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1951-06-20 第10回国会 参議院 通商産業委員会 閉会後第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年六月二十日(水曜日)    午後一時四十六分開会   —————————————   本日の会議に付した事件 ○通商及び産業一般に関する調査の件  (新経済政策に関する件)  (競輪問題に関する件)   —————————————
  2. 結城安次

    理事結城安次君) それでは只今から通産委員、会を開きます。  本日は通商及び産業一般に関する調査の一環として新経済政策並びに競輪問題を議題といたします。先ず新経済政策につきましては、特に委員諸君から御発言があつたわけでもございませんが、通産省におきましては、過般のマーカツト声明の趣旨に副うよう新らしい通商産業政策を検討し、去る六月七日の省議にかけてこれを決定したと伺つております。尤もその後の経過を仄問いたしますのに、総司令部筋相当強い批判をこうむり、新通商政策を含む政府の重要経済政策なるものは再検討の要あり、その結果かいまだ閣議決定まで進んでおらないということでございますが、この機会において大綱を聴取いたして置くことは今後の通産行政と関連して必要なことであると存じますので、委員長において特に選定した次第であります。審議の順序といたしましては、先ず通商経済政策から議題といたします。その次に競輪問題に移るつもりであります。政務次官から一応経済政策大綱の御説明をお願いいたします。
  3. 首藤新八

    説明員首藤新八君) それでは私から新情勢に対応する通商産業施策基本方針大綱について御説明をいたしたいと思います。なお只今委員長から申されたごとく最終的な決定は未だでありまして、多分総理が二十三日に御出発になりまするので、そのときに決定され、改めて発表されるのではないかというふうに考えておるのであります。そこで先に発表されましたマーガツト声明基本は、日本工業余力をこの際できる限り動員いたしまして、以て生産増大を図ると共に、インフレーシヨンを徹底的に抑制しまして、国際的に競争し得る価格を構成するということに重点を置いてあるのであります。さようなことで通貨価値を維持し、飽くまでもインフレーシヨン抑制した低物価政策を堅持して、その範囲内で輸出を増進いたす、そうしてこの日米経済協力にできるだけ寄与いたさなければならんという基本的考え方を持つているのであります。  そこでマーカツト声明によつて示唆されました日米経済協力範囲は、米国政府予算増大に応じまして、逐次増加する米国政府買上げ計画に、日本ができる限り多量に参加すること、なお東南アジア工業化及び資源開発計画協力いたして、この面からできる限り稀少物資原材料を獲得いたしたいということも大きな狙いであります。更に国際市場におきまして、特需物資を供給する役割りを、こういう方法によつて担当することであります。米国一般需要充足を計ること等多種多様でありますが、現在の段階におきましては、日米経済協力具体的実施方法は、商業ベースによる輸出乃至準輸出取引というほかはないのでありまして、特殊の扱いは考えられていないようであります。従つて輸出を計るためには、あらゆる施策を結集することが日米経済協力の全方策を貫く基本方針であると考えますので、この線に沿い今後のいろいろの施策を進めなければならない、かように考えているのであります。  従つて現在通商産業省は右の基本方針に従いまして、諸般の措置を強力に推進いたす二とにいたしているのでありまするが、要約いたしますれば、既定の輸出計画の達成を期しますると共に、自由世界諸国との経済協力を強化する目的を以て追加輸出促進する、いわゆる余剰能力を以て生産されたものをできるだけ多量に輸出するという狙いであります。なお世界的な物資不足の激化に対応し、輸入計画性を強化いたして、重要物資の円滑適正な輸入確保する。増大する特需需要に対しては、輸出内需等との調整を図りつつ極力これが充足を図つて行く、東南アジア諸国との経済協力関係を緊密にし、特にこれらの工業化及び資源開発を積極的に協力して参り、増大する需要に対応するため国内生産力増大、特に国内資源開発を図り、我が国経済の長期的な対外競争力を培養するため産業合理化ための強力な諸施策を講ずる、物資需給は能う限り国内生産増大と、輸入促進によつてこれが均衡を確保するが、国際的な不足物資、特に国際割当物資及びOID物資については必要最小限度需給調整措置を講じ、これら物資が不急不要の用途に浪費、消耗せられることのない上りにする。以上大体こういうことを基本方針といたしまして、今後日米経済協力をできる限り、速やかにできる限り円滑に推進いたす。そうして誠意を以て協力いたしたいというふうに考えているのであります。  従つてこれは基本方針でありまするが、然らばインフレーシヨン如何にし抑制するか。又一応表面的にはインフレーシヨンと見られておりまするが、実際には日本地理的条件或いはその他の条件で、国際物価の線を遥かに上廻らざるを得ないというようなものもたくさんあるのでありまして、これらを一概にインフレ的傾向とみなす、ということは困難の点もあります。更に最も重大な問題は、アメリカの現在の情勢から見まして、非常に稀少物資が殖えて参つております。従つてこれらは当面国際物資割当委員会によつて割当てておりまするけれども、将来アメリカ軍需工業がいよいよ上昇いたしますれば、これらの稀少物資は一層甚だしくなり、又範囲も殖えて参るのではないか。従つてこの際東南アジア開発ということは、日本の将来の経済安定のためにも、発展のためにも是非とも強力に且つ迅速にこれを遂行すべきである。この面においてできる限り東南アジア開発協力いたしまして、資源の獲得を、更に又これに合せてその裏となるところの日本輸出を増進いたすという方針を実は重大視しておるのでありまして、是非ともこの点をできる限り早く目的を達成いたしたいというふうに考えております。  なお、一般的なインフレ抑制策といたしましては、何といつて企業合理化が強く取上げられなければならんと考えておるのでありまして、これがためには設備の改善或いは又その他の面におけるところの経費の節約等々、内面的な指導重点を置いて推進いたしたい、かようにも考えております。  更に今回の日米経済協力の、要するにこれによつてどの程度発注されるか、或いは受注できるかということでありまするが、アメリカのほうでも発注調整機関を創設するそうでありまして、日本にもこの支所とでも申す機関を作るそうであります。尤もこれは時間が相当かかりますけれども、早晩実現いたずらしいので、日本におきましても受注調整機関を設けまして、以て各企業体能力又その発注によつてそれに必要とするところの物資調節等等、この需給調整機関でそういう面を慎重に検討いたして、そうして発注が円滑に推進できるような措置を講じたいというふうにも考えておるのであります。  なお先ほど申上げました東南アジア経済協力対策といたしまして、資源開発重点を置きまするが、同時にこのプラント輸出での他一般輸出の振興を増強いたしまするために、官民使節団を早急に派遣いたすべく現在準備をいたしておりまするが、パキスタン等に対しましては極く最近に官民合同使節団が派遣されることになつておりまして、すでにその使節団の顔ぶれも大体内定いたした段階に達しております。更に又派遣の技術者を養成するため、必要に応じましては通商産業省養成機関を設置いたしたい。更に又この資源開発に関しましては、差当り長期輸入契約によつて、これに保障を与え、又は輸入代金の一部前払等を行うことといたしましてこれを促進いたしたい。更に又将来におきましては輸出銀行等政府金融機関の機能を拡大いたしまして必要な資金を提供いたしたい。こういうふうな措置によりまして東南アジア経済協力、又一面から申上ぐれば資源開発でありまするが、これらを最優先に推進いたしたい。こういうふうに考えておるのであります。  更に国内生産増強及び資源開発対策でありまするが、国内生産力増強基本でありまする電力につきましては、料金を合理的に改訂いたし、見返資金確保、外資の導入等による電源の開発を図ると共に、自家発電整備開発を積極化するよう資金資材等について援助の措置を講じたい。更に産業及び民生安定の基礎物資である石炭については、貯炭の減少、今後の需要増大に鑑みまして特に原料炭発生炉用炭を中心としてその急速な増産に努めまして開発を積極化すると共に近代的採炭方法実施促進いたしたい。なお炭量増加炭質の低下をもたらさないように採炭等合理化及び近代化を図つて参りたい。更に生産力増大を必要とする産業についてはその生産設備拡充いたし、又は生産余力を十分に稼動せしめまするために、重点的に資金及び原材料確保を図つて行きたい。生産力拡充に必要な資金一般市中金融ベースを以てカバーできない資金については、開発銀行等による国家資金の活用を更に活濃化して、そうしてこの目的に副いたいとかように措置を講じまして、加えて生産増強によるインフレ傾向抑制するために、物資需給の面におきましては、国内生産増強乃至輸入確保の上に需給調節を行いまして、財政金融の面においては不要不急用途に対する資金は極力規制いたして、重要物資増産確保するため資金重点的、効率的利用を図り、以て適正な信用統制実施いたしたい。  特に鉱産物国際的下足物資であり、且つ戰略物資でもありまするので国家予算による地質調査、新鉱床探査拡充鉱量及び埋蔵炭量炭質調査整備拡充を強化いたし、探鉱奨励金、又は試掘助成金の増額、重要鉱区開発について新鉱開発助成命の交付を図り、重要鉱物開発促進いたしたい。国内生産輸入による充足は極めて困難なコバルト等重要地金の製錬事業につきましては、必要に応じてニツケル製錬事業臨時助成措置法に準じた助成措置只今考慮いたしておるのであります。  なお先ほど申上げました、合理化対策でございますが、機械設備近代化を図るため機械設備近代化留保金制度を創設し、資本の内部蓄積促進いたし、新式又は高性能の機械設備について輸入税免除措置拡充すると共に、固定資産税の減税を図りたい。中小企業等機械設備近代化促進するため助成金措置を講じたい。合理化計画促進ための必要な技術の研究、機械設備の試作、工業化試験奨励、助長するため、現行の諸補助金制度拡充すると共に重点的な運用を図つて参りたい。  更に産業補助施策、なかんずく特に輸送施設産業用道路港湾荷役施設等拡充強化を図り、公共事業用予算増加、及びその適切な使用を図つて参りたい。企業合理化ため所要資金については、重要物資増産用資金と同様、重点的にこれを確保いたしたい。こういうことが企業合理化対策として一応考えられておる案であります。  以上大略を申したのるでありますが、これがため相当新らしい予算を必要といたしまするので、それらは近く開かれることに相成つております臨時国会に提案いたしまして御協賛を得たいと目下これに必要とする予算を作成中であります。  以上簡単でありますが、御報告いたします。
  4. 結城安次

    理事結城安次君) 只今お話に対して何か御質問があれば逐次お願いいたしまする。
  5. 境野清雄

    境野清雄君 先般来何か日米経済協力というものに関しましては、大体日本政府として経済のこの計画性がさつぱりないというようなことが、あちらさんでも相当つておるようでありますが、そういうものに対応して通産省として作りました方針というものを、今、次官の御説明のやつというふうに考えてよろしいでしようか。
  6. 首藤新八

    説明員首藤新八君) さようでありまして、具体性がないという説はどこから出たか存じませんが、少くとも只今申上げました大綱方針だけでもこの新経済に対するところの政府の構想というものははつきりいたすと考えております。要するに、民生を安定しまして、更に日本の持つておる余剰能力でこの新経済に即応した施策を進あて参りたいということを基本方針として考えておるのであります。
  7. 境野清雄

    境野清雄君 それから最近この巷間で新特需というようなことを謳つておるが、これは「増大する特殊需要に対しては、輸出内需等との調整をはかり」という、この通産省の第三項目による「特殊需要に対しては」というのは、これはこの中に今の朝鮮の問題でない、新らしい新特需と称するものを含んでいるというふうに解釈してよろしいのですか。
  8. 首藤新八

    説明員首藤新八君) その通りであります。
  9. 栗山良夫

    栗山良夫君 私は二点ばかり伺いたいと思うのですが、その前に今度政府が新経済政策を発表されましたことについて関係筋から、その経済政策は甘過ぎる。特にインフレーシヨンの昂進の問題については、もつと真剣に考えなければならんということで注意を受けられたということを聞いておるのでありますが、これは本当でありますかどうか、伺いたいのであります。
  10. 首藤新八

    説明員首藤新八君) そういうことは未だ聞いていないのでございます。
  11. 栗山良夫

    栗山良夫君 そういたしますと、新聞に出たことは虚報であつたということでございますか。
  12. 首藤新八

    説明員首藤新八君) その点ははつきりいたしませんから申上げかねます。
  13. 栗山良夫

    栗山良夫君 それがはつきりしないということを言明されて、そうしてそういうことはなかつたということを前段で断定されたのは、どういう意味ですか。
  14. 首藤新八

    説明員首藤新八君) 只今栗山委員指摘されたようなことは我々としては未だ承わつていないのでありまして、従つて聞いていないということを申上げたのであります。従つて我々から見ますれば、新聞で発表したことは何かの誤報じやないかと思いますけれども、又別の面からそういうことが伝わつた結果が、そういうことになつたのじやないかとも考えますから、一応わからんということを申上げたのであります。
  15. 栗山良夫

    栗山良夫君 全然種がなかつたというわけではないということでございますか。
  16. 首藤新八

    説明員首藤新八君) 先ほど申上げましたごとく、司令部のほうから、非常に甘い、非常にインフレ的であるというような指摘をされたということは何ら聞いていないのであります。
  17. 栗山良夫

    栗山良夫君 安定本部長官も、現在の段階においては生産を上げていけば、若干値上りになつても、インフレーシヨンにはならん、こういうことを強く表明を我々にされたのであります。この間も併し興銀の川北氏が、これが一矢を酬いて、そういうことではない、このままで行けばインフレーシヨンが始まる、従つてインフレーシヨン抑制するためには財政金融的な措置がとられなければならんということをはつきり言明されておるのでありますが、そういう観点からしまして、政府は今日もなお且つインフレーシヨンに対する対策というものは必要がないとお考えになつておりまするか、或いは必要があるとお考えになつておりますか。
  18. 首藤新八

    説明員首藤新八君) 御指摘通りインフレーシヨンに対しましては飽くまでもこれを抑制する必要ありと、かように考えまして、先ほども申上げましたごとく、これがため施策としていろいろの対策を講じ、又今後講じようといたしておるのであります。併しながら現実の問題といたしましては安本長官が言われましたごとく、生産増強いたしますることは、むしろインフレ抑制する一つの手段だと考えてもいいと我々は考えております。川北氏の御意見が何を根拠として言われたかは存じませんが、将来併しこの生産増強以上に需要があるというような段階に参りますれば、それはこのインフレーシヨンの克服はなきにしもあらずと考えまするけれども、いわゆるこの経済社会通念から申しますれば、生産増強いたしましてそうして需給のバランスを調節さえいたしますれば、インフレはおのずから抑制できるのじやないかというふうな考えを持つております。
  19. 栗山良夫

    栗山良夫君 そうすると、そのことは金融財政的には手を打つ必要がないということでございますか。
  20. 首藤新八

    説明員首藤新八君) これは経済は動いておりますから、個々の問題に当面した場合に考えるべきだと思いまするが、併しながら一方において財政措置を講ずるということも又必要の場合が多くあると考えております。
  21. 栗山良夫

    栗山良夫君 そういたしますと、まあお答えは、インフレーシヨン抑制しなければならん、そうして金融財政的にも考慮しなければならんということが言われたわけであります。そうすると、もう一つ伺いたいことは、特需とか、或いは新特需というものの国内受入態勢というものは、特定の企業にほぼ限定されているような私は印象を今までの実績で受けるのでありますが、大体今までと同じような傾向で進むと考えてよろしうございますか。
  22. 首藤新八

    説明員首藤新八君) これは今までの状態を以て将来を予想いたしまするのは柳か尚早でないかと考えております。今までは、どちらかというと瀬踏み的な発注でありまするために、それぞれの有力な企業家が卒先して積極的にそれの契約に応じておりまするけれども、併しながらいよいよ発注増大して参りますれば、そうして今日までの有力な企業家が一応その能力に応じた或る期間の受注をいたしますれば、当然ほかの方面にも受注せざるを得ないような情勢を展開して参ると考えております。併しこれは今後の発注数量如何によつて決定する問題でありまするから、この情勢によつて、それに即応するような対策を講じて行きたい。併し一部の企業家を優先的に受注せしめるというような考え方は毛頭持つていないことをはりきり申して置きたいと思います。
  23. 栗山良夫

    栗山良夫君 それはコンマーシヤル・ベースによつて行われるのでありますから、そういう指導政府がやられようとしても無理であることは、私ども了承するのでありますが、大体今まで参りました特需品、或いは新特需品の品種、或いは又その注文量等から考えまして、国内のあらゆる産業全部に普遍的にこれが行われるとは私ども考えないのでありますが、その点如何でございますか。
  24. 首藤新八

    説明員首藤新八君) 御指摘通り、その発注物資、それと受注をしようとするところの工場能力、或いは技術設備というものをよく調節をとつて行かなければ、却つて思わざる弊害が生じて来るのじやないかということを憂えておるのであります。従つて先ほども申上げましたごとく、受注調整機関左創設いたしまして、そういう危惧のある点をことごとく払拭いたしまして、そうして円滑にやつて参りたいという考えで以てやつております。
  25. 栗山良夫

    栗山良夫君 大体わかりましたが、そうすると結論として私言えることは、インフレーシヨンの、将来抑制は当然出て参るでありましようが、それが財政金融的に行われる、そうして特需なり新特需受入態勢というものは窓口は割合狭かろう、そういう場合に、これはもう曾つて輸出入の現象にも現われましたように、相当特需、新特需をやりまする場合には、国内資金というものはこの点に用意をされなければならん。そうすると中小企業というものは、いわゆる資金的にも、或いは又新特需或いは特需品物そのものにおいても、日米経済協力には一応参加の見込みが極めて薄いと、こういうことが私は言えると思うのですが、如何でしようか。
  26. 首藤新八

    説明員首藤新八君) これも今後の発注物資を検討いたさなければ、今日こうだというような断定はいたしかねるのであります。成るべく全般的な中小企業にも潤うような発注のあることを希望いたしております。併し実際問題といたしましては、只今栗山委員の言われたような、或る大企業に集中するようなことも又なきにしもあらずということは、一応憂えております。併し実際問題として、仮にそういう少数の大企業家受注がありましても、下請の面におきまして、中小企業の大部分が結局は潤うという状態に参るのではないか。現に先般日立のほうで相当受注いたしましたが、これらも大部分中小企業の面に下請として発注されておるのであります。今後もこういう形で受注し、又製作されて行くものではないかというふうに一応見ております。
  27. 栗山良夫

    栗山良夫君 下請によつて中小企業参加の途を開きたいというお話でありますが、先ほどあなたは、コマーシヤル・ベースに乗つておると、従いまして産業合理化によつて国際価格鞘寄せをしなければならんということも前に言われておるわけです。従つて近代設備アメリカから輸入して、そうして能率を挙げて行くと、こういうことを言われておることは、成るべく内容の整つた設備整つたところの高能率工場において一貫経営をやつて、そうして単価を下げて行くという以外に私は方法はないと思うが、下請にどんどん出して行くということになれば、今日日立にありまするように、週四十八セントというような工賃で縛られるというようなことになれば、それは言うべくして行われ難いことになるのではないかと思いますが、如何でございますか。
  28. 首藤新八

    説明員首藤新八君) 先ほど申上げましたごとく、企業合理化、或いは設備近代化等促進をいたしまして、今日までは受注できなかつた中小企業もできるだけ速やかに受注できる対策を講じたいというのが、先ほど申上げた新情勢に対する政府施策基本であります。従つて、今後できる限り多くの企業家がこれに参加できるような方針を進めておるわけでありますが、併し現実の問題といたしましては、そうも参りかねる点もありまするし、又アメリカ発注もまだ極く少量でありまして、極く一部の企業家受注いたしますれば、他にもう受注できるものはないというような状態にありまするが故に、出立のような状態を現わしたと考えておるのであります。従つて一一にかかつてこの問題は今後の受注量如何の問題でありまして、受注量が多ければ、従つて全般的にこれが関与できることとなるのでありますが、少量でありますれば、今後適正な能力技術設備を持つておりまするものが優先的に参加するのではないか、こういうふうに考えておるのであります。何分にも今日までのところ、非常に強く叫ばれておりまするけれども、実質的にはまだ極めて寥々たる発注でありますので、今日の段階で具体的に今後どうするということは申上げかねる状態にあるのであります。
  29. 栗山良夫

    栗山良夫君 それは現実に運営されたときのことを私はお伺いしておるのではなしに、問題の考え方、理論の立て方をお聞きしておるので、コマーシヤル・ベースによつて日本価格十分引合いがとれるということになれば、どんどん量は殖え乗るのであつて、量の多寡などは今ここで論議すべきではないと思う。又、量の多寡によつてかくあるべしというような説明というものはちよつと本末顛倒と私は思う。問題は、産業近代化をやるというようなことを構想した場合に、中小企業参加窓口を開くという場合には、私は二色よりないと思う。一色は、中小企業に対してまでも産業近代化をやつて、そうして大工場下請工場とも一貫して国際価格への鞘寄せ協力をして行く、こういう態勢をとるのか、或いは大企業に対しては産業近代化をやる、そうして足らざるところは、中小企業において大いに今まで日本中小企業が行なつて来たようなダンピング政策のような形で労賃その他あらゆる経費を徹底的に縮減して、そうして生産を行なつて行くか、この二つより私は途はないと思う。そのどちらをおやりになろうとしておるかということを伺いたい。
  30. 首藤新八

    説明員首藤新八君) これは先ほども申上げましたごとく、できる限り広範囲企業をこれに参加いたさせたい。従つて、これがためには、一部大企業のみならず、中小企業をできるだけこれに参加するような諸施策を進めて参りたい。従つてこれがためには、中小企業ために、先ほど申上げました設備近代化というのも、大企業よりもむしろ中小企業重点を置いて、そうしてこの近代化促進することが効果的であるという考え方を持つておるのであります。
  31. 栗山良夫

    栗山良夫君 それでよくわかりました。中小企業重点を置いて設備近代化をやつて行かれる、そういうお考えであれば、大体わかりました。  それからもう一つ第二点として伺わなければならんことは、ここにいろいろ国としても施策を発表せられたわけでありますが、少くともアメリカ国内においては大体準戰時体制に入り、軍備拡張を行なつてアメリカ政府が政策を発表しておりまするときには、必ずその裏に国家意思を強力に実行しまするために政策の裏付になる法的措置が大体とられております。で、今の日本経済政策というものも、日米経済協力の線によつてだんだん明らかになりつつある。コマーシヤル・ベースとは言いながら、その造られる製品等はすべて明らかになりつつあるのでありますから、従つてこういうような政策を発表される限りにおいては、必ずやはりそういつたような一つ措置政府がとらなければ、政策はただ単なるペーパー・プランであり、一つの理想であり、空想に終るというふうに考えなければならんと思いますが、その点の御用意は如何でありますか。
  32. 首藤新八

    説明員首藤新八君) 政府におきましては、先の国会におきまして、ニツケルの製錬助成法案を御協賛を経たのでありまするが、これと同じ考え方によりまして、稀少物資をできる限り増産せなければならん。それがためにはニツケルと同様の措置を講ずる必要のある物資も他にあると考えまして、それを現在検討いたしておるのでありまするが、更に一方におきましては、これも前国会で提案することになつておりました設備近代化法案でありますが、これは一応議員提出の形式を以て進めておつたのでありまするが、いろいろの事情から前国会には間に合わなかつたのでありまするが、次の臨時国会には是非提案して頂きたいというふうに考えております。  更に先ほど申上げましたごとく、いろいろの施策を進めまするために、相当予算を計上いたしまして、積極的にこれを推進いたしたい。従つて設備近代化法のみならず、中小企業に対するところの資金の問題、或いは又東南アジアに対する開発の問題等々もできる限り根抵のある措置を講じて参りたい。現在検討いたしておるのであります。
  33. 栗山良夫

    栗山良夫君 私が今御質問申上げた問題は、中小企業だけでなくて、全産業に関連する問題でありまして、特にここに一から七つまで上げられておりまするけれども、いずれもが私の質問に該当するわけでありまするけれども、特に第七番目の物資需給という面について、政府のほうにおいては今ニツケルの例を挙げられましたが、その他いろいろな緊要緊急物資につきまして、今後物資需給調整を行うとか、或いは物価の統制を行うとか、更には労働賃金の統制を行うとか、そういうようなことが不可避になつて来るのではないかこう考えるのでありますが、そういうことを行わなければ又効果も上らないと思うのでありますが、それに対してどういうふうにお考えになるか、従来は、少くとも今日までは政府のほうにおいてはこれを指定をして来ておられるけれども、そのままで今後進むならば、ここに述べられた政策というものは私は実行できないと思うのです。従つて実行しようと思うならば、そういうことを考えなければならんのでありますが、実行できない政策を掲げて、そのまま進められるのか、或いはこれを実行するためにそういうような対策をお立てになるのか、そこのところをはつきりお聞きをしたいと思います。
  34. 首藤新八

    説明員首藤新八君) 当面考えておりまするところは、先ほど来申上げましたごとく、資源開発、或いは輸入促進によりまして、原材料の供給を潤沢にいたす、更に進んで不要不急用途を制限いたしまして、この面からも供給を潤沢にいたす。そしてこの特需、或いは一般輸出促進に支障のないような、そうして又成るべくインフレ抑制できまするような方針を進めて参りたいという考えかたでありまして、今のところ労銀までを抑制いたるし、そして低物価を促進いたすというところまでは考えていないのでありまして、若し労銀を抑制するということに相成りますならば、その影響するところは極めて広く且つ深刻になつて参りまして、それが日本経済全般のためにいい悪いかは非常に慎重に検討すべき問題だと考えております。
  35. 栗山良夫

    栗山良夫君 労賃は統制の意思はないということをはつきりされましたが、物資需給調整或いは物価統制のほうをお聞きしませんでしたが、この面についてまだはつきり御回答を頂きませんけれども、今言われたように原材料は豊富にするように努力すると言われるのだけれども、現実に重要資材については物資は不足であると言われておる。不足であるものを豊富にするということは、これは今日の世界的な戰時経済上なかなかむずかしくてうまく行かない問題であります。従つてそれはあなたが今述べられた希望と現実との間には大きな距りがあるわけであります。それから不急不要の面は大いに閉じたい、こういうことを言われるのでありますが、これは明らかに物資調整であります。従つてあなたが具体的な例でそういう工合に御説明になりましたけれども、私がそういうものを総括して物資需給調整を行い、又物価統制を行う、こういうようなことが必ずこれはなければこの政策は実現できない、こういう工合に考えるのでありますが、如何でございますか。
  36. 首藤新八

    説明員首藤新八君) 政府は栗山委員とは反対な見解を持つておるのでありまして、若し栗山委員の言われるような物価統制等を実行いたしますれば、かえつて生産増強を阻害するという逆な結果を招来するのではないかというふうな基本的な考え方を持つております。従つて今後も従来のいわゆる基本的には自由経済の線を強力に促進しまして、どうしても足りない物資だけを対象としてこれに対する個々の適当な対策を講じて、そして需給調節を計つて参りたい、こういう考えであります。
  37. 栗山良夫

    栗山良夫君 どうも私また納得できません。まあもう少し突込んでお聞きしたいのでありますが、同じようになりますから打切りますが、ただ一つ具体的な例でお聞きいたします。今日電力料金の改訂問題をめぐつていろいろ論争がありますが、その一つに六百五十万トンの石炭の問題があるのであります。この六百五十万トンの石炭というのは電力の需給調整に関係するところの発電電力量とも密接な繋りを持つていることは御承知の通りです。そこで安定本部のほうでは、二十六年度の計画においては水力、火力を合わせて日本国内で必要とするところの電力の量というものはこれこれである。従つてこれだけは是非とも生産されなければならんということで、これは公益委員会の方面へも話があつたわけであります。従つて公益委員会のほうでは六百五十万トンの石炭がなければこの責任が持てない、安定本部のほうによろしくという工合に話をした、ところが、石炭のほうはもう統制を撤廃して自由になつておる。それで非常に入手がむずかしいということになつておるわけです。結局まあ業者が努力をして獲得する程度より止むを得ないだろうというわけで、これはこの問題は並行線でいつまで経つでも解決されていないわけであります。ここに私は今次官がはつきりと明言をされない現政府の今日の政局に際会しているところの経済政策の根本的な私は方針の相反する面が、はつきり矛盾して出ていると思う。従つて電力一つの問題を考えても、具体的にこういうことになつておる。従いまして私が今申上げたようなことをおやりにならなければ、この政策というものは実現できないということを私は申上げておるわけです。従つて抽象論ではお答えできないということでありますならば、今の電力の問題でも結構でありますから、それで一つお答えを願いたいと思います。
  38. 首藤新八

    説明員首藤新八君) 電力のため相当大量の石炭を必要とする、これが確保できるかできんかということでありますが、只今政府といたしましては、石炭業者に極力増産協力を懇請いたしまして、以て目的を達成いたしたいという方針の下に目下努力いたしておりますが、なおこれでも確保できないということの見通しがつきますれば、別途に輸入とか或いは又重油によつて石炭の消費を節約するというような、いろいろの他の方法によつて飽くまでも必要量を確保いたしたい、こういう考えを持つております。
  39. 栗山良夫

    栗山良夫君 今述べられた後段のことですね、これはとにかく政府としてははつきり意思表示になつていないことです。例えば安定本部としましては、石炭増産促進すると言われますけれども、四千五百万トンを超えることは困難であろうと言われておる。現在の状態で……。従つて如何促進の希望がありましても、そう桁外れの大きな出炭量が期待されるはずがない。あとは輸入とか重油によらなければなりませんが、そういうことについても明確にされていないと思うのであります。従つて私はここでこの場限りの質疑応答ならば、それで一応了承いたしますけれども、全般的に見まして、どうも今行われておる経済政策というものは私ども決して割切れない。いわゆる了解しがたい。了解するしないは別としまして、これでは日本経済というものはうまく行かない、こういうような懸念に非常に襲われているわけであります。一つ次回にでも更に情勢も変ることでありましようから、よく御研究を頂きまして、御答弁頂きたいと思います。私はこれでこの問題は打切りたいと思います。
  40. 結城安次

    理事結城安次君) ほかにございませんか。
  41. 古池信三

    ○古池信三君 先ほど承わりました通商産業省としての新らしい施策基本方針内容を承わりまして、甚だいずれも御尤もな結構なことだと考えるのでありまするが、私はこの際これらの方針の裏付けになる資料を一つ御提出願いたいと思うのであります。本日この席で伺うということも無理な注文だと存じまするので、後日で結構でありまするが、成るべく早い機会にできるだけおまとめを願つて委員会に御提出願いたいとかように存じます。
  42. 結城安次

    理事結城安次君) ちよつと伺いますがどういう資料を……。
  43. 古池信三

    ○古池信三君 今これから申上げます。その資料につきましてちよつと申上げますからメモでもして頂ければ結構だと思います。  この基本方針の順に申上げます。先ず最初第一には、我が国の貿易及び鉱工業生産が朝鮮動乱以来急速な上昇を示しとありますが、これの数字的な資料。それから第二には国内の物価は国際物価高騰を更に上廻る異常な上昇を示しておるとこうありますので、国内物価の上昇と国際物価の上昇との比較した数字的な資料。第三に最近は輸出特需の伸び悩みの傾向が現われておる、かようにありますので、どういうような線で伸び悩みになつておるかというその傾向を示す数字をお知らせ願いたいと存じます。それから更に日米経済協力の問題に基きまして、東南アジア工業化及び資源開発計画ということがございます。これらについては時折り新聞等によつて散見いたしますけれども、若し政府において何か具体的な計画がわかつておりましたならば、それもお知らせを願いたいと存じます。それから次には先般の当委員会において本年度の輸出計画については御説明を承わつたのでありまするが、更に自由世界各国との経済協力を強化する意味を以て追加輸出促進するような方針と承わるのでありまするが、そうすれば前回に承わつた輸出計画以外に更に追加輸出計画がございましたらそれも承わりたいと存じます。それから更に輸入計画につきましても勢い一層輸入増強ということも考えられておると思いますので、重要物資輸入計画について最新の資料を承わりたいと存じます。それから第七には国内生産力増大、特に国内資源開発を図るという方針と承知しまするので、国内資源開発とはどの程度に如何なる物資開発するのであるか。その開発計画についてまとまつたものがございましたらこれもお知らせを願いたい。第八番目には当然日本としては産業合理化の線を一層強く進められて行くことと存じます。産業合理化政策につきましては今でもたびたび施策を承わつておりますが、若し今後の更に一層強力なる合理化政策がありまするならば、これについても一つお伺いいたしたい。最後には特に国際割当物資等の極めて不足な物資については必要な最少限度の需給調整措置を講ずるという方針でありまするが、如何なる方法によつて需給調整をなされるのか、これも若し具体的な措置方法がきまつておりましたならばこれらについてお伺いしたい。  以上大体九つの問題につきまして資料を委員会の事務局のほうにでも御提出願えるならば非常に幸せだと思います。
  44. 首藤新八

    説明員首藤新八君) 了承いたしました。できるだけ御希望に副うように措置を講じたいと思います。
  45. 境野清雄

    境野清雄君 日米経済協力問題で金融問題から少し質問したいのですが、大体日本経済が御承知の通り特需輸出によつてまあ危機を乗抜けて日本経済が非常に順調な足並を辿つておつたことは我々は承知しておるのですが、それによつて日銀当局としてはこの通産省方針にもあります通りインフレーシヨンを規制しながらこの日米経済協力をやつて行きたい。こういうような形で特需輸出によるインフレ抑制するということを片方に謳つておるのに、片方今次官の話によると、企業合理化資金に対する金融措置は講ずる、こういうのですが、勿論この日米経済協力そのものが余剰経済力に重点を置いておるというような点からすれば、どうしても企業合理化資金は出さなくちやならないのですが、中小企業においては大体この企業合理化資金というものでなく、余剰経済力を活用しようとするためにも金がないのじやないか。そういうような面があるのに、片方はインフレーシヨン抑制するというところに大きな矛盾があつて政府自体では大きい考えで行くから、そういうことが使い分けができると思うかも知れませんが、大体市中銀行というようなものは営利でやつておるのですから、こういうようなものに中小企業如何政府重点を置きましても、日米経済協力というもののため中小企業にまで、これが合理化資金なんだから出そうということはなかなか普通の形態ではやれないので、それに対して一体政府自体がどういう方法か、今までと変つた方法によつてこの企業の経営合理化資金というか、或いは中小企業経済余剰資金を活かすため資金というものを放出するように努力するのか、その点のお考えがあつたら承わりたい。
  46. 首藤新八

    説明員首藤新八君) 最近金融問題が非常に強く取上げられておりますし、又実際問題として金融が非常に梗塞いたしております。そこで一体金融の梗塞の原因がいずれにあるか、いろいろ原因はありましようが、特に最近金融梗塞の一番の大きな原因は、厖大な輸入物資の期限が到来して、それを決済しなければならんという、これが金融梗塞として取上げられた一番大きな原因だと考えるのであります。ところがこれに対しまして日銀のほうでは非常に抑制さすという方針をとつておりますることによつて、いろいろの波紋を描いておるのであります。ところが日銀の考え方を聞きますると、思惑資金である、いわゆる輸入が思惑的に輸入された、従つてそういうものには資金の何か融資はできない、或いは又不要不急なものの輸入相当多い、又そういう方面の金融の使途が多いというようなことが指摘されておるのであります。併しこれは我々の考えますところはいささか矛盾しておるのでありまして、通産省といたしましては先ほど来幾たびか申上げましたごとく、朝鮮事変勃発を動機といたしまして世界の経済情勢が一変いたしたこの機会に、日本経済をできるだけ速かに自立しなければならんむしろ絶好のチヤンスではないか。而してそれがためにはできる限り多量の物資をできる限り早く輸入することであるという考え方の下に全力を集中いたしまして輸入促進をやつたわけであります。その結果が現在現れておるのでありまして、一時は備蓄輸入さえもする必要ありと考えたことは御承知の通りであります。従つてその間には或いは思惑的な輸入も若干含まれておるかとは考えますが、併し全般的に見まして、この輸入促進をやつたことが現在の日本経済にどのくらい大きなプラスになつておるかという点に重点を置いて考えるべきじやないかというふうに一応我々は考えておるのであります。従つて先般来日本銀行に対しましては殆んど連日折衝を重ねまして、できる限り金融の疏通を図るべく努力いたしております。だんだんこの問題も解決いたしまして、現在の段階では金融斡旋ということで個々の銀行、個々の企業家に対しましてはそれぞれ金融の途を開いておるのであります。無論これで満足しておるものではありません。どちらかと言えば、ユーザンスの期限延長、或いは又手形の拡大であるとかいうような措置を講じたいと考えまして、これも現在折衝はいたしております。併しこういう方法によりまして一時よりも若干金融はつきかけておるのではないかというふうに考えております。同時に今後におきましてもこの中小企業の金融のためにはできるだけ国家資金を多量に投入いたしまして、そしてこの中小企業の金融難を打開いたしたいというふうに考えておるのであります。
  47. 境野清雄

    境野清雄君 今の次官の答弁で、輸入資金に対する考え方は、日銀の考え方でなく、政府考え方が尤もだと思いますし、それは是非その点で推進してもらいたいと思うのですけれども、今の現状の日本経済界の金融梗塞は、次官の話したように輸入資金が枯渇しておるから、それによつて全般的の金融が梗塞しているという考えはこれは非常な間違いじやないかというふうに思うのでありまして、先ほど私が余剰経済力というようなことを申上げたことは、現在の一つの例としては織物というものをやりましても現在の中小企業の織物業者というものは、実際もう設備資金に全部欠けてしまつておるので、これが如何日米経済協力が発展しまして、織物を輸出しようというような状態になつても、これに対する運転資金というものは殆んどもうないということに全国一律の中小企業家の形態であるのでありますから、そういうものに対しても特に政府自体としてこの運転資金がないというものは、企業合理化資金でもないし、ただ併し実際の日米経済協力というものによつて日本が大いに輸出をやらなければならんという場合には、どうしてもそういうものを政府において考えてもらわないことには、これは到底やつて行けないのではないか。輸入資金だけで今のような金融の枯渇があるのでなくて、見ようによつては次官なんかのやつておる仕事は、非常に大きい仕事をやつておるので、そのほうばかり見ておるので、もつと細かい中小企業……我々の関連しておる中小企業なんというものは、本当に非常に息もつけないような形になつておるので、こういうものに対してももう少し政府は小さい企業にも目をつけて頂きたい。例えば先ほど栗山委員からの質問で機械設備近代化中小企業重点を置く方針だ。こういうようなお話だが、大体新らしくどういうような法案を準備しておられるのかわかりませんが、前々国会かに設備近代化法というものを政府は一応法案として出そうという心がまえを以ておつて、当時何か予算を、たしか六億かの予算を計上したのだが、それがたまたま閣議で受入れられなかつたということで形態を変えて行きまして、先ほど次官が話された通りに、税の免除とか、或いは輸入税を免除するとか、さもなければ固定資産税を免除しようというようなことによつて設備近代化なんというようなことを言つておりますが、これはどうも次官自体が中小企業重点を置くということと、設備近代化ということに甚だ食違いがあるのじやないか。大体中小企業というものは、今の設備近代化しようとしても、輸入しようとしても、その元の金がないので、その金のないことは抜いておいて、そうして税を免除しよう、税の免除そのものが前の機械局長さんの話では、それが五〇%程度くらい安くなるというようなお話であるけれども、元の金がないので、輸入方法はないので、これは是非一つ通産省として新らしい予算や何かに重点を置くというようなお話ですから、そういう点で若し先ほど次官のおつしやつたような中小企業重点を置く方針だということを実現するためには、この機械の設備近代化するために、輸入資金を貸してもらわないことには、中小企業重点を置くということは空文になつてしまつて、これは如何生産しようとしても、初めの元の金がないのだから、これは入れられないという結果になるので、この点は是非一つ十二分に御考慮を願いまして、今の中小企業に対する金融問題並びに機械設備近代化というような問題も空文にならないように、現実一つ中小企業重点を置けるような方策を是非考え願いたい。こういうふうに思います。
  48. 首藤新八

    説明員首藤新八君) 境野委員の御意見御尤もでありまして、政府もこの問題につきましては全く同じ見解の下にできる限り努力を続けて参つております。これがために見返資金も今日までは設備だけに適用されておるのでありまするが、これを運転資金に拡大したい。これもすでに二ヵ月以上実は折衝が手間どつておりますが、何とかこれも運転資金まで拡大したいという考えの下に折衝を続けておるのであります。同時に前々国会で御協賛を得ました信用保険制度も、これもできる限り市中銀行の御協力を得たいという考え方の下にいろいろの方法を以ちましてこれが徹底を図つておるのであります。最近信用保険のほうはやや成績が上昇して参りまして、この分で参れば今年の年末までには相当契約はできるのではないかと若干楽観してもいいような情勢になつておるのであります。その他輸出入銀行の面、或いは開発銀行の資金等々もできる限り中小企業に融資のできまするような措置を講じたいというふうに考えておるのであります。
  49. 境野清雄

    境野清雄君 是非この中小企業の問題は早急を要する問題なので政府も十二分に考えてもらいたい。今のお話では信用保険というような問題もありましたけれども、多分政府自体が知らないのだろうと思いますが、例えば最近の信用保険というようなものに市中銀行が貸出しておる。御承知の通り七五%政府が補償するというような面から言つて、百万円貸出すと二十五万円は定期預金に預けて置けというようなことをやつておるのでありまして、百万円借りたと政府のほうでは思つてつても、現実には政府考えておる七五%しか貸出しておらないのでありまして、こういうような悪徳と言つてはなんですが、金融業者は全く政府考えておるようなことは考えておらないので、是非一つこういうような面に関しても何かと一般の声も聞かれまして、なお今の織物の問題なんかも早急を要する問題なので、中小企業に対する金融に対しては格段の一つ御配慮を願いたいと思います。  続いて先ほどの栗山委員の質問と重複するようなんですが、実際通産省としては受注の受入れ態勢整備というようなことができ得る大企業はいいのですが、これのでき得ない中小企業者に対しては何らかの方法、言い換えればそれの協同組合なり、何なりを活用するというような面において一つ特段の御配慮を願いたい。願わない限りは従来と同じような新らしい日米経済協力によりましても大きい企業だけがその対象になるということを私どもは非常に心配いたしておるのでありまして、この点に関しては是非この整備のでき得ない中小企業に対しては特段の方法をお考え願いたい。  それからもう一つ、次官は時間を急がれるようでありますから、続いて質問だけいたしますが、輸入資金の斡旋を考えておるというようなお話先ほどありましたが、これ又次官のお話通り現在の輸入資金の不足ということが非常に重大問題になつておる。これはおつしやる通り思惑輸入なんということがあつて、外貨の割当も……、日本自体が輸入をしないときと輸入をしておる今日とを見れば、輸入をしておる今日は、日本経済ためには大きなプラスになつておるということは我々も考えるのであります。そういう場面があるにもかかわらず、この輸入資金の斡旋を考えておるということは、従来の輸入資金の不足を放置して置いて新規のものに対してのみ考えるという意味なのか。従来の今問題になつておりまするこのLCが来ないで輸出のでき得ないような綿布の問題なんかも相当先般大阪に行きましたときに起つておつた。それから輸入にいたしましても、思惑輸入というので金融されないので相当つておつたようなものがありますので、こういうものを一緒に考えられるのか、或いは日米経済協力というものによつて新らしいものだけを考えられるのか。この点を一つお答え願いたいと思います。
  50. 首藤新八

    説明員首藤新八君) 金融の斡旋は今日当面いたしました今日までの輸入品に対する決済資金重点的に考えまして現在斡旋しておるのでありまして、従つて将来の金融に対しましても無論従来同様の考え方の下に進んで参りたいとかように考えております。
  51. 境野清雄

    境野清雄君 もう一つ資料の問題なのですが、大体先ほどから国際物価国際物価というような話がありまして、アメリカにおけるいろいろの物価というものを、これはアメリカのブラツク・マーケツトはわからないようですが、大体国際物価の基準というものはどの辺にあるのか。この資料は政府のほうでは何か出しませんですか。
  52. 首藤新八

    説明員首藤新八君) 国際物資重要物資は日々世界各地で相場が立つておりまして、金属にいたしましても、綿花にいたしましても、その他重要物資は連日海外相場、主要な市場の相場が入つておりますので、それらを基本といたしまして、C・I・Fでおやりになるという計算を立てて、それによつて日本の物価がそれから上にあるか下にあるかということを算定しておるのであります。
  53. 境野清雄

    境野清雄君 そうすると、先ほどお話に出たようなニツケルのような問題、いわゆるカナダニツケルというようなものは、五十万円以下でできるというようなものは、一応国際物価考えられる場合には、これの輸入を懇請していない場合には、日本の二百万円以上のニツケルというものでは対抗でき得ないので、そういう場合には国際物価を基準にするという場合に、ニツケルのようなものの重要物資輸入されない場合にはそれに対する輸出というものは断念せなくちやならんというような考えでよろしうございますか。
  54. 首藤新八

    説明員首藤新八君) 重要物資でありまして、それが只今指摘のような日本だけの非常に使用するというものにつきましては、その物資日米経済協力の線の範囲内に使用されるのでありますならば、国際物資割当委員会に申請いたしまして国際価格で獲得いたしたいとかように考えております。
  55. 結城安次

    理事結城安次君) そうすると皆さんの御意見で、大分中小企業というようなものは容易ならん問題に際会しておるというようなことで、只今古池君からの資料の提出もありますし、それから私ども考えますと、大企業はやはり中小企業がしつかりしておらなくてはうまく行かんのだから、それらに関連して中小企業を積極的に助成しておるというようないろいろな手段と、それから今までのやつた結果なんかもこの際伺うことにして、近くもう一遍中小企業或いは日米経済提携というようなことで開くこととして、本日はこれで打切つてよろしうございますか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕   —————————————
  56. 結城安次

    理事結城安次君) そうすると、次に競輪問題でありますが、これは国会末期の当委員会で立川競輪場認可の問題で問題が起され、通産当局におきましても事情を十二分に調査した上で報告してくれるということになつておつた問題でありますが、当時から、当時約束してあつた調査期間ももうすでに経過しておりますので、今当局から調査の結果ということを私どもお聞きしたいと思いますが……。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  57. 結城安次

    理事結城安次君) 森車両部長から立川競輪問題に対する調査の結果の御報告を伺うことにいたします。
  58. 森誓夫

    説明員(森誓夫君) 先ず競輪場認可の経過について申上げます。立川市に競輪場を建設しようとする動きは、昭和二十四年三月に地元有力者の中野氏が競輪場設置についての請願を市議会定例会に提出し採択されて表面化しました。市議会は二十五年二月に招致委員会を全員で構成して、東京都に働きかけ、当時同様の希望を持つておりました八王子市に優先して八月に都の推薦を受けまして通産省にその書類が出て参つたのでありますが、通産省は諸般の事情、特に同市の教育関係者の意見なども書面によつて十分審議をいたしました上、東京都及び立川市に対して設置承認の通知を行なつたのであります。然るに一方東京都は立川市が建築承認願の書類が不備であるということを理由にして競輪場の建設中止命令を出しておりますので、競輪場は完成の運びに至らないで今日に至つております。  次に立川市の財政状況について申上げますと、立川市は戰時中は重工業の工場を多数擁しておりまして、財源には恵まれていたのでありますが、終戰と同時に一挙にこれらの重要財源を失い、財政には極めて困難な状態に立至づております。同市二十六年度の予算は一億五千六百万円でありますが、教育関係の予算は二千五百万円程度でありまして、全予算額の僅かに一七%に過ぎません。現在の教育施設は市立小学校六校のうち五校は二部教授制であり、又高等学校は夜間制の一校を持つのみで極めて不完全であります。又上水道の設備も不完全であります。一般産業の不振は特殊風紀問題と合せて市の重大な問題となつておるわけであります。従つて、この財政的な困窮を救い、積極的に種々健全な市政を築くための財源の捻出は市の当局者のみでなく、市の財政に関心を持つ人々の焦眉の急として考究いたしておるところでありまして、そのため一つ施策として競輪場の設置が大きく取上げられた模様であります。  次に競輪場設置場所の環境について申上げます。競輪場建設地と近隣学校との距離は曙小学校が約二百メートル、高松小学校が約五百五十メートルであります。なお近傍にあります立川二中の場合には中間に生物学研究所が存在いたしておりますので影響は比較的少いと考えられます。又曙小学校の場合は中間に障壁を設けることを市で計画いたしておるようであります。曙小学校の校長は当校のPTAは市財政の現状において教育費の財源を獲得するためには競輪場設置もやむを得ないものと考えておるようだとの所感を述べております。市と学校若しくはPTAどの間には競輪収益は教育費に最優先的に振向けるとの口約がある模様であります。又教育関係者が個人的利害関係によつて節を曲げたというような事実は全く認められません。なお関係のPTA会長三人のうち、二人はその後教育委員に選挙せられております。  次に立川市の輿論と、その後の動向について申上げます。競輪場設置賛成論者は、市財政の充実による施策よろしきを得れば、多少の弊害を補なつて余りあるとしているのに反し、反対論者は競輪そのものには反対しないが、場所が学校に近接することから生ずる文教上の弊害を取上げて、他に敷地を変更するように主張いたしております。尤も立川市内に、他に適格な敷地がないならば、現位置も又止むを得ないと考えている向きもあります。先般の市長並びに市議会の改選に際して、当選した者二十六名でありますが、そのうち一名を除いて、すべてが賛成論者であつた点に徴しても、市民の輿論の動向は窺えると考えられます。なお改選後の市会におきましても、競輪場建設促進が議決せられております。反対論者は、競輪場に最も接近している曙町三丁目地区の市民に多く、他は婦人層の一部であります。今後の見通しとしては、当市の治安の掌に立つ責任者は、一部少数の反対はあつても、既定方針通りで大体納まるものと考えている模様であります。  次に競輪場の代替地の有無について申上げます。代替地につきましては、二つの場所が反対者側から主張されております。併し第一の場所である立川国立間の約七千坪の国有地は狭過ぎて不適当であります。又第二の市有総合グラウンド一万五千坪は幅員が百三十メーターで地形的の難がある上、河畔にあり流水の虞れもあつて、川の流れを変えて埋立てしない限り同様に不適当であります。なお後者の場合はグラウンド中央を低目に高圧線が通過していてこのままでは危険であります。こういうわけで現在適当な代替地は見当らない状態であります。  次に都の建築中止命令の理由と、将来の見通しについて申上げます。都は敷地が住宅地であること、手続の不備の二点に基いて中止を命じたものでありまして、他に特段の含みはないことが判明いたしました。なお今年五月十六日都の主催で立川関係者を招致して開催した、立川競輪公聴会では、約九割が賛成し、反対は一割程度でありました。この間の経緯に鑑み都としては、今後特に顕著な反対理由が認められない限り建築を許可するものと考えられます。  次に立川競輪株式会社の内容と市会との関係について申上げます。会社は未成立でありますが、建築許可のあり次第設立の運びに至るものと思われます。発起人代表でりあますと同時に、立川競輪場設置請願者であります中野氏は徳望のある地元有力者で、本件に関して特に悪質の利害関係のために動いているとは認められません。競輪賛成者が市会議員に多く当選した結果、発起人の中におきまする市会議員の数が多くなり、又顧問中には市の要職にあるものなども名を貫ねておりまして、会社はむしろ公的機関に類した構成になつております。なお最近立川市から聞きましたところによりますと、市会の議員総会におきまして、競輪場の所有は立川市が行うというふうに方針をきめたようであります。従つて個人的営利会社等の存在は今後考えられなくなるということであります。  次に敷地の所有者との利害関係について申上げます。予定地は約二万坪の住宅地でありまして、そのうち先ほど申上げました中野氏の義弟に当るかたの所有地もあります。併しこれは、中野氏は特に市に対して、公定価格で貸与いたしておりますることから考えましても、不当な策謀は介在しないものと認められます。  大体以上でこの前御依頼のありました調査の御報告をいたしました。
  59. 結城安次

    理事結城安次君) これに関して御質疑はございますか。
  60. 栗山良夫

    栗山良夫君 只今の現場調査報告が折角御努力を願つて調査をして御報告頂いたのに対して、言葉が過ぎるかも知れませんけれども、いわゆる役所式の調査であると私は思うのです。で実はそういうような報告が行われるであろうことは、私が一番最初この委員会で、この問題を取上げて頂くときに大体私は予測した通りであります。問題はもう少しこの委員会といたしましては、手続上いろいろ疑義があるかも知れませんけれども、殆んどときを同じくして現地の調査をされました文部委員の高田なほ子議員が来ておられますので、委員外発言を許されまして、一応その事情をお聞き頂きたいと思いますが、如何でございますか、こういう動議を出します。
  61. 結城安次

    理事結城安次君) 栗山君から委員外の発言の動議が出ておりますが、許してよろしうございますか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  62. 結城安次

    理事結城安次君) それでは高田なほ子さん。
  63. 高田なほ子

    ○委員外議員(高田なほ子君) 文部委員の高田でありますが、特にこの問題についてお時間をお割き頂きましたことに対して深甚な敬意を表します。  只今御当局のかたから調査の資料が提出されたのでありますが、私はこの問題についてよりよりこちらの当委員会において御調査が命ぜられているやに聞き及んでおりましたので、その資料がどの程度に頂けるかということについて、非常な期待を持つたのであります。只今の御調査は一応誠に体裁の揃つた御調査でございますので、この報告に対しては感謝するのでありますけれども、実はそれをプリント、或いは何らかの書類にして頂戴できたならば、なお一層よろしいのではないかと思うのであります。  先頃立川市に参りまして、ほんの外郭だけの調査をして参つたのでありますが、只今の車両部長さんの御調査の中にもありましたように、手続上の不備から中止命令が出ているのだとかいうようなお話もあるように、私が先頃立川市に参りまして、いろいろ伺いましたところにも、どうも腑に落ちないところが大分あるわけであります。そこで詳細の資料を頂戴しませんと、質問の核心に触れることがむずかしいと思いますが、二、三点だけお聞かせ願いたいところがあるわけであります。それはこの立川競輪株式会社がまだ未成立であるという只今の報告であつたのでありますが、この会社が未成立であるのにかかわらずこの立川競輪場というのがすでに着工されているという点についてもどうも私その点のからくりについてわからないのでありますが、会社が未成立であると、併しすでに工事が七月には着工されている。而もこの立川競輪株式会社という名前において着工されているということは誠に腑に落ちないのですが、これはいわゆる手続上の不備としてこれは取扱われるものであるかどうか、その点をお聞かせ願いたいと思うのであります。
  64. 森誓夫

    説明員(森誓夫君) 都が言いまする手続上の不備はそういう面ではないと考えます。申請書の記載事項等に不備な点があつたと言つているのだろうと考えます。会社が正式に成立していない前に工事を始めておるということは普通考えるとおかしいようでありますが、大体発起人として有力な人々が揃つており、又その代表として中野氏が大体委任を受けておるような恰好でありますので、将来の会社の成立を見通して工事に着工したものと考えられます。建築許可の点でひつかかつたものだから恐らく会社設立の手続を一応やめているのだろうと思いますが、建築許可さえ下りますれば支障がありませんので、そこで会社を設立して株式の募集を完遂するということになつて行くのだろうと考えます。
  65. 高田なほ子

    ○委員外議員(高田なほ子君) そうするとこの株式会社というものは、設立の見通しさえあればいつでもその会社の代表の名前でこの建築許可にその名前が使われてもよろしいというものなのかどうでしようか。
  66. 森誓夫

    説明員(森誓夫君) 私の常識からお答えいたしますが、大体会社は発起人というのがありまして、それが代表というものが、又その中に選ばれまして、それが会社が正式に設立し登録されるまでその代表として活動するということはよく見受けられる事例であります。
  67. 高田なほ子

    ○委員外議員(高田なほ子君) まあ会社ができる前に発起人として代表が活動するということは常識でありますけれども、事立川市財政に生死の一票を投ずるような大建築に関しましてその会社の設立以前にこういう大工事が着手されるということ、それ自体に対する大きな私の疑問なんですが、この疑問はあなたは常識として私に御回答下すつたようですが、それがあれですか、建設省の常識ですか。
  68. 森誓夫

    説明員(森誓夫君) それは、建設省と言われましたですが、私は通産省でございます。むしろ社会人の一人として常識と申上げたのであります。
  69. 高田なほ子

    ○委員外議員(高田なほ子君) それじやもう一点お伺いしたいのですが、吉田さんはかねがね革新的な文化政策を断行するというので大変に大見得を切つておられるわけでありますが、成るほど競輪場を設置して市財源を得るということ、それは一方法ではあると思うのです。併し反対者がかなり多いということも私は調査に参つて十分承知して来たのでありますけれども、この曙地区三丁目附近の者だけであつて、あと婦人の一部だけが反対しているのであるから既定方針通り進むであろうとこういうような御調査でありますけれども、その御調査の資料はどういうふうにして集められたのでしようか。
  70. 森誓夫

    説明員(森誓夫君) 先ほど申上げました、同市の治安の掌にある責任者と申しますのは、その警察署長をいつておるのであります。で、これを調査をしまして、私通産省の車両部の人間と東京通産局の人間とが現場に行つて、主要な人物にお目にかかつて、直接聞き取つた資料であります。
  71. 高田なほ子

    ○委員外議員(高田なほ子君) その主要な人物について御調査を下すつたことはわかりました。そこで聞くところによると、これはあの申請書があなたの手許に出ましたときに、学校長、並びにPTA代表から教育上支障なしというような、何ですか、これは添書ですね、その添書をあなたは御覧になつたときに、私はその点あなたは非常に良心的だと思うのですよ。御覧になつたときにまあ学校がこういうものを出して来たからというので、その許可したということを聞いておるわけですが、そこらも一つ経緯を、お話を願いたい。
  72. 森誓夫

    説明員(森誓夫君) この立川市競輪場を設置する件につきましては、通産省で一般に競輪場建設につきましての方針がきまつておりまして、それによる成規の手続を経て参つたものであります。即ち通産省が一々その認可申請を調査して、直接可否を決定するのではありませんので、その所在地の都道府県長官がこれを管下の希望者の中から立地条件、その他収益予想等を参酌して推選して来ることになつております。それを我々が承認して行くことになつておるのでありますが、立川の場合は、当時八王子市と非常な競争関係にあつたのであります。で、その点は東京都議会において立川市を優先するという決定をしまして、都知事の名前でこちらに推選して参つたのであります。我々のほうでは当然これでいいものと思つて認可しようとしたのでありますが、そのときに地元の婦人会のかたがたが、私の所へ参りまして、非常に反対であると、こういう申入れをされたのであります。私のほうでもそういう反対があるのを一応捨てて置くわけには参りませんので、市のほうにそのことを言つて、このかたがたが何とか穏やかになれば、非常に問題はやさしいが、何とかならないものだろうかということを話して置きました。ところでその後この当時の競輪場の設置の推進に当つておられる市会のかたと、それから助役さんでありますか、そういうかたが、その婦人会のかたと一緒に参りまして、もう我々は話はつきました。異存はありませんとこういうことを言われました。なお、私は念のために関係の学校長なり、或いはPTAのかたがたの書類による意見書というものを出してもらいたいと、こう申したわけです。それに対して又むしろ急速にこれをやつてもらいたいという旨の陳情書が出ております。なお、市の教育課長あたりからも出ております。こういうわけで一応我々としましては、この程度で支障ないものであろうというので認可をしたのでございます。
  73. 高田なほ子

    ○委員外議員(高田なほ子君) 成規の手続を経て勿論これは許可されたのでありましようが、いつの場合でも反対があつた場合には、例えば学校側、或いはPTA側、婦人会側から、ときによつて一つの仕事対して反対が出る場合がありますが、そういうようなときには、いつでもあなたのほうから書類として意見書を出させるようなことが慣例になつておるわけですか。
  74. 森誓夫

    説明員(森誓夫君) 必ずしも慣例ということはありませんが、後日問題が起りそうだといいますか、相当重要な問題であるという場合には書類で出して頂くようにいたしております。
  75. 高田なほ子

    ○委員外議員(高田なほ子君) そうすると相当反対というものについてあなたは重く見られたと私は考えるのでありますが、只今のあなたの御調査は、もうこれは殆んど反対というのは一部のもので、女がわいわい一人二人騒いでおるくらいの程度のような調査でありましたけれども、併しあなたの只今のお言葉によるとその反対というものが、相当重要なものであるということを一応お考えなつたということになりますが、そうでございますね。
  76. 森誓夫

    説明員(森誓夫君) とにかく苟くも反対がありましたならば、それを押切つて、余程事態が長引くとか何とかそういうことがない限り、成るべく円満に治めようというつもりでそういう措置をとつたのであります。
  77. 高田なほ子

    ○委員外議員(高田なほ子君) それではもう一つちよつと伺いたいのですが……。
  78. 栗山良夫

    栗山良夫君 私は今のお話を聞いておつたのでありますが、この前のときにもこの点について触れたのでありますが、一番問題点は、一月に申請をされて、八月ですか九月ですか許可されるまでの間に最も焦点になつておつたのは、地元の婦人団体、或いは学校方面の教育風紀上の問題が中心になつての反対運動によつて通産省のほうが認可を保留しておられたということであります。従つてこの設立に関係をし一帯の当局者或いは市議会員、或いは設立者は、通産省が認可を渋つておる大きな原因というものが、極めてはつきりしておつたと思うのであります。そこでそれをほぐすためには、地元における風紀問題、教育問題について反対がないということを一応通産省へ述べれば、それでもう許可になる、こういう工合に私は計画は立つと思うのであります。そこで私が市長であり、或いは市会議員で運動者であつた場合には、当然これはやると思います。そのようにあらゆる努力を重ねて、私は反対論の鎮圧に努めたことであろうと私は思うのであります。そこで先ほどあなたは教育関係においても、風紀関係においても曙町の地元方面を除いては大して反対論はないということをおつしやつたのですけれども、学校当局は、今日置かれておる教員の立場上がら言つて、本気で本当のことを私は言えない立場にあると思うのであります。現に私六月四日の婦人新聞に、例えば曙町の中学校の校長は、教育上は面白くないと思うが、市の財政を思うと反対もできない立場を察してもらいたいということを発表しておるのであります。私はこれが本当の声だと思うのであります。教育者として言い得る最大限の表言だと思うのであります。榎本第二中学校の教頭は、年齢的影響は小学校よりも多いと思われますが、ここまで進んだ工事に反対することもできない、今は実現してからの補導教育を心がけております。小林校長は出張中ですが意見は同じですといつておられるのであります。この辺のところがはつきり、私は弱い立場にある教育者がせめても、この問題に対しての反対の意思表示をしておると私は思うのであります。従つて如何に書類行政をやつておるところとはいいながら、少くともこの書類行政の中において認可するために躊躇せられた問題が、本当に掘下げられないで、形式的にその問題が始末されたという点を、私どももう一度考え直して見なければならん。従つて私はこの一番障害になつておつた認可を保留されておつた理由が、本当に風紀上或いは学校の教育上支障がないということが、反対者の心からの考え方の変更によつて持ち来らされたものであるかどうか。そういう工合にはつきりと確信を以てあなた方が今日までおられるかどうか。この点がこの問題を解決する一番重要な問題だと思うのであります。その点をはつきりと申上げて置きたいと思うのであります。
  79. 森誓夫

    説明員(森誓夫君) 只今栗山委員から御指摘のありました学校長の立場としては、非常にはつきりしたことが言いにくいことだろうということは御尤もだと思います。ただPTAの会長は、これは自由に発言できるものだろうと思うのであります。何らかこの競輪場建設と特殊関係のあるためにそういう建設促進の陳情書が出されたのかどうかという点を調べたのでありますが、その三人の中の一人は校医であります。一人は薬剤師、薬屋さんであります。そういうようなわけで、別に競輪場をやることによつて特別な利益が得られるものとは考える筋がございません。そういう自由な立場にある人が判断をされて、教育上の若干の弊害と学校施設が改善される経費と比較考慮して建設するほうがいいだろうという結論を下したものだと、私は考えております。
  80. 栗山良夫

    栗山良夫君 いや、私は向うの利害関係者の意思を忖度することは、これは自由でありますけれども、いろいろ見方があります。その見方に立つて通産当局としてどういう工合にお考えになつているかということをお聞きしたいのであります。
  81. 森誓夫

    説明員(森誓夫君) 実は最近の情報によりましても、立川の市会は競輪場設置促進委員会というものを作つて、第一実行委員会から第三実行委員会までに分けまして、二十四人の議員がそれぞれ手分けをして、その建設を推進するということをきめておりますが、我々としては市会がこういうふうにして積極的に建設して行こうというものを、こちらでどうこうするということは、地方自治権尊重の見地からも困難であろうと考えておりまして、立川市の最もいい政策は市会が考え、そうして実行して行くものであるというふうに思いまして、この問題は我々としては市の良識によつて決定せられることを期待しているのであります。
  82. 栗山良夫

    栗山良夫君 もう一つは、先ほど建築の中止命令が出ている中に、理由に手続上の問題と、もう一つは住宅地に近いということが理由であつたということが言われておつたのでありますが、これは都の責任者である安井知事が、とにかく一応通産省へ申請される前に了承せられていると思うのであります。そうして同じその人が中止命令を出しているわけであります。安井知事の責任も問題にされなければならないと思うのでありますが、この住宅地に近いという理由は、これは私は今申上げました。それを更に具体化すれば法規上の問題であり、教育上の問題であり、いろいろの問題がその背景をなしておると思うのであります。従つて、少くとも国或いは地方公共団体が、建築に一旦かかつたものを中止命令を出しておる、そして今日までそれが解かれていない、そういうような情勢にあるのに、市会議員の諸君が固まつて賛成をしておるからというような理由でこれを押切るということは、決して私は地方自治を尊重することでもないし、又民主政治のあり方でもないと思う。やつぱり政治は市民に対して奉仕されなければならんのであつて、市会議員に奉仕をするのではないと思うが、その点をどういうふうにお考えになつておりますか。
  83. 玉置敬三

    説明員(玉置敬三君) これはひとり立川だけの問題ではないのでございますが、もう御承知のように、競輪の問題というものは、施行者の意思決定を待つて、市町村でございますれば府県を経由して来る。府県としては又その立場から副申をつけて参るというのが一般的でございます。立川の問題につきましても、先ほど申上げましたように、いろいろ経過におきましては我々更に十分円満なる解決ということを希望して参つたのでありまして、その点私ども逆に、恐らく当時は責められて、早く認可しろ、承認しろというような状況だつたと思うのであります。現状その他今後の問題につきましても、競輪法そのもののあり方から考えましても、自治体或いは施行者等におきまして、いろいろな情勢を判断の上決定されて然るべき問題と私どもは考えております。
  84. 栗山良夫

    栗山良夫君 そうしますと、私まあこういう話をしておつても進みませんから、最後に一つ申上げますが、この前の委員会で、現地を調査されて、これでは工合が悪いという結論が出ましたときには、通産省として、認可の取消しはできないけれども、移転その他の措置を講ずるように勧告することにいたしたい、こういう約束をして頂いておるわけです。そこで調査をして頂いたわけでありまするから、従つて今日までの調査段階において、立川市の市民諸君の反対しておる声というものは、これは何ら尊重をする必要はないと、こういう工合にお考えになりまするかどうか、その点を伺いたい。
  85. 玉置敬三

    説明員(玉置敬三君) 先ほど私どもの調査につきまして、いろいろやり方その他御意見を承わつたのでありますが、輿論といいますか、全体の意見をキヤツチするということが非常に実はむずかしいのでございます。或いは皆さんいろいろな立場からの、或いはいろいろな点から輿論の捉え方、キヤツチのポイントがあるかと思うのでありますが、まあ私どもとすれば、でき得る限り広く輿論というものをキヤツチすべく努力した実はつもりでございます。その一つの問題としましても、市会その他の空気が、一応は市会というものの中に輿論というものが集約されておると、特に選挙を通じてもそういうものが集約されておるものと一応は考えるのも一つのポイントじやないかというふうにいたしまして、実はいろいろな面も多少やつたのでございますが、只今申上げましたのが、私どもがやりましたのを赤裸々に実は申上げたのであります。今申上げましたように、輿論というものが、或いは反対も、いろいろある場合もございましようが、專ら立川市当局におきまして、十分反対の点につきましても、利害得失というものをその地方におきまして十分私は研究されるべき筋合いのものだろうと思います。従いまして私どものほうは、輿論を無視するとかいう気持は全然ございません。そういう考えはないのでありますが、あらゆる問題につきまして、競輪場につきましては特に地方的な問題が多いのでございます。これは一立川だけの問題ではございません。いろいろなところにいろいろな場合の問題が起りましたときには、その当事者がそういうものは十分吸収されて、利害得失を考慮されて行くべき筋合のものと私は考えておるのであります。特に自治体その他の問題もございますが、有力なるかたがたが選挙によつて選ばれておるのでございますから、その面は私どもの立場の見方と、地方的な見方と、おのおのその分野というものがあるのではないかと私は思うのでありまして、今回の問題につきましても、恐らく立川市におきましても、反対その他の意見も十分聞いておられることと思います。私ども輿論を無視するとかいうような気持は全然ないのでございまして、その輿論を考慮されて、立川市の施行者それ自体が全部研究をされて善処されるものと期待しておるわけでございます。
  86. 栗山良夫

    栗山良夫君 まあ立川市のほうに全部一応下駄を預けられるようなお話でございますけれども、通産省として、今お聞きしておるところでは、今日までの現地の反対運動くらいではちよつと方針を変える必要は認めんというような意味の御発言のように思うのですが、然らば反対論がどの程度に旺盛になつたら通産省はこれに乗り出されるおつもりでありまするか。又どういう性格の反対論が出て来たときには認められるわけでございますか。
  87. 玉置敬三

    説明員(玉置敬三君) 只今申上げましたように、私どもといたしますれば、昨年の九月承認をしてございます。輿論の数の多いとか少いとかいうことで私は別に……、或いは又、どういう形式のものならば聞くとか聞かんとかいう気持は全然持つていないのでございまして、声なき声も一つの輿論だろうと私は思います。或いはその輿論が少くても正しいものもあろうと思いますし、ただ多きを以て輿論だというふうにも考えておりません。それらの点につきましては、先ほど申上げましたように、十分私どもも当時、まあ行政的な見方をすれば、いろいろな点を心配いたしまして、施行者にも実はお話を申上げたような次第でありまして、最近の問題につきまして、これは先ほど申上げましたような反対その他につきましては、十分輿論というものを、数の問題でなく、又その形式の問題でなく、いろいろな利害損失というものは、通産省としますれば、別にそういう数の多さ、或いは形の如何というようなことでどうとかこうとかいうようなことを考えていないということだけ申上げて置きます。
  88. 栗山良夫

    栗山良夫君 わかりました。それでは話を進める都合がありますから、もう一遍はつきりお聞きして置きたいのは、今度御調査願つた内容程度においては、或いは今日くらいの反対論の程度では、この前お約束を願つたところの、好ましくないということによつて通産省が移転その他の適当な措置を勧告するというような段階には至つていない、こういう工合にお認めですか。
  89. 玉置敬三

    説明員(玉置敬三君) 移転その他の問題につきましても、これは恐らく先ほど申上げましたように、予定地点がなかなか困難な状況にあるように聞いております。これが施行者のほうにおきまして万事解決されまして、適当な候補地が見出されるならば、私どもあえてそれを反対するとかというようなものではないことだけを申上げて置きます。
  90. 栗山良夫

    栗山良夫君 そうしますと、まあ地元のほうの態度に相当ウエイトを置いておられますが、地元のほうから移転をいたしましようとか、或いは又取やめをいたしましようとか、そういうような適当な措置の申出がない限りは、通産省としては態度は変えないと、こういうことでございますか。
  91. 玉置敬三

    説明員(玉置敬三君) 私どものほうは、今積極的にこれをどうしろああしろということを考えていないことだけを申上げて置きます。
  92. 栗山良夫

    栗山良夫君 そうしますと、玉置局長なかなかうまいこと答弁されるので、ちよつと私は困るのだが、池上のこの前問題になつた特飲街の件ですね。あのときは、認可をした当局、或いはその他関係した議員諸君等は、熱心にあれの存置を運動をされたわけですね。ところが遂に輿論の攻勢には抗すべくもなく屈して、あの問題は取消しということに一致して解決したと思うのですね。あのときに当局のとられた態度というものは、実にはつきりしておつて、とにかくやろうというようなことが最初華々しい勢いであつたと思うのです。そういう点から考えて、あなたは今当局の態度は変えるつもりはないということをおつしやつた点とも思い合せて、立場は了承いたしまするけれども、ああいう工合に輿論がだんだんと醸成されて行つたときでも、なお且つ最初の態度というものが変えられませんか。この点伺いたいと思います。又そういう工合に発展するような反対論ではないとお考えになつておりますか。
  93. 玉置敬三

    説明員(玉置敬三君) 池上の例等いろいろ新聞紙で私も拝見したのでありますが、いずれも施行者におきまして十分池上の例もあることでございますから、賢明なる施行者はどういう判断をせられて参りますか、私ども積極的にこれを飽くまで頑張つて、その場所で積極的にやれという、尻つぺたを叩いている何もないのでございまして、若し池上の例に倣つて施行者が解消するということならば、私は又解消しないで存続しろということを申上げないことだけをお答えいたします。
  94. 栗山良夫

    栗山良夫君 大体はつきりして来ましたが、ただ一つはつきりしないことは、この前のお約束では立川市の競輪を解消しなければならんので、認可をせられた通産省として、風紀上、教育上好ましくないということが大体はつきりしたならば、通産省として、これこれしかじかの勧告をいたすということを言われたわけですね。あのときにははつきりと……。ですから今日の御答弁と、前回のときの、この委員会でこの問題をお約束願つたときの当時のお考えとは大分私は開いてあると思うのです。だから前回の委員会のときに述べられた心境に立つて我々の質問に答えて頂きたいと思うのです。
  95. 玉置敬三

    説明員(玉置敬三君) お話通り調査を私どももまあでき得る限りのあれでやつて参りました。参りましたが現在におきましてはもつぱら私はやはり立川市において意思決定をして、どちらでもいいようにこれは研究をされ、決定をすべきものと考えております。私どものほうからもうすでに九月に承認を与えておりますが、その点につきまして積極的にどうしろというところまで実は考えていないということの返事を申上げて置きたいと思います。繰返し申上げますけれども、競輪そのものの事業というものが施行者の意思決定によつてまあやるというのが大体の法律の建前でありまして、廃止をするにいたしましても、法律上の問題にいたしますと、非常にいろいろな場合私は疑問があると思うのでありますが、すでにいろいろな輿論というもの金川市におきましても十分聞いておられると私は思うのであります。その点につきましては立派な市として、あらゆる機関その他もございますから、調査をされまして、善処されることと期待をいたしておる次第であります。
  96. 栗山良夫

    栗山良夫君 最後にこれはいつまでやつておりましても話が尽きませんから、お聞きして置きたいことは、この前のお約束に従つてこの調査では風紀上、或いは教育上考慮をする必要を認めたい、こういうことによつて通産省としては地元の動向を見守つて行きたい。現在の段階においては見守つて行きたい、こういうお考えであるのか。或いは又若干考慮はしなければならんけれども、一応地元のほうの空気が醸成されるまでは意思表示を一つ控えて置きたい、こういう意味でありまするか、この点を明確に一つおつしやつて頂きたいと思います。なぜかと申しますと、この前のお約束では、好ましくないということであるならば勧告をするということでありましたから、そういう工合に好ましくないという認定をせられるということであれは、これは勧告してもらわなければならんわけです。好ましくないと認めないということであるならば、勧告の必要がないわけです。この委員会にお約束せられた通りであります。或いは又どうも好ましくないけれども、通産省としてはいろいろな立場があるからこの問題に只今今人して行きたくない。こういうことでありますれば、この前のお約束と又違うのでありまするから、その点を一つ明確にしてもらいたいと思います。
  97. 玉置敬三

    説明員(玉置敬三君) 先ほど申上げましたように現状を私たちの範囲におきまして調査をしたところにおきましては、特に立川市に対しましてこれをどうしろ、こうしろということを私ども現在やる考えは持つておりませんということを申上げて置きたいと思います。
  98. 栗山良夫

    栗山良夫君 そうしますと手取り早く申上げまして、この前の池上事件のように地元がもう少しこの問題に熱を入れて何とか空気が出て来るまでは、いわゆる普通の行政上の監督系統からはなんともいたしかたのない問題である、こういうことですね。
  99. 玉置敬三

    説明員(玉置敬三君) それに対する私のお答えは先ほど申上げましたように、競輪そのものというものはあらゆる点を考慮して施行者自体が決定すべきものであろうということである。併しながらいろいろな情勢という第は、変化というものはあるだろうと思いますが、私ども広い目から見ましてよく行政指導的なものもこれはあると思いますが、今回の問題につきましては立川市がいろいろな面から、財政面からも恐らくあらゆる風紀上の問題、競輪そのものに対するいろいろな影響の問題も考慮されて、総合的な判断の下において決定されるものと考えておるのでありまして、私のほうから今この点につきましてどうしろ、こうしろという積極的な指図をするということは私ども考えていないということを申上げます。
  100. 栗山良夫

    栗山良夫君 この委員会におきましても競輪問題においてはその粛正等につきまして相当前に論議いたし、又その効果も上つて来たと思うのであります。従つてこの問題も重要な問題でありますから、当局のお考え方が明らかになりましたので、従つてこの委員会としてこの問題をどうするかということを、やはり態度を一遍おきめを願いたいということが一つ。それから恐らくこれは厚生委員会或いは文部委員会におきましても問題になるだろうと思うのであります。従つて閉会中で困難でありましようけれども、一応連合委員会を開かれて、そうしてこの問題をどういう工合にいわゆる国の最高機関である、又国民の代表機関である国会がどういう態度をとるべきであるか、この態度を一つ決定をせられたい、こういう工合に提案をいたしたいと思います。
  101. 結城安次

    理事結城安次君) 只今の栗山委員の御発言は連合委員会という話でしたが、よく研究してみまして、いずれ又御相談したいと思います。今すぐここで連合委員会を開こうというところまで言い切るのは私はどうかと思います。私今日は代理で出ておりますから、これは併し皆さんの御意見がさようならばさように取計いますが、今日は出席の人も少うございますから……。
  102. 栗山良夫

    栗山良夫君 私がなぜそういうことを申上げるかと申しますと、これはこの委員会が当つておるわけではありませんけれども、若し文部委員会なり厚生委員会なりが熱心に研究されて、これは一つ取上げて厚生委員会でなんとかやろう、こういう工合になつて来たときに、通産委員会が全然関係しないで、文部委員会なり厚生委員会なりでこの問題が処断されて行く。そうしてこの前の池上事件のように処理されて行くということになつては、この委員会の権威にもかかわると思うのです。従つてすでにそういう空気があるわけですから積極的にこの委員会が乗り出しまして、そうして厚生委員会なり文部委員会と十分協議をして、その態度決定はこの委員会で行うということに私はするのが妥当だと思うのです。こういう見地から私は申上げたのであります。
  103. 結城安次

    理事結城安次君) 私が申上げましたのは、ほかの委員会が取上げてそれで連合委員会なり何なりをする。それは当然そのときに問題になりますが、今日だけの話で主導的に我々が文部委員会、厚生委員会に話かけて行くというのは、私としては合決しかねるというのです。皆さんの御意見によつてきめたい。
  104. 栗山良夫

    栗山良夫君 では委員長こういうことを決定して頂けませんか。即ち政府当局において表明された態度は、今言われた通りであります。これは殆んど疑問の余地のないところまで私は質疑応答をいたし、明らかにいたしたと思うのです。問題はあとはこの委員会、取上げた委員会が態度を決定するのかしないのか、これで打切るのかということだけだと思います。従つてその問題をやはり取上げて、この委員会として更に研究をする、そういうことはきめて置いて頂かないと困る。
  105. 結城安次

    理事結城安次君) それはやらなくちやならんと思うのですが、今日は何ですから、この次にもう一遍……。
  106. 境野清雄

    境野清雄君 折角競輪が再開して、又非常にスムースな足並みをとつておるようですし、通産省の努力も私は非常にありがたいと思つているのですが、たまたまこういう問題があるときに、立川の問題が大きく出て来て、そうして若し万一こういうような問題が起つたとき、その騒擾なり或いは不祥事件が起つた場合には、甚だ他のスムースに足並みを揃えておる他の競輪場にも及ぼすところの影響が大きいので、是非この問題はいずれにいたしましても立川の競輪場というものは発足するというような場合があつたら、一つ通産省当局としてもこういうような問題があつたので、それに関してこの騒擾事件なり或いは不祥事件なりが起るという場合には、特別の措置を講ずるというようなこともお考え願わないと、一応こういう他のものが非常にスムースな足並みを揃えておるのに、問題の起つた立川がそういう問題を起したということでは、甚だ私どもも遺憾であり、そしてこの問題の原因がどこにあつたかというようなことが論議されるというようなことになるので、これは若し万一このまま許可し、このまま発足させるとしたら、一つ条件なり何なりはお考えつて厳重な点を申渡しをして頂かないと、他の競輪場も迷惑するので、この点に関しては是非通産当局は一応一つ注意をして頂きたいと思います。
  107. 玉置敬三

    説明員(玉置敬三君) お話通りでありまして、私ども昨年来まあ非常な関係方面の理解と又自粛その他によりまして、現在におきましてはどうやら開催をし得る状況になつております。そういう点がどこかで起るということは非常に絶対にこれは排除すべき問題でありまして、立川その他におきましても、若しそういう状態になります場合には、これはもう十分私ども厳重なる、従来の他の競技場にやつたと同じように十分なる自粛と、それからそれに対する処置というものは徹底せしむるのが当然だと私は思います。その点については全然私ども遺憾のないように措置をいたしたいと思います。
  108. 境野清雄

    境野清雄君 他の競輪場もというお話ですが、私の申上げるのは特に立川がこういうようないろいろな物議を醸しつつやるのですから、これの許可を与えるというような場合に、特に注意をせよというようなことを強調してもらいたい。こういう点も一つ特にお願いしたいと思います。
  109. 結城安次

    理事結城安次君) 別に御発言ございませんか。
  110. 高田なほ子

    ○委員外議員(高田なほ子君) たいへんお時間を頂きましてありがとうございました。大体形式的な全貌が明らかになつたようでありまして、今後に残された問題は極めて多いと思うのであります。特に通産省が許可を下しました九月十八日以前に、すでに工事が着工されて、而もその工事がここまで済んだから止むを得ないというような空気を醸成しながら、そういう空気の中で、いろいろな聞こえない声が今爆発しかかつているわけでありますので、今後ともこの問題については単に立川市のみならず、ますますこういう問題が頻繁に起るということが予想されますので、委員長さんの非常なる深甚なるお取計いを感謝するわけでありますが、今後とも更に深く私どもは文化国家建設の立場においてやつて行かなければならんと考えますので、更に慎重な検討を特にお願いいたしましてお礼をしたいと思うのであります。最後にお願いしたいことは、先ほどの資料でありますが、誠にお気の毒でありますが、これは極めて形式的なものであつて、どうもこれ以上その御調査について申上げても無駄であると思いますが、一応御調査下さいましたので、これを一つ書類のような形にして、もう一度個々の手許に頂戴する機会を得たいと思いますので、委員長さんのほうでこのようなお取計いをお願いしたいと思います。
  111. 結城安次

    理事結城安次君) 高田さんに申上げますが、今日の一番初めから森部長、玉置局長の発言を全部速記にとつておりますが、それを別に何か、一番初めにやつた調査記録だけを欲しいというのですか。
  112. 高田なほ子

    ○委員外議員(高田なほ子君) そういうわけです。
  113. 結城安次

    理事結城安次君) ではさようにお願いいたします。
  114. 栗山良夫

    栗山良夫君 この委員会で更に委員会としての態度決定をして頂くように強調願うことになつたのですが、これはやはりもの事を公正妥当に判断する場合に、関係者である東京都の責任代表、並びに建築関係といろいろな責任者、更には地元の立川市の賛成反対論者、こういうものを是非とも参考人としてここに招致しまして事情を聞かれたいと思います。
  115. 結城安次

    理事結城安次君) この次に又開くときまでによく考えて適当にいたしたいと思います。別になければ今日はこれで閉会いたします。    午後四時七分散会  出席者は左の通り。    理事            古池 信三君            廣瀬與兵衞君            栗山 良夫君            結城 安次君    委員            上原 正吉君            島   清君            佐多 忠隆君            西田 隆男君            境野 清雄君            林屋亀次郎君   委員外議員            高田なほ子君   事務局側    常任委員会専門    員       山本友太郎君    常任委員会専門    員       小田橋貞壽君   説明員    通商産業政務次    官       首藤 新八君    通商産業省通商    機械局長    玉置 敬三君    通商産業省通商   機械局車両部長  森  誓夫