運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1951-06-01 第10回国会 参議院 大蔵委員会 第46号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年六月一日(金曜日)    午後二時四十三分開会   —————————————   本日の会議に付した事件 ○日米経済協力問題に関する件 ○商法の一部を改正する法律の施行に  伴う銀行法等金融関係法律の整理  に関する法律案内閣提出、衆議院  送付)   —————————————
  2. 小串清一

    ○委員長(小串清一君) これより大蔵委員会を開会いたします。  日米経済協力問題に関する油井委員よりの質問を継続いたします。
  3. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 大蔵大臣に、日米経済協力についての御意見を承わりたいと思うのですが、この委員会で、安定本部長官並びに通産当局意見をいろいろ承わつたのですが、相当資材は入れるという方針だが、その明細はまだわからない。併し今朝あたり見ますというと、日立あたりにはもう発注されているというような状況になつておりますけれども、大蔵大臣のお見通しとして、もう国会も明日で終りになりますし、これは相当重大な問題ですから、若し具体的におわかりの点がありましたら、この際御発表願つて我々の審議の参考にしたいと思います。その点について御回答をお願いします。
  4. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 資材の点では、私は何も存じておりません。資金の点でも、直接の関係のある大臣でございまするが、何も聞いていないのであります。これは資材にいたしましても、資金にいたしましても、どれだけ発注があるかというと、その発注分量によりまして、国内資材がどれだけあるかということからきまることであるのであります。日立の問題が最近確定的のように新聞に出ておりまするが、まだ具体的の内容を私は検討するまでに至つていないのであります。資材の点は存じません。金融の点につきましても、日立の問題につきましては、まだ話を受けておりません。
  5. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 それではもう国会も終りなりますと、暫く大臣とお目にかかるチヤンスもなくなると思うのですが、若し或る程度資材を具体的に入れるような段階になりましたとき、その支払いの外貨、いわゆるドル貨というものは、どういうふうにして賄いがつくものかというお見通しですね、これを取りあえず……。
  6. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 資材が入つて来る場合の金融につきましては。これは資材種類によりまするが、緊急物資特別会計の二十億円を使う場合もあります。或いは民間業者が直接に資材を買う場合もあります。その場合におきましては一般の輸入金融で適当であるのではないか。併し又物によりまして、資材輸入につきまして、製品ドル払いということをかね合わせまして、そのドルによりまして、資材輸入ができる場合もありましよう、又ドル払い以上にたくさん輸入する場合においては、不足額を普通の金融で賄う手もありましよう。いろいろな方法があると思うのでございまして、一概にどういう方法によるということは言えないと思います。
  7. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 まあ世間で噂されるところによると、今度の特需相当大きな規模で出て来ると言われております。それに対して今朝あたりの何か報道を聞きますというと、マーカツト声明に対する政府側の何といいますか、意見というものがまだまとまつていないということも聞いておるのですが、ある程度政府側としては肚はきまつておるのじやないかと思いますが、いつ頃具体的にわかるものでしようか。その点を一つ……。
  8. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 世間では特需関係は非常に多いだろうとか、どうだろうとか言つておりますが、マーカツト声明にもありますごとく、日本経済が安定して、外国にどんどん物が出るような態勢になるかならんかがその分量をきめるのであります。一カ月ぐらい前の状態では、日本物価がある程度上り過ぎて、そうしてアメリカから注文するといつても、なかなか高くて注文ができん、こういう状態になれば特需は自然少くなつて来る。併し物価が安定し、外国と十分競争し得るようになれば、多々ますます来るのではないかと思います。従いまして私は今来るとか何とかいうことはどこにもないので、皆自分のところにある、自分のところの経済が十分発達し、外国と十分競争し得るということになれば、ますますこれは出て来るのであります。先ず自分の身を固めなければいけないと思うのであります。余談になりますが、人から信用されることは、先ず自分が信用されるようになつてからであつて、卑近な言葉で申しますと、地獄極楽はどこにあるかという答えに、或るお坊さんは、皆身にある、東にもなければ西にもない、皆身にあると言つておりますが、特需がどれだけあるかということは、日本経済にどれだけ注文し得るか、安くていい品物を作るかどうかにかかつて来ると思うのであります。私はこのマーカツト声明に対する答えにいたしましても、そういうことを考えて、日本経済をどうやつてつて行つて外国、殊にイギリスとアメリカから信用されるようにするかということを今考えておるのであります。いつ政府の新経済政策を発表するかという問題につきましては、成るべく早いに越したことはないと思いますが、いろいろな点から考えなければなりませんので、今即日ということは申上げかねるのであります。
  9. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 大分物価の点で問題になつておるのですが、物によつて、先般繊維品のごときは非常に暴騰したにもかかわらず、最近はその反動で暴落を来しておるというような状況になつております。大体の方向として、日本物価はどの辺が安定のラインと大蔵大臣は思われますか。又どの辺に落着けるべきかという、御意図がおありですか。
  10. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) これは抽象的に申しますと、外国競争して負けない程度物価を落着けなければならん、こういうのであります。個々品物によつて違いますが、まあ向うFOB下価格と、こちらのFOB価格とを比べるのが一番理想的になるのではないかと思います。勿論今の鉄鋼にいたしましても、アメリカのピツツバーグの工場渡しは十九ミリ棒鋼が八十五ドルといつておりますが、日本は百二十五ドルから百三十ドルとかいつております。アメリカにおきましてもこの八十五ドルは、ピツツハーグの工場渡しでございますが、ロスアンゼルスでは何ぼになるか、百二十何ぼ、こう言われているのであります、従いまして向うとの比較にしましても、向うのどこの値段をとるかということが問題になるのであつて、私らといたしましては、外国品物競争して負けないようなところに物価を安定させたい、こうお答えするよりほかはないと思います。
  11. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 次にまあ外国競争するには、どうしても日本にあるだけの資材では到底間に合わないと思うんです。只今大臣が例に示されたような鉄鋼品関係等におきましても、相当原材料輸入しなくてはならないと思うんですが、御承知のように運賃相当高くなつております。高つい運賃がかかるような状態になりますと、どうしても原材料ついで高い運賃を払い、又製品を出す場合に、更に運賃を払うということになりますと、なかなか競争は困難になるんじやないかと思うんですが、その点外国競争については御自信がおありになりますか。それとも文相当内地の工賃’或いは電力その他のものを安くしなければこれの競争はできないのじやないか。かような点も懸念されるのですが、大臣としてはどの程度調節をお図りになるというつもりがおありですか。
  12. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 政府といたしましては、個々物資につきましていろいろな具体的の措置を今考えておりません。いわゆる総体的に財政金融施策物資の安定、而も外国より低目にいたしたいと考えておるのであります。従いましてお話通りに、運賃の嵩む場合におきまして、原料代が上るよりも、運賃が非常に上る、それが一緒に来ているという状態においてどういうことをするかということは、個々物資につきまして考えなければならんのであります。原則的に申しますと、やはり設備の改善、企業合理化、こういうところで努力をまずして行つて、然る後にそれで賄ない切らない場合において考えなければならんと思うのであります。例えば鉄鋼なんかについてどうするかという問題が今差向きの議論にはなつているのでありますが、今非常に鉄鋼、石炭が高いので賄ないつかんといつて、すぐ手を打つかということは、日本鉄鋼をどの程度の生産に持つてつたらいいか、又合現化をしたら、どの程度安くなるかということを、只今安本その他で検討いたしていると思うのであります。そういうところを見まして、そうして又それに使うについで財政金融政策考えたい、こういう気持努力を重ねております。
  13. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 大臣お話中に、まあ物価というものは相当安定しなくてはならないという点は、我々もよくわかるんですが、併し最近のように、例えば運賃も上る、或いは電力等料金が七割も上るという工合に、更に又食料品相当値上りするというようなときに、今のお話企業合理化というようなことだけで、それをカバーすることができるかどうか、これは懸念を持たれるんですが、やはり日本国内インフレを抑えるという意味において、賃金ベース相当低下をお図りになる御意思でもおありなんですか。そうでなければなかなか海外取引をするのはでき得ないのじやないか。かように思うんですが、大臣としてはどう考えられますか。
  14. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 外国との競争のために日本の労務者の賃金を下げようというような心持は持つておりません。一概に競争ができない、できないとすぐおきめになりますが、私はそうとは考えていないのであります。これは仕向け先の問題にもよります。今鉄鋼の問題を出しましたが、アメリカでは八十五ドル鉄鋼ロスアンゼルスに行つたら百何ぼになる、これが南米に持つてつたらどうなるか。南米市場日本アメリカがどういう競争状態になるか。最近では東南アジヤの辺で競争入札のときに、日本が高いために外れたということがありますが、それは原因はいずれにありや。鉄鋼が高いから機械がすぐ競争できない、こういう結論を下すべきじやない。機械に持つて行く場合の鉄の値段について調整することがあれば、機械産業についてどれだけ又利潤をどのくらい見て競争入札をしたか、こういういろいろな点を検討して行かなければならんのでございます。私は最近の輸出状況特需から考えまして、お話のように、もう輸出は駄目になつたんで、日本はとても競争できんという考えは持つていないのであります。できるだけ合理化はしなければなりませんが、やはり相手のあることで、相手状況を見て負けないような一つの適正な機械のいい品物を造る、こういうところに努力を向けるべきだ。負けそうだからといつて、すぐいわゆるとるべき策でない賃金の引下げなんかは、やるべきではない。どちらかといえば賃金を引上げて高能率にしていいものをたくさん造るということが本筋ではないかと考えております。
  15. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 どうも大臣理想通りに行けば大変結構なんですけれども、なかなか理想と現実が最近伴なつていないのを我々は恐れるのであります。そこで相当の需要に対するところの資材輸入に対しまして大蔵大臣の専門といたしまして、先ほど資金の点についてもいろいろな方法でおやりになるということなんですが、今度の輸入合計額はたしか十七億ドルを超しておつたと思います。恐らく昭和二十六年度の輸入は、特需等関係で以て相当これは殖えると思うんですけれども、何かアメリカ当局あたり政府資金関係、或いは民間資金関係でも、LCの取組み等について、前以て打合わせ、或いは了解等を得ておられるのですか。それだけの又手配はされておりますか。その点についてお聞かせ願いたいと思います。
  16. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 昭和二十六年中におきます輸入計画につきましては、まだしかとした結論に到達いたしておりません。従いまして輸入資金をどうするかという問題につきまして私に関する限りは向うとの話をいたしておりません。
  17. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 リボルデング・フアンドあたりで以て相当調節をされることも考えられておるんですけれども、これは綿とか、或いは羊毛、鉄とか重要資材についてはそういう手が打たれるが、その他の製品というものについて今後やはり相当輸入というものの増加を図る必要が出て参ると思うんです。そういうものに対する資金面の何か対策ということはお考えになつておられますか。いわゆる第二義的重要産業品といいますか、そういうものに対する金融の道ですね。
  18. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 御審議を経ました緊急物資特別会計の二十五億円というものにつきましては、この前の国令お話申上げた通りに、特殊の品物につきましてやろうというのであります。お話綿花について申しますと、一昨年のリボルデング・フアンドは、今のところやんでおります。従つて廻転基金によつて特殊の物資輸入しようということは、先の特別会計の二十五億円以外には計画いたしておりません。従つて今の状態におきましては、綿花羊毛、或いは鉄鉱石、原皮、こういうものにつきましても、他のものと同じように外貨予算でやつておるのであります。ただ特殊の品物につきましては、日本銀行のユーザンス制度を認め、而うして又それによりましてのスタンプ手形制度を認めておるということだけでございます。必要な措置によりましてできるだけたくさんの品物を入れたいということは、この一月頃から私が申上げておつた通りでありまして、一——三月におきましては相当輸入超過に相成つておるのであります。品物によりましては、相当ストックが殖えておる。ストックが殖えた、ユーザンス期限が切れた、スタンプ手形には入らんと、これをどうしようかと、いうので今問題になつておりますが、そういうものの金融措置につきましては、日銀の斡旋融資によりまして、できるだけ適正に入つて来たものには、適正な金融をつけたい、思惑でどんどん入れたというものにつきましては、成る程度金融引締めの措置をとらなければならないのではないかという気持を持つておるのであります。併し全体的に申しまして、一、二月輸入促進の声が高いので、政府が斡旋してやつたのでありまするから、できるだけユーザンス期限後におきましても斡旋融資によつて適当な措置をとりたいという方策でやつております。
  19. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 今ユーザンス関係お話を承わつて、適切な方途を行われるということについては、誠に共鳴するものでありまするけれども、今後の特需物資輸入等におきましても、世界の情勢が刻々として変るのです。その際に、輸入の大体予約を申込んだ情勢と、実際に入つて来るときの時期的ズレによつて、急変するかも知れんということも起るかと思うのですね。そういう際においても、政府においては特別の措置を講ぜらるべきだと思うのですが、大臣としては今からそういうふうな御意見はお持ちになつていらつしやいますか。
  20. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 経済金融政策は、その都度々々において特殊の場合が起れば、特殊の措置を講じますし、予想した状態ならば計画通りにやつて行くよりほかはないのでありまして、殊に特需関係原材料の問題につきましては、契約その他の條項によつても或る程度見通しがつくのでございまするから、発注分量種類等によりまして適当な措置を講ずることは勿論であると考えております。
  21. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 もう一点、最近インフレが多少増進しようというようなときに、すぐ金融引締めで以て調節を図るというような、いわゆる金融対策がとられるのが常であります。そこで先ほど大臣お話のように、見越し輸入と申しますか、相当適切でない輸入も行われておる。そういう輸入品に対しての金融引締めは、これは或る程度止むを得えないとは思いまするけれども、そのためによつて生ずるところの影響というものは、正常ルート取引まで及んで、結局物価不当暴落を来するようなことになると思うのです。現在そういうようになりつつある商品相当あります。それに対しては、やはり何らかの適切な対策をおとりになつて然るべしと思いますが、大臣としてはどうお考えになりますか。
  22. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 経済全体から考えて適切な措置をとるべきであると考えておるのであります。従つてこういう問題は具体的に、例えばどういうふうなやり方で輸入したか、而しでその輸入物資がどういう方面に流れて、それが再輸出にどれだけ向くか、国内消費にどれだけ向くかということも考え輸入をしなければならん。又再輸出も、どの方面に行くかということを考えてやらなればなりません。従いましで、綿花なら綿花に対しましてのユーザンスの問題も、その面から国内でどれだけということはわかりますが、どの方面行つてどれだけがすぐ換貨できるか、こういうことからユーザンス期限問題等考えなければならんと思うのです。従いまして、見越輸入思惑輸入につきまして、そういうふうな考え方から、やはり融資斡旋の場合に、いろいろな措置考えなければならんと思います。
  23. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 ついでにお聞きしておきたいのですが、最近繊維品暴落によつて、三月決算会社相当多いのですけれども、四月、五月に大暴落しておるために、ストック、或いは契約のキャンセルというようなものに対する損害が莫大なものに上つておるという状態であります。それによつて各地にときならぬ波紋を起して、大小のいわゆる商社なり事業界が破綻を来すというような懸念に曝らされておるようでありますけれども、これは三月までの相当厖大利益に対する課税というようなものが、この上にかぶされたんでは、影響が余りに大きくなりはしないかということも考えられます。こういう点について、特殊の対策をお講じになつておられますか、又そういう途がありますか。
  24. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) この問題は、三月決算のものと、二月決算のものにつきましては、一部のものから申出でがあつたことは、私のところへ直接ではございませんが、大阪方面でそういう申出でがあつたことは聞いております。そのテイピカルな例は、羊毛関係のもの、これが一番初めに値下りが来ましたので四月、五月は殆んど売れないと、この場合においてどうするかという問題につきましては、私は今考慮いたしておるのであります。で、御承知通りに、在庫品の評価につきましては、平均価格によるか、或いは後入れ先出し方法によるか、いずれかにきめて申告することにいたしておるのであります。併し、平均価格によつて、三、四年前までやつておりました時価又は原価の一割引ということをやめた制度、又後入れ、先出しの方法によつてやることにして、いわゆる商品の格下げを認めない今の制度がいいか悪いかについて検討しなければいけないということは、私は前から言つておるのであります。たまたま羊毛関係でそういう問題が起きましたから、私は特殊の物品については、昔やつてつたような、後入れ先出し方法とか、或いは平均原価で賄いつかないものがあるので、今検討をしております。従つて、それに上つて来るのは先ず羊毛関係だと思いまするが、最近のこの綿糸綿布暴落によりまして会社側にどういうふうな影響があるかということにつきましては、これは御承知通りに、一週間、十日後の問題でございます。まだ検討いたしておりませんが、税務の取扱いにつきまして、昨年からやりました後入れ先出し方法だけで、利益平準化と申しまするか、非常な暴落のあつた場合の対処方法として行くよりほかはないと考えておるのであります。併しそれならば昔のように現在量の一割までを認めるかということになりますと、例えば紡績なんか、綿花輸入が二千数百億円で、一割多く認めるということになりますと、一期間に二百億円の利益の減殺になりますから、徐々に、一遍にというわけには行きませんが、今までの後入れ先出し方法で賄い切れない面を、徐々に緩和して行くというような租税措置があるという考え方を以ちまして、それで羊毛関係につきまして一つ措置をとろうかということを今研究いたしておるのであります。綿糸綿布につきましては、まだその影響をはつきり見極めておりませんので、ここではつきり申し上げかねるのでございます。
  25. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 日米経済協力の問題に関しまして、簡単に二、三大蔵大臣にお伺いいたしたいのですが、このアメリカ緊急物資調達計画に関して、いわゆるマーカツト声明なども出たのですが、あの中で今後の財政金融に重大な影響を及ぼすものと思われるのは、インフレを収束しなければいけない、インフレを抑制しなければいけないというようなことだと思うのですが、そこでまあ新聞等にも大分出ておりますが、大蔵省でも財政金融面からこのインフレを抑制する方針検討中であるといわれておるのですが、このインフレを抑えるという場合に、今の日本物価水準を現在よりも下げて行くというのか、或いは現状程度に維持するというのか、その点を大蔵大臣にお伺いしたいと思うのです。それで、あのマーカツト声明がどういうことを意味しておるか我々にはわからないのですけれども、もうすでに日本現状インフレートしている。国際物価より日本物価のほうが非常に高いと、こういう意味を持つておるとすれば、現在の物価水準よりも更に下げる財政金融政策等が考慮されなければならないと思いますが、その辺の関係なんですが、大蔵大臣はどういうふうにお考えになつておりますか。それを一つ……。
  26. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 物価水準の見方でございますが、例えば日本物価水準がこうであつたとしても、外国物価水準がどういうふうな傾向をとるか、こういう見通しをつけて行かなければならんので、今日本物価水準を下げるとか、横這いにするとか、或いは下げる程度をどれだけにするということはなかなかむずかしい問題であると思います。で二、三月頃からぐつと上つて参りました結果、五月に入りましては横這い状態をしております。而して最近の綿糸綿布、毛織物の値下りによつてどうなるかということも、まだはつきりした数字が出ませんが、相当私は上る分が止まつたか、或いは下つて来るのじやないかと思いますが、而して外国方面統計を見ましても、ここれは統計のとり方でございまして、向うのグレイ・マーケツトにも殆んど出ておりません。そうして日本のほうは公定価格を外したのが、すぐ公定価格を外したことによりまして相当の、いわゆる物価高が実態より以上に統計に出て来るのであります。そういうところを十分に見極めてかからなければ実は何とも言えないと思いますが、今後物価高の要素もあります。例えば米麦値上げの問題、或いは電気料値上げ等が出ておりますが、こういうことをできるだけ少くし、物価水準をできるだけ維持するか、或いは低くする方面努力をして行かなければならん。どれだけの物価水準で釘付けにするかということはなかなか困難な問題だと考えます。
  27. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 そこで非常に重大な問題が私は起つて来るのじやないかと思いますが、それは電力料金も上つて行くとか、或いは鉄道運賃も上つて行く、主食も上つて行く、そういうような情勢にあるようですが、その場合ですね、今大蔵大臣お話では、大体今の物価水準よりも……、これは外国物価も相対的にむしろ考えることは勿論でありますけれども、現在を考えれば、大体それより現状を維持するか、或いは又横這いをこのまま維持するか、或いはそれより幾分低めに下げて外国との競争ができるようにして行く、そういうようなお話でありましたが、今後はむしろ逆に電力料金も上つて行く、それから主食も上り、運賃も上ると、こういうようになつて行くと、むしろ逆の方向に行くのじやないかと思うのです。それで国際物価よりも上るエレメントが相当あると思うのです。そういう場合に非常にドラステイツク金融政策と、ドラステイツクないわゆるデフレ政策、そういうものをとらなければ、国際物価水準にマツチしたような物価水準は維持できないのじやないか、こういうふうに考える。まあ国内的な対策だけでは、そういうように考えられるのですが、その点相当財政金融政策も、ドラステイツになつて行くのじやないか、そういうようにまあ考えられるのですが、その点はどうなるのですか。
  28. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 財政経済政策相当ドラステイツクになるのじやないかという御質問でございますが、これは程度の問題でございます。私は財政経済政策ドラステイツクな政策をとるということはよくないので、できるだけ穏便な、徐々にやる方向に行くことがいいと考えておりますが、木村さんの御質問のドラステイツクな政策ということは、どういうことかわかりませんので、お答えしにくうございますが、経済政策というものは、そういう手の平を返すようなものじやないので、私はマーカツト声明がありましたときにも、今までの私の考え方をはつきり進めて行けば、只今申上げましたように、日本経済は徐々に安定の度を加えて行くと思います。従いましてああいう声明が出たから主食値上げもやめるのじやないか、減税もやめるのじやないか、公務員の給与の引上げもやめるのじやないか、こういうことを言いますが、私ははつきり言つております。私の言つている米の値を引上げたり、減税をしたり、或いは公務員の給与を上げるということは、日本経済を正常なる姿に持つて行くのである。これは当然そうなけりやならんことである。そういうことをやりながら正常に持つて行つて、そうして普通の経済政策をやつて行くのだ、こういうことに私は変りはないのであります。でああいう声明が出ましても、私或いはもう今まで我々がやつておることを裏付けたので、はつきり続けて行ける意味と私は解釈しておるのであります。
  29. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それは大蔵大臣の意図はわかるのですが、客観情勢が、いわゆる今度は第二ドツジ・ラインに行くのじやないかと言われているのですが、実際に大蔵大臣のお考えのようなことをやろうとしても、物価情勢相当高くなる情勢にあるので、従つて無理にこれを下げようとすると、相当無理な政策が、金融上にも、財政上にも出て来るのじやないか、こういう意味なんです。ドラステイツクというのは、特に何か非常なドラステイツク……、まあ直接統制を今すぐやるのか、やらないのか、そういうような意味じやなく質問したわけですが、これはまあ今後やつてみなければわからない問題ですから、議論になりますが……。  もう一つお伺いしたいのですが、アメリカ側において日米経済協力をやる場合に、金融的に便宜を与えるようなことが言われているのですが、これは具体的にはどういうような形で便宜が与えられるのですか。
  30. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 金融的に便宜を与えるという具体的方策については私まだ聞いてはおりません。
  31. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 実は二、三日前に通産次官からお伺いしたわけです。大蔵委員会においてですね。そのときにまあマーカツト声明に基いて政府として明らかになつた点を、我々に報告されたのですが、その中に金融面について便宜を与える、こういうことを言われたので、何か特に何かの方式で便宜が与えられるのじやないか。その点をまあ質問したのですが、大蔵大臣は全然そういうような話がないと言います。から、次にまあ御質問したいのですけれども、これは直接日米経済協力とは関係ないのですが、前から問題になつています終戦処理費のドル払いと、それから対日援助費の打切りの問題ですが、これは従来まあ新聞でいろいろ伝えられておりましたが、これはどういうふうに今なつて来ておりますか。新聞でこれまで伝えられましたように、七月一日から対日援助費は打切りにはつきりなる見通しがついたのか、それから終戦処理費はドル払いになるということにはつきりなつたのかどうかですね。この点をお伺いしたい。
  32. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 対日援助費の打切りの問題につきましては、先般新聞に出ておつた程度で、私は正式の文はまだ受取つておりませんが、対日援助費の打切りということは、私は前から申しておりますように、一九五一、五二年からそういう場面が来るのではないかと私は考えておるのであります。はつきりしたことはまだわかつておりませんが、私はそういうことを予想いたしております。  それから終戦処理費のドル払いの問題につきましては、これはどのものをドル払いにするかということ、それから又いろいろな方法につきまして、只今関係方面と話合をいたしておるのであります。私のところへこの問題についての書類が出ておりまするが、これらの実行その他につきましては、只今総理と打合せしておりますが、まだ内容につきましてもう少し検討しなければならんので二、三日かかると思つておりまするが、終戦処理費の一部をドル払いにすると、こういうことになりそうでございます。
  33. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 その場合に、対日援助費が、打切られた場合、その打切られた分に大体相当する額程度のものが終戦処理費のドル払になる。こういうふうにまあ予想していいわけですか。
  34. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) これは法律上と申しますと語弊があるかもわかりませんが、対日援助の問題と終戦処理費との問題は、理論的に因果関係はないわけです。これはたびたび木村さんの御質問に対しても答えたのですが、併し政治的にと申しますか、気持の問題としては、よくこれが一緒になりやすいのです。そこでアメリカの議会におきまして、昨年の三月頃でございましたか、ヴオルヒーズ陸軍次官、或いはドツジ氏が国会で証言されたのもこの法律論的でなしに、経済論的に発言があつだということは、私はアメリカに行つたその日にヴオルヒーズ、ドツジ氏から聞いたのであります。私は理論的のかね合いの問題ではないと思うのであります。従いまして日本が今後ドルをもらうことを予定しておりました一億四千万ドルとか、或いは一億ドル、予算上は一億ドルになつておりますが、この一億ドルと今度終戦処理費のドル払いの金額と一緒かという御質問に対しましては、偶然に一緒になるかもわかりません。或る年度におきましては偶然に一緒になるかもわかりませんが、将来それが一緒になるべきものだという断定は下されません。而もそれが一億ドルということは、たびたび言つておりますように一九五一年、五二年で予想されるものだと、こう言つておるのでございますから、それじや二十七年度と申しますか、八年度におきましては援助費がなくなつたら、終戦処理費のドル払いはなくなるかと、こういうことにはならんのであります。これは理論的な因果関係でございません。結果から申しましてもガリオア、イロア合計して二十億ドルくらいでございます。終戦処理費はその当時の換算率三百六十円くらいの換算にいたしますと、四十億ドルくらいになるのでございます。理論的な関係はないのでございます。
  35. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それはわかりましたが、併しこれまで大蔵省でいろいろ予算の説明だか何かで我々に配付しているのは、従来大体終戦処理費と対日援助費は見合つているということを書いている文書があるのです。実はこれが今まで私はそういう大蔵省の公式文書でそう書いてありましたので、我々そういうふうに了承しておつたのです。併し最近になると大蔵大臣の言われるように、これは軍票計算ですけれども、そういう形で計算して行けば、終戦処理費と対日援助費が見合つておるということは言えないと思いますが、ただ我々は今後対日援助費が打切りになつた場合、仮に終戦処理費のドル払いの額が対日援助費の打切りの額と同じとしても、対日援助費の場合には物として入つて来たのですけれども、今度は終戦処理費のドル払いでもらつたドルは、これはアメリカからのいろいろな物資輸入というものが裏付けになつてドルがもらえるかどうか。今度終戦処理費のドル払いとしてもらつたドルは、それによつて外貨予算になつて日本がコンマーシヤル・ベースによつて外国からそれで物を買わなければならんかどうか。そうしますと、まあ仮に金額が同じでも今までは物でもらいました。今度はドルでもらうと、その物の確保について前とは違つて来ると思いますが、そういうふうに了解してよろしいのですか。
  36. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 私は終戦処理費とエイドの関係は、本国会を通じて関連があらとは一遍も言つたことはございません。全然関連がない。大蔵省から出した文書にそういうことがあつたとすれば、私が大蔵大臣のときでないかも知れません。大蔵大臣のときとすれば、その文書は間違いであります。私責任を以て終戦処理費とエイドとは関係はないのです。終戦処理費というものは降伏條件できまつて、そうしてガリオアはへーグの国際條約によつてきまつたものだ。こういうふうに答えておるのでございます。この点は改めて申上げて置きます。  次に今までの援助は物で来ておる。今度は終戦処理費のドル払いドルで来るのだ、そのドルについての物の裏付けがあるかという御質問でございますが、これは今裏付けはございません。我々としては今度は本当のコンマーシヤル・ベースでどんどん物を入れなければならん。で、物の裏付けのないようなドルなら、これは問題にならんのであります。少くともドルを取る以上は、物の裏付けがなければなりません。併しそれが今までのガリオアのように、小麦とか或いは強粘結炭とか、或いは鉄鉱石、或いはどこかで非常に動きました硫安なんかというふうに裏付けはないので、私は裏付けのないほうがやりいいと、こう考えております。ドルは初めから物の裏付けがなくなつて、最も信用のある国際的通貨でございますから、その心配は要らんと思いますが、御質問に対しましては、ドルで支払われる、物の直接の裏付けはございません。
  37. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 もう一つ簡単に申しますが、先ほどのお話に対日援助費と終戦処理費と法律的に関係があるというふうに大蔵省で書いているということを申上げたのではないので、大体額が見合つているということを書いている文書があつたのです。それは二、三あります。予算の説明書にもあります。そういう額が大体従来見合つてつたものだと、こういうふうに書いてあつたのです。ところが前にも大蔵大臣は、私の質問に対して答えられましたが、必ずしも見合つていないということを言われましたので、調べで見ましたが、その点は成るほど一ドル三百六十円に換算するかどうかは問題ですけれども、過去の軍票計算ですけれども、そう計算をして見ましたら、見合つていないことがわかりました。従いまして私は法律的に関係があると書いてあるという意味ではないのです。その点は大蔵大臣の只今の御説明を了承いたします。  最後にもう一つお伺いしたいのは、日本の力で東南アジア開発が望ましいということをマーケット声明で言つているのですが、東南アジア開発の場合には資金的の関係が問題になると思うのですが、こういうような資金はどうなんですかね。どのくらい、又東南アジア開発といふものは、どの程度に具体的に今後なつて行くものか。こういう点を最後にお伺いしたい。
  38. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 東南アジア開発計画は昨年の今頃より前に、私向うに参りましたときに、ポイント・フオアの問題として向うの要路者に議論があつたのですが、我々も大変いいことだからというので、アメリカから帰つたときにこういうことを言つたと思いますが、今度マーカツト声明で裏付けされた。実際の問題といたしまして、日本の商社とアメリカの商社が現に東南アジアの開発の具体的な措置に入つている場合もあるのであります。例えばカルテツクスがスマトラの原油を持つて来てこちらでやる。そうして向う品物を送る。こういうことを現にやつているのであります。これは又アメリカとしても未開発地を開発して、そうして世界の人類の文化程度を上げることは、平和を維持する上において当然必要なんである。そういうことから考えて、日本としては東洋の特殊の地理的好條件を持つておりますので、非常に望ましいことだと思います。而して東南アジアの開発は具体的にどういう方策で行くかということは、これは昨年輸出銀行を設けたときに、私は触れたと思うのでありますが、向うの資源を開発して、そして日本原材料を取るにいいように、プラント輸出なんかを計画したのが輸出銀行の創設の意義があるのであります。アメリカにおきましても、今度日本経済自立等の一端として、ドルは東南アジアに貸して、そのドル日本の物を持つて行くか、或いは日本の生産に対してドル払いにして、直接アメリカの物を南方に持つて行くか、こういういろいろな問題があると思いますが、いずれにしてもそういうことをやるにしても先ほど申しましたように、日本品物がよくて安いということが必要である。こういうことは私はマーカツト将軍が言つておられると思うのであります。従いまして具体的にどうやるかということは、今後日本経済が如何にいい物を安く作るかということによりましていろいろな方法が講ぜられると思います。
  39. 松永義雄

    ○松永義雄君 私は簡単に一点御質問いたしたいと思います。新らしい事情のもとにそろそろ統制が行われて行くのではないかということを聞きたいのですが、それは私は申上げるまでもなく、すでにアメリカにおいては、去年本年に亘りまして、物価及び賃金に対してある程度の統制が行われているらしく聞いているのでありますが、そこで先ほど来縷々お話がありました物と資金、これが一体民需と民需以外にどういうふうに分けて、それでなくとも貧弱な日本経済のもとで、日米経済の中へ協力して行くというのでありますから、どうしたつてこれはその影響下に立たなければならぬと思うのでありますが、今はもうすでにそういつた段階に入りつつあるのではないかと考えておりますが、その点について……。
  40. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 我々は建前といたしましては統制は漸次撤廃する。内閣を組織いたしましてから二年有半、統制を徐々に撤廃して、殆んど今では統制は数えるものしかないというふうになつたのであります。私は最近におきましても、ある種の生活必需品が統制を撤廃される段階に相成ると思うのであります。方向といたしましては、我々は今までの方向を堅持して行きたいと思うのであります。併しこういう国際情勢になりまして、それじや全部ドルにしてしまうかという問題になりますと、これは国際情勢の変化におきまして、或る程度特定の物資につきまして、用途制限その他の措置をとる必要が起るかもしれない。併しそういうことが起つても、これは最小限度にとどめる、こういうことは安本長官が答えている通りであります。私も統制はできるだけやめて行く、若し必要止むを得ざる場合におさましても、最小限度にとどめたいと考えておるのであります。得てしてすぐ直接統制のことに議論が行くのでありますが、物の相当多いときには統制もよろしうございまするが、物の非常に少いときに統制やつたらこれらはとてもひどい結果で出て来ることは、我々はもう今までのことで知つておるのであります。こういう情勢になりましても、我々が日頃考えておりまする統制は、徐々に外して行くという考えに変りはありません。
  41. 松永義雄

    ○松永義雄君 多少私ども意見が違うのでありますが、まあ終戦後一応自由主義経済へ戻ろうという考でおつた。その線をどこまでも進めて行くというお考えは、これは一応納得できます。けれども又私が申上げるまでもなく新らしい情勢が起きて来た。この新しい情勢のもとにおいての或る経済の上に対する影響力が相当強い、大きいと見なければならぬ。これから来る影響は、言葉は統制というからえらく嫌われて統制は決してやらん、場合によつてはこういうふうな言葉を拝聴いたしておるのでありますが、名前は何も統制という言葉を使わなくても、何らかの力を加えられるような状態になつて行くのではないか。今即ちまさにそういつた状態がだんだん広く強まつて行くという点になりまするが、大体お答えを得ましたから、その点で結構です。
  42. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 ついでにお聞きして置きたいのでありますが、補正予算は一体いつ頃お出しになりますか、それをはつきりして置きたいと思います。
  43. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 本国会には出しません。いつ出すということは国会をいつ開くかということで、開かれた場合におきまして補正予算を組む必要があるかどうかということもきまることで……。
  44. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 大体の見当は……。
  45. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 只今組む予定はありません。
  46. 小串清一

    ○委員長(小串清一君) この程度大蔵大臣に対する質問は打切ります。   —————————————
  47. 小串清一

    ○委員長(小串清一君) それから次に商法の一部を改正する法律の施行に伴う銀行法等金融関係法律の整理に関する法律案を議題といたしますが、この件につきましては、政務次官から提案理由の説明があつただけで、何ら質疑をしておりませんので、この際河野銀行局長からなお改正法律の整理関係について説明を求めたらよかろうと思います。さようお願いいたします。
  48. 河野通一

    政府委員(河野通一君) 今議題になつておりまする商法改正関係に伴いまする金融関係法規の整理の問題でありますが、この法案の主な点を簡単に申上げます。  大体におきまして商法の一部を改正する法律が七月一日から施行されましたに応じまして、これに関連をいたしまする銀行法等の必要なる改正を加えましたことが中心になつておるわけでありますが、ただ銀行等の金融機関が一般の利用会社と若干異る特殊性を持つております点に鑑みまして、一般商法の改正商法の規定の例外と申しますか、少し特殊な規定を二、三入れておるわけであります。その第一点は、今度の改正商法によりますと、事業会社が無額面株式の発行ができることになつておるのでありますが、銀行等の信用機関におきましては、その資本の金額を確定いたしますことが金融機関の信用を維持するために必要と考えましたので、この無額面株式発行に関する改正商法の規定は適用を排除いたすことにいたしたのが第一点であります。  第二点は、銀行等の信用機関が改正商法の規定によりまして作成しまする計算書類の附属明細書の記載事項及びその株式は金融機関が一般の事業会社と業態を異にしておりまする点と公共性に鑑みまして、これらの記載事項の様式を統一いたしますことが必要でありますので、特に主務大臣がこの明細書の記載事項及び様式を定めることにいたしたのであります。  それから第三点は、銀行とか、或いは預金業務を営みまする無盡会社につきましては、株主が会計帳簿書類の閲覧をいたしましたり、謄写を求めるという一般の改正商法の規定は、金融機関としての特質に鑑みましてこれを適用しないことになつたのが第三であります。  そのほかは大体商法の改正に伴いまして技術的な極く瑣末な改正でありますので、御説明を省略さして頂きたいと思います。  なお、この機会にこの法律案につきましては先般衆議院におきまして修正の決議を受けておるわけであります。この修正されました個所は、先般こちら様のほうの御審議を頂きまして成立を見ました相互銀行法及び信用金庫法に関係いたしまして、これらが改正商法を前提としない法律になつておりましたので、今般の改正商法の施行に伴いまして、改正商法の規定による手続規定等を、相互銀行法及び信用金庫法について修正いたしたわけであります。形式は今申上げましたように、相互銀行法とか、信用金庫法の改正で行くのが筋であつたかと思いますけれども、便宜この本法がまだ御審議の過程にありましたので、この法の修正案として本日衆議院で修正可決せられたわけであります。内容は今申上げましたように、これらの改正に伴う、極く技術的な改正であります。
  49. 小串清一

    ○委員長(小串清一君) 別に御質疑がないようでありますから、質疑は盡きたものと認めて直ちに討論に入ることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  50. 小串清一

    ○委員長(小串清一君) 御意見のおありのかたは、それぞれ賛否を明らかにしてお述べを願います。別に御意見もないようでありますから、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  51. 小串清一

    ○委員長(小串清一君) 御異議ないと認めます。それではこれより採決に入ります。本案は衆議院において修正をしたところのこの原案通り可決することに御賛成のかたの挙手を願います。    〔総員挙手。〕
  52. 小串清一

    ○委員長(小串清一君) 全会一致と認めます。よつて本案は原案通り可決すべきものと決定いたしました。  なお、本会議における委員長の口頭報告の内容については、本院規則百四條によりあらかじめ御承認を願うことに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  53. 小串清一

    ○委員長(小串清一君) 御異議なしと認めます。  それから委員長が議院に提出する報告書に付する多数意見書の御署名をお願いいたします。  多数意見者署名     岡崎 真一  山崎  恒     森 八三一  小林 政夫     杉山 昌作  油井賢太郎     木内 四郎  九鬼紋十郎     黒田 英雄  大矢半次郎     佐多 忠隆
  54. 小串清一

    ○委員長(小串清一君) それでは散会いたします。    午後三時四十四分散会  出席者は左の通り。    委員長     小串 清一君    理事            大矢半次郎君            杉山 昌作君            木内 四郎君    委員            岡崎 真一君            黒田 英雄君            九鬼紋十郎君            佐多 忠隆君            松永 義雄君            小林 政夫君            山崎  恒君            油井賢太郎君            森 八三一君            木村禧八郎君   国務大臣    大 蔵 大 臣 池田 勇人君   政府委員    大蔵省銀行局長 河野 通一君   事務局側    常任委員会専門    員       木村常次郎君    常任委員会専門    員       小田 正義君