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1951-02-02 第10回国会 参議院 地方行政委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年二月二日(金曜日)    午後一時三十五分開会   —————————————   本日の会議に付した事件行政書士法案衆議院提出) ○地方行政の改革に関する調査の件  (警察法の改正問題に関する件)   —————————————
  2. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) これより地方行政委員会を開会いたします。  本日は行政書士法案の審査をお願いいたします。衆議院のほうから発議者の一人である川本衆議院議員が出ておりますから、川本氏に御説明をお願いいたします。
  3. 川本末治

    衆議院議員川本末治君) 議題となりました行政書士法案につきまして、衆議院におきます提案理由並びに要旨を詳しく申述べるべきでございまするが、御承知のようにこの法案は前国会参議院のほうに迴付いたしました法案と全く同一のものでございまするので、この際詳しく御説明申上げますることを省略をお願いいたしまして、逐條に亘りましては、法制局から説明をいたすことにいたしたいと思います。何とぞ慎重御審議を頂きまして速かに御決定頂きまするようお願い申上げます。
  4. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 昨日お話いたしましたように、本法案内容等は、前国会提出分と同様でありますから、提案理由説明省略をいたしまして、逐條につきまして衆議院濱中法制局参事から御説明頂きます。要点のみに願います。
  5. 濱中雄太郎

    衆議院法制局参事濱中雄太郎君) それでは法案内容につきまして、各條に亘りまして簡単に御説明を申上げたいと思います。  第一條は、行政書士業務規定いたしたのでございまして、行政書士は、他人の依頼を受け報酬を得て、官公署に提出する書類その他権利義務又は事実証明に関する書類作成することを業とすることを規定したのでございます。この第一條一項の、官公署に提出する書類と申しますのは、広く司法官庁であろうと、行政官庁であろうと、或いは地方団体の役所であろうと、広く一応謳つておるのでありまして、それぞれの専門的な特殊の事項につきまては、ほかにいろいろの法律がございまして、その業務を行うべきものの資格を定めまして、その法律規定に基かないものの業務を行うことを禁止しておる法律がたくさんあるのでございます。その法律によつて禁止しておる事項は、第二項におきまして、行政書士は、前項書類作成であつても、その業務を行うことが他の法律において制限されているものについては、業務を行うことができない。かように、官公署に提出する書類の中からそれらの業務を除外しておるのであります。例えば特許権実用新案権或いは意匠権等につきまして特許庁に提出する書類、これにつきましては、弁理士法規定があるのでございます。又所得税法人税その他政令で定める国税について、税務官庁に提出する書類についても、税務代理士法規定があるのでございます。その他土木調査士法、或いは建築士法、或いは司法書士法等についても、それぞれ規定があるのでございまして、それらに規定する業務は、第一條一項の業務から除外されるのでございます。  第二條は、行政書士資格を定めたものでございまして、第四條の規定による行政書士試験に合格した者は、当該都道府県において行政書士となる資格を有することになつているのでございます。  第三條は、行政書士試験受験資格を定めることでございまして、学校教育法による高等学校を卒業した者その他学校教育法に定める普通の課程によりまして十二年の学校教育を修了した者、或いは監督庁の定めるところによりましてこれらと同様の資格を有する者、これは行政書士試験受験資格があるのでございます。それから国又は地方公共団体公務員として行政事務を担当した期間がこれを通算して三年以上になる者、これも受験資格があるのでございます。更に都道府県知事の定めるところによりまして、国又は地方公共団体公務員として行政事務を担当した期間が三年以上になる者と知識及び能力において同等以上と認められた者に受験資格を認めたのでございます。  第四條は、行政書士試験のことを定めたのでございまして、都道府県知事は、毎年一回以上行政書士試験を行わなければならない。又行政書士試験におきましては、行政書士業務に関して必要な知識能力について行うことになつているのであります。なお行政書士試験を受けようとする者は、政令の定めるところによりまして、試験手数料をその試験を行う都道府県に納めなければならない。又これらの事項の外、試験の科目や受験手続その他行政書士試験に関しまして必要な事項は、都道府県規則で定めることになつております。  第五條は、行政書士となることの欠格事由を定めたのでございまして、未成年者禁治産者、準禁治産者、禁錮以上の刑に処せられた者で、その執行を終り又はその執行を受けることがなくなつてから二年を経過しない者、公務員として懲戒免職処分を受けて、当該処分の日から二年を経過しない者、又は都道府県知事によつて登録取消処分を受けまして、その処分の日から二年を経過しない者、これらの者は、行政書士となる資格がないのでございます。  第六條は、登録について規定したのでございまして、行政書士となる資格を有する者は、行政書士となるためには、その資格を有する都道府県において備える行政書士名簿に、佳所氏名、生年月日、事務所の所在地その他都道府県知事の定める事項につき、登録を受けなければならないことになつております。なお登録を受けようとする者は、政令の定めるところによりまして、登録手数料をその当該都道府県に納めなければならないことになつております。なおこの法律に定めるものを除く外、登録の申請であるとか、登録事項の変更、行政書士名簿その他登録に関しまして必要な事項は、これを都道府県規則で定めることになつております。行政書士登録を受けた者は、止むを得ない事由がある場合に限つて、他の都道府県において、その都道府県知事認可を受けることによつて行政書士となる資格を有することができると、特に第六條第四項は定めたのでありますが、これは第二條に、行政書士試験行なつたその都道府県においてのみ行政書士となる資格を有することになつておりますので、特に止むを得ない事由があつた場合に限つて、他の都道府県知事認可を受けることによつて行政書士となる資格を取得する途を開いたのでございます。  第七條は、登録の抹消について規定したのでありまして、これはいわば登録簿の整理と申しますか、登録された者が資格を失つたり或いは死亡したり或いは廃業の届出があつた場合、登録簿からその者の登録を抹消するように規定したのであります。  第八條は、事務所について規定したのでありまして、行政書士は、登録を受けた都道府県においてのみ事務所を設けなければならない。登録を受けない都道府県において事務所を設けることはできない。従つて業務を行い得ないのでございます。その事務所の数は一カ所とする。なお行政書士は、都道府県知事認可を受けた場合に限つて出張所を設けることができる。これは直接には出張所の数を制限していないのでありまして、都道府県知事認可をすれば、それぞれ出張所を設けることができることにいたしたのであります。  第九條は、行政書士の受けることができる報酬について規定したのでありまして、その報酬の額は、都道府県知事がこれを定めることになつておるのであります。なお行政書士は、その業務に関しまして、都道府県知事の定める報酬を超える報酬を受けてはならない。多額の報酬を要求し、これを受けることを禁止しておるのであります。又一般にその報酬の額を明示することが一般便宜にかないますので、事務所又は出張所の見やすい場所に報酬の額を掲示すべきことになつておるのであります。  なお第十條は、帳簿備付及び保存について規定したのでありまして、行政書士は、その業務に関しまして帳簿を備え、そしてこれに事件名称、年月日、受けた報酬の額、依頼者住所氏名その他都道府県知事の定める事項を記載すべきことになつております。なおこれらの帳簿は、その関係書類と共に帳簿閉鎖の時から一年間はこれを保存しなければならないことになつています。行政書士でなくなつたときも、そのときにおいて帳簿を閉鎖いたしますので、その時から一年間は同様に保存しなければならないことになつております。第十一條は、行政書士依頼を受けた場合、正当な事由がなければ、これを拒むことができないことを規定しております。  第十二條も同様、行政書士義務規定したのでございまして、行政書士は、正当な理由がなくて、その業務取扱つた事項について知り得た秘密を漏らすことを禁止しているのであります。なお行政書士でなくなつたのちも同様に、業務取扱つた事項についてはその秘密を漏らしてはならないことになつているのであります。  第十三條は、都道府県知事監督地方公共団体立入検査権を認めたのでありまして、都道府県知事は、必要があると認めたときは、日没から日の出までの時間を除いて、当該地方公共団体当該都道府県吏員をして行政書士事務所又は出張所立入つて、その業務に関する帳簿及び関係書類を検査させることができるように規定したのでございます。なお、その場合におきましては、都道府県知事は、当該吏員にその身分証明する証票を携帯させなければならないことになつております。この身分証明書は、当該吏員立入検査をする場合に、関係者に呈示しなければならないのであります。なお第十三條第四項は、立入検査をする都道府県知事権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならないというふうに規定いたしまして、これは單に行政上の監督手段として認められておるものであるというふうに規定したのでございます。  なお第十四條は、登録取消等都道府県知事処分を定めたのでありまして、法律やそれに基く命令、規則その他の都道府県知事処分に違反したとき、或いは行政書士たるにふさわしくない重大な非行があつた場合に、業務取消登録取消等処分をすることを規定したのであります。この場合に処分を受ける者の利益を保護するために、聴聞の制度を設けたのでございます。  第十五條は、行政書士会について規定したのでありまして、都道府県区域ごと行政書士会を設けることができる旨を規定したのでございます。  第十六條は、行政書士会の会則には、一定事項を記載しなければならない旨を規定したのであります。  なお第十七條は、行政書士会区域内に事務所を有する行政書士は、その行政書士会会員となることができるということを規定したのでありまして、これは加入につきましても或いは脱退につきましても、自由にできることになるのでございます。  第十八條は、行政書士会連合会についての規定でございます。  第十九條は、行政書士でない者は行政書士業務を行うことができない旨を規定したのでございまして、更に又行政書士でない者は、行政書士或いは又行政書士とまぎらわしい名称を用いてはならないことを規定したのでございます。なお行政書士業務執行行政書士会及び行政書士会連合会について必要な事項は、これを総理府令で定めるところに譲つております。なお附則におきまして、この法律施行の際に行政書士業務行なつておる者の取扱方規定してあるのでありまして、現に引続いて一年以上、行政書士業務行なつておる者で、これまで行政書士業務を行なつた年数を通算して三年以上になる者は、当然この法律による行政書士とみなしたわけであります。  なおこれら行政書士とみなされた者は、一定期間内にそれぞれ登録を受け或いは出張所認可を受けなければならない。その期間を経過して登録を受けない者は、行政書士資格を失うことになつております。  なお只今行政書士業務行なつておる者で、行政書士とみなされた者以外の者で、行政書士業務行なつておる者につきましては、この法律施行後一年を限つて行政書士名称を用いてその業務を行うことができることにいたしたのでございます。勿論こういう者につきましては、行政書士と同様にいろいろな義務乃至は監督を定めた規定適用があるのでございます。  それからこの法律施行の際、現に行政書士業務行なつておる者或いは又従来その業務を行なつた年数を通算いたしまして一年以上になる者は、この法律施行後三年を限つて、第三條に定めました受験資格の如何にかかわらず、行政書士試験を受けることができる途を開いたものでございます。なおこの法律施行につきまして、総理府令譲つた事項もございますので、地方自治庁設置法の一部を改正いたしまして、地方自治庁は、行政書士に関する事項取扱い得るしというふうに権限を認めたのでございます。簡単ではございますが、御説明を終ります。
  6. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 以上で衆議院側逐條説明は終りましたか、なお第九国会におきまして、この法案を御審議願いましたときに、各委員からいろいろ御質問が出て、皆さんの尤もだという御意見のありました点を参酌いたしまして、お手許に廻してありますように、事務局修正案のもととなり得るものを作つて置きました。それについて便宜上、説明専門員にさせたいと思いますが、御異議ありませんか、    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) ではそういうふうに計らいます。
  8. 福永與一郎

    専門員福永與一郎君) 簡單に申上げます。  先ず最初に、第二條に第二項を加えるという案でございますが、それは御覧通り弁護士となる資格を有する者、弁理士となる資格を有する者、公認会計士となる資格を有する者、これは法律によつてそういう資格が認められておりますから、いわば当然のことではございますけれども、こういう人が弁護士とか弁理士とかをやめても弁護士或いは弁理士たる資格を持つておることには変りないのでありますから、こういう人には弁護士とか弁理士とかの業務をやめましても、行政書士となる資格は與えたいということをはつきりさせる意味で、かような案を考えたのであります。それからその四号に挙げられております国又は地方公共団体公務員として行政事務を担当した期間がこれを通算して八年以上、……次條、即ち第三條の第一号に該当する者と申しますのは、高等学校卒業者でありますが、そういう学歴の比較的高い者については五年でよろしい。もう一度繰返しますが、国又は地方公共団体公務員として行政事務を担当した経験を持つておる人で、その期間が八年以上になる者は無試験で、どの府県においも行政書士どなることができるということにしたいというのが、この第二條第二項の案でございます。  その次は、第六條の第四項中云々と申しますのは、只今申上げましたように、第二條は、原案は第一項だけしかございませんが、只今修正案で第二項ができましたので、それを受けての字句の修正でございます。それからその六條の末段に、第三項として次の一項を加えるというところがございます。それは、一の都道府県において行政書士登録を受けておる者は、重ねて、他の都道府県において、行政書士登録を受けることができない。これも大体はつきりしておりますけれども、初めに申上げました法案でも、大体の趣旨はこの通りに現われておりますけれども、先ほど申上げました第二條修正によつて、どの府県でも無試験行政書士資格を得ることができるという横道と申しますか、大きな一つの途が開かれましたので、その関係でこの点をなおはつきりさせるという意味で、このような一項を設けた次第でございます。  その次の第七條は、罰則でございます。只今のように、一方の府県登録を受けて、又他の府県登録を受けるというような、いわばもぐりと申しますか、法律に違反して二重にも三重にも登録を受けて方々で業を行うというような下心得の者も生ずることを慮りまして、そういう場合に対する制裁として、そのことを加えたわけであります。その次は、十七條の第二項の修正でございますが、これは先ほど提案者側の御説明にもありましたように、原法案も必ずしも行政書士会加入脱退を強制するという意味ではないことは私どももよくわかるのでありますが、いわば念のためにこの点を、会員加入及び脱退は、自由とするという一項を設けることによつて、一層はつきりさせたいという趣旨でございます。  その次、第十九條第一項は、現在行政書士でない者は、報酬を得る目的で行政書士業務を行うことができないということに相成つております。けれどもこれを余りに厳格に適用されますと、実際田舎あたりで、いわば片手間に、土地の必要に応じて、地方では地方民が非常に便宜をそのために受けているというような、いわば本格的な行政書士でない人まで取締を受けるというようなことも考えられますので、それは原案趣旨ももとよりそこにはあるまいということを考えまして、ここの規定適用を受ける者は、この修正案にありますように、それを業としておる者だけに適用されるように、その点を明瞭にいたしたいということで、かように修正の文句を考えて見たわけであります。  その次の、附則の第二項中、引続き一年以上とございますのは、この法律施行の際、現に行政書士業務行なつている人で、引続き一年以上やつており、且つ通算して三年以上の人は、その附則にありますように、この法律規定による行政書士とみなされるという経過規定でございますが、これは先ほど申上げました一方において一定年限行政事務担当経験を有する者は、無試験でその資格が認められ、極端な場合には、今日やめた人でも、過去においてそういう経験を持つておる人は明日からでも開業ができるということになりますので、今度新たに無試験資格を認められる人との均衡上、引続き一年という條件を削りたいというのがこの趣旨でございます。  その次の建築代理士規定は、少し面倒でございますが、面倒と申しますか、ややつこしいのでございますが、内容は、現在建築代理士というものが、建築に関して官公署に出します書類作成に当つているのでございますが、これは技術的な部面が非常に多いのであります。併し又一面今度の行政書士仕事とかち合う部分もないではないのであります。又一面建築代理士の現在の取扱方は、多数の府県において條例を以てその業務規定しておるのであります。そこで、そういう実情でありますのに、今度行政書士法が成立いたしますと、行政書士法には御覧のように、第一條第二項を以て、行政書士は、前項書類作成であつても、その業務を行うことが他の法律において制限されているものについては、業務を行うことができない。と相成つておりますので、法律で制限されておるものは、行政書士であつても、これこれの書類作成をやつてはいけないということに相成つております。建築代理士については、先ほど申上げましたように、條例でそのことが制限されておりますために、法律條文そのまま読みますと、行政書士は、幾らでも建築代理士仕事に踏込んで行つて、その仕事行政書士が当然やれるというような結果に相成りまして、建築代理士のほうの立場から申しますと、いわば生活上、業務上、脅威を感ずる、不安を感ずるというような声もございまして、何とかして頂きたいという陳情が、先般来しばしば行われておる実情でございます。そこでその実情を察しまして、その関係を如何に調節すればよろしいかということをいろいろ考えました結果、なお建築士法というものがすでに過般成立いたしまして、この七月から施行されることに相成つておりますので、そのほうで本来は取上げらるべき問題だという感もいたしますが、今何しろ七月まで待てない状態にございますので、その間をかれこれ勘案いたしまして、ここに掲げてあります第十項のような規定によつて、その関係を調整しり、その関係を救済して、一時を救つて行こうというのが、この規定案趣旨でございます。即ち建築代理士に関しては、この法律施行後でも、当分の間、條例の定めるところによるものとし、その條例は、第一條第二項及び第十九條第一項但書の規定適用については、法律とみなす、條例できまつておりますことを、建築代理吉に関しては、法律とみなすというのがこの趣旨でございます。  最後の地方自治庁設置法の一部の改正は、これは全く技術的な点でございまして、実質的には殆んど意味は少いのでございますが、法律技術的にこのほうがより適当であろうと存じまして、特にこの点を附け加えた次第でございます。
  9. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 以上の衆議院法制局側及び参議院地方行政委員会事務局側の御説明に対しまして、御質問願います。
  10. 相馬助治

    相馬助治君 私は先ず第一番に、本法案提案者である衆議院議員川本君に一点尋ねてお答え願いたいところがございます。御承知のように第九国会の終末において幾つかの法案が、衆議院で通つたものが参議院では成立を見なかつたのでありますが、その中にこの行政書士法も含まれておりました。この行政書士法が通らなかつたというのは、單に時間的なために、余裕がないために通らなかつたというのではなくて、川本君自身あの委員会にお臨みになつて、我々の討議されておるところをお聞きなされたはずでありますが、党派を超えて、自由党のかたの中にも、民主党のかたの中にも、緑風会のかたの中にも、又我々も、本法案を全然我々は否決するとか何とかいうのではなくて、現実に照してもつとこれは考えて、そうして修正を施さなければならん面が多数ある、こういうふうな一致した見解であつたのでございます。ところが、この十国会の当初におきまして、例の選挙期日問題なんかの法律と一緒くたにして、衆議院はぽんぽんと元通りのものを出して来られて、従いまして口今参議院事務局から説明があつたように、これは我々はまだあずかり知らんのでありますが、委員長はこの取扱に多分苦慮しておると思う。我々は前の関係から見ますというと、第九国会提案されたものそのままが再び我々の審議に供せられるということが、先ず以て腑に落ちない。従いましてこれらにつきまして、御見解がありましたならば、改めて一つお聞かせ願つて置きたいと思うのでございます。
  11. 川本末治

    衆議院議員川本末治君) お答えをいたします。御説明極御尤もなお立場と思いまするが、私ども衆議院におきましては、この法案はもう第八国会のときにも委員会におきまして成案を見、更に本会議を通過しておるのでありまして、引続き第九国会にもそのまま衆議院のほうは本会議を済まして参りましたので、なおこの行政書士法の古い歴史をお調べ頂きまするとおわかりのことと思いまするが、これは旧憲法時代貴族院のありました時分にも、二回か三回貴族院に参りましてこれが審議未了になつておりまして、これら幾多の業者の中で、一番今のところでは弱い代書人であります。これが内務省令が廃止になりまして以来、ばらばらになつております。併し御承知のように、地方税法の中にも一項目行政書士業というものが掲げられておる。然るに何らの取締りするような法的根拠も、あるところとないところとあるような現状にありますので、一日も早くこれはこの業者を保護してやる意味におきましても、又一般大衆に対しまする、もぐり業者取締の上からいつても、大衆利益を保護する意味におきましても、速かにかような法律は作つたほうがよろしいじやないか、こういうのが私ども衆議院におきまする立法の趣旨であります。  引続いて第十国会の劈頭に、地方選挙の期日のものなんかと一緒に出して来たのはどうかというような御質問のように解釈いたしまするが、この点につきましては、参議院のほうの御便宜も考え、前国会のように僅かな日にちの間に、かようなもりのを出して参りましたために、非常に当委員会におきましても取扱の上御迷惑をおかけしたことを重々手前も存じておりますので、余りいろいろな法案の出て来ないうちに、ゆつくり御審議を頂きまするには、早くお迴し申上げて置いたほうが、私どものほうでは参議院の御都合によろしかろうと、かように思いまして、衆議院におきましては、衆議院の建前として手前どもは再三この法案については研究をいたして参りましたので、もはや衆議院におきましては他に異論はございませんので、早くこちらにお迴しを申上げたという以外には、何ら他意はございませんので御了承願いたい。
  12. 相馬助治

    相馬助治君 その辺の事情は一応わかりましたのですが、私の聞いていることは、それと同時に、提案者のものの考え方を伺つておるのです。先ずその第一点の、第十国会の当初に案を出して置けば、参議院でゆるゆると審議するのによろしかろうというお話ですけれども、これはむしろ参議院側としては、これは迷惑しております。なぜかとしますと、第十国会というものは、この議事の上からいうと、特殊で年末年始のお休みがそこに挾まつておるこれは私の知るところによりますと、二月十日までに参議院で成立をさせないと、一方的に衆議院の案ができてしまう、こういうふうに我々は了解しております。従つてあなたが十分審議して云々というならば、むしろあのとき通してはならないのであつて、昨日か一昨日あたりに通して下されば六十日間今からあるのであつて、それは私どもとしては、川本さんがその辺の事情をお知りにならないで、そういうふうに思つていらつしやるとしたならば人のいい話であつて、却つて参議院側では迷惑しているということをはつきり申して置きます。そこで貴族院時代の云々という該博なことを聞かされたが、そういうことになればなお更私たちは簡單に通せない。衆議院がぽかぽかつと通してしまつて、そうして貴族院に来てもこれが否決された。これは理由なしとしないと思う。私も今から当時の速記録を研究して明日あなたとも大いにやりますが、(笑声)それでこの前の国会もこれが通らない。私の聞きたいのは、こういういきさつにあるからして、一つ参議院側の意のあるところも参照されて、修正の御意思はなかつたかどうか。それで修正の意思はないと、それが最後案であると、こういうふうにお考えであるかどうか。この二点をお尋ねして置きたい、こういうわけであります。
  13. 川本末治

    衆議院議員川本末治君) 最初の一点、私の言葉が足りなかつたかも知れませんが、貴族院時代におきましては否決をされておつたものでありません。みんな審議未了に相成つておりまするので、終り頃に遅くに出て来て審議未了なつたというようなことを考えまするので、今の六十日云々の御意見もよく承知いたしております。併し六十日ありまする間には、自然集会があつても、このくらいの法案は、前国会にも御審議頂いておりまするし、参議院の御精励恪勤の実情から見まして、さして御迷惑をなさるほどのこともないと、かように私どもは考えて、一日も早くお廻し申上げることがよいと思つたので、ほかに他意はありません。(「了解しました」と呼ぶ者あり)それから今のこの原案を以て最後案として、修正に応ずる意思がありや否やという御質問に承わつたのでありますが……。
  14. 相馬助治

    相馬助治君 私はさような不認識に物を聞かない。あなたとしてどういう意思であろうと、我々は修正すべきものは修正いたします。修正に応ずるかどうかと聞いておるのではありません。あなたは自発的に修正の意思はなかつたかと、こういうことを聞いておる。
  15. 川本末治

    衆議院議員川本末治君) 手前どもは、この成案に対しましては修正の意思は毛頭持つておりませんことをはつきり申上げて置きます。
  16. 相馬助治

    相馬助治君 それをお聞きして置けばよろしいのです。
  17. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) ほかに御質問ございませんか。  なお私から附加えて置きますが、この修正案と申しますか、事務局案は、この第二條の点は、前国会におきまして高橋委員等から御議論のありましたそれを補足をしたわけであります。それから……。
  18. 相馬助治

    相馬助治君 話中ですが、参議院修正ですね、事務局でやつて下さつた、これは一つ正規の委員会でなくて、一度参議院側として各派とも話合いをして出すという形をとればいい。でないと、提案者のおる所で参議院自身がばらばらの意見では甚だ以てまずいことになる。是非ともそういうふうにお取計らい願います。
  19. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) これは事務局提案であつて、自由に御修正を願うように出してあるのですが、なおこれは御研究願いまして、又まとめることにいたしたいと思います。明日は土曜日、五日月曜日、あと五日間しかございません。それを御了承の上で、成るべく早い機会に各党でまとめて頂いて、本当の修正案をお出し願いたいと、こういうふうに思つております。
  20. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 川本さんにちよつとも尋ねしますが、この法案が対象としておるような人は実際全国で何人くらいあるのですか。
  21. 川本末治

    衆議院議員川本末治君) 約五万くらいあるのじやないですか、はつきりした数字はわかりません。大体そんなものです。
  22. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) ほかに御質問ございませんか。それでは行政書士法案に対する審議は今日はこの程度でとどめたいと思いますが、御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  23. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) ではさようにいたします。   —————————————
  24. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 次に法務総裁の出席を求めまして、警察法の改正問題について御質問いたしたいと思います。ちよつと速記をとめて下さい。    〔速記中止〕
  25. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 速記を始めて。それでは大橋法務総裁御出席になりましたから、大橋法務総裁の御説明を願いたいのでありますが、新聞紙上で伝えますところによりますと、政府は警察法の改正を企図せられておるということであります。新聞ではいろいろ伝えておりまして、弱小自治体警察の整備、その他内容も挙げて、政府はこの国会に間に合うように警察法の改正をやるつもりであるということが出ております。そういう事項につきまして、大橋法務総裁の御説明を願います。
  26. 大橋武夫

    ○国務大臣(大橋武夫君) 警察法の改正の問題につきましては、一昨年広島のいわゆる日鋼事件の際に、小さな自治体警察の警察上の能力という点が問題になりまして、当時から、国会におかれましてもこの点についていろいろと改正の御研究が行われつあつたと存ずるのであります。政府といたしましても、当時からその新らしい警察制度の全面的な改正という問題は、極めて緊急にして而も重要なる問題であるという考えの下に、爾来公安委員会、法務府等におきまして連絡をとりつつ研究を進めて参つたわけであります。かようにいたしまして昨年に至つたのでございまするが、なお時機が熟すに至りませんで今日に至つております。大体昨年の暮に至りまして、或る程度の考え方について、大体我々の考えというものがまとまりかかつてつております。これはまだ確定の成案というところまでは参つておりませんが、併しこれらの点につきまして多少研究も進めつつある次第でございます。でき得れば、今後手続を取り運びまして、この国会に間に合わせたいという考えを持つておるわけであります。ただこの法案内容につきましては、只今重要な部分において未決の点もあり、又なお各方面の意見をも、政府の結論を示さずして、只今問題として呈示した形で、いろいろと各方面の意見を叩いておるような状況でございまするので、これらの内容につきまして、是非この機会に御説明を申上げたい、かように存ずる次第でございまするが、今のように未決の問題でもありまするし、又未だ発表の段階に至つておらんという事情をお酌み取り頂きまして、でき得れば、秘密会等の御措置を頂きまするならば、政府といたしましては大変仕合せに存ずる次第であります。
  27. 西郷吉之助

    ○西郷吉之助君 法務総裁におかれましては、いろいろこの問題につきまして説明をするとのことであり、十分伺いたいと思いますので、必要があれば秘密会にしで頂きたいと思います。
  28. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 只今政府から秘密会の希望が出ております。西郷委員からもそういう御動議が出ておりますが、御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  29. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) それでは秘密会にいたします。議員及び関係事務局のかた以外は御退席を願います。    午後二時四十七分秘密会に移る
  30. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) これより秘密会に入ります。速記をとめて下さい。    午後二時四十八分速記中止    —————・—————    午後四時四十八分速記開始
  31. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 速記を始めて下さい。これにて秘密会を閉じます。    午後四時四十九分秘密会を終る
  32. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 本日はこれにて散会いたします。    午後四時五十分散会  出席者は左の通り。    委員長     岡本 愛祐君    理事            堀  末治君            吉川末次郎君            竹中 七郎君    委員            石村 幸作君            高橋進太郎君            安井  謙君            相馬 助治君            中田 吉雄君            西郷吉之助君            岩木 哲夫君            石川 清一君   衆議院議員            川本 末治君   国務大臣    法 務 総 裁 大橋 武夫君   政府委員    国家地方警察本    部次長     溝淵 増己君   事務局側    常任委員会專門    員       福永與一郎君   衆議院法制局側    参     事    (第一部第二課    長)      濱中雄太郎