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1951-03-23 第10回国会 参議院 地方行政委員会 第28号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年三月二十三日(金曜日)    午後二時五十六分開会   —————————————   本日の会議に付した事件 ○小委員長報告委員長報告地方税法の一部を改正する法律案  (内閣送付)   —————————————
  2. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) これより地方行政委員会を開会いたします。地方財政緊急対策に関する小委員会結論を得られたのでありますから、竹中小委員長から御報告を願います。
  3. 竹中七郎

    竹中七郎君 只今議題となりました地方財政緊急対策に関する小委員会について、その審議の経過並びに結果を御報告申上げます。  地方自治の確立については、その財政的基礎を確立することが殆んど絶対的な條件であることは我々が確信いたすところであります。私どもの委員会におきましては、この点について十分に認識を持ち、あらゆる議案の審議につきましては、常にこの角度から問題を検討することを続けて参つて来たと思うのでありますが、たまたま昭和二十六年度国家予算に計上すべき地方財政平衡交付金の額について、内閣地方財政委員会との間に意見の対立と申しますか、相違がありまして、地方財政委員会といたしましては、問題の重要性に鑑みまして、前国会に引続き地方財政緊急対策に関する小委員会を設置し、政党政派を離れまして、公正妥当な結論を得るように努力することになりました。自由党からは高橋進太郎君、安井謙君、社会党からは中田吉雄君、小笠原二三男君、緑風会からは岡本愛祐君、西郷吉之助君、第一クラブからは石川清一君、民主党からは私が指名されまして、又小委員長に選ばれることに相成りまして、審議をいたして参つたわけであります。小委員会は本日午前中の委員会を含めまして六回開催いたしました。地方自治庁地方財政委員会は勿論、大蔵省文部省労働省責任者の出席を求め、あらゆる角度から計数内容を具体的に明らかにするよう努力いたしたのであります。問題は要するに昭和二十六年度地方財政増加額をどの程度に見るか、又その財源措置をどうするかということであります。先ず地方財政増加については、地方財政委員会は合計七百十一億六千六百万円とし、これに対しまして大蔵省は五百八十億八千一百万円であると言つております。この金額食い違いは、給與改善に必要な経費その他十項目についてでありますが、この点についての数字予算書附記事項として掲載されておりますので、各項目それぞれについての数字食い違いはここでは省略いたします。ただ両者数字食い違いが最も大きいものにつきまして二、三を挙げ、両者説明相違を挙げて置きますと、次のごとくであります。  先ず年末手当支給に必要な経費五十八億についてでありますが、大蔵省はこれに対しまして、僅かに七億二千百万円を認めるに過ぎません。大蔵省言い分は、二十四年度分年末手当地方団体自己財源により支出しておるから、この分は二十四、五年度と同様、全額昭和二十六年度についても新規需要増加として認める必要はないというのであります。右に対しまして、地方財政委員会は二十四年度は節約により支出せよという趣旨であり、又たまたま配付税九十億が追加されたのであるから、その中から出したのであつて事情が違うというのであります。右の論点によつてもその一端が示されておりますように、地方財政総額についての計算方法は、地財委大蔵省とは根本的に違つておるのでありまして、地財委昭和二十二年度決算に対し、それを物価倍数で伸ばし、又これに新規需要を加えておるのであります。大蔵省昭和二十四年度決算にその後の新規増加を積み上げただけであります。これに対して地財委は変則的な二十四年度決算新規需要だけを継げ足すやりかたでは全く、現実に合わないと強調するのでありますが、これらの論点の大体については、小委員会席上で明らかになりました関係庁意見の大体を文書により、専門調査室のほうより報告いたさせます。財源措置について最も食い違いの著しいものは、御承知のごとく手数料、使用料及び雑收入についての見かたであります。この点についても大蔵省地財委の間には大きな意見の喰い違いがあるようでありますが、この点についてもしばしば取上げたところでありまするから、これについては省略いたします。かくて小委員会におきましては、次のごとき要望予算委員長提出するのが適当であるということに決定いたしました次第であります。    要望事項   地方財政委員会は、昭和二十六年度における地方公共団体基準財政需要額基準財政收入額を超えると認められる額を基礎として、同年度における地方財政平衡交付金総額を千二百九億七千五百万円と算定し、地方財政平衡交付金法第六條第二項の規定により、この額を予算に計上することを内閣勧告した。然るに内閣においては、昭和二十六年度予算案には右総額を千百億円と査定して計上するにとどめている。当委員会においては、全国知事会議要望に基き、数県につき地方財政実態調査を行うと共に、前国会に引続き地方財政緊急対策に関する小委員会を設け、地方財政委員会大蔵省文部省労働省その他の説明を求め、愼重審議を行なつたのであるが、地方財政委員会勧告に述べるごとく、若しその勧告総額の計上を見ないときは、二十六年度地方財政の窮乏を著しく深め、延いては地方自治を混乱に陥れる虞れがあると認める。   よつて委員会においては、昭和二十六年度予算の御審議に当り、右勧告趣旨が達成されるよう特段の御配慮を煩わしたい。   昭和二十六年三月二十二日      地方行政委      員会委員長 岡本 愛祐    予算委員会委員長波多野鼎殿  こういう要望書を出したいというのであります。なお小委員会において右の決定をなすに当りまして、高橋委員から次の希望の申出がありました。これを御報告いたします。   一、地方財政については実態を明らかにするの要があるから、引続き小委員会のごときものにより調査を行うこと。   二、起債の総額の問題の解決かたについては適当の方法をとること。  この要望を付けまして、小委員会におきましては、先ほどの要望事項決定いたした次第でございます。而して小委員会はここにおいて散会した次第であります。  右御報告申上げます。
  4. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 只今竹中小委員長から御報告がございました要望事項を御決議を願いまして、当委員会から予算委員長に、二十六年度予算審議に当つて地方財政委員会内閣に宛てた勧告趣旨が達成されるように、特段配慮を煩わしたいという要望をいたしたい、こういうわけであります。これに対して各委員の御意見を伺います。
  5. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 これにつきましては、前回の例もありますので、今小委員会によつて決定しました趣旨盛つたところの案文を地方行政委員長より予算委員長宛てに送付されるようにしたらどうか。(「異議なし」「賛成」と呼ぶ者あり)
  6. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) それでは竹中小委員長の御提出になりました要望事項全会一致で可決いたしまして、この要望事項を前文を付けまして予算委員長に手交をいたします。なお予算委員会の都合を伺いまして、私が予算委員会に出まして、その趣旨を強調いたしまして、予算委員会に対して本委員会の意思が徹底するようにしたいと思います。御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) それじやさように決定いたします。   —————————————
  8. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 御報告申上げます。今日全国知事会議代表知事が五、六人見えまして、そうして地方財政平衡交付金増額に関する要望決議という文書委員長宛に御提出になりました。朗読をいたします。    地方財政平衡交付金増額に関する要望決議   国は地方財政平衡交付金法第三條により、地方財政不足額を補填するために、必要且つ十分な額を平衡交付金として国の予算に計上しなければならない義務がある。而して同法第六條第二項により、地方財政委員会内閣に対し、十分ならざるも必要欠くべからざるものとして、昭和二十六年度予算に千二百九億円を計上するよう勧告した。(更に給與ベース改訂の実績により、一人平均五百円乃至六百円程度不足が予定せらるるに至つたので、地方財政委員会では、これが措置につき、地方財政平衡交付金増額の再勧告を用意    いる。)   併し政府はあえて原案たる千百億円を固執して、全く地方財政実情を無視したる机上の計数を独断的に地方に押付けんとしている。かくのごとき態度は到底我々の容認し能わざるところである。   各府県は財源不足のため地方財政平衡交付金については、いずれも地方財政委員会勧告を基本とし、更に再勧告を期待して相当の増額を予定し、辛うじて昭和二十六年度予算を編成し得たのであつて、若し内閣が飽くまでも原案修正を拒否するときは、地方財政は勢い破綻に瀕せざるを得ない実情に立至るべきは必至で、今や我々の関心と期待は一に国会における審議にかかつている。   国会はよろしく如上の事情を正視し、速かにこれが打開の方途を講じ、地方の輿望に応えて、地方財政破綻より救われんことを強く要望する。   右決議する。  こういう趣旨であります。
  9. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 実は昨日予算委員会平衡交付金に対する小委員会におきまして、大蔵省から二十五年度年末手当支給の状況の調べというのを提出されたのでありますが、これは二十六年度の年末給與の額が大幅に削減されておるので、予算委員会においても、本委員会においても、こういう資料が欲しかつたのでありますが、大蔵省のこの資料といえども、各地方公共団体申分数字であつて、二十五年度のこの一部の表によりましても、二十五年度の年末手当を全然支給していないところが二百五十団体もあり、大部分半月分以下のところが四千六百有余である。而もまだこれは全体の半分の調べですが、こういうものが地財委には全然今日ないのであつて予算委員会においても、そういうことでは、結局大蔵省に対して言い分が立たんじやないか、当然こういうようなことは資料を整えるべきであるという強い要望があつたのでありますが、我々もそれは同感でありまして、地財委におきまして人数が不十分であるとか、そういう点はよくわかつておりますけれども、やはり毎年の予算において、平衡交付金その他を論ずる際に、実態を把握したところの調査資料があることが一番私は有益だと思いますので、自治庁にも申上げますが、大いに協力して、こういう表を至急に揃えて頂きたいと私は思うのであります。大蔵省だけが、これは極く半分の、全部のものでなく六千八百八十四件だけを調べたものでありますが、全然支給できなかつたのが二百五十、大部分半月分以下、地財委においては、これ以上に正確な、又この金額を一体どういう項目の金でこれをやつたかという点が一番大切なんですから、この点を至急整備して頂きたい。又こういう表を大蔵省が一方的に作りますと、支給したことはわかりますけれども、借金してやつたのか、どうしたのかということは、大蔵省はわかつてない、ただ数字だけを出す、こうやつてるんじやないかと思う。こういうのが一方的にありますと、地財委予算の際には非常に不利である。これに限りませんが、これは大蔵省より以上に整備されんことを希望して置きます。
  10. 小野哲

    政府委員小野哲君) 只今西郷さんからの御注意は誠に御尤もでありまして、私もかねて本委員会でも申上げておりましたように、できるだけ速かに地方団体財政及び実態を把握するということを努力いたして参りたい、地方財政委員会のほうもこの考えかたで、許す限りの人員の整備もいたして行くように手配を進めて参つておりましたので、只今の御注意は十分にこれを尊重いたしまして、御趣旨に副うように、今後とも実態把握のための資料整備に努力をいたしたいと考えておりますので、御了承願いたいと存じます。   —————————————
  11. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 地方税法の一部を改正する法律案につきまして、三月十九日付で内閣総理大臣から、参議院議長に対しまして修正要求の通知がございます。それは「去月二十六日提出した地方税法の一部を改正する法律案中別紙の通り修正することについて、国会法第五十九條の規定に基き、本日衆議院に対し修正要求をしたから通知する。」、こういうのでございます。その説明岡野国務大臣から求めます。今岡野国務大臣を呼んでおりますが、参りますまで、地方税法の一部を改正する法律案逐條審議を続行いたします。
  12. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 大臣が来るのが遅いのでやむを得ないと思いますが、今やつておるものは修正とかち合う点があるならば、そういう点はこのままやるのは無意味ですから、その点を御注意願いたいと思います。
  13. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) その点は修正の点に触れておりますれば、それを附加えて御説明を伺うことにいたします。それでは市町村民税の三百二十一條の三から、特別徴收、御説明願います。
  14. 後藤博

    政府委員後藤博君) 市町村民税特別徴收につきましての條文説明を申上げます。御承知の通り、市町村民税につきまして、源泉徴收をしてもらいたいという希望が、昨年の税法改正の際からあつたのでありまするが、これにつきまして、いろいろ研究いたしました結果、最も簡単な方法におきまして、源泉徴收制度を採用いたしたいと考えた次第であります。三百二十一條の三におきまして、源泉徴收範囲は「納税義務者当該年度の初日の属する年の前年中において給與支拂を受けた者であり、且つ、同日において給與支拂を受けているものである場合においては、当該納税義務者に対して課する市町村民税の全部又は一部を特別徴收方法によつて徴収することができる。」ということにいたしたのであります。ここで問題は前年度、つまり本年度で申しますと、四月一日現在に給與支拂いを受けておる者で、なお且つ前年度源泉徴收を、国税源泉徴収を受けたものに限つて特別徴收方法をとりたい、それ以外のものにつきましては、普通徴收方法によつて市町村民税徴收をいたしたいということに、非常に限定した源泉徴収方法をとつております。
  15. 堀末治

    堀末治君 そうすると、今の百二十一條の三項ですか……。
  16. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 三百二十一條の三です。五十七頁です。
  17. 堀末治

    堀末治君 わかりました。
  18. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 御質問ございませんか。
  19. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 今の御説明で非常に範囲が狭いという御説明ですが、この條文だけを見ますと、そういうことは一向にわからんのですが、どういうことですか。
  20. 後藤博

    政府委員後藤博君) こういう場合があるわけであります。国税源泉徴收でありまするが、前年に給與所得を受けておつたか、どうかということでなくて、給與所得を受けておる者が源泉徴收を全部されるわけです。併しながら、前年度市町村民税のほうは、前年において給與所得を受けた者で、なお且つ当該年度において給與所得を受けている者に限つて源泉徴収をするというふうに狭くしたわけであります。
  21. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 これはですね、普通の場合に源泉市町村民税は数カ月に分けてとるように考えておつたのですが、これも一遍にとる場合もあるのですね。
  22. 後藤博

    政府委員後藤博君) いや、一遍で普通に月割額をきめまして、あとに申上げますが、月割額によつてつて行きたい。
  23. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 「市町村民税の全部又は一部」とありますが……。
  24. 後藤博

    政府委員後藤博君) これはたくさんの給與所得を二、三カ所で受けておる場合がありますので、一カ所から受けておりますところの給與所得に対して、市町村民税の課する分が非常に少い場合には、全部をとる場合もあり得るのでありまして、それぞれの給與所得支拂いを受けているところで、月割額をとつて参りますれば、全部の場合もあると思いますが、通常の場合は月割の一部であります。
  25. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 今の説明は、それは全部又は一部ですから、一部もあるかも知れませんが、全部というのは全額一遍にとる場合もあるということですか。
  26. 後藤博

    政府委員後藤博君) そうでございます。
  27. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 その全額を一時に徴收するという考えかたはどうですか、非常に過酷になりやしませんか。
  28. 後藤博

    政府委員後藤博君) 例えば均等割以外の所得割が非常に少い場合ですね、少い場合に全部をとつたほうが徴収の便宜上いいというような額の場合には全部とるというわけであります。
  29. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 全部とつたほうがいいというのは、とるほう立場のことであつて、とられるほうちよつと困ると思うのですが、これは結局全部一遍にとるという場合には、所得割のないものですから、極く僅かな給料しかとつてない者になるのであつて、極く僅かの人の使用人で、そこで飯等を食わしてもらうから、金でもらうものは千五百円とか、二千円とかいうものがあると思うのですが、そういうことに全部とられる恐れがあるので、それでは所得割がないくらいですから、全体で僅かであつても、僅かなものから、或いは一カ月にしても全額を東京では八百円をとるということは、半分以上も現金でとるということができて来て、非常に酷になりやしませんか。
  30. 後藤博

    政府委員後藤博君) 今のお話のことのないように指導いたしたいと思いますが、法文としては全部とり得る場合もあるというふうにいたしたいと思いまして、通常の場合は一部分月割額で、例えば本年としては十分の一ずつとつて行きたい、かように考えておるわけであります。
  31. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 今秋の質問を言い直されたけれども、最初の説明においては全部とつたほうがいいときには全部とるという、全部とるというのは、とるという立場だけのほうだけであつて、とられるほう立場だけで、僅かな給料の者が一遍にとられても困るのですが、とるほう立場だけではなくて、とられる立場のことを考えて頂かなくちやいかんと思いますが、片手落では困るので、今の御説明だと、とるほうが勝手に法律にきめてとるのでしよう。
  32. 後藤博

    政府委員後藤博君) 私の申しかたが非常に悪かつたのでありますが、実際施行に当つては、お話の通り無理のないようにいたしたいと考えております。
  33. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 重ねて伺いますが、「全部又は一部」、この「全部」を入れたいというのは、全部はどういう場合にそれを全部とろうという考えですか、実際の具体例を見せて下さい。
  34. 後藤博

    政府委員後藤博君) これはちよつと間違つておりますが、これは先ほど申上げましたように、例えば一人の納税義務者で、給與所得者が例えば二カ所乃至三カ所から給與を受けております場合に、その一人の支拂者のおるところに特別徴收義務を全部負わせる場合がありますし、又一部を負わせる場合がある、こういう意味であります。
  35. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 特別徴収義務者にかかる。
  36. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 それならわかる。   —————————————
  37. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) それでは岡野国務大臣が見えましたから、地方税法の一部を改正する法律案審議を一応中断いたしまして、先ほどお諮りいたしました衆議院に対し、内閣から修正要求をいたしました地方税法の一部を改正する法律案修正事項につきまして、岡野国務大臣から提案理由説明を承わります。
  38. 岡野清豪

    国務大臣岡野清豪君) 国会法第五十九條の規定によつて衆議院の承諾を得ました地方税法の一部を改正する法律案中の修正について御説明申上げます。  政府におきましては、地方税務行政改善地方税負担合理化を図ることを目的として、地方税法の一部を改正する法律案を提案し、目下連日御審議を願つている次第でありますが、本法律案上程後に、たまたま国税徴収法の一部を改正する法律案閣議決定を見、近く国会に上程される見込であります。  而して国税徴收方法地方税徴收方法とには相関連するものが多く、できる限りその取扱いを一にすることが納税者にも便宜であると考えられますので、国税徴收法の一部を改正する法律案内容とほぼ同様のものを地方税法中に取入れることにする必要があるのであります。よつてここに地方税法の一部を改正する法律案修正して、その趣旨を取入れることといたしたのであります。    〔委員長退席理事堀末治委員長席に着く〕  次に、修正内容について説明いたします。修正の第一点は、納税者又は特別徴收義務者苦難緩和のために徴收猶予制度を設けることであります。即ち納税者又は特別徴收義務者がが罹災、盗難、廃業、休業、疾病、事業上の甚大な損失等の事由により、又は地方団体課税権を行使し得る日から一年以上経つて地方税を課されたことにより、一時に納税することを困難とするときは、地方団体はその申請に基いて一年以内において徴収を猶予することができるものとするのであります。而して地方団体徴収を猶予する場合においては、その税額が二万円以上であり、且つその税額徴收を確保するために必要があると認めるときに限り、担保を徴するものとし、納税者又は特別納税義務者が、徴收猶予の期限内に納税をしないときば、これを換価して地方税に充当することができるものとするのでありまして、一面において納税者の苦痛を緩和すると共に、他面地方団体徴收にも支障を及ぼさないように配慮いたしているのであります。なお徴收猶予制度は、旧地方税制による地方税即ち昭和二十四年度分以前の地方税についても、必要に応じ、これを認めるものといたしております。  修正の第二点は、納税者又は特別徴收義務者地方団体徴收金を滞納した場合において、その所有する同族会社株式又は出資が換価できず、且つ滞納者の他の財産について滞納処分をしても徴収できないときは、地方団体においてその同族会社に対し、滞納者の所有する株式又は出資時価限度内において納税義務を負わせるものとすることであります。これは納税者又は特別徴收義務者脱税目的同族会社を設立維持することを防止しようとする趣意に出るものでありまして、反面この場合においても同族会社財産公売は、滞納者財産公売した後において初めてできるものとし、又同族会社が行なつた異議申立乃至訴の繋属中は公売できないものとし、以てその権利の保護に遺憾なきを期しているのであります。  修正の第三点は、納税者又は特別徴收義務者地方団体徴收金を滞納した場合において差押を免かれるために、故意に親族その他使用人等特殊関係のある者又は同族会社財産を贈與し、又は不当に低い価額で譲渡し、且つ滞納者の他の財産について滞納処分しても、当該地方団体徴收金徴收できないときは、財産の贈與又は譲渡を受けに者に対し、の財産時価限度内において納税義務を負わせるものとすることであります。これは滞納者の詐害行為を防止しようとする趣意に出るものであります。なおこの場合におきましても、財産の贈與又は譲渡を受けた者にかかる公売処分は、滞納者財産公売した後に初めて行い得るものとし、且つ異議申立又は訴の繋属中はできないものとして、以て保護に万全を期しておるのであります。  修正の第四点は、納税者又は特別徴収義務者納税管理人を定めないで、当該地方団体の区域内に住所、居所、事務所、事業所又は業務者を有しないこととなつた場合においても繰上徴收ができるものとすることであります。  修正の第五点は、租税特別措置法改正に伴い、銀行預金利子等にかかる所得税源泉選択したものについては、現下我が国産業界の緊急の要務とされておりますところの資本蓄積に寄與するため、市町村民税を課さないものとすることであります。  以上が修正点内容の概要でありますが、その趣旨とするところは、飽くまでも国税徴收法及び租税特別措置洪の一部改正に伴い、地方税法との規定の調整を図り、以て租税負担合理化地方税務行政改善に資することに盡きるのであります。
  39. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 如何ですか、この御説明に対して質問を続けますか。
  40. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 今御説明の第一点のところに担保徴收するということがありましたが、担保徴收するということは、その範囲内容はどういうふうなものなのか、又担保徴収することによつて、これをその担保に出したものを処分して税金を納めるということはできなくなると思うのですが、その点はどうなんですか。
  41. 後藤博

    政府委員後藤博君) 担保の種類につきましては、政令で別に定めることになつておりますが、現在その政令の案を研究しておるのでありますが、大体範囲は国債、地方債、その他都道府県知事又は市町村長の確実と認めるというような社債その他の有価証券、それから土地、それから保険に付した家屋、立木、船舶等でありまして、そのほか確実な保証人の保証も一種の担保の種類の中に加えたいと考えております。
  42. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 第二点の御説明がないのですが、担保徴收するために、徴收担保に出していなければ、それを処分して金を納めることもできるわけですが、担保徴収しますと、私が今御説明を伺うと、現金に換価しやすい国債とか、地方債とか、有価証券、そういうふうなものを担保にとつて置くと、別な方法で最後にはそれを納めようと思つてつても、こういうものが手許にあれば、すぐこれは現金に変るものですから、その有価証券を売飛ばして置いて納めることもできるが、これを担保にとられておるために処分ができないというふうなことになつて納税者が却つて納税するのに、こういうふうな貴重な物件を取上げられるために非常に工合が悪くなつて来るのじやないでしようか。
  43. 後藤博

    政府委員後藤博君) お説のような場合もあるかと思いまするが、実際問題といたしましては、担保を徴してやるというふうな場合は地方税の場合においては余り多くはないのじやないか、国税の場合には相当あると思いますけれども、地方税の場合においては、従来もさような必要を感じますような例は余りなかつたのであります。お話のようなことにならないように指導いたしたいと考えております。
  44. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 これは担保徴収するという考えは、債権債務見たいな考えかたから類推して、そうなつたと思うのでありますが、これは納税はそういうこととはいささか違うので、債権とか、債務というものじやないのであつて、これを猶予することは今のいろいろな経済事情によるところであつて、当然こういうふうなことを措置して然るべきものだが、何もその担保をとるということは、さつき私も言いましたように、債権、債務の関係のようなことから来るのだと思うのですが、こういう例はほかにもあるでしようか。
  45. 後藤博

    政府委員後藤博君) 私どものほうとしては、実は担保を徴してまで租税財源を確保するということは考えていなかつたのでありますが、改正法律案のほうで国税と同順位にいたしたい、徴收の順位を同順位にいたしたいということに国税との間に話をきめておりますので、国税徴收法のほうで、国税についてかような規定を挿入するということになりますと、どうしてもそれに歩調を合わす意味において、地方においてもそういう意味のことを入れて置く必要があるということを考えまして、この規定を入れたわけであります。
  46. 石川清一

    石川清一君 この担保ということは徴收猶予制度の裏付けとして行われると思うのですか、徴収猶予の制度納税者の生活の保障或いは事業経営の維持というようなものに対する罹災或いは天災、盗難というようなものから受けるものを補償すると、こういうような場合ならいいのですけれども、国税のように更正決定が非常に過酷であつて、官吏の面子を保つためにこういう制度を設けて、やがては担保をとり、それを競売する、こういうことに私はなつて行くんじやないか、こう思われるのですが、さような点についても現在の滞納額の現状から見てお考えになつたかどうか、一つお伺いいたします。
  47. 後藤博

    政府委員後藤博君) 市町村税等におきましては、担保を徴したり、滞納処分をしたりするというようなことは実際問題としてなかなか困難じやないかと思います。従つて担保を徴することができるというふうに規定をいたしましても、なかなか住民との間の関係でむずかしくはないか、特に悪質なものに限つて、さような措置をとる必要がある場合がありはしないかと思うのでありますが、さような場合に限つて、こういう規定を適用いたしたい、さように考えております。
  48. 石川清一

    石川清一君 前に出ておりますように、この罹災というような場合に火災保険金が来る。その場合にその保險金の中から滞納額を差引く、或いは現在の賦課しておる金額をここの條項によつて取るようになるというようなことはお考えになりましたか。    〔理事堀末治君退席、委員長着席〕
  49. 後藤博

    政府委員後藤博君) さなうな場合で非常に困窮している場合には他に減免等の規定もありますし、又担保を徴することができないような場合もありまするし、又保険金が入つた場合にその保険金をとるということも、納税者の担税力との睨合せで決定すべき問題ではないかと考えております。従つてさような場合に必ず保険金からとるということではなくて、やはり担税力を検討してとる必要があれば、とるということになりはしないかと思います。
  50. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 第一点ですが、徴集猶予の制度を設けたということだけを見れば、納税者にとつては幸いのように聞えるけれども、だんだん見ると担保をとるのだ。現在は国税においても、地方税においても非常に滞納がひどい場合に、差押えなり競売する場合があるのでありますが、今度はあらかじめ担保をとつて置くんだということになるので、今の制度よりもつと簡単に、物を納税ができなかつたためにとられる。とりやすいものを初めからあらかじめ担保に入れて置けば換貨しやすいのですが、それは現在より納税者にとつては非常に危險が増大したことになります。担保をとるというようなことになつて来ますと、徴收猶予制度の本当の趣旨というようなものが死んでしまうのではないか。
  51. 奧野誠亮

    政府委員(奧野誠亮君) 現行制度によりますと、納期を過ぎましても税金を納めません場合は、原則として差押処分に入らなければならない徴收義務を負うわけであります。併しながら差押えということになりますと、御承知のように動産でありましたら赤紙を貼られまして、大変他人に対しましても、不愉快な思いをしなければなりませんし、いろいろ妻が増大するわけであります。そういう場合に話合いで適当なものを提供いたしまして、担保にとつてもらいますれば、そういうぎようぎようしいことなく、或る程度徴收猶予ができるというふうになつて参るわけであります。もとより納税者の状況によりまして、減免等の問題に扱えるということはあるわけでありますが、ただ現行の場合によりますと、直ちに差押えに入らなければならん。差押というようなぎようぎようしい手段によるよりは、納税者といたしましては、担保を提供することによつて徴収を猶予してもらえば遥かに楽だと言いますか、或いは不愉快がやわらぐと言いますか、そういうやわらかい制度に移して行きたい、かように考えておるわけであります。
  52. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 今の御説明のように御説明なされれば如何にもいいように見えるわけです。ところが実際は先ほど来申上げたように、あらかじめ最も現金に換えやすい国債とか、有価証券を先にとつて置く、こういうものを出せる人なら、いざというときにそれを処分すれば納税できるのであるけれども、一番金に換えやすいものを担保にとつて置くということは、とるほう立場から言えばとりいいわけです。今奥野君の説明にも、むしろ今のようだと非常に人に目立つて本人も困るだろうというけれども、今の説明だけ聞くと、そう見えますけれども、あらかじめ先に担保の提供をしてとられておる。納税上いよいよできないときには、この有価証券を現金に換価すれば、すぐ納められる有価証券ですから、国債でありりますとか、地方債とか、一番金になりやすいものをあらかじめ差出して置くということになると、実際いよいよ困つたときに家を処分しなければならんというようなことになつて、決して今御説明されたようなふうにはならないんじやないかと思います。現在のようだと、とるほうの側にあらかじめ差押えしなければならんとかいうような責任を負わされるというけれども、これは先に納税者のほうはばかを見て、物をとられておるから、一遍にやられる。だから今の御説明は非常にとるほう立場にとつて有利なような御解釈でありますけれども、納税者のほうにとつては余り、今の御説明とは全然逆のような結果になりはしませんか。
  53. 奧野誠亮

    政府委員(奧野誠亮君) 西郷さんが御心配しておりますような場合は、現行制度によりましても納期限の延長をすることができる制度を残しておるわけであります。納期限の延長の際には延滞金も徴収しないのであります。併しながら納期限の延長にも該当しないような場合でありまして、もつと長い期間徴収を待たなければならないというふうな事情の場合に、初めてこの徴收猶予制度をとるわけであります。その際にも十六條の三に規定いたしておりますように相当の担保徴收することができるということにいたしておりまして、徴税団体の側の債権に不安のない限り徴收猶予を認めて行こうというふうにしておるわけであります。もとまり一定の場合には相当の担保を徴しなければならないとしておるわけでありますけれども、西郷さんが御心配になつておりますような、例えば十六條の二の第一項に掲げておりますように、納税者にいろいろと気の毒な状況のあります際には、担保を徴するかしないかということは、地方団体の認定に待つというふうな取扱いかたにしております点を御了承願つて置きたいと思うのであります。
  54. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 今の條文を挙げられたのは、それはどの條文ですか、地方税條文ですか。
  55. 奧野誠亮

    政府委員(奧野誠亮君) 只今議題になつておりますところの、地方税法の一部を改正する法律案修正によつて加えられた條文であります。
  56. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 この條文は今あなたから聞いたからわかつたが、これはまだできて参つていない。條文があればはつきりするわけですが、我々にはないのです。
  57. 石村幸作

    ○石村幸作君 今奥野さんの御説明ですと、差押えされるよりも担保とつたほうが世間体もいいし、精神的にもこのほうが楽だろうというけれども、ところが担保物件は、今有価証券の話が出ましたが、これは不動産でも担保になるのですか、どうですか。
  58. 奧野誠亮

    政府委員(奧野誠亮君) お話の通りであります。
  59. 石村幸作

    ○石村幸作君 それで不動産と言いますと、差押えられれば、これは費用がこつちはかからないのですね、納税者は……。だけれども担保に入れるとなると相当額の抵当権設定の経費がかかるわけです。ですからあなたのおつしやる政府の親心というものが逆になりはしませんか。
  60. 奧野誠亮

    政府委員(奧野誠亮君) もとより原則は納期限を過ぎました場合には直ちに差押えにかかるわけであります。併し納税者がいろいろな事情からいたしまして、差押えられては困るという場合にだけ、納税者の申請に基きまして、新たに徴收猶予の途を開くこととしたわけであります。併しそれだけでは課税団体の財源が不安であるという場合に相当の担保を徴してもらう、こういうことにいたしておるわけであります。その担保お話になりましたように、動産でも、不動産でもかまいませんし、更に人的担保でも差支えないというわけにいたしております。
  61. 石村幸作

    ○石村幸作君 何と言われたのですか。
  62. 奧野誠亮

    政府委員(奧野誠亮君) 人的担保、保証人によつても差支えないわけです。
  63. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 担保をとるというのは、例えば有価証券の場合はどういう方針によつてとるのですか。
  64. 奧野誠亮

    政府委員(奧野誠亮君) 地方団体徴収猶予をする金額に相当する価額ということに認定するわけでございまするので、大体時価相当額に計算して参るということになると思います。
  65. 堀末治

    堀末治君 課税権を行使し得る人が、一年以上経つて地方税を課されたことによる、こういうことになつておりますね。その次にその課税団体はその申請に基いて一年以内において徴収猶予をすることができる、これはどういう関係になるのですか。この関係は……。
  66. 奧野誠亮

    政府委員(奧野誠亮君) 全然別個の問題でありまして、原則として徴收猶予は一年以内に限つて参るというふうに考えているわけであります。ただ従来からすでに課税できる税金でありまして、それを相当期限を経過いたしましてから一時に課税いたして参りますと、納税者がやはり相当納めるのに苦痛を感ずるわけであります。従いましてこういう古い税金でありましても、やはりこの徴収猶予の制度は遡つて適用するようにして参りたいと、かように考えておるわけでありましてそういう場合に、例えば事業税の課税ができるにかかわらず、所得決定が遅れておりまして、そうして一年以上経つてから課税をいたして参ります。そういたしますと、納税者はそういう税金を予想もいたしておりませんために、準備に事欠くわけであります。こういう場合には納税者が一時に納めることに相当の苦痛を感ずるわけでございますので、こういう場合には更に特例的に二年以内を限つて徴收猶予を認めて行く、こういうふうな制度にしようとしておるわけでございす。
  67. 堀末治

    堀末治君 そうしますというと、その徴收猶予制度と言いますか、恩典は、これこれの條項にはつて一年以上経つて納められないという者に限るということになるのですか。
  68. 奧野誠亮

    政府委員(奧野誠亮君) そういうわけではございませんで、そういう場合には徴収猶予を認める一つの條件にして行こうということであります。特に寛大に徴收猶予をしなければならないであろう、こういう考えかたを持つているわけであります。
  69. 堀末治

    堀末治君 そうすると、要するに寛大な処置をとろうというのは、こういう場合に限るというわけですか。
  70. 奧野誠亮

    政府委員(奧野誠亮君) 徴收猶予をいたします場合は、十六條の二の第一項にいろいろ書いおります。でその最後に、「前各号に掲げる事由に類する事由があつたとき。」と、かなり広い範囲について徴收猶予が認定できるようにいたしております。
  71. 堀末治

    堀末治君 箇條書……。ああ、わかりました。じやこれはあとで聞きましよう。
  72. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) ほかに御質問ありませんか……。それでは修正に関するものについては今日はこのくらいにいたして置きます。   —————————————
  73. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) それでは地方税法の一部を改正する法律案逐條審議を続行いたします。   それでは三百二十一條の四、「(特別徴収義務者の指定等)」。
  74. 奧野誠亮

    政府委員(奧野誠亮君) 三百二十一條の四は、特別徴收義務者の指定等に関する規定でありまして、給與所得にかかりますところの市町村民税を特別徴収によつて徴收いたそうといたします場合には、市町村は特別徴收義務者となるべき者を指定しなければならないわけであります。それで大体所得税源泉徴収をしなければならないような人につきまして、指定をするわけでございまして、その際には誰について幾らを徴収しなければならないかということを、四月十五日までに当該特別徴收義務者に市町村のほうから通知しなければならない。その通知のありません部分につきましては、特別徴收義務者徴收義務を負わないということにいたしております。で、今年は併しながら四月十五日では間に合いませんので、六月十五日までにいたして置きたいというふうに考えているわけであります。なお給與支拂いをいたしております者が二人以上あります場合には、市町村はその特別徴収を受ける者の給與の額に按分いたしまして、二人以上の者からそれぞれ特別徴收を求めることができるようにいたしております。三百二十一條の五は「(特別徴收税額の納入の義務等)」に関する規定でありまして、只今説明申上げましたように、市町村から特別徴收義務者徴収に関する通知を受けました場合には、月割相当額を毎月給與支拂います際に徴收いたしまして、その徴收した額を翌日の十日までに当該市町村に納入しなければならないということにいたしております。その際に納めるべき市町村が給與支拂地の市町村と異なつております際には、送金等に相当の手数がかかりますので、送金を受けます市町村は、給與支拂地の市町村に所在しますところの金融機関を指定いたしまして、その金融機関に拂込めば納入の義務を完了するということにいたしたいと考えております。こうすることによつて給與支拂者の送金の手数を省きたい、かように考えているわけであります。三百二十一條の六は「(特別徴收税額の変更)」に関する規定でありますけれども、特別徴収税額を通知いたしました後に、例えば更正決定その他からこれを変更しなければならないというふうな事情が生じて来ることがあると思うのであります。そういう際には、やはり変更にかかるところの税額特別徴收義務者に通知することによりまして、正しい金額徴收してもらうようにいたしたいというふうに考えておるわけであります。三百二十一條の七は「(普通徴收税額への繰入)」の問題でありますが、特別徴收をいたしております人が退職をいたしましたり、或いは転職をいたしましたりいたしました場合には、その者についてはもはや特別徴收義務は負わないということにいたしております。併しながらそれを市町村に通知してもらわなければ困るわけでございますので、退職、転職等のありました月までは特別徴収義務者市町村民税徴收するわけでありますけれども、翌月以後は徴収義務を負わない。反面に市町村へそのことを通知する。この通知を受けましたところの市町村は、徴收未済の分はやはり徴税令書を本人に交付いたしまして、普通徴收方法によつて市町村がみずから徴収して行きたい、かように考えておるわけであります。それをこの普通徴收税額の繰入という形において規定をいたしたわけであります。
  75. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 以上御質問ございませんか。    〔「進行」と呼ぶ者あり〕
  76. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) それでは次に移ります。三百二十一條の八。
  77. 奧野誠亮

    政府委員(奧野誠亮君) 三百二十一條の八は、「(法人税割の申告納付)」の義務規定しているのでありまして、法人税を納めまするときまでに、市町村民税のうちの法人税割の部分も又申告納付しなければならないというふうに規定をいたしているわけであります。従いまして法人の事業年度が六月を越えます際には、六月を経過いたしました日から二月以内に法人税を予定申告納付しなければなりません。その際に、予定申告納付の法人税額を課税標準といたしまして、法人税割額も又予定申告納付をしておいてもらおう、こういう考えかたを持つているわけであります。更に又決算が確定いたしましたら、事業年度を通ずる所得を基礎にいたしまして、法人税額を納付するわけでありますが、その際にはこれを基礎にいたしまして、市町村民税の法人税割を計算し、すでに納めた部分を差引きました残りを同時に市町村に納めて置いてもらおう、かような考えかたをいたしているわけであります。三百二十一條の九は、「(法人税割に係る虚偽の申告に関する罪)」でありまして、他の虚偽の申告に関する罪と同様の意味合において、新らしく設けられました法人税割に関しましても、ここにその罪を規定いたしているわけであります。三百二十一條の十は、「(昭和二十六年一月一日の属する事業年度の法人税額に係る法人税割の課税標準等の特例)」の問題であります。この法人税割は本年の一月一日から実施して行きたいと考えております。正確に申上げますと、本年一月一日の属する事業年度分から納めて頂くわけでありますけれども、そのうち二十五年の属しまする部分につきましては、これは納める必要がないという意味合におきまして、今年の一月一日の属する事業年度分につきましては、その法人税額を日割計算をしたいというふうに考えているわけであります。例えば昨年の四月一日から今年の三月三十一日までが一事業年度でありますところの法人につきましては、その法人の法人税額に対しまして、今年の一月から三月までの三月分だけを徴收すればよろしいわけでありますから、これに十二分の三倍をするわけであります。これを課税標準として法人税割を計算してもらおう、かような考えかたの下に、ここに規定をいたしているわけであります。三百二十一條の十一は、「(法人税割の更正及び決定に関する規定)」でありますして、申告納付の制度を採用いたしておりますので、市町村長に対しましては、その額が低過ぎたり、或いは申告納付洩れになつていたりいたしました場合には、他の税と同様に更正及び決定の権限を持たせたいというふうに考えているわけであります。三百二十一條の十二は、「(法人税割の不足税額及びその延滞金徴収)」でありますけれども、これも他の申告納付の税金と全く同じ形式において規定をいたしているわけであります。三百二十一條の十三は、「(二以上の市町村において事務所又は事業所を有する法人の法人税割の申告納付)」であります。二以上の市町村において事務所又は事業所を持つておりますと、それぞれの市町村に対しまして、法人は法人税割を納めなければならないわけでありますが、それではどのような割合において納めればよろしいかということをここに規定いたしているわけであります。その場合には法人税額を従業者の数に按分いたしまして、これを課税標準として法人税割を計算してもらおう、かような考えかたをいたしておるわけであります。その際に、従業者は事業年度の各月の末日現在における従事者の数を合計して算定をしようというふうに考えております。三百二十一條の十四は、「(二以上の市町村において事務所又は事業所を有する法人の法人税額の分割の修正)」の問題であります。法人が二以上の市町村において事務所又は事業所を持つておりまする場合に、関係の市町村から個々に従業者数が違つておるから、自分のところへはもつと法人税割が納められなければならないということで更正決定を受けたのではやり切れませんので、種々法人の立場考えまして、こういう分割の基準に基くところの更正については、主たる事務所又は事業所所在地の市町村長のみが修正できる、その他の市町村長は、主たる事務所又は事業所所在地の市町村長に対しまして、修正を求めることができる、こういうふうにいたしたいと考え規定をいたしておるわけであります。三百二十一條の十五は、こういうような場合に、関係市町村長がそれに不服があります場合には、道府県知事に対して裁定を求める。更に又関係市町村が二以上の道府県に跨がつております場合には、地方財政委員会に裁定を申出るというふうな形にいたしまして、これらの不服を解決いたしたいという方針をとろうといたしておるわけであります。
  78. 堀末治

    堀末治君 今のその税制の分けかたについて、従業者数ということを言つておりますが、その従業者数の決定は何でやりますか。
  79. 奧野誠亮

    政府委員(奧野誠亮君) 従業者数は、当該法人が所得税源泉徴収しなければならないものを従業者として計算の中に入れて行きたい、かように考えております。
  80. 堀末治

    堀末治君 そうすると、役員も入るのですか。
  81. 奧野誠亮

    政府委員(奧野誠亮君) 入ります。
  82. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) ほかに御質問ございませんか。  昨日ほかの委員かたがたと神奈川県庁の県財政実態調査に参りましたときに、神奈川県の事業税收入というものは思つたより少い、それでその理由を聞きますと、一つの理由として、現行法におきまして、神奈川県における工場の本社というものは東京に多くある。だから当然分けてはもらえるのだけれども、東京の本社から神奈川県へ分けて寄越す事業税と申しますか、それが少い、従つて工場はたくさんあるけれども、事業総額というものが少いのだというような話があつたのですが、その点について奥野政府委員より説明願いたいと思います。
  83. 奧野誠亮

    政府委員(奧野誠亮君) 只今お話のような点がございまして、それが事業税収入を相当遅らせておるということになつておるわけであります。そこでこの際事業税に関する徴収方法を改めまして、法人につきましては申告納付の制度を採用したいというふうに考えたわけであります。現在は事務所又は事業所の所在地が二以上の府県に跨がつておりまするものは、主たる事務所又は事業所の所在地の道府県の知事が、関係道府県に対しまして課税標準額を分割するという方針をとつてつて来ておりますところが元になりますところのその法人の総所得を計算いたします際に、国税の更正又は決定が、申告納付がありましてから、相当期間を経過してから行われたりするものが非常に多いわけであります。そういたしますと、道府県が單独に決定をいたして置きまして後に、更に国税側が更正決定をして参る、こういうことになりますと、又追つかけて道府県が更に更正決定をするというふうになりまして、穏当ではございませんので、大体の傾向といたしましては、国税の更正決定を待つてから、その法人の総所得を決定し、更にこれを関係道府県に配分するということに行なつてつておりますために、一年以上、甚だしきは二年、三年と遅れて参つておるわけであります。併しながら、この傾向は国税の更正決定の処分というものが順次捗つてつて来ておりますので、その面から多少改善はされておるんでありますけれども、これでは十分ではないと考えまして、新たに申告納付制度を採用し、而も又分割の基準も極く簡單な方法を採用するようにいたして参りまして、個々の道府県が申告納付された願の適否を簡單に判断できるようにいたして参りたいというふうな改正を試みておるわけであります。
  84. 竹中七郎

    竹中七郎君 今のに関連してお尋ねします。神奈川県の例ですが、これが今までの事業税の問題で、国税のほうとの関連ですが、平衡交付金なんかの配分を見ると、従業員数その他丁度附加価値税のような状態で査定されておる。そこに矛盾がありはしないか。附加価値税になればいいのでありますけれども、現在の状態だと本社のあるところにはたくさんかかつて来て、そういう工場のあるところには少ししか来ないというような矛盾はないかどうか、この点でございますが。
  85. 奧野誠亮

    政府委員(奧野誠亮君) 地方財政平衡交付金を配分いたします際に、個々の地方団体の課税力というものを測定しなければならないわけでありますけれども、その際には成るべく個々の地方団体が現実に課税した額にはよらないようにいたして参りたいと考えておるわけであります。言換えれば、その団体の課し得べき力というものを測定いたしたいという考えかたをとつておるのでありまして、現実に課した力をとるということになりますと、どういたしましても減税をいたしますとか、或いは無理な徴税の努力をしないほうが平衡交付金が余計もらえるということになりまして、不穏当であるからであります。そこで事業税の測定につきましては、今竹中さんがおつしやるように、二分の一は従業者数をとつてこれに按分する。二分の一は国税の課税所得額をとつてこれに按分する。こういうことにいたしておるわけであります。法人の場合には法人税は本店所在地において徴収いたして参つておるわけであります。そういたしますと、所得額のみをとりますれば、本店の所在地にのみ事業税が徴収されるというふうな形において計算が出て参るわけであります。そこを半分は従業者数を使うことによりまして、やはり支店等の所在地におきましても相当の事業税が徴収される。両方相待つて大体その団体の課税力を客観的に測定することができるのではないかというふうに考えておるわけであります。
  86. 竹中七郎

    竹中七郎君 今の問題で言いますと、本社のほうは十分とれる。工場のほうは十分とれない。ここに不全中が相当あつた、あなたのほうでこうい従業員を数えられるために、工場のある府県というものは非常に損をしておる。そのために財政が窮乏する。こういうことが現実にある。でありますから、財政委員会としては、この点は附加価値税のようなものになつて来ればはつきりして来るのが、現在の段階では相当考慮されないというと、いわゆる調節というものがうまく行かん。それは丁度中間にありまする府県というものが一我々平衡交付金の問題を研究しまして延びることもできん。どうすることもできんという状態になつておると思います。この点に関しまして非常に合理的なようで、却つて合理的でない。これが現実である。かように考えますものでございますが、どうでございますか。
  87. 奧野誠亮

    政府委員(奧野誠亮君) 現在の事業税は所得を課税標準にいたしておりますので、各府県ごとに所得を測定して行けばよろしいわけであります。併しながら法人税につきましては、分割の問題がございますので、本店所在地においてその法人のすべての所得が測定されてしまつておるわけであります。従つて法人税の課税標準でありますところの所得に按分いたしますと、本店所在地においてのみ事業税がたくさんとれるという結果が出て参るわけであります。そこで従業者数に按分することによつてこの欠陥を是正するという方法をとつておるわけであります。
  88. 竹中七郎

    竹中七郎君 なかなかそうでなくて、神奈川県の例をとると、東京都は余計とつてしまう。神奈川県は余計とれるだろうということで、それがとれない。東京と神奈川県との係争問題になるというような事態などはありませんか、どうか。
  89. 奧野誠亮

    政府委員(奧野誠亮君) 具体的に申上げますと、平衡交付金を仮決定いたしております際には、四割を所得で按分し、六割を従業者の数で按分いたしておつたように記憶いたしております。その結果は竹中さんが御心配になりますように、本社のない神奈川県その他におきまして、相当多くのものが課税力の中に測定されておつたように思うのであります。そこでこれを半々に切替えて、所得について五割、従業者について五割というふうにいたしましてから、大体各府県もこの方式に賛成してもらつているのじやなかろうかというふうに考えておるわけであります。
  90. 堀末治

    堀末治君 ちよつとこの條文ではございませんけれども、附加価値税のあの徴收は附加価値の生まれるところだけでありませんでしたか。
  91. 奧野誠亮

    政府委員(奧野誠亮君) その通りであります。
  92. 堀末治

    堀末治君 そうすると、本社で事務ばかりとつて、工場で附加価値が生れますれば、あれはどうなつておりますか。
  93. 奧野誠亮

    政府委員(奧野誠亮君) お話趣旨を取違えておりましたが、法人の事業にありますところの附加価値は全体として計算をするわけであります。全体として計算をいたしまして、附加価値額が出ました場合には、これをやはり事務所、事業場の所在地に対しまして、事業者数で按分をして分割するという方針をとるわけでございます。
  94. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) では三百二十二條。
  95. 奧野誠亮

    政府委員(奧野誠亮君) 三百二十二條は、市町村民税の納期限の延長の問題でありまして、新たに給與所得にかかる特別徴收制度が生れて参ることになりましたので、特別徴収義務者についてもその規定を置いたわけであります。三百二十三條は、市町村民税の減免の問題であります。他の特別徴收にかかる場合と同じように、特別徴收義務者についてはこの規定は適用しないということにいたしております。他人から預かつておる金でございますので、この規定をそのまま適用することは穏当でないと考えておる次第であります。三百二十四條の市町村民税の脱税に関する罪は、法人税割が生れましたので、その関係で若干の言葉を挿入いたしたわけであります。三百二十五條は、市町村長は所得税に関する書類を税務署につきまして閲覧できるのでありますけれども、法人税割が生れましたので、法人税に関する書類につきましても閲覧の権限を與えたいというように考えておるのであります。三百二十六條の市町村民税の賦課額の変更又は決定及びこれにかかる延滞金の徴収に関する規定でありますが、この規定に特別徴収制度の創設や法人税割の申告納付の制度の創設等の関係から削除いたしました。これに相当する規定はそれぞれの徴收方法の中に記載されておるわけであります。三百二十七條は、納期限後に特別徴收にかかります税金を納入する場合もございますので、その部分に関する延滞金の規定をも併ぜて規定することにいたしたわけであります。三百二十八條は、違法又は錯誤にかかる市町村民税の賦課の救済でありますけれども、これも新たに申告納付の制度が生れたり、特別徴收制度が生れたりいたしましたので、その部分をこの中に含ませて規定することにいたしたわけであります。三百二十九條は、市町村民税にかかる督促の規定でありますけれども、これも特別徴收制度を設けました結果、その部分につきましても規定を加えなければならない関係上の字句的な修正であります。三百三十一條はやはり特別徴収に関します部分と、異議申立文書を以てしなければならん旨の規定を加えた点でございます。三百三十二條も同様の字句の修正であります。三百三十四條も特別徴収義務者が加わつて来た関係上の修正であります。三百三十五條も同様であります。
  96. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) そこまで、御質問ございませんか。
  97. 堀末治

    堀末治君 その今の三十日ですね。要するに特別徴收者は納入猶予期日があるわけですね。その三十日間は延滞日歩をとりますか、とりませんか。
  98. 奧野誠亮

    政府委員(奧野誠亮君) 特別徴収義務者給與支拂いの際に税金を徴收することができまして、翌月の十日までに納入しなければならないということで、翌月の十日までは延滞金の問題はございませんが、十日を過ぎましたら延滞金の問題が生ずるのであります。
  99. 堀末治

    堀末治君 もう一遍ちよつと戻りますが、さつきの徴收猶予がありましたね。この徴收猶予ではずつと延滞日歩は付きますか。
  100. 奧野誠亮

    政府委員(奧野誠亮君) 徴收猶予につきましては、延滞日歩を徴収はいたします。併しながら特別な理由がありました場合には、これを減免することができるという規定も附して規定いたしております。
  101. 堀末治

    堀末治君 載つておりますか、それは……。
  102. 奧野誠亮

    政府委員(奧野誠亮君) 載つております。
  103. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) ほかに御質問ございませんか……。それでは市町村民税で切りがよろしうございますから、今日はこの程度で散会いたしたいと思います。それでは散会いたします。    午後四時二十三分散会  出席者は左の通り。    委員長     岡本 愛祐君    理事            堀  末治君            竹中 七郎君    委員            石村 幸作君            高橋進太郎君            安井  謙君            西郷吉之助君            鈴木 直人君            石川 清一君   国務大臣    国 務 大 臣 岡野 清豪君   政府委員    地方財政委員会   事務局税務部長  後藤  博君    地方自治政務次    官       小野  哲君    地方自治庁財政    課長      奧野 誠亮君   事務局側    常任委員会專門    員       福永與一郎君    常任委員会專門    員       武井 群嗣君