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1951-03-27 第10回国会 参議院 地方行政委員会 第30号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年三月二十七日(火曜日)    午後一時三十一分開会   —————————————   本日の会議に付した事件 ○地方税法の一部を改正する法律案  (内閣送付)   —————————————
  2. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) これより地方行政委員会を開会いたします。  今日は地方税法の一部を改正する法律案予備審査を行います。昨日国民健康保険税につきまして、厚生大臣の出席を求めて質疑を行いたいというお申出がございましたが、これから御質疑をお願いいたします。
  3. 高橋進太郎

    高橋進太郎君 今回新たに国民健康保険税が設定されるのでありますが、国民健康保険につきましては各町村財政的に非常にいろいろの障害をなしておる。でこのために町村によりましては、この財政が破局に瀕しておるという状態にあるのであります。でその原因一つにはいわゆる健康保険が現在のような徴収状況滞納が非常に多いということりと、もう一つ健康保険のうちにあるいわゆる肺結核等による長期に亘る病気に対する施設費が非常に嵩高になる。そういうようなことで現在の地方財政を以てしては、到底これを担当することができないというような状況にあることは承御知の通りであります。従つてこれに対する国の国庫補助の増額、特に肺結核その他の施設に対する国の十分なる負担と、並びに健康保険に対する給付に対する保険料国庫の一部負担ということは前からこれは強く要望されて参つた問題であります。然るに今回地方税法改正によりまして、国民健康保険税が設けられたということは、一面においては成るほど従来の徴収方法が税という形になりまするから、従来の滞納その他の問題は解消すると思いますけれども、依然として地方財政に及ぼす、或いは地方町村民過重負担ということはこれを以てしては未だ免れることができないのでありまして、従つて地方町民が、或いは地方村民がこういう税の形で国民健康保険をはつきり負担する形になりまするが、一方これに対応して国のほうにおきましても、従来の国民健康保険制度を国が真先にこれを創定して、且つ又現在の我が国の現状から見ましてやはり国が強力にこの健康保険に対する負担と申しますか、或いはこれがバツクと申しますか、そういうものを税創設と同時に一方におきましては、強く国家においてもこれが保障をなすべきものであると思うのであります。我々の知る範囲におきましては、どうも国家のこれに対する負担と申しますか或いは保障と申しますのは、非常に十分でないと考えられますので、この地方税法改正して新たに国民健康保険税を税の形において創定すると同時に、その一方の形である国の負担もこの際十分見て噴きたいと思うのでありますが。その点に関する厚生大臣の御所見を伺いたいと思います。
  4. 黒川武雄

    国務大臣黒川武雄君) お答えいたします。国民健康保険赤字問題は十分に私も承知いたしておりますが、又この際申上げておきたいことは、赤字でなくてこれに成績のいい市町村もあるということを一応申上げておきたいと思うのであります。何とかしてこの赤字を克服するについていたさねばならんと考究いたしたのでございますが、御承知通り二十六年度におきましては国民健康保険事務費全額国庫負担になりました。今予算に計上いたして皆様の御審議をお願いしておるような次第でございます。給付費におきましても二割程度給付費国庫負担したいという、厚生省でいろいろ折衝いたしましたが、国の財政上の困窮からそれは出せたいということになりましたが、私はその予算案決定、最後の決定いたしました閣議におきましても主張たいしまして、二割でなければ一割でもいい、一割でなければ五分でもよろしいということを主張いたしましたけれども、閣議決定を以てこれは否決されたような次第でございます。私といたしましては二十六年度はそういう工合でございますけれども、二十七年度以降に対しては、十分給付決定について努力し、そして少しでも給付費国庫負担によつて実施したい、こういう考えでおります。
  5. 高橋進太郎

    高橋進太郎君 厚生大臣お話をお聞きしまして、非常に御努力頂いておるということは承知いたしたのでありますが、併しながら国民健康保険自体が元来社会保障制度一環として考えられておるのでありまして、従つて国土その他に対する災害補償が現在全額国庫負担になつておるという建前等から考え、且つ又現在の社会国家におきまして社会保障制度が先ず以て取上げられなければならん。個人に対する国家の責任であるというふうに考えまするたらば、私はやはり給付費につきましてもむしろ少くとも半額程度はこれは国家において負担すべきものと考えるものであります。且つ又町村民のこれらにおける実態を見まするときに、徒らに町村だけにこれらの財政負担を負わせるということは非常に現在の町村財政実態を私は軽視するものでなかろうかと思うのでありまして、この点は大臣から更に二割程度でなく、更にそういう線に副うて十分今後とも御努力願いたいと存ずるのでありますが、なお最も癌となつておりまする結核施設についての国家施設関係について承わりたいと思います。
  6. 黒川武雄

    国務大臣黒川武雄君) 実は結核対策といたしまして二十六年度の初め厚生省予算といたじますると相当の額を要求したのでございます。たとえ国民健康保険給付費国庫負担としなくても、結核に対する対策が十分でありますれば、殆んど病人の大部分を占めておりまするところの結核患者に対する医療費給付等によりまして国民健康保険も潤おうことができる、こういう考えで進んで参つたのであります。これも力及ばず僅かに二十億程度の増加になりた次第でございます。御承知通り結核に対する十分の医療給付をいたしましたならば、それが従つて国民健康保険に潤おうことができる、こういう考えで進んで参つたような次第でございます。幾分は……三十億増によりまして医療費についての国庫負担を、四分の一の国庫負担をいたすというようなことになつておりますので、そのほかは十分国民健康保険にも潤おい得ると私は信じております。
  7. 高橋進太郎

    高橋進太郎君 厚生大臣から結核に対する施設についての予算の実体をお聞きしたのでありますが、いわゆる結核結核亡国とも称せられるのでありまして、これは我が国といたしましては国を挙げてこれが撲滅に当るべきであり、且つ又これの患者実態から見ますれば、これは全く国において或いは社会においてこれの全額負担をなしまして、そうしてこれらの施設に対して十分なる対策を講ずべきであると考えます。従つて私は今回国民健康保険が税という形において創設されると同時に、国におきましても十分これに対応するよう結核に対しましてり全額国庫負担並びに健康保険につきましては、少くとも半額程度国庫負担の線に沿うように、なお一層の御努力を頂くことを要望いたしまして私の質問を終りたいと思います。
  8. 吉川末次郎

    吉川末次郎君 私政府委員から御説明があつたときに欠席いたしましたので、まだ十吟に提案理由は承わつておらんのでありますが、政府目的税として、地方税の中にそういう税目を設けて、それに関するところのこうした法律規定を置こうというそれをやられるところの提案趣旨は従来の健康保険料というものが非常に納付成績が悪いから、これを租税形において徴収しようということが主目的であるのか、或いは又、我々は国民健康保険というものが、医療制度に関するところの社会保障制度的な意味において…、これを非常に伺いたいと思つておるのでありますが、そういう趣旨は酌んでおらんのかどうかということについて御答弁を願いたいと思うのであります。といつてこういうことを特に御質問申上げる理由というものは、今申しましたように、我々は医療制度というものが結局一昨年来、イギリス労働党内閣が実行しておりますところの医薬国営制度国民はすべて病気になつても、医者に金を払う必要もなければ、又薬局に金を払う必要もない、検眼鏡や利息のようなものまで皆国費を以て与えられて、病気なつたときの費用の蓄えというものを特にして置く必要はない。全く心配はないという非常な画期的な善政が、一昨年の七月五日から行われておるということは、厚生大臣もよく御承知のことだろうと思います。かくのごとき医療の完全なる国営制度医療は無料であるという制度労働党内閣はこれを実行したのでありますけれども、その案は、保守党内閣チャーチル内閣のときに立案せられたところを、ただ日がたつて労働党が実行したというに過ぎないのであります。当然私は、この医薬の問題というものは、資本主義的な自由主義の下においては、非常な弊害の多いものであつて、どうしてもこれは社会化されて行かなければならんものであるということを、我々社会党の者は平素から主張しておるのでありますが、といつて、今直ちにイギリス労働党内閣が実行しておるような完全なる医療国営というものが行われないとすれば、それに対するところの一つの有力な階梯として、現在日本で行われておる国民健康保険制度というものが、できるだけ普遍化して行かなければならん。そういう見地から、こういう地方税に対する改正案政府がお出しにたるということについては、我々はこれが一つのソーシャル・セキュリティ、社会保障制度が多少とも拡充されるという観点において賛意を表したいと思つておるのでありますが、昨年政府地方税制度改正について、このやはり国民健康保険税地方税としての目的税として法律の中に規定するという案が初め発表されて、途中でそれが雲隠れしてしまつて、どつかに行つてしまつたのでありますが、その時の政府の御説明では專ら先に申しましたように、各市町村等において、国民健康保険保険料が入つて来ないから、これを税金として取上げてもらいたいという徴税目的ということが、眼目になつてつたと思うのでありますが、我々はそんなことよりも、社会保障制度拡充、そして医薬国営に対する有力なる一段階としての国民健康保険徹底的普及ということに貢献するものとして、まあこういうことにも賛意を表したいと思つておるのでありますが、先ず政府のこの法案提出の動機というものが、どこにあるかということについて御答弁を願いたいと思います。
  9. 黒川武雄

    国務大臣黒川武雄君) 国民健康保険料を税として徴収するのは、社会保障拡充のためであるという御質問でございますが、今英国にその例をお引きになりましたけれども、日本におきまして、相互扶助観念がまだ国民全般に薄いのでございまして、若じもそれが完全にできますればこの税金によつて徴収するという必要もないのでありますが、まだまだ観念が十分に行き亘つておりませんために税によつて徴収する、そして成るべく未納を少くいたしまして、現在の市町村における健康保険運営を図つて行きたいという考え方から進んでおるのであります。事務費の七割というものを全額国庫補助をいたしましたのも、やはり社会保障制度の拡立に対する一歩前進し得たものと信ずるものであります。
  10. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 今のお二人の委員のかたの質問、私たちも賛成なんでありますが、提案趣旨並びに先ほどの御説明にもある通り市町村における保険料徴収成績不振ということから、この税の問題を考えられたものではないかという感じを持つのでありますが、そうしますならば、根本として、問題として、こういう健康保険制度そのものが、市町村一つ規模として行うということについて、大臣は現在どういうふうにお考えになつておるか、先ずこの点をお伺いしたい。
  11. 黒川武雄

    国務大臣黒川武雄君) 市町村単位で行いますならば、いわゆる地方自治確立促進のためには、そのほうが最も適当であろうと信じているためであります。
  12. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 そういう場合には、先ほどお話があつたような社会保障制度審議会等答申で見ても、単位市町村となる場合にも條件がある。例えば医療給付の三割は国が見るというふうに、国と地方自治団体とがお互いに助け合つて、初めてこの医療制度拡充して行くというように答申が出ておるようですが、それは実際そうでなくして先ほどからいろいろ問題があるように、保険料徴収成績が不振であり、そのことが市町村一般財政を圧迫するということを強くこの提案趣旨説明岡野大臣が言つているのですが、こういう点両方からみ合たつ問題を考えないで、ただ単に税徴収の分だけをこれでよろしいとして、そして市町村単位でやるのが最もいいのだ。こういうことがどうも私には納得できないので、もう一度その点御説明を願いたいと思います。
  13. 黒川武雄

    国務大臣黒川武雄君) 先ほどから申されております通り、当然国としても事務費全額負担を図るばかりでなく、医療給付につきましても或る程度負担をしてやるということについて努力しておつた次第でありますが、それが認められませんために、今御質問のようなことになつてしまつておる。この健康保険税を納めることによりまして国民認識が相当に深まつて参つて健康保険運営上非常に有効であろうと信じております。
  14. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 その認識が深まるか、或いは効果になるかはちよつとここでは付度できない問題だと思うのですが、少くとも健康保険関係団体等から徴収不振のために税としてやつて欲しいという希望がある場合にも、それのみを以てして満足できないから医療給付の国の補助とか、或いは施設に対して相当大幅な国の補助希望しておる。こういう点が一切顧みられないで、税として徴収するという部分だけを、この際押して厚生省として進めるという点は何と申しますか、先ほど吉川委員が言うように社会保障制度推進のためということよりはこの財政確立のための、今々の問題として考えたんじやないかということを我々として想像する。そうしますと保険局のほうから出されておる資料ですと、昭和二十四年度の収納額が八一%かになつておる。今度の税で徴収収入見込額を見ますと、五十九億三千万円ですが、これは保険料調定見込額から言いますと八五%の徴収見込んでおるわけです。八一%も二十四年度取れて、そして経済が安定したと言われる二十五、二十六年度において八五%程度は、税としなくても取れるのじやないか。而も又現行法においても税同様の手続を以てその収納を図るということも許されておるときに、どうして片輪な、條件の伴わないこういう税というものを主張せられるのか。もう一度お伺いしたい。
  15. 黒川武雄

    国務大臣黒川武雄君) 税によりまして、先ほど申上げましたように相互扶助観念を強める。そうして国民健康保険運営は安くする、楽にするということでございますが、それが従つて社会保障制度への一歩前進であると私どもは考えておるような次第であります。
  16. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 税で取るという形式をとれば、社会保障制度への前進だということはどうも私聞きとれない。少くとも社会保障制度審議会答申なり、地方関係団体希望なりというものは、国が相当これに対して援助を与え、国と地方との相互扶助関係を確立することによつて、一体として医療制度推進されるということをきつく謳つておるのですから、それを税だけでこれを推進するということは全般のこの現在の健康保険制度の不合理というものを、強制的な税というもので蓋をしてしまう。そして先ず国はほつとするという、こういうふうな見解を私持つわけです。どうもその点納得行かない。ただ推進だということでなくて、どういうわけで社会保障制度が、推進されるのか、税徴収となれば、そういう形式が変ればどうして社会保障制度推進になるのかということをお伺いしたい。過年度において八一%もの収入があつたものが、たつた八五%取ろうということならあえて税でなぐてもいいのではないかという疑を持つわけなのです。もつと御説明願いたい。
  17. 黒川武雄

    国務大臣黒川武雄君) 保険税を以て社会保障制度確立への一歩前進だということは考えられないというようなお言葉でございますけれども、この国民健康保険運営が従来よりもつと楽々とできるようになりますれば、やはり一種の社会保障制度確立への前進だ。そういう意味で私は申上げたのであります。なおいろいろ税として徴収するということについてはいろいろ御意見のあろうと考えられますが、この税として徴収するか否かはその市町村任意でございますから、この点お含み願いたいと思います。
  18. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 市町村任意であろうと、強制されるものであろうと、税とするという建前自体を私は問題にしておる。先ほど来再三くどいようですが、この保険料徴収が、不振であるから税として取るのだということですが、いろいろ保険局のほうから資料をもらつておりますけれども、不振である事実を立証する資料は私素人のためか見当らない。少くとも地財委のほうから出て来ておる昭和二十六年度収入見込額五十九億三千万円というものが、現在の国保の団体としてどうして必要なのかという根拠資料も何らない。なぜこのくらい必要であり、このくらいあれば間に合うのか。こういう点の資料も実は欲しいのでありまするが、その前にこの地方のそういう困つている実態というものが把握せられて、この改正法案となつて出て来ておるのでしようが、全国五千なら五千という各種の規模における団体が、赤字を出しておる部分はどれだけで、府県別にいえばどういう状況になつておるか。そして又これが税徴収という形になれば全部赤字が解消になるものかどうか、そういう資料が現在出ておらないわけですが、委員長にお願いですが、厚生省のほうから現在の実態について、この赤字状況を示す全国的な統計資料を出して頂くようにお願いしたい。
  19. 安田巖

    政府委員安田巖君) 保険局長でございます。お答え申上げます。国民健康保険実態は、これは御承知だと思いますけれども、各市町村保険の主体になつておりますために、いろいろその條件が千差万別でございます。一つ一つに一々違つた様相を示しているわけでありますが、私どもこれを概観いたしまして、大体この予算を従来の当初予算だけで見ましても、最近の実際の診療を受けておりますところの数字を見ますると、大体一割程度赤字になりはせんかということを私ども憂えております。そのほかに、この税の問題と関係ございますけれども、保険料徴収がどうもうまく行つておらない。売字原因保険料徴収がうまく行かないということも一つでありますし、又最初申しましたように、保険料として得た収入に比べまして、保険における診療が殖えて来たということが一つ、この二つが大体大きな原因になつておる。少くとも今度の改正案におきましては、保険料保険税にすることによつて、従来大体七割くらいしか入らないものが大体一割以上はたくさん入るのじやないかという見込を立つております。それによりまして、保険収入を確保したいというのが狙いでございます。勿請保険料ならばうまく入らない、保険税ならばよく入るという、どこに理窟があるかと言われまというと、なかなか説明が困るのでありますが、実際の市町村実情なんかを市町村長なんかが参りまして、いろいろ訴えられるのを聞いてるのでありますけれども、やはり税というものと、保険料というのでは、社会保険の本質がはつきり納得されておりません関係で、どうしても同じように村から切符が参りましても、税が先に来て保険料のほうがあとになるという点があるわけであります。本当にこの気持なんですが、それが大きな問題だと思います。なお、保険料徴収なんかに、つきましても、従来これが税でございませんために、又別々の保険料徴収員によりましてやつておるのもありますけれども、これなんかも保険税にいたしますことによつて、よほど改善されて来るのじやないかというようなことを考えたのでございます。それで先ほど大臣の申されたあれによつて社会保障一環としての国民保険が一歩前進するのだという話があると思うのでございますが、これも別にそういう深い意味と申しますか、現在社会保障制度におきまして、一番大きな問題は、私ども実は医療保険だと思つておるのです。これが御承知のように、勤労者のほうは健康保険にいたしましても、或いは官吏、その他でありますと共済組合でありますが、或いは船員でありますと船員保険でありますが、とにかく一応体をなしておる。併しながら国民保険のほうは現在もすでに先ほど申上げておりますけれども、市町村の数から言いますとまだ半分以下しか普及されていない。その半分以下の、医療保険国民保険も実は今まで申上げましたような事情で、半身不随のものも相当ありますというわけで、その地域的な社会保険、地域的な医療保険というものが、これが崩れますというと一今折角社会保障制度ということを考えておりましても、これが実際実現できないということになる。そこで、何とか将来又もつと大きな構想で、地域的な国民保険というものを充実して行かなければならんと思います。けれども、それまでの打つ手といたしましても、現在の保険料収入というものを何とか確保しまして、今行われている国民保険に血を通わせて行きたい、こういうのが一つ理由でございます。
  20. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 そうすると、只今の御説明では、現在はつきりした統計資料は持たないが、一割程度の総体で赤字になるのじやないかというお話があつたのですが、その赤字というものは、どういうふうにして補填せらるるか、その対策をお聞きしたい。又国としてですね、先ほど大臣がおつしやいましたように、何とかしてやりたいという希望が熾烈であつたとするならば、政府予算等に、それらがどう現われておるか示して頂きたい。それでないと今後又赤字になる部分税そのもので補填して行くのだという問題が起つて来るのじやないかという危惧を持つのでどこで赤字を補償してやるのか、その対策についてお伺いしたいです。
  21. 安田巖

    政府委員安田巖君) 赤字について申上げましたのは、大体二十五年度の当初予算を見まして、それと、それから現在まで二十五年度において支出されましたところの医療費の払というものを比べて見ると、大体一割程度赤字が出る、こういう推定でございます。併しこれは実は現在の保険料というものが千差万別でございまして、低いのは一世帶当り四、五百円のところから高いのは五へ家族で四千円くらいのところまであります。そういうように非常にばらばらでございますが、平均いたしますというと、一世帶当りが一千五百円くらい、我々が計算いたしますと千五百円では、今の国民保険受診率で、今の単価で、医療単価で行きますと、どうしても無理が出て来るので、これをどうしても円滑にやつて行こうとするならば、一世帶当り二千円くらいはどうしても要るのじやないかと思つております。従つて今後の対策といたしまし七は、保険料というものを今少しく上げて行くということが一つ対策の要点だと思つております。もう一つは、これは同時に議会のほうで御審議になつておりますところの国民健康保険法改正法案のうちに出ておることでございますけれども、医者に、保険者つまり市町村医療費を支払いますが、その支払う内容を審査する機関が今までは法律ではつきりきまつていない。これをはつきり法律できめまして権威を持たせまして、医者に払う診療報酬というものの適正であるということをもう少し強化して行きたい。そにによりまして支出をずつと押えて行く、同時に又、こちらの保険税によりまして保険料徴収を確保して行きたい。この二つから赤字を克服して行きたい。それからもう一つは、個々の市町村にたりますと、いろいろ実情が違つておるのでありますが、細かいことを申上げて恐縮でありますけれども、同じような條件の村で、財政力だとか、或いは受診率とか、そういつたものが同じような條件の村でありましても、甲の村は非常にうまく行つてる、乙はうまく行つてないという事実がある。これは市町村民健康保険に対する理解と申しますか、協力と申しますか、それから理事者の熱意又そこに医療機関がどういう形であるかということも非常に関係がございます。いろいろそういつた人り組んだ実情がありますまれどども、そういつた問題につきましては、どうしても個別的に指導して行きまして、例えば医療機関がないところには直営診療所を設けるとか、或いは反、非常にそこにありますところの開業医が協力しないために高くなつておるというのでありましたならば、その面を押えて行くとかいうふうな個別的な指導ということも、私は国民健康保険の健全なる運営には非常に大切なことじやないかというようなことを、それらを一つ総合いたしまして、今後やつて行きたいと思つております。
  22. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 今の御説明の結論では、指導の手は加えるが、始末は地方市町村団体で始末するのだという結果に聞えるのですが、この際大臣にお伺いしますが、少くとも社会保障制度推進をするために、こういう税徴収ということが効果のちることも考えたということであるならば、その赤字の補填なり、或いは将来の発展のために社会保障制度審議会の答針なり地方の要望なりによつて、国が大幅な医療給付なり、施設に対する助成をする必要が絶対あるのじやないか、それなくして税として取られる側から言えば、税を出す半面、権利があることを考えるわけです。そうすると全国的にですね、或る一定水準の医療施設のその医療を受け、又給付そのものも遅滞なくやるようにしてもらつてこそ、地域の住民は税というものの負担に応えるんだと思うのです。この点について今後こういうお考えを以て厚生大臣としては善処せられるのか、この際お伺いしたい。
  23. 黒川武雄

    国務大臣黒川武雄君) 社会保障制度審議会側からの勧告もございますし、できるだけ勧告の線に滑つて進みたい。現在二十六年度の予算におきましてもその線に沿うて進んでおることは御承知通りであります。今お話通りできるだけこちらはその国民健康保険につきましては特に国庫補助を必要とするものであると信じております。先ほど来しばしば申上げました通り、従来の努力に倍して努力したいど思つております。
  24. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 私申上げておるのは、事務費的な補助も二十六年度載つております九億九千一百万円ですか、これらのことを申上げておるのではなくて、本質的に国が地方に対してこの制度推進のために助成する具体的な構想をお伺いしたいわけなんです。二十六年度においてはできなかつたのにしても、大臣としてはどうなさるおつもりであるか、それをお伺いしたいと思うのです。
  25. 黒川武雄

    国務大臣黒川武雄君) 先ほど来申上げております通り、より以上に努力いたしまして給付国庫補助に努力したいと、こう考えております。
  26. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 ということをおつしやるなら、もう一つ別な点をお伺いするのですが、現在市町村民税は非常に徴収困難であるという実態が我々地方へ出張しても調査の結果わかつておる。この五月の国会閉鎖期までに全部見込通り市町村民税が徴収できるかどうかということは非常に疑問なわけです。ところが目的税であるとは言つてもいろいろ税のかけ方なり、徴収の方法等からいうても市町村民税に似たようなこれは税なんです。これが月々なり市町村民税のそのほかにダブつて徴収せられるということは非常に困難じやないかという点を、我々考えるわけです。特にあとでこれは自治庁のほうに伺いたいのですが、資力割を今回所得割、資産割に分げて、いわゆる勤労所得者に或る程度重点の移つたような税負担があり、それから平等割、或いは人頭割というものが世帶割、或いは被保険者割となつて、例を挙げたのを見ても家族構成の多いところは、個人当りどこでも従来の人頭割よりは多い金額になりておる、そうしますと一般の勤労者は非常に大きな税負担になる、又一方地方税自体からいつても、市町村民税の所得割を源泉徴収することができるというような部分も出て来ておりますから、これらとからみ合つて、そのいわゆる源泉徴収される部分のものは、申告の所得者よりは非常に比較的に厳格な徴税をせられるという結果が保険税においても現われているんじやないかと思うのです。こういうときに結局最低の保障は国において与えるような方法をとつてもらはない限りは非常に貧困な勤労者は、多数の家族を抱えて、この負担に堪えないという結果が出て来るのではないか。一般の税負担関係からいつてもです。そういう点が我々としては心配されて国が大幅な調整をすべきであるという主張を持つておるものですが、今後において、是非そういうふうに大臣においても御努力願うことを希望して一応質問を終ります。
  27. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 黒川厚生大臣に御質問ございませんか。……それでは厚生省政府委員に御質問願います。
  28. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 今の質問の続きで、内容に入つた質問を申上げるのですが、この七百三條の二の第四項です。従来と変更になつ部分について、そうした理由をお伺いしたい。
  29. 安田巖

    政府委員安田巖君) 従来は大体資力割が五十に、それから人頭割が三十、世帯割が二十でございます。勿論資力割の中には所得割に相当するものと、それから固定資産と申しますか、そういう資産割に相当するりものとあり、大体現状とこの点は変りないので砥ないかと思つております。なお従来は税でございませんために見立割式の「分も相当入つておりまして、そういつたような不合理な点は今回の税になることによりまして、是正されるのではないかと思つております。なおこの違います点は人頭割が従来三十でありましたものが、百分の三十五になつたという点でございますが、これは大体病気になりました者が医者にかかつて、それを利用して利益を受けるというような建前から、応益的な分子を百分の五だけ見ましてこの点は考えております。
  30. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 資力割を所得と資産に分けた場合に、四十、十とした理由を伺いたい。
  31. 奧野誠亮

    政府委員(奧野誠亮君) 従来厚生省では通達で以ちまして資力割を五割ぐらい計算に入れるようなことをして参つたのであります。併し国民健康保険税の形において徴収するということになりますと、課税の方法を成るべく明確にして行くことが必要であろうと考えまして、これを詳細に規定したわけであります。資力割を五割ぐらい見て保険税の金額をきめるというような形において思料いたして参りました際におきますところの保険料徴収方法を見て参りますと、大体六割ぐらいが所得の状況、四割ぐらいが資産の状況というふうな形において保険料をきめられているのが通常であつたようであります。そういたしますと、どうも資産に重きを置き過ぎる、そういうところもあるわけであります。それから所によりましては、その状況市町村民税の税額をそのまま使いまして、それを以て資力割を見たというような形において運用しておつたところもあるわけであります。そこでいろいろ検討いたしました結果、成るべく所得を基礎にして考えて参りますことが能力に応じて負担するということになるのではなかろうかというふうに考えたわけであります。併しながら現在の所得の状況というものが必ずしも所得税の場合におきましても、的確に把握されておるわけではございませんので、これを補う意味において資産というものをそこに加えたほうがよかろうではないかというふうなことから、五割を所得割にしまして一割程度そこに資産として固定資産税額というものを採用するということにいたしたわけであります。で資産の状況といいますと、何も固定資産に限るべきものではないかも知れません、むしろ資産の総額というふうなものも把握できればそれが好ましいのでありますけれども、そういたしますと富裕税くらいしか持つて来ることができないわけでございますし、かたがた所得一本立てで行きますところの不合理を補う意味において考えて参りますので、土地と家屋を重点に考えて参つたほうが、これを補う上においては穏当ではなかろうかというふうなことから、この程度に我々は算定をいたしたわけであります。
  32. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 奥野さんに質問を続ける前に、一つ保険局長にお願いしておきたいのですが、先ほど申しました赤字状況を示す材料を出して頂きたい。全国各府県別一つ出して頂きたい。
  33. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 出せますか。
  34. 吉川末次郎

    吉川末次郎君 この前のとき何かそんなもの出したな。
  35. 安田巖

    政府委員安田巖君) 推計的なものでしたら……。
  36. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 何か推計的なものならなんて言つていますが、こういう重要な税を出そうとするときに、実態を示す資料がないなんというふうなことなら、何のために社会保障制度推進だ、財政確立のためだなんて、こういうようなことをやるのか私わからない。是非出してもらいたい。而ももう一つ二十四年度で八一%徴収できておる、二十六年度では八五%徴収するものとして、五十九億三千万円というものを見込んでおる、その五十九億三千万円を以て操作でき得るという材料を出して頂きたい。
  37. 安田巖

    政府委員安田巖君) 過去の実績に基きまして推計いたしました数字を出しておりますが、なお将来の問題でございまするが、実は先ほどから申しますように国民健康保険一つ一つ市町村がやつておるこそ、なかなか的確な数字が集つて来るのは暇がかかり、又その数字の内容にいろいろと首をかしげなければならんようなものもありますので、非常な困難を実はいたしておるわけであります。なお又二十六年度になりますというと、結局今年度の医療費がどれだけかかるだろうかということがこれが純然たる推計になつて来るわけです。その医療費が幾らかかるだろうかという推計に対しまして、大体このくらいのものを取つて、その徴収率がこのくらいならどうなるだろうという数字を申上げておるわけであります。その点推計的な数字が多過ぎて恐縮でありますけれども、仕事の性質上多少そういつた傾向がありますことをお許しを願いたいと思います。
  38. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 その点一応了解しておきます。それで奥野さんに伺いたいのですが……。
  39. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 今の資料を出して頂きたい、成るべく早く。
  40. 安田巖

    政府委員安田巖君) はい。
  41. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 私非常に不満な点があるわけです。それは資力割を所得割と資産割にして、まあ資産割十程度、固定資産税そのものから、もう引張り出すように見たということなんですが、そうすると所得者は非常に困る部分があるのじやないか。その勤労所得者は非常に困る部分があるのじやないかと思うのです。というのは、この七百三條の二のうちの六項ですが、先ほど奥野さんのおつしやつたようになかな、か面倒なときには、そういう課税総所得金額に按分して算定することが著しく困難であると認めた場合においては、市町村民税の所得割額に按分して算定することができる。こうあるわけなんです。ところがこの市町村民税の所得割額の基礎はやはり勤労所得者以外の一般の所得者は税務署なりの推定でまあ決定された所得税額なんです。で片方の源泉徴収のほうは一〇〇%もう所得を超えて……税負担一般のものはその間いろいろな操作があつて所得額が決定されて所得税が課せられる。そういう或る程度、これは意地悪い話ですが、一方のほうはさばよんだといいますか、不確定なものについて課税されたものを基礎にした……、それらを一律一体に市町村民税というものに切換えて、それに按分するということでは、この源泉徴収される所得者のほうがやはりこの負担においても厳重な、厳格な負担をするというのであつて、一般の所得者とは相当趣きが違うのじやないか、こういう点どうして、まあどうにかして調整する方法がないものかということをお伺いしたい。
  42. 奧野誠亮

    政府委員(奧野誠亮君) 所得税の課税標準であります所得につきまして、事業者と俸給生活者の間に不均衡があるのではないかという問題が、常に起されておる問題であります。必ずしもその点から我々が資力割につきまして一〇%の資産割を加えるというわけではございませんけれども一所得税の課税標準でありまする所得を、そのままに取入れるよりはそこに所得のほうによりまする不均衡を是正する気持も兼ねかけまして、一〇%程度特に資産割というものを加味することにいたしたわけでありまして、この点は健康保険組合におきまして保険料が単に給付の額の一定割合を徴収しておりますのとは若干趣きを異にいたしたわけであります。国民健康保険税の課税の内容をきめます際にも政府部内におきましてもいろいろ意見がありまして、百分の五十全部を按分したほうがよろしくはないかという意見もあつたわけであります。併しながら我々はむしろここにある資産の状況を加味したほうがよろしいという考え方から、かような規定のいたし方をいたしたわけであります。給与の問題につきましても勤労控除といたしまして、受けました収入金額から一割五分のものが控除されているわけであります。事業者等におきましては、御承知のように、総収入金額から必要な経費を控除いたしまして所得を算定するわけであります。その際に事業者等につきましては、所得というものが割合に甘く算定されておつて俸給生活者等につきましては非常にきつく算定されているという意見はしばしば起る問題であります。この問題は專ら所得税の課税所得につきまして勤労控除を一割五分にとどめておくことは低いんじやないかというふうな問題に帰着するのではなかろうかというふうに考えるわけでありますけれども、国民健康保険税におきまして所得を標準にいたしまして、或る程度のものを按分すると考えます場合は、どういたしましてもこれよりほかによる途がないわけであります。そこでこれに見合いながらなお且つそれを補正する意味合等も兼ねまして資産割を一割程度加味するということにいたしたわけであります。
  43. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 厚生省政府委員に御質問ございませんか。それでは、じや成るべく資料を早く、明日中ぐらいにお願いします。  それでは地方税法の一部を改正する法律案の逐條審議を続行いたします。七百十一條。
  44. 堀末治

    ○堀末治君 ちよつと今出ましたが健康保険税の第七百三條の二ですが、この言葉が少しわからないのですけれども、これを説明して頂けませんか。
  45. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) どの点ですか。
  46. 堀末治

    ○堀末治君 第三項ですね。実はお尋ね申上げた二項の中で、「療養の給付に要する費用の総額の見込額の百分の七十に相当する額とする。」と、こうあるのですね。そうすると、これの徴収をする市町村が、見込額の百分の七十に担当する額を取つている、こういうものなんですか。
  47. 奧野誠亮

    政府委員(奧野誠亮君) 百分の七十にいたしております関係は、療養給付費の全額を国民健康保険税で賄いますよりは、現実に給付を受けます人たちにも一部の負担金を負担してもらうほうがよろしいのではないかという考え方の下に、療養給付費の七割程度税金で賄う、そのほかの部分は現実に給付を受けます人たちに、その都度一部負担金として負担してもらう、かように考えております。
  48. 堀末治

    ○堀末治君 そういう意味ですか、これはそういう意味にとれるのかなあ。
  49. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 三項も説明して下さい。
  50. 奧野誠亮

    政府委員(奧野誠亮君) 総額は二項で療養給付費見込額の百分の七十に相当する額ということにいたしておるわけでありますけれども、この総額を個々の納税義務者に割振つて参ります際には、その総額のうちの四割を所得割総額で、一割を資産割総額、三割五分を被保険者均等割総額又一割五分を世帯別事等割総額で分けて行きたいというふうに考えておりますので、総額のうちの、総額のうちには所得割総額と資産割総額と被保険者均等割総額と世帶別平等割総額とが含まれているのだという意味で、三項の規定を設けているわけであります。
  51. 堀末治

    ○堀末治君 そこでお尋ねしますが、所得割総額というのは、その市町村の所得割の総額を指すわけですね。
  52. 奧野誠亮

    政府委員(奧野誠亮君) 個々の納税義務者の国民健康保険税額をきめます際には、所得割額と資産割額と、被保険者均等割額と世帶別平等割額の四者の合計額できめるわけであります。それで個々の納税義務者の所得割額の総額が、ここに書いてありますところの所得割の総額ということになるわけであります。その総額は又国民健康保険税の課税総額の四割に当つているのだということになつて参るわけであります。
  53. 堀末治

    ○堀末治君 世帯別平等割総額というのはこれはどうですか。総額はどうふすか。
  54. 奧野誠亮

    政府委員(奧野誠亮君) 世留別平等割総額は、世帯ごとに一定の金額を持つてもらうわけなんでありますが、その世帶別に一定の金額を持つてもらいます金額を総額総計いたしましたものが、世帯別平等割総額というふうになつているわけでありまして、それが又標準課税総額の一割五分になるようにきめて行くということになるわけであります。
  55. 堀末治

    ○堀末治君 世帶別……、そうすると問題は、同じ頭にかけて行くという基礎はそういうふうに計算するわけですか。そうすると……。
  56. 奧野誠亮

    政府委員(奧野誠亮君) 先ほど小笠原さんからもそれに関連して御質問があつたわけですけれども、世帶内に何人被保険者がございましても、同じ額を負担してもらうというふうに考えておるわけでありまして、その均等割の額を一定に与えまして、世帯ごとに一定の金額を持つてもらうのと、被保険者の人数ごとに、その人の資力の如何を問わず、一定の金額を持つてもらうのと、この二つに分けて考えておるわけでございます。で世帶内に何人被保険者がございましても、一定の金額を持つてもらおうと考えておりますものが世帶別平等割額であります。それを各納税義務者のものを総計いたしましたものが世帯別平等割総額であります。その中から又結果的に標準課税総額の一割五分になつているようにきめて行こうと考えているわけであります。
  57. 吉川末次郎

    吉川末次郎君 そうすると只今堀さんがお尋ねになつた七百三條のこの第二項ですね、奥野委員の御説明で、大体この條文の意味はよくわかつておるのですが、これで結局療養の給付に要する費用総額の三割はその都度患者即ち被保険者が払うわけですね。それで、よく健康保険医療給付額が、どれくらいであるかということをよく知らないのですが、一般の医師会が通例規定している診察料及び薬価、手術料等の、大体健康保険は何割ぐらいに当つているのですかな。半額ぐらいですかな。まあ各府県によつて規定が違うでしようが、大体のところですな。
  58. 奧野誠亮

    政府委員(奧野誠亮君) 健康保険単価を基礎にして大体きめているのじやないだろうかというふうに考えております。多少お話のように事情が違つているのですけれども、全国的の平均ということになりますと、厚生省のほうとももう一遍打合せましてから、この次の機会にお答えいたしたいと思つております。
  59. 吉川末次郎

    吉川末次郎君 そうすると、それでその三割弱ということになると、まあ医療費の軽減、そのときの感じとしての軽減にはなりますが、まあ無料というわけじやないんだから、やはり多少の医療費負担をその都度しなくちやならんということになるんだが、その負担の度合ですね、そういうことがまあ一つの問題だと思うのですが、それでまあどれだけくらいで、三割という額がどれだけくらいに当るかという……貨幣価値……。
  60. 奧野誠亮

    政府委員(奧野誠亮君) 療養給付費の何割を税で取りますと、一部負担金は三割でよろしいじやないかというふうにも考えられるわけなんでございますけれども、一面に施設費も必要でありますし、又事務費の不足額等もございますので、大体五割近いものが一部負担金として徴収されるのではなかろうかというふうな考え方を持つておるわけであります。もとよりその団体受診率の如何とか或いは経費の状況如何等によりまして、この点はかなり違つて来るだろうと思つております。併し大体五割近いものが一部負担金として、徴収されなければならないのではなかろうかというふうに、このお仕事に携わつている人たちからは聞いているわけであります。それが又現在保険料徴収し、又一部負担金を徴収しておりまするところの状況、現状でもあるということが言えると思います。
  61. 吉川末次郎

    吉川末次郎君 現在でもやはりその都度五割くらいを取つているようですか。
  62. 奧野誠亮

    政府委員(奧野誠亮君) 大抵まあお話のような一部負担金を徴収しております。
  63. 吉川末次郎

    吉川末次郎君 その割合はどうなんですか。
  64. 奧野誠亮

    政府委員(奧野誠亮君) 五割程度徴収しております。
  65. 吉川末次郎

    吉川末次郎君 それで医師会の医療費規程と、国民健康保険の療養給付額プラスあなたのおつしやる設備費とを加えたものとの割合ですな、それははつきりわかりませんか。併し非常に安いのじやないかと思うのだが、医師会の規程に比べると、どうですか。例えば僕の子供が……、自分の家のことを言つちやおかしいが、埼玉県の蕨の町立のやはり国民健康保険医者に、学校の助手である傍らアルバイトに出たのだが、往診に行くと五十円くれるのだそうだな、ところが普通の医者が往診料五十円と言つたらこんなに安いのは今ありませんわね、まあ百円以上というりそになりますね。だからどういうような割合になつておりますかということなんだが、これはまあ重要なことだと思うのだが、一応伺いますが……。
  66. 奧野誠亮

    政府委員(奧野誠亮君) どうう非常に関係は余り専門家じやございませんので、そうむずかしいことはちよつと……。資料の十のところに現在の受診率や、一件当りの点数を記録いたしておるわけであります。ですから恐らくこの件数を御覧になれば大体見当がお付きになるのだろうと思うのでありますけれども……。
  67. 吉川末次郎

    吉川末次郎君 これですか。
  68. 奧野誠亮

    政府委員(奧野誠亮君) それで御覧願いたいと思います。
  69. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 奥野さんにお伺いしたいのですが、この地方税に関する参考計数資料の四、二十六年度収入見込額というのですが、保険者一人当り平均単価は幾らになりますか。それで……。
  70. 奧野誠亮

    政府委員(奧野誠亮君) 現在保険料の額が見積り一人当り千五百円から二千円くらい徴収しているのが例でございます。そこでこのような形において健康保険税をきめて行くということになりますれば、やはり同じ程度になるのじやなかろうかというふうに思つております。ただ受診率が向上いたして参りますれば、おのずから療養の給付費というものが殖えて参りますので、若干殖える団体も出て来るということも予想されるわけでございます。併し一面事務費国庫補助が二十五年度までは七割であつたのでございますが、今年度から、二十六年度からは全額に増額されるようなこともございますので、大体大同小異ではなかろうかいうふうに予想いたしております。
  71. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 では簡単に伺いますが、さつきも厚生大臣等に伺つたのだが、今度赤字になるというようなことはあり得ないわけですね。赤字部分はもう税をかけて行くというそれだけでいいわけですか。
  72. 奧野誠亮

    政府委員(奧野誠亮君) 現在開店休業の団体もあるようでございますが、問題はその住民がこの制度を育成して行く上について、どれだけの熱意を持つかということが一番の中心になるだろうと思います。で熱意がございませんければ幾ら税にいたしましても、やはり滞納が続出して参るだろうと思うのであります。その際に保険料という形でよりも税という形において徴収するようにいたしましたほうが、この種の事業の持ちますところの社会保障制度的な性格と言いますか、そういう感覚というものがより一層強くなつて参りますので、或る程度協力が得られやすくなるのじやなかろうか、かような考え方の下に赤字団体というものが非常に少くなつて来るのじやないだろうか、むしろ解消されて来るのじやないだろうかというふうな考え方をしておるわけであります。
  73. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 その点よくわかりましたがね、私のお伺いしておるのは、受診者が多くなる、療養給付従つて多くなる。如何ほど多くなろうとも、それはまあ一部負担金は五〇%だから、あとの五〇%になる部分として税でこれを取つて行くという、限界なしにまあ取つて行つて、その限りにおいては赤字というものは出ない、そういうふうに考えていいのか、どうですか。  それでもう一つは、大体こういう制度において全国的に一人当りの平均額はこれ以上超えてはならんというような、全体の税操作の関係から何らかの結論があつたら伺つて置きたい。
  74. 奧野誠亮

    政府委員(奧野誠亮君) 七百三條の二の第二項に書いておりまするように、当該年度の初日における療養の給付に要する費用の総額の見込額の百分の七十に相当する額を以て課税総額ときめて行くということを標準にいたしておるわけであります。併しながらお話のありましたように、受診率が非常に殖えて参つて来た結果、療養給付の総額が更に増額になつて来る。そういたしますとこの国民健康保険税を増徴しなければならないという問題が起きて参るわけであります。併しながらいろいろな状況から考えまして、国民健康保険税を増徴することは困難であるというふうな事態があるだろうと思います。現に保険料の形において徴収されております際においても同じような問題があるわけでございまして、こういう際にはしばしば店をしめてしまうところもあるわけでありますけれども、半面一般会計から相当額を繰入れまして、その繰入金で以て漸く経営を繋いでやつておるというふうな状態のところもあるわけであります。それでは一般会計から繰入れた財源というものは何によつておるかといいますと、やはり市町村の場合には市町村民税でありますとか固定資産税でありますとかいうふうなものになつているというふうなことになるわけだろうと思います。  なお又一人当り幾らを超えてはならないのかというふうな問題がございますが、これは飽くまでも課税総額の標準をきめておるだけのことでございますので、この総額には制限はございません。百分の七十が百分の八十をとりましても違法ではございません。併しながら余り多くの額を国民健康保険税として徴収して参りますと、何ら受診しない人たちにつきましても相当多額のこの種の目的税負担してもらわなければならないことになるわけでございますので、必ずしも協力の態勢を確保して行くことができがたいのではなかろうかということも予想されたのです。そういう場合にはその面の見地から余り多額のものを税として徴収して行くことができない。自然何らかの形においてその間の財政の繋ぎをして行かなければならないという問題は生じて来るだろうと思つております。
  75. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 岡野大臣に率直に伺いたいのですが、一般の地方財政に絡む地方税の問題でも岡野大臣はいろいろ御苦労なさつておるような実情にあるわけですが、厚生省のほうからこれは入つて来た一つの新税の主張であるようにも考えられるわけですが、今奥野さんがお話なつたような困難か事態になりますような場合、やはり国が相当のことを考えない限りは、その当該市町村団体一般財政というものを圧迫するということは大臣提案趣旨説明でも言われた通りこれは変らないのじやないかと、将来もやはりそういう点が起つて来るのじやないかと考えるのですが、厚生大臣は国の助成ということを今後において十分考え社会保障制度審議会答申というものを、或いは地方の要望を尊重して真の社会保障制度の確立のためにやりたい。その一環なのだということを主張しておるわけですが、今後大臣においてはどういうふうにしてこの制度を確立するがために御努力頂けるか、この際その抱負をお伺いしたい。
  76. 岡野清豪

    国務大臣(岡野清豪君) これは厚生大臣のおつしやつたことは我々も全面的に賛成しているのですが、私としましては地方税法を昨年実は通して頂きまして、そしてその地方税法は、今まあそう言つちや甚だ失礼ですけれども、過渡期でございまして、十分なる或果を挙げていないと思います。それから又本当に国家的にやらなければならんということは、私の私見といたしましては、やはり地方にそう持たして置くべきものではないという感じを持つております。ただ問題といたしましては、まだ地方公共団体というもののありかたがすつかりきまりませんものですから、それで私自身としましては、税法の根本的の方法をどう持つて行くかということに対して甚だ疑問を持つているわけであります。私自身が若し率直に申上げますならば国家的に、どうしても国民平等にいろいろな幸福、福祉をぜひやらして行かなければならんというようなことは、これはやはり国家が相当力を込めてやるべきものではないか。地方自治団体はいろいろ山村ありましようし、非常な大都市もあります。財政の情勢も違つておりますから、その住民に対する普通のありかたのサービス行政に対する税制を確立しなければならん。こういうふうな私は考えを持つております。でございますから私の只今の感じを申しますれば、先ず行政調査委員会議の報告によつて地方自治団体のしつかりしたありかたを先ずきめてしまつて、それからその次に今度はサービス行政としてどの程度まで地方負担して行くか、それから又国家的にぜひ八千万の国民がこうなつて行かなければならんというようなことで、国家の要請があるというものについては、これは国家的の負担を以てやるべきものだ、こういうふうに私は考えております。
  77. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 それでは端的に伺いますが、この法律が実施される曉には、市町村一般財政に重大な圧力を加えておつたところは解消できるということをお考えになつておられますか。
  78. 岡野清豪

    国務大臣(岡野清豪君) 一応今まで厚生省なんかの話を聞きますというと、国民健康保険という制度が非常にいい制度である。又地方公共団体がそれを採用しておるところがある。然るにもかかわらず赤字になつて、未だ保険料徴収できないというようなことでうまく行つていないが、先ずこれを一つ法制上認めてやつて、そうして赤字にならないように、徴収がよくできるように講じて見たい。併しまあ一応私は過渡的にやつて、実施して見た上で、それから又私は考えなければならんと、私は率直にそう考えております。
  79. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) ほかに……。
  80. 堀末治

    ○堀末治君 私もこの点についてお尋ねしたいと思つてつたのですが、幸い小笠原君から全部質問して大臣の御答弁がありましたが、大臣説明要旨によりますというと、この国民健康保険税は新税ではありますが、従来の保険料に代えて創設されるものでありますが故に、住民の負担としては何ら増減するものではないのでありますと、こうはつきりおつしやつておるのですね。そうすると今のあなたの御答弁からいいますと、どうもここをはつきり言うだけの確信がないように聞えるのですがね。
  81. 岡野清豪

    国務大臣(岡野清豪君) 一応その確信を以てやりましたけれども、この前税法の改正のときのように、あのときは非常に確信を以て地方財政は確立すると思つてお通し願つたのだけれども、その後事年ほど経ちますが、端的に、うまく行きませんが、どうも世の中のことはそう思う通りに参りませんから、提案理由といたしましてはそうしなければお通しが願えないことは……私はそう思つております。ですからそう申上げました。併しながらやつて見た上で又いろいろな情勢が新らしく出て来ると思います。出て来れば先ほど申上げましたように、国家的にどうしても国民のためにやらなければならんという国家の要請であるとすれば、私は余り地方負担をかけずに国家的に考えなければならん事態が来るのではないかと、こう考えておりますというように、極く正直なことを申上げます。
  82. 堀末治

    ○堀末治君 今のあなたの御説明でよくわかるのですけれども、これはまあ趣旨は非常にいいことなんですね。併しどうも厚生省のほうから言われるので、というようなあなたのお言葉がありますし、又先ほど小笠原君から大分細目で保険局長かに尋ねられたけれども、その数字、資料がないと、こういうことからいうと、どうも自治庁のほうとしても、この税を創設するということに対して計数的の要するに調査その他を十分なさつておらないような私ちよつと感じを受けるのですが、それだけに持つて行つて、この中には全額一万五千円を超えることができないとはつまり謳つてあるところが、何かこの税法の改正について向う様のほうと相談して、一万五千円と限定しなくともいいから、取るだけ取つたらいいじやないかということが、まあ明瞭ではありませんけれども、ちよつと私なんかの耳に響いて来る。それだけに税法に対してこの間からのお話を聞いておつても、私どもいいことはいいと思いますけれどもなかなかびんとしないのです。そういう感じを非常に受ける。別にあなたの御答弁は頂かないで結構ですけれども、どうもそういう感じを受けるので、進んでどうもこれに賛成することはいささか躊躇するような感じを持つておりますので、そのことだけ申上げて置きます。
  83. 吉川末次郎

    吉川末次郎君 私よく知らないから間違つたことをお尋ねするかと思いますが、間違つたらお許し願いたいのですが、我々もらつた資料ですね、国民健康保険税に関する参考資料地方税参考計数資料というものの第一表に国民健康保険の普及状況というものがありまして、その保険者は公営保険者と組合保険者、社団法人と三つに分けて分類してありますが、ところが公営の計数を見ますと、全国で四千五百七十一とあるわけですね、そうすると大体全国の市町村を一万余りとすると、約半数に近いものが公営の国民健康保険を経営していると、こういうことになるわけだと思うのですが、その公営というのは、その市町村の居住民が全部国民健康保険に加入していることになるのですか。
  84. 奧野誠亮

    政府委員(奧野誠亮君) 市町村に住所を持つております者は、原則としては国民健康保険の被保険者になるわけでありますけれども、健康保険組合の被保険者でありましたり、或いは船員保険の被保険者でありましたりいたします場合には、これは国民健康保険の被保険者になることはできません。そういう点を国民健康保険法の中に明確に規定いたしておるわけであります。
  85. 吉川末次郎

    吉川末次郎君 だからそれを除外した住民は全部なるわけですか。
  86. 奧野誠亮

    政府委員(奧野誠亮君) お話通りであります。
  87. 高橋進太郎

    高橋進太郎君 先ほど奥野政府委員から率直なるお話があつたのですが、先ほど厚生大臣にも申上げましたのですが、現在健康保険が要するにうまく行つておるというようなところの実態を見ますと、それはおおむね組合病院を持つておるか、或いは保健所を持つておるというような工合で、自分のそういう施設を持つているところの町村はうまく行つているのですが、ところが施設を持たない、いわゆる町医者に或いは村医にだけ頼つておるというような町なわ村は、非常に滞納者が多くうまく行つていないというのが実状であり、且つ又これは一つの例でありますが、例えば宮城県の横山村というところは日本でも有数な結核患者の多い村でありまして、こういう村はそれ自体非常に長期に亘る患者が多いために、健康保険組合自体が破局に瀕しておるというような実態にあるのでありまして、問題はいわゆる滞納者が多いから、その滞納者をこういう法律の規定だけでその滞納者が片付くならば、或いは町民なり村民なりがこの組合自体に対する熱意があればこの問題は解すると、こういう簡単な問題ではなくて、言い換えるならばその滞納自体が、即ち今の横山村の例を以て申しますれば、いわゆる病気に羅る者はしよつちゆう病気である。税金負担する者はどうも割合に健康体で、従つて税金と申しますか、負担をする者と、それによつて恩恵をこうむる者とのずれがあり、且つ又この制度自体がそういうずれを協同隣保の精神で本当に精神的で本当に精神的に評価して行く、或いは了解して行くというところまで我我の意思の、ソリダリテイの観念がまだ未発達だという状態にあると思います。従つてそういうふうな発達のずれのあるときに、単に精神的に村民なり町の者のこの熱意だけによつてこの問題を解決する、或いはこれを税金の形において解決するということは、社会的なプロセスにおいて一つのずれが免れないと思います。従つてこれは厚生大臣にも申上げたのですが、先ほど奥野政府委員もおつしやつた通り、これはもつと町村だけに委せずに、国が即ち長期の肺結核その他については全額国庫負担を設けるとか、或いは給付については少なくとも半額は国庫で見てやるとか、そういう制度と相待つて初めてこれを完成されるというのがこの制度を活かすゆえんでありまして、これを税の形においてすべて解決されると、こういう考えであるならば、それは非常な誤りでありまして、これはむしろ滞納ということよりも、その滞納の奧に流れておるその町村、或いは町村民実態について十分御考察願い、それらの実態を通じて一つ大臣から……、先ほど大臣もおつしやつたように、これはもつと社会的な、国家全体の一つ制度一環として考えて頂くことを閣議その他において強力に御主張願いたいと存ずるものであります。
  88. 岡野清豪

    国務大臣(岡野清豪君) お説至極御尤もでありまして、私もそういう下心を持つております。将来考慮いたしたいと思います。
  89. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) それでは進行いたします。七百十一條。
  90. 奧野誠亮

    政府委員(奧野誠亮君) 七頁十一條は、異議の申立は文書を以てしなければならない旨の規定でありまして、七百十大條、七百二十五條、七百二十八條も同様の趣旨の規定であります。七百四十條は、来年一月一日から附加価値税が実施になるわけでありますが、それまでに解散した法人についてはやはり残務整理の形において製造業を営んでおつたり、物品販売業を営んでおつたりする形があります場合に、これにも附加価値税を適用するか、或いは従来通り事業税を適用するかということが多少問題になる点であります。それを十二月三十一日以前に解散しました法人につきましては、将来に亘つて事業税を適用するようにして行きたい。言い換えれば附加価値税はその部分については適用しないようにいたしたいというふうに考えますので、その旨の規定を二項に置いておるわけであります。七百四十五條は……。
  91. 堀末治

    ○堀末治君 奥野君の発言中ですけれども、これは地方税の一部を改正する法律案ですが、一体今度の国民健康保険税が新設になるわけですから、この條文は本当を言えば全部ずつとやるのが本当じやないわけですか。
  92. 奧野誠亮

    政府委員(奧野誠亮君) 目的税につきましては、従来の水利地益税と共同施設税の二つの税目がありまして、それらに関する徴収方法等は一括して規定しておるわけであります。その目的税一つ国民健康保険税を追加しただけでございますので、この程度を規定を以て足りるわけであります。
  93. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 目的税一つが殖えたわけですから、目的税のところをいじつて行けばそれでいい。
  94. 奧野誠亮

    政府委員(奧野誠亮君) 七百四十五條の改正は、個人の行う事業に対する事業税につきましては、その徴収方法は従前通りにいたしておるわけでありますけれども、法人の行う事業に対する事業税につきましては、新たに申告納付の制度を採用しようと考えておりますので、その意味における修正をここに加えておるわけであります。なお二以上の道府県において事務所又は事業所を設けて事業を行います者にかかりますところの課税標準額の分割につきましては、法人にあつてはいたしていなかつたのでありますが、この際事業税に関しましても明文を置くことにいたしまして、附加価値税について申上げましたと全く同じ方針の下に二項に分割の標準を規定することにいたしたわけであります。七百四十七條の二は二種の事業を併せて行う場合に事業税の算定方法につきまして新たに規定を置くことにしたわけでありますけれども、例えば物品製造業とそれから水産業とを併せて行なつておりますような場合に、所得の計算をどうするのかというような問題があるわけであります。その際でありましても、これらの事業全部を通じまして所得を計算いたしましてから、更にそれぞれの事業の総売上げ金額にその総所得を按分して、或いは製造業の所得、或いは水産業の所得といたしまして、それぞれにそれぞれの税率を乗じて税額を算定したいというふうに考えておるわけであります。七百五十一條は事業税の徴収の方法につきまして先ほど申上げましたように、新たに一部は申告納付の制度を採用することにいたしたわけであります。七百五十一條の二は、事業税の徴収の手続でありますが、徴税令書を納期限前十日までに納税者に交付しなければならない。一般の原則の通りであります。  七百五十二條は個人の場合についてのみの規定に置き替えることにいたしておるわけであります。七百五十二條の二は二以上の道府県において事業を行う個人の申告又は報告の義務を明文化することにしておるわけであります。七百五十三條もやはり法人の徴収制度が変りましたので、個人の事業税だけにこの條文の内容を限定することに修正をいたしております。七百五十四條も同様でありますが、なお異議の申立に関する修正規定を含んでおります。  七百五十四條の二は法人の事業税の申告納付に関する規定でありますけれども、以下申告納付の方法は附加価値税と全く同様のものであります。少しも変つておりませんので、御質問に応じて答えたほうがよろしいのではないかと思つております。七百伍十四條の三が法人の事業税の修正申告納付、七百五十四條の四が法人の代表者等の自署及び押印の義務。七百五十四條の五が法人の代表者等の自署及び押印の義務違反に関する罪、附加価値税と全く同様であります。七百五十九條は異議の申立に関する修正、七百六十二條の二は申告納付の制度をとります関係上、附加価値税の場合と全く同様に更正及び決定の権限を道府県の知事に持たせることにいたしております。  七百六十三條は個人の事業税の延滞金の場合だけに限りまして、法人の部分につきましては七百六十三條の二以下に附加価値税の場合と全く同様の趣旨の規定を設けることにいたしております。七百六十三條の三は納期限後に納付する法人の事業税の延滞金、七百六十三條の四は法人の事業税の過少申告加算金及び不申告加算金、七百六十三條の五は法人の事業税の重加算金、七百六十三條の六は二以上の道府県において事務所又は事業所を設けて事業を行う法人の申告納付、七百六十三條の七は、二以上の道府県において事務所又は事業所を設けて事業を行う場合の申告納付に関する更正又は決定の規定、七百六十三條の八は、事業税に係る地方財政委員会事務局の職員の質問検査権、七百六十三條の九は、職員の行う検査拒否等に関する罪に関する規定、いずれも附加価値税の場合と全く同じ内容の規定であります。七百六十四條は申告納付の規定を設けました関係上、それらに係りますところの異議のあります際の救済の規定も加えなければなりませんので、附加価値税の場合と同じような内容ものを更に附加て規定することにいたしたわけであります。内容には変つた点はございません。七百六十七條は異議の申立に関する規定であります。七百七十八條は……
  95. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) ちよつとそこまで、以上御質問ございませんか…。これはどういうわけでこの前に法人の事業税について申告納付の制度を採用しなかつたのですか。
  96. 奧野誠亮

    政府委員(奧野誠亮君) 申告納付の制度につきましては、やはりこれをよしとする意見とこれを不可とする意見と現在においてもなおあるわけでございます。従いまして事業税につきましても従来の課税制度を改めて、申告納付制度に切替えるかどうかということにつきましてはいろいろ検討いたしました結果、やはり一年限りのものだからとらないようにしたい。附価値税からそれを切替えるようにしたいというふうに考えたのであります。併しながらその後事業税が更に一年延長されることになりましたし、又法人の事業税につきましての分割な遅延の問題等もございましたので、いずれ附加価値税になりましたら申告納付の制度がとられるわけでありますから、法人の行う事業に対する事業税についても試験的に、試験的と申しますと語弊がありますけれども、先ず申告納付の制度に切替えて行きまして、漸次府県の吏員も慣れるようにして行きたいし、納税者も慣れるように持つて行きたいといふふうに考えたわけでございます。
  97. 堀末治

    ○堀末治君 そうしますとこれがこの法律施行前に未納付になつておるやつは、やはり在来の通りでやつて行くわけですか。
  98. 奧野誠亮

    政府委員(奧野誠亮君) その通りです。
  99. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) では次に移ります。七百七十八條第二項から。
  100. 奧野誠亮

    政府委員(奧野誠亮君) これは二以上の道府県において行う業務に対する特別所得税の課税標準とすべき所得金額につきましても、道府県間に按分する問題がございますので、事業税や附加価値税の場合と同じように従業者の数に按分する旨の規定を置いたわけであります。七百七十八條の二は、地方財政委員会の事務局の職員につきまして、分割納付の場合と異議の申立につきまして地方財政委員会が権限を持つことになりますので、質問検査権を事業税や附加価値税の場合と同じように与えるようにいたしたい。こういう趣旨改正であります。七百七十八條の三はそれらの検査拒否等に関する罪の規定であります。七百八十三條は、二以上の道府県において業務所又は事務所を設けて業務を行います者の規定を七百八十三條の二に新たに規定いたすことにいたしました関係上、この部分を納税義務者の申告義務から除外することにいたしたわけであります。この種の者につきましては数府県に跨るものでありますので、「地方財政委員会規則で定める事項を関係道府県知事に申告し、又は報告しなければならない。」規定を七百八十三條の二に設けておるわけであります。七百八十四條はこの條文の追加に伴いまして字句の修正を行なつておるわけであります。七百八十五條は、異議の申立は文書を要する旨の規定であります。七百九十條、七百九十五條、七百九十八條はいずれも同様であります。附則の一項は、この法律の適用の時期を書いておるわけでありますけれども、原則として昭和二十七年度分から適用するわけでありますけれども、併し市町村民税の法人割の部分、更に又法人の行う事業に対する事業税に関しますところの申告納付の制度につきましては、昭和二十六年一月一日の属する事業年度分から適用することにしたいと考えておるのであります。二項は、従前の地方税はやはり従前通りの例によつて行う旨の規定でありますし、三項は国税と地方税との間において徴収順位の改正がございましたので、その順位の改正規定を適用する時期を書いておるわけであります。
  101. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 先ほど政府委員がこの改正規定は昭和二十七年度から原則として適用するというのは、二十六年度の間違いですね。
  102. 奧野誠亮

    政府委員(奧野誠亮君) そうです。二十六年度です。それから四項は法人の事業税につきまして、新たに申告納付の制度を採用するわけでありますけれども、一月一日の属する事業年度分から適用する関係上、一月三十一日に事業年度が終つたりいたします場合には、事業年度終了後二月以内に申告納付しなければならないというふうな本文の規定によりますと、三月三十一日に申告納付しなければならないようになつてしまうわけであります。そういうものはすべて「昭和二十六年四月一日から五月三十一日まで」と読み替る旨の規定を置くことにいたしまして、税法が通過していない間の措置をとることにいたしておるわけであります。五項は罰則の適用についてはなお従前の例によることにいたしております。六項は取引所税法の中で、「営業税ノ附加税」を「附加価値税(昭和二十七年一月一日ノ属スル事業年度ノ直前ノ事業年度以前ニ於テハ事業税」)に改めることにしておる規定であります。七項は行政代執行法の中に地方税を入れて、「国税に次ぐ順位又は」としておりますのを若干改めることにいたしておるわけであります。八項は自作農創設特別措置法の一部を改正しておるのでありますけれども、この法律の中では地租や家屋税につきまして、自作農創設等のために譲渡命令を出ました場合に、一旦売渡されて、売渡しを受けた人間が使用をいたしておりましても、土地台帳や家屋台帳の名義人は昔のままの所有者の名義になつておることが多いわけであります。そういたしますと昔の名義人に固定資産税も課税されて行くことになりますので、こういう場合には政令の定めるところによりまして、現実の所有者、言い換えれば使用者に固定資産税を負担させるようにいたしたいと考えておるわけなんでありますが、その趣旨の規定で、今までは地租や家屋税ということを語つておりますので、それらをこのように改めまして、今私が申上げましたような趣旨にいたしたわけであります。
  103. 堀末治

    ○堀末治君 この事業税の申告は、なかなか地方税関係で、今まで何といいますか、地方庁は信頼しないのですね。要するに我々法人ですというと、一番簡單なのは税務署から課けている法人税を認めてくれれば一番簡単なんだけれども、それをなかなか信用しないで、全部又来て帳簿をほじくり探すのですよ。併しながら帳簿をそつくりほじくつて見た結果がどうかというと、逆に悪い結果を生じているのがたくさんある。それですから今度附加価値だというと、そつくりその申告する、何といいますか、基準が法律に載つていますけれども、事業業税は私細かく載つてつたかどうかちよつとわかりませんけれども、今度たつた一年のことだから結構ですけれども、それで罰則その他を全部附加価値と同じように附けられて、そして問題を起していると実に困るのですね、その辺どうですかな。
  104. 奧野誠亮

    政府委員(奧野誠亮君) 事業税は、御承知のように課税標準の算定につきましては、多くの部分を政令に讓つております。成るべくそれを織込みたいという御意見も御尤もだと思うのです。ただ従来の形をそのまま一年限りという考え方の下に踏襲して行くと規定いたしました関係上、御意見に副わないところが出て参つていると思います。併しこういう点につきましては、なお課税標準の算定等につきましても、府県の職員を一層指導しながら、御質問のように、無用な手数を納税義務者にかけることのないように努力して参りたいというふうに考えております。
  105. 高橋進太郎

    高橋進太郎君 七百七十八條の三及び七百六十三條の九にあります罰則のところに、職員の質問に対して答弁をしない者はやはり一年以下の懲役又は二十万円以下の罰金に処せられるということになり、七百七十八條の三においても同じようなことがあるのですが、これはやはり刑事訴訟法の百四十六條における默秘権の関係と一体どういう関係になるのですか。
  106. 奧野誠亮

    政府委員(奧野誠亮君) すべて行政上の問題につきましては、只今お話になりますような刑事上の事件に関します場合と取扱方を異にいたしておりますので、いろいろ意見があるわけであります。併しながらその黙秘権の問題は、行政事件については適用がないものというふうな解釈の下にこの種の規定を設けておるわけでございまして、納税義務は各人に課せられた公けの義務だと思うのでありますが、その問題につきまして、所得がありましても、質問に対しても答えてくれませんと、どうしてもそういうふうな課税の問題を運用して行くことができないわけであります。刑事の問題でありましたら直ちに刑罰の問題になつて参るわけでありますけれども、税額の問題でありますれば、当然各人が履行しなければならない納税義務を、正しく履行してもらうための要件でございますので、この種の部分につきましては、刑事事件について認められているような黙秘権は穏当を欠くというふうな考え方の下に立法をされているわけであります。
  107. 高橋進太郎

    高橋進太郎君 やはり一年以下の懲役というような体刑の、或る意味でその辺が刑事事件と非常に均衡がとれないことになつているのですが、これは一般の例もこうなつているわけですな。
  108. 奧野誠亮

    政府委員(奧野誠亮君) 憲法上の問題も、刑事事件に関する規定に過ぎないというふうに解釈されておりますし、国税につきましても同じような規定を設けているわけであげます。そのほかの行政事件につきましてもこの種の規定が若干設けられているのであります。
  109. 高橋進太郎

    高橋進太郎君 やつぱり質問に対する答弁をしないものというような、こういう一種の黙祕権と衝突というか、あれするような、やはりこういう書き方になつているのですか。
  110. 奧野誠亮

    政府委員(奧野誠亮君) その通りであります。
  111. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) それでは修正部分説明を求めます。地方税法の一部を改正する法律案中修正。
  112. 奧野誠亮

    政府委員(奧野誠亮君) 第十一條の二は、同族会社につきましても納付又は納入の義務を負せようとするわけでありますけれども、しばしば納税者がその財産を同族会社に切替えまして、納税の義務を免れるというふうな事例も見受けられます点から、納税者又は特別徴収義務者が納期限までに税金を完納いたしません場合には、その者の持つておりますところの同族会社の株式又は出資につきまして、当該同族会社に対しまして残余の金額の納付を求め、それを納めない場合にはこの同族会社に対しまして滞納処分もすることができるというふうな規定を設けることにいたしておるわけであります。專ら徴収金の確保を図ろうとしておるわけでありますけれども、現在見受けられますところの若干の事例に鑑みまして、同族会社に対しましてもこの種の租税納付の保証的な義務を課することが穏当であるというふうに考えたわけであります。この場合の同族会社は、第七項に書いてありますように、法人税法にいうておりますところの同族会社によつて行きたいというふうに考えているわけであります。  第十一條の三は、納税者若しくは特別徴収義務者の親族その他納税者若しくは特別徴収義務者と特殊の関係がある個人又は同族会社の納付又は納入の義務を規定しておるのでありますけれども、相当納税義務者が持つておりますところの財産を同族会社のほうに譲り渡してしまいましたり、或いは親族に譲り渡してしまいましたりいたしまして、滞納しておるために差押えを受けましても、その際にはもはや自分の財産はないというような形をとることも間々見受けられるわけであります。そこでそのような財産につきましては、その財産の額を限度といたしまして滞納税金の支払を求めて行けるようにいたしたいというような趣旨で十一條の三の規定を設けることにいたしたわけであります。
  113. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) そこまで。御質問ございませんか。それでは続行いたします。十六條。
  114. 奧野誠亮

    政府委員(奧野誠亮君) 十六條の中に一号を加えておりますのは、税金の繰上げ徴収という場合をいろいろ挙げているわけであります。その場合に納税者又は特別徴収義務者が納税管理人を定めないで、当該地方団体の区域内に住所、居所、事務所、事業所又は業務所を有しないようになりました場合にもやはり繰上げ徴収できるようにいたしませんと、その税金徴収が困難になりますので、その種の事例をも追加することにいたしてあるわけであります。十六條の二は、新たに徴収猶予に関しますところの規定を設けることにいたしたわけでありまして、現在納期限までに税金徴収いたしませんと直ちに滞納処分にかかつて行くわけであります。そういたしますと差押え処分というかなり厳しい手段がとられることになりまして、納税義務者といたしましても甚だしい苦痛を味うことになるわけであります。そこで納税者に、そこに書いてありますような或いは震災、風水害等の災害を受けましたとか、或いは親族が疾病に罹りましたとかいうようないろいろな事例の場合には、徴収猶予を申請することができるし、その場合には「一年以内の期間を限つて徴収猶予をすることができる。」というふうな制度をとることにいたしてあるのであります。なおこの場合には十六條の三と関連するわけでありますけれども、徴収猶予をする際に、「その徴収猶予をした金額が二万円をこえ、且つ、当該金額の徴収を確保するために必要があると認めるときは、その徴収猶予をする金額を限度として相当の担保を徴することができる。」ということにいたしておるわけであります。で納税者の便宜の問題も考えますし、併せて或る場合には地方団体の税を確保するという措置も併せて講じたいというふうな考え方を持つているわけであります。二項は、地方団体地方税を課することができることとなりましたときから相当の期間を経過いたしましてから地方税を課しまする場合には、予想しないときに税金を課されることになりまして、納税者にとりましてはかなり納めるのに準備がございませんために苦痛でございます。そういう場合にはやはり同様に一年以内の期間を限つて徴収猶予ができる旨の規定を置くことにいたしてあるわけであります。併しこの際には十六條の三の二項に書いてありますように、相当の担保を徴しなければならない。十六條の二の一項の場合には、納税者の特殊な事情、病気に罹りますとか資産を盗まれるとかいうような場合だけでございます。併しながら十六條の二は単に課税が遅れたというだけで徴収猶予をするということで、原則的には相当の担保を徴したいと考えておりますが、併しながらもとよりこの場合におきましても、但書に規定をしておりまするように、その徴収猶予をする金額が二万円以下である場合又は担保を徴することを困難とする特別の事情のある場合においては、担保を徴しないでもよろしいというようにいたしておるわけであります。なお三項は差押えた財産がありまする場合には、担保の額というものは、もとより差押えに係る財産の価額を控除した額を限度とするわけであります。四項、五項は手続的な関係の規定でありまするからそれは省略いたしますが、十六條の四は、徴収猶予を受けました者が、猶予された期限内に納付いたしません等の場合におきましては、この担保につきましてやはり……間違いました。徴収猶予をいたしました税金につきまして分割払いを認めるときがございますし、或いは又事情によりまして増し担保を求めたりするような、いろんな事由、事態があるわけでありまするけれども、そういう條件を満たすようなことをいたしません場合には徴収猶予を取消しまして、一時に徴収したりすることができる旨の規定を設けておるわけであります。二項の場合には、徴収猶予を受けた地方団体徴収金を期限内に納付いたさない等の場合におきましては、提供された担保につきましてこれを処分いたしまして、税金や処分費に充てることができる旨の規定を置いておるわけであります。又担保は単に物的担保だけではなしに、保証人を立ててもよろしいわけなんでございまするので、その場合には保証人に対しまして滞納処分をして行くというふうなこともできる旨の規定をも後段のほうに掲げておるわけであります。  なお四項は、地方団体徴収金について差押えた財産中に債権又は天然若しくは法定の果実を生ずる財産があります等の場合には、これらをその団体税金等に充てることができる旨の規定を新たに附け加えることにいたしておるわけであります。  五項は、担保を徴しました場合におきましては、その担保物にかかりますところの税金の優先順位につきまして、国税と地方税或いは地方税相互間においていろいろ問題が出て来るわけでございます。これにつきましては、差押えの場合におきましては、差押えにかかる税金が優先をするという方針をとつているわけであります。即ち先着主の順位によることにいたしておるわけであります。それと同じ考え方の下に、担保を徴しております場合には、担保物の価額を限度といたしまして、当該担保物にかかりますところの税金のほうが優先をするというふうな方針をとろうと考えまして、五項にその趣旨のことを謳つておるわけでございます。  十六條の五は、徴収猶予をいたしました場合でありましても延滞金というものはやはり徴収されるわけでございます。併しながら徴収猶予をする場合にはいろいろ特別な事情もございますので、この場合には、徴収猶予にかかります期間に相当する部分の延滞金等につきましては全部又は一部を免除することもできる旨の規定を設けることにしておるわけであります。  十九條、二十條は「事業所若しくは業務所」に改める、単なる字句の修正であります。  それから二百九十二條の第五号の改正規定中に、「租税特別措置法第二條の二第二項の規定によつて徴収される所得税額」等の言葉を挿入いたしておりますが、その趣旨は、新たに租税特別措置法につきまして預金利子等につきまして源泉課税の選択のできる旨に規定が設けられたわけであります。その際には預金利子の五割は税金として徴収されまして、残りの五割は純利子として預金者に交付されるわけであります。こういうふうに源泉選択をいたしましたところの預金利子にきましては、所得税が別に加えて課されないと同じように、地方村民税の所得割の中にも算入すべきものではないというふうな考えかたを持つておりますので、その部分だけを控除いたしますためにこの種の規定を加えたいというふうに考えておるわけでございます。三項は徴収猶予の制度の適用時期を書いているわけでありまして、法律の施行後に納期限が到来した地方団体徴収金から適用することにいたしたいわけでございます。五項は、昭和二十四年度分以前の地方税にかかわる地方団体徴収金を一時に徴収いたします場合においては、特に相当の期間を経過いたしましてから課税されることにもなるわけでございますので、準備のない程度が甚しいと認められるわけであります。そこで困難であると認められますところの金額を限度といたしまして、一年ではなく二年以内の期間を限りまして徴収猶予をすることができるようにいたしたいというふうに考えているわけであります。更に又六項におきましては、この場合の徴収猶予につきましては、先に申上げました規定を適用するわけでありますけれども、更に一般には二万円を越える場合でありますけれども、この場合には四万円を超え、且つ当該金額の徴収を確保するために心要と認める場合に限りまして相当の担保を徴するということにいたしまして、他の徴収猶予の場合よりも若干寛大に取扱うというふうな方法をとることにいたしているわけであります。七項は、国税の督促手数料は、今度の国税徴収法の改正からなくなりまするので、従前の督促手数料は国税の滞納処分費とみなす旨の規定を設けることにいたしているわけであります。十項は新たに担保の問題が生じましたり、或いは差押の解除の問題生じましたりいたします関係り上、登録税法の中にそういう場合の抵当権の取得等に関しましては登録税を課さない規定を設ける意味において三の二を追加することにいたしているわけであります。
  115. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 御質問ございませんか。
  116. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 改正法律案中の修正法律案についてですが、簡単に内容には入らんで伺つて置きますが、これは国税徴収法の一部改正、或いは租税特別措置法の一部改正に伴う自動的な改正であつて、他に何ら内容的改正点はないというのですか。それともこれに伴つて持にこうしたものと関連なしに改正の必要を認めた点があるならば、附加えてその点を抜き出して御説明願いたい。
  117. 奧野誠亮

    政府委員(奧野誠亮君) 今小笠原さんがおつしやいましたように、国税徴収法と租税特別措置法の改正関係だけであります。地方税法の一部を改正する法律案提案いたします際に、徴収方法につきまていろいろ論議を交わしておつたわけであります。ところが、国税徴収法の一部を改正する法律案が非常に遅れてしまいましたので、その間の調整は後ほどに図るという意味合いの下に地方税法の一部を改正する法律案を急ぎます関係上、先に提案をいたしたわけであります。その後に国税徴収法の一部を改正する法律等が定まりましてから、やはり地方税法につきましても同様の修正を加える必要が生じて参つたわけであります。
  118. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 それならば具体的に一つの点を伺いますが、銀行預金の利子に係わる所得税で、源泉探択したものについて市町村民税を課さないということは、単に租税特別措置法そのものの地方税への移用ですか。
  119. 奧野誠亮

    政府委員(奧野誠亮君) 御承知のように預金利子につきましては、この租税特別措置法の改正によりまして、新たに所得税の源泉選択を認められることになつたわけであります。そういたしますと、利子のうちの五〇%が所得税相当額として留保されてしまうわけであります。これが言い換えれば所得税額になるわけでありますけれども、これにつきましてやはり市町村民税で所得割を課する場合に標準額に入れるということにいたしてしまいますと、源泉選択を認めました趣旨というものが活きて参りませんので、所得税につきましてもその部分については新たに課税標準額に算入いたしませんと同じ意味合の下にやはり市町村民税の所得割にも入れないというふうにいたすために、市町村民税の所得割についていいますところの所得税額とか或いは課税総所得金額とかいう場合には、源泉選択に係わる利子の半額、言い換えればそれが源泉選択された所得税額ということになるわけでありますけれども、この部分を含まないということを明確にいたしたわけであります。
  120. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 勤労所得のそれは、市町村民税においても源泉徴収するという建前、そのことができるとなつた場合において、従来申上げておるように、一〇〇%それはまるまる所得と見て課税するというふうにしているのに、大体この銀行預金の利子なんていうものは、そうでない階層のかたがたの利子部分の資本蓄積に充てるために、市町村民税を課さないということは、これは地方税自体の立場から言えば、租税特別措置法の改正に伴うことからそういうふうにしたということでは何らなくて、新しく資本蓄積という政治的な建前から非課税の対象としたと言われるように私は思うのですが、どうなんです。
  121. 奧野誠亮

    政府委員(奧野誠亮君) 所得税につきまして源泉課税の選択を認めます場合に、その源泉選択いたしました課税額を市町村民税の所得副の課税標準の中に算入つする方針をとつても差支えないわけであります。その場合につきましては、その部分について所得割が更に課せられるわけでありますから、源泉課税される金額というものがその部分だけ軽減されなければならんわけであります。それでは今考えておりますところの五〇%という率を軽減いたしまして、市町村民税の所得割を課しまする場合に、その部分を捕捉して来ればよいわけでありますけれども、捕捉することが実際上非常に困難であります。それなら今小笠原さんのおつしやいました資本蓄積の観点もそこに附加えまして、源泉課税する率というものを、市町村民税の所得割を課さないという見地において、かなり高率なものを定めたほうがよろしいというふうなことから、五〇%という率を源泉課税されるというふうにされることになつたわけであります、従いましてその部分はもはや市町村民税の所得割の課税標準の中には算入をしないということにいたそうとするわけであります。
  122. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 そうすると、私素人流に考えてちよつとわからんですが、国税で取つたから地方税では取らん、こういうことになるわけですか。
  123. 奧野誠亮

    政府委員(奧野誠亮君) 国税で取ります場合に、市町村民税で取る部分も併せて取つておるというふうに考えております。
  124. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 非常に専門的なことのようですから、この部分については検討を加えて又御質問することにします。
  125. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) それでは、一応逐條審議はこの程度にいたしまして、一般質問を、又逐條についても疑問のところは行う、そういうふうにして行きたいと思います。
  126. 高橋進太郎

    高橋進太郎君 本日はこの辺で一つ散会して……。
  127. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) それではさようにいたしましよう。  本日はこれで散会いたします。    午後三時五十七分散会  出席者は左の通り。    委員長     岡本 愛祐君    理事            堀  末治君            吉川末次郎君            竹中 七郎君    委員            岩沢 忠恭君            高橋進太郎君            安井  謙君           小笠原二三男君            相馬 助治君            西郷吉之助君   国務大臣    厚 生 大 臣 黒川 武雄君    国 務 大 臣 岡野 清豪君   政府委員    地方自治庁次長 鈴木 俊一君    地方自治財政    課長      奧野 誠亮君    厚生省保険局長 安田  巖君   事務局側    常任委員会專門    員       武井 群嗣君    常任委員会專門    員       福永與一郎君