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1951-02-16 第10回国会 参議院 地方行政委員会 第12号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年二月十六日(金曜日)    午後一時三十八分開会   —————————————   本日の会議に付した事件 ○地方行政改革に関する調査の件  (義務教育用教科書給與の件)  (地方自治体議員減少に関する件)   —————————————
  2. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) これより地方行政委員会を開会いたします。  今日は地方行政改革に関する調査といたしまして、かねて当委員会において調査を願つております初等教育に関して、無償で交付する教科書の問題、その問題について御審議を願います。
  3. 吉川末次郎

    吉川末次郎君 この問題につきましては、私もまだ実は深く研究いたしておりませんので、極めて常識的なことを社会党立場から、又私子供学校にやつております父兄立場から申上げて御答弁を得たいと思います。いろいろな具体的な細かいことにつきましては、專門家である小笠原委員相馬委員から後刻お尋ねいたされることだろうと思います。教科書を公費を以て児童無償で與えるという、この法案の主目的につきましては、もとより我々賛成いたすものでありまして、天野文部大臣のとられているいろいろな教育行政の方針というようなものにつきましては、我々と意見を異にするところが非常に多い。国歌として「君が代」を復活するという問題につきましても、全く対蹠的な意見に立つものでありますが、この天野さんのほうから御提案になつている教科書無償配布という御見解につきましては、むしろ双手を挙げて賛成いたすものでありまして、是非それが実現するようにしで頂きたいと考えておるわけであります。それは我々社会党立場からいたしましても、当然に社会党のとつているところの趣旨に副うものでありまして、又諸外国におきましても、例えば第一次欧洲大戰後久しくその政権をとつておりました、現在も多分そうだろうと考えておるのでありまするが、オーストリアの社会民主党のウイーンの都市行政におきましても、そういうことが実現されておる。そうして社会民主党の主張と、社会民主党議員の多数の市議会の権力を通じまして、そうしたことを実行すると共に、又その市政府に直属するところの出版会社を通じて、それを出版しておるということであり、又記憶がはつきりいたしておりませんが、ドイツの社会民主党エルフルター綱領でありましたが、ゴータ綱領でありましたか、それぞれそういう措置がとられておりまして、そういう点からも同様の趣旨賛成であります。又非常に古いことでありますが、三十年ほど前のことでありますが、私の実見いたしましたところでは、ニユーヨークのシテイのカレツジ、ウーメンス・カレツジでありますが、ハンタース・カレツジというところでやはり教科書を、これはやつておるのではありませんが、生徒に貸し與えておるのを実見いたしたのであります。そういう趣旨を以ちまして、繰返して申しまするが、非常に賛成であります。それで是非これは実行して頂きたいのでありますが、先般来天野さんがおいでにならなかつたこの委員会において、一番問題になりましたことは、それが財政的な関係において円滑に行われるかどうかということが一番問題になつたのでありまして、幸い今日は自治庁のほうからもおいでになつておるようでありますが、即ち半額地方自治体がこれを負担するということになつておるかと思うのでありますが、そういうことが一番問題になりましたのは、地方財政を圧迫することになりはしないか、そうしてそれに対して地方財政委員会が十分それを承認するかどうか、又文部大臣がこういう法案を御提案になるのに先立つて地方財政委員会及び地方自治庁等の完全なる了解の下に御提案になつているかどうかということが一番問題にされたのでありまして、というのは、そういう心配をいたしますのは、前の国会におきまして、地方財政交付金に、高瀬文部大臣のときにこれを交付金紐付で出す、憲法條章に基いて義務教育の普及ということの点から紐付で出すというようなわけで、非常に高瀬文部大臣責任を以てこの委員会で公言せられたのでありまするけれども、事実はそれが実現することができなかつた。そういうようなことになつて来るのではないかということについて、我々委員の一番心配があるわけでありますから、それについての関係、即ち地方財政委員会の完全なる了解が付いておるかどうかということの問題であります。それから又国費の支弁の面におきましても、大蔵省との関係が完全にできておるかどうかというようなことについての、単なる数字等を離れたる抽象的な御意見でなくして、極めて金銭的な、具体的な、経済的な、財政的なことについてどれだけの御用意があるかということをお聞かせを願いたいということが第一点。時間の節約上一括して質問を申上げますが、第二に、一番我々が問題にしていますことは、昔の国定教科書につきましては、地方府県教育委員会がこれを検定するということになつておるけれども、事実上教科書出版というものが非常に大資本を要するところの大出版事業である。従つて地方においてはそうした委員会と直接関係が付くところの地元地方的な出版業者においては、それを受け合うことができないであろうが故に、そういう関係と関連して、結局中央において少数の出版業者がそれを引受けるという結果を来して、結果はそうした資本の集中的な関係からして、それと相結んで、弊害ありとして除かれたところの昔の国定教科書のような、極めて中央集権的な、画一的な教科書全国的に使用されて、折角民主的な、地方分権的な、そうした教科書に関する法律趣旨が没却される結果を来すのではないかということがお聞きしたいことの第二点。それから第三点は、これは巷間伝うるところでありますが、この商売人的な立場からいたしまするというと、そういう大出版事業を受け合うということは、表面上の価格は極めて低廉なものでありましても、非常に量が多いのであるから、商人的な立場から、非常なこれは一つ利権であるというように考えられて、これが一つ商売人的利権を得るというようなことが基本になつているというような噂があるわけであります。もつと端的に言いますと、そういう自由党御用商人銭儲けのために、こういう法案を非常に背後からプツシユしておるのであるというところの説が伝えられておるのでありますが、もとより清康なる文部省にそういうことを考えるということは、私もしたくない、又あるべきことでもないのでありますが、そういう巷間の流説を払拭するに足るところの、単なる抽象的なコンヴイクシヨンのようなものでなくして、はつきりした、世間のそういう流説を消すことができる具体的なる一つお話を願いたい、こう私は先ず三つ、極めて常識的なことでありますが、そういう点を伺います。
  4. 天野貞祐

    国務大臣天野貞祐君) 第一の点につきましては、先ずこの法案の趣意に御賛成を得たことを私は感謝いたすものでございます。それにつきまして、このことはそのこと自体はよいことであるけれども、地方財政を強く圧迫するというようなことがあつてはいけない、その点について了解が得てあるかというお尋ねと思いますが、これは一億四千万円というものは国庫から出して他の一億四千万円、というものは地方から出すということは、閣議できまつたことでございまして、大蔵大臣はこの一億四千万円というものは、平衡交付金の中に入つておるということを私は承わつておりますから、私としてはあとは事務当局に任せておきましたが、事務当局においても、二十六年度については、その点について地方自治庁との了解を十分に得ておるということでございます。それから第二の点は、教科書は少くとも第一年級のものは来年度については、固定教科書というものはやめてしまつて、すべて出版会社に譲つておると聞いております。それから第三番目のことについては、別にそれをそういう流説世間にあるから、それを積極的に打消すということを、私はこういう証拠があるから、それは嘘だということは、否定的の場合には非常にむつかしいことでありましよう。とにかく私はそういうことは文部省とは無関係なことだと信じております。
  5. 相馬助治

    相馬助治君 本日この委員会文部大臣並びに岡野国務大臣、それから地方財政委員会委員長の御出席を求めて、我々がいろいろ質疑したいと思いますことは、過去の経験に鑑みて、六三制実施等につきましても、その法律案意図するところは極めてよろしきものであり、日本民主化のためにこれは非常に効果あるべきはずのものであつたにもかかわりませず、財政的な問題でこの理想案が種々なる悩みを来たしたということは、事実が我々にこれを教えておるところでございます。従つて只今吉川委員も申されましたように、私は本法案賛成なんですが、ただ問題は現在の地方財政状況下において、一体この法律案が成立した曉において、財政的な措置がどうなるかということに極めて我々は重大なる関心を持つものなんでございす。従つてその観点から、私は二、三質疑したいと思うのでありますが、先ず文部省は本法案の成立を見た曉において、必要とする意味合において国の補助分の一億三千九百万円余を計上しておるというのでありますが、これについてはその具体的な実施計画案が作成されておるかどうかということ、それから一億三千九百万円というこの補助によつて、いわゆる半額が十分賄い得るという確信があるかどうかということ、この二点について先ず文部大臣答弁を求めたいと思います。
  6. 天野貞祐

    国務大臣天野貞祐君) 第一の点については、大体において一億四千万円でありますが、それは必ず出ることになつておる。又地方半額平衡交付金の中に入れてあつて、ぞれは地方庁のほうにおいて承認されておる。それから第二の点につきましては、それで足るかということですね。それは若しも三科目をやりますと足りませんから、これは二科目にしようと思つております。国語と理科とそういう二科目にすれば足ると思います。若し足らなくてもそれは極く僅かであるから、町村財政を強く圧迫することはないと信じております。
  7. 吉川末次郎

    吉川末次郎君 ちよつと議事進行について伺わして頂きたい。先ほど私が質問いたしました三項目について質問したのですが、二項目について御答弁がありましたが、中で申上げました資本集中関係から出版業が非常に大資本を要する。従つて地方の、県の教育委員会が検定するといつても、事実上地元において出版することができないのであるから資本関係において結局中央集権的になつて国定教科書の再興のような形になる傾向があろうと思いますが、そういうことについての御答弁がなかつたようですが、ちよつと……。
  8. 天野貞祐

    国務大臣天野貞祐君) どうもこれはやはり今おつしやいましたように、資本を要することですから、勢い中央書籍株式会社というものでやるというようなこともいけないことではないが、資本ばかりでなく、著者などもこちらに多いのですから、勢いそういうことになるだろう、併しこれは皆十分検定して、それに適しないというものは排除することでありまするから、私は弊害は起らないのではないかと思つております。
  9. 相馬助治

    相馬助治君 今の御説明で全く我々が納得できないことは、こういう立派な意図を持つ法律案を通すからには、金が足らないという場合には、それは何とか相談をしても全部一年生の分を出すことが理想である。学問をしながら(「理想じやない現実だよ」と呼ぶ者あり)それで実際問題として、その際において金だけで枠をきめて置いて実際問題として二冊になるか、都合では一冊になるか或いは三冊になるかわからないというようなことでは、今日すでにもう新人児童身体検査等も各小学校で実施しておつて、そうして文部大臣も御承知でありましようが、二月前くらいに子供は新らしく入る学校教科書を持つて喜んで入学の日を待つわけなんです。今年はこういう法律案が出て騒ぎになつておりまするからして、子供はそういう喜びにひたることができないでおりますから、私はこれを金によつて二冊になるかも知れんというようなことは、極めて納得しがたいのですが、その点についてもつとはつきりお聞きしたいと思います。それから第二は、地方団体の支出すべき補助額としての一億三千九百万円余に対して、文部省としてはどう考えておられるか、どう考えておられるかという質問意味は、いわゆる自治庁並びに地方財政委員会等との連絡了解がどういうふうになつているかということをお聞きしたいということを含んで、それはどういうふうに文部大臣としてはお考えであるか、この二点をお聞きして置きます。
  10. 天野貞祐

    国務大臣天野貞祐君) 第一の点につきましては、私も初めから三科目全部やりたいというふうに考えて、実際の書物の値段についてそれを計算をして一億四千万円、又地方から一億四千万円を平衡交付金から出す。二億八千万円あれば、それができると初め考えていたのですが、値上りとか、いろいろな事情からして到底三科目ということはできない。できない場合には平衡交付金を増すとか、或いは地方で出すとかということも一つの案だと思うのです。現に地方市町村財政改革によつて割合財政も豊かになつて来ておるから、そこで三万円乃至五万円という金を出しても、決して私はそう大した負担とは自分考えませんし、文教科書というのは要らないものを買えというのじやなくて、若し国で補助しなければ、公共から補助しなければ本人が必ず買うというものなんですからして、そういうようにして必ずこの三科目ということでやるというのも一つの案でございましようけれども、併し今いろいろ財政の困難のとき、無理に私たちがそれを主張するということも如何かと思いましたから、私は譲歩して、二科目にするならば二億八千万円でほぼ足る。そうしてその金額ならば地方自治庁としても、地財委のほうもそれで了解した、こういうお話なのでございます。もう一つ何でしたか、それだけでしたか……。
  11. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 どうもさつきから文部大臣お話を聞くと奇怪至極な話なのですが、根本的な原則からお聞きしたいのですが文相談として小学一年或いはもうろう一年の子供教科書無償配給するということは再三発表されておる。而も最近は全国町村長会の総会に行つて文相は一年生ばかりでも本年は教科書無償配給するという義務教育制度にとつては画期的な事業を行う決意を持つておるということを御披露があつた、その際の文部大臣の心境は、金が足りなかつた一部分だけやるんだという意味無償配給を言うたのであるか、一年生だけでも無償配給するということは、我々としては常識として一年生の教科書全部を無償でくれる、こういうことだと考えておつた。而も極く最近の我々の委員会において、文部当局からお伺いした場合の計画案は、その当時において今文相が言うがごとく、二科目程度でやる。それでも足りなかつたら一科目程度にして、金の枠で無償配給するのだという言明はなかつた従つてその点については我々と見解を異にするのであつて、もう少し突き進んで話をするならば、この一億三千九百万円を彈き出した際においては、これを以て無償配給が、三科目なら三科目に対してはできるという計画に基いてやられたのに違いない。文相自体最初から一部金が足りなかつた一部分に出すというお考えはなかつたと推察する。それが現実問題としてだんだん考えて来たところが間に合わないというような事態になつて、その計画に変更を来たしたということじやないかと思う。而もわざわざ一億三千九百万円というふうにきざんで算盤を彈き出し、而もその際もこの積算の基礎は教科書一般最低單価とつたということなんですから、初めから最低單価とつ計画においては全体を賄えないことはもうわかりきつたことなんです。而もそれでやり得るというお考えが、全体に対して無償配給がやり得るというお考えがあつたに違いない。それが今日に及んで、そういうことを文部大臣から私はお聞きするのは誠に心外なんです。その間の経緯については、ざつくばらんにもう少しはつきりとお伺いしたい。天下の父兄無償配給一年生だけということだから、一年生はもう金を出さんでもらえるのだという考えでいるのは常識なんです。而も先ほども相馬委員が言いましたように、そういうふうであるならば、なお出版業者配給系統が乱れて、四月一日自体においてさえその教科書の供給が不可能になるんじやないかということは考えられる。本日全国地方配給業者代表が東京に皆集まつて来ておる。こういう混乱する事態に備えて、又金融措置の不完全なことを心配して出て来ているやに私は伺つておる。この点もう少しはつきりと文部大臣の御答弁をお願いしたい。その答弁の前に、この際伺つて置きますが、憲法で言う義務教育無償とい、ことはどういうことであるか、又その範囲はどういうことをこの文部行政担当責任者である天野大臣まお考えになつておられるか。そして而もそれは本年一年生から教科書だけ無償配給を一部やるという計画であるならば、全体の義務教育無償という構想の上に立つて、それはどういう位置に位するものであるか、将来どういう計画をお持ちになつて完全なる義務教育無償ということを説明せらるる意図であるか、先ず基本的にこのほうから大臣構想伺つて、その構想に照して只今の第二の質問に御答弁願いたい。
  12. 天野貞祐

    国務大臣天野貞祐君) 義務教育無償と言えば、私は義務教育をやるためには、月謝は勿論のこと、学科の用品、教科書というようなものをすべてこれをただにする。例えば給食のようなことでも、これをただにする、そういうことが義務教育無償ということだと思つております。それからその次にそれを一時に全部やれと言つても、これはできないのじやないか、だからとにかく義務教育というものは、原理的には無償なんだということを何かの点で示すということがよいのではないか上いうことが一つと、それから又国家公共というものの意味を親にも子供にもよく知らせるということがよいのではないか、子供ただの親の私有物ではなくして、これは国家公共のものなんで、それをよく育てるということは国民義務なんだということをよく自覚させるためには、全部の無償というようなことはできなくとも、どこかの一角においてその精神を現わすということが必要ではないか、そういう考えから、この教科書無償配布ということを考えたわけでございます。又それについては、できれば義務教育全部に亘つてやりたいと思つたわけですけれども、到底日本財政が許さないということは、これは又全体として考えれば承認せざるを得ないかと私は思いましたから、せめて一年だけ、而も三科目だけでもこれをやりたいというふうに考えて、その費用を計算をしてもらつた。ところが最低値段計算をすると、今申した一億三千九百万円というものを国が出し、半分を地方が出すということになれば、ほぼそれを以て賄えるという初めは考えておつたのでございます。けれども教科書にもいろいろ高いものもありますし、いろいろな関係から、それを全部というわけにはなかなかその金額では行かない。併し初めそういう金額を立てたので、その金額で縛るのは悪いと言いますけれども、併しこれは私は今の時代においてよんどころないのではないか。従つてそれが減つて来たということは、遺憾至極ですけれども、やむを得ないのではないか。又私はどこへ行つて教科書無償でやると言つたことは決してありません。そんなことを言う権利が私にあるわけではございません。それを希望しておるということでございす。そういうふうにして、この国会の幸いに御承認が得られるならば、教科書無償原理という原理を一端において、少しの点においてでもこれを現わし、他方においては、今申したような国家公共という観念で国民の間に強く植え付けたい、そういう考えでございます。
  13. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 現在地方教育費関係で、七、八百億ぐらいの教育財政の寄附を持つておるように我々思うのですが、大臣が今おつしやられたような、義務教育無償原理を一部実現するにしても、これを拡大して行きたい希望はお持ちであろうと思う。而も日本財政規模というものが大かたきまつておる。その範囲において義務教育無償制度をどれだけの財政的な規模実現できるかということは、文部当局の研究に待つべきものであり、又研究すべき責任があるだろうと思う。そういう大かた構想計画の中の一環として、今後の義務教育無償一環として教科書を一年生に無償配給したいということが出て来るんだと思う。それで私の伺つておるのは、文部当局はこの義務教育無償原理実現するために、今後正常な経済状態日本がなるにしても、この大体の財政規模というものは、これ以上拡大することはできないというふうなことは自由党内閣でもお考えのようであります。この範囲において教科書の問題或いは給食などの問題も徹底的にやるように、完全給食の問題も実現の一途を辿つておる。こういう際にどれだけの金額をこの方面に注ぎ得るお考えを持つておられたのか、又現在持つておられるのか、それをお伺いしたい。それから第二点としては、一億主千九百万円というその金で、一冊でも二冊でも教科書ただでやりたいということが最初からの考えであつたのか、この三科目をやりたいということが最初考えであつたのか、この点ははつきりして頂きたい。
  14. 天野貞祐

    国務大臣天野貞祐君) 詳しい数字的な計画政府委員にお答えいたさせます。ただ私としては最低額のこの金で以て二科目ができると考えておりましたがその後の計算によると、それができなくなつておる、だから一班でも何でもいいというのではなくて、今一二科目はこれは全部やりたい、こういう考えでおります。
  15. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 いやその一点の、…。どういう義務教育無償原理実現構想をお持ちになつておられ、その財政的な裏付としてどれだけのものをこのほうに将来において振向けようというお考えを以て、その第一歩としてこの一億三千九百万、こういうことをお考えになられたのか。その底に流れているものを御答弁願いたい。
  16. 天野貞祐

    国務大臣天野貞祐君) 義務教育無償ということを、小笠原さんはどれだけの金がかかつて、いつまでにやつて、そのうちどうだというお尋ねかと思いますが、併しこれは非常に広汎なことであつて、今の日本財政状態において全国義務教育をみんな無償にしてしまうということが、どれだけ今金がかかり、どうだということは、私はそれは今非常に無理なお尋ねしやないかと思うのです。ただ我々としては、そういう精神をとにかくここ上端を現わしておけば、将来これが、義務教育無償ということに進む一歩をはすというふうに自分考えております。でありますから、何でもまるで無計画というのではなくして、そういう原理的な立場に立つてこの案を考えているわけであります。
  17. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 私の申上げておるのは、完全な義務教育無償というものは、これこれでこれだけの金が必要だという無謀なる計画を立てておるかということを聞いておるのじやない。少くとも自由党内閣がここ何年間かこの政局を担当して、日本財政を確立して行つた曉において、この義務教育無償という制度をどの程度にまで実現しなくちやならんというお考えの下に、その第一歩を、こういうことをお考えになられたかということを伺つている。あれやこれやとある中に、最も緊急なるものとして、教科書を一年生に無償配給という原理を立てたからには、その他のものは緊急性がない、或いは財政的にも裏付がないとか、いろいろお考えがあつて取捨選択せられたのじやないかと私は考えておるのです。現在までも先程六三の建築予算の問題も出ましたが、そればかりでなく、この給食の問題であろうが、科学教育の問題であろうが、まだまだ国として見てやらなくちやならん部分がたくさんある。完成はしておらない。然るにこういうものがその原理的な立場から、一部でも実現したいとして出て来たからには、特に金が足りないと言われている日本財政で、これを極端にやろうとしたからには、その他のものと比較検討をしたに違いない。而もこれをやつて行く限りにおいては、一年生だけをやつて、来年も再来年も一年生というだけではないだろうと我々は推測しておる。それで少くとも教科書無償配給の原則を実現するとなれば、九カ年分の兒童、生徒にこれを配給するということになる。そうすると、これを本年から類推しても、文部事務当局答弁でさえも、今の單価で約五十億に近い金額を必要とするとしておる。併しこれが全教科書無償でやり、将来の教科書の値上りなり、生徒、児童の増ということを考えるならば、六十億や七十億で済むものではない。少くともその程度のところは文部大臣としてお考えになられたんじやないか。今出ているのは氷山の一角で、地方財政は圧迫しないというかも知れないけれども、七、八十億という金、而も国家全体のこの財政規模を縮小しようとしておるときに、これが地方財政を圧迫しないということは言えないだろうと思う。これは文部行政の長官としては、教育第一でそういうことは言えるだろうけれども、一内閣の閣僚としては、そういうことはなかなか問題じやないかと思う。で、私のお伺いしているのは、そういう小さなことでもいいが、一年生の教科書を配給するということから、少くとも教科書自体だけでも将来の構想をお持ちになつておられるんじやないかと思う。それで今年はこれだけにしても、将来においてどういうふうにしてこの教科書無償配給の尻を結ぶというお考えであるかお伺いしたい。
  18. 天野貞祐

    国務大臣天野貞祐君) この点につきましては、初めは毎年々々これをだんだんやつて行く。今年は一年、次は二年というようにやつて行くということで、大蔵大臣はやれるというお話つたのです。それで私もそういうふうにやつたらよいかと思つたのですけれども、今のこの激しい現実の動揺しているときに、九年先のことまで私は何も考える必要はない。今差当つて自分たちができるだけのことをして、自分たちの原理的なものを示し、又日本財政の許す範囲においてそれをやるということで私はよいと考えております。数字はすぐ出せますけれども、九年先の数字を出して、それが地方を圧迫するから、今これもいけないのだという論には私は同じ兼ねます。少しでもよいことならそれをやつて見たいという考えでございます。
  19. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 私も大臣の今の意見には同じ兼ねる。少くとも来年は二年をやれない、再来年になつて二年をやれる、そういう場合があるかと思う。或いは内閣が変つてもこの法案が通るにおいては、やはり義務教育無償制度実現のためには極力努力するだろうと思います。併し今のような法案の要項を見るように、市町村即ち地方公共団体がこの金を負担するのだということが、将来において原理なつた場合には、七十億、八十億という金は地方財政を圧迫するのじやないかという様相を現在の国家財政計画からいつて言えるのじやないかと思う。そういうことまで考えなくてもいいということには、私は文部大臣の言には同じがたいのです。即ちそれは文部大臣がお考えのように、二分の一国が負担する、或いは全額に近いものを国が見てやるのだという裏付があれば、それは地方財政規模というものはそう圧迫されないかも知れない。併し原理としては市町村支弁が原理なのですから、将来完成された曉には、そうして今の財政規模から類推して行つて地方財政を圧迫しないとは言えない、そういうことであるならば、逆に地方税を削減して、そうして税負担を軽減することによつて教科書は銘々に買わせる、従来も貧困兒童の救済のために教科書、衣類等の無償配給の金というものは国からも出、地方からも出ている。就学奨励費というものも出ている、或いは生活保護法の適用も受けておる。で、買える能力のある者は親が買つても、先ほど文部大臣は一部無償配給、他のものは父兄は買うなということではない、それは今までも買つておるのですから……こういうことをおつしやつた。それと同様に私が申上げるようなことも、財政的な立場からいえば言える。地方税減税という立場で、こうしたものを裏付けて行くという考え方もできて来る。で、再三くどいようですけれども、この地方財政を圧迫するしないのことについては、関知せざる態度ではなくて、常識的にもお考えになればわかることなんです。だから将来こうしたいと考え文部大臣構想からして、その場合の財政的な始末はこうやつたらいいじやないかという計画があつたならば、この際お示し願いたい。
  20. 天野貞祐

    国務大臣天野貞祐君) 私はこの九年先にはこれこれになるから、それは非常に圧迫するからという論拠で、今これをやめるという理由にはならないと言つたのでございます。現在やれるだけのことをやろう、それはあなたのおつしやるように、地方財政を私が何も考えないならば、何もこれを二科目にしようとか、そういうことを考えることはないのであつて、幾らいいことであつて地方財政をひどく圧迫するということはよくないと思うから、これは二科目にしよう、よんどころないから、そういうことをしようという考えなのであります。どうも小笠原さんのおつしやることは、私は今私のお答えしたのだけではないかと思いますが、何かありましたら……。
  21. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 私は文部当局考えというのは、最初そうでなかつたという前提を考えているわけです。是非一年生なら一年生には全部或いは全部に近い三科目教科書を配給したいという考え計画を立てられ、それでやれるのだという建前で大蔵当局その他とも折衝して、予算案そのものにこういう予算が載つて来たのじやないかと思う。それをその事務当局なりその他の計画が杜撰なために、一部地方公共団体に思わざる負担をかけることの反撃を恐れて、そうして教科書配給のほうを減らして行く、それでもなお且つ義務教育無償制度の原則を一部でも実現して、国民或いは一般父兄にこのことを明らかにしたいというようなことは、率直に私たち申上げるならば、羊頭を掲げて狗肉を売る、何か政略的な、何かのプロパガンダにするがためにやるという結果になつてしまうのじやないかということを恐れる。我々は先ほども吉川委員がおつしやつたように、教科書無償配給の原則そのものは反対しているのじやない。強硬にこれを推進したい。そのためには文部省自体は常に財政的な裏付をしておらない。或いは教員の給與ベースなり、或いは年末給與もそうですが、跡始末が一つも付いていない。そうして六三のそれでもだんだん跡始末が付かなくなつて、一人当り〇・七坪とか、何とか適当なことを考えて、常に負担を地方に多くかけている。そういう立場であるからこそ、今回は文部省自体が強力に本当に三科目配給しようという計画であつたならば、三科目が国と地方抱き合せて、平衡交付金補助金とを合せて、これでやるというような措置をとらない限りは、大蔵大臣平衡交付金の中に入つているといつたところで、これの運用は地方財政委員会の権限であつて地方財政委員会がそういうものを、平衡交付金を分割しで渡す場合に計算の中に入れなかつたらそれだけの話なんです。この前も文部大臣は、いやそれは大蔵大臣が保証しているというようなことを再三年末給與の問題等でも言われた。けれどもそういうようなものは、僅か三十五億なら三十五億という平衡交付金の中で何ら見られない結果になつてしまつている。そういうような前からの、財政的に文部当局が常に不十分な立場であるが故に、出発に当つて又こういうふうなことをし、そのことで自縄自縛となつて、そうしてオープンに又次の機会に大蔵省に正規の予算要求が、来年なら来年計画されたときに出せないということになつたらどうなるか。例えば今回一億三千九百万というのを最低單価を以てこれをやつた、来年は機械的にただ單に教科書の定価の値上分だけはそれは大蔵省は認めるでしよう。併しスタートに当つて足りないという部分については大蔵省は認めないだろうと思う。それでこういうことを実施して行く当初において、積算の基礎というものをはつきりして、それは文部当局も苦しい点があるだろうけれども、渡すと考えた部分は渡せる。且つ地方にも被害を與えない。そういう責任を持つた考え方でこの問題を処理してもらいたい、こう考えるが故に私らは再三質問しているわけです。これはくどいようですが、繰返して申しますけれども、六三の建築予算の場合でも、最初これだけでやれるということでOKもとり、そうしてやつて見たところが、やれないという結果になつて、次々と今年度の予算で来年度の予算をとつて、前年度分の校舎建築のほうに当ててやつて来ておつた。そうして先ずここまで糊塗して来たことは事実なんです。それと同様の結果がこれにおいて現われるかも知れない。その点が心配されるから、我々としてはこの問題を重大現しておるわけなんで、又前に戻つてお伺いしますが、この一億三千九百万円、これ自体で賄う範囲で適当に操作するということの考えをお考え直しになる御意思があるかどうか、この点をお伺いしたい。而も又そういうことを……二冊なら二冊配給するということで、或いは一冊でもよろしうございますが、それで各市町村の末端まで、その生徒数或いは銘々の学校が採決する自由な教科書の価格を以て賄い得るように措置することができるかどうか、この点はつきり御答弁願いたい。
  22. 天野貞祐

    国務大臣天野貞祐君) 文部省のやつて来たことについての御批判は私はただ承わつて、そういうことがないように、それが本当に小笠原さんの言われるようであるならば、そういうことがないように努めようと思う。教科書の財源はこれ以上今俄かに増すといつてもできないことなんで、だからしてこの財源においてできるだけのことをし、又地方にも或る程度のことは負担してもらうというよりほかにないと思うのです。
  23. 西郷吉之助

    ○西郷吉之助君 文部大臣は、昨日は雪のため流会になつたので、一昨日から大臣の出席を求めておつたのですから、二時半に予算に行かれるというのではなく、もう少し、ほかの大臣にも関連があるから来てもらつておるのですから、もう少し時間を割いて、ここに腰を落着けておるようにお願いします。さつきの相馬さんの御質問に関連しますが、天野文部大臣は、これは地財委とも話しておるからと安心をしておられるようだが、そういうこの土台が誤まりで、この前のお話しもお忘れにならんと思いますが、補正予算の際に二十四年度の教員の年末手当の問題、あの問題でもまだ結末が付いていない。結局民間で言うならば、文部省が債務不履行の立場になつておる。そういう事実が今日ある。六三制も莫然と始められたために地方財政は困難しておる、非常に困難なことを経験しておる今日、今回又こういうふうな、趣旨は誰も反対するものではない、大臣から喋々と聞く必要もない。こういうことは誠に結構であるが、我々は常に地方財政心配しておるのです。今度の予算を文部省大臣、局長は見たかどうか知らんが、これを御覧になるとわかる。今大臣地方財政平衡交付金の中に地方の負担分が一億四千万円入つておるように言われるが、二十六年度の既定経費を見ても、地方と政府との案は百九億も違うのです。削減しておるのです。既定経費においてもかくのごとく削減しておる。なお且つこれと関連する地方債の枠の問題も、地方と政府案は百八十五億も違うのです。これも足りないのです。なお且つ税收入、税外収入の増収の分におきましては、これは逆に大蔵省側は非常にこれを過大に見積つておるために、これは地方よりやはり百六十三億も税外收入があるように政府は考えておる。かかる地方財政の現況が二十六年度の現在の段階なんです。既定経費でさえ百九億も平衡交付金の中から削り、今回新たにこういうふうなことにする問題が、果してその百九億の削られる分に入らないで残るかどうかということは誰が保証するのですか。平衡交付金は御承知のごとく紐付でない。文部省のほうはそう勝手に考えるが、二十六年度の平衡交付金は既定経費でも百九億削つてやる。二十四年度の既定予算並びに補正予算でも、さつき申上げましたが、たくさんの債務が不履行になつておる、そういうふうに今日の地方財政は困窮なんです。大蔵省がこんなために地方財政が不十分なんです。今回でもその趣旨はいいですが、そこにいる辻田局長に質問したのですが、漠然としてさつぱりわからない。であるから、その際に私も言いましたが、この前高瀬文部大臣の当時、標準義務教育費の問題をみずから進んでここに来て説明したが、これも不発に終つた。教育関係者がその際多数来まして、自分地方の教員の給料が不確実であるから、不安定であるから、是非このような法案趣旨に努力してくれと何百人の人が来て頼んだ、非常に期待しておつたが、これは不発彈に終つた。香しからざることがたくさんある過去に……。であるから、このような趣旨のいい法案でも、九年間にやるというようなものであるならば、又一度やるならば、これは完全無欠のものにしなければならない。今大臣は九年間の先のことはわからんぞと言われるが、財政というものはそういうものじやない。国の予算でも二十六年度を考えるときには、二十七年度の予算を頭に置いてやつておる。そういうふうに長期の計画を頭に置いてやらなければならん。あなたはそういうことは考える必要はないと言われるけれども、それだからいけない。であるから、このような不十分な見通しで行くと、地方財政を更に圧迫する。なお且つこういうふうな政府の作る法案によつて、一部地方が負担するようなことが年々歳々増額されるので、それだけでも地方財政は非常に重荷に耐えない、それが地方の強い声なんです。そういうことを無視されてはいけない、なお且つこういうふうな国の法律によつて地方が三分の一なり、半額を負担する場合には、財政法十三條によつて、国はその財源を見てやらなければならないということが規定してある。それはこの平衡交付金に入つていると言われるかも知れないけれども、今申しましたように百九億も削つてある、それ以外に残つておるのだということはどうして言えるか。紐付はできないはずです。そういう際にあなたは長期の計画考える必要はない、これはそんなことを聞くことは無理だというけれども、無理じやない。財政というものは長期に考えるほどいいのです。来年、再来年、四年、五年後はどうなるか。而も日本は敗戰によつて多大な犠牲を拂い、国家財政のみならず、地方財政も非常に困難だ、地方の自治がまだ発足して数年である。だから殊に我々のこの委員会はそれを担当しておりまするから、日夜我々は研究して心配しておるのであるが、年々歳々地方財政に十分なものがない。この税外收入を大蔵省が過大に見積るのは、この前の補正予算においても大蔵大臣と立会いで、あなたも御列席になつたからよく聞いておられると思うが、地方には冗費に漠大なものがあるのだと、こういうような見解が強いのです。税外收入を大蔵省が担当の地方よりも百六十三億も税外收入を多く見積つておる、こういうような考えで大蔵省がおりますから、大蔵省のほうとしては多少のそのくらいの金は当然に心配しないでも地方に負担できるぞという、根抵にそういう考えがあるからだと思う。そういうことが非常に迷惑なんです。地方には……。而もこの間辻田さんの説明には、財源のことが一つもなくて、いろいろ質問するが、はつきりした見通しも何もない。極めて漠然としておつたのですが、市町村末端に行きますと、多少の金額でも非常に重荷になつて来まして、そうして従つてやむを得ず不足分を寄附に仰ぐようなことが、殊に教育関係には過去において多かつた。そういうことではいけないというので、地方の税をこの前殖やしたのです。その殖やし方も非常に多過ぎたために、財源たるべき税金が入つて来ない、そういう現状であると思うのです。この間の場合には、地財委の木村委員が住民税等もとつておるから、こんなことをやれるようなことを言われましたが、その住民税が重過ぎるために一番成績が悪いのです。困つておるのです。然るに大蔵省は税外収入をこんな過大に見積つておる、又地財も非常に削つた平衡交付金も削つた、そういう既定経費でもかくのごとき現状にあるために、文部当局は先のことは俺は知らんぞと、今度の法案でも、暫定的には国がやるけれども、骨子は地方が全額負担する法案じやないですか、そういうことを地方によく相談することなくして、漠然たる計画でなさると、重大な結果が地方財政に起ります。そういうふうな見通しのないことは甚だ怪しからんと思うので、今の大臣のお答えを聞いておつても、非常に不満に堪えない、而も一年だけ取りあえずやるんだ、全般はとても国の財政上できないから、いいことは急ぐために一年だけやるんだと、いいことは急いだほうがいいじやないかというお話だが、それはいいことは少しでも、一日でも早くやることがいいにきまつていますが、六三制のこともあるじやないですか、あれを漠然と始めたために今日も非常に困窮しておるんですよ、一年だけやつて、あとは二年になるか、三年になるかわからんと、そういうふうなことではいかんです。如何にいいことでも、こんな拙速はよくないと思う。而も本来負担すべき地方財政が困難なんです。その回復を待つて、それまでにやるならば、むしろ配布精神からいつて国が全額を以てやる、地方財政の余裕ができたら考え直す、それならまだ話はわかる。地方財政はそれでなくても非常に複雑で、而も非常に今日は困つておる、そういうような現段階において、天野文部大臣が、いいことであるから、とにかくそのうちの一部を実行するんだというようなことをされることは非常に遺憾に私は思うのです。いいことであるから、一日も早くやるんだということは必ずしもよくない、もつと天野文部大臣は文教関係のことについては、それに伴う財源、財政ということを、もう少し勉強しで欲しい、あなたの下におる局長連中は財政のことはよくわかつてないです。そういうことでは駄目なんです。私は今の天野文部大臣のお答え、吉川君、相馬君、小笠原君に答えられたが、全く私は不満なんです。であるから、今申上げましたが、そういう考えでおりまするが、重ねて大臣答弁を要求します。
  24. 天野貞祐

    国務大臣天野貞祐君) 今西郷さんの言われたことは、大体として西郷さんの御意見だと思うのです。であるから、私はそれを聞いて置きます。ただ私が言いたいことは、九年先まで何も計算しなかつたというのじやないのです。すつかり計算してあるんです。
  25. 西郷吉之助

    ○西郷吉之助君 見せたらいい。
  26. 天野貞祐

    国務大臣天野貞祐君) なかなか大額ですから、或いは九年先にはそういうことはむずかしいかも知れない、そのうち差当つてできるだけのことを自分らはしようというのであります。それから大蔵省の御批判がいろいろありましたが、私としては大蔵大臣を信頼し、そうして、且つ又一億三千九百万円というのは、地方庁で持たしてくれるというのですから、それをやつていかぬという道理はないのです。
  27. 西郷吉之助

    ○西郷吉之助君 天野文部大臣意見なら聞いて置くんだと、そういうふうな答えの仕方はいかんです。質問でも多少意見が加わる場合が非常に多いのです。こういう質問をするためには、こういう考えであるのだという自分の基礎を言わなければ、答弁されるほうが非常に迷惑であると思うから言うのであつて、それだけのことをぽつと聞いたんでは答えにくいでしよう、そちらのためにこつちは言葉を盡しておるのであつて、余計なことを言つたんじやない、あなたは議員じやない、よく議会のことをわかつてないんじやないですか。こういうことは重大な問題であるから、真劔に討議をする必要があるので、あなたの意見に答える必要はないと、そういうふうな非常に強硬なようなことを言われるが、如何に強硬であつてもいいですが、そういうことであつては困るんですよ。
  28. 天野貞祐

    国務大臣天野貞祐君) 答えないとはちつとも言わないです。御意見はよく聞いて置くと、併し自分はこういう考えだというのです。
  29. 西郷吉之助

    ○西郷吉之助君 それ以上いろいろ問題は争いませんが、さつき小笠原委員からも言われたがその九年間の予算は研究してあるんだというお話でありまするから、甚だ結構でありまするが、書面によつて至急出して頂きたいと思うのです。そうして改めて御質問します。今は関連質問ですから。私の質問はこれで終えて置きます。
  30. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 どうも只今の西郷委員質問に対する大臣答弁を聞いても、協力しない考えで、言葉は荒いですけれども、質問しておることに総理大臣の真似をいつかしたのかわからんけれども、なかなか思い切つたことをこの頃は言うようになつた。この間の文部委員会との連合審査でも相馬委員と相当渡り合つたそうですが、私は今回はもう歯に衣を着せないで少し申上げたいと思います。(「そのほうがいいな」と呼ぶ者あり)先ほど、まあ一例として挙げますが、文部大臣は私の質問に答えて曰く、六三制の建築予算その他のことについて、文部省が従来やつて来たことについて、小笠原委員の言うようなことがあろうとは思わないが、あるということであるならば、十分そういうことは考えると、こういうことを言つておる。あると思うならばというのでなくて、それが事実で、あなたは今回の四十三億という建築予算も予算要求しておるのじやないか、これは二十六年度の、これから建てるところの学校に対して助成しようとするのじやない。もう今建つておるこの二十五年度の不足分に繰上げて持つて来ておることは間違いないと思いますが、この点についても四十三億に見合う例年通りの起債があるかないかわからぬというようなことで地方では非常に困つておる、びつくりしておる。それから先ほど西郷委員が言つたように、あの年末給與半額は国で見ると言つておりながら、見ることのできなかつた七億という金がある、或いは級別推定表の切替えに要する金、四億九千万円、この金は平衡交付金の中に入る、確かにそれは地財委意見書を出して入れようと考えておる、併しどこに入つておりますか。入つてなんかいない、一般に紐を付けないで、ただ地方にそれぞれの比例配分で流し込んであるわけなんです。そういうことを文部大臣に言われてはちつとも我々の真意が通らぬ。で、改めてお伺いしますが、最初の一億三千九百万という計画は單価は最低單価とつたにせよ、国語、算数、理科、三教科目教科書を配給したいという計画であつたろうと考えるが如何ですか。もう一問一答をやります。
  31. 天野貞祐

    国務大臣天野貞祐君) 小笠原さんはこういうことがどうしてそんなに悪いでしようか。私があなたの言われるととはよく聞いて、そうして反省して自分に改むべきところがあれば改めると言つたのですが、初めに私としてはあなたの弁舌を重んじてそう言つた、それが不都合だというのは私は非常にわからない、自分は反省という言葉を言つたのです。自分のほうに悪いことがあるならば改めたいという、それは前置ですから……、初め最低單価計算をして、それで全部できると自分は思つたけれども、そのときでも若し国定教科書のような最低のものを作つた、それだけの費用が殖えるということは、これは当然考えておる。そのときにはそれはやはり市町村が持つてもいいのではないか、市町村に要らないものを買わせるのじやなくて、必ずそこで使うものを買うのであるからして、その父兄が出すか、或いはところによればPTAが出すとかいうような方法を講じて、そうして三科目を全部買わせたいと、こう思つたわけです。
  32. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 只今父兄が出すとか、PTAが出すとか言いましたが、それは出すというのは何です、PTAが出すと言うたら寄附でしよう。寄附行為は禁ずるということは岡野大臣とお二人でこの前了解しているじやないですか。又そういうようなことを、地方税をこれだけとりながら、教育のためであるからと言つて一部の父兄或いはPTAから、こういうものを出させていいだろうか。そういうお考えはこれは私意見ですから、意見には答弁しないそうだから、これは私の前置きです。(笑声)それで第二の質問ですが、然らば大蔵大臣に予算要求をするときも、そういう内容で要求されたろうと思うのです。そうするならば、それが実現しないからと言つて文部省自体としてたつた科目に減らして配給した。それで先ず先ずと言うて胸をなで下したと、こうなりますが、来年度になつたらどうなるか、大蔵省は三科目これはやつておるはずだ、やれると言つたじやないかということを言うて来るにきまつておる。これは六三の建築予算の場合に、そういうふうに逆襲されて文部省は困つた事実があつたはずです。或いは定員定額等の問題でも、いろいろ言質的なものを大蔵省に與えたがために、抜き差しならんので、その論理的な過程の上に立つてだけやらなければならんので、自縄自縛で文部省が困つた事実がたくさんあるはずなのです。来年度になつたならば、今度は三科目に配給してやりたいから、八千万円殖やして下さいと、大蔵省に例えば言うたとしたら、いや去年ちやんと三科目やることになつているじやないか、そうなればただ定価の値上り舟だけ予算が殖える、或いは生徒数の増加部分だけ機械的に殖える、それだけしか大蔵省は予算をくれない。これは尤もな話なのです。初めに嘘つ八なことをすれば、それのほころびを縫うことのために、文部省自体は非常な苦労をするのじやないかということを思う。而も文部省と大蔵省との間には、それならば今度は二科目にするということを、これは了承ができておるのですから、金がもう足りない。従つて科目程度配給することに計画を変更したということが、大蔵大臣との間に予解ができておるかどうかお伺いしたい。
  33. 天野貞祐

    国務大臣天野貞祐君) 私もできるだけ誠意を持つてお答えをしているつもりなのです。併し小笠原さんから、私が嘘つ八だとか、どうとか言われると、やはり自分も非常に穏やかいろいろと、これでも考えているつもりなのです。(「強硬でもいいぞ」「いや穏かでもいいよ論理を盡して一つやろうじやないか」と呼ぶ者あり)ですから、大蔵大臣には今あなたがおつしやつたようなことでよく了解してもらつております。
  34. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 よく了解してもらつておるので、一部分無償配給をするということは、この内閣の態度としてきまつておるのですか。計画内容を閣議にかけて、そうして決定して一億三千九百万円という予算が承認を受けたろうと思うのです。その計画が変更されても、それは文部大臣きりで、当該所管大臣である大蔵大臣了解さえ付けば、それでいいのですか。
  35. 天野貞祐

    国務大臣天野貞祐君) 閣議ではこういう趣意の無償配給をするということは言いましたが、何の科目をどうしてどうということは閣議ではかけておりません。
  36. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 それならば、こういうふうに計画変更になつ責任はどこにあるのですか。だんだん聞いて見ると、大蔵省にあるわけはないのです。これは飽くまでも文部省の、私は大臣だとは考えないが、当局者の計画の作り方というのが杜撰であつたと言えるのじやないかと思う。こういう点について大臣はどうお考えになつておられるか、部下官僚はなかなかよくやつたとお考えになつておるか。この際御質問をして置きたい。
  37. 天野貞祐

    国務大臣天野貞祐君) いや、責任があれど全部私の責任であります。部下官僚はよくやつてくれておると思うのです。ただ(「委員長々々々」と呼ぶ者あり)まだ答えておる最中です。発言中です。で、これは当時計算したときに、最低の価格を計算してあるのですから、紙の値上りとか、いろいろなことでそれが変つて来れば、当初通りやれないということはいたしかたないではないか。
  38. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 そこの前提が誤まつているんじやないかということを私は言うのです。なぜ最低單価を積算の基礎にした、そんなわかりきつたことをなぜ最低でやるのか、例えば平均値をとるとか、或いは過年度の全国教科書の需給状況を、或いは総金額ということを見まして、そして人口増なり或いは値上り分なりというものを大よそ見まして、これだけあればいいという総額をとるならわかる。然るになぜその最低單価というもので、初めから不安全になることを……、これを是認したわけじやないと思うのです。さつきの話では、あとになつてわかつて来たのですから……。併しながら計算の仕方自体から言えば最初から不完全だ、そういうものをなぜ大臣は承認したかということなんです。
  39. 天野貞祐

    国務大臣天野貞祐君) 日本財政が非常に豊かであるなら、それはもうどうでも計算をするでしよう。併しこの乏しい財政において、できるだけ生徒に教科書を渡そうすれば、勢い最低のもので計算するというようなこともやむを得ないことではないか、而も朝鮮動乱というようなことによつて物が非常に上つて来たから、そこに幾らか狂いが出て来たということも私はいたしかたないことだと思つております。
  40. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 それがどうも私はおかしいというのです。朝鮮動乱や何かをこんなところに持込まなくてもいい、現実の今の單価そのものですよ。将来の値上りその他のことを考えるのじやない、現実の現在の単価において、全国でどういう需給状況であつたか、各学校が自由選択していますから、だから平均値をとつたところでどうにもならんですから、総額だけは掴めるわけです。昭和二十五年度の教科書の需給状況というものは掴めるわけだ、その程度で掴んで一億なり、一億二、三千万円なり殖えるという程度のことが、現在のこの国家予算ですよ、中央政府の予算においてどこに支障があつたのか、恐らくこれが二億三千四百万円かかるんだと出せば、これは二億三千四百万円かかるのだということで承認になつたのじやないかと私は推察する。三千万円、五千万円の増というものだから、これは駄目だ、こういう無償配給はやめろということではないだろうと思う、それは大蔵大臣が再三答弁しているのには、文教関係の予算は画期的に増額したということを言つている。或いは吉田総理の常々言つていることから言つても、こういう点は例えば文部省が二億五千万要求するならば、それを承認したに違いないと考えるが故に、初めからの計算が杜撰であつたがために、その尻拭いのために、教科書をほんの一部配給というような結果になつて来たのじやないかということを我々は非常に遺憾とするわけなんです。この点について文部大臣から率直にお伺いすれば、その文部大臣答弁によつて、是非この三科目は今においても配給したいのだというようなことであれば、我々はお互い各会派に頼んで、予算委員会でも、その他でいろいろこれは研究もし、努力もできるのじやないか、そう思つて聞いているわけなんです。それをこれはもうやむを得ないのだというようなことは、自繩自縛であるからやむを得ないのだという結果になるんじやないか、こう思うのです。もう少し率直にこの点御答弁願いたい。
  41. 天野貞祐

    国務大臣天野貞祐君) 三科目が望ましいことは今おつしやる通りです。私も非常にそれを望むものですけれども、併しやはり財政のことは大蔵大臣の御意見に従うよりほかにないし、又この地方庁の御意見もあるのでありますから、それで私はその一億四千万円ということが、今のところはせいぜいだと思うわけであります。
  42. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 それじや一応文部大臣への質問はやめますが、やめるために、今度はずつと飛躍して技術的な問題をお伺います。それは四月一日新学期に、子供たちに計画教科書無償で配給できるように措置をとることにおいて文部大臣責任をとるか、この点お伺いして置きたいと思います。もう一度申上げます。四月一日新学期、四月八日のところもあるが、新学期の入学式になるまでに教科書児童の手に渡すということについて確信があるかということが第一点。それから第二点は、この一億三千九百万円という補助金は、これは市町村の末端まで均霑に渡すのかどうか、お考えであるかどうか。それから第三点としては、出版会社等が金の回収が遅れるのですから、それに対する金融措置について大臣はどうお考えになつておられるか、これは第三点でございます。それから現在の考えとしては、現在の考えでいいのですが、来年度の教科書無償配給という問題については、どうしたいという希望を持つておられるか、この四点をお伺いして置きたいと思います。
  43. 天野貞祐

    国務大臣天野貞祐君) 初めの三点は技術的のことですから、政府委員にお答えさせます。最後の点については、是非そうしたいという希望を持つておます。併しそれはよくこの日本財政も研究をしなければいけませんから、私は教育財政審議会というようなものを作つて、そうしてよく審議してもらいたいという考えを持つております。
  44. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 最後の技術的なことは政府委員でようございます。ただ大臣がおつて答弁して頂きたいと思います。それから第四点の来年度の御抱負ですが、それはそうしたいということは、二年生に累進してこれを拡大して行きたいということですか。一年生だけを全体的に完全に無償にする線で進みたいということですか。それともその両者を兼ねて完全なものに逐次年を重ねてやつて行きたいという御希望なんですか。はつきりお答え願いたいと思います。
  45. 天野貞祐

    国務大臣天野貞祐君) 逐次年を重ねて行きたいと思つております。それは先ほども申上げてあるのです。九年皆ということはなかなかむずかしいことかと思います。併し差当つて来年度には一年と二年とができたら是非そうしたいという希望を抱いております。併しそれは一般教育敗政に関しては客観的な研究が必要だという考えから、教育財政審議会というようなものを作つて、そこに付議したいと考えております。
  46. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 ついでですから、お伺いして置きたいのですが、最近、これは私も一昨年から関與しておつたのですが、内閣にある教育刷新審議会が、教育財政全般について総理大臣に結論を献言したような新聞の発表があつたのですが、それらの機関でなく、特に教育財政だけ抜き出して審議をするということは、これは構想としては、文部大臣の諮問に属する文部省関係の所管としてそれをお持ちになろうとしておるのか、内閣のそれとしてお持ちになろうとしておるのか、ちよつとこれは蛇足になりますけれども、構想をお伺いして置きたいと思います。
  47. 天野貞祐

    国務大臣天野貞祐君) 私の今の構想では、文部省の所管としてそういうものを置きたいという考えです。
  48. 相馬助治

    相馬助治君 小笠原委員と同じ質問ですが、政府委員の説明で満足するという小笠原君のお話ですが、この教科書の問題については、御承知のように閣議決定をしたとして、新聞に五段抜きで一年生の分は無償で配給するということが天下に公表されております。そういう意味合で本日この場所において、計画は変更されるけれども、教科書についてはこういうふうにするとか、或いはこのことについては、現在のところ教科書無償配給というものができがたいとかということを、文部大臣見解として本委員会を通じて天下に私は声明して頂きたい。ただその場合に、それはあなたがた国会がきめることなのであるから、きまつたならば云々ということだけは私は承服しがたい。と申しまするのは、本法案に私は賛成しておる。趣旨にも全く同感で賛成しておる。ただ我々はその財政措置上、地方がこれに対してどういう反応を示すか、具体的にうまく行くか、こういう懸念を持つていろいろ質疑を重ねておるわけであつて、我々の意思はそうなんであるからして、この際天下の父兄が安心の行くように、文部大臣としては一年生の教科書についてはこうするんだ、こういう現在における見解を本委員会を通じてどうぞ一つはつきり聞かせて頂きたい。こうお願い申上げます。その上で政府委員の答えを……。
  49. 天野貞祐

    国務大臣天野貞祐君) 私どもは委員諸君のお話も聞き、いろいろして法案を作りたいと思つております。まだ法案は提出しておりませんのですから、よくお考えを聞いて、そうして法案を作りたいという考え方であります。天下には別段私どもがそういうことを大々的宣伝したというわけでもなく、自然に出たことでありますから……。
  50. 辻田力

    政府委員(辻田力君) 先ほどの小笠原委員の御質問にお答えいたしますが、第一の点は、四月一日に教科書が間に合うかという問題でありますが、これは四月一日に間に合わせるべく努力いたしております。なお特に義務教育一年の教科書無償になるというようなために、そういう理由のために遅れるということは絶対にないように手配を嚴にいたしております。第二の点は四月と言いますか、新年度句々できるだけ早く補助金を支出することになるかという点であつたと思いますが、この点につきましては、関係方面とよく連絡いたしまして、できるだけ速かに指令を出したいと思つておりまして、業者等に迷惑をかけることの少いようにいたしたいと思つております。次に、金融措置の問題でございますが、これは目下関係官庁並びに銀行等と折衝中でございます。
  51. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) ちよつと申上げます。衆議院の予算委員会からしばしば大臣の出席を求めて来ているので大体……。
  52. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 それなら他の所管大臣答弁を求めた場合に、質疑を行なつた場合に、文部大臣答弁と食違い等ができたというような場合には、文部大臣の都合の付く日を以て、こういう機会を與えられるように、委員長から特段にお取計らいを願いたい。
  53. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 承知いたしました。相馬君よろしうございますか。
  54. 相馬助治

    相馬助治君 私どもはなぜこういうことをしつこく問題にしておるかと申しますと、今までの教育財政の問題は、えてして文部大臣は純粋なお考えから、そういうふうに考えられておる。而も非常に努力されておることを我々は十分に認めるのです。ところがこの平衡交付金というものが魔物であるからして、紐付でないからして、昨年の補正予算の三十六億の中に大蔵大臣は極めて勝手な説明をして、あれも入つている、これも入つている、入つていないと言えば入つていない、こういう説明にまでなるために、我々は文部大臣とそれから岡野大臣財政委員長と三人列席されている席上を以ていろいろ質疑をし、結論に到達したいと、こう言つているのでありまして、これは我々としても衆議院側の都合も考えて上げなくちやならない。又文部大臣としても約束していたというならば、これもお困まりでしよう。従つて小笠原君のは、そういう了解の下にと、お手柔かいのですが、私はそういう何か不審の点がある場合には、必ず岡本委員長責任を以てお三人列席の下に同一委員会を開くという白紙を下さるならば、私は承諾するし、そうでなければ、甚だ御迷惑かも知れませんけれども、暫時その席にいて頂きたい。岡本委員長一つ聞いて頂きたい。
  55. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) なお皆さんの御要求によつて、両大臣地方財政委員長列席の下に会議を開くことにいたします。なお天野文部大臣に申上げて置きますが、各委員の発言の真意ももう御了承のことと存じます。教科書に関する法律案が近く出るようですが、その趣旨については、もうすでに皆賛成をいたしておる。ただこれまでの文部省措置によりまして、地方財政が非常に困つていることは御承知の通りであります。六三制の問題では自殺をした町村長が出ている。そのために全国町村長の二割が辞職しなければならんというような状況もできて来た。又このたびの給與べースの改訂によりまして、もう府県ではとてもこれではこの二十六年度の予算が組めない、それで是非この委員会からもこの実況調査に来てもらいたいという強い要望もある、こういう状態であります。だから文部省が施策をせられるに当りまして、十分地方自治庁地方財政委員会並びに大蔵省当局に、地方財政の圧迫にならないような予算措置をするように十分努力して頂きたいこういう意味質問申上げておるのであります。この点御了承をお願いして置きます。
  56. 天野貞祐

    国務大臣天野貞祐君) 私はこの席におつて質問を受けたいのですが、この間も予算委員会に出ないで文部委員会におつたら、予算委員会から非常に叱られたから、今日は一つ……。
  57. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) どうぞ。
  58. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 政府委員に私質問します。私の聞いているのは、途中の都道府県教育委員会から出版会社との間に了解が成り立つて、そうして各市町村の配給の伝票を以て、固めて配給業者に金を渡すというような措置をとらないで、市町村の末端までその金が行き、市町村は二十六年度予算の運用の中から金をいつかは支拂う、こういう形になるのだろうと考えておるので、そう了解してよろしいかということなんです。
  59. 辻田力

    政府委員(辻田力君) 只今のはその通りでございます。市町村に対して支拂をいたすことになります。
  60. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 政府委員に御質問ありませんか。
  61. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 この間の御答弁では、三科目余に亘る教科書を配給したい、そうしてそのために地方がこの交付金或いは補助金以外に金がかかるという場合には、地方に負担してもらいたい。こういう御答弁があつたのだから、いつこういうふうに計画が変更されるというような省議決定があつたのか、この点をお伺いしたい。
  62. 辻田力

    政府委員(辻田力君) 法案といたしましては、御承知の通りまだ出ておりません。政府におきましては、関係各庁と十分連絡し、研究をして、成案ができますれば、予算に提出、御審議を煩わしたいと思つておりますが、その研究の過程におきまして、只今お話のような案になつておるわけでございます。
  63. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 この計画変更の問題は、法案自体の中に盛られる問題ではなくて、何々等ということで、適宜それはやれることになろうと思うのです。だからそういうことの関係を私は聞いているのではなくして、いつこういう計画変更の省議決定があつたのかということを聞いているのです。
  64. 辻田力

    政府委員(辻田力君) 甚だ失礼でございますけれども、省議決定があつたか、いつあつたかというこの問題につきましては、文部省としても、地方財政関係から十分考慮しなければなりませんが、省議決定と申しますか、省議のことをここでいろいろ申上げるのは如何かと思うのでございますが……。
  65. 相馬助治

    相馬助治君 ざつくばらんにやりなさい。我々は聞いておる。
  66. 辻田力

    政府委員(辻田力君) 省議決定と申すよりも、むしろ我々の案をまとめましたのは本日でございます。
  67. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 ここに臨むに当つて、そうすれば、急遽考えをまとめて来たというようなことに誤解を受けるような答弁なわけですが、そんなことなら先の文部大臣の言つたことは何ら一貫していない。私のお尋ねは、この前の委員会のあとであるはずなんです。この前の委員会ではそうでない御答弁であつたから、だからいつかということを聞いておるのです。
  68. 辻田力

    政府委員(辻田力君) 只今説明が不十分だつたと思いますが、先般来ここでいろいろ御審議を煩わしまして、我々といたしましては、皆さんの御意見を十分拜聽いたしましたので、そういうことも十分案の作成に考慮を加えまして、先般来研究を続けておつたわけでございます。私のほうで両大臣がいろいろお話下すつたのが、最後にきまつたのが今朝のように聞いておるわけでございまして、省議決定ということはございません。
  69. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 そうすると、こういうふうに確認してよろしいか。即ち当初の計画においては、一億三千九百万円というもので平衡交付金並びに補助金を以て措置し、その上にはみ出た部分は市町村に賄つてもらおうと、こういう計画であつたのが、いろいろ各般の事情を考慮した結果、それもなるまいということで、これだけの金額平衡交付金で賄える範囲において教科書を配給しよう。こういう計画に変更したのか、こう了承してよろしいか。
  70. 辻田力

    政府委員(辻田力君) 大体お話の通りでございます。
  71. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 そうすると、あえて文部大臣責任ということで私申上げるのじやないが、計画或いは立案したおかたがたが、我々国会或いは外部の意見があつて、こういうようなことにしなくちやならんというふうに初めて気が付いたように聞きとれて、誠に以て適当なることをやつたものであるということを言わざるを得ないのですが、そうでないというならば、この際明らかに、まあ時間もなくなつたようですが、辻田局長弁明して置かれたほうがよいのじやないでしようか、答弁を求めます。
  72. 辻田力

    政府委員(辻田力君) お答え申上げますが、地方財政委員会或いは地方自治庁と前からいろいろ連絡いたしておりましたが、併し最後的にと申しますか、大体の結論を、何と言いますか、両方の意見が一致いたしましたので、本日只今の案を申上げた次第でございます。
  73. 相馬助治

    相馬助治君 先ほどの文部大臣質問に続いて、岡野大臣並びに木村財政委員長代理にお尋ねいたします。文部省側がこの本法案成立の曉に、どういう財政措置をする予定かということは、先ほど天野文部大臣がおつしやつている通りです。再び繰返しますと、一億三千九百万政府で見てやる。これをあとは平衡交付金で見てやることに大体了解が付いておる。それにもかかわらず、残念ながら最初計画通り配給できないから、二科目になるだろう。併し地方町村は最近裕福になりかけたから、町村にあつてはその足らない分まで担わせて、うまく配給できるであろうというような、誠に気楽な話をされておる。一体このことをお聞きになつて、木村財政委員長代理にお尋ねしたいのですが、これはこの前に聞いておりますので、岡野さんにお尋ねしたい。地方財政法の趣旨からいたしまして、国が地方団体財政義務を課する場合には、その財源を措置してやらなければならないということが、地方財政法の第十三條に謳つてございます。この財政法の趣旨からいたしましても、本法案の成立を岡野国務大臣は希望されるかどうか、本法案が成立した曉には、財政上の措置において、地方財政について自信が今おありであるかどうか、以上二点をお尋ねいたします。
  74. 岡野清豪

    国務大臣(岡野清豪君) お答え申上げます。これは各委員とも皆様御賛成下されるごとく、私自身としても非常にいいことであるという意味において、この法案の通ることは非常に希望しております。併し一面立場を変えまして、地方財政が非常に窮乏に陥つておるということは事実でございます。又先ほど西郷委員からお示しの通りに、来年度千二百九億の地方財政委員会平衡交付金を欲しているのであります。併しながら中央財政といたしましては、いろいろ国家財政立場から、余り地方に比べましで裕福ではございませんので、千百億に削られたわけでございまして、その意味におきまして、百九億平衡交付金が足りない。こういう場合にこの法案によつて引受けて行くということには、私の立場といたしましては甚だ苦しい状態であるのであります。併しながら、とにかく一般の義務教育無償にやるという、これは憲法上の無償であることはまだ私その点は研究しておりませんけれども、併しながら教科書をやるということは非常にいい。同時にそれが財政委員会において何とかやり繰りができ得るならば、是非一つやらしてもらいたい、こういう希望を持つておりますから、これは文部大臣と全く同一意見でございます。でありまするから、只今財政委員会のほうにお伺いしまして、何とかこれはやつて行けるような方法はないものだろうかということで研究さしておる最中でございます。
  75. 相馬助治

    相馬助治君 地方財政への影響は……。
  76. 岡野清豪

    国務大臣(岡野清豪君) 地方財政への影響は、これは当然今窮乏しておる財政でございますから、これをやるとすれば他の事業を縮めなければならんことは事実でございます。
  77. 相馬助治

    相馬助治君 この法律案が成立して、このような地方財政の需要が必要となるという場合には、他の事業を縮めても、これに出さなければならないという今の大臣の御説明でございますが、この際私は一つ厳粛にお尋ねして置きたいことがあります。と申しまするのは、政府が我々に出した法律案要綱の負担及び補助というところを見ますと、当分の間その二分の一を云々と書いてある。それでこの当分の間とはどういうことであるか、当分の間とは当分の間であるというような禅問答のようなことを聞いておるのではない。当分の間というのは具体的にどういうことであるのか、而も九年後には五十億という金が必要であるということを聞いた場合に、我々立法府に国民の代表として参加しているものは、法律の性質を考えて見て、日本の教育がこのような一つのルートを通つてつて行けるのだということを確信するのでなければ、本法案賛成できない。従つて当分の間とは具体的に何だということ、どういうふうにお考えになるかということが第一点と、それから九年後には総額五十億になると言われておるのですが、かかる厖大なる数字が、現在の見通しにおいて地方財政にどのような影響を與えるとお考えであるかどうか、以上二点を一つお聞かせ願いたいと存じます。
  78. 岡野清豪

    国務大臣(岡野清豪君) お答え申上げます。この当分の間という元の案につきましては、先ほども申上げましたように、文部当局地方自治庁財政委員会の各当局者が寄つて研究中でございます。でございますから、この原案にあります当分の間を、当分の間が二十六年度だけか、若しくは二十七年度と続くか、又先ほど御説明になつたように九年も続くのであるかということについては、まだ十分三者の意見が一致しておりませんので、研究中でございます。
  79. 相馬助治

    相馬助治君 それはちよつと不思議なので、そうするとさつき辻田局長の言つた……両大臣で一体何をきめたのですか、この当分の間ということは、この先何年するとか、今年度だけの措置であるとか、そういうことは本法案については極めて重大な問題である。それが未だに一致していないと言うに至つては我々は驚かざるを得ない。而も特に国会に十分の審議期間を與える意味において、法律案の提出の前にこういう資料を出したのだというのかも知れませんが、問題は新入学の兒童というものが四月に入ることになつている。そういう具体的な情勢下から考えて見て、未だに三者の意見が一致していないというようなことは、甚だ奇怪でありますが、どうもそういうことなら、それで仕方がない。きつく叱り置くところでありまして、その次にあなたのお考え、あなたのお考えはどうですか、これをお聞きして置きます。
  80. 岡野清豪

    国務大臣(岡野清豪君) 先ほど文部当局から御答弁申上げました、今朝意見が一致したというような点は、これは二十六年度の分に対してほぼ意見が一致したのであります。まだ小さいことは残つておりますから、大綱がきまつただけでございます。それから私の見解といたしましては、九年も先になり、そのときに至りますれば、地方財政に五十億もしわ寄せするということは、只今地方財政の現状においては私はできない相談であるということをはつきり申上げます。
  81. 相馬助治

    相馬助治君 最後のできない相談であるということを私は聞いて、一応岡野大臣の、地方自治の総元締である大臣の見識のほどを伺つて心強く存じます。と同時に、私は本法案については、断乎として財政の問題を追及して、都合によつては、さつきから賛成する、賛成すると言つておりまするが、反対せざるを得ない状況になるかも知れないので、次の委員質問に讓ります。
  82. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 さつきからお伺いしておると、誠に奇怪な話を再三聞くのでありますが、それは例外的には計画ができ、予算案が出てから、そうしてその予算執行に伴う法案を御研究になるということもあり得ると考えます。従つてこの点は一般の問題として我々も内部の事情やむを得ないものがあろうと考えるのですが、ところが私の考えではそういうことであつてはならない。これは一つ計画である。予算案が出て来る前に、法案の骨子は確定していなければならん問題であろうと思われるのであります。その理由は、これは一般の補助金を出して国と地方とで事業をやつて行くという、他の事業とは根本的に趣旨が違う、即ち憲法義務教育無償、この問題を実現する一途として、この教科書の一部無償配給の問題が、起つておるのであるから、憲法無償にするということは国の財政地方財政がどういうふうにこれを分担するのか、或いは国が持つことを無償というのか、地方公共団体が持つことを無償というのか、こういう点が明らかにされておらなければ、当分の間であろうが、本年度限りであろうが、二分の一ずつ持つのが妥当であるのかどうかわからんのじやないかと思うのです。この際地方財政を担当せらるる岡野大臣にお伺いしたいが、こうした無償問題が多々将来において起つて来るでありましよう、そういう場合を考え、而も今回のこうしたスタートを考える場合には、現内閣はこの義務教育無償という問題は、国と地方がどういうふうに財政負担をして行くのが望ましいとお考えになつておられるのか、この点御見解を承わりたい。
  83. 岡野清豪

    国務大臣(岡野清豪君) お答え申上げます。私が端的に判断いたしますというと、義務教育憲法無償でするということは、その点においては私は少し疑問を持つておりますが、併しこういうふうな制度ができますときに、国と地方公共団体とが割振つて協同して出すということは徹底を欠くのじやないかと思います。でございますから、こういう制度ができるならば、結局国が全額を負担してやるのが一番徹底したことであろうと思います。
  84. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 誠に明快なる結論を聞きまして、意を強うするのでありますが、ところが文部事務当局は、無償というものは市町村が全部持つということが、これが原則なのであるということを言つておる。どつちが財政操作において権威者であるか、ちよつとわからんような話が出て来ておるわけなのですが、その点は文部当局考え方と相当距たりがあると思うので、あとで文部大臣にこの問題は御質問したいと考えます。そこで一つ岡野大臣は、そういう線に沿うて今後根本的に無償の問題にメスを入れて、来年度予算でそれが実現を見なくても、将来の方向においては岡野大臣考えを通して行くよう御努力頂けるかどうかという点も併せてお伺いできると、我々として誠に見通しとしていいものがあるわけであります。で、その点一応御見解を承わりたいのですが、先ほどの御答弁から発展しまして、そういう考え方が或る大臣にあり、或る大臣になくて、結局そうすると半分に割つたということは、どういうところから地方自治庁は同意を與えたのであるか、お伺いしたい。
  85. 岡野清豪

    国務大臣(岡野清豪君) お答え申上げます。今までこういう思想が流れておつたように私は了解しております。と申しますことは、地方はとにかく直接住民に接触をしておる。同時に自治をやつおる、そうすれば結局地方のことは地方で、自分自身でやるという趣旨が、これが自治確立の精神だと思います。ところが各地方ともいろいろ貧富の差がございまして、これが均一になつておらない。併しながら国家としましては国民に対して均一に、殊に重要な義務教育のごときは都市にあろうが、山村にあろうが、やらして行かなければならない。そういう場合には一律に地方公共団体に押し付けてやらせるということは、私は自治の確立の上にもむずかしい。そこで初めて国庫が補助しなければならない。そこで国庫が補助しますときに御承知の通りの平衡交付金によつて出しまして、そうして平衡交付金は皆さんすでに御承知の通りに、裕福の方面には薄くしまして、そうして貧しい町村に対しては厚くする、そうしてやつて行こう、これがいわゆる平交の意味であります。そういう意味で両方から出して行くということになりますのでございますから、ただ問題としましては、若し日本の国家が経済状態が非常に繁栄しておりまして、金の問題がそう苦しくない。即ち中央財政も裕福であり、地方財政も裕福であるということであれば、その理想論も通りますが、併し只今のところではむしろ地方の苦しいことも無論十分よく知つておりますが、中央財政の苦しいこともよく知つております。そこでその苦しさの余り平衡交付金が……、財政委員会の要求は全面的にその通りであると知りながら、閣僚といたしましては、地方財政を検討しますときには、やはり幾らか削減しなければならない、こういうような誠に遺憾な採決をしなければならない、こういうような情勢であります。一に国の財政並びに地方財政が苦しいというところから、いろいろの御議論も承わるような結果が出て来るとこう思うのでございます。
  86. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 そうしますと、端的に言うて、二分の一国が補助金を出すということをおきめになつて予算化せられた当時においては、地方財政考える岡野大臣としてはまさか本年限りのこととしてお考えになつてはおられなかつただろうと思うのですが、この当分とは、いわゆる当分の間続くのであるというお考えが強かつたのであるか、又そういう御意思が今日においてもおありになるというふうに了解してよろしいかどうか、お伺いしたい。
  87. 岡野清豪

    国務大臣(岡野清豪君) お答え申上げます。  当分の間というのは文部省から案が出ました場合、予算を決定いたしますときには、二十六年度に一億三千九百万円を無償交付する、二分の一の割当として出すということだけは我々は了解しております。でございますから、将来のことに対して、私は何ら閣議のこの無償配給に対して決定するときに相談を受けておりません。
  88. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 それでは、これは逐次拡大されて行くものであるとの予想の下におきまりになつ一つ事業であると考えるのですが、先ほども文部大臣にお伺いしたので、改めて又申上げませんが、将来のこの事業遂行に対しての財政的な規模等からお考えになられて、そうして而も無償配給という問題とからんでこの問題をお考えなつた場合に、岡野大臣はこの負担関係をどうして行くことが、或る程度これを逐次実施して行けるというふうにお考えになつたのでありますか。
  89. 岡野清豪

    国務大臣(岡野清豪君) お答え申上げます。  先ほども私はお答え申上げました通りに、現在の段階においては見込み薄だという見通しを持つております。併しながら皆さんがたも御存じの通りに非常にいい制度でございますから、これができるなら進めて行きたいということは文部大臣の意向と同じでございます。ただ問題はすでに国会へも提出してございますが、市町村並びに府県の事務再配分の勧告が出ております。その案を政府でも研究をし、早急に結論を出そうと思つて日夜苦心をしておる次第でありますが、あれができますということになりますれば、市町村の事務がすつかり変つて参ります。変つたときには当然の措置として財政計画を全面的に検討しなければなりません。でございますから、その行政事務再配分というものがきまりますと、並行しまして、そのきめた上においては地方財政を如何にするか、即ち新らしい財源を入れ繰りをしたり、與えたりしなければならない、こういうふうなことが目前に迫つております。こういうふうな趣旨を皆様がたの大変な御賛成を得るならば織り込んで、そうして財政計画の一端に差し加えてやつて見たい、これが私の希望であります。
  90. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 大変はつきりした御見解で、私たちも非常に参考になつたわけですが、次に木村さんにお伺いしますが、これはもう極く最近のことになつたわけですが、文部大臣は金の範囲で二科目なり、一科目なり、まあ配付できる範囲で配付する、地方にそれ以上の負担はかけないということで了解を得たという御答弁のように承わつたのですが、木村さんのほうはどういう御了解をお與えになつたのか。この前の木村さんの御見解というものから考えて予想される答弁があるのですけれども、前の考え方と変つたような結論の答弁であれば再度質問しますが、先ずどういういきさつがあつたのかお伺いします。
  91. 木村清司

    政府委員(木村清司君) 地方財政委員会のこれは特別な性格と思いますが、内閣の閣議に拘束されないわけでありまして、従いまして私どもといたしましては、こういう法案ができる際におきましては、我々の独自の見解を申入れます。そうして地方財政の擁護のために極力努力をいたしております。而してこれが結果はどういうことかと申しますと、例えば昨年の補正予算の際において我々が要求いたしましたあの大きなこの給與べースの改訂の問題と、これは非常に莫大な地方の負担でありまするが、これが我々の意見が容れられない、増額が容れられないといたしました場合にどうなるかと申しますというと、結局容れられないからといつてそれに相応する部分については平衡交付金の算定の基礎の中には、そういう事務的な経費、我々が是非入れなければならんという事務的な経費ですね、結果的に見まして……。事務的な経費を入れることは我々当然の義務だと思つております。従いましていわゆる既定経費といううちの既定を削除いたしまして、結局その方が比例的に減るということに関しまして、按分比例することになることは、これは同じ枠内でありますから、このことは当然であります。従いましてこの今の問題についても全然同様の意見を持つているわけです。従いまして私どもといたしましては、こういう方向については平衡交付金の増額と相待つべきものであるという意見においては終始変らないのでございまして、ただ併しながらその過程におきましては、できる限り岡野国務大臣にお願いいたしまして、地方の負担が、こういう案ができましても、若し押し付けられましても、最小限度の負担であるということを希つているわけであります。従いまして私どもといたしましては、これを承知するとか承知しないとかという範囲にはこれは財政委員会の性質上入らないものと思います。これは自治庁の職分として入るのでありまして、財政委員会としては入らないのです。但しこの予算なり、法律案国会を通過いたしますれば、私どもはこの国家的義務法律上の義務負担でありますから、この一億四千万の程度において義務負担でありますから、これが平衡交付金の配分については義務負担の経費と見て、これを市町村の標準財政需要の中に算定するということにいたすということは、これはもう当然でありまして、何か承知したとか承知しないとかいろいろなことをおつしやいましたけれども、これは財政委員会といたしますれば、そういうことを岡野国務大臣に対しまして、私どもがよく内閣なりそういう方面に対して地方財政の……、ないようにすることをそういうことを進言し、若し国策上これが容れられない、国策上他が優先いたしました場合においては、国策の遂行には遺憾なからしめるように措置いたしたいとこう考えておるわけでありまして、その点私どもは遥かに前の案よりも地方財政負担が一応少くなつたように本日承わつておりますし、或いは氷山の頭のようなことも、必ずしも氷山の頭でないということも法律上必ずしもきまつておらないということは、そういう非常に細かいことについては私どもその意味においては多としておるわけであります。その点で承知したとか承知しないとかというようなそういう筋合いのものでないということだけ一つ……。
  92. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 よくわかりましたが、ただその場合に百九億なら百九億というものが平衡交付金のもう予算として地財の、地方の需要額からは削られておる、それは義務付けられない部分で削られておるとしましても、紐付きでないのですからこの一億三千九百万円は結局地方に流れて行けば、地方市町村地方市町村自体財政規模で緊急なものに金を使いたくなる。併し義務支出ですから教科書代金は拂わなくちやならん。そうなれば岡野大臣がおつしやつたように他の事業を縮小するということで、漸く他の犠牲によつて教科書配給ということが遂行されるという場合が多々あるだろうと思われます。そして而も先に申しましたように、地方財政委員会自体においても地方財政の見方そのものを、義務付けられるものが多くなりますから考え直さなくちやならんじやないか、百九億削られた分について考え直さなくちやならない事態になるのじやないかとも考えられる。そういう点から見まして、この際私は岡野大臣、或いは地方財政委員会にお伺いしたいのですが、この文部大臣考え方をこのまま一閣僚として考えさせておいていいかどうかという問題になつて来る。この前の補正予算の場合にもそれは大蔵大臣が三十五億の平衡交付金の中に入つておると言つて、もう承認を與えたからこれは安心なのだ、地方には心配をかけないのだとこういうことを言つておる。今回の場合も大蔵大臣了解して補助金予算というものを出す。そうして又平衡交付金の中にこれだけの金額が入つておるというのだからそれでいいじやないですかと、こういう考え方が現在の地方中央との財政の今の操作の仕方で苦労されておられる自治庁なり、財政委員会としてこういう考え方を持つて頂いてどしどし事業を進めて頂くことについてどうお考えになるか。私たちは国会議員としても誠に新米で素人でありますけれども、そういう予算も出ておる、平衡交付金には大蔵大臣は見ておると言つておる。だから地方は磐石なんだ。これだけのことで私はいいものだとは素人考えであるけれども思わない。そこに現内閣の責任ある一閣僚としてこういう考え方を以て事業を遂行されるということは、我々まあ地方行政委員会立場からいうと迷惑至極であるとまでは言いませんけれども、困つたことであるというふうに考えるわけです。ああいう文部大臣の御答弁があれば、それで我々は成るほど心配はないのだということで了承していいものかどうか。財政検討の当局者である岡野大臣地方財政委員会の代表者にお伺いして置きたい。
  93. 岡野清豪

    国務大臣(岡野清豪君) 文部大臣は文部行政に対して專心であられることはこれはもう当然であります。建設大臣が建設の仕事に対して熱心であつて、これでこそやはりたくさんの閣僚があつて、そうして国の政治がうまく行くのだと思います。併しながら私は文部大臣義務教育に非常に熱心である。そうして義務教育というものは日本の再建にはもう何をさておいてもやつて行かなければならんという御熱意には相当敬意を表しているわけです。でございますから、文部大臣がああいうふうに大蔵大臣に努力され、それから財政委員会に対しても努力されるということに対しては私はむしろ敬意を表しこそすれ、文部大臣に対して何らの批評を加えるような考えを持つておりません。至極結構なことだと思います。
  94. 木村清司

    政府委員(木村清司君) 私は岡野国務大臣と大体同意見でありますけれども、ただ附加えたいのは、大蔵大臣意見を非常に尊重されているように見えますから、他の大臣地方財政を担当せられる岡野国務大臣意見を十分に尊重されて企画立案されることを切に希望いたします。
  95. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 岡野大臣としてはそういう御答弁は誠に立派な御答弁だと表面お聞きしますが、去年のあの補正予算にからまつて平衡交付金の問題の場合にも起つたことなんですから、再度お伺いしておきますが、大蔵大臣平衡交付金の中に入つていると、こういうことを言つておるとすれば、地方財政はもうそれで行ける、こういうお考え方を持つておられるこの文部大臣のお考え方に所管大臣としてどういう考えを持つかということを私聞いているわけです。私の見解では地方財政委員会のそれは権限である。
  96. 岡野清豪

    国務大臣(岡野清豪君) お答え申上げます。  先ほど文部大臣のお答弁の中にありました、平衡交付金の中に入つているということを大蔵大臣から聞かされた、こういうことも私も拜聽しておつたのでございますが、これは恐らく大蔵大臣としましては、平衡交付金を千二百九億呉れと言うたのだけれども、併しながら大体千百億で行けるんじやろうということに査定したと思います。そうしますれば、査定をする以上は千百億の中に含めてあると、こう断定せざるを得ない。それを文部大臣に言われたので、そうして文部大臣地方財政のことはこれは遺憾でございますけれども、專門が違いますからよくおわかりにならない。その点において地方財政が非常に窮乏しているという点に対しては私のほうがより多く知つておりますものですから、大蔵大臣のおつしやつたことは、これは財政当局の專門家ですから、それを文部大臣が信用なさつてそういう気分でおられるということは私は結構なことだと思います。併し私自身といたしましては、又文部大臣財政委員会のお説をお聞きになれば、又地方財政の苦しいことはよくおわかりになるだろうと思います。
  97. 相馬助治

    相馬助治君 同僚小笠原委員質問に対して、木村さんのおつしやつていることには全く同意いたしかねます。地方財政委員会として岡野さんに頼んで、こう言うとかああ言うとか、そういうことだから問題が輻湊するので、私自身も地方財政委員会委員長は閣僚でも何でもないことは知つております。閣議に出ないことがあの地方財政委員会の権限のあれは強いところなんであつて、最終的に国会に対してはその審議に待つてその審議に従わなくちやならない。こういう財政措置を必要とする法律案が出る事前の相談等においては、少くとも岡野大臣と同格で意見を言うべきである。下手な法律案が出てとんでもないむずかしい財政措置の難問題にぶつかつてからばかり勧告をしてみたところが訳がわからない。そこで私ははつきりしておきたいことは、こういう地方財政を必ず圧迫するであろうというような法律案が出、その事前相談を受けたときには、やはり私は地方財政委員会としては断乎たる意見を表明しておいて欲しいと思うのであつて、それらについてはどういう交渉があつたかということを小笠原委員と同じ口振りですけれども、お聞きしておきたい。いいとか悪いとか言うべき筋でないとか何とか言つておりますが、そんなことは我々は聞いておくわけには参らないからして、再度お聞きしたい。と申しまするのは、この前の委員会において小野次官、先日の委員会における岡野国務大臣、両氏の意見はぴつたり合つている。即ち地方自治庁見解というものははつきりしている。法律案には賛成であるけれでも、地方財政上の措置の上からは極めて将来これは考えて行かなくちやならない、こういう建前をとつておられる。ところが地方財政委員会がいいとか悪いとか言うべき筋のものでないようなことを言つておるということは、全く我々聞いておくわけにはいかないのが、改めてその権限を反省し、同時にこれに対してどういう交渉をされたか、もう一遍お聞きしておきたいと思います。  第二点は、地方団体の支出です。一億三千九百万円を平衡交付金に組入れたことについて、地財委はどういう了解の下に承知しているかどうかということ。  第三点、平衡交付金地財委要求額より百九億円も減額されておる。そこにもつてきてこのような新規経費を組込むということについて、大蔵省で査定された枠内において、一体本法案が成立した曉において運営について財政委員会として自信があるかどうか。こういうことをお聞きする理由は、従来地方財政の面におきまして、どういう面にしわ寄せされて来るかというと、いつでもそれは教育費というものが圧迫されて来ておる。そういう建前から、先ほど同僚西郷委員が縷々数字を挙げて説明された問題でありまするが、既定経費すら百億円も節減している今度の予算にこのような新規経費を組入れるというのだが、このようなことで地財委としては運営の自信があるかどうか。以上三点をお聞きしておきたいと思います。
  98. 木村清司

    政府委員(木村清司君) さつき承知したとか承知しないとかいう意味の言葉を申上げましたが、そういう意味の、つまり閣僚的な意味、政府部内の交渉的な意味におけるような意味の私どもは政府機関の閣僚の支配を受けておるところの機関でありませんのですから、従いまして私どもといたしましては、この地方財政当初の要求通り平衡交付金の支出がない限りにおいては賛意を表しがたいことは当然であります。これは前に申した通りでありまして、従いまして何もその間に、政府に同意したとか同意しないとかということは全然ない、こういう意味で申上げたのでありまして、これは小笠原委員にはわかつて頂いたと思いますが、言葉がその点において不十分であつたことをお詫びいたします。
  99. 相馬助治

    相馬助治君 そうすると、地財委相談すら受けていないということですか。
  100. 木村清司

    政府委員(木村清司君) 相談は受けております。
  101. 相馬助治

    相馬助治君 相談を受けたときに何とおつしやつのですかと言つておるのです。
  102. 木村清司

    政府委員(木村清司君) 建前としては、この際地方の負担になるということにおいては賛成いたしがたいが、万一どうしてもおやりになるというならば最小限度の負担にし、又将来の負担の増強にならないような最大の御配慮を願いたいということを閣議の際におきめになる際に切にお願いしたいというのが私どもの希望でありました。これは併し地方財政委員会としてその限度においてならば賛成するかと言われたならば、賛成はするということを申しかねますということを申上げます。
  103. 相馬助治

    相馬助治君 今のことは極めて事、重大でありまして、後の三点なんか都合によつてお聞きしなくても私はわかつておるが、今の問題をよくお聞きして置きたい。こういう相談を受けたときに、その地方財政措置上なかなかこれは困難であるという意見を、これは岡野国務大臣に申したのですか、大蔵省に申したのですか、それとも閣議の総意に向つてそういう意見を開陳したのですか。そこを一つはつきりして置きたい。
  104. 木村清司

    政府委員(木村清司君) これは文部当局及び……その前にですけれども、これは勿論自治庁の長官たる岡野大臣にも申上げたのであります。
  105. 相馬助治

    相馬助治君 そうしますと、岡野さんは地方財政委員会からそういう切なる要求があつにもかかわらず、あなたは閣議においで一億三千九百万円余を予算のうちに組入れることについて御賛成をなさつたのですか。
  106. 岡野清豪

    国務大臣(岡野清豪君) お答え申上げます。  これは地方財政委員会から千二百九億の改めた意見書の出る前に、これが予算を決定するときに閣議で一億三千九百万円余が出るということを了承したわけであります。
  107. 相馬助治

    相馬助治君 岡野さんにお尋ねいたしますが、そうしますと、政府としては結局一億三千九百万円余については正式に地財委意見を徴したというのでなく、前に予算案を提出した。こういう経過でございますか。
  108. 岡野清豪

    国務大臣(岡野清豪君) その通りでございます。
  109. 相馬助治

    相馬助治君 木村委員にお聞きします。そういうことになりますというと、あなたたち委員会がとやかく政府に言うたのは、すでにこういうものが決定してしまつてから意見を申しなので、いわば一人前に取扱われていない。即ち事前に相談を受けたということは事実ないのである。こういうふうに相成りますると、責任地財委にないのであつて、問題はおのずから別でありまするが、事実のところ相談を受けたときにはもう政府の肚がきまつていたと木村さんは了解されますか。その辺の経緯を一つ卒直にお教え頂きたいと思います。
  110. 木村清司

    政府委員(木村清司君) これはこういう経費を集めて、そして千二百九億というものが必要であるというように私ども要求するのであつて、つまり閣議で一応国家の方策をおきめになり、地方負担はこれだけになるということで私どもは計算いたすのであります。然るにその計算方法につきましては前回申上げたように、或いは給與べースの改訂、或いは使用人員というような点につきまして、大蔵当局と意見が違つて百九億の差ができたということに相成るのでありまして、私どもは事柄自体についてとやかく申すのではなくて、財政措置について意見を申上げておるというわけで、これについて国会において善処されることがあるだろうという意味において地方財政委員会の使命があるのではなかろうかと、こう考えております。
  111. 相馬助治

    相馬助治君 法律についてあなたが相談を受けたかどうかということを聞いておるのでなく、具体的に申しましよう。平衡交付金について地財要求額千二百九億の中には一億三千九百万円というのは含まれておるのですか、ないのですか。
  112. 木村清司

    政府委員(木村清司君) おります。先ほど申しましたように含まれております。
  113. 相馬助治

    相馬助治君 そうすると、お尋ねすることはこの一億三千九百万円というものをやはり平衡交付金の中に入れ、そうして又一方は国費で以て半分出し、そうしてこの財政措置をするということは最終的には了解しておる、地財委としてはこういうことになるのですか。
  114. 木村清司

    政府委員(木村清司君) 私どもはこの決定は、政府というものは原案を作るだけであつて、最終決定は国会がきめることであります。私どもの行動は国会によつて左右されると思う。政府によつて左右されると思つておりません(「その通り」と呼ぶ者あり)その意味において国会がこの法律案なり、予算案を議決になられたならば、それは最高の国家意思である。従つて財政措置は然るべくそれに順応してやるべきものと心得ております。
  115. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 そこで非常に微妙なことになつて来るわけです。その切られない前の意見書通り完璧にこの政府並びに国会がこれを実現すれば、これは地財委の希望通りこの教科書のことも既定需要額を見込むことができる。百九億に切られた。切られてもこれは義務支出であるから文部大臣から要請があろうと、政府から要請があろうとなかろうと、地財委としては出す考えである。こういう御答弁であれば、他の切られた部分をなおこの一億三千九百万円地財委で僅かであるけれども圧迫しておるという結果になる、それでいいんだということになるならば、国会に対して勧告をされ、或いは何されてももう結局義務支出であれば出しでやるんだということであれば、私たちとしては刀折れ、矢盡きた場合には、なに政府原案の平衡交付金でいいんだという考え方にもなつて来るし、逆に言うならば、地財委としては何とか当初の意見通り国会でやつて呉れという主張が強硬に主張される根拠の一角が崩れるんじやないかという錯覚さえ起すわけです。そこで私この際お伺いしたいのですが、義務支出であるから出さなくちやならん、それであとのほうは政府原案通りに平衡交付金がきまつた場合には、どういうふうに地方財政規模を縮小させようというお考えを持つておられるのか。そういう見通し、全体の中の私は些少であるけれどもこの教育費優先という問題が起つて来ると思うので、この点をお伺いしたい。聞き方によると何だかもの地財委は五百円預けられても八百円預けられても、預けられた通り分けてやるというふうにこれは誤解すると聞えて来るわけで、そこで私卒直にこういう点を強硬に政府に反対せずして、止むなきときには入れるんだという考えが不思議ですから、この点についてお伺いしたいと思います。
  116. 安井謙

    ○安井謙君 関連して……小笠原委員からいろいろ突込んだ御質問がありますし、これは地方財政の問題としても当然非常に重要な問題だと思いますが、先ほどの財政委員長のほうからの御答弁によつて千二百億の中には一応計上してある、そうすると今百九億の差がある、この問題が全体としては今後恐らく当委員会の問題になる、今ここで文教費だけの一億四千万円をどういう気持か、どうだというようなことをやつてもこれはちよつと際限がないと思いますから、全体としての問題に移つて頂いたらどうかという気がします。
  117. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 これだけは簡單にお聞きしたいのですが、政府原案が国会を通るということは大蔵大臣財政需要として見込んだものが結果としては正しいとまでは行かなくても、それでやつていいんだということを了承したというような形になるんじやないか。それと地財委自分意見を加えることが非常にむずかしい、その縮小された規模地財委の要求を満たしてやるということはむずかしいという場合には政府原案の財政需要額そのものを丸呑みして、その通りの規模でこの平衡交付金を分けて行くというやり方をしても地財委としてはこれは法律上何ら違法でないというふうに思われるのですか。そう考えて置いてよろしうございますか。そうしたいとうふうに地財委考えて場合には、そうすのこともできると考えてよろしうございましようか。
  118. 木村清司

    政府委員(木村清司君) その点は恐らく只今のところ法律上拘束はありません。ただ国会でおきめになつた場合においては、国家の最高の意思の御決定でありますから、国会の意思は十分に尊重せねばならんじやないかという意味だけでございまして、他の意思は毛頭ない、政府の決定がどうかというようなことは、私どもは百九億の中に、とにかくこれは相当理由のあるここと思いますから、過去の経緯について考えれば或いは不可能かと存じますけれども、純粹に私どもの立場から言えば増額のあるものと期待しておるのでありますが、これが若し私どもの立場は、つまり最高の権威である国会の意思に沿つてやはりやるべきものであるというような考え方は持つておるわけでありますけれども、それ以外に何ら拘束はされていないという点においては、御説、或いはお聞きになる御意思と同じやないかと思います。
  119. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 要約してもう一度お聞きしますが、地財委はもう面倒くさいと考えた場合には政府原案の通り呑み込んで、その考え平衡交付金の操作をしても違法でないというふうに考えてよろしいかということが一つと、それから国会の意思を尊重してと言いますが、それならば百九億削られたこの平衡交付金でも、これは地方の標準財政需要額をここはこう見て、これはこう見て、そうしてこういうふうな考え方で操作して欲しいというような国会の附帶條件が付けば、それは地財委としてはその通り実施して行く、こういうことなのかどうかお伺いしたい。
  120. 木村清司

    政府委員(木村清司君) これは私どもできる限り尊重いたしたいと思つております。元来平衡交付金の分け方自身は法律で以て定むべき事項と思つております。これは国会の御意思は十分尊重して理窟に合うように、私ども足らんところは補つて、そうして改善して行きたいと思つております。そういう意味だけの御答弁で……。
  121. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 第一点は私突飛なことを聞いておるわけですが、これは早く言えば、再三こういう平衡交付金の組み方を政府がやられるならば、地財委なんというものはあつてもなくてもいい、一人か二人委員を置いて、そうして政府のきめた通りにして機械的にやつて行けばそれでいいという結果に圧迫されればだんだんになるかも知れません。そういう場合でも地財委としては法律上違法でないかということを聞いておるのです。私の聞いておるのは、大蔵大臣考え通りに地財委がやる、そうして地財委独自の意思というものを加えることをしないでも地財委責任を問われることがなく、まあこれは地方財政が圧迫されるかどうかわからんですけれども、責任を問われることもないというような存在であるかどうかということを私は聞いておるのです。
  122. 木村清司

    政府委員(木村清司君) 私どもは各内閣及び議会に意見なり勧告をいたしまして、そうして正しいと思われるところは実行されるということを期待して生れたものでなかろうか、こう思つているわけでありまして、若し万一大蔵大臣の定めた通り終始議会を通るとなれば、これは或いはお説の通りとなるかと思います。そうでない場合が相当あり得るということの前提の下において、やはりこの地方財政委員会というものが生れたものだというふうに私は了解しております。
  123. 竹中七郎

    ○竹中七郎君 ちよつと遅れましたので、或いは重複するかも知れませんが、只今の一億四千万円というのは、二十六年度地方財政需要額の中に入つておるかということを、先ず第一に地方財政委員の木村さんからお伺いしたい。
  124. 木村清司

    政府委員(木村清司君) お手許に差上げてある資料の中に入つておると思いますが……。
  125. 竹中七郎

    ○竹中七郎君 普通補助金に伴う行政系統……。
  126. 木村清司

    政府委員(木村清司君) その中に入つております。
  127. 竹中七郎

    ○竹中七郎君 そうしますと、政府の考えと大蔵省の案と、地方財政委員会の案とは同じでありますから、あなたのほうは入れて置いた。そうしますというと、外の点において給與べースの改訂による増加、これが相当違います。それから或いは教職員給與の級別の問題にも違いますし、又小学校兒童人口増加に伴う地方経費の自然増というものが違つて参ると思うのです。十億とかいろいろ違いますが、小学校兒童人口の増加なんていうものは、大蔵省がやつても或いは地方財政がやつても同じに行かんければならんのにかかわらず、八億の差ができるというのはどういうところにありますか。
  128. 武岡憲一

    政府委員(武岡憲一君) お答え申上げます。  本日お手許に配付申上げました資料の中にその点も特に説明してございますが、そのお手許の資料の中には、地方財政委員会としての意見を書いてございます。今日差上げました昭和二十六年地方財政需要増加に伴う地方財源措置案改訂というやつを差上げております。それの五枚目から六枚目にかけてでございます。簡單に申上げますと、私の方でこれだけの自然増を見越しましたのは、平衡交付金の配分の基礎になりまする標準財政需要額の算定におきまして、いわゆる測定單位の数値をとつて、それに單位費用をかけて計算するということになつております。従いまして、数値が殖えて参りますと、つまり兒童の教が殖えますとか、或いは人口が殖えるとか、或いは道路の面積が広くなつて来るとかいうようなことがございますれば、それに伴う財政需要額は当然殖えて来る、こういうことでその増加分を特に新規増として掲げたわけでございます。その根本的な考え方におきましては大蔵省も一致いたしておるのでありますが、その中の一部分におきまして、例えば具体的に申上げますと、土木費の増でございますが、土木費の増に関しましては、大蔵省の考え方によりますると、この来年度の新規増額の見積りの中に別途に公共事業費に伴う地方負担の増という項目がございまして、その中に單独公共事業費の増というようなものを見込んである、そうすれば一部分その中に重複する部分があるのじやないか、こういうふうなことを申しておられるわけであります。それに対しまして実は地方財政委員会におきまして、その單独施工の公共事業費に三十億という増加を見ておりますが、これは別に道路の面積が殖えたとか、或いは河川の延長が長くなつたとかいうようなことによるいわゆる測定單位の数値が殖えたということによる自然増を見ておるものではございませんで、そこにも説明してございますように、御承知のように国が取上げまする公共事業費が、災害復旧につきまして一件十五万円という基準をとつておりますが、従前の計算によりますと、御承知のように七万五千円というのをとつてつたわけでございます。そこでその査定單価が変つて参りますことによつて地方負担が殖えるというそういう意味の増額をこのほうには見込んでできておるのでありまして、先にも掲げましたような意味の自然増とは重複しておらない、こういう見方の相違があるわけであります。そういつたような見解の相違がございまして、数字がそういうふうに聞いて参つておるのでございます。
  129. 竹中七郎

    ○竹中七郎君 今の給與べースの改訂による増が十五億ほどありますが……。
  130. 武岡憲一

    政府委員(武岡憲一君) 給與ベースの改訂によりまして、地方財政委員会といたしましては百七十六億八千二百万円来年殖えるというこういう計算を出しておるのに対し、大蔵省は年百五十九億四千九百万円という計算が出ておるのであります。そういうその相違いたしております理由は、只今のお手許の資料の二枚目のところに書いてございまするが、第一にはその対象となつております人員、職員の数について開きがあるのでございます。従前の二十五年度までの職員数につきましては意見が一致いたしておるのでございまするが、今回二十六年度におきまして新たに地方に増加いたして参ります職員の数、これが大蔵省の案と地方財政委員会の案との間に八千八百三十九人という開きがある。その内容は下に一覧表を書いてございまするから御覧願いたいのでありまするが、府県職員におきましては四千百三十五人、市町村職員におきまして四千七百四人、こういうふうに聞いておるのでございます。それが第一点、今一つの重要な相違点はこの増額分、べースアツプによりまして給與の上つて参りまする分をどういう基準で計算をするかという点が違つているのであります。この点はこの前の国会におきましても御説明申上げましたように、補正予算の際にも同じ問題があつたわけでありますが、大蔵省の計算によりますと、平均一人につき千円ずつ殖える、こういう見方をいたしまして、頭割り千円を掛けて計数を出しておるのであります。それに対しまして、地方財政委員会におきましては、地方職員は政府職員とは違いまして職員構成が異つておりまするために、従つて実際に給與いたしておりまする予算單価も職員種別によりまして違うのでございまするから、それぞれべースによつて上がる、こういうふうな考え方で大体六千三百七円を一応基準といたしまして、それに対して千円上がるという比率を各予算單価に掛けてこれを出しておる、そういうところから出て来ておる相違でございます
  131. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) ちよつと簡單に申上げますが、教科書の問題についての質問にどうぞこの際は止めて頂きたいと思います。
  132. 西郷吉之助

    ○西郷吉之助君 それについて岡野さんに文部大臣との話合の結果をちよつと伺つておきたいのですが、文部大臣地方財政について非常に素人であるが故に、どうも今までの答弁を聞いているというと、相談したからこの中に平衡交付金が入つているのだと、これは最初のことであつて、削られた今日でもなお文部大臣は歴然と削られない分に入つておるように思つておられるのじやないかと思いますが、岡野さんどうですか。
  133. 岡野清豪

    国務大臣(岡野清豪君) 私はこう考えております。とにかく政府が来年度の予算を決定しまして、そうしますというと今のような義務的の負担が生じて来る。そういうことになりまして、そしてそれが百九億も削られたということになりますと、そうすると当然出て来ないものだと、事実はそうなつておるのでございますが、併し今木村委員がおつしやつたように、財政委員会立場と、それから政府の立場とがどうも構成上独立的の立場になつておるそしてその栽断を国会に仰ぐという法制上の建前になつておるのでありますが、私はその点において文部大臣とあなたの御質問のようなことは話合つてはおりません。私の想像によりますと、成るほど一応は来年度予算が千二百九億もらいたいというこういう地方財政委員会から註文が出ておりますけれども、予算としては千百億にしておる。そしてまだ予算も国会で御決定にならないし、それから又地方財政委員会意見書も国会で御審議を願つていない。ですからまだ元の案がまだ生きておる。こう想像されておりますと私は想像する。まだその点について文部大臣と話合つてはおりません。
  134. 西郷吉之助

    ○西郷吉之助君 その通りで、地財のほうの意見もさつきのそれでわかるのですが、であるとすると、これは国会で予算が審議中ですから、そこに一縷の望みを持つておるということはわかりますが、そうしますと、この前の補正予算でも二十五年度予算でも、徹底的に我々が地方財政の面において修正案を出したが御承知のごとく容れられなかつた。今年度も文部省はそういうことに関係なくただ案を出すと、もうすでに百九億も削られておる。それを復活しない限りはこの案は宙ぶらりんになる。そうして地方財政でも、岡野さんは閣僚ですから恐らく岡野さんは少くとも政治的責任を生ずる結果になる。そういうように私は考えるのでありますが、承知していいのですか。
  135. 岡野清豪

    国務大臣(岡野清豪君) 私はとにかく閣僚の一員としましては文部大臣のお説に……今朝ほどの段階におきまして、あとで恐らく文部省から出ると思います。そういうような方向に了解しております。それからそれにつきましては、今もやはり地方財政委員会としても目的を達しますし、我々といたしましても非常によいことをするについて経綸が行われるということで満足したいと思いますが、併しあとで何を申しましても国会でお削りになるとか、削られたものをそのままお通しになることに対して、私自身はどうも責任を取るわけには参らんという感じを持つております。
  136. 西郷吉之助

    ○西郷吉之助君 岡野さんは岡野さんなみのいろいろお考えがあると思うのですが、私はさつき申上げたように、そう思うのですが、そうしますと、あの案は、我々は常に予算において増強を努力しておるが、いつもいろいろな関係で客観情勢も変つてできないのです。少くともこの文部省が出さんとするこの教科書の無料配布の案を国会としても予算の修正なくしてはこれは通し得ないのであります。宙ぶらりんになりますから責任を持てないのですね。そういうことになると思うのですが、そういうようなことに対してどういうふうにお考えになるか。
  137. 岡野清豪

    国務大臣(岡野清豪君) 私は国会で御審議のときには是非そういう御意向でこの案を御審議願いたいと、こういうふうに思います。
  138. 西郷吉之助

    ○西郷吉之助君 それに関連して、そういう段階であることを辻田局長はよくおわかりなんですか。これは予算が修正されない限り宙ぶらりんになる虞れがある。我々国会が努力しても客観情勢が許さなかつたらどうにもならん結果になるのですが、その点どう思うか。
  139. 辻田力

    政府委員(辻田力君) 私が伺つております際におきましては、平衡交付金の中に一億三千五百万円についての算定はしてあるというふうに考えております。
  140. 西郷吉之助

    ○西郷吉之助君 それですから、どうもあなたの言うことはわからんと言うのです。さつきから言つておる。今も岡野さんにも確めたでしよう。全額の中に入つておるでしよう。だが平衡交付金は百九億削られておる今日だから困るでしよう。あなたはそういうことは一つもわかつていないのじやないですか。この間も申上げて、今日何時間も論議しましたが、あなたはどういうふうにお聞きですか。そういう重大な法案が出た場合は財源措置を政府も国会もする必要がある。しなければその法案は死んでしまう、空文になる、財源措置を必要とするものであります。今あなたは入つておるものだと言つた。無論それは入つているにきまつておる。百九億削つたことは忘れては駄目ですよ。総額を百九億削つたでしよう。今度はこれは新規の事業でしよう。であるからこのあなたのほうから出さんとする法案に関する一億四千万円は復活させないと宙ぶらりんになる虞れがあるということはおわかりにならないのですか。
  141. 辻田力

    政府委員(辻田力君) 只今私が申しましたのは言葉が足りなかつたかも知れませんが、私のほうで承つておりますのは、政府から地方に対する補助金といたしまして千三百九十余万円の経費が計上されております。それから平衡交付金の算定の場合に同額の経費が計上されておる。これは百九億の問題も入つておるということに伺つておるわけであります。
  142. 西郷吉之助

    ○西郷吉之助君 どうも辻出局長にこれ以上言つても、さつぱり基礎がないから問答無用になりますから、これ以上言いませんが、どうもそういうことでは誠に困るので、岡野大臣もおられるが、そういう点は今日の財政はそういうところに欠陥があるのです。各省が関連しておる事業にかかわらず、各省がよく了解していない。紐付きということは平衡交付金にはない。どこに証拠があるかと言うのです。それがあなたはちつともわからない。地方財政のほうで必要経費を持つが、百九億も大幅に削つた今日、なお且つ元の中に入つておるのか。あなたは紐を付けるのか。紐を付けてはならんということを法律に書いてある。而も法案は通つておる。さつき言つたでしよう。地方財政法十三條によつて新規事業をやつたら、地方に経費がかかるものは国がその財源措置をしなければならんとあるのに、百九億削られておる。百九億まるまる削られなければならん問題はありませんよ。大幅に百九億も削つた以上は不安定な状態です。どこに入つておるのですか。
  143. 辻田力

    政府委員(辻田力君) 紐は付いておるという意味ではありませんが、平衡交付金の算定のとき、千百億の算定のときに、その基礎の中に入つておるということを案つた次第であります。
  144. 西郷吉之助

    ○西郷吉之助君 算定の基礎に入つておるのは百億を削らん前です。馬鹿な話だな。
  145. 竹中七郎

    ○竹中七郎君 今の問題につきまして岡野さんにお伺いしたいのですが、実際に今まで政府は何かいい自由党一つの看板といたしまして、教育費の中の図書の国庫負担をする。一年生のときからやつてやる。非常に国民に対しては喝采を博されますが、その半分だけは政府が持つ。あとはお前のほうで持てというやり方につきましては、種々の疑義があるのでありますが、この際岡野さんは、あれは我が党がやつておるのだから、全部政府でやる。何故そういうようにおとりにならなかつたかということが第一に伺いたいのであります。なぜ半分とか、三分の一にやらなければならんというようにお考えになつたのでありますか。
  146. 岡野清豪

    国務大臣(岡野清豪君) その点についてお答え申上げます。同様な御質問が小笠厚さんから出て御答弁申上げております。もう一度簡単に申上げましようか。
  147. 竹中七郎

    ○竹中七郎君 そうですが、結構です。
  148. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 これは関連しておることですから、二点伺いますが、一つは木村さんに伺うが今も西郷委員が言うた教科書問題とはちよつと違いますが、同じ文部省関係ですからお聞きしますが、補正予算の三十五億の平衡交付金では足りないとして意見書を出した場合に、追加意見書で教職員の級別推定表を適用するについての財政需要を見込んだ四億九千一百万円というのがあつたわけですが三十五億ときまつたその後において、地財委はこの金額は見込んでおるかどうか、三十五億の平衡交付金の中に四億九千一百万円という級別推定表を適用する需要額を地方に見ているかどうか。
  149. 木村清司

    政府委員(木村清司君) その点は計算上は入れております。不十分とは思いますけれども……。
  150. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 辻田局長にお伺いしますが、先ほど西郷委員質問の場合に、教科書関係平衡交付金のほうに見ておるということを承つているからまあやつて行けるだろうという意味合の話があつたが、今の級別推定表のその適用が十二月臨時国会における補正予算が通つた今日において全国でどれだけ実施されているか、御承知ですか。
  151. 内藤誉三郎

    ○説明員(内藤誉三郎君) まだ私どもも嚴密な調査をしておりませんので、つまりここでやつた県を申上げかねますが、この問題はむしろ平衡交付金の本決定に伴います財政需要の算定が地方財政委員会で根本的にやり直されましたので、それと関連いたしまして、本年度の補正予算に伴う教員の給與費の分はべース改訂、級別推定表の改訂、昨年度の年末手当、こういう主要財源を全部見込んで今財源計算をされましたので、それが一月二十六日に知事側に伝達されましたので、今丁度補正予算で二月の県会あたりでこの問題が処理されておると思います。
  152. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 二月の補正予算を組んでおる地方の県会に殆んどこの問題が出ない県のほうが多い。関東のような所でもどこでもまだ実施しておらない。部長会議などでは実施するのをやめようじやないかという話さえ出ておる。東北でもたつた一県しかやつておらない。これは地方財政がそれだけ困つておるからです。こうした平衡交付金で見ておるからやれるだろうという考え方は、この一例を以てしても文部省としては甘い考え方だということを申上げたい。まあこれは府県の分ですが、じやあ次に辻田局長にお伺いしますが、さつきも言いましたが、六三建築予算の四十三億が予算原案に出ていますが、前例によると、それに見合うだけの総合起債の枠でないと駄目だ、單独の起債というものが見られておつたのが、それが危いという噂が各府県の教育委員会に伝つて、そうして非常に動揺しておる。この点はどういうことになるのか。これも併せてちよつと簡單でいいからお伺いして置きたい。それら全体が関連して教科書問題等に皆しわ寄せになつて行くのです。
  153. 辻田力

    政府委員(辻田力君) 六三建築の関係の詳しいことにつきましては、所管局長から後刻お答えいたします。
  154. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 起債くらいの大きな問題が文部省の局長でわからんのですか。まあわからなければしようがない。
  155. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 最後に岡野国務大臣お尋ねして置きますが、この教科書問題につきまして、文部省からこの前の委員会で各委員配布せられました法律案要綱の中で、二十六年度の経過措置として小学部の一年生の国語、理科、算数等に限りこれを実施する、以後の分については別に法律で定める、こういうようなことにこの要綱がなつておりまして、それを今日のお話では、二十六年度について今日天野文部大臣と御相談になつて、これをこうでなくてほかの措置にすることについてお話なつたようです。それを具体的に御説明を願いたいと思います。なお岡野国務大臣並びに木村委員に申上げますが、我々が検討いたしております過程において発見いたしたことは、文部省のほうで国語を六十七円三十銭くらいに初め見ておられた。それが現在三冊で百十円くらいになるのじやないか。それから算数のほうも二冊になりまして、これが四十円ということですが、現在七十円から八十円になる。それから理科のほうも同様で、四十四円八十銭が二冊で八十円くらいになる。そういうような状況なんですが、そうすると、前に地方財政委員会から出された一億三千九百万円の平衡交付金の増額ということも、その関係でおかしくなつて来る。そういうような関係で一億三千九百万円だけ平衡交付金にあるとしてそれで妥協しようということになりますと、教科書の数を減らすということになるのですが、二科目でももうすでに大分足を出すということになるのですが、そういうことはどういうふうにお考えになつておるか、その点をお尋ねします。
  156. 岡野清豪

    国務大臣(岡野清豪君) 今日は大体の原則だけを私は話合つたのでございまして、御承知の通りに、予算を組みますときから考えますと、物価は非常に騰貴しまして、初めの考え通りにすでに行かんことになつております。でございますから、私自身としましては、一億三千九百万円は国庫から出すことになつたのだから、平衡交付金の問題ではこれは別問題です。文部大臣と代りまして大蔵大臣と交渉しなきやならんと思つておりますが、併しよいことであるということにおいて今年度いわゆる二十六年度の本予算に載つております一億三千九百万円はやはり生かして行こう、それには何とか一つ地方財政委員会のほうで一億三千九百万円の元の趣旨、即ち半分ずつ負担し合う、こういう趣旨で私は了解しておるわけです。でございますから、こうやつて議論しておる間にも物価は騰貴します。今のところ非常にむずかしいのです。むずかしうございますから、その辺は一つ事務当局間で調整をすることになつておるはずでございます。
  157. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 簡單に岡野国務大臣に聞きますが文部省のこの一億三千九百万円という計算をしたその仕方ですね、そのことについては自治庁はどうお考えですか、地方財政委員会はどうお考えですか。若しも初めに皆さんお聞きになつたような計画通り実施するとなれば補助金は一億三千九百万円でも平衡交付金は二億五、六千万円となるかも知れない。それをそうでなく、もう文部省のほうではして行くのだということだからまあ辻棲が合つて行くという結果にはなりましたが、初めから自治庁長官なり地財委が申入れを受けて了解したことともう違つて来た点は、この点はこの文部省のやり方そのものに対してどうお考えですか。今後こういうことが再三あつていいのかどうかはつきりお答え願いたい。
  158. 岡野清豪

    国務大臣(岡野清豪君) お答え申上げます。一億三千九百万円というのが予算の一つ項目に出まして、その当時これを以て義務教育最初の年の教科書無償配布する、こういう趣旨でそれで足りるのかなあと実は私もうつかりしておりまして、あなたがおつしやりになつたような最低値段で、先を見込んでいないのじやないか、若しくは相当に物価の騰貴も見込まなければならん。そういうことには一向私気が付かずに一億三千九百万円を通しておるのであります。ですから、只今伺いまして成るほど最低値段を基礎にされて文部省計算されておつたということは最近になつてつたわけでございます。でございますからこの点は非常にむずかしい問題で、最初から案を練り直さなければ、若しくは我々の意見としては考えなければならんことであつたかと思いますけれども、併しその計算の基礎なんかは私は実はよく存じませんで閣議できめたのでございます。
  159. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) この問題は岡野国務大臣、五十億とかいう話がありますけれども、百億を超える問題なのです。これは年々地方が百億以上の金を教科書のために負担するかどうかの問題なのです。で、この第一歩においてやかましく言つておるのは一にその点なのです。そこでもう一年目に文部省計算と、我々が実際に聞いた意見とえらい違いですから、そこで今おつしやる金額が一億三千九百万円ならば、平衡交付金一億三千九百万円をどうにかして捻出させよう。そうするとその範囲にしか教科書無償で、二十六年度は交付ができないとこういうふうに承知していいですか。
  160. 岡野清豪

    国務大臣(岡野清豪君) その通り私は考えております。
  161. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) まあそれでは教科書問題は今日はこれくらいにいたしておきましよう。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕   —————————————
  162. 吉川末次郎

    吉川末次郎君 緊急にちよつと岡野国務大臣質問しておきたいのです。
  163. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) それでは吉川君の発言を許します。
  164. 吉川末次郎

    吉川末次郎君 幸い岡野国務大臣おいでになつておりますから、自治行政上における現下の緊急問題につきまして御答弁を得たいと思うのであります。それは大臣が御出席になつておりません先日の委員会におきまして、私が質問いたしまして、小野政務次官から若干の御答弁を得たのでありますが、即ち現下地方選挙を前にいたしまして、地方自治政治界の問題になつておりまする地方自治体におけるところの議員の減少の問題でありまして、小野政務次官のその節の御答弁は私非常に不満足でありましたので、直接一つ自治庁の長官である岡野大臣から御答弁はつきりと得たいと思うのであります。その節私は申上げたことなのでありまするが、結論を先に申しまするというと、自治庁は各地方自治体に対して議会の議員を減少すべしという意味の通牒を発せられたということでありまするが、それは私の見解によれば非常なるところの誤りである。又そういうことをせられたところの法的根拠というものがどういう根拠に基いてせられたのであるか。及びそれを私は非常なる誤りを犯していられると思うので、一時も早く各地方自治体に対してかかる誤れる通牒の誤りを清算する意味においての取消しをお出しになる必要があると、とのように考えておるわけであります。でその理由を申上げたいと思うのでありますが、岡野国務大臣は幸いにして実業界からお入りになつたかたであつて、いわゆる今日、までの地方行政の一般の通俗観念における玄人であると言われておる、いわゆる旧内務省の官僚の出身ではないのであります。それは大変結構なことだと思うのでありますが、地方行政を担当するところの内務省の旧官僚、従来しておりましたものをそうした要衝にできるだけ着かささないような方針をスキヤツプが大体実施して来ておると思うのでありますが、具体的なことはこれは省略……、申上げなければならんならば申上げますが、それから内務省も解体させてしまつたという点は、従来の旧内務省の官僚というものが、たびたび私もこの委員会で言うことで一部のかたから非常に厭がられておるのでありますが、これは軍閥と組んで日本国民というものをば非常に反民主的な方向にリードして来た、こういうことを拂拭しようというところの意思にとれるだろうと思うのであります。その意思がどうもいつも私は委員会でも言うのでありますけれども、どうもまだ十分に地方自治体及び当局は理解していないところの憾みが非常にあるのであります。今度のそういう通牒もやはりその清算し得ざるところの封建的な旧内務省官僚の地方行政に対するところの謬見に基いて、少くともその謬見が一つの潜在的意識になつて私は行われていることが明白であると実は考えておるのであります。その旧内務省官僚の諸君を以て構成されているところのあなたの部下の諸君があなたの名を通じて、あなたの意思が加つておるのでありまするが、そういう通牒を出しました理由は新聞にも書かれておりまするように、その例としてアメリカの地方自治体というものが議員を非常に減少するところの傾向があるということが比較対照に出されて来ておるのであります。ところが地方自治体議員が多過ぎるというような議論はあえて戰後今日において始まつた議論ではなくて、今いうところの旧内務省官僚がたびたび今日までそういうことを言うて来ておるのでありまして、旧内務省官僚の諸君というものは、外国の制度で以て何か部分的に自分のそういう官僚イデオロギーに役立つようなことがありまするというと、民衆というものが十分な知識と理解とを持つておらないのに乗じてそういう謬見を振り廻すのであります。そういうことはやはり旧内務省官僚中の米国通の一人と言われておりまする前田多門君が曾つてそういうことを非常に振り廻したのであります。その節私も前田さんに対して非常にそういうことを言つたのでありますが、米国の例だけを引くのでありますけれども、米国がそういう傾向があるということは事実であります。ニユーヨークの州におきましても七十何人かありましたところのイルダーメンというものが二十何名に新らしい州知事によつて減らされたということもある。又ほかの州においてもそういうことがあることは事実であります。ところが米国のそういう地方自治体の組織というものは、米国の自治体の全般的の組織、それは背景をなしているところの米国の政治、或いは米国の歴史、或いは米国の民主主義的な人心、そういうようなものとしラテプな、相対的な関係においてそういうことが行われて来るのでありまして、岡野さんもアメリカの学校にいらつしやつて御承知のことと思いますが、外国の自治体の行政組織というものは各ステートにおいて異つておる。各ステートの中においても各シテイーや自治体においてそれぞれ異なつておる。同じカリホルニアでもロスアンゼルスとサンラランシスコは全然構成が違つておる。市会議員に該当するものの名から違つておるような形になつておる。そしていろいろバラエテイーを持つたところの自治体のローカル・ガーバメントの組織で、最近の一つの新らしい傾向としてデモイン市、ガルべストン市で起つたところの、極く少数のマネージヤーによる会社経営の組織を自治体に持込んで、三、四人のコミツシヨナーにこれを任して極めて能率本位に実業会社と同じようにやつてもらうということで、デモイン市やガルべストン市で非常に成績を挙げておる。その精神が非常に広がつて日本にも紹介されて、都市支配人或いは少数のマネージヤー、少数のコミツシヨナーがやつているところの制度が、その影響がいわゆる大統領制といいますか、この自治体と地方議会が対立しでおる都市の制度に相当の影響を與えておると私は考える。そういうことをしやべりますと、長くなりますから省略いたしますが、さつきも申上げますように、いろいろ米国の地方行政組織、或いはその背景をなすところのアメリカのデモクラシー、アメリカの政治的な考え方と相対的に結付いてそういうことが局所的に出て来ておる。それを従来においても前田多門君のような官僚中のアメリカ通が部分的にそういう偏面的な知識を振り廻わしたことがある。官僚の一番嫌いなものは議会の議員なんだから……(笑声)旧憲法の下で官僚政治というものは議員というものを抑え付けるということばかりやつておる。ところがその観念が地方自治体おいでもやはり同じように、そうした官僚主義の見解で以て議会の議員というものを一番いやがる、議員というものはできるだけいてくれないほうがいい、政党というようなものも余り機能を持たないほうがいい。そういう自分の観念に役立つところのとんでもないところの部分的な知識だけを持つて来て、そうして非常にそれを自治体に利用しておるのであります。その例は幾らでも挙げられますが、これもその一つの例なのであります。たまたま先般来地方自治体の、あなたの部下の諸君やその他自治体行政の関係者が、G・H・Qの好意でアメリカに行つて来ると、十分な勉強もしないで一カ月やそこら見て来て、そうして非常に権威のあるもののごとくそういうことを言いふらす。ところが日本においては、地方行政の研究というようなものは具体的にはどこにもない。だから向うのそういうことを批判するだけの知識のある人間はない。従つてそれを批判する立場にある新聞や言論界が同じように附和雷同して、曾つて前田多門氏がそういうことを提唱したときに多くの人が附和雷同したのでありますが、今日も又多くの新聞、読売新聞は多少違つたことを言つておるが、附和雷同して官僚政治を謳歌するような、附和雷同して太鼓を叩いておるような現在であると思います。そんな馬鹿げたことはあり得べからざることであつて、そして、この間も言つたのでありますが、これはアメリカにたまたまそういう傾向がある。それを部分的に偏面的に赤ゲツト的に入れておる。ところが一たび大西洋を越えてヨーロツパに行きますと、ヨーロツパの多くの諸国は大体において日本地方自治体における選挙民と議員の数の比率は大体は同じで、多数の議員を出しておる。私今記憶ははつきりいたしておりませんが、大体間違いないと思いますが、例えば東京都のような大都市に該当するものとしては、イギリスにおいては言うまでもなくロンドンであります。ロンドンのカウンテイーカウンシイルの議員というものは百四十何名かと思つております。それから今は制度は変つてああいう国情にはなつておりますけれども、大都市について申しますならばベルリンであります。ワイマール憲法の下におけるベルリン市というものの市会議員の数というものは二百二十五名であります。パリーは百名であります。ウイーンが百二十名であります。これは間違いないと思つておりますが、かように大体において日本地方団体議員の数と大して差違はないのであります。そういうことを少しも言わないで、そうしてアメリカの自分たちのイデオロギーに合致する偏面的な知識だけを、新聞記者や一般の選挙民が十分な知識を持たないのに乗じてそういうことを頻りに宣伝いたすのであります。そして地方民をして一つの錯覚に陥れるようなことをしている。これはけしからんと考えるのであります。大体何人が一番適当であるということは、これは選挙というものは何のために行われるものであるかというその見地から当然に結論が生れて来るものである。選挙は要するに選挙民の政治的意思というものを代表さす代表の原則が選挙の原則でなければならん。そうすれば相当バラエテーのあるいろいろの利害関係のある資本家、労働者、中産階級、小売商人、月給取、いろいろな利害関係が皆違うのでありますから、そういう異るところのバラエテーのある利害関係をリフレクトさせる、それを地方自治体の政治に反映させるということが選挙をやるところの目的でなければならんと思います。ところがむしろ例えば赤坂区というのがあつて、赤坂区の東京都会議員の定数は一人であつた。一選挙区に一人というような定数で今言うところの代表の原則が発揮することができないことは明瞭でありますから、相当なる数を出さなければならん。然らば何人が適当であるかということは、それはいろいろと考えなければなりませんれけども、ただ少くすればいいというようなことを今日唱えておるような議論というものは、これは間違いであるということを基本的にヨーロツパ各国における例と比較して、対照して私は考えて行かなければならんとこう思います。それでそういう点と、それからもう一つあなたたちのほうの立場で言われていることは、その例として箱根のどこかで有権者が百何人しかいないのに十二人の村会議員が出ていると新聞に書いております。ところが選挙というものは利害関係を代表するためにできるならば、皆集まつてやるのがいい、デモクラシーの立場からすれば日本国民全部が集まるのがいいのだが、八千万の国民が全部国会議事堂に集まることもできないので、我々が選ばれてここに出て来ておる。できるならば皆集まつて、昔の隣組のように、町会のように皆が集まつて相談するのがいい。それはスイスのカントンにおける直接民主主義政治の実情について、多くの政治学の本にそれが民主政治の理想であると書いてある通りであります。だから何も百二十人の有権者のうち十二名の村会議員が出ておるということは、悪いことでも何でもない。むしろ喜ぶべきことである。ところがそれが何か非常に悪いことであるように、意識的か潜在意識的にか、昔の内務省の官僚と同じような反民主的な考え方でそういうことを頻りに何か悪宣伝するということは、実に謬見であり、これは御反省を願わなきやならんと思います。なお申上げたいのですが、大体においてこの間も育つたことであつて、速記録にも載つております。政務次官の御答弁は極めていんぎん鄭重でありましたけれども、何にもはつきりしない御答弁でありまして、全く不満足であるのでありますが、以上の大体の論拠に基きまして、ああいう間違つた……地方自治体一万有余は今日は非常な混乱を来たしているのであります。地方に参りますと、議員から第一に聞かれることはそれなんであります、それはそのときも言つたことでありますが、地元の東京の都会議員なんかが勝手なことをするというようなことに対する悪感情が東京都内においては多少感情的に結び付いておる点があろうかと思いますが、東京都内における特別区の組織は行政組織上間違つておると、私は現在の制度改革しなければならないと思つておるのでありますが、そういう都会議員が昔は年に二百円であつたところの歳費を今日では月に一万二千円、一万五千円も取つてですよ、そして自分が退職するのに十万円とか、十五万円とかの慰労金を勝手にとるようなことをしているといよううなことと結び付けて新聞紙上に言つておりまして、間接にそういうことが加つていると思いますが、これは別問題でありまして、そういうことから切り離して、今私が申しましたような論拠に基きまして、あの間違つた通牒を私はもう国会議員といたしまして一時も早くあんなものは取消してもらいたい、間違つてつたという意思表示を私はしてもらう必要があろうと思うのでありますが、それについて一つ岡野国務大臣の御答弁をお聞きしたいのであります。
  165. 岡野清豪

    国務大臣(岡野清豪君) お答え申上げます。地方の議会の議員がどのくらいの数で妥当であるかないか、又多いのがいいのか、少いのがいいのか、こういうことはいろいろ議論に亘りますことでございますし、その点には触れませんですが、ただ問題といたしましては、先ず第一に申上げなければならないことは、自治庁長官といたしまして、あの通牒を出したということは何ら地方自治団体を拘束する意味のものではないということだけは御了承願いたい。又そういうつもりで書き方も書いてございます。それで根拠といたしましては、御承知のように、この市町村の議会の議員というものは、総選挙のときには数を若し議会が決定するならばきめてよろしい、こういう自治法の一つ精神が法的に備わつております。それから動機といたしましては、只今新聞に出ておりますかどうか存じませんが、地方財政が非常に窮乏になつておる、そうして議員のお手盛りでいろいろのことをやつておる、私はそれを信じませんけれども、たくさん人がおればたくさんの費用もかかつて地方財政が苦境に立つということは免れない事実と思うのであります。その意味におきまして、丁度布施が自発的に自治法の精神に則つてこの総選挙の前に議会の議員を減らすという決定をしたということを聞きましたので、これはどうであろうかというようなことを私は考えた。少しも内務官僚とか、ほかの者に圧迫されたとか、そういう意思を継いだというわけではございません。法の精神が自治体においては減じてもいいというようなことが書いてあります。これは減らすこともいいとしてこれを規定しておるのだろうと、私はこう法の精神を解釈しております。そこへもつて来て実例として布施がいろいろな意味において減じた方がいいというので決定をした。こういう法と事実が一致したという点におきまして、他にも議員が多いについての弊害をいろいろ聞きますものですから、先ず私の自治庁におきましていわゆる市長会の代表、町村長会の代表、それに学識経験者とか、若しくは地方の議会の議長の代表者、並びに知事の代表者、府県会議員の代表者、これは府県会知事はそれに関係ございませんが、そういうような委員会がございましてこの自治委員会に諮りまして、どんなものだろうかという意見を聞きましたところが、やはり布施のようなことをやりますことは日本の現下の自治行政としてはいいのではないか。それで一つこういうこともあつたと、それではこういう地方自治体の法を適用するならばこの際であるからという意味で私は通牒を出したわけでございます。無論これに対しまして、地方自治団体の拘束力はございません。ただ拘束力はございませんけれども、私自身の意見といたしましては、地方の自治体を構成しておるところの市長会、町村長会、並びに市会議長、又町村会議長、そういうようないわゆる一般自治体の輿論を聞きまして、そうしてそれが一致して、ああいうやはり通知を出したらいいじやないかということに意見が一致しましたものですから、私の名前を以て出したわけであります。只今といたしましては、或いは御意見に違うかも存じませんが、あれを私は取り消すような意思は一向持つておりませんし、又自治委員会におきましてもそれを支持しているような次第であります。
  166. 吉川末次郎

    吉川末次郎君 大体そういう意見それ自身が、私が先ほど申しましたように、日本地方自治行政に関する意見が昔と同じような官僚主義で行われて、少しもそれに対する反省が行われていないものだから起つて来るのであります。私は願わくば官僚出身でないところのリベラリストであるだろうと考えられる岡野さんが、従来のそういう日本地方行政に対する見解というものが以上私が先に申しましたような考え方に基いて、如何に誤つた憲法に反するような反民主主義的な精神に基く官僚主義的な見解に基いて今日なお行われているかということを十分よく理解されて、事々にそうした誤れる官僚主義をば打破するということに対する積極的な意識を強く持つてもろうのでなければ、折角いわゆる従来の自治行政の玄人であるところの内務官僚以外の岡野さんが就任願つているところの意義は全然没却されると私は考えるものでありますから、今後も十分にその点について御留意を願いたいと思うのであります。  それから通牒を出されたということは従つて私は非常に遺憾だと思います。私は取消してもらいたいと思いますが、取消されないということでありますから、それ以上は申しませんが、今のお話の中で、そういう意見が広まつて来たのは地方自治体議員というものが財政的な見地から減らすのがいいというところの見解が広まつて来たのであるという御見解でありますが、これ又私が申しましたところの役人中心の建前からの、執行部中心の建前からの一つの偏見であろうと私は考えるのであります。若し財政上節約したいから議員の数を減らすというならば、極端に言うならば皆なくしてしまつたらいい、議会費というものは全部なくなつてしまう。恐らく官僚イデオロギーではむしろそれを欲しているのでしよう。議会なんかなくなつた方がいい。そういう考え方で戰前の軍閥や官僚は日本の政治を行なつて来たのであります。そういう考えはけしからん。デモグラシーに合致するかどうかということが基本的に考えらるべきことなんでありまして、議会が使うところの経費のごときものは自治体の経費の全体からいたしますれば一%にも当らない。極く僅かのものです。東京都内においてあれだけ都会議員がおつてどれだけの経費を使つているか。国庫の予算の約一割に該当する東京都の全予算から比べますと、言うに足らない。ところが役人というものはいつもそういう馬鹿なことを言う。経費の節約をするならば、むしろ執行部に幾らでもそれよりも多額の金の節約をする余地があると思います。そういうような役人の言うことをそのままその長官であるところのあなたがお聞きになつて、そうしてそれに乗せられてああいう馬鹿げたところの官僚主義的な通知をお出しになるということは、日本の国政の基本であるところの地方自治体行政の民主化のために私は実に慨嘆に堪えん、私が言うふうに少しも反省されないでいるということは地方行政上におけるところの最大の癌であると考えるのでありますが、是非一つそういう点について再反省して頂くということを申上げまして、これ以上言うと意見になりますから、意見の相違でありますからこれで控えまするけれども、どうぞそういうように一つお願いいたしたいと思います。
  167. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) それでは本日はこれで散会いたします。    午後五時九分散会  出席者は左の通り。    委員長     岡本 愛祐君    理事            堀  末治君            吉川末次郎君            竹中 七郎君    委員            石村 幸作君            安井  謙君           小笠原二三男君            相馬 助治君            西郷吉之助君            岩木 哲夫君   国務大臣    文 部 大 臣 天野 貞祐君    国 務 大 臣 岡野 清豪君   政府委員    地方財政委員会    委員      木村 清司君    地方財政委員会    財務部長    武岡 憲一君    地方自治庁次長 鈴木 俊一君    文部省初等中等    教育局長    辻田  力君   事務局側    常任委員会專門    員       福永與一郎君    常任委員会專門    員       武井 群嗣君   説明員    文部省初等中等   教育局庶務課長  内藤誉三郎君