運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1951-05-23 第10回国会 参議院 大蔵委員会 第40号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年五月二十三日(水曜日)    午前十時五十三分開会   —————————————   本日の会議に付した事件 ○証券投資信託法案山本米治君外八  名発議)   —————————————
  2. 大矢半次郎

    理事大矢半次郎君) それではこれより第三十九回の大蔵委員会を開会いたします。  証券投資信託法案につきまして、質疑を続行いたします。
  3. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 昨日御質問したのですが、まだちよつとわからないところがありますので、重ねてお伺いいたします。信託投資証券流通性ですが、それを確保するために戦争中ですか、昭和十六年のとき行なつたのは買入れとか、その他委託者が買入れることができることになつておるようですが、昨日お伺いしたのは部分解約の問題です。それは約款できめればいい、或いは定款できめればできるというようなお話ですが、定款内容みたいなものを、雛型みたいなものを、あつたら参考にお聞きして置きたいのですが……。
  4. 吉田晴二

    政府委員吉田晴二君) 只今の御尋ねの点は、これは法律には特に具体的な規定がありませんで、証券取引委員会承認、つまり信託約款内容の問題かと思いますので、便宜、こちらのほうで一応そのどういうものを承認するかという考えであるかということについて、お答えしたいと思います。大体信託約款の中には今度発行されますワンユニツト金額或いはその受益証券期限、或いはどういう銘柄投資するかということに関するいろいろな規定、或いは信託投資をする手数料というものをきめる。それからその配当なり、或いは売買益なりがありました場合に、それをどういうふうに分配するか、主としてこういう問題については、必ず信託約款にきめて置かなければならない、こういうふうに考えております。なおその場合一応我々の考えておりますところはワンユニツト金額については大体五千万円程度、少くともそれくらいのものをワンユニツトとして発行いたしませんと、印刷関係でありますとか、その他の関係から、効率的でないというふうに考えております。又一口の証券、これは只今印刷その他の関係から五千万円ということを考えております。それからその期限につきましては、まあ一応二カ年乃至三カ年といたしまして、更に情勢によりまして、この証券取引委員会承認を得たならば、その期間の延長ができるというような約款にしたならばいいのではないかと思います。更にその銘柄につきましては、昨日山本先生からいろいろ御説明がございましたように、一応只今少くとも十種類程度銘柄を出しまして、更にそれに固定しないで予備銘柄というものをその二倍或いは三倍くらいのものを出しまして、場合によつては、その情勢によつては、この予備銘柄に乗替えることができるというようなことにしてはどうか、ということを考えております。なお信託報酬並びに手数料の問題であります。これにつきましては、なおまだ検討中でございますが、まあ少くとも信託報酬については百分の一以下くらいにしたい。又その委託会社手数料について百分の二以下にしたいということで只今検討しておるわけであります。なお分配方法につきましても、一応はこれは配当なり、利子とかいうものについては、大体受益証券配当は年に四回ぐらいに分けるということが適当ではないかと思いますが、その場合にその利益受益者配当するが、譲渡所得に当るような分については、これは最後まで積立をして置きまして、仮に株券値下りがあつたというような場合のカバーにするというような方向でそれをやつて行く、実際の配当、或いは利子の不足の分だけを、受益者のほうに分配して行くというようなことに分配方法をきめたと、こういうふうに考えます。
  5. 松永義雄

    松永義雄君 ちよつと関連しまして、今手数料お話がありましたから、関連して聞いて置きたいと思いますが、大体受益証券配当率は、どの辺に見通しをしておられるのでしようか。簡単……。
  6. 山本米治

    委員外議員山本米治君) これはどの程度投資信託を結成するかという金額の問題、期間問題等に関連して行きますので、一概には申上げかねますが、昨日もちよつと申上げましたように、八、九分程度という一応の試算をしておるのですが、信託期間が長くなればもつと配当がよくなります。期限が長くなれば又よくなるのじやないかと、こう考えます。
  7. 松永義雄

    松永義雄君 それからもう一つお伺いしたいのですが、これは相場上り下りということも利益配当の中に含まれておりますか。
  8. 山本米治

    委員外議員山本米治君) 相場上り下り最後清算のときにするのでありまして、中間におきましては、利子若しくは配当だけを配当するわけであります。
  9. 松永義雄

    松永義雄君 そこで心配になるのですが、八、九分程度配当率だとすれば、今の普通の株券利廻りは極めて高いのでありますが、例えば五千円の受益証券を、若し払込んで証券を得たにしましても、すぐ証券価格が下つて、五千円の価値が保てるかどうかが疑わしいと思うのですが、それに対してはどうお考えになりますか。
  10. 山本米治

    委員外議員山本米治君) 株の値段上り下りはどうも止むを得ないところでございまして、下れば受益者の損、上れば受益者利益ということになるわけでありますが、その点におきましては昨日も申上げました通り、やはり今全般としては株価が一時に比べては低いのでありますから、今が結成若しくはこの証券投資信託を始めるいい時期ではないかと考えております。
  11. 松永義雄

    松永義雄君 僕の質問に対する答弁にはちよつと離れておるような感じがするのですが、今の株を買えばその利廻りは非常に高い率になる、八、九分程度ではなくて一割、一割五分、富士紡至つては三割配当に対しては百二十円の相場であります。そうした利廻りの非常に高いときに受益証券を、五千円なら五千円払込んで受益証券を得たときにその受益証券が、今度市場価格というか一般価格が五千円のときと同じ値打価格を維持して行かれるかどうか、今の利廻りからいつて利率からいつて維持して行けるがどうか。
  12. 山本米治

    委員外議員山本米治君) どういう……。
  13. 松永義雄

    松永義雄君 社債なら社債を買えば、金融債券なら金融債券を買えば、例えば勧業銀行ですか、興業銀行ですか、どのくらいの利廻りになるか知りませんが、ああした信用のある銀行であれば払込んだだけの価格で、直ちに払込んだ金に相当する値段で以てその債券を売ることができる。ところが受益証券のほうは果して八、九分で五千一円払込んだなら、それがすぐ受益証券五千円でよそに売れるかどうかということ……。
  14. 山本米治

    委員外議員山本米治君) それは直接投資の場合には株の利廻りが、例えば最近ではいわば一割内外になると思うのですが、一割内外配当額が全部投資者に入るわけですが、この投資信託におきましては、この委託者等に対して信託報酬を払いますから、それで報酬の要る分だけは減るわけであります。でありますから直接投資に対して利廻りが悪くなることは当然であります。それから、今の社債上り下り社債の場合は元本は変らないが、株券の場合は下る場合がある、これは株の本質でありまして、下るのは何ともしようがない。五千万円なら五千万円というものでそれを結成する、ユニツトが五千万円或いは一億というものにつきまして、その一億全部を有価証券に換えたものが、その株が上れば一億二千万円になるかも知れんが、下つた場合にその総額が八千万円になるかも知れない、そういうことであります。
  15. 松永義雄

    松永義雄君 どうも僕の質問の趣旨がおわかりにならんようですが、五千円払込んで受益証券をもらつたらその受益が右から左に受益者は五千円で売れるだけの値打を維持して行けるかどうか。八、九分程度利率受益配当でも払込んだ金だけの値打受益証券がよそへ売れるかどうかということであります。
  16. 山本米治

    委員外議員山本米治君) それはその受益証券の各単位価格というものは嚴密にいえばそのユニツト投資した有価証券を毎日の相場によつて評価しなければならんわけです。ですから株が下れば五千円のものは五千円の内容がなくなるわけです翌日でも……、上れば翌日でも殖えるかも知れない。五千円が五千百円、五千五百円になるかも知れない、それは毎日の相場変動ですから。ですから受益証券市場性のある外国のようなところにおきましては毎日の評価による……。
  17. 松永義雄

    松永義雄君 僕の聞いておるのは株価のさつき言いました上り下り最後に決算するのだ、こういうことですが、受益証券値打買付け銘柄株券上り下りによつてきまるということは今おつしやつたのですが、私の言うのは配当率が八、九分程度で以て、そういう安い程度で以て五千円の値打が維持できるかどうかということを聞いておるのです。ただそういう簡単なことなんです。もう一つ具体的に言えば、国債ならば、これは払込んでも一円か二円の安い売買するのに要る手数料程度の損で済むけれども、或いは金融債券信用のある銀行の発行しておる債券なら払込んだ右から左の手数料の損で済むけれども、併しながら受益証券については証券業者という信用のないものが介在しておるのだから、それだけの値打が維持できるかどうかを聞いておるのです。
  18. 山本米治

    委員外議員山本米治君) それは委託会社の先ほど申しました買取りの約款によつて買取価格をどうしてきめるかということになるのですが、経済的に申せばやはり先ほど申しましたように、毎日の相場弾じい単位で割つたものになるわけです。
  19. 松永義雄

    松永義雄君 ただそれだけのことを言つて置けばいい。あなたは間違いないということを言う、私は危いということを言つておるのだから、そこは結局意見の相違になるのですから……。それからもう一つ今おつしやつた買取つてもらえると、こう言うのですが、買取つてもらえるということは五千円が即ち五千円ですぐ買取つてもらえるということですか。
  20. 山本米治

    委員外議員山本米治君) それは約款のきめようでございます。今のところ約款買取りを規定する場合には大体その払込額、即ち五千円のものは五千円で委託会社買取るということを約款できめようとしておるのです。
  21. 松永義雄

    松永義雄君 そんなことをやつた証券会社がえらい損をしてしまつてそれだけほかのものの負担になつて残れるものの、受益証券所持者損失になることになるのであります。それでは経費なんかちつとも見ていないということになります。
  22. 山本米治

    委員外議員山本米治君) それは手数料程度のものは取るかも知れません。又損することがあるかも知れんと同時に得する場合もある。得するというのは他の受益者が、例えば五千円のものがその投資証券の値上りによつて五千五百円になつておるかも知れん、そのときに会社が五千円で買取るということになれば受益証券所持者は損するわけですね。
  23. 松永義雄

    松永義雄君 そうすると儲かるときもあれば損するときもあるというわけですね。
  24. 山本米治

    委員外議員山本米治君) その通りでございます。
  25. 松永義雄

    松永義雄君 だけれどもそういうことなしにして、投資株券価格をそのままに居据つたと仮定して五千円で以つて買戻してもらえますか。
  26. 山本米治

    委員外議員山本米治君) それは先ほど申しました通り買戻しをするかどうかということも約款次第でありまして、委託会社によつては買戻ししないということをするかも知れません。
  27. 松永義雄

    松永義雄君 今あなたが買戻しをするとおつしやるから買戻したときには元通りには買つてもらえんのが当然ではないかということを聞いておるのです。買戻してもらえんければこれは市場で売るよりほかない。市場で売ればそれの値打が少し下るのであります。
  28. 山本米治

    委員外議員山本米治君) これは法律の問題でなくていわば約款の問題ですが、それを原価、即ち五千円のものは五千円で買取ることになるという承認方針でございます。
  29. 松永義雄

    松永義雄君 そうすると経費なんかあとの……。
  30. 山本米治

    委員外議員山本米治君) それは手数料程度は取ります。
  31. 松永義雄

    松永義雄君 それはあと受益者証券負担になつてしまうじやありませんか。例えば保険契約を解約した場合に払込んだ保険料を全部返してもらえるかというと、ああでもない、こうでもないと言つていろいろの費用で戻つて来ないというのが現状で、それは当然のことで、なぜかといえば保険会社つて給料を払わなければならないし、いろいろな費用を払わなければなならない。だからその経費を引いてしまうというと、元通りの金を払込んだ会社がえらい損をしてしまう。保険契約者損失になるのです。
  32. 高橋龍太郎

    高橋龍太郎君 今のあなたの御質問に関連しておりますが、今の御答弁で買戻しの約款で買戻しの規定をすると、そういうことは成立ちますかしら。買戻しの契約をする証券が非常に下つて来る場合もあれば上る場合もある。それで得をする場合もあれば損をする場合もある、という御答弁ですが、契約者は買戻しを要求するのは有価証券が下つて五千円の値打がなくなつたときだけに要表するので、大体にいえば例外はあるでしようが、上つたときには五千円で買戻しを要求する人はないのであります。そうすると下つたときだけの買戻しをするというような約款をして、事業として成立つかどうか、私そこが腑に落ちないのです。
  33. 大矢半次郎

    理事大矢半次郎君) この点に関しまして吉田政府委員のお考えを伺いたいと思います。
  34. 吉田晴二

    政府委員吉田晴二君) 只今お話の点は、ただ実は具体的な問題として政府としてはまだ研究中の問題でございまして、買戻すという何と申しますか、一つのそういうことを約款の中に入れて委託会社が発足をするということについてはこれはそういうことを考えておるのですが、ただ具体的にそれじやその金額をどういうようにするか、手数料をどういうようにするかということについてはまだこれはこちらのほうでも十分な結論を出しておりません。ただ今のお話のございました点で委託会社が買戻すわけでございますから、委託会社のほうに損得の何と言いますか一種の危険負担が来るわけです。仮に手数料を引いてその金額そのもので買戻して行きますと受益証券の他の受益者にはこれは特に影響がないと思いますが、ただ委託会社のほうで、仮にあと証券が下つた場合には、委託会社がその額面で買戻したことによる損失負担する。ただ一般受益者受益証券があつちへ行つたりこつちへ来たりすることでございますから、受益者のほうには何らの損益はない、こういうふうに思います。
  35. 高橋龍太郎

    高橋龍太郎君 その御答弁ですが、委託者には何の損得はない、委託会社が損をするのだというが、委託会社が損が起るような契約をしては委託会社というのが信用がだんだん落ちるわけでしよう。それが間接に委託会社に利害がないという御説明は私には納得が行かない。それから私は信託会社有価証券の高低の影響を受けるのは信託会社の性質としてこれは当然だ、それはもう信託会社責任でしようがないのだという御説明ならば納得できるのですけれども、少しあとの御説明が私納得が行かないのです。
  36. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 この問題は前に昭和十六年でやつて最後にこれを清算するときに流通性のない受益証券を大衆がいつまでも持つていて処理ができなくて非常に困つてつた、そのときに総司令部と折衝してその結果結局受益者が特に換金を希望されたときは申出次第そのときのユニツト評価基準として買取る、こういうことにしたのです。ですから先ほどの松永委員の御質問は五千円なら五千円で買取る、こういうことをおつしやつたからおかしいのであつて、その前の制度のときにはそのときのユニツト評価基準買取る、こういうことになつたからこれならまあ話がわかるのです。ところが五千円なら五千円で買取ると言いますから、それは今の資本主義の法則から言つてそんなおかしなことはないと思うのですが、そういうことになるのじやないのですか。
  37. 山本米治

    委員外議員山本米治君) それはユニツト値打というものは証券価格変動によつてしよつちゆう毎日変つて来るものなのです。それだからその或る日時に買取るときに、やはりそのときに全証券評価してそれを単位で割つたもので売買するのが、つまり会社買取るとすれば買取るのが当然なのです。ところがこれはまあ今後の行政処置と申しましようか、証券取引委員会承認方針というか、そういう問題でありますので、私が政府委員に聞いたら原価で買う、そついうことでありましたからそういうことを言つたのです。理論上から言えば当然そのときの評価売買する……まあ手数料の問題がほかにあるのですけれども……。    〔理事大矢半次郎君退席、理事杉山昌作委員長席に着く〕
  38. 松永義雄

    松永義雄君 昨日堀合さんに質問した答弁をもう一遍……。
  39. 堀合道三

    法制局参事堀合道三君) この松永委員の御質問受益者委託者或いは受託者との関係において、どのような法律関係を持つているかという御質問と了承いたしましたが、先ず第一に受益者受託者に対してどういう法律関係を持つているか。これは普通の信託契約上の法律関係でございまして、受託者委託者の定めたところの信託目的に従いまして、信託財産を善良な管理者の注意を以てこれを管理、処分、運用して行く、それによつて得ました収益を受益者に対して分配をする、そういう義務を負う。反対に受益者はそれを請求する権利を持つ。こういう関係でございます。なお信託契約が終了いたしました場合には、これは信託契約内容によりますけれども、今考えております投資信託におきましては、信託財産受益者に帰属するということになつておりますから、従つて受託者はその信託財産の計算をいたしまして、そして、それを受益者に対して引渡す。こういう責任があると考えております。これは普通の信託契約上の受託者受益者との法律関係になつていると、こういうふうに考えております。
  40. 松永義雄

    松永義雄君 委託者信託契約によりまして、信託会社又は銀行に対して一定の銘柄の中の株券指図するということになつておりますが、逆に今度信託会社、或いは銀行委託者に対して兼業している場合に、その指図を受けた株券買付又は売捌きについて、委託者委託することができるかどうかという点、信託銀行委託者に対して株券売買について委託ができるかどうか。
  41. 堀合道三

    法制局参事堀合道三君) この投資信託におきましては、委託者受託者に対しまして、信託財産投資について指図をする権利があるということになつておりまして、従いましてこの委託者、具体的には証券会社が、受託者たる信託銀行等に対しまして、こういう証券を買つて欲しい、こういう指図をいたしまして、その売買代理を、委託者たる証券会社自身がすることを指図するということは、これは信託法上の制限がございませんし、それから民法のいわゆる自己契約の禁止に触れるものとは考えられないと思います。と申しますのは指図行為は、信託契約上の行為でございまするし、それからその指図に基きまして、受託会社有価証券売買代理委任いたします行為は、これは別の代理行為委任行為でございまして、法律行為とは別個の行為でございますから、従いまして指図をするものが委託会社であり、同時にその売買委任を受けますものが、委託会社でございましても、その場合には同一法律行為につきまして同一人が代理者として本人を代理し得る。同時に自分がその相手方になる、こういつたいわゆる自己契約関係というものは起りませんでございますから、民法上の規定に触れない、制限に触れない、このように考えております。
  42. 松永義雄

    松永義雄君 つまり双方代理のことには触れないということになるのですね。
  43. 堀合道三

    法制局参事堀合道三君) さようでございます。
  44. 松永義雄

    松永義雄君 更にお尋ねしますが、そうすると信託会社から委託を受けて、証券業者が株の取引所に向つて売買を株式会社のほうへ委託するということを依頼する場合において、その証券業者ばいかいはできるわけですね。
  45. 堀合道三

    法制局参事堀合道三君) 証券取引法規定によりまして、ばいかいとして行うことができる、こういうふうに考えております。
  46. 松永義雄

    松永義雄君 その場合に、例えば証券業者鐘紡なら鐘紡の株を一万株持つてつた、ところが指図をして、銘柄の中に鐘紡という株が入つてつた銀行のほうから鐘紡を買つてくれと言つて委託者のほうに注文が来る。そうするとたまたま自分が一万株の鐘紡の株を持つてつたから、委託者である証券業者証券取引ばいかいができるわけですね。
  47. 堀合道三

    法制局参事堀合道三君) さようでございます。
  48. 松永義雄

    松永義雄君 ここで先ほど木村君の言つた心配が起つて来る、そういうことになりますね。
  49. 杉山昌作

    理事杉山昌作君) この際ちよつと……、昨日木村委員から御要求がありました、つまりレギユラー・ウエイについて回答が出ておりますので、この際吉田政府委員から一つ説明を願いたいと思います。
  50. 吉田晴二

    政府委員吉田晴二君) レギユラー・ウエイの問題でございますが、これは証券取引法の制定以来、当然このレギユラー・ウエイと称せられる一種の信用取引、これは法律規定もございまして、当然実施さるべきものであるという建前で進んで来たわけでございますが、何分にも当時の証券業者資産内容というものがまだ十分でなかつた。なお又当時の経済情勢は必ずしもレギユラー・ウエイ実施するには時期尚早であるという情勢でありましたために、その時期が延びておつたわけでありまするが、昨年の証券業者のつ整備という一つ計画によりまして、純資産はすべて五十万以上を持する、又負債倍率は必ず十五倍を維持するというような計画を立てまして、これによりまして、昨年の九月から報告並びに検査をいたしまして、その結果大体昨年の年末に至りまして、一応この水準に達するような整備ができたわけでございます。ところが業界におきましては、このレギユラー・ウエイに対して昔の長期清算取引をやりたいというような議論もございまして、両論が対立しておつたわけでありますが、これも本年の一月から、とにかくレギユラー・ウエイ実施するということに意見が一致いたしました。ここにおいて本月の十七日に一応証券取引委員会といたしましては、信用供与率五五%という省令を出し、又これに伴う委員会の規則を制定いたしまして、レギユラー・ウエイが若し業界実施する意向があるならば、実施できるという態勢を整えたわけであります。これによりまして、業界におきましては、只今取引所で打合せをしておりましておのおの業務規定等をきめまして、大体六月の一日頃から実施をする予定で準備を進めておるようでございます。なおこの際附加えて申上げますと、このレギユラー・ウエイによりまして、従来ローン取引というものが、これは昨年から行われておつたわけでありますが、この場合にこのローン取引との関係を申上げますと、ローン取引は大体証券業者お客に、信用供与ではなくてお客証券会社に借金をして、その場合に証券業者がその取扱をするということになつてつたわけでありますが、実際上の経済的な効果は、殆んど今度実施いたしますレギユラー・ウエイと大体同様であるということが言えるかと思います。ただその掛目の点におきまして、ローン取引の場合は証券会社証券を担保にして貸す場合に七割で貸しておる。又そのほかに業者内入準備金を一割取つておりましたので、結局四割だけ現金を持つて行かなければならんのでありますが、今度は五割五分の信用供与率がございますから四割五分の証拠金を持つて行かなければならん。つまり五分だけその点で以て客のほうに不利になるということになるわけでございますが、ただ又実際証拠金を持つて参りました場合において、その買付けました証券値下りをした場合、これは従来でありますと三割の値下りがありますというと、当時買付けました金額の三割以下に下つた場合には、証拠金を追加しなければならなかつたわけでありますが、今回はこれはレギユラー・ウエイでは二割五分まではいい。従つてその点では五分だけ客に有利だということになるわけであります。なお又資金上の点におきましては、従来は大体二十五億の金が出ておつたわけでありますが、今回のレギユラー・ウエイ実施伴つて相当資金が必要であるという意味において、大体これに十七億の資金が出て参るわけであります。この関係から申しまして、従来のローン取引よりもそれだけ資金が殖える関係取引がしやすいことになるという点において違いが出て来るというふうに考えるわけであります。ただこの際非常に一部のほうで心配されることはこういうレギユラー・ウエイ実施によつて、いろいろ証券業者のほうにだんだんと先ほど申上げましたように、資産内容の充実ということを図つて参りましたが、なおこのレギユラー・ウエイによつて証券業者が或る程度お客から取りました証拠金を流用し得る場合が或る程度つた場合に、これによつて証券業者の資産が非常に殖えまして、一般大衆に迷惑を及ぼさないかという点が非常に問題になるわけでありますが、この点につきましても先ほど申上げましたように、一応とにかく証券業者資産内容の充実ということを図りまして、又更に今回の取引におきましても十分報告を徴し、又検査を厳重にいたしまして、そういう弊害のないようにいたしたいというふうに考えおる次第であります。
  51. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 これは私はこの証券投資信託法案と関連してレギユラー・ウエイの問題を聞いたのです。実はそれはどういう意味かと申しますと、最後に御説明になりました大衆に損をさせないように、証券業者資産内容を充実したい、こういうふうに言われましたけれども、今の実情ではどうしても私はそれだけでは投資家を保護することはできないのです。問題は証券業者の業務、いろいろ兼業できる、その事自体に問題があるのです。自己ばいかいその他ができる、そこに問題があるのです。これは前に私は湯地さんが事務局長のときに御質問をして、レギユラー・ウエイをやるときにははつきりそういう業務の分業をしたい、こういうことを言われたのです。そういう態勢がちつとも行われていないで、このレギユラー・ウエイをやるということになると、私は相当問題があると思うのです。レギユラー・ウエイそれ自体は私は悪いと思いません。併しこれには短期清算取引がいいかどうか議論はあると思いますけれども、これはコールがよその額面よりも少い状態でかういうことがうまく行くかどうかわかりませんけれども、併し一番の問題は従来からもどうしても一般大衆の投資がスペキユレーシヨンに陥る。こういうことになるのは結局証券業者の業務がいろいろ兼業ができることにあると思うのです。これについてどうお考えになるか。今後やはり業務の分離の問題については政府としては至急これをやるようにお考えなのか。外国ではレギユラー・ウエイをやる場合でも皆業務分離ができておるのです。日本はできていない。この点についてどういうふうにお考えですか。    〔理事杉山昌作君退席、理事大矢半次郎委員長席に着く〕
  52. 吉田晴二

    政府委員吉田晴二君) 只今質問のございました証券業の業務分離の問題でございますが、これは只今お話通りアメリカにおきましてはいわゆるブローカー・デイラー、或いは引受業者というものがあつて、特別そういうものを扱うスペキユレイターというものがあつて、いろいろ分担が分れましで仕事をしておる、従つてお話のような、いわゆるデイラーというものは一般の客の注文は扱かわない、従つてお客のほうの注文を扱わないブローカーはレギユラー・ウエイはできないということになつておる、非常に、お話のように制度としては立派で、大衆的にも欠けるところのないいい制度であると思います。ただ現在の日本の証券業につきましては、先般からお話通り、これは或る意味において従来の歴史或いは又日本経済全体の問題になつて来るかと思うのでありますが、何と申しましても、アメリカあたりに比べて見ますと、丁度小学生と大学生でありまして、ただこれを戦前に比較いたしますと、ややこれでも進歩して来たわけでありまして、一遍に小学生が大学生になるというわけには参りませんので、漸次いろいろな過程を経まて進歩して行くということが望ましいのではないかと考えておりまして、勿論我々といたしましては初期の段階において、今のような職能分離ということも考えておるわけでございます。まだそこまで実際の経済界の状況或いは証券業の実態が進んでおらないというふうになつて来ておると思います。
  53. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 根本の考え方はやはり業務の分離という方向に考えて行かなければならないと思う。それと逆行するようなことはおとりにならないでしようね。
  54. 吉田晴二

    政府委員吉田晴二君) これは非常にむずかしい問題でございまして、只今のこの証券と信託のことで、証券業の兼営ということに関連する問題であると思います。一般の何と申しますか、証券の知識の普及というような点についてのいろいろな関係からいたしまして、今の証券取引所なんかもなかなかその点においては有力なものであると思います。実は只今の御質問の趣旨がはつきりいたさなかつたのですが、全体といたしまして、只今お話通りこれの逆に行くというようなことは考えておりません。
  55. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 これまで資本蓄積が必要であるということで、いわゆる証券民主化、証券民主化といつて大衆に証券を買わせるように、政府業者も宣伝これ努めて来た。これは私は悪いことでないと思うのですけれども、従来それが非常に失敗しておるのです。その根本の原因はどこにあるかというと、これは証券業者の兼業の問題にあると思う。自己ばいかいをやつてお客さんが損をするような場合に証券業者はその株を自分の計算でやつてしまつてお客さんが損をするようなときにはその計算をお客さんのほうにやつてしまつて自分取引をする、そこに問題があると思うのです。この制度自体業務自体を変えなければ如何に証券民主化、証券民主化と、どんなに鐘太鼓で宣伝しても、又証券業者資産内容を多少充実させても、私は問題は解決はつかないと思う。やつぱりここが一番問題だと思う。先ほども問題になつたのですが、投資信託についても兼業の問題ですよ。こういうような証券業者の業務の状態においてこれを兼業させるというときに、松永委員からも質問があつたのですが、その弊害が出て来ると思うのです。それで成るほど銘柄を指定するかも知れませんが、そのときに指定される銘柄について非常に得なときには証券業者の計算にしてしまうかも知れない、或いは又損した場合にはこれを投資信託のほうに計算してしまう。そういうことは兼業をやればできないことはないと思うのです。そこが問題だと思うのです。その根本を直すようにして置かなければ、私は非常に弊害が出て来るのではないかと思う。ですからGHQのほうで、その証券業者以外のものにこれをやらせるべきだと言つたのはそういうところにあるのではないかと思うのです。併し実際問題として証券業者以外のどこがやるかは私もわかりませんけれども、とにかく司令部がそういうことを言つたということは私はそこにあるのではないかと思う。我々もそれを危惧するわけです。このこと自体が決して悪くないとしても、これを扱う証券業者が、委託者がそういうことができるようになつているのです。レギユラー・ウエイについてもそうなんです。レギユラー・ウエイ投資信託とか、そういうところに問題があるのではない。もう一歩先の、今の証券業者の兼業の問題ですよ、それは一挙にレギユラー・ウエイに改めることは無理かも知れない。併し何とかその点は改めて行かなければいつまでたつても百年河清を待つで、一番問題になるのは、これはしよつちゆう大衆が株を買うというのは何か投機のように考えて、昔から株を買う人に対してはあまり信用がない、或いは株をやつていると。こういうことが健全なインベストメントとして考えられないのはそこにあると思うのです。ですから投資信託も、私は悪いとは言いません。レギユラー・ウエイも悪いとは言いませんが、その根本です。根本の問題についてもう少し政府は真剣に考える必要があると思うのです。前に湯地さんもそういうことを言明された。これは速記に残つております。それをどうするんですか。レギユラー・ウエイを六月一日からやるということになつてつて、これについては何ら触れていない。責任あることを聞きたい。何かそれに対して考えてやればいいけれども、そこは答弁しつ放しでレギユラー・ウエイをやるときにはそういう点については考慮すると言つておるのですが……。
  56. 吉田晴二

    政府委員吉田晴二君) 只今お話の点、誠に御尤もな点が多いと思のうでありますが、まあ我々考えて見まして、実際、例えばこの間アメリカから帰られました証券関係のかたがたの意見を聞いて見ましても、つまりアメリカあたりでは非常に証券の、何と申しますか、売買が非常に多い。証券会社の数も多いし、又非常に有力な証券が多い。ニユーヨークの株の取引所では上場株が千株もあるようでありますが、そのほかに一般の店頭売買に持つて来る証券というものは、これが又非常な数に上つておる。従つて先ほども申上げましたようなブローカーとデイラーというような区別も当然そこで起つて来る。デイラーとしては何らいわゆるブローカー的な業務を行わなくても一般の店頭取引証券を売るべきものが相当あります。又お客さんもこれについて来るものが相当あつてそこで業体が成立つ。又ブローカーのほうにおきましても十分なその上場証券についての取引がある。ここに非常に問題があるわけでございまして、日本においてはこの点現在の状況ではまだまだ非常に全体の証券業と証券との関係が或る意味においてアンバランスがある。ブローカーだけをやつておりましてはなかなかその手数料、これも非常に手数料が高いということで問題になつておるわけですが、その手数料だけではなかなか収支が償わない。勿論それは中には償つておるものもあるわけでありますが、中には又償わないで或る程度自己の思惑をやらなければならん。そうかと申しましてこれは漸次整理することが必要であると思いますが、一度にこれを整理するということはなかなかむずかしい。これが現在の実情ではないかと思うのであります。そういろ事情でありますので、先ほど申上げましたようにレギユラー・ウエイ実施の際にも証券会社業者の整理ということについて、昨年一ぱいいろいろ政府としましては苦心をいたしまして、漸次できるだけの内容充実という方策に従つて来たわけであります。そういう点について一つできるだけの御了解を得たいと考えるわけであります。
  57. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 只今の御説明は、一通りの御説明になつていますが、実際全部の証券業者がそうであるとは言いませんが、やはり専門家に聞きましても、今度のレギユラー・ウエイにおいて、例えば悪いこと、ということは語弊があるかも知れませんが、やろうと思えば非常にできるということが言われておるのです。ですから信用のある大きい証券業者にはないかも知れませんが、そうでないところはこれを区切つて非常にできるようになつているやに聞いております。ですからそういう点は相当これは監督しなければならんと思いますが、私はその点を憂えておるわけです。投資信託そのものが悪くないとしても、今の証券業者の業務の兼営ができる、いろいろな業務を兼営できるということと、先ほど松永氏が言われたように法律的には受託者委託者に運用について頼むことは、これは法律規定に反しないかと思うのでありますけれども、実際問題としてそこにその委託者受託者に頼んで、その受託者が又運用を委託者に頼むということになるわけです。そういう問題が起つて来ると思うのです。ですからこれはむしろそういうところから言えば投資者保護という見地から言えばむしろ逆行するのではないか。そういう観点から見れば、証券業者に又そういうものを兼営させるということになれば、それは投資信託自体が悪いのではなくて、証券業者の兼営の問題がそういう自己売買できる規定になつているところに疑惑が持たれたり不安がある。この問題はどうでしようか。何とか今の状態で不安のないようにできるのかどうかです。
  58. 吉田晴二

    政府委員吉田晴二君) その点は実はこの法律案におきましても、只今お話のように証券業者というものが、これが兼営されておるということについての問題がありますので、一つはこの資本金が五千万円以上の会社に限るということを日取初で規定しておるわけであります。勿論証券業者と言いましても中には勿論いい業者もおりますし、大体において五千万円以上の会社というのは只今お話のような別のブローカーに当る或いは引受業者に当るものでございまして、そういう弊害の少いものということも言えるかと思います。なお委託会社指図をする場合に、自分の持つておる有価証券をそれにはめる、それによつて自分利益になるようなことを図ることになるのではないかというお話だと思うのでありますが、その点については法律案の第十七条に(委託会社有価証券の取得等の指図制限)という規定がございまして、自分関係会社、この持つている有価証券信託財産を以て取得することを原則として禁止しておる。ただ有価証券市場でこれが売買の対象として出て来たという場合には、これは価格においては非常に公正なものが出ていますので、これは認めるということを第二に考えております。それから第三には、先ほど申上げましたように、信託約款において何でもかんでも投資銘柄に加えるというのじやなくて、或る程度の制約をいたしまして受託会社がそう勝手なことはできないというふうに考え、そういうような点で只今お話のような点は大体省けるのじやないかということを考えております。
  59. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 その銘柄はきめても、その投資をする場合に、どの株はどのくらいの割合、その割合まできめるわけじやないですね。
  60. 山本米治

    委員外議員山本米治君) それは信託約款の問題ですが、割合まできめる場合が多いです。戦時中にやつたことを見ましても今後の承認方針もやはりそうなろうと思います。例えば国債は一割くらい、或いは株式は七割を超えてはならないとか、それから一銘柄が全体のユニツトの二割を超えてはならないとか、そういうような約款をあらかじめ証券取引委員会へ届けて、その承認を受けるのですから、その承認方針の詳しいことはまだ政府においてもきまつておらんようですけれども、やはり大体戦時中にやつた場合のようになるのじやないかと思つております。
  61. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 併しそれだからといつて自己売買の問題をそこで解決するというわけじやないと思うのですけれども、まあそれから上場株だけに限るわけじやないですね。
  62. 吉田晴二

    政府委員吉田晴二君) そうじやありません。
  63. 山本米治

    委員外議員山本米治君) それも約款の問題ですが、約款で大体東西の株式市場に上場される株とか、そういうことが規定されるのが普通になつております。
  64. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 そうしますと、これは信託約款というものが非常に重要なんですね。
  65. 山本米治

    委員外議員山本米治君) そういうことです。
  66. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それがまあはつきりしてないわけですね。今大体のあれは先ほど伺いましたけれども、これがまあ重要なわけなんですが、それがまあ明らかになつていないのですが、この前やつたときの信託約款の中にこういうのがあるのですが、こういうことは今度入らないですか、この前の五条です。   受益者ハ左ノ場合ニ於テハ委託者ノ申出ニ依リ投資証券ノ各銘柄ニ付其ノ一部又ハ全部ヲ売却スルコトヲ得。   (一)買入平均原価ノ一割以上騰貴又ハ低落シタルトキ。   (二)投資証券ヨリ生ズル収益ガ著シク低下スル虞アルトキ。   (三)投資証券価格ガ著シク低落スル虞アルトキ。   (四)投資証券ニ関シ借替転換増資減資株式ノ割当又ハ未払込株金ノ徴収アルトキ。  こういうような規定があるのです。今度の場合もそういうものは含まれる予定なんですか。
  67. 山本米治

    委員外議員山本米治君) これは証券取引委員会の問題で目下研究中のようでありますから、政府委員から御答弁させます。
  68. 吉田晴二

    政府委員吉田晴二君) この点についてもなおまだ研究中でございまして、今のお話のような、この前やりましたのも一つの面白い案のように思うのであります。ただ又一方から言いますというと、この買入平均原価が一割以上も低落してしまつてから売る、五分下つたときに離すことが有利じやないか、或いは又騰貴する場合も、一割まで待たないと売れないということになりますと非常に窮屈でありまして、それを待つておつだために又今度株が下つて来て、実際に利益がなかつたというような点において、これが又或る意味では非常に窮屈過ぎるというような意見もあるわけでございまして、これについては今のところは、必ずこれを入れようというところまでは行つておりません。ただこの趣旨は非常に参考になると思つております。
  69. 小林政夫

    ○小林政夫君 ちよつと木村さんの質問に関連して……先ほどの政府委員答弁ですと木村さんの言われた意味にはなりませんね。木村さんが心配されている意味を防ぐ条文にはならない。
  70. 吉田晴二

    政府委員吉田晴二君) つまりこれは委託会社のものを、こういう場合に非常に恣意的な価格が出ては困るという意味で、そういうものを防ぐ市場価格市場を通じてやりますので、そのときの値段というものがはつきり出るわけでございますから、他にそれが、若し安いと思えば、他に買手があれば他の買手が買つてしまうわけです。そういう意味で、価格が非常に何と言いますか、はつきりしたものになる。又正当な価格が出て来るという意味において、委託者が勝手なことができないということが言えるかと思つております。
  71. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 私が先ほど御質問したのは、例えば銘柄を指定しますね、銘柄を指定したときに、これを仮に全体の投資金額のその銘柄については、例えば一割なら一割しか運用してはいけないという規定が仮にあつても、その範囲内において、例えば証券業者が持つていたほうが利益の場合には自分の勘定にしてしまう、そうしてその株を、自分が持つているよりはお客さんに持たしたほうが、お客さんというのは投資信託関係に引用したほうが、自分が持つているより不利益な場合、そつちのほうに振替える、こういうことは、今の兼業ができる以上はできるのじやないですか。
  72. 山本米治

    委員外議員山本米治君) すでに利益が出てしまつた、若しくはその損失が出てしまつてから、その勘定を、信託勘定に押付けることはできないのじやないか。見込という点についてはそういうことがあります。儲かりそうなもの、或いは損しそうになつたというような場合には、そういうことが行われるかも知れませんが、そこは信託会社信用ということに根拠を置くよりしようがないと思つております。
  73. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 そこが問題なんですよ。今までの証券業者が、業者自体が良いとか悪いとかいうのじやなくて、制度自体がそういうことをできるようになつているのですから、法律で禁じられているわけじやないのですからね。
  74. 山本米治

    委員外議員山本米治君) あれは損してじまつてから、或いは利益が出てしまつてからその信託勘定に移すことはできませんでしよう。
  75. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 併しそこは非常にデリケートなところなんです。それはデリケートなところですよ。例えば或る会社で、その投資信託で全資産の一割を或る株に投資して、ところが或る会社が或いは増資をするとか、株が上つたとか、プレミアムがついた、こういう場合には、これをこつちに仮に振替えして、それが例えば一週間か十日位前、重役会でそうきまつた、これは上るというとき、それはこつちのものをはかに振替えて、それで自分のほうの勘定に、自己投資のほうに証券業者がそれを持つて行くことはできないことはないと思う。
  76. 山本米治

    委員外議員山本米治君) それはやつぱり見込のときですね。
  77. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 見込ですね。それがデリケートな……。
  78. 山本米治

    委員外議員山本米治君) 結果が出てしまつてからではちよつとできない。見込というときにはあるでしようけれども、それは。
  79. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それは議論になりますからあれですけれども、そこが一番私は問題だと思う。投資者保護という点からこれまで証券業者お客さんに対し損をかけるというのはそこの点なんですから、そこがどうもはつきりしないのですね、これでは。そこで兼業が問題になる。
  80. 山本米治

    委員外議員山本米治君) 日本の証券業者というものがまだ信用が薄いということは木村委員が言われる通りでありまして、外国では一流証券会社の社長は一流銀行の頭取と社会的信用その他同等な扱いを受けているようですが、日本ではなかなかそこまで行つていない。これは長年の歴史もあることでして、一時にはできないけれども今後日本の証券業者というものをそういうふうに社会的信用を高めて行くべきだと考えておるのでありますが、それで投資信託については先ほど来説明もありましたように、資本金五千万円以上、社会的な信用も相当に証券業者にやらせるということで、最後証券会社信用に期待するよりほかは、法律で相当詳しく規定しても今のようなことは全然免かれられないかと私は考えておるのです。結局投資信託をやる会社の間で競争でもできますればそういうようなことをやつて受益者があまり利益を得ないような委託会社受益証券は買わなくなりますから、そういうことで多少チエツクされることもあろうと思います。
  81. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 まあ正直なところ、ざつくばらんに言つて証券業者はこの前相当株を背負い込んでおる、荷もたれになつておる、そこでこれができると、そつちのほうにこの銘柄が全部当てはまるかどうか知りませんが、相当の分が、七十一億あるというお話ですが、そういう四大証券だけでも只今四十五億ですか、四十六億ですかあるんです。それでその肩がすく、こういうところがあるんじやないですか。
  82. 山本米治

    委員外議員山本米治君) 結果としてそういうことになるかも知れませんけれども、この法案の提案の趣旨は証券会社救済というわけでは決してございません。
  83. 大矢半次郎

    理事大矢半次郎君) 本法案につきましては大体この程度で質疑は終えまして、直ちに討論に入ることに御異議ございませんですか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  84. 大矢半次郎

    理事大矢半次郎君) それでは御異議ないと認めます。これより討論に入ります。御意見のおありのかたはそれぞれ賛否を明らかにしてお述べを願います……。別に御意見もないようでございます。討論は終局したものと認めて御異議ございませんですか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  85. 大矢半次郎

    理事大矢半次郎君) 御異議ないものと認めます。それではこれより採決に入ります。  証券投資信託法案を原案通り可決することに賛成のかたの御挙手を願います。    〔挙手者多数〕
  86. 大矢半次郎

    理事大矢半次郎君) 多数と認めます。よつて本案は原案通り可決すべきものと決定をいたしました。  なお本会議における委員長の口頭報告の内容については、本院規則第百四条によりあらかじめ御承認を願うことに御異議ございませんですか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  87. 大矢半次郎

    理事大矢半次郎君) 御異議ないものと認めます。  それから委員長が議院に提出する報告書に附する多数意見者の御署名をお願いいたします。   多数意見者署名     高橋龍太郎  小林 政夫     杉山 昌作  森 八三一     小宮山常吉  九鬼紋十郎     黒田 英雄  油井賢太郎     木内 四郎  佐多 忠隆     岡崎 真一
  88. 大矢半次郎

    理事大矢半次郎君) それでは暫時休憩いたします。    午後零時六分休憩    —————・—————    午後二時三十九分開会
  89. 大矢半次郎

    理事大矢半次郎君) 本日は都合によりまして、これにて散会いたします。    午後二時四十分散会  出席者は左の通り。    理事            大矢半次郎君            杉山 昌作君            木内 四郎君    委員            岡崎 真一君            黒田 英雄君            九鬼紋十郎君            吉田 法晴君            佐多 忠隆君            松永 義雄君            小宮山常吉君            小林 政夫君            高橋龍太郎君            油井賢太郎君            森 八三一君            木村禧八郎君   委員外議員            山本 米治君   政府委員    証券取引委員会    事務局長    吉田 晴二君   事務局側    常任委員会専門    員       木村常次郎君    常任委員会専門    員       小田 正義君   法制局側    参     事    (第一部第二課    長)      堀合 道三君