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1951-05-30 第10回国会 参議院 大蔵委員会 第44号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年五月三十日(水曜日)    午後零時五分開会   —————————————   本日の会議に付した事件 ○税理士法案衆議院提出) ○連合委員会に関する件 ○日米経済協力問題に関する件   —————————————
  2. 小串清一

    ○委員長(小串清一君) これより大蔵委員会を開会いたします。  日程第二の税理士法案につきまして質疑を開始いたします
  3. 三宅則義

    衆議院議員三宅則義君) 私はこの前も御説明をさして頂きました衆議院議員三宅則義でございます。本日は税理士法案のことにつきまして実は修正案衆議院のほうでまとめましたので、その概略だけをこの際説明さして頂きたいと思うのであります。  実は本年の三月三十一日の日に当委員会出席をさして頂きまして、原案税理士法案説明をいたしたのでありまするが、その後五月になりまして、衆議院のほうでは法務委員会のほうから申入れがありまして、法務委員会大蔵委員会との代表者が集まりまして、又国税庁長官並びに原部長忠部長も御出席を願いまして、この案を審議いたしました結果として、お手許に御配付をさしてありまする通り修正案をでかしたわけでありまして、これは法務委員会のほうでは鍛冶良作君、押谷富三君、又衆議院法制局第二部長福原君も御出席になり、又角田幸吉君も専門的な立場から出席せられました。大蔵委員会のほうでは不肖三宅、宮幡、宮腰、こういうようなものが集まりまして原案を練つたわけでありまして、その根本趣旨は五十一条に「弁護士は、所属弁護士会を経て国税局長通知することにより、その国税局管轄区域内において、随時税理士業務を行うことができる。」ということが根本でありまして、その「随時」ということが問題になつたわけでありまするが、我々といたしましては、随時というのは時に応じてという意味でありますからして、例えば三カ月とか六カ月以内というふうに期間を短く考えておるわけであります。この点も御了承を願うわけでありますが、特に国税局長弁護士連合会の会長とも御相談の上、少くとも随時というのは、期間が短かいものですからさよう御了承おき願います。これは時たまやるのに限つたのでありますが、反復常におやりになるものにつきましては登録をして頂く。こういう線を出しましたのが修正案の骨子でございます。どうぞ一つ、皆様御審議の上速かに修正案を可決されんことを私は希望する次第でございまして、一言私からその趣旨説明さして頂きました。何とぞお願いいたします。
  4. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 提案者にお伺いしますが、一体この弁護士というのは税理士仕事は十分弁まえて、何ら今までも支障なくやつておられたものと思うのですが、今更改めて弁護士国税局長通知しなくてはならないという理由はどういうところにあるのですか。
  5. 三宅則義

    衆議院議員三宅則義君) それは税理士事務行政事務でございますので、是非一つ通知をして頂いて、その管内税務事務を代行して頂く。こういうふうに考えているのであります。行政事務と御了承願いたいのであります。
  6. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 今の質問のうちの弁護士は、税理士業務ということは、精通していて当然税理士業務ということには支障のない人々であると思うのでありますが、これは提案者並び国税庁のほうのかたがたの御意見を一ぺんお聞きしたいのであります。どうお考えになつておるか。
  7. 忠佐市

    説明員忠佐市君) 御承知通り弁護士法の中におきましては、弁護士は従前の税務代理士仕事を当然にできるといつておりまして、法律事務専門家でありますところの弁護士のかたか、税法従つて行われる税務について、いろいろお仕事をなさるということにつきまして、私どもその専門的の知識につきましては十分傾倒いたしておる次第でございます。ただ只今三宅衆議院議員からお話がありましたように、税務事務をよく考えて見まするというと、法律事務という一面がありますると同時に、やはり国家の税務行政事務という面が多分に入つております。殊に弁護士としていろいろお仕事をなさる場合の最も基本的な問題、それは法律につきまして争いがある場合、又は紛議を生じておる場合、このような場合に弁護士のかたがその本来のお仕事をなさるということにつきまして、私ども何ら異論を持つておらないわけでございます、但し初めて税の申告をいたしまする場合、或いはいろいろな事柄につきまして納税の時期を延期するというような申請をいたしまする場合、このような事務はどちらかと申しますと行政事務であります。かように考えます。従いましてそのような行政事務について弁護士のかたがお仕事をなさる場合、これはやはり国税の行政的な見地からいろいろとお考えになつて頂く面があろうと、かように考えます。従いましてその行政事務についていろいろと納税者のために御援助をなさつて頂く。同時にそれは国の行政事務について適正に行われるかどうかということについて御配慮を頂て。この面が二つございまするので、やはり税の事務につきましては本来の法律事務とは又異なつた角度からの法的規制が必要である、かように存じておる次第でございます。
  8. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 只今の五十一条で通知することだけで以て業務は行えるというようなことなら、当然これは弁護士という職務にある人はその業務は行い得るということがはつきりしているのですね。それを何を好んで、通知をしなくても差支えないということは成り立たないのですか。どうもそこのところが……。
  9. 三宅則義

    衆議院議員三宅則義君) 私ども考えによりますと、弁護士さんも勿論行政事務の一方面を担当なさることにつきましては、やはり勝手にやられて勝手にいたしますると、又どういうふうに進捗しておるということもわからない点がありまするからして、一応通知して頂きまして、こういうかたが実際税務代理のほうの事務をなさるということがわかつておりますると、これに関しましていろいろな面についての連絡ができ得ると思いますし、又それらに対しまする監督ということはありませんが、それらにつきましての便宜が多かろうという意味合いにおいて、野放しではなく、税務に関しましては一応弁護士連合会から通知をして頂きまして、そのかたがおやりになる。こういう線を出したいと同時に、又反復常ないかたは是非とも登録して頂くと、こういう線を出すために妥協して、こういう案ができ上つたのでありますから、何とぞ御了承を願いたいと思います。
  10. 小林政夫

    小林政夫君 弁護士会には弁護士さんの名簿もありましようし、ただその通知だけで業務を行えるということであれば、何も通知については油井さんと同じで今の御説明では納得できないのですが、自分はこれこれの件についこの納税者税務代理をやるのだとうことで、その問題の起つた都度弁士さんが行つてやればいい。特に税について余り詳しくない弁護士さんだつたら、恐らく納税者のほうで頼まんだろうし、弁護士さんの名簿というものは恐らくあるし、国税庁で調べられたらすぐわかると思うのですが、弁護士資格を持つているか持つていないかということもすぐわかる。特にその通知だけをするということはどうも納得できないのです。
  11. 忠佐市

    説明員忠佐市君) 只今お話につきまして私ども考えるところを申上げさせて頂きますと、一応どのかたがこの税の代理のお仕事について実際にそのお仕事をなさるかということを実ははつきりさして置いて頂きたいと考えます。そのことは只今申上げましたような税の行政事務につきまして、統一的に税務行政が行われておりますので、その業務について弁護士かたがたが一応御援助を頂く、かような立場におきましては、一応やはり登録をして頂くことが好ましいと思いますが、ときたまこのような税務代理のお仕事をなさつて頂くかたにつきましては、やはりときたま行うということだけは私ども手許はつきりいたして置きたい。それからそのお仕事をなさつておられる弁護士のかたにつきましては税理士法においていろいろと脱税相談禁止とか、それから報酬を余り無制限にお取りにならないというような点についての公益的な立場からの規定を設けてございますが、その公益的な規定には一応服して頂く必要つがある。このような見地からいたしまして登録をいたして頂くか、或いは通知をして頂くか、その登録もいたさない、通知もいたさないというかたが税務代理のお仕事はできない。こうはつきり割切ることが適当であろうと考えたわけでございます。只今申上げたような趣旨によりまして一応通知というような規定をこの際是非取入れて頂くことが必要である、このように考えておる次第でございます。
  12. 大矢半次郎

    大矢半次郎君 先ほど「随時」という字句についての御説明もあつたようでありますけれども、まだ十分呑み込めないのでありますが、常時税理士仕事をする弁護士は必ず登録を受ける。それからそうでなくてときたま税理士仕事をしておる弁護士はこの通知によつてやるというふうに伺いましたが、この条文で果してそういうふうに読めるんでしようか。随時税理士業務を行うことができるというふうになつておりますからして、やろうと思えば繰返し何回でも、殆んど常時やれるというふうに読めますが、どこでその両者の区別を付けるんですか。
  13. 三宅則義

    衆議院議員三宅則義君) 私からも立法的に参画いたしましたから申上げたいと思いますが、「随時」というのは始終反復するという意味でなく、例えば弁護士事務に関連いたしまして、一年に一遍か二遍というような意味合いに思つておるわけでありまして、審査請求でありますとか、或いは納税申告を五遍も六遍も、十遍も二十遍も依頼を受けるというのではなく、弁護士事務と関連いたしまして一遍か二遍という簡素な意味合いにおいて考えたわけであります。さように思つておる次第であります。
  14. 大矢半次郎

    大矢半次郎君 そうすると所属弁護士連合会を経て通知するというのは、その税理士仕事をする度ごと通知する、こういうことなんですか。それとも一遍通知すれば年に何回もやれる、こういうことなんですか。
  15. 三宅則義

    衆議院議員三宅則義君) この分につきましては非常に問題があつたのでありまして、今大矢参議院議員仰せになりました通り、一遍々々やるかどうかということが問題になつたわけでございますが、一遍々々やるということは甚だ煩雑になりまするから大体私どもは三カ月ごとにやつてもらいたい、こういう意思を申上げたのでありますが、三カ月では余り短か過ぎる、六カ月にしようじやないかという意見もありましたが、大体弁護士会意見或いは法務界意見を徴しまして、少くとも一年に一遍ぐらいやつてもらわないと連絡がとれないという線でありまして、一度やつて頂けば六カ月乃至一年は有効と一応線を引きまして御了承置き願う、こういうことに考えておる次第であります。
  16. 小林政夫

    小林政夫君 只今忠説明員の言われた脱税だとか或いは公益に反する脱税相談をやつたとか、或いは公益に反する行為弁護士の人がやつたという場合にはどうするんですか。
  17. 忠佐市

    説明員忠佐市君) 通知をして頂きました弁護士のかたにつきましては脱税相談をしてはならないという規定、それから国税庁長官の定めた報酬最高制限を守るべしという規定が働きます。従いましてその規定に違反いたしました場合は税理士法罰則、或いは懲戒規定適用になります。従いまして弁護士会で取上げまする懲戒手続と並行して、只今のような罰則規定、或いは国税庁長官懲戒規定が働いて、行政事務である税の仕事についてだけはより迅速な手続をとられる、かような効果が出て参ると思います。
  18. 小林政夫

    小林政夫君 そうすると、通知をしない弁護士の人は脱税相談をしてもいいんですか。
  19. 忠佐市

    説明員忠佐市君) 通知をいたさない弁護士のかたが、若し税務税理士業務を行いますれば、これは一応禁止業務行なつたというような、そういう解釈になりますので、何ら手続をとらないで業務行なつたというかどで罰則に触れる。従いましてどちらかと申しますと、登録をしない、通知もしないでおります弁護士のかたについては、税理士業務法律禁止されておる、かようなことに考えております。
  20. 大矢半次郎

    大矢半次郎君 この五十一条の通知国税局長に対して通知し、そうしてその場合にはその弁護士はその国税局管内税務業務を行うことができるというふうになつておりますが、例えば東京局に対して通知をして、そうして大阪局のほうの仕事をやつたというような場合は、どういうことになるわけですか。
  21. 忠佐市

    説明員忠佐市君) その場合におきましても、通知をしないで税理士業務行なつた、こういう法律解釈になると考えております。
  22. 大矢半次郎

    大矢半次郎君 そのときの制裁規定とか、業務停止とかいうのは、この法案ではどこに規定されておりますか。
  23. 忠佐市

    説明員忠佐市君) 只今の御指摘のことだけに限定いたしまして申上げますれば、当該国税局管内においてだけ税理士業務ができるということに相成りますから、異なつた国税局管轄区域内においては通知してないということに相成ります。そういたしますると、原案の第五十一条を、修正案におきましては第五十二条に書いておりますのですが、第五十二条におきましては、「税理士でない者は、この法律に別段の定がある場合を除く外、税理士業務行つてはならない。」という規定がございます。そうして通知をいたした場合はこの法律の別段の定めに該当いたしますから、税理士業務が行えるということに相成りまするが、よその管内税理士業務行なつた場合は、この新らしい修正後の五十一条の規定に違反する。その結果新らしい新制度の第五十九条の規定によりまして、二年以下の懲役又は五万円以下の罰金に処するという罰則規定に当てはまる、かように解釈されると思います。
  24. 大矢半次郎

    大矢半次郎君 その結果東京局管内においても、税理士仕事をやるわけに行かんということになるわけですか。
  25. 忠佐市

    説明員忠佐市君) その場合は東京事務所をお持ちになつておる弁護士のかたが、その東京所属弁護士会を経て、大阪国税局に御通知をして頂く、かような方法がとられると思います。
  26. 大矢半次郎

    大矢半次郎君 私の質問したのは、大阪のほうに、大阪局長に対して通知をなしにやつた場合に、この制裁規定を受ける場合に、大阪のほうで業務をやられないと、これはわかつておりまするが、東京局管内でもやはりこれはやるわけに行かんということに結果においてなるのですか。私それを伺つておるわけです。
  27. 忠佐市

    説明員忠佐市君) その点ちよつと私誤解して申上げたと思いますが、東京局長通知をいたしました場合には、東京局管内税理士業務ができる。東京局長通知をいたしておりましただけであつて大阪局長には通知をしておらないという場合に、先ほど私の申上げたような結果になると思いますが、その罰則適用が確定いたしますれば、今度は又弁護士法規定によりまして弁護士資格がなくなる。かようなことになる場合が起ると考えております。
  28. 小林政夫

    小林政夫君 どうも、私先ほどの質問の続きなんですが、弁護士という人は正当なる民権を擁護すべきものであつて、例えば、通知しておろうがおるまいが、脱税相談をやつたり、或いは公益に反することを行なつたりするような人は、実際において弁護士たる資格はないはずなんです、建前は……。だから特に通知をさせておいて、そういうようなこと、或いは正当な報酬というようなことについても、弁護士としてこの税務についての相談にあずかる、こういう報酬だということをやつておけば、通知をしなければそういうことが徹底しないというわけのものでもないと思います。特に通知をした弁護士の人だけについてそういう罰則とか、その他の処置を講ずるのだということがどうも呑み込めないのですが……。
  29. 原純夫

    政府委員原純夫君) ちよつと私から……。先ほどからの何で、ちよつとお呑み込み頂けてないんじやないかと思いますが、まあ税理士業務を行われる場合には弁護士さんであつても試験を受けろというようなことは申さないけれども登録なり、或いは通知なり、そういう法的な手続をした上でやつて頂きたいということになつておるわけであります。従つてその通知をした弁護士さんだけというのでなしに、税理士業務がやられる場合には、恒常的にやられるならば登録する、ときたまポツリポツリとやられる場合には登録まで御要求するのも御面倒だろうからして、ちよつと御通知して頂けばいいというような建前で、いずれかは必要であるということにいたしておるわけであります。その基本的な気持はやはりこの税理士仕事相当部分は、弁護士さん本来おできになることであるけれども、先ほど忠説明員から申しました通り申告書提出世話等行政面に跨がる仕事をして頂くという意味におきまして、登録又は通知という法的な手続をおとり頂くという考え方で、従いましてこの弁護士さんが税理士業務をやるにはすべてそういう法的な手続を履んで頂く。そうしてそれに基いて行政的な監督にも、又罰則関係適用にも服して頂きたいという考え方なんであります。
  30. 小林政夫

    小林政夫君 私にはその説明は先ほどの忠説明員説明でわかつたのですが、そうやつたからと言つても、今もお話したように、弁護士たる人が特別……、弁護士としては公益に反することをやつてもらつては困ります。脱税相談にあずかつてもらつても困るので、特に通知をした人だけについてそういうふうに取締を強化して行くということがおかしいわけですね。それで何か通知……、特別にその国税庁のほうにおいてこれは不適格者だというので、通知を受理しないのだとか、或いは登録させないというようなことで弁護士、少くとも税務的な業務をやる弁護士の人をコントロールして行くという法的効果がこれであるのですか。
  31. 原純夫

    政府委員原純夫君) 通知をしないでおやりになるかたは、この登録をしておやりになるわけでございます。そうしますと、この監督関係規定、この法律が全面的に適用になるということになりますので、通知した人はむしろ全面的に適用になる場合よりも適用の度が少い。例えて言いますと、ここにもあります三十二条というのが抜けております。つまり登録されるかたは税理士証票というものを提示して仕事をなさらなければならないが、通知をしてときたまおやりになるかたには一一そういう証票まで持つて頂いてやるということは緩めましようということになつて、一般の場合よりも緩まつた形になつております。が全然監督がないというわけには行かないというわけで、むしろ緩いほうでございます。
  32. 小林政夫

    小林政夫君 この税理士証票なんというものは身分証明書であつて私は弁護士だということを見ればいいと思います。それでどうも税理士なる資格を剥奪されるようなことをやる弁護士さんはもう弁護士としての不適格者だと私は思う。特に税理士になる資格がないということですね。そのやめさせるような人は当然弁護士もやめてもらわなければならんような人ですから、そこの監督というか、罰則を分けて考えるということがどうも納得できないのですがね。
  33. 三宅則義

    衆議院議員三宅則義君) この税理士法につきまして特に三十二条に証票を出す。税理士証票を出せ。これは御承知のようにシャウプ勧告案にございまして、特に税務に関しては弁護士さんでも税理士さんでも公認会計士でも証票を持つて来いということが強く書いてある。この趣旨を尊重いたしまして私どもは立法いたしておるわけでありまして、殊に反税運動、こういうものはないと思いますが、そういうようなことに対しましては絶対取締らなきやならん、こういうふうに考えておるわけでありまするから御了承願いたいと思います。
  34. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 これは参考のために一点伺つておきたいのですが、今まで税理士で先ほど御説明脱税相談というような行為のため処罰されたのはどの程度になつておるのですか。
  35. 忠佐市

    説明員忠佐市君) 実は脱税相談につきまして確実な資料を持つておりませんが、極めて僅かな件数、一、二件というような程度であると思いますが、その程度考えております。ただ許可を受けないで税理士業税務代理士仕事をしたという点で処罰された例はこれはもう少し多いと考えております。
  36. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 次に登録料はどの程度とるというようなことがあるんですか。
  37. 忠佐市

    説明員忠佐市君) この附則三十二項に登録税法を改正する提案をいたしておりまして、新規に登録をいたします場合には一件につき二千円、かように考えております。
  38. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 提案者にお伺いするのですが、弁護士連合会等においてこの登録料了承したのですか。
  39. 三宅則義

    衆議院議員三宅則義君) この案につきましては、修正部分を除きました原案は一応御了承願つたものと解釈していたしております。
  40. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 ところが、この参議院大蔵委員として聞いてもらいたいというので弁護士連合会から、当然これは弁護士というのは税理士業務は行うことができるのであつて、この際登録などとは以てのほかだというようなことが来ておるのです。それは古いことじやなく、つい最近の三、四日前の話なんです。そうすると今の提案者お話はその後にお話合いがお付きになつたのであるかどうか伺います。
  41. 三宅則義

    衆議院議員三宅則義君) この通知をなさる弁護士さんは登録しないでもいいが、反復継続しておやりになるかたは登録して頂く。登録するには一応この線によりまして二千円納めて頂くとこうありまするが、なお次の国会等においては十分研究いたさして頂きたいと思います。
  42. 大矢半次郎

    大矢半次郎君 この法案の第二条に税理士は他人の求めに応じこれこれに関し左に掲げる事務を行うことを業とすると言つておりますが、この「業とする」ということは一体一年間に何遍くらいこういうことをやれば「業とする」ということになるのですか。
  43. 忠佐市

    説明員忠佐市君) この点につきましては税務代理士法当時に最高裁判所の判例がございまして、反復継続してこのような事務を行う場合においては、それを業と見るという考えをとつておるようでございます。従いまして反復継続する意思がありまして、それが外部に現われました場合は業と見る。現実に何遍そういう場合を必要とするかということにつきましては意思解釈の問題で解決する以外には方法がないのではないか、かように考えております。
  44. 大矢半次郎

    大矢半次郎君 そうすると、弁護士はその弁護士資格において当然税理士仕事はやり得るというようなことはこれは弁護士法規定にある。そうして一方この法案においては業としてやるものは登録しろ、それから業としてやるんじやなくて、一年に一度か、二度するものは通知でやれと、そうありまするが、若しかそれが一度か二度しか、税理士仕事を一度か二度するというのは、別に業とするものではないから、通知をする必要はないのではないか。少くとも随時云々というのはやはり一年に或る程度繰返して行う場合でなければならんと考えますが、その点は如何でしようか。
  45. 三宅則義

    衆議院議員三宅則義君) 私ども考えは先ほど大矢参議院議員お話になりました通り、一年に一遍か二遍、自分所掌事務に関連のありますことを一回か二回というふうに解釈するのでありまして、成るべくそういうかたでも通知して頂きたいというのが、この線を出した時の気持でありますからして、五遍も十遍もやるということを意味したわけではないのでありまして、何とぞそういうふうに一回か二回という少い回数を私ども考えておる次第でありますから……。
  46. 大矢半次郎

    大矢半次郎君 一年に一回か二回するものは業として税理士仕事をやると言えるかどうか。私はやはり税理士なる以上は或る程度繰返してやるものでなければならんと思うのでございますが、然るにそれを税理士としながら一年に一回か二回しかやらん場合には通知で事足りるというのは、そこに非常に矛盾があるように考えられますが。
  47. 忠佐市

    説明員忠佐市君) 只今大矢委員仰せになりましたこと、非常に重要な問題でありまして、且つ御尤もな御質問だと考えておる次第でございます。この今度の修正案におきまして弁護士は当然税理士仕事ができるという規定が入りましたので、その弁護士法第三条第二項の規定と、税理士法第二条の規定との間におきましては多少の解釈上問題を残すことになつたと考えます。しかいたしまして弁護士法の第三条第二項の規定があります限りは弁護士の本来の業務の中の一部に税理士業務が入つて行くということに相成ると思います。従いまして弁護士弁護士資格において税理士業務の範囲の仕事をいたします場合は、これは一回でありましても、二回でありましても業であるという解釈が正しいと思います。そこで五十一条の規定におきまして第二条とそれから第三条、第十八条……、第三条は資格規定でございますし、第十八条は登録規定でございますが、その第二条、第三条、第十八条の特例を認めるという考え方で五十一条の通知規定をおくと、このように読みたいということでございます。修正案を作成いたしまする場合に、先ほど挙げられました衆議院法制局意見と、それから提案者並びに私ども意見というのをその程度解釈の線にまとめたいということで、この五十一条の規定を立案いたしましたような次第でございます。
  48. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 若し何でしたら一応まだ質疑があるならともかく、若しなければ一応休憩にして、それで党に帰つて打合せをしたいと思いますので、そういう動議を提出いたします。
  49. 三宅則義

    衆議院議員三宅則義君) 本法案は三月三十一日に御可決を願つて四月一日公布、五月一日に実施したい、こういう気持でやつてつたのでありますが、いろいろの都合上で延期したのでございますが、是非本日若しくは明日御決議になりまして、何とぞ本会議を通過後六月一日公布、七月一日施行と、こういうふうにいたしたいと思います。なぜならば申告時期も差迫つておりますし、是非新法によりまして皆様がやつて頂きたい。かように思いまするので、何とぞ参議院大蔵委員のかたもそのおつもりで御審議あらんことを切望いたします。
  50. 小林政夫

    小林政夫君 もう一遍前の質問の続きになりますが、弁護士の人に通知したり、或いは登録をさせないということになると、国税庁のほうではどういう不便がありますか。
  51. 忠佐市

    説明員忠佐市君) 実はこの前弁護士法が改正されまする際に、その点が非常に問題でございまして、実は税務代理士法というのがそのまま規定があつて弁護士であつてもその当時大蔵大臣の許可を受けなければ税務代理仕事ができないということになつておりましたのを、当然に税務代理仕事ができるというように改正をいたしたわけでございまするが、その際は税務代理仕事を行いまする場合のいろいろな行政上の必要から基く各般の法的規制というものを当然に考うべきであつたと我々考えております。弁護士本来の法律事務にとどまりまする限りは税の面から別にかれこれ申上げる筋はないのでございますが、やはり申告、申請というような最も多くの部分を占める税理士業務につきましては、やはり行政的ないろいろの法的規制というものを守つてつて頂くことがこの際の国家財政需要、それから国民の権利の擁護、ということに役立つと我々考えておる次第でございます。従いましてそのような行政事務関係なさる範囲においては何らかの形の法的規制が必要である。その方法といたしましては私ども登録が一番適当であると考えるわけでございますが、こういう法務委員会それから日本弁護士連合会の意向がございまして、極めて少数の事件きりお取扱いにならない弁護士のかたにつきましては通知でいいという線で大体折合いが付いた次第でございまして、この程度は最小限度であろうと考えておる次第でございます。
  52. 小林政夫

    小林政夫君 いや、私の言う趣旨はいやしくも税理士としての仕事をする弁護士の人に対して、税理士のかたが適用を受けるような法的規制を受けるということはこれは当然だと思うのです。がそれでは特に弁護士さん全部の人がそういう法の適用を受ければいいので、希望で自分がやろうと思つて税理士業務をやろうという人は、そういう規制に服することを建前として税理士業務をやればいい。それを特定の、特に常時やる人も通知させるということがなぜ必要か。弁護士ならば全部いやしくもこういう仕事をやるならば、そういう規制に服することを覚悟の上でやられるのだろうから、特定しなければならん理由がどこにあるか。
  53. 忠佐市

    説明員忠佐市君) 只今お話をいろいろ承わつておりますると、大体お気持の点においてはちつとも変らないと思うのであります。やはり私どもといたしましては、この仕事をなさらないかたがたにまで法的規制の及ぶことは考える必要のないことでありますので、お仕事をなさるかたについては、どのかたがそういうお仕事をなさるかということをはつきりさせる、それによりまして法的規制の及ぶか及ばんかという限界を付ける。かような措置が必要であろうと考えた次第でございまして、大体において御了解が頂けると思うわけですが、そういうように考えられるわけであります。
  54. 小串清一

    ○委員長(小串清一君) 暫時休憩しまして、午後一時半から委員会を開くことにいたします。    午後零時四十六分休憩    —————・—————    午後二時二十九分開会
  55. 大矢半次郎

    ○理事(大矢半次郎君) 午前に引続きまして、会議を開きます。  税理士法案の質疑を続行いたします。
  56. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 提案者に更に御伺いいたしたいのですが、この法案は中途半端なんですね修正案が。いわゆるその登録なら登録はつきりきまつたものならそれでもいいのです。それなら又通知りなら通知だけで一本なら一本でいいと思うのですね。妥協のため原則としちや登録だが、まあ例外的に通知規定を設けると、こういうふうになりますと、今後の法案なんかを出す場合にやはり一つの先例になると思うのですね。これはどつちか一本にされるというような御意思はないのですか。そのほうがいいとはお思いになりませんか。
  57. 三宅則義

    衆議院議員三宅則義君) 私のほうの立法精神におきましては是非弁護士の各位も努力をして頂きたいという線を強く出しておつたのでありますが、その後大蔵委員会法務委員会との小委員会におきまして折衝を重ねた結果、便法でございますが、一応常時やる人は反復するのですから登録を厳守する。一年に一遍とか二遍とか、部分的にやる人は先ず通知を以てやろうという非常に便法的なことでございますが、そういう趣旨におきまして妥協案を出しまして法務並びに大蔵両委員会とも了承の上通過いたしたのでございますから、何とぞ本委員会でもその趣旨を徹底的に了承せられるようにお願いいたしたいと思います。
  58. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 これは大蔵省当局にお聞きして置きたいのですが、第五十一条の随時というのは、先ほど或いは御説明になつたのかも知れませんが、はつきりともう一遍お尋ねいたします。随時というのはどの程度を以て、常時やつているか或いはやつてないかということは見当はつくのですか。それとも又反復つて随時解釈してもよろしいのか、この二点につきまして……。
  59. 忠佐市

    説明員忠佐市君) この字句につきましては福原部長が非常に苦心をされて作られたものでございまして、時に随つてと読むんだということでございます。それで本来の法律事務がございましてその法律事務を行いますかたわら、時に随つて依頼を受けた事件を取扱う、その件数の多少ということにつきましてはそのような考え方から、おのずから出て来るであろう、まあお客さんがしよつちゆう税のことについておいでになるというような場合は、時に随つてとは言えないのではないか、こういうような考え方でございます。
  60. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 そのしよつちゆう来るという範囲ですね、そこははつきりと区別できますか。
  61. 忠佐市

    説明員忠佐市君) それは程度問題でございますので、そのときの状況によつて常識的に判断をするという以外には方法はないと思います。
  62. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 どうも法律で以て常識で判断するというのは、ちよつとおかしいと思うのですね。やはりきつちりとせめて法律ぐらいでは明確になるほうが私はいいと思うのですが、この点はこれは何ですが、ちよつと速記をとめて頂きたいのですが。
  63. 大矢半次郎

    ○理事(大矢半次郎君) ちよつと速記をとめて。    〔速記中止〕
  64. 大矢半次郎

    ○理事(大矢半次郎君) 速記を開始して
  65. 木村禧八郎

    ○木村禧八郎君 これまでの審議の経過を存じませんが、質問が重なるかも知れませんですが一点だけ質問したいのですが、日本弁護士連合会のほうから我々のほうに陳情が来ておるのですが、これを見ますとこの衆議院修正案のようにしても、結局国税庁長官監督権の点が同条項はなきに等しい。即ち弁護士法第三条第二項は削除しないとなつていますけれども、実質においては削除したと同じような国税庁長官監督権があるのだから、そういう反対の趣旨の決議書が来ているわけです。これは実際においてはどうなるわけですか。実際においてはですね。この監督権の問題ですが、これはどういうことになりますか。
  66. 三宅則義

    衆議院議員三宅則義君) 只今の御質問御尤もでございまするが、私どもの立法の方針といたしましては弁護士さんは勿論監督はしないわけでありますが、税理士業務を行う範囲におきましては、範囲をきめたわけでございます。弁護士法に関しては絶対にそういうことはないわけですが、税理士業務を行う場合においては国税庁長官監督を受ける、こういうふうになつておるわけでございます。
  67. 木村禧八郎

    ○木村禧八郎君 それは税理士業務に限つてということでありましようが、従来この第三条二項によつて当然税務代理士になるということになつているわけですね。ですからその従来通りではなぜいけないのですか。
  68. 忠佐市

    説明員忠佐市君) 先ほども申上げましたのでございますが、弁護士法が改正になりまして昭和二十四年から施行されております。当時税務代理士法がありますにかかわらず、弁護士法の改正が單独に行われました。これにつきましては必要とするいろいろの手続の面において弁護士法規定税務代理士法規定の間には多少開きが出て参つたわけでございます。その開きはどうしても塞がなければならないということで、今度の税理士法案を立案いたしました次第でございますが、いろいろと弁護士会のほうの御意向も承わつて参りまして、傾聽に値いする意見であるということを考えますために、登録をするという規定を一応置きますと同時に、当然に弁護士税理士仕事ができる。資格といたしましては登録をいたしますれば弁護士税理士資格が二つになる。登録をいたしませんと弁護士一つ資格である。併し行政上必要とする法律上のいろいろな手続、例えば脱税相談禁止するとか、報酬最高制限従つて頂く。そういう必要上或いは帳簿を検査するとか。報告を求めるという規定が当然入つて参るわけでございますが、その税理士業務に関する最小限度の点につきましては、やはり行政上の一応の法的規制従つて頂くことが必要且つ適当である。このような見解に達しまして、衆議院法務委員会大蔵委員会との間において、それが現在の状況におきまして公益上必要である。かような結論に達したような次第でございますので、いろいろと御意見のあるところはございましようが、現在の線といたしましては、解決の方法は一応これでついておると考える次第でございます。
  69. 木村禧八郎

    ○木村禧八郎君 そうしますと、登録をしなければ弁護士はですね、今度はこれは登録通知に変つたようですが、それをやらなければ今度は弁護士は当然税理士業務を行うことができない、こういうことになるわけですか。
  70. 三宅則義

    衆議院議員三宅則義君) 今お話になりました通り原則としては当然できるのでありますが、今申されたように、登録するか或いは通知をして然る後にやるというふうに税理士法では考えておりまして、そういう資格は勿論あるわけですが、実際面において行政面を担当することになりますから是非そうして頂きたいという趣旨で立法したものと考えております。
  71. 木村禧八郎

    ○木村禧八郎君 それで実際の問題としてですね、又弁護士弁護士立場というものがあると思うのですが、立場というのはそれはもつと根本的な立場ですけれども、この決議書にもいろいろ書いてございますが、そういう立場がやはり基本的に制約される。こういうことになると問題が單に税だけの問題でないと思うのです。ですからそこが非常に重要な問題になると思うのですが、この点は衆議院のように仮に修正されるにしても日本弁護士会のほうでは反対であるというふうに決議してあるんですよ。これはその弁護士会とのほうの関係はどうなつているんですか、関係というと変ですけれども、今後そういう場合においてですね、そういう場合に、これをまあ実施した場合です。弁護士とのほうのあれはどういうふうになるか。
  72. 三宅則義

    衆議院議員三宅則義君) 私どもはこれを作ることに非常に苦心をいたしまして、御承知通り昨年から慎重審議をいたしておりまして、この草案を書き上げるまでには十数回連絡会議を開き、若しくは字句の訂正等をいたしておるのでありまして、勿論最後の段階には法務委員のかたがたにも御出席を願いまして、大体これを作るときに登録は仕方がありますまい。又会へ入ることも仕方がありますまい。こういうことの了承の下に書き上げたわけでありまして、全会一致で通るわけでありましたが、その後弁護士会かたがたから申出がありましたと見えまして、法務委員会のほうからももう少しく修正してり頂きたいということがございましたので、衆議院修正になりましたように、妥協案ができ上つたわけでありまして、これで以て弁護士のほうのかたがた、法務委員のかたがたも満足である。大蔵委員のかたも不満足ではあるが、弁護士のほうの委員のかたが満足ならば我々も呑もう、こういう線で妥結したわけでございまして、政治は勿論妥協ということも必要でございますからして、この辺で一つ了承願うためにやつたということを御記憶願いたいと思います。もう一つ附け加えて申して置きますが、この法案を作る根拠になりました点は、過日第五国会だつたと思いますが、衆議院を通過して参議院大蔵委員会で、当然できるという税務代理士業務を削つて参議院から衆議院のほうへ回付案が参つたのでありますが、それがたまたま国会の最終日でございましたので、午後十時に参りまして、他の法案と一緒にやりましたからして、この弁護士法の一部改正の、いわゆる参議院修正案を呑むことができなくて、一括して七法案とも衆議院の議決通りということになりました関係上、折角参議院で御修正下さつたものも一応現行法のように弁護士法なつたわけであります。その後いろいろ折衝を重ねた結果、税理士適用に是非こうしたような点を活かしたいというわけで、原案ができたわけでありまするが、その後申上げたような結果によりまして、衆議院におきましては両方で妥協ができた、いわゆる法務委員会大蔵委員会も妥協ができて、こういうふうになつておりますから、恐らく弁護士会の各位も、これは国民の代表でありまする衆参両院でできた以上は御了承願えるものと私は信じておる次第であります。
  73. 木村禧八郎

    ○木村禧八郎君 一番問題になる点は、弁護士法の第三条第二項が、仮に実質において削除に等しいということになる場合ですね、問題は結局税関係についていろいろな訴訟とか紛争とか、いろいろ起きた場合に保護してもらう人の立場ですね、立場監督権の一部が国税局長又は税務署長に一部を取扱わしめるようになつた場合に、現在より不利になるのではないか、この点だと思うのですが、そのことがはつきりすればそう問題ではないと思う。私今までの経過は知りませんから皆さんすでに御質問してあるかも知れませんが、全然白紙で御質問しているのです。その点はどうなんですか。
  74. 三宅則義

    衆議院議員三宅則義君) 私から一応御説明申上げまして、あと説明員のほうから説明があると思いますが、我我といたしましては是非ともこの正しい納税、こういうことを基本的に考えまして、シヤウプ勧告案にもありまする通り自分の税は自分で計算をして出す、こういうのが根本でありまするが、たまたま自分の税金を自分で計算する能力がない、若しくは法令等において不十分な場合には税務代理士がやる、今日の税理士に頼んでやつてもらう。これが中心でありまして、この法を守る点につきましては、弁護士さんが在朝法曹と同じように人事の交流まで弁護士さん出身にして、又判事検事さんと同様な年限がありまするならば、これは最高の地位にもつくことができますように、裁判所のほうは改正になつておるわけでありますが、将来において我々といたしましては、税理士出身者におきましては、或いは税務署長にもなり、国税庁長官にもなり得るというような線まで高度に持つて行きたいというのが、立案者の根本の理由であつたわけでありますが、まだそこまでは行つておりませんが、我々といたしましては、税理士は公正にして、納税者の本当の味方である、正しい味方である、国税庁長官若しくは税務署長は官僚風を吹かすべきではない。正しい要求に対しては真正面からこれにぶつかつて直してやる、こういう公平な見地に立つてやろうというのが、税務代理士を作りました根本趣旨でありまするので、必ずしも納税者が不利になるとは私どもつておりません、又税務官庁職員も税理士法の確立によりましてますます自粛自戒し、又納税者の便益を図るために邁進するであろうことを信じておる次第でありまして、何とぞ今後とも人事の交流等においても丁度弁護士さんが、司法部内におきまして在朝在野を問わず同様に取扱われますと同様に、我々税理士会出身者が将来特に立派な行政官署の地位にも就き、交流できるのだという線にまで持つて行きたいというのが理想でありまして、何とぞそういう理想の下に立案いたしたのでありまするから、御心配のことがないように取扱いたいと、今日は考えております。
  75. 忠佐市

    説明員忠佐市君) 只今のお考えを敷衍させて頂きまして、法律上の問題を御説明させて頂きたいと思いますが、先ほどお話になりましたように、この税理士法規定弁護士法の基本の線に触れる心配はないか、こういうお尋ねでございますが、これは我々は絶対にないと考えます。法の整備をいたしまして、国民の基本的人権を護るというような弁護士の本来の職責に照らしまして、税理士は何にもその点に触れていない、ただ税を通じて考えられます行政事務について、弁護士のかたが納税者のいろいろと利益を申出たことと同時に、国家の法律を正しく守つて頂くという場合におきまして、やはり本当に納税者の味方であり、或いは国家の法律の擁護者であるというような立場からお仕事をなさつて頂くにつきましては、登録の際にいろいろの要件を一応調べさして頂くとか、或いは弁護士会国税局長通知をいたしまする際に、弁護士会が独自の判断を加えて頂くということは、成るほど当然に税理士業務が行えるという規定の上からは多少制限のような嫌いがあると思います。併しそれが弁護士の本来の業務の執行であり、且つ税務行政を適正に行う、これによりまして財政を通じた国家法秩序というものが守られる点におきまして、弁護士法は嚴然としてその本来の機能と使命を担うべきものである。税理士法はそれをより妥当に弁護士法の運用というようなことについて役割を果すというような信念を持つております。従いまして字句の点におきましては、多少不釣合の点はあろうと思いますが、実質に遡つて考えますれば、只今のような御懸念は毛頭ないのではないか、かように確信を持つておる次第でございます。
  76. 木村禧八郎

    ○木村禧八郎君 この人権を守る弁護士業務として、最近では税の問題は相当大きいと思うのです。非常に大きいと思うのですよ、実際を見まして。従つてそういう場合に人権を守る弁護士業務において非常に大きなウエートを持つて来ておる税の問題について、その保護、擁護しなければならないほうの立場の人が国税局長とか、税務署長に監督を受けるような立場に置かれるということは一つの制限になるのじやないですか。
  77. 三宅則義

    衆議院議員三宅則義君) ちよつと申上げますが、我々といたしましては、立法者としては別に弁護士さんを監督するという意味ではないのでございまして、例えば例を申しまするが、反税運動とかいうようなふうに、弁護士さんの地位を利用してやられるような人は、或いはそういうことは遠慮してもらうかも知れませんが、普通の人に対しましては絶対にそんな権限を持つて拒否するというようなことはないのでありまして、いわゆる国策に順応する人に対しましては、決してそんな馬鹿なことは毛頭考えておりませんからして、先ず弁護士さんの基本的要件については侵害していないと、かように私どもは了解しておりますから御了承願いたいと思います。
  78. 木村禧八郎

    ○木村禧八郎君 今反税運動とかいわれますが、そういうものは国税反則取締規則ですか、そういうところで罰せられるのであつて、そういうことを防ぐことはこういう規定を設けなくてもできることじやないのですか。
  79. 三宅則義

    衆議院議員三宅則義君) やはりこの税務代理業務を行います税理士につきましては、まじめに納税者の味方になり、又国家の要望いたしまするところの徴税方法にも努力するという線を強く出したいという意味におきまして、かようにしたのでございまして、決して弁護士さんが拒絶するとかというような気持はございません。ただこういう点を一つ御心配があると思いますから申上げておきますが、二枚看板になつて税金が殖えちや困る。こういうのがありまして、例えば弁護士で二万円、税理士で二十万円、こんなふうになつたんじや困るから、何とかしてくれという意見もあつたのでありますが、私どもは二枚看板だからといつて必ずしも二重にするとは限りません。正当な税金の計算をいたしまして、正しい納税にするという点を考えておりまして、税務署長若しくは国税庁長官が、二枚看板だから二倍出せというような、そんな馬鹿げたことを言うことはありませんし、正直に申告してもらう。この点を強く出しまするためにいたしたわけでありまして、繰返して申しまするが、弁護士さんの権利は決して害していない。かように考えておる次第であります。
  80. 木村禧八郎

    ○木村禧八郎君 具体的にいいますと、いわゆる反税運動はいろいろな形があるかと思うのですが、そういうものはやはりこういう形で一つ予防しよう、こういう意図もあるわけですか。例えば弁護士の人で左翼の弁護士がある、そういう弁護士税理士なつた場合、税の問題を取扱う場合、そういう人が非常に強硬に納税者立場に立つていろいろ反対する、又不当な課税、そういうものを擁護する場合、そういうような場合、それはそういうことは困るというのでそれを予防する、あらかじめ、こういうような考えも含まれておるかどうかなんです。
  81. 三宅則義

    衆議院議員三宅則義君) ちよつと申上げておきまするが、納税に関して極端に反税運動をするような人は勿論そういうことになろうと思いまするが、正しくいたしまして、税法規定してありまする事柄、若しくは税理士法規定してあるところによつて正々堂々と……、おつしやつたようには、決してそんなことはありません。ただ民衆の先頭に立つて赤旗を振つたりなんかして煽動されることはかなり過去にあつたのでありますが、そういうかたは多少遠慮願わなければならんと思いますが、正しい要求に対しては絶対にそういうことはないと思います。
  82. 木村禧八郎

    ○木村禧八郎君 それは正しい、正しくないは実際問題として非常にむずかしいと思うのです。どこが反税運動で、どこが反税運動でないかということは非常にこれは事実問題として取上げなければわからないのですが、私は、そういう片方で国税反則取締規則みたいなものがあつて十分なんだと思うのですが、併し税の問題については、よほど納税者立場というものは今苦しいわけなんです。苦しいわけであつて、これを擁護し、保護するほうの立場をこれを弱めるということについては、我々相当考えなくちやならないのですが、併し勿論それが非合法な反税運動ということになれば、これは問題外でありますけれども、併し成るべくその保護する、擁護するほうの立場を少しでも強くするほうが我々としては希望するのであつて、それを弱める方向に少しでもこれによつてつて行かれるということになると、結果は却つて悪くなる。今まで通りであれば弁護士弁護士立場として、相当納税者のほうの立場を守り得るけれども、勿論今度は登録或いは通知によつて国税局長或いは税務署長の監督を受けるようなことになれば、仮にそういうことになれば擁護しにくくなると思うのですね、従来よりは。そこが一番問題じやないかと思うのです実際問題として。その点がむしろ注意されるわけで、それが何らの実害がないということになれば、そう問題にならないわけですが。
  83. 三宅則義

    衆議院議員三宅則義君) 私どもは決してそういうふうな実害はなくて、正しい方向に納税者を導き、又国家のほうもそういうような正しい税務代理に対しましてはよく奨励いたしまして、税の円滑を期したい、かように思つておりまするから、只今のような御心配はなかろうかと今日は考えております。
  84. 忠佐市

    説明員忠佐市君) 只今のお懸念御尤もだと思います。それで法的な措置といたしましては、税理士法の条文の中に代理の権限をはつきりさしてございます。従いまして代理の権限におきまして認められておる税理士法の権利は、これは法律にあらざれば動くことができない。従いまして、代理の権限が一旦与えられました以上は、どこまでも本来の職責がお盡しになれる。その点について行政部門における干渉というものはございません。但し先ほど申上げましたように仕事につきまして御報告を頂くとか、或いは帳簿を付けて頂く、かようなことになりますが、これはもう当然そういうことをなさつて然るべきであつて、毫も行政権による干渉ということはないと考えます。さような見地に立ちまして、事務的に多少の煩雑はあろうかとは思いますけれども根本的に正当にお仕事ができるという場合におきましては、本来の地位に対して何にも制限が加えられないと考えます。その前に通知或いは登録というような行政手続が必要だという問題がございますが、これは行政庁にとりましても、或いは国家の財政、国庫の側といたしましても、税がどの程度円滑に適正に行われるかどうかということは非常に重要な問題でありますので、どなたが税の仕事をなさつているかということをはつきりさして頂くために、このような措置が必要である。而もその際過去において何びとが考えましても行過ぎであるというような、秩序を破壊するような行為のありました場合におきましては、そのようなかたが税のお仕事をなさることは少くとも好ましくない、その点だけははつきりとさせたいというつもりでございまして、そのような懸念がない場合におきましては、只今三宅議員からお話がございました通り、何にも痛痒を感じないでいいはずだと、かように考えられるわけであります。
  85. 小林政夫

    小林政夫君 今の好ましくない人に税理業務をやらさないということは何によつてできるわけですか。
  86. 忠佐市

    説明員忠佐市君) この登録の場合におきましては、過去において脱税その他の事項が明らかであつたという場合には、登録をしないという規定がございます。通知の場合は明確にそのようなことはございませんが、弁護士会を経て国税局長に御通知をなさつて頂く場合に、弁護士会のお考えによりまして通知がいつ国税局に参るか、そのような一応の御判断が入るのではあるまいかというような気がいたします。
  87. 小林政夫

    小林政夫君 それと関連いたしまして、今度の改正案によると、最後の三十一項の「弁護士法の一部を次のように改正する。第六条第三号中「税務代理士であつて許可を取り消され、」を「税理士であつて登録を取消され、」に改める。」と、こう書いてありますが、登録している人はそうなるが、通知だけでやつている人の場合はおかしくないですか。
  88. 忠佐市

    説明員忠佐市君) 通知の場合におきましては、先ほど申上げましたように、税理士法規定によりまして、例えば処罰を受けるという場合におきましては、それが弁護士法の六条の本文によりまして、弁護士資格を失うと、かような結果になります。多少道は廻りくどいわけでありますが、法的な措置といたしましては、結局同じ結果になると、かようなことを一応考えております。
  89. 小林政夫

    小林政夫君 そうすると、今の弁護士会、先ほどの話でも弁護士会通知を取継ぎまして、自主的に弁護士会においてそういう不適任者は通知させないようにする、ということを期待されているわけですね。が併し、それだけの弁護士会というものを重んじられるとするならば、午前の議論に帰るわけですが、特に通知を法的に強制するという根拠が甚だ薄弱になると思うのです。ただ誰がやつているか、という範囲を知るだけになるということに私はなると思う。而も附則第三十一項で改正されようとしているいわば税理士としての資格を失つたものは、当然弁護士資格を失うのであるというところまではつきりしておくならば、通知義務を課さなくても、何か悪いことがあつた弁護士をやめさせるということによつて、十分税理士としての職務を弁護士さんが行われる上においての監督というか、牽制ができると思うのですがね。
  90. 忠佐市

    説明員忠佐市君) 一応御意見としては只今のような御意見が立ち得るかとも考えましが、しばしば繰返して申上げます通り、一応行政面においてはつきりとそのお立場を明らかにしておいたほうが適当である。そのお立場はつきりするという前提に立つて、又それに対応する法律規定を設けて参る。これが現在の段階において一応の結論としては正しいということを考えておるわけでございまして、御意見の点につきましては、なお将来研究をさして頂きたいと、かように存ずる次第でございます。
  91. 木村禧八郎

    ○木村禧八郎君 国税庁長官監督に付することになる、その監督に付するという場合は具体的にどういうことなのであるか、これを聞きたいのです。それがわかれば相当問題がはつきりすることと思うのです。
  92. 忠佐市

    説明員忠佐市君) 事柄は二つございます。一つ懲戒処分を行い得る場合がございます。四十四条の規定によりまして戒告と一年以内の税理士業務の停止というような国税庁長官の処分ができる。その懲戒処分の理由はどういう理由かと申しますと、四十五条に書いてありますように、税理士というのは弁護士と読替えることになるかと思いますが、弁護士が「故意に、真正の事実に反して税務代理若しくは税務書類の作成をしたとき、」という、これはもう明瞭に不正の事実があつたことに、なると思います。それからもう一つ脱税について指示もし、相談をしその他これに類似する行為があつた場合、このような場合においては国税庁長官税理士業務について戒告し、或いは税理士業務の停止をするとかようなことになる次第であります。それからその二は、手続上の関係でございまして、第五十五条、提案は五十四条でございますが、修正案が出ておりまして、五十五条に相成ります。この規定によりまして、その行う事業について勧告し、それから質問し、帳簿書類の検査をすることができるという規定がございます。併しこれは行政上の調査材料を集めるだけでございまして、これによつて根本的な監督というような問題は起らない。従いまして弁護士本来の地位というものには何らこの点は容喙をするものではないというように考えておる次第でございます。
  93. 木村禧八郎

    ○木村禧八郎君 そうしますと、若し懲戒処分を受けた場合、税理士業務の停止、そういう場合、当然弁護士税理士に今までなれることになつてつたのですが、税理士業務を停止されることは、先ほどお話があつたように弁護士業務を停止されることになるのですか。
  94. 忠佐市

    説明員忠佐市君) 通知をいたしました弁護士のかたが、一年以内の税理士業務の停止を受けました場合は、弁護士資格はその後お持ちになります。資格は失いません。ただ弁護士のかたが登録をして税理士資格をお持ちになり、そうして税理士登録の取消しという処分がございます。登録の取消しを受けました場合は、弁護士資格を一定の間失う、かような規定になつております。
  95. 木村禧八郎

    ○木村禧八郎君 ですからこれは非常に重大な問題じやないのですか。若しかこれが正当にやればよいが、若し間違つて適用されたら、非常に重大な弁護士業務に対する制約になることが明らかだと思うのです。これは非常に重大な問題だと思います。もう一つ税理士法の第三十六条ですが、「税理士は、脱税につき、指示をし、相談に応じ、その他これらに類似する行為をしてはならない。」この場合脱税ということの認定を誰がやるのですか。
  96. 忠佐市

    説明員忠佐市君) 第一点第一点の問題は、これは私たちはさようには考えておりません、と申しまするのは、現をの弁護士法において、税務代理士であつて許可を取消された者は弁護士資格がないと規定しております。それを税理士に改められました結果、税理士であつて登録を取消された者は資格がないというように一応法文の整理をいたしただけでありまして、実質的には従来の改正と同じでございます。ですからこの点については只今の御意見のようにはならないとまあ考えます。それから第二の問題の、脱税相談の、脱税の認定如何という問題でございますが、これは法文の上から申しますれば、二通り結論が出て参ります。先ずこの三十六条につきましては、罰則といたしまして五十八条の規定がございます。五十八条で、例えば三年以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処するという場合には、これは検察官の起訴によつて裁判所に事件が繋属する、従つて裁判官が判断をすることになります。なお一面におきましては、この規定と、先ほど申上げました四十五条の規定によりまして、国税庁長官懲戒処分ができる。従いまして裁判所の認定と、それから国税庁長官の認定と二つあるわけでございます。従いまして結論といたしましては、脱税という問題は先ず裁判所において如何なる判断をなすべきかということによつて国税庁長官が事実上覊束されるのではないか、かように考えます。さよういたしますれば、脱税と申しまするのは現在の段階において考えられておりまする、故意に税金を免がれたというあの場合の範囲を以て、特に正当に納むべき税を免がれたという解釈が当然そこに入つて来ていいと考えております。
  97. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 関連して……、只今の忠さんの前の答弁のうち、ちよつとお聞きしたいのですが、税理士であつて登録を取消された者は弁護士資格がなくなるのですが、若し登録しないで通知だけの弁護士はどういうふうになるのですか。
  98. 忠佐市

    説明員忠佐市君) その点はかようになるかと思います。登録の取消しという規定が、通知をいたしました弁護士のかたには適用ございません。従いまして、登録の取消しによつて弁護士資格を失うということは起らないはずでございます。ただ一年以内の業務の停止というような懲戒処分を並行して税理士法の他の罰則規定に触れれば刑事処分を受ける。その刑事処分を受けた結果、弁護士法の六条に該当いたしまして弁護士資格を失うと、かようなことが起る場合がありはしないか。法律解釈といたしましてはさように考えられる次第であります。
  99. 木村禧八郎

    ○木村禧八郎君 それは従来と同じ事柄、実質には変らないといいますけれども。今度は国税庁長官監督に服するから、そこで問題が重大になると思うんですよ。従来と私は違うと思うんです、ここのところが。それで、国税庁長官監督に服して、さつきのような規定適用される。そのために或いは登録を取消されたり、業務を停止されたりして来るわけですね、ですからその影響は非常に大きいし、これまでと違うわけだと思うのです。それを同じということがあつたけれども、私は違うと思うのです。ですからこの影響するところは大きい。国税庁長官監督に服したがために……。今お話では、通知の場合にも、結局あれは弁護士法ですかの六条かに今おつしやつた適用があつて、結局弁護士資格も取消されるというふうなこともあるということになつておるんじやないですか。
  100. 三宅則義

    衆議院議員三宅則義君) 私先ほども申したのでありますが、この前第五国会の時に、当然できるというのを、参議院大蔵委員会で御修正を願つたわけでありまして、弁護士はやはり登録をしてやると、こういうふうになつたわけでございましたが、その後におきまていろいろな事情で、先ほど申したように国会の最終日でありましたために、一応参議院修正を呑むことができず、全部蹴つたわけでありまして、かような法案なつたわけでありますが、全体から考えまして、是非登録をして頂くことが我々といたしまして望むところでありますが、それを妥協案といたしまして、通知を以てこれに代えるというふうにいたしたわけでございますからして、多少のそこに食違いがあるかと思いまするが、この精神に対しましは、弁護士のかたも税務代理ができるということは当然認めておりまするが、その行政上は税務代理士いわゆる税理士の範囲というふうに限定いたしておりまするから、御了承願えないものでございましようか。特にお願いいたします。
  101. 忠佐市

    説明員忠佐市君) 只今の三宅議員のお考えはこうであろうと思います。実は弁護士のかた、公認会計士のかた、或いは試験を受けて税理士のお仕事をなさるかたがございますが、一応弁護士以外のかたで税理士仕事をやつて参りますることにつきましては、行政上必要ないろいろな法的規制に服すると、弁護士が当然に税理士業務ができまする場合において、同じ仕事をしておる場合に、他の人に適用される法律適用されないでもいいかという問題になつて参りますと、やはり行政上必要とする一応の法的手続には同様に服する必要がある。この範囲を出でないわけでございまして、それが弁護士という本来の資格その他について制約を与えるものではないと、まあこのような観点から、只今お話されたものと考えております。
  102. 木村禧八郎

    ○木村禧八郎君 実際問題としてこれを厳密にやつて行けば、解釈して行けば、脱税について指示をしたり何かしちやいけないということになるというのですけれども、この脱税というものの規定が厳重になれば、今まで税理士とか弁護士とか、そういう場合は、多くは常識として如何にして税金を負けてもらうかということが頼みに行く大部心だと思うのです。それではどの程度が合法的な脱税であり、どの程度が非合法の脱税であるかは問題であると思うのです。勿論政府でも、法律脱税を許しておるのですから、脱税を許すというのは少し変かも知れませんが、許しておるんですから、例えば前のシヤウプさんの勧告した無記名預金とか、そういうものがあつたんですから。あるのですけれども、これもこの範囲がはつきりしませんと、これは非常に大きな問題となるのです。脱税ということをどういうところを以て脱税というのかですね。
  103. 忠佐市

    説明員忠佐市君) 御尤もの御心配だと思います。それで実は先ほども申上げました通り脱税は如何なるものを以てそれと考えるかということにつきましては、大体において裁判所の判例が確立したと思います。申告納税でございますと、申告書を故意に僞つて、低い申告をして、本当に納めればこれだけであるという税を免かれるということでございます。従いまして一応相談を受け、或いは代理をするという場合におきまして、本当め税額はこれだけであるということがわかつておるにもかかわらず、殊更に低い申告を出してやつたら、或いはその事実を強調いたしたりいたしますれば、これは脱税ということに相成るのではないか。現在の刑事判決によつて確立されかけておりますところの脱税考え方が、やはりこの条文の解釈の基礎になるものである、かように考える次第でございます。
  104. 大矢半次郎

    ○理事(大矢半次郎君) ほかに御発言もないようですから、質疑は盡きたものと認め、直ちに討論に入ることに御異議ございませんですか。ちよつと速記をとめて。    午後三時十九分速記中止    —————・—————    午後三時二十九分速記開始
  105. 大矢半次郎

    ○理事(大矢半次郎君) 速記を開始して下さい。
  106. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 御存じの通りに北海道開発法案が出て参りまして、そのために五日間会期延長をされているのですが、この問題はほかの地方行政、建設その他各委員会と連合審査をやつているのですが、大蔵委員会でも関連する事項が相当たくさんあると思いますので、大蔵委員会もこの連合審査に参加することをおきめ願いたいと思いますが、そういう提案です。
  107. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 結構なんですが、具体的にはどういう点が重要なんです。
  108. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 一番問題は地方税の負担が殖えるかどうかという問題に関連して、租税徴収の現地徴収の問題と、それからもう一つは直轄事業は全部中央で一括してやるということになつておるのです。そうすると土木請負業者等の問題に関連して、現地の資金の問題やら金融上の問題も相当出て来るのです。それらの問題で、税の問題とそういう金融との問題で、それと関連する事項があるから、それに関連した質疑等は大蔵委員会としてもはつきりして置いたほうがいいのじやないか、そういう意味提案したのです。
  109. 大矢半次郎

    ○理事(大矢半次郎君) 佐多君の動議に皆さん御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  110. 大矢半次郎

    ○理事(大矢半次郎君) それでは連合委員会に加わることを要求して置きます。   —————————————
  111. 大矢半次郎

    ○理事(大矢半次郎君) 次に日米経済協力問題に関する件を議題に供します。通産政務次官がお見えになつておりますからして、御質問があつたら御発言願います
  112. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 日米経済協力について先般周東安本長官から政府の方針についての意見は承わつたのです。併しながら安本長官と別の角度から最も関連の深い通産関係意見を今日は承わりたいと思うのでありますが、政務次官といたしまして具体的に御説明願いたいのは、日米経済協力によるところの、日本からアメリカに出すところの品物はどういうものが一体対象となるか。更にそういうものに対する資材をどういうふうにするかという点と、それに関連しての資金問題、この三つの点について御意見を承わりたいと思います。
  113. 首藤新八

    政府委員(首藤新八君) 日米経済協力問題につきましては、最近非常に具体的に進行しておるかのように伝えられておりまするが、今日まで政府と司令部との折衝の結果におきましては、まだアウト・ラインを一応承知したという程度に過ぎないのであります。従つてども個々の問題につきましてかれこれ申上げ得る段階には到達していないのであります。ただ実際承知しておりますアウト・ラインの範囲内において申上げますれば、日本の産業進展のためには、特にアメリカ側は熱意を持つておる。従つて可能な範囲内において日本に発注をいたしたい。そうして発注のためには発注の調整機関を作り、且つ日本にその支部といいますか、発注事務所の一部を日本に置く、但しこれは相当時間を要する。そこで日本側におきましても先方の発注機関に即応するような受注の調整機関を作つてもらいたいということ。更に購入方法は一般の入札に付するのでありまして、いわゆる競争入札でございまして、日本に特典を与えない。日本の現在の物価から見ますと、相当困難があるのではないかど考えられるから、少くともインフレが急速に終息するような措置を講じて、この入札に応じ得るような態勢をとることが最も必要である。これがためには原料の輸入に対しましては特に関心を持ち、特に戰略物資の原料の獲得に対しては金融面にまでできる限りの便宜を与える。更に電力の問題は一応議論の段階が済んで、プライベートに金融の借款の交渉を進めておる段階に到達していると思うのです。更に原料の獲得はできるならば東南アジアを積極的に日本の力によつて開発することが望ましい。これがために必要とするところの金融に対しましては、できる限り援助をいたすという天体アウト・ラインでありますが、大綱の指示は受けておるのであります。従いまして、只今質問にありました、どういう種類のものに発注があるのかという個々の問題がまだ決定しておりませんが、少くとも今日までの折衝の上で受けた感じからいたしますれば、やはり戰略物資が相当多いのではないか。そうしてその戦略物資の原材料は先ほど申しましたごとく、できる限りそれが獲得に、金融面におきましても、或いはその他の面においても、便宜援助を与えるということになつておるのでありまして、只今通産委員会に御審議を願つておりますところのニツケルの販売価格を特別の安値で販売するという法案をお願いしておりますが、これらもその一環でありまして、特に特需用として三百六十トンの輸入が近く行われるのでありまして、これらのものは原価に諸掛りを加えた値段で、それぞれの需要家に配給をいたすということになつておるのでありまして、おおむねこれに似たような国際価格にマツチできまするように、政府としては今後とも行政面において格段の措置を講じたい、そうして戰略物資のみならずその他の物資も国際価格を以て入札のできまするような態勢に指導して行きたいというふうに考えております。  それにもう一つは、東南アジアの資源開発と併行いたしまして、東南アジアにも日本からの製品を供給いたしたい、或いは今日までアメリカに東南アジアから発注しておりました、いわゆる注文しておりました民需物資も、今後アメリカの軍需生産の速度如何によつては、当然日本に相当のものが振替られて来るのではないかというような気持もいたしまするので、それに即応いたしまするために、現在から準備をやつて置きたいと、かように考えておるのでありまして、先ほど申上げましたごとく、まだ業種の個々については何ら明確にお答えできまするような指示を得てはいないのであります。
  114. 大矢半次郎

    ○理事(大矢半次郎君) ちよつと速記をとめて。    〔速記中止〕
  115. 大矢半次郎

    ○理事(大矢半次郎君) 速記を始めて。
  116. 木村禧八郎

    ○木村禧八郎君 只今大体のアウト・ラインをお伺いしましたが、一番重要な点は価格の面ですが、国際価格で入札できるような措置を講じなければならないというようなお話でございましたが、大体この今の日本の物価水準ですね、国際価格と比べてどの程度の開きがあつて、どの程度までそれを抑えなければならないが。そのことについてはまあ間接統制ですね。金融措置とか、財政措置その他等ございますが、通産省あたりではこのニツケルの問題もその一つかも知れませんが、使用制限とか、その他そういう統制面の問題もやがて起つて来るのではないかと思うんです。そういう国内物価を国際物価に鞘寄せるその大体の方針、それはどういうふうにお考えになつておりますか。
  117. 首藤新八

    政府委員(首藤新八君) 御承知通り現在は、自由経済を自由党は原則としております。同時に物の輸入は民間貿易に委託しておるのでありまして、少なくとも現在の輸入品は、ことごとくが国際価格とマツチしておると考えていいと思います。従つてこれらのものに対して、統制をやつたからといつて、それがために値段が下るということは到底期待できないのであります。ただ日本の特殊需要と申しますが、鉄鋼のようにあらゆる条件が非常に不利な立場におかれておる、これも昨年までは中華のほうから原料を獲得いたしておつたのでありまするが、昨年十一月に中絶をいたしました関係上、爾来アメリカから強粘結炭、或いは鉄鉱石の大部分を輸入しておるのでありますが、中華から輸入いたしまする場合には、運賃が大体四ドル、或いはインド辺から輸入いたしますものは七ドル乃至八ドルであつたのでありますが、アメリカから輸入いたしまする結果、尤もその後世界的に運賃の非常な上昇を見ましたが、二十三ドルというような高運賃の時代がありました。而もこの高い運賃を払つて輸入いたす。更にその製品を又同じ高い運賃を以て輸出するということ自体が、日本としては、殊に鉄鋼事業にとりましては、非常に悪い条件でありまして、これらが金融措置その他の対策を以ちましても、到底その原因は解消できにくいのでございます。司令部のほうからはインフレを終息してもらいたいという強い要望があります。従つて他のものにつきましては、政府として可能な金融面、或いはその他生産の合理化等々につきましては、格段の指導が可能でありまするけれども、かような根本的な悪い条件を解消することは到底至難であることは考えられまするので、一応その点は日本の特殊事情を詳細に説明いたし、併せて今後これらの悪い条件を漸次解消いたしまするためには、先ほど申しましたごとく、近距離である東南アジアの地下資源の開発に積極的に邁進すべきである。こういうことによつて安い原料を獲得いたし、そうしてできる限り速かに国際価格にマツチするような方針を進めて参りたい、かように考えておるのであります。
  118. 木村禧八郎

    ○木村禧八郎君 もう一つ先ほどのお話で、日本の力で東南アジアを開発することに努力をして欲しい。こういうお話でありましたが、前にいわゆるポイント・フオア計画によると、結局アメリカがアジアに相当援助した、それがこつちへ廻つて来るという御説明であつたと思いますが、先ほどの御説明では、日本の力で東南アジアを開発する。そうすると日本から相当機械とかそういうものを輸出するわけですね。そういう場合の資材関係ですね。こういうものはアメリカのほうから面倒を見てくれるのかどうか。
  119. 首藤新八

    政府委員(首藤新八君) この点は明確になつておりませんが、一応原則としては、日本から設備その他を輸出いたして、そうして直接開発してもらい、そうしてできた、それによつて生産した原材料を日本へ輸入するという建前をとつております。但し急速に日本でそういう設備ができないものが仮にあるといたしましたならば、アメリカから輸入することも困難ではないかという見通しであります。
  120. 木村禧八郎

    ○木村禧八郎君 黄田さんがこういう問題に関連して何か言つたようですが、物資割当の問題ですね、これはどうなんですか、黄田さんあたりから何かその報告でもございましたかどうか。この物資割当の問題は今どういう方向にあるのでしようか。
  121. 首藤新八

    政府委員(首藤新八君) 黄田ミツシヨンの今タツチしておりまするのは、主として国際物資の割当であります。今日まで日本がこれに関与して、供出の義務を負いますのは硫黄であります。その硫黄を今国際物資割当会議の要望の数量と、日本の生産、国内の消費、それを計算いたしまして、どの程度を決定するか。向うの要望するだけ供給できないのじやないかという点を折衝しておりますが、その他の問題についてはまだ具体的に要望しておりません。
  122. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 大体御説明は伺つたのですが、私の一番心配するのは、アメリカで以て今度の特需問題で日本に協力を仰ごうという場合に、日本のインフレを抑えるということは大体わかつたのですが、ところがインフレを抑えるのじやなくて、非常に物価を安くして買取りたいというふうなところまで行つてしまうと、何のために日本が協力するかわからなくなつてしまうのですけれども、そういう点に対する通産省側の見解なり、見通しなりをこの際聞かして頂きたいと思います。
  123. 首藤新八

    政府委員(首藤新八君) 油井委員の御質問通り、現実に国際価格そのものを適用されますると、日本の経済界に与える影響は極めて深刻ではないかというような点は考えなければならんと思います。従つて政府といたしましては、でき得る限り国際価格にマツチできまするような指導は今後も極力進めますが、併しこれは飽くまでも自由入札でありまして、引合わないにもかかわらず是非とも入札しなければならん。こういう強制命令はないのであります。企業体の自由でありますから、どうしても引合わないということでありますならば、勢いそれは入札をやめ、又入札しても落札しないということになりますから、これがために日本の経済に非常に圧迫を加えるということはあり得ないと考えております。と同時に先ほど申上げましたごとく、東南アジアの方面に対しては、改めて販路を獲得いたし、その方面にも大量の供給をいたすような指導を必要とする事態が参つたのではないか、こういうふうに考えておるのであります。
  124. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 最近のこういうためのインフレ政策については、まあ大蔵当局とか、日銀当局あたりで資金面だけで抑制したり、調節をしたりしようとしておるんでしよう。それに対しては通産省側ではどうお考えになつておられますか、現在のままで一番適当だとはまあ賢明なる政務次官はお思いになつていないと思うのですが、これは率直に一つお話願いたいと思います。
  125. 首藤新八

    政府委員(首藤新八君) 油井委員の御意見通り、現在は日本の経済の実態は、インフレと言うよりも、むしろデフレと申上げたほうがそれに的中する要素が多いのではないかというふうに見ておるのであります。現在インフレ的傾向を持つておりますのは、鉄鋼、セメント、繊維、パルプ、極く少数の産業でありまして、而もこれらの殷賑産業はセーラース・マーケツトになつておるのであります。これまでは要するに手彫或いは月末勘定でよかつたものがこれらの産業は昨年来現金或いは即時払というふうに、すべてがキヤツシユ・オブ・デリヴアリー、こういう方法をとられておりまするために、而も資金源は昨年と同様の丘場に置かれておるのであります。そうしてその中からこういう殷賑産業に全部が現金を吸収されておる。もう一つは、昨年に比較しまして物価が三割乃至四割は平均して上昇いたしております。もう一つは、日本の生産指数が昨年に比較しておおむね三割上つておるのであります。もう一つは昨年朝鮮事変勃発以来どうしても経済自立を早めなければならん。それがためには物資の輸入をできる限り急ぎ、できる限り多くしなければならんという考え方から、昨年七月以降本年三月までにおおむね十七億ドルという巨額の輸入を遂行いたしたのであります。これがためにユーザンスその他の措置によつて輸入の便宜を図りましたが、それぞれの期限が大体到来して参つた従つてそういう面にも相当巨額の資金を吸収されるということに相成つておりまするのと、もう一つは、この巨額の輸入をいたしましたあげく、国際物資が大体中だる的反動期に入つておりますので、輸出の頓挫と生産の増加と相待つて、先ほど申上げました特殊の殷賑産業を除いた以外のものは、殆んどがデフレ的な様相を呈しておるのが現状であります。特に金融問題は、先ほど申上げましたごとく、特殊の殷賑産業並びに巨額の輸入資金に吸収されました関係上、その他のものは、一応空白状態になつておる。いわゆる資金源が、先ほど申上げましたごとく、昨年と同一でありまするために、片一方に偏在して、その他の面には空白状態になつておるというのが現在の金融の実相だと考えられるのであります。そこで然らばこれを放任していいかどうかということになりまするが、若しこのまま放任いたしますれば、一般中小企業に与える影響は極めて深刻なるものがあるかとも考えられまするので、通産省といたしましては先般来極力金融の疏通に関しましていろいろの手を打つておるのでありますが、先ほど申上げましたごとく、何と言つても資金源が同一である。非常卑近な例でありまするが、昨年までは三つ子であつた、本年は五つになつたが、五つの子供に三つ子の着物を着せるというのが今の金融状態と申してもいいかと思うのであります。そこでどうしてもこの不足分を殖やすか、或いは延ばしてこの困難な金融の問題を解決しなければ相成らん。そこで資金源を殖やすということは容易ならん問題でありまするので、当面その他の方法によつて金融の疏通を図りたいという考え方から、日銀或いはその他の特殊銀行、或いは為替銀行個々に対しまして通産省としてはそれぞれ今折衝をいたしておるのであります。明後日六月一日にも各銀行の出席を促しまして、当面の金融問題について極力市中銀行の協力を御願いしたいという今準備を進めておるのであります。
  126. 清澤俊英

    ○清澤俊英君 先ほどからお伺いしておりますと、大体戰略物資が中心だとこういうのですが、そうすると、戦略物資というようなものは戰争の危機がなくなればすぐぱたんと行きますが、その際の何かやはり準備はしておられるのですか。
  127. 首藤新八

    政府委員(首藤新八君) 日米経済協力によりまして非常に発注が殖えましても、現在の政府の考え方は、現状で生産余力を以て、余剰の能力を以てこれに充てたいというふうな考え方を持つておりまするから、これがために生産を改めて拡充いたし、或いは新設するというようなことは各企業家とも慎重の態度を以て臨むであろうと想像されておるのであります。従つて仮に将来日米経済協力によつた発注がなくなりましても、これがためにそう大きな影響ありとは考えられないのであります。又同時に、御承知ごとく現在の電力事情から考えますると、この際非常に厖大な発注を受ける能力は日本にはないのであります。それだけに各企業体が特別な設備を殖やすということは考えなくてもいいのではないかというように一応考えておるのであります。
  128. 清澤俊英

    ○清澤俊英君 そうしますと、結論としては今やつているような平和産業と言いますか、こういつたものを切換えてまで戦略物資を生産するという段階は考えていないのですか。
  129. 首藤新八

    政府委員(首藤新八君) 原則的には考えていないのであります。民需物資を圧迫してまで戰略物資をやる必要はないと考えております。
  130. 木村禧八郎

    ○木村禧八郎君 先ほど日米経済協力を達成する条件として、インフレを急速に収束せしめることが要望されているとお話でしたが、今の日本の価格水準が例えばアメリカあたりよりも相当向うで高いと見て、現在の水準よりもつと低くしろ、こういう意味なんですか。
  131. 首藤新八

    政府委員(首藤新八君) 国際価格の水準でありますが、これはまあ日々変りますけれども、大体世界的に毎日動く相場の平均値段だと、こういうふうに考えておりまするから、特に入札価格を国際価格よりも低くするということは考えられないと考えております。
  132. 木村禧八郎

    ○木村禧八郎君 そうですが、大体先ほど油井氏もその点を質問されたのですが、今の物価水準を維持するというのならいろいろなフリクシヨンは起らないと思うけれども、今の価格水準は高過ぎる、ですからインフレを急速に収束せよというような仮に若しか要望だつたら、今の状態をインフレ的に見ている我々としては、インフレとしては今後が問題だと思うのですけれども、そうしますと、今の価格水準をもつと下げなくてはならんとすると、相当ドラスチツクな、金融面と言いますか、財政面でもそういう対策が必要になつて来るので、向うの感じ方が現在の物価水準よりも下げなくてはいけないという考え方なのかどうか。
  133. 首藤新八

    政府委員(首藤新八君) これは司令部の考え方はつきりどうであるということは申上げかねまするが、大体昨年末輸出の非常に大きかつた商品である鉄鋼或いは繊維、これらが輸出の非常な熱狂的な躍進から、国内価格が国際相場よりも遥かに上廻つてつた。特に鉄鋼は、先ほども申上げましたごとく、事情がことごとく日本に不利でありまする関係上、一見、事情を知らないかたから見れば非常にインフレ的な感じを与えたのではないかというふうにも考えられるのでありまして、鉄鋼に対しましては日本の特殊事情をよく司令部のほうに詳しく申上げて了解を求めておるわけであります。繊維のほうは御承知ごとく、最近供給が非常に順調になりました関係上、大体昨今マル公に鞘寄せした、これも一応国際相場に復帰したと申上げてもいいのじやないか。その他のものは、日本だけ特別に高いというものは、先ほど申上げましたニツケル、或いはコバルト、或いはコツトン・リンター、或いは合成ゴム、こういうものがあります。併しこれらは民間で輸入が困難でありますので、今後も緊要物資特別会計によつて、その面で政府が輸入いたしまして、そうして国際価格でそれぞれの業者に配給いたしたいと、かように考えておるのであります。
  134. 木村禧八郎

    ○木村禧八郎君 最近輸出が又ちよつと頭打ちにある。これは原因はどういうところにあるのですか。
  135. 首藤新八

    政府委員(首藤新八君) 的確な原因は承知できませんが、併し常識的に考えますると、昨年朝鮮事変勃発後アメリカの厖大な軍備拡張、これによつてあらゆる物資の需要が急速に増大いたしましたので、それに便乗した各国の買物、更に仮需要と申しまするか。思惑的需要が更に加わつたために一本調子に暴騰して参つた。然るに天体これらの買物も一段落した。特にアメリカはこれ以上高い原料を使用することによつて国内のインフレを助長する慮れがある点に重大な関心を持つて、この高値の現状を、買付を暫らく見送つたということが動機となつて、各国の買控えとなつて、更に又値段が上つたことによつて、それぞれの生産が非常に増加いたしておりますから、昨年の需給のバランスと今年の需給のバランスに相当変化を来たしておる。これらの事情が今日の反転を来たしておるのではないかと一応考えておるのであります。
  136. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 只今お話の物価の高騰ですね。これは繊維製品で最近非常な騰落の激しい状態を現わしておる。一時は、一月二月三月あたりまでは物凄く暴騰しておる。それが今度は反転して、僅かの間に人絹なんか半値になつてしまつたというような騰落の激しいことは、決してこれは日本の経済状態がノーマルではないと私は思う。極く少々の数量の増加、或いは減少によつてこういうふうな状態が出ることはこれは政策上甚だまずいと思うのです。これに対して通産当局として何か大方針を立てた根本方策が必要だろうと思うのです。而もさつきから申しましたように、大抵の場合これの原因になるのは、下落の場合には金融政策なんですね。その金融政策によつて、捲き起さなくてもいい混乱を徒らに助長するというような形になる。正常な事業もそれによつて大分影響をこうむつて来るということになるのです。これは通産当局として大蔵関係、或いは日銀当局に厳重な申入れがあつて然るべしだと思うのですが、今まで余りそういう努力をされていないか、或いは極端に言うと通産当局の力よりも金融関係を握つておるほうが強過ぎやしないか、かように思われるのです。これは一つ率直に御意見を承わりたいのです。
  137. 首藤新八

    政府委員(首藤新八君) 相場の高低の甚だしいことは、もう過去十何年曾つて見ない大きな波瀾だと思います。従つてこれ以上繊維その他が暴落いたしますれば、経済界全般に一つのパニツクを起すのではないかとさえ考えられておるのであります。従つて何らかの措置を講じて、安定さしたいという強い希望を持ちまして、先般来各金融機関には殆んど連日いろいろの折衝を続けております。但し何といつても日本の現在の経済は、その基本をドツジ・ラインにおいておるのでありまして、そういう線から資金源を殖やすということに非常な困難な事情があるのであります。私も先般来日銀総裁その他に数回も会いまして、当面の金融緩和についていろいろ折衝いたしておりまするが、深く突つ込んで参れば根本的にはこのドツジ・ライン、これに行き当りますると、どうにもならんということになつてつておるのであります。従つてこの困難な根本問題をこの際強くゆさぶつて見るよりも、当面の金融を多少延期するとか、或いはその他の方法によつてできる限り緩和するような措置を講ずることのほうが、却つて効果的でないかというふうな気持を持ちまして、先ほど申上げましたごとく明後六月二日には有力な各ローカル銀行の幹部に集まつて頂きまして、そうしてこの問題について特に協力を願つて見たいと、かように考えておるのであります。
  138. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 どうも私の質問の最後のポイントのところをごまかされちや困るのですが、大体金融機関のあり方というものは、ものが上るときは幾らでも金を出すのです。ドツジ・ラインがどうであろうと、或いは金融引締めがどうであろうと儲かるところには幾らでも出すのですが、一旦それが下落の歩調を取るというと、今度は急に引締めるからとんでもない困難が出る。これは通産当局の力よりも金融のほうが強過ぎるという点で、その調整が必要だろうと思うのです。それに対して忌憚のない御意見を承わつておきたいのです。
  139. 首藤新八

    政府委員(首藤新八君) 理想的に言えば油井委員の御意見通りであります。何らかそこにコントロールするような方法が講じられることが望ましいのでありまするが、銀行もやはり自由経済下における営利会社でありまして、それを制約するということ自体がむしろ法律上困難じやないかというふうにも考えられて、それに強力な制約を加えるということは現在では困難であります。それかといつて放任できませんので、先ほど申上げましたごとく極めて緩慢な措置かも知れませんが、銀行の協力を願つて、そうしてできる限り金融の疏通を図りたいという方針で進んでおるわけでありまして、できるならばそういう強力な何らかの措置によつてコントロールできればこれに越したことはないのでありまするが、遺憾ながら現在ではそれができない状態に置かれておることを御了承願いたいと思います。
  140. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 私は最後に希望を申述べておくのですけれども、最近の日米経済協力というような点に関しても、今まで申上げたような事態が起らないように通産当局はすべてに金融関係のほうと密接な関係を保つて、手遅れにならないように御努力を願いたいと、強く私は希望しておきますから、手腕家である政務次官は大いに頑張つて頂きたいと思います。
  141. 首藤新八

    政府委員(首藤新八君) 了承いたしました。
  142. 木村禧八郎

    ○木村禧八郎君 ちよつと先ほど国際稀少物資の割当について硫黄みたいな例が今後やはり他のものについても出て来るようなことが予想されますか。
  143. 首藤新八

    政府委員(首藤新八君) 現在のところ、大体この国際物資割当会議でも日本からは硫黄だけでその他は余り話題に上つていないように聞いております。
  144. 木村禧八郎

    ○木村禧八郎君 それから向うからこちらへ割当てられるものは、これはどういうような……。
  145. 首藤新八

    政府委員(首藤新八君) 先ほど申上げましたニツケル、これはどうしても今後とも継続して特需向に加えてもらいたい。それからコツトン・リンター、もう一つ合成ゴム、これらのものは今後継続的に供給を受けたいということに黄田ミツシヨンを通じて折衝いたしておるのであります。
  146. 大矢半次郎

    ○理事(大矢半次郎君) 本日はこれを以て散会いたします。    午後四時二十九分散会  出席者は左の通り。    委員長     小串 清一君    理事            大矢半次郎君            清澤 俊英君            杉山 昌作君    委員            岡崎 真一君            黒田 英雄君            九鬼紋十郎君            佐多 忠隆君            松永 義雄君            小宮山常吉君            小林 政夫君            油井賢太郎君            森 八三一君            木村禧八郎君   衆議院議員            三宅 則義君   政府委員    大蔵政務次官  西川甚五郎君    国税庁直税部長    兼大蔵省主税局    税制課長    原  純夫君    水産庁長官   藤田  巖君    通商産業政務次    官       首藤 新八君   事務局側    常任委員会専門    員       木村常次郎君    常任委員会専門    員       小田 正義君   説明員    国税庁調査査察    部長      忠  佐市君