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1951-02-12 第10回国会 参議院 地方行政委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年二月十二日(月曜日)    午前十時四十四分開会   —————————————   本日の会議に付した事件 ○地方行政改革に関する調査の件  (義務教育用教科書給與の件) ○本委員会の運営に関する件 ○議員派遣要求の件   —————————————
  2. 岡本愛祐

    委員長(岡本愛祐君) これより地方行政委員会を開会いたします。  本日の議題は、地方行政改革に関する調査のうち、地方財政文部省所管関係事項の件であります。教科書を新たに入学する小学一年生に無償で配付するという問題が新聞紙上でも報道されております。政府でもそれを実行するように計画をされておるようですから、その件について各委員から御質問があるそうですから御質疑をお願いいたします。
  3. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 先ずこの教科書の問題は、文部省自体の問題でありますけれども、これが直ちに地方財政に影響する部面がありますので、そういう点から文部省側の意向をお聞きしたいと考える次第ですが、憲法義務教育無償が謳われておるという根本原則から、教科書の一部分にそれを実施しているという大まかな考え方は私たちもわかるのですが、今回小学一年にだけ教科書無償配給をしよう、而もそれを地方と国で半分ずつ負担しようという考えを持つたその考え方について詳しく御説明をお聞きしたいのであります。
  4. 辻田力

    政府委員辻田力君) 只今の御質問にお答え申上げます。只今小笠原委員からお話がありましたように、憲法によりまして義務教育無償であるということが明記されておりまして、ここに大きな理想を謳つているのであります。従来はこの線に沿いまして、授業料義務教育無償でございました。我々といたしましては、義務教育無償という理想を、できるだけ速かに達成いたしたいという念願をしておるのでございます。併し国のいろいろな他の條件とも睨み合せてこれを考えなければなりませんので、今までは授業料を取られたが、併し我々といたしましては、いろいろ研究の結果、教科書無償にするということを考えまして、この無償理想に一歩でも近付きたいという考えを持つたのでございます。そこで義務教育学校における教科書無償給與したいのでありますが、一方には財政上の関係もございますので、種々研究等の結果、二十六年度においては小学校の一年生についてだけ特定の科目について無償にする、そうしてだんだん義務教育無償理想に到達するようにいたしたいというような考えでございます。それでそのために地方財政のほうに影響を持つて参りまして、市町村に御負担をかけるということは甚だ心苦しいのでございますが、この国の大きな政策といたしましてこれを実現する場合に、経費との関係を睨み合わして、我々としては難きを忍んで頂きたいという考えを持つております。そのために全部市町村負担をして頂くということは適当でないと考えまして、国のほうからこれに対して若干の補助をいたしたいというふうに考えるわけでございます。地方財政法によりまして教員の給與に関する以外のことにつきましては、もともと教育に関する事項市町村負担するということになつておるのが建前でございますが、併し国策等によつて国のほうからも若干補助できるという規定もございますので、この線に沿いまして今回の予算案を作成いたしましたような次第でございます。  その内容でございますがこれは予算編成のときに計画いたしましたものは、お手許に差上げました「義務教育無償」と書きましたこの一枚刷のこの計算に基いて積算したわけでございます。即ち小学校の一年生につきましては算数国語理科、それから盲学校聾学校につきましても、この小学校の一年生に相当する分につきまして、盲学校におきましては国語算数、社会、音楽その他となつておりますが、その他は補助教材のことでございます。それから聾学校におきましては算数国語理科でございます。この科目につきまして、その当時における教科書最低値段をとりまして、その半額補助するという形になるわけでございます。一応……。
  5. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 そうすると今年度は一応の経過措置として小学一年、或いは盲聾学校の義務付けられておる一年生にだけ実施するということですから、これは逐年上級学年に推し及ぼして行こうというもくろみであろうと想像されるわけですが、これが完成された暁には、所要経費幾らですか。
  6. 辻田力

    政府委員辻田力君) 本年は、二十六年度におきましては、小学校の一年生についてさつき申しましたような科目についての教科書無償給與するということでございますが、なおこのほかに二十六年度におきましても、音楽等につきましては給與できないことになつております。それで将来これを一年ずつ進行いたしまして、義務教育は九年でありますから、九年間かかつてこれを実施するという場合に、九年目にどうなるかということでございますが、九年目の問題は、一応の計算をしてございます。してございますが、ただ現在の状況を前提として申上げる以外にないわけで、九年先のことでございますので、教科書値段自身の問題もございますし、生徒数の問題、いろいろ問題がございますので、まあ現在を中心として……。
  7. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 大枠でつかんだところでいいですから……。
  8. 辻田力

    政府委員辻田力君) 大枠でつかみまして、小学校におきましては二十八億六千七百六十五万三千十七円、中学校におきましては十九億九千九百三万五千百二十円、それでそれぞれの二分の一を補助するということになりますると、小学校におきましては先の半額といたしまして十四億三千三百八十二万七千円、中学校におきましては九億九千九百五十一万八千円ということでございまして、それからなおこのほかに盲学校所要経費が二百三十七万三千九十余円、それの半額は百十八万七千円、聾学校におきましては三百四十一万七千七百余円、それの半額は百七十万九千円、合計いたしますると、小学校中学校盲学校聾学校全部を合計いたしますると四十八億七千二百四十七万八千九百四十余円、これの半額補助するといたしますると二十四億三千六百二十四万一千円ということになります。
  9. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 それは将来の生徒数の増、或いは教科書代金値上り、そういうものを予想して補正している計数ですか。
  10. 辻田力

    政府委員辻田力君) これは人口の増ということは的確なことはできませんが、一応我々のほうで調べられる限りにおいては調べました。教科書値段はこれはどういうふうになるかというと、わかりませんので、一応現在のものを中心として計算したわけでございます。
  11. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 そうすると大つかみにして五十億ばかしの金になりますが、これはやはり本年当初始めるに当つて、国が二分〇一見て行こうという方針でこれを考えておるのか、全部都道府県市町村自体にこれを移してしまおうという考えで、初め一年度を二分一は国から出す、そういう暫定措置でいるのか。この点計画の何と申しますか、将来に亘る計画について文部省考えをお聞きしたい。
  12. 辻田力

    政府委員辻田力君) 文部省といたしましては、只今申しました半額政府から将来に亘つて補助したい。これは将来の問題でございますから、希望でございますが、したいという考えでございます。
  13. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 まあそうすると相当厖大なこれは地方負担になる所要経費ですが、一応これは地財委その他の意見あとでお伺いするとして、この計算について伺いたいのですが、先ずここで見込んでおる生徒数というのは、いつ現在の生徒数を見たものであるか。第二の点は、單価として挙げている、教科書冊数ごとに挙げるというと、平均單価幾らくらいになるのか、大つかみでようございますから……。
  14. 内藤與三郎

    説明員内藤與三郎君) お答えいたします。第一の生徒の数でございますが、これは昭和二十五年の四月三十日の指定統計に基いてそれを類推いたしたのでございます。自然増は、過去数カ年間の自然増率を以て計算しております。それから平均單価でございますが、これは各学年によつて勿論異つておりまして、一様には申上げかねると思いますが、これは冊数関係もございますし、大体私のほうといたしましては、現在出ておる単価をとつたのでございます。御承知の通り検定になつておりますので、検定基準のいろいろの頁数がございますから、この真数を基礎にして原価計算をする方法もございます。併し今局長が申しました数字は、現在の單価とつたのでございます。平均小学校で申しますれば、一年生で百五十二円になつております。
  15. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 小学校の百五十二円というのは、冊数等で平均すると、大体文部省著作教科書單価、即ち二十円程度と世間では言つておるのですが、この間の事情をもう少し詳しくお答え願いたいと思います。
  16. 辻田力

    政府委員辻田力君) この最低單価は、国定教科書最低單価とつたのではないかというお考えを持つていらつしやるかたがややあるようですが、文部省といたしましては、現在教科書制度国定主義でないので、むしろ検定主義のほうに移行しております関係上、そういう考えは全然ございません。国定検定にかかわらずその当時、即ち予算を積算しますにつきましては、編成いたします当時における最低單価をとりましたのでございまして、国定検定によつて区別は全然いたしておりません。
  17. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 最低單価をとつておる関係から昨年度、まあ昨年度と言いましようか、二十五年度で一般の單価平均は三十五円くらい、それが出版会社のほうの原価から考えると、原価の二〇%というものが営業費として見られておつた。それが今年になつて営業費が三八%くらい見られるという話がある。そうすると一八%ぐらい値段が上つて来るという考え方があるのですが、それは丁度四十円を大体單価としては二十六年度としては越すのじやないか。出版会社等で聞くと、そう言われておる。従つて定価からいうと九分から一割ぐらい値上りになるということを言われておるのですが、そこでそうなるとこの百五十二円というのは、大体二百八十円ぐらいになるのじやないかということを我々聞くわけです。そうすればその差額は、一つ億五、六千万円といつうものは地方経費として負担増になる。こういう推定からこれは相当大きな問題だと考えて、この委員会として事情を質そうということになつたのですが、而もその場合に、これは文部省側意見であるかどうかわかりませんけれども、地方基準財政需要額を大体地方税徴収からすると七〇%ぐらいに見て、三〇%ぐらいは彈力があるのだから、上廻つた分は、その三〇%の中から地方税で出せばいいのじやないかというようなことを言つておる向きもあるということを聞いておる。それは現在の教育財政需要額を上廻わることになるのだから、その部分は三〇%というものから出せばいいじやないか、何も心配がないということを言つておるそうですが、これはそういうことがなければいいのですが、我我としては大問題なわけです。そういう勝手なことをそつちこつちで考えられることは……。そこで先ほどから申上げておりますこの最低單価とつたがための、各学校が自主的に採用した教科書、その値段の実際の二分の一を国が賄うというだけの経費としては足りないということは、これは事実じやないかと思うのです。この点は文部省としてはどういうふうに埋め合わせて行こうとするのか、詳しく御説明願いたい。
  18. 辻田力

    政府委員辻田力君) 先に申しましたように、この予算を策定しました際におきましての單価は、当時における教科書の、現に出ておる教科書最低單価とつたのでありまして、そのうち朝鮮事変等が勃発いたしまして、従つて紙マル公も上りますし、又教科書用紙が著しくと申しますか、相当粗悪なものもあつたので、その関係を調整しまして、少し用紙をよくするというふうなこともいたしましたので、用紙の面でも相当値上りしたのでございます。その点は我々としましても十分わかつておるわけでございまして、その関係をどういうふうに調整するかという問題があるわけでありますが、これはもうすでに予算編成をいたしました後にそういう問題が起つて来たわけであります。そこでそれに必要なだけの予算が増額になれば問題はありませんけれども、併しこの際に予算をその点だけ、紙の値上り分、或いは事務費値上り分だけを増すということはなかなか困難な事情もございますので、そういう関係もございますので、できるならば我々としましては地方におきまして、一方は政府補助金、それからあとはそれに相応する平衡交付金、それからそのあと残り市町村のほうで、地方税のほうで負担して頂きたい。地方税収入によつて負担して頂きたいと思うのであります。併しどうしても困難な事情がありますれば、若干の計画はその事情変更によりまして、多少の計画も変えなければならない場合も起つて来るのじやないかと思つておりますが、今研究中でございます。その点は……。
  19. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 研究中でおつて、九カ年後には五十億もの厖大な金なんですが、これは研究が実現しないと、その国で持つ二分の一という分までも地方にかぶつて行く慮れがある。かぶらんとしても、そういうふうに年々の人口増なり、或いは物価の値上り等計算通りにならない負担というものは、地方が常にこれを負担する。これは非常に大きな問題じやないかと思うので、もう一度しつかり、研究中なんて言わんで……。
  20. 辻田力

    政府委員辻田力君) 研究中と申したのは、我々のほうでは、文部省におきましてはこの予算のほかに、その裏付けになるところの法律案を出したいと思つているので、この国会に……。その予算裏付になる法律案目下研究をいたしておるわけであります。それでそういう意味研究中ということを申したのですが、例えば、これはまだ結論としてそこまで行つておりませんが、科目を或いは減らすというふうなことも考えられるわけなんでございます。科目を、例えば算数国語理科とありますが、それがどうしても予算上できないということになりまして、而も地方に非常に負担をかけるということになりますれば困りますので、それを考慮して、地方負担をできるだけ少くするということも考慮すれば、前に予算を作つた場合と現在と非常に事情が変つているわけでありますから、その間に計画変更ということを考えなければならん。例えばここで算数国語だけにいたしまして、理科は次の機会に譲るというふうなことも考えているわけなんです。そういう意味目下研究中と申したのでありますが、さつきの言葉は、全然地方のほうに負担分は全部おつかぶせるというような考えの下の研究中じやありませんから御了承願います。
  21. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 その研究中が、今回法律案が出るのでしよう。出るまでの間の研究中なんでしような。
  22. 辻田力

    政府委員辻田力君) そうです。
  23. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 実施して、まだ研究中なんだということになつたら、これは大問題になるわけです。それでその法律案は、内容としては財源的な裏付をする法律案ですか。
  24. 辻田力

    政府委員辻田力君) その法律案内容は、そこにお手許に要綱だけでございますが、お配りいたしましたが、これはまだ確定いたしませんのではつきりしたことは申しかねますが、併し現在まで考えておりまする部分は、大体義務教育公立学校につきましては、その生徒児童教科書無償給與するという一つ原則でございます。方針であります。それから第二は、これは地方財政法との関連もございまして、それに要する費用は市町村負担するという原則でございます。第三の原則が、市町村負担する経営に対して国が一定の額を補助するという原則でございます。この三つの原則と申しますか、方針を大体中心にいたしまして法律案を作りたいと思つているわけでございます。
  25. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 この問題を実施する、或いは法律案国会に出すということのために地財委、或いは自治庁とどういう了解を得ておるか。文部省側として御説明願いたいと思います。
  26. 辻田力

    政府委員辻田力君) この予算を編成する際に自治庁地財委あたり事務的に一応連絡をしてありまして、向うの地財委、或いは自治庁のほうの事務関係のほうのかたにも、こちらのほうの予算要求内容等については御説明をしておつた事情があります。併し只今お話法律案の問題につきましては、これは予算政府部内において一応認められた後に、もう一度又交渉しているわけでございます。まだ最後的な結論まで行つておりません。
  27. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 そうすると先ほど私申しましたような値上りとか或いは生徒数の実数が殖えた、そういうふうな場合に町村だけが負担しなくちやならん分については、その地方自体収入を以て賄つてもらうという文部省側のお考えというものは、地財委或いは自治庁側了解を得ているかどうか。
  28. 辻田力

    政府委員辻田力君) その点について目下交渉といいますか、話合い中でございます。
  29. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 地財委自治庁のほうでこの関係について明快な御説明をお願いしたいと思います。
  30. 木村清司

    政府委員木村清司君) 我々といたしましては、文部省補助せられる限度においては平衡交付金予算要求しておりますから、その意味においてはその限度においては了解いたしております。
  31. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 オーバーする部分についてはどういうお考えですか。
  32. 木村清司

    政府委員木村清司君) これは只今のところまだ交渉……、只今のところは我々はオーバーするということの前提なしに、補助限度において負担するということだけ要求しております。その点はまだ考えておりません。
  33. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 そういうオーバーするような結果になることは、現実の問題として明らかになつている。こういうことについて地財委としては望ましいことであるとお考えになるか、仕方ないとお考えになつて地方から出させるようにしようというのが、或いは文部省のほうで国からもつと出すようにしてもらうのかということについて、地財委としてもお働きになるのか、委員会のこの問題に対する見解をお伺いしたいのです。
  34. 木村清司

    政府委員木村清司君) 財源措置のできないものを義務負担させるということは、地方財政の趣旨から行きましても如何と考えております。
  35. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 私だけで話しておつてもいかんですから、他の委員もこの問題はやるでしようから、次に移りたいと考えますが、何でも聞いて見ますと、今までの話の模様では、民間のよい教科書検定制度でどんどん採用して、教育内容を豊富にし向上させようという意図と、この財政的な措置とは逆行するのじやないか。即ち従来各学校が最も望ましいと思う教科書を採用して児童に使わせておつたが、今後は教科書のよい悪いという判断でなくて、値段の高い低いということで採用して来るのじやないか、而も又都道府県、或いは市町村教育委員会等は、知事、市町村長からの行政的な圧力をかけられて、各種のよい教科書の中から自由に採用するということをやめさせられて、文部省著作のいわゆる国定教科書を、最も安いやつを千篇一律に使わせられるという結果になるのじやないか、そういうことを考えると、どうも無償ということは大変結構だが、教育内容の向上という点から言うと、これは問題の点があると考えるわけですが、これは文部委員会のほうの問題で、余りここで追及することは私は余計なことですから、大体そういうような考えを我々も持つ、而も財政的な問題は今のように非常に重要な要素を含んでいる、而もですね、次にお伺いするのですが、四月の新学期に、現実に一年生に、本当に希望を持つて学校に出て来る一年生に、全部教科書配給できるかどうか、その点についての見通しをお伺いしたい。と申しますのは、多分予算は三日の末項でなくちや通らんと思う。それまで金は動かん、出版会社としては金がない、或いは配給業者も金を末端から集めるわけでもない、それで而も教科書は流れて行くかどうか、こういう問題なんです。
  36. 辻田力

    政府委員辻田力君) この問題は我我として最も関心を持つておる問題でありますが、この教科書無償にするということによつて教科書配給すると申しますか、生徒児童手許に渡るのが遅れるというふうなことは、絶対あつてはならんと考えております。そのためにこれは直接財政上の問題でございませんが、文部省におきましても関係方面連絡いたしまして、教科書の基準問題についていろいろ斡旋、その他の労を取つておるわけでありまして、それによりまして財政上の関係経営上の関係のギヤップを埋めて行きたいと思つておる次第であります。
  37. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 ところがこれは噂としてお話しますが、国からの補助金なり、今度出る平衡交付金なりというものを都道府県市町村の未端までやることをしないで、中間でストップして、その金だけは一塊りにして出してもらつて、そうして出版会社に渡す、だから金融的な問題は心配ないという構想を持つてつた向きもあるやに聞いております。併しそんなことは、これは現実の問題としてむちやな話で、そんなことで出版会社を償うなんという馬鹿な話はないのです。その金融問題なんですが、金融も私ども聞くところによれば、日本銀行とかその他は受付けない、それで漸く何か勧銀あたりから三億引出すというふうな、様々な運動をせられておるというような噂を、これは噂の程度にして置きますが、聞いておるわけです。それに文部省はどういうふうにタツチしておるのか、もう少しこの点をお伺いしたいと思います。と申しますのは、利益を得る出版業者自体も瞞されたような気になつて、これは困つたことだというふうに今考えて、あわてておるということを我々聞くのです。もう少しこれははつきりして置かないといろいろ、相当大きな金の問題ですから、生徒児童のために非常に重大な問題だと思うのです。はつきり御答弁を願いたいと思います。
  38. 辻田力

    政府委員辻田力君) 幸いにこの予算が認められまして、この義務教育費無償の促進ということが実現した場合に、国の補助金が途中で一括して渡るという噂があるというお話につきましては、絶対そういうことはないつもりでおります。そういうことは事実又できないと思います。  それから次の金融の問題につきましては、これは文部省大蔵省銀行局というような関係部局の間において十分連絡もとりますし、又一年生の教科書を発行するのが十三社でございますが、この十三社の関係代表者話合いまして、この間に配給が遅滞するというようなことのないように、そのために或いは勧銀お話がございましたが、勧銀等とも十分連絡をいたしまして、その間に緊密な連絡の下にこの実現を図りたいと思つております。只今最後的な結着については、まだ申上げる時期に達しておりませんので、次の機会に……。
  39. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 そういうことについて文部省金融上の画策は誰が責任者ですか。
  40. 辻田力

    政府委員辻田力君) ただ教科書の、この義務教育費無償ということで教科書、この問題についての金融関係については我々が努力いたしております。その他の教科書の問題については又別でございます。
  41. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 そうすると実際この計画が実施されて、国の金、或いは平衡交付金等が何回かに分れて地方に流れて行くわけですが、それを又末端から回収して来て、出版業者にその金が入つて来る。で全部が回収されるのにはどれくらいかかるのですか。従来の末端から金を集めて来たときと、回収後の時間的なずれはどのくらいであるか、見通しをお伺いしたいと思います。
  42. 辻田力

    政府委員辻田力君) 従来の問題につきまして、義務教育無償ということがなかつた時代と、今度これが実現された場合との関係でございますが、この場合に従来は社によつていろいろ機構も変つておりますし、又ルートが違つたりしておりますので、一概に申せないと思いますが、ただ概して申しますと、早期販売をいたしまして、個人個人が金を取つて、それを集めて来るので、社によつては二月頃、或いは三月、四月頃というふうに、まあ三月頃に金が集つて来るというふうなことになるのじやないかと思います。それで、これは併し大ざつぱな話でありますが、そういうことになるのじやないかと思いますが、今回義務教育無償のためには、一年生の教科書については、どうしても四月以降の支拂いになるわけでございます。と申しますのは、国の補助金が四月以降になつて参りますし、市町村の支出も四月以降になりますので、四月以降になりますが、我々のほうではこの問題は教科書値段自身にも響いて来ますので、できるだけその期間を短くしたいと思つております。例えば大蔵省なり関係方面とも話しまして、補助金の交付の時期をできるだけ早くやるというふうにいたして、業者に迷惑をかけないようにし、従つて教科書値段も、そのために値上りというふうなことのないようにしたいということに努力しておる状況でございます。
  43. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 最後に一点だけ。その補助金は町村の末端まで分割して渡すわけですか。都道府県にとめて、都道府県が一括して配給会社その他へ金を支拂うというような操作をさせるのですか。
  44. 辻田力

    政府委員辻田力君) これはまあ技術上の問題になりますが、筋といたしましては、と申しますか、補助金の対象は市町村であります。引渡しは、県を通して持つて行くとか、或いはどういうふうな関係でということは別に……。
  45. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 私の申しますのは、町村まで実際に金を渡すかどうかということなんです。
  46. 辻田力

    政府委員辻田力君) 国の補助金市町村に実際に渡します。
  47. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 木村さんにお伺いしますが、将来五十億もの地方財政負担になる教科書無償のこの問題について、根本的に掘り下げて文部省側から、地財としての意向を聞いたことがあるかどうか、又地財は、この問題そのものについてどういう見解を持たれておるか、お伺いしたい。
  48. 木村清司

    政府委員木村清司君) 趣旨そのものはいいことであろうと、こう思つております。そうして又そのこと自体を批判する立場でないのでありますが、ただ今年の一億四千万円程度のものは、ちよつと氷山の頭のような恰好でありますから、今のような平衡交付金に対して非常に私どもの要求の最低限度を入れて頂いておる現状においては、氷山の頭のようなものでは余り好ましくないと私自身考えております。事柄事態としては、私は非常に結構だと思います。或いはできる限り文部大臣のおつしやつておるように、国民精神、国家精神の昂揚の見地から見るならば、或いはもつと補助率を、国家の補助率をもつと大きくされてはどうかと思います。或いはもつと無償交付というよりも、私どもの希望といたしましては、国家から教科書に対しては直接何か補助金をというようなことが、別な考え方としてはあるのじやないかと思います。これは私の個人的見解でありますが、思つておる次度であります。
  49. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 重ねてもう一つ。将来五十億の金が地方自治体だけで賄わなければならんという事態になれば、現在からの見通しとしては、やはり地方財政を圧迫するようになるが、その程度のものなら我慢できるのか、この点もお伺いしたい。
  50. 木村清司

    政府委員木村清司君) 私どもといたしましては、こういうことは地方財政の確立と相待つて実施すべきだと思つております。このことだけでまあ地方財政が直ちに破綻されたというふうには考えられませんが、こういうことに関連して施策がどんどん行われて行くことに鑑みまして、地方財政の圧迫になるのじやないかと思います。今度の地方財政の私どもの要求を御覧になりましてもおわかりのように、平衡交付金が十分計上されておらんという点が一番難点ではないかと考えております。
  51. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 どうも文部省のために地財も、又我々地方行政委員会もえらい迷惑をこうむる場合が多い。この間中から臨時国会等でも昨年度の年末給與の半月分、或いは紋別推定表の改正に伴う金、そういうごちやごちやしたものはみんな尻ぬぐいができておらない。全部これを平衡交付金或いは地方負担というふうに尻ぬぐいをさせられる。而も現に教科書問題でも一億数千万円が余分に地方が尻をぬぐわなければならんというふうな予算、そういうものが出ておる。非常に困るのです。この間西郷委員は、文部省は空鉄砲ばかりぶつ放して、味のあることはちつともやらん、けしからんじやないかということを調査局長に対してまあ言つてつたのですが、我々としてもそう考えざるを得ない。一貫してそういうことであつては、非常にこれは地方財政にとつて重大だと思うので、もうはつきりとこの一億三千九百万円という、二分の一補助というようなことでは賄い切れないのだということが現にわかつておる今日、飽くまで先ほど言うように地方負担でやつて頂きたいということで、文部省は頬被りされる気なのかどうか、最後に御答弁願いたい。
  52. 辻田力

    政府委員辻田力君) 我々といたしましては、国の政策の上で、国の政策を実施する場合は、できるだけ国からの経費を支出しなければならん、経済的な財政的を裏付けをしなければならんとは思つております。従つて地方にはできるだけ御迷惑をかけたくないと思つておりますが、併し事柄の性質によりましては、地方財政負担を願わなきやならん点も結局あるのは止むを得ないと思つております。併し只今もこの教科書問題につきましては、一方国の政策としてやるのでございますが、併し地方においても非常に関連の深い問題でございますので、地方のほうで全然負担しないというようなお考えじやなしに、できるだけその点については御協力を煩わしたいと思つている次第でございます。なおこの二分の一を九年間に亘つて補助をしたいということは、或いはその後においてもずつと補助したいということは、我々は念願しておるのでありますし、又大蔵大臣でございますか、議会でもそれに関連したようなお話もあつたように伺つておる次第でございますが、これらは九年先のことでありますし、これを今からいろいろ予測することも困難でございますが、我々としてはそういうように努力したいと思つておる次第でございます。
  53. 西郷吉之助

    ○西郷吉之助君 先ほど来辻田局長の御説明を伺つてつたのですが、どうも今小笠原委員の御質問に対する御説明では、我々聞いておりまして誠によちよちで、まだ不十分な研究のために、全く確信がないという感じを強く受けるわけです。局長に伺いますが、最後の小笠原さんの質問にあつた通り、文部省地方公共団体の財政に対して、いろいろ約束はしたが、大蔵省との関係もあるが、結局地方が非常に馬鹿を見て、地方がさなきだに困難な地方財政が非常に迷惑をこうむつておるのですが、その処置が完全に付いていないというのに、又こういうような九年間にやるような、極めて粗漏な研究の下にスタートをする、過去において六三制のプランが非常に漠然として、百年の計を以てやらなかつたために、実施以来今日まで、その財政裏付その他について非常に困難を極めておることは、文部省が一番よく知つておるはずだと思うのです。それも今日、校舎にしても何にしても、地方に行きますと惨擔たる状況のままに放任してある。それはいずれもその財政関係だと思うのです。こういうようなことが今日すでに大きな問題であるにもかかわらず、又今度無償教科書の配布、その趣旨には大賛成でありますが、結局は地方が全額を負担しなければならん結果になる。こういうふうな問題を六三制に性懲りなく、又漠然と始められるということは、これは非常にいかんと思うのです。これは要するに文部省当局は自分の負担と趣旨だけ考えて、財政的な見通し裏付け、そういうふうな研究が極めて杜撰だと思うのです。教育する上にその予算が伴うことを疎かにしていると思うので、今日のような漠然たる出発をされようとしているが、こういう点は六三制のこともあるので、どういうふうにお考えになつて立案されたのか。先ほども小笠原さんの質問にありましたけれども、もう一度辻田局長にはつきりつて置きたいのです。この問題は大臣に伺いたいのですが、文部委員会に行つておられますから、取りあえず局長から重ねて説明を願いたいと思います。
  54. 辻田力

    政府委員辻田力君) 只今の御質問に対してお答え申上げますが、小笠原委員に対してお答え申上げましたように、我々といたしましては、文部省といたしましては、憲法理想を謳つておりまする義務教育無償という原則を、現にその理想をできるだけ速かに達成いたしたいという強い考えを持つておるわけでございます。それでこのために従来は授業料だけを無償にしておりましたが、いろんな諸般の事情考えまして、ここに一歩教科書の問題に踏み入れて、そうして少しでも義務教育の振興のために努力したい、国民の文化水準の向上に寄與したいという考えでおるわけでございます。それに伴う財政上の問題は、これはいろいろ御意見もあろうと思いまするが、我々としましては、財政の許す限りこの実現を図つて行きたいと思いますので、そこで国といたしましてもできるだけの補助をいたしまして、この理想の実現のために一歩を進めたいと考えておる次第でございます。
  55. 西郷吉之助

    ○西郷吉之助君 今いろいろ御説明を伺いましたが、この問題は予算をよく御覧になつたかということです。例えば従来とても配布税のときも、地方関係のものは、池田大蔵大臣が法律を無視して配布税を半額にして切つた実例もあり、それ以来平衡交付金になつても、地財委その他の地方要求が極く僅かしか出されていない。二十六年度の予算にしましても、あなたは御覧になつたかも知らんけれども、平衡交付金においても百九億の減少を来しておる。政府がそれだけ削つておるのであるが、現段階においてそういうふうな結果にある。であるから、例えばこれに組んであるにしても、百九億も切られておるのであるから、その切られたほうに入るのか残るかもわからんけれども、平衡交付金ですから、内容はつきり言うことができんから、どれが残つてどれが削られるかわからないが、そういうふうにすでに今日の予算を見れば歴然となつておる。木村委員長代理も趣旨は了解しておると言うけれども、地財委にも百九億の平衡交付金の差があるという以上は、こういうふうなことに確信がないと私は思う。文部当局は、こういう法案の財源的な裏打ちの必要なものは、よく予算を勘案してなさらんと、その結果が極めて悪くなつて来まして、地方負担が非常に多くなつて来るのです。国が、各省勝手に地方公共団体と相談もしないで法案をどんどん出す結果、地方財政はそのために負担が非常に苦しい状況にある。なお且つこの問題は、我々は財政的に非常に重大な問題だと思うのは、地方財政が困難なために、自治体警察にしても或いは消防にしても、国でやつてもらいたいところのものが非常に多い。先ほどの辻田さんの御説明と、それからこの法案の要綱を見ると、最初はとにかく二分の一は国がやるというようなことになつておるが、結局は本来の姿は市町村に廻されるものですし、その点は今日の地方財政見通しから言いますと、九年先になれば非常によくなるという見通しはないと我々は思う。そういう点は、結局最後においてあなたは五十億と言われるけれども、その單価を伺うと、最低の單価である。そういうふうなことを、物事を考えるときに大体の平均を取つて考えて行かんというと間違いができると思う。最低で、自分に都合のいいように考えてやると、このように地方は非常に困る結果になる。今度の問題だけを考えて、地方負担が僅か二億円足らずであるにしても、実際には先ほど申上げましたように、平衡交付金において非常に減額を来しておる結果、実際は最初から全額地方公共団体が負担して行かなくちやならんような状況になりはせんかと私は思う。その点は両方、地財委員長にしても文部省にしても、本当にこの点をどういうふうに思つておるか、双方からお話を承わりたいと思います。
  56. 木村清司

    政府委員木村清司君) 結局私どもの財源計算から申しますというと、お説の百九億の要求を入れられませんというと、この主な経費はどうしても見込まなければなりませんので、従つて経費の基準財政需要を減らす、そうしてこれはやめるという操作になるということであります。
  57. 辻田力

    政府委員辻田力君) これは少し出過ぎたことかも知れませんが、私どもとしましては、特に私の直接関係しておりまする高等学校中学校小学校、幼稚園のことでございますが、常に感ずることでありますが、平衡交付金が少な過ぎると思うのです。もう少しその点を、いろいろな輿論で押して多くして頂いて、地方教育費を増額して頂きたいと思つているわけです。地方財政のことは常に考えているのでございまして、ただ理想だけ考えておればいいというようなつもりはございません。それでこの理想の実現に対しても、現実財政上の問題をとくと考えて、地方財政委員会、或いは地方自治庁と十分お話合をして、できるだけ地方に御迷惑をかける程度を少くしたいと思つておるのでございます。
  58. 西郷吉之助

    ○西郷吉之助君 今辻田さんがそう言つたけれども、あなたが文部省の局長として、高瀬文部大臣の時代における標準義務教育費法案の趣旨説明のときに、みずから求めて来て、そうして空鉄砲に終らしたのです。その場合でも教員関係のかたが多数、何百人というかたが見えて、どうも小学校の教員の給料が誠に確立されていない。平衡交付金があるが、あれは紐付きでないから、ところによつては遅配欠配があり得るので非常に遺憾に堪えない、そういうお話を伺つたので、誠に感銘を得たのですが、そういうような空鉄砲を打つたのですが、今日教員の給料に対しても教員関係のかたがたは安心して考えていないのです。場合によつては遅配欠配があるのだ、そういうふうなことであつて教育上私は非常にいかんと思うので、この委員会においてもそういうことのなきよう、常に毎回予算の審議において、そういうようなことを深く考えてやつておるのですが、今度又こういうふうなことを漠然となさると、もうすでに教職員の給料なんかに対しては非常に遅配欠配をなす慮れが出て来ると私は思うのですが、こういう点をあなたがたはどういうふうにお考えですか。
  59. 辻田力

    政府委員辻田力君) この義務教育教科書無償の実現がいたしました場合に、教員の給料にいろいろ圧迫を加えて遅配欠配が起るというようなことは、私はないと思います。(「そんなことを言つたんじや駄目だよ」と呼ぶ者あり)そういうことのないように私は努力しております。
  60. 岡本愛祐

    委員長(岡本愛祐君) ちよつと今文部省の初等中等教育局庶務課長の内藤さんが……。
  61. 内藤與三郎

    説明員内藤與三郎君) 只今西郷先生のお話がございましたが、この教員の給與費は現在都道府県負担になつておりまして、都道府県教育基準財政需要額の中に込めております。それから今の教科書無償の件につきましては、半額国庫補助で同額を市町村教育費の基準財政需要額の増加額に見込むつもりですから、そこで教員の給與とこの問題とは関連がございませんことでございます。
  62. 西郷吉之助

    ○西郷吉之助君 局長の先ほどの御答弁でも、今のなんのために補助員がわざわざ横から顔を出したのか知らんけれども、こういうふうな重大な根本問題に触れるのですから、一説明員などの補足説明などは必要としない。局長の答弁は甚だ私は遺憾だと思う。そういう答弁をされるから、あなたは財政のことはわかつていない、そういう裏打ちをみずからしたようなものだ。そういうふうな感覚でいると、非常な間違いが起きると思うのです。この問題は非常に重大ですから、委員長は文部大臣の出席を要求して頂きたいと思うのであります。
  63. 岡本愛祐

    委員長(岡本愛祐君) 今出席を要求しておりますから、文部委員会が済んだらすぐこちらへ来ることになつております。
  64. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 辻田局長のお話、或いは内藤説明員お話ですがね。地方行政調査委員会議の勧告でも、教員の給料は市町村へ下がるということがまあ大体見通しをつけていた。而も教育委員会が出ればそれはそうなるかも知れない、法律上は……。そうしたらここ九カ年間の間には必ずそういう圧迫が起つて来るわけなのです。ないとは言わせない。而もどうも局長の話は、平衡交付金というもので行くのだから、それでその町村はその金を出せば間に合うのだ、オーバーする分は、一つ部分地方税なり、或いは地方の雑収入を以て賄つてもらえばいいのだ。だから大した負担じやないのじやないかというような話なのですが、将来に亘つて地方財政委員会計算の基礎の中にこの部分を入れて、そうして確実に出してやるかどうかもわからない。而もそれを出してやつたにしたところで、限られた総枠の財政規模の町村では、そういうことは有難迷惑であるかも知れない。よそのほうに緊急に支出しなくちやならん、財政操作をしなくちやならん場合があるかも知れない。現在例えば最近この陳情に来ておる群馬県などは、県の予算の五三%が教育費だ、岩手県などでも四六%が教育費、それは教育の実態からいえばもつともつと殖やして行きたいのだけれども、全体の財政規模が限られておるのに、片方殖やせば片方は圧迫されて来る、全体のその地域の住民の福相のために地方財政が使われなくちやならん。そういう調整の問題等もあつて、必ずしも文部省の通り、筋だけで物事は私は解決しないと思う。全体的な立場で地方財政を見た上でこういうことをお考えになつておるのかどうか。お考えになつておるならばその考え方で、これを大丈夫やれるのだという根拠を示してもらいたい。
  65. 辻田力

    政府委員辻田力君) 私どもとしましては教育の振興のために十分な経費裏付けがあることは必要だと思つておりますが、併し日本の置かれております現情から考えまして、或る程度これに思うこと全部できないことは当然だと思つております。地方財政におきましても全体の立場から考えましていろいろやりたいことがございますが、地方財政の現状から見て、いろいろその間に制限を加える、我々の実施についても制限を加えておるわけでございます。今回におきましても教科書無償のためには、地方財政委員会といろいろお話合をしておるわけでございますが、一応平衡交付金によつて或る程度裏付けをして頂くということと、政府からの補助金とで大体賄えるのじやないかと思う。又賄えないような問題があれば、これについてはもつと計画を立てる、先ほど申しましたように、これは例えばでございますが、科目を減らすとか、そういうふうにしてできるだけ迷惑をかけないようにしたいというふうに考えておる次第でございます。
  66. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 先ほどから地財と御相談の上ということを盛んに言うが、地財のほうはこうした問題は国で見てやるほうがいいのだというお考えを持つておられる。文部省市町村負担原則としたいという考えでおられる。それで国から見るということは暫定的な一つの要素としてだけ考えておる。明らかにこれはもう対立した考え方なのです。こういう対立した考え方になれば、結局地方財政委員会教育のために温い心を持つてつても、現実の問題としてはそういうものは切り捨てられるかも知れない。意見が対立していれば、そういう中でどういうふうに相談し、どういうふうに調整をとつていこうとするのか。まあ現在の地方財政委員会の立場としては、そういうものがきめられたら、こつちも機械的にただ見なくちやならん、困つたことだというだけの話なのです。そういう考え方でただ見るだけの話、而もそれが現に地方でどういうふうに使われるかどうかはわからん。でこの点はやつぱし西郷委員も言つておりますけれども、文部大臣の出席を求めて根本的にお伺いしなくちやならんのですが、この際自治庁のほうはこの問題について根本的にどういう考えを持つておられるのか。それから将来についてはこうしたものはどういうふうに扱おうと考えておられるのか。小野政務次官がお出でになつておりますから、この際お伺いして置きたい。
  67. 小野哲

    政府委員(小野哲君) 私からお答えいたします。義務教育の振興を図つて行かなければならないということは私も全く同感であります。ただその場合に如何なる時期に、如何なる方法によつてこれを実施するかということが問題になると思うのでありますが、先ほど来文部当局からも答弁があり、又木村委員からも答弁がございましたが、地方公共団体に対して、この制度の実施に伴つて相当の負担が過重されるということは、私も認めざるを得ないと考えております。(「その通りだな」と呼ぶ者あり)従つてこの実施の方法について、どういうふうに地方公共団体の負担の点について考慮を拂つて行くべきであるかということを考えなければ、この種の制度を円滑に施行するということはにわかには賛成いたしがたいのであります。従つて文部当局から地方自治庁並びに地方財政委員会当局に対しても種々連絡があるようでありますけれども、未だ結論に到達しないのは、この間の事情を物語つておるものと私は考えるのであります。従つてこの点につきましては地方自治庁という立場におきましても十分に愼重な態度で以て処して行かなければならないと考えておるわけでありまして、地方財政委員会意見を十分に尊重しながら対処して行きたいとかように考えておる次第であります。
  68. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 これはますます以て奇怪な話になつて来たので、(笑声)この法律案研究中であるとは言つておりますけれども、今国会にこれから出そうということを先ほど文部省当局がおつしやつておる。その原則市町村及び都道府県負担とするということなんです。当分の間だけ二分の一程度を見たいということで、地財委の先ほどの意見自治庁意見は全然こういうことは反対の方向にある。どこで意見の一致を見たんですか、この計画を実施するにあたつてですね。自治庁或いは地財委と相談してどこが了解を得られた点なんですか。今の話を聞くと、全然食い違いがある。
  69. 辻田力

    政府委員辻田力君) 文部省としましては、当分の間とお手許に差上げたものに書いてありますが、それはその制度を完成するまでという意味でありまして、それから後になりますと、これは平衡交付金の中に全部入つて行くのが制度の建前ですが、平衡交付金によつて全部賄つて行く、そういう考えの下に当分の間、当分の間というのはそういう意味でございまして、ただここ一、二年の間という意味ではありません。
  70. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 これは大臣に聞かなければならんですが、辻田さんそうおつしやるならば、辻田さんは国の平衡交付金自体を、文部省関係のそれのみでもいいが、絶対減らさせない、創らせないと、政府に対してそういうことを責任を以て言いますか。削るものがあるのだから……。
  71. 辻田力

    政府委員辻田力君) これは、(「辻田大臣答弁しなさい。」と呼ぶ者あり)只今手許に差上げてありまする要綱は、いろいろ先ほどからお話がありますが、関係方面と相談いたしましてどういうふうになるかわかりませんが、一応文部省としてそういうふうに考えておりますことを参考のためにお話したのでありますが、我々の考え方はそういう意味において当分の間と書いてあるという字句上の説明をしたわけでございます。
  72. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 完成するならば、平衡交付金で全部見てもらうのが当然だという意見について木村さん……、これは大問題です。
  73. 木村清司

    政府委員木村清司君) 私は事柄の性質から見ますと、政府地方税及び平衡交付金両方から噛み合わして財源措置をいたしますならば、これを全部地方負担にするということは趣旨において賛成であります。ということは固有事務は、地方団体が国家の規律、統制の下に自主的にするというのが極めて日本の民主化のためには、或いは進歩のためにも両方のためにもいいことだろうと思います。従つて自治体の内容を豊富にする意味においても私はそれに賛成いたします。そこでやはりその前提といたしまして、政府といたしましては財源の措置ということを考えなければならないということを私は主張しておるわけです。
  74. 相馬助治

    ○相馬助治君 私は岡本委員長に一つ要求して置きます。それは先ほど西郷委員、小笠原委員質問したことと、殆んど同様のことを、他の委員のかたから質問が仮りになければ私自身ではやる予定です。恐らく西郷委員、小笠原委員からしてそういう質問があると思いますので、岡野大臣と、それから文部大臣と、それから財政委員委員長代理である木村地方財政委員と、この三人のかたが同席した委員会を我々持たなければこの問題の解決点に至らない。こう思いまするので、三人の同日同時の出席を委員長に要求して置きます。(「異議なし」と呼ぶ者あり)その次に私は木村委員長代理にお聞きしたい点が一点ありますが、その次に辻田局長に聞きたいのですが、辻田局長の答弁を木村委員長代理のあとにして頂くのですが、研究してもらいたいから一言私は辻田さんの質問を先にやつて置きます。文部省教科書について如何なる権限を持つておるつもりであるかという点を、憲法、それから教育基本法、学校教育法、これら教育に関する諸法規の建前からこうだと思いますとか、ああだと思いますとかじやなくて、文部省はかかる権限を持ち、かかる指導を必要とするのですということを明確に局長から承わつて置きたい。それを私は材料として後刻文部大臣に質問する前提になるのですから、しかと御答弁を願いたいと思います。木村さんにお聞きいたしますが、この問題は地方財政の問題からこれは実に大きな問題であつて、先ほど木村さん私見であると申したが、国で費用を出して、それを国で補助金の形で教科書を、中央で費用を出すほうがいいというような意味のことをおつしやつたのですが、それはとんでもない間違いであつて、一体この教科書というものについて戰争後どういう反省が試みられたかと申しますと、教育で起きた種種の欠陥の中で極めて画一的なこの教科書というものがあつたがために、大きく言えばかかる無惨なる敗戰にまで立至つたという反省の下に立つて教科書というものが民主的に作成されなければならない。民主的に配給されなければならないとして法律を以て教科書の民主化というものが行われた。それが事実問題といたしましては教科書検定というものは、大きな資本を必要としなければ検定が取れないような仕組に事実問題としてなつておりますために、法律の趣旨とは誠に逆行した形体が今日現出しつつあるその際におきまして、この教科書に関するこれらの無償配給というような問題につきましては、これは拍車をかけることと相成るのです。私は思うに義務教育教科書用図書を無償配給するということに反対する馬鹿者はいない。これは当然こうあるべきでありまするが、ものには順序がある。先ほど西郷委員心配だからと言うて質問をした、いわゆる教員給の問題やその他にこれは深刻なるところの影響を及ぼしますると共に、立法府にありまする我々としての責務から申しまして、法律を作る。すぐに地方ではそれに見合うところの金を出さなくちやならないということを、我々は野放しにそういう法律を作るわけにいかない。そこで大きな我々はヂレンマに立つわけです。新聞ではこれも今の自由党内閣の善政であるかのごとくに、教科書はただでやるのだということを猛宣伝しておる。我々は教育を愛するが故にこそこういう馬鹿げた法律にはにわかに賛成できないと、こう申しておる。これを簡單に言うというと、教科書無償配給に我々が反対しているがごとくに聞こえるのであつて、この趣旨は我々は賛成なのてある。ただ地方財政の面から見て、それから教科書の民主化ということに逆行する現在の教科書配給のいろいろの現実から照らして、我々はこれに対して反対をしておるのです。従つて木村さん、この問題についてはどういう相談を文部省から受けられておりますかということをお尋ねしたいのが一点。  それから第二点は平衡交付金で一億三千九百万円というものが計上された場合には、はつきりとこれはこの分を紐付きで出し得ることが大蔵省方面とはつきり話合がついているかどうかということを第二点にお尋ねしたいのです。この第二点のお尋ねをしつこくするのは、御承知のように、昨年度の補正予算の三十九億というものを大蔵省は計上して、そうしてこの中にはあれもあるこれもある。足りない分は地方財政を節約して出すのだというような、人を馬鹿にした説明を我々にしておる。そういうことをやられたのでは堪まらないから、大蔵省側とどういう話合がついているかどうかということを私はお聞きしたいのです。若し聞いていないとすれば、これは地財委の怠慢誠に恐るべきものがあるからして、あえてお尋ねして置く。そういう意味で総括的に申しまして、この無償教科書配給するという善意は財政委員としてあなたのおつしやる通り賛成であるということは我々も皆賛成でありまするが、この段階においてかかる法律案が出るということが、こういう財政措置地方財政に命ずることがどういう影響を持つものであろうかという見通し、以上三点についてしかと承わつて置きたいと思うのです。なおいろいろ触れたいことがありまするが、二大臣列席のどころで木村さんに十分なる質問をする用意のあることを附言して、以上の質問をして置きたい。
  75. 木村清司

    政府委員木村清司君) 今の私がさつき何か無償で出したほうがよいという意味は、具体的に申上げますというと、この問題でも同様だと思いますが、これは私のまあ多少個人的な見解になりますけれども、大部分という意味でありまして、特定の教科書を選択せねばならんような状態に追いやるようなことは、或いは好ましくないのじやないかというような気がいたします。その点においてはあなたと私ども同感であります。これは現在この案ではそういうことになりはせんかということを懸念いたしまして(「その通り」と呼ぶ者あり)それでありますから国庫の負担する分、地方負担する分というものを前に仮りに決めたといたしますならば、我々もその限度においてそれ以上は、例えばまあ一般の市民税は特別な階層の、或る特定の救助を要するような人以外は一定の金額を取るということによつて、自由によい教科書を選定するということが或いは望ましいのじやないかと思いますが、これは併し地方財政委員会としての意見じやないだろうと思うのです。これは国会においておきめになることだろうと私は思います。(「了解」と呼ぶ者あり)それからそういう意味において私の意見を申上げたといたしますならば御了解願えると思います。(「わかりました」と呼ぶ者あり)紐付きの点は全然ありません。如何なる場合においても紐付きはありません。ただ私どもが予算……基準財政需要を定めます際に、義務的経費、全然地方において削除の余地のない、経費の削除の許されない経費については、他の経費に優先して財政需要を計上するということにいたしておりますから……いたす意味において、この意味においては紐付きと了解されるかも知れませんけれども、これは決して法律上何ら紐付きではありません。ただ、例えば教員俸給とか、或いはこういう義務教育費とか、生活給の地方負担分というようなものは、如何なる場合においても最低限度は支出しなければならんという法律上の義務のあります地方の支出につきましては、その財政需要の策定の際に、優先的にその相当額を先ず見るという方針でおるということだけ御了解願いたいと思います。私どもが了解しておる限度におきましては、文部省が同額を計上いたすということは、我々といたしましては同額を或る程度了解いたしまして、了解したということは、要するに、国庫予算に計上されて、恐らく閣議でも決定されて、恐らくこの予算は議会を通るであろうという前提の下において、平衡交付金の需要を不足額の経費の中に算定しておるという限定において了解しておるのであります。
  76. 相馬助治

    ○相馬助治君 もう一点。私が聞いておりますのは、今この義務教育教科書用図書を無償配給するという法律案がよいか悪いかと言えば、あなたの言うように、よいにきまつておる。ただ現状においてすぐに国庫で幾らか金を出すと、それに見合う地方財政も又支出になるようなこういう法律案を今出すということ、これ自身について財政委員会としてどうお考えなんですか。迷惑だと思つていなさいますか、それとも結構なことだと思つていなさいますか、それともどうぞ我々が反対であるから参議院の地方行政の皆さんも頑張つて下さいと言いたいのですか。どういうお考えなんです。
  77. 木村清司

    政府委員木村清司君) 私のお願いしたいのは、地方財政平衡交付金の増額のほうに主力を注いで頂きたいと、こういうように考えております。
  78. 相馬助治

    ○相馬助治君 わかつておるのです。ところがその地方財政平衡交付金を増額するという話は猫の首に鈴をつける話に似ておる。それは相共に努力するのです。併しそれがなかなか困難であることは木村委員もお知りの通りでありますので、現状においてかかる法律案が出、かかる地方財政に圧迫を加えるような財政措置をお命じになるようなこの問題に対して、地方財政委員会としては率直に如何お考えでございましようかと、こういうことを聞いておるりであつて、あなたがどのような返事をされようとも、それはけしからんと言う気は私はないのです。御見解をここでお聞きして置きたい。こういう極めて慇懃、鄭重、敬虔なる質問なんです。(笑声)
  79. 木村清司

    政府委員木村清司君) 政府機関の一部分として、この地方財政委員会としては、恐らくこれは反対の財源措置要求するということについてだけであつて、そのこと自体を積極的に反対する筋は無論ないと思います。ただ私の個人的な意見を求められたといたしまするならば、丁度この程度負担が、若し小学校の子供が各家庭に一人ずつあるとしますならば、住民税の平均割が下つた程度とか、上つた程度ということになりますから、負担関係から見ますと、国税とか、或いは府県税の負担関係者と違うものですから、市町村負担関係者というものは住民税というものが非常に大きな部分を占めておるというところから見ますと、もう少しその方面に力瘤をお入れになつたほうが或いはいいのではないかという気もいたしますけれども、これは個人的な意見であります。
  80. 相馬助治

    ○相馬助治君 それについて重大な私は疑義と、私自身の見解を持つておりますが、先ほど申上げた通りのような立場ですから、それについては何とも今申上げませんが、木村さん、それは個人的見解でなくて、どうかあなたたちの委員会というものは政府の單なる下請機関ではないのだから、そういう意味委員会としての見解も一応委員長としておまとめ下さつて、二大臣列席のところで明解なる御答弁が願えるように、私も辛辣なる質問をするつもりでございますから御用意を願います。
  81. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 木村さんの個人的な見解というのにちよつと異議を申立てて、先輩に申訳ないのですが、市町村の均等割は大体四百円でしよう。そのうち一人百五十二円ずつめいめいが子供を持つているんだということで出すつもりだというならば、地財委としては却つてその分を減税するほうが本当じやないのですか。
  82. 鈴木直人

    ○鈴木直人君 減税する方がいいと言つておる。
  83. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 何かその考え方はおかしいと思いますね。而も今地財委は御承知だろうけれども、この住民税の徴収が一番不成績なんです。
  84. 木村清司

    政府委員木村清司君) そういう御趣旨の点もよくわかりますがね。わかりますが負担関係から見ますと他の経費……、これは只今の一年生だけでなしにずつとあとの膨れがして来ますものですから、その問題が相当大きいというわけでありまして、今の負担関係のことは取消して置きましよう。これは議論になりますから取消して置きます。
  85. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 それで時間もあれですから予備的な質問になつてしまうわけですが、木村さんにお伺いしますが、文部省関係で、こういうふうに地財委を圧迫するような部分が出る。財政的な或いは法律が次々と出て来る。ところが農林省、厚生省の点でも国だけからの賄い分では間に合わん。平衡交付金だけでは間に合わんというような、実際に重要な事業が法律で出て来ていることは御承知なんです。大体全部それが地方団体の費用を以て賄えず困つておることは木村さん先刻御承知だろうと思うのですが、そういう問題とからんで眺めた場合に、先ほどから追及しておるこれだけの金を持たなければ間に合わないんだという部分については、地財委としては今年だけは止むを得ないというようなお考えなのか、何とかしてもらいたいというお考えなのか伺つて置きたいと思う。こればかりではないんだから……。
  86. 木村清司

    政府委員木村清司君)  これは一つ平衡交付金が、地方財政確立の方途として今のように非常に削られていては非常に困るのではないかと思つておりますが、併しながら一面申上げますというと、こういう施設自身は、若し方法さえよければこれは非常にいいことだろうというわけでありますから、先ずこれは率直に申上げれば、これがいかんならそのあと始末は政府のほうにおいても善処されることだろう。地方団体も勿論身の内だろうと思いますから、ということを私どもは確信しておりまして、若し万一この議会において適当な措置が講ぜられなくても、必ずや次の議会において相当のものが講ぜられるということを期待する次第です。私自身としては……。
  87. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 その期待を実際上文部省に対して、地財委としては申入れし、鞭撻するというお考えをお持ちになつておられるわけですか。これは文部省に尻拭いしてもらわなくてはならん。
  88. 木村清司

    政府委員木村清司君) 文部省といたしましても、それはこの義務教育の振興ということは、文部省としては非常に大きな仕事だと思う。而して地方団体が窮屈になりますれば、義務教育自身が実行できなくなるということに相成りますから、これは文部省といたしましても重大な関心をお持ちになるべきはずだと思つておりますから、これはもう共同戰線でお戰い願えるものと確信しております。
  89. 岡本愛祐

    委員長(岡本愛祐君) 相馬君の質問に対する辻田政府委員の答弁が残つておりますから簡單に答弁して下さい。
  90. 辻田力

    政府委員辻田力君) 現在文部省教科書に対する権限はどうかというお話でございますが、これは用紙の割当制があります間は、文部省教科書検定をすることになつております。用紙割当制がなくなりますれば、現在の規定では県の教育委員会検定を委すというふうになつております。採択は県立の学校であれば県の教育委員会市町村立であれば市町村教育委員会教科書の採択をするということになつております。文部省としては検定だけということになつております。ただ義務教育の振興について文部省としては重大な責任がありますので、指導するとか、助言するとか、奨励するとかということは文部省としてなさなければならない仕事でございますので、義務教育振興のために必要なる奨励施設、奨励的な事業はしなければならんと思つている次第であります。ところが教科書無償の問題もいわば義務教育振興の一つの奨励的な問題だと思つております。
  91. 相馬助治

    ○相馬助治君 そのことは私わかつているのです。それで御承知のように教科書というものは府県の委員会に決定権が移行すれば、暫定的に取扱いが行われている、それはその通りなんです。そういう際に、何をこんなものを文部省あたりが本気になつて出すのか私はわからないので、そのことを聞く前提としてあなたにそういうことを聞いて置いたので、このことについては文部大臣にあとで聞きます。従つてあなたからの御答弁は私の要求した通り満足すべき答弁でございます。
  92. 西郷吉之助

    ○西郷吉之助君 資料の点なんですが、木村さんにお願いして置きますが、資料を出すように要求しているのですが、こういう問題のときに必要ですからできるだけ早くお願いしたいのです。今木村さんは單価の問題で住民税のお話もあつたので、それは我々としては非常に高過ぎる、これを低減せしめたいという希望を持つているのですが、こういう点もありますので、今日でもそういうふうな大きい税目の徴税成績の資料をお出し願いたい。
  93. 岡本愛祐

    委員長(岡本愛祐君) 予ねて西郷委員から要求されている資料、成るへく早くお願いします。  なお一つ私から文部当局にお尋ねして置きますが、頂いた表では、小学校一年生を例にとりますと、算数国語理科となつているのですが、国語はたしかし、中、下、となつて三冊だということを聞いているのです。一冊は單価二十五円ぐらいであるが、あと中と下は本屋によつてはおのおの四十円に達するということを聞いているのです。そうするとこの合計国語として六十七円三十銭と書いてありますが、それが百円から百十円ぐらいになるということを聞いている。そういうことがこの法律の如何にかかわらず非常に困るのであつて、その六・三制の場合において單価が安かつたためにどのくらい市町村が迷惑をしたか知れない。補助金は相当額補助しておるつもりでも、それは実際ただ六・三制の建物を建てる場合に、それはほんの一部分で大部分は借金しなければならないということが起つて来る。今度も大分問題が起つて来やしないかと思う。この点を私どもは非常に重要税しているのです。この点を一つお答え願います。
  94. 辻田力

    政府委員辻田力君) 只今お話御尤もなお言葉でございますが、これは最初申上げましたように、最初にここに差上げました数字は六十七円三十銭というのは、予算を編成いたしますときの最低單価でございます。従つてその中に朝鮮動乱その他の関係値上りをいたしておりますので、現実の問題といたしましては、只今お話のような定価になつておる場合があると思います。従つてその間に我々といたしましては、予測し得ない値上りというものがあると思いまするので、そこで先ほど申上げましたように、例えば算数国語理科と全部に亘つて補助するということでなしに、むしろ計画変更いたしまして、その経費が許す限りにおいて、例えば算数国語だけにして補助するというふうなことも考えられるのでございまするが、その点は無論我々としましては十分わかつておりますので、その間に無理のないようにいたしたいと思つております。
  95. 岡本愛祐

    委員長(岡本愛祐君) そこで要求して置きますが、これは当初の算定でおりますが、現在もういろいろの教科書会社において国語において上、中、下と分け、定価が何十何円何十銭までわかつておる。だからそういうものを基礎にして数字を出して頂きたい。もう一度、そういうことをできるはずだと思いますから、それを要求して置きます。  でこの次は、それでは皆さんの御要求に従つて文部大臣、岡野国務大臣、それから地方財政委員会委員長代理、三人の揃つての出席を求めることにいたします。  なおこの教科書問題はこのくらいに今日はいたしておきまして、この際に吉川委員から武井専門員に対して希望意見の開陳をいたして置きたいというお話でございます。どうか簡單にお願いします。
  96. 吉川末次郎

    ○吉川末次郎君 もう時間が迫つておりますから、極く簡單にお話申上げたいと思うのでございますが、先般専門員として武井君が御就任になりまして、御就任の挨拶があつたのであります。その節申上げるべきであると思いましたが、少し形式ばつたようにも感じましたし、又他のプライベートの機会に申上げてもいいのじやないかというような意味で今日に至つたのでありますが、やはり公式の会合で、速記録に載せて申上げて置くことが必要であると思いまして申上げる次第であります。簡單に申上げますが、第一に御就任に際して、我々地方行政委員はあなたが御就任下さつたということに対して、非常な期待を持つでおるということをよく御承知置き願いたいと思うのであります。専門員の撰択、就任につきましては、実はこの委員会、又私は理事の一人として、いろいろ委員長から御相談もかねがね承わつてつたのでありますが、実は候補者があなた以外に十数名あつたわけなんであります。ところがその中でだんだんと選衡されまして、特に委員長からあなたの経歴、あなたが地方行政研究家であるというので強い御推輓がありまして、私たち理事始め他の地方行政委員も御賛成になつたようなわけなのであります。でそのときの地方行政委員会の専門員選任に関するところの考え方は、専門員というものは非常に重要なものである、議会の運営においてまだ新らしい制度であるからしてどう専門員に働いてもらうべきであるかということについて十分各委員会とも確たる標準がないようであるけれども、少くとも次官よりも地位の高いものにしてあるのであつて、非常な地方行政委員会及び各委員会国会としては専門員に期待を持つておるわけなんであります。従来専門員というものにどういう仕事をしてもらうかということがはつきりきまつておりませなんだから、委員長が本会議に委員会で可決されたところの法案についての説明をせられるところのその説明の演説の草稿を書くというようなことくらいが主たる仕事になつてつたのでありますが、そんなことをするくらいなら、何も非常に地位の高いあなたのような人をきめてもらう必要はないわけで、先般アメリカの国会を衆議院及び参議院からいろいろ議院運営について視察に行きまして、専門員というものは米国においては優秀な有能なる第一線の大学の教授が、一定の期間年限を切つて特にその国会に就任して、又期限が来れば大学に帰るというようなことをして、国中におけるその方面の最高の権威者をそれに当てて、そうして国会議員の職務をいろいろ補助させているというようなお話がありましたが、誠に尤もなことだと思うのでありまして、それで委員の諸君は、一人の専門員の就任について、専門員は学理と経験とを兼ね備えたところの人でなければならないが、特にそうした学理的な学問的な方面において我々の相談相手になるような立派な人を是非選びたいというところの御希望が非常に強かつたのであります。そういうことをいろいろ考慮しまして、委員長が、武井君はその方面におけるところの非常な研究家であるから、十分御期待に副い得られるというようなことで、委員長の強い御推輓と相待つてあなたの御就任を見るような結果になりましたので、そういう各委員の御意向等も参酌して、そうしてみずからの地位の如何に期待を深く持たれているかという点を御考慮下さつて、今後の御仕事を運んで頂きたいと、このように思うのでありますが、そのようにお考えを願いたい。そういう点についてちよつと簡單に我々の希望等を申上げて置きたいと思うのでありますが、それはときどきこの委員会で私が申上げて、他の社会党の諸君なども全く御賛成だろうと私は思うのでありますが、即ちあなたが御就任以来、先般の警察制度の改正について私が大橋法務総裁に言いました意見、或いはこの間の委員会におきまして地方議会の議員の員数を減らせというところの小野政務次官その他の自治庁の諸君の通牒等に関して申上げたことの中にも多少含まれておつて、あなたもお聞き下さつたことだろうと思うのでありますが、要するに今の政治というものは革命期にあるといつてもいいと思うのでありますが、特に地方行政の面においてもやはり新憲法の制定と共に、地方行政一つの大きい変革期にある、或いは革命期にあるといつてもいいと思うのでありますが、そういうようなことが実は地方行政の従事者において十分に考えられておらんということでありまして、これは是非その点において深く留意してもらいたい。先般も申しましたように、従来の日本の地方行政というものは、ドイツ国防学の一部としてのビスマーク、モルトケ時代の旧帝政時代の、即ち亡国ドイツの考え方の上に立つてずつと行なわれていた。それは憲法が昔のプロシャの憲法の飜訳の燒直しであつたのでありますから、それと不可分であつたという関係があるのでありますから、これは新憲法と根本的に変えられなければならんのであるけれども、その考え方変更が少しも行なわれていないと言つても過言でないほど、十分に地方行政の当事者に意識されておらん。古いことを申しませんが、そういう点について深いお考えを願つて、そうして地方自治体の議員なんかにはなかなかそういうことはわからない。又中央官庁の自治庁、或いは地方財政委員会、その他の内務省の官僚の残党である諸君が、相変らず地方行政を中央において管掌しておるのでありますから、それらの人々は極めて優秀ないい人でありますけれども、今申しますような意識が明確でない。それをやはり何か地方行政の問題といえば、私の言う意味においての亡国ドイツの国防学的なプロシャの行政法学者である京都大学の佐々木さんであるとか、或いは東京大学なら美濃部さんであるとか、或いはそれの弟子の、若いプロフェザーの諸君が書いたような古い昔の亡国ドイツの行政法の観念に則つてそうしてやつて行こうというような風で、少しも反省されていない。これは極めて重大な問題であると私は考えますので、国会は最高の政治機関であります。そういう中央官庁におけるところの地方行政の管掌者並びに地方自治体、一万余に上るところの地方自治体の役人や議員のそういう昔とちつとも変つていないところの地方行政に関する意識というものを基本的に変革さして行くということは、最高の政治機関である国会から行わなければならない。だからしてそういう点を十分によく留意されて、地方行政の新憲法に則るところの改革国会地方行政委員会から起るのである。そうしてその知識的な相談相手、顧問の役を務める者は自分であるというような一つ考えを持つて、そうしてやつて頂きたいと思います。そうでなしに相変らず従来と同じような地方行政考え方でやつてもらうというと、我々はあなたの委員長の御推輓に対して賛意を表したのでありまするけれども、併しながらあなたがやはり旧内務省の官僚と同じような考えでやつてもらえば、これは反動陣営に対して、日本の地方行政の反動化に対して我々は賛成したということになるのでありますから、その点は十分一つ研究が願いたいと思います。そういう点からなお申上げたいことが多々あります。多々ありますが、時間がございませんから又価の機会に譲ります。今申しますことは別に我々が社会党であるから社会主義的な意味から申しておるのではないのであります。これはむしろ自由党や民主党の諸君が党是としていらつしやるところの市民的デモクラシイの確立、いわゆる自由主義、民主主義と新憲法の精神から言つておるのでありまするから、ほかのかたも御異論はないことだと思います。ところがその当然あるべきことが、要するに市民的自由主義以前の産物であるところの亡国ドイツのモルトケ、ビスマルク時代の、即ち旧憲法と呼応するところのドイツ的行政法の観念で行われて来ておる。又現在それが行われておるということにすべての日本の地方行政の欠陥がそこに根ざしておると思いますので、その一事だけ申上げて置きますが、どうぞその点を特に御留意願つて、そうして我々の期待に背かないように十分一つ御勉強下さるようにお願いいたします。
  97. 武井群嗣

    ○専門員(武井群嗣君) 先般私が専門員を拝命いたすにつきまして、只今この委員会の席上において吉川委員より専門員に対する、特に私に対してのいろいろと御期待をお述べになりました。私といたしましては不敏なる身に対してかかる厚き御期待を寄せられましたことにつきまして、誠に光栄に存じ、厚く感謝しておる次第であります。日本が新らしく憲法を持ち、その憲法の下に新しい国会が設けられまして、ここにすでに十回目を迎えておるのであります。併しながら仰せのごとく、新憲法に基く国政の運用ということは非常に重大なことであります。而して専門員のごときものも、この新らしい国会において初めて設けられた仕事であります。私は幸いにいたしまして、その選に入つたことでありますので、つとに自分の責務の重大なることを痛感しておるわけであります。専門員のあり方等につきましては、従来の経過等も深く省みなければならんと存じます。而して今後において進むべき道をはつきりいたしたいと存じますが、只今の状態といたしましては、この世の中のめまぐるしい遷り変りに際しまして、相当の私自身空白を持つておることでもありまするので、目下はせいぜい新憲法の精神、並びにこれ等の運用等につきましての勉強と申しますか、研究を怠らずしておるわけでありまして、これより皆様がたの御指示御指導によりまして、重要なる職責を果すに遺憾ないようにいたしたいと存じております。御指摘になりました新憲法の精神、或いはそれに基く地方制度の運用等につきましては、新憲法が定められました中におきまして重要なことが多々ありまするが、特にこれが重要なことと存じております。従つて私は今後職を遂行するに当りまして皆様がたの特に御懇到なる御指導を頂きまして、職責の完遂に邁進いたしたいと存じます。就任の際にも申上げたことがございまするが、重ねて私も就任草々のことでありまするので、この際におきまして今の御期待に一つ併せて更に一層の皆様方の御指導、御鞭撻を切にお願いする次第でございます。
  98. 岡本愛祐

    委員長(岡本愛祐君) なお先ほど皆さんがお揃い下さいませんので、お揃いのかたに申上げたのでありますが、もう一回お諮りいたします。二月九日午後、全国の知事会の代表としまして福井県、群馬県その他六、七名の知事が見えまして、二十六年度の福井の予算の編成に際しまして県税収入その他は思つたよりも少く、又人件費等の、殊に教育費等の負担が非常に多い。これではこの二十六年度予算の編成に非常に困る。この際どうか参議院の地方行政委員会において府県の財、税制の実態調査を是非お願いをいたしたい。この実態調査国会のみならず、地方財政委員会、大蔵省にもお願いするつもりだ。それで違つた県へお出で頂いても水掛論になるので、同じ県について国会も、大蔵省も地方財政委員会も実態調査をしてもらいたい、こういう要求が出ました。この点誠に尤もなことだと思いますので、全国知事会とも相談をいたしまして、適当な個所を選び、三班ぐらいに分けまして、三県ずつくらいを調べたらよかろう、こういうふうに思います。この点につきまして御意見を伺いたいと思います。
  99. 相馬助治

    ○相馬助治君 私は極めて賛成でありますと共に、これは議院運営委員会が内規のようなものがあつて、これは財政の面から制限されておる事情もわかりますが、特に岡本委員長の政治的な手腕によつてこの地方行政委員会という委員会の特殊性に鑑みて、この視察というものを一つ人数も多く、場所も多く、そして詳細なるしかも明確なるデーターが出るように、大蔵省、議院運営委員会等とも相談で、これが実現に向つて努力するようにお願いして、私はそれに大賛成する。
  100. 鈴木直人

    ○鈴木直人君 今三県ということでありますが、あれですが、一班が三県……。
  101. 岡本愛祐

    委員長(岡本愛祐君) 一班について三県であります。
  102. 鈴木直人

    ○鈴木直人君 一班について三県ということになると非常にやり切れないと私は思うのです。一斑が一県くらいならば、異つた県に集中して、そこでやはり限られた日数を取りまして、そうして深く研究しないと、今までのような何日間になりますか、その間において三県を廻るというふうになると、二日ぐらいは歩いて又外に行く、行つては又歩くということでは、とても今の目的は困難ではないか。だからむしろ三つに分けるならば、三つの県を異なるような県を分けて、そうして一班が集中的に検討をするというようなほうが効果的じやないかというように思うのですが……。
  103. 岡本愛祐

    委員長(岡本愛祐君) これはだんだん相談いたしますが、時間も過ぎておりますからこの程度にいたしたいと思います。私の考えは大中小ぐらいを一班が調べたほうがよかろうかと思うのです。大きな県ばかり調べて来ないで、大中小にして準備はよくしといてもらいまして、一県につきまして丸二日ぐらいあれば大体見当がつく、準備をしなかつたならば、一週間でも二週間でもこれはできません。こういうふうに私は考えております。後ほど又御相談いたします。
  104. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 後ほどもいいですが、極めて近い後ほどにしないと、この頃議運は開かれておりませんから、極めて近い時期の議運にもうきめてもらわないと、二月しかまあ出張を認めないことにしておるわけなんで、時期的にもつまつて来ると異議が起ると面倒ですから。
  105. 相馬助治

    ○相馬助治君 従つてそういう含みをおつしやらずに、鈴木委員も、私も意見を述べたのですから、委員長に一任したらどうですか。手続が遅れないように、早急に小笠原委員の言う通りですから、ここで一任賛成、こういうふうにしたいと思いますが、どうですか。委員長一任。
  106. 岡本愛祐

    委員長(岡本愛祐君) 委員長、理事に一任ということに願います。
  107. 相馬助治

    ○相馬助治君 それでいい。
  108. 岡本愛祐

    委員長(岡本愛祐君) それではさようにお願いいたします。それでは今日はこれで散会いたします。    午後零時四十一分散会  出席者は左の通り。    委員長     岡本 愛祐君    理事            吉川末次郎君    委員            石村 幸作君            安井  謙君           小笠原二三男君            相馬 助治君            西郷吉之助君            鈴木 直人君   政府委員    地方財政委員会    委員      木村 清司君    地方自治政務次    官       小野  哲君    文部省初等中等    教育局長    辻田  力君   事務局側    常任委員会專門    員       福永與一郎君    常任委員会專門    員       武井 群嗣君   説明員    文部省初等中等   教育局庶務課長  内藤與三郎