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1951-02-20 第10回国会 参議院 地方行政委員会 第15号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年二月二十日(火曜日)    午後一時四十一分開会   —————————————   本日の会議に付した事件地方行政の改革に関する調査の件  (警察法改正に関する件)   —————————————
  2. 岡本愛祐

    ○委員長(岡本愛祐君) これより地方行政委員会を開会いたします。  本日は警察法改正につきまして御審議を願うことにいたしまして、この問題についてはすでに各方画から当委員会に対して意見書が出ております。それは謄写に附して皆様のお手許に配つてございます。それは全国都道府県議会議長会からも出ておりますし、全国市長会からも出ております。又全国自治体警察公安委員連合会からも出ております。その他各所から出ておりますが、なお大阪の市の警視庁からも警察制度改正案に対する意見が一月に刷物になつているのを差上げてございます。今日はこの問題について東京田中警視総監大阪市の警視庁鈴木警視総監から意見を聴取いたします。先ず田中警視総監
  3. 田中榮一

    参考人田中榮一君) 東京警視庁の田中でございます。本日は参議院の地方行政委員会におかれまして、私ども自治体警察の第一線に働いております者どもを御招致頂きまして、親しく意見を申述べる機会を与えて頂いたことを謹んで全自治体警察に代りまして、ここに厚く御礼を申上げたいと思います。  自治体警察制度改正に関しましては、去る一月に法務総裁車中師談話の形式で警察法改正について言及されたのであります。突然かような事いやしくも国内の治安に関する重大な問題が、而もその当面の責任者であるところの大橋法務総裁から談話の形式で行われましたので、全国自治体警察は全く震駭いたしまして、その後常に人心は動揺いたしまして、治安維持の上におきまして、極めて遺憾の点があつたのであります。これはどういう点であるかと申しますと、一つには自治体警察警察吏員が若し国警なつたならば、自己の身分はどうなるであろうかという一応身分に対する不安動揺と、それから丁度各自治体警察予算編成期に当つておりまして、この談話が一たび発表されまするや、市町村当局におかれましては、将来警察国警に移管されるのではないかというような関係からいたしまして、予算編成を差控えるというようなことが起りまして、予算編成上少からず支障を来たしまして、かれこれ非常に困つた立場に置かれたのでございます。その後再三新聞報道があつたのでありまするが、昨日又東京新聞警察法改正案成るという、恐らく私ども考えではこの改正案要綱というものは未だ関係方面の御了解を得ていない、又閣議においても決定されていない、勿論国会にもまだ政府案として上程されていないような、この未定稿のものがここに突然新聞記事として掲載されました点は非常に私ども一驚いたすのでありまして、これによりまして、かように具体的な法案にまで、まとめられました今回の警察法改正というものが新聞に出た以上は、全国自治体警察官といたしましては殆んどもう決定的にこうなつたのじやないかということで、一層不安と動揺が深まつておることと考えまするので、昨日全国自治体公安委員会連合協議会長全国自治体警察長連合会長の名前を以もまして、共同声明書を発表いたしまして、この点はお手許に印刷物として差上げたと考えておりまするが、これにつきまして、自治警察側立場を明瞭にし、又我々といたしましてはこのような中央集権的な警察法改正条項に対しましては、国民の正しい輿論に訴えて、民主的な方法で徹底的に反対する決意をここに表明いたした次第でございます。  そこで私ども考え方といたしまして、勿論この現段階に処しまして、治安維持を図り、又警察力を強化するということは全く私どもも同様な考えを持つておる次第であります、政府改正案に対しましても警察力を強化するという方向に向つて、できるだけこれに対して協力し、又これと共に行動をせねばならないとかように考えておるのであります。ただ私ども反対をいたしまするのは、政府考えておられる改正法案に対して、何から何まで頭から反対をしておるというのでは毛頭ありません。勿論私ども治安維持の当面の責任者の一人といたしまして、政府考え方と全く同様であるのであります。従つてその方法につきまして、意見が若干相違いたしておりまして、この点につきまして理念の問題として反対いたしておるのであります。  先ず第一に申上げておきたいと存じますことは、現在の警察法は御承知のごとく昭和二十二年かと思いまするが、九月十六日附マツカーサー元帥の総理当て書簡に基きまして、現在の警察法が制定されておるのでございます。この書簡を甚だ恐縮でありまするが、ちよつと簡単に重要なところだけ朗読さして頂きます。「以上の根本目的は憲法に盛られた地方自治原則則つて警察制度を完全に地方分散することによつて最も良く達成することができる。各都市および町は、その管轄区域内の治安維持の責に任ずべきであり、これがためには中央政府から独立したそれ自身の地方警察を有し、その長は」云々ということが規定されておるのであります。この規定に基きまして警察法の第四十条に「市及び人口五千以上の市街的町村は、その区域内において警察維持し、法律及び秩序の執行の責に任ずる」ということが規定されておるのでございます。警察主眼点はこの市町村におきましては、先ずその市町村警察を設置して、そうしてその第一に治安維持の責任を持つておるのだということをはつきり明定しておるのであります。  それから第二の原則といたしましては「中央集権的に統制された国家警察網が再び形を変えて現出することを防止するために、国家地方警察地方警察」これは自治体警察のことを指しておるのであります。「地方警察との間には何等の指揮命令関係を設くべきでない。しかし全般の能率向上のためおよび相互の援助、連絡ならびに整調を便ならしめるために、技術的な連絡関係はもちろん許さるべきである。」この両者関係お互いに独立しておりまして、平等の立場にある。絶対に両者は従属的な関係に立つてはならない、これを警察法第五十四条に、「市町村警察は、国家地方警察運営管理又は行政管理に服することはない。これらの警察は、相互に協力する義務を負う。」というこの大原則がここに法として謳われておるのであります。この理念に従いまして、私どもは現在の政府でお考えになつておるような、まだ私は具体的なりものを確認はいたしておりませんが伝えられるようなこの改正要綱を拝見いたしますると、はつきりこの二つの点において私どもは或る程度この地方分権趣旨並びに平等の原則というものに逆行しておるような意味にとられまするので、この点について理念的に私ども反対をいたしておるのでございます。そこでこれを具体的に一つ申上げて見たいと考えております。  先ず第一に、この国警定員三万人を二万人も殖すということでありますが、御承知のごとくに只今国内治安の重要な面、殊にこれは都市が非常に重要な面でございます。自治体警察と申しまするのは、俗にこれは都市警察と言つて差支えないと思うのであります。国家地方警察国家地方警察と言いまするが、国家の経費によるところのいわゆる地方警察農村警察の意味であろうと私ども考えておるのであります。現在都市警察においては人員が非常に不足をいたしております。殊に戦災都市、その他警備対象物の多いような北九州の都市並びに関西の諸都市、又京浜地方都市というものは急激に人口が殖え、殊に戰災都市が家屋が復興いたしましたために非常に人口が増加いたしまして、現在の警察官定員配置の基準からいたしますると、相当増員をいたさねばならんのであります。むしろ私はこの農村警察というものは、現在人口が非常に減りまして都市へ盛んに流入いたしております。都市人口こそ殖えておりますが、農村の人口は一部においては殖えておる所もありますが、むしろ疎開人口都市へ流入いたしますために人口が減つておるのじやないかと考えております。然るにここに国警が二万人も増員するというようなことは誠に矛盾しておるのじやないかと考えております。ただ国警にも又必要な面があろうと考えておりますので、この点につきましては私どもは、かれこれ意見を申述べる必要はないと思うのでありますが、ただこれだけの費用を若し使われるとするならば、この費用をいわゆる国家の財源としてお使いになることでありまするからして、これを一つ市町村交付金のほうへ廻して頂きまして、現在非常に財政的に困つておる市町村のほうへ交付願えたならば、有難いことと考えております。  それから人口五千人以上の町村財政的に苦しんでおる所は、これは国警に移管する、このことも私は町村民の自由意思によつてやるものでありまするからして、自治体警察側としては勿論民主的な方法でやることでありまするので、この点につきましては大変結構だと考えております。ただ私ども考え方としましては、現在小さな自治体警察がなぜ警察維持できないかという理由は大体二つほどあると思うのであります。一つ財政的に非常に困つておるということと、第二はいわゆる小自治体では治安維持に対して非常に危いじやないかというようなこの二つの点が主なる理由考えております。  第一の理由につきましては、最近自治庁におかれましても、小さな町村に対する財政交付金の交付の方法が変りまして、大変改善されたと考えておりまするが、今後若し更に財政上の援助をもつとやつて頂けるならば、或いは自治体警察維持ができるのではないかとも考えております。  それから第二の点は昔旧警察制度におきまして、仮に一万人ぐらいの人口を有した町におきましては、大体私どもの経験では巡査部長一名と巡査一名、巡査部長派出所があつたのであります。その当時二名の警察官でその人口一万の町の治安を保持いたしておつたのでありまするが、恐らく最近では人口一万の町では警察官が少くも十名から八名ぐらいの間にあるんじやないかと考えております。警察官の数のみからいたしますると、昔の警察よりは警察官の数が殖えておりまするので、却つてそれだけ治安上においては確保されたと一応言われるのであります。ただ住民の心配するところは、若し万一大きな事件があつたときに果してすぐに援助してくれるかどうかということが私は問題じやないかと思うのであります。要するに小さな国に対して国連軍がその防衛を保障するというよろなことと同じような考え方からしまして、小さな町村自治体警察に大きな警察力が保障する、バツクするという点が確保されたならば、その小自治体といえども住民は安心して生活ができるんじやないかと考えております。この点につきましては私ども応援規定改正して頂きまして、隣接の大きな自治体から直ちに応援できるということと、国警だけでなくて、仮にその隣りに大きな市がありまして、その市からも直ちに応援できる、而もその費用国家が負担をする、国庫の支弁でやつてくれるというこの二つの点が保障されますならば、むしろ小さな自治体において、万一のときには大きな自治体から応援してもらえるというようにしたほうがこの警察法マツカーサー元帥書簡趣旨に合致するのではないかと一応考えるのであります。で地方自治体を先ず国警に移管する前に、この地方自治体政府として如何にこれを強化し、如何にこれを育成するかということを先ず考えて頂きたい。その上でどうしてもこれが立つて行かんというとぎには、止むを得ず国警に移管するような方法をとるということが最も親切なやり方ではないかとも考えられるのであります。  それからこれは自治体側一つの試案として申上げたいと思うのでありますが、現在警察法によりますると、人口五千人以上が自治体警察を持てるのでありますが、これを一つ五千人の線を撤廃いたしまして、五千人以下でも地理的にその隣接自治体組合警察として、自治体警察として加入するという若し住民意思があつたならば、その意思を認めて、組合警察として、自治体警察としてやらしたらどうか、維持さしたらどうかということも一応考えられるのであります。例えば或る大きな町のそばに小さな人口四千ぐらいの村がございまして、いろいろの取引の関係、いろいろの関係からその町に従属しているような場合においては、むしろその剛の自治体にその人口四千の村も組合警察として加入できるというようにいたしましたならば、これは非常に合理的な組合警察ができるのじやないかとも考えられるのであります。  それからなお一面最近の地方自治体財政が困難であるというならば、一応地理的な条件を勘案いたしまして、組合警察をできるだけ奨励して、そうして自治体警察の本義に立脚して警察運営を図ることも必要ではないかということも一応考えられるのであります。  それから第三は、この今回の改正法案によりますると、市町村警察職員定員の枠を撤廃して頂けるようでありますが、これは自治体警察側としては誠に有難いことであるのでありまするが、又一面財政理由によつてこれをどしどし減らされるというような一面心配もございますので、この点につきましては、大体現在の警察官配置基準を標準にいたしまして、それ以下に成るべく下らせんような方針をとつて頂いたほうがいいのじやないかということも考えられます。なおこの自治体におきましても、財政上の理由によつてそうむやみに警察官を殖やすことはできませんので、警察官の増加という率もこの財政的理由によつて相当制限を受けることと考えております。我々の考え方としましては、警察官の数を殖すということよりもむしろ素質を改善いたしまして、そうして装備、施設を十分に改善いたしまして、機動力を強化して、もつと合理的な警察運営を図ることが一番大切なことじやないかと考えております。併し実際に人口が殖え、警備対象物が多くなつたということは、当然これは増員せなければならないと考えております。  それから第四に申上げたいのは、警察法五十五条の、自治体警察から自治体警察応援を出せるようなふうに規定改正をかねてからお願いをしておつたのであります。この改正趣旨は、小さな自治体におきまして、国警から応援をとることももとより結構なのでありまするが、幸い隣接に大きな自治体があつた場合においては、その自治体から直ちに応援ができるというようにして頂いたほうが非常に経費の点から申しましても、又時間、一切の点から非常に便利でありまして、極めて迅速に、果敢に応援ができるのでありまして、この点は治安維持の上において極めて必要なことであろうと考えております。併しながら今回の国警の意向としましては、自治体同志で勝手に応援することはいかん、やはり国警の一々承認許可を得なければならんような規規になつておるのでありますが、もとより我々はその必要はあるかも知れませんが、いつも国警許可認可ということ、承認ということによつて一々やられるということは、この平等の原則に私は反するのじやないかと考えております。応援を受けるほうも応援を出すほうも決してこれは無茶苦茶にこれを応援を受け応援を出すことはないのでありまして、仮に警視庁は多数の応援を出せと申しましても、やはり警視庁警視庁の地元が大切でありますので、そうむやみに応援を出すことはないのでありまして、かかる点は自治体警察を、お互い一つ信頼をして頂きまして、できるだけ自主的に自治体から自治体へ一応援ができるようなことをして頂くことが必要ではないかと考えるのであります。  それからこの第五十八条に犯罪の牽連犯というのがございますが、これを拡張解釈いたしまして、どうにもできるというように今度せられるようでありまするが、これは私どもは方針として絶対に反対をいたしたいと思います。それからなおこの特殊の犯罪につきまして一定の条件の下に自治体警察内に踏み込んで捜査ができるというように改正する御意思があるやにも聞いておるのでありまするが、この点につきましては、私どもとしましては今後のことを考え、あらゆる点を考えましてこれに反対をいたすものであります。およそ犯罪捜査というのは、これはその捜査が一元化されてなくては捜査目的を達成することができんというのは、これはいやしくも捜査に従事するものとしては常識であり、これが常道であります。狭い地域に二つ捜査権が対立いたすことによつてお互い捜査に熱中するあまり或いは証拠の奪い合い、或いは情報の取合い、そうしたことからしまして、折角の査察、内偵が非常に妨害せられ、ちよつとした極めて微妙な関係から追及中のホシを逃してしまう。殊に私は現在の思想的な重要犯罪につきましては、この捜査というものは極めて微妙であり、極めて重要なのでありまして、こうしたことにこの二つ捜査系統が対立してやるようなことであつたならば、殆んど捜査といううのは私は不可能ではないかと考えられるのであります。それから又捜査に熱中するあまり勢い鹿を逐う者は山を見ないで、目茶苦茶な捜査が行われるために、ときに不必要に良民を脅し、或いは不安動揺を与えまして、ときに人権蹂躙のような虞れも又発生するのでございまして、この点につきましては検察庁方面におきましても、この政府考えておられることにつきまして極めて憂慮をいたしております。若しかようなことが実現したならば、検察庁側としましても非常に憂慮する、捜査というものは極めて困難になるであろうというような、私どもと同じような意見考えておるのであります。それで国警側の非常に御心配になつておられるところは、或る小さな自治体におきまして、大きな集団犯罪が起つた、その場合において公安委員会がいろいろの諸種の事情から国警応援をなし得ないとき、或いはなさざるようなときにおいては、これを国警応援する途がないじやないか、それでこういうことが必要なんだというとよう御説明であるのでありますが、私どもとしましては、若しかようなときにおきましては、全くこれは常識に外れたことでありまして、かよう場合においては又かような場合における措置が考えられております。この点につきましては、又大阪の総監からも詳しく御説明があろうと考えておりますが、私もこれに対して適当なる私案を持つておるのであります。  それからなおこの中に通貨偽造の罪というのがございますが、通貨偽造のごときは、これは大都市においていつも発見されております。現在におきましても主として東京警視庁大阪警視庁が中心となつて犯罪検挙に当つております。或いは銀行の窓口、或いは各一般の商売人、こうしたところから申告があつて端緒をつかんで捜査に従事いたしておりまして、国警がやらなくとも立派に自治体警察で現在犯罪捜査をし、犯人の検挙をいたしておるのであります。それから又どうしてもというならば、こうしたことに対しましては、大蔵省通貨監察官制度を設けまして、大蔵省が中心になつて特殊警察を持ち、所在自警国警連絡をとつて一元的捜査に当つたならば、これで行けるのじやないかというふうな、私案を持つております。それから有価証券、銀行、その他金融機関、これはどこの市町村にも金融機関があるのでありますが、いやしくも金融機関である以上は両者が競合して捜査ができるということになりましたならば、金融機関というものは極めて重要なものでありまして、ちよつとしたことから非常にこれは金融恐慌を来たす基になることと思うのであります。従つてこれらの犯罪捜査につきましては極めて愼重を要するものである。こういう二元的な捜査が行なわれることによつて不必要なる人心の動揺を来たす虞れがあるものと思われます。  それから又国有又は国の使用する財産及び施設に対する犯罪、これは市町村の中にもこうした特有の財産がたくさんあります。これらに対する犯罪は一々国警がやらなくてはいけないということはどうしても考えられないのでありまして、これは一般犯罪と何ら異るところはないのでありまして、国の財産でありましても、現在立派に自治体警察がそれの犯罪捜査検挙をやつております。従つてこんなことまで国警が干渉する必要は絶対ないのじやないかと思つております。  それから第三の国家公務員に対する犯罪及びその職務に関する犯罪、これも私は同様な考えを持つております。内乱、外患、国交に関する罪及び騒擾罪、これらは私は又別の考えを持つておりますが、現在といたしましては、こういう犯罪につきましては、若しこうした犯罪が起るときは、むしろ私はもう一自警、一国警がやるのではなくして、むしろ非常事態宣言が行われるようなときでありまして、このようなときにこそ関係自治体警察国警の指揮、総理大臣の指揮に入るのでありますからして、こうした場合においては、むしろそうした手段をとるほうがいいのじやないかというふうにも考えられるのであります。それから団体等規正令違反占領目的阻害行為処罰令違反、それから銃砲刀劍類所持取締令違反ということでありますが、この団体等規正令というものは、これは今各警察ども一生懸命やつておるのでありますが、これの視察内偵というものはこれこそ極めて微妙なものであります。これこそ私は二つ捜査系統が対立するということによつて、全くこれは捜査というものが困難に陷るのじやないかということを特にこれは痛感たすのであります。それから銃砲刀剣類のごときは一般のこれは犯罪でありまして、何もこれは国警が一々踏み込んで検挙する必要は毛頭なかろうと思うのであります。それから阿片、麻薬等は、これは現在厚生大臣の所管になつておりまして、これは府県の衛生課麻薬取締係と所管の自警国警が緊密な連絡をとつてやれば結構できるところであります。  それから密入国密貿易は海上保安庁が主としてやつておりまして、これに所在国警自警が緊密なる連絡をとつて取締を実施いたしまして、現在十分にその目的を達成いたしております。殊にこの密入国は外務省の中に出入国管理庁というものが特に今回できまして、これに専属の警察官もおります。これらの警察官所在自警国警が緊密なる連絡をとつてやるならば、それで結構目的を達成することができるんではないかとも考えられるのであります。要するにこの自治体警察国家地方警察というものが両者が緊密なる連絡を保持してやつたならば、これらの犯罪というものは私は完全に七の目的を達成することができるんではないかとも考えられるのであります。今ここに二つ捜査網が対立するために起るところの弊害から比べましたならば、何も好んでここに新たな捜査権の拡充をする必要は毛頭ないんではないか。若しこれが捜査権が対立することによりまして、将来自警国警がいろいろな対立を生ずるようなことになりましたならば、誠に私ども前途憂慮に堪えないのであります。それからこの国警が国道及び府県道の巡邏を行うということでありますが、これはここに明文化する必要なく両者緊密なる協調の下に、話合の上でこれはできることと思います。それから国警長官犯罪上特定な犯罪情報を提供する義務を法文化することでありますけれども、これは私ども理念の問題として国警自警平等の原則に反する法文ではないものと考えられるのであります。現在この犯罪情報につきましては、事実問題としてすべて自警から国警に提供いたしております。警視庁におきましてもあらゆる情報国警に提供いたしております。恐らく地方自治体警察国警隊長に必要なる情報を提供いたしまして、国警隊長がこれを国警長官に提供いたしまして、まとめて政府情報として提供いたしているはずであります。現在緊密なる連絡の下に事実問題として情報提供お互いにやつているのでありますからして、この原則に反しましてこうした義務を法文化しなくても、現在のままでも十分に緊密なる連絡がとれるものと思つております。若しどうしてもまだだというならば、両者の間に中央地方それぞれの連絡情報交換のための連絡協議会を設定いたしまして、この協議会を通じまして、相互に民主的に情報交換を行ないましたならば、それで結構所期の目的を達成することができるんじやないかとも考えられるのであります。  それから将来若しこの少さな自治体警察におきまして、その区域が国警の区域になりました際に、その自治体警察におりました自治体警察吏員の身分の問題でございまするが、国警定員に編入されると、或る一部は一年を限つて国家地方警察の職員とすることができるということでありまするので、これらにつきましては一年だけ命がある。それ以後は保証できんというこうしたことが新聞紙に出ることによりまして、非常に現在の自治体警察官というものは、こういうこと自体が出ることによつてもう非常な不安に陷りまして、ただそれのみを考えておるというような感じさえ起つておるのでありまして、このこと自体が地方治安維持に非常に憂うべき原因を現在与えているのじやないかということも考えられるのであります。  一応私から一通り御説明申上げたのでありまするが、なお大阪の鈴木総監から私の説明の足らん点を補足的に説明いたすだろうと思います。これを以て終ります。
  4. 岡本愛祐

    ○委員長(岡本愛祐君) それでは次に大阪鈴木警視総監にお願いいたします。
  5. 鈴木栄二

    参考人(鈴木栄二君) 私大阪警視庁の鈴木でございます。本日参議院の権威ある行政委員会の正式な参考人としてお呼び出し頂きまして、私ども自治体側意見を御聴取頂くことになりましたことは非常に光栄に存じます。只今田中警視総監から、根本の精神から細部の条項に至るまで詳細にお話になりましたので、私が蛇足を加える余地がなくなつたのであります。私どもが申上げたい点は、殆んど田中総監のお話で事理明白に御説明があつたわけであります。ただ角度を変えました立場から、若干時間を頂きまして私の所見を申上げさして頂きたいと思うのであります。  このたびの警察法改正の提案が、政府のほうで国家公安委員会国家地方警察一つの技術的な起案のお手伝いをさせて、法務庁のほうでこれをいよいよ議会に出す手続を進めておられるようでありますが、こういう重要な自治体警察をかなり大きく国家地方警察で吸收するかもわからない、域いは自治体警察から報告をとられるとか、或いは自治体警察の中に捜査権を延長するとか、こうした取締をして自治体警察の中にどんどん入つて来るというような、物すごいこの改革を自治体警察に何らの相談なしにずつと進めておられたわけであります。それはすでに警察法実施当時からこういう考え方国家地方警察の一部において企画されておつたのでありますけれども、これは一昨昨年の一九四九年にマツカーサー元帥が九月二日の休戦記念日の声明の際、警察制度は変える必要はないのだということをはつきりと声明しておられるのであります。ちよつと簡単にこの点を読み上げてみますると、これは一九四九年九月の二日でありますが、渉外局特別発表として皆さんもすでに御承知と思いますけれども、「この警察力の行使における地方分権という法律に定められた原則に基礎をおいた効果的な警察制度の建設についても少なからぬ進歩がみられた、日本国民は以前にもまして警察力が如何なる支配者層の手中にもなく、みずからの手に握られていること、又彼らの指示によつて地方治安維持のための法的武器を提供するものであることを理解するようになつて来た、一国の国内秩序の保持は、法律に定められた安全措置に従う限り、各地方団体がその地方責任に応じて警察力を運営する方法の如何にかかつていることを国民はよく心得ている、ここでも現在の国家財政の不手際のため、いろいろな困難を経験しているが、この問題はさきにも指摘したようにすでに解決の方向に向つている。又この問題とは別に、警察法に盛られた新しい理念の具体化についても大きな進歩の跡が見え、警察業務は現在自制と寛容と推奨に値いする能率を以て運営されている、警察国家再現の危險とか、現在のような機構と陣容の警察制度では、治安維持ができないという危險は全然ない、」というようにはつきりと警察法改正について根本的な理念を侵したり、或いは政治的な大きな変革をする必要はないということを一昨昨年の九月に声明されておるわけであります。我々もこれは別にマツカーサー元帥が言われるからどうのというのじやなしに、全く同感でありまして、この自治体警察においてみずから国家地方警察の動きもよく知つてつて、共にこのあらゆる角度から見まして、この制度を合理的に運用して行きましたならば、非常にいい民主的な警察ができる。建設的な改革は自治体警察国家地方警察相互が円満な協議をして、そうしてこの方向がいいという方向であれば別でありますが、国家地方警察自治体警察を支配するような、いわゆる上位に立つような改革というものは、これは自治体警察を抹殺するような方向に向うのであります。従つて国家地方警察はそういう企画を前からやつてつたことはうすうす聞いておりましても、これほど物すごい改革を考えておつたとはわからなかつたのであります。いわんやこのマツカーサー元帥書簡の声明によつて終止符を打たれたと思つてつたのが、この一月の早々におきまして突如として、大橋法務総裁の車中談にその頭が現われまして、その頭が案外底の深いものであつて、着々それが起案の状態が進行しておる。而も国家地方警察長官のその話の裏付けの談が出まして、その結果一般国民の注目を引いて参つたわけであります。我々といたしましては、すでにこの問題は根本的な改革は必要がない、又そういう国家地方警察のほうの一方的な案によつて、こういう大きな改革が手を着けられるはずがないと思つてつたのが、相当真剣に或る一部の人たちがこれを推進しておる。そういう点で我々もじつとしておるわけに行かない。本当に民主国家を愛するがために、又自治体警察の健全な発達は我が国が民主的な政治をやるためには是非必要であるとはこう民の立場から見ましても、これいう国いう間違つた方向に改悪させたのでは大変なことになるというので、真剣にこの問題に対して取組んだわけであります。従つて別にこれは国家地方警察から挑戦されてこちらが買つて出たというような外観を呈しましても、決して心の底では別に国家地方警察を向うに廻わすような狭い心がないことを十分御理解頂けると思うのであります。ひたすら本当に民主的国家の発展を祈るために、こういう大切な日本の根本的な制度が、緊急事態であるとか、或いは共産党の一部がのさばつてつてまだつかまらない者があるとか、或いは労働争議が少し悪化して、僻陬の地域におきまして一時分安委員会が麻痺状態になつたという極端な例外があつたといたしましても、又朝鮮人が集つて来て少しがたがたいたしましても、こんなことで国内治安がそう紊されたということはないのであります。我々そういうことについて警察の技術的な面から見まして、これは根本問題として考えるほどのことはない。それは警察自身の能率の悪い点があろうと思います。そういう点は今後において改善されなければならん。そういう警察の作戦上の下手な点もあつて起る問題もあると思いますが、根本制度をこれほど物すごく変えなければこういう治安体制を強化できないとは考えない。それよりももつと国家地方警察自治体警察も虚心坦懐に心を虚しうしてお互いに五分と五分で附合つて行けるような体制を基礎といたしまして、お互いに協力一致してやると、これでなければどんないい制度でも却つて能率が悪くなる。いわんや今度の国家地方警察のほうで起案しまして、国家公安委員会が提示しているところの改正案に至りましては、殆んど全条を通じまして国家地方警察を拡充強化されて、現在の国家地方警察の性格を変えまして、国家警察的なものにしようという意図が非常にはつきりあらゆる線に出ておるわけであります。そこで現在の国家地方警察の性格は、現行法におきましては非常事態のとき以外はルアラル・ポリス、村落担当の警察組織であります。全国三万の地方駐在巡査の持つておるいわゆる地方警察であります。そういう五千以下の町で役場も一人前でない、又そこに警察というような組織を持つにしては余りに中途半端であるというので、そういうところはアメリカなんかでも一人か二人の警察官で、やはり自治体警察を持つている所もあるようでありますが、日本ではまだ初めてだからそういう村落は一応面到見てやろう。それを全国地域にしますと、山間僻地でありますから、面積は非常に広いのでありますけれども人口は非常に少い。それは警察官人口千二百人或いは千五百人に一人ぐらいの割合でおつても間に合う所であります。そういうものをかき集めまして、国家地方警察における三万の定員のベースが出ておるわけであります。従つてそれ以外の国家地方警察の役割りは非常宣言が総理大臣によつて発せられました際に、その非常宣言の下におきましては全国警察を統合運営する。連絡し、或いはその全体の警察官の配置或いはその運用につきましてお世話をする。開き直つて命令したところで、そう簡単にできないことはできないのでありますから、皆が協力して行く体制の下において、まあ能率的にその非常事態の鎮圧についての采配を振う。これだけが例外として国家地方警察の特殊な権能を持つているわけであります。これはマ書簡警察制度の改善のその書簡におきまして明瞭にこれが劈頭に書いてあることでございまして、国家地方警察は非常事態のときにのみおいて政府がこれを利用することができる。それ以外のときには村落警察の運営しかできない。この証拠に国家地方警察運営管理府県公安委員会の下にあるわけであります。府県公安委員会がその運営管理権を持つておるのでありまして、別に東京国家地方警察の本部、或いは管区本部というものは全然運営管理権は持つておらないのであります。行政管理権、御承知のように予算とか人事のお世話をするほうの権能は持つております。警察執行の指揮権は府県公安委員会が持つておる。こういう現行の建前から申しましても、国家地方警察は全然その中央的な警察じやない。府県以下の警察であります。組織が全国的に拡まつてつて費用が国費で出ておるというだけの違いであります。それ以外は府県以下の警察であつて、而もその所管する地域は山間僻地である。それがなぜ中央警察になろうとするか。これは結局国家地方警察の中に入つておる人の多数は元の内務省系統の優秀な官吏が多いのであります。そういう人たちは現在のような農村警察で甘んじられない。やはり国家警察的な仕事をやりたいというのは御尤もな点であろうと思います。余りにそういう人たちが残つております。従つてそういう残つておる人たちは寝ても覚めても村落警察なんに頭を突つ込んでは仕事の張合いがない。どうしても全国的な管轄の何か仕事をしたいと、こういう案を寝ても覚めても考え続けておる。マツカーサー元帥から終止符を打たれてもなお締めないで、なお蒸し返し返し出しておるわけであります。それが共産党の治安に対する影響、或いは緊急事態が当初朝鮮のほうから影響しまして、日本にいろいろそういう影響を与えておる。そういう不安に乗じまして、多少日本の人心の不安、或いはいつ何どき同時多発的にいろいろな事件が起るのではないかという一つの想像的な不安状態に対しまして、この国家地方警察が中央集権的な力を持たないと治まり切らんぞというような影響を与えておるのではないかと思うのであります。そういうようにその人たちも憂国の考えから、本当に国を憂える考えから出ておるのではないかと私は善意に解釈したいのでありますが、併しそういう一時的な現象、その民主国家としての或る過程におきまして、全体主義的な体制をとつたほうが便利であるという場合にも応々にして遭遇するのではないか。丁度野球の試合のピンチのようなもので、外野手が全部内野のほうに集つたほうが都合がよいというような非常の場合におきまして、そういうことが一時的に考えられましても、併し根本的な制度改革の理由にはならない。運用面におきましては非常宣言という手があるのでありますから、そういう手によつて、若し総理大臣、議会がそれを賛成して、その非常宣言の状態を持続することが国家のために治安上必要だということならば、その状態においては国家地方警察全国自治体警察と混合しまして、これを総理大臣の命令下に置きまして、治安維持のために共同の統制下に入るわけでありますから、そういう準備も平常から警備訓練としてやつておるわけであります。従つて平常はそういうことについては準備訓練のことがありましても、直接執行的な運営面に何ら影響のない問題であります。それで結局国家地方警察の性格が一般国民にもはつきりしない点がありまして、上に国家という名前が付いておりますので、如何にも中央的な権限を持つのではないか。自治体警察の上に立つておるのではないかという一種の錯覚を持つておる人が相当あるのであります。そういう点が国家地方警察の人たちの中にもあるのではないか。無意識的に自分は自治体警察の上に立つておる、立たねばならんという考え方を持つておる人たちがおる。現行法を研究すると、至るところに壁がある。この壁をぶち破つて、中央集権的なものにしなければならないというのがこのたびの案ができ上つた根拠ではないか。従つてこれは私は悪意を持つてつたと誤解したくはないのでありますけれども、こういう本能を持つておる。そういう人たちにこういう本能があるということを認めざるを得ないのであります。そういう点から出ておるわけでありますから、至るところに地方警察国家警察に乗り替ろうとするにおいがぷんぷんとして出ておりますから、これをやらせるかやらせないかということは国民全体として大きな問題である。マツカーサー元帥書簡という根拠もあり、又国家全体が憲法によつて地方分権をするということは新らしい日本の将来を平和にし、又自由な政治をやるために必要である。そういうことはあらゆる角度から過去のにがい経験から見まして、誰しもこれは知つておるわけであります。で、こういう一時的な緊急事態であるから、共産党が幾らかがさがさしておるということに眩惑されまして、国家百年の計を誤まるような大きな変革をこの際に持ち出すということはよほど監視を要すると思うのであります。そういうことで、一つ国家地方警察の性格並びにその内包する本能というものをよく皆さんも再認識して頂くことをお願いいたしたいと思います。それからこれは申すまでもないことでありますけれども、民主主義の社会が健全に行くためには、どうしても権力が一つの所に大きく固つてはいけない。集中排除という考え、これは経済的にもあらゆる角度から言えるのでありますけれども一つ国家全体を支配するような力を持つてはいけない。思想的にも、経済的にも、宗教的にも、或いは警察の面から考えましても、一つの力というものが国民全体に絶対的な権力の力を持つということは、そこに本当の自由というものは圧殺される。それの運用によつては全体主義的な方向に政治まで引きずられることになる。これは過去の日本の明治以来の政治史というものがそういうことについてのにがい体験をたくさん積みまして、警察が軍閥と結託して日本のフアツシヨ化に大きな拍車をかけておる。そういう点におきまして特高警察が歩んだ道は非常に我々に反省すべき資料を提供しておるのであります。それで本当の政治の自由というものを守るためにも、国内社会において一つの独裁的に近い権力を与えるということは恐ろしいことになる。どうしても権力は或る程度手頃に分散しまして、その力を持つておる者が協調連絡によつて民主主義社会を健全に擁護して行く以外にはないのじやないか。結局一人の力が集まつてこの国家を形成しておる場合におきまして、国内一つの強い団体があつて、その団体が有無を言わさず一つの命令によつて或る意図を実現するような圧力を持つということは恐ろしいことであります。国家地方警察が若しこのたびの改正案を全部通してもらえば、元の旧内務省の力と殆んど変らんだけの強力な警察になることは間違いない。国家は一元的な力を持つことは間違いないのであります。若しそういうことが終局の目的として許されるならば、これは非常に賢明な案であります。併し我々は我慢できないと思うのでありまして、こういう一つの力が独裁的に近い権能を発揮するというようなことを許すことは、これは非常に日本の民主的な発展を妨害することになる。そうして我々過去において嘗めましたにがい政治的圧迫に警察が利用されること、一部のそのときの天下を取つておる政党が便利に利用することもある代りに、又逆になつた場合はその政治家は又困るような場合に遭遇する。警察が政治的に関与する性格を完全になくするためにも、中央的な警察を今復活さしてはいけないと思う。ただ特殊な犯罪に対する特殊な警察というものは、これは地域を持つておりませんから、地域を持つ今の自治体警察国家地方警察がこれを牽制しまして、勝手なことをやらさない、やはりチエツク・アンド・バランスの関係で、一つの力が特殊な犯罪について全国的な捜査権を持つておりましても、それはそれ以外のことには一歩も出られないということであれば、地域を持つておる警察は全区面的な法の執行官として監督しますから、越軌な行動に出られない。麻薬なら麻薬だけを追い廻す、或いは共産党だけを調査する。共産党の暴力行為の計画をのみ調査するということが目的であれば、それでも一つ特殊警察であります。併し共産党そのものは今のところ合法的な団体として認められておる以上は、個々の違法行為を調査研究する以外にない。共産党だけを目標とする捜査機関というものはあり得ないわけであります。そういう点で団体規正令の系統におきまして特審局がその調査事務をやつておる。この特審局の仕事を拡充強化しまして、その調査能力をもつと現在の経済調査庁のようなああいう規模におきまして相当の調査能力を持たせる、それに警察国警といわず、自警といわず、これに協力してやる、そういうことになりましたならば、相当能率が上るのじやないか、自治体警察国家地方警察が乗込むことによつて能率が上るというのは、これはとんでもない摩擦を起すだけであつて却つて能率が下る。それで円満に警察が行くはずはないと思うのであります。なお現行法におきましても、警察法第五十八条は始まつた事件或いは及んだ事件が他の管轄のほうに延びて行つたり、他の管轄から延びて来た場合におきましては、捜査権がずつと延びて行くのであります。この運用におきましても、国家地方警察のやり方は、自治体警察にどんどん何か手掛りがあれば乗り込んで来て、今でもやつております。黙つてどんどん捜査を始める。それで至る所で摩擦を起しております。ときには管轄のない事件まで間違つて、無中になつて飛び込んで来る違法な事件であります。そういう事件になりまして、我々はお互いに、注意を喚起して違法にならないように、或いは妥当性を無視しないように、お互いに牽制し合つておるのであります。それによつて一般の市民が迷惑することを最小限度にするということにあらゆる努力をしているわけであります。先ほど管轄権を国家地方警察から自治体に及ぼす異種例として、金融機関の例を田中総監が挙げられましたが、こんな金融機関の問題で始まり及んだということであれば、現行法の五十八条では物すごく広い地域まで管轄が伸びるのであります。田舎で起つた信用組合の事件大阪市内はおろか、どこまでもその関係者が伸びて来る。小さい町の信用組合の事件でも、大阪市の大銀行に乗り込んでどんどん逮捕状を執行している。それを大阪警察官は知らない。誰が何をやつておるかわからないで、あとで新聞に出てわかる。こういうことが往々にして起るわけでありまして、それでは大阪警視庁捜査の主体性というものはふつ飛んでしまつて一般市民も、自分らの警察は何をしているのだ、田舎の警察に乗り込まれてやられているのじやないかということで、自治体警察の主体性というものは市民の信頼を失うわけでありますから、こういうことをやる場合におきましても、十分連絡して、こういう事件があるが、君のほうでやるか、やらなければ自分のほうでお手伝いしようと思うがどうか、そういうような運用によつてやりましたならば摩擦は起らんのでありますけれども、黙つてどんどんやつて新聞に発表することによつて国家地方警察の存在を明らかにするというふうに邪推されても仕方がないような行動をやつているわけであります。これが全面的にこういう各種の犯罪について一方的にやることが許されましたならば、自治体は返上したほうがいい、もう勝手にしろというくらいに滅茶々々に混乱するわけでありますから、これはどう考えても現行法の五十八条にも勝手にやれないような条文を追加してもらうことを協議しているわけであります。五十八条をやるにしましても、入つて来る場合は必らずその管轄のある警察の公案委員会に、技術的にはそこの所轄警察署に行つて連絡した上でその所轄内で活動する。黙つてごそごそ入つて来て逮捕状を執行することは違法でなくても妥当でない。妥当でないということは違法よりもまだ悪い、民主主義社会における妥当でないということは違法よりもまだ悪いということを注意を喚起しているわけであります。これは国警の幹部はよく知つておるのでありますけれども、末端のほうではまだまだ古い警察時代の熟練工ばかりでありますから、なかなかその人たちは自覚しないのであります。情報の問題におきましても、これは明らかに論理的に一方的に中央集権的に情報を集めるということは、便利な場合はあると思うのであります。政府はいろいろ情報が手に入る。又事実重要な情報が手に入らなければ国内治安情勢がわからんのでありますから、これは確かに政府といわず、一般の中央の人たちは知りたいことであります。併し新聞は大抵のことを報道してくれておるのであります。新聞に出ないことはよほど秘密になつておることであつて、大体地方的な問題は、その事件の大小、重大性によつては、新聞はそれを十分全国的に報道してくれておる。ラジオも報道するのであります。それ以上の秘密の情報というものは、これはよほど注意して聞かないと、一つ情報の中に着色された情報が出て、人を脅かすような情報が入るわけであります。我々警察の仕事をしておりましても、眉に唾するような情報が十のうち八つほどはある、一つ二つがどうかなあというので更によく調べてみるという程度であつて、大部分は常識でおかしな情報がたくさん入つて来るのであります。その情報判断というのは非常にむずかしいのであつて、その判断をする人が特異な考え方を持つておれば、その情報を人を驚かすためにでも利用できる。これは曾つての特高は悪いことばかりやつたとは言いませんけれども、特高の罪悪史の一面におきましては、相当意識的なスパイ政策をやつている。即ち作為された情報をこしらえて中央政府なり、議会に対して人を脅かすような情報を提供しているということがわかるのであります。三・一五事件、四・一六事件と言われて、我々記憶に残るだけのあの全国的な共産党の大検挙、こういうことは本当は芝居がかつているのであります。こんなことを全国的にあれだけ熟さなくても片つぱしから検挙できるものをわざわざ中央委員会その他にスパイに入つてつて、芝居がかつた検挙をやつたのであります。それが特高の機密費を増額するということに十分利用されている。こういうことで結局スパイ政策が中央政府の各方面を或る程度脅かすような情報に利用される場合がありますから、よほど民主国家におきまする情報というものは余り聞きたがらないほうがいい、やはり新聞その他の正式の報道というものを我々は見るほうが本当の情報でないかと思うのであります。影の情報というのは警察の予備活動として、間違つてつても、無駄なことでありましても、それだけの準備をする余裕を持つということ、そういう作戦上の準備情報としては必要でありますけれども一般に提供する情報といたしましては余りに人の知らん情報を知つているというようなのは碌な情報ではないのであります。一日前に知つたところで別に大した違いはないのでありますから、そういうことでこの情報地方に集めて得意になる必要は毫もない。我々は現地において有効な情報をとつて有効に警察力を運用するだけの情報があればそれだけで十分じやないか、それには我々も警察としては自分自身の力だけでは全国治安の問題は解決できない、お互い情報を交換し合つてお互いに卒のないようにやらなければならん。例えば神戸で困るような事件があるということがわかつてつて、そんなことには知らん顔をしていることは水くさい、逸早く知らせて上げる、神戸でまずいことが起れば大阪もその影響を受けないはずはないのであります。我々は情報におきましては、法律の義務があろうがなかろうが、これは快くお互い警察の連合体としての立場から、協同援助立場から事前に情報を活溌に交換しております。又国家地方警察に対しましても、これは確かに田舎の警察を管轄しているというので放つとくわけに行きませんので、全体にその情報を通信の便がありますから、国家地方警察情報を上げている、細大なく秘密にしないで上げているんであります。虚心坦懐に上げているのでありますが、それが東京で集つて国家地方警察本部が殆んど九分九厘まで自治体情報を集めて政府に報告したり、自分が編纂して情報の資料として流している、これがどれだけに価値があるか、どれだけの値打のあるものかということを私は怪しむのであります。そんなものは、書面になつて来るような情報は碌なものではないのであります。読む暇のあるような人は本当は重要な仕事をしておらないのです。やはり口から耳に入れた情報が本当の情報で、書面になつてつて来る情報は死んだ情報であります。新聞を読むほうか早いのであります。そういう点で情報を取りたがるという心理には、やはり情報收集によつて本当に特高的な活動をする可能性が非常にある。この点は十分警戒を願いたいと思います。  時間がないので簡単に申上げますが、この問題は情報の中に選挙違反情報が出ておるというような疑いがあるのでありまして、これは非常に政治に対する自由を侵害するというような恐ろしいことになりますから、そういう一方的な情報全国的に集めて政治的な情報にまでこれを利用されるということは、特に警戒する必要がありますので、下手な情報をとらせるというような場合、更に進んで選挙違反情報までとるというような結果にまで陷りますので、過去の特高警察のやつた実績から見ますると、よほど注意しないと、こういうことを一定の情報の要綱を示しまして、これで情報を出して来いということになりますととんでもない情報が強制されて作為されますから、そういう点につきましても法律的な義務にしないほうがこれが民主的にやれるのじやないか、さように考えるわけであります。なお最後に地方自治体の問題でありますが、これは一番重要な問題でありりまして、田中総監も言われましたように、これは今投げ出さなければならんと思つておるところは財政的な問題が殆んど唯一の理由であります。従つてこの自治体を育成し、自活体警察を本当に育成する責任政府が果すつもりであるならば、先ず平衡交付金を合理的にこれを殖やしてやつて自治体警察維持できる基準を与えなければならん、これだけの金をやつておるのになお且つ投げ出すのか、投げ出すという前にはこれだけの金があなたのほうには警察財源は確保されておるのだということをはつきり感じ、その財源が自治体の現在の定員維持するにふさわしいだけの財源であるということをはつきりと地方自治庁その他の府県を通じましてこれを明らかにしてやる。それをやらないでただ財政上困るからというので投げ出すように仕向けることは、これは明らかに自治体警察を抹殺する一つの政策があると思われてもいたし方ないのであります。私どもは本当に公平な立場から申上げまして、自由な意思によつて警察国家地方警察に再信託する、返上でなくて再信託するという手続きは私は民主主義の社会においては許さるべきだと思うのであります。ただその前提として飽くまでもその自治体警察でやれるだけの、独立してやれるだけの財政的な裏付、又一般市民が十分理解するだけの余裕を与えまして、なお再信託するほうがいいという判断を与え、必要になれば一般住民投票等によつて決する。併しまだそれでも国家地方警察に再信託しないで自治体警察に持つて行くほうがより地方自治の線に副うわけでありますから、この方向に持つて行くように指導するように政策を考えるほうが審法の精神に副うのじやないかと思うのであります。随分長くかなり抽象的なことを申上げましたが、なお御質問によりましてお答えさして頂きたいと思います。
  6. 西郷吉之助

    ○西郷吉之助君 只今田中、鈴木両総監から自警側のいろいろの情報を伺いまして、非常に参考になりましたが、これに対しまして、すでに国警側においては詳細に亘る改正法案等をすでに新聞に出しておる現状にあるのでありますが、自治警側の意向というものも非常に明確な強い意向を持つておられますが、そういう意向を正式に現在までに政府大橋法務総裁、或いは又国警長官等にも申入れをなさつたのですか。そういうことはどうですか、伺いたいと思います。
  7. 田中榮一

    参考人田中榮一君) お答えいたします。大橋法務総裁の車中談話が発表されましてから、私どもも本問題につきましては極めて関心を持つておりまして、取りあえず小畑公安委員長と不肖私が全公安委員並びに自治体警察長を代表いたしまして、大橋法務総裁の下に参りまして、今後警察法改正につきまして、実際に自治体警察において第一線で治安責任を果しておる人々の意見を参考に聞いて頂けないだろうかということを小畑公安委員長から申上げたのであります。その際に大橋法務総裁のお答えとしては、従来政府でこうした原案を作るときには一々関係者の言うことを聞いたことがないのだ、だから君たちの意見を聞く必要は毛頭ないと言われて、あつさり突ぱねられまして、私たちは、非常に悲観して帰つてつたのであります。更に去る二月八日の日に本問題を中心にいたしまして、全国自治体を代表いたしまして、十人の大きな自治体警察長が集りまして、その際に法務総裁に御臨席を願いまして、いろいろ政府考えておるようなことの大綱のお話を承わりまして、その際に法務総裁からもいろいろ御意見を聞き、私ども意見も聞いて頂いたのであります。併しながらこれは一応会議の上の議論でありまして、正式の議論ではございませんので、更に我々のほうから正式の会見を申入れまして、去る十八日の日に辻公安委員長、斎藤国警長官、それから東京都の自治体側ではない、国警の都の兒玉公安委員長と、それから東京都特別区の小畑公安委員長、大阪警視庁の神宅公安委員長と私と鈴木警視総監と、これだけで一応会合いたしまして、要綱の大体のものを極く大ざつぱなものを示されまして、そうしていろいろ両者と折衝をいたしたのでありまするが、或る程度妥結の途も講ぜられましたし、成る程度我々の意見が対立したのであります。その翌日、これは昨日でありますが、突然こうした警察法改正案を新聞で、これは恐らく国警が発表したものではございません。これは何らかの過失によりまして不注意に漏洩されたものと考えております。こうした具体的な法案まですでに準備されて、私どもが折衝いたしたときには要綱で折衝いたしたのでありまして、そのさなかにこうしたものが新聞で発表されたものでありますから、私どもの驚きも又格別でありまして、今後更に国警側一つ十分に折衝を重ねてみたいと考えております。  なお、先ほど私から申述べましたごとくに、自警側としての一つの試案を持つておりますので、これを一つ政府に提案いたし、又国会方面にも一つ提出いたしまして、皆さんの適正なる御判断を願いたいと考えております。
  8. 西郷吉之助

    ○西郷吉之助君 もう一点伺いますが、御承知のごとく吉田内閣は、先に警察予備隊の場合にポ勅でやられ、又その後電力再編成の問題をしてこれが国会を通過困難と見るや直ちにポ勅でやりましたが、今度の警察法改正というものは非常に重要な法案であり、又国警側としても自警側の強い要望があるために、現在恐らくいろいろなことを考えておると思いますが、田中、鈴木両総監におかれては、この今回の警察法改正の問題も、或いはその奥の手で又ポ勅でやるのじやないかということをお聞きになつておるかどうか、現在のところでは全然ないかどうか、そういう点をもう一度……。
  9. 田中榮一

    参考人田中榮一君) 只今のところでは、そこまで承わつておりません。やはり警察法改正ということのみ承わつております。
  10. 岡本愛祐

    ○委員長(岡本愛祐君) ほかに御質疑はございませんか。
  11. 小笠原二三男

    ○小笠原二三男君 先ほどお話のように、中小弱体な自治体警察財政的にも弱体な部面に抱き合わせて、国際環境から来る治安上の問題とからめて明らかに国家警察的な方向に行こうとする改正政府並びに与党が考えているということは、我々社会党としては誠に遺憾でもあり断然反対しなければならんという立場を持つているので、先ほど来の御説明は我々一々尤もな次第と聞くわけでありますが、ただ細かいことでありますが、我々が地方に行つて自治体警察の当事者のかたがたの訴えを聞くと、大きな問題は人事上の問題と財政上の問題、即ち人事については国警が優秀であり、自治体警察が傷秀でないような世間の何と申しますか、取り沙汰を受け、人事の交流がないものですから士気が沈滞し勝ちである、こういう点の解決策を考えてほしいという意向があつたのであります。財政上の問題は平衡交付金を流して国が十分な保障をしてくれることを望むと言ひながら、事実平衡交付金はそれぞれの算定基準によつてその当該市町村に流れておりながらも、市町村はその金を警察のために使つてくれない。そういうために非常に困るということで、市町村理事者側と警察署長側と意見が対立して非常にやりにくいというような話を承わるのでありますが、そこで第一点の人事上の問題は、現在政府考えているような人事交流に反対であるという意見のように先ほどまあ伺つたのですが、どういうことで士気の沈滞を防ぎ、人材を自治体警察に吸收しようとお考えになつておられるのかお伺いしたい。  それから第二の点としては財政上の問題ですが、紐の付かない平衡交付金が流れて行つても、警察自体にそれが十分に財政需要額に満てるだけ使われるかどうかは、これは市町村当局の自由であろうと思うので、これらについて今後も従来のように中小自治体警察を強化して行くというためには財政上の措置は国家が大幅に保障すべきだという、そういう御意見には賛成ですが、具体的にはどうしてほしいという御意見を持つておられるのですか。
  12. 鈴木栄二

    参考人(鈴木栄二君) 只今の二つの問題について私から答弁さして頂きます。先ず人事の交流問題は政府案として立案されておつたのが今度引込めているようでありますが、この問題は関係筋からはつきりと国家地方警察並びに自治体相互間の人事交流は絶対に罷りならんという嚴重な指示を受けているわけであります。これを向うの方針を曲げてもらうつもりで考えておられたのかもわかりませんが、まあそれは一応その状況を御報告をするに止めまして、この人事を交流するのがいいか悪いかということにつきまして、自治体側の私の意見として申上げたいのであります。又自治体多数の意見では人事交流をしてほしいという意見が圧倒的であります。それはまあ常識的に言いましても無理ない点でありまして、御承知のようにマツクアーサー書簡によつて全国府県警察として発達しておつた多数の警察官が、今度は小さい十人、十五人、或いは三十人というような自治体警察に分れまして、残りが国家地方警察なつたわけでありますが、そこで人事の交流ができなくなる。そうしますと、これまで同じ鍋の飯を食つてつた者が完全にそこに遮断されまして、府県單位の大きな警察の地域で一緒に出世できると思つてつたものができなくなつたというので非常な困難にぶつかつておるわけであります。例えば大阪の府の警察といたしましても、西日本全体から、高知の山の奥から、或いは鹿児島のほうからも皆志を立てて大阪警察を志願して参つたのであります。ところがあのマツクアーサー書簡によつて農村の田舎のほうへ勤務しておつた者が、その田舎の警察に釘付になつたわけであります。現在の自治体警察からほかの地方警察の組織に入つたり、大阪警視庁の大きな組織に変つたりするということがいけないということが関係筋の方針としてはつきり明示されまして、それに違反した者は関係筋の命令違反として責任を問われる段階にまでなつているわけです。何故そういうことを関係筋は申したかと申しますと、これは自治体警察が、まあ変革的な過程におきまして多数の自治体に分れた際に人事交流をぶち切るということは非常に残酷なことであり、又無理なことはわかつておる。これは占領政策としての一つの無理である。併しながら自治体警察というものを置く以上は、人事交流を残しておけば依然として人事面における独自性があるのだから、国家警察或いは大きな自治体警察がボスになつて、人事を自由に切り廻される実権を持ちますと、運営面も必ず影響を受ける。従つて自主独立の警察体として市町村に尽す責任観よりも、自分の立身出世のために他の大きなほうに行きたいというために勉強して、その自治体を蹴飛ばしてほかのほうへ行く、そういう人が優秀と思われ、勉強する中堅幹部にそういう者がうじやうじやいるようでは困る。結局国家地方警察が元の内務省時代の警察と同じように、どこでも股にかけて動けるというような考え方、少くとも府県の枠の中でどこでも動けるというような警察考え方が抜け切れない。これではやはり自治体警察というものはいつまで経つても自主性がない。大きな警察に敬意を表して、そこに自分を持つて行くように引きずられる。そうして自分を税金を以て育つてくれている町村民のために奉仕を熱心にやらない。そういうことでは自治体警察を創設した値打が半分以上飛んでしまう。そうして残りは老衰の者か、或いはそこを一生の住家として残る者以外には残らないということになると、自治体は年寄りばかり残るということになりますから、やはり人事をそこに遮断いたしまして、若し嫌なら巡査から出直しなさい。他のほうへ行くなら巡査から繰返しなさい。併し例えば或る警察の署長が空いた場合、そこの警察に栄転して行く場合は止めない。そこの警察にいい人がなければほかのほうから持つて来ることは例外として認める。そういう道が示されておるわけであります。その以外の横に動くという者は立身出世主義の、封建的な個人立身出世主義の気持を増長させるというので完全にシヤツト・アウトされております。そういう方向から来ておる問題でありまして、私は関係筋の意同如何にかかわらず、独立する以上は役場の吏員と同じでありますから、役場の吏員がほかの役場に行くために勉強している者がたくさんおつたのでは役場の事務は捗らない。やはりその役場で一生懸命やつて非常に1能率が上つて、ほかからもらいに来れば白紙に返してもらわれて行くのであつたらいい。そういう意味で人事の交流はいけないというマツクアーサー元帥の方針関係筋の方針は正しいと思つております。従つて私は大阪におきましてもいろいろのそういう希望がありましたけれども、やつと納得さしました。それでその方針でこの決議案に賛成さしたわけであります。お手許にお配りしました決議案には人事交流は自治体の主体性を侵害するからいけない、これは反対であるということをはつきりと大阪府下の警察署は皆認めたわけであります。そこまでは相当、一年半ばかりかかりましたけれども、到頭はつきりと皆認めまして、決議に賛成したわけであります。この点を御理解頂きまして、人事交流というものは簡単ではないのであります。立身出世主義の人たちは依然としてもがいております。こういう無堤な集中排除と申しますか、つまり府県単位の学校で育つた者をずばずば切つたものでありますから、そこに交流というものに対する希望、或いは自分は鹿児島の田舎から大阪警視庁の署長や幹部になるというので出て来たのに、その希望を遮断されるということは、農地法によつて地主が土地を取上げられたと同じ心理状態で、あのような大きな革命的影響を受けておりますから、これは理論以上の大きな問題であろうと思います。  それから財政問題でありますが、これは自治体警察の始まつて以来絶えず自治体警察を持つている町村におきまして、財政上やつて行けないという議論が出るのであります。ところが地方自治庁において聞きますと、最小限度十八万の単価において十人としては百八十万円行くことになつて、ちやんと行つているはずです。町村ではそれは来ておらないと勝手に言うのでありますが、やはり地方自治庁の言うのが正しいと思います。それはその町村財政の收入源、それからこちらの国から平衡のために行く金を噛み合せて、その金の全体のプールにおいて警察は全部十八万以上の平均の予算が組めるということで平衡交付金は行つているわけであります。ところがそれが町村に参りますと、例えば五百万円の平衡交付金町村がもらいますと、警察官のために、五百万円もらつておいて、三百万円は警察官に要る。二百万円の平衡交付金であとの仕事はできないのじやないか、警察のためにその平衡交付金は来ているのだ、ほかの税金は警察の財源にならないのだという極端な考え方から、警察を全部平衡交付金の財源に追い込んでしまつて、自分のほうの残つた平衡交付金ではやれないから、警察のほうに来ているべき平衡交付金を食い取つて、ほかのほうに財源を流用しており、自分で流用しておいて足らないということを盛んに言うわけです。然らば今度国家地方警察にこれを投げ出すということになりますと、恐らく国家地方警察は三百万円持つている。初めて今わかつた、初めて取られて見てこれだけ警察のために平衡交付金が出て来ておつたということがわかつて、びつくり仰天すると思います。それならこれだけ紐付の金が行つているということを地方自治庁の方から指導啓蒙しましたならば、ほかのほうに流用できない金が来ているのだ、警察のほうに財源がないということをはつきり言うてやらないと、警察財源を食いちぎつてほかへ流し得ると思つているから、小さい町村では非常に金が足らないですから、幾ら金があつても足らないのですから、非常に少い金のうちからそれを分配する場合に、警察のほうは定員に相当する平衡交付金警察の要求をしておる。併し町村財政当局がその金をもらつて、そういうものを含んでおるということがわかつてつても、表面は足らんということで、警察は財源を十分に持つていないというので、そこにまあ知つてか或いは無理解のためにそういう非難を挙げるわけです。その平衡交付金基準の平均量を取らない分はそれは市町村住民の自腹を切つて一般財源から補わなければならない。その一般財源からどれだけ補つたかということによつて町村財政が非常に圧迫されたと言うけれども、これは創設当時は創設費に非常に臨時費が余計要つております。どこでもその金が頂けるし、要つたために大体今年ぐらいからそういう大きな創設費はいらないと思うのでありますが、当初の要つた折の自己財源の警察にとられたことを考えまして、非常に警察は金が要り過ぎる。こういう金をいつまで持つてつては、警察町村財政をますます窮乏化させるというので抜げ出すほうの輿論に賛成するのであります、かような誤解を一掃しましたならば、この問題は解決するのじやないか、同時に又平均単価が少な過ぎると思います。小さい自治体におきましては、人数が少いところは平均十八万円でありますが、これに弾力性がないのでありますから、小さい自治体ほど平均単価を累増してやつて平均単価を小さい自治体には二十万円にしてやるという計らいが必要ではないか、こういう点においての地方自治庁その他の関係方面の考慮が欠けておるのじやないかと思つております。
  13. 小笠原二三男

    ○小笠原二三男君 大体よくわかつたのですが、第一の人事の点ですが、国警自警の独断的な人事の交流を排除する。そうして小さな自治体或いは自治体同志で何らかの操作をするとしましても、日常のそれに対しての保障或いは将来に対する保障ということが十分でないと誰もいたくないのじやないか。併しあの切替当時において府県警察費が、国家地方警察府県本部になるときにおいて、時の首脳者がそれぞれの紐の付いておる或いは人材であるとみなすものをピツクアツプして国家地方警察のそれぞれのポストにはめ込んで、まあどうにもならないというものを自治体のほうに売り付けたということは、これはどこにもある例じやないかと思つております。そういうことが現在においても過渡期の人事として残つておる。そこで市当局なり或いは地域住民国家地方警察の署長も同じ市、町にいる自治体警察の署長も、片方はどうもいいが片方は見劣りするというような現実は、あれを止めさせたらいいのじやないかという声がほうぼうから起る。こういう状況において現在過渡期において大阪警視総監のおつしやる通りすつぱりと割切つて、それで全国自治体警察はこのコースを歩めということでいいものかどうかということは我々は非常に疑問とするところなんです。この点については今後も又十分に御研究の結果を私たちとしてはお聞きして、是非自治体警察の強化のために働きたいと思うわけなんです。  二のほうのこの財政の問題は、どうもやはり大阪警視総監の言われることは、我々同じ地方財政問題で教育財政の問題も所管しているんですが、文部大臣の言うことと同じようで、どうも紐の付いていないもので流れているから、それを使うように自治庁で指導さえすれば間違いないのだというようなことは、どうもそれだけでは、我々は知つていることなんですが、現実の問題としては駄目なんだという結論を言われているわけなんです。それで先ほど一つのあれとしては、組合警察などで重点的に財政操作のできるようにするという方法考えられているようですが、どうしても紐を付けて、それが警察費として使えるという方法まで考えなければこの財政問題解決の面は不安ではないかという考えを私は持つわけであります。こういう点についてもひとつ積極的な改正案というものをお考えのようでありまするから、御意見を今後においてお伺いしたいということをこの際申上げておきたいと思うのであります。それで希望を申上げたついでに大変僭越でありますが、東京都の警視総監から自警連のほうですか、でもこの警察法改正案というものを持つているというお話でありますが、是非それを我々にもお示し願いたいと共に、その改正案の内容としては必ずこの自警関係改正のみならず、自警から見て地方分権警察民主化の方向に行くためには国警の現在のこの方向はこう行くべきだという国警のほうの改正案というものも出して頂きたいと思うのであります。それでその場合できるならば、まあ御説明がありましたが、我々も現に耳にも聞き、目に触れているのですが、この自治体警察が下位で国警が上位であるというような立場で、非常に国警自治体内に対して拘束し、或いは違法なことを行うということを知つているわけでありますが、その改正の要綱についてその理由を附すると共に、全国的に著名な実例をこういう面については附記して一つ資料として御提出を願いたいということをこの際希望いたしまして、私の質問を終ります。
  14. 田中榮一

    参考人田中榮一君) 只今の小笠原委員の御発言に対しまして、私ども十分一つ研究いたしまして、適当なる成案を得まして、本委員会に提案いたしたいと思いますので、御了承願います。
  15. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 今日は質問いたしませんが、お尋ねしておきますが、東京新聞の今日のやつですね。「警察法改正案成る」というふうになつているんですが、これには殆んど自治体警察の要望というものは容れられていないわけですが、この点を伺いたい。
  16. 田中榮一

    参考人田中榮一君) 自治体警察側といたしまして要望いたしましたものは、第五十五条の自治体警察から自治体警察への応援をしてもらいたいということを実は要求をいたしたのであります。それからなお四十六条、この改正案にいうところの四十六条の市町村警察職員定員に関する従来の制限を撤廃する、この二つを要望いたしたのでありますけれども、一方の市町村警察職員定員に関する制限撤廃は一応載せて頂いているのでありまするが、五十五条のこの改正案は全然趣旨を没却されております。私のほうの希望するところは、ちよつと恐縮でありまするが、この五十五条の条文をちよつと読上げて見ますと、極めて簡単なんであります。ただ「自治体警察吏員」という文字を入れて頂ければ、それでいいのでありますが、第五十五条に「国家地方警察警察官は、市町村公安委員会から援助の要求があつた場合は」というなかに「国家地方警察警察官又は市町村警察警察官吏員」が入る。それからなお自治体側の要望といたしましては、仮に東京都下の農村面に何か大きな事件がありました際に、警視庁には二万五千の大部隊が現在あるのであります。それで国警の地域にも自治体警察側から応援を出して差支えないとかように考えまして、その案文も織り込んでかねてからお願いをいたしておるのでありまするが、その分につきまして、全然こちらの趣旨は没却されております。
  17. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 大阪の鈴木総監から申された点で、小笠原氏から指摘されたんですが、生涯をそこの自治警察のために捧げるというのは、両総監のように上り得る最高の地位におられるような、大都市のこのヘツドに就かれた人としては言い得るかも知れませんが、まだ非常に春秋に富む、特に人口五千ぐらいなこのいわゆる市街地的な条件に入るために置かれているような、この自治体警察まで人事の交流をできずして、そこに生涯を治安のために捧げるということは非常に問題ではないかと思うのですが。この点は又今度取上げたいと思いますが、大都市人口数十万人もあるようなこの大警察でしたらそういうことは可能ではないかと思うのですが。私鳥取ですが、私の町では人口五千の所に八人ぐらい警察官がおるのですが、なかなかそういう所で何ら人事の交流なしにやつて行くということは、非常にそこに……そこの警察官というものがそこの町の出身者ならまだいいんです。他町村の非常に遠方から来ているような人の場合は私は問題ではないかと思うので、この点まあちよつと関連しまして……。
  18. 岡本愛祐

    ○委員長(岡本愛祐君) 今の中田君に申上げますが、東京警視庁、それから全自警連なんかから出ておる、お手許に廻してあれには、ここに、人事の交流については原則的に認められないけれども、特別な必要があれば国警自警間、それから自警相互間の人事交流を認めて、人事の行詰りの弊害を除去する方法を講じたいとこう言つておられるのであります。
  19. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 鳥取県なんかは殆んどやらないですよ。参考までに申上げて置きますけれども、これは大阪関係があるかも知れませんけれども、渡邊部長ですね。それがおつてもう徹底的にリストを作りまして、先ず優秀なのを全部六百の国家地方警察に採り、成績のそうでないのを全部自治体に送るという、非常な自治体によくない劣等感を植え付けるような極端な人事を渡邊さんがやつた。それが随分問題になつた。それが拭いがたい禍根として残つておる。この点は参考までに申上げて置きますが、徹底した方式をとつた。そういうこともありましてね。なかなか問題です。  それからこれは委員長に御相談なんですが、政府は四月に選挙もあるし、問題になるような法案は見送る傾向が非常に強いのですが、この法案はそういう虞れはないのですか。どうなつておりますか。
  20. 岡本愛祐

    ○委員長(岡本愛祐君) まだ全然連絡がありません。
  21. 田中榮一

    参考人田中榮一君) 只今の中田委員の御発言に関連しまして、甚だ僣越ながら私から発言さして頂きたいと思うのですが、政府におかれましては遮二無二この法案を今議会にという御希望があるようでありまするが、少くとも私は警察制度改正に関する法案につきましては、他の産業立法なんかと非常に趣きを異にいたしておりまして、国家の全体の治安に関する大きな問題であり、又社会秩序を維持する警察規定する法案改正でございまするので、而もこれに関連するところの警察官は、自治体警察だけで九万五千人おります。現在日本の警察官十二万五千のうち、九万五千、二分の二が自治体警察ということに相成つております。この九万五千の自治体警察官人心に及ぼす影響、又よつて以て生ずるいろいろな余波的な現象等を考えますると、今この重大な時期にこの法案を遮二無二通さねばならんというような、そこまで私は現在の階段が、今の日本に急迫な事態が発生いたしておるとも私は考えられんのであります。現在の秩序においてすら、とにかく治安は大体において維持できておるのでございまして、大きな犠牲を払つて、この法案の速成を急ぐということは、これは政府とされましても、又私ども僣越でありまするが、国会を構成されておる皆様がたに愼重なる態度で一つこの法案に対してお考えをお練り願うように、特に私はお願いを申上げるのであります。かねてからこの点は私も本件については極めて愼重なる態度を以て十分の見通しを付けて一つつてもらいたいということを、政府にもかねがね私からもお願いを申上げておるのでありまするが、単に面子の問題であるとか、或いは出がけた船であるとかというようなことは、この大きな制度機構を改革する上においては、こうした問題は私は小さな問題ではないかと考えております。かような点から一つ深甚なる御考慮を払われんことを私ども九万五千の自治体警察官を代表いたしまして、皆様がたにお願いを申上げる次第であります。
  22. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 只今の発言、我々社会党としては全く同感でありまして、若しできれば私はこのように浮足立つた地方選挙を控えての通常国会でないほうがいいと思います。併し出るといたしますれば、この改正をされたようなことが意図されておるとしますなら、私は警察法改正だけでなしに、国家のやはり大きな基本的な政策にも影響するような重大な問題であると思うのですが、そこで慎重に取り組んで見たいと思いますので、委員長に一つたびたびで恐縮ですが、自治体警察国家地方警察が分れた昨年のマツカーサー元帥から出された書簡、それから只今大阪の総監が言われたような、一昨年の九月でしたか、そういう書簡ですね。それから警察法、それから昭和二十年頃からの年次別の犯罪統計、国家地方警察区域自治体警察区域等のこういうようなものを一つ、まだ法案の審議は三月でしようから、お願いいたしたいと思います。
  23. 岡本愛祐

    ○委員長(岡本愛祐君) 只今の資料につきましては、早速取揃えましてお廻しいたします。その犯罪統計のほうはすぐまとまると思います。
  24. 田中榮一

    参考人田中榮一君) 先ほど申述べたいと思いますして、一つだけ申し残しましたので、重ねて一つ発言さして頂ぎたいと思います。本案改正につきましては、極めて愼重な態度で以て一つ御審議願いたいということを申上げたのでありますが、これは私ども考え方でありまして、これは皆様がたが適当に御採択願えれば結構でありまするが、昨年の十月二十一日に全国自治体警察長大会を京都において開催いたしたのであります。その際に私どもとしましては、現在の治安維持を更に確保するために、必要なる警察法改正といたしましては、五十五条の規定改正をお願いいたしたのであります。そこで政府とされましては、自治警察長側から五十五条の規定改正要望があつたから、その他の規定改正も便乗せられたのではないかという、実は私ども考えたのでありますけれども、或いはそうでなかろうと考えておりまするけれども、私は現在の現段階に対処いたしまして、警察制度改正するには極めて愼重なる態度が必要である。それに対しまして先ず私の考えといたしましては、いわゆる応急措置と恒久措置とにこれを考える。応急措置といたしましては、現在五十五条の規定改正いたしまして、そして自治体警察から自治体警察応援できる、自治体警察国家地方警察応援できるという規定改正することによつて非常に機動力ができ、又警察活動の範囲が拡大されまして、治安確保の上に一層大きな力を添えるのであります。これならば私はただ単なる法文の改正でありまするので、自治体警察官が希望いたしておるところでありますので、先ず応急措置としてこれを改正して頂きたい。若し事情が許し得るものならば、この四十六条でありまするが、定員の枠を撤廃して頂くこと、若しできればこの四十六条を附加えてやつて頂いたら一応これで警察全体としての体制が取りあえず整うのではないか。やがて又警察予備隊の問題もいろいろ考究されねばならん問題だと思います。将来警察予備隊がどういうようにこれが増員されるか、或いはこれの装備施設がどういうようになるかということを一つ関連的にお考えを願いまして、そうして国家地方警察自治体警察といふものをどういうふうに処理して行くかというようなもつと根本的に一つ警察法というものを皆様はお考えつて、そうして国家百年の大計を一つ考え願うということが最も適切な措置ではないか。これは甚だ私見で恐縮でありますが、さように考えております。
  25. 相馬助治

    ○相馬助治君 先ほど両総監のお話を聞いておりまして、今度の警察法改正問題をめぐつて自治体側の御意見としては至極御尤な幾つかの点があつたということを私も了解します。ただ私は具体的な地方の自治警察の姿をいささか知つている者として、この際両総監にもお願いしておくと共に、私個人の考え一つ申上げて、こういう点では御協力は私はできない、こういうことをはつきり申しておきたいことがございます。それは何かと申しますと、今度の改正大橋法務総裁のとつている態度であるとか、或いは与党側の動きであるとか、誠に腑に落ちない幾つかのものがございます。けれども地方の弱小町村にあるところの自治警察が解体して国家警察に吸收されるという問題について、何びとが一番喜んでおるか、こういう問題についてはこれは実は自治警察署の中にいる警察官と思う。これは私自信を以て言えることは具体的な事実を実は知つておる、というのは自治警察隊の警察署長は運のいい人になると警部補から僅か一年で警視に上つた人が栃木県で事例があります。この一つを以て見てもわかりますように、署長さん自身としては自分の御都合からだとは私は申しませんが、ともかく一生懸命やられて、そうして自治警察が何とかものになり始まる、軌道に乗り始つたときにこういうことをやられるということは甚だ迷惑であらうということはよくわかりますが、この一番心配なのは自治警察隊の中において、真に下僚の警察官意思というものが反映しておるかどうかということです。先ほど鈴木さんのお話の中に注目すべき発言があつたと思うのです。成るほど御趣旨はその通りであるからマ書簡趣旨によつて下部の者を納得せしめて、こういうお話がありますが、表面は納得させた、表面は納得させましたでしようけれども、ともかく警察官にしてみますと、十四、五人くらいの自治警察に行つた優秀なる若手の者は往生しておる。これは個人の意思はいかんと言いますけれども、これは理窟を言いますれば限りありませんが、ともかく自治警察隊の中におる警察官が実はこの改正を非常に賛成しておる、署長さんが真向から反対しておると、こういうことに私はなつておると思うのです。従いまして、後ほど私はこの問題が法律の改正として本委員会に上程されましたときには、委員長に請求いたしまして、総監級の人の話も聞く、自治警察の署長の話も聞くそれからそうでない一般警察官の話も聞く、こういうふうに要求をしで行きたいと考えます。ところが警察というものは労働組合もありませんし、なかなか言わないように躾けられておるように聞きますので、一つ是非とも、この際両総監とも我々は意のあるところには十分協力して参りたいと思いますから、この方の巡査意思も十分聞いて、そういう意味でのこの改正問題をめぐる主張というようなものについても十分検討されて、お出しになることをこの際希望しておきます。と同時に私の今申したことに御異議なり或いは何か御意見があつたらお聞かせ願つておきたいと思います。
  26. 田中榮一

    参考人田中榮一君) お答え申上げます。只今相馬委員からの御意見誠に私は御尤もと考えております。或いは自治体警察官の、特に地方自治体警察官の中には相馬委員のお話のような者もあるだろうと私は考えております。そこで私ども考えておりますることは、先ほど鈴木総監から人事交流についての御意見もございまして、これも一つの御意見です。それから又中田委員の御意見もこれも又一つの御意見だろうと思います。ただ全体としては、やはりこの清新の気風を入れるために交流をしたらどうかと、これも又一考あるわけであります。そういう点も十分考え、双方の意見を十分検討してみたいと思います。それから又待遇の点につきましても、自治体警察官としてまだ十分でない、それからなお恩給、退職金の問題等が通算しないために、非常にまあ意気銷沈しておるという者も相当あるのじやないかと思います。この点につきましては我々も常に政府に向つて、甲自治体から乙自治体に仮に行つた場合の恩給の通算等もできるだけするような方法を講じてもらいたいということをかねがねお願いをいたしておるわけであります。こうしたことについて、又政府においても御考慮を願いますれば、自治体警察官の意気も或る程度或いは向上するのではないかと考えております。誠に御尤もの御意見でありまして、よく拝聴いたしました。
  27. 岡本愛祐

    ○委員長(岡本愛祐君) ほかに御意見ありませんか。
  28. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 お願いしておきたいのですが、会期が余りなくなつてからとにかくですね、大した審議もせずに押し切るというようなことをせずに、成案ができましたら一つ十分なる時間を取れるような仕組みにしてもらいたいと思います。又地方税の改正とかいろいろあると思いますから、委員長の方から特にお願いいたします。
  29. 岡本愛祐

    ○委員長(岡本愛祐君) この警察法改正案政府で持つて参りますのはどういう内容かわかりませんが新聞に書いてあるような重大な問題を含むものであるとすれば、慎重に審議をお願いしなければならんと私も考えております。それでは速記を止めて。    午後三時五十一分速記中止    —————・—————    午後四時十六分速記開始
  30. 岡本愛祐

    ○委員長(岡本愛祐君) 速記を始めて下さい。  それでは今日はこれで散会をいたします。    午後四時十七分散会  出席者は左の通り。    委員長     岡本 愛祐君    委員            石村 幸作君            高橋進太郎君            安井  謙君           小笠原二三男君            相馬 助治君            中田 吉雄君            西郷吉之助君            鈴木 直人君            石川 清一君   事務局側    常任委員会専門    員       福永与一郎君    常任委員会専門    員       武井 群嗣君   参考人    東京都警視総監 田中 榮一君    大阪市警視総監 鈴木 栄二君