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政府委員(中島征帆君)
石炭の
合理化につきましては先般
石炭の
統制撤廃後、
石炭の値上りと
鉄鋼の原価採算、特にこの
関係が問題になりまして、結局
日本産業の基礎的なものである
鉄鋼並びに
石炭の自立体制を築くために、この両
産業の両面におきまする
合理化をこの際至急に図らなければ
資金の動きに対しまして対処することはできない。こういう観点から
通産省内にいろいろな
合理化審議会ができておりますが、その中の特に重点を置かれましてそれぞれ
鉄鋼と
石炭に関しまして
合理化対策が審議されたわけであります。その際に
石炭に対しまする
合理化の要請としては、これは何と申しましても当時の炭価を三割
程度は是非下げなければ
鉄鋼の国際価格に対して
鉄鋼業の自立ができないという見地から、先ず炭価の切下げということにつきまして、
石炭鉱業の
合理化の最大目標として立てられたのであります。それとどういうふうな
施策をするか、又その結果どの
程度の出炭が必要であり、又どの
程度の原価引下げが可能であるかということは、再三会合いたしまして
検討いたしました結果、この
合理化審議会の答申といたしましては主要な
石炭鉱業に対しまして凡そ三百五十億、更にそれ以外のものもつまり当時審議会の審議の資料の対象となりました主要
炭鉱以外のものも含めて、総計四百億以内の
設備資金を投入することによりまして、現在の
石炭のコストを約八百円ほど下げることができると、こういうふうな
結論に達しております。これを基本といたしまして更にその後当時の
調査対象以外の
炭鉱につきましても種々
調査いたしまして、最終的に
資源庁といたしまして、
石炭の
合理化のために今後三カ
年間に必要とせられる
資金というものが四百七十五億ある、こういう算定をいたしております。結局
石炭鉱業の
合理化ということになりますと、その
施策の内容といたしましてはこれは殆んど全部が坑内の若返りと
機械化によりまして出炭能率を挙げる、これにかか
つておりまして、そのためにはやはり
相当巨額な固定
資金を投入する必要がある、こういうことになるのであります。従
つて石炭鉱業の
合理化の手段といたしまして殆んど
資金関係にだけにかかるということに結果においてな
つたのでありますが、この四百七十五億の中で各
炭鉱がそれぞれ
自己資金で以て、乃至自己調達で以て出し得るものが約二百億で、残りの二百八十億ほどがこれが別途のルートから特に
合理化資金として投入を要するものである、こういうふうにな
つておるのであります。二百八十一億のうち差当り当面の
年度といたしまして当初二十五
年度中に八十六億ほどが要るこういうふうに言
つておりましたが、結局その後期間のズレもあり又十五カ月
予算というふうなことが問題になりまして、結局来年の一月から再来年の三月までの十五カ月間に対して
合理化資金といたしまして百十八億が要る。これは
資源庁の算定によりますと、百二十六億という
数字が出ておりますが、その後安本等の折衝の結果百十八億ということで最終的な
数字が出たのであります。この百十八億の固定
資金をどこからひつぱり出すかということにつきましては、当時金額の算定をいたしましたときには、ともかくもこれだけの長期
資金が枠として
石炭に
確保できればこれはどういうルートでも差支えないというふうに一応考えておりますが、これのその後の持
つて行き方につきましてたまたまドツジ氏の来朝もありましてこれを今明年の見返
資金の中から
確保するということにつきまして安本、大蔵省をも中心にいたしまして折衝をいたしておりましたが、その結果として御
承知の通りにこの
程度の金額は到底期待しがたいということが最近わか
つたのであります。従
つて来
年度の見返
資金から
合理化資金として
炭鉱は期待し得るものは、やはり今年
程度の二十億そこそこではなかろうかというふうなふうに一応見通しを持
つておりますが、結局この三カ年の
合理化計画を実現するためには残りの百億
程度のものをやはりどこからか
資金源を探して行かなければなりません。その対象といたしましていわゆる預金部
資金のこの
金融債引受による
資金の操作がありますが、今
明年度合せて六百億といわれておりますが、この中からできるだけこの
石炭鉱業に対しまして百十八億に近い金額を
確保することによりまして
合理化を図りたい。
合理化の内容といたしましてはこれは坑道の掘鑿もございますし、運搬
設備の改良問題もありますし、又特に
機械化といたしまして、採炭
機械その他の
外国機械の
輸入等による
機械化ということも考えております。そういう
資金の投下によりまして能率が上つた結果、これは最終
年度におきまして十四トンくらいまで上げることにな
つておりますが、その結果の労働問題ということが直ちに懸念されるわけでありますが、今後三カ
年間以降におきまして、この出炭そのものもかなりこれは
需要の
関係からも当然増加すべき態勢にありますし、又一方労務者の自然減耗、こういうことを考えまして、結果においてできるだけ強制的な解雇ということを避けるような方向に持
つて行くべきだと思
つております。現在におきまして従来まで投下されました見返
資金による
合理化というものは、これは勿論或る
程度まで進んでおりますけれ
ども、従来の契約によります見返
資金の投入の効果というものは、
鉄鋼業との関連におきまして
石炭鉱業から要請されております原価引下げということに対しましては、まだなかなか不十分であります。従
つて今後やはりこのような別途のルートから
相当巨額の金を注ぎ込んで、できるだけ
機械化を図るということが絶対に必要にな
つているわけであります。
資金の投入による
合理化と併せまして、いわゆる
機械化補助といたしまして、当初国の補助によりまして
炭鉱の
機械化に対しましてその
機械化経費の一部を補助する、こういうことによ
つて更に一層この
機械化を
促進したい、こういうふう
なつもりで
予算も請求しておりましたが、これは結局最終的に実施困難な
状況にな
つております。従
つて国庫補助による
機械化の
促進ということは
只今のところは我々期待できない
状況でありますが、ただ一部カツペ採炭方式の実施ということにつきましては、僅かでありますけれ
ども十カ所ほどに対しまして補助金額が認められております。これは本通常
国会におきまして御審議を煩わすことになると思
つております。そういうふうな
状況でありまして、
合理化が昨年の秋以来いろいろ論議されておりましたが、実際の
資金の問題に関しまして未だ的確にこれが三カ年に
促進できるというふうな態勢に参
つておるということが申上げられないのは甚だ遺憾でありますけれ
ども、大体態勢といたしましてそういうふうな
状況でありまして、私
どもといたしましてはこれは期間のズレがありましようとも、是非ともこれだけの
資金を
確保することによりまして、今後炭価の引下げということにつきましては一層
努力をしたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
それから次の炭田
開発の
関係でございますが、これは従来も関発
関係の
事業を実施いたしておりまして、これは主としてボーリングとそれから坑道の掘鑿によります探査、この両方を合せまして実際上
開発して行く起点をどこに置くか、こういう具体的な問題と近接した
調査を数年聞いたしております。その基礎となります資料というものは極めて古くさいものでありまして最近のものは昭和七年に頂戴いたしました炭量
調査がございますけれ
ども、これによりまして全体の予想炭量まで加えましたものが百六十億トンというような
数字が出ておりますが、この
数字自体が現在におきましては極めて陳腐である。従
つてここでこれを徹底的に又大規模に、又近代的な方式を以て
調査をいたしまして、実際に我々の要求する炭が我が国のどの地方にどのくらいあるかということを本当につかむのでなければ的確なる炭田
開発はできない。こういう見地に立ちまして、昨年来炭田の
調査の方針につきまして炭田探査審議会において十分に
検討を続けておりましたが、大体その
調査方式もまとまりまして、来
年度から新らしく五カ年の計画を以て
国内の炭田の
調査をいたそうということにな
つております。本年の
調査は、従来もそうでありましたが、大体こういうふうな炭田の
調査と申しますのは、基礎
調査のボーリングでなくて、大体帳面乃至は資料による
調査を十分しておりますが、今後はそういうふうな
調査を主体といたしますことは変りはございませんが、そのやり方につきましては十分合理的な
方法をとりまして、且つ又全国的な規模において行う、昭和七年から今日までの間に
相当炭田の
開発業務も進んでおりますし、従
つてそれだけに又地下の
状況も資料的には
相当わか
つておる面もございますので、そういうものを基礎にいたしまして地質
調査乃至は実際の
炭鉱の坑内の
状況と睨み合せた地下の
調査、こういうものを併行いたしまして、更に所要地点のボーリングも行いまして、こういうものによりまして五
年間に実際に
日本でどの
程度の埋蔵炭量があるか、更にこれを実際に
開発利用し得る
数量がどの
程度か、又その炭質はどうか、こういうことを
調査するつもりであります。これは来
年度からの
事業でありましてすでにこれにつきまして炭田探査審議会と十分連絡をとりまして、この
事業の開始につきまして現在準備をいたしておるわけであります。これは大体施行いたします期間は地質
調査所と、それから
資源庁のほうも入りますが、そのほか通産局及び学界、それから
炭鉱の実際の
技術者、こういうふうな全体の地質並びに採掘の枢要人を動員いたしまして、場合によりましては嘱託形式により、又は場合によ
つては直営もする、こういうふうなことで全国的にや
つて行くということにな
つております。
それから価格
対策その他につきましてお尋ねがありましたが、これは物価庁のほうから見えておりますから、そちらのほうにお願いしたほうがよいと思いますが、ただ私
どものほうとして
ちよつと申して置きたいことは、これは価格自体の
対策といたしまして物価政策がございますが、流通面を担当いたします
資源庁といたしまして、大体
石炭の流れがどういうふうにな
つておるか、又
生産の原価なり或いは
生産状況乃至は販売価格というものはどういうふうにな
つておるかというふうなことを把握して置く必要がありますので、特に流通
状況、流通の経路とかそういうふうな流通面の把握ということに重点を置きまして、現在種々
調査を行な
つております。これに基きまして、その面において若し
合理化する必要があれば
合理化の方策を講ずる、こういうことになると思いますが、これも今後炭価の修正に対しましていつでも適当なる
対策が講ぜられるというふうなことに対しましての準備として、今そういうふうな
調査を行な
つておるわけであります。
金融関係につきましては先ほど
経理課長から年末
金融に対しましては御
説明を申上げたそうでありますが、又
合理化資金等に対しまする長期
金融に対しまして申上げましたから一応省略さして頂きます。
一応
石炭鉱業と
鉄鋼業との
関係につきまして申上げます。これも
合理化のときに触れましたように、
鉄鋼業と
石炭鉱業というものはやはり
合理化の面で以てできるだけ原価を下げるということは、
鉄鋼業に対する
石炭鉱業の一番の要請であります。ただ一番の問題は、現下の面からいたしまして
鉄鋼業としてはできるだけ価格の安い
外国炭を入れたい、こういう要請があるわけであります。御
承知のように現在の
日本の
国内の炭は、中国炭に比べましても、
米炭に比べましても、その品位を斟酌すればかなり高いということはこれは事実でありまして、その結果成るたけ比較的割安な外炭を入れたい、こういうふうな希望が強いわけでありますが、それに対しまする
石炭鉱業乃至はそれの主務官庁といたしましての私
どもの考えは、
石炭鉱業が基礎
産業であるということのほかに、やはり
国内の
資源をできるだけ活用するという必要性からいたしましても、やはり粘
結炭にいたしましても、一般淡にいたしましても、
国内の
石炭鉱業を飽くまで
確保する必要があるという点に立ちまして、
国内の
石炭鉱業の基礎を危くするような外炭の
輸入というものはこれは避くべきである、こういうふうな考えを持
つているわけであります。ただ実際問題といたしまして、例えば強粘炭のごときは絶対
数量におきまして
相当不足を来たしておりますので、その
不足分を
外国から
輸入する必要ある場合は、必要な
数量を
鉄鋼当局とも連絡して
輸入を
確保するように、両方で
努力してや
つておるわけであります。ただ
鉄鋼局側の希望としては、できるだけこれを多量に
輸入をして
国内炭の引下げの
一つの牽制策ともしたいというふうな
一つの希望もあるわけでありますが、その点につきましてはできるだけ私
どものほうの立場からも慎重に対応したい、こういうふう
なつもりでや
つておりますことを
一つ附加えておきます。