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1951-05-26 第10回国会 参議院 地方行政・法務連合委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年五月二十六日(土曜日)    午前十一時二十五分開会   ―――――――――――――   本日の会議に付した事件警察法の一部を改正する法律案(内  閣提出・衆議院送付)   ―――――――――――――
  2. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) これより地方行政法務連合委員会を開きます。  警察法の一部を改正する法律案について質疑を行います。その前に、この前の連合委員会におきまして、羽仁君から御要求のありました資料、それが一部届いて参りましたので、それについて政府委員説明を求めます。
  3. 中川淳

    政府委員中川淳君) 前回羽仁委員から警察官教養その他に関しまする資料の御要求がありました。一応整いましたので御説明をいたしたいと思います。  お手許警察官配置に関する表を差上げてございます。これは前回加藤政府委員が御説明申上げましたのと若干数字が異なつておるところがございますが、それは加藤君の申述べましたのは昨年の十二月三十一日現在でありまして、お手許にお配りいたしましたのは本年の三月三十一日現在でありますので、その間に若干の数字の相違はあると存じまするが、最近の配置を現わしたものであります。  その次に汚職状況お尋ねであつたのであります。昨年度の警察官汚職調査がありますので、これをお手許にお配りいたしました。行政処分、即ち国家公務員法によりまして懲戒処分なつたものと、更に司法処分に相成りましたものと分けてございます。且つ涜職といたしまして、職権濫用收賄、饗応と二種類あるわけでございますが、それに分けてお示ししたわけであります。  それから拳銃に関しましてお尋ねがあつたのであります。それでお手許にお配りいたしました拳銃使用及び事故状況の表は、過般参議院の法務委員会におかれまして、国警に対しまして非常に詳細な調査要求せられまして、それに対しまして詳細なる御報告を先般いたしたのでありまするが、大部分はそれから抜きましておわかり易いようにお示しいたしたものでありまして又内容につきましてはお尋ねがありました際に御説明を申上げたいと存じます。ただその際のお尋ねに、警察官拳銃を射つべきときに射たなかつた件数を言えというお尋ねがあつたのでありまするが、さようなことにつきましては、只今こちらには調査を持つておりません。それは私どもといたしましては、拳銃使用いたしますのは、何分にも相手に危害を與えることを覚悟いたさなければならない事態でありますので、成るべく拳銃使用いたしませんで、逮捕術等によりまして逮捕目的を達成することを奬励いたしておりますので、どの場合が逮捕術で及ばず拳銃使用すべき場合であつたかというようなことにつきましては、これはその一人々々について見なければなかなか判断も付きかねると存じまするし、又そういうことの一々報告もございませんので、若しこれを調査したしまするとすれば、各警察官につきまして、過去の職務執行の記憶を喚起いたしまして作られねばなりませんので、お尋ねにぴつたりと副うような統計が近いうちにできるということはちよつと考えにくいのであります。この点につきまして、又羽仁委員のほうで調査内容につきまして御希望でもありましたら、承わりまして考えたいと思います。  それからそれに関連をいたしまして私どもといたしまして拳銃使用を非常に制限いたしておるということをこの表からお酌取り頂きたいのは、この表の「その他」という欄に、例えば昭和二十三年、一〇六、昭和二十四年一三二という数字がございますが、これが実は威嚇射撃という言葉で使われておつた拳銃使用法であります。これは威嚇のために本人が危害を與える意思なくして行いました拳銃使用でありまするが、非常に実際は人に怪我をさせる場合がある。又とかく濫用をされる口実になりますので、国家地方警察といたしましては、原則といたしまして威嚇射撃を禁じておるのであります。その数字がここに現われて参つております。この辺をこの数字によりまして国警拳銃使用につきまして如何なる方針をとつておるかということを御覧を頂きたいと存ずるのであります。  それから交通巡査拳銃使用せる事例がありやというお尋ねがあつたのでありまするが、交通專従警察官国警におきまして拳銃交通取締の最中に使用したという事例はございません。これは国警といたしましては、第一交通專従警察官と申しますものが極く少ない。それにも関係いたしますが、これはございません。併し自治体警察におきましては、例えば警視庁等の実例を街頭御覧になるごとく、常時拳銃携帶いたしまして、そうして交通取締をやつておるのであります。これが実際に交通取締專従しながら拳銃使用した場合があるかどうかということにつきましては、私ども自治体につきまして今日統計資料等を持たないのでありまするが、自治体警察等におきまして、国警におきましても同様でありまするが、そうしたふだん直接拳銃使用することが予想されないような勤務に就いております場合におきましても、拳銃を常時携帶さしておりますと申しますのは、警察官はいつ如何なるときに如何なる事故に遭遇するかわからない。殊に交通警察官のごとく目立つ所に立つておりますれば、その近所で殺人とか、強盗とか、喧嘩とかありますれば、すぐお巡りさんと言つて呼ばれますので、そのときには直ちに飛んで参りまして職務執行をしなければならないので、やはり警察官は常時携帶しなければならないということに相成つておるのであります。なお外国におきまする例を聞きますれば、交通專従警察官は逃げる自動車追跡、その他指名を受けました指名自動車追跡等の場合に拳銃使用することが多いことを聞いておるのであります。  それから警察官勤務時間外に拳銃自宅に持ち帰りまして、そうして使用した事例件数お尋ねがあつたのでありまするが、これも現在のところお尋ね趣旨通り調査統計を私どもつておりません。ただ国警といたしましては、どうしても勤務の大部分駐在所勤務でございまして、これは自宅勤務場所でありまするので、これに常時拳銃がありまするのはこれは当然のことであります。又一般の署の警察官等も今日勤務時間外の時には自宅拳銃を持ち帰ることにいたしておりまするが、その趣旨は、事故等が発生いたしました場合に非常召集を受けまして直ちに現場に行く、これがまあ警察官の日常しよつ中あることでありまするが、その際に署まで行かなければ拳銃がないというようなことでは間に合ないので、必ず警察官のある所拳銃があるようにいたさなければならんというので、常時携帶ということに相成つておるのであります。  それから警察官教養に関連いたしまして、文学警察学校教養において如何なる取扱を受けておるかというお尋ねにつきましては、文学科外におきまして文学者の話などを聞きまして文学的な教養の向上に努めでおります。  それから教養効果測定に関しましてお尋ねがあつて、何か数学的に出ているものがないかというお尋ねがありました。これにつきまして、羽仁委員の御質問の極めて私どもにとりまして御示唆の多いことを感じたのでありますが、私どももかような教養をやつておりまして、教養効果反省につきましては常々反省努力をいたしておるのでありまするが、誠に遺憾でありまするが、私ども反省数字的に今日申上げるような十分な資料を持たない。ただ内部的に反省をするにつきましては、できるだけいたしておるのでありまして、手許に例えば札幌の警察管区本部で「管区学校本科第二次教養による実務への効果の観察」と称しましてこんなパンフレツトなどを作りまして、詳細に内部反省をいたしております。これはその巡査巡査部長監督者たちに各種の項目を照会いたしまして、そうして非常によくなつた、少しよくなつた、よくならん、或いはちつとも改善の跡がないというふうにA、B、C等に分けまして、調査回答を求めて調査いたしたものであります。又お手許にありますのは山形県でやりました報告でありますが、こんなようにグラフにいたしまして、法規関係をどのくらい覚えて来たかとか、或いは先だつてお話があつたのに当ると思いますが、公僕観念がどのくらい徹底して来たか、或いは実務についてどのくらい習熟したかということなどをやはり監督者につきまして照会をいたしまして、その結果をとり、そうして次回の教養反省資料にいたしております。これら各府県管区等でやりました教養効果調査の結果は大体平均いたしておりまするが、まあよくなつたというのが半分、それから非常によくなつたというのが残りの……全体を六といたしますと、よくなつたというのが三、非常によくなつたというのが二、それから余り変らない大して変らないというのが一と、そんなふうに平均いたしておるように見受けられるのであります。申上げましたように、これは部内の監督者意見によつて反省であります。外部の面に対しまして教養効果測定等を今まで数字的に実施いたした事例を持ちません。これは先だつての御質問中に我々も幾多の示唆を得たのでありますが、今後は新らしい科学的な方法によりまして、又外部人たちの率直ないろいろの意見を聞きまして、更に教養効果の挙りますように努めて参りたいと存じております。  それから最後に警察官読書傾向お尋ねがありました。これもお手元にお配りしましたような資料がありましたのでお目にかける次第であります。以上であります。
  4. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 次に大橋法務総裁から、鬼丸委員より御質問がありました軍隊定義について御答弁を願つておきます。
  5. 大橋武夫

    ○国務大臣(大橋武夫君) 先般鬼丸委員に対しまして答弁を保留いたしてありました軍隊定義につきまして、御答弁いたします。政府といたしましては、国際法上はつきりした規定はございませんが、通常外国に対しまして、国家の独立と権威を維持する目的に役立ちますような武力の装備を施して、且つその目的のために訓練されました一定の編成と組織とを持つた部隊であるところの国の機関を軍隊と言うことができるであろう、かように存ずる次第であります。
  6. 羽仁五郎

    羽仁五郎君 前回の私の質疑が残つておりましたのに対して、特に地方行政委員会委員各位、並びに委員長が、この際私の質問の次回への続行を許されたことは非常に感謝することであります。そして前回において私に與えられた時間は二時間であります。然るに本日これをお待ちしております間に、政府委員のかたがたの御出席が誠に遅れている。これでは重大なこの法案についての審議の促進ということについての責任政府のほうにあると言わなければならないと思うのであります。前回伺いましたことは、前回にも申上げましたように、いずれも国民が是非知りたいというふうに考えていることであります。今も政府委員の御説明にもありましたように、内部からばかりお考えにならないで、どうか国民のほうからどういうふうに見、どういうふうに希望しているかということについてお答えを願いたいと思います。  前回私の伺いたかつたことは、約八項目つたのですが、その中の六項目まで伺つて来たのでありますが、もう一遍御希望申しますが、資料が来ておりませんので、その点について伺つておきます。  第一に、この警察の増強だけによつて社会の安全というものを図ることができない。やはり国民が人間として生きるにふさわしい生活をなすということについてのできる限りの努力をしなければならぬ。この点についてどういうふうにお考えでありますか、どういうふうな資料を持つてども判断の材料になさるかということを伺つたのですが、何にも資料が参つておりません。それでもう一遍重ねてお願いをいたしますが、大体近代行政においてそれぞれの行政の事柄に関係してどれくらいの予算バランスの上で必要であるかということは、近代政治家としての法務総裁も勿論十分御承知のことだろうと思います。そして例えば社会保障制度に対する予算が国の予算の何%、警察に関する予算がその何%、そのパーセンテージがどのくらいのバランスをとるのが近代国家として必要であるか、どれくらい以上のバランスを破ればそれは危險であるということは、近代の科学的な行政の常識だろうと思います。少くともこの程度のことをお示しを願いたいというふうに思うのであります。  第二、教育教養素質の点についてでありますが、只今政府委員のほうから御説明かありましたが、非常に御苦心になつてお作りなつ資料であろうと思つて拝見いたしておりますが、残念ながら納得することが全くできないのであります。御承知でもありましようが、近代一般行政については特に人事院が創設され、そうして人事院において一般官吏素質或いはその能力というものについては極めて近代的な調査が行われている。御承知のようにマルチプライ・チヨイスというような方法によつてその冨のさまざまな能力素質や又その教育程度というものがわかるようになつている。例えば警察官の場合にもそういう方法が私は当然とられているものと思います。然るにこれをそういう資料が出ておりません。マルチプライ・チヨイス方法警察官がこういうような場合に遭遇したとき、次の三つの場合、どれをとることが正しいかというような質問を百乃至二百與えることによつて、その警察官がこの民主警察の本質というものをどの程度身に付けておるかということは科学的に想定できます。私は個人的のことを申上げるのは甚だ恐縮でありますが、こういうことがどの程度までなされておるのか、私の個人の経験から甚だ疑わざるを得ない場合があるのであります。それで先ほど、今日は警視総監は御出席になつておられませんが、私が戰争中に警視庁に留置されておりました。その際に町村金五君が警視総監をやつておられまして、私が警視庁に留置されておつたこと自体についても問題がありますけれども、併しそれはさて置くとして、警視庁地下二階の地下室に約数カ月留置されておりましたが、その間警視総監が一回も留置場視察に来られたことはないのであります。これは私自身が最もよく知つておるのであります。私が呼び出されて調べられておる間に視察に来られたかも知れませんけれども、聞いて見たらそういうことはないということであります。警察留置場を置いてあるということについては勿論これは法律が許すところであります。それに問題はありませんが、併しいやしくも人の自由を束縛するものである、従つて若し過重に人の自由を束縛するということがあつたならば、これは重大な問題である。従つてその警視総監なり警察の署長なりというものが絶えず留置場において人の自由が過重に蹂躙されておることがあつてはならない、ありはしないか、完全にないかということについては重大な関心事であるはずだと私は了解しておるのであります。法務総裁以下の政府委員はどういうふうに御了解になつておるのか、又現在はそういうことはどういうふうにしてなされておるものであるか、端的に実はここで例えば田中警視総監は毎月何回ぐらい御視察になつておるかということを聞いても現在警察においてどれだけ基本的人権が尊重されているかということのテストになると思うのでありますが、残念ながら今お見えになつておりません。それから警察官教育についてはいろいろなものを以て十分の知識を得られておると思うのでありますが、例えばこの前申上げましたような点について警察官教育については現在国家が或いは国立大学というものを以て教育の理論及びその実践について十分の研究もされておるので、そういう方面には近代教育、科学の進歩というものの見るべきものがございます。そういうものをどの程度まで意見をお聞きになつておるのか、それから又この前申上げた警察官基本的人権をどの程度まで倉重されておるか、或いは警察官街頭において少女が夕刊を売つておる、その夕刊を如何なる理由にしろ商売ものを無料で取つて行くということが果してあるかないか、又それが一般国民に與える印象がどういうものであるか、又我々がバスなり電車なりで通つております際に、先ず警視庁の警官が都営バスなり、都営電車なりに、何らかの関係を以て無賃で乗車しておられるということは或いは了解し得るかも知れませんが、私の私立の会社の経営しておる電車なりバスなりに無賃で乗車しておるというようなことは非常に始終見受けることです。これは一体どういうことなんですか、これは又国民に與える影響というものはどうであるか。こういう問題についてこれは或いはこの前にも質問したような汚職或いはそれらの無賃無銭飲食、その他のこういう行為について、齋藤国警長官自分が就任して以来、汚職事件はないとお答えになりましたが、今日お出しなつ資料を見れば、ないのではない、歴然としてある。警視総監はそういうものは絶対ないとは言わないが、多数の中には心得違いも多少あるという程度お答えでありましたが、これらは或いは專門国立大学の、そういう調査について近代の技術を持つておる專門人々もおりますから、そういう人々委嘱をして調査をしてもらうということもできるのであります。内部だけで御反省になつているのじやなく、外部から客観的な調査をされることは十分できることですから、私はそういうことがなされていいものと思います。東大の社会学に御委嘱になることもよかろうし、或いはその他のいろいろな專門家に委嘱してそういう問題について外からの調査を求め、それによつて客観的な反省をなされ、又我々に向つて客観的な基礎をお示し下されば、我々は喜んで安心してこの法律案に賛成し、或いは断乎として反対するということができるのであります。そういう点についての資料を期待したのでありますけれども、全然お出しになつておりません。これは是非お出しになつて頂きたいというふうに思うのであります。  それから第三に、配置の問題でありますけれども、この配置の問題についてお出しなつ資料も、いわゆる国民が知りたいと思つている配置に関しては何ら知ることがどうもできません。実際もつと国民の気持になつて警察官は主として主力をどういう点に注いでいるのかということがわかるような資料出して頂きたいというふうに思うのです。これはなぜかと申しますと、殊に新聞紙上などで見ますと、警察官が残念ながら今日かなり政治的な場合に非常に動員されておる。実際のそれだけの実害があるものか、危險があるのか、ちよつと想像に苦しむようなところに随分多数の警察官が動員せられておる。他面国民生活の安寧を守る方面には甚だ手薄であるということを私どもはしばしば国民の中から聞くのであります。そういう意味配置表というものを作つて頂きたいというふうに思つたのであります。  それからその次に拳銃の問題でありますが、只今説明を伺いましたが、依然として納得できないのであります。で、これは法務総裁に改めて伺つておきたいと思いますが、拳銃兇器であるというふうに私は解釈しておりますが、法務総裁拳銃兇器であるというふうにお考えになつておるかどうか。まあ兇器という言葉意味ですね、それはやはり人の生命を絶ち、或いは人に危害を與えるものだ、例えば今軍隊の御説明がありましたが、軍隊外国へ向つてのものであるというようなお考え方では困るのじやないかと思うのです。つまり武力というものは外国に対してだけでなく、国内の国民に対して與えるところの威力というものがあります。これがバランスを失すると、国民人権というものは守られることができない。この警察官職権濫用などがあればということの……警察官には或いは逮捕とか、或いは調査とかそういう権限が與えてある。これが国民にとつて警察官がそれを行使する根拠があつて行使をしているのでない場合でも、にこにこ笑つてそばに近付かれた場合でも、国民としてはこの人は或いは逮捕し、或いは調査する権限を持つているのである。これを国会責任を持つてそれを與えてある。併しそういうものが過剰に発揮されると国民人権が危うくされる。それに対しては国会としてはこれを厳重に監視して、そういう過剰な武力、過剰な威力というものが国民に及ぶということは飽くまで避けねばならない。それが現在この議題となつている警察法の改正についても我々がこれに賛成するか反対するかの基礎とならなければならないと思うのです。従いまして、この拳銃というような人の生命を絶ち、或いは危害を與える、即ち兇器白書兇器携帶して行くということについては、国会としては御承知のように警察官職務執行法なり何なりが討議されましたときに、かなり有力なる反対意見があり、本会議においてもこの有力なる反対意見が開陳せられた。法務総裁も十分それをお聞きになつたことと思うのです。反対意見だからといつてこれを無視されるということは……、近代のパーリアメンタリズムから言つても尊重さるべきものである。少数の意見の中にも聞くべきものがある。それは多数によつて可決せられた法律を施行されるときにも十分尊重されることだろうと思います。これらを裏付けるためには拳銃使用が適正に行われておるということの調査をやらなければならないと思うのであります。先ほどの御答弁では、そういうものがあり得ないように、考えられないようにとられましたが、これはどうも納得することができません。そうして今申上げたような兇器携帶しておるのだからということが意識に強くおありになれば、これが国民に與える影響、即ち国民がそれから受取るところの圧迫、即ち国民の自由或いは人権というものに対するそれだけの圧迫があるのですから、必要のないところにこれを示すということはしないということに飽くまで努力なさらなければならない。私の知つておる事実、占領後間もなくですが、日本の或る地方労働組合会議室に━━━が臨まれ、そうして自分の腰から拳銃を抜いてそれをテーブルの上に置いたということに対して、組合側からはこれは不当なる威嚇であるというふうに訴えられた。これが調査をせられた結果、これは如何にも不当なる威嚇であつたというふうにいつて責任がとられたことがあります。拳銃をとつてテーブルの上に置くということはすでにそれだけで威嚇であり、それだけで威力である、国民の自由と人権に対する圧迫である。併しそれを抜がないまでも差しておるということだけであつても、これは国民の自由と人権に対する圧迫ですから、この圧迫が必要な限りは国会責任を持つて国民の前に必要なんだということは言えます。それが必要ありやなきやという資料がなくては我々は責任を持つて国民の前に我々の責任を全うすることはできない。ですからこれは事実必要である……、この前も申上げたように、国全体として存置を許される必要にして最小限度武力というものがある、今日はそれが警察予備隊などによつて相当充実しておる。従つて警察予備隊の存在しなかつた当時の警察官武器携帶という問題は改めて検討される必要があると我々は思うのですが、依然としてないとお考えになるかどうか。今申上げたような点から、特に交通警察官なり或いは一般警察官でも今おつしやつたように、こういう必要があるかも知れないから常時携帶しておるのだというお考えは、依然として新憲法以前の官僚主義のお考えがあるのじやないかということを非常に恐れます。昔は警察官なり何なり官吏職務執行に熱心であれば少しは国民の自由や人権を侵しても許されるというお考えがあつた。今日はそういうことはまさかお考えになつてはいないと弔う。職務執行の熱心の余りだから了承してもらいたいというようなことは昔はあつたが今日はない。どういう理由があるか、どういう必要があるかもわからないから常時携帶しておるのだいうことは、近代警察或いは行政についての観念の上からは承知するこのできないことだと思う。これこれ具体的な必要があるから、そうして交通巡査武器携帶し又警察官が常時これを携帶しておる。先ほど外国の例をお引きになりましたが、警察官職務執行法にはお引きなつ外国の例のようなものはどこに認めてあるのであるか。恐らく認めてないのじやないかと思います。そういう点についてもう少し高邁なる識見を伺わないと安心してこの法案の審議に当ることができないというふうに考える。以上のようないろいろな警察官素質が非常に低いということが恐れられる。そうしてその素質が非常に低いだけでなくて、今朝の読売新聞で見ますと、私も非常に構いたのですが、警察官諸君の中に結核にかかつておるかたが甚だ多いらしい。「警視庁全管下警官の二・三三%の六百二十名だという。六百二十名というと国警神奈川全体に匹敵する。大きな警察の三カ署ぐらいは新設できる数である。これは容易なことではない。警官といえば薄給という言葉が連想される世の中であつてみれば、”結核警官”の療養設備をまず考えねばなるまい。二百名を收容する警察病院と年一回の健康診断だけが設備の全部だとあつてはそれこそ二階から目薬というものである。」というふうになつている。そうして最後に「十分に安眠のできる宿舎の設備がほしい。睡眠不足の、栄養不良の、神経衰弱気味の警官などはわたくしたちにとつては困る。男の、警官のヒステリイ症状ほどわたしたち良民を悩ませ、苦しめるものはないからである。」と書いてあります。こういうように警察官の心理状態の異状であるということさえも国民に対して非常な苦しみと悩みとを與る。況んや拳銃を吊げていることが国民の自由と人権とに対するどれほどの圧力であるかということは十分に考えて頂かなければならない。従つてそれほどの職権を持つて活動されておる警察官教養、又その素質、又その健康というものについて十分の御配慮なくして、單に増員だけをせられるということになりますと、素質の悪い非常に不健康な、そうして国民を悩まし苦しませるところの警官が殖えて行くということになる。これは我々として賛成することはできないのです。どうかそうでないという証拠を御示しを願いたいのであります。  それから最後にこの前に、グレンタイン氏の意見とも関連しまして、警察の対象とする犯罪は地方的なものである。全国的な問題冬警察が取扱うというふうになつて行くと警察国家危險が非常に大きくなつて来る。この点についてはつきりした御答弁を得られなかつたので、これを法務総裁からも伺つて置きたいと思うのであります。そうしてどこまで警察力というものによつて解決するか、どこから先は政治によつてでなければ解決できないかという、この限界があると思う。それについての法務総裁の御所見をお示しを願つて置きたいと思います。  それからこれらと関連しまして、ときどき新聞などで拝見してまさかそういう事実があるのじやないと思いますが、警察国民に向つて密告を奬励され、そうしてその密告に対して賞金などを與えられるというようなことが新聞に報道されていることがございます。こういうことについてはその責任者はどういうふうにお考えになつているのか、極く最近の私が今見ておりました英国の新聞のニユーステイツマン・アンド・ネイシヨンの中にこういう文句があります。エブリワン・ヘイツ・ザ・ペイド・インフオーマー、何人も金をもらつて密告をするような人間を憎悪するという言葉がここに出ている。果して法務総裁なり現在の警察のかたがたは金をもらつて密告するような人間を憎悪するという国際的な常識の上に立たれるか、密告をする人は大変結構だ、それに賞金を與えるというようなお考えの下に立つておられるのか、これも我が警察制度の民主化の制度の上に沿うているのか沿うていないのかということを判断をする上に必要であると思うので、お答えを願いたいと思います。一応私の只今までの御質問お答えを願つで、続けて質問をさせて頂きたいと思います。
  7. 大橋武夫

    ○国務大臣(大橋武夫君) 社会保障の問題につきまして、先般御質問を頂いておつたのでありますが、この問題につきましては私所管でありませんので、本日は特にその所管の政府委員が参つておりますので、後ほど最近の社会保障の状況についてお答え申上げることにいたします。  それから警察におきまする諸般の調査につきまして、適切な指導的な御意見を承りまして拝聽いたした次第でありますが、各種の近代的な調査法を利用いたしまして、警察制度につきましてもいろいろな調案進めて行くということは、これは特に警察の現状を的確に科学的に又客観的に把握いたしまして、その現在の実情に基いた将来の対策を客観的に論定いたす点から行きまして、非常に必要なことであります。この点は全く御同感申上げる次第でございますが、不幸にして警察の今までの実情というものは、最近の近代的な調査方法を十分に活用するという程度まで行つておらないのが事実でありまして、この点は極めて遺憾に存ずる次第でございますが、併し、誠に傾聽すべき御意見を伺つた次第でありまして、この点はよく公安委員の諸君にも申し伝えまして、今後できるだけ速かにさような科学的な調査を十分に完全に実行いたしますように努力いたしてもらうようにいたしたい、かように存じておる次第でございます。  それから又警察官教育につきまして、近代におきます教育学の各種の理論なり、或いは原則なり、こういうものを教育の上におきまして活用して行かなければならない、この点も誠に御尤ものことでございまして、従来におきましても、警察におきましては教養に際しまして各種の常識的な数養をもいたしておるのでございますが、併しこの教養のやり方というものは終戰後相当改善が加えられておることは申すまでもございませんが、併し、近代的な教育といたしましてなおいろいろと考究すべき点も多々あるものと存じますので、その点も公安委員の諸君に十分な御研鑚を願うことにいたしたい、かように存ずる次第であります。  それから拳銃携帶につきまして、拳銃兇器であるというお話でございますが、この点は兇器として使用される場合が十分に想像できるわけでございますし、又この拳銃携帶はそのことが国民に対しまして一つの警察威力を簡明直截に示すものでございますから、不必要な場合におきまして、かような威力のあるものを、絶えず携帶しておることが必要であるかどうか、この点は十分に研究に値する事柄であると存じます。勿論終戰後相当経つて参りましたし、又各種の治安維持に関する機関も備つて参りましたので、果してすべての警察官が現在のようにあらゆる勤務において必ず拳銃携帶する必要があるかどうか、この点は確かに研究すべき事柄であるとかように存じますので、この点につきましても、公安委員会におきまして急速に適切な研究をお願いいたしたいと存ずる次第でございます。  それから増員の問題に関しまして、増員をただするだけでは素質において或いは何ら従来と変りのないというようなものが殖えるだけでは無意味ではないかという御意見でありますが、この点につきましては全く同感でございまして、今回五千人以内の増員を認めましたる趣旨も、特に現在におきまして警察官の再教育をいたしておりまするが、この再教育をいたしまする間、本来の職場がそのままに補充されておらない、こういう事情に相成つておるのでございまして、これがために再教育をいたす場合におきましても、再教育のために学校へ入るということが警察力の一部をそれだけ殺ぐ、力を殺ぐということにもなりまするし、又そのことが他の一般警察官にそれだけ過重の負担をなさしめる、こういうことにもなるわけでございまして、その結果教養も十分に行かない、又他面他の警察官におきましては、その期間内は過重の勤務のために衛生上、精神上いろいろな負担が多いというような弊害があるわけでございまして、この点を救済いたしたいというのが、今回の改正案におきまして五千人以内の増員を企図いたしましたる主たる動機と相成つておるのでございますから、これによりまして教育の面におきましても、又警察官諸君の衛生等の面におきましても、十分な効果を期待し得るであろう、かように存じておる次第でございます。  それから警察の任務は地方的な犯罪に限るのではないかという御趣旨でございましたが、警察といたしましては、今日の建前上あらゆる犯罪に亘りまして捜査並びに犯人の逮捕ということを責務といたしておるのでございます。併しながらこのことはおのずから警察の性格なり、又能力なり、又その存在いたしておりまする場所的の関係、そういつた面から或る程度の社会的な又質的な傾向といたしまして、或る種の犯罪に重点がおかれるというようなことはあり得ると存じますが、併し法制の建前といたしましてはあらゆる犯罪につきまして、警察というものはこれが取締並びに捜査という任に当るということになつておると存ずるのであります。  それから警察力と政治の限界について何か考えがないか、こういう御質問でございますが、治安の問題につきましては、申すまでもなく政治の運行ということが重大なる関係を持つことは申すまでもないのであります。と申しますのは治安は犯罪によつて覺乱されるのでございますが、犯罪というものは一つの社会的な現象であり、そうしてこのことは背後に道徳的な、又経済的な、社会的ないろいろな要素が結果いたしまして犯罪の発生となるわけでありまして、これらの道徳的、社会的、経済的各種の要素について重要な影響力を及ぼすという要素といたしまして、政治的な力というものは実際今日看過することのできないものがあるわけでございますから、この面におきまして政治というものがやはり治安に重大なる関係を持つておるということは申すまでもないことと存ずるのでありまして、政治よろしきを得ないという場合におきましては、如何に警察を充実いたしましても、これによつて治安の万全を期するということは到底不可能である、かように存ずる次第でございます。このことは過去の歴史の上におきましても、政治が乱れ或いは道徳が乱れました場合において、單なる法の力によつてのみ治安を維持することはできなかつたという過去のいろいろな歴史を回想いたしましても、当然に考えられることでございまして、この点は政府といたしましても、常に政治の実態というものが治安に影響あるという観点において反省する必要があると心得なければならんと存ずる次第であります。  それから最後に警察の捜査或いは犯人の逮捕等に当りまして、密告を奬励しておるのではないかという御質議がございましたが、この点は十分に実情を私承知いたしておるわけではございませんが、特に密告を奬励する、或いは密告に対しまして特別の賞金を與えるというようなことは警察としてやつていないであろう、こう存ずる次第でございます。  以上を以ちまして、一通りお答えいたしました。  先ほどお許しをお願いいたしております社会保障の問題につきまして、政府委員からお聞きとりを願えたら幸せと存じます。
  8. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) それでは総理府社会保障制度審議会事務局長小島徳雄君にお願いします。
  9. 小島徳雄

    説明員(小島徳雄君) 只今社会保障の政府予算の問題につきましての御質議がございました。それに関連いたしましてお答え申上げたいと思います。  御承知の通り政府におきましては、社会保障の整備の問題につきましては、かねてから十分なる努力をなして参つたのでございますが、殊に二十六年度予算におきましては、二十五年度予算におきまするより約百数十億円予算の増額を計上いたしまして、ますます社会保障の整備につきまして各段の予算面におきましての努力をいたしておるのでございます。これを数字的に申上げますと、大体社会保障の内容如何、という問題はいろいろ定義によりまして解釈も多少違うのでありまするが、大体二十五年度におきまして、社会保障として計上されましたところの予算が三百九十三億程度ございますが、昭和二十六年度の予算の計上におきましては、四百九十六億程度を計上するというようなことになつております。丁度昨年十月におきまして、御承知の通り社会保障制度審議会が政府に対しまして社会保障制度に対する勧告をなしたわけであります。政府はこれらの勧告が丁度予算編成時期の大体あとになされました関係上、いろいろな点におきまして、十二分には必ずしも審議会の勧告の案をそのまま予算面においては計上されておりません。そういうこともございますが、併しながらこの社会保障におきまして、現下の日本におきまして、最も我が国の予算面上において少なかつた面につきましては、二十六年度におきまして相当の重点的な予算を計上するということで、殊に日本におきまする現状におきましては、結核という問題につきましては、相当重要なる問題として社会保障として考えなければならんということで相当の予算の増額を計上いたしておるのであります。且つ又社会保障として現在最も我が国の典型的な形体をなしております生活保護につきましては、従来相当この面においてすでに二十五年度において国費として百六十三億、府県市町村がこれに対しまして一割ずつを負担しております関係上、約二百億程度予算を国及び地方で負担しておるのであります。更に政府におきましては、二十六年度においてその額を国庫負担二百十三億計上いたして、これを府県、市町村合せまして更に二百六十億程度になるということで、相当の額を計上いたしまして、国民の最低生活国家保障ということにつきまして最大の努力をいたしておるような次第であります。従いましてこの面におきまして、生活保護法のいわゆる生活保護費の單価基準を更に増額するというようなことを二十六年度においては考えて、かような増額をいたしておるのであります。その他先ほど申上げましたような結核の問題、医療の問題、公衆衛生全般の問題につきまして、相当の額の増額をいたしまして、国民の医療方面におきまする医療費の負担軽減という問題につきましても、相当の考慮をいたしております。又社会保險の面におきましても、従来国民健康保險或いは政府健康保險というような問題につきましての事務費を相当額国庫負担をするというようなことで増額をいたしております。更に失業保險につきましては、今日の失業状況を勘案いたしまして、それぞれ必要な予算を計上するというような、今日の日本の財政が許す限度におきまして、相当この面につきましては重点的に予算を計上いたしまして、国民の最低生活の保障、憲法に規定する人権を保障するところの最低生活の保障ということにつきましては、できる限りの予算を計上いたしまして、そういう方面につきましての努力をいたしておるのであります。将来におきましては、更に御承知の通り政府内におきましてはこの問題は非常に大きな問題であり、非常に将来の財政経済の問題と関連する問題でもあり、関係者も非常に各省に亘つておる関係でございまして、関係閣僚の懇談会というものが政府内に設けられまして、関係閣僚の懇談会がいろいろ研究いたしまして、将来の社会保障の点につきましても目下慎重に研究いたしまして、更にその対策について十二分の効果を挙げるよう研究したい、こういうふうに考えております。
  10. 羽仁五郎

    羽仁五郎君 只今社会保障制度関係についでの政府説明員のかたに続いてちよつと伺つておきたいと思うのですが、只今の御説明は、社会保障制度審議会の事務局長としてですか。
  11. 小島徳雄

    説明員(小島徳雄君) 只今事務局長というのは間違いでありまして、社会保障制度審議連絡室長としてお答え申上げたいのであります。内閣官房審議連絡室長としてお答え申上げました。
  12. 羽仁五郎

    羽仁五郎君 社会保障制度審議会の意見をお聞きになつて説明になつたのでしようか。そうでありませんでしようか。
  13. 小島徳雄

    説明員(小島徳雄君) 私がたまたま社会保障制度審議会の事務局長と、それから内閣に設けられました社会保障閣僚懇談会の審議連絡室長を兼務いたしております関係上、いろいろ両方の面につきまして一応よく知つておる関係上、今の立場といたしましては、政府の審議連絡室長の立場におきましてお答え申上げました。審議会の関係につきましても、いろいろ十二分に尊重いたしまして……。
  14. 羽仁五郎

    羽仁五郎君 特に今伺いたいと思つたのは、近代行政の上において、警察費と社会保障費というものとがどれくらいのパーセンテージを以て健全なバランスをなすかということについての判断を得たいと思つて伺つたのであります。それが第一。  それから第二には、できるだけのことをやつておるというような御答弁でありましたが、国会委員会は座談会ではありませんし、その予算がどんなのか、十分であるか、十分でないのか、そのバランスが健全なりや不健全なりやということを我々が知識を持たなければ、この法律案に賛成することはできないのであります。できるだけの努力をしてもらつておるというようなことでなく、その社会保障制度審議会の答申ではこういうふうになつておる、それから政府としてその方面を担当されるかたとしてはこれだけの予算が必要であるというように考えでおる、その何%が現在実行されておるという、これらの点が伺いたかつたのが第二なんです。  それから第三は、只今挙げられた数字を拝見しますと、物価などの値上り、それから社会的ないろいろな事情というものに対してこれをあなたはこれで十分なりというふうにお考えになつているとは思えないのであります。或いはこれで勿論十分ということについてもなんですけれども、私は別に意地の悪い質問をする意味じやないので、まあ大体これくらいあれば何とかやつて行けるというふうにお考えになつているか、甚だ不満であるというようにお考えになつているか、その点伺うことができなかつたように思うのですが、この三つの点について……。
  15. 小島徳雄

    説明員(小島徳雄君) 只今の御質問に対してお答え申上げたいと思います。社会保障制度審議会が昨年勧告いたしましたときには、将来の日本の社会保障といたしまして相当の額を国庫予算に計上するということで、約五百億の予算というものを勧告いたしておることは御承知の通りであります。その当時の勧告におきまして最も重点的に考えられました点は、御承知の通り現在の社会保障の体系としましては、いわゆる生活保護による国家扶助の体系と、社会保險の方法による生活保障の二つの体系があります。そしてその問題におきまして、各国それぞれやり方が違うのでありますが、日本におきまする現在までの社会保障のやり方は、終戰後におきます各種の、殊にインフレというような経済的な非常な破綻の時代におきまする関係でございました関係上、当然いわゆる社会保險のような一部の長期保險にによる生活保障というのが困難であるということで、生活保護法によるいわゆる最低生活の保障というものが予算面におきましても重点的に行われたことは当然であります。ところが勧告が昨年出された当時におきましては、ようやくインフレというものが或る程度国内経済も安定して来たというような考え方もございまして、いわゆる社会保險による長期保險というものも考えましたところの、国民全般を対象とする最低生活の保障ということも考えたのでありますが、その際におきまして、一番多くの費用を要する問題として考えられたものがいわゆる現在の健康保險とか国民健康保險を中心として行われたところのいわゆる疾病保險に対する国庫の負担というものを相当増額すべきであるという考え方が勧告の線で出ております。その勧告の関係が非常に額が多くなつておるのであります。ところがこの勧告は御承知の通り昨年の十月の十六日に出されたのでありまして、政府予算の大体の編成の見込が終つた後に出された関係もございまして、大体審議会の勧告といたしましては、二十六年度の予算においては、政府としましては、勧告が間に合わなかつたということがその一つの大きな原因であると思います。又もう一つは、いろいろ勧告当時の事情、それから財政経済の考え方、予算国家全般の経済の問題等につきまして、それぞれの考え方もございましようし、一応政府といたしましては、できる限り勧告の趣旨を尊重してやるということで、更にこの勧告の問題につきましては予算編成後におきまして、只今申上げましたように関係閣僚懇談会というものが設けられまして、関係各省が寄りまして、いろいろ今後における社会保障の問題につきまして研究されておるわけでありまして、この問題は非常に大きな日本の、先ほど申上げましたように大きな経済問題、社会問題でもございますし、従いまして殊にそれが長期保險のような問題になりますると、インフレの時代におきましては非常に危險であるというような問題もございます。愼重に考慮しなければならんというようなことで、差当りは只今申上げましたように現在の予算の許す程度におきまして、できる限り結核の問題に重点を置きまして二十六年度予算というものが編成された、こういうことになつております。従いまして、勧告の予算と、政府が実際に二十六年度に編成されました予算というものは非常な食い違いがあるのでありますが、それは実は一つは時期の関係もございましようし、考え方の多少の相違もございましようし、そういう点におきまして、いろいろ愼重になお研究されておる問題でございます。今後ともやはりこの問題は慎重に研究したいと、こういうふうに考える次第であります。
  16. 羽仁五郎

    羽仁五郎君 只今お答えではどうも一向に私の伺いたいと思つたことがはつきりしないのですが、殊に予算編成に間に合わなかつたというようなことを言つておられるけれども、その予算の編成は結局又国会がするのであつて、その国会の討議に間に合わなかつたということは今のお示しの年月日から考えてみて考え得られないことでもありますし、それから若し仮にそうであつたとするならば、次の年度においてどういうふうな、少くともこういう態度を持つているということがあるべきはずだろうと思いますが、繰返して申上げているように、これはもう只今政府説明員にはこれ以上御質問申上げても無駄だと思いますから打切りますが、法務総裁のほうに伺つておきたい。さつき所管でないとおつしやられましたが、閣僚として当然その御自分の御所管の予算というものが他の重要なる国務とのどういう比率とあるか、バランスにあるべきかということについては識見がおありのことだろうと思います。重ねて伺いますけれども警察費と社会保障制度というものは近代国家においてどれくらいのパーセンテージがノーマルであるか、どれくらいを上下することは危險であるかという点について十分識見をお持ちのことだろうと思うので、伺いたいと思うのです。これは今日は或いは時間の関係どもありますからなんですが、次の機会にでも是非これを伺つておきたいと思います。そこでこれ以上に上ると危險だ、或いはこれ以下に下ると危險だ、社会保障というものはこれ以下に下ると危險だ、警察費というものがこれ以上にパーセンテージが上つて行くと危險であるということは、今日の世界の行政学の根拠として立派にわかつていることだと思います。日本が今この改正をなさろうとしている際においてはどうなつているのかということをお示しを願うと、我々はこれについての態度を決定する根拠になると思いますので、それをお願いしておきます。  それから先ほどの第二の素質の点でありますけれども、それにこの程度資料はおありになるのですか。全国の国家警察なら国家警察の署長が御自分警察署の留置所を視察するということについてどれくらいのことをやつておられるか、そして又自分責任の下にある留置所において国民の権利が守られているというふうにお考えになつているか。極めて不十分だというふうに思つておるか。そうだとすると、第三に若し不十分であると考えている場合に、それについてどういう処置を講じつあるかという程度資料はおありにならないでしようか。それから拳銃の点について、まあ今の素質の点についても拳銃の点についても先ほど法務総裁がここでお述べになつたことは速記にもとどめられ、そして必ずこれらに御努力をして下さることと国民のために期待をいたしますし、又そうやることをおつしやつて下さつたことに対しましては深く感謝をいたします。それに附加えまして、例えば拳銃の正当所持につきましては、参議院の法務委員会で私ども委員が不当なる使用が行われた現場に行きまして調査しまして、そしてその結果を議院に向つて報告をしておりますが、やはりこの点について私ども調査をするまでもなく、実際はその所管のかたがたが先ほど申上げましたような意味で、もう少し調査をして置かれるということが望ましいのであります。なおそういう資料があつたら見せて頂きたいと思います。  それから待遇を改善することのほうが人数を殖やすよりも急務じやないかという点についてもう少し御考慮頂きたいというふうに希望するのであります。これは実際現実の問題ですから、警察官が或いは無銭飲食とか、或いは車馬に無賃で乗車するとか、或いは民間の商人の商売物を無償でもらうとかということを私は責めようと思つているんじやないのです。そうではなくて待遇が十分でない結果そういうことが起るのじやないか、それが又国民の反感となるのじやないかということを心配するので、そういうことを申上げているので、そうして増員はいいが、さつきの御説明は随分立派な御説明で、その素質を高めようとして教育をしておる。そのために五千人お殖やしになるということで、それだけ伺うとすつかり感服してしまうのですけれども、併し実際は私は今度の改正案によれば無限に殖えますので、自治体警察については枠はなくなるのですから……。そしてそれがどんどん国警に入つて行くのです。だからそういう意思を法務総裁がお持ちになつているか、お持ちでないかということを伺つているんじやなくて、この法律をその通り読めばこの法律によつてそういうことができます。できないということはない。そういうふうに我々は国会議員として法律を審議するのは、その法律をそのまま実現した場合にはどういうことになるかということを審議しなければならない。ところがこのまま読んでみますと、実際自治体警察は殖やす、国家警察がそれをとり、自治体警察のほうに枠がないのだ、そして自治体警察は幾らでも殖やして行ける。この無限に殖やすということがこの法律ではできることになつている、できないというふうにはなつておりません。それでは我我国会議員が若しそういうふうになつた場合に、審議の不十分というそしりを招いてはならないというふうに思うものであります。そういうふうな非常な危險のあるような法律改正案というものをお出しになつておるという点のほうから考えてみますと、素質を高めるためにこれだけの増員をせられるという立派な御説明だけで私は満足できないものがありますので、やはり依然として素質を改善せられるために緊急の必要があるのであつて、それを実行して然る後に増員を図られるという必要から我々の審議を求められるのが妥当なる順序である。御承知のように世論の中にも、例えばこの一月何日でしたかの読売新聞の社説などを見ましても、日本は過去において平時はもとより戰時においても警察官は約十万である。十万を超えたことはない。それが今日は十二万を超えておる。そうして必ずしも能率が挙つていないというふうに世論の一部の批判もございます。現在の数そのものがすでに必ずしも少いというふうには言えないのじやないか。従つてそういう点を私はどうか……これは賛成するとか反対するということの本当の良心的な基礎として待遇の改善ということを先ず伺います。これは公務員の給與というような問題もありますけれども、併しさつきの読売新聞の説いているような支給の改善ということによつて、果し得る点も多々あることだと思うのであります。そういう意味で、先ほどの御答弁の限りでは大変感服するのですが、問題の全体としては納得ができないのであります。  それから最後に犯罪は地方的なものである。警察の対象とし得る犯罪は地方的なものであるということについてのお答えについてでありますが、あらゆる犯罪を警察は取締るというふうには申上げません。そういたしますと、そういう法律ができれば、例えば治安維持法のようなものができれば、やはりそういうものを警察が取締るのだというふうになつて行くならば、警察の民主化というふうに我々が新らしく出発して来たことに対して、どういう点に新らしい警察と昔の警察の違いがあるのかわからないことになる。法律なり政令なりでは、その法律なり政令なりの適用によつてどういう犯罪が発生するかわからない。それをも取締るのであるということをまさかお考えになつているのではないと思う。それと本質的に警察の対象とする犯罪が地方的なものでなければならないことはどうか。堅持せられるというふうに信ずるのでありますが、先ほどの御答弁では必らずしもそうでなかつたようで、一層不安を増した次第でありますので、重ねて御意見を伺いたいというふうに思います。さつきも法務総裁の政治的識見を伺いましたが、事実過去において悪い政策を行なつて、そのために国民の間に事件が生じ、そのために警察を増強し、そうして遂に警察国家なつた歴史的な体験を我々は最近の体験として持つておる。だから国民をひどい目にあわして、それで国民がひどいことをする、そこで警察を増大するということを再び繰返してはならないのであります。そういう点からもこの点は実に重大だと思う。今世論が現在我我が審議している警察法の改正案に対して非常な注目をしてこれを見ているのは、果して戰後日本警察が民主化されるという線に立つたけれども、それをこの改正法律案によつて覆してしまうのではないかという憂いを持つてこれを見ているのでありますから、その点についてはつきりした御所見を伺つて、我々をして安心してこの審議に当らせて頂きたい。警察の対象とする犯罪は地方的なものであるという点について、最後の点について一つの例として申上げたのですが、いわゆる金をもらつて密告するという者を何人もこれを憎悪するという国際的な常識に対してのお答えとして、法務総裁は金をもらつて密告する人を憎悪されるのか、愛されるのですか。その点を伺つておきたいのです。
  17. 大橋武夫

    ○国務大臣(大橋武夫君) 第一の点は留置場の監督の問題でございまするが、今日国家警察におきましても自治体警察におきましても、大体留置場警察署長というものが月に何回ときめまして必ず検査をする、こういう建前になつておるわけであります。それから先ほど御質問の中に警視総監のことがございましたが、警視総監は府県ならば警察隊長、それから大都市の警察長、こういうかたがたは管下に警察署をたくさん持つておられまして、そうしてその警察署を巡視されました際には、必ず巡視の項目の一つとして留置場に対する監督もやつておられることと存じます。私も曾つてそういつた仕事をやつておりました際にはそういうことをしておりました。それから警視庁の中にこしらえてありまする留置場でありますが、これは警視総監なり、各府県の警察隊にも所によりましてそういう施設がある所もあるかと存じまするが、そういう所にはこれは大体それを管理いたしまする課長というものがありまして、これがやはり署長と同じように月に何回ときめまして実地に視察し、監督をする、こういう建前になつております。従いまして警視総監とか或いは警察長というものが警察署なり或いは留置場視察するということは、特に検閲或いは巡視という場合にそこに行つてやるということが主でございまして、平常はそれを部下に委任いたしておるという建前に相成つておると存ずるのであります。勿論一般的にはその警視庁の中にあるものでございますが、併しおのずから署長が第一次の責任を負うと同様に署長に相当するような課長に第一次の責任を負わせて、全体の監督を警視総監がやる、こういうような仕組みで監督をいたしておると存ずるのであります。それから留置場におきまする処遇その他におきまして、人権擁護の上からいつて改善の必要を認めました場合においては、当然警察署長が責任を以て改善に努力することはこれは申すまでもないことでありまして、設備につきましても今日全国の留置場予算の許す限り改善をしつつあるようでありまして、又処遇つきにましても不当な束縛というものは非常に改善せられつつあると存じております。  それから待遇と人員の問題でございまするが、警察官の待遇につきましては、これが改善の必要のあることは政府といたしましても十分に承知をいたしているのであります。ただ御承知の通り警察官はやはり公務員に相成りているのでありまして、一般公務員の待遇の問題と関連いたしましてできるだけ速かにこれを解決いたしたいという考えをいたしているのでありまして、それがためにはやはりそれたけ人員を殖やすということも、待遇を引上げる上から言つて障害に相成ります。今回の改正におきましても、当初二万人増加したいという関係者からの希望があつたのでございまするが、政府といたしましてはこれを五千人程度に削減をした、そうして将来の待遇改善に備えるという考え方をいたしております次第でございます。  それから増員の関係につきまして、自治体警察の定員が撤廃せられました結果、自治体警察が廃止する直前において非常に増員をして、そうして国警に引継ぎまするならば、当然国警の定員は無限に増加するであろう、これは法律的には確かにお説のような結果が出て一向不思議はないのでありますが、併し実際問題といたしまして、政府関係者においてももとよりさような意図は全然持つておりませんし、又地方警察関係者としてもさような意図を持つているはずもございませんので、さような御心配は実際問題として絶対に起り得ないと確信をいたしておりまするが故に、かような法案を提案いたした次第でございます。この点は理窟の上ではさような御心配も御尤もと存じまするが、実際上の問題といたしましては御心配の必要はないと確信をいたすのであります。  それから警察で取扱いまする犯罪は地方的犯罪に限るという考え方をすべきではないかと重ねて御質問があつたのでございまするが、現在の国の犯罪に対する捜査機関といたしましては、第一線の機関といたしまして全国的にございまするものは警察だけでございまして、この警察がすべての犯罪を捜査するという建前に相成つているのでありまして、例えば治安維持法のごときものが出たならばどうなるか、これを出すか出さないかはこれは政府なり国会なりの責任でございますが、仮にそういう法律ができたといたしまするならば、現在の制度といたしましてはやはり警察がこれを執行する責任に当らなければならんものであると思うのであります。勿論従来の治安維持法のごときさような法律が出るということは毛頭考えてもおりませんし、出ない以上はさような犯罪というものの捜査ということもあり得ないわけでございまして、そういうことについて直ちに警察がどうこうという問題を生ずる余地がありませんし、現在の制度の建前から申しまするというとすべての犯罪につきまして警察がこれの捜査に当るべきものである、こういうふうに考えざるを得ない、こう存ずる次第であります。  それから密告者を憎むかどうかという問題でございます。金をもらつて密告をするということは、これは昔から志ある者のすることではないということは我が国におきましての通念で、私もこの通念に従つておるつもりであります。
  18. 羽仁五郎

    羽仁五郎君 だんだん御説明を願つて了解することができた点もあるのですが、今の御説明の中で、さつき私が質問した趣旨は、その責任者が留置場視察しているかいないかということではなかつたのです。それではなくて実は警察官素質の問題です。警察官の個々の素質について私が知つておる限りでは甚だ素質が悪いという例が非常に多いのです。かなり上級のほうのかたでも素質が随分悪い。人の私を侵して何とも思わないようなかたが随分多い。で戰前に私が個人の経験として得たところからはこれは皆さんも知つてお驚きになると思うのでありますが、これは戰前においても一定の住所を有し、多少の社会的な地位をも持つてつたのでありますが、それに対してその法律は勿論何かあつたにしろ、治安維持法その他の法律があつたかも知れない、併し私に対していわゆる自白を強要して、そして拷問を加えられるということがあつたのですね。そしてそういうような警察官のかたがたが今日跡を絶つておるという感じも私不幸にしてまだ得ないのです。どうかすると人民をそういうふうな威力で以て圧迫するという感じを多々持つておる、そういう関係から今この法案を審議する際にアツト・ランダムの調査といいますが、ランダム調査といいますか、警察署長などをやつておる人々素質はどの程度なのであろうかということだけ、若し、数字があれば我々の審議の根拠にしたいというふうに考えております。それで警察署長がどの程度視察しておるか、そしてそれをどう報告しておるのであるか、それに対してどういう処置をとつておるのであるか。全国のその責任者が挙つて基本的人権を守るために盡力をしておるのであれば、そういう素質の優秀なかたがたがどんどん……そのどんどんということもないかも知れないが、数が多過ぎるということの心配はなくなるのです。どうもそういう人は殆んど一人もない、まあ個人の自由ですからどういうことをなさるも結構ですが、いろいろな御趣味はおありのようだが、併し警察の重責にある者として、第一の職務国民人権を如何に侵害してはならないかということに深い関心を持つておられるかというところが拝見したいのですから、そういう材料として伺つたのうあります。  それから今度の改正法律案による増員ですが、自警が廃止直前に数を大分殖やして国警に讓るということはあり得ないというふうにおつしやるのですけれども、それは極端な場合を言つておるのではなくて、法律としてこの無制限の条文で、これを法律として国民の前にこういう法律を可決して国会議員の職責を果し得るかどうかという点もお考え願いたい。従つてまあ最初に申上げたように、近代国家における警察力の比率、健全なる比率というものはあるのですから、その一定の限度というものはあるのじやないか、その限度をすつかり法律の上では……前は数の上ではつきりきめてあつた、今度はそれが数の上ではつきり決定していないというような法律国会議員が国会において可決することができるかどうか、その点お考え願いたい。事実問題としてそういうことはあり得ない、それは誠にその通りです。併し法律としてそういう限度のない法律を可決することができるというふうにお考えになつておるかどうか、それらの点どういうふうにお考えになつておりますか。
  19. 大橋武夫

    ○国務大臣(大橋武夫君) 素質の問題のお話はよくわかりましたが、残念ながら署長級につきましても御趣旨にかなうような調査が現在ございませんから、できるだけ御趣旨に副うような調査を今後早い機会にやるように公安委員会に要望しておきたいと思います。  それからこの警察官の定員の問題につきましては、警察法一部改正法案の附則におきまして、町村が「警察を維持しないこととなつた場合においては、第一項の規定にかかわらず、当該町村の警察職員を、予算の定める範囲内において、国家地方警察の職員としておくことができるものとし、この場合における職員の定員は、政令で定める。」とこういうことに相成つておりまして、これによつて定員法を改正いたします。従いましてこれは政令によつてきめることには相成つておりまするが、当然予算の範囲内で定められるものでございます。従いまして国会とせられましては、この予算の審議におきまして十分に定員の問題を御検討下さる機会が保障されておるわけでございます。これによつて無制限の権限を公安委員会にお與えになる、或いは政府にお與えになるということには必ずしもならないのではないか、従いまして、第一には実際問題としてさようなことは予想しておらないという点、第二には予算の御審議におきまして十分是正し得る機会がもお持ちになり得るというこの二点によりまして、この点を御了承願えますれば仕合せに存ずる次第でございます。
  20. 羽仁五郎

    羽仁五郎君 どうもそういう点についての調査が全然ないというお答えばかりなので非常に残念に思います。どうしてそういう点について御関心をお持ちにならなかつたのか、非常に国民の自由と人権に関する重大な点であるので、当然調査をなさつてその資料があるというように考えていたのですが、至急お作りになるということであるのでこれ以上伺うこともできないと思いますが、例えば極くこれは最近やはり新聞に出ておりましたが、国立で商科大学その他の学園都市の中央にいかがわしい家が立ち並び、そこであれは自治体警察ですか、署長が宴会をしてそれを総攻撃を受けた。それに対する新聞紙上の答えでは、ほかに酒を飲む所がないからあそこで飲んだのだ、金を拂えばそれでいいじやないかというふうなことを答えられておる。下級の警察官であつても私は問題だと思いますが、それが署長である、私の過去において体験したときでも、さつきの留置場の検閲というものは却つて人権を脅やかすのです。例えば署長が見に来るという日には朝から何時に署長が来るかわからないので、朝の六時から留置人を全部正坐させて、そうしていつ署長が来るがわからない。その際に膝を崩しておる者があると、その留置場の係官が責任を問われるといつて、朝から板の間に正坐をさせて、何時間もそういうふうにさせておるというようなことをやつておる。私は今日それは全くそういうことは跡を絶つているというふうに信じたいのですが、併しそれを信ずる材料を示して頂きたいというふうに思います。それから今の無制限の増員ということは事実上においてあり得ない。その予算の枠において制限できるとおつしやいますが、然らばなぜ現行法では国警及び自治体警察についてその定員の制限を法律の上にはつきり明記していたのでありますか。そしてなぜそれを今日おとりになるのですか。
  21. 大橋武夫

    ○国務大臣(大橋武夫君) この自治体警察につきましては、自治体の財政その他の都合で自主的に定員を定めてこれを維持することができるようになるまでの間は制限をしよう、こういう趣旨におきまして現行法においては自治体警察の定員を制限いたしておるのでございます。これは制限をする趣旨で設けた規定であるわけでありますが、これを警察法の現行法の本来の考え方でありまする自主的に自治体がきめて行くということにするのがこれは当然のことであろうと存ずるのであります。そしてかように自主的に将来自治体警察の定員がきめられました場合におきましては、この警察が廃止せられて国家地方警察になりました場合に、自治体が廃止されて国警に移つたということによりまして、従来の経験ある多数の職員を失職せしめるということは得策でございませんので、それでこれを国警において使つて行くという意味合におきまして、一応これを收容できるという措置を講ずるためにそれを定員外として置くことにいたしたのであります。もとよりこの定員外の定員というものはこれは政令で或る限度を設けられまするし、又予算においても限度を設けられるわけでございまして、それが余りに多数に上りまするならば、そういつた面からの再検討によりまして合理的な人員までこれを削減するということも十分にあり得る事柄なのでございまして、これは決して無制限に増加するという趣旨ではないわけでございまして、その点を御了承願いたいと存ずるのであります。  それから警察官素質の問題、殊に署長というような指導的な地位にある警察官素質についての御心配の点でございまするが、この点につきましては、私といたしましても今なお非常に御心配の点について同感に存ずるのであります。と申しまするのは、現在の警察官は成るほど警察制度こそは全く民生警察の制度に切替えられておりまするが、併しこれらの人々は従来の警察から全部替つた人たちでございます。殊に幹部になればなるほど新らしく幹部として入つたものでなく、従来長年昔の警察におきまして、昔の警察のやり方が当り前だという考えでやつて来たかたがたが多いわけであります。そしてこれは制度の切替えによりまして民主警察ということには相成つたのでございまするが、併しその意識とか或いは職務に対する態度、こういうあらゆる点におきまして急に切替わるということは困難でございまして、これをできるだけ速かに切替えまするために公安委員会におきましてもできるだけの努力をいたし、それがために従来の警察時代に比較いたしまして非常に手あつい教養を行なつておるわけでございまして、教養によりまして漸次改善の効果を挙げつつあるとは確信いたしておりますが、併しその教養の結果どういう成績を挙げておるかということについての御報告は先ほど政府委員から申上げた程度のことしかございませんので、それ以上正確のものがないことを遺憾に存じます。併し羽仁委員の御心配になりましたような事柄は私といたしましても十分に考え得ることでございまするから、今後の教育におきましても十分かような点に引続き力をいたしたいということ、又その教養の成果を種々再検討いれしまする方法といたしまして、先ほどお尋ねを頂きましたような方法が極めて適切であると存じまするので、そういつた方法の採用につきましても十分に検討してもらうことをお願いしたいと思うわけであります。
  22. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) もう大分時間がたつておりますので、まだ伊藤さんと須藤さんがほかにありますので……。
  23. 羽仁五郎

    羽仁五郎君 一言だけ……法務委員としての私に対して地方行政委員会が多大の時間を與えられて、我々国会議員として必要とする知識を得るために機会を與えられたことに深く感謝いたします。結論といたしましては、この質疑応答の間に特に地方行政委員会の委員及び委員長各位がお聞き下すつた通りでありまして、結論としては現在警察素質を改善することは急務である。その数を増大されるというようなことはその後に廻すべきだという結果を得たというふうに私は感じます。若しこれを覆すに足る十分な資料をお示し下されば別でありますが、只今までの質疑応答ではそういう結果を得たというふうに考えでおります。長い時間有難うございました。
  24. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 もう羽仁委員が長い問いろいろな面に亘つ質問なさいましたから、私は二、三の点について簡單に御質問申上げたいと思います。  この法案の提出理由に、現下の治安の実情に鑑みという言葉が使われておりますが、これを具体的に申しましたらどういう状態をお指しになつていらつしやるのか、ちよつと伺つておきたいのであります。
  25. 大橋武夫

    ○国務大臣(大橋武夫君) 警察法施行直後におきまして、特に一昨年には一部の計画によりますところの集団的な事犯等が全国に続発いたしまして、これによつて警察制度の欠陷が一般に憂えられたという事柄があつたのでございます。その後昨年の六月に朝鮮動乱が勃発をいたしましたので、国内におきまする治安の問題というものが非常に重要に相成つてつたのであります。もとより国内におきまして直ちに重大なる集団犯罪が続発するであろうというような差当つての可能性ということについては心配をいたしておるわけではございませんが、併しながらやはりかような国際情勢を考え合せまするというと、国内治安の問題というものは国内だけの動因で左右されるというようなものでなく、やはり国際的ないろいろな動きということによつて非常に影響を受け易い状態にある。かように考えておるのでありまして、これに対応いたしまして国内治安をできるだけ確実に維持し得るような警察制度を早期に改善を加えて参りたい、こういう趣旨でございます。
  26. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 そうしますと、今度の国警を増員する問題と素質の改善の問題はそういう目的であるというふうにおつしやるならば、いわゆる警察予備隊というものがそういう目的のために今日作られておるので、何も国警を特に殖す必要がないように私は考えるのですが、国警警察予備隊との関係ですね。その点を一つ説明願いたいと思います。
  27. 大橋武夫

    ○国務大臣(大橋武夫君) 国警及び自治体警察の(「警察予備隊」と呼ぶ者あり)関連をできるだけ密接にすることによりまして、警察の全体的な能率の向上を図るというのがこのたびの改正の眼目に相成つておるのでありますが、この警察において取扱いまする治安上の事案といたしましては、これは普通に予想されまする各種の犯罪行為であります。これに対しまして警察予備隊というものは国内におきまする内乱とか或いは暴動といつたような、通常の警察力を以ては処理できないような、そうした非常に大きな実力を持つて鎮圧する必要がある、そういう事案に対しまして実力行使を目的とした部隊、これが警察予備隊目的である、かように観念をいたしておる次第でありまして、従いまして警察予備隊は通常の状態の下に始終これが活動するということは考えておらないわけであります。通常の事案につきましては警察の責務としてこれに対処して行く。警察が処理できないような全く非常な暴動等の事案に対しましてのみ警察予備隊を活動せしむる、こういう考えでございます。
  28. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 そうしますと、どうも私たちは警察予備隊というものが今日必要がないような感じがして参るわけなんです。国警さえ十分にあれば警察予備隊というものは現在必要がない、何だかどちらが主体でどちらが重要なのか、今法務総裁はそういう状態は、まだ警察予備隊を使うような状態は今日の日本にない、併し地方的にはそういう心配があるから国警を殖やすというようなふうの意味にとつたのですが、そうなれば警察予備隊というものは法務総裁がいつも言つていらつしやるような意味でなく、いわゆる外国の新聞が伝えておるように、軍隊の前提として警察予備隊考えで、それをただ言葉の上で警察予備隊としておるんで、実体は軍隊として考えて、国内の治安は国警の増加によつてつて行こう、こういうふうになつて来るのですかどうですか。
  29. 大橋武夫

    ○国務大臣(大橋武夫君) 率直に申上げますというと、現在警察予備隊に期待いたしておりますところの機能というものは、従来におきまして国内において軍隊に対して期待をいたしておつたような機能を期待をいたしておるわけであります。ただ軍隊と申しますると、最初に鬼丸委員の御質問に対して申上げましたように、外国に対しまして国家の独立と権威を維持する目的に役立つような武力の装備を施して、そうしてその目的のために訓練されたものである。当然外国との戰争ということを予想したものでありまして、單なる国内秩序の維持ということを目的としたものではないわけであります。これに対しまして現在の警察予備隊外国との交戰ということは全然頭に入れてない、これは飽くまで我が国内にとどまつて国内の秩序を維持するということだけを目的として、又それがためにそういう目的を了解して入隊した隊員を以て組織いたし、又それがために必要な訓練を施す。それがために必要な程度の装備をいたしておる。こういう次第でございまして、軍隊とは明らかに異なるものでございます。
  30. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 言葉の上においては軍隊と明らかに違うと思うのですが、その目的において軍隊と同じ方向に向いておるのじやないかというので伺うのですが、若しも法務総裁のおつしやる通りならば警察予備隊七万五千、形体はいわゆる外国の四個師団に分れておると言つておりますが、それを小さく分けまして必要な所に所属させれば、国警をあながち殖やす必要がないのじやないかと思うのです。今国家予算が非常に足りないときに、五千人殖やして何十億金がかかるか存じませんが、そういう金をもつといい方面にたくさん使えるんで、何も警察予備隊に匍匐前進や鉄砲打ちのけいこばかりさせて遊ばせて置かなくても、法務総裁が御心配の方向に警察予備隊を使うならば、国警を殖やす必要は私は今何もないと思うのです。それを特に国警を殖やして、国内の治安は国警でやらすのだ、それからとても大きな国警で賄いきれないような場合に警察予備隊を使うのだということで、警察予備隊を遊ばせて置くだけのことが私にはどうも了解が行かないんですが、これは恐らく私が幾ら申上げても法務総裁は違うことをおつしやつて答弁にならないと思うのですが、どうですか、その点はつきり納得の行くような御答弁を頂きたいのですが。
  31. 大橋武夫

    ○国務大臣(大橋武夫君) これは何度申上げましても同じことでございまして、要するに予備隊と警察とは目的が違いまするので、おのおのその目的に必要な装備、編成、組織を與えられておるわけでございまして、これを双方融通するということは必ずしも適当でないとこう考えております。
  32. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 それじやその問題はそうとしますが、今五千人殖やさないと国内の治安が保てないというような御心配らしいのですが、私たちまあここに鈴木大阪警視庁総監も見えていらつしやいますが、大阪、神戸などにおきましても何かこの前の朝鮮人の集団というような暴動があつた場合に、外から見ておりますと、これはとても足りないどころじやない、必要以上の動員がされておると思うのです。この東京におきましても、この前映画などを拝見いたしまして法務委員会で見ましたら、よくわかるのですが、どうもそこにおる人よりも警官のほうが多く動員されておる。何だか私は現在でも警官が余つて街に氾濫しておるように見受けるのですが、なおその上に増員する、五千人殖やすということは了解できないのですが、私はこう申しましても法務総裁としては見解の相違ということになつて水掛論ということになると思うのですが、我々は、大衆は警察官を少いという感じを絶対今日持つていないということをはつきり申上げたい。そういうふうに考えるのです。若しもこういう状態がどんどん続くならば全く日本は警察国家になつて、とんでもない非民主的な国ができてしまうんじやないかという心配が私どもにあるわけなんです。それから今羽仁議員も御質問になり、又私も前にも御質問申上げた点ですが、いわゆる自治体警察を自治体の条例でいつでも殖やすことができる、そうしてそれを自治体がもう自治体警察を持たないという決議をすればそれを国警に吸收するということができるとするならば、羽仁さんのおつしやつたようにこれは無制限に国警が殖えて行くということになるが、その点法務総裁予算が許さない、だから予算の点においてこれは制約できるというように御答弁なさつておるようですが、若しも予算が許すならばこれを無制限に吸收なさるお考えなのかどうか、その点……。
  33. 大橋武夫

    ○国務大臣(大橋武夫君) 予算が無制限に許すということは考えられませんし、仮に予算が許すという場合におきましても、警察官の数というものはおのずから必要に応じてとどまるべきでありまして、必要以上のものを殖やすという考えは毛頭ございません。なお現在警察官は非常に多いじやないかというお話でございますが、御承知のように今日日本の警察自治体警察とそれから国家地方警察に分れておりまして、今回五千人増員しようというのはこのうちの国家地方警察でございまして、これは御承知のように現在三万の定員でございまして、このうち約五千人は常時再教育のために学校へ入れております。それがために警察官配置して職務を行わせなければならないそれらの人々が職場をそのままにして学校に行つているというようなために、いろいろな必要な配置ができておりません。それがために地方の駐在所などでは警察官のいない、家族だけが留守番をしているというような所もございまするし、又警察署におきまするいろいろ重要なる配置におきましても、その間欠員のまま空けているという状態でございまして、これがいろいろ警察官勤務の過重な原因にもなつておりまするし、従いましてこれだけを補充する意味におきまして増員をいたしたいという趣旨でございます。これは警察官が多過ぎる面を更に殖やすというのではなくつて警察官が本当に足りなくて困つているところだけを殖やそう、こういう趣旨でございます。
  34. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 最初から五千人と切出されているならわかるのですが、最初二万人殖やすというお考えつたと思いますが、その二万人殖やすというお考えのときは、どういう根拠で二万人という数字をお考えになつていたか……。
  35. 大橋武夫

    ○国務大臣(大橋武夫君) 実は二万人殖やすということを考えました際には、自治体警察の定員をそのまま全部引受けるつもりはなかつたので、その中から半数以下を国警の定員として入れる、そうなりまするというと、それだけ自治体から入つて来るものが減りまするので、そうすると自治体警察の人が余りまするから、その余つた人員を二万人国警の分を殖やすということによつて入れたい。こう考えるのでありまして、これを数字で申上げますと、従来は国家地方警察の三万人を二万人だけ純粋に増加いたしまして、このほかに自治体警察から約半数を收容いたす。これが町村だけでは一万九千でございますから、そのうち約半数と申しますと約九千。そうすると二万九千だけ国警が殖える計算でございます。勿論これはすべての町村警察が全部国警に変るということを前提としての計算でございます。今回はそれを自治体警察から入つて来るものは全部入れる、そうして純粋の増加は最小限度の五千人にとどめます。こう考えまするから、純粋の増加五千人、自治体警察一万九千人、これは全部来た場合であります。それの合計二方四千ということになりまして、当初の計画から見まするというと、町村警察全部が移管された場合において約五千人の減少であります。町村警察に引続き残るものがありまする場合におきましては、その五千人のほかに残つた数だけが減る、こういう残つた数の半数だけが前の警察官より殖えるだろうという計算になつております。
  36. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 なかなか遠大な計画を立てられていると思うのですが、もうすでに自治体警察から一万何千人か国警に来るという前提で御計画していらつしやるような御答弁でございます。ね、今のは……どうも自治体警察を今のまま育てようという方針でなしに、もう自治体警察を一万九千、二万人近いものを直ぐ国警に吸收しようという計画の下にこの案が立つてるように今伺つたんですが、そうしますと、どうも自治体警察育成という立場から反対の方向に向いてしまつているような感じを私たちが受けるのですが、どうでしようか。
  37. 大橋武夫

    ○国務大臣(大橋武夫君) その点は実は説明が足りなかつたために或いは誤解を生じたかと思うのでございますが、そういう趣旨ではなく、全部来た場合においては收容できないものができる。そこでその場合においてもなお且つ收容できるように枠としてこの法律の上に取つて置こうという趣旨であるから、それを今回は定員そのまま取るということにいたしましたから、これも枠自体が法的の枠になつております。前の場合は枠自体を或る程度特別の数字を以て準備しているというだけでございまして、それは全部を持つて来ようという計画ではございません。この点は先般地方行政委員会におきましても申上げました通り、今回の警察法の改正というのは、自治体警察を育成強化したい、それがためには自治体警察にどうしても免れない欠陷がある、それを補強する方法といたしまして国家地方警察から援助するような措置を講じ、そうして自治体警察自治体警察として必要な場合には国警の援助によつてその機能を果し得るようにする、こういうことによつて強化をして行く、こういう趣旨でございまして、これを初めから自治体警察をやめて国警にしようという考え方は、私どもとおよそ対照的な考え方であります。
  38. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 もう一つ伺いたいことは、この警察制度ができた当時と今日と比較いたしまして、いわゆる人口五千以上の市町村の人口の増加率と、それからそれ以下のいわゆる国警管轄下の人口の増加率とそれを承りたいと思います。私たちの考えでは大体最近は都市のほうが人口が増加していると考えるわけなんです。そうすれば人口の比率から言えばむしろ国警を殖やすよりも、殖やすとなれば自治警を殖やすのが数の上からでは当然納得ができると思うのですが、その点伺いたい。
  39. 大橋武夫

    ○国務大臣(大橋武夫君) 傾向といたしましては、確かにお説の通り都市の人口増加のほうが遥かに実は大きいと思います。殊に警察法施行当時には戰災のためにまだ復興が十分でなかつたという都市がその後著々と復興いたして参りましたので、これらの戰災都市の人口の増加というものは非常に増しておりまするので、これらの自治体警察におきまして、定員の増加ということは明かに必要と相成つて参ります。それに対する措置といたしまして、自治体警察の定員全国九万五千という従来の枠をこの機会に法律から撤廃するという措置を講じた次第でございます。
  40. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 ところがそれと別個に又国警を五千人殖やすという点が私たちは又わからなくなつて来るわけなんです。自治体を条例で無制限に殖やすということを作れば、人口の増加率のない国警を殖やすという理由はないのではないか、そういうふうに又考えるわけなんですが、その点の御説明をもう一度承わりたいと思います。
  41. 斎藤昇

    政府委員(斎藤昇君) 具体的な数字に亘りますから、私から御答弁を申上げたいと思いますが、警察法制定のときにおきまして、九万五千を自治体警察と、それから三万を国家地方警察ということに具体方針がきまりまして、現実に十二万五千人を割当てるということから、各都市の警察官一人当りの人口というものを想定いたしまして配分をいたしたのであります。この際におきましては、国家地方警察におきましては約千二百十一人に一人と思います。それから自治体警察におきましては、これは町村の自治体警察警察官一人に対して人口八百人、国警は千二百人、それから十万未満の市は六百五十人に対して警察官一人、十万以上、二十万未満の市においては五百人に一人、二十万以上二十五万未満の市では四百人に一人、仙台市では三百五十人に一人、福岡市では三百人に一人、京都市では二百五十人に一人、横浜、神戸、名古屋の三市は二百人の人口に対して一人の警察官、大阪は百五十人の人口に対して警察官一人、東京の警視庁は百三十人に対して警察官一人という数字に結局まあ割当てたということになります。その後法務総裁からお話もありましたように、都市におきましては人口の増加を来たしております。警視庁の区域におきましても約倍近くに殖えて参つておりますが、当初の人口から……この警察官の配分はかように今述べましたように、そういう潤沢に配置をいたしておるわけであります。従いまして現在の人口と警察官の数とを対照いたしてみますると、只今申上げました数字よりも非常に一人当りの受持人口は或いは倍になつておる所もありましようし、或いは一倍半というような所もありましよう。これは都市によつて非常に違います。それらの観点から現在の人口に合うようにそれぞれ是正される必要があろうと考えますけれども、もともとこういう配分になつております関係上、これは各都市において、それぞれ必要とみられる限度できめらるべきであろうということになりまして、法律の上では増減を地方の事情によつて十分する、国家地方警察は当初の人口におきまして、千二百人に一人というのでは非常に少なかつたという事情を考慮したわけであります。
  42. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 今の御答弁で、都市の警官は潤沢だというお答えがあつたと思うのです。それは私が先ほど申上げました都市には警官がうようよとあり余つておるという感じを受けるというのを裏書なすつたのじやないかと思うのですが、皆さん御心配になる国家警察が二十二条で府県知事のあれですぐ国家警察が動員されるというような条項がこのなかにあるようですが、二十何条ですか、二十条ですね、むしろ皆さんが御心配なさるような状態は都市において起りやすいことだと思うのです。そうすればこの条項などは都市の警官は潤沢なほど現在あるという御答弁ならば、もう国警を殖やしてなおそういうことをやらなくても現在の自治警のあり方で十分目的を達することができておるのじやないかと思うのですが、どうでしようか。
  43. 大橋武夫

    ○国務大臣(大橋武夫君) 原則的にはお説の通りでございまして、特に大都市等におきましてはかような必要は殆んどないと思つております。ただこの自治体警察は御承知のように非常に規模の小さい自治体警察がございます。これらの小規模自治体警察におきましては、犯罪の科学的捜査に必要なる設備、技術、或いはそれに必要な人的な要素、こういつた面におきまして欠けるものが少くないのであります。而してこれを十分あらゆる事態に対応させるように充実するということは、何分小さい單位の警察が千数百に亘つておりますから、ことごとく自分であらゆる事態に対応し得るようなものにするということはこれは不可能でございまして、それでそれがためにやはり国家地方警察が援助をするということを必要とするわけでありまして、そしてその援助を求めなければどうしても自治体では独力で解決ができない、そうした事案につきまして、必要があります際には府県知事からも国家地方警察の応援を要請できるという趣旨の規定であります。
  44. 斎藤昇

    政府委員(斎藤昇君) 誤つて御了解を願いますと、いけませんから私から補足をいたしておきたいと思いますが、現在どの都市においても警察官は潤沢だと申上げたのではありませんので、当時の配分のときにおいては国警よりもまずまず都市は潤沢であつた、その後人口の変化が来ておりますから、必要なる調整はなされるであろう、国警は当時から非常に少なかつたということを申上げたのです。現在都市はすべて潤沢であるという誤解のないようにお願いいたしたい。
  45. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 最近新聞に予備隊の七千名の募集という記事が出ていたように思いますが、予備隊の七万五千のうち七千人の欠員が今日できておるという説明をこの席上で伺いましたが、その原因を私は伺つておきたいと思います。
  46. 大橋武夫

    ○国務大臣(大橋武夫君) 予備隊に採用いたしました七万五千につきましては、昨年募集当時におきまして十分な身元調べをいたしまして、本人の希望等をも入れまして採用したしましたわけでございます。その後御承知のように数回に亘つて幹部の試験がございまして、この幹部試験に合格しなかつた者は一般隊員として勤務をしなければならないということに相成りました。八隊に際しまして幹部たることを希望して入りました者は、その希望が近い付来において適えられないということが明らかになりましたので、これに基きまして事志と違つたという意味で退職を申出でました者が大多数でございます。そのほかいろいろ隊といたしまして、隊規の維持という上からいつて除隊の処分にいたした者もございますか、大多数は今申上げましたような者でございます。それともう一つは当初から自分考えておつた警察予備隊といろいろな中の状態が違つておるという、そういつた点、主として本人のそういう都合から除隊したものが大多数でございます。これが約七千名に達しておりますので、近く募集いたしたいということにいたしております。
  47. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) それではこれで連合委員会は閉じたいと思いますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  48. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) それではこれで連合委員会を閉じることにいたします。これで散会いたします。    午後一時三十九分散会  出席者は左の通り。   地方行政委員    委員長     岡本 愛祐君    理事            堀  末治君            竹中 七郎君    委員            石村 幸作君            高橋進太郎君            安井  謙君           小笠原二三男君            相馬 助治君            中田 吉雄君            西郷吉之助君            石川 清一君   法務委員    委員長     鈴木 安孝君    理事            伊藤  修君    委員            北村 一男君            山田 佐一君            長谷山行毅君            羽仁 五郎君            須藤 五郎君   国務大臣    法 務 総 裁 大橋 武夫君   政府委員    国家地方警察本    部長官     斎藤  昇君    国家地方警察本    部警務部長   中川  淳君   事務局側    常任委員專門    員       福永與一郎君    常任委員專門    員       長谷川 宏君   説明員    総理府社会保障    制度審議会事務   局長兼連絡室長  小島 徳雄君