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1951-05-25 第10回国会 参議院 地方行政委員会 第43号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年五月二十五日(金曜日)    午後一時五十三分開会   —————————————   本日の会議に付した事件 ○地方公務員法制定に伴う関係法律  の整理に関する法律案内閣提出) ○道路運送法案に関する要望書の件 ○警察法の一部改正に関する法律案  (内閣提出衆議院送付)   —————————————
  2. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) これより地方行政委員会を開会いたします。  本日は先ず地方公務員法制定に伴う関係法律整理に関する法律案を議題といたします。御質疑を願います。
  3. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 教育委員会法の一部を削除される条項があつたように思うのですが、教育委員会の職権のうち、教員を以て組織する労働組合に関することが削除になつているようですが、大体はわかつておりますけれども、その理由についてお伺いしたい。
  4. 關口隆克

    政府委員關口隆克君) お答え申上げます。只今お話教育委員会法の一部改正の中の第三条の中に、「第四十九条中第五号及び第七号を削り」という点の第七号、「教育その他教育関係職員の組織する労働組合に関すること。」これが現行教育委員会法の第四十九条第七号になつておりますが、これをこの際削るという案でございます。その趣旨といたしますところは、第四十九条では御承知のように、「第四条に定める権限を行使するために、左に掲げる事務を行う。」、第四条に掲げる当然の教育委員会権限に属する事務であるとして労働組合に関することというのを入れたのでございます。これは昭和二十五年法律百六十八号の改正法律によつて一部を改正して入つて来たわけであります。この趣旨は、当時地方公務員法がまだできておりません時でありまして、労働組合或いは職員団体、当時は職員団体ということもなかつたわけでございますが、労働組合と折衝する相手方として、教育委員会相手方になり得るや否やという点についでは、当然なり得るものではあるけれども、はつきりしないから念のために教育委員会法の中に、この条項を入れようということで入れてあつたわけであります。然るところ今回地方公務員法ができまして、教育委員会当局という立場に立つものであることが明らかにされましたので、その関係から見てこの点はわざわざここに書いておかなくても、取つてもよろしい。地方公務員法によつて当局はつきりわかつて来ましたので、ここにこれを書いて置く必要がないから、それを取つておこうという趣旨でございます。条文整理上の問題であります。それから省いた点と仰せられました点は、第五号の「教育公務員特例法規定に基き、校長及び教員任免その他の人事に関すること。」というのが現行教育委員会法にございますが、これをこの際、取るということになつております。それを取ります理由は、その次の第六号に「教育委員会及び学校その他の教育機関職員任免その他の人事に関すること。」というのがございます。この二つは殆んど同じものでありまして、五号がなくとも六号があれば、五号は当然六号の中に含まれておるということでございます。それならばなぜ五号をわざわざここに抜き出してあつたかということになりますが、これは当時の事情を調べて見ますと、教育公務員特例法が出ました際に、校長及び教員任免その他の人事に関することは、教育委員会法第四十九条第六号でいう「教育委員会及び学校その他の教育機関職員任免その他の人事に関すること。」の中に当然含まれるのであるけれども、この際明らかにしておこうというわけで、注意を引くと申しますか、強調すると申しますか、さような意味で抜き出してここに書いたわけでございますが、今日はもはやこの点については特に注意を喚起する必要もないので、この際条文上、又形式上これを取つておるということでございます。
  5. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 それで一通りわかりましたが、この際、私たち地方公務員法審査した建前から、この関係法律修正改正に伴う法律案に附帯しまして、少し文部当局にお尋ねしておきたいと思う点があるのですが、委員長少しお許し願いたいと思います。それは御承知のように、地方公務員法は一貫してできたけれども、そのうち教育職員の特殊なる性格と申しますかに鑑みて、教育公務員特例法によつてそれぞれの特例規定を設けるということであつたのですが、これは御承知のように国家公務員法特例として現行法があつて地方公務員である教育職員にも適用になつてつたのが、参議院先議で、一部改正法が出ておつて、これが未だ確定しない。こういう段階であるのですが、これが確定しておらんというところから起つて来る法制上の不備、不都合という点は如何なる点があるか、列挙して頂きたい。それから若しも現在どうなるかわかりませんが、仮に廃案となるというようなことになつた場合に、どういう不都合が起つて来るのであるか、念のために伺つておきたい。
  6. 關口隆克

    政府委員關口隆克君) 若し教育公務員特例法の一部改正案廃案になるとなつたならば、どういう支障が起るかというお尋ねについて先に申上げます。第一には原則的な問題でありますが、教育公務員法地方公務員法特例であるということを明らかにすることができない。それが原則的な意味で最も支障の大きい点だと思います。その次に、給与とか勤務時間その他の勤務条件、これにつきましても都道府県市町村立学校職員給与を負担しておりますが、その負担しておる市町村立学校先生がた給与勤務時間や、勤務条件市町村条例できめるということになつてしまいますから、そうしますと都道府県のほうでは自分が金を支出していながら、自分の知らない俸給自分の知らない勤務条件ということになつて来まして、その間にいろいろな間違いやら、不便や、困難、困つたことが起つて来るだろうと思います。それから分限や懲戒や、服務に関しましても、これは設置者である地方公共団体がきめることになりますが、そうすると任命権者であるところの都道府県教育委員会が、設置者である地方公共団体条例によらなければ人事を運用することができないという人事管理上の不都合を生ずると思います。それから次に不利益処分に関する審査の請求のことでございますが、教育委員会を置かれていない市町村の設置する学校職員に対する処分、これは都道府県教育委員会が行います。ところがこれに対して、不利益処分審査を請求する場合には、今度は市町村人事委員会とか、公平委員会に請求することになります点に不都合があると思います。次に職員団体の件でございますが、市町村立の小学校、中学校、盲学校聾唖学校等の多くの先生がた教職員給与都道府県が現在負担しでおるのでありますが、地方公務員法そのままですと、市町村ごと交渉能力を有する職員団体を結成するだけであつて、その府県と交渉するということができなくなりますから、その点では非常に困つたことが起ると思います。それから大学管理機関の行われる事前審査制度について改正を行おうとしておるのでありますが、その改正もできなくなりますから、従つて現在起つておるような困難が大学に引続いて起つて来るという点が困ると思います。なお任用の点につきましても、特例法のほうでは任用については選考によろうという考えでおりますが、若し特例法が通らなければ地方公共団体勤務する教育公務員競争試験を受けなければならなくなつて来て、これは先生に対しては適当でない方法だろうと思われます。なお教育長につきましても条件付任用とか、臨時的任用制度というようなものがそつくりそのまま適用されることになりますので、これはやはり教育長に対しては適当でないというふうに思われます。それから先般社会教育法改正して、社会教育主事というものを置きまして、その主事特例法のほうでは、教育公務員として取扱おうとするわけでありますが、それができなくなつてしまいますし、その社会教育法の一部を改正する法律施行もできないということになつて参ります。それに引続いて市町村立学校職員給与負担法改正を必要とすることになると思います。  次に職階制の問題ですが、若し地方公務員法だけになりますと、教育公務員にも、人事委員会を置く地方公共団体勤務する教育公務員職階制が行われるということになると思います。少し細かくなりましたけれども、若しさような結果になりますと、総合して見て大変困つたことになるのじやないかと考えております。
  7. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 それでは今お述べになつたことは、現在教育公務員特例法改正法律案審査中でありますから、現行教育公務員特例法が実施されておるこの段階においては、今お述べになつた通り不都合があるのでありましようか。どれが不都合ではなくて、どれが現に今最も不都合な点になつておる、法制上の建前から言うてどの程度考えているか。
  8. 關口隆克

    政府委員關口隆克君) 御承知のように地方会務員法は、実施については事柄について段階を置いて期間的にだんだん実施して行くようなことになつておりますから、ことによつてはまだ実施されていないこともございますので、さような点については現在直接にどうこうという点は起つて来ないと思いますが、併し現在地方公務員のほうで動いておつて、そうして特例法改正法律案施行されないために齟齬を生じておる部分法律齟齬を生じておると思われる部分につきまして申上げますと、一番大きい問題は、先ほど申上げましたうちの給与勤務時間その他の勤務条件と申しますか、その点でございます。この点については条例で以て若し市町村がきめてしまおうとすればきめられるわけであります。併し法律が現在審議中でありますので、まだどこでもその点については差控えておいでになりますので、現実には支障を起していないというふうに伺つております。
  9. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 私の聞き違いであつたら御容赦願いますが、そういう経過的な段階にある現在、都道府県条例をどしどし作つていく、教員関係で……ということは又教員のさまざまな問題についての気持はつきりしないときに、それは行き過ぎでないかと思われる点があるのです。例えば人事委員会関係から当然類推されて来るような条例を作つておるわけなんですが、こういう点はどうお考えになりますか。
  10. 關口隆克

    政府委員關口隆克君) 最近府県教育長会議がございまして、その教育長会議に私参りまして、各教育長にかような問題で何か困つた事例が起つておるかどうかということについて問い質しました。と申しますのは、曾つてその前のときに、やはり同じような機会に若しそういうようなことが起るといけないから、教育委員会としては県当局のほうに、そのことについては当分格別のこともないように連絡しておいてもらいたいということを申しておきました。併し現実に若しそういうようなことが起るといけませんでしたから、最近の機会に、私教育長全体からお伺いしましたところが、さようなことは話合いの上で起つておらない。五月の国会地方公務員法特例としての教育特例法が通ることを心待ちにして、それまでの間は格別のことはしないで行こうという話合いが済んでおるから安心していい、こういうふうに私は聞いたのであります。
  11. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 そうすると現在ある都道府県教育委員会は、いわゆる市町村条例を作らないのが幸いなんであつて、そのお蔭でまあ従前の例によるということで、ぬくぬくと教育行政を行つておる、こう了解してよろしい問題ですか。
  12. 關口隆克

    政府委員關口隆克君) ちよつとお言葉の中にその、まあぬくぬくだかどうだかわかりませんが、きまるまで自重して、現実に仕事をしておられることだと思つております。
  13. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 そうすると、まあ理窟の上からいえば可能性としてはですね、肚の痛まない市町村は、うちの村の校長以下の職員待遇改善をしてやろうというので、俸給別表その他をですね、条例作つて助教諭さえが一万五千円だとか、校長は三万円だとか、条例できめる。そうなれば都道府県はその金額の給与をそれぞれ支給しなければならない、こういう法制上の建前になるわけですか。
  14. 關口隆克

    政府委員關口隆克君) 大変困難なことなんですが、法律上は恐らくお話のようなことになるかと思いますが、実際運営上はさようなことがないように事前の打合せもしておりますし、その後も連絡をそれぞれいたしておりますので、実際にはさようなことは起つておりませんし、又起らないように双方努められるだろうと思つております。
  15. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 起らないように連絡しておるとか何とか言いますけれども、そういうことは何も文部省のほうにも権限があるわけじやないし、市町村公共団体、いわゆる地方自治則つて自主独立条例を作られたり、それに都道府県は従わなければならない。こういうことだけは、法律上の建前からしておるということになると思うのですが、それからいろいろの問題を考えた場合に、如何に教育公務員特例法ができましても、根本的にはこの地方公務員としての教職員身分取扱については、戰時中、終戰直後以来混沌として来ておる教育関係法律整理する必要があるのじやないか、複雑多岐に亘るこういうようなやり方を以てするならば、半面からいうと、責任の所在もはつきりせんということになるのじやないかと思うのですが、こういう点について文部省は現在どういうお考えを持つておられるか、お伺いしたいのであります。それからいろいろ連絡した、あなたは連絡したということを言つているのですが、今年の四月四日附を以てあなたの名で都道府県教育委員会宛通知が行つている。私、追及するのでないから御心配なく……、通知が出ておるのですが、その二項に、従前労働組合規定による切換措置については、地方公務員法附則第十三項より第十六項までの規定により、それぞれ遺漏なきを期せられたい。なお教育公務員特例法の一部改正案が成立するまでは、地方公務員法規定によれば、市町村立学校職員は、当該市町村範囲においてのみしか職員団体を結成できないから、念のため申添えるという誠に懇切丁寧な、念を入れた通知が出ておる。そしてその前文としては、下記事項に留意されたく通知する。なお管下の教育委員会及び市町村にも通知徹底せられ御連絡願いたいという通知が出ておる。これはどういう意図の下に通知をされたのか、この際、今や自由な団体なつたであろうところの日教組等において非常に問題にしておるところなので、この際誤解を払拭する意味で御説明を願つておきたいのであります。と申しますのは、条例等で更にその分については何とかはつきりするまでは、先にあなたがおつしやつたようて、余り行き過ぎだ、これは市町村にはやつてもらいたくないという意味合いが第一項で述べられておつて、第二項のほうだけは、さはさりながら、この職員団体のほうだけは、もうこういうことになつておるのだから、しつかり言うて置くぞよ、遺漏なきを期せられたいというのは、何か行政上都合の悪いほうは何とか待つていてくれ。それから団体を細分化して行くほうは、これは法律通りにやつでくれと言つたのじやないかという誤解があるわけでありまして、私は明敏なる關口局長は、そういうインチキな通牒を出すお方とはさらさら考えないので、一つこの際御説明を願つておきたい。而も地方自治庁からも通知が出ておるが、そつちのほうは飽くまで愼重に、民主主義の現段階をよく心得えて、地方の自由、自主性というものを損なわない、非常に丁寧な通知である。ところがこちらのほうは通知徹底せられ御連絡を願いたい、万遺漏なきを期せられたいというので、昔の文部省から地方下級機関に対し、通知を出すのと同様なやり方のように印象付けられるのですから、この際伺つておきたい。
  16. 關口隆克

    政府委員關口隆克君) それでは只今お話になりました二十六年四月四日附の都道府県教育委員会宛調査普及局長名通牒につきまして御答弁申上げます。御承知のように、教育公務員特例法が出ません審議中に、地方公務員法が実施せられて、関係条項が動き始めて参りましたので、各地からいろいろのかたが見えたときに、その辺の関係をいろいろ質問もされ、又会議の席、或いは手紙などでその点をはつきりしてもらいたいというお申入れがたくさんありまして、そこで今の通牒前文のところに書いてありますように、地方公務員法施行に伴う教育公務員身分取扱いについて地方公務員法施行に伴い教育公務員特例法の一部を改正する法律案が第十国会に提案になり、すでに参議院においては一部修正の上可決され、現益衆議院文部委員会において審議中のところ、国会が五月まで休会となつたので当面の処理として下記事項に留意されたく御通知する。こういう意味でこの辺の事情を明らかにしよういう趣旨でございます。そうしてその「記」の中には、教育公務員に直接問題となるものは、給与勤務時間その他の勤務条件に関する事項について地方会務員法に基き新たに条例がきめられる場合には、すでに都道府県又は市町村条例の中に規定されていなかつた学校職員については引続いて除外しておくように措置してもらいたい、なお教育長についても同様の扱いをしてもらいたいということが言つてあります。  その次に御指摘になりました第二項というのは、従前規定による労働組合切換措置については、地方公務員法附則第十三項より第十六項までの規定によつてそれぞれ遺漏なきを期せられたいということで、格別どうこうということでなく、全く事務的な事柄だと思つておりました。その次に、なお教育公務員特例法の一部改正案が成立するまでに、地方公務員法規定によれば、市町村立学校教員、或いは当該市町村範囲においてしか職員団体を結成できないということになつております。これを念のために申添えるということでありまして、これも地方公務員法そのものについて格別の解釈をするとか、それについての意見を申述べるとかいうことは勿論ないので、こういうことになつておるのだからということをお知らせしました。ところがこの問題について、それで一応地方のほうは御了解になつたのですが、或いは誤解を起す向きがありはせんかというお話が出ました。日教組のほうのかたから御注意が出ましたので、それで教育長会議の際に私参りまして、そういうことの誤解からトラブルが起されると困るのだけれども、そういうことは望ましくないのだけれども、現実トラブルが起つておるかどうかということを質問したのです。どなたも起つていないと言うのです。併し私は繰返して、どうかトラブルを起さないようにしてもらいたいのですが、皆さんどうお思いになりますかということをお伺いしましたところが、我々も同じ趣旨でありますからこの法律案の決定するまでは格段のことをすることなく待つているつもりであるというお話でありましたので、それを確かめて私もまあ安心した次第であります。
  17. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 これ以上くどく申しませんが、よく問題を起すような文書がちよちよくと出ますから、まあ本日はこの程度で了解しておきますけれども、少くとも私たち委員会は、この地方公務員法関係する職員或いは団体多岐に亘るのであるが、地方公務員法に関する限り、それらから発生する諸問題についての指導連絡地方自治庁がやられるということを法律でも認めて、そうして多種多様に亘る中央から地方へのいろいろな通牒のないように念を入れてこの法案審査をしたわけでありまするが、少くともそういう関係から申しましても、この職員団体というような問題は教育委員会自体の問題ではないのであつて人事委員会その他の問題でありまして、これは独立した人事委員会等の問題でもあり、教員団体といえどもその枠外ではないのでありまするから、少くとも地方自治庁のほうが所管であるということであるならば、それらとの連絡、調整の上で是非一貫した指導をなされるということかこの今のように非常に混乱しておるときにおいてはなお必要ではないかと思いますので、念のため私たち委員会もこの趣旨とした点について文部省側においても十分了解しておいて頂きたいということを申添えまして、大変御迷惑をかけましたが終ります。
  18. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) ほかに御質問ございませんか……ちよつと速記をとめて下さい。    〔速記中止
  19. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 速記を始めて。ほかに御発言もございませんようですから、質疑は盡きたものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  20. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 御異議ないと認めます。それではこれより討論に移ります。御意見のおありのかたはそれぞれ賛否を明らかにしてお述べを願います。
  21. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 意見ではありませんが、こういう技術的な関係法律修正でありまするから、会期半ばを過ぎて、のこのこ出して来るというようなことでなく、地方公務員法はとうの先にもう成立しておるのですから、早速こういうものを出すというふうにあつて欲しいという気持を、希望を申上げて賛成いたします。
  22. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) ほかに御意見もないようでありますから、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  23. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 御異議ないものと認めます。それではこれより採決に入ります。地方公務員法制定に伴う関係法整理に関する法律案について採決をいたします。本法案を原案通り可決することに御賛成のかたの挙手を願います。    〔総員挙手
  24. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 全会一致でございます。よつて本案は原案通り可決されました。  なお本会議における委員長口頭報告内容は、本院規則第百四条によつて、あらかじめ多数意見者の承認を経なければならないことになつておりますが、これは委員長において本法案内容、本委員会における質疑応答要旨討論要旨及び表決の結果を報告することとして、御承認願うことに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  25. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 御異議ないと認めます。なお本院規則第七十二条によりまして、委員長が議院に提出する報告書につき、多数意見者署名を附することになつておりますから、本案を可とされましたかたは、順次御署名を願います。   多数意見者署名     堀  末治  竹中 七郎     安井  謙  高橋進太郎     石川 清一  中田 吉雄     吉川末次郎 小笠原二三男     相馬 助治
  26. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 御署名漏れはございませんか。……御署名漏れはないと認めます。   —————————————
  27. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 次にお諮りをいたします。先日来道路運送法案等につきまして、運輸委員会連合委員会を一回開きました。そのときに高橋委員からも御要望がございました。当地方行政委員会から要望書を出したらどうかということでございまして、要望書の案を作りました。今武井專門員に朗読して頂きます。
  28. 武井群嗣

    專門員武井群嗣君) では朗読いたします。     要望書道路運送法案において、主務大臣陸運局長及び都道府県知事権限とされている事項は、現行道路運送法とほぼ同様であつて行政事務の再配分に関する地方行政調査委員会議の勧告は毫も顧みる所がないように思われる。地方行政委員会は、行政事務の対象となる事業地域性道路行政地方産業及び住民の利害等関係並びに国と地方公共団体相互事務の再配分趣旨等の見地より、この際現在主務大臣権限とされている事項を大幅に地方公共団体に移譲するのが適当と考える。よつて委員会におかれては、概ね次の諸点について、法案修正その他適当の措置をとられるよう特段の御配慮を煩わしたい。     記  一、自動車運送事業については、二以上の都府県にわたるものを除き、その免許及び監督権限都道府県に移譲すること。  二、自動車道及び自動車事業免許及び監督についても、二以上の都府県にわたるものを除き、都道府県に移譲すること。  三、自動車運送取扱事業の登録及び監督並びに自家用自動車の規制に関する事務は、都道府県事務とすること。  四、旅客軽車両運送事業に関する事務市町村、貨物軽車両運送事業に関する事務都道府県事務とすること。  (市町村長及び都道府県知事に対する機関委任の制度を廃止すること。)  昭和二十六年五月二十五日    地方行政委員長 岡本愛祐  運輸委員長 植竹春彦殿
  29. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 御意見を…。
  30. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 先般連合委員会におきまして提案されました道路運送法をいろいろ検討いたして見ますると、戰時時代の統制と殆んど変らないような点がたくさんありまして、只今要望書に列記されたような点を改めますことは、運輸省が申されますような交通事業連絡性とか一貫性、或いは交通の特殊性というようなことを何ら阻害することなく、むしろ非常に適切な要望事項であると思つて、岡本委員長におかせられまして、こういうふうにまとめて頂きましたことに大変敬意を表する次第ですが、これが実現の方法なんです。ただ運輸委員長にこの要望書を渡すというだげでなしに、一つ是非この修正をいたしまして、可決するようなことにいたしたいと思いますが、委員長とされましては何かそれにつきまして腹案でもありましたらお伺いしたいと思う次第であります。
  31. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) この要望書委員長に手交いたしますと共に、運輸委員会に出ましてこの要望を強く主張いたしたい、こう存じております。ほかに……。
  32. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 私たち審査権限を持つておらない法案でありますので、運輸委員会要望するという点は私よくわかるのでありますが、その要望する内容は、いわゆる修正意見なるものは、これはどこにおいても討論し、意見の一致を見たという具体的な修正意見ではないように私は思うのであります。それでこの修正意見運輸委員会に対して要望として出されるということには私賛成でありますが、その内容を検討して我々の態度を一致せしめなければならんと思うのであります。そこでそれも又異議ないものとしました場合に、我々賛成する限り、これは地方行政委員会の委員個人として賛成であるということではなくて、やはり我々賛成する限りにおいてはこれが通過に努力しなければならんという問題になるのでありまして、修正意見とは言いながら、これはもう各会派に持ち帰る段になれば、これは修正案と何ら異ならないというぐらいの態度を持たない限り、この要望は貫徹しないのじやないかと私は思うのでありますが、新米にして私は法律手続を知らんのでありまして、具体的にこういう修正意見を以て運輸委員会要望するということをここで議決するということは、内容も肯定し、この修正意見を実現するということになるでしようから、この点をはつきり確認して一つ議決を願い、いざとなつた場合に、私の会派のほうはちよつと御免をこうむるなどということにならんようにまでして、これはやつてもらわなければならん問題であると、こう思うのでありまして愼重審議の必要ありということを私は申上げたいのであります。
  33. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) ほかに御意見ありませんか。……ちよつと速記をとめて下さい。    〔速記中止
  34. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 速記を始めて。この要望書を出しますことについて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  35. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) それでは御異議ないと認めまして、この要望書を出すことに決定いたします。   —————————————
  36. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 次に警察法の一部を改正する法律案審査をいたします。本審査でございます、質疑を願います。お諮りいたします。一応逐条審議をいたしたいと思いますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  37. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 一つ概括的な質問をお許し願いたいと思うのでありますが、私はたくさんの人の質問がありましたし、予備審査でありましたので、本審査になつてから、その機会をお願いしたいと思つているのですが、逐条はもう少しあとにしてもらいたい。どちらでも同じことでありますけれども。
  38. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 逐条で願つたらよろしいと思いますが……。
  39. 石川清一

    ○石川清一君 逐条に入る前に……、五月三日のリツジウエイ声明によりまして、相当大幅な政令の改正が行われ、政令の諮問委員会が作られると聞いておりますが、すでに作られて審議されているようにも新聞を通じて承わつておりますが、二、三日前の新聞では警察予備隊の欠員の七、八千人を八月頃に補充をすると出ておりましたが、これは在郷軍人の少佐以下の解除、これらの人々も警察予備隊の募集の中に入れるお考え……。
  40. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 それは議事進行でない。今の委員長の取扱について我々意見がある。
  41. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 議事進行なんですがね、もう少し一般的な質問をお許し願いたいと思います。
  42. 相馬助治

    ○相馬助治君 中田委員の提案に賛成します。一つ附加えたいと思いますことは、しばしば私申しておることですけれども、警察制度の問題は国の性格に関する第一番の問題であるということを言つておるので、警察予備隊の、直接のこれを担当する大臣と申しますか、それは内閣総理大臣である。こういうような意味合いも含めまして、特に吉田内閣総理大臣が本委員会に出席なされて、そこで我々は概括的な質問を是非やる機会を持ちたいと思つておるのでありまして、従いましてそういう意味合いも含めた今の中田委員の提案に賛成をするものであります。
  43. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 申上げますが、実は総括質問、一般質問を打切るという意味でなくして、一応各条の審議をいたしまして、それから又改めて一般質問、総括質問に入つたらどうかと、こういうことに申上げたのであります。そのときに総理大臣に来てもらつたらどうかと、こういうふうに思つておるのであります。
  44. 相馬助治

    ○相馬助治君 只今委員長の御見解でございますが、今まで予備審査であつたために、率直に申しましてこれは我々委員自身の反省ですけれども、質問が前後したり、或いは基本的な問題に触れるかと思うと、一見して極めて具体的な……、率直に申しまして法務総裁などは殆んど知らない、政府委員を呼んで耳打ちをしてもらわなければ答弁できないという問題、そういうものがチヤンポンになつて今日まで委員会が展開されて来たと思うのであります。従いまして今の委員長の御見解を以て、この委員会を運んで行つて、果して委員長はスムースに本警察法が上り得るという御自信がおありであるかどうか。あるとするならば勿論それも結構であります。具体的なことに触れ、本格的なことに触れ、それも結構でありますが、私はそういう自信を、私自身は持ち得ない。従いまして是非ともこれはやはり差当りどういうふうに取扱うかという具体的の問題として、委員長は申しておるのでありますか、おつしやる意味はわかりますけれども、そういうことを言われまして、納得行くように是非運ぶように取計らわれますよう、私は委員長に協力する意味で申上げております。
  45. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 申上げますが、実は今日午前法務委員会との連合委員会が終りましたあとで、委員長理事会を開きまして、そうして今後の運営について御相談をして、それからこの委員会に諮るつもりであつたのであります。そのとき吉川委員が欠席でありましたから、それをきめるわけに行かなかつたのであります。実はそういう手違いが生じておるのであります。御了承願いたいと思います。
  46. 吉川末次郎

    吉川末次郎君 議事運営について、朝の理事会に所用がありまして欠席いたしまして失礼でありますが、代りという意味で代理にきめたわけではございませんが、小笠原さんに出てもらいまして、いろいろお話があつたのでありますが、そういうことは又改めて御報告を願いたいと思いますし、又理事会と申しましても公式の議決権は持つておらないのでありますから、この委員会の御意向に従つてやはり議事を運営して頂きたいと思います。相馬さんがおつしやるように重大な法案なのでありますから、ただ先ほども個人的にお話して大変失礼なことを申上げたのでありますが、嚴正中立を標榜していらつしやる緑風会所属の、特に委員長の職責からも、委員長が与党に与しているような感じを与えないように、極めて公正な態度で一つやつて頂きたいということを思つておりますが、更にそういう精神を御堅持願いまして、そういう疑いを受けるような印象を受けないように、一つ十分御考慮を願いたいと思うのであります。それで一般質問がまだ残つている人が大分あるようなのでありますから、どうぞこの際それを抑止するというような態度に委員長がお出にならないで、十分に一般質問を展開して、審議を盡すことができるようにお取運びを願いたいと思います。  なお資料をこの際私は要求いたしたいと思うのでありますが、昨日の公述人の一人が申しましたように、国家警察というのは広き意味において国家地方警察、並びに海上保安隊、及び警察予備隊、並びに大橋法務総裁の管轄下にある法務府の特審局が以前の特高に似たような警察的な事務をやつておると思いますので、特審局のことにつきまして、併せてやはり我々が警察法改正と併せて考慮して行く必要があると思いますので、特審局に関するところの職制がどのようになつておるか、組織がどのようになつておるか。又どういう仕事をやつておるのであるか。又特審局の広義における警察事務のような仕事をやつておるところの人員は、どれだけあるかということを十分に了解することができますような資料を、一つ委員長から出すようにお運びが願いたいと思います。
  47. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 只今吉川委員長から御要求のありました特審局に関する資料、これは早速お出しを願います。
  48. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 議事進行についてですが、同僚委員の諸君がお話をしておつたのでありますが、少くともこういう意見が出ておりますから、本日は一般質問を認めて、そしてその後に開かれる理事会等において今後の運営について十分御相談頂いて、どうのこうのということのないように余りこの議事運営上のことを、委員会自体の席上で言い合つてるほうが逆に時間の空費でありまするから、一つそういうふうに図つて頂きたいのですが、ただひよつと、遺憾に堪えない程度でもありませんけれども、受けます感じは、この前の地方税の場合も、或いは選挙法改正の場合もそうでしたが、本審査となるというと、いわゆる得たり賢こしというふうに逐条審査というふうにおつしやる嫌いなきにしもあらずというふうに、私は慣例によつて岡本先生のそれを見るので、これは私の非常な誤解であるという点は率直に認めるのですが、先生はどうしても誠心誠意のかたなものですから、一生懸命やつてどんどん進めたいという、それだけでもう一ぱいにお考えのようでありますけれども、それぞれやはり各会派の事情もあり、意見もあることなんですから、何とか多数の意見を御聽取の上で円滑にやつて行けるように一つ御盡力願いたいということで、本日は先ず理事会の決定があるまで、一般質問を続行するという形でやつて、逐条審査と混淆しないように一つお願いしたいと思います。
  49. 岩木哲夫

    ○岩木哲夫君 一体この会期一ぱいに日取を組んでどういう審査状態を続けて行くのか、その計画というものは委員長はできておるのか。これから理事会に諮つて協議せんとするのか。会期が二十八日で終末でありますが、或いは必要によつて会期延長が余儀ないと本法案審議上に委員長考えられるのか。然らばその程度はどの程度であるのか、こういつたことを一応お諮りを願います。御協議を願いたい。
  50. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 申上げます。先ほど御出席の前にその点触れておつたのでありますが、実は今日午前中に住民登録法案につきまして、法務委員会連合委員会が済みましたあとで、公報に掲げてありますように、委員長と理事の打合会を開きまして、そして日程について打合せるという手筈にしておつたのであります。ところが一理事が御出席なかつたもんですから代理のかたが出られましたけれども、まとめることができなかつたわけであります。それで先ず一般質問にするか或いは逐条に入るか今問題になつておるのであります。そういう事情であります。
  51. 岩木哲夫

    ○岩木哲夫君 そこで私が重ねてお尋ねするのは、二十八日の会期一ぱいに本法案を仕上げるか、仕上げられんかは別問題にしても、目標をどこに置いておられるのか。日限をそれによつてですね、一般質問も或いはよいと思いますが、そうしますとあと二日しかないわけであります。そこで逐条なりその他又総理大臣の出席も要望しておる向きもあると思うのですが、そういつたもので又間際に醜態を演じて、夜中に亘るようなことのないように、およそ計画を、成行き的でなくして、理事会の招集がそういつた工合でできなかつたならば、この席上或いは休憩をしても方針をお立て願つて、一般質問なり、逐条審議について願つたほうがいいと思います。
  52. 吉川末次郎

    吉川末次郎君 もう一度議事進行について申上げたいと思うのですが、この前の委員会におきまして私から形式上の動議の形は十分とらなかつたと思いますが、併し実質的には一つの新らしい議事進行についての提案をいたしました。それについての決定が明白にされておりません。即ちこの法案は重大な法案であるから実地調査の必要がある。又文書で他の委員及び私のほうの党も添えまして、委員長の手許にも同一の要求をいたしておるのでありますが、特にこの改正案の主眼点の一つでありまするところの警察学校に在学中の五千人の生徒というものは、従来の数の定員の除外例として、事実上増員をするということになつておるのでありますが、その警察学校内容ということについて、この際この改正案について関連してどうしても我々は詳しく実地調査をする必要があるということ、それからもう一つはこの案の重要なる内容をなすものの一つでありまするところの町村警察の廃止を希望するところの町村は、人民投票によつてこれを廃止することができるという条項に関連いたしまして、今日まで若干そういう希望をこの委員会にも申出ているところの少数の町村があるのでありますが、それらの町村を実地に調査いたしまして、そうして何が原因でそういう要求が起つておるのであるか。又その要求を、本当に警察法の精神に慕いて、他の方面からそうした要求をばなくしてしまつて警察法の精神に沿うようなやはり市民……、居住民みずからの手で警察を経営して行くというところに、考え直さすところの余地がないものであるかどうかというようなことにつきましては、今度の改正要項の一つになつておるんでありまして、これはどうしてもそこに行つてつぶさに実情を調査することの必要は、私は十分にあると思うのであります。で緑風会では、岡本委員長お話では今更そんなことを調査する必要がないのではないかというような御議論が多かつたということでありましたが、私たちはむしろそれに対しては反対の見解を持つておるものでありまして、今までそういうことは多少耳にいたしておらんわけではありません。併しながら、そういう改正案が我々の眼前に出て来てからはそのことを調査する。或いは今まではそれほど重視しないでそれを聞いておつたのとは、我々の立場からいたしましても心構えにいたしましても非常に違うのでありますから、どうしてもそういうことを調査しないで、警察学校内容はつきりわからず、又そういう町村警察廃止の原因が真にどこから来ておるかというようなことについても、十分確信あるところの実情を知らないで結論を出して、直ちにこれに対する賛否を決定するということは少くとも私はできません。私は岡本委員長と共に、この委員十五名の中では古顔であります。併し新らしい今度の選挙で選出せられて出て来られましたところのこの新委員のかた等にありましては、古顔である私でもそういうことを実地検証をしないで、十分の結論を出すということに極めて忸怩たるものがあるのでありますから、新らしい人はその心持は一層深いものがあるだろうと思います。でありますから我々の側においてもそういう議論が強い。新選出の委員の中にも強いのでありますから特にお願い申上げます。又私がこういうことを申上げておりますのは、何もこれを廃案にしてしまうとか、否決してしまうというので申しておるのではありません。我々は立法府の議員として十分なる審議を盡して、自信あるところの結論を出したいというところの、極めてまじめなる精神からで、決して他意はないのであります。そのことはさつきも申上げた通りでありますから、そのことにつきまして私の先ほどの話が、まあ大体そういう主張でもいたしますときには、あのような形式で相談してきますことが多いから、従来の慣例的な形式をとつて私は申上げたわけでありますが、そういう御反対論がありましたならば、ここでその問題につきまして先ずその討議をいたしまして、そうしておきめを願いたいと、改めてここにそういう動議を提出いたします。
  53. 岩木哲夫

    ○岩木哲夫君 私は吉川さんの御意見は御尤もであろうと思います。そういつたことはよりよくする意味合いにおきまして適切な御意見だとは思つております。但し本法案を政府が出されたゆえんのもの、趣旨なるものと、この会期に直面してそういつたことは会期を無限に、相当長期に或いは延長すれば別でありますが、現在の諸般の状態から見て誠に御尤もな御意見でありますが、その調査をなさんとする御趣旨の点は、本法案の或いは重要部分であるかも知れませんが、必ずしも全部を盡した重要部分の御見解ではない。調査の目的の内容は、それは今日見聞の広い古顔の吉川さんはもとより、古顔でない新顔のかたこそ、殊に地方に在住されて余計よく体験されておる実情の観点から見て、それぞれ良識と判断、見聞を広められておる各位においては、よりよいことではあるが、今日の段階においてはそういつたことを特に本審査のときて、或いは二、三日前に御提案であつたかも知れませんが、予備審査の当初において出されるならばよいが、相当会議が後半乃至は押詰つて来た今日において、そういつたことを出されるということは、何だかそこに割切れないものの生じて来る感じもありますので、適切なお考えだとは思いますが、この際我々はそういつたことはどうであろうか。できる限り従来御見識の深い、御見聞の広い吉川先生はもとより、新たに出られた議員においては、今申上げる通り十分見聞体得されておることにおいて、良識的な御判断で御推考願いますれば足りるとは申しませんが、或いはその辺は行くのではないか、かように思つております。
  54. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 速記をとめて下さい。    〔速記中止
  55. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 速記を始めて下さい。鈴木さんに申上げますが、前に相馬君が動議を出されまして賛成の声が聞えておりますから、一応この委員会を休憩いたしまして、そうして理事会を開きたいと思います。御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  56. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) それではさようにいたします。暫時休憩いたします。    午後三時二十四分休憩    —————・—————    午後三時四十四分開会
  57. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 休憩前に引続き委員会を再会いたします。  先ず御報告いたします。先ほど休憩をいたしまして委員長と理事との打合会を開きました。今後如何にしてこの警察法一部改正法律案審議して行くかということについて相談をいたしたのであります。吉川理事から申出がありまして、今日の四時半頃から社会党のほうで本法案についての特別委員会が開かれまして、その会におきましていろいろ社会党の方針を決定することにしたい。それで今日は今後の日程についての決定を延ばして明日の午前十時から委員長及び理事の打合会を開きまして、そしてその案を作り皆様にお諮りすることにいたしたい。で今日は四時半まで一般質問を続けて頂く。大体こういうことに打合会では案ができたのでございます。御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  58. 西郷吉之助

    ○西郷吉之助君 その十時からというのは明日ですか。
  59. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) さようです。
  60. 岩木哲夫

    ○岩木哲夫君 それより先に私お尋ねしたいのは、それは二十八日会期一ぱいという前提の下に御協議なさるのか。会期の問題についで本委員会が何か要望することがあるならば、明日の理事会を待たないでも本委員会において本日は何らかの態度を協議すべきだと私は思うのですが、明日の理事会の結果によつてきめるというと、明後日は日曜だ、こういうことになりますから、これは如何でしようか、先に態度をきめておく必要がありはしないか。
  61. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 岩木さんのお話も御尤もでありまするが、これはそういうことをお話になる岩木さんにおいても民主党のほうで態度を決定しておられればともかくでありますが、会期延長に関することはこれは各会派において態度を決定してもらわなければならん。社会党におきましては我々委員だけでこの委員会の意向として決定することは、これは党の統制上できない。全般の事態を勘案して会期延長の問題は私どもとしては考えなければならないので、結局は会派に持ち帰つてということになるわけなんでございまするが、そういう余裕も見ることなしに、ここできめたいという点も重々わかるのですが、この点やはり岩木さんのほうに御理解を願つておきたいと思います。
  62. 岩木哲夫

    ○岩木哲夫君 小笠原さんの言われるのは、それは党の問題であるから、明日の理事会の結果によつて、党の方針において、それぞれ全般的なものと睨み合わしてやるべきだ、こういう御議論と思いますが、全くその通りだと思います。但しこうした重要法案に対する見通し等、審議の要領その他の見通しをつけて、委員会がこの法案を愼重審議して結論を出すまでには、およそどれほどの日時を要するという見通しを早く立てておく必要がある。間際になつてやるということは、政治的に、又先ほど吉川さんのお叱りを受けたような議論が生まれて来るということは私は面白くないと思いますから、私はその態度は本委員会要望する態度を一つ御審議願うことが必要じやないか思いますが、如何でしようか。
  63. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 再三申上げて恐縮でありまするが、本委員会要望するのは多分常任委員長の懇談会等において、例えば延長という意向が本委員会できまりますと、委員長警察法一部改正法案が今会期中では審議はむずかしいというふうな要望になつて来るだろうと思うのです。そうしますと、これは議運の問題になるわけなんでして、結局は会派の態度がきまらない限り、そういう行動は私たちとしてはとれないのでありまして、今から以後成るべく速かに党の態度をきめて、一つ警察法審査不都合の生じないように各会派でやつて行こうじやないか。こういうことなら私たちは今から帰りましてでも幹部にも会い、その他手続を踏んで早いところ態度を決定してもらつて、こういうことはできるわけなんであります。併し今言う議運まで持込まれるような要望を我々委員独断でここで意思表示することはできないのでありまして、如何ほど岩木さんがこのことを主張せられましても、私たちの会派の立場では、もうこれ以上討議には意見を申上げますわけには参らんということを申上げておきます。
  64. 鈴木直人

    ○鈴木直人君 先ほど理事会で御決定されたことでございますし、又先ほどの委員長の御報告によりますると、明日社会党では態度を決定される特別委員会もあられるそうでありますから、そういう決定がない前に審議状況ということをここで話合うということもどうかと思いますから、先ほど御決定された通りに今日はやつて頂くというようにお運びになつたほうがいいんじやないかと考えますが……。意見を申上げておきます。    〔「異議なし」「いいでしよう」と呼ぶ者あり〕
  65. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 実は理事打合会におきましてその点は決定していないのですけれども、それをも含めて未決定のまま明日の理事会に持込もうと、こういうことでありますから御了承願います。    〔「異議なしと呼ぶ者あり〕
  66. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) それでは別に御異議もないようですから、そういうようにお願いをいたすことにいたします。  では警察法の一部を改正する法律案につきまして一般質問をお願いいたします。
  67. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 速記をとめて頂きたいと思います。
  68. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 速記をとめて下さい。    〔速記中止
  69. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 速記を始めて。では警察法の一部を改正する法律案質疑を願います。
  70. 石川清一

    ○石川清一君 五月三日のリツジウエイ司令官のポ政令の改変に関する声明などから考えまして、政府のとつております政令の諮問審査委員会審議の状況や、過般政府の発表いたしました警察予備隊七、八千名の増員に対する考え方等から考えまして、現在の警察予備隊の増員をポ政令の改変によりまして、現役軍人の救済その他を含めまして、補充をする考えが八月以後においてあるかどうかということをお尋ねいたします。
  71. 大橋武夫

    ○国務大臣(大橋武夫君) 石川委員にお答えを申上げます。五月三日のリツジウエイ将軍の声明に関連いたしまして、現在極く内輪の委員会が開かれておりまするが、その審議におきましてはまだ警察或いは警察予備隊等の問題を取上げる段階に至つておりません。警察予備隊につきましては現在約八千名ばかり欠員に相成つております。これは昨年の八月以来募集をいたしまして、ほぼ七万五千の定員を満たしたのでございますが、その後いろいろな事情によりまして、やめまする者もあり、或いは予備隊の側からやめさせたという者等がございまして、約八千名ばかりの欠員を生じております。これにつきましては、この秋までに欠員の補充をいたしたい、こう考えておるわけでございまして、それがために近く募集を開始いたす手筈になつております。このたびの募集におきまして採用いたしまする者は、丁度昨年採用されました者が二カ年を一区切りといたしまして、勤務をしてもらうという話で採用いたしておりまするので、今回はその補欠の意味で採用をいたしまするものでございまするから、他の者と同時に一応勤務年限を終るという約束で募集をいたしたい、こう考えておるのであります。併しながらこのうち約数百名くらいは幹部要員として募集をいたしたいと、こう考えておるのでありまするが、これにつきましては追放解除になりましたところの若い将校等で希望のありまする者は、選考の上で幹部要員として募集をいたすという計画をも包含いたしております。
  72. 岩木哲夫

    ○岩木哲夫君 ちよつと一点お尋ねしたいのは、警察予備隊の一人当りの年間の経費は幾らに見ておられるか。又今後新らしく増員されまする国家地方警察官の一人当りの年間経費は幾らに見積られておるか。もう一点は警察学校の一人当り警察官の年間所要経費は幾らに見積られておるか。その点をちよつと明らかにして頂きたいと思います。
  73. 大橋武夫

    ○国務大臣(大橋武夫君) 警察予備隊の経費は、本年度におきましては約百二十億ということに相成つておりまして、これで七万五千を賄うことにいたしております。これに対しまして国家地方警察は三万人でありまして、現在きまつております予算の総額は約百二十億ということに相成つております。
  74. 岩木哲夫

    ○岩木哲夫君 一人当り幾らになりますか。
  75. 加藤陽三

    政府委員(加藤陽三君) 国家地方警察のほうの一人当りの年間の費用を申上げます。二十五年度の予算にもございますが、総額が百六億八千五百四十七万六千円でありまして、警察官吏三万人でこれを割りますると、三十五万六千百八十三円、更にこれを一万六千百十七名の警察官以外の一般職員がおりますので、これを合せた警察官吏及び警察職員の合計の一人当りを算出をいたしますると二十三万一千五百十二円ということに相成ります。
  76. 岩木哲夫

    ○岩木哲夫君 自警の年間経費は幾らと見ておられるかどうか。そしてこの経費は地方財政委員会に平衡交付金として、警察監督官の立場にありまする役所としてはどういうことを要望されておるか。
  77. 加藤陽三

    政府委員(加藤陽三君) 私のほうで、自警のほうにお願いをいたしまして頂きました資料によつて推算いたしますると、昭和二十五年度の当初予算でありまするが、総額が百七十九億四百六十二万七千二百四十六円となつております。これを自治体の警察吏員九万五千人で割りますと十八万八千四百七十円、一般職員を含めました十万八千六百五十七名という数字で割りますると十六万四千七百八十一円ということに相成ります。自治体警察の経費につきまして国家地方警察のほうから特別に要望したというようなことはございません。
  78. 岩木哲夫

    ○岩木哲夫君 そこで次にお尋ねいたしたいのは、国警の一人当り年間所要経費は職員を含む人頭割二十三万何ぼ、自警のほうは一般職員を含めまして人頭割が十六万何ぼだと、こういうことに承わるのでありますが、そういたしますと国警と自警の装備、例えば被服であるとか諸手当その他のものはどういう工合にしてこういう相違を来たすのか。
  79. 斎藤昇

    政府委員(斎藤昇君) 国家地方警察のほうにおきましては、通信施設費、教養費、或いは鑑識施設等におきまして相当の額を必要といたしております。自治体警察におかれましても、これに相応するものはないとは申しませんけれども、例えば教養の費用のごときは全部を通じまして年間十億を要しておりまするが、これは初任教養、現任教養合せまして自警、国警両方の分をやつておるのであります。勿論警視庁におきましては初任教養と警部補以下の現任教養はやつておりませんが、それ以下の教養はやはり国警においてやるという建前になつておりますので、これらの経費は自治体警察には必要といたさない経費でございます。又通信費におきましてはやはり二十三億取つておりまするが、これは主要幹線の有線、それから短波無線等は全部国警でやつております。これらの施設費及び維持費、使用料というものが莫大な数字に上つておるのであります。又犯罪捜査研究所でありますとかいうような施設も、これは自治体警察に対しても奉仕をする施設であります。国警の施設或いは費用の中には自治体警察に奉仕する、そういつた費用が相当含まれております。それを一人当りに割りまするからそういう数字に相成るのであります。俸給だけを申しますると、警察官の人件費を申上げますると、警察官吏一人当りの平均は国家地方警察におきましては俸給が八万八千七百七十六円、これは警視庁におきましては十万一千八百三十二円、東京都の小さな自治体警察でありまするが、福生町の警察におきましては十万三千五十八円、同じく扶養手当におきましては国家地方警察は一万八千六十円、警視庁は一万二千八百三十円、福生町は一万八千四百円、勤務地手当におきましては、国家地方警察は五千三百四十二円、警視庁は三万八百九十円、福生町におきましては一万七百七十八円、こういうわけでありまして、人件費そのものから考えますると、中小の自治体警察におきまして、国家地方警察と同様に、或いはそれ以下のところもあろうかと存じますけれども、おおむね、殊に大都市の自治体警察におきましては俸給給与は国家地方警察よりも著しく高くなつている。こういう逆の傾向を示しております。
  80. 岩木哲夫

    ○岩木哲夫君 人件費においては国警より遥かに自治体警察が高いという、遥かにかその程度は別にしまして、これは現在の地域給その他の手当の実情等から見まして、あり得ることだと思うのですが、そういたしますと、人件費が逆に自治体警察のぼうが高いといつておるのに対して、約六万乃至七万一人当り年額施設装備に余計かかつておるということは、今日までの経過にありまして、又この改正法案が仮に通過いたしましても、それだけ国警のみに施設が充実されて、自警に施設、装備その他が充実されておらない憾みのある点が多く看取されまするが、制度として国警、自警、二つの方法によつて治安を確保しようという、公共の秩序を確保しようというこの建前から見まして、この装備の、或いは施設の限度につきまして、必ずしも適切を得ておるかどうかは、非常に私たち疑問に思つておるわけでありますが、もう一点は国警のほうは国の予算において、確実に確保される。これに反して自警のほうは平衡交付金において割当される場合について、この平衡交付金の割当につきましては非常なむずかしい、或いは難儀な問題が常に起つて、その十分なる交付金の割当の実績を挙げることができない。で現に今承わりますれば、自治警察は十八万八千何がしの一人当りに対しまして、現在平衡交付金はかなりそれより少額より支給されておらない今日、自治体の財政が非常に困難な上に、なお且つ地方財政平衡交付金でその方面を削除されるというところに、自治体警察の非常なる悩みがあるように見受けられまするが、こうした問題に対して政府全体として、これらをやはり国警と自警という二本建で公共の秩序を確保しようという建前から見て、この財政的措置につきまして、或いは施設及び装備その他の内容につきまして調整をすると申しますか、適切なる方法について政府自身も努力をするという、改善をして行くというようなお考えがあるかどうか。この点を承わりたいと思います。
  81. 大橋武夫

    ○国務大臣(大橋武夫君) 国警と自警の一人当りの経費が非常に違つておりまする主たる理由といたしましては、只今政府委員から申述べましたる通り、鑑識、通信等の施設というものが、これは現在の警察法建前そのものが、原則としてこれは国家地方警察において担任すべく交付されておるわけでありまして、これに基いてさような違いが生じておる、こういう次第でございます。併しながら東京、大阪その他大都市におきましてはやはり相当大きな規模の警察を持つておるのでありまして、これらの警察におきましては鑑識、通信等につきましてもやはり相当な施設を独自に持つ必要もありまするし、又現にさような傾向に進みつつあるように思うのでございますが、一般的に全国的に見まするというと、やはり規模の大きな国家地方警察において鑑識或いは通信等の装備は主として代行するという建前に相成るべきものであると、こう考えております。併しいずれにいたしましても今日自治体警察を充実いたしまする上から申しまするというと、現在の平衡交付金の配分の基準となつておりまする、警察の標準需要額算定の基準となつておりまする数字は、私どもといたしましてこれはなお十分でない。こういうように考えておる次第でございまして、これは今後におきまして然るべく自治体警察の強化が可能であるような、そういう範囲にまで増額できるようなところへ引上げまするように努力をいたしたい、かように存じておる次第でございます。
  82. 岩木哲夫

    ○岩木哲夫君 もう一点お尋ねいたします。大体総裁の御所見であらましわかりましたが、もう一点お尋ねいたしたいのは人事の交流問題についてはどういうお考えを持つておられるのか、この点をお聞きしたい。
  83. 大橋武夫

    ○国務大臣(大橋武夫君) 人事の交流ということは自治体警察、殊に小規模自治体警察におきましては相当これについての希望があることをよく承知いたしております。併し現在までの考えといたしましては、警察法改正以来人事の交流を自治体警察と国家地方警察との間において認めまするということは、自治体警察の規模が小さければ小さいだけ、それだけ国家地方警察に対する自治体警察の従属性と申しますか、独立性をそれだけ妨げるゆえんである。従つて自治体警察が相当成長いたしまして国家地方警察に対して十分な、独立的な運用のできまするまでは、できるだけ人事の交流を避けるということがこの自治体警察の自主性を高めるゆえである。こういうふうに考えまして、現在さようなふうに各自治体におきましても基本規定等の定めによつて交流を許さないというふうな建前に相成つておるのであります。併しながら原則といたしましては、私はこの考え方は適切であるとは存じまするが、併し何分にも人事のことでございまして、これが運用に当りましては、相当のゆとりを付けまして、そうしてかような弊害がないという場合におきましては、さような点を十分考慮いたしました上で、或る程度の運用の妙を得るということが却つて適当ではないか、かようにも考えておる次第でございまして、この点につきましては現在その得失並びに如何なる範囲においてこれを認めることが弊害を避けるゆえんであるかという点等をも含めまして、慎重考究をいたしておるような次第でございます。
  84. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 こういう問題は、委員会の当初において質問したほうがいいと思つたのですが、機会がありませんでしたのでお許しを願いたいと思うのですが、このたび国会に提案されました改正法案と、これに対しまする総司令部の態度をお伺いしたいと思うわけであります。すべての法案がそうでありますように、総司令部の了承なしには出ないことは明らかであります。特にこの法案につきましては、国家地方警察と自治体警察との間に妥結案を見出されまして、それを以て総司令部と折衝されまして、三者の関係において、この一部改正法案が練り上げられたと思うわけでありますが、その関係をお伺いしたいわけであります。なぜそういうことをお伺いいたしますかと申上げますと、私はこのだびの改正法案が出ましてから、一九四七年の九月十六日に出ました警察民主化に関しまするマツカーサー元帥の声明を数度に亘りまして読み返してみたのですが、誠に警察民主化に関しまする玉珠の文書であるというふうに感じまして、たびを重ねて見ますることに非常な感銘に打たれているわけであります。ところが、最近におきまして国際情勢その他の情勢からいたしまして、ともすればそういうようなことが容易に変更されるではないかというようなことが、政府の筋においても流布されていますので、私といたしましては、総司令部が一九四七年の九月十六日に出されましたマツカーサー元帥の総理大臣へのあの書簡の基本的な態度を今以て堅持していられるかどうかということを、情勢の変化によつてどういう態度に変つているかということを知りたいと思うわけであります。戰略態勢を強化いたしますために、或いはいろいろな変更があるではないか。特にアメリカが最初日本のデモクラシー、或いはフロンテイアを拓くというような高邁な考えを持つて進駐されたのが、だんだんと変更されて行くではないかというようなことを危惧いたしますので、ともかく政府が折衝されます際にどういう点を折衝され、総司令部とされてはどういう点は基本精神から逸脱するものであるから了承し難いというようなことにつきまして、折衝された経過を掛け値なしに一つはつきり知りたいと思うわけであります。その点いろいろな関係があると思いますが、一つ警察民主化のあの書簡が情勢の変化に伴つて、どう変りつつあるかということを知ることによつて、総司令部の基本的な態度も併せて知りたいと思いますので、いろいろ事情があると思いますが、御説明願いたい。
  85. 大橋武夫

    ○国務大臣(大橋武夫君) 政府といたしましては、この問題につきましては、本年の一月に警察法改正についての希望を総司令部に申出たのでございます。もとよりその際におきましてこれは政府といたしまして正式に決定をした案ではございませんが、併し、私といたしましては私的に検討をいたしました一応の改正点についての、私としましての考え付きをその際に併せて申入れた次第でございます。その内容につきましては、今期国会の初めにおきまして、当委員会におきましてその内容を申上げたと記憶をいたしておるのでありまするが、その主たるものは、第一には国家地方警察の増員、それからこれは約二万人の増員が必要ではないかと当時考えておりました。それから第二には町村自治体警察を廃止する途を開きたいということ、それから第三には、自治体警察の区域内におきまして、国家地方警察が活動する途を開いて見たいということ、情報を自治体警察、国家地方警察相互の間において交換をする。国家地方警察の自治体警察に対しまする応援の費用を国庫の負担にしたい。これらの点がその主たる内容でございます。その後司令部におかれましてはこの案の検討を基礎とせられまして、国家公安委員会並びに自治体警察の関係者等からいろいろ実情を聽取せられた事実があると思うのであります。と同時に、政府側といたしましては、この案を基礎にいたしまして、国家地方警察の関係者並びに自治体警察の関係者から忌憚のない意見を聽取をいたしまして、そうしてこれらの関係者のいろいろな意見を総合いたしまして、又関係者の完全なる了解の下に一案を作つたわけでございます。その内容が今回提案いたしました内容でございまして、この要綱につきまして大体の成案を得ましたので、これに対する日本側におきまする各関係者の論議の内容意見内容を附しまして司令部に報告いたしますると、司令部とせられましてはその自治体警察、国家地方警察相互の十分なる協議検討を経て、かような案ができたということにつきましては、これを高く評価せられますると共に、この案の内容について大体了承の趣きを指示せられたわけであります。そこで大体この案に対しまして了解を与えられまする際の司令部のいろいろな御意向を総合いたしました結果につきましての私の判断を申上げまするというと、この改正案というものを容認するに当りまして、司令部当局とせられましては先ほど御指摘になりましたマツカーサー元帥の警察制度に関する書簡の根本精神というものはこれは飽くまでも警察民主化のために持続すべきものである。こういう根本的の考えを持つておられるように私としては察しておるわけであります。そうしてこの根本的な精神が、併しながら運用の上におきまして、実際上の経験を基礎といたしまして、実際上の必要に適合せしめまするためて、或る程度修正を加えられることは、これは当然あり得ることであります。併しながら、それは警察民主化の根本精神を損なうごときものであつてはならない。こういうふうな根本的な考えの下に、この問題を検討せられたようでありまして、そうして、この方針の下にこの修正案は容認すべきものである、こういうふうに見ておられるのではないか。さように察知いたしておる次第であります。
  86. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 只今お話を聞きまして、千九百四十七年の書簡の精神が正しく守られていることを伺いまして大変喜んでおる次第ですが、併し折衝の過程においては総司令部と鋭どく対立されたような点もあつたやに伺つています。例えば警視庁を国のほうに移管するというようなことがあつたが、GSのピドー氏が許さなかつたというようなことが巷間に伝えられておるのですが、そういうことも一つの折衝される過程においては政府の意図されておる改正案にあつたのでございましようか。その辺は……。
  87. 大橋武夫

    ○国務大臣(大橋武夫君) 先ほど申上げました通り、折衝いたしまする基礎となりましたものは、最後に調整されましたものが参つたわけでありまして、それをその立案のための作業に入ることについてのあらかじめの了解を得まして、そうして司令部の了解の下に関係者と協議をして、この法案の要綱を決定するような運びにいたしたわけであります。
  88. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 次にお伺いしたい点は、たくさんの犯罪統計の資料を頂きまして、いろいろ検討いたしまして考えさせられる多くの点があるわけでありますが、その際私といたしましては、第三次吉田内閣が成立いたしましてから犯罪が顯著に殖えておるという事実でございます。刑事部の調査統計課から頂きました「最近における犯罪の発生及び検挙状況表」というのをもらいまして、二十三年、二十四年、二十五年と対比いたして見ますると、例えば昭和二十五年の犯罪数の二十四年に対するパーセンテージは兇悪犯におきまして一〇四%、粗暴犯におきまして一三七%、知能犯におきまして一一二%、その他刑法犯罪が一二一%というふうになりまして、一九四九年の二月十六日に、二百八十五名の絶対多数を以て成立いたしました第三次吉田内閣が成立して、政局といたしましては最も安定した内閣であるわけでありますが、この犯罪はその二カ年間におきまして決して減少していないということであります。いつ頃でしたか、第三次吉田内閣の成立二周年の祝賀を盛大にやられたように伺つておるわけでありますが、絶対多数の吉田内閣の裏にこういう重大な犯罪現象があるわけであります。御存じのように我々の乏しい見解を以ていたしまするならば、犯罪は社会的疾患の集中的な病源であり、政治の責任であると思うわけでありますが、これは一体マツカーサー元帥の占領政策が悪いためにこういう犯罪が殖えたのであるか、この点におきまするところの吉田内閣の施政が悪いことによつてこういう犯罪が累増したのであるか、その責任の所在は一体どこにあるか。法務総裁としてでなしに国務大臣としてこれに対しまして、マツカーサー元帥の占領政策が悪いためにこういう犯罪が累増したのであるか。吉田内閣の施政よからざることによつてこういうことになつたのであるか、その点についてお伺いしたいと思うわけであります。私といたしましては、マツカーサー元帥のとられました占領政策というものは、世界の占領史にも稀なる恩威兼ね備えました政策と思つておるわけでございますから、この点について法務総裁の国務大臣としてのお考えをお伺いしたいと思います。
  89. 大橋武夫

    ○国務大臣(大橋武夫君) 統計を基礎にしての御議論でございまして、その統計そのものはたしかにお示しのごとき数字を示しておるのであります。ただこの間に言い得ることは、従いましてそういう犯罪が多数発生をいたしたということだけはこれは言い得るわけであります。但しその場合におきましても、一般犯罪におきましては御指摘の期間は従来の期間に比較いたしますると非常に減つておる。ただ兇悪犯につきまして逆の結果が現われておる。こういう事実はこれは統計でありまして動かすことのできないところであると存ずるのであります。ただこれにつきまして、その原因はどういう点にあるか、これは犯罪というものはひとり政治にばかり原因があるわけではなく、経済上、社会上各種の原因が相競合いたしまして、その結果としてかような社会悪が現われておる、こう存ずるのであります。これをひとり政治の面にのみその責任があるのではないかという結論を早急に出すことにつきましては、これは多数のかたがたの間にもいろいろ御議論があるところではなかろうかと思うのであります。要は、さような犯罪が発生しておるということは事実でありますが、これの責任がどうなつておるかということに相成りますと、一方的に或る原因のみを捉えて、そこにその原因がある、こういうふうに直ちに結論をつけることは困難ではなかろうかと存ずる次第であります。
  90. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 ほかのほうの犯罪が減つたと申されましたが、私のこの頂きました犯罪統計におきましては、さつき申上げましたように兇悪犯、粗暴犯、知能犯、その他の刑法犯というものが全部殖えておる。僅かに窃盗と風俗犯が減少しておるというような状態でありまして、私といたしましてはやはり国民生活の安定と向上がならないために起きておる点が多いと思うわけであります。ところが一方におきましては、特需景気その他によりまして、例えば六大銀行にいたしましても、この当期の利益金というものは、前期に比べますと殆んど五〇%も殖えておる。富士銀行のごときは当期の利益金が十四億であつて、前期の九億二千万円に比べると五二%も殖えておるというように、一方には富の集中が行われ、他方におきましては低米価或いは低賃金というようなことから、これはこの生活の不安の現われであつて、こういうことから考えて見ますと、むしろ吉田内閣が退陣されることが最良の治安対策ではないかと思うわけでありますが、この点は見解の相違にもなると思いますので、打切りたいと思います。  次にお尋ねいたしたい点は、このたびの警察法の一部改正を以て、いろいろ問題になつておる犯罪捜査につきまして懸案が解決されるかどうかという点でございます。具体的な例を申上げて見ますと、選挙の違反でございます。如何にも自治体警察が無能で腐敗し、警察機能が低いようにいわれておるわけでありますが、この点は私は必ずしもそうでなく、重大な問題を含んでおると思うのであります。その一番いい例といたしまして、地方選挙に際しまして大橋法務総裁が鳥取県においでになりましたが、その具体的な例を申上げましで、国家地方警察も必ずしも機能を果していないということを申上げたいと思うのであります。総裁におかれましては鳥取県においでになりまして、八頭郡で三人の立候補者の応援をなされたことを承わつております。具体的な例を申上げますと、定員五名のところに十二名立候補いたしまして、百万円以上の選挙費用を使つたものが七人ございます。特に一番多額に使つた自由党の或る候補者はどんなに少く見積つても百五十万円乃至二百万円使つたと称されておる。その人はトラツクに乗りまして田圃を歩きまして、おじいさんが野良で働いておると直ちに降りて、おじいさん小遣千円、何々候補ですよと言つて、ずつとそういうふうにやりまして三千票近く取りましたが、又大橋法務総裁の大臣の援助を以ていたしましても落選いたしましたが、(笑声)とにかくそのかたが全県下におきまして最もたくさん選挙費用を使つた例であります。県会議員の選挙に二百万円ぐらい使つておるわけであります。私が或る農家で私の支持しておる運動員と奥の間で作戰会議をやつておりましたとき、その運動員がおいでになりまして、投票するという署名捺印をしてくれた人には千円を出すというようなことを言つて、その人が買収、饗応、腐敗の限りを盡した選挙をやつておるということは世間周知の事実であります。ところが、国家地方警察はこれに対しまして一指も染めることができていないわけであります。鳥取の八頭郡は二十五ヵ町村でありまして、自治体警察は私のほうの一町でありまして、あとは全部国家地方警察がありまして、先般も一千万円以上の立派な庁舎を建て、たくさんの優秀な署員もいるわけでありますが、殆んどこういう選挙違反、事実上の違反が検挙されていないわけであります。鳥取県の八頭郡におきましては、検挙せられているのは選挙費用の使い方の少い人が検挙されているという状態なのであります。大橋法務総裁がそういう実質的な選挙違反をした人を応援されたことについて、どうその責任を負われるかということはあえて問いませんが、これは重大な問題であります。そういうふうに十二人の立候補者の中で、七人までは百万円以上の選挙費用を使つて、至るところで饗応と買収がなされておるにもかかわらず、それが国家地方警察において一指も染めることができていないということは、私は警察制度改正の問題については基本的な問題であると思うわけであります。こういうことを考えますと、私はこのたびの改正法によつてこういう問題がどう解決されるであろうか。私は警察法の一部を今度改正いたしましても、とてもこういう問題を解決できんのではないかと思うわけでありますが、こういう点が随所にありまして、必ずしもこの自治体警察だけが弱小であり、無能であり、スキヤンダルがあるということは我々としては言い得ないわけでありまして、そういう点が私の散見いたしました例でありますが、こういう腐敗しました選挙制度と今日の警察法改正にからみまして、こういう改正で果してこの選挙の取締の公正が期されるか、私といたしましては警察法改正よりか、警察が本当に知つていたならば直ちに公正な権限を発動いたしまして検挙することが、警察法改正以上に選挙を公正にする非常に有力な方法であると思うわけでありますが、とにかく大橋法務総裁は三人に応援されましたが、二人落ちまして一人だけ一番少い票で(笑声)当選したわけでありますが、ともかく大橋法務総裁が応援されました人が、鳥取県下におきまして最高の選挙費用を使つて、そうしてその地域に国家地方警察の郡の本部がありまして、最も警察機能が充実している所にもかかわりませず、それらについて一指も染めることができなかつた。むしろ挙げられている人は選挙費用の使い方が少い人であるというようなことにつきまして、大橋法務総裁はどういうお考えを持つておられるか、お伺いしたいと思うのであります。
  91. 大橋武夫

    ○国務大臣(大橋武夫君) 警察権の運用につきましては、国家公安委員会において責任を以て運用しておられるのでございまして、その運用の内容につきまして私よりとやかく申上げることは遠慮さして頂きたいと存じます。
  92. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 公安委員会が運営管理するわけでありますが、全国的にそういうことが自治体警察におきましても、国家地方警察においても行われているのですが、この運営管理という面と離れて、こういう問題に果して、このたびの警察法改正で十分対処し得るかどうか。例えばなお懸案中の共産党の潜行している人なんかも、この程度改正で問題が解決するかというようなことについてお伺いしたいと思うのであります。
  93. 大橋武夫

    ○国務大臣(大橋武夫君) 政府といたしましては現行警察制度の欠陥を是正いたしまして、国家地方警察並びに自治体警察双方の協力によつて国内治安の万全を期したい、こういう趣旨を以て只今改正案の御審議をお願いいたしておる次第でありまして、政府といたしましてはこの改正案によりまして、あらゆる犯罪についての警察機能を十分に発揮できるものと期待をいたし、又この改正案の運用に当りましでは、あらゆる努力をいたしましてこの期待に副うように努めなければならない、かような決意を持つておる次第であります。
  94. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 中田君いいですか。
  95. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 議事進行について……、中田君の質問はこの後続行するでありましようが、予定の時刻も相当経過しておりますので、この程度で本日の質疑を終り、明日又お願いするとしまして散会することの動議を提出いたします。
  96. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  97. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 御異議ないと認めます。  それでは本日はこの程度で散会いたします。    午後四時四十五分散会  出席者は左の通り。    委員長     岡本 愛祐君    理事            堀  末治君            吉川末次郎君            竹中 七郎君    委員            高橋進太郎君            安井  謙者           小笠原二三男君            相馬 助治君            中田 吉雄君            西郷吉之助君            鈴木 直人君            岩木 哲夫君            石川 清一君   国務大臣    法 務 総 裁 大橋 武夫君   政府委員    国家地方警察本    部長官     斎藤  昇君    国家地方警察本    部総務部長   加藤 陽三君    文部省調査普及    局長      關口 隆克君   事務局側    常任委員会專門    員       武井 群嗣君    常任委員会專門    員       福永與一郎君