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1951-02-09 第10回国会 参議院 地方行政委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年二月九日(金曜日)    午前十時五十四分開会   —————————————   本日の会議に付した事件地方行政改革に関する調査の件  (地方公務員法第五十七條及び附則  第二十一項の單純労務に関する件)  (地方公営企業労働関係法案に関す  る件)  (教育公務員特例法の一部を改正す  る法律案に関する件)  (社会教育法の一部を改正する法律  案に関する件)  (教科書問題に関する件) ○連合委員会開催の件   —————————————
  2. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) これより地方行政委員会を開会いたします。  本日会議に付します事件地方行政改革に関する調査でありまして、その第一といたしまして地方公務員法の第五十七條及び附則の第二十一項に單純労務という字句があります。それにつきまして西郷委員から質疑のお申出がございます。許します。
  3. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 先般本院におきまして地方公務員法修正議決いたしたのでありまするが、その附則の第二十一項に、これは修正したのでありますが、單純労務者の問題があるのであります。今回近く公務員法施行されるので、この單純労務者の問題も何らかの形において決定されるわけでありまするが、その解釈等に関しまして万が一にも区々になつては非常に紛争のもととなるので、單純労務者範囲その他について質したい。聞くところによりますと、この軍純労務の問題は政令形式において政府はやる考えであつて、それはすでに事務次官会議通りまして閣議にかかつておるように聞いておるのであります。ところがその閣議でこれが保留されておるように聞いておりまするが、その点につきましてどういう点において保留されておるのかということを岡野国務大臣から詳細に伺いたいと思うのであります。なお且つこの單純なる労務というこの言葉は、現在までは法文の中には法律用語としてはないように思いますので、この関連した地方自治庁並び労働省その他において、單純なる労務者に対するいわゆる解釈定義と言いますか、そういうものはどういうふうに考えておられるか。その点をその双方から伺いたいのと、我々がこれを修正いたしました理由單純労務者の問題は成るべくそういう労務者が、できるだけ広範囲に縛られないようにいたしたいというのが趣旨であつたのでありまするから、この單純なる労務というものを非常に狭義に解したりしますと、我々の意思と非常に隔たりがあることになるので、そういう点についてどういうふうにお考えになつておるか。又その定義ですが、定義等もここではつきり伺つて置かんと、これが地方公共団体に行きました場合に、非常に区々まちまちになると思う。今日は定義を聞くだけでなく、実際にどういう職名のものを考えておられるか、具体的に、例えば大工であるとか、左官であるとか、掃除夫であるとか、そういうふうなものを具体的にここで挙げて頂きたいと思います。そういうものをはつきりして置くことによつて非常に、解釈が全国的に統一されて来ると思うし、又これが統一されませんと、これが原因をなして非常に紛争が起きやすいと思うので、そういう点をはつきりこの際して頂きたいと思うのです。
  4. 岡野清豪

    国務大臣岡野清豪君) お答え申上げます。この前に地方公務員法を御審議頂きました際に、参議院において御修正を頂きまして、單純労務者に対しては特別の取扱をする。こういうような御趣旨になつておりまして、それにつきましてはその後、單純労務者に対する特別の法律を今起案しつつありますが、これは起案最中でございまして、確定案にはなつておりませんから、只今内容を申上げてもどう動くかわかりませんから保留いたして置きます。その法律が、この二月十三日に地方公務員法施行せらるることになりましたのについて間に合いませんでしたものでございますから、憲法七十三條の規定によりまして、とにかくあの單純労務範囲は従前の例によるということになつております。それでは單純労務範囲はどういうふうにきめたらよかろうかということを政府としましてはいろいろ研究中でございます。お説の通りに、一応次官会議にもかかつたわけでございまするけれども、まだ閣議といたしましては最後決定をいたしておりません。それからこの單純労務というのはお説の通りに突如として御修正願つた点でございまして、如何なるものを單純労務者にするかということにつきまして、これは御修正を下すつた参議院立法の御理由を最も尊重しまして、それに適合するような範囲できめて行きたいと、こう考えて今十分検討中でございます。でございますから若し何でございましたら、次長のほうからはつきり例を差上げますが、その例は、大体において当院において御修正を頂きましたその当時の立法理由基礎にしまして、考案をしたのでございます。
  5. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 ちよつと今の御質問に対して事務当局からもお答えがあるかと思いますが、今の岡野国務大臣の御説明によりますと、まだ決定していないと言われた。これは数日後に地方公務員法施行されると思いますが、そういう悠長な考えで間に合うのか、まあ單純労務ということを非常に單純考えておられるが、單純なる考えならば、岡野さんの単純な考え方をここでお答えを願いたい。
  6. 岡野清豪

    国務大臣岡野清豪君) お答え申上げます。單純労務と申しますと、私自身の考えとしましては、概して行政事務に携わらないで、そして仕事方面からいたしますれば、性質上、まず頭脳の仕事よりは筋肉労働に主たる仕事を置いておるとこういうように考えております。併しながらこれはすでに委員会においても十分皆様から御説を承わりまして、又修正案理由書にも例示してございますから、その例示類推解釈をいたしまして我々が適当と思うものを地方公務員法の中に拾い上げるわけであります。
  7. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 これ以上定義岡野さんに伺つてもわからないと思うから、その点は追及いたしませんが、抽象的に言うことは聞くまでもなくわかつておるのでありますが、解釈如何政令等行つた場合に、それを明確にしておかんと、全国の地方公共団体において解釈がまちまちになるので、これが紛議のもとなりますからはつきりここで伺うのであつて、そういうような抽象論ならこれは聞く必要はない、定義はつきりしておかんとわからない。なお且つ伺いたいのは、それでは閣議留保した理由等についてこれは或いは間違つておるかも知れないが、大工とか左官掃除夫、そういうものが問題になつて留保したように伺つておるが、今あなたが言われておる定義ですが、大工とか、左官掃除夫というものは單純労務者でないという…。
  8. 岡野清豪

    国務大臣岡野清豪君) お答えいたします。大工左官掃除夫単純労務者に入れることに私は考えております。
  9. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 では重ねて伺いますが、最初に伺いましたように、閣議にまで行つたのに、これを留保なさつたのですが、その点は……。
  10. 岡野清豪

    国務大臣岡野清豪君) お答え申上げます。大工左官等留保になつておりません。
  11. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 いや左官ではない、その政令案全体が留保になつておると思うが、そのことを……。
  12. 岡野清豪

    国務大臣岡野清豪君) 留保になつております。ただ問題は、その範囲が非常に広汎に挙げておりますので、これを一々検討しつりある次第であります。
  13. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 そのように留保になりたが、あなたの主張が通らなかつた主務官庁である地方自治庁の長官たる岡野国務大臣主張が容れられなかつた。それはどういう方面大臣から意見が出たか、それを伺いたい。
  14. 岡野清豪

    国務大臣岡野清豪君) 閣議内容を申上げることは極秘になつておりますので御容赦願いたいと思いますが、これを抽象的に申しますれば、地方自治庁として地方公務員を縛る点においても異論はないのでありますが「これがすぐはね返りまして、国家公務員にはね返る。参議院で御修正なつたような地方公務員法修正と同じような方向に、国家公務員法もいずれ直して行かなければならない。その点において国家公務員法地方公務員法との調整をとる点において相当いろいろ検討をしなければならない点があると思う。それで停滞しているわけです。
  15. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 閣議内容は御説の通りですから、これ以上伺いませんが、とにかく地方自治庁以外の関係省意見のために留保された。要するに岡野さんの主張が極めて弱いのか、主張が妥当を欠いたのか、今日に至つたのは事実だ。併し数日後には実行しなければならないので、まあいろいろ言われたけれども、勘案する時間というものは今限られておる。それまでに出さなくちやならんのならば、ここでその職名等も、地方自治庁はこの範囲考えているというようなことを伺いたい。そういうことについて、前以てこういう点を質問するということは御承知なんですから、例えば政令に出そうというふうな職名大工でも左官でも、そういうものを書いたものはないのですか。抽象論は聞く必要はない。
  16. 岡野清豪

    国務大臣岡野清豪君) 大体我々考えておりますのは、この委員会で御説明のあつたような汲取人、掃除夫大工左官とか、葬儀人夫、大体そういうものは全部網羅しておりまして、大分数が多いのでありますから、ちゆうに覚えておりませんが、何か持つておりますか……。
  17. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) どういう種類考えておるかということでございますが、一応事務的な案を申上げますと、守衛、給仕、小使、運搬夫及び雑役夫土木工夫、農夫、牧夫、園丁、動物飼育人、それから清掃夫屠殺夫消毒夫及び防疫夫潜水夫炊事婦洗濯婦理髪婦大工左官、石工、電工、営繕工、鳶、昇降技手自動車運転士機械操作士、火夫、青写真工印刷工模型工紡織工製材工、木工、鉄工、それから熔接工塗装工旋盤工、仕上工、組立工、大体こういうような言葉で普通呼ばれておりまする地方公務員がやつておりまする業務をやる者を、單純労務に従事する者、こういうふうに考えたいという根本考え方から、名前はそれぞれの地方団体によつていろいろな名前を付けておりますが、名前如何にかかわらず、大体今ここで申上げました名前、一番普遍性の多い一般的に呼び慣らされておる名前でありますが、そういう名前のものがやつておりますそういう労務に従事する者を、単純労務に従事する地方公務員、こういうように考えたいと思います。同時にこれだけでなく、これに類似する者というものを合せて、全体として彈力性のあるような趣旨で、こういう政令を出したいという考え方でございます。
  18. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 今挙げられた中に電話交換手は入つておりますか。
  19. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 電話交換手は勿論同じようなものであります。
  20. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 そうしますと、自治庁考え簡單なといいますか、技術者とか、技能者とかいうふうな名前で呼ばれるもの、これは全部單純労務者である。こういうように解釈しておられると解釈していりいのですか。
  21. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 軍純労務という言葉定義は、いろいろ御見解があると存じますが、非常に文字通り意味にとりますと、單なる繰返し的な業務に従事する者というように非常に狭くなるのでありまして、技能者というものは單純労務者の本来のものに入るかどうか疑問でございまして、学問的に、学問的と申しますと何ですが、やかましく言いまする人は、單純労務にはそういうのは入らないという見解が多いようであります。それだけに單純労務ということだけでおくと解釈が非常にまちまちになる危険がありますので、いろいろ検討いたしました結果、いわゆる技能者、いわゆる軽度の経験による判断を含めまして或る種の行為をやりますような者をこの中に入れる、こういうような考え方立案いたしております。
  22. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 鈴木次長に重ねて伺いますが、さつき岡野さんにお伺いしたが、岡野さんは抽象論で全然わかつていないのですが、地方自治庁当局としては……、私らこういうような簡單なことをよく伺つて置きたいと思うのは、冒頭申上げました通りに、こういうものの解釈はつきりしておかないと、非常にまちまちになつて紛争のもとになるということなんですが、地方自治庁では抽象的に今お述べになつたが、法律用語としても、今度新らしく出て来るので、例えば裁判の、紛争のもとにも非常になりやすいのですが、そういう際に軍純労務定義というものをはつきりして置かないと、これはいろいろに解釈されて、政府当局も困るのじやないか、こう思われるので伺うのですが、地方自治庁地方公共団体その他と、非常に関係が深いのですが、はつきりしたところの定義というふうなものを考えておられるのかどうかということを、更に伺いたいと思います。
  23. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 私ども立案根本考え方といたしましては、単純労務という言葉曽つてこれは改正前の国家公務員法に用いられておつたわけでありますが、そういう意味考え方と、それから前国会におきまして、当院で御修正になられました、その修正提案理由説明の御趣旨、又その前後のいろいろな御論議の経緯等に鑑みまして、それが最も狭い意味の、厳格な意味單純労務範囲を多少踏み出しての考え方であるように了承いたしておりまするので、そういう趣旨で本来の單純労務というものにいわゆる技能者という範疇に属する者を含めまして、これがこちらの御修正趣旨に合うものであるというふうに考えまして、そういうようなものがこの地方公務員法附則二十一項に言うところの單純労務である、かように解釈をいたして立案いたしつつある次第であります。
  24. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 更に伺いますが、人事院に養いて職種というものがありますが、そういうものとの関連はどういうふうに考えて来られたか、又どういうふうに折衝されたのか、その点も伺いたいと思います。
  25. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 人事院のほうの職種は私細かく存じておりませんが、四百幾種かの職種を今作るべく、いろいろ鋭意研究中のようでございまして、これもまだ固まつた案というものがないようであります。従りて先ほど西郷委員の仰せになりましたような、現在の国の法律、或いはそれに基くいろいろの施行命令等におきまして、こういう範囲を有権的に、明確にいたしておりまするのはないわけでございまして、そういう意味から申しますると、これは初めてのことであるわけであります。そこで人事院のいろいろ事務当局検討中の案などとも連絡をいたしておりまするが、単純労務という言葉が実際現わしまする職種といたしましては、むしろここに書いてありまするものよりも狭く解釈をしておられるようであります。
  26. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 重ねて伺いますが、これを政令等でなさるのですか。何か法律でもお出しになるのですか。どういう形式でなさるのかということが第一点、もう数日しか日にちがないと思うのですが、いつ頃実行されるのか、予定を承わりたいと思います。
  27. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) これは二月十三日から地方公務員法施行になりまするので、その前におきましてできるだけ早い時期に、先ほど大臣が申上げましたような單純労務に関しまする特例法律政府としては提案をいたすのが適当であるわけでございまするが、いろいろ関係方面等関係もございまして、そちらのほうが捗どつておりませんので、取りあえず地方公務員法施行上の解釈がまちまちである結果、混乱が生ずるでありましようことを恐れまして、憲法の七十三條に基きまして法律を実施するための一つ解釈をする政令解釈的な政令ということで、政令の中に今申上げましたような趣旨のことを規定をいたしまして、政府一つ解釈地方に滲透いたすようにいたしたい、かように考えております。
  28. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 そういうふうにもう非常に切迫して日にちがないのであつて大臣は一向熱意があるのかないのかはつきりしなかつたが、これについては勿論、地方自治庁労働省といろいろ折衝されておりると思いますが、労働省においては主務官庁として單純労務者ということにどういうふうな定義考えておるか。又只今地方自治庁のものと單純労務者範囲が全く一致しておられるのか、そういう点を伺いたい。
  29. 松崎芳

    説明員松崎芳君) 労働者といたしましては種々地方自治庁事務当局と折衝を重ねまして、今鈴木次長からお話になりまりした趣旨のものは全部意見が一致しております。それから單純労務定義につきましてもいろいろむずかりしく言いますればありましようが、当院の御修正趣旨考えまして、今鈴木次長からおつしやつたような定義において意見が一致しております。
  30. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 今鈴木次長の言われた定義というのは、我々長たらしい説明でそれがはつきりいたしていないのですが、大体趣旨はよくわかりましたが、やはり定義はつきりして置かれなければいかんと思いますが、労働省地方自治庁がここにおるから言いにくいのかどうか知らないけれども、自治庁と同じような定義だとおつしやつたが、労働省としては主務官庁でないにしてもこういうものの専門の省でありますから、労働省としてはこういう定義であるというくらいの権威は持つてもいいと思いますが、地方自治庁定義は一致しておるとかいう漠然としたことでなく、もう少しはつきりしたことを言えないですか。
  31. 松崎芳

    説明員松崎芳君) 單純労務という言葉地方公務員法修正趣旨に即して定義をして行きますれば、先ず第一に狭義行政事務に直接タツチしないという点が考えられる。それから一般作業に従事する、更に又昔の旧制専門学校と言いますか、こういう高等専門学校を卒業しなければ得られないような知識を要しないような技術と言いますか、技能と言いますか、そういうようなものも單純労務の中に入つておるというふうに考えております。
  32. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 今定義の中に、専門学校ですか、高等学校以上の学問というのですか、知識がない者というふうなお話でしたが、そういうふうな解釈仕方はちよつとおかしいのじやないですか、重ねて伺います。
  33. 松崎芳

    説明員松崎芳君) 今学校名前を挙げましたので、誤解があるかも知れませんが、大工とか左官とかいうのは、やはりいわゆる單純労務というふうなことを狭義解釈いたします。これは我々が今日明日大工をやりましてもなかなかうまく行くものではないのであります。やはりこれは單純労務ではないというふうにも見えるかとも思います。併しこれはいわゆるそういう学問的な知識を要せずにまあ本当の慣れでできるというような意味において、單純労務の中に入れて差支えない。殊にこの前の参議院の御修正趣旨は、主として政治活動の問題に重点がおかれておるように、記録からしますとこういうように感せられますが、こういうものは單純労務の中に入れて差支えなかろうというふうに考えております。
  34. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 重ねて伺いますが、今の教育程度の問題なんですが、今日は大学生その他のアルバイトというものが非常に多いのでありますが、これはもう大学の学生なんかにはそういうようなものもあるので、そういうものは勿論單純労務とお考えになつても、こういう仕事に従事した者は教育程度のことを云々すると非常にむずかしくなるのじやないかと思つて重ねて伺うのです。
  35. 松崎芳

    説明員松崎芳君) 今教育程度のことを出しましたのは、これはこういう単純な労務というものを、私たちといたしましてもどういうふうに解釈すべきかということについて、いろいろ各国の法律なんか見てみましたが、結局あの時代のタフト・ハートレー法専門的労働者という言葉があるのでございます。専門的労働者というのはり単純労務の逆概念というように考えられますので、そういう専門的労働者というのは、専門学校以上を卒業しなければ得られないような知識というようなことを一つの土台としておる。だからそれの逆から行きますれば、そういうような一つ例示を挙げたに過ぎないのでありまして、別に学校云々ということに特にこだわる必要はないと思うのであります。
  36. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 大体御趣旨はよくわかりますが、今定義伺つたの労働省あたりにおいては、こういうものははつきりしておかれる必要が私はあると思うので伺つたのですが、今解釈の中に学校程度の問題がありましたから、そういうようなことを言われるといろいろな場合が出て来て非常に妙なふうに聞えますので、主務官庁たる労働省においてはもう少しこういうことを研究して、あつちへ引つかかつたり、こつちへ引つかかつたりして答弁しなくても済むような、誰が見てもわかるようなはつきりした定義を確立して置くことが、この際必要だと私は思うのです。労働省のほうはこの程度でいいと思いますけれども、どうも今までのあれでははつきりしなかつたのですが、余り私が時間を取りましてもいけませんから、一応この辺で私の質問を終ります。
  37. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 関連して質問したいと思うのですが、先ほどの岡野大臣の御答弁では単純労務関係する法律を出さなくちやいかん考え立案中であつたが、時間的に間に合わなかつた従つて政令を以てその範囲だけは云々という話で、なせ間に会わなかつたかという理由は一切おつしやられなかつたので、この際施行法が公布され二カ月後施行になることがわかつて、その期間法律で出て来ることを予想して、我々もそういう猶予期間を賛成しておつたわけなのです。これが法律として出ないという点は誠に我々としては遺憾であると考えたわけなので、この際大臣の詳細な御説明を願つて置きます。
  38. 岡野清豪

    国務大臣岡野清豪君) ちよつと速記をとめて頂きたい。
  39. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 速記をとめて。    〔速記中止
  40. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 速記を始めて。
  41. 岡野清豪

    国務大臣岡野清豪君) お答え申上げます。関係方面の正式の何が得られるのはこの二十八日頃という話ですから、そう遅くなつては困りますから代りに折衝いたしまして、できるだけ早く出したいと思いますが、やはり今月の下旬頃になりはせんかと思つております。  それから範囲でございますが、範囲は大体今も労働省のかたの御答弁がございましたように、労働省並びに自治庁あたりでは、今度の政令に出しますのが大体の範囲だとこう意見が一致しておりますから、これで政令を出して置きまして、それから私の考えといたしましてはこの法律には大体それを踏襲して行きたいと考えております。でございますが、この政令基礎をなすわけでございます。併し政令政府責任におきまして、只今の段階におきまして地方に指示をする意味政令でございますから、今度法律が出ましたときには、無論皆様がたの御審議を十分お願いしまして、範囲の狭ばまる、拡がるということは、これは又別問題になると思います。
  42. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 今のお話で不審な点は、同じ政府が出す政令、これは政府責任で出す、国会に出す法律原案政府責任で出す。然るに法律で出す議案のほうは政令のそれを踏襲してやりたいと思うということでなくてですね、やるということでなかつたら、これはいかんのじやないかと思うのですが、もう少ししつかり……。(笑声)
  43. 岡野清豪

    国務大臣岡野清豪君) やるつもりでございます。
  44. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 つもりになる点はどこにあるのですか。
  45. 岡野清豪

    国務大臣岡野清豪君) つもりになります点においては、御承知通り関係方面のことがございますから…。
  46. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 それではこの程度にしまして、次の、さつきから労働省或いは自治庁、或いは人事院等の職権の問題がいろいろ問題にされておりましたが、国勢調査等でもいろいろの職種が出ておる。或いは労働基準関係でもいろいろのものが労働省として出ておる。人事院でもそうである。これらの名称の中で今回自治庁がとつて用いた、さつき例示されたようなこういう呼び名は、これは業種でしようか、専門語で言うと何という範囲に入る言葉であるか、この際お伺いして置きたい。
  47. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) これは国家公務員法関係或いは地方公務員法関係で、将来職階制施行せられますと、地方公共団体に従事いたしまする職務種類といいますか、職種を結局押えることになると思うのですが、現在地方公務員法におきましてはそういうような明確なるものがまだそれぞれきまつておりませんので、結局各地方団体職務規程とか訓令とかいうようなものにおきまして、それぞれの名称を用いておりまして、厳密な意味公務員法上における職権であるとか、或いは一般の国勢調査等におけるいわゆる職業というようなものの種類でありますが、その辺は必ずしも明確でございません状況でございます。ここでは要するに、地方団体の公務員が従事しておりまするその労務と、その労務に従事いたしまする者を指しておりまする人といいますか、職といいますか、そういうものを押えまして、要するに、通称の職とその人との結び付きました守衛とか、給仕といつたようなものを押えておるわけでございまして、多くの地方団体に最も普遍的にありまするような名前をここで取上げたわけであります。大体各地方団体に依頼をいたしましてこういう職種の報告をしてもらつておりまするが、大体半数の都道府県等から報告が参つておりまして、そういうようなものを基礎にいたしまして、さつき申上げましたようなものを拾つて見たわけであります。
  48. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 そうすると、この守衛とか小使、そういうようなものは職種といわれるでしようが、清掃とか屠殺というようなものは或る業態を指して、それに従事しておる者を総括して呼んでいるように思われるので、この内容を分析すれば幾種かのやはり職種に分れるものがある。そういう点から言えば業種でもあるというふうに私たち考えたいと思うのですが、そういう総括的な呼び名を以て呼んでいるのであると考えてよろしうございますか。
  49. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 大体まだとにかく職階制が固まつておりませんので、はつきりとしたものを押えることができない。地方団体の公務員の職種の現状でございまするから、今お話がありましたように、将来職階制ができました場合に、この通り言葉で大体の一つ職種を現わす。或いは職業を現わすというようなものもありますし、それから今お話のありましたような、もつとそういう意味でなく、やや広い形のグループを現わしておるようなものもあるわけであります。ただそういたしました場合の技術者、監督者、行政事務を担当するというようなものがそのグループに入つている場合がありますが、そういうものはやはり中から除いて単純労務考えるというふうにいたしたいと考えております。
  50. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 そうすると、そうしたものに類するものという但書というものは、こうした職種なり業種に類するものというふうに、いわゆる技術者、監督者等を除いて、広い解釈を下すというふうに考えていいのですか。
  51. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) やはり類するものといいます場合も、先ほど来申上げましたような、こういう呼び方でやはり考えて行つていいと思つております。
  52. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 そうすると、例えば道路工夫の中でも年功を積んだ技手とか技師とかいうような、いわゆる地方の役名ですがを持つておる者が、而もそれが監督的なものでもなければ高度の技術屋でもない、こういうかたがたはやはり一連の道路工夫なら道路工夫というグループに入つて単純労務者とみなす、こういう考え方でいいですか。
  53. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) これはそれぞれ当該の具体的の人について当つて見ないと、実際の職務内容について当つて見ないとわかりませんが、先ほど申上げましたように技術者、監督者、行政事務を担当するものに該当するかしないかという具体的な判断が問題になつて来ると思います。
  54. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 政令のみを以てしては、その判断を下すものは当然当該公共団体或いは当事者間で話合いの結果枠付をしなくてはならないように考えられるのですが、そういう点はどういうふうになるのですか。
  55. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) これはこの地方公務員法を実際に運用いたしますものは、それぞれの地方公共団体であるわけでございまして、地方公務員法及び将来この政令が公布されるといたしますれば、この政令の具体的の解釈運用の問題は、それぞれ地方公共団体当局がいたすことになります。
  56. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 この地方公共団体に対して公務員であり、そうしたそのグループは、自分たちは單純労務者であると考えておる者はそうしてくれと要講をし、或いは交渉を持つだろうと考えます。その間において成る種の解決を得たならば、その地方公共団体が認めたならば、それは單純労務者という範囲に入るか入らんか、この点をはつきりしておいて頂きたい。
  57. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) これは法律及びその法律政府責任において解釈いたしまするこの政令施行になりますれば、政府としてはこういうよとなふうに單純労務者解釈するということになるわけでございますが、地方公共団体においては法律なり政令なりというものは、憲法の七十三條と関係を持ちます政令でございますので、そういうような政令を前提にして解釈せられることになるわけであります。ただその場合に具体的の解釈がどうなるかということは、これはそれぞれの地方団体の問題でございます。これは多少のちぐはぐが出て参りましても、地方自治を認める以上は止むを得ないものと考えます。
  58. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 そうしますと、自治庁としては憲法上の問題から、而も自治法の問題から大きな範囲で問題を考え、或いは地方を指導するということに限るのであつて、その範囲に触れない限りにおいては地方当事者間における決定その他を拘束したりするようなことはないというふうに了解してよろしいですか。
  59. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) これは地方公務員法の性格が、かねて申上げました通り、枠法というような気持でございますので、勿論その枠の中においては地方公共団体の自主性というものを十分尊重して参りたい、ただそういう建前から地方公共団体技術的な勧告、助言を求めて参りました場合におきましては、これは地方自治庁といたしましては、それに基きまして一定の見解は示しますが、その技術的な勧告、助言をとるとらないということは、これ又地方公共団体の自主性に属することになるわけであります。
  60. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 更にくどいようですが、そうした場合は地方紛争が切替えの際に起る場合があるだろうと思われるのでありますが、助言を求めて来る場合は自治庁のみがこれを助言する。併し労働関係においては労働省の主管でもある、そういう場合に労働省自治庁とはその関係をどういうふうに持つて地方を指導し、紛争を排除するという方向に行くのか、これは自治庁のほうと労働省のほうとお二人にお聞きして置きたいと思うのです。
  61. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) これは政府の中の行政事務の所管配分の問題は、それぞれ設置法なり各種の法律によつてきまつておるわけでありますから、その所管に属しますことは單独専管に属しますことはそれぞれいたしますが、共管に属しますことは、これは両方の意見が一致した上で話合いをすることにいたしております。
  62. 松崎芳

    説明員松崎芳君) 今鈴木次長のほうからお話になりましたように、そういう問題が起りましたときには、労働省地方自治庁とその間十分事務連絡を緊密にして、地方に対して指導するという方法をとつております。
  63. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 それでは更にこの際、範囲について具体的な職種或いは業種について疑義が起り、地方から問題が提起された場合には、自治庁労働省と緊密な連絡をとつて一致した解釈の十に地方を指導する、そう了解してよろしいのですか。
  64. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) この地方公務員法附則二十一項及び五十七條の特例の問題につきましては、私どもといたしましても制度を立案いたしまする際は、労働省と十分連絡をとつて参るつもりであります。
  65. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) ほかに單純労務の問題について御質問ありまりせんか。……なお一点伺つて置きますが、この現業員と單純労務関係、よくこれが混同されておりますので、現業員の中でどういうものが單純労務でないか、この点を伺つておきます。又現業員でなくとも單純労務というものがあり得るかどうか、それも伺つて置きたいと思います。
  66. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 例えばこの清掃夫と申します場合は、いわゆる現業で縦割に仕事を分けますと、清掃事業に従事いたしておる者はみんな入つて来るわけでありますが、その中で先ほど申上げましたように監督者或いは清掃に関する行政事務を担当する者、或いは清掃のいろいろな技術的な面を担当するというような者は除きまして、その残りの者が単純労務である。かように考えております。それからあとの点の現業員でなくとも單純労務はあり得るかという点でありますが、この点も勿論あるわけでありまして、現業ということの解釈でありますが、主として肉体的労務をやる現場的労務というものを現業と解釈いたしますと、例えば電話の交換手でありますとか、そういつたようなもの、これは現場労務というふうに解釈いたしますか、或いは場合によつて行政事務の補助者みたいなかつこうでいろいろ従事いたしておる者もあろうと思います。そういうふうに必ずしも現場労務に入らないでも単純な、シンプル・ワーカー、ハンド・ワーカーといいますか、そういうような言葉でも言つておるようでありますが、そういうようなものも職によつては入るわけであります。
  67. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 労働省のほうもその解釈でよろしうございますか。
  68. 松崎芳

    説明員松崎芳君) はあ。
  69. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) それでは單純労務の問題はこれで打切ることにいたします。   —————————————
  70. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) なお地方自治庁並び労働省側に伺つて置きますが、地方公営企業労働関係法案はどちらかにおいて立案されつあるということでありますが、それはどうなつておりますか。これを伺つて置きたいと思います。
  71. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) これはこの地方公務員法附則二十項に基きまする法律は「公営企業の組織、会計経理及び職員の身分取扱に関して規定する法律」ということに附則二十項では相成つております。今政府といたしましては、公営企業の組織をどういうふうにするかということと、それからそれの会計経理をどうするかということと、職員の身分取扱をどうするかということ、この三つの部面に亘りまして法律案を鋭意立案中でございまして、今度の国会提案をいたすように今準備中でございます。
  72. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 主管庁はどちらですか。
  73. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) これは主管庁は、今申上げましたように、内容を大きく分けますと組織と会計経理、職員の身分取扱の三つございまして、この中の組織なり、会計経理に関しますること、これは自治庁の専管でございます。職員の身分取扱に関しますることは地方自治庁労働省と両者関連いたして参るわけでございます。そういうわけで一応自治庁として今立案をいたしておりますが、同時に労働関係の部面については労働省として立案をし、政府一体となつてこれを立案中でございます。
  74. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) この問題について御質問ございませんか。
  75. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 その一体となるという言葉がどうも我々としてはわからんのですね。その労働関係だけでいいですから、もう少しはつきり……、一体と言つても、どつちがどつちを呼んで調整をし、そうして実際に法文を作るものはどつちなんですか。はつきりこれを承わつて置きい。
  76. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) その法案の点は、要するに内閣が提出をするわけでございまして、我々事務当局といたしましては一応の、一応と申しますよりも設置法によりましてそれぞれ所管区分がきまつているわけでございまして、職員の身分取扱に関しまする事項は自治庁の所管に属します部分と、又これは制度の結果によつてつて来るわけでありますが、要するに労働省の所管にも入ります部分と両方あるわけでございまして、これを両方が立案をいたして内閣として提案をするということであります。
  77. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 そういうことはわかり切つた上で聞いているんですから、実際どつちなんですか。どつちが主体的に立法過程を作業して行くかということを聞いているんです。
  78. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) これは現に自治庁でも作つておりますし、労働省でも作つておりまして、両方で作つております。両方の案を話合いをいたしまして、政府案として取りまとめるということであります。
  79. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 じや労働省のほうに伺いますが、労働省のほうで作つているのはどれだけ範囲のものを作つておちれるか。
  80. 松崎芳

    説明員松崎芳君) 只今身分取扱という言葉を使われたのですが、これは法律に出ているわけでありますが、この身分取扱の中には労働関係も当然含むということで了解しているのでありまして、この労働関係につきましては労働省におきまして昨年の暮に一応の要綱を作りまして、全国四カ所におきまして公聴会を開きまして、こういうことで労、資、中立までも寄つて頂きまして、そうして意見を聞いているわけであります。私どものほうでもこの労働関係については法律を準備しつつありますどういう形において出るかということになりますと、これはちよつと時間がかかるかと思いますが、労働関係については地方自治庁においても労働省にお任せするというようなわけであります。
  81. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 その話を聞きたいとこなんですがね。その労働関係のそれというのは自治庁としていろいろな制約をすることなしに、労働省立案したものをその法律一つの体系の中にそのまま盛り込んで行くという考え方であるのかどうか、この際鈴木さんに伺つて置きたい。
  82. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) これはまあ政府が、それぞれ自分の所管に従つて、自分の所管の部分は各省皆立案をいたしまするが、それが他の政府部内に関係のあります場合におきましては、次官会議、或いは閣議等で意見の調整が行われるわけでありまして、今松崎課長から申しました通りに、職員身分取扱の中の労働関係の部分につきましては、これは労働省で御立案中であります。私どもといたしましては、これは地方公務員関係規定でありまして、それの又身分取扱と関係があることでありまするから、それらにつきまして意見は申上げまするが、労働省の御意見は十分尊重するつもりであります。
  83. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 ちよつとお伺いしますが、今御説明伺つていると、それぞれ自分のところのは自分でやるのだというお話で、はつきりいたしませんけれども、実際の場合に誰が、これをどこの大臣説明するか、法律ができた場合は誰が……、所管の大臣が自分のほうだけするのですか。
  84. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 提案理由説明はどちらがするか……。
  85. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) これは先ほど来申上げておりまするように、まだ最終の形におきまして法律案ができ上つておりません。次官会議閣議にまだかかつておりませんので、最終の法律案ができましたときのその形に従つて、それぞれ所管の大臣が御説明をなさるわけだろうと存じますが、併し国務大臣という資格において御説明になりまするならば、その点は大体多少の食い違いはございましても差支えないだろうと考えます。
  86. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 いや、そういう妙に何かどこからか突つ込まれやせんかと思つて、びくびくした答弁のように見えるけれども、例えば岡野さんと保利労働大臣が二人来て一つの法案を、ここからここまで私の所管でございますからと言つて説明し、その次はあなたにお願いします、こういうことで実際やるのですか。その点を……、どの大臣が御責任を持つてこの説明をするのですか。
  87. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) これははつきり申上げますが、要するに労働関係の法案だけ別個の法律案提案いたすということになりますと、その部分だけはこれは労働大臣がおやりになるのが、先ず今までの慣例から申して当然だろうと思います。それから今の組織なり、会計経理なり、身分取扱、それに更に労働関係も含められまして一本の法律になりました場合におきましては、これはやはり自治庁長官であられる岡野国務大臣説明されるのが、これは政府の大体の今までの方式から申して当然だろう、又そういうふうに考えております。
  88. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 そうすると、しつこいですが、もう一遍伺いますと、今申上げたように、これは労働省労政局の要綱案の第二條あたりにすぐ地方財政法なんてのが出て来るのですが、その先のほうは労働大臣説明して、第二條は今度は岡野さんで、一緒に説明されるのですね。そういうことになるのですね。
  89. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 労働関係と申しますのは、実は今の附則二十項で予定しております法律の中の、要するに一部分でありまして、大半の部分は実は組織、会計経理が非常に多いのであります。そういう点から申しまして、先ほど申上げましたような法案の主たる内容が、どの方面にあるかということによつて、その所管の属する国務大臣が御説明になるのが至当であろうと考えておるのであります。
  90. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 それは確かに鈴木さんの考えは一応成立つようですけれども、併しこれは地方公務員法そのものから出て来ておる法律なんで、人間関係のほうが重大な公営企業体のそれなんで、労働関係はこれは主たるもので、その他のものはその関係を成立たせるためのさまざまな企業形態の関係から当然出て来る問題だと考えた場合には、これは却つて労働省あたりの所管でないかということさえ考えられる。その点については我々としては疑義がある。もう一度その点地方公務員法一つの法規から生れて来る立法なのですから、その点から言うならば、私は身分関係、そういうものが主たる法律であつて、條章は幾ら多くても、会計経理、組織、そういうようなものは主たるものではないという考えを持つのです。この点どうです。
  91. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 地方公務員法附則に、今の点が出ておるわけでございますが、これは要するに今申上げましたような公営企業の組織、会計経理、職員の身分取扱に関して規定する法律が制定実施されるまでの間は、なお従前の例による、こういうことであります。要するに公営企業に関する一つ立法を作るのだということが、この法律の上で謳われておるわけでありまして、それまでは従前の例による。その中に公営企業の地方公務員の労働関係の部分も入つておるということでございまして、ここに書いてありますることから申しまして、その法律内容がすべて地方公務員法を中心として作られるのだと、こういう結論にはならんと思うのであります。要するに地方の公営企業は地方公共団体の住民のサービス、福祉の改善、能率的な経営というようなことが主体になるわけでございまして、そういう見地から地方公営企業法というものが立案をされて、それの運営に当ります地方公務員の身分取扱、或いは労働関係をどうするかということもその中に入つて来るのでありますから、地方公務員という見地からだけでなく、もつと大きな地方公営企業をどうするかという見地から立案をせられるものでございますので、この点は必ずしも地方公務員法附則にありますから、それだけであるというふうな結論には相成らんと思います。
  92. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 これは舌足らずのことで、誤解を受けたかも知れませんが、私たちがさつきから言つておるのは、単純労務地方公務員の場合であろうが、その観点に立つて今まで討議して来ておつたので、その一連のものとして眺めれば、身分関係、労働関係というものがこういう公営企業として重要なんだ、こういう考えなんで、その他のものは排除する、要らんのだというものじやない。その他のもの自体は地方行政委員会の所管としてそれは堂々とやれるだろう。併しその部分はやはり自治庁長官の労働関係ですよ、自治庁長官の所管として提案理由その他もやつて行くのだ、こういうことに疑義があるというのです。この点について……。
  93. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) そこはこの公営企業の組織、会計経理、身分取扱に関します法律説明でございまするから、国務大臣としての御資格においてされるならば、どちらの大臣がなすつてもいいわけでありますが、先ほど来申上げましたことは、その法律の主たる内容がいずれの所管に多く関係があるかということの判断の結果の問題で、主たる関係がある大臣が御説明になるのが、従来の慣例から申して妥当であるということを申上げたのであります。
  94. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 そうすると、岡野国務大臣ときまりました場合には、岡野国務大臣質問する場合に、岡野国務大臣は当然質問に答えてくれるというふうに考えて、質問は打切つておきます。
  95. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) それでは公営企業労働関係法案についてほかに質問はございませんか。ではこの程度にいたします。   —————————————
  96. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 次に、地方公務員法の制定に伴いまして、地方公務員たる教育公務員の任免、分限、懲戒、服務、給与、その他の身分取扱に関する事項について、教育公務員特例法の一部を改正する法律案が提出されております。これにつきまして、先般皆様お集まりのときに、連合審査を申込むかどうかということについて各会派でおまとめ願いたいということを申上げて置きました。如何いたしますか。
  97. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 結論としては、過般の国会において母法の地方公務員法の審査の場合に、文部委員会その他から関連ありとして連合審査を申込まれ、愼重に連合審査をした建前からいえば、母法を審査した我々委員として、特例法について連合審査をしたいという意向を持つております。ただその前に時間が許せるならば一応自治庁なり、或いは文部省なりにその立案過程並びに構想等について伺つておいて、而も連合審査を必要とするかどうかを御討議を願いたいと考えます。
  98. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) それでは一応教育公務員特例法の一部を改正する法律案並びに参議院は通過いたしましたが、やはり地方公務員法関係のある社会教育法の一部を改正する法律案、これにつきまして、これらの法律案立案された過程、その内容の要点、そういうものについて一応説明を求めます。
  99. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 あと岡野さんその他に御用があつて、おいで願うならともかく、おいで願わないとするならば、ちよつと特例法のことについてお聞きして御退席を願つてもよいと思います。
  100. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) それでは、今岡野国務大臣が予算委員会のほうへ出席を要求されておるそうでありますから、岡野国務大臣に対する質疑をこの際先にいたします。
  101. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 この特例法について自治庁としてどういう態度を持つておられ、どういうふうに立案過程に関与せられたのであるか、この経過について御説明願いたいと思います。
  102. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 教育公務員特例法につきましては、文部省が御立案せられまして、地方自治庁としましてもその内容につきましては十分御協議を願い、両者協力いたしましてでき上つたような次第であります。
  103. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 どうも簡単な要を得た御答弁で、大体わかつたわけですが、(笑声)、地方公務員法特例法であるから、地方公立学校教育公務員特例法というふうに、地方公務員法自体だけの特例法が出るものと我々は考えておりました。ところが前に出た国家公務員法特例法のうちの、当時地方公務員である教職員についても立法しておつたことと一緒にして、そして今回特例法ができた。従つてその法の内容を見ますと、地方公務員法が出たための措置のみならず、国家公務員法の改正を見ないで国家公務員である教育公務員の特例の改正まで一緒に載つておる法律案なんです。こういう点は我々としては誠に奇怪なんで、若しもこういうことをやるとするならば、国家公務員法自体を改正して、そして特例法を改正して行くという段取りにすべきじやないか、さように思われる。それでこの点について国家公務員の教職員の特例法と地方公務員の教職員の特例法とをなせ分割して立法するということをしなかつたのであるか。又現在提案されておるこのやり方というものは立法技術からいつてどういうものであるか、そういう点専門である鈴木さんにお伺いしたいと思います。
  104. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 御見解はいろいろ御尤もな点が多々あると存ずるのでありますが、結局一つは沿革的に従来教育公務員特例法ということで、国の教育公務員と地方の教育公務員とを合せて規定しておりました関係もあり、又、地方公務員法特例法ということで、それだけ抜き出して書くということが一番すつきりとした形ではございまするが、他面教育に従事する公務員という点から申しますと、要するに教育という点から申しますると、それを又一つ法律に書いて置くということも十分理由があるわけでございまして、そういう沿革的な理由並びに教育に関する公務員のことを一つにまとめて書いて置きたい、こういうような考え方から、地方公務員法特例として筋を立てまして、別個の法律を出すよりもそういう方式のほうがよいであろうという見解で、今回提案いたしましたような形に相成つておるわけでございます。
  105. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 そうしますと、文部当局立案過程でいろいろ御協議になる場合には、国家公務員である教職員の場合の條章には自治庁としては触れなかつたのであるか、お伺いします。
  106. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) これは自治庁の所管事項ではございませんので、その点につきましては有権的な御協議を申上げるわけには行かないわけであります。
  107. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 では問題を変えまして、私たちが修正案を作つた場合に、教職員に対して特例法を設けるという趣旨は、一般地方公務員と違つた性格或いは免許、任用、その他いろいろ複雑な特殊な問題があるから、別枠にしてやりたい。即ち人事委員会なり公平委員会なり、そうしたいろいろなものの拘束を成るべく受けず、教育公務員は教育公務員として一貫した体系でこれを律して行きたいというのが我々の修正趣旨つたわけなんですがこの内容を見ますと、やはり人事委員会そのものに律しられる部分は、一般地方公務員であろうが、教育公務員であろうが、何ら変らないという結果になつてつて、ただ公平委員会に所属しないで人事委員会一本にしたという点だけが、この考えが我々に近いものがあるというだけなんですが、もつと突き進んでお考えになられた点はなかつたのですか。
  108. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 教育公務員につきましては、やはり教育を所管しておられまする文部省のほうのお立場として、教育という関係からできるだけ一体的に規定をいたすようにいたして行きたいという気持であられるのは、十分その点で理由が認められるのでございますが、他面地方公務員という見地から他の地方公共団体の公務員との間の権衡ということも考えなければなりませんので、結局その両者の要求の合致いたしましたのが、只今提案しておりまするような形の法案になつておるわけであります。
  109. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 では最後にもう一つ、これは私の意見ですが、地方公務員法政治活動の面でああいう修正をした趣旨、即ち勤務する学校の所属する市町村、そういうもの以外においては一般市町村民としての自由なる政治活動は許されておる。その趣旨から言うて、議員立候補の場合には忠誠を誓わなければならない所属公共団体以外においては、自由に立候補できるのじやないかという考えが一部にあるのですが、あの修正趣旨からいつてこの点についてはどうお考えになられるかお伺いしたい。
  110. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 教育公務員が中央の選挙、或いは地方の選挙に立候補いたします場合のことでございますか。
  111. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 立候補し又は議員となるのに、現職なり或いは休職なりを以てしてできるものじやないかと私は思う。法律上……。
  112. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) その点は交織選挙法の、公務員は届出をする場合には公務員たる地位を辞さなければならんという公職選挙法の規定はやはりすべての公務員に対する選挙制度上の一つの要求であるわけでありまして、言い換えれば選挙運動の自由公正を期する、こういう見地から国の公務員でありましようとも、地方公務員でありましようとも、先ず公務員たる地位をやめなければ届出ができない。こういう趣旨でございまして、その趣旨を、地方公務員法としては地方公務員法に反する規定だとは考えていないつもりでございまして、従つて矛盾牴触する規定ではない。従つてあの規定はすべての地方公務員に適用されるものであると、こういう考え方をいたしております。
  113. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 その点了解しましたが、然らば公職選挙法においてそういう点を外したらこれは地方公務員法から見て自由に議員に立候補できるかどうか。
  114. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) その点は地方公務員法には規定がないわけでございますから、公職選挙法のその規定を外すということに相成りますれば、地方公務員法としてはそれが許されることに相成るわけであります。
  115. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 岡野国務大臣に伺いたいのですが、予算の予備審査をこちらも開始しておるわけでありますが、又、政府は成るべく早くこの予算を通過させたい意図があるようですが、それと関連のある地方税の改正法はいつ頃出るのですか。
  116. 岡野清豪

    国務大臣岡野清豪君) お答え申上げます。地方税の改正法案はもう殆んどOKが来る間際になつておりますから、多分一週間以内には出せるのじやないかという只今の見込でございます。ですから来週の末頃には多分出されると思います。
  117. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 実は予算のほうは、予定として来たる二十二日に地方財政全般について予算の審議をすることになつておりますので、先般口頭並びに書面を以て資料の請求をして置きましたから、それに間に合うように請求しました資料を出して頂きたい。それじやないと予算の審議において千分に審議ができませんので……。
  118. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) それは十分今の御審議に間合いますように用意いたしたいと思つておりますが、中には若干資料によつて御要望にそのまま副いかねる点もあるかと思いますが、その点御了承願います。
  119. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) それでは岡野国務大臣には御退席願つてよろしうございますか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  120. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) どうぞ。  それでは教育公務員特例法の一部を改正する法律案社会教育法の一部を改正する法律案につきまして、文部省側の要点の説明をお願いいたします。
  121. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 大臣はどうしたのです。
  122. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 大臣は呼んでいない。
  123. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 説明のときに事務説明的ならばまあ課長でもいいわけですが、聞いた場合に直ぐ質問する場合に次課長の答弁では我々は問題にできんのですが、少くとも局長が来ないと、次課長とやりとりをやつたところで、何の権威もないので非常に困る。
  124. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) これは一応説明を聞きたいという趣旨です。要点だけちよつと聞いておいて、その教育公務員特例法の一部を改正する法律案については連合審査を申込んで見たいと思いますが、御異議ございませんか。   [「異議なし」と呼ぶ者あり]
  125. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) じやそういうふうに計らいます。じや關口局長。
  126. 關口隆克

    政府委員(關口隆克君) 最初に教育公務員特例法について要点を申上げます。教育公務員特例法国家公務員及び地方公務員でいわゆる教育公務員とされておりますもの及びそれに準ずるものについて国家公務員法及び地方公務員法で規律されるのは適当でないと思われる事項について特例を設けるという趣旨のものでございます。ところで地方公務員である教育公務員につきましては、この教育公務員特例法ができました当時、まだ地方公務員法ができておりませんでしたから、従つて公立学校の学長、校長、教員及び部局長というものについては教育公務員特例法の三十三條に、地方公務員法が制定施行されるまで同法に規定されておるもの以外は、政令で特別の定めができるということにしてありまして、そうしてその任用、分限、懲戒、服務等については都道府県の事務吏員又は技術吏員と同様の取扱をし、給与については国立学校の教育公務員の例によるごととして、又教育長及び指導主事につきましては教育委員会法第八十一條及び同法施行令において措置して、今日に至つてつたのでございますが、今回地方公務員法が制定されることになりましたので、これに伴つて必要な事項及びその他これに関連して必要と思われる事項についての改正案を提案するに至つたのでございます。なお、地方公務員であるところの教育公務員についてはいろいろの議論がございますので、根本的に研究すべき事項も多々あるかと思うのでありますけれども、今回は地方公務員法の制定に伴つて最小限度必要だという事柄を取入れて立法いたした次第でございます。簡單でございますが、一応この程度にとどめます。  続いて社会教育法の一部改正法律案について簡単に説明させて頂きます。社会教育の重要性ということは最近特に重要さを加えて来たと思います。昨年六月に社会教育法、それから昨年の四月に図書館法というような新らしい法律を制定いたしまして、だんだんに社会教育の分野が法制的に整備されつつあるのでございますが、まだまだたくさんの問題が未解決のまま残つておるものもございます。その中の一つで、地方において実際に社会教育の仕事を担当しておる専門的な職員、その職員の数も少いし、又立派なものをできるだけたくさんそのほうに招致いたしたいということが叫ばれております。現在まで地方において社会教育に関する専門的な仕事を担当しております者は、社会教育主事でありますが、法令的な根拠としては、それは教育委員会法の施行令があるだけでありまして、資格もはつきりと要求されておりませんし、又その身分においても専門的な教育職員としての取扱がされておりませんでした。ところが学校教育のほうでは指導主事というものがございまして、御承知通り免許の制度もあります。又教育公務員特例法によつて身分上特別の取扱をしてもらいまして、地方公務員法施行になつて地方公務員に関する制度がだんだん整備されて行くのを契機として、この際社会教育主事に関する法令の規定を整備し、社会教育振興の重要な一員にいたしたいという世論が強くなつて参りましたから、そこで社会教育主事と指導主事との取扱を大体同じようにしようという趣旨の下に研究を進めまして、そうして教育公務員特例法の一部を改正すると共に、社会教育法の一部を改正いたしまして、社会教育主事を教育公務員として、そしてよい人を招致することができるような措置を講じたい。おおむねさような趣旨の下にこの法案を立案いたしました。教育公務員法の改正と同時に施行することを希望いたしている次第でございます。簡單でございますが、以上の通りでございます。
  127. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) もつと詳細の説明を伺うはずでございますが、時間も大分経過いたしましたから、両法案につきまして文部大臣提案理由説明された、その文部委員会に配られた要綱があると思います。それと事務当局の補足説明の要綱を各委員にお配りを願いたいと思います。それで教育公務員特例法の一部を改正する法律案につきましては連合委員会を申込みまして……。それからもう一つ、文部当局質問いたしたいのでありますが、小学の一年生に教科書を全部無料で配付するということになるのだそうでありますが、その費用は全額国庫負担をなさるのかどうか。承わると国庫負担は僅か三分の一であつて、三分の二は地方自治体の責任で負担しなければならん。それについてよく地方自治庁側等と連絡がとれているのかどうか、そういう点について御説明つて置きたいと思います。
  128. 關口隆克

    政府委員(關口隆克君) 詳細な点につきましては担当局長が今ここにおりませんので、私存じております程度において簡單に御説明申上げますと、本年四月に小学校に入学する公立の学校の一年生に対して、所要の教科書の中で主たる教科書につきまして一定の基準を設けまして、その基準に基いてこれを無償で交付するようにいたす。その無償で交付するにつきましては、その金額等について定額を国で定めまして、その定めた定額の半額については国から支給をする。残りの半額については地方のほうで醵出して頂くようです。そういう趣旨でございます。
  129. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 市町村ですか、地方とおつしやるのは……。
  130. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 今の御説明ですが、我々も新聞等でも見たのですが、全額そういうものは国庫が負担するのだ、そういうわけで国民は非常に喜んだのですが、今の御説明だと、そう言つて置きながら、半分は自治体に押しつけるのだという考え方根本的な誤りであつて、そういうふうなことを考えるのは文部当局地方自治体というものをよく了解していない証拠だと思うのです。そういうことを勝手にやられると、地方財政はさなきだに教職員の給料がうまく行かん。そういうような問題があるところに、勝手に政府がそういうふうな金を、地方団体の困窮せる財政面の現段階においてやられることは非常に遺憾だと思います。あなたのほうは教育をおやりになるのに地方自治体の精神というものはよくわかつていないのじやないか、やるならばやはり国庫が全額を負担すべきであると思う。この点はどうなんですか。
  131. 關口隆克

    政府委員(關口隆克君) お答えいたします。大きな問題についての御質問お答えするには……、ちよつと金額を先に申上げますと、来年度の国の予算は一億三千九百万円でございますから、各市町村の負担なさる金額を総計しますとそれと同額ということになります。なお、これは来年度予算には一年分だけ計上しておりますが、その後のことにつきましてはいろいろと議論のあるところもございまして、まだ確定しておるということについては申上げられない段階にございます。なお、国で全額負担し得るものであるということにつきましては、文部省といたしましても、一応さような考えを以ちまして、いろいろと関係方面との折衝をいたしました結果、小学校の義務教育というものにつきましては、国と地方との相寄り相助けて、実施して行くべきものだという御議論もありまして、かような結果になつたのでございます。先ほどのお話の件につきましてはそういう御意見のあること等につきましてはいささか了承しておりましたのですが、結論としてかようなことになつたということをどうぞ御了承願いたいと思います。
  132. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 そうしますと、新聞に全額国庫負担というような非常なビツグ・ニユースで報道された。それは極めて文部当局は軽卒だと思う。そういうふうな関係方面の意向も十分確かめないうちに発表したのじやないですか。どうも文部当局はそういうことが多いのです。
  133. 關口隆克

    政府委員(關口隆克君) お答えいたします。全額国庫負担にするという発表は、実は一度もいたしたことがないのでございまして、発表といたしましてはこの予算及び今準備しております法律案の大綱がOKを得ましてから発表いたしたのでありまして、その前に出ましたのは新聞のほうで予想して、推測して少し華やかにお扱いになつたのではないかと思います。
  134. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 文部当局は過去においてもそういう無鉄砲をやつて、そうして非常に処置のつかない問題が、御承知通り大きい問題があると思いますから、そういうことのないように、文部当局はものをする前に予算というものを頭に置いて、そうしてすべきであつて、そうしないと……、この問題だけじやないのですが、無鉄砲な手を始終打つのです。それで非常に国民は迷惑するのです。そういう点はもう少し国の予算、地方の予算というものを検討の上で物事をなさらないと、非常に国民は迷惑するのです。先ほど伺いますと予算は一億三千九百万円、そういうことを言われる肚は、地方が分担すれば大したことはないのじやないかという気持で言つておられると思うのです。そういう根本精神が誤りだと思います。
  135. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 先ほどのお話は、新聞発表は文部省の関知するところにあらずと言つておるのですが、問題は無償で教科書を配給する段取りになつたことは、やはり文部行政のいいところなんだということを各方面に吹聴したことは、これは公然の事実で、地方で受取るものは、無償ということは国がやつてくれるものと受取つてつた。従つて市町村等においても、これは当然国がやつてくれるものと思つてつた。それが地方の市町村は半額負担しなくちやならん、而も一億三千九百万円というものの単価計算の基礎というものをあとで御答弁願いますが、それで以てして、今のこの民間の教科書を自由選択をしておる各学校が、その金額の倍額を以て間に合うものではないのであります。これはもう公然の事実である。そうしますと、地方の市町村は半分の一億三千九百万円を引受けるのじやなくて、二億以上の金を地方が引受けなくちやならん。その学校が自由に選択した教科書を使用する段になつたならば、文部省が考えておる單価以上であることは、これはもう明らかなんです。それで本当に半額負担なら半額負担ということで、地方が実際に使つただけの教科書の半額であるのかどうか、この点はつきり御答弁願いたい。
  136. 關口隆克

    政府委員(關口隆克君) 最初の新聞発表、文部省が新聞発表したのではないか。文部大臣は無償と言つているではないか。無償ということは、これは言葉の響きが、無償ということは国がということにすぐ結び付いたのかも知れませんが、生徒がただでという意味で無償と言つたと思います。生徒が買うときに一々自分でお金を出さないでという意味で無償と言つたと思います。
  137. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 そんなこと、どこの自治体と相談してきめたのだ。
  138. 關口隆克

    政府委員(關口隆克君) それからなお、あとの一億三千九百万円と相当のものを出すだけでは済まないではないかというお話ですが、そういうことも起り得ると存じます。なお、そのことはなせそうなつたかと申しますと、予算折衝上、予算概算の枝術上のことがあるように聞いております。定員定額という言葉が当るかどうかわかりませんが、大体そういつた趣旨で計算をいたしまして、国として最低の価格で一応押えるということで、そういう推算になつたのだというふうに承知しております。
  139. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 そういうふうならば、その尻拭いは市町村がやらなければならん。市町村の財政を大幅に賄つているのは地方財政委員会です。今回の意見書にもやはり国が見たのと同額だけは需要額として財政委員会も見ておる。併しそれで足りない部分はどうなるのだ。平衡交付金も流れない。補助金でもできない。市町村自体の税金を以て賄う、或いはそのほかの収入を以て賄うという結果になつてしまう。そういう、地方自治団体を結果として圧迫するようなことを、幾らいいことでもこれを手柄顔に、国だけで而も文部省きりで独断できめたということについては、我々としては納得の行かない点がある。この始末はどうするのですか。財政的な始末を現在文部省はどうするお考えでおられるか、お伺いしたい。
  140. 堀末治

    ○堀末治君 議事進行について……。この問題は私与党でございますけれども、非常に不愉快に存ずるのであります。今承わつておるというと、局長はこのほうの担当でないとおつしやられておるのだが、改めて文部大臣並びに担当局長においでを願いまして、詳しくこのほうの説明を伺いたい、かように存じます。なおこの問題については今の小笠原君の意見も御尤もなんで、地方財政の窮迫のことは万人周知のことで、そこへ持つて来てこれだけ押付けられるということについて、地方自治庁として果してこれで快く同意したのかということは、私どもは非常に懸念されるのですから、この点については岡野国務大臣にも聞いて見たい。かように存じますから、今日はこの辺で打切りまして、この問題は別に文部大臣、担当局長並びに岡野国務大臣にお伺いしたいと思います。
  141. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 私も賛成いたします。その場合には文部省、地方自治庁地方財政委員会の三者の責任者の御出席をお願いしたい。
  142. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) それではこの問題はこれで打切りにいたします。これで今日は散会いたします。    午後零時三十六分散会  出席者は左の通り    委員長     岡本 愛祐君    理事            堀  末治君            竹中 七郎君    委員            岩沢 忠恭君            高橋進太郎君           小笠原二三男君            西郷吉之助君            鈴木 直人君   国務大臣    国 務 大 臣 岡野 清豪君   政府委員    地方自治政務次    官       小野  哲君    地方自治庁次長 鈴木 俊一君    文部省調査普及    局長      關口 隆克君   事務局側    常任委員会專門    員       福永與一郎君    常任委員会專門    員       武井 群嗣君   説明員    労働省労政局労    働法規課長   松崎  芳君