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政府委員(奧野誠亮君) 十六條の中に一号を加えておりますのは、
税金の繰上げ
徴収という場合をいろいろ挙げているわけであります。その場合に納税者又は特別
徴収義務者が納税管理人を定めないで、当該
地方団体の区域内に住所、居所、事務所、事業所又は業務所を有しないようになりました場合にもやはり繰上げ
徴収できるようにいたしませんと、その
税金の
徴収が困難になりますので、その種の事例をも追加することにいたしてあるわけであります。十六條の二は、新たに
徴収猶予に関しますところの規定を設けることにいたしたわけでありまして、現在納期限までに
税金を
徴収いたしませんと直ちに
滞納処分にかか
つて行くわけであります。そういたしますと差押え処分というかなり厳しい手段がとられることになりまして、納税義務者といたしましても甚だしい苦痛を味うことになるわけであります。そこで納税者に、そこに書いてありますような或いは震災、風水害等の災害を受けましたとか、或いは親族が疾病に罹りましたとかいうようないろいろな事例の場合には、
徴収猶予を申請することができるし、その場合には「一年以内の期間を限
つて徴収猶予をすることができる。」というふうな
制度をとることにいたしてあるのであります。なおこの場合には十六條の三と関連するわけでありますけれども、
徴収猶予をする際に、「その
徴収猶予をした金額が二万円をこえ、且つ、当該金額の
徴収を確保するために必要があると認めるときは、その
徴収猶予をする金額を限度として相当の担保を徴することができる。」ということにいたしておるわけであります。で納税者の便宜の問題も
考えますし、併せて或る場合には
地方団体の税を確保するという措置も併せて講じたいというふうな
考え方を持
つているわけであります。二項は、
地方団体が
地方税を課することができることとなりましたときから相当の期間を経過いたしましてから
地方税を課しまする場合には、予想しないときに
税金を課されることになりまして、納税者にとりましてはかなり納めるのに準備がございませんために苦痛でございます。そういう場合にはやはり同様に一年以内の期間を限
つて徴収猶予ができる旨の規定を置くことにいたしてあるわけであります。併しこの際には十六條の三の二項に書いてありますように、相当の担保を徴しなければならない。十六條の二の一項の場合には、納税者の特殊な事情、
病気に罹りますとか資産を盗まれるとかいうような場合だけでございます。併しながら十六條の二は単に課税が遅れたというだけで
徴収猶予をするということで、原則的には相当の担保を徴したいと
考えておりますが、併しながらもとよりこの場合におきましても、但書に規定をしておりまするように、その
徴収猶予をする金額が二万円以下である場合又は担保を徴することを困難とする特別の事情のある場合においては、担保を徴しないでもよろしいというようにいたしておるわけであります。なお三項は差押えた財産がありまする場合には、担保の額というものは、もとより差押えに係る財産の価額を控除した額を限度とするわけであります。四項、五項は手続的な
関係の規定でありまするからそれは省略いたしますが、十六條の四は、
徴収猶予を受けました者が、猶予された期限内に納付いたしません等の場合におきましては、この担保につきましてやはり……間違いました。
徴収猶予をいたしました
税金につきまして分割払いを認めるときがございますし、或いは又事情によりまして増し担保を求めたりするような、いろんな事由、事態があるわけでありまするけれども、そういう
條件を満たすようなことをいたしません場合には
徴収猶予を取消しまして、一時に
徴収したりすることができる旨の規定を設けておるわけであります。二項の場合には、
徴収猶予を受けた
地方団体の
徴収金を期限内に納付いたさない等の場合におきましては、提供された担保につきましてこれを処分いたしまして、
税金や処分費に充てることができる旨の規定を置いておるわけであります。又担保は単に物的担保だけではなしに、保証人を立ててもよろしいわけなんでございまするので、その場合には保証人に対しまして
滞納処分をして行くというふうなこともできる旨の規定をも後段のほうに掲げておるわけであります。
なお四項は、
地方団体の
徴収金について差押えた財産中に債権又は天然若しくは法定の果実を生ずる財産があります等の場合には、これらをその
団体の
税金等に充てることができる旨の規定を新たに附け加えることにいたしておるわけであります。
五項は、担保を徴しました場合におきましては、その担保物にかかりますところの
税金の優先順位につきまして、国税と
地方税或いは
地方税相互間においていろいろ問題が出て来るわけでございます。これにつきましては、差押えの場合におきましては、差押えにかかる
税金が優先をするという方針をと
つているわけであります。即ち先着主の順位によることにいたしておるわけであります。それと同じ
考え方の下に、担保を徴しております場合には、担保物の価額を限度といたしまして、当該担保物にかかりますところの
税金のほうが優先をするというふうな方針をとろうと
考えまして、五項にその
趣旨のことを謳
つておるわけでございます。
十六條の五は、
徴収猶予をいたしました場合でありましても延滞金というものはやはり
徴収されるわけでございます。併しながら
徴収猶予をする場合にはいろいろ特別な事情もございますので、この場合には、
徴収猶予にかかります期間に相当する
部分の延滞金等につきましては全部又は一部を免除することもできる旨の規定を設けることにしておるわけであります。
十九條、二十條は「事業所若しくは業務所」に改める、単なる字句の修正であります。
それから二百九十二條の第五号の
改正規定中に、「租税特別措置法第二條の二第二項の規定によ
つて徴収される所得税額」等の言葉を挿入いたしておりますが、その
趣旨は、新たに租税特別措置法につきまして預金利子等につきまして源泉課税の選択のできる旨に規定が設けられたわけであります。その際には預金利子の五割は
税金として
徴収されまして、残りの五割は純利子として預金者に交付されるわけであります。こういうふうに源泉選択をいたしましたところの預金利子にきましては、所得税が別に加えて課されないと同じように、
地方村民税の所得割の中にも算入すべきものではないというふうな
考えかたを持
つておりますので、その
部分だけを控除いたしますためにこの種の規定を加えたいというふうに
考えておるわけでございます。三項は
徴収猶予の
制度の適用時期を書いているわけでありまして、
法律の施行後に納期限が到来した
地方団体の
徴収金から適用することにいたしたいわけでございます。五項は、
昭和二十四年度分以前の
地方税にかかわる
地方団体の
徴収金を一時に
徴収いたします場合においては、特に相当の期間を経過いたしましてから課税されることにもなるわけでございますので、準備のない
程度が甚しいと認められるわけであります。そこで困難であると認められますところの金額を限度といたしまして、一年ではなく二年以内の期間を限りまして
徴収猶予をすることができるようにいたしたいというふうに
考えているわけであります。更に又六項におきましては、この場合の
徴収猶予につきましては、先に申上げました規定を適用するわけでありますけれども、更に一般には二万円を越える場合でありますけれども、この場合には四万円を超え、且つ当該金額の
徴収を確保するために心要と認める場合に限りまして相当の担保を徴するということにいたしまして、他の
徴収猶予の場合よりも若干寛大に取扱うというふうな方法をとることにいたしているわけであります。七項は、国税の督促手数料は、今度の国
税徴収法の
改正からなくなりまするので、従前の督促手数料は国税の
滞納処分費とみなす旨の規定を設けることにいたしているわけであります。十項は新たに担保の問題が生じましたり、或いは差押の解除の問題生じましたりいたします
関係り上、登録税法の中にそういう場合の抵当権の取得等に関しましては登録税を課さない規定を設ける
意味において三の二を追加することにいたしているわけであります。