○
国務大臣(
岡野清豪君) お答えを申上げます。
資本蓄積の観点から申しますというと、最初の
税法の
通りに、
法人にかけるべきものじやないというような主義を私も堅持してお
つたのでございます。併しながらこの前に本
税法を通過さして頂きますときに、
参議院で非常に
法人の
住民税に対するあれが低過ぎると、こういう御
意見が圧倒的に強うございました。それでは
輿論としては
考えなければならんと、こう私は
考えてお
つた次第でございます。そこで私
どもがいろいろ
考えました結果、
法人割は成るほどやらなければ
いかん、同時に又これは非常に私は僻目かも知れませんけれ
ども、或る
個人が事業をや
つておりまして、そして
住民税が相当
所得割にかか
つて来ておる、それが最近この
住民税を免かれるために
法人に転換して
行つたという例を各
地方から耳にいたしましたものでございますから、これでは
租税の
均衡というものが保てないという
意味で、又
かたがた税源も要りますので、
法人税をかけるということになりました。それから先ほど
仰せのように、一〇%かけておいてあとどんどん進めて行くのじやないか、取りやすいからというようなお話もございましたが、これは切に、私はあの起案のときに、嚴しく
自分自身の心をなんしたわけでございますが、
理論から申しますれば
個人の
所得割が一八%ですから、若し同じような
性質でかけるならば、やはり一八%でかけるのが当然じやないかという正
理論がたくさん出たわけでございます。併しそれは先般も、先ほ
ども申上げましたように、
法人に対してそうたくさんかけるべきものじやない。即ち
資本蓄積の点において矛盾するという
意味で、現に一〇%を私は確保しまして、これ以上絶対に取つちやいけない。でございますから甚だ皆さまがたが御覧にな
つておかしなことだと思召すことは、一〇%として、而も
制限税率を一一%といたしました。一〇%なら
制限税率は一五%くらいでもよくはないかというような議論もあ
つたのでございますけれ
ども、それは結局
法人割に対して一〇%以上取つ
ちやいかんという、非常に強い私の信念を反映いたしまして、そしてまあ
制限税率というものが作らなければならんということになれば、形だけでも取らなければ
いかんというわけで一%、でございますから一〇%と一一%とを御覧下されば、如何に
法人税割に対して我々が関心を持ち、又各
方面の
状況を、これが一番妥当であろうというような判断を下してや
つたかおわかりだと思います。ただ不幸にしまして
衆議院の多数を以て五%の増をされたということに対しては、これはまあ我々は
執行機関でございますから、
最高機関たる
国会がそうおきめになればそれに服従せざるを得ませんからそれはその
通りにな
つて行きますけれ
ども、併し将来これを又取りやすいからどんどん上げて行くというような
方向に
自治庁並びに
財政委員会の
趣旨としては一向持
つておりません。持
つておりませんと同時に、もう
一つこの際附加えて申上げたいと存じますことは、
地方税は実施以後
住民税、
固定資産税その他いろいろの
方面におきまして非常に税が高い。そういうような御批評をいろいろこうむ
つておる次第でございますから、私といたしましては中央の
国税を
減税すると同じように、
地方税もやはり
減税して行かなければならんと、こういう
考えを持
つております。併しながら
只今のところでは御
承知の
通り神戸委員からの
報告が出ておりまして、
地方の
団体の
仕事の本当のあり方がすつかりきま
つておりませんものですから、
只今は根本的の
税法改正をいたしますにつきましても
一つの条件、目標が欠けておるわけでございますから、これがきまりましたら根本的に
税法の
改正もし、同時にでき得るだけ
減税をし、
地方の
住民が楽に納められるような
税種も
検討して見たい、こう
考えておる次第でございます。