副会長の前田君にお願いいたします。
  23. 前田栄雄

    参考人(前田栄雄君) 私前田でございます。  極く最近カラチのほうから入まりした、向うの駐在員のレポートによりますと、向うのほうの日本製品を今日輸入しておりまする、或いは買付しております業者、商社が約五千軒、ところがこの春三月頃以来暴落暴落を重ねて、現在四割ぐらいの価格になつておる。日本のほうから買うごとに製品が安くなる。そうして今まさに倒産しようとしておるような連中が約四割も五割も生じておる。だから日本から物を買うなということが政府に対する大きな運動になりつつあるということがこの間書いてありました。私はこれは非常に恐しいことだと考えておるのでありまするが、今福井のほうで織つておりまする人絹織物の標準品種でありまするところの人絹平地を例にとりましても、内地も今向うに行つておるのと同じでありまして、この春にヤール七十八円まで参りました人絹平地がこの間二十八円まで暴落しておる。現在三十円くらいに落ついておりまするが、やはり四割以下になるというふうなことでありまして、これは政府のほうで非常にこの春のときには、先ほど吉田さんその他からもお話がありましたが、やれ備蓄だの何だのと言つて政府がインフレ抑制のために、或いはその他に備えて輸入しなければならんというふうなことを国策かのごとく宣伝されておる。そうして今下つて来れば、業者は過当投機をやつたのだというふうなことで勝手にしろというふうな態度が見えておる。私どもは非常にこれを憤憾に思つておるわけでありますが、特に今茂木さんからお話ありましたように絹、人絹を織つておる連中の殆んど大部分が中小業者なのでありまするが、今政府のほうでまだまだ下るのだ、そうしていわゆる戦前価格に下るのにはまだまだあるのだ、特に事変以来六割何ぼか日本の物価が上つた。これが元の線まで来なければ融資はしないのだというふうな言い方をしております。併し繊維製品に関してはそれぞれいわゆる国際競争価格、或いはそれ以下に、殆んど特殊のものを除いては今日来ておるのでございまするが、それも十把一束にして、今言つたような日銀或いは大蔵当局の見解が新聞でたびたび披露されますので、我々中小業者に対する地方の金融筋の警戒が非常に厳重でございまして、まだまだ下るのだから貸さない。正当な商手を持つて参りましても、それすら……日本における超一流の商手であれば割つてくれまするが、もういわゆる一流或いは二流というふうな手形は全然割つてくれない。担保の裏付を持つて来なければ割らないというような地方の金融状況であります。従いまして戦前には一カ月乃至一カ月半のいわゆる買いストツクと申しますか、仕掛品をこめての在庫量を以て賄つて来ておるのでございますが、最近などは大体一カ月の消費量の約四割でございまして、我々の部門で、例えば六月に生糸、絹紡、人絹糸、スフ糸、この六月中における消費が一千九十八万ポンドでありますが、我々機業家ストック量は五百二十八方四千、こういうことになつておりまして、約一カ月の消費高の半分に達するか達しない在庫量であります。それすら今言つたように商手を割つてくれないというふうな、つまりべースに乗るとか乗らないというよりも、将来まだまだ先が安いであろうという新聞記事を、或いは金融筋の最高首脳部のその言葉を信じまして、まだまだそれならば商手も危い、特に大阪或いは東京方面の一流商社は、いわゆる輸入で非常に大きな欠損をしておる。何十億という欠損をしておるのだから、きつと手を挙げるに違いない。そんなものを、商手は割られない、こんなことで我々のいわゆる生産金融すらその商手を割つてくれないという現状でございまして、従つて操業を維持するためには市中にいわゆる投売りをしなければならない。こういうことで実にアブノーマルな操業状況を続けておる現状でございますので、先ほど来いろいろな角度から金融が真先だということを言われておるのも、私の方面も今言つたようなことで金融が真先だと思います。こういう点を特に一つお願い申上げたいと思う次第であります。  なお又今ちよつと触れられましたが、協同組合法の改正でございまするが、我々中小業者が、余りにもいわゆる現在の輸出状況比較して生産ちよつとオーバー、プロダクシヨンであるということから、生産を或る程度調節しようということに相成りますると、やはり余りに一地方の局部的では面白くない。いわゆる全国的な一つの連合組織で以て生産割当或いは調節をやろうということになれば独禁法、或いは事業者団体法にひつかかる。又これ以下であれば、もう十分にいわゆる競争価格或いはそれ以下だから、ここらで一つお互いに生産を抑制し、値段も何とかここらで落付けるようにという協定をやれば、これは又ちよつと来いであるというようなことで、我々中小業者はもう寄つて相談しなければならん、寄つて相談したら今のようなことになるということで、どうにも手の打ちようがないというのが現状であります。又最近は新規設備の増設もしませんが、ちよつといい目が見えればやはり新規の増設ということが非常にあるのでございますが、そういうことに対する制限ということも今の事業者団体法或いは独禁法に触れて来る。こういうふうなことで中小企業の協同組合法というものが現存しておりつつ、我々はその枠内において何らいわゆる共同防衛的な措置が講じ得ないという現状であります。而も又同じ中小企業者でありながら、常時百人以上になるというと、どうもそんなものが入つているような組合はいわゆる脱法、合法的な協同組合ではない……。併し我々の方面、福井、石川、いわゆる北陸方面におきましては百人や百五十人、つまり百台や百五十台、或いは二百台の工場は勿論中小工場でありまして、そのものが組合に入り得ないということは、いわゆる共同的な防衛、今言つたような仕事ができ得ないということでありまして、この苦境に我々が自主的に或る程度の調節その他の防衛的な措置を講じろといつても、何らでき得ない現状でありますので、こういう今申上げた独禁法、事業者団体法の緩和措置について特段の御配慮をお願い申上げたいと思います。以上であります。
  24. 竹中七郎

    委員長(竹中七郎君) どうも御苦労様でございました。次に東京麻糸紡績株式会社の社長石崎さんにお願いします。
  25. 石崎石三

    参考人(石崎石三君) 私は麻同業会の会長をしております石崎と申します。大分いろいろの面において論議されましたから要点のみ、いわゆる金融の途さえ講じてもらえば先ず生きられるという、金融の事柄のみ申上げたいと思います。  本年第二・四半期に入り朝鮮動乱景気の中だるみに加え内外の経済界の変化により、一般繊維業界は戦後曾つて見ざる沈滞状態となり、輸入繊維原料の下落、輸出契約品荷渡遂行不能、内地向け製品の売行停滞等の原因にて金融逼迫は一段と深刻となりました。私ども麻紡績業界にても中共の香港よりの輸入苧麻(ラミー)、ベルジユームよりの輸入亜麻(フラツクス)、パキスタンよりの輸入黄麻(ジユート)の八月、九月、十月、十一月中における輸入手形ユーザンス切れの引取資金、各月製造の滞貨処理資金等早急に解決せねばならぬ問題が山積しております。今や一般繊維製品相場も底を突き、物によりては国際価格以下のものもぼつぼつ現われるような状況となりました。この現状をこのまま放置するにおいては我が国繊維業界は全く絶望に陥ることも考えねばなりません。私どもはここに左の件につき極力融資斡旋さることを提唱いたします。  一、麻紡績業者未販売製品に対する融資、亜麻、黄麻製品、計二十一億円。一、輸入亜麻、苧麻、黄麻の輸入手形ユーザンス切れに対する引取資金(麻紡績スタンプ手形を日銀別枠を以て融資すること)、八月より十一月まで各月平均九億五千万円、計三十八億円。附記一、北海道亜麻買受資金十二億は目下亜麻紡績業者より幹事銀行を通し交渉中。一、内地産苧麻の収買資金三億三千万円は苧麻紡績業より農中に交渉中。こういうような金額になつておりますので、かなりいろいろ論議されましたが、先ず金さえ出してもらえばどうにかなりそうでございますので、金の御配慮に与りたいとお願いいたします。
  26. 竹中七郎

    委員長(竹中七郎君) どうも有難うございました。  大体十人のかたがたからいろいろ御説を拝聴いたしましたが、これに対しまして委員かたがたより何かご質問その他がありましたら……。
  27. 境野清雄

    ○境野清雄君 今皆さんからお話を承わつたほうの質問もあるのですが、その先に私のほうとしては、今皆さんのお話になつたものを元にしまして、政府のほうへ先質問したいと思うのです。  大体皆さんのお話を聞いておりましても、金融問題と糸価安定策というものが殆んど重点になつている。併し糸価安定策というものは、金融がつかない限りできないという二段階になつているので、いすれにしても金融問題に一つ乗り出してもらいたい。この金融問題については、どちらにしても今度の繊維恐慌というものに対して政府措置が緩慢だつたということは争えない事実でありまして、従来繊維王国であるとか、日本輸出の五〇%以上を大体繊維で賄わなければなけないというようなことを平素強調しておつた政府としては、非常なこれは措置が緩慢だつたのではないか。こういう点は是非一つ責任を感じて頂きたい。今お話を聞いておりましても、吉田さんのお話羊毛に対する備蓄用の八万俵というようなものは殆んど私は政府に責任があるのではないか、途中で如何ような方策を変えましても、そのものを買付けた当時におては、政府相当裏付けをしなければなぬ問題ではないか。又綿糸に関しましても、十四万俵というようなものを或る程度見方によつては強制割当したのではないか。それはいわゆる四月における二万俵、五六における六万俵ずつの十四万俵というものは、殆どこれは強制的に割当をしておる。四月の七万俵だつたものを五万俵は八万二千円の従来の価格で出し、あとつたものは十四万円というもので一応これは強制的に割当をしておる、前に。戦争が済んだ直後におきましてはこういうものに対して逆な場合が出たので、これは差益金は十二分に政府は取上げてしまつておる。今度暴落したときにこういうものに対して差損金は公然負わない。こういうような点からいいましても、私は今の備蓄羊毛の問題にしても綿糸の強制割当、と言つちや語弊があるかも知れませんが、高いものを買わしておいて、そうして今日の相場は十四万円を唱えておりながら現実の取引は十万五十円前後で、こういうような大きなものは糸商或いは綿スフの機業家が負える数字でない。こういうような点からいたしましても金融措置一つ至急につけて欲しい。政府自体が責任を持つてつけて頂きたい。そうして先ほどどなたかからお話があつたように中小企業の金融ということを考えておるというようなことも……、今日金融が間に合わないということは、私は再度委員会で申上げておるのでありまして、例えば今度の問題にいたしましても、今日は通産大臣が見えないようでありますけれども、通産大臣が大阪に行つての話に、金融措置はよくわかる、金融措置はよくわかるが、この差損金的なものを一体紡績会社が持つのか或いは輸出業者が持つのか、その帰趨がつかなければなかなか金融措置は講ぜられない。こういうことは見ようによれば逃げ口上でありまして、私どもの考えるのは、そういうような帰趨についてまでも一つ政府が骨を折るということが通産行政を預つておるところの通産省当局の本当の行き方じやないか。そういうような一つの難癖、と言つちやおかしいですけれども、難点というようなものまで、それに対して金融措置を講ぜられないということは、親切が足りないのじやないか。特に中小企業に関しまして各新聞に現われております通りに、凋落の羊毛機業地とか或いは福井の方面におきましては家出、夜逃げの悲劇というものが出ておりますので、これは次官にしても大臣にしても新聞で御覧になつておると思う。こういうものをただ対岸の火災視しておる。特に金融引締に対しましても、政府金融引締方針をとることは、それは時と場合によつては結構なことがある。今のように繊維価格が非常に暴落しておる際に、滞貨融資は行わないとか、或いは繊維価格は更に下落するのじやないかとか、特に宣伝的な言辞を以て発表される、これはどうかと思う。特に暴落にこういうような問題が拍車をかけて、徒らに混乱を深めておるということはもう争われん事実です。特に先ほどから繊維業者の皆さんのお話を聞いておりますと、滞貨金融至上命令だというようなお話があつたのでありますが、今日の各新聞でマーカツト声明の金融引締継続というようなことを見ますと、滞貨金融は赤字融資にならない限り行なつてもいいということもあり、要するに滞貨金融至上命令によつて抑えられておるものではなく、そのもの自体がインフレに拍車をかけるとか、或いは従来のような輸出と特需によつて、その線のインフレが起るのじやないかというような 日銀当局の見解に基いてやつてつたときに、これは引締めしろということは、マーカツト局長だけでなく、占領軍としては当り前のことなんでありまして、こういうような状況、発表を見ても、滞貨金融そのものを頭から否定しておるのじやない、こういうようなことが考えられる。又見ようによつては大蔵大臣の権限においてやつてもいいのじやないかというふうに考えられますので、この点に関して今銀行局のほうから来ておられるようなので、政府の見解が……、いわゆるマーカツト声明というような、今日新聞に出ておるこの滞貨融資に対する問題についてどういうふうに大蔵省から出ておるか、その点を先ず第一にお伺いしたいと思います。
  28. 福田久男

    説明員(福田久男君) 銀行局長止むを得ない用件で伺えないので、誠に失礼でありますが、私伺わして頂きました。只今御質問のございました金融関係についてお答え申上げます。最初に繊維関係その他輸入物資等につきまして、当初予想しなかつた事態の変化によりまして価格が非常に暴落して、それが主たる原因となつて輸出滞貨の問題、或いは輸入引取資金といつたような問題が起つて参りましたことは、先ほど来お話のあつた通りであります。それらについては勿論、その当時としては是非そういつた輸入を殖やし、或いは輸出もどんどん殖やすということで増産に努めて参られたわけでありますが、これを金融の立場から考えて見ますと、何分にも金融機関というものは御承知のようにプライベートな機関でございまして、金融を考える場合には赤字になるような金融というようなことは非常に困難な事情にあるということは想像がつく通りでございます。例えば滞貨融資について考えた場合に、滞貨融資といつて漫然と考える場合には、その取引価格を基準としてそれに見合う融資というのがいわゆる滞貨金融の対象と考えられるのが一面の見方であろうと思いますが、まあ滞貨金融をやりますれば、それによりて挺子入れになり、価格が維持できる。企業はそれによつて少くとも当分の間はそのままの姿でやり得ることになるわけでありますが、半面それによつて不健全な内容が金融にはね返つて来るということは、今お話になつたうな線から考えれば当然でございます。ただその際といえども、企業の経営が不必要に金融の面で拘束するということは、これは絶対に避けなければならない点でございますので、先ほど皆さんの中からお話がありましたように、新たなる資金需要という形で所要資金が出て参る。例えば原材料の仕入資金とか、或いはスタンプ手形の切換資金とかいつたような新たな資金需要の形で必要が起つて来る。ただその原因は或いは滞貨的なものに基くかも知れませんけれども、形式的にはそういつた新たな資金需要で起つて来る。その際にその企業の信用力、或いは担保力というものを考える場合に、或いは工場が担保と考えられる場合もありましようし、或いは在庫なり製品なりが担保と考えられる場合もありましようが、その際に担保になるものの見方を、過去における相場というものをとることは、これは政府的な資金でやる場合はとにかくといたしまして、或いは又財政資金によつて特別の措置をするというならば別でありますが、一般民間金融の立場では、そこまではなかなか、困難な事情にあるということが御想像できると思います。  そこでその際に一体どの程度価格を考えたらいいかということが問題になるわけでございます。その際に特に綿などについて問題となつておりますように聞いておる点は、現在の国内価格というものと、それから将来の綿花の豊作がはつきりと見通しがついた場合の将来の価格というものも加味する必要があるだろうという意見もございますようで、いずれにいたしましてもそれらの事情を勘案して、新たな資金の需要に対して、その見合いの担保力を見る場合にはそういつた見方で判断して、新規資金の需要に応ずることが適当ではないかというような思想でございます。従いまして先ほどどなたかおつしやいましたように、新たな資金需要に対して、運転資金として融資を考慮する場合に、その担保力は今申しましたように過去における契約価格とか、そういつたものではなくて、本当の真の時価的なものが一つのめどになりまして、それによつて判断して、個別に資金の需要というもの、融資金額というものが判断されることになろうと思いますが、例えばユーザンスの期限の延長とか、或いはスタンプ手形の一律に期限の延長というような普遍的な措置は、場合によりましては、こう言つては怒られるかも知れませんが、不必要な資金の供給になる可能性もございますので、やはり個別にその企業の資金繰り等から判断いたしまして措置するよりほかにはないのではなかろうかと思います。  それから輸入引取り資金についてかねがね問題もございましたけれども、まだ今後に問題が残つているのもございますが、全体的に見まして、多少弱くはありますけれども、一時のよう非常に恐れられた懸念というものは一応通り越したように私どもも伺つております。問題はあるけれども、何とかめどがつきそうだというのが全体の空気のようでございます。あの場合も全般的な措置は、一般的な措置はとらなかつたのでありますが、個別にケース・バイ・ケースで考慮するというその思想で進んで参りまして、何とか乗切れそうなめどがついたようでございますので、輸出対策の場合におきましても、やはり同じようなことでやり得るのではなかろうかというふうに思つております。先ほど前田さんからお話がございましたが、そういつた資金じやなくて、現に生産を維持するために当然に必要な運転資金である商手の割引も困難だ、非常に銀行が締めているというお話がございましたが、これは個々の場合の具体的な事例についてお話を伺わないと、一般論としてはそれぞれについて特殊な理由があるかも知れませんし、又銀行側にも何かの言い分があるかもわかりませんが、個別の事例を伺つた上でないと私判断に苦しむわけでございますから御了承願いたいと思います。  それからマーカツト会見の結果について何か新聞に出ているが、その真相はどうかというお話でございますが、実はまだ大臣とマーカツト局長との会見の内容については私よく聞いておりませんでしたので、その真相は存じませんが、まあ新聞記事は多少真相と外れている面があるかも知れませんが、以上私申上げました気持で大蔵省はこの問題に対処するということになつておりますので、御了承願いたいと思います。
  29. 境野清雄

    ○境野清雄君 今の大蔵省のお話はあれですが、一応新聞に出ていますので、マーカツト局長と大蔵大臣との会見によつて滞貨金融というものがどういう措置になつているか、或いは変つているかを後刻お調べ願つて報告願いたいと思います。  続いて今皆さんからお話のありましたものを幾つか取上げて通産当局のほうへ質問をしたいのであります。大体先ほど前田さんからカラチの問題がお話があつたようでありますけれども、これはカラチの問題は、同じようにパキスタン或いはインドネシヤ方面でも相当つているのじやないかということは、こういう国々はいわゆる私どもから見ましても新興国であるので、国民に均等の機会を与えようというために、誰にでも貿易を許すというような観点からいつて、さつきのようなお話の五千というような大きな貿易商社ができているというようなふうに考えているのでありまして、そのために信用の薄い業者も貿易商として輸入を行なつて来る。こういうような無責任な業者が非常に多いためキャンセルが起るのじやないか。こういうキヤンセルが起る問題に対しまして、一体損害賠償が起せるだろうかどうかという問題が一つ、それからキャンセルというようなものを輸出信用保険でカバーできるかできないか、この二つの点を一つ通産当局にお伺いしたいと思います。
  30. 首藤新八

    説明員(首藤新八君) 只今のカラチの問題でありまするが、境野委員の指摘されましたように非常に小さい規模の輸入業者が余りにも多くでき過ぎたということ、それから更に過当の思惑をやつた反動が来たことによつて、カラチのほうのキヤンセルが非常に殖えたのじやないかというふうに考えておるのであります。そこでこのキャンセルに対して、このクレームを如何なる方法によつて解決するかということは、現在のところ在外事務所を通じまして個個の交渉はできますけれども、占領下のために表立つて現在のところこれを国際問題として請求できないという憾みがあるのであります。併し近く講和条約もできまするし、在外公館もそれぞれ設置されまするから、その暁には飽くまでもこれを追及いたしたいというふうに考慮しておるのであります。  更に保険の問題でありまするが、現在の保険はそこまでこれを適用するところまでなつておりません。従つて遺憾ながら現在の保険ではこれのカバーができないのでありますが、併し最近の事態に鑑みまして、どうしても保険の範囲を思い切つて拡大いたして、そうしてこういうものも大体保険の対象となるというふうに、入れたいというふうに考えまして、今保険法の改正を企図いたしております。同時に今日まで基金が十五億に過ぎないのでありまするが、今回五十億をこの輸出保険に繰入れまして、そうして保険の適用範囲を大幅に拡大いたしたいという計画を進めていることをこの機会に申上げておきたいと存じます。
  31. 境野清雄

    ○境野清雄君 続いて先ほど皆さんから同じような問題として、事業者団体法と私的独占禁止法の問題があつたのでありまするが、私たちが考えても、今度の暴落というものが大正九年の暴落というものと非常に違つているところは、企業の力が非常に弱いのじやないか、それからもう一つには業者の団結ができないのじやないか、この二つが今度の暴落ということが大正九年と相当つているというふうに考えておるのでありますけれども、業者が団結の力によつて切抜ければ或る程度のものは可能であるというような状態に、私は先ほどからお話も聞いている。それが事業者団体法等で不可能である。先般化繊のほうで操短の協定をやつたら、これも一つの問題になつたというような問題、或いは又私的独占禁止法の六条かで制定してあるような問題があり、輸出組合はできないというようなことが今度の問題に関しても相当な悪条件になつているというようなふうに考えているので、一体事業者団体法なり私的独占禁止法なりに関して政府はどんな対策を今考えているのか。先般来のお話を聞きましても、講和条約が成立しまして、そうして日本が独立国家となつたら、さあ待つていましたというので、事業者団体法や労働基準法、私的独占禁止というものを変えるということは、これはワシントンに対しても空気相当悪いのじやないか、そういう点に対して政府対策或いは所見はどんなものであるか。おわかりだつたらその点をお知らせ願いたいと思うのであります。
  32. 首藤新八

    説明員(首藤新八君) 事業者団体法並びに独禁法が、日本経済の発展に非常に圧迫を加えている、むろん阻害するということは今更議論の余地はないのであります。かような見解から機会あるたびに独占禁止法なり事業者団体法を廃止したいという気持を持つてつたのでありますが、幸い六月でありましたか、リツジウエイ司令官からこの問題について修正する意向があるならば、至急にその意見を提出したらよかろうという勧告がありましたので、爾来今日に至るまで再三再四、どの程度に修正するか、又事業者団体法はむしろ廃止すべきじやないかというようなことで政令委員会、又関係官庁の間で議論を重ねております。ただ只今境野委員お話のように、この際全部をこちらの希望通りに修正することがいいか、或いはそこに多少の段階をこしらえて漸進主義で行くことがいいかというような御意見がありまして、まだ最終的な決定はいたしておりません。なおこの際かような経済の発展を阻害しているような法律は、できる限りその面だけでも緩和いたしたいという考え方の下に、事業者団体法は大体廃止いたしたい、独禁法はできるだけ緩和いたしたいという方針の下に、極く最近のうちに意見がまとまるのじやないかというように考えております。  ここで協同組合の活動の問題でありまするが、いわゆる事業者団体法並びに独禁法に圧迫をされて思うように活動できない、まさにその通りであります。従つてそういう面からもこの二法案の修正なり廃止は、できる限り早く実現することを実は切望いたしておるのでありまするが、一面輸出の問題に対しましては、どうしても強力な輸出組合を構成さして、そうしてその面で或る程度自発的なコントロールができるような措置を講じたいというふうな考え方の下に、この輸出組合の創設に対しましては、政府におきましてもすでに大体の準備が整うておるというのが現状の姿であります。
  33. 境野清雄

    ○境野清雄君 輸出に関しましては輸出価格が非常に低いというような場合は、これはダンピングとして対策が講ぜられるということは、これはもう勿論現在の日本としてはそういうような状況になつておりますが、最近称えられておる新特需、或いは特需というものが、いわゆるコンマーシヤル・べースというようなものを割られておるので、場合によりますと原価を割るような価格でも注文を受けても差支えないというようなふうに私どもは解釈しておる。こういうようなことが日本経済の上から見まして、特需というものと、輸出というものを政府自体は一体別個に考えておるのかどうか。それが若し別個に考えておるというのならその理由をお伺いしたいし、そうでない限り特需というもの、或いは新特需というもので原価採算を割るというようなものが出て来るということに対して政府はどういうお考えを持つておるか、この点をお伺いしたい。
  34. 首藤新八

    説明員(首藤新八君) 輸出並びに特需に対しましてはひとしくコンマーシヤル・ベースで同様に扱つておるのであります。ただ若干異る場合がありますのは、特需という発注によつて特殊な材料を配給する、いわゆる市価よりも非常に安値の原材料を配給し得る場合があるのであります。例えばニツケルにいたしましても、或いは又綿花にいたしましても、特需用として若干の保留を持つておりますから、当初から特需として発注があつた場合は、これらの資材を配給することによつて一般のコストよりも非常に安くなる。従つてそういうものに限りましては、特需として或る程度市価よりも安く受注ができるということになつております。
  35. 境野清雄

    ○境野清雄君 一番先に私が伺いましたこの羊毛備蓄の八万俵とか、或いは高値の綿糸を業者割当てたというような点に対して、一体政府自体はこの責任を感じておるのかどうか。それに対して何らかの方法を……別にこの問題だけでなく、総体的の金融措置というものに対して通産省自体は本当にやつてもらう考えがあるのかどうか、例えば私どもがいつも情ないと思つておるのは、大体通産省というものは業界の味方であり、業界の味方である以上は日銀なり或いは大蔵大臣なりに対して一戦をやるということを聞いて、そういうような問題で通産大臣が窮境に陥るというような問題の起つたのなら、我々は双手を挙げてこれを支援するというようなことはあるのですが、従来過去何カ年間通産大臣が大蔵大臣と衝突をしたとか或いは日銀の総裁と衝突したとかいうような面はさつぱりない。これは言い換えればいつも大蔵省の言いなり、或いは日銀の言いなりということで通産省が処置をしておるので、今日のようなこの繊維暴落による大きな問題を起しておる。これはもう通産省自体が一つ、まあ今日は次官で大臣がおられないので甚だ門違いかも知れませんが、前からおられた次官なんで、是非一つ大臣にもそのことをお伝え願いたい。是非大臣にもう少し肚を締めて頂きまして、そうして大蔵省当局なり或いは日銀ともう少ししつかりやつて頂かないことにはなかなかこういうような問題は解決しない。従来再度に亘つて大蔵委員会がこういうような問題を取上げるのですが、いつもおしまいは尻切れとんぼになる。ただ聞くだけということになりますので、是非その点は業界出身の次官もおられるので、この点十分お考えを直して頂きまして、こういうような金融問題に関しても大蔵省に非常に強硬に申入れをして頂く。例えば昨日あたりの新聞を見ましても、中小企業問題につきましては、中小企業に僅かに五十億の金を出すというようなことでありまして、中小企業総体で五十億ぐらいの金で、これはないよりはいいのでありますけれども、こういうような問題に関してはもう少し一つ御努力を願いたい。特に繊維局長さんは中小企業に対してはエキスパートなので、中小企業の面と繊維の現状、特に絹、人絹のような中小企業は総体の五〇・三%、三台以下というような零細企業であることを十分に繊維局長さんはお知り願いまして、そうして従来の中小企業のいろいろの問題に対することをよく繊維局の繊維行政に当てはめて一つおやり願いたい。私どもとしてはこういうような時期に、たまたま中小企業に明るいあなたが繊維局長になられたことは非常に心強いのじやないかと思いますので、是非この点を十分に進めて頂きたい。特に最後に一つ次官に先ほどの備蓄や綿糸というような問題に対してはどういうような考えを持つておるか、それを一つお伺いしたいと思います。
  36. 首藤新八

    説明員(首藤新八君) 先ほど吉田さんから羊毛備蓄の問題が提案されたのであります。昨年の十月頃でありましたか、日本経済の自立をするためには、あらゆる犠牲を払つて輸入を促進することが前提であるという一致した思想の下に民間の協力を求めたことは事実でありまするし、又同時に備蓄ということを強く取上げまして、一応法案を準備したことも事実であります。従つて当時これは羊毛のみではありません。他の重要商品に対しましても一応備蓄の思想を以ちまして法案を準備いたしたのであります。従つて当時これらの業界に対しましては政府備蓄をするということが強く反映したであろうことも十二分に想像されるのでありますが、その後大蔵省並びに司令部方面といろいろ折衝いたしました結果、到底それは無理であるということが結論付けられまして、その提案を見合したのであります。同時にこの間の事情はそれぞれの業界にはつきり周知できるように原局からそれぞれお知らせしてあるというふうに了解しておるのでありまして、多分羊毛のほうでも政府が買上げる、かように考えて輸入をしたとは我々は考えていないのであります。併しいずれにいたしましても主管庁でありますところの通産省は、かような反動の来た場合、どの省よりも熱意を持つてこれが対策を練らねばならんということもこれ又議論の余地はないのでありまして、政府といたしましてもあらゆる方法を以てこれが安定策に今日まで努力して参つております。  ところが先ほどからの皆さんがたの御意見を承りますと、結論的に全部が金融である、又一応常識的に考えて金融をすることによつて安定するということも考えられまするけれども、今の日本経済はどういう立場に置かれておるか、これは国際経済と遮断された、統制経済の間でありまするならば、金融することによつて安定するという確実な効果を狙い得るのであります。併しながら今日の日本経済は一通り全くの自由でありまするし、国際価格は日々日本経済に反映して参る。そうして、然らば今この金融をすることによつて果して安定するであろうか。これは基本的には綿糸、或いは羊毛それぞれの事情は若干違いまするけれども、これを綿糸について考えた場合、根本的に綿糸の需給関係が今どういう状態にあるか、昨年は米綿が千百万俵という近年稀有の不作であつて、エジプト綿とかアラビヤとか、特に米国綿花がことごとく不作であつた。而もその上に朝鮮事変があり、又アメリカ未曾有の軍拡によるところの厖大な購入があつた。然るに過去一年に亘るところのこの棒上げによりまして大体世界の需用は一段落した。そうして値段が異常に高くなつた値頃に対する警戒、又は購入者の充足、更に今度は朝鮮事変の停戦、或いは又肝心の米綿その他世界的な綿花の大豊作という点を考えた場合に、ここで一時的に金融することは安定するかも知れませんけれども、むしろ安定することによつて、その間に国際相場が漸次下つてつて日本だけ取り残されるような憂いがないかという点に深く思いをいたさなければ相成らんと存ずるのであります。すでに御承知のごとく米綿は本日の発表では千七百三十五万俵、これはまあ今日までの新聞予想の千八百万俵に比較すれば六十五万俵少いので、若干は気分的にはいいのでありますけれども、併しながらその他世界的に綿花がいずれも豊作だ。そうして先ほど申上げましたごとく、当面世界の需要は大体一段落したというような点を考慮いたしますると、国際相場の前途はなおなお下る余地が残されておりはせんか。もう一つ日本の今日までのマル公十四万円がどういう相場であつたか。当時の原価計算によりますると、米綿が五十二セントを基礎といたしまして、十万五千円ならば十二分に採算のとれる価格でありました。併しながら一方輸出のほうが十四万円程度輸出はできる。若しこのマル公によつて厳格なマル公を設定いたしますならば、内地に販売する量がことごとく輸出のほうに廻つて内地の販売量が一〇〇%闇になつてしまうという観点を考慮いたしまして、十四万円という、実はマル公としては未だ曾てない不当と申しましても差支えない高値のマル公を付けてあつたことは、これ又御承知通りであります。従つて政府といたしましては、この程度のマル公を付けておけばかなり内地のほうにも廻るであろう。闇がなくて行けるであろうという実は予想の下に十四万円というマル公を付けたのであります。ところがその不当と思われるマル公の十四万円も実は実際においては全く適用されていない。二十何万円というような不当な価格まで行つたこと、これ又改めて申上げるまでもないのであります。そこでそれはそれといたしましても、現在の米綿価格は大体三十三セントか四セント前後でないかと思うのであります。十四万円のマル公を設定した場合が、十万五千円の原価計算でありますが、それでも五十二セント、八万円のマル公が四十二セントの米綿でありまして、無論雑綿の計算も考慮に入れたのでありまするが、それらの点から現在の三十三セント、四セントということを期待して綿糸の価格を算定いたしますると、現在の相場よりもなお遥かに下げる余地が残されておるというところに帰着するのであります。而も内地紡績の増錘は現在五百七十万錘くらいに達しておりまするが、年末にはおよそ六百万に達して来るであろうという予想も行われまするし、又昨年の今頃は一カ月八万梱乃至九万梱の生産であつたものが、今日では十五万五千、これは少く見ても十五万を割るという予想はつかんのであります。そうしますると、先ほども立川さんからお話がありましたが、輸出八万といたして置きましても、内地に七万以上出る、而も四——六におきまして御承知通り大量の放出をやつたということ、それから更に又内地の需要も今日まで余りにも相場が高いので実需筋は相当買溜めしておるというような点、そうしてこの根本的な需給のバランスが極めて悲観的であるというような点を考慮いたしますると、相当前途は暗いものであるというふうな結論に到達せざるを得ないのであります。  そこでこの状態にあるものに対して相当高値金融をした場合、一時的には安定するかも知れませんけれども、これによつて生産は依然として続けられる、そうして需要が伴わない限り、在庫はますます殖えて来て、次に来るべきものは何か、現在よりも更に大きな在庫が当然処分されなければならんという、今よりももつと深刻な苦境に直面せざるを得ないということに相成つて参るであろうということを我々は虞れるものであります。先ほど大蔵省からお話もありましたが、銀行も営利を目的といたしております。従つて金融をいたしまする以上は、どうしても確実にこれが回収できる、或いは又前途に何らかの希望が持てるというような、何らかのそこに融資するところの根拠がなければ、徒らに政府がこれを金融々々と申しても、そう簡単には金融は行かない。而も実態そのものが極めて悲観な状態にあるというような点に思いをいたした場合、ここでただ金融することだけが、それによつて市況が安定するとは到底我々は考えられないのであります。だからといつて政府は毫末も放任する意思はありません。御承知のごとくあらゆる方法を以て金融の斡旋をいたしております。ただ金融の斡旋の方法がケース・バイ・ケース、個々の金融をやつてもらいたいということになつております。これは見方によりますれば、この辺になつた政府は或る程度援助するのだという声明をすることによつて、ケース・バイ・ケースによる融資よりも遥かに少い金額によつて目的を達しはせんかと……、ケース・バイ・ケースということは言うべくして、個々の金融でありまするから、信用状態が個々に異つておる、容易に金融が進まない。その間に相場暴落してしまう、折角ケース・バイ・ケースと言いながら何ら実効が現れないのじやないか。そうして政府が一律に対策を発表したときよりも遥かに金融額は大きくなるじやないかという見方も実はあるのであります。  もう一つは滞貨に金融しない、これは只今境野委員から、本日の新聞でマーカツト声明が従来と若干異にしている、大蔵大臣に一任して政府からするというような記事がありました。私も昨日の会見の内容はまだ聞いておりませんが、数日前の会見の内容は、依然として滞貨金融は相成らんということを強く要望されたということでありますが、この滞貨金融は相成らんということでありますが、メーカーでありますならば原材料の購入その他のことによつて融資を受ける資格は当然ありませんけれども、サプライヤーか或いは問屋、こういうかたが輸出しようとして引取つた信用状は来ない、滞貨になつた、これが若し金融がつかん場合に一体この不足をどうするかということは非常な問題でありまして、メーカーのほうはケース・バイ・ケースのほうで大体私はつくであろう。時間的な多少ずれはあつても大体つくであろう。ただ問題はこのデイラー或いはサプライヤーのストツクに対するところの金融はどうなるかということにつきましては、相当苦慮いたしておるのでありまして、通産省といたしましても、先ほど吉田さんか安藤さんでありますか、大臣が名古屋或いは大阪において十二分に希望に応じ得るように考慮すると言明されたそうであります。大臣もこの点につきましては深く憂慮いたしましていろいろの対策を現在練りつつありますが、いずれにいたしましても根本的に現在の情勢から見ますれば、金融することのみによつて市況が安定するとは、到底私らは賛成いたしかねるのであります。ただ一時的には安定するかも知れませんけれども、却つてこれがためにその次に来る恐慌を深刻ならしめることは、業界によつてそれぞれ異なりまするけれども、少くとも繊維界の現状ではさように申上げて私は間違いないと考えておるのであります。ただ化繊のほうは最近操短をやつておるとのことであります。どうしても需給のバランスから来ておる相場でありまするから、この需給の調節をせなければ市況の安定ということは期しがたいのであります。従つて化繊のほうで自発的にそれぞれ生産調節されておるこの現在の状態を或る程度続けて行きまするならば、おのずから市況はそこに安定するであろう、又同時にそれによつて海外からの引合も再び活發化するであろうという一つの希望が持てるように相成つて来ると思うのであります。  繊維のほうは未だそこまで行つていないのでありまして、又紡績の面から見ますると、非常に損だと言いますけれども、我々の計算では紡績はそう損ではありません。今の十一万の相場ならば十二分に採算の余地があるのであります。大体十万円乃至十万五千円ならば採算の余地があるのでありまして、それは現在はどういう相場になつておるか知りませんが、大体紡績のほうはまだ十一万という相場には行つていないのじやないか、そうするとまだ採算の余地がある、こう言つても一向差支ないと私は考えておるのであります。従つてこのものに対して操短をせないということも或いはそういう事情によるのではないか、本当に採算が割れまして引合わないという状態になるならば、おのずからそこには操短ということは真剣に考えられて来るのではないかというような考え方も実は我々は持つておるのであります。  さような事情で、皆様がたの御満足するような金融はできないかも知れませんが、少くとも、併し実際問題としてケース・バイ・ケース、これによつて相当金融が進捗をしているということだけはこの際私からはつきり申上げてもいいという状態にあることを申上げておきたいと存じます。  なお最後に先ほど備蓄に関連いたしまして四——六の強制割当という御意見でありますが、御承知通り四——六はまだ統制を継続しておる最中でありまして、一四半期に十五万梱でありましたかの割当をしておる。まだそれまでに繰越が三万なんぼありました関係上、これはそれまでのいわゆる統制方式によるところの各企業家に割当をやつたということは、これは事実でありますが、けだしこれは通産省としましては止むを得ない措置であることは、恐らく業者のかたもその点は十二分に御理解を願つておることと存じておるのであります。
  37. 境野清雄

    ○境野清雄君 今の次官のお話を聞きますと、甚だ残念だと思うのは、繊維業界の現状についてどうも認識不足じやないかと思うのでありまして、金融は講ずるという結論的なことは非常に私は結構なのでありますけれども、その間の御説明によりますと、大体繊維業界は今金融措置を講じても却つてあとで悪くなるのではないかというようなお話でありますが、綿布一つを例にとりましても、綿布の契約高値で三十八セント、そうでないものでも三十三セントくらいのものであつて、現在の価格としては二十五セントくらいのものじやないか、併し如何政府が骨を折つてくれても、或いは業界がどんな努力をしましても、銀行自体がそのものに対して三十三セントや三十八セント貸さないことは、もうこれは火を見るよりも明らかなのでありまして、銀行自体が若しこのものに対して金融するといたしましても、二十セント乃至二十一セントというものきり私は金融をしないというようなことは当り前の問題なのでありまして、そのものを、高い値段のものを金融措置を講じて、そうして業界がオンドルの中に入ろうというようなもう状態ではないのでありまして、業界自体としてはもつと私は深刻な状態ではないか、一つの例を挙げても、綿スフ機業会の安藤さんの先ほどのお話によりましても、大体綿スフ機業会は三十五億乃至三十六億の融資が欲しいのだというようなことでありますけれども、これは私の一人の考えでありますけれども、たまたま三十五億乃至三十六億というようなものであつても、政府がこれに支援して十億なり十五億なりというような金が出たということ自体によつて、私は綿スフ機業界相当この難関を切り抜けられるであろう。羊毛界におきましても或いは絹、人絹界におきましても皆同じような状態ではないか。そこで政府はそのものによりまして前途が不安だからというようなことでなく、現在の金融というものを、勿論現在の相場というものを基準にして是非一つ格段のお骨折りを願いたい。多小繊維界に対する認識の不足の点があるようでありまして、これは今日でなく、又次回の委員会にでも詳細申上げたいと思うのでありますが、どうも少し金融措置に対して認識不足じやないか。そういうようなお話を承わりますと、私どもは通産省の方針として一抹の不安を感ずる。又今のお話ですと、まだ繊維は下落するのじやないかというような考えも起ります。従来政府方針として日本価格が国際物価より余り高過ぎたから、そこで国際物価に鞘寄せしたい、鞘寄せすることによりまして輸出を旺盛にして、日本経済の再建の基盤を作りたい。こういうようなことはこれは尤もな話でありまして、私どももそれには賛意を表するものでありますけれども、逆に私どもは今後通産省に対しまして国際物価の基準よりも、下落した場合におきましては、これを国際物価の水準まで上げるということに対しても通産省は格段のお骨折りを願いたいのだ、こういうふうに思つておるのにもかかわらず、まだ下落するのじやないかというようなお考えを持つていることは、私は以てのほかじやないかと思いますので、この点は又次の委員会にでも詳細申上げて、そうして十分に御納得の行くような御説明を申上げたいと思いますけれども、その点だけは一つ通産次官としてのお考えを改めて頂きたい思うのであります。
  38. 首藤新八

    説明員(首藤新八君) 先ほど私が申上げたのは、若干言い方がまずかつたので誤つてお聞きになつたようでありますが、国際相場よりも甚しく内地相場が下つたというような事態に直面いたしますれば、これは当然より一層積極的な方法を講ずる必要はあると考えております。いわゆるインフレは抑えなければならぬが、併し不当なデフレはどうしても防止しなければならぬ。いわゆるデイス・インフレの線を貫徹いたしたいというのが政府の一貫した考え方であります。が現在のところ国際価格比較しまして市価が甚しく安くなつているかどうか。一部の業者かたがたはすでに相当安くなつているという御意見も承わつておりますが、全体から見た場合そういう状態になつているかどうか、多少まだ我々は自信を持つていないのであります。同時に又国際価格よりも甚しく安値で海外に出すことは、これはダンピングであります。却つて先方で輸入関税を高くして日本品の自殺行為に陥ることは、これは過去の事実が雄弁に立証いたしております。特に現在の占領下の日本、或いは又将来の日本生産コストに対しては世界的に非常な関心を持つておる最中にあるところの状態から考えて、ダンピングは絶対に防止しなければ相成らぬという考え方から、すでに御承知通りチエツク・プライス、輸出の許可制を作りまして、そうしてそれぞれの価格を申告して頂いて、そうして国際価格と睨合わせてそうして許可をするという方針をとつておりますことも、一にかかつてダンピングを防止いたしたいという考え方にほかならぬのであります。かような考え方から、将来国際価格よりも甚しく暴落したということになりますれば、当然又変つた対策はとり得るかと考えますが、今のところ先ほど申上げましたような状態と、更に併しながらできる限りのケース・バイ・ケース、これはどうも表面に現われませんので、どのくらい金融ができたということを申上げかねますが、実際問題としてはそれぞれの分野におきまして熱心に金融機別の斡旋を過去二カ月ばかり続けておるのでありまして、而も今日まで相当金融ができたという実は報告を聞いておるわけであります。  もう一つは、先ほど安藤さんでしたか、大阪の三品の立会を停止したらどうか、或いはこれは株屋であるとか、或いは競馬、競輪のほうの綿糸以外の者が売るからこういうふうな暴落をするのだという結論で、結論的に停止したらどうかというのでありますが、これも我々としては賛成しかねるのであります。成るほど六月の当時には地元のかたから一応延ばしてもらいたいという要請はありました。けれどもそれ以前において一日も早く開場をしてもらいたいという強い要望が幾度か繰返えされましてそうして総司令部に対し通産省としましてはいろいろ了解を求めて、そうして開場期日がきまつたところが、更に強い要望がありましたので、若干の開場期日は延ばす、又当月物でしたか、その立会は中止いたして開場したのであります。結局これは誰が売らなくても大勢がこういう状態にあつた。客観情勢が下がる情勢にあつた従つて株屋が売らなくても誰が売らなくても、相場は下がる運命にあつたのでありまして、株屋なりその他の者が売つたからそのために三品が下がつたとは我々は考えておりません。従つて今日の状態から見まして、三品を停止することによつて市況が安定するとも考えておりません。故にこれを停止しようという御意見に対しては賛成しかねるということを申上げるのであります。
  39. 小野義夫

    ○小野義夫君 金融問題について二、三大蔵当局並びに通産省の諸君に伺いたいのでありますが、第一この滞貨金融をなさずなどということは一種の放言だと私は思うのでありまして、日銀総裁にしても或いは大蔵大臣にしても、かような概括的な論議をするよりも、大体指導ということが一番先に必要である。だから綿糸が馬鹿々々しく高くなるときにおいて買急ぐということは不自然であるから、やがてはこれの反動も来るべきであるから、大いに増産計画においても、或いは滞貨にしても、原料についても慎しむべきだということを、安本その他指導の責任にある通産省は強く業者に要望すべきであるのに、すでにもう傷を持つてしどろもどろの状態において、滞貨金融をなさずというような概括的な論議を宣伝的にやるということは、この業界の或る意味において恐慌を自ら招くような論議であると私は思う。そこで金融の限界というもの、滞貨金融の限界というものを明かにすべきである。例えば先ほどから通産次官がいろいろ言われる中に御尤もの点もあつたのでありますが、要するに金融業者という者は決してフルに金を貸すものではない。もう非常に石橋を叩いて貸すというのが現状であつてこれの悪弊の一端を言うと、曾つて銅は原価十八万円の銅が十二万円に低落した。そのときに盛んに業界金融を訴えたけれども、遂に耳をかさずして、これは犠牲輸出で十二万円見当で相当量を輸出した。そうして今日三十万円になんなんとしてこれを又輸入するというようなふしだらのことがある。又水銀のごときものは百トン、二百トンで何十億という損失をしておる。四十万円程度輸出して、今日は二百何十万のものを輸入しておる。そうであるから滞貨金融というもの原則としてなすべきものである。その程度如何によつてはこれをなさぬというのは、これは例外である。例えば非常に高いものをフルに貸すとか、或いは先々もう非常な暴落をしてとまるところがないというような虞れのあるものに対してそういうようなことをやることは必要でありますけれども、今日商売というものは売れるときに売れるものじやないのです。今日の金融事情は単に高値を頑張つて思惑をしておる結果でなくて、買手がないのです。であるから政府が先ほどおつしやるような十一万、十二万の利益はあるけれども、買手なきを如何せん。だからその間どうしても金融が必要になつておるのだ、だから例えば十万円のところは八万円でも金融をつけてもらわなければならんということになるのでありまして、その程度の問題を滞貨金融に関しては言うのであつて滞貨金融をしないというならば、銀行の目的はないのです。  銀行は何のために存在するか。銀行はそれらの滞貨なり或いは原料なり、或いはその他仕掛品を引当にして貸しておるのが銀行業の本来である。而して我々は金融業者に聞いて見ると、今日預金一兆一千億に対して一兆二千億の金を貸して、オーバーローンをして不健全なる貸し方をしておるというのが市中銀行の状態である。であるが、市中銀行を責める点は私は少いと思う。なぜならば彼らは正当防衛によつて、破産者が出るということは銀行自体の破産を意味しておるのであつて、決して単独に銀行は存在し得ない。業界の健全があつて而して銀行の健全があるのだから、これは銀行が自然的に救済の資金を出しておるというのが現状であつて、諸君が特に奨励したためにここに銀行が貸出したということは申されないと思う。而して諸君のほうには申さなければならん大きな、ミステークがあると思う。それは財政金融と市中金融関係である。今日政府の財政金融は非常に潤沢である。明治以来、開闢以来と言つていいくらいに政府資金は潤沢であつて、今日相当量の巨額の資金があくびをしておるというのは誰も知つている周知の事実である。これを一カ年以内に、そういうような窮迫の下で民間がまさに恐慌状態になつておるということは、先ほどの御説明で過言でないと思う。大阪の実情はその通りである。実に累卵の危き状態にあると思う。こういうようなことが若し講和の前にあつて、国民的に経済の不安が増大して来ればどうするのか。そのときに恐らくあわてて救済策をとるであろう。仮に銀行の或る一角に若し危機が起つたらどうする。であるから銀行を安らかにするというのは、財政金融民間に放出して、そうして銀行から借入れるというような形式を成るべく軽くしてやつて、そうして余裕を与えてこそ資金というものは潤沢になるのであるが、この財政と金融が遊離をしておる。いわゆる金融のほうは民間にお任せしておる。少くとも日本銀行一つの流し品として、そうして市中銀行に僅かに流し込む。そうして政府は原則としてなかなかこの資金は手放さない。而も本来の自分の義務に属するものすら非常に遅れておる。例えばその一例を言うと、占領軍の住宅の支払等は数カ月を経つて今頃ぼつぼつ払つておるという実情である。政府は果すべき義務を果さないで、民間の資金を、法人の金を取るとか何とかいうことは誠に厳重そのものである。であるから民間が非常な窮乏に陥るのであるが、一体金融と財政はどういうことにおいて過去において調節し、今後も調節せんとするのか。その点をあと一つ……。通産省もそういう面で大蔵省と取組んでやるべきではないか。然るにどうも先ほど境野先生のおつしやる通り、どうも大蔵省との角力は負け負けですね。年がら年中黒星というのでは、我々は通産大臣以下の諸公にに対して常にこの委員会においても非常に遺憾の意を表するのであるが、その点が一つ。  それから第二に、来たるべき補正予算、二十七年度予算における金融財政の……、承わるところによれば補正予算だけでも各省は千八百億の予算を要求しておる。大蔵省は幸いにこれを五百億に短縮するというので、我々はその点は大いに大蔵省を多としておるのであるが、いずれにしてもその五百億の中で、今日の金融をうつちやつておいても、なお且つ五百億を出さなければならんかということを考えなければならん。政府の資金の運用であつても、或いは見返資金の運用についても、一方において日本の国の利害を直接代表するものは繊維その他の貿易業である。そのほうの窮状はうつちやつて、成るほど農民は国の宝で、農業政策の重大なことはよく認識しておりますが、これは一面代議士諸公も反省すべきである。未だに代議士諸公は農民のほうの問題であると無我無中になる。これに農林大臣が先棒が担いでやるということになると、この産業政策のほうは常にあと廻しにされて、いわゆる縁の下の力持という恰好に相成るということは、この予算の編成においても、通産省においては大いにこういう……、無駄なこととは言えないが、不急の金は節約して、適切に今焼け付いておるような金融に関して……。これはくれと言つておるのではない、業者は貸してくれと言つておる。金は十五億ぐらいの金を出すと言つて来れればこれで助かると言う。然るに一方何千億の金を余り必要のないような……、或いは特別会計を設定するというよな空気は我々に伝わるのでありますが、如何にも国家の政治経済というものはびつこである。いわんや国際的の観点に立つていない。まだ国内事情に非常に大きく左右されておるということを痛感するものであります。この点について大蔵当局並びに通産省の当局はどう考えておられるか、一つ承わりたい。
  40. 首藤新八

    説明員(首藤新八君) 小野委員の御指摘されました通りに、現在政府預金が千八百億という未曾有の多額に達しておる。そういう財政資金が遊んでおる一方においては、資金が足りなくて日銀の貸出が二千億を突破しておるというようなこの状態に対しての御批判でありまするが、この問題については大蔵省のほうから一つ御答弁を願うということにいたしまして、私は今度の補正予算に対して通産省だけの補正予算、この内容をいささか申上げまして、今後是非とも一つ御協力をお願い申上げたいと考えますが、通産省の補正予算は大体八十八億でありまして、このうち五十億が先ほど申上げた輸出信用保険の基金であります。それから三十億が中小企業に対する金融、いわゆるこの商工中金に対して三十億を融資してもらいたい。そうしてこれを急速に各協同組合、いわゆる中小企業の協同組合に融資してもらいたいというのでこれが八十億。あとの八億は日米経済協力の推進並びに東南アジアの開発問題、更に又これに伴うところの事務費の増等で全部で八十八億となつたのでありますけれども、先ほど来お話のありました通りに、現在の輸出のクレーム等を考慮した場合、殊にインド、カラチというような所は戦前においても信用状を出さない習慣の国でありまして、いずれかというと儲かつたならば取る、損したならば取らないという親しい間であつた言つても差支えない状態にあつたのであります。どうしてもこういう問題については信用保険の範囲を拡大いたして、そうして業者の損失をカバーしたいという強い実は考え方を持つておるわけであります。又中小企業に対する金融は、これ又今更申上げなくても十二分に御承知のことと存じます。是非ともこの補正予算でこの問題だけは推進いたしたいと考えておりますので、今後とも格段の御協力をこの機会にお願いいたしたいと思います。
  41. 福田久男

    説明員(福田久男君) 金融関係で二つ御指摘になつたと思いますが、一つ滞貨金融というか、又その限界はどういうふうに考えるべきか。一つは財政と金融との調整について滞貨金融という言葉自体がまあ使うことがいいかどうか存じませんが、又金融の原則論から申しますと、いつでも融資の限界というものはその目的が何であれその使途が適正であると見た場合、相手かたの信用力によるということになると思います。従いまして相手かたが信用があれば、或いは必ずしも担保がなくても貸すかも知れませんし、或いは比較金額が大きくなるような場合には、何らかの担保を当てにして、その担保の価格変動を考慮してまあ一定割合という掛目というのが通常金融面では考えられておるわけであります。そこでまあ仮に滞貨になつた場合どの程度金融が考えられるべきか、先ほど安藤さんからお話がありましたようでありますが、ほかの物的担保を一応除外して考えて、資金の使途は仮に新らしい原材料の購入資金と仮定いたしまして、その場合は一つの引当てとして製品在庫なるものがあるとすれば、その在庫を売つた場合の売値とか、或いは過去において取引された価格というものではなくて、現実の価格——時価、その時価という意味には、今後の価格変動も考慮して、例えば綿で言えば先ほど通産次官からもお話があつたように、海外の原綿の価格が今五十何セントかも知れないが、行く行くは三十何セントになるであろうというような予想をも加味した意味における時価というものが一つの基準になつて、それに一定の掛目ということになるのが通常だろうと思いますが、若し相手かたに企業の収益力なり、それらの観点から信用があれば別かも知れませんが、そういつた意味における一つ金融の形として考える。但しその場合に現在の滞貨の生まれた実情なり、今後或いは朝鮮に売れるであろう、或いは東南アジアに消費物資として出るであろうというような予想がありますれば、それらの事情も加味して、使途については特別の考慮を払うという立場から個別に考えるべき問題であろうと思います。  それから財政と金融との調整につきましては、諸般の情勢上財政資金が相当つておるということは御承知通りでありますが、その中身を分けて見ますと、大体二通りあると思います。その一つは見返資金、それから資金運用部資金の過去における蓄積、いわば定安した長期に運用すべき金融資金ということが言えると思うのであります。もう一つは、本来の財政における一時的な溜り、つまり第一四半期、第二四半期において歳入として一時的に収入が殖えた。併しそれはいずれは第三四半期以降においてなくなるものという、一時的に遊んでおる金と、二つの内容のものがあると思います。そうしてあとのほうの一時的の溜りというのは一時的な調整に使うことが可能な資金であつて、若しも政府が大蔵証券なり、食糧証券等が出ておりますれば、その償還によつて市中に還元し得べきものであります。今年度は特異な事例として第三四半期、第四四半期を通じましてそういつた金が集まつております。第四四半期になればかなりの支払超過になると思いますが、先ほど御指摘になりましたような補正予算の関係等もありまして、その多くの部分は……一部は還元財源になるかも知れませんが、一部は補正予算の歳出財源に充てられると思いますが、短期的な調整をやるべきかどうか。普通言えば政府の短期証券によつて相殺するというのが常道であろうと思います。そこで前者のほうの、長く使える安定した資金を漫然と抱えておるという御指摘を受けましたが、必ずしも漫然と抱えておるわけではないのであります。諸般の情勢上これらの市中への還元がやや困難な事情になつておることは想像して頂ければおわかり願えると思いますが、ただその半面、財政でそういうような余裕資金を持つておるために、日本銀行を通ずる、いわゆる市中銀行においてその荷をおつ被されておる。若しこれが出ておつたならば日銀の市中貸出はそんなに出ないでもよいのではないか。いわゆる置き換えの関係に考えてもよいのではないか。財政資金が出たならば日銀貸出は二千億にもならないでよかつた。それが二千億の貸出が出ていわゆるオーバー・ローンになつておるという一面の見方も成り立つわけであります。若し今の二千億のほかにこの財政資金が出ますれば、それだけは通貨の膨脹という結果に現われますので、右のポケツトか、左のポケツトかという形ではないか。不当に民間金融を圧迫しておるという事実は認めざるを得ないと思います。それから又こういう見方もございます。外為特別会計における御承知のようなユーザンス制というものがございますが、あれが現在二千億をちよつと割つております。千七、八百億ぐらいになつておる。あの制度は御承知と思いますが、外為会計が円資金を調達するため日本銀行を通じてあれを行なつております。日銀からあれだけの円を受入れておる。つまり端的に言えば借りておる。それだけ財政の面では支払超過の穴ができておる。その穴に見合うものがどこかで溜つておるとすば、全体を通じて財政としてバランスするか、しないかという考え方が成り立つ。従つて日銀ユーザンスでも一方で借金をしておる代りに一方で溜めておるという変態的な形かも知れませんが、そういつた見方も成り立つ。現にこれは古いので……。昨年の六月頃から今年の三月頃までだつたと思いますが、外為会計の支払超過が七百億乃至八百億になつております。その期間における通貨の増発がやや同額になつております。何といつてもあの面で非常に支払超過があつた。その支払超過に見合う程度のものが財政の別の面でプールされておるという見方をいたしますれば、財政全体を通じての総合均衡予算という面では必ずしも吸上超過ではなくて、丁度とんとんだという見方も成り立つて参ります。併しユーザンスの資金そのものを財政そのものでいわゆるインべトンリー・フアイナンスをやるこのと可否という議論がありましよう。いずれにしてもちよつと調整の手段としては少し変態的な姿だということは言えると思います。ただ財政で溜つておるからそれを出せば金融が楽になるということには必ずしも行かないので、長期資金が楽になるということは言えるかも知れない。資金の質として日本銀行から出ます金は短期の資金で、資金運用部資金とか、或いは見返資金というのは長く使える金だから資金の性質としては長期資金は楽になる。併し資金全体として楽になるということにはならないかと思います。いずれにいたしましても、結論から申しますと財政が余り金融に無理な負担をかけないことが一番理想で、できれば中立であつて欲しいということを我々金融当局としては念願いたしておるものでございます。補正予算の問題につきましては、政務次官からもお話がございましたし、私の所管でもございませんのでお許しを願いたいと思います。
  42. 小野義夫

    ○小野義夫君 私は政府一カ年の会計については、大体その余裕があるにしろ、或いは窮屈にやるにしろ、大体バランスがとれておると思うのですが、今日際会しておる金融難というのは先ほど言うごとく、第一次世界戦争の後のパニツクにも等しいような……これは先ず綿糸を中心にしたのですけれども、綿糸のみならず、その他あらゆる化学工業面においても非常に大きな波がぶつかつて来ておるわけで、ただメーカーを救済すれば末端のほうは捨てておいていいかというと、メーカーの数は少くて、末端に来ておるいわゆる織物業者であるとか、或いは綿糸業の業者であるとか、多数の人の迷惑が非常に大きいのであります。広汎なんであります。従いまして、政府は余つた金はこれは民間に一々貸付けるというわけじやないのですから、日本銀行に借りに行つて銀行が貸せばいいようなものの、一々お小言を頂戴しながら日銀に何も市中銀行が頭をそうペコペコと下げる必要はない。であるから対等の立場である。であるから君のところはそれだけ貸しておるからということがありますと、結局非常に困難な事情が起つて来て市銀を圧迫することになるのですから、これはやはり民間に放出するものは、非常にあらゆる意味において民間放出を盛んにし、又その他今のような臨機の処置を以て、財政資金を以て金融面を滑かにするということが、この際平生は平生通りでいいかも知れませんが、これは非常の場合であるから特に大蔵省において、今後私は決してもう九月、十月になつたら楽になるというようなことは考えておらない。この貿易期間のいろいろのズレがありますと、ますます年末に差迫つて非常な窮迫な状態になると思うのでありますから、よほどその点について特別な方策を、今から遅しとしないのだから、一つ研究して欲しいということをあらかじめお願い申して大体私の質問を打切りたい。
  43. 西田隆男

    ○西田隆男君 私今日業界かたがたの御意見と通産省の政務次官の御答弁を聞いておると、金も必要であろうが、金よりも需給のバランスのほうが必要だ、操短をしなければならんような情勢になるのじやないか。通産省と業界との意見が根本的な問題で大きな食い違いがある。その点はあと業界から通産省の考え方については御質問があろうと思いますが、そこで私は繊維局長に御質問したい。若しも通産省の考えと政務次官のおつしやつたことが本当であるならば、果して日本が非常に世界繊維市場の従来出ておる消費量と日本のこれから作つて出すであろうという数量などがバランスがとれていない。こういう問題については相当数字を集めて検討された結果政務次官から御答弁があつたのであると思います。これは将来の日本繊維業界においては、米綿を下げるとか何とかいうものよりももつと大きな問題であると私は考えておりますが、繊維局長の一つ説明を願いたい。
  44. 記内角一

    説明員(記内角一君) 今の需給のバランスの問題でございますが、御承知のように輸出状況はどちらかと申せば見込と申しますか、世界的な軍拡気がまえにからんだ需要が相当多いと思います。それの買付価格も非常に暴騰しました。その後世界的な気がまえが変つて来た、そこで又値下りをし始めた、そこへアメリカ米綿の作付予想が相当多量になるということが予想せられたことなどが影響して来ていると思うのであります。単にこの問題は日本だけの需給の問題でなくて、世界的な需給の問題になつて来ていると思います。従いまして我々としても減産までやらなければならんかどうかということについては真剣に検討しなければならんと思います。ただ世界的な情勢といたしまして、一応買付世界的に一段落しておる、従つて次の需要があるまでに、少しの間のギヤツプがあるということが一応考えられると思います。併しながらなお半面におきまして価格暴落しますというと、相当南方その他の方面で需要が実需として現われて来るということもこれ又予想ができると思います。その間のところをどの辺に見合うか、又その大体買付が終つて、一応一段落した次の買付の気がまえになるまでの間がどのくらいの期間を要するかという問題、更に今言つた米綿値下り、底の安定した値下りによつてどの辺に実需がいつ頃から起り出すかというふうな点、これは相当真剣に検討しなければならんと思います。目下検討を加えておるのであります。当面の問題としましては、今言つたような情勢日本を中心とする過剰の様相を示しておるということは政務次官の御答弁の通りかと思います。
  45. 西田隆男

    ○西田隆男君 私がお聞きしておりますのは、国内問題の需給の関係でなくて国外の需給の関係を今お聞きしたのです。政務次官が御答弁されたのも恐らく世界市場における繊維の需給のバランスの問題から御答弁をなすつたと思います。今繊維局長のお話では折角大事な問題で研究中と言う、そうすれば数字が出ていない。政務次官の御答弁は政務次官個人としての意思で、繊維局長の今の御答弁の要点は、業者にいわゆる金融をすることがまあ取りあえず業界を安定せしめることになる。そのためには金融努力をしなければならんという結論がそこに生まれる。政務次官の言われるように、将来の繊維の見通しと世界市場の見通しの需給のバランスが、日本でこれから先作るであろう繊維の売出しがとても出せない。そういつたつて買手がないのだ、であるから操短をしなければならんという結論の考え方が出ておるのでは、それは当座の金融だけでは繊維業界の安定は期せられない。而も日本輸出貿易の中の大部分を占めておる繊維に関する問題であるから日本から輸出されておる外国のことはおわかりの通りです。他の市場に行くとか、その他の市場から売出されておるであろう数量も、英国の繊維業界生産調査をされたら世界の現市場にマッチしないかという結論は私はそう手間をかけないで出ると思う。ただ一応買付を終つたからこの次にいつから又買付が始まるかというような繊維局長のお考えのようであるならば、通産省としてはこれは大蔵省にねじり鉢巻で当面の金融の問題について善処せられたい、私はそういうふうに考えておる。今日の政務次官の御答弁を聞かれたのでは業界の人は不安でお帰りになれない。業界のほうからも恐らく意見が出るでしようが、政務次官に今度は御答弁を願いたいのは、あなたの世界市場繊維に対する見通しを述べられたのか、的確な資料を持つての上の、通産省を代表してあなたは意見を述べられたのか、これを一つ業界のかたに納得の行くように御説明を願いたいと思います。
  46. 首藤新八

    説明員(首藤新八君) 私は先ほど操短問題を申上げたのは現在国内生産が非常に殖えて参つた、更に又輸出キャンセルによつて滞貨が激増しておる、而も海外は今のところ直ちに非常な購買力は出て来るというような見通しがつきかねる、従つてこのまま或る期間経過いたしますれば相当の滞貨が国内に生じて来る虞れがありはせんか、従つて仮に将来海外から相当の引合いがついて参りました場合、この厖大な滞貨を消化し、更に増加しておる生産量をこのものも消化するという状態に相成りますれば誠に結構でありますけれども、併し現在の情勢下から一応考えて見ますると、この間にストックの増加いたしたことによつていわゆる市価を不当に下げざるを得ないというような状態になつて来はせんかという点を恐れておるのであります。従つて金融も必要であるけれども、同時に又一方生産の調節をするということも必要と考えられる。すでに化学繊維のほうでは先般来或る程度の操短を行なつておるということを聞いておりまするが、一方綿糸のほうについては未だそういうことを聞いていないのでありますが、併しこの現実の需給の状態から考えますると、若干の操短を必要とすることに相成りはせんかということを申上げたのであります。
  47. 西田隆男

    ○西田隆男君 今度はこの業界のかた、どなたでも結構ですが、今の政務次官の答弁のように了解して業界では判断をしておられるか、業界では現在の状態のままの生産を続けて行つてつても、金融情勢さえよくなれば将来世界市場に対してはそれくらいの品物は輸出ができるという見通しで現在の金融状況をお考えになつておるか。政務次官の御答弁に対して一つ御意見を伺いたいと思います。
  48. 竹中七郎

    委員長(竹中七郎君) では参考人のほうから、直接は政府のほうへはちよつと困りますけれども、先ほどの御意見の補足としまして安藤さんに発言を許します。
  49. 安藤梅吉

    参考人(安藤梅吉君) 率直に意見を申上げます。先ほど来政務次官殿のお説を承わりまして全く情なくて血の涙がこぼれるのであります。その半面におきまして議員の皆様がたから非常に業界に対しての思いやりのある御意見を承わりまして、これは温かき嬉し涙がこぼれるような心境であります。一応政務次官殿の仰せになります、日本増産と綿の先安ということに対して或る程度製品の値上りは望めないぞ、まだ先に恐慌が来るのじやないかということは我々も仄かにそういうことは十分に考えております。併し現在の場合一日も速かに、一時間も速かにここに金融の途を開いて頂きまして、活を入れて頂かなかつたならば、命がなくなつてしまつてからあとでは何になるかということを私は申上げたいのであります。そこで先ほど大蔵当局からも仰せになりましたし、政務次官も仰せになりましたが、我々機業界におきましては、綿スフ織屋におきましては、十四万円で割当を受けて買入れました綿糸を、それを基準に以て融資がして頂きたいというような虫のいい考えは毛頭持つておりません。先月の二十七日大阪へ通産大臣と繊維局長を追つかけまして、名古屋の二十五日の陳情だけではどうしてもまだ我々は得心が行かなかつたので大阪まで追つかけまして、御陳情申上げましたときに、前繊維局長近藤さんのお説によりますと、今のやはり政務次官の仰せになるように、その十四万円を基礎にしてお前たちは融資を受けたい、そんな虫のいいことは駄目じやないか、私は即座にそんなことは絶対に考えない、とにかく現状を以てして、十万円というものが市場の一応の相場と考える、その十万円の八掛を貸して頂く、一梱八万円を貸して頂けば結構でありますということを即座に私は答えたのであります。そこでその八万円というものが、先ほど政務次官の仰せになつたまだ先が安いかも知れんぞというお話であります。その八万円ならば恐らく私は金融対策さえして頂いたならば必ず私は底へ入るという確信を持つておる。若し仮にそれが間違つてもそれから割つて行く分においてはこれが五万円にも六万円にもなる気遣いは私は絶対にない。これは私は首つ玉を賭けても保証できるのです。これは一年も二年も先は別といたしまして年内においてはとにかく五万、六万というようなこの相場が絶対に来るはずがない。仮に八万円を僅か五千円、一万円切つたといたしましてもただその抵当物件を取つたために銀行が全部背負い込みになりません。業者は、我々機業界業者は御承知通り相当の建物なり機械設備を持つております。これなら或る程度倉荷証券を活かしまして、そうして八万円の融資を受けた場合、多少足が出たといたしましても必ず責任を負います。そういう意味から言つて我我は決して不当なお助けが願いたい、救済して頂きたいということは毛頭考えておりません。従つて今の或る程度一応活を入れて頂いて多少そこに命を永らえて頂きまして、そのうちにあと対策を講じさして頂きたいということを我々は念願しておるのであります。どうかその意味におきまして、是非ともやはりいつまで何遍も御意見を承わりましても、我々の助かる途は一にも金融、二にも金融、三にも金融、どこまで行きましても金融以外に助かる途がないということをお願い申上げたいと思います。
  50. 西田隆男

    ○西田隆男君 政務次官に重ねてお願いしておきます。繊維局長のほうは一つ詳細な資料を当委員会に提出して世界の需給のバランスの問題について御指示を願いたい。政務次官は安藤さんの御意見を再度お聞きになつたと思いますが、業界では決して銀行に莫大な損失をかけるような金の借り方を考えておるのじやないという切実な御意見に対しまして、この上とも一つ繊維業界金融については大蔵省に通産省としては一つ積極的に働きかけて何らかの解決案をお見出しになるようになお一層の御努力をお願いいたしておきたい。
  51. 竹中七郎

    委員長(竹中七郎君) 吉田参考人、先ほどは時間が制限されておりましたから、補足的に御意見を願いたいと思います。
  52. 吉田初次郎

    参考人吉田初次郎君) 日本羊毛工業連合会の吉田であります。意見を申上げる前に先刻にお願い申上げましたことをちよつと補足しておきたいと思います。備蓄羊毛に関しまして重要な点を言い落したのでありまするが、備蓄羊毛外貨資金割当政府の通達は輸入発表の第三十号によりまして、三月七日に条件附で許可されておりまして、この条件が除去になりましたのは輸入発表の第四十一号の四月五日であります。その間一月を経過いたしました関係上、業者に対しましてはすでに全部買付を終つた、高いところで買付を終つたあとであるということを附加えたいと思います。もう一つ先刻私はこの際に輸入金融が非常に苦しいためにここでお願いしたわけでありますが、現に備蓄外貨資金割当ができましても申請が各業界とも非常に少い、私の業界におきましても、なかなかこの申請をしないのは、今の輸入資金なり、一般的の金融の処置がありませんとなかなか銀行から信用状の取付けなり、又はそれに繋がるところの内地金融の承認を受けることが非常に困難である。この条件で行きますと、事によりますと、七——九の割当というものは思うように輸入がないというようなことになりやしないかと思うわけでありまして、これはすべての業界を通じて大体同じように聞いております。若しもこれが続きますと今でこそ輸入物資のことで苦しんで、非常に金融対策価格安定の問題が起つておりますが、これが六月から先になりますと、又逆に輸入物資がなくて生産がそのために非常に減少し、再び物資不足によるインフレに変つて行くというような懸念がありはしないかということを今から私は申上げまして、あと廻しにならんように適当な措置をお願いしたいと思います。生産制限の問題につきましては、政府価格政策の如何によりまして、この価格をめちやくちやに織込むつもりであるのか、又は適当なところで止める方針であるのか、又業界の種類によりまして、いろいろ違うと思います。一概的に言うことは危ぶないと思いますが、例えば化繊のごとき昨年の同期の生産と比べて、今は殆んど倍になつているという業種と、羊毛のように如何原料があつて外貨資金で制肘を受けてあるようなものが、現在輸入した羊毛というものは、せいぜい今年一ぱいしかないというような工合に、如何にしても生産が思うように殖えないといつた業種につきましては、必ずしも生産制限の必要はないと思います。現下の問題といたしましては取りあえず金融措置を見まして、市価の安定をすることによつて、この不必要なる経済的な狂乱と混乱と輸出貿易の障害とを是正することが刻下の急務じやないかと考える次第であります。
  53. 油井賢太郎

    委員外議員(油井賢太郎君) 委員外の発言をお許し願います。
  54. 竹中七郎

    委員長(竹中七郎君) どうぞ。
  55. 油井賢太郎

    委員外議員(油井賢太郎君) 先ほど来お話を承わつてつたのでありますが、私は大蔵委員会といたしまして、日米経済協力会の関係で以て五月三十日に政務次官においで願つて、いろいろ物価問題、殊に繊維の問題についてお願いをしておつたのであります。その当時政務次官は、御承知通り現在は自由経済を自由党は原則としております。こういつたような見出しで以て、同時に物の輸入民間貿易に委託しているのでありまして、少くとも現在の輸入品はことごとくが国際価格とマッチしていると考えていいと思います。こういうことを断定されているのであります。勿論これに対しまして我々も政府のほうでそういう方針をとつて行かれるというならば、それは当然であろう、こう考えておつたのでまりますが、今日承わりますというと、我が国経済界にとつて最も必要な貿易面の、繊維輸出という面について、こういう言葉を若し前提とされて今後の輸出対策をおとりになるということは、大分齟齬を来たしやしないか、かように考えるのであります。それは先ほど政務次官が国際価格よりも若し甚だしく安く売るようになつては、これはダンピングだ、ダンピングに対しては価格というものをよく検討して、それに対して輸出の許可をしないかも知れないというようなお話もあつたのであります。そうすると一体自由経済というのはあらゆる面において自由である。輸入も自由であるならば輸出も自由である。野放しにしておいてもよいのだというふうにとれるのであります。然るに只今のようなダンピングは、それは困るのだ、それに対してはチエツクするのだ、こう言つておられるのであります。そこで第一点といたしまして、然らばダンピングを阻止するために、チエツクする場合に金融の面をどうするか、これは繊維業者かたがたの第一に不審な点だと思うのであります。この金融の面を考慮しないで、ダンピングを阻止するということは、これは牛の角を矯めて牛を殺すということになりはしまいかと思うのであります。而も我が国繊維界の状況というものは、紡績或いは化繊というような大工場を除けば、これは世界各国から見て大企業というものは殆んどないと思うのです。殆んどが中小企業であると断定してもいいと思うのです。そういう中小企業の面においても政府方針として只今のような措置をとられることは、これは大きな矛盾を来たしはしないかと私はその点を危険視するのであります。これに対して先ず第一に政務次官の御答弁を承わつてあとでもう二、三質問を申上げたいと思います。
  56. 首藤新八

    説明員(首藤新八君) お説の通り、一方ではダンピングを防止し、一方においては金融の不円滑を放任するということに相成りますれば、全く矛盾した政策に相成ります。先ほど冒頭に私は申上げておいたと思いますが、この滞貨金融の不可ということに関連いたしてメーカーのほうでは原材料ということで金融は受けられる。然るにこのサプライヤー並びにセーラーのほうは、原材料というもののフアクターがありませんので、単に滞貨金融は罷り成らんということでは、非常に金融に困難を来たすであろうということを冒頭に申上げたのであります。この点につきましては、本日も実は大臣といろいろ話合いまして、何とかこの問題をもう少し明確に解決しなければいかんじやないかということは実は話合つたのでありますが、現在の状態といたしまして、先ほど境野委員が言われた通りに、マーカツト声明が滞貨金融には触れない。二、三カ月は大蔵大臣の措置に任せるという新聞記事の通りでありますならば、問題はないのでありますが、従来の方針に何ら変わりないということに相成りますれば、どうしても別の面で金融を考慮しなければならんじやないか。今日までは先ほどから繰返して申上げました通りに、ケース・バイ・ケースということで金融をつけております。無論この金融に対しましても問屋なり輸出屋はいかんということは毫末も申上げていないのでありまして恐らく輸出業者問屋のほうもそれぞれの金融機関に対しまして金融の交渉を進めておるであろうと考えますし、又通産省といたしましてもそれぞれの金融機関に対しまして金融の斡旋を進めて参つております。この間の事情は非常にデリケートでありますので、どうぞ速記を……。
  57. 竹中七郎

    委員長(竹中七郎君) 速記をとめて……。    〔速記中止〕
  58. 竹中七郎

    委員長(竹中七郎君) 速記を始めて……。
  59. 首藤新八

    説明員(首藤新八君) 何と言つてもダンピングは世界各国とも日本経済状態に非常な関心を持つておりまして、若干でも日本はダンピングを始めたということが世界に響きますると、その次に来る影響は非常に重大化して来る。必ず各国はこの輸入関税を高率に引上げてそうして日本品の輸入を壊す挙に出るであろうということを考えた場合に、多少ここでは窮屈でも、かような制度をとつて、そうして市況の安定策を講ずることが必要である、かような見解を持つております。
  60. 油井賢太郎

    委員外議員(油井賢太郎君) 私は今の政務次官の説明を聞いて、少しまだ納得が行かないのですが、ダンピングを大変恐れておられるようですけれども、国際価格というものの繊維比較をいたしますと、英国の綿織物日本の綿織物と比べると、現在一割二分くらいの相違があります。無論英国が高いのです。それから又アメリカのものを比較しても四%くらいアメリカのものは高いです。すでにもう国際水準より日本の品物は安くなつておるのです。それにもかかわらず、何故然らば日本に対していわゆる先方から言えば輸入の需要が起きていないか、それは要するに日本で以て金融措置というものはとらないのだ、滞貨金融というものをとらないから、いずれ又業者の人々が苦しんで投げ出すにきまつておる。もつと安く買えるのだというのが、私は一番原因だと思うのです。この点今日業者かたがたがお集まりになつている最大問題だと思うのです。そこで滞貨金融というものは、ケース・バイ・ケースとおつしやいますけれども、それは銀行なり或いは金融機関なりによつて、ケース・バイ・ケースで政府は貸出しろと言つているのだが、貸してくれと言つたところで銀行では枠という言葉を使つて、それを大抵はねつけるのです。それを政府はどういうふうに処置されるか。若し正当な理由があつて、ダンピングの虞れのある品物を、今ここで持たして置く必要があるならば、政府で証明でもして金融機関の便宜を図られるという親切心がおありになるかどうか、具体的に一つ説明願いたいと思います。
  61. 記内角一

    説明員(記内角一君) 今のお話で、金融機関、枠というお話がございましたが、実は枠というのは、金融機関が断わるときの方便に使う場合が非常に多い。今度の場合におきましても、その枠を越えた場合においても、必要であれば日銀が金融機関に対して、資金繰りの尻を見るという立場からこの問題を扱つているのであります。それをただ全般的に一律な扱いをしないで、個々の機業家の内容に応じ、又必要の度合に応じて金融機関が貸した場合に、そのあと日本銀行が見て行くという考え方でやつておりますので、今までの個々の、通例言われておりまする金融の枠に縛られることは大体ないものと考えております。
  62. 油井賢太郎

    委員外議員(油井賢太郎君) そこで今の具体的に、政府として、例えば織物関係におきましても、先ほど安藤さんからお話が出たように、十万と見た綿糸に対して八万円でもいいというような場合、当然日本の市価というものを、市場価格というものを、いわゆる徒らに暴落させないという、これは心からなる希望だと思う。そういうものに対して具体的に、政府で以て証明をするか、そういつたようなところまで行かなかつたならば、本当に繊維業界に対する通産省の熱意というものはないというようにしか見られないと思う。でなければ、業者かたがたというのは、実際大きな会社などばかりならばよろしいのですが、先ほどお話通り、非常に中小機業家が多い。一人一人言つたんではこれは容易でない。それに対して政府は徹底的な御後援をなさるか、これをお聞かせ願いたい。
  63. 記内角一

    説明員(記内角一君) 今のケース・バイ・ケースに当ることは差当つては紡績その他の原料方面関係が多いようでありますが、中小企業を中心とする機屋その他の面におきましても、これは同じような態度で見て参りたいと考えておるわけであります。殊に中小企業の面におきましては、組合金融を通じまして、いわゆる商工中金を通じてやる途もあるのであります。必要によりましては、又御相談願えれば、私どもも十分或いはそれの斡旋もいたしたいというように考えておる次第でございます。
  64. 油井賢太郎

    委員外議員(油井賢太郎君) 時間の関係で最後にいたしますが、私は先ほど申しました通り、五月三十日あたりにもう繊維業界というものは非常に弱つているのだから、これを政府において何らかの対策を講じてもらいたいということを強く要求しておつたのでありますが、その後一向対策らしいものがなくて今日に至つております。このままで行けば、全く業者のかたが申されるように、破綻者続出というような一歩手前まで来ておる。破綻されてから慌てて対策を講じるよりは、丁度暴風が参りますときに、河川の改修というようなもの、或いは治山、治水というものは十分やつておいたほうが、あとの暴風による損害よりも遥かに少い費用で間に合うというようなことと同じだと思う。丁度今暴風の来たらん前にそれを防止するところの対策を講じるというような状態にあると思う。殊に政務次官は、この前の通産大臣に繊維業界のことは挙げて政務次官に任してあるというように我々は承わつてつたのであります。今回の大臣においても、政務次官に期待するところが多い。そういう意味におきまして、今日の業者の声を十分尊重されまして、只今繊維局長から大体我々の納得の行く御答弁があつたと思いますが、これを具体的に必ず現わすということを一つここで以て皆さんがたに特に親切なる御回答あつたと我々は見ますから、将来その実現かたを一刻も早くやつて頂きたいことをお願いします。    〔委員長退席、理事廣瀬與兵衞委員長席に着く〕
  65. 廣瀬與兵衞

    理事廣瀬與兵衞君) 他に御発言ありませんか。
  66. 野口小吉郎

    参考人(野口小吉郎君) 先ほど来縷縷御懇切なる御討議を拝聴いたしております。私一人でございますけれども、大体系商といたしましては、メーカー、紡績それから消費者及び機業家の中心に存在しておる、或いは皆さんにはその斡旋役と言いますか、それが甚だ御理解にならんと言われるかも知りませんけれども、むしろ我々は紡績に対しては、すべて糸代金はキヤツシユでお払いし、むしろ機屋さん、機業家に対しては手形で貸しておる。こういう従来の……無論キヤツシユは頂きたいのは頂きたいのですが、金融状態が詰つておるためにそう行かないので、非常にその間の中間業者としまして非常な多大な斡旋役、紡績の斡旋役をしておるような立場であるのであります。そういうわけでありますから、むしろ統制が解けて、停止して以来、従来紡績におきましては、十四万円を荷主としてどこまでも堅持するから、お前買えと言つて、我々は先ほど申上げました通りに、在阪の糸商におきましては、四万梱以上ございましよう、それから東京においては、数量は少うございますけれども、いずれにしても、別に紡績の肩を持つというわけではありませんけれども、取りあえず十大紡績は十四万を下らないから買つて置け、あとは譲り合せすると言つてつて置きながら、刻々相場は低落いたしまして、先ほど安藤さんのお話通りに、十万円以下にも下つたようなわけでありまして、この間我々が紡績にそれを履行するというようなことになれば、非常な損をする。糸商といたしましては、輸出化繊、すべての糸を兼業しておる折柄、苦境の立場は非常なものだと私らは想像しておりますので、その点を十分糸商の立場を御理解下さいまして、政府御当局の善処をお願いしたい次第であります。
  67. 小野義夫

    ○小野義夫君 最後に私ども先ほど来金融のことはもう異口同音にどなたもおつしやつておるので、これはどうしても政府にやつて頂くということに願わなければならんし、我々議員としてもこの点は回を重ねるごとに強く政府に迫つて行くつもりでありますが、これ又今承わつているところは生産制限であります。化繊におきましてはすでに需給の調整に即して、将来はともかく、現下の急場を凌ぐ方途としてこういうことをやられて、これは事業者団体法に反するとか、いろいろ新聞紙上に噂されたけれども、ともかくも自衛の方途として止むを得ずに出ておるところの緊急的な状態であると思つて、みずからを守るこれは立場である。然るに他の面では相当品物がダブついておるにかかわらず、なおその途に出でられないことは、団体法やその他の法規を恐れてやらないのであるか。若し真に法規を恐れてやらないというのならば、私は政府とよく話合いをして、安本なり、或いは通産省あたりのいわゆる官憲の考え方を以つて、滞貨の少し漸減するまで、ともかく何らかの……売れもしないものを徒らに作つて金融をしろということも、私どもこれは公正な立場から見て、余り虫のいい話になりはしないか。非常に業界の殷盛なりし頃は自由にやつていて、今度非常に危くなると政府その他によるというのでは、これは話が少しおかしくなるので、これは私がいろいろ法規が今日あり、又御承知のような日本の政治、経済が非常な監督を受けておる現状ですから、これは一つよほど阿伝の呼吸を以て、昔は紡績業というものは非常に統制がとれておつたように思うのでありますが、別段法規とか申合せをしなくても以心伝心でやつてつた。然るにどうもその足並みが怪しいのではないか。それからその次に原料買付のこともお話がありましたが、原料買付につきまして、最近アメリカその他から身近な者が帰つて参りました、その報告によりますと、日本原料買付というものは乱暴なものだ、もう先を争つて買付をしているくらいで、実は我我本意ではないけれども、市場を非常に荒し廻る慮れがあるので、今後ああいうことをやるとすれば、我々仲介業者としても非常に困るのだから、もう少し買付について何らかの考えを持つてつて欲しいということを先方さんでおつしやる。これは大いに緊急に一つ今後の買付についても余りがたぴしやしないようなやり方をして欲しいということの要望があつた。これもやはり要するに、金の方面もあることとは思いますけれども、よほど業界改善をするところも多々あると存ずるのでありまして、この点は一つ腹を割つて、今までもやつておるのだけれども、なお一層こういう危い場合になつて来ておるのでありますから、我々として業界の、殊にそういう業界理事長なり、その他代表のかたがた殆んど毎日のように通産省なり、安本に行つて今後の対策についてはもう非常な緊密なる御連絡を持つて今までもやつておられるのでしようけれども、更にこういう危機に際会いたしましてはやつて頂くように、私は今日の皆様の御意見に満腔の賛意を表しますが、同時に一つ今後に対する対策、これは各会社のためでなく、本当に日本経済上の大問題でありますから、御配慮を頂くように希望をして私の質問を打切りたいと思います。
  68. 賀集益蔵

    参考人賀集益蔵君) 先ほど時間も短かくと申しましたので、説明を少し抜かしておりますので、先刻来次官から大体お話がありましたが、ダンピングの問題、化繊業界がそれに連関いたしまして減産をするといういきさつを少し事実を申上げたいと思います。今小野委員お話通りに、買付をする場合には競争して買付ける、売る場合には競争して売る、而も外国の商社に非常に迷惑をかけて、それからクレームが来る、キヤンセルになるというような事態を我々業界をあらずかつておる者から見ますと憂慮に堪えませんので、これを何か減産の方向に持つて行きたい、こう考えておりました。通産省の近藤局長なり、それから安本のほうへも、御相談いたしまして、我我の独自の意見で若しこれを統制経済のようなことで行つたら事業者団体法に引つかかるかも知らん、又どういう工合にしたらいいかということで、非常に苦慮いたしました。幸いに通産省の繊維局も、安本の通産局もよく事態を御了解願いました。この際徒らに生産を増すよりは、品質改善を図つて、むしろ生産を制限するほうがいいと思うから、業界にそれを勧告しろ、こういう書面を頂きまして、その書面に基きまして、業界の人にお話をいたしました。業界も成るほど通産、安本両省の申入は御尤もだ、各自自粛しようということになりましてそれも数量的に、私は業界をあずかつておる建前から、人絹はどれくらいにせい、ステープルフアイバーはどれくらいにせいということは申入れず、諸君がそういう工合に自覚して頂けるなら、一つ業界の整理の必要上から、自主的な減産の数量を申出てくれ、こういうことにいたしまして、減産の処置はとりましたが、ところが公正取引からいろいろのお調べがありまして最後にはかかる処置はいけない、それは一般大衆の利益に反するように思う、こういうお話でありました。私は一般大衆に反するか、貿易上の損失が……、国家に対してどつちが損になるか、それの判断に非常に苦しみましたのですけれども、強い警告の何がありました。それがためにこれから先の処置に対して非常に悩んでおる次第であります。我々自身といたしましては、これで市場を安定さすことが、決して大衆の不利益にならん、むしろ我々はこれから値段も非常に安くなりますし、輸出の増進の傾向も現在見えております関係上からして、国際貸借の損失のほうが更に大きい、こういう点を鑑みまして、今考えておるのは、私としては決して悪くないのである。こう思うのでありますが、国に対しては、どうもそういう警告を受けますと、一般に甚だその処置に窮しておる次第でございまして、若しそういうことは、やはりダンピングということを非常に恐れるとするならば、従つてそういう措置も当然やらなくちやならんことになりますので、今首藤次官のお話も御尤もだと思いますが、我々業界をあずかつておる者から見ますと、非常に、この処置は一体どうしたらいいのか、将来一つ積極的に何か御配慮を願わないと、なかなかむずかしい問題のように考えられますが、どうぞよろしく一つお願いいたします。
  69. 茂木富二

    参考人(茂木富二君) ちよつと補足さして頂きたいと思います。私ども市価の安定が如何に大事かということは先ほど皆さんからもお話が出ましたが、なお油井先生からのお話もありましたように、諸外国のいわゆる国際価格比較いたしましても、現在我が国製品がそう高くない。又国内的に見ましても昨年の三月には紙より安い人絹織物ということが言われたのですが、この紙より安いということが当るかどうかわかりませんが、一ヤール二十何円、全くコーヒー一ぱいの値段にもならんという状況からいたしまして、国内のその他の物価と比較しても、繊維品は決して高くないと思つております。従いましてここに何らか市価安定、それには先ほど来皆さんからお話のありました金融措置が立てられまして、安定ができれば、海外のほうの引合いも相当あるのじやないか、又国内の需要もその間にできまして、相当の消化ができるだろうと思うのでありますが、若しこれが何らの対策なしに、或いは救済方策がないということになりますると、恐らく今問屋も多少取入れをなしりつつありますが、将来不安だとすれば、これが又投売りの競争を始めて、市場は一層混乱するのじやないかということを心配いたしておりまして、今日の模様を私どもがうつかり業界に報道したらどんなことになるか、非常に心を痛めている次第でありまして、又絹、人絹業者は先ほど申上げたように、小規模業者でありまして、決して大会社が業績を挙げたような、高率配当ができたり、或いはリザーブが相当できたりということは全くないのでございまして、実にこれは社会問題にもなるかと思うほど私は心配しております。殊に若し勤労者に対する労賃の不払いなんということが行われるようになりましたら問題だと思つて心配いたしておりますので、どうか一つこれに対しましては何とぞ大きないろいろのいわゆる低物価政策ということは考えられるでありましようけれども、この当面の問題を何とか御処置願えませんというと非常に心配に堪えないと思います。どうか一つその意味におきまして、先ず以て市価安定のため金融につきましては特段の御配慮をお願いしたいのでございます。
  70. 前田栄雄

    参考人(前田栄雄君) 先ほど小野委員のほうから御忠告みたいなことがありましたが、それにつきましては今賀集さんから例の化繊の操短について問題になつているというお話がございましたが、昨年の春福井県の織物業界の者は、各組合が同盟休業をやりまして公取のほうから出頭取調べを受けまして、えらいことになつている。そのときに業者の連中が、これはとても生産調節なんということをやつたらひどい目に会うぞということになつたところへ、今度は幸い先ほど来首藤政務次官お話のように、通産省がイニシヤテイブをとつて、そうして化繊のほうに対しては無論勧告的な示唆を与えて、それに従つてやられた。今度はいいだろうと思つたら又ぞろ大きな問題が起つた。而も我々としては自己防衛手段として、今賀集さんがお話になつたように、一般消費者に影響を与えず、そうして起るであろうところのキヤンセルを最小限に食い止めて国家経済の進展のために寄与しなければならんという観点からやろう、そういうことになる。そうすると首藤政務次官のおつしやつたような、お前たちは自衛のために、又国のために或る程度の操短をやれ、先ほど来お話であるのに、それをやろうとすれば我々はどうしたらいのか、これについて通産省が、現在の化繊のあの問題をどういう工合に御解釈になつて、又どうて我々をバツク・アップして頂けるか、あの化繊の問題が新聞紙上に載つてから、もう人絹会社、スフ会社ですらあんな目に会う、我々がああいうことをやつたらひどい目に会う、如何に通産省が示唆を与えてもできん。こう言つておるのであります。そうすると我々がそれを恐ろしがつておれば、先ほどお話のように、お前たち増産をどんどんやりつつ又金融しろとかという御議論が出て来るかと思うのでありますが、これについて政務次官の御回答をお願いいたします。    〔理事廣瀬與兵衞君退席、委員長着席〕
  71. 竹中七郎

    委員長(竹中七郎君) 政務次官にちよつとお伺いしますが、只今参考人からいろいろお話がありました市価安定と操短という問題につきまして通産省の御意見を……。
  72. 首藤新八

    説明員(首藤新八君) 先ほど来申上げております通りに、市価の安定はひとり金融のみでは目的を達しない。どうしても需給関係の根本を調節する必要があるという我々は確信を持つているものであります。従つて化繊のほうに対しましてもこういう考え方から、国家経済ために、国民の利益に反しない、むしろ国家経済のとるべき対策だという考え方の下に、通産省は化繊のほうに勧告をいたしたのであります。然るに公取のほうで、それに対していわゆる独禁法を建前として、取締の適用をするという申出があつたということも聞いておりますが、非常に同じ政府でありながら、その考え方が違つておるということは甚だ遺憾でありまするが、通産省といたしましては、至急に公取のほうと折衝いたしまして、成るべく御希望に副うような結論を出すことに努力いたしたいと考えます。
  73. 竹中七郎

    委員長(竹中七郎君) 委員のかたの御発言ありませんか……。それでは時間も大分経過いたしましたので、本日の委員会はこの辺で閉じたいと思いますが如何でしよう。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  74. 竹中七郎

    委員長(竹中七郎君) 御異議ないと認めますので閉じたいと思います。  参考人かたがたに御礼を申上げます。誠にお暑いところを、長時間に亘りましていろいろ有難うございました。結局この問題は市価安定ということが中心になつておりまして、非常に重要と考えますので、今後も引続きまして対策を研究したいと存じます。皆さんにおかれましても、常に当委員会に何かと御連絡をお願いいたしたいと思います。誠に本日は有難うございました。  それから初めに諮りました調査報告書に多数意見者の署名を付すことになつておりますので、順次御署名をお願いします。   多数意見者署名     廣瀬與兵衞  古池 信三     栗山 良夫  上原 正吉     小野 義夫  片岡 文重     小松 正雄  島   清     山川 良一  境野 清雄     西田 隆男  林屋亀次郎
  75. 竹中七郎

    委員長(竹中七郎君) それでは本日はこれを以ちまして散会いたします。    午後五時十八分散会  出席者は左の通り。    委員長     竹中 七郎君    理事            廣瀬與兵衞君            古池 信三君            栗山 良夫君    委員            上原 正吉君            小野 義夫君            片岡 文重君            小松 正雄君            島   清君            山川 良一君            境野 清雄君            西田 隆男君            林屋亀次郎君   委員外議員            油井賢太郎君   事務局側    常任委員会専門    員       山本友太郎君    常任委員会専門    員       小田橋貞寿君   説明員    大蔵省銀行局総    務課長     福田 久男君    通商産業政務次    官       首藤 新八君    通商産業通商    繊維局長    記内 角一君   参考人    日本繊維協議会    理事長     奥  正助君    新光レーヨン株    式会社社長   賀集 益蔵君    旭化成工業株式    会社取締役   堀   深君    日本羊毛工業連    合会会長    吉田初次郎君    綿スフ機業会理    事長      安藤 梅吉君    日本綿スフ織物   商連合会副会長  立川  豊君    東京綿糸スフ糸    商協会理事   野口小吉郎君    日本人絹織物    同業会副会長  茂木 富二君    日本人絹織物    同業会副会長  前田 栄雄君    東京麻糸紡績株    式会社社長   石崎 石三君