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1951-07-20 第10回国会 参議院 通商産業委員会 閉会後第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年七月二十日(金曜日)    午後一時四十六分開会   —————————————   本日の会議に付した事件 ○通商及び産業一般に関する調査の件  (通産行政に関する件)  (繊維対策に関する件)  (資源開発対策に関する件)   —————————————
  2. 竹中七郎

    委員長竹中七郎君) 只今より委員会を開きます。  前回の当委員会におきましては、現内閣のいわゆる通商産業政策なるものについて極めて概略的な立場から説明を受けたのであります。従いまして、順序といたしましては、今回はその各論的な立場から個々具体案を承わり、これを順次検討して行くべきであろうと存じますが、前回委員会から今日までの間、僅かな間に情勢は著しく変化して参りましたことは、皆さんも御承知通りでございます。通商行政担当最高責任者である通産大臣が御交迭になられました。尤も大臣は代られましても、内閣経済政策の基調には変化はないかも知れません。併しながら、人おのおの個性と持味とがあり、新大臣といたしましても、新らしい時局に対応されまして、いろいろと御抱負もあろうかと存じますので、この際所信を十分表明して頂きまして、今後の通産行政の目標を明確にしておいて頂きたいと思うのであります。併し当委員会といたしまして、特に問題としなければならん点は、朝鮮事変の新たなる局面展開に伴いまする今後の通産政策如何にあるべきかという点であります。新らしい情勢我が国産業経済に及ぼしまする影響如何従つて又その対策如何という点につきまして、各方面意見なり予想が新聞或いは雑誌その他において賑わしておりますが、我々はまだ政府当局の責任ある言明に接していないのであります。本日はこの点につきまして通産当局見解を承わりたいと存ずる次第であります。何回の委員会説明のありました通産政策は、新しい局面を迎えまして修正を必要としはしないかどうか。生産増強一本槍政策で、今後の複雑多岐なるべき経済産業問題を全面的に解決して行けるかどうか。こういう点は我々が愼重なる態度を以ちまして、徹底的に検討すべき課題でありますが、かような複雑な問題を短い時間で糾明することは技術的にも困難でありますので、本日は、まず繊維産業を取上げ、これを一つのモデルといたしまして、当面しつつあります各般の問題を糾明することによりまして、我が貿易実相を把握すると共に、産業対策として如何にあるべきかという点に触れて行きたいと存ずる者であります。次に輸出振興に並びまして、常に問題とされておりまする国内資源開発、なかんずく地下資源開発対策につきまして通産当局見解を質したいと思います。それでは先ず高橋大臣から順次御発言を願いたいと思います。
  3. 高橋龍太郎

    国務大臣高橋龍太郎君) 私今回測らずも通商産業大臣に就任いたしました。よろしくお願いいたします。  通商産業大臣として当面の通商産業行政の基本的な方針について一言いたしたいと存ずるのであります。昨年六月に朝鮮動乱勃発して以来我が国貿易鉱工業生産も急速なる上昇をいたしました。即ち昨年の輸入は九億六千万ドル、輸出は八億二千万ドルに上つております。その他最近まで一カ年間に三億三千万ドルの特需の発注を見、又鉱工業生産指数も年間平均して戦前の九七%に逹し、本年一月乃至三月には戰前の一一八%に逹する等、相当の活況を呈したのであります。併し半面国内価格も又国際価格高騰を更に上廻る異常なカーブで上昇いたしまして、朝鮮事変勃発当時を基準として本年三月の卸売物価を見ますると、アメリカ一一七、イギリス一一九に対して日本は実に一四三という数字を示しておるのであります。かくのごとき国内価格の異常な高騰我が国輸出及び特需伸力相当の悪影響を及ぼしたのでありますが、特に最近においては国際的な景気中だるみ等影響を受けまして、輸出特需ともやや減退の傾向を示しておるのであります。申すまでもなく我が国経済自立のためにも、民主自由国家との経済協力強化するためにも、我が国工業余力を動員して生産増強を図ると共に、これを国際的に競争し得る価格輸出することが最も肝要であります。これがためには国内においてインフレーシヨンを抑制し、物価低位に安定せしむる方策を講ずる必要があるのであります。講和條約の調印の日も迫り、同時に占領以来継続せられていた米国の対日援助の打切りも既定の事実となりましたので、我が国名実共経済自立を逹成しなければならないのでありまして、今後の通商産業政策はこの経済自立の逹成を目途として輸出振興を根幹として諸般施策を強力に促進せねばならんと考えるのであります。以下右の基本方針に基きまして通商産業省として目下進めつつある個々施策について簡單に御説明いたします。先ず直接の輸出振興対策といたしましては、日英日独協定を初めとして、各国との通商協定を再検討し、協定貿易規模の拡大を図ること、輸出信用保険制度につきましては、各国の例を参考といたしましてこれが強化を図ること、優先外貨制度を新たに新らしい角度から再び採用する等の措置を講じております。特に東南アジア諸国との経済協力強化の前提としまして、プラント輸出促進のためには鉄綱価格低位安定が必要でありますが、これについては最近業界の自主的な協力態勢が着々実現しつつあることは意を強うするものであります。輸入につきましては一時に比べて保有外貨も窮屈になつて参りましたので、必要物資重点的確保を図る見地から外貨の効率的な運用を図ることに留意いたしまして、又国際的な割当統制物資輸入につきましては、その受入れに遺憾のないよう十分に考慮を拂わなくてはならないと存ずるのであります。次に特需につきましては、最近の朝鮮での停戦交渉成行き如何によつて多少の変動予想せられるのでありますが、一方においてアメリカの本国の軍拡態勢は着々本格化しつつあるので、いわゆる新特需が現実の問題になることも予想されます。諸般情勢を勘案して特需受入れを円滑にするための日本政府側態勢に遺憾のないように種々検討しつつあります。東南アジア経済協力の問題は、今後積極的に推進しなければならないと考えており、すでに現地の開発計画に関する調査、又各般の打合せを目的として日米合同使節調査団が派遣されております。具体的な案件としては、ポルトガル領のゴアの鉄鉱石開発を初め、各種計画について民間業者間の話合いが進んでおりますが、これらにつきましては政府としてできる限りの協力をいたし、その実現を促進いたしたいと考えております。申すまでもなく価格低位に安定して我が国商業国際競争力強化するためには産業設備を近代化し、企業合理化を図ることが最も重要な、又根本的な対策であります。通商産業省といたしましては、昨年以来産業合理化審議会審議を経て、合理化上必要な諸般の税制上の措置を講じたほか、合理化資金確保のため見返資金を初め、政府資金運用について努力を拂つて参りましたが、国際通商競争のますます激甚となろうとする最近の情勢に鑑み、合理化促進については更に一段の努力を沸いたいと考え、すでに合理化促進のための立法措置についても更に検討を重ねております。  次に、物資需給の問題につきましては、国内増産輸入促進によりまして均衡を確保いたしたいと存じますが、国際的な稀少物資につきましては、その入手が次第に困難となつて参りますので、これらにつきましては国内的に使用制限、或いは流用防止等措置を講じ、円滑な受入れに遺憾なきを期したいと考えておるのであります。  以上簡單に各施策大綱について御説明いたしましたが、次に特に最近の情勢に関連して一言したいと存じます。朝鮮事変成行きにつきましては、まだとやかく判断するのは早計でありますが、仮に停戰が成立いたしました場合には、世界景気にも若干の変動があり、従つて我が国経済にとりましても、輸出及び特需の内容の変化、その他多少の影響があると予測いたしております。  又この際特に触れたいことは、国内景気状況でありまして、昨年末から年初にかかり大規模輸入を実行いたしましたところに、世界的な景気中だるみが表面化いたしましたために、輸出入品ともいわゆる滞貨を生じ、一部には投売りのような事態を生じておりますことは御承知通りであります。通商産業省としては、もとより我が国物価の異常なる高騰が速やかに解消せられることを希望しているものでありまして、その意味においていわゆる思惑その他行過ぎの訂正はもとより歓迎するところでありますが、最近の事態は、物によりましては、すでに国際価格以下の値段で投売りが行われておる等の事態も生じており、輸入引取資金の適正な金融を図ることが焦眉の急となつて参りましたので、目下関係方面とこれが対策を熱心に検討中であります。又輸出につきましても、内外の情勢により、海外市場からの契約取消等も続出し、国内の不況も手伝つて一部輸出品滞貨を生じておる傾向であります。海外市場に対して輸出品の投売りが行われることは、従来の買い手に対し不測の損害を與えるのみならず、契約取消等を更に誘発する恐れがありますので、通商産業省としては、先般輸出貿易管理令の改正によつて繊維品等についての投売りの防止体制を整えたのであります。併しながら輸出調整措置のみを以てしては、価格の安定を期しがたいので、これに対応する金融措置についても目下愼重考慮を拂つております。  最後通商産業省といたしまして最大の関心を拂つておりますものの一つに、中小企業対策があります。今日のように景気変動の激しい時期におきまして、その煽りを最も強く受けるものは中小企業であります。通商産業省といたしましては、中小企業庁を設置いたしまして以来協同組合化促進共同施設補助奨励、直接の指導助成策と共に推進処置をいたしましたほか、信用保険制度の創設、見返資金枠設定等によりまして鋭意これが振興対策を講じて参つたのでありますが、今後はこれらの施策をより強力に推進いたしますことは勿論のこと、更に中小企業金融円滑化のため商工中金の拡充強化を中心といたしまして画期的な措置を講ずべく、目下急速に検討を進めつつあるのであります。  最後地下資源開発対策につきましては、後刻資源庁長官から詳細にお話することにいたしておりますので省略いたします。  以上甚だ簡單でありますが、当面の通商産業施策の概要につきまして説明いたした次第であります。
  4. 竹中七郎

    委員長竹中七郎君) では大綱につきまして、通産大臣に御質問のかたは御質問願います。それから各局長さんに御質問願うと、こういうふうに進みたいと思いますが、大臣に対する御質問をお願いいたします。
  5. 加藤正人

    加藤正人君 只今大臣から今後の通産省方針について縷々御説明がありました。全く非常に重大な時期でありまして、この際に新規に通産大臣に就任された高橋さんとしては、誠にやり甲斐のある仕事がたくさんあつて、ますます御精進のほどをお願いしたい。  目下只今お触れになりました問題のうち、最も重大だと私たち思います問題は、従来輸入原材料引取資金の問題が、我々繊維業界の大きな問題であつたのでありますが、これがまだ十分に我々として納得の行かない段階にあるときに際しまして、最近は輸出品海外引取りが甚だ緩慢になつて参りました。それは米綿作付反別の増大、収穫の大きいということに脅威を受けて、先安見越しのためにLCを送つて来ない。特にパキスタン、インドネシア等がそういう問題を起しておるのであります。これは従つて輸出業者貿易契約品を受取りがたい、受取つて輸出しがたいという大きな問題でありまして、この問題がかかるところは金融の問題でありまして、これに政府が適切な手を若し打たなかつたならば、繊維界に端を発して、日本経済全体の恐慌も或いは起るのではなかろうかと案ぜられるようなわけであります。今日は全く一日をゆるがせにできないような緊追した状態であります。にもかかわりませず金融を担当する向におきましては、最近のマーケット声明にありました滞貨金融は絶対にいかんということにとらわれておるようでありまするが、それは滞貨金融ではないのでありまして、物の動き、物の流れによる金融でありまして、これを滞貨金融と同一に見ることはできんと思うのであります。どうぞ原材料引取金融の問題も重大のことでありますけれども、同時に今申上げたLCを送つて来ないために停頓しておる問題を打開するための金融、それに対して適切なる御処置を願いたいのであります。それは甚だ時期が大事であります。タイムリーでなければならん。若しこれが一月遅れれば今百億円の金融で解決し得る問題も、遅れることによつて百五十億も要る、或いは二百億も要るというような問題になり得るのでありますから、先ほど大臣お話になりました通り引取りがないために止むを得ずこれを投売りするというようなことになりましては、ますます問題が重大化するのであります。又金融のやり方によつて日本ではもうすでにキャンセルに対する受入れ態勢ができたというように海外がこれを解釈して、ますます契約の尊重を怠るというようなことになりましては甚だ遺憾でありまするから、要は非常に緊急の措置をこの際お願いしたい。今お話がありまして十分認識をされてそれぞれ金融向きに向つて手を打つておられるようでありまするから、従つて私の申上げることは蛇足に類することかも知れませんが、事は甚だ重大であります。もとより原綿、ゴム皮革、その他いろいろな輸入資金も別途にありますけれども、これは当然の処置として別の問題として取計つて頂きたい。日銀当局の一部ではこの輸入原材料金融措置をとつてやれば、あとの問題は何とかなるというように考えておられる向きもあるようでありますが、これは大変見当違いな議論と我々は思われるのであります。要は非常に急ぎますから、この上とも大臣におかれましては就任第一の大問題として適切なる御処置をお願いしたい。こういうことをお願いいたします。
  6. 高橋龍太郎

    国務大臣高橋龍太郎君) 今の加藤さんの御意見私も至極同感なんですが、私としては……。そうして又その時期を考える必要があるじやないか、時期が重大な問題であるというお説、これも至極く私もそう考えております。その時期がかなり現在何といいますか、急迫しておるということも私同感なのであります。折角大蔵日銀面とも折衝をしておるのでありますが、なかなか思うように参りませんので弱つております。何分通産省も金を持つ因ておると楽なんだけれども、金がないので実に因る。なお十分一つ微力を盡してみます。
  7. 小野義夫

    小野義夫君 主として繊維品でありますが、又物によつて皮革とか、或いはゴムとか、その他のものもあると思うのですが、今加藤委員から説明せられました一時的の滞貨問題に対する資金のことにつきましては、我々も内々深く心配いたしまして、先般も特に日本銀行、或いは大蔵省、或いは通産省の諸君と共に一席の論議を交わしたのでありますが、併しなかなか結論に逹せざるのみならず、反対に我々の考えておるところと逆襲的な説明をも聞かされたようなわけであるのでありますが、そこで先ずこれは国民全体もその実相を知りたいのでありますから、ここにいろいろ資料を出されておりますが、この資料によりまして極く大体のところ、今日滞貨状態輸出状態それから船積関係、それからキャンセル等を大掴みにして今どれだけの滞貨があつて、それからどれだけのキャンセルがあつて、どれだけの契約があつて、そうしてこれに必要なる資金必要資金金融資金額等につきまして大まかにこれを一括して、この表を一見以てこれを説明し得るように簡單一つ大綱説明してその現状を明らかにして頂きたい。それから又これに対しての対策はどこまで一体その問題は進行しておつて大蔵大臣の紙上の発表によると、相当金融を付けるような方針であるというようなことも新聞紙上散見しておるのであります。併しながら一方に日本銀行はまだその時期尚早なりというような見解発表しておつて我々はこの問題はどこに解決点を求めておるのかがはつきりわからないのです。この点を一つ明確に、大臣でなくても官房長でも結構ですから。
  8. 竹中七郎

    委員長竹中七郎君) 次に只今小野さんからもお話もありますので、繊維局長から最近の繊維事情について説明を伺い、先ほど加藤委員からのお話もありますから、これに対しまする最近の繊維価格の暴落に対する対策キャンセル事情とその対策、動乱停戰後の需給見通し等この諸点について一遍説明を伺い、只今小野さんの御質問を一緒にお願いする、こういうことにいたしたいと思います。
  9. 近藤止文

    説明員近藤止文君) 繊維の最近の事情につきまして概略説明を申上げます。お手許に差上げました資料は最近の輸出関係状況価格変動状況概略表にいたしまして掲げたのでございますが、その前に只今委員長からお話がございまして、繊維の極く大体の概観を説明するようにということを言われましたので、その点を先ず第一に御説明申上げます。御承知のように繊維につきましては大体各種繊維に亘りまして朝鮮動乱勃発以来価格は急速に上昇いたしました。又同時に輸出の面におきましても相当大きな引合いが参りまして、本年の一月、二月、三月頃におきましては七、八、九月までは勿論、十月頃までの輸出契約ができるという状態であつたわけであります。これらの事情と並行いたしまして国内における繊維生産上昇の度合も急速に伸長いたして参りまして、これはたびたびこの委員会におきましても御説明を申上げたのでございますが、大体すべての繊維を包括して申しまして、昨年度に比べまして本年は五割の増産は確実に参るという見込でございますし、従来の六月までの生産実績から見ますと、五割以上約六割近くの増増ということになつておるのでございます。従いまして輸出内需両方の面から見て参りまして、特に内需方面におきましてはいわゆるドツジ・ラインによる資金の引締が、ございまして、一般国民購買力も余り伸長いたしておりませんので、大体すべての纎維につきまして或る程度需給のバランスがとれつつあるということが申せるのでございます。ただ只今までの繊維品価格は、従来生産が少くて、而も需要が多いという需給のアンバランスの関係から大体売手市場でございまして、価格そういつた面需要の強さによりまして相当高い価格が出ておつたのでございますが、だんだんこれらの価格が修正されまして、最近におきましては大体国際水準価格にまで下つて参りつつあるのであります。ものによりましてはまだ国際水準まで下つておりませんけれども、大部分のものにつきましてはその線にまで下つて来ておるのであります。そういつた点から考えて参りますと、大体国内におきましても生産コストというものを基準にいたしまして、将来一定の価格安定線が出て参ると思いますし、又輸出の面につきましてもそういつた線で安定いたしますれば、相当大きな輸出が将来期待できるものと考えておるわけであります。こういつた状況にあるわけでございますが、ただ御承知のように過度的の現象といたしまして本年の三月頃まで、これは朝鮮動乱影響ばかりとは申せないと思いますが、非常にうなぎ昇りに昇つて参りました価格が頭打ちになりまして、そうして同時にそれに連れまして国際事情の不安から最近におきましてはだんだん輸出状況につきましても、或る程度先細り数字が出て来ておりますし、又国内におきましても漸次価格が暴落して参る、特に卸関係におきましては、実際の価格をもつと超えまして思惑が入りましたために、一層大きな変動をして参るということになるわけでございます。  そこで最近の状況はどういうふうであるかということにつきまして説明を申上げますと、お手許に差上げました資料の一番初めに、輸出の従来の実績表が上げてございます。これは綿につきましての輸出実績表、これは大体が綿が主なので、綿について質料を作りましたのですが、この表を御覧下さいますと、大体今年の一月かち五月までに綿布の輸出いたされました実績は、四億九千四百万ヤール、約五億ヤールの輸出でございまして、六月も約一億ヤールの輸出がありましたので、上半期におきまして、六億ヤールの輸出があつたことになるわけでございます。ただこれは実際に船積みをいたしました輸出実績でございますが、契約の面を申上げますと、今後七月以降どのくらいの輸出契約ができておるかという点でございますが、七月にできております契約は九千六百九十万ヤール、約一億ヤール、八月が八千三百万ヤール、九月が九千七百五十万ヤール、この辺までは相当輸出契約が進んでおるわけでございます。それから先十月以降になりますと、急速にこの数字が減少いたしまして、十月に三千三百五十万ヤール、十一月が千百二十万ヤール、十二月が千八百万ヤールというように急激に契約状況は減少いたしておるわけで、ございまして、今後これらの輸出契約がどの辺まで進んで参るかということでございますが、これは見方によりまして非常に違うのでございますが、先ほどもお話が出ましたように、米綿収穫予想が本年は非常に見通しが明るいのでございまして、作付面積予想以上に殖えておりますし、それにつれまして収穫予想も約千六百五十万俵くらいのものが米綿としてはできるのではないかという見通しでありまして、これは八月八日に第一回の收穫予想発表になりますので、その数字を見ませんとはつきりいたしませんが、昨年に比べますと非常に大きな増産になるわけでございます。従つて現在米綿先物の相場につきましては、ニューヨーク市場におきましては十月以後三十六セントというような価格で、現在期近が四十四セントいたしておりますのに対して、約八セント安値になつておる関係がございます。そういつた状況国際市場に反映いたしまして、この米綿の落着くところを見極めるまではそう大量に輸出の引合が参るとは考えられませんが、併し大体米綿がこれだけ増産になりますと、今後綿の世界市場における安定点米綿に集中されるということになりますので、この米綿が安定したということになりますと、それを基礎にいたしまして相当輸出注文というものが参るものと考えておるのであります。やはり多少時期的に申しますと、九月或いは十月頃からになると思いますが、その場合には必ずしも本年の初めに行いましたように半年も先物契約するということでなしに、期近のものを相当注文されて来るというように考えるのであります。ただその場合の価格の問題、或いはどのくらいの数が出るかという問題は、予想が非常に困難な問題でございまして、特に価格がどこに安定するかということが、現在の日本綿製品価格がまだ国際価格に比べて見ますと、多少割高の状況にございますので、それがどういう形でさや寄せされるかというその経過的な問題が今後相当深刻な問題として出て参るのじやないかというように考えられるわけでございます。で上半期におきましては非常に順調な輸出をいたして参つたのでありますが、本年の下期には日本綿業にとりましても相当大きな試練の時期であるというように考えるのでありますが、そこの見通しといたしまして、必ずしも極端に悲観をする必要はない。むしろ安定して参りますれば、今まで控えておりました注文が一遍にこちらに参るということも考えられますし、又イギリスアメリカあたり輸出余力というものは昨年に比べまして、むしろ減少いたしましても増加するようなことは殆んどあるまいと考えられますので、その点では明るい見通しもあるものと考えておるわけであります。  そこで綿以外のものにつきまして大体どういうふうな輸出実績になつておるかということでございますが、これはお手許に差上げました資料の三枚目に人絹糸人絹織物スフ綿スフ糸スフ織物、綿糸これの輸出実績が掲げてあります。それでこの数字を御覧下さいますと、大体人絹或いは人絹織物につきましては、本年の五月までで人絹糸のごときは、昨年の一カ年の輸出実績程度のものを現に輸出をいたしております。金額的に申しますと、昨年よりは三割五分上げくらいの価格で売れておりますので、人絹糸なり、人絹織物というものは本年の上期の輸出実績は非常に良好でございます。又スフ綿スフ糸等につきましてもかなりの実績を攻めておるのでございます。スフ織物と綿糸につきましては、それほどの実績は上つておらんわけでありますが、全般的に申しまして、綿以外のものにつきましても、輸出の従来の実績相当よかつたのでありますが、ただ問題は、人絹なりスフ糸につきましては価格の問題がございます。一時人絹糸につきましては一ドル三十五セントぐらいまでの高値の輸出があつたのでございますが、最近におきましては八十三セント乃至八十セントの輸出契約価格になつております。これは昨年の価格に比べますればまだ約二割以上高いのでございますが、昨年の朝鮮動乱前の頃に比べますれば二割以上高値でございますけれども、一時の非常な高値に比べますと、かなりの低落でございまして、その間に輸出契約の無効の問題が起つたのでございます。人絹関係につきましては、量が比較的僅かでございますので、余り先物を受けてございませんでしたので、輸出商と生産者の間におきまして、適当に棚上げ措置を講じまして、価格からのキヤンセルの被害を実は未然に防いだような措置をとりまして、このほうは現在問題は余りございません。むしろ今日八十セント以上の輸出ができますれば大体七十七セントぐらいがアメリカ価格でございますし、イタリーの糸はインド市場におきまして八十一セントぐらいでございますから、比較的有利な輸出が今後もできるのじやないか。而も最近ぼつぼつ約定も入つておりますので、人絹糸なり人絹織物輸出につきましては、余り綿ほど大きな問題は残つていないというように考えるのであります。  なお、これに関連いたしまして、キヤンセルの状態がどうであるかという御質問がございましたのでございますが、このキャンセルの問題を御説明いたしますことは、数字的には非常にむずかしいのでございまして、或る程度推定をいたしまして、このくらいはキャンセルになり、又持越しになつたのじやないかということを申上げるよりいたし方がないのでございます。それは従来の例から申上げましても、綿布につきましては大体一定の期日までにLCが参りませんようなケースは、昨年におきましては毎月一千万ヤールぐらいずつあつたのでございまして、これは必ずしもキャンセルとは申せないものもあるわけでございます。つまりバイヤーのほうで仕向け先を変更するとか、或いは取引の関係上支拂を延ばして、同時に引取を又延ばして来る。まあいろいろな條件がございまして正確に先方からキヤンセル……、一方的に破約をして参つたものがどれだけという数字はつかみにくいのでございます。但し一定の期日までにLCを開いて来なかつた数字がどれだけであるか、これを機械的に集計いたして見ますと、まあその中で転売されますものも相当ございますので、全部がキャンセルになるということにはならないと思いますけれども、大体の数字はつかみ得るというように思うのでございます。この数字で申しますと、本年の一月から三月くらいまでは大体一千万ヤールから一千五百万ヤールの間でございまして、昨年の例と殆んど変りがないのでございます。今年の四月、五月に入りましてこの数字が二千万ヤールを超える数字になつてつておりますのでございますが、これは実は直接的な原因がございまして、これは明らかにキャンセルと見られるものが殖えたと思うのでございます。その内容は台湾に対しまして金巾の輸出約定が相当量あつたのでございます。ところが台湾におきまして外貨資金の不足と、肥料その他直接緊急に必要なものの輸入のほうにその外貨を振り向けましたために、約一千万ヤールくらいできておりました綿布の約定物につきまして、全部向うからLCが開いて来ないという例があつたのでございます。そのために四月、五月の数字相当殖えておるのでございます。六月に入りましてどのくらいのキャンセルがあるかということにつきましては、まだ正確な数字はわからないのでございますが、大体大雑把に見まして、従来輸出契約がありまして、ほかに転売その他の措置をいたしましてもなお且つ七月に持込まれたのであろうという綿布の数量は、大きく見ますと五千万ヤール、内輪に見ますと三千万ヤールぐらいのところではないかということになつておるのでございますが、これは毎日毎日或いは国内に売られましたり、ほかに転売されたりいたしますので、正確な数字をつかむことは困難でございますが、大体そのくらいの数字じやないかというように思われるのであります。そこで問題は先ほども申上げました七月九月の間における約定物についてどのくらい今後LCが送つて来られ、どのくらいいわゆるキャンセルになるかという問題でございますが、これは現在までの状況につきましては、実は大雑把な概括的な数字は、大阪あたりで調べましたもので、あるのでございますが、具体的に調べ上げましたケースと相当つておりますので、この数字最後的のものであるかどうかということはわかつておりませんのでありますが、今日七月の月半ばまでに参りましたLCの到着しております割合は、大体三割五分だという話でございます。これは社別に見ますと、六割を超えておるようなところもあるようでございますし、事情を少し調べなければわかりませんが、そのくらいの見当のようであります。八月、九月につきましては、大体二割五、六分或いは二割二、三分くらいのLCが参つておるのであります。そのほかのものはまだLCが未到着でございます。  そこで通産省といたしましては、成るほど七月、九月の契約は実は過去におきまして一番高値の契約でございますから、キャンセルをされる可能性は相当あるのでございますが、これをできるだけ契約を履行してもらうことにいたしまして、その代り先の商売と、紐付きと申しますか、絡み合わせまして極力この契約の相手方に履行させる。特にこの売先は先ほど加藤委員からお話がありましたように、パキスタンとインドネシアでございまして、パキスタンあたりにおきましては、これ以上もう日本は値を下げて来ないのだということになれば、相当程度取るだろうという見込をする人もございますし、又非常に輸入業者が不確実だから、これが実行されるかどうか危ぶないというような話もあるのでございますが、とにかく日本はあすこが綿花を買います一番大きな得意先でもございますし、何とかこちらの態勢を整備いたしまして、極力キャンセルの出るものを少くして行きたいという方針から、先ほどちよつと大臣からも御説明申上げましたように、この度輸出に……、これは綿ばかりではございませんが、綿、人絹、スフにつきましては、輸出の承認制を布くことにいたしまして、極端に安売をいたしますようなものにつきましては、これを防止いたしまして、できるだけ輸出価格というものが急激に変化しないというような線に持つて行きたい、こういう措置をとることにいたしたのでございます。同時に現在これらのLCがまだ参りませんで、而もなお手持ちになつておるようなものにつきまして、できるだけこれを先に延ばす、繰延べましてほかの契約に振り当てるということを考えまして、この間の金融の問題につきましていろいろ関係方面とも折衝いたしておるわけでございまして、大臣にも極力その点はお骨折を願つておるわけでございますが、大体そのやり方といたしましては、現在貿易会社と輸出商との間において考えられておりますような方法によりまして、できれば二月ぐらいこの際決済を延ばすような形で資金をつけまして、そうしてとにかくこちらとしては安売は絶対にしないのだという態勢をはつきり向うに見せまして、極力高値の契約のものを向うにとらせるということにいたして参りたいというように考えておるわけでございます。  それから綿以外のものにつきましてキャンセル数字がございますけれども、これは先ほど申上げましたように、大体期近の約束でございまして、而も生産会社と輸出商との間でほぼ話がついておりますし、又そのキャンセル数字も極めて僅かでございますので、特にこの点につきましては融資の問題は現在起つておりません。ただこの後にございます問題は、化繊会社の運転資金が原料の仕入れの問題と関連いたしまして相当困難をいたしておりますので、このほうは別個に個々の会社につきまして日銀のほうで調査をいたしまして、大体七月の分につきましては或る程度の話合いが現在つきつつあるようでございます。まだ最終決定まで参りませんが、或る程度化繊会社に対する運転資金の融資の問題はできるのじやないかというように考えておるわけでございます。このほうの問題は解決する見込みでございます。  大体最低の繊維事情只今申上げましたようなところでございまして、かなり将来むずかしい問題があると思うのでございますが、できるだけこれらの点につきまして円滑にこういつたものが伸びて参りますように努力をいたしたいと考えておるのであります。なお御参考までに申上げますが、繊維品価格の問題につきましては、朝鮮動乱以降の価格の暴騰は非常に極端でございまして、御承知のように人絹糸につきましても一ポンド五百円を超えるような時期があつたわけでございます。現在は大体二百五、六十円のところに落ちついておるわけでございます。その場合に一体生産コスト関係から申しましてどうなるかという問題でございますが、大体におきまして繊維品につきましては現在の下つた価格でなお生産者は相大当きな赤字を背負つておるというような状態ではございませんで、大体原価をペイしてかつかつというようなところが一番低いところでありまして、ものによりましてはまだ或る程度の利潤が含まれておるような価格になつておるのであります。ただそれだけに価格を動かす幅が大きいということから、変動が大きくなるという可能性があるわけであります。  大体の状況はそういつたようなことになつておるわけであります。
  10. 竹中七郎

    委員長竹中七郎君) 何か御質問ございませんか。
  11. 小野義夫

    小野義夫君 只今お話で六日以降七月に、七月を含めてキャンセルの量は四月五月で二千万ヤールでございますから、六月だけで大体三千万ヤール乃至五千万ヤール、それから七月以降ははつきりつかめないかとおつしやるのですが、お話で大体六五%もあるようにも聞えたのですが、そこの点もう一遍御説明願いたい。
  12. 近藤止文

    説明員近藤止文君) 御説明が十分でなかつたので誤解をなすつておるようにも思いますので、もう一遍御説明を申上げます。キャンセルの問題につきまして申上げましたのは五月まででございまして、つまり一月、二月、三月あたりは大体昨年と同じくらいの数字がいわゆる形式的なものでありますが、LCを一定期日までに開いて来ないという数字は、大体昨年の実績と同じくらい、二千万ヤール台であつたのでございますが、四月、五月につきましてキャンセルが、いわゆる形式的なキャンセルでございますが、これが二千万ヤールを超える数字なつた。これは結局先ほど申上げました台湾のLCを開いて来ないものが一番大きな原因であつたのでございますが、そういう数字でございまして、六月の数字はどのくらいこういうことがあつたかということはまだわからないのでございます。そこで先ほど六月に少く見れば三千万、大きく見れば五千万と申上げましたのは、大体一月からこれをずつと続けまして、六月末にいわゆる契約があつたけれども、それがLCを開いて来ないとか、その他の事由で品物で溜つておるものが三千万乃至五千万六月末現在あるということでございますが、六月中のキャンセル数字とは違うわけなんでございます、それから七月以降の数字につきましては、これは今までにLCを開いて参りましたものの率を申上げましたので、八月、九月につきましては勿論今後相当量開いて来るはずでございます。大体デリヴアリイをいたしますすぐ前にLCを開いて来るというのが普通でございますから、八月、九月については相当量開いて来る可能性もございますし、又七月分につきましても、調べが大体七月の十日頃に、月半ばくらいにこれくらい来るだろうという見当で調べました数字でございますから、その後に参りました数字が調べ上りますと七月の分にについてはもつと大きなLCが開かれて来るというように考えられるわけでございますが、現在のところそのはつきりした見通しがつかないということを申上げて置きます。
  13. 小野義夫

    小野義夫君 そうしますというと、六月の先ほど三千万乃至五千万というのは、一月以降六月に至る滞貨の総数量、いわゆるまあ引取らない、未引取りで滞貨なつた数量が三千万乃至五千万であると、こうおつしやるのですか。
  14. 近藤止文

    説明員近藤止文君) はあそういうことです。
  15. 小野義夫

    小野義夫君 そこで今度六月から七月以降今既契約の量に対してはだんだんLCが来るからとおつしやるのですが、絶対に、これを普通に、昨年度においても七月乃至三月では一千万ヤールのキャンセルがあつたんですし、四月は台湾の関係でアブノーマルであつたとしても、そのうちの一千万くらいは最も普通の状態においてキヤンセルする、そうするとまだあと既契約に起り得べきものも大体普通の状態において想定がつくのではないか。又今度の特殊事情によつて米綿の暴落その他の関係から新らしい契約と紐付きにするというけれども、これは商売技術で大体のところを言えば一応キャンセルは高値キャンセルで、新値の安値の新商売が起るのですから、これはやはりキャンセル量というものはやはり毎月数百万ヤールを見込まなければいかんのじやないでしようか。それはどうでしようか。
  16. 近藤止文

    説明員近藤止文君) つまりお話のように、七月、九月におきましては日本輸出契約は一番過去における最高であります。従つて買手のほうから行けば成るべくキャンセルをしたいという、特に米綿関係その他ございますから、先行の見込みからいつてキヤンセルしたいという気分が非常に強い。そこで七月、九月につきましては、従来と違つて或る程度今度の事態を織込んだ相当多量のキャンセルが出て来る虞れがあるということなんでございます。従つて商売上の問題ですから、先の物と抱合わせてどうこうと申しましても、場合によりましては向うが一方的にLCを開かずにキャンセルしてしまうということが起りますから、こちらとしては、できるだけ高値の契約でも向うに取らせまして、その代り今度の商売でそういつた過去の埋め合わせと申しますか、話合を付けるというような方向で全体の解け合いをするというようなことは非常にむずかしい問題になりますから、そういう個々のケースについて相手方と話合つて話をつけてもらいたい。その代りここでこちらが安売りをしないという態勢を示すということで輸出承認制などをひいたわけでございます。  それからもう一つの問題は、高値の契約でも英本国が買つておりますものにつきましては、キャンセルが絶対にございません。これは一〇〇%LCを開いて来ておるのであります。これは英本国が屑綿布を買いまして、向こうで加工してアフリカその他へ出すものでございますが、これはやはり商売道徳が非常に固いと申しますか、一つキャンセルなしにLCを開いて来ておるのであります。ただ問題はインドネシアかパキスタンに相当多量の契約がございますが、このほうがLCが来ないのでございますが、これも全部開いて来ないというのではないので、或る口については開いて来て、片一方は開いて来ないというような関連性がございまして、どのぐらいになるかという見込みが非常にむずかしいのでありますが、少くとも七月、九月におきましては従来よりも異常なキャンセルということが起るのじやないかという懸念を持つておるわけであります。
  17. 小野義夫

    小野義夫君 これに対する金融ということも無論必要でありましようが、業者が数千万ヤールその他のものを抱え込んで、将来の生産と見合わせてどういう対策をとろうということを、業者は当局説明されておるのですか。
  18. 近藤止文

    説明員近藤止文君) 実は正式に私のほうへ、まだ言つてつておりませんので、また聞きでございますが、今業界で考えられておりますことは、今後輸出の先行きの見通しの問題が勿論関連いたしますが、業界といたしましては、この際滞貨となるべきようなものにつきまして、二カ月くらいの何と申しますか、金融措置によりまして、引延しをいたしまして、その間にそういつたものの捌きを付けて参る。これだけの措置をとれば、大体今の輸出承認制の実施等と伴いまして、綿糸布につきましては、大体輸出の問題としては問題が解消するのじやないか。ただその点が早急に解決いたしませんと、結局中に投げる人ができて来るというようなことで、市場が混乱いたしますので、早急にそういつた約二カ月の繰延べということを急速にやつて欲しいということを言つておるそうでございます。
  19. 小野義夫

    小野義夫君 そうしますと、その二カ目の手形融通、その金額はおよそどれくらいを要望されておるのですか。
  20. 近藤止文

    説明員近藤止文君) これは正確には私のほうではまだわからないのでありますが、大体七月、九月の間におきまして、まあLCは開いて来ない、つりまキャンセルになる数字の見込みによりまして金額が違うのでありまするが、業界のほうでは二百億円という数字を言つてつております。
  21. 小野義夫

    小野義夫君 そうしますと、米綿の問題でありまするが、仮に十月頃三十三セント、現在に比べまして約十セントも安いというものに対する業者の手当、高い原料をやはり業者は掴んでおるのですが、そもそも安い原料を掴んでおつて、今日製品が、一時は非常に予想外の利益を挙げておつて、それが今度こういう状況に入つたのでありますか。それとも相当の高値の原料を思惑輸入しで、それが現状のような相場になつた場合に、相当予想利益が入つた、非常に著しく入つて来たのみならず、次の商売というやつはつまり高いものを買つたり安いものを買つたりするのが商売だから、三十三セント以下の米綿をうんと買付けることによつて、そうしてうんと、平均する原料を考えたときにおいて、私は相当のまだ利潤を見込むことができるのじやないかと思うが、その点はどうですか。
  22. 近藤止文

    説明員近藤止文君) 綿につきましては、従来政府で綿花の買付をいたしておりまして、紡績会社に拂い下げをしておつた時代があるのでございますが、このときは原綿の価格が非常に安うございまして、而も輸出価格等は相当高かつたのでありますから、非常にまあ大きな利潤があつたわけであります。その後政府で綿を買わないことになりまして、民間で綿花の買付をすることになりましたのと大体時期が同じでございますが、米綿の非常な不作がございまして、世界的に綿花が足りないということから、米綿ばかりではございませんが、米綿が主なんではございませんが、それ以外の国の線の価格が非常に暴騰したのであります。パキスタン或いはブラジル、メキシコあたりの綿が非常に暴騰いたしまして、これは思惑で買つたのではございませんで、生産をするために止むを得ずそういつた高い綿を買うことになつたのでありますが、そういつた高い綿でも、なお且つ最近までの輸出価格から申しますと相当の利潤があつたのでございます。そこで現在ではそういつた高い綿を相当紡績は抱えておるわけでございまして、現在の行われておる輸出価格でありますれば、勿論採算的に赤字になるようなことはないのでございますが、将来、先ほど申上げましたように米綿が十月頃、現在三十六セントという相場でございますが、そういつたようなところで製品価格が鞘寄せになつて参りますと、一時的には、採算上も不採算な場合が起つて来ると思うわけであります。又期待利益が非常に小さくなる。併しこれから先これはアメリカ日本にどれくらい割当になるかわかりませんけれども、割当されます米綿につきましては、相当格安なものが手に入るということになるわけであります。
  23. 小野義夫

    小野義夫君 綿糸に限りませんけれども、余り高く売ることについては、いわゆる日本の低物価政策及び高くしちやいかんという日本のいわゆる輸出貿易に非常に前途に暗影を接げるものだということを、盛んに一面から高いほうについてお小言がある。そうかといつてこれを安いほうに売つたら、どんどん仕方がないから金詰りだから叩き売るということに出ると、いわゆるこれは国際秩序を、いわゆる乱売措置によるものであつていかんということになる。高く売つてもいかん、安く売つてもいかんということになるのだからそうすればこれはどうしたつて政府は、承認制は非常結構なものだと思うのですが、そのほかにこの商行為の間に、どうしたところがいろいろ呼吸がある。波が起るのであるから、これに対してはどうしても適当なる、ひとりこの何に限りません。貿易なんというのはもう足下を見るのですから、日本人の手のうちなんていうものは世界の人が研究しているから、何の札を持つているというのはよく知つているのだから、従来いつも損ばかりさせられている。大体からいうと、それは労賃の安いということでしわ寄せしておつたものが、今度労働基準法があつて、そこのほうへしわ寄せできないようになつている。でありますから今後の商売に対する政策というものは、よほどうまくお手のうちを読まれぬような、まあそれは仕方ないかも知れません。何もないのだから。けれどももつとそこのところをやはり金融なりあらゆる面において非常な画期的な施策を要するのではないかと思うので、これは甚だ自分の意見を申上げたのですけれども、局長の御意見はどうですか。
  24. 近藤止文

    説明員近藤止文君) 誠にお説の通りであります。(笑声)
  25. 加藤正人

    加藤正人君 我々紡績業者は、九月の問題は暫くおいて、七、八月として約百五十億、これに対して滞貨金融を以て、つまり物の流れによる金融をやつてもらいたい。これで先ず業者を精神的に安定をさして行く、投売りというような措置をするようなことのないようにするというのでありますが、大体においてこういう安心を與えておけば、問題はケース・バイ・ケースで解決を見るというと、案外百五十億が妥当なる数字だというのでありますが、ここで必要だと思われますことは、デステイネエシヨンの、例えばパキスタンとかインドネシヤの輸入商の態度というような点についての調査、これは日本輸出商の出先の機関もまだ十分でないのでございますし、これらについて十分調査されておられるのでありますか。その辺について政府のお考えを承わりたいと思います。
  26. 石井由太朗

    説明員(石井由太朗君) 只今質問のございました相手方の商社の誠実さというようなことを調査しているかというお話でございます。この問題につきましては、私どもといたしましては、かねがね通商輸出振興の一番の基盤であると考えまして、年々経費の要求等もいたしておつたのでありますが、何にいたしましても、実は政府でこのような調査を直接やるということは、これは非常に強い商業取引の関與と申しますか、というような非難もございまして、従来いたし得なかつたのでございます。事実在外事務所もございませんし、適当な出先機関もないという状況でできなかつたのでございます。但し最近これは事情は若干違いますが、我がほうの輸入につきましてアメリカ方面からは、価格が暴落いたしましたために、我がほうの輸入商がキヤンセルしておる。或いは信用状を開かんという事情につきまして、これは占領国であるからであると思うのでございますが、非常に強い照会が参つております。そうして逐一信用状の開設を忌避するような業者を調べておるようでございまして、先方ではこれを発表するということを申しておる由でございます。このようなことは既定の契約を履行いたしますることは、これは商業道徳の上から申しましても、先ほど小野委員のおつしやいました国際秩序ということからいいましても当然のことでございますので、何らかの方法によりましてできるだけ正確に各国の業者の状況を把握し、いろいろそれを国内の業者に知らせるということをいたしたいと考えておるのでございますが、政府みずからやることはいろいろな問題もございますので、将来の政策といたしましては、政府の補助をいたしております機関でございますが、海外市場調査会の事業といたしまして、できるだけこれをいたしたいと考えておる次第でございます。
  27. 加藤正人

    加藤正人君 日本の自立経済の点から申しましても、輸出が重要なる基盤でありまするから、今後とも輸出貿易によつて経済を立てて行かなくちやならん非常に重要な関係にある日本でありますから、輸出先という問題については非常に入念に調査する必要がある。これは占領国であろうが何であろうが、これは取引であります。今局長お話のあつた英国商社のほうには余りさような不信用な態度はないというようなお話がありましたくらいですから、この際政府直接やることが憚りあるならば、今のような機関を通して例えばブラック・リストを作るとか何とかいうような方法を講じないと、ただ漫然とこのまま推移しておつては、将来非常に脅威を受ける場合も又繰返されるのじやないかと思います。この点については適当な御処置を願いたい、かように考えます。
  28. 竹中七郎

    委員長竹中七郎君) 誰かほかにありませんか。
  29. 山川良一

    ○山川良一君 別の問題でいいですか。……それでは新大臣一つお願いいたします。  実はむづかしいことでありますが、私は通産行政を強力に一つ推進して頂きたい。それから先般司令部から石炭業者の代表者みたいな者、出て来いという話がありましたので、今日十時から六人ばかりで行つたのであります。これは新しく生産担当をされることになつたディレクターのクラス氏から言われたのであります。そして言われたことは、自分も炭鉱をやつたことがあるので、炭鉱のことはわかつておる。そして日本の主な炭鉱も一通り見ているから、日本の炭鉱の姿もよくわかつているのだ。従つて一昨年の統制解除以来、お前たちの努力したこともわかつておる。併しまだいろいろ解決してやらなければならん問題があるから、それらについて打合せをしようじやないか。それで毎週金曜、まあ今日を第一日として、毎週金曜日にそれをやりたい、どうかというお話がありました。司令部のほうでも大体すべてのことを日本側に任せるようにしたいという意向があるらしいことは大臣みずから御承知と思いますが、私どもも承知しておりますが、実はいろいろ問題はありますけれども、日本側で片付けますから、いよいよ困つたときにはお願いに上りますけれども、毎週するほどはないでしようとお答えしたいのでございますけれども、実際はそうなつていないのでございます。例えばこういう表が、炭政局で作られた石炭という問題があります。第二行目の下のところに税制とか炭住とか書いてありますが、この税制の問題、これはもう日本側でも幹部のかたは方針は一応了承はれておるのであります。炭住の問題も大体そうであります。ところが内容は司令部のほうが先に了承されて、逆に日本側にこうしたらどうかと、相当具体的の内容を以てまあ指示とまでは行きませんが、指示に近い話があつたのであります。それも相当長い期間に亘りますけれども、具体的に進んでいない。実は向うから言われたのは、そういう問題を知つているから何とかしなければならんだろうと言われたように察せられます。これは察せられますということにしておきます。で、私どもは実はもう講和を目前に控えて司令部のほうにいろいろ直訴はしたくないのでありますが、実は日本側でいろいろ果して、いけないときには司令部によく直訴に行きます。これは單に石炭ばかりではありません。私は直訴はしたくないのですが、日本側で片付けるから御安心を願いたい、あなたがたの要求通り石炭は出しますということはちよつと言えないのであります。それでせめてその打合せには資源庁と安本の生産関係の人と一緒になつて相談したほうが早いだろうと、こう言つたのでありますが、それでそういうふうにして生産者と直接話をして、何か問題がきまつたら、その問題に関係のある人を、司令部の人を呼んで、その席で解決してやるということなんです。私どもは日本政府で大体それはできるのだということを、いろいろなことを言いたいのですが、今日は余り問題を出しておりません。いろいろ問題あるのだけれども、自分で石炭掘つてやりたいのだが、けれども何でもかんでも持ち込みたくない。問題を整理して持つて来ますと言つております。日本政府通産省、安本にいろいろ関係あります問題がたくさんありますので、日本側で片付けるから、今向うから問題出されても、それは心配ありませんと言いたいのですけれども、実際は現在の実情はそうなつておりません。ところが、毎週一回でありますので、よく打合せをして、向うに問題を持ち出すこともできるし、或いは出されたところの返事に行こう。  実は私は十年間ばかり日本の石炭の生産には直接間接に関係して参りましたが、最高司令官自身非常な関心を持つて、いろいろな政策を強力に推進されたときにも、毎週打合せをやろうというようなことは未だ曾つてなかつたことであります。これは政府がやつております水曜の常例会談以外にないと思いますが、講和を目前に控えて、お前たちが十分やつておることは認めるけれども、なお応援してやらなければならんから何でも持つて来いと言われたのは、私自身も石炭業者として残念に思うのであります。併しそう言われましたので、又そうしなければできないので、成るべく早目に、そうしないでも日本側で片付けるということに一日も早くなることを私どもは期待されるのであります。それには私どもだけじやいけませんので、そのときにも私詳しく言つて来やしたのですが、すでに司令部のほうが先に了承したことも日本側でなかなか片附かんこともある。併しそれは向うで言われるのですから、そういう点については早く片付けまして、成るべく早くお世話にならないようにいたそうと言つて来たのでありましたが、事実そうなつております。ちよつと応援して頂くのは我々生産業者としては嬉しいことでありますが、日本の現状、私が考えておる姿から見まして、非常に残念に思つたのであります。新大臣はそういう点よく御承知だと思いますが、細かい点はともかくといたしまして、石炭生産については日本側で片付けるからとおつしやつて頂く日が一日も早く来るようにお願いいたします。
  30. 竹中七郎

    委員長竹中七郎君) 丁度資源庁長官の始関さんが来られましたので、……石炭問題ですね。
  31. 山川良一

    ○山川良一君 お答えはなくても……。
  32. 竹中七郎

    委員長竹中七郎君) 一遍……全体の問題が今日の議題になつておりますから、お話を願つて、それから全般に移りたいと思います。
  33. 始関伊平

    説明員(始関伊平君) 地下資源の問題につきまして御説明を申上げたいと思います。  最初の問題は石炭の生産需給の問題であろうと存じますが、石炭の生産は御承知のように二十五年度におきましては三千九百三十三万トンでございます。二月にストライキがござまして、その減産が八十五万トンでございましたが、これを仮になかつたものといたしますと、四千万トン以上になります。当初の目標通り生産を逹成いたしたことに相成ると思います。二十六年度におきましては、業界と御相談をいたしまして、大体四千四百万トンという生産目標を一応立てたのでございますが、これの第一四半期におきまする実績は千七十三万トンでございまして、これは四千四百万トンに相応いたしまする第一四半期の計画が千七十万トンでございますので、丁度その程度になつております。一〇〇%を少し上廻るという勘定になつております。御承知のように昨年の今頃におきましては大体四百五十万トン程度の貯炭がございました。むしろ貯炭が多過ぎまして困たつのでございましたが、朝鮮事変以来産業界の活況によりまして、今年の二月になりまして貯炭が百五十万トン足らず、更に五月には百二十五万トンということに貯炭だんだん減少して参りまして、正常な貯炭量を大体二百四、五十万トンというふうに押えてよろしいと思いますので、只今ではその正常貯炭量の殆んど半分しか貯炭がないという状況でございます。今後の見通しといたしましては、只今朝鮮でやつております停戦交渉の成立によりまする影響を十分に見究めまする必要がございますけれども、只今状況では、いずれにいたしましても石炭業界努力によりまして、四千四百万トンの線に乗つておりますけれども、更に若干のものが不足ではなかろうかということに考えられると思うのであります。そこで石炭業界のかたといろいろ御相談をいたしまして、この四千四百万トンに対しまして更に百万トン程度くらいの増産ができないだろうかということを只今考えておる次第でございます。四千五百万トンといたしますと、昨年度の実績に対しまして大体一五%ばかりの増産に相成ります。石炭の歴史の上におきましてこういう大巾の増産は従来例が乏しいようでございまして、而も鉄道の輸送力等の関係を考えますと、この夏場におきましてできるだけの増産をいたしまして、これを輸送しておく、四千四百万トンの場合におきまする第二四半期の出炭目標は千二十万トンでございますが、これをでき得れば千八十万トン、乃至は千百万トンぐらい生産し、且つ輸送するということが非常に望ましいというように考えまして、そういう線で業界のほうと御相談いたしております。只今申しましたように昨年度に比べまして相当大巾の増産でございますので、これにつきましては相当の問題が多々あるわけでありまして、先ず何よりも先に輸送が確保されなければならないのでございますが、鉄道といたしましては、夏期における増産に対応する輸送増いう問題につきましては全く同じ意見でございまして、その方向によつて只今いろいろ努力をしてもらつているような次第でございます。なおこの増産を可能ならしめるために、例えば開発銀行の設備資金の貸出しの時期を成るべく早めまして、できるだけ早い機会に貸出しをしてもらう、将来枠を拡大する時期がございますればこれを殖やす。それから外国から機械等を輸入いたしますための外貨資金の割当でございますが、これは第二四半期におきましては四十数万ドル割当てられましたが、なおこのほかに古レール、これは国内の供給では足りませんので、この外貨資金の獲得につきましてもできるだけ早い機会にやつてもらいたいと存じております。  それから資材の確保或いは電力の問題でございますが、このうちの一番問題のございます枕木等につきましては、坑木につきましては官有林の拂下げの場合におきまして優先的拂下げをする、指名入札のやりかたをするというような方法によりまして、なお各方面の御協力によりまして、森林法の施行の後におきましてはいろいろ問題もあるかと思いますが、差当りは一応問題がないというふうに了承いたしております。先ほど申しましたようにこの朝鮮事変の成り行きに伴う影響の見通上がはつきりいたしませんが、いずれにいたしましても、四千五百万トンでもまだ石炭が足りないという問題があり得ると思うのであります。この問題につきましての考えかたでございますが、特に石炭の不足は差当り電力用炭というところに集約をいたしているように思われます。電力用炭につきましては、実はこれは只今の自由市場であるという関係、電力再編成によりまして国家管理がないというような関係等からいたしますと、政府で特別に斡旋などをやる必要もないということも一応理窟上言えるのでございますが、非常に緊急の問題でもございますので従来いろいろ我々のほうも石炭協会と連絡をいたしましてこれが確保の問題につきまして協力をいたして参りました。電力用炭は昨年度は四百四十万トンという実績でございます。これに対しまして本年度公益委員会の御要求は御承知通りでございますが、石炭協会のほうで各業者に当られまして、このぐらいは出せるだろうという数字を積み上げましたものが一応年間五百五十万トンということに相成つております。この五百五十万トンは昨年度の二五%増、全般的には先ほど申しましたように一五%でございますが、二五%増という数字になつているのであります。只今山川さんからお話がございましたようにいろいろ増産の問題につきましては問題がございますが、仮にどういう手を打つて見ましても、地下資源状況からいたしまして昨年度の一割五分或いは一割六分になるかも知れませんが、そう伸縮自在に生産を挙げるようなわけには参らないというような観点からいたしますと、必ずしも五百五十万トンということに限定いたしませんでも、それにそう近い限度しか電力には焚け得ないのではなかろうかというようなふうに考えざるを得ないと思うのでありまして、若しそうでなければ石炭についての全般的な統制が必要になるというふうに考えられるのではなかろうかと存じます。  なおこの電力用炭の問題も含めまして、石炭の需給が当面非常に逼迫しているということからいたしまして、只今承知のように石油類、重油類などの輸入が割合に順調でございますので、これを石炭に代えて使うというようなこともいろいろ検討をいたしております。ただ残念ながら火力発電所におきましては重油の使用設備が日本には余りございません。年間フルに使いましても大体八十万キロリツトルというような程度でございます。これを若干の手を入れまして、石炭の不足ということは、仮に五千万トンベースになりましても又起り得る可能性がないとは言えませんので、そういう場合に処するためにそういう設備をしてもらつたらどうかということを公益委員会のほうにお話をいたしまして、只今そういう問題についての研究をしてもらつている次第でございます。本年度といたしましては四千四、五百万トンがせいぜいで、それについてもいろいろ問題があるということを申上げたのでございますが、これは昭和二十六年度の問題でございまして、将来の見通しといたしましては、各社で立てられております企業計画、これは増産合理化とを狙つたものでございますが、それに対しまして昭和二十四年度に四十数億、昨年度二十数億、本年度開発銀行から三十億ばかりの金が出ることになつているのでございますが、この線を繋げて見ますと、二十八年度におきましては大体五千万トンというふうな生産予想されております。先ほど申しましたように緊急の問題といたしまして、本年度の需給を楽にいたしますように、できるだけの増産もするということ、同時にこの二十八年度五千万トンの計画を極力推進して参る。この問題につきまして只今御指摘もございましたようにいろいろ解決の困難問題もございますが、大体近代的な採炭方式の普及推進によりまして、合理化増産との効果を併せてやつて参りたいと存じます。そのほかに税制の問題、或いは炭田の調査、振興、開発の助成の問題いろいろございますが、こういう内部蓄積をだんだん殖やしまして、これを増産に使うというふうな方向を併せ考えまして、二十八年度五千万トンという基本的な増産の方向をできるだけ早く確実に逹成するように進めたいというふうに存じておる次第でございます。  二十七年度の予算につきましても只今検討中でございますが、以上の線に沿いましていろいろの項目につきまして予算を計上して参りたいというふうに存じている次第でございます。甚だ簡單でございますが、石炭につきましての御説明をこの程度で一応やめまして、その次に非金属の関係につきまして、極めて簡單に申上げたいと思います。  銅、鉛、亜鉛というようなもの、更にアルミニウム、硫黄というようなものは、これは朝鮮動乱の前後からいたしまして輸出の活況、国内需要の増加によりまして、需給が或る程度不円滑になつてつているものでございまして、今後ともこれが増産は極めて必要であるというふうに考えております。この増産につきましては、国内の鉱物資源の開発促進につれまして、ほかに幸い東南アジア開発、東南アジアに対する協力というような問題がございますので、できるだけ東南の資源開発協力をいたしまして、それによつてこの資源を日本で使うようにするという方向に努力をいたして参りたいと存じます。只今申しましたように銅、鉛、亜鉛等は若干需給が窮屈でございますので、昨年以来地金やスクラップの輸出は抑制いたしまして、或いは禁止いたしまして、国内の加工、部分的の出荷を優先的にやるという措置を講じております。なお国内資源開発と併行いたしまして、不足な鉱石や地金の輸入を積極的に促進するということに努力をいたしておるのであります。例えば最近におきまして鉛は五千トンばかり入つておるのであります。国内資源開発関係はだんだん進捗いたしておりまして、本年度におきましては、二十五年度に比べまして銅鉱では一二%、鉛、亜鉛等は約一七%、硫黄は四割六分、硫化鉱一二%、鉄鉱石二二%というふうな増産が見込まれておる次第でございます。需給見通しに関連いたしまして、本年度におきましては直接統制が必要になるということ自体は予想されておりませんのでございますが、ただニッケル、コバルトというような外国から持つて来なければならないもの、而も外国では統制をやつているものにつきましては使用の制限、或いは割当制度というようなものを実施をいたしておる次第でございます。で東南アジアの資源開発の問題につきましては、一週間ばかり前でございますが、モロー氏を団長といたしまして、南方資源調査団というようなものが出発をいたしまして、鉱山局の鉱業課長もこれに参加をいたして、約一カ月半の予定で南方の諸地域を廻つて参ることになつている。現在南方の地下資源開発につきまして調査が進み、或いは開発に関する話合いが進んでいるものといたしましては、ゴアの鉄鉱石でございますとか、奄美大島のマンガン鉱或いは銅鉱、或いは台湾の金瓜石の金銀、硫化鉱というようなものがございまして、それがだんだん具体化する傾向になつている。なお従来からの宿題でございましたのですが、パラオのボーキサイトを日本人の手によつて開発する問題もございまして、これはまだ実現に至つておりませんが、従来しばしばGHQのほうにお願いをしているような次第でございます。  甚だ簡單でございますけれども、地下資源関係の当面の問題と考えられます事項につきまして大要御説明申上げた次第でございます。
  34. 山川良一

    ○山川良一君 今日の会談にまだ具体的の数字をつかんでいないから申しませんでしたが、九州、山口方面の水害ですね、炭鉱の、それが相当被害を受けているので、それを至急に復旧しなければいけないのだ。その対策一つ講じなければならない。この問題をこの次には具体的に相談するようになつておりますが、我々が聞いているところでは、月に十万トンくらいの減産になりはしないか。ところが現在の電力用炭の過半は中小炭鉱から供給されておりますから、電力用炭に及ぼす影響相当大きいのじやないかと思うのです。そういうところにも重要性がありますので、実情がどうなつておるか。そうしてどうしてこれを至急に復旧さすかということの対策を至急に一つ御研究願つて、そうして来週の会談にできるならば、こういう問題があるけれども、これは日本側で片付けるから御心配ないようにと言えれば非常に仕合せだと思います。期間が短いのでそこまで行かないかと思いますけれども、一応中小炭鉱側からいろいろ調査が出ると思いますが、我々がそういうものを基礎にして司令部に話すことと、官庁からのことが余り食い違いがあるのは甚だいけないと思いますので、一つ至急に御研究願いたいと思います。
  35. 始関伊平

    説明員(始関伊平君) 私どものほうにもまだ完全な報告が参つておりませんが、一応承知いたしておりますところでは、大体浸水いたしました炭鉱が回復するのに二週間程度を要するものといたしまして、全体五万トン程度の損害ではなかろうかというふうに一応報告が参つております。ただ正確な調査ではございませんので、至急調査をはつきりさせまして、なお対策を樹立したいと思います。
  36. 西田隆男

    ○西田隆男君 今山川君からお話があつたようですが、私も満更知らんわけではありませんが、山川君のお話を聞いておりますと、日本には石炭に関する限り資源庁は要らんというふうな意味に取れますが、資温庁長官の石炭に関する御説明の中に、具体的なことについてのお話は余りなかつたと思いますが、この提出された資料にも書いてありますように税制の問題とか、管理の問題とかいうような点については、資源庁としてはまだどうするかという結論は生まれていないのですか。
  37. 始関伊平

    説明員(始関伊平君) 税制の問題につきましては坑道のどの範疇までを不動産として扱うかという問題と、減耗控除の問題と両面ございますが、固定資産として扱うべき坑道の範囲如何という問題につきましては業界と御相談いたしまして、業界と一致した意見の線で大蔵省、国税庁のほうとの話合いが進んでおります。近く最終的な決定を見ることになると存じます。減耗控除のほうの問題につきましては、これは非常に問題が大きいわけでございまして、なお根本的な点につきましていろいろ議論もございますような性質の問題でございますので、或る程度そういうことをすることが輿論的に見てもいいのだというようなことになる、必要もございますので、只今そういうような方向におきまして努力をいたしておる次第でございます。
  38. 西田隆男

    ○西田隆男君 資源庁長官には御答弁はしにくいかも知れませんから、政務次官でも大臣でもいいのですが山川君の言われることが本当であるとするならば、通産省としてはよほどお考え方をお変えにならないと、日本の石炭行政は司令部に直接行つて話をして、それから司令部から通産省に対して指図が出る。占領されている間はいいのですが、もう講和條約の調印も近いと言われている今日においてもなおそういう事態を抜け切らんということは、私も石炭業者ですが、石炭業者としてよりも、日本国民として甚だ遺憾に感ずる。通産省は果して司令部との関係をどういうふうに考えているか。これは政務次官、大臣どちらでもいいですからお答え願いたい。
  39. 首藤新八

    説明員(首藤新八君) 炭鉱の問題について今懸案となつておりますのは一般鉱害の復旧の問題、更に只今資源庁長官から答弁された坑道の税金の問題、並びに戦後復金融資で建設された炭住の問題、大体この三つが大きな懸案として現在残つていると我々思うのでございます。一般鉱害につきましては先国会におきましても本委員会から強い要望がありましたので、成るべく御趣旨に速かに副う決意をいたしまして、爾来引続いて調査を進めておるのであります。最近調査も大体一段落をしておりますので、できるだけ早目に国会に予算を計上したいというつもりで進めておるのであります。  税制の問題は只今資源庁長官から答弁されましたので御了承願いたいと思いますが、もう一つ大きい問題の炭住、これはいろいろの問題がありまして、当時閣議では一応了承しておるというお話も承わつたのでありまするが、併しそれについてそれを確認するような措置もまだないようであります。併しながら荏苒このまま放任して置くわけにも参りかねるかと考えておりますので、従つて近いうちに何らかいずれかの結論を得たいというふうに目下検討を連めておることを御了承願いたいと存じます。山川委員が、これは業者から進んで司令部のほうに持ちかけた問題ではないということは了解しますが、大体講和條約も近く締結されるので、又今日まで石炭問題につきましてはいろいろ重大な問題があつたにもかかわらず、国内でその大部分が済んでおりまして、現在残つておるものは、今までの問題に比較すれば極めて小さいものだけが残つておるのであります。必ずしも司令部のほうの一々何を仰がなくても、国内で十分に解決できるのではないかと、又せなければならんというふうにも考えておるのでありますから、折角今後この問題につきましては協力して円満な解決に進みたい、かように考えております。
  40. 西田隆男

    ○西田隆男君 政務次官のお答えはそれが当り前だと思うのですが、事実問題として、監督官庁のほうと交渉はしないのだと、業者が司令部に交渉するというようなことは、これはもう何といつて日本国民としては納得の行かんことです。従つてそれは政務次官は今答弁は上手にされましたけれども、通産省として積極的に、業者が言わんでも業者に働きかけるという積極的な行動が欠けたところがあるから従つてそういう結果が生れて来ると思うのです。電力といい石炭といい、日本の基礎産業なのですから、これに対してはもう少し注意を拂うように、もう少し積極的に監督官庁としての行動をしてもらいたい。そうしないと国民が官庁に対する信頼を失うことになる。私は非常にこれは残念なことだと思います。よくその点を御考慮してやつて頂きたい。
  41. 山川良一

    ○山川良一君 今お話を聞くと、業者がひよつとすると頼んだのではないかというように思つているかのごとくとれるのでありますので、はつきり申上げますが、この問題をどうして西田さんが取上げたかと想像いたしますと、電力の石炭を幾ら供給できるかということを検討されて、もともと先ほど申上げたように炭鉱のことは知つておられますから、そこを何とかしなければならんというふうになられたのではないかと思います。私は今の業者が司令部と直接取引することはどうかと思うので、先ほど申上げましたような、少くとも資源庁と安本の人も一緒に加えたらよかろうということを進言したにかかわらず、いや、お前たちと先に相談するのだというお話があつたということは、私は極めて重要なことだと思います。私はそう突込んで強いことは申上げませんが、そのことは、今西田委員から言われたことと同じような内容だと思われるのではないかということを一つ申添えておきます。
  42. 首藤新八

    説明員(首藤新八君) その点はよく了承しておりまするが、同時に今の西田委員の御意見通り強力にこれらの問題を推進したらどうかという御意見は、これも御尤もでありますが、ただ政府といたましては、これらの問題につきましても一々予算を伴う問題でありまして、非常に重要性は認識しておりまするけれども、だからといつてこれのみに予算を集中するわけにも参りかねまする関係上、つい荏苒日時が延びているという、率直な気持なのであります。これらの問題ももう少し御了解になつて、これらの解決に官民協力して、そうしてできる限り早く解決するという点に今後とも一つ協力を願いたいと私どもは考えております。
  43. 小野義夫

    小野義夫君 私はこの石炭面につきましては、森林法のときに非常に異議を唱えたのでありますが、何らの修正を見ずして、森林法は、杭木をその数量においても百万石の数量を削つておりますし、それからこの許可のことにつきましても、年一回主義をとつておるし、その他石炭及び金属の鉱業上相当の障害も今日において発生しておるのであります。私が四国、中国、九州を電力の問題で廻ると同時に、杭本問題を詳細に各業者から聞いて来ましたけれども、相当の困難を感じていることは従来通りであります。でありますからこれはもう少しこの臨時議会において、あの森林法の許可権のごときは、いわゆる施業案によつて年二回とか三回とかやるというようなことは、是非とも杭本に関する限りはやつて頂かなければならん。それでなければ政府はこれに見合うだけの一年分の枕木資金を完全に、森林法も結構であるが、一年分買取るというだけの資金の世話でもしなければ、この行詰つた炭鉱業者、殊に中小企業におけるところの炭山におきまして、一年分の枕木資金を調逹するということは非常に事実上困難な状態にあるのでありますから、この点一つ特に御配慮を願いたい。  それから立つたついでに申上げますが、これは大臣、次官、官房長、殆んど通産省の幹部諸公がおいででありますから、特に私はこの席においてお願い申上げたいと思います。殊に高橋通産大臣は新らしく御就任なされまして、山積する諸問題のために相当お骨折りのことと存じ上げるのでありますが、従来通産省の予算における、各省とのいわゆる予算の、何といいますか、割振りに関しまして、二十五年度予算とこの地下資源金属に関する予算との間に、二十六年度と二十五年度を比較対照するというと、やや削られたる観があるのでありまして、勿論これは緊縮予算を建前としておるところの今日の政府の予算の編成方針からいうて、必ずしも不当というのではありませんが、朝鮮事変が起つて特需その他の関係から、鉄その他非鉄金属関係増産、その他増産に関する将来の施策というものは非常に重要視せられておるにかかわらず、二十六年度は二十五年度よりも減つたくらいで、何ら朝鮮事変とかその他のことが加味されておらないということは、一言以てこれを批評すれば、これは甚だしく低調だと思う。でありますから、こういう低調な予算では到底その地下資源開発などというようなことは思いもよらんことです。たまたま相場様というようなものが出て来たから若干のここに増産その他を見たのでありまして、これは決して政治面の現われでも何でもないのです。でありますから今度我我と申しますか、この金属界の要望は、前年度つまり三十六年度予算に含むべかりしもので削除せられたるものを再びここに提案しようとしておるのでありますから、今やもう予算の編成期に当つて、補正予算或いは二十七年度予算の編成期に当つて、これは閣僚間において相当の論議を盡されることと思いますが、これは通産行政、殊に地下資源開発というものは、あらゆる産業の先ず尖端を行くべき筋合のものだと私は固く信じております。その他の加工業とかいうのは、先ず資源獲得、外から輸入するか、国内から産出するか、その二通りのほかに方法はないのであります。ここへ相当の金額をやつてもいいのに、ややもすればいわゆる大衆におもねるというか、大衆の満足を図るために、生産事業のほうはあと廻しになつて、その他の社会面或いは農村問題に夢中になるがごときは、公正なる予算の編成の仕方じやないと思うので、私どもは予算委員でもありますから、大いにその点等は申上げるつもりですが、本家本元の通産大臣以下の腰前がしつかりしておらなければ、外から如何に突つかかつても、これはとても私は問題にならんと思う。ですからこの点一つ、首藤政務次官はすでに十分なる御経験といわゆる練逹堪能のかたでいらつしやるのでありますから、一つ是非とも置きみやげと申すと(笑声)甚だ失礼であるが、この点新大臣に余り御迷惑かけん程度に一つうんとやつておいて欲しいことを、特に首藤次官にお願い申上げておく次第であります。どうぞ一つ……。
  44. 首藤新八

    説明員(首藤新八君) あの森林法は御意見通り作りかたに非常に遺憾な点があつたと考えております。本来ならば当然事前に通産省にもいろいろな御相談があつて然るべきであるし、又衆参通産委員会に対しましては、当然連合審査をすべきであると常識的に考えられたのでありますにかかわらず、それらの手続は一切省かれて、むしろ知らぬ間にこの法案が通つてしまつた。而も最も関係の深い坑木その他が法案上幾多の欠陷を持つておるということもよく了承しておるのあります。従つて当面これの欠陷をできるだけ防ぎたいというふうに考えまして、林野庁といろいろ折衝いたしまして、行政措置によつて万遺憾なきを期するということで一応話合いがなつておりますから、そのままになつておりますが、併し根本的にこれをやはり遺憾のない法律にして置く必要があると考えております。従つて近い将来にできる限りこれを修正して頂くような方法をとつて参りたいと考えております。特に坑木の問題は、石炭増産の面から考えましても緊急を要しまするので、通産省といたしましても特別の関心を持つておりまするが、一方御承知かと存じますが、森林資源開発委員会というものが別個にできております。この森林資源開発委員会にも働きかけまして、この方面からも坑木の何といいますか、保存、耐久力を長くするために防腐剤の注入とかその他の面に協力をしてもらいたいということを実は現在申込んであるのであります。今後も坑木獲得に対しましては万遺憾なきを期したいと考えております。  更に予算の問題でありますが、これはまあ大臣から御答弁されると存じますが、全くお説の通り通産行政そのものが何といつても国家経済自立の基礎でありまして、これのよしあしそのものが直ちに国家経済に非常な大きな影響を及ぼすのであります。特に日本では資源が少い、従つて日本の運命は加工貿易だというようなことが常識的に考えられておりますけれども、併しこれは皮相な観察であつて、よく検討いたしますれば、外貨を必要とせないところの日本にも幾多の資源が残されておるのありまして、どうしても外貨を必要とせないところの資源の開発に対しましてはできるだけ重点的にこれを開発しなければならん。これ又全く御意見通りであります。従つて二十五年度の予算を組みます場合にも、地下資源の探鉱につきましては、すでにアメリカでも全額国費負担を以てやつておるという例もありますので、日本といたしましてもアメリカ以上に資源開発の切実な要請に追われておる現在でありまするから、二十五年度の予算におきましては全額国費を以てこれをやりたいという考え方の下に一応予算を組んだのでありますが、御承知通り一般財政の面からこれが相当大幅に削減された結果、非常に遺憾な結末に終つておるのでありますが、その後の事態、特にアメリカの援助がなくなつた今後の日本経済を考えました場合、どうしても外貨を必要としないところの資源の開発には一層の重点を置いて精進しなければならんというふうに考えております。従つて今後の予算の編成に際しましても、できる限りこの面に重点を置きまして、御希望に副うような方向に努力して参りたいというふうに考えております。なほ詳細につきましては大臣から御答弁があるかと思います。
  45. 高橋龍太郎

    国務大臣高橋龍太郎君) 今の政務次官の答弁で盡しておりますから……。
  46. 小野義夫

    小野義夫君 それではついでに次官にもう一度お願い申上げますが、補正予算、これはまあ新聞にもあるように、主として給與ベースの引上げ、その他緊急止むを得ざるものをやつて、あとは減税に振り向けるということのようでありますが、減税も結構なことであつて、我々自身個人的にも大賛成である。併し国家の資源を開発する問題を打つちやらかしておいて、そうして給與ベースを上げたり或いは減税をするごときは、これは私は本末顛倒だと考えておる。でありますから補正予算に関しても今の地下資源開発等については相当の手を打つべきものと我我は考えておるのであります。従いまして我々が発言の機会を得るためには、いつまでに補正予算が締切りになるから、補正予算について当委員会に対して申したいことがあるかないかというようなことをお話を願いたいと存ずるのですが、この点は一つ大臣に御答弁を願いたいと思います。
  47. 高橋龍太郎

    国務大臣高橋龍太郎君) 官房長から……。
  48. 永山時雄

    説明員(永山時雄君) 今年度の補正予算の問題でございますが、これはすでに事務的には一応私どものほうから大蔵主計当局に提出をいたしまして、お話の資源開発の問題につきましても、やはり補正予算で緊急取上げたいものは一応取上げたのでございます。ただ問題がやはり飽くまでも性格が補正予算でございますと、財源関係その他の限度も考慮いたしまして、取あえず緊急のものだけに一応限定をした考えかたにして要求を出してあるのでございますが、例えばこの中では炭鉱の機械化のための経費、或いは先般協賛を経ましたニツケルの製錬助成を実行せんがための経費というような、特に目先に是非とも必要な経費を要求いたしまして、なお本格的な地下資源開発その他につきましては、二十七年度の予算の問題として折衝すべく準備をいたしておるという状態でございます。
  49. 小野義夫

    小野義夫君 今の永山官房長の御説明で私どもは、補正予算には大したことはない、これも脅しながら今更手遅れの感があるのでありますから、もうそのことをくどく申上げません。我我はそれをいろいろ責任的なことを申上げる必要はないと思いますが、それで補正予算には本当の意味において本体の頭が出ないだけに、一つ二十七年度には是非とも、ただ官庁間だけの交渉でなく、折角こういう通産委員会などが衆議院にも参議院にもあるわけだから、これらの人と協調的態度を以て、そうして予算編成に大いに折衝することは勿論のことでありますが、その他の面にもまつしぐらに皆さんと共にやることが非常にいいかと思いますが、こういうふうにあとになつて来るのでは、もう大蔵省の頭が固まつてしまつてどうにもならぬという実状でありますから、一つ二十七年度は休会中といえども、我々は予算編成のいろいろなことについてやるということならば、何時でも予算委員においても、或いはこの通産委員においても出て来ると思いますから、是非とも強く御主張あらんことをお願い申上げて私の発言を終ります。
  50. 永山時雄

    説明員(永山時雄君) 先ほど申上げました点でいささか言葉の足らない点を補足いたしますが、補正予算の方針は給與ベースの改訂の問題、それから先般の国会で通りましたいろいろな法律案を施行をして行くための必要な経費というだけに限定をして立ててあるというのが大体政府の考え方でありまして、従つて、我々のほうといたしましては、大体はそういう方針で、ただ先ほど申上げましたような問題については、目先どうしても必要だという意味で、若干この予算編成方針からは逸脱をするきらいがあるのでございますが、これを出して折衝しておるという状況でございますので、その点一つ御了承頂きたい。  そういう点と、それから二十七年度、来年度予算につきましては、只今折角通産省の内部におきましても取りまとめ中でございまして、大体今月中にはその取りまとめも一段落いたすかと思いまするが、従いまして一応の取りまとめができましたところで、更に委員会その他にも御説明申上げて、十分一つ協力或いは御指示を頂くというふうにいたしたいと思います。
  51. 片岡文重

    ○片岡文重君 大臣一つお聞きしたいのですが、私は遅参をいたしましたので、すでに御説明があつたかとも存じますが、私聞くところによりますと、外国から終戦後買入れておるパテントの使用料だけでも四十億を超えておるということを聞いておりますが、政府からこれの補助に支出しておる国内の買上使用料等は十四、五億に過ぎんということを承わつております。申上げるまでもなく非常に資源の少い日本で、これからの経済自立が悉く生産工程を土台として行かなければならんというときになりますれば、当然この科学的な智的水準を高めて行くことによらなければならんと思うのです。そういう点について現在民間の科学者、それから各学校の先生たちが、政府のそれに対する補助指導の点について、冷淡という言葉が当るかどうかわかりませんが、今まで遺憾の点があつたかに聞いておるわけです。で、こういう点は今後非常に私は必要になると思いますので、大臣としてこの点どういう政策を今後おとりになろうと考えておられるか。私は大変失礼なことを申上げますが、挨拶程度の御答弁だけというのであるならば、これは次回にして頂いて、はつきりした具体策的なものを以て、こういうふうにして行きたいということをお示し頂きたいし、ここにお持合せがあるならば勿論お聞かせ願いたいと思います。勿論予算にも当然これは影響すると思いますので……。
  52. 高橋龍太郎

    国務大臣高橋龍太郎君) お説御尤もでありますが、一つ細まかな材料をまだ私検討しておりません。先逹て局長から一度説明を聞いただけですから、次回に一つ……。
  53. 片岡文重

    ○片岡文重君 そうですか。結構です。
  54. 竹中七郎

    委員長竹中七郎君) ほかにありませんか。通産行政全般に対しまする御質問……。  では誠にお暑いところを御苦労様でございました。御質問がなければ本日はこの程度で散会いたしたいと思います。これで散会いたします。    午後三時五十五分散会  出席者は左の通り    委員長     竹中 七郎君    理事            廣瀬與兵衞君            結城 安次君    委員            上原 正吉君            小野 義夫君            片岡 文重君            島   清君            加藤 正人君            山川 良一君            境野 清雄君            西田 隆男君   国務大臣    通商産業大臣  高橋龍太郎君   説明員    通商産業大臣官    房長      永山 時雄君    通商産業政務次    官       首藤 新八君    通商産業省通商    繊維局長    近藤 止文君    通商産業省通商   振興局経理部長  石井由太朗君    資源庁長官   始関 伊平君