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吉川末次郎君
警察法改正案の議事の運営につきまして、この際申上げたいと思うのでありますが、第一に資料の提出に関してであります。先般来いろいろと要求の資料を頂きましたが、なお昨日の法務
委員会との連合
委員会におきまして、法務
委員の諸君からもいろいろ資料の要求がありましたので、早急に要求資料についての提出方について御配慮願いたいと思うのでありますが、私より要求いたします資料といたしましては、これは先般来たびたび申上げていることでありますが、この機会に他の党派のかたがた、特に民主党のかたがたや緑風会等のかたがたの御賛成をも得まして、国家
地方警察及び自治体警察という
言葉をやはり原語の英語の
意味を十分に表示した
言葉に直すようにしたいと実は私は考えているものであります。即ち国家
地方警察は原語におきましてはNRP、ナシヨナル・ルーラル・ポリスの訳であります。又自治体警察はミニユシパル・ポリス、MPの訳でありますが、先般来申上げておりますように、NRP、これは国家
地方警察と翻訳することによりまして非常な錯覚に国民及び警官諸君を陷れておりまして、その結果いろいろな間違いを来しているということにつきましては先に
指摘いたしましたことでありまして、又先の
委員会において列席いたしまして京都市の
公安委員会の警察長も私の申したことに非常に賛成を表しておりました。前者はこれを全国農村警察、或いはその他の国家農村警察というような訳にしてもいいかと思いますが、全国農村警察、それから自治体警察はこれを人口五千以上の市街地形態を呈している自治体において置かれるところの警察でありまして、これを
言葉通りミニユシパル警察を自治体警察と翻訳することが適訳でありますから、このように直したいと私はたびたび主張もし、又先に
地方の自治体警察の当路社から賛意を表されたところでありますから、この機会に私はこれを修正したいと実は考えているのであります。それにつきましての国家
地方警察当局の御返答を先般聞いておるのでありますが、一応私の申上げることについて軽い御反対の御意見を齋藤長官その他から御表明にな
つているところでありますが、十分に肯くことはできません。又それに関して当時のマツカーサー元帥の片山総理大臣に対する英文の書簡を頂いております。一応拜見いたしましたが、まだ十分によく検討いたしておりませんが、軽く不十分な御答弁を得ておるのでありますが、いろいろな点から、語学的にも御検討をして頂かなければならんことであり、私たちも詳しく検討いたしたいと思
つておりますから、今まで私が申上げましたことについての国家
地方警察当局のそれに対するところの御見解をば、口で言うのではなく、責任ある文書に基いてあなたのほうで十分御研究の結果、研究して見ようという
言葉があ
つたと思
つておりますが、十分御研究下さいまして、私の意見に対する返答を文書を以て一つ提出して頂きたいということを要求いたしておきます。
それから本
法案につきましては、これも又先般来数度申上げておることでありますが、重大なる
法案でありますから、我々は立法府の
議員といたしまして、国民に十分納得されるような
審議を完全に盡したいというのが我々の要求であります。そのためには政府においては、新聞記事によりますというと、本
国会に本
法案を提出するということが初め言われておりましたのが、後ほど本
国会は会期余すところ幾らもないからして、次の
国会に提案する運びになるだろうというところの新聞記事も出ておりまして、全く本
国会に提出するかしないかということにつきましては、閣議においてもいろいろと意見の分裂があ
つたと思うのであります。結果から申しますというと、何としても提出期間と本
国会の余すところ幾日もないところの
審議期間とを睨み合せて見ますと、その
審議期間がこの重大
法案に対するところの十分なる
審議の時間を持
つておらんということは明白であると考えられるのであります。我々の友党といたしましての民主党の諸君から、内部的に今日民主党の本
法案に対する修正案というものをもプリントにして頂いたのでありますが、参議院におけるところの
審議の進捗の状況より推断いたしますというと、今日我々が、民主党の党議によ
つて決定したのかどうか知りませんが、お示しを願
つたような結論的な修正案をここに出すというような段階にまでは達しておらないことは明白であると考えるのであります。民主党におきましては、これを衆議院を中心とするところの党の機関においてそういうことをおきめにな
つて来たのかと思いますけれども、少くとも参議院の民主党の
地方行政委員の諸君は、岩木さんもおいでになられますが、岩木さん、竹中さんその他のかた……。又この
委員会の
審議はそういう段階には到達しておりません。その前に我々が立法府の
議員といたしまして、十分にこれをまだまだ検討しなければならない段階をば経過して行かなければならないかと考えるのであります。例えて申しますならば、この
法案についての重要なる要項の一つでありまする警察
学校、警察
大学等に在学するところの五千人の学生生徒は、これを定員外に置く、従来の定員外に置いて、その増員を図るということが一つの主要なる
改正要項にな
つております。その警察官養成の機関でありまする警察
学校の
内容、警察
大学の
内容は、如何なる学科目が教えられているかどうか。昨日法務
委員の一
委員が
質問せられましたような、新憲法の精神に則
つたところの民主主義の教育がそれらの警官に完全に行われているかどうか、そういうようなことは、どうしても我々はその警察
学校に乘込んで、そうして
学校の教育者から十分にこれを聽取し、又調査する機会を是非もらうのでなければ、その問題に対する我々の結論は生れて来ないと私は考えるのであります。そういうことも必要であります。それから又この
改正案の重大なる要項といたしましては、町村警察でこれを廃止するところの要求を持
つているものは、住民の投票によ
つて廃止を決定することができるということにな
つておることは、極めて重要なことであります。我々がそれに対するところの可否をきめるということの上には、ただ單に公聽会を開く、或いは自治体警察の代表者、或いは町村警察の全国的組織の代表者を一人か二人この
委員会に呼び寄せまして、そうしてその意見を聞くというような調査では、私は大胆なる論断をここに下すということは実質的に不可能であると考えるのであります。それがためには我々がそういうことを現実的に要求いたしておりまするところの町村へ出張いたしまして、そうして何が故に折角新らしい警察制度によ
つて與えられたるところの民主警察をみずから放棄してしまうのであるか、それに対してはこの
委員会においてたびたび論議せられましたような平衡交付金等による財政的な裏付が完全であ
つたかどうか、又財政的な援助に対して、これらの廃止を希望しているところの自治体警察がどういうような要求を持
つておるかということ、或いは又その自治体警察において、これ又私がたびたび問題にいたしました新警察制度の基本的精神である、警察は住民の手によ
つて行われるところの警察でなければならない。即ち旧制度によるような押付けられたる、天降り的な中央集権的な警察でなくして、住民のすべてが巡査であるという民主主義的な精神に基く市民警察の精神の育成に対して、どれだけの努力をその自治体が今日までなして来たかというようなことも調べる必要があります。又形の上におきましては地域が狹い、或いは警官の数が非常に少いということのために、警察
行政の能率が十分に発揮されておらないということが廃止希望の原因でありまするならば、それは附近の自治体警察が共同して、即ち組合警察を作
つてや
つて行くならば、その弊害は除却することができるのではないか、又そういう組合警察の組織のために、その廃止を希望している自治体がどれだけの努力をしたかというようなことは、実地にこれを出張いたしまして、そうしてつぶさにその町村の当路者の真意を質して、一ヵ町村或いは二ヵ町村というようなことでなくして、相当多数の町村に対して本当に真相を把握することができるような詳細なる実地調査を行うのでなければ、軽々しく新警察制度の基本的な民主主義精神をば圧殺するような、そうした政府案の可否を決定するということは不可能であります。そのような手続を経ないで、ただ会期が余すところ幾日もないからというようなことで以て、これを提出したる政府の意を迎えて、これに迎合するがごとき態度をと
つては、断じて立法府の
議員として国民に相済まない結果を来たすと思うのであります。私はこの際どうしても警察
学校を実地調査するということと共に、
地方に出張いたしまして、そうして全員がそれぞれ手を分けて、自治体警察の廃止を希望している町村についての本当の誤りない真相をつかむという調査をするようにおきめを願いたいと思うのであります。そのためには或いは二十八日までの会期では到底これを
審議を完了することは私はできないと思います。併し私がこのようなことを申しまするのは、あえてこれを否決しようとか、或いは廃案の
審議未了にしてしまおうというような否定的な
意味を以て申上げておるのでは断じてないことは先にも申上げた
通りであります。飽くまでも
審議を十分盡したいという建設的な立場から申上げておるのでありますから、私見を以ていたしますれば、これは本
委員会及び本会議の議決を経まして、継続調査にいたしまして、次の
国会で議定する運びにいたしたいと思います。伝えられるところによりまするというと、間もなく新
国会が召集される運びであるということでありますから、幾らも私は時間のずれは来たさないと考えております。どうぞそのようにお運びを願いたいと思うのであります。即ち約言いたしまするならば、私の要求いたしますところは、名称を原語に符合したところの的確なる訳語に直すようにこの際したいということについての私の意見に対する当局者の意見、賛成であるか反対であるか、何が故に、如何なる理由に基いて賛成するのか、如何なる理由において反対するのであるかということを詳細に文書を以て一つ出して頂く、資料を出して頂きたいということ。第二には警察
学校の実地調査。三には自治体警察廃止を希望しておりますところの町村警察についての出張の必要ということでございます。