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1951-05-28 第10回国会 参議院 大蔵委員会 第43号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年五月二十八日(月曜日)    午後二時三十三分開会   —————————————   本日の会議に付した事件 ○日米経済協力問題に関する件 ○有価証券の処分の調整等に関する法  律の廃止に関する法律案内閣提出  衆議院送付) ○退職金並び退職積立金に対する課  税減免に関する決議案の件 ○小委員長の報告 ○漁業権補償金に対する課税免除の請  願(第二二八号)(第四一九号)  (第四五三号)(第一四五五号)  (第一六一五号)(第一八四一号) ○漁業権補償金に対する課税減免の請  願(第一〇九二号) ○漁業権証券に対する課税免除等の請  願(第一六八六号) ○漁業権補償金に対する課税免除の陳  情(第二九号)(第一〇〇号)(第  二二〇号) ○漁業権証券に対する課税免除陳情  (第三一一号) ○日本専売公社福島県小野田村有臨時  収納所建物買上げに関する請願(第  九三号) ○旧陸海軍工しよう所在市の平和産業  都市転換に関する法律制定請願  (第三四六号) ○預金部資金運用審議会議決機関代  表参加の請願(第三五八号) ○輸入パルプ免税に関する請願(第四  五六号) ○社会福祉事業に対する免税等請願  (第五六五号) ○岩手県沼宮内町にたばこ取扱所設置  の請願(第五七六号) ○コーヒーの輸入税軽減等に関する請  願(第六七四号) ○工業用ミシン輸入関税減免に関す  る請願(第六八八号) ○国内産砂糖消費税廃止に関する請  願(第七七九号) ○たばこ試験場ならびに配合肥料工場  設置に関する請願(第九九七号) ○飲食物製造販売業者衛生設備改善  費に対する課税軽減請願(第一一  五四号) ○印紙税法第四条改正に関する請願  (第一二一一号) ○所得税法中一部改正に関する請願  (第一二三四号) ○つり用具物品税軽減に関する請願  (第一三二九号) ○関税定率法改正案中一部修正に関す  る陳情(第一九三号) ○水産用石油製品に対する関税撤廃の  陳情(第三二五号) ○朝倉病院差押え即時解除等に関する  請願(第三〇九号)(第四三七号)  (第一五九二号)   —————————————
  2. 小串清一

    委員長小串清一君) これより大蔵委員会を開会いたします。  先ず油井委員から要求になりました日米経済協力問題に関する件につきまして、政府説明を求めることにいたします。
  3. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 只今委員長から申されました日米経済協力について、いわゆるマーカツト声明があつたのでありますが、あのマーカツト声明に対する政府の今後の方針経済界に及ぼすところの方策というものがどういうふうにお立てになつておるかというのを、国民が期して待望しておる点であります。ところが今までにおきましても、その点についての具体的な政府の所信というものが実は発表されておらないと思うのでありますが、今日この経済事情の重大なる際に当りまして、安定本部長官から具体的の案をお示し願いたい、かように私は存じて長官の御出席を求めた次第であります。よろしく一つお願いいたします。
  4. 周東英雄

    国務大臣周東英雄君) 只今マーカツト声明に関する政府具体的施策について説明をして欲しいというお話でありますが、実はまだ具体的になつておりません。まあ結論的に申しますれば、ということを先ず申上げて置きたいと思います。マーカツト声明にありましたように、今後の日本経済のあり方と申しますか、それにつきましては、種々の観点から経済的な協力を以て、国内における生産増強、而してその生産物輸出によつてアメリカ、その他の自由主義国家に対して協力するということの必要を説かれており、又それがために必要なる原料材料というようなものについては、日本に或る程度のものを寄越す、又世界的に非常に少い物資にいたしましても、現に行われつある国際割当会議等によつて日本にも少いものは少いながら割当てて行くという方針は、はつきりしておるようであります。又単に現在あるところの、世界的に開発されたるところから得られる原料材料のみならず、むしろ将来においては日本が物の生産をいたすについて、遠くアメリカ、その他の地域から原料材料輸入するということについては、運賃と、又時間的にも非常な損失になりますので、むしろ東南アジヤ地域開発をいたして、その地方における開発されたる原料材料というものを日本に送つて、そうして日本の未稼動の工場を動かして、そうして生産をし、これをアメリカ、その他の国家輸出し、そうして広く世界人類のために生産を上げ、協力することが第一義的には世界的に貢献するのであり、第二には同時に又日本国内における生産増強し、国民所得を上げるゆえんであろう。こういう面については、積極的にアメリカの資本なり、技術なりを出し、又日本生産手段或いは労力というものを以て開発して行きたいということであります。  それでその点については、かねがね現政府も、又自由党の内部においてもこういう方針は出ておつたのでありまして、たまたま以つてマーカツト少将声明と根底がよく似ておつたことは、非常に喜びに堪えないのであります。休会前の国会におきまして、日米協力ということが経済協力ということか誤まり伝えられておつた。私ども国会でこのたびまた具体的な話がないといつたことにかかわらず、何か一遍に軍需生産でもして、全部持つて行つてしまうというふうな誤解等もありまして、遺憾に思つてつたのですが、この点はこのたびマーケット少将以下全員がアメリカ行つて方面話合をつけられて、アメリカ誤解も一掃され、而してただ将来に向つて日本への協力の形としては、そういう話がきめられ、日本にその話が伝えられるということにつきましては、私ども全く同慶に堪えないのでありまして、従つてそういう意味において、まだ具体的にアメリカのほうにおきましても、どういうものについてどこで全体的に、長期的に計画はまだ樹てておられないようであります。従つて何をどのくらいというような恰好に総括して要求する気はまだないのであります。又出て行く必要はないということであります。具体的に互つて今後話合いを進めることになりますが、その際にもまとまつて全部のことを一度に話されるとか、又注文があるというような形にはならんようであります。順次行くのであります。こういう点ははつきり申上げてよかろうと思います。私どもは今のお尋ねに対して、従つてどういう点が総体的に注文がどう来ておるということまでまだ申上げる時期でありません。ただあの声明にもありますように、或る程度長期的な一つ日本にも計画を立てるがよかろうということがあつたようであります。その点に関しまして只今政府においてはアメリカの抽象的、総体的な面もわかりますし、それに副いつ又東南アジアの開発協力するというお話でありますので、そういう方面に対してどういう形で行くがというようなことについでは只今施策を立てつあるのであります。これが或る程度まとまりますれば、お話を申上げる機会もあるかとも思いますが、まだその段階に至つておりません。殊にこの間発表された事柄、その後における折衝過程におきましても又その部門丸々亘つて相談をいたしておる。そこに日本政府としての構想をも練つております。かように御承知を願つて置きたいと思います。  ただ声明を通じても一部出ておりましたが、今後政府として考えなければならん大きな点は、何といたしましても国内における悪性インフレの防止ということと、と同時に対外的には折角日本に対して経済協力を求めている。それに必要な原料材料等輸入等についても考えてくれるようでありますが、若し日本国内産業が相変わらず非能率的な非合理的な形で進んでいるときに、ここに生産コスト上昇等が国際的な価格水準を越えるということになりますれば、折角の物の輸出等が進捗せんということになるのであります。そうなれば折角協力いたしましても国によつて異なるでしようが、日本輸出が伸びんということになつても困ります。この点は今後一番施策の上において考慮を払わるべき点であります。日本輸出物資価格国際価格を上廻らんように如何にして処置するか、この点が大きな問題であると思つて考えております。国内的の問題だけ考えるならば、むしろ生産増強があつてそのまま国内需要を充たして行くということだけ考えれば、生産上昇鉱工業生産部面においては賃金指数もおのずから毎月々々上昇過程にあり、問題は低額賃金所得者に対してどういうように持つて行くかということで、これに対して総合施策の結果止むを得ざる部分については、べースアツプも考えられるでしようし、そういうことが国内的にできたとしても、その施策全般生産品価格というものに対する上昇率を非常に高めて、国際的関係において上廻るということであれば、これはなかなか問題がむずかしいのであります。そこのところに私ども国内的に対処すべき施策を立て、延いて国外的に影響のないように調和するということについて、今政策を立てる途中においていろいろと苦心をいたしておる過程であります。まだ具体的に申上げる時期でないということを重ねて申上げまして然るべきときに申上げることができるかと思います。
  5. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 只今の点でまだ具体的な案が進行してないということは、よく了解つくのでありますけれども大臣お話の、いわゆる国際的物価水準日本が達していないという点でありますけれども、昨年から見るというと、相当物価は高くなつております。併しながら今日やはり相当輸出も出ておると思うのでありますが、国際的物価水準というものは、大体どの見当が適当であるかどうかどいうことを貝体的にどうお考えになつておられますか。
  6. 周東英雄

    国務大臣周東英雄君) 今の私の話に聞き違いがあつたようですが、国際的物価水準に達していないとは申しておるのではなくて、今後の日米経済協力との姿が如何なる形で現われるにせよ、日本輸出品価格が国際的の価格より上廻つておるならば物が売れないから、この点について国際的に言えば、国際的価格より上らんようにしなければならん。こういう点がいろいろ国内的の施策と調和をなすべき最も大きな点である、かように申上げた次第であります。而して国際価格がどの水準かというお尋ねであります。これはなかなか国においても品物によつても違います。幾らがいいかということを今申上げるわけにはいかんのですが、私どもは何といたしましてもこれは常識的に考えまして、鉱工業生産品については、多くの原材料を外国から受取つております。国際的な買付競争によつて国際的な価格まで上がるといたしましても、アメリカにある一つ原料が、日本でその物を使つて作る生産価格と同じ程度ならば非常によろしいが、そこに非常に日本の弱点が一つあるのは、アメリカにあるものをそのまま日本へ持つて来て、それを加工するならまだいい。船賃も払つて、それから原料価格が違つておる。そういうものをつかまえて日本で更に商品化して加工するという場合においては、どうしても理窟から言うと逆ではないか、これをどうするかという問題であります。そういう面において私どもマーカツト声明に言うておりますように、できる限り多少の時間的ズレはあろうと思いますが、日本企業における機械設備能率化新設化ということによつてできる限り生産量を殖やしつ単価を下げるという能率的なことを考えることができると思います。又自国船による輸送問題は何としても大きな問題であり、幸いにして自国船増強対策が進んでおります。そういう面も考えられ、更に企業が得るところの利潤というものに対しては、相当に各企業考えてもらわなければならぬと思う。その企業が儲かり過ぎると申しますか、こういうことも物によつては言えないのですが、従来過去における糸へん金へんというもので或る程度の利益を上げる、これを消費的な方面に廻されないで、将来に備えて設備新設合理化のほうに持つて行くという方法をとつて行くというように、むしろ輸入関係は細く長く、そこに自粛的な問題が起きる、こういうふうに思つております。いずれにいたしましても我々の一つの関心、施策のうちの一つの中心は、日本生産品価格が国外に売る場合において、国際的な価格を余り上廻つては、売れないという意味のことを申上げたのであります。
  7. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 次に企業合理化の点でありますが、随分長い間日本では企業合理化というものは歴代内閣によつて提唱されて、その線に副つて来ておるのであります。併しながらまだこの合理化というものは十分できていないのは勿論でございますけれども、この合理化をする方法、或いは施策というものについては具体的に大臣はどうお考えになつておられるかということが第一点と、第二点は、先ほどお話物価の点でありますけれども、成るほど国際物価に余りかけ隔つて高い価格日本において現れれば、それは輸出は減退するのは当然であります。併し最近繊維製品のごときものを見ますというと、相当値段が高くても、一時輸出された生糸のようなものが、今日三分の二以下にまで下落して、なお且つ余り売行きは香しくないという現象を呈しているのであります。そういう点から見るというと、高かつたから売れないというようなことよりも、何か政策の面において欠けるところがありはしないか、適当な値段で以て日本相当外貨を獲得できるような適切な施策があるのではないかというふうに考えるわけです。一例をこれは申上げたのでありますが、そういう点についての物価対策について、大臣は今後どういう方策をおとりになりますか、その点をお聞かせ願いたい。
  8. 周東英雄

    国務大臣周東英雄君) 今のお話でありますが、生糸価格のごときは当然三分の二になつた考えるのであります。私どもはそこに経済倫理観というものがあると思う。私どもは御承知通り生糸のごとき日本優良輸出品については高いということは欲しないのであります。これは生糸政策について長い間お互いに苦しんで来たところでありまして、高いことは欲しないが低いことも困る。価格の安定することが必要である。この間のような値というものは、あなたはどうお考えになるか知らんが、べらぼうな値であります。それが今落ちついたということは当然なことであります。べらぼうな値が出てアメリカだけがお得意であつて、そこの値が高いというので今度は無理をして農民が闇をしたり、無理な肥料を買つたりして作つた繭が、桑園に主として費用がかかりますが、でき上がる時分になつて今度は反動的に下がるというがごときことがあつたらそれは大変なことです。我々の念願するところは、常に安定した形に繭、生糸価格があることがよろしいのでございます。従つてあのときの施策にいたしましても、業界なり民間のほうでは三十二万五千円というので、儲けられるだけとつたらいいじやないかというような随分不心得な意見も出たのです。私は今日のようにアメリカが或る程度価格をストツプして日本原材料を送つて来るのだから、日本においても輸出する場合には、儲けられるだけ儲けようなんということは考えるだけ私は間違いだと思う。本来ならば昨年の夏秋蚕を使つてできた生糸ならば、二十二、三万で考えてもよかつたと思う。当時私は向うの五ドル七十五セントというものが出たときに、本来ならば日本では二十万円前後くらいで夏秋蚕は引き合う。それならば少し儲かつて二十二、三万でむしろやります。そのかわりどうかアメリカのほうでも必要なものは欲しい。これくらいの国民外交は必要じやないかということを申したのでありますが、当時いろいろな状況向うがきめた五ドル七十五セント、即ち二十五万円まで持つて来たのは、随分智慧のない話だと私は思いました。併しその当時私はまあこういうことを言つてつたにかかわらずこれをきめたときは今度はどうですか、下つた。この下つたということは、あなたは今、佐多君も言われておるが、実は今は御承知通り物がないのです。大体二万俵くらいしか今年の春蚕のできるまでは糸になり得るものはない。そういうところで引受けてもだめだから、日本としてはあのときは私はむしろ二万俵くらいを徐々に月々平均的に出すべきものだと思つておりましたが、なかなかそういうふうに行かなかつたということで、私はそういう面においては今度恒が下つておるということによく政府国民も反省いたしまして、そうえらい何することを考えないで、着実に細く長くと申しますか、この際こそ日本生糸というものに対してまじめな売り方をして行くことが必要だ、こう思つております。今のお話生糸について申上げますならば、政府のほうでは非常に慎重にやつております。大体今年春繭を九掛前後ということになれば、約十九万円くらいになります。そうすると今の関係におきまして相場とやや合つて来るのでありますが、併し如何なる価格に持つて行くかということは向う関係で、日本はまじめな立場に立つて、余り日本が非難されるようなことをやらんようにやつてもらいたいということの指導を考えております。  それから初めの合理化の問題はもうお話通り、長いこと問題になつており、なかなか進まんことを私も遺憾と考えております。余りうわついた、景気がよかつた。私は糸へんとか金へんとか、儲かるときにその金を速やかに機械設備改善、置き換えに使うべきだということを申したのでありますが、儲かつているときはなかなかそういう方面考えが向かんようであります。私は今度のような日米経済協力があろうがなかろうが、多少景気がいい、戦争といいますか、軍需、軍拡の国際競争などやらんでもいい日本立場においてこそ非常に有利な立場である。こういうときにこそ、何ぼ高くても今まで売れたのであります。併しこれが落ちついて参りますれば、日本のように非能率な、戦争時代の十年も十五年も償却も、置き換えもできなかつた能率機械で以て立ち向えないことはわかり切つております。今後の日本国際経済に立ち向つて貿易で稼ごうというならば、日本は今のうちに機械の置き換えをやつて置くべきだ、こう思つております。このため政府のほうからいろいろと今折衝中でありますが、早く産業合理化法と申しますか、仮称ですが、そういうふうな法律を是非今会期も延びることですから、出そうと思つて準備をしておりますが、こういうものは特殊の業種を定めて、それに対して必要な資金なんかは補給する、こういうような形で早く設備の置き換えというものをやらして行きたいというのが一つ考え方であります。殊に基本の製鉄関係でも、原料関係がありますが、私は何とかして今の日本石炭鉱業に対する合理化ということを行わなければ、分量は足らず、そうして非能率採炭方法をやつておるのでは到底これは問題にならんとこう思つております。先ず私は、一つ設備能率化と置き換えということが合理化の一番大きな点であると、かように考えております。
  9. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 次に最近の政府物価対策なり、或いは経済方策を見ておりますというと、物価が騰貴する場合にはすべて金融政策によつてこれを抑える。もうそれ一本のようにしか見えないのです。それでそのために以前のような混乱を惹き起すような点がままあると思うのです。例えば只今例に挙げますと、生糸なら生糸のべらぼうな高値が出ますというと、直ぐに繭の購繭資金は今度大幅に抑えて出さないというようなことで以て、インフレを抑えるというような方針をとつておられます。場合によつてはそれもいいですけれども、又場合によつて油脂原料のような盲目貿易と申しますか、この年の初めあたりに自由に輸入できた当時におけるユーザンスの尻拭いというようなことができなくて業界が困つておる。而もそれは正常に輸入されて、ルートもはつきりきまつて決して見込輸入ではないような分までに対して資金の抑圧によるところの影響は徒らにその混乱を来すというようなこともあるのです。そういう点は少しく政府といたしまして考慮を要する点じやないかと思うのですが、安本長官から見て現在の金融政策というものに対してのお考えはどんな工合に見ておられますか。
  10. 周東英雄

    国務大臣周東英雄君) 私は金融政策に対して何もかも金融で締めて行くという行き方は、必ずしもいいものとは考えていません。今日のような経済協力をやろうというようなときにおいては、殊に必要な部面には必要な金は出すべきである、この点はさように考えております。これはもう大蔵大臣日銀総裁も同じ意見であります。ただ今、今日非常に引締つたような恰好になつておりますのは、何もかも悪いことが一遍に重なつたようであります。ユーザンスの期限で全部こつちへ引上げなければならんような恰好になつておるところへ、丁度税金関係も引上超過の決済、そこヘユーザンス決済もやらなければならんというようなことが重なつておるので、やや金融部面におきまして苦しい状況にあると思うのですが、こういう状況ばかりであるとは考えません。ただ従来ともすればよく例が出ますけれども金融に多少自由になつてつたために、不必要なところへ出ておるのじやないか、産業部面について金が非常に要るといつてやかましく言つておるのに、なかなか建築その他にはどんどん出で行くというようなことがよく例に引かれます。私もこの点については非常に注意して見るべきものだと思う。建築ももとより必要でありますが、東京都内だけで七十二くらいのビルデイングがどんどんできて行く、こういうところに可なり大きな金が出て行く、こういうことについてまあ我々のほうは暫く待つても、本当に必要な産業部面に金を廻すべきである、こういうふうに私は考えております。そういう点において日銀総裁あたりも一層今後本当に必要な部面に、産業的に必要な部面に金を出して、不急というと言葉の使い方が悪うございますが、何かそう、まあ第二次的というか、暫くあとにしてもいいというようなものについては少し待つたらどうかというふうな考え方、これは私はいつの時代でも必要である。今日の時代においてよく見て行くべきである。むしろそれは直接統制とか何とかいう点にならずに、そういう自然的な形において操作をするということがいいのじやないかと私は考えております。  それから油脂事柄を例にお引きになりましたが、これはむしろ私は政府施策を褒めてもらわなければならんと思います。これはもう休会前にえらくあなたがたから政府は責められた。殊にそこにいらつしやる佐多さんですか、えらく油が千円も上る、木綿が上るといつていじめられました。私は必ず下るときが参りますということを大見得を切つたのですが、偶然か何か、私自身がいいというのではないのですが、今日では弱つておるのです。油脂とかゴムとかが入つて、入り過ぎているということを業界の人が言われたが、ちよつと待つてくれ、今日或る時期において入つておるというけれども、将来において日本の必要な部面においてどうなるかわからんということを私は言つておりました。入り過ぎたと言つてくれても困る。私はそのときどきの一、二カ月のことで余り言つてはいかん。と申しますのは、私はむしろほめてもらいたいと思うのです。油脂のごときは輸出をとめたのでありますが、あの当時ざつくばらんに申しまして、原油は二千トン南氷洋から来る。それを公団で取引しておつたのに持つて行つて政府が右から左に全部やられて金融は非常に楽だつた生産業者のほうから見たら、今まで何らの苦労をせず、直ぐ政府から金をもらつてつた。今度は民間公団が移されて行つて金融はとれんから、十三万円でしたか、当時ドイツに売れば十六万円に売れるから売り出せということだつた。私はこの大事な輸出資源を十六万円に売つて日本が今度要るときにはどうするか、二十万円で入れるのか。そんな損なことはない。これは大事な輸出資源である。殊に今非常に油脂が高い、食用油脂が高い、石けんが暴騰しておるというときです。こういうときに油をなぜ一万二千トン売るのかということで、私はむしろ大蔵大臣と話して、金融的に考えたらどうか、大蔵大臣もその通りだということで、金融の措置をしかけた。ところが措置をせんでも今日下つております。個別々々の事業者のことから考えれば損をした人がいるかも知れないが、国家全体のことからいえば私はこの施策が正しかつたと思う。石けんが六十円から八十円になつた、今日又六十円にならんとしておるということを私は認めて頂きたいと思います。ものは一カ月二カ月の間でさあ上つた、さあ下つたといつてあまり心配をせずに、今日のような変動の多いときでありますから、もう少し私は長い眠でものを見て頂きたい、かように考えております。
  11. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 只今大臣お話はよくわかるのですが、やはり物の需給というものは消費とバランスがとれなくてはならないのですが、ところが日本の消費階級の懐ろ工合が結局ものの消費とマツチしないということになつた場合に、金融政策なり、或いはこの物価の変動というようなことを防ぐということが政府施策ではないかと思うのです。それに対してストツク金融は絶対に認めないというふうなことになりますというと、無用の混乱がそこに出ると思うのですが、安定本部から御覧になつて先ほどお話のように、物価が安定するというような施策が適当だとすれば、金融政策もそれに連れて行くべきじやないかと思うのです。ところが只今のような状況であるというと、あべこべに物が上つて来れば、銀行は引締めざるを得ないというような反対の現象なんかが出ている。そのために結局経済界に無用の混乱を来し、それから徒らな暴騰が出たりということになるのではないかと思う。その点は大臣としてはどういうふうに調節をするのが最も適当な方法かということをお尋ねしたいのが一つと、その次についでにお伺いしたいのですが、特需の点でありますが、伝えられるところによりますと、アメリカでは相当日本に対していわゆる特別な形の需要をする、特需というもの、特需発注をすると言われておりますけれども、それに対して原料の問題はどういうのか。大臣は先ほどのお話によると相当考慮されておるようでありますが、実際に原料の面の手配というのが今日の世界経済情勢から見て円満にできるものかどうか、これは特にはつきりして頂きたい。  それに関連いたしまして、輸出銀行を輸出入銀行と改めるべきが至当ではないかという声があるのにかかわらず、これがどうも許可されないという点は、政府のほうでの押しが少し足らないのじやないか。かようにも思われるのですが、それらの点について大臣の御見解を承わります。
  12. 周東英雄

    国務大臣周東英雄君) 今のストツク等に対しても金融が必要ではないかという御意見については、具体的なものについてよく調査をして、必要なものには私は出したらよかろうというふうに考えている。ただ私は先ほど、決して責めるのじやないけれども、うんとこさ将来儲かるつもりで、例えば油脂原料を入れて而も今度はえらく下る。それでこの際何とかしてくれということから、いやしくも目的ということが問題ではないかと思う。多少期日を過ぎたほうがいいのじやないか、ざつくばらんに言つて、それはいい人も悪い人もありますから……。この間もお話がありましたように、よく相手方を見て、どうせ日本国内に必要のない油脂が溜つたのでありますから、将来私は決して余り過ぎたということは言わない。国際情勢から必要だ。それは国家のためになり、国内の人々のためになるのですから、よく内容を調べて、一ついつでも必要な金融の斡旋はすべきだという気持を持つておりますけれども、何もかも一緒くたにするといけないと思つております。  それから特需の問題ですが、これは私どもいろいろ折衝過程で見るところによりますと、かなり原料の供給関係においては希望があると思います。例えば具体的に言いますと、今度御協賛を願つておりまするニツケルの売却に関する会計法の特例法律案が出たと思いますが、それらなんかは日本に対して非常に少いニツケルを政府輸入いたしまして、そうしてそれを真に必要なる需要者のところに払下げる。その最終需要者と申しますか、最終のほうの入札者と申しますか、そこに払下げてそうして有効な需要者に分けて必要なものを作らせるということが行われる。その場合にニツケルは時価は二百万円ぐらいしております。それを六、七十万円前後で売るということであります。そこで政府は、時価より安く売るという会計法の特例を設けることになつております。こういうことも、今の特需関係と申しますか、軍需関係においても必要なものがあると思う。そういう場合は貴重なる物資を分けてくれるというものに対して、徒らに中間的なマージンを取らせるということをやめて、政府が買つて直接にこれを有効需要者に渡して、そうして製品を売らせるということについて、或る程度価格の引下げということも考えられる。これは一例でありますが、その点から見ましても或る程度必要なものに対する原料等の確保については希望が勿論あるのじやないか。今いろいろ問題のものにつきまして、先ほど申しましたように具体的に相談いたしております。いずれその点は申上げる機会が来れば御説明いたします。
  13. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 もう一点最後に承わつて置きたいのは、日本のいわゆるアメリカあたりの特需景気と申しますか、まあ数量が相当殖えるような場合、現在の日本の、先ほど大臣は何かまだ遊休設備がたくさんにあつて、幾らでも注文に応じられるようなお話ですが、果してそういうふうな楽観的希望でやつて行けるものかということと、もう一つ原料は海外に仰いで、いわゆる委託加工形式の方式を日本がとつたほうがいいか、この根本問題ですが、政府考えとしてはいずれに重点を置かれるかを一つ
  14. 周東英雄

    国務大臣周東英雄君) これは抽象的に……、私は一般的に行かないと思う。結局それは品物によるだろうし、日本に対して物によつては委託加工のほうがいいという点もあろうが、然らざる場合もあると思うのです。この場合に特需関係でえらい景気のいいものは、今の御質問にも出ておりましたが、あまり設備をいろいろかけてやつてみて、要らなくなつたら損するのじやないか。これをどうするかということをよく聞くのですが、それと関連した質問と受取つておりますが、その点は実際契約の仕方というものは具体的にいろいろきまるだろうと私は思います。全部委託がよろしいとか、全部日本の何においてやるがよろしいというわけにも一概にいかない。これは適宜に相談して行かなければならないと思います。  最初にえらい遊休設備がたくさんあるように私がお話し申上げたということでありましたが、これは全然お言葉が違つております。私は未稼働と言つておりまして、遊休設備とは言つておりましてんからどうぞよろしく。未稼働設備ということを私は常に使つておるのであります。これは相当にあります。これはマーカツト声明にありました通り日本として考えなければならないことであります。将来の日本産業の発展のために、やはり相当に未稼働の設備があるわけであるから、これをフルに動かし得るように原料材料の供給があればよろしいわけです。それで今の、現在あるところの地域、供給もさることながら、将来を考えるならば、東南アジア地域アメリカの資本と技術によつて開発して、開発したものを日本に入れて未稼働を動かしたらどうかと考え、これを具体的に話を進めようと思つております。日本としては売りも買いも過去の例についてみれば東南アジア地区というものは大きな市場であります。そういう点に我我は思いをいたしておりましたが、向うがその点を考え協力いたすということは、非常にいいことだと思つております。具体的にどの地域が何をということは、今後折衝しまして是非やつて行きたいと考えております。
  15. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 私はこの返で安本長官に対する質問は打切ります。この点に関していずれ機会を見て通産大蔵両当局の出席を求めたいと思います。
  16. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 安本長官お尋ねしたいのですが、マーカツト声明の中に、緊急物資調達計画日本を組み入れるということを一番最初に言つているのですが、その場合に考えられている緊急物資というものを、もう少し具体的に、どういうものが考えられているのか。而もその量をどれくらいに考えているのか、その辺をもう少し具体的に御説明願いたいと思います。
  17. 周東英雄

    国務大臣周東英雄君) まだあなたがおいでにならん前にお答えしたのですが、まだその具体的に何をということは言つておりません。もう少し先になつた機会においては、積極的にお話ができるだろうと思います。何をどれだけという数量的なものの相談にまで入つておらんということを申上げて置きます。
  18. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 それから特に運用のうちで国際価格に調整されることが必要だということを非常に強調しているようですが、一体日本の現在の個々の重要物資国際価格の観点から見てどういうふうになつているのか。例えば賃金或いは米とかいうようなものの値段は、国際価格との比較において低いのじやないかというような感じもするのですが、或いは勧告に反して鉄その他のものは相当高いと思うのですが、それらを一つ具体的に全部数字で示して頂いて、なぜそういうような乖離の状態が出て来ているのか、その原因をどういうふうに追求しておられるかということをお伺いいたします。
  19. 周東英雄

    国務大臣周東英雄君) 数字的に品目的に若しわかつておるとすれば、あとで細目を差上げますが、恐らくまだそれはわかつていないと思います。ただこれはあなたも安本におられてよく御承知だろうと思います。これはもう常識的に当然な話だと思いますが、これはマーカツト声明が将来とも日本の生み出す物の価格が、国際価格といつておりますが、アメリカが買う場合にはアメリカ価格ということでございましようし、イギリスが買う場合にはイギリスの価格ということでありますが、いずれも物によつて皆違いますが、相手国の価格より高くならんようにしろと言つている。これは折角協力して日本生産原料を与えて作らせようとしておりますが、国内的に物が高くなつて行くようでは困るから、その点は考えるようにという話であります。この点について私は二つの観点から考えておりますが、一つの点について先ほどもお答えをしたのでありますが、アメリカから原料を取つているものについて見ますと、アメリカ原料を取つているものが国際価格が競争によつてつて来た、それをすぐ日本でもらつて製作してもこれは運賃の関係でうまく行かんと思います。コスト自体において私は問題があると思います。これは何もほかの製品を考えても同じであります。輸入する船運賃、輸出する船運賃というものの関係でこれは高くなるということであります。その上に日本の既設の設備というものが可なり古くなつており、これはあなたも御承知通り戦争中、戦後を通じてもう十何年経つております。その間殆ど償却もされない、取り換えておらない。今日に始まつたことじやない。私どもそれを声を渇らして言つているが、どうしてもうまく行かない。どうかしてうまく景気のいいときに金を注ぎ込んでこの設備から取り換えて行かなければ、いろいろの競争があつて地域に物が追いついて来れば、買わなくなる、これは日本産業家も大きく考えなければいかんと言つておりましたがなかなかうまく行きませんが、こういう点で古くて非能率的な設備を使うから、単位生産量が少くて単価が上る、これは一つの例ですが、又そういう点が主なる点であります。  それからもう一つあなたの最後に聞かれた質問は、日本状況によつていろいろなものが上る、その点は憂慮しないかということでありますが、これも私は道理があると思います。将来考えなければならんと思う、その前の二つの問題はこれは非常に日本産業経済における弱点だと思います。輸出関係においてはこれを如何に調節するかということが、政府に課せられた大きな努めだと私は思います。ここで一つ輸出輸入の船の問題については、御承知のようにできるだけ自国船による船舶の増強を図つて、みずからの手でみずから輸入するということになれば、これは必ずやつて行けると思います。たまたま船運賃につきましても、御承知のように一、二月ごろにおきましては、非常に上り方が横這いになつているという状況でありましたが、今後に備えてやはり船の増強はしなければならんと私は思います。幸いにして今自国船増強計画は六次、七次まで出ました。更に外船も入つて来て、今年のしまいごろには、可なり初めの計画よりよほど上の数字になりそうであります。不幸にしてマーカツト声明にありますように、チヤーターはできない恰好でありますが、むしろチヤータで行くより日本の船でやることのほうがよろしいというふうに考えております。  それから設備の問題については、先にもお答えいたしましたが、やはりこれは思い切つて合理化する、これに対して金融方法をつける、必要な輸入もさせるのがよろしい。先ほど私お答え申上げましたが、例の輸出入銀行におきましても、あの当時は私は輸入をしなければならん、これは皆さんも私も政府としても考えておりましたが、いろいろな事情で輸出だけしかできておりません。今日百五十億円を輸出銀行に出資したが軽微な金しか出ておらん。今のような関係で非常に設備能率的な機械輸入するということが必要であります。こういうことで見返資金が決定しておりますが、今日輸出入銀行は法律関係が少し遅れております。これは是非とも市中銀行においても計画をさせて金融をつけるようにいたしたいと思います。こういう点で、産業合理化並びに金融の措置によつて設備合理化をすることによつてコストの引下げをするところに持つて行きたいと考えております。  然らば賃金の問題はどうか、これも下手をすると賃金を引上げるということになる。これがやはりコストルに及びますが、賃金を圧迫して労働者を搾取しようとは思わない。ただ私たちはどうしても設備企業合理化自国船における運賃の低減ということでコストを下げることは考えております。こうして全体的に物価政策についても、食糧或いは油糧原料という国民生活に必要なものについては数量的な処置なり、或いは価格について、或る程度財政的な考え方もいたして、できるだけこれを下げて賃金のほうに影響しないようにいたしたい、かように考えている次第であります。
  20. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 今の物価の問題は、後ほど事務当局から個別に事務的な詳細な調査を頂いた上で、更に質問したいと思いますが、もう一つマーカツト声明によると、国内インフレ統制に関する恒久的な処置を作つて、それを公表すべしということを言つてるようでありますが、これはどういう構想でどういう措置を考えておられるのか、それをいつごろ発表される予定になつているか、その点を……。
  21. 周東英雄

    国務大臣周東英雄君) 只今お尋ねの点につきましては、目下あらゆる観点から総合した施策を立てつつありますので、それがまとまつた後におきまして、機会を見てお話を申上げたいと思います。
  22. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 その大体の構想は、いつごろまでにはできるということは大体お見通しついてるのじやないですか。
  23. 周東英雄

    国務大臣周東英雄君) できるだけ早くと思つておりますが、まだ相当かかると思います。
  24. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 それと同じように最後のほうで、日本は直ちに長期的な経済政策を樹立して、これを直ちに発表しろというようなことも、非常に強い言葉で言つてるようですが、これに対してはどうですか。
  25. 周東英雄

    国務大臣周東英雄君) ちよつとこれは速記をとめて下さい。
  26. 小串清一

    委員長小串清一君) 速記をちよつととめて……。    〔速記中止〕
  27. 小串清一

    委員長小串清一君) 速記を開始して……。
  28. 周東英雄

    国務大臣周東英雄君) その点はよく価格が上るから、上ること自体を悪性インフレということを言われがちでありますが、その点は違うと思うのです。そこでその点に関連して大蔵大臣の話が出て来るのですね。結局私どもはそういう考えを持ちますから、今ものがどんどん生産できるということは、アメリカ等から原材料を入れてくれるからです。入れてくれる原材料価格というものは、国際的に上つている。それを使つて作るものの値段はコスト的に上ることは当然である。その範囲で上がるというならば、生産ができたほうがいいのであつて、ものがあつてその価格が上るということはちつとも恐れることはないのだ、こう私は考える。ところがそういうことは一般国民にすべて平均的でなくて、偏つた形で産業的に生産が上つているということが起こりますが、これがだんだん徐々に起るとしても、一時的にそれが起ります。併し産業的のことは別として、一応産業的のことは譲るといたしまして、これに伴うて十一月以降毎月賃金指数は上つて来ているのです。これは鉱工業生産賃金指数は、それは大まかに言えばそのほうは凌げるのじやないか。問題は低額賃金所得者、特に公務員等のベースの問題である。ほかのほうは景気がよくなつて或る程度賃金が上るとすれば、これはやつて行けるはずですが、これは大局的に言つてるのですが、低額賃金は困るから、そういう面についてどうするかということのために、すぐにそれをベース・アツプするということになると、これは結局税金がかかつて来ることになるし、そのほかに響きましようから、個人的に減税ができればしたい。そうして或る程度つたものをそれによつて吸収させたい。又米価等につきましても、非常に私どもは苦心をしております。生産価格に対しては、パリテイー方式をとつている以上、当然の帰結として上らなければならないし、生産価格を直ちに消費者価格に及ぼすかどうかというところに政府の苦慮があつて、深い気持で今総合的に価格の問題、給与の問題に取組みつつあるということを大蔵大臣は話したと思うのですが、その点は私ども同感であります。
  29. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 今の物価に関連してですが、非常に物価を上げなくちやならんということを頻りと言つているのですが、併し先ほど長官の御説明通りに、いろいろな日本の自然的な条件を考えて、一方には上らなければならない必然性がある。併しそれを上げまいとすれば、例えば今おつしやつた運賃の問題も相当下げねばならんという問題にも当面するし、或いは向うから供給する物資を安くもらつて来なければならんというような問題もあるし、更には、さつきおつしやつたよう設備の更新といいますか、合理化の問題があると思うが、それらはひとえにかかつて、現在日本が置かれている地理的な条件にかかわらず、非常に無理な歪められたいろいろな政策をやつているという基本的な原因があると思う。これでいいかどうかは一つの問題でありますが、これは今議論をしないとして、そういう歪められた政策をやるならば、当然に例えばアメリカから持つて来る物資についても特別な供給の仕方を確保してもらわなければならないし、或いは生産力の増強合理化というような問題には特別の資金を供給してもらうなり、等々の問題が絶対的に必要条件となると思うのですが、向うからの希望は、非常にはつきり述べられているんですけれども、その希望を達成するために、向うがこちらにかなえてやるというものの、いろいろな何といいますか、物資供給の問題なり、資本の供与の問題なり、それらについては向うはどういうふうに考えているか、その点をもう少し詳しく……。
  30. 周東英雄

    国務大臣周東英雄君) その点につきましては、先ほどもお答えしたのですが、或る程度原材料日本に供給する。それに関して地理的の条件を克服しつつ、将来長く日本産業に寄与するという意味においても、近い所の資源の開発をして、その原材料日本に持つて来よう、これは場所的にいろいろ相談中であります。いずれ申上げる機会があると思いますが、そういうものについて開発をしよう。それを日本の工業に持つて来よう。而してそれに対しては、資金の供給をして、資金的に、或いは場合によつては技術的に協力し、日本のほうから設備なり、技術、労力を持つて行くというような形に行つて生産協力をしよう、こういうことを言つております。それから又物について、場合によつては安く供給するということも必要じやないか。物につきましてもそういうことも起り得るかと思います。一例を上げれば、すでにニツケルについては直接日本政府が買入れて、そうしてこれを有効需要の最終的なもののところに持つて行くように、そうしてその間の中間マージンというものを避けて、値の上ることを防止する。そして必要なところに売らせるということについて、ニツケルについては、政府が会計法の特例に基いて時価よりも安く売れるという法律をこの国会で協賛を得ることになつております。恐らく会期が延びるようでありますから、まだこつちに来ておらんかも知れませんが、そういう処置も一つの現れであります。今後私どもとしては、できるだけ国内価格を、而して、それが又輸出価格影響しないように、原料の供給の方法なり、又日本に来てからの原料の割当等についての、指定割当等の方法、又近い場所における資源の開発についての協力問題について、具体的に強く要望しつつ、これが実現に努力している次第であります。
  31. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 二、三の貴重物資については、一応そういう方式で解決するかも知れませんが、例えば一番重要な問題になるのは、やつぱり鉄鉱石なり、粘結炭の問題だと思うのですが、そういうような問題を東南アジアの開発方式で大体問題が解決するというふうにお考えになつているのかどうか。そうでなくて、やつぱり差し当りはアメリカに依存しなければならないとすれば、今の貿易政策その他から無理なことをやつているんで、それを特に考慮に入れた供給の仕方をば考えてもらえるのかどうか。  それから更にそういうものだけでなくて、しきりと消費物資に対するインフレの問題を警戒しているようですが、そうだとすれば、そういうこれらの産業活動が相当大きくなるに関連して、ここでもいつている個人の購買力が相当殖える。それに消耗する消費物資というようなものについての特別な供給計画、そういうものが考えられているのかどうか。
  32. 周東英雄

    国務大臣周東英雄君) 私は今のお尋ねの第一の点についてはお答えしておるつもりでありますが、それはあなたに考えてもらいたいと思うわけです、あなたがいろいろな原料にいいての地理的の悪条件を克服するために、原料を安く供給するかどうかというようなことについてどうかというお尋ねだと思います。そういうことについてもいろいろ考えおるようだと、今の鉄鉱石というような問題、粘結炭の問題もそうでありますが、まだ具体的になつておりませんのでここで私ははつきり申上げませんが、その一例を挙げればニツケルについて然りということを申上げて、御趣旨のような点については十分政府考慮しつつ、当面の問題は措置をいたしたいと思つております。将来はやはり東南アジアなどに近い所を早く何とかして行くことがいいだろうと思つております。それから消費物資等につきましては、これは声明書にもあります通り、飽くまでも協力の結果日本の消費物資を圧迫したり、生活水準が引下げられたりするようなことにならないようにしたい、努力するということをはつきり言つております。政府もこういうことに対しては急激な増加ということはせず、水準上昇ということはなかなか困難かも知れませんが、今日の状態を維持して行きつつ徐々に上るように努力したい。そういう面をいろいろと向うとも折衝を進めて行きたい、かように考えております。  それからその点は私どもの間にはまだ全貌は明らかにされていないのでわかりませんが、民需物資という、本当に端的にいえば、武器というものを作らせるのでなく、できるだけ向う軍需であり同時に民謡になるものを日本に作らせようという深い考え方を持つておるようです。その点は将来の国際的緊張が解けた後にも、日本の工業等が弱らんようにしたいという気持と、そうしてそういうものを作つてそれにおいて日本の持つている物資、或る程度物資国内的供給ということについて考慮してくれるだろうと思います。併し又そういうふうにして或る程度それを徹底してもらいたいということを私は努力して行くつもりであります。
  33. 小串清一

    委員長小串清一君) 速記をとめて。    〔速記中止〕
  34. 小串清一

    委員長小串清一君) 速記を始めて。  それでは次に有価証券の処分の調整等に関する法律廃止に関する法律案につきまして、先ほど資料の御要求がありましたが、今回政府側から資料を提出してございます。管財局長が見えておりますから、これから資料についての説明を求めようと思つております。
  35. 内田常雄

    政府委員(内田常雄君) それでは私からこの資料を引用いたしながら今回の法案につきまして簡単に御説明申上げます。  前回提案趣旨説明の際に申述べてありますように、この有価証券の処分の調整に関する法律と申しますのは、政府と持株会社整理委員会、閉鎖機関整理委員会、この三社がそれぞれの原因によりまして保有いたします有価証券を処分するに際し、銘々勝手な処分をやつたのでは有価証券市場等を撹乱し、又却つて処分が渋滞を来すような趣旨から、この三者を似て証券処理調整協議会というものを作りまして、この証券処理調整協議会を通じてこの三者が株式処分をやつて参るとこういうことを内容とした法律でございましたが、昭和二十二年以来この制度をやつて参りました結果、今日までで大体この法律の目的を達成いたしまして、持株会社整理委員会におきましてはその大部分九十数%の株式を今日までにおいて処分済みであり、又閉鎖機関整理委員会につきましても八十数%の株式を処分済みであり、政府はこの二つの委員会と違いまして今日までに処分いたしましたものはなお二十数%でありまして、今後はなお七千万株余りの株式を持越しますけれども政府のものを別にいたしますと他の二つの委員会につきましては、大体この有価証券の処分を完了し、殊にこの持株会社整理委員会はこの期間の間におおむね五月中或いは六月末までには残りました四、五彩の株式全部を処分し、又は旧持主に返還する措置が内定しておりまするためにここ一、二カ月以内に持株会社整理委員会が当初に持つておりましたところの一億数千万株は全部なくなることに相成ります。そういたしますと残るところは政府と閉鎖機関整理委員会だけでありまするが、この二者を以て従来のように証券処理調整協議会を置きまして、これに予算、人員をかけまして株式の処分をやりますということは、形式上及び実体上から無意味である。形式上から申しますと閉鎖機関整理委員会は大蔵大臣の監督の下にございまして、実際の運用といたしまして現在政府の株を管理いたしておりますところの大蔵省管財局が閉鎖機関整理委員会を監督いたしておりますから、この政府と閉鎖機関整理委員会との関係は二つではありますが、実際はもう内輪同士ということになりますから、こういう内輪同士の二つがわざわざ予算と経費をかけて証券処理調整協議会という形を残す必要はなくなつたということ、これは形式上からでありますが、又実質におきましては、政府は先ほど申しますように、まだ七千万株余り残しますけれども、これは後ほど資料で御説明申上げますが、この七千株のうち実際処分すべき株は二千万株足らずでございまして、約五千万株ぐらいのものは処分が全然できないとか、又は処分する必要がない株式であります。言い換えますならば、この処分の対象にならない五千万株程度のものは、その株式がすでに解散した会社の株式であると歩、或いは閉鎖機関に指定されておる会社の株式であるとか、或いは在外会社の株式でありまして、今これを処分してしまうにも処分しようがない。例えば満鉄の株であるとか、北支開発株式会社の株であるとか、中支那振興会社の株であるとか、そういうものが多いのでありまして、処分し得るものは全体の七千万株のうち二千万株、而もこの二千万株は実は財産税として納付された株式が主なものでありまして、従来今日まで財産税関係で納められた株約四千万株程度、そのうち二千万株が売り残りますのでありますが、この財産税関係の株は全国的に納められた代納株式でありまして、会社等もローカルな会社が多うございまして、中央で証券市場との調整を図りながら売つて参るという式のものではございません。大体地方にある小さい会社の株式が多いのでございまして、これらは各地方ごとに地方の状況を見ながら逐次売出して参りますればこと足りる、こういう式のものでございます。又閉鎖機関整理委員会が現在まで持つております売残しの株につきましても大体国と同じようなことが言えるのでありまして、現在持つております株約一千数百万株ございますが、これはこの表にもございますが、当初に九千万株余りありましたものを八十何%売れまして、現在千五百万株程度でありますが、これらも大半は売れないもの、又売る必要のないもの、即ち在外会社の株式であるとか、或いは清算中の会社の株式であるとか、或いは閉鎖機関に指定された会社の株式のようなものでありまして、会社の清算の進捗を待つて漸次この残余財産の分配として金が入つて来る、或いは全然無価値のものとなつて処分し得べくもないもの、こういうものが多うございます。そこでこの昭和二十二年の有価証券の処分の調整に関する法律廃止いたしまして、協議会を持たないで政府政府として、又閉鎖機関のほうにつきましては政府が閉鎖機関を監督しながら逐次処分をして参ればそれで十分であろう、こういう趣旨でございます。  お手許にお配りしました表のうちで細かい数字を列べました横書のものがございます。一番左側の上がその株式でありまして、その株式の中が国と日CLC、それからCILCとありまして、日CLCのほうは特殊会社整理委員会で、CILCというのは閉鎖機関であります。この三者が、国はここにありますように昭和二十二年当時でありますが、当初保有株数九千百万株、日CLCが一億六千五百万CILCが九千九百万株、こう持つてつたものを、二行目、三行目の欄に亘つてそれぞれ証券処理調整協議会が、印刷にはSCLCと書いてありますが、この証券処理調整協議会を通じて処分して参りましたもの、その合計が左側四段目でありまして、合計においては二千五十万株余り、持株会社整理委員会においては一億五千九百万株余り、閉鎖機関においては八千三百万株余り、そのすぐ右にパーセンテージが出ておりますように、国が二二%余り、持株会社整理委員会が九六%余り、閉鎖機関整理委員会が八四%余り、平均いたしまして七三・九%というものを処分した。  従つてその次の欄で本年の四月末まで本年未処分のものは、国において七千百万株余り、持株整理委員会において六百万株余り、閉鎖機関整理委員会において一千五百万株余り、合計で九千三百万株、こうございます。  その次の欄はその法律が決定になりますとこの法律公布の日から三カ月以内でその法律を施行いたして証券処理調整協議会を閉ずるのでありますが、その証券処理調整協議会を閉ずる時期を仮に六月末と見た場合に、六月末までに四月以降処分の見込をつけておるものが、それぞれ四十一万二千株、六百二十三万五千株、二百九十八万七千株、合計で九百六十三万株となりまして、結局六月末までに、言い換えますと、証券処理調整協議会が存続する間にその機関を通して処分をするものが総平均七六・六%になつて、後へ持込むものが、一番右の欄の合計にあるように八千三百万株であります。その内訳は、国が一番大口で七千万株、持株会社整理委員会が穴月末を以て金株式の処分を了して残りが零。閉鎖機関のほうは一千二百六万株こういうことになるわけであります。  それで出資証券、社債等についても状況は大体同じであります。  そこで次の表にやはり国の例をとつて、七千万株国が持つておりますが、それは如何なる株式かと申しますと、先ず国の持つておるものが一般会計の関係で持つておるものと、特別会計の関係で持つておるものと両方あるわけであります。一般会計のほうは主として従前の特殊会社等に対しまして政府が従来から出資しておつたものが主でございます。特別会計のほうは、財産税及び戦時補償特別措置法というもので戦時補償の打切りに関連して国が収納した株式、それを御承知のような財産税等収入金特別会計という会計にまとめまして整理いたしておるものでありますが、二つに分れまして、この七千万株のうちで、一般会計分が五千百万株、財産税等収入金特別会計の分が千九百万株、かようになつておるわけでございます。お手許の縦書の表の一番右のほうにございます。  そこでその一般会計の七千万株のうちでは、先ほど申しましたように売れるものと売れないものがあるわけでありまして、この一投会計五千万株のうちで売り得るものは五百万株弱、つまり一割弱でありまして、あとの九割余はこれは売り得ないものであります。売り得るものとして代表的に挙げ得るものは、この表にもございますように、帝国石油株式会社に対しまする政府の出資株、それが売り得るものの大部分でありまして、その売り得るものが合計して十二銘柄でありますが、その中の一銘柄である帝国石油が九割以上占めておる。あとの十一銘柄につきましては又あとのほうにございますが、その五百万株弱のものを除きました四千六百万株は売り得ないもので、如何なるものかと申しますと、ここに大体載つておりますし、先ほど私が申しましたような在外会社、或いはすでに清算段階に入つております会社でありまして、満鉄、北支那、中支那、日本石炭、日本製鉄、帝国燃料興業等であります。その中でも満鉄が一番多いことになつております。この銘柄も僅かでありまして、全体で十五銘柄、即ち、政府が一般会計で持つておりますものが合計二十七銘柄、そのうち売り得るものは十二銘柄、而も本当に売り得る主力は一銘柄、かようなことに相成つております。  特別会計で持つておりますものは、二千万株弱、すぐその左のほうにございます。これは処分し得るものが大部分であります。これはもとより政府が税金の代りに取つたものであることは先ほど申上げた通りでありますから、大部分売り得るものでありますが、その売れるもの千六百九十万株余りの中で、ここにございますように、三井、三菱、住友の三本社のものが、ここに挙げました金額のように大きな割合を占めております。これは実は売れると書いてありますが、今日例えば三菱本社等は市場相場が立つておりますから、売れば売れるのでありますが、これは恐らくここ一、二カ月のうちに売らんでも、他方持株会社整理委員会が実は処分の仕事が終りまして近く解散を見込まれておりますが、それまでに全部清算分配を完了する計画になつておりまして、この三社ともこれを売るまでもなく残余財産の分配金が入つて参ります。さようなことで、処分可能ではありますが、実際はこれもここ一、二カ月のうちに現金になつてつて参る。この三社を含めて銘柄数はここにございますように千八百六十二銘柄となつておりますが、あとは非常に細かいもので、先ほど申しましたように財産税の物納株といたしまして、各地方のローカルな建値もないような株式でありますが、それは地方処分をやれば、売れる、その代表的なものはあとにあるのでありますが、細かいものでありますから、証券処理調整協議会を廃止いたしましても一向差支えないものでありまして、今までに証券処理調整協議会がありました時代におきましても、証券処理調整協議会の承認を得まして政府自身が各地方で処分をしておつたようでございます。処分不可能なものが百六十八銘柄二百七十四万株ございますが、それは株式等でありながらその会社が清算に入つたということのために売れないが、残余財産の分配がその中に入つて参る、こういう恰好になつておるものでございます。この政府持株のうちここに挙げました主なものの一覧表がなお添附の表に載つてございますから、それを御覧願えば大体おわかりと存じます。特別会計のほうも、今申した細かいもので、これは全銘柄もありますから、挙げ出しますと際限ございませんが、大体目ぼしいものをこの添附の表に載せてございますからこれも御覧願いたいと思います。  それから閉鎖機関整理委員会のほうも、四月末現在ではまだ処分残りが千五百万株ある。併し六月までに三百万株程度を証券処理調整協議会を通じて売りまして、六月末日閉鎖機関整理委員会の手許に残るものは千三百万株程度ということになりますが、その内訳もこれは資料としてお配りしてあるはずでございまして、一番最後から二、三枚目の表がそうでございますが、CILC管理株式等の内訳(昭和二十六年四月末現在)となつている表でございます。これがこの合計では千二百六十六万株ということになつておりますが、処分できるものが四百九十万株、処分できないと申しますか、処分しないでも自然に残余財産の分配で入つて来るもの等が七百七十五万株、その処分できるものの内訳を更に市場性のあるものと市場性はないが売れるものと分けてございます。処分できないものは、清算会社、在外会社、閉鎖機関等イロハと分けてあるのでございまして、お手許に御覧に入れておるわけでございます。  かような状況でございますから、私どもといたしましては、この際この昭和二十二年の法律に基きます証券処理調整協議会を廃止いたしまして、予算の節約もいたし、あとは政府及び政府の監督下において閉鎖機関が処分できるものは処分して参るということで十分ではなかろうか、殊に先ほど申しましたように、持株会社整理委員会がおおむね六月末日を以てその任務を終了するということになつておりますから、持株会社整理委員会がなくなりました後になおこの証券処理調整協議会だけが残るということは適当でありませんので、この際これをきめたほうがよろしいと、こういう趣旨でございます。
  36. 小串清一

    委員長小串清一君) 御質問ありませんか。
  37. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 この一般会計所属株式の中で日本製鉄が処分不能ということになつておるのですが、これはどういう意味なのですか。
  38. 内田常雄

    政府委員(内田常雄君) 日本製鉄は、御承知のように企業再建整備法の適用によりまして先般冨士製鉄と八幡製鉄に分れたのであります。そのときの分れ方を、日本製鉄が持つてつたいわば新勘定資産に相当するものを、製鉄事業に役立つものを現物出資をして富士製鉄と八幡製鉄というものを作つたわけでございます。そこで富士製鉄の株と八幡製鉄の株が、日本製鉄の令までの熔鉱炉とか平炉の代りに日本製鉄に入つて来たわけであります。そこでその日本製鉄を清算するためには、自分が抱いた富士製鉄、八幡製鉄の株を一般に売り出して現金にして、その現金を旧日本製鉄の株主に分けるわけでありますが、それまでの過程はすでに経まして、八幡製鉄、富士製鉄の株はすでに日本製鉄が売り出したわけでございます。売り出す際に、御承知のように日本製鉄はこれは特別経理会社で、厖大な欠損を生じている会社ですから、日本製鉄の債権者や株主というものは、それぞれ株券額や債権額を法定通り切られまして痛い目にあつておるので、これに対して第二会社の株式は、旧債権者、旧株主に優先的に売払いまして、プレミアムを取らしておるわけであります。政府も旧日本製鉄の大株主といたしまして日鉄の株式を持つておりまして、それが実に今度……今度といいますか、法律で株式を切られるわけで、痛い目にあうわけです。その代りに八幡製鉄、富士製鉄の株式を政府が買いまして、儲けさしてもらつておる。ところが政府は予算がないと買えませんから、実際の仕組では、政府は買わないで、買取権だけを外へ転売して、政府は大いに金を稼いでいるわけです。そういう仕組で、ここに書いてあります日本製鉄の会社の資本金というものは、実は富士製鉄、八幡製鉄の出て行つたあとのいわばホーカスでありまして、表面としては例えばここに九百九万株とありますが、これは資本金どうせ九割切りますから、残りは形式的には一割になるわけであります。従つて九十何万株にしかならない。而もこれは旧勘定の役に立たないものですから、中にはスクラツプ等として役に立つものも出て来るかも知れませんが、一応ここでは第二会社を組んだあとの形式上残つたものでありまして、近く清算したあとの何がしかの、十分の一程度の分配があれば、それで済んでしまうわけでありますから、従つて生きた株式じやない。そういう意味で処分不能、こういうことになつております。
  39. 九鬼紋十郎

    ○九鬼紋十郎君 ちよつと伺いますが、この特別会計の中に入つておる株式の、いわゆる税として納められるやつですが、この株式は払込額で取つたわけなんですか、評価……。
  40. 内田常雄

    政府委員(内田常雄君) この評価は、財産税法に基きまして物納を認めました際に、現金で納める代りに株式なり或いは土地、建物なりの物納が認められました場合に、それぞれ物納財産に対しまして一定の評価方法がありまして、その評価方法従つて収納いたしております。従つて、払込よりも安いものが多うございます。その会社の内容が改善されたり、或いは物納当時よりも社会情勢が変つてつて政府が処分する場合には、収納価格よりも高い価格で処分して、その面では政府が儲かつたというような話になるものもございます。
  41. 九鬼紋十郎

    ○九鬼紋十郎君 清算すると変つて来るわけですね。いろいろその当時の見込みも変つて来るわけですね。
  42. 内田常雄

    政府委員(内田常雄君) そうです。変つて参ります。高いものも安いものも出て参るわけであります。
  43. 清澤俊英

    ○清澤俊英君 これは大体株式の行く先きがわかつたら知らしてもらいたいと思うのです。
  44. 内田常雄

    政府委員(内田常雄君) その御説明を漏らしましたが、先ほど来御説明申上げますように、この三つの機関が昭和二十二年に持つておりました株式総数は三億数千万株でありまして、それが今日では九千万株だけであります。つまり約二〇%を除いて売つてしまつておるために、売りました数量は非常に厖大な数量になつておるわけであります。二億数千万株になつております。その売り方も、従業員処分のように、従業員の氏名等につきましてちやんと相手をつかんで処分したものもございますし、又入札等によりまして高いものをきめて、一番高い値をつけた具体的な相手方に対して処分したものもございますし、証券業者等に委託をいたしまして、証券業者の肚で、政府としては証券業者に丸呑みで処分した。と申しますのは、市場性のない株式等も相当ありますために、それに市場性をつけて参らないとあとで処分できないというような趣旨もありまして、証券業者の入札ですが、それは証券業者が背負い込むというか、証券業者が、何といいますか、政府から入札を引受けて、今度は自分が自分の責任で第三者に売出すというようなものも相当ありまして、今どういう階級に行つたかということは、各株式についてはなかなかわかりがたいものであります。そこで株式分布状況調というものをお手許に配付してございますが、それは昭和二十年度と昭和二十四年度の最終事業年度を比較した表でありまして、この表を御覧下さると、大体その株式が政府金融機関の手を離れて、個人の方面相当ウエイトがかかつて分配されておる。又大株主と小さい株主と比較いたしますと、大株主が持つておる株数の割合が減つて、中級株主と申しますか、或いは小口株主が持つておる分が殖えておる、こういうような状況がわかるのであります。  大体御説明申上げますと、この株式分布状況調の第一表でございますが、これは何でもございません。ただ一覧表でございまして、なおこれは全国の会社ではございませんで、株式取引所に上場されておる会社六百九十一社について調べたものでございまして、そのことはこの備考に書いてございます。なお二十四年度と申しますのは、二十四年度の最終決算期における株主の状況でございますが、その一覧表におきましては、昭和二十四年度においては株主数が四百二十八万八千五百四十三名、昭和二十年度においては百七十一万二千六百五十名、従つて株主数が下のB分のAにありますように二・五倍に殖えておる。尤も株数そのものは、再建整備上の増資がございましたために非常に殖えておりまして、二十年度に四億株であつたものが、二十四年度に十九億株、即ち株式のほうも四・五倍に殖えておるというようなことで、これだけでは株主の分布状況は明らかでありませんが、第二表以下に書いてあるところによると、第二表の所有者別の表でありますが、上の欄が二十四年度、下の欄が二十年度でありますが、例えば政府及び公共団体が二十四年度に持つております株数の比率は二・入%、然るに昭和二十年度に政府及び公共団体が持つてつた株数の比率は八・二九%で、つまり二十年に政府及び公共団体が八・二九%持つてつたものが、二十四年度には二・八%に下つておる。これは政府がどんどん売つてつておるので当然でありますが、その次の金融機関は、二十年度に一一・一七%株式を持つてつたものが、二十四年度に九・九一%に下つておる。而も二十四年度は非常に株数が殖えておりますから、パーセンテージが下つておるということは、絶対量におきましては、このパーセンテージに現われておる以上に実際においては金融機関等の状況が変つておることを示しております。三番目は証券業者でありますが、これは偶然にこういう数字が出て参つたのでありますが、証券業者が二十年当時に二・八二%であつたものが、二十四年度には一二・五六%にむしろ上つておる。これは証券業者に売つたというのは、民主化か民主化でないか、むしろ反対のようでありますが、これは申すまでもなく、証券業者の手持が殖えてしまつて、今日株式の状況必ずしもよろしくないために、相当証券業者の棚上株ができておるという、これは一つの悪いほうの、困つた財政金融政策としての一面を現わすものだと思います。次に法人、個人の欄は、これは非常に我々のほうから見て満足すべき結果が出ておると思います。即ち法人については、二十年度に二四。六五%であつたものが、二十四年度には五・五九%ということで、顕著なる減少を示しておるのでありますが、これは独占禁止法等によつて余りにも民主化し過ぎて、会社が会社の株式を持つてないために、株式の消化ができないで困るという一面の真理を伝えております。個人の関係では、二十年には五一・九八%であつたものが、二十四年度は六八・四九%と、個人の株主数が殖えております。これらを見ますというと、株式の分布状況が二十年から二十四年にかなり大幅な変り方をしておることがわかります。  第三表は今度は大株主、小株主の状況でありますが、例えば上欄の所有比率でありますが、一番上の左の一〇%以上というのを仮に御覧下さいますと、これも下の二十年の数字から先に申しますと、或る会社の一〇%以上の株主が昭和二十年においては二五・六六%の株式を支配しておつた、然るにそれが二十四年には五・八〇%の株式しか支配しておらない。株主数の比率にいたしましても、その二十年当時に〇・〇五%であつたものが、二十四年には〇・〇一%だということで、大株主は、つまり一割以上支配している大株主は、株主の数においても、その株主が支配している株式の総数においても減つておる。そその反対に今度は一番小さい五%未満の株主、今の第三表の初めの欄でございますが、これを二十年から申しますと、会社の五%未満の小株主が二十年には六九・五一%でありましたものが、二十四年には九〇・五〇%という株式を五%未満の小株主が支配しておる。又かような小株主の総数におきましても、二十年は九九・八九%ある株主数が、それが二十四年には僅かではありますが、九九・九六%いうふうに増加しておりまして、それが小さい株主がその株主数においても増加し、又小さい株主が支配しておる株式総数においても増加しておるということが全体として見られております。これは証券取引所が現実に上場株につきまして株主の状況を統計をとりましたものを、そのまま集積たものでありまして、かような結果が出ておることを御留意願いたいと思います。
  45. 小串清一

    委員長小串清一君) 別に御質疑もないようでありますが、質疑は尽きたものと認めて討論に入ることに御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  46. 小串清一

    委員長小串清一君) 異議なしと認めます。それではこれより討論に入ります。御意見のおありのかたはそれぞれ賛否を明かかにしてお述べ願います。……別に御意見もないようでございますから、討論は終結したものと認めて異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  47. 小串清一

    委員長小串清一君) 異議なしと認めます。  それではこれより採決に入ります。本法案を原案通り可決することに御賛成のかたの挙手を願います。    〔総員挙手〕
  48. 小串清一

    委員長小串清一君) 全会一致と認めます。よつて本案は原案通り可決決定いたしました。なお本会議における委員長の口頭報告の内容につきましては、本院規則第百四条によりあらかじめ御承認願うことに御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  49. 小串清一

    委員長小串清一君) 御異議ないと認めます。  委員長が議院に提出する報告書に対して、多数意見者の御署名をお願いいたします。   多数意見者署名     高橋龍太郎  九鬼紋十郎     山崎  恒  小林政夫     森八三一   大矢半次郎     黒田 英雄  清澤 俊英     佐多忠隆   油井賢太郎     木内 四郎  松永 義雄
  50. 小串清一

    委員長小串清一君) それじや速記をとめて。    午後四時十四分速記中止    —————・—————    午後四時三十六分速記開始
  51. 小串清一

    委員長小串清一君) 速記を始めて下さい。  それでは本委員会の共同提案で左の決議案を出そうと思いますから、ちよつとお諮りします。    決議(案)主文  退職金並に退職積立金に対す  る課税は、1これを減免する。  右決議する。理由現在退職金と退職積立金と  は、低賃金と不安定な雇傭関係とに  悩む勤労大衆にとつては、激浪の中  の唯一つの救い舟に等しい重要な意  義を持つている。それは単に企業内  での労働政策としてのみならず、勤労大衆の生活の支えとなる社会政策  の問題でもある。しかるに現在では、  退職金は給与所得に上積みされて課  税されるために、高率の所得税が課  せられ、退職者の生活の前途に、非常  な圧迫を及ぼしている。又退職積立金  として留保される部分に対して法人  税が課せられることは勤労者の生活  を擁護せんとする目的に反し、ため  に勤労者の勤労意欲を阻害するのみ  ならず、企業の負担を一層重くする。   故に本院は退職金並びに退職積立  金の特殊性に鑑み、社会政策的見地  から、これ等に対する課税を減免す  る。  この決議は審査を省略することを要求して直ちに上程するということに取計らいたいと思いますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  52. 小串清一

    委員長小串清一君) それではさように取計らいます。   —————————————
  53. 小串清一

    委員長小串清一君) それでは次に小委員長杉山さんより一つ御報告をお願いいたします。
  54. 杉山昌作

    ○杉山昌作君 請願及び陳情に関する小委員会は本日の会議を含めまして前後五回開催いたしたのでありますが、その顛末はすでに大部分を報告申上げたのでありますけれども、なお報告されていない部分をここに報告申上げます。  先ず請願第二百二十八号、第四百十九号、第四百五十三号、第千九十二号、第千四百五十五号、第千六百十五号、第千六百八十六号、第千八百四十一号及び陳情第二十九号、第百号、第二百二十号、第三百十一号は、いずれも漁業制度の改革によつて消滅せしめられた漁業権に対して交付される補償金に対して課税することは漁業界経済的建直しの障害となり、漁業制度改革の措置を画餅に帰せしめる虞れがあるからこれを免税せられたいとの趣旨でありまして、漁業制度改革の趣旨を達成せしめ、我が国水産業の振興を図るために、政府においてはできる限りの措置を講ずべきであると認められますのでこれを採択いたしました。  次は請願第九十三号日本専売公社福島県小野田村有臨時収納所建物買上げに関する請願請願第三百四十六号旧陸海軍工しよう所在地の平和産業都市転換に関する法律制定請願請願第三百五十八号預金部資金運用審議会議決機関代表参加の請願請願第四百五十六号輸入パルブ免税に関する請願請願第五百六十五号社会福祉事業に対する免税等請願請願第五百七十六号岩手県沼宮内町にたばこ取扱所設置請願請願第六百七十四号コーヒーの輸入税軽減等に関する請願請願第六百八十八号工業用輸入ミシンの輸入関税減免に関する請願請願第七百七十九号国内産砂糖消費税廃止に関する請願請願第九百九十七号たばこ試験場ならびに配合肥料工場設置に関する請願請願第千百五十四号飲食物製造販売業者衛生設備改善費に対する課税軽減請願請願第千二百十一号印紙税法第四条改正に関する請願請願第千二百三十四号所得税法中一部改正に関する請願請願第千三百二十九号つり用具物品税軽減に関する請願陳情第百九十三号関税定率法改正案中一部修正に関する陳情陳情第三百二十五号水産用石油製品に対する関税撤廃陳情、以上の案件は願意心ずしも適当ならずと認め、又請願第三百九号朝倉病院差押え即時解除等に関する請願請願第四百三十七号右に同じ、請願第千五百九十二号右に同じは請願の事由たる事実がすでに消滅をいたしておりますので、以上いずれも採択に至らなかつたものであります。以上御報告申上げます。
  55. 小串清一

    委員長小串清一君) 只今委員長より報告のありました採択せられました陳情請願につきましては、小委員長の御報告の通り決することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  56. 小串清一

    委員長小串清一君) 御異議ないと認めます。又留保分につきましては、御報告を了承することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  57. 小串清一

    委員長小串清一君) 御異議ないと認めます。これで散会いたします。    午後四時四十五分散会  出席者は左の通り。    委員長     小串 清一君    理事            大矢半次郎君            清澤 俊英君            杉山 昌作君            木内 四郎君    委員            黒田 英雄君            九鬼紋十郎君            佐多 忠隆君            松永 義雄君            小林 政夫君            高橋龍太郎君            山崎  恒君            油井賢太郎君            森 八三一君   国務大臣    国 務 大 臣 周東 英雄君   政府委員    大蔵省管財局長 内田 常雄君    大蔵省主税局調    査課長     泉 美之松君    経済安定政務次    官       小峯 柳多君    経済安定本部総    裁官房次長   西原 直廉君    経済安定本部経    済計画室長   佐々木義武君    経済安定本部財    政金融局長   坂田 泰三君    物価庁次長   熊田 克郎君   事務局側    常任委員会専門    員       木村常次郎君    常任委員会専門    員       小田 正義君