運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1951-05-21 第10回国会 参議院 大蔵委員会 第38号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年五月二十一日(月曜日)    午後一時五十一分開会   —————————————   本日の会議に付した事件 ○地方自治法第百五十六条第四項の規  定に基き、税関支署及び出張所並  びに支署出張所及び監視署設置  に関し承認を求めるの件(内閣送  付) ○有価証券処分調整等に関する法  律の廃止に関する法律案(内閣送  付) ○船主相互保険組合法の一部を改正す  る法律案内閣提出) ○外国保険事業者に関する法律の一部  を改正する法律案内閣提出) ○保険業法の一部を改正する法律案  (内閣提出) ○証券投資信託法案山本米治君外八  名発議) ○信用金庫法案衆議院提出) ○信用金庫法施行法案衆議院提出)   —————————————
  2. 大矢半次郎

    理事大矢半次郎君) 只今より委員会を開会いたします。本日は委員長が都合により欠席いたしましたので、私が代理をいたします。  先ず地方自治法第百五十六条第四項の規定に基き、税関支署及び出張所並びに支署出張所及び監視署設置に関し国会承認を求めるの件及び有価証券処分調整等に関する法律廃止に関する法律案議題に供します。政府提案理由説明をお願いします。
  3. 長崎正造

    説明員長崎正造君) 只今議題となりました地方自治法第百五十六条第四項の規定に基き、税関支署及び出張所並びに支署出張所及び監視署設置に関し国会承認を求めるの件について提案理由を御説明いたします。  最近における外国貿易及び密貿易の趨勢に対応し、税関行政の円滑な遂行と監視取締の万全を期するため、細島税関支署及び横浜税関鶴見出張所外出張所設置すると共に、監視署配置転換を行い、名古屋税関清水税関支署御前崎監視署外監視署設置する必要がありますので、その設置に関し、地方自治法第百五十六条第四項の規定に基きまして本件を提案いたしました次第であります。  次に有価証券処分調整等に関する法律廃止に関する法律案につきまして提案理由を御説明申上げます。  有価証券処分調整等に関する法律は、政府財産税等により収納した有価証券持株会社整理委員会持株会社及び財閥家族から譲り受けた有価証券閉鎖機関整理委員会が管理する閉鎖機関の所有する有価証券等についてその処分を円滑且つ公正ならしめるために、有価証券市場の状況に応じてその処分の時期、価額、数量等に所要の調整を加えると共に、証券民主化見地から広く国民の間にこれらの有価証券の分散を図ることを目的として制定されたものであります。これらの有価証券は、現在までに大部分の処分が完了し、殊に、持株会社整理委員会は、近くその保有有価証券全部の処分を終つて解散する予定となりましたので、この法律目的は、ほぼ達成されたものと認め、ここに同法を廃止し、同法に基いて設置された証券処理調整協議会解散しようとするものであります。  協議会解散の日は、この法律公布の日から三カ月を超えない期間内において政令で定める日といたしておりますが、目下の処、大体本年六月三十日頃となる見込であります。又、解散及び清算に必要な手続規定は、別に政令で定めることといたしますが、協議会解散の日からその清算の完了に至るまでの期間においては、清算事務処理に必要な経費を支弁するため、その昭和二十六年度予算を引き続き執行できることとすると共に、協議員からの必要経費の徴収、未済事務処理については、同協議会は、解散後も解散前と変らないこととしております。  なお、有価証券処分調整等に関する法律廃止された際に、政府又は閉鎖機関整理委員会には、処分未済有価証券が若干残る見込みでありますが、これにつきましては、同法廃止後も、同法の制定された趣旨に従つて、今後ともその処分を促進して行く方針には変りないのであります。  何とぞ御審議上速かに御賛成下さるようお願いいたします。
  4. 大矢半次郎

    理事大矢半次郎君) 次に船主相互保険組合法の一部を改正する法律案外国保険事業者に関する法律の一部を改正する法律案保険業法の一部を改正する法律案の三案を議題といたします。質疑のあるかたは順次御発言願います。政府側から細かい案の内容について、なお御説明を願うことにいたします。
  5. 長崎正造

    説明員長崎正造君) 只今の三案の提案理由については大体御説明申上げた次第でありますが、なお若干補足的に御説明いたして見ますならば、保険業法改正点について申上げますると、第一点は保証保険事業保険業法上の保険事業として認めたということでありますが、保証保険事業というのはどういう事業かと申しますと、これは準損害保険契約とも言うべきものでありまして、非常に普通の損害保険契約と似ているわけでありますが、それは常に第三者のためにする保険契約ということになるわけでありまして、お手許にお配りした提案理由説明に書いてありまりすように、物品納入者とか、被用者或いは工事請負人というような者が、保険契約者となりまして、物品注文者、或いは使用者である会社とか、或いは工事発注者というような契約の相手方を被保険者、つまり保険金受取人として保険契約保険会社との間に結ぶというので、常に第三者のためにする保険契約になるという点において、一般損害保険契約と趣きを異にしている点があるわけであります。それから更にこれは保険契約者行為保険事故とするものでありますので、この保険契約者故意というものを免責にすると意味をなさないということになるわけであります。併しならが故意による場合を担保するからと言つて、別に弊害はないわけでありまして、一般保険契約と違いまして、保険契約者保険金受取人との利害というものは、常に相反するということからいたしまして、一般損害保険契約では故意免責にするということは当然でありますが、この場合、それを必ずしも免責しないということによつて、別段弊害は考えられないわけであります。そういつたような性質の保険でありますが、今日、国有鉄道とか或いは建設省関係工事等の場合、この保証金というのもを請負人は納めなければならない。これは契約の場合は契約金額の百分の十、それから入札の場合には見積金額の百分の五というようなものを納めなければならないことになつておるわけでありますが、こういう保険ができますと、保証金を納める代りに、保険会社保険証券を持つて行けばよろしいということになる。これは現在諸外国でも行われておる制度であります。それから今のは請負保証保険の場合でありますが、例えば身元保証というようなことの場合、これは保証人を立てるという代りに、保険会社保険証券を持つて行くということになるわけであります。まあそういつたような事業でありまして、これは日本でも経験がないわけでありますので、見ようによつては相当画期的なものと思われるのでありまするが、又この途を開いたからと言つて、すぐ保険会社が飛び付いてやるというふうにも考えられません。とにかくこの際相当各方面から要望がありますので、この途を開いておくことが適当であろうというふうに認められたわけであります。で、保証保険保険料率でありますが、それも計算の基礎が普通の保険に比して余り明瞭でないわけでありますが、本法は、諸外国における料率資料を参考にして、できるだけ適正なものを作つて、漸次是正して行くというような方向になろうかと思います。  以上が保証保険事業説明でございますが、改正の第二点は、商法改正に伴うものでありまして、保険業法は、保険相互会社について商法株式会社に関する規定を全面的に準用しておりますので、これを改める必要があることは申すまでもないところでありますが、この施行期日につきましては、これは商法施行の日から、この改正法は施行するということに附則で定めております。で、相互会社商法株式会社に関する規定を準用しておるわけでありますが、相互会社は御承知の通り、社員が丁度株式会社株主に当ると共に、この株式会社の場合の保険契約者にも当る。つまり保険に加入することと、社員になるということとは表裏一体をなしておるというような組織であるわけでありますが、これに株式会社いろいろ規定が当てはめられる場合、いろいろな点でその相違特殊性を考えなければならないわけでありまして、例えば株式会社ですと、一番大きな株式会社でも株主の数というものは十万ぐらい、併し相互会社の場合は、社員の数というものは大きい会社の場合だと三百万を超えるというような点で違うわけです。それから又株式会社株主議決権というようなものは、これは株式数によつてあるわけでありますが、相互会社の場合は、一社員に一票ということになつておりますので、いろいろ違つた点がありますので、そういう点を勘案いたしまして、而も又、新株式会社法少数株主権の擁護とか、そういうような点、或いは取締役会制度というようなものを取入れて改正を加えておるわけであります。  第三点は従来の罰則が実情に即さない点があつたので、これを改めている点でございます。  外国保険事業者に関する法律船主相互保険組合法改正も、大体この商法改正に伴うのでありまして、特に付加えて御説明する点もないかと思いますので、省略させて頂きます。
  6. 木内四郎

    木内四郎君 商法の一部改正が施行されなかつた場合はどういうことになりますか。改正法が施行されなかつた場合……。
  7. 長崎正造

    説明員長崎正造君) 施行されなかつた場合は、これを又改めて行くということになるかと思いますが、一応ここでは改正商法施行の日から施行されるということになつているわけでありまして、そちらがやめになれば、こちらを又元へ返すとか、又考え直して行かなければならないということになると思います。
  8. 木内四郎

    木内四郎君 公布して、商法施行の日から施行するということになりますか。
  9. 長崎正造

    説明員長崎正造君) そういうことになつて参ります。
  10. 木内四郎

    木内四郎君 もう一点伺いたいのですが、第一点の保証ですね、納税担保という場合にはこれは適用されますか。例えば酒の税金を納めるときの担保というものは、保証でもいいというようなことになつているところがある場合に、この一条の保証にやはり入るのでしようか。
  11. 長崎正造

    説明員長崎正造君) これは売買、雇傭、請負その他の契約ということで、大体民法上、民事上の契約を考えておりますので、お話のような場合はこの中に含まれておらないと考えます。
  12. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 理由説明にあるのですが、債権者契約履行に関してこうむる損害というわけですが、この点もう少し具体的に御説明願いたいのですが。
  13. 長崎正造

    説明員長崎正造君) 例えば請負保証保険の場合ですと、注文者請負人との間に、工事は、これこれの期日までに、こういう程度のものを完成するという契約があるわけであります。その場合に、契約で定められた期日までにその債務が履行されなかつた。そういう場合に、注文者契約を解除してほかの請負人に依頼して、その後の工事を続けて行かなければならないというような場合に、そのときに生ずる損害保険会社のほうで担保するということになるわけであります。それから身元保証保険の場合ですと、例えば被用者、つまり会社職員等の借金を保証するというような場合に、この雇用契約で定められていることに反して、使用者、雇主のほうに損害を与えた場合、これを保険会社保険金で填補するというようなことになるわけです。
  14. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 これが従来保険事業の中に人づてなかつた、これまで取上げてなかつたのはどういう理由によるのですか。
  15. 長崎正造

    説明員長崎正造君) 従来保険業法保険事業というものは、大体商法保険契約というものをその根本の概念として持つてつたわけであります。つまり商法保険契約を反復して行うというような事業保険事業であるというふうに考えられておつたわけであります。ところで、保証保険というものは、商法保険契約では、先ほど申上げましたように、この契約者故意というものを免責するのに、出さなければならないというような事業であるという点から言いまして、従来の保険事業の観念と違う。併し保険業法上の保険事業というものは必ずしも商法保険契約と照応するものでなくても差支えないわけでありますので、この際、今の保証保険というものを保険業法保険事業概念に含めることに、規定を設けていたした。こういうわけでございます。
  16. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 今の御説明だと、概念的にちよつと本来の保険事業とは違うんで、これまでは保険の中に入つてなかつたのだが、よく考察して見ると、類似的なものだからというお話なんですが、概念上の相違はわかるのですが、そういう概念上の相違があるにかかわらず、特にこれを類似的な行為だからというので、特にこういうものを取上げなければならないように、例えば最近こういう契約履行に関してこうむる損害が非常に殖えて来たとか、等々の実際上のいろんな特別な理由なり、何なりはあるのでしようか。
  17. 長崎正造

    説明員長崎正造君) これは一つには、私の承知している範囲では、この請負工事保証金というのは、現在日本で行われておりますが、これは諸外国ではすべてこのボンドという保険証券でやつている。日本でもそれをやつたらつよかろうというようなことが一つ、それからいろいろな点で、保証金金額が嵩むので、もう少し金額の少い方法、これには保険の形をとつて置くと、その金額が節約できるというような要望、それからこれは保証保険の利点と申しますか、そういう保険制度を取りますと、保険会社が、例えば工事請負の場合ですと、いろいろ請負人信用調査をするというようなこと、そうして又遠慮なく、損害が起つた場合には、請負人に要求するというようなことから言いまして、非常に請負人の質もよくなる。そういうことでいろいろ利益があるので、こういう制度を取つたらよかろうという要望が起つてつたのだろうと思います。
  18. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 そうすると、債権者政府である場合にもこれが行われるのですか。
  19. 長崎正造

    説明員長崎正造君) さようでございます。ただ政府の場合は、予算決算及び会計令の第七十一条と第八十一条で、これは現在のところは、契約を結ぶ場合には現金又は国債で契約金額の十分の一以上の保証金入札の場合は見積金額の百分の五以上の保証金というものが規定してありますので、これを改めませんと実行できないのでございます。
  20. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 私のお聞きしたいのはそれと関連があるので、この制度が確立したならばそういう政府に対する保証金制度その他をばお変えになる意向があるかどうか。そういう準備をしておられるかどうか。
  21. 長崎正造

    説明員長崎正造君) これは特に建設省、或いは国有鉄道のほうから要望がありますので、大蔵省のほうにおいてその要望に副うように考えておるわけであります。主計局のほうにおいて今検討いたしております。
  22. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 主計局のほうではどの程度それを御検討になつておるのですか、どの程度その準備はできておるのでしようか。
  23. 長崎正造

    説明員長崎正造君) これは政令関係でありますので、大体その方向でやることに、この法律が通りました場合に進んで行くものと了承いたしております。
  24. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 同時に政令をお改めになりますか。
  25. 長崎正造

    説明員長崎正造君) 同時にということにも行かないと思います。まだいろいろどういうふうに保険会社が具体的にこの事業を運ぶか、保険料率はどの程度になるかということを考え併せて改正されるわけでございます。
  26. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 そうすると、これが実施の運びになりさえすれば、それに並行して、政府のほうでもそういう政令の改変を承知しておいていいのですか。
  27. 長崎正造

    説明員長崎正造君) さようでございます。
  28. 大矢半次郎

    理事大矢半次郎君) この三案についてもう御質疑ありませんか。
  29. 木内四郎

    木内四郎君 納税担保なんかをこの中に入れるわけに行かないのですか。何かそれに非常に似通つているところがあるのですけれども……。
  30. 長崎正造

    説明員長崎正造君) そちらのほうに似通つておるわけでありますが、実は初めこれは公法上の契約も含むということで入れたわけでありますが、実際問題として余りそういうものを引受ける保険会社が少いであろうというようなこともありまして、又公法上の契約を入れるというふうに書きますと、これは実は保釈は、アメリカあたりでは保釈金代りにこの保険を利用するというようなこともあるわけでありますから、そういうようなことまで拡張いたしますと、公法上の義務を履行しなかつたものまでカヴアするというようなことは、一応公序良俗というような点に反しやしないかどうか。なおもう少し考える必要があろうということで、一応この際外れておるわけであります。
  31. 大矢半次郎

    理事大矢半次郎君) ほかに御発言もないようですから、質疑は尽きたものと認め、直ちに討論に入ることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  32. 大矢半次郎

    理事大矢半次郎君) 御異議ないものと認めます。  それではこれより討論に入ります。御意見のおありのかたはそれぞれ賛否を明らかにしてお述べを願います……。別に御意見もないようでございますが、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  33. 大矢半次郎

    理事大矢半次郎君) 御異議ないものと認めます。  それではこれより採決に入ります。船主相互保険組合法の一部を改正する法律案賛成のかたの御挙手を願います。    〔総員挙手
  34. 大矢半次郎

    理事大矢半次郎君) 全会一致と認めます。よつて本案は原案通り可決すべきものと決定いたしました。   —————————————
  35. 大矢半次郎

    理事大矢半次郎君) 次に外国保険事業者に関する法律の一部を改正する法律案採決をいたします。本案を原案通り可決することに賛成のかたの御挙手を願います    〔総員挙手
  36. 大矢半次郎

    理事大矢半次郎君) 全会一致と認めます。よつて本案は原案通り可決すべきものと決定いたしました。   —————————————
  37. 大矢半次郎

    理事大矢半次郎君) 次に保険業法の一部を改正する法律案について採決をいたします。本法案賛成のかたの御挙手を願います。    〔総員挙手
  38. 大矢半次郎

    理事大矢半次郎君) 全会一致と認めます。よつて本案は原案通り可決すべきものと決定いたしました。  なお只今決定しました三案に対する本会議における委員長口頭報告内容については、本院規則第百四条によりあらかじめ御承認願うことに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  39. 大矢半次郎

    理事大矢半次郎君) 御異議ないものと認めます。  それから委員長が議院に提出する報告書に附する多数意見者の御署名をお願いいたします。   多数意見者署名     佐多 忠隆  杉山 昌作     清澤 俊英  小宮山常吉     小林 政夫  九鬼紋十郎     森 八三一  黒田 英雄     愛知 揆一  木内 四郎   —————————————
  40. 大矢半次郎

    理事大矢半次郎君) 次に証券投資信託法案議題に供します。本案議員提出であります。  先ず提案理由説明を願います。発議者参議院議員山本米治君。
  41. 山本米治

    委員外議員山本米治君) 只今上程されました証券投資信託法案提案理由を御説明申上げます。  今日の我が国経済において資本蓄積の促進が必要であることは申すまでもありませんが、本法案はこの要請に応ずる重要な一施策となるものでありまして、即ち、これにより証券投資信託制度を確立し、証券投資信託受益者保護を図ることにより、中小投資家による証券投資を容易にし、延いて証券市価を安定させ、産業資金の調達を順便ならしむることを目的とするものであります。その内容の主なる点を申上げますと、  第一に、本法において「証券投資信託」とは、信託財産委託者指図に基いて特定有価証券に対する投資として運用することを目的とし、且つ、その受益権を分割してこれを不特定多数の者に取得させることを目的とする信託でありまして、かくのごとき証券投資信託によらなければ、右のような目的信託契約を締結してはならないことといたしております。  第二に、証券投資信託委託者は、資本金五千万円以上の株式会社であつて証券取引委員会に備える登録原簿に登録されたものでなければならないこととし、その受託者信託会社又は信託業を営む銀行でなければならないこととしております。  第三に、証券投資信託受益権は均等に分割し、その分割された受益権は一定の事項を記載した受益証券を以て表示しなければならないこととし、且つ、受益証券は原則として無記名式としております。  第四に、証券投資信託委託会社信託契約を締結するには、あらかじめ証券取引委員会承認を受けた信託約款に基かなければならないこととし、同委員会は、承認の申請があつた信託約款内容が、法令に違反し、又は公益若しくは投資者保護のたの適当でないと認めるときは、その承認を拒否することとしております。信託約款の変更又は信託契約の解約についても同様であります。  第五に、証券投資信託委託会社信託財産の運用について受託会社指図するに当つては、受益者保護に欠けることとなるような行為指図をしてはならないことにしております。  第六に、証券投資信託委託会社が、信託契約に関する業務以外の業務を営もうとするときは、証券取引委員会承認を受けなければならないこととし、同委員会はその兼業が公益又は投資者保護のため適当でないと認めるときは、その承認を拒否することとしております。  第七に、証券投資信託受託会社が、証券投資信託の引受により株式取得又は所有する場合には、私的独占禁止法株式取得又は所有に関する制限規定を排除することとしております。  第八に、証券投資信託の収益の分配に関しては、源泉において二割の所得税を徴収し、総合申告をした場合においては一割五分の配当控除をすることとしております。  以上がこの法案の要点でありますが、証券投資信託制度を確立することの重要性を御勘考下さいまして、何とぞ速かに御審議の上御賛成あらんことをお願い申上げます。
  42. 大矢半次郎

    理事大矢半次郎君) 本案につきましては質問あと廻しにいたしまして、次に信用金庫法案信用金庫法施行法案議題に供します。前回に引続き質疑を続行いたします。
  43. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 中小企業庁のかたがお見えになつておりますので、この信用金庫の問題につきまして若干御質問を申上げたいと思いますが、信用金庫の問題につきまして我々中小企業金融という立場から、中小企業庁におきましてはこれをどういうふうにお考えになつておるか。従来御承知のように市街地信用組合的なもの、これが廃されまして、協同組合的なものによつてまあ金融を行うという方向に変つて来ているわけでありますけれども、この信用金庫につきましては我々理解するところでは、これが又前の市街地信用組合のように銀行でもない、協同組合でもない、まあどちらでもある、非常にあいまい性があるように思われるのですが、中小企業庁立場から中小企業金融と、こういう観点からこの法案に対する御見解を一応お伺いしたいと存じます。
  44. 小笠公韶

    政府委員小笠公韶君) 信用金庫の件につきましては余り詳しく勉強いたしておりませんのでわかりませんが、只今お尋ね中小企業金融の点から見て信用金庫がより中小企業金融を促進するに役立つかどうか、いわゆる効果の面から見、企業の面から見で考えますと、はつきりわかりませんが、いわゆる積極的にプラスになるという要素は認めにくいというふうに私は見ておるのであります。従いまして現在よりもどういうふうになるかという点につきましてははつきり見通しが付きにくいと思いますが、そういうふうな効果の面から見まして私はそういうふうに考えておるのであります。お尋ねの中の中小企業対策見地から見た場合に、こういうふうな形の金融組織が適当であるかどうかという性格論、或いは組織論組織形態論としてのお話があると思います。この点につきましては従来までの考え方といたしましては中小企業金融のやり方の一つの大きな行き方は相互金融相互信用基礎にしたいわゆる人的な結合を中心にした組織というものが、中小企業特に小企業、零細企業に非常に効果があつたというふうに見ておつたのでありまして、そこに協同組合主義というものの価値が非常に多いのじやないかというふうに考えておるのであります。特に担保力の弱小ということが今の金融の点から言いまして、中小企業の点から見まして難点になつておるのを補うのは、そういうところではないかと私は考えておるのであります。で、従いましてこの協同組合の形態に若干の金融機関的な要素を入れたものが新らしい形になりますので、それがよいか悪いかということにつきましては、私の批評の限りではないと実は考えておるのでありますが、中小企業立場から言つて、今申上げました人的な繋がりを中心にしたもの、組織というものを活用すべきものというふうに考えております。簡単でありますが……。
  45. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 只今の御答弁によつて中小企業金融立場から見まして積極的にプラスになる面がない、こういうことが示されたわけでありますが、その理由につきましてもう少し具体的にお伺いしたいのです。
  46. 小笠公韶

    政府委員小笠公韶君) これは見通しの議論でありますので、はつきり理論的根拠というものを立てにくいのでありますが、私が先ほど申上げましたように、零細企業金融というものが非常に困難なのは、結局担保力の問題であると思うのであります。担保力と申しまするか、人的信用が、社会的立場が弱いというところにあると思うのであります。そこでこれをカバーするのは、やはりお互いの人的な繋がり、組織というものであるというふうに申上げたのでありまするが、そういうふうな見地から見て、協同組合制度金融機関的な観点を強く入れたものとの比較をした場合に、どちらが先ほど申上げましたような結果が出るかというふうな点から見て、特に特記すべき強化というふうなことが考えられないということを申上げたわけでありまふ。
  47. 油井賢太郎

    ○油井賢太郎君 今の長官のお話のうち、積極的に何かこの法案ができたため、プラスになる面はないというふうなお話ですが、何か今度はその言葉の裏から言うと、弊害とか、或いはそのためによつて生ずるところの中小企業者にとつての不利益というようなことはお考えにならないのですか。その点はどうでしようか。
  48. 小笠公韶

    政府委員小笠公韶君) 問題は法律の経過的な措置をどうするか、私の承知いたしておりまする範囲におきましては、信用金庫になり得ない信用組合の措置をどうするかという問題があるようでありまするか、この信用協同組合というものの措置振りによつて必ずしも弊害は出ないじやないか、その措置を適当にしないと、そこに折角できた信用協同組合というものが機能をおのずから喪失するような方向に追込まれやせんかということを心配いしておるのであります。
  49. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 この信用金庫ができることによりまして、先ほど中小金融と言いましても、特に今問題になるのは、それから常に一番重要なのは零細企業に対する金融だと思うのです。それでこれまでいろいろ中小企業金融機関がありますけれども、それはいわゆる中くらいなところであつて、相当担保力のあるところ、我々の見解では政府はそういうところには中小企業金融をどしどし相当やりますけれども、一番今救済を要請されておる、又要求されておるいわゆる零細企業に対する金融、これは一番重要だと思う。先ほどの長官のお話では、いわゆる中小企業のうちでも零細企業に対する金融機関としては、やはり人的結合による協同組合主義的のものが適しておる、こういうお話でありましたが、私もその点は同感でありますが、この信用金庫ができますと、信用協同組合がそれに移行する結果として、協同組合的なものがだんだん薄れて来る。こういうふうにはお考えになりませんか。
  50. 小笠公韶

    政府委員小笠公韶君) 信用金庫法案を拝見いたしまして、信用協同組合との差異は、そこに金融機関的性格が相当強く出て来ておるというところにあろうと思います。従いましてその面から見ると、それだけにいわゆる人的結合を中心とした共同的意識というものは薄くなるということは逆に言えるのじやないか、こういうふうに考えます。
  51. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 中小企業庁では信用金庫ができる場合、こういう法案が提出される場合、これに対して何か大蔵省あたりと話合いがあつたかどうか。これはまあ議員提出法案でありますけれども、大蔵省あたりでもこれは知つておるわけでして、特に我々がこの審議の過程において提案者よりも大蔵省のほうが非常によく知つておるというようなこともありましたので、恐らく中小企業金融に相当大きな影響があるのでありますから、大蔵省あたりから何かこういう法案が出ることについて、中小企業金融の面から何かお話があつたかどうか。それからこういう金庫ができる場合、先ほどのお話では、これは協同組合の人自体もそう言つておるのでありますが、協同組合主義的な色彩が薄れて来ることを憂うるということを、相当大きな信用協同組合の人も一言つておるわけでありますが、そういう場合に、何か救済的措置と言いますか、若しこういう法案が通つちやつた場合、これに対してそういう弊害を除去するために、どういう対策を講じたらいいかというようなことについて何か御研究なすつたかどうかです。この二点についてお伺いいたしたいのです。
  52. 小笠公韶

    政府委員小笠公韶君) 前段の本法案審議の過程において大蔵省との連絡があつたかということでありまするが、これは事務的な連絡はありました。ただ結論に至らぬうちに、いろいろな形に動いてしまつたわけでありまするが、第二点の本法案が施行になつたと仮定いたしまして、その際に救済措置をどう考えるかということでありまするが、私はまだ詳しくは研究いたしておりませんが、第一点におきまして、同じ共同組織を中心とした金融機関として、信用協同組合信用金庫の二つができるわけであります。即ち信用金庫たり得ない信用協同組合の存在を考えなければならんのでありまするが、この信用協同組合行為能力というものに対して、どうして行くかという問題が一つあると思うのであります。特に片一方のものが非常に優秀なので、片一方は余り優秀じやないのだというふうな感じを与えないような方向で指導する必要がありはせんか、そうすれば本法案の施行に伴いましても、それぞれの具体的な状況に応じてその長所を生かし得るのだというふうに思うのであります。それから第二点といたしましては、事業協同組合等におきまする特に余り大きくない中小企業者で組織いたしておりまする事業協同組合におきまして、いわゆる預金業務を認めて行く。それによりまして、一方現行法におきましては貸付転貸と申しまするか、それを認めておるのでありまするが、預金の受入れを禁止いたしておるのであります。従いまして貸付の安全性というふうな点から見ても不十分であります。又別に大きな組合等につきましては信用協同組合を作らなければならんという不便があるのであります。そこに信用事業のうち、預金の受入れ事業というものを認めることにして、その面におきまして地方の極く小さなメーカー等によつて組織されておる組合の金融を円滑にして行くということが一つの方法ではないかというふうに考えております。
  53. 大矢半次郎

    理事大矢半次郎君) この際ちよつと申上げておきますが、発議者宮腰議員が見えておりますけれども、衆議院の大蔵委員会のほうに御用がありまして長くここにおられませんので、発議者のほうに御質問のあるかたはこの際お願いいたしたいと思います。
  54. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 発議者に御質問してもよろしいのですが、発議者が変りますと、又御答弁も変つたりしますので、同じ発議者に質問したいのです。この前お見えになりました永田さんですか、永田さんの我々に対する御答弁の中にも、あとで調べてみると何ですか、正確を欠いたもの、不正確なものがありますので、永田さんにもお伺いしてみたいと思つたのであります。その点又永田さんにもお伺いしたいと思いますが……。
  55. 大矢半次郎

    理事大矢半次郎君) 永田議員にも交渉しましたが、ちよつと差支えがあつて今日は出られないということです。
  56. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 只今委員長からもお話がありましたが、お急ぎのようですからちよつと御質問申上げたいのですが、それは森委員もこの問一番重要な点について質問されたのですが、それはこのまま法律が通つた場合、信用協同組合信用金庫になるかどうか、その問題なんです。信用金庫になると非常に制限が出て来て、これは免許ということになりまして、前の認可よりはもつと許可の場合にきついことになると思うのですが、だんだん聞いてみますと、事業内容においては殆んど変らない。ただ為替業務がこれに加わるというだけでして、実質的に何ら変らない。而も制限は強くなる。それで一体このまま法律が通つた場合に、金融信用金庫信用協同組合がなるかならないか、非常に疑問ではないかという、これは一番私はこの法案のポイントを衝かれた質問だと思うのですが、それについて提案者のほうはどういうふうにお考えになつておるかお伺いしたいのです。
  57. 宮腰喜助

    ○衆議院議員(宮腰喜助君) 簡単に申上げますが、当初は大分違つた様式でありまして、信用金庫信用協同組合との間が非常な差異があつたのであります。というのは、その当時信用組合の内容については員外貯金は認めない、又第二次の修正の場合には、員外貯金の二割くらい認めよう、監督の問題は大蔵省で一本で行こう。こういうのであつたのですが、途中で監督問題も地方行政庁に変つて参りまして、現在に至つて内容は地方行政庁の監督である。当時小さな業者のかたがたの意見によると、今まで大蔵省の監督であつたものが、地方行政庁の監督になるというと、業務の関係から言つても監督が大蔵省であり、地方庁であるということに差異が設けられるというと、非常に仕事がやりにくいから、成るべくなら大蔵省の監督でやつて欲しいということを言つて来られておりました。ところが極く最近の意向を聞きますと、監督だけは地方行政庁にして頂きたいという、又元の状態を繰返しているような意見も大分あります。当初はそういう組合で信用金庫と、それから信用協同組合とは相当開きがあつたのでありますが、小さな業者の団体が東京に会合しまして、是非信用組合も現状のまま員外貯金を許されまして、そして業務を継続したい。若しも員外貯金を制限するようであれば、二百万だとか、或いは百五十万程度信用組合は員外貯金がなければ到底潰れてしまう。こういうような工合で、非常に反対意見があつたのであります。又決議が出まして衆議院のほうに持つて参りました。事情を聞いてみると非常に気の毒に思つたので、我々もいろいろ各正派、殊に社会党、自由党ともいろいろ御意見を徴しまして、漸く信用協同組合のほうは員外貯金を認めようというところまで参りました。この最後の衆議院の段階のときは員外貯金を制限して欲しい、その修正案の内容には組合員の配偶者、これは入籍した者も、しない者も一緒に入れまして、配偶者、それからその親族の預金、定期預金の範囲内に限定しようという意見もあつたのです。そこまで来ないと、信用金庫信用協同組合を両建てにした理由が成り立たないじやないかという御意見もありまして、大分問題になつたのでありますが、社会党とも、自由党とも相談したのですが、これで行くというと、到底衆議院は通過しまい。相当問題になるから、これは員外貯金を自由に認めるというところで出そうということになつたのであります。で、私のほうは監督権の問題も大分論議したのでありますが、監督権の問題については、大蔵省のほうへ移管しないというと、信用組合の、弱体な経営を持つているような信用組合は、却つて地方行政庁の監督を喜ぶというような工合で、信用金庫に切替えを喜ばない入も出て来るんじやないか。大蔵省の監督は厳重だし、それから地方行政庁だつたら帳簿の内容を見ることを知らないような人がたの多い関係上、却つて監督は不十分である。そうすれば信用金庫信用協同組合とを両建てにしても却つて資産の大きいものも、内容の貧弱なものも信用協同組合にとどまるというような結果にもなるので、監督という問題も相当議論をやつたのでありますが、どうもそこまで行かないで、監督権を地方行政庁に置くという恰好のまま、まあ信用協同組合は通過させたのであります。従つて私ども何らか両方に相違があることを考えても見たのでありますが、十分審議の余裕があつたようですが、又いろいろ司令部との折衝を繰返しておるような関係上、そこまで至らずに、衆議院は通過してしまつたわけなんであります。そこで現状の段階としても、私らは成るべくであつたらこの信用金庫信用組合を両建てとするなら、監督権の範囲だけでも大蔵省へ移管していいのじやないかという私らの、又社会党のかたがたの意見もありましたが、結果としては両法案がそんなに相違がないということだけは事実であります。
  58. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 結果として余り相違ない、こういう御意見が永田さんからもそういうお話がありましたが、それでわかりましたが、もう一つお伺いしたいのは、これは水田さんからお話なつたのですが、我々としても広くこれはほうぼうの意見を聞かなければならないのですが、永田さんの個人的な御意見かどうか知りませんが、或いは日銀の方面とか、或いは中小企業庁、或いは業者、そういう人を呼んで聞きましたところが、日銀でも賛成する。中小企業庁のほうでも賛成のようだ。それから私は城南組合は非常に反対いたしていたと思いますと申しましたら、いや、それは賛成に変つて来たと、こういうお話を聞きましたが、又重ねて聞きますと、そうでもないようであります。いろいろ各方面のこれに対する意見はつきりしておりませんので、甚だ恐縮ですが、衆議院の大蔵委員会においては、どういう方面の御意見をどの程度にお聞きになつて、どの程度参考にされたか、参考のためにお伺いしておきたいのです。
  59. 宮腰喜助

    ○衆議院議員(宮腰喜助君) この法案の問題については公聴会のようなもの、或いは又外部の参考人の意見を徴しようというようなことも、全然委員会でも理事会でも決議はしなかつたのであります。併し委員会以外の専門のかたがたの意見を徴するということだけは事実ありました。私らも多少のそういう専門家の意見も聞いて参りました。当初は先ほども言つたように信用協同組合信用金庫とは相当隔たりがあつたのでありますが、小さな信用組合の今後の員外貯金を制限されるようなことになると経営が不可能になるから、この点については歩み寄ろうということは、これは事実であつたのであります。委員会としては、別に専門家を呼んで公聴会のようなものも開かないし、又委員会を代表して外部との交渉も別になかつた。これはいわゆる個人個人のお互いの意見や、党の政調会や、いろいろ専門家の意見も各党ではいろいろ意見を徴して来たことは事実です。
  60. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それからもう一つお伺いしたいのですが、この提案者のほうでは今中小企業金融については、どういう中小企業金融が一番重要であると考えになつているか。これまで我々政府中小企業金融のやり方を見ますと、いろいろな機関がたくさんできましたが、実際には本当に金融を求める零細企業者に対する金融措置というのは、これは非常に困難ではありますけれども、これは徹底していないと思うのです。それはもうよく事情を御承知と思います。そこで我々非常に憂えるのは、信用協同組合の場合は、先ほど中小企業庁長官も言われましたが、零細企業のほうの金融にはこういうものが経済的に適する、やはり人的の繋がりがあつて担保力が少いから、そういう形の金融が重要である。そういう場合にこの金融金庫ができますと、そういう金融のほうがどうしてもおろそかになつて来て、やはり零細企業金融は、だんだんいわゆる中的金融のほうに移行してしまつて、零細企業のほうは取り残されてしまう、こういう御懸念は抱かなかつたのかどうか。
  61. 宮腰喜助

    ○衆議院議員(宮腰喜助君) 衆議院の大蔵委員会では、昨年の夏以来外部からの陳情書がいろいろ参りまして、一応大蔵委員会で情勢調査をして見ようというので、全国に各委員が分れまして調査に参りました。私は委員長と二人で北海道の無尽会社信用組合、更には漁業協同組合、農業協同組合、そういうあらゆる団体を約一カ月に亘つて調べて参りました。当時北海道の事情から言いますと、どうも一般銀行中小金融を認めてない、協力してない。その証拠に五万円、十万円の関係を調べて見ますと、殆んどその程度の金は貸しません。五万円、十万円という長期金融は殆んど出てない。そこでその当時からどうしても中小企業に対する金融機関をこしらえなければ、到底この金融の途は開けないのじやないか。こういう意味で、その当時から委員会でも何らかそういう金融方針を立てなければいけない。殊に北海道で言えば北海道拓殖銀行の例を見ますと、在来北海道の発展のために農業や漁業に対する資金も十分認めておつたのですが、北海道で公聴会を開いて見ると、こういうような資金は農林中央金庫で認めるのだから、我々は一般の商業銀行に変つたのだから、そういう資金だけ見る。それ以外のものは農業協同組合なり、信用組合なり、無尽会社で借りて欲しいのだ。従つて今後は商業関係の短期資金専門で行くからと、こういうことを伺つたので、若し事実とすれば北海道には新らしい銀行設置中小企業を見る新らしい機関を作らなければならない。又農業協同組合、漁業協同組合については、資金も貸さなければ到底北海道の将来のことを考える場合に、非常に暗くなる。こういうので、公聴会の結論としてもどうしても中小企業家を見るところの専門機関を作らなければいかんという意見も出て参りました。又全国の調査したものが九月に集りまして、調べて見ますと、大体そういう空気であつたので、衆議院の大蔵委員会では約百頁に近いところの報告書をシヤウプ博士並びにジールさん、関係方面のかたに陳情書を出したのでありますが、そういうような関係でありまして、私らも中小企業金融というものは、是非積極的にやるところの専門機関が欲しいという考えもあつたので、まあ衆議院の大蔵委員会ではこの相互銀行法と信用金庫法は是非必要だ。こういう意味合いで内容を調べて見ても、内容もそう悪い点もないし、又健全金融を図る意味においても当然信用金庫法は通すべきであると、こう考えたのでありまして、従つて競争相手になるところの取残されるような小さな信用組合は、成るべく現状維持ができるようにしなければ、地方の信用組合は潰れてしまう。こういう意味合いで中小企業者の要請もありまして、信用協同組合内容につきましては、員外貯金を成るべく侵害しないということで、衆議院を通過して参つた次第であります。
  62. 油井賢太郎

    ○油井賢太郎君 宮腰さんに一点お尋ねしておきたいのですが、衆議院においては三派共同で以てこの原案をお作りになつて、こちらに回付されたのですが、その後承わるところによると、何かその間に又多少意見の食違いが出てやしないかとも思われるのですが、例えば水田委員が来ますと、これは不完全な法案であるから、参議院で適当に修正されて然るべきであるというような工合に聞かれますし、又あなたがおいでになると、これはこのままのほうが却つていいんじやないかというふうな意見のようにも聞かれる点があるのですが、その間の事情はどうなのですか。
  63. 宮腰喜助

    ○衆議院議員(宮腰喜助君) この両法案を通過させるということの上において、これは不完全だから参議院で修正をして貰うのだということをきめてやつたわけではないので、最初からこの信用金庫法はいい法律だし、金融の健全化を図る上において到底今までの信用組合だけでは心もとないという考えもあつたのでありますから、私は信用金庫法それ自体は賛成である。又三党のかたがたの間にも意見の食違いということは殆んどなかつたわけです。従つて信用協同組合の員外貯金を認めてもらうなら、これは小さな業者も救われるという意味で、両法案賛成して通過させたわけで、前提条件として、これはどうしてもいいから、参議院で正してもらうという考えは全然なかつたのであります。
  64. 油井賢太郎

    ○油井賢太郎君 その点は了承しましたが、もう一点、何か信用金庫になると、協同組合式の性質というものが非常に薄れるというふうに、ときどき委員会でも意見が出るのですけれども、この条文の十一条を見て行くと、会員は常に一口以上さへ出資すれば幾らでも殖やすことができると我々は解釈しているのですが、その点から言つて今までの性格と大して変りはないように思われるのですが、これは衆議院のほうでは問題になつたのですか。
  65. 宮腰喜助

    ○衆議院議員(宮腰喜助君) その点についてはいろいろ問題になりまして、この立法に御協力を願つた飯田課長さんもおられますが、私らは両法案については当初は非常に差別がありまして、信用協同組合の員外貯金だとか、監督権の問題だとか、或いは手形の割引制限の問題だとか、その点に相当差異があつたのです。ところが小さな業者が大分議会なんかに押しかけて参りまして、我々業者も何とか現状のままで経営できるようにして欲しいという、こういうふうな希望の申入れもあつたので、その点にいろいろまあ話合いをつけまして、員外貯金をそれじや認めようじやないか、監督権もそれじや地方行政庁に置こうということで通過して参りまして、現状の段階になつて参りますと差異が殆んどない。併し金融機関の健全性から考えれば、両法案に相当開きがあるんじやないかと考えております。
  66. 油井賢太郎

    ○油井賢太郎君 私が伺つたのは信用金庫というもの自体が、やはり出資が一口さえあればいつでも会員になれるという、いわゆる協同組合精神の原則はそのまま引続いておると思うのですが、そう解釈してよろしいのですか
  67. 宮腰喜助

    ○衆議院議員(宮腰喜助君) 私もそういうふうに考えています。
  68. 油井賢太郎

    ○油井賢太郎君 そうすると、いろいろこの委員会あたりで問題になる協同組合の性質というものは、非常に薄らぐというような点は、大した差異がないと我々考えることと、衆議院のほうの皆さんのお考えとは大差ない、全く同様であると解釈してよろしいですね。
  69. 宮腰喜助

    ○衆議院議員(宮腰喜助君) よろしうございます。
  70. 油井賢太郎

    ○油井賢太郎君 わかりました。
  71. 森八三一

    ○森八三一君 先刻の御説明で非常に疑問に思いますのは、地方庁の監督である、帳簿も見ることができないというようなことで、監督が非常に徹底をしない憾みがある、大蔵省直属の監督であれば非常に精密な検査監督が徹底して、債権者等に対する十分な保護が行き届くというところで、残される信用協同組合と新らしく組織替えをいたしまする信用金庫とは相当の区別が考えられるというような御説明があつたように承わりつたのであリますが、若しそういう観念がこの改正と申しまするか、法律に含まれておるということになりますれば、これは残されて行く、この新らしい法律に適合いたしません信用協同組合は、その存立を根底から破壊されて行くというようなことになる虞れが多分にあると思うのでありますが、その辺は如何でございましようか。
  72. 宮腰喜助

    ○衆議院議員(宮腰喜助君) この監督権の問題は、先ほどもお話したように、当初は大蔵省の監督にして欲しいということを小さな業者も言つてつたのでありますが、その後どうもこういうような大きい組合のかたがたは、成るべくこれは地方庁の監督にしたほうがいいのだという、こういう意味合いで参つたのでございますが、実際その内容を考えて見ますと、若し地方庁の監督に属すということになりますと、皆さん御承知のように地方の農業協同組合は、一応経理関係については商工課なり、何か指導して経理関係は行うわけです。御承知のように我々は県庁に行つて商工課あたりに帳簿のことなんか伺つても、全然帳簿の技術の指導はできない。そういう意味合いで現在の農業協同組合あたりの帳簿の技術の指導的な人がいないために乱雑になり、又その農業協同組合の資金の使われてもわかりない場合があり得る。こういう意味合いで私は現在でも若しできるならば監督権だけは大蔵省に移管したほうが、却つて健全金融を図る上に必要じやないか。従つて若しもこれを地方行政庁の範囲内にとどめるということになれば弱体する、信用組合の弱体は、資本金を例えば一千万円持つておる内容のものですと、大蔵省の監督では非常に精密に調べられるが、そこで地方行政庁で調べてもらえば、何かその経理の力がございませんから、結局内容を簡単に調べて行くということになると、金融の健全性から言えば私はまずいのしやないかという考えを極く最近持つております。
  73. 森八三一

    ○森八三一君 私の申し上げましたのは、若しここで信用協同組合信用金庫と二本建になつた曉に、信用金庫のほうは大蔵省の監督を受けておる、大蔵省の免許を頂いておるということによつて、非常に形式的にその信用が強固なものである、いわゆる大蔵省免許ということが非常に有力な一つの宣伝材料に使われる。他方規模は非常に小さくても、健全に運営されておる信用協同組合でありましても、大蔵省の免許がないということによつて、それは外形的、形式的に信用が薄いというようなことに誤解を生み、延いてそれが残される信用協同組合の存立を危くするようなことにまで追い込められて行く危険が、今お話なつたような監督権の問題がいずれに帰属するかによつて、非常に第三者に安心と不安を與える岐路を作るということになりますると、ここで信用協同組合を残して置きましても、それは殆んど用をなさないという結果になる危険が多分にあるのではないかというふうに考えますが、そういう危険については心配がないというお考えであるかどうかという点でございます。
  74. 宮腰喜助

    ○衆議院議員(宮腰喜助君) 成るほどそういう問題は衆議院の大蔵委員会でも大分議論した問題でありまして、小さな信用組合のかたがたも、この監督権だけは大蔵省でやつて欲しいのだ、我々も大蔵省の監督の下にあるのだ、信用金庫と同様だということによつて信用を獲得して又員外預金も取入れるのだ、こういうような意見であるのでありますが、極く最近、小さな業者のかたがたから言わせれば、監督権は却つて地方行政庁に置いてもらつたほうが差支えないのだということを極く最近に主張されております。私らも考えるに、成るべくだつたら大蔵省の監督のほうがいいのじやないかという、こういう考えを持つております。
  75. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 只今お話ですと、そうしますと、法案信用協同組合はこれまで大蔵省の監督を受けたのを地方庁に移すということについては、当初は御賛成なつたけれども、最近になつてよく考慮した結果、それはやはりまずい、やはり大蔵省の監督に置いたほうがいいというふうに最近お変りになつた、そういうわけでございますね。
  76. 宮腰喜助

    ○衆議院議員(宮腰喜助君) 御承知のように先ほどからのお話でありますが、いろいろ当初は大蔵省の監督が欲しいのだということは、小さな業者はそうであつた。ところがその後変更されまして、地方行政庁のほうの監督であつたほうがいいのだ、こういうふうに変つて参りました。ところが極く最近の意見を聞いても、地方行政庁の監督のほうがいい、併し私も自分個人の私見ですが、却つてこれは大蔵省の監督のほうが信用金庫の健全性からいつて、或いは信用協同組合の健全性からいつてそのほうがいいんじやないかと、こういう私個人の考えであります。
  77. 油井賢太郎

    ○油井賢太郎君 今の宮腰さんのお話は一応御尤もなようにも聞かれるのですが、この場合信用協同組合を、いわゆる一定の条件が具えられれば大蔵大臣はもう認可しなくてはならないというふうな工合にこれを改正してもらいたいというのが、衆議院の皆さんの意向として我々のほうへ参つたのですがね。いわゆる信用協同組合の設立というものはそう面倒にしていてもらつては困るのだ、それじや手続というのでも何でも面倒くさくつてしようがない、将来の発展もできない。もつと緩和してもらいたいというのが衆議院の皆さんの意向だつたのですね。ところが今のお話を承わると、又衆議院の皆さんの意向というものは、何か誤まりがあつたように承われるのですがね、やはり監督でも、或いは大蔵省のいわゆる眼が光つているというか、そういうほうが却つて預金者なり或いは組合員なりという者に、一般世人に信用を與えるというふうに今度は考えがお変りになつて来つあるようにも解釈されるのですが、その点どうなんです。
  78. 宮腰喜助

    ○衆議院議員(宮腰喜助君) 私らも衆議院の大蔵委員会審議する最中には、小さな業者の人がたの意見を容れて見ると、地方行政庁の監督がいいんだということを言つておられます。又その後大きな信用組合の意見を聞いたり、或いは又専門家の意見を聞いて見ると、どうも大蔵省の監督になつたほうがいいんじやないかという、心境の変化を来しておることは事実なのであります。
  79. 大矢半次郎

    理事大矢半次郎君) ちよつと、宮腰議員は衆議院のほうに御用がありますが、一方中小企業庁の長官もお見えになつておりますから、この際中小企業庁のほうに御質問することにしたら如何ですか。
  80. 油井賢太郎

    ○油井賢太郎君 ただ要望ですが、これはこの前の修正案は、主として社会党のかたがたが強くその点を強調されて、我々参議院のほうに廻つたわけですが、で、社会党のかたがたもあんまり自由に勝手に設立したり、監督を緩かにするといことは芳ばしくないというふうにお考えになられたかどうかということですね。これはまあ衆議院のかたがたですよ。衆議院のほうでなおその点の意見を一致して頂いたほうが今後の審議会にも都合がいいと思われるのです。その点よろしく一つ宮腰先生からお願いしたい。
  81. 宮腰喜助

    ○衆議院議員(宮腰喜助君) 只今の油井さんの御意見をお聞きしますと、当時衆議院の大蔵委員会のほうから申入れがあつたということを聞いたのは今が初めてでございますが、この前に飯田課長にも伺つたときには、その許可内容についていろいろむずかしい面倒なことがあるということについてガリ版刷で、こういうふうな条件を充たせば信用協同組合を許可するのだということの内容のガリ版刷を伺つたのでありますが、委員会でもそれを取上げまして、是非こういうふうな明瞭なものとして欲しいのだ、人によつては許可をしない、人によつては許可をするということでは非常に困るからということで、一応許可の内容のガリ版刷は委員会でももらいまして、是非今後ともこういうような形にして欲しいということだけはお願いしておいた次第です。
  82. 清澤俊英

    清澤俊英君 大体においてどこが本当なのかというのが私は一番疑問なんです。この提案理由説明によりましても、「この際信用協同組合のほかに」と、こう信用協同組合を存立しておいて、そのほかに「出資組織による信用金庫制度を設けて」云々、こういうふうに説明してある。終りに参りますると、この信用協同組合を、或る期間に基金を定めて、信用組合のうち適格なものについては信用金庫に転換せしめる、こう言うておる。そうしてそれに漏れておるものは相当の修正を加えることが必要になつた。こういうふうに、殆んど信用協同組合というものを全部信用金庫に換えようとする意図が終りに行つて、一番末端に来るとそういうことがはつきり出ておつて、頭の書き出しは、信用協同組合のほかにと、こういうふうな書出しになつておる。こういうところがどうも割切れないものがあつてかなわないのですね。これが結局銀行になるのか、人的信用を中心にしたものに行こうというのかというようなことの疑問にまでずつと延びて行き、そうしていろいろのところでこう言うておることに始終ちぐはぐがたくさんある。油井さんの指摘せられた問題もありますし、それが始終重り合つているのに僕ら悩んでいるのですが、この点の大体肚がまえはどこにあるのか、今の信用協同組合というものが金融上殊に面白くないから信用金庫にして、いわれるごとくもつと資金でもうんと入れる、入れてもつと上手に貸出して行くような方法を講ずるというような線をはつきりできないで、ただ中小企業に対しその信用を確立すると同時に貯金の増強をする、ただこれくらいのことで、そこに更に魂というものが認められないで変つて来る。こういう形になるのですね。結局結論として僕ら考えられますことはこういうやり方をやつて行きますれば、同じ信用協同組合がだんだんと銀行的な性格に発展して行つて、その信用組合自身が銀行の性質に変つて銀行という機能を発揮して、結局零細企業のような者は、組合員であつてもなかなかやはり金を借りるのに困難を生じて来て、そうして大きな組合員の中でも信用程度の強い者が約手の割引とか何とかといういろいろな面で主として金を使つているのじやないか、こういう疑いを何かしらん持たしておる。こういうことになりますが、こういう点ではどういうお考えを持つているか、こういうお考えを何もお持ちにならんかどうか一つ
  83. 宮腰喜助

    ○衆議院議員(宮腰喜助君) 衆議院の大蔵委員会のほうでは、先ほど報告したように、全国の金融の現状を調査した場合に、どうしても中小金融機関としては健全性を持たなければいけないという意味の調査もあつた最中にこういう問題が、銀行法なり相互銀行法が出て参りまして、内容を調べて見ると、我々も信用金庫のような健全金融にしなければ、到底日本中小金融を充たすことはできない。こういう意味合いで、信用金庫法というものが信用協同組合と違うところは金融の健全性、こういうような考えを持つて参りました。先ほど言つたように、当初信用金庫とそれから信用協同組合というものは相当隔りがありまして、その内容については皆さんのお手許までいろいろもとの書類が参つておるだろうと思いますが、当初は信用組合が員外預金を制限して、まあ監督権も地方行政庁に任してしまう。従つて五百万と一千万ですが、地方は五百万ですが、そのくらいまでになつたものは信用金庫に切換えられる。それから参りますと、金融の健全性ということははつきりまあ両方に現われておつたのでありますが、その中に小さな業者のほうからも、員外預金を制限すればつぶれると、府県でいえば、秋田県の場合でいえば殆んどなくなつてしまう。こういう心配もあつたので、各府県の代表者が上京されまして、是非とも信用組合を残存させる意味で在来の、今までの通りにやらせて欲しいのだという希望も申込まれました。それがために内容がいろいろ修正されまして、信用金庫とそう相違ないような段階にまで入つて参りました。併し両方の根本方針は、金融の健全性という意味から相当の開きがあるはずでありまして、私らもそういう考えの下に衆議院の大蔵委員会でいろいろ審議して参りまた。
  84. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 私遅れて参りましたので、或いはほかの委員のかたからお尋ねになつて御答弁されておるかも知れませんが、今まで伺いましたお話によりますと、員外預金を信用協同組合に認めないことは、信用協同組合をつぶしてしまうことになるのだから、員外預金を認めることにしたのだ。こういう点は、これは先般おいでになりました水田さんの御意見と違うところですが、衆議院の大蔵委員会の全体の意見といいますか、或いは公式の意見としては、信用協同組合存続のために員外預金を認めなければならんという点は、これは衆議院の大蔵委員会の公式の御意見であると、こういうように了解してかまいませんか。
  85. 宮腰喜助

    ○衆議院議員(宮腰喜助君) さようでございます。
  86. 大矢半次郎

    理事大矢半次郎君) 私からちよつと今のに関連して伺つておきますが、先般水田議員が来られて、今の御質問は少し違うような御発言があつたのでございますが、その点は差支えありませんですか。
  87. 宮腰喜助

    ○衆議院議員(宮腰喜助君) どういう点でございますか。
  88. 大矢半次郎

    理事大矢半次郎君) 員外預金を将来信用協同組合にも認めて行くのがよろしいのだというのが、今日においても衆議院の大蔵委員会の公式の意見である。こういうふうに承知していてよろしいのですか。
  89. 宮腰喜助

    ○衆議院議員(宮腰喜助君) 衆議院の大蔵委員会又本会議を通過した内容は、衆議院の意見でありますからそれが原案であります。又これらの意見は変つておりません。但し内容については参議院側のほうに何か修正をしたい、すべての信用組合を成るべくは信用金庫に切換えるとすれば、如何なる条項を修正したらいいか、こういうような御意見も伺つてつたのでありますが、衆議院の大蔵委員会は、御承知のようにああいうふうに出したのがまあ正当と認めて通過さしたわけですから、その点御了承願いたいと思います。
  90. 大矢半次郎

    理事大矢半次郎君) 信用機関として健全性を保持するには、大蔵省の監督下に置くべきだという御意見のように伺つておりますが、併し殆んど内容の同じものは、この衆議院を通過しました案によりますと、将来信用協同組合としてやはりやつて行ける。そうすると信用機関として不健全なものも認めて行くのがよいのだ、こういうふうに響くように聞えますが、そういう点は如何ですか。
  91. 宮腰喜助

    ○衆議院議員(宮腰喜助君) 先ほどからお話したように私の現在の考えで、いろいろな業者の意見を徴しますと、監督権だけは大蔵省にやらしたほうがいいのじやないかという意見が大分あるようです。これだけ申上げておきま、
  92. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 なおさつき森委員から御質問がございましたところですが、多少意見も入りますが、員外預金も認のるという点は同じですが、例えば大蔵省免許、それから地方行政庁の認可という違いもありますが、これは大蔵旨の御意見等承わりましても、金庫にして全国連合会ができたらそこに政府資金なり或いは日銀の別枠等も考慮するということになりますと、この認可、免許の基礎もありますが、そういう政府資金その他公共的な資金との繋りもあつて、金庫が相当強くなることは明らかであります。そうしますと実際問題として、残された信用協同組合というものは非常に弱くなる。これは員外預金を持つておりましても、そのほかの条件が非常に違つて参りますから、明らかに優劣がはつきりして参る。そこでその残された信用協同組合の存立について、御意見によると、員外預金を認めることによつてつぶれないというお話でございますが、そういう点について信用金庫と非常に違つて参る協同組合の今後の存立のための方策と申しますか、或いは私は、信用金庫が自分で会員を殖やして行く、或いは大きくなつて行くというほかに方法がだんだんなくなつて来るのじやないか、そうすると信用協同組合なりこういう協同組織による中小金融機関の全国的な発展のためには相当障害が起るのじやないか、その方策について、これは或いは衆議院で公けに論議されましたから、意見になるかもわかりませんが、そういう点についてどういう工合に考えておられますのか、承わりたいと思います。
  93. 宮腰喜助

    ○衆議院議員(宮腰喜助君) 信用金庫信用協同組合と両立する場合には、信用金庫は大蔵省の直接監督だ、信用上の相違からいつて金融状態が信用金庫に集中されて信用協同組合はだんだん弱体化して、最後はつぶれてしまうのじやないか、こういう御心配もあるようでありますが、私は員外預金を信用金庫と同様に認めることにおいてそう開きはないのじやないかという考えであります。
  94. 油井賢太郎

    ○油井賢太郎君 宮腰さんは先ほどから何か御用があつてお急ぎのようですが、この前私が要求した田中議員は出席されるのですか、されないのですか。
  95. 大矢半次郎

    理事大矢半次郎君) 交渉いたしましたが、今日お差支えがあるようであります。
  96. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 先ほど伺つておりますと、金融金庫について預金の保護ということに非常に重点がおかれておりますが、企業者に対する金融という面からどういう工合に考えておられますか。預金の健全性、健全性と言いますけれども、一番健全なのは大銀行に預ければいいのですし、郵便貯金もある。それにこういう機関ができたのは、預金を集めることも無論あるでありましようけれども、問題は企業金融するということが重点です。その場合にこういう協同組合主義的なもののほうが零細金融にいい。それがだんだん金融機関的になると、非常に考慮される点なんです。
  97. 宮腰喜助

    ○衆議院議員(宮腰喜助君) その点についてはいろいろまあありましようと思いますが、私らは地域的にその土地から集めた金はその地域に還元するという意味合いにおいて信用組合或いは相互銀行のようなものが非常に有利だ、金融面に有利だ、例えば一般銀行であれば、地方から集めた金が都市に集中されて、都市の大産業に使われる。例えば郵便局の貯金のようなものは殆んど地方には還元しないで預金部資金に入りまして、国債の繋ぎに使われたり何とかそういう面に使われますが、信用組合のほうは、その信用組合で集めた金はその地方に還元するという意味合いから、これは大銀行や、そういう銀行に貯金するよりは信用組合に貯金するほうが、土地の零細なる金融を見る面に非常に効果的だという考えを持つております。
  98. 油井賢太郎

    ○油井賢太郎君 企業庁長官に一点お尋ねしたいのですが、先ほど来の長官のお話を承わりますというと、中小企業関係にはこの信用金庫というものは余り影響がないようにちよつと伺えるのですが、今まで、いわゆる信用金庫となる前の信用協同組合という存在については、中小企業庁としては余り重きをおかれておられなかつたのですか、その点如何ですか。
  99. 小笠公韶

    政府委員小笠公韶君) 先ほど冒頭に申上げましたように、中小企業という金融の中で零細金融部門と或いは又中小金融部門、商業部門と工業部門といろいろ違いますので、零細金融部門においては相互金融のような、例えば無尽会社であるとか或いは信用協同組合というふうなものが最も効果的な役割を果すというように私ども考えておるわけです。又そういう意味においてその発達を期待いたしておりますという状態であります。
  100. 油井賢太郎

    ○油井賢太郎君 そこで衆議院側のほうのこの提案を拝見しますというと、今お話中小企業に対する、而も零細企業に対するところの金融面等において、こういうことにすれば相当貢献をするようになり、発達をするようになるというふうな説明なんですが、長官の御意見では、こんなことしても大した影響はないのじやないかとしか受取れないのですが、その点どうなんでしよう。
  101. 小笠公韶

    政府委員小笠公韶君) 先ほども申上げましたように新らしい制度によつて従来の機能のほかに強くプラスするものがあるかといえば、そういうふうに考えられないということを申上げたわけです。その点は法案を見まして、従来の協同組合主義の観念に相当程度金融機関的な観念が入つておる。先ほど来お話がありましたが、加入の自由の問題について組合法の規定本法の十一条の規定は全然違うのであります。そういうふうな点等から考えて見ましても、そこにいわゆる従来の民主的な協同組合というものと性格を若干異にしている。それだけに中小企業金融に対して、人的な信用基礎にした金融円滑化というものが或いは少くなるかも知れんというふうな心配すら持つのでありまして、そういう点だけが心配でありまして、ただ特に新らしくプラスの効果というものを現在において予見しにくい。先ほどお話がありましたように健全金融の線でありますが、中小企業金融における健全金融という問題は、いわゆるコマーシヤル・ベーシスということを一応建前にいたしまして、零細企業金融におきましてコマーシヤル・ベーシスというものを余り強くいうと、なかなか金融ができないという現状なのであります。従いまして健全金融を少し一歩踏み込むのには、やはり人的な繋り、社会的な繋りを中心とするというふうに私は考えておるのです。同時にそういうふうな意味において理窟は別といたしまして、現状は信用協同組合等の活動に最も大事なのは、資金的援助の問題があると考えております。
  102. 油井賢太郎

    ○油井賢太郎君 只今お話のうちで、協同組合の精神とそれから十一条の加入の自由という点との何か食い違いがあるように伺うのですが、これは私今までと別に食い違いがないと思うのですが、専門家の飯田課長の御意見をこの際聞いておきたいと思います。
  103. 飯田良一

    説明員(飯田良一君) 信用金庫法の建前から申しまして協同主義と申しますか、協同組織の建前は一貫して貫いておると思われるのでございまして、会員は一口以上の出資を持ち、均一の出資を持ち、又出資総口数の十分の一を超えて独占的に多額の出資を持つというふうなことは、従来の協同組合と全く同じように禁止しておるのでございます。  それから議決権の問題でございますが、第十二条に参りまして、「各各一箇の議決権を有する。」即ち人的結合であつて、物的な財産的な結合ではないという点は、全く従来の協同組合の主義を貫いておるのでございます。今の小笠長官のお話は、何か加入の自由を拘束しておるというふうな意味合いでおつしやられたと思いますが、そういう点に関しましては協同組合と全く同じように、加入に関しては何人でも加入できるのでありまして、その点についても従来と変つておらないと思います。
  104. 小笠公韶

    政府委員小笠公韶君) 先ほど申上げました十一条は十三条でありますから、その点だけちよつと。
  105. 油井賢太郎

    ○油井賢太郎君 多分小笠長官は十三条……。
  106. 小笠公韶

    政府委員小笠公韶君) 十三条です。
  107. 油井賢太郎

    ○油井賢太郎君 非常に制限があるようにお考えになられたのではないかと思うのですが、この条文の解釈ですね、「金庫に加入しようとする者は、」以下とありますけれども、この条文は今までの協同組合の条文に或る程度制限を加えたというふうに解釈して見ていいのですか。この点ですね、専門家のほうの飯田さんにお聞きしたいのですが。
  108. 飯田良一

    説明員(飯田良一君) 十三条の規定は、従来の中小企業協同組合法の第十五条にそれに相応する規定があるのでありまして、従来の中小企業協同組合法の第十五条の「定款の定めるところにより加入につき組合の承諾を得て、」云々と、やはり従来から組合の承諾等は要件となつておりますし、その意見において本法案の十三条は特に制限を与える趣旨で以て書かれておると認められないと思います。
  109. 小笠公韶

    政府委員小笠公韶君) 議論になりまして大変恐縮ですが、中小企業協同組合法におきまする規定は、協同組合法の総則において加入及び脱退について自由だと先ず原則を謳つてあるのであります。それを謳つて、然る後に手続上の問題として「定款の定めるところにより」云々ということがありまして十三条で申しますれば、定款の定めるところに委任をいたしておるのであります。従つてそこに完全なる自由の原則というものがないじやないかというふうに私は読んだのです。これは読み違いであるかも知れませんが、組合法は別に第一条で原則を謳つておるというところが違うのです。
  110. 大矢半次郎

    理事大矢半次郎君) ちよつと私から小笠政府委員にお聞きしますが、協同組合がですね、相互扶助の精神によつて経営いたしておると、この信用協同組合はどういう仕事をしておるか、一方においては預金の受入れをやる、他方においては貸出し、手形の割引等をいたしまして、いわゆる金融業で行なつておる受ける信用、受信、授ける信用、授信、両方やつておるのでありますが、協同組合の精神からいえば、この員外預金を無制限に受けるというのはあり得ないと思うのですが、一体それは如何なお考えですか。ほかの事業団体に、無制限に会員以外の者の利用を許しておるような実例があるのですか。
  111. 小笠公韶

    政府委員小笠公韶君) 通常の事業協同組合におきまする、員外利用というのは、制約があるのが普通でございます。
  112. 大矢半次郎

    理事大矢半次郎君) それなら協同組合の本来の精神というものがないじやないですか。
  113. 小笠公韶

    政府委員小笠公韶君) 端的に申しますれば、相互の利用の余分を使わせると申しますか、余力を使わせるというのが基本の原理でありますので、当然に或る限度があるのが普通であるというようになつております。
  114. 大矢半次郎

    理事大矢半次郎君) そこで伺いますが、この金庫法においては員外預金を無制限に扱うところが、協同組合のあれから一歩逸脱しておると言つてもいいぐらいです。これが一般大衆の貯蓄増強に資するために、従つてその員外預金を受入れたその運用についてはおのずから制限しなければならんと思うのですが、然るにいろいろお話を伺つておると、この員外預金が制限されたのは、この信用協同組合の運営に支障を来たすから、どうしても員外預金を無制限に受入れなければならんと、こういうふうに言われるのでありますが、私はそれはおかしい。それは協同組合の精神からむしろ逸脱しておる。併し一方において信用事業をやつておるからして、一般大衆の貯蓄増強に資するようにして、そうして金融機関の使命をなお一層充実させるようにしようというのが精神です。従つてそれは員外預金者の立場からいえば、相当その保護協同組合以外の立場からこれを保護させる、保護してもらう必要がある。従いましてこの員外預金を無制限に扱う以上、協同組合としての機能の一部を或る程度制限される、或いは又員外預金において、資金の運用において或る程度の制限をおかれるということは当然のことと思います。それがこの信用金庫の性格だと私は見たいと思うのですが、如何でしようか。
  115. 小笠公韶

    政府委員小笠公韶君) 先ほど委員長お話の通り、協同組合に員外利用の限度があるのは当然だ、私はそう思つております。そこで本金庫について員外利用を無制限にやるというふうなお話でありますが、実は現在の信用協同組合につきましても、行政的監督では抑えておりますが、余り制限がないように私は記憶いたしております。これはそういうふうな法的の制限がおいていないのは、監督、行政運用の点で抑えて行くと、こういう趣旨で行つているのではないかと思うのでありますが、建前は飽くまで制限、リミツトがあるというふうに私は推測いたしております。
  116. 油井賢太郎

    ○油井賢太郎君 先ほど長官から、むしろ貸出しの面に十分な……、今までの協同組合なり、或いは信用金庫となつて中小企業者のために、或いは零細企業者のために資金の充実を図るとか、何か他の方法も必要であるようにお話なつたのですが、全く私も同感なんです。そこで中小企業者、零細企業者のためこういう金融機関と申しますか、いわゆる今度新らしくできますこういう機関に対して中小企業者並びに零細企業者のために資金を充実することのできる方法を、政府当局は強力にやつてもらいたいと思うのですが、若しこれができました場合に、長官といたしまして勿論御努力願えると思うんですが、これについて何らかの対策をお講じになつておりますか。又は将来お講じになるおつもりでございますか。
  117. 小笠公韶

    政府委員小笠公韶君) お話の通りにできるだけ資金の供給というものをやらなければいかん。又その方同で今後努力いたしたいと思います。御参考までに申上げますと、中小企業信用保険というものを実施いたしましてからの傾向を簡単に申上げますと、信用協同組合或いは無尽会社、或いは地方銀行、こういうようなものは非常に利用率が多いのでございます。大きな銀行、特殊機関というようなものの利用率は非常に少い。そこで信用協同組合の希望に応じて私どもは保険制度を作るというふうに考えております。なお各府県の余裕金は従来商工中金一本に預託をして中小金融に廻わすということをいたしておりますが、すでに商工中金だけでも十八億何千万円という都道府県の余裕金が廻されております。これを順次信用協同組合というようなものの、その強化という方向に動いて参ると思いますが、できるだけその線を拡げて行くというふうなことも一つの方法ではないかというふうに考えて、私どもできるだけ努力をいたして行きたい、こう考えておます。
  118. 油井賢太郎

    ○油井賢太郎君 これはいい機会ですから……、将来信用金庫になるような資格のある協同組合から相当今のお話の陳情といいますか、そういうようなものが非常に参つておると思います。そこで各府県に対しまして、長官といたしましても、府県の資金というものを大金融機関にばかり取扱わせないで、例えば相互銀行であるとか或いは信用金庫であるとか、そういうようなもののできるだけ活用の途を講ずるように特に一つ伝達を願いたい。いい機会ですからお願いたしたいと思います。
  119. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 只今中小企業金融ですか、信用保険法ですね。あれは実際の効果は余りないようでありますが、やはりあれは相当変えなければいけないんじやないですか。
  120. 小笠公韶

    政府委員小笠公韶君) 結果から申しますと、実際スタートしたのは本年の二月からであります。二月のなかば頃でありますが、三、四で四億三千万円の保険総額、それから五月の十四日までに約二億五千万円という我々の手許まで報告が来ておりすが、そういう数字になつております。従いまして月十二億という予定から比べますと、遅々としておるのでありますが、順次これの利用が先ほど申上げましたように小口の金融に利用されて来た。いわゆる百万、五十万というふうな小さな小口の金融、特に地方銀行、それから信用協同組合、無尽会社というようなところの利用が広くなつて参りましたので、長期金融を助ける一つの潤滑油的な使命というものが順次果しつつあるのではないか、こういうふうに実は思つておるのであります。ただ問題点は、今後の検討に待たなければならんと思いますのは、保険額が七五%というところに問題の一点があるようであります。それから差当りの問題点といたしましては、保険料年三分以内であり、約三分にきめておるのでありますが、これの負担が銀行が約半分、それから借受人が約半分の負担という制度になつておるのでありますが、これをできるだけ借受人の負担にするということが、理論は別といたしまして、貸付を円滑にする一つの途であると思うのであります。できればここらに対しまして利子補給的な観念を入れても一つの方法ではないか、こういうふうに考えるのでありますが、いずれにいたしましても、全額借受人の負担転嫁というような形のほうが、この制度をよりよく利用せしめるゆえんではないかということに考えておるのであります。そういうような問題が一、二ございますのでありますが、なお十分に実施の経過を見た上で改正をいたしたいというふうに考えます。
  121. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 一、二伺いたいのですが、御意見によると、中小企業の零細金融については人的な繋がり、相互援助、相互協力というような点から信用協同組合のほうがいいという御意見は大体了承をしたのでありますが、なおもう一つのお言葉の中にありました資金援助の点について、只今も多少承わつたのでありますが、今後の中小企業庁としての方向について今考えておられますことについて伺いたいと思います。
  122. 小笠公韶

    政府委員小笠公韶君) 只今すぐどういう案があるかと申上げましても、実現性の問題で若干問題があると思うのでありますが、今後の問題といたしまして、先ず長期資金の観点におきましては、エード・フアンドの消化をもう少し拡げるような措置を考えて行きたいということが一つ、もつと規模の小さいところにも借入れするようにするという意味で拡げるということが一つ、現実に最近の情勢から申しますと、専ら運転資金でございますが、運転資金の供給を殖やすという問題は非常にむずかしいのでありますが、従来やつておりまする諸制度をできるだけ拡げて行かなければならない。いわゆる日銀の中小企業の別枠、現在四十三億というようなものをできればもう少し殖やして行くというような問題、又これは商工中金の関係でありまするが、中金債の引受額、資金運用部の引受額の問題、引受比率の問題等を改善して行くというような問題があるのではないかというふうに考えておるのであります。なお今後の状況によりましてはこれはむずかしい問題がありますが、昨年三月に行いましたような政府余裕金の一時の預託というような問題として考えれば考えられんことはないと思いますが、非常に困難な問題だと考えております。従いまして先ほど申上げましたような点をできるだけ拡げて行くということが差当りの手ではないかというふうに考えております。
  123. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 そうしますと現実にこれはまあ信用金庫というものができるわけなんですが、先ほどのお考えによると、この信用金庫信用協同組合と二つ並んで参つて、どちらにとにかく只今の資金のルートをつけて行くか、実際問題として私どもはそういう場合に信用金庫にのみ傾るのではないかという感じがするのでございますが、そうしますと長官の、信用協同組合のほうが人的繋がり云々によつて優れておるというお言葉でございますが、それには流れて行かんのではないかという感じがするのですが、これに流して行く方法についてはどういうふうにお考えになつておりますか。
  124. 小笠公韶

    政府委員小笠公韶君) その点につきましては御同様心配な点であります。冒頭に油井委員から御質問があつた欠陥がありとすれば、助成する策如何というお話でありますが、そのときに信用協同組合信用金庫が相並び存した場合において両者が同じような気持で動けるようないろいろな政府の施策を平等にやる必要があるということを申上げましたのは、資金の流し方の場合を実は頭において政府の施策として考えて行かなければならんというふうに実は考えておつたわけであります。
  125. 油井賢太郎

    ○油井賢太郎君 只今の点は長官の立場から誠に御尤もだと思つて同感の意を表しますが、いい機会ですから、中小企業に対する見返資金が相当国家的に見ておるのですが、昨年の実績は非常に少いのですね。こういうふうな大きな、たしか十二億くらい二十五年度は余つているというふうに聞いたんですが、そんなに大きな金が中小企業へ廻らずにそのまま温存されておるというのは非常に残念なんですね。それについて長官として将来どういうふうな対策をおとりになるか、これは相当大きな問題だと思うのですが、十分に廻るような施策と、余りむずかしい手続というようなものでなく、どうせ中小企業者なんていうのは手続のむずかしいことではもう諦めてしまうという状況になりますが、それの解決策を一つ講じて頂きたいと思います。何か対策をこの際御発表願いたいと思います。
  126. 小笠公韶

    政府委員小笠公韶君) 御指摘の通り昨年度の繰越分は十二億余であります。本年度予定が四十億、計五十二億という数字でありまするが、これが繰越しになりました理由につきましては、いろいろあろうと思うのでありまするが、一方需要が非常に多いのに而も消化できんという事実を、できるだけ消化させるような意味で、先般来衆議院のほうでいろいろ集まりまして、大蔵省、それから日銀、私ども、取りあえずの問題の所在点は、手続を、日銀と取扱銀行との関係におきまする取扱をできるだけ簡略にして行くという問題が一つと、取扱銀行の窓口を拡げるということが第二の問題、その他できるだけ円滑に流れるような方向一つ進めて行こうということになつたのであります。  中心は今申上げましたような二点を中心にして進めて来たということに実はなつたのであります、これは問題の中心点は、一つの問題として、取扱銀行の協調分といいますか、五割五割の場合には五割、七三の場合には三割の資金の問題というふうな問題もございまして、いろいろ問題がありまするが、できるだけ手続を簡易化するということにおいて問題を解決して行きたいというふうな方向で、窓口を拡げるという意味で実施に移すことに相成つております。
  127. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 先ほどエイド・フアンドの枠を成るべく拡げて、規模の小さいところに流れるようにしたいというお話でしたが、日本開発銀行ができるというと、エイド・フアンドからその他企業、私企業に割当てる分を開発銀行に廻したりすると、中小企業金融のほうに対する枠がそれだけ小さくなるというふうにならないですか。
  128. 小笠公韶

    政府委員小笠公韶君) ならないのですが……。
  129. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 あれは別ですか。
  130. 小笠公韶

    政府委員小笠公韶君) 別です。
  131. 清澤俊英

    清澤俊英君 今の油井さんの何は、手続がいろいろありましようけれども、実際は金がない者は、銀行信用しない者は貸せない。殊に自分は五割持たなければならぬ。これは問題はないですか、問題はそこにあるのじやないでしようかね。
  132. 小笠公韶

    政府委員小笠公韶君) 御指摘の点御尤もなんです。それで現行制度を基本的に変えるという問題になりますと、いろいろな意味において時間的にも困るというようなことがありまして取りあえず捌かして行こうというような趣旨で、先ほど申上げたようなことでやつて行く、基本的な金額をきめるとか殖やすとか、或いは借受人の資格を殖やすというような問題がまだあるのですが、これは相談せんならぬというところがありまして改正をいたしたばかりではありますので、早急に行きかねますで、取りあえず日本側で実施可能な範囲を急いでいるということでいたしたわけであります。御指摘の点は、一つの問題点になつておる金額融資のできる途を考えて行かなければならぬと考えております。
  133. 清澤俊英

    清澤俊英君 それでこれらこそ協同信用組合に廻して、相互信用か何かで、今各地方でやつている保証協会の形で貸出したら非常に消化が早いと思いますが、そういう方法はお考えになつておらないのですか。
  134. 小笠公韶

    政府委員小笠公韶君) 大体そういうような思想で只今見返資金は七割、三割、若くは五割五割と選択になつておるのでありますが、先ほど申上げた二点のほかに銀行の貸す部分、三割なら三割、それには中小企業金融保険をかけるということにしたいということにいたしまして、丁度府県の信用保証協会と同じ効果を狙つている地方金融……
  135. 清澤俊英

    清澤俊英君 今度は飯田さんに一つ……、これはこの間からお尋ねしようと思つてつたのでありますが、今十三条の「加入」の問題が出ておりますが、この十三条の「加入」は「定款に定める」云々となつております。「加入につき金庫の承諾を得て引受出資口数に応ずる金額の払込を了した時又は会員の持分の全部若しくは一部を承継した時に会員となる。」こういうふうになつておりますが、何かしらんこれには加入の自由が束縛してあるような感じを受けるのですが、定款にもよろうと思いますが、その点はどうなりましようか、農業協同組合への加入であれば、これこれの資格のあるものの加入を拒否することができないということにきちんと出ておりましたね、非常に窮屈な定款でも定められると、実際あとから入つて、金でも借りたいために入つたが、お前のはこれじや駄目だということになつて加入を何かしらん制限しなくてはならぬというようなことが見えますが、その点はどうなんです。
  136. 飯田良一

    説明員(飯田良一君) 金庫の承諾を受けてとありますので、一応限定して、いるかのように見えるのでありますが、例えば十七条の法定脱退の箇所に挙つておりますような破産者だとか、或いは除名を受けたとか、事故があつて脱退したというふうな者が再び加入をするとかいうふうなことになりますと、金庫としても困る場合がある。そういうふうな場合にはこれを拒否することはこれは止むを得ないと思うのでありますが、そういうふうな一応の審査というふうな意味合いにおきまして、金庫側における承諾ということを言つた趣旨と存ずるのであります。一般的にお前はよろしい、お前は困るというふうなことにはならないというふうに考えます。
  137. 油井賢太郎

    ○油井賢太郎君 それに関連しておるのですが、そうするとこの信用金庫の第十四条は当然のことだから削除したい、こう解釈してよろしいのですか。
  138. 飯田良一

    説明員(飯田良一君) よろしいと思います。
  139. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 信用協同組合の認可を地方庁に譲る問題ですが、これは先ほど宮腰さんの話を聞きますと、当初は信用協同組合の員外預金を禁止するから地方庁に任してもそう弊害がないという考えではなかつたのかどうか。初め、員外預金のほうはそのままになつてしまつたのです。地方庁に移すというところだけが法案に載つて来た、こういう関係にあるのではないでしようか。その点これは提案者から聞くのが本当ですが、飯田課長からお伺いしたいのと、そういう場合大蔵省はどう考えておるか、大蔵省はこの員外預金を禁じないで、地方庁に任してしまつたほうがいいのか、前のいわゆる法規裁量が非常に問題になつたのでありますが、大蔵省は余りにルーズになるのは困るというようなお考えから、法規裁量のときにも実際には基準を設けてそうむやみにできないように、従来と現在においては変りないように策を講じられておつたのですが、この点どうなるのですか、大蔵省としての考え方を……。
  140. 飯田良一

    説明員(飯田良一君) お尋ねの点は確かに提案者のほうからお答えがあるのが然るべきはずなんでありますが、理論的に考えました筋としまして、事務当局として見ました考え方を申上げてみたいと思います。原案によりますと、信用協同組合の監督権が地方に委譲される恰好になるのでございますが、先般も申したと思うのでありますが、協同組合主義の本旨から申しますと、協同組合の組合員がいわば仲間同士の結合ということによりまして、自主的に運営を図るのがその建前であろう、こういうふうに考えられるのであります。それが先ほど大矢委員から御指摘になりましたように公共性のある、第三者の預金を吸収する、取扱うという関係から、そこに公共的な使命を帯びさせまして、監督も厳重になつて来ておるという面があるのでございまして、この公共性の面を着目して参りますと、必然的に監督が厳重にならざるを得ない。従いましていわば自主的運営という面と、そこに矛盾を来すということになるのでありまして、従来から信用協同組合制度をめぐりましていろいろ御批判のある面はそこにあると思うのであります。信用協同組合の監督にしましても、その業務の問題と必然的に関連を持つのでございまして、協同組合の本来の姿として組合員の間における業務ということに限局される場合におきましては、監督がむしろ第二義的でありまして、自主的運営という面が非常に強く現われて来るのが本来の姿かと存ずるのであります。その意味におきまして何らかの形におきまして、員外預金の制限というものがあります場合に、地方に監督権が委譲される、いわば監督が簡素化される面が強く出て参りますのは非常に好ましい方向ではなかろうかというふうに存じます。それによりまして協同組合主義がむしろ本来の姿になつて活きて来ると、かように考えるのであります。これは非常に事務的なことになるのでありまするが、事務当局といたしまして、今後信用協同組合制度をどう考えるかということにつきましていろいろと考えておりました際に、的な見解といたしましては、先ほど御指摘がありましたように、信用協同組合という制度はむしろ自主性を尊重して知事に監督を委任し、その代り業務といたしまして本来の姿に戻りまして、員外預金は例外といたしまして、むしろこれを制限するという方向に考えておりましたことは事実でございます。現在におきましてはその監督権の面だけが施行法の法文に現われている、かように考えております。
  141. 油井賢太郎

    ○油井賢太郎君 飯田課長に一点伺いたいのですが、この信用金庫の加入の問題はとかく誤解を生ずるような感じを受けているようなんですけれども、定款に規定して、いわゆる自由に加入できるようなことさえはつきりきまつていればいいと思うのですが、第二十三条におけるところの定款の記載事項ですね、これ以外に若し会員の加入というようなことについていささかなりとも障碍になるような規定を、事項をつけたような場合には、勿論大蔵省当局としてはそういうことは削除させるというふうなことになるのでしようね。一つ聞いておきます。
  142. 飯田良一

    説明員(飯田良一君) 協同組織の本旨から申しましてさような行き過ぎた制限というものがあります場合には、削除するように指導いたすつもりでございます。
  143. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 先ほどの木村さんの御質問、逆にすればここに出ておりますような信用協同組合について、員外預金を預かるということになれば、今の御答弁と逆に、地方庁に委せるのでなくて、大蔵省が監督したほうがよろしいと、こういう工合に逆に考えるのですが、その点は明らかですか。
  144. 飯田良一

    説明員(飯田良一君) 信用金庫制度と並立しまして、信用協同組合が従来通り無制限に員外預金を扱うという建前になつた場合には、その監督権はどこに置くかという、かような御質問でございますか。員外預金を扱うことが即ち金融機関としての公共性という問題になつて参りますので、その意味合いから大蔵大臣が監督するという従来の建前通りにすることが適当であろうというふうに考えられます。
  145. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 これは別な問題ですが、先般来の質問をいたしたところによる答弁によれば、大部分の信用協同組合が金庫になり得るだろう。残るのは職域の分と或いは同業者の分、こういうことになるのですが、これは飯田課長の考え方からする今後の問題ですが、残された或いは職域の問題については、或いは労働銀行法といますか、そういつたものが考え得る。或いは同業者の場合についてどうするという問題が残つて参ると思うのですが、そういうものについてどういう工合に考えておられますか。一つ承わりたいと思います。
  146. 飯田良一

    説明員(飯田良一君) 信用協同組合の今後の見通し……。
  147. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 見通しでなくて、この間お尋ねしたところによると、大部分の信用協同組合が金庫になり得るだろう、その点については異見があるのですが、私どもは違つた考えを持ちますけれども、あなたの御説明によると、残るものは職域のもの、或いは同業者のものだと、こういう工合に一応御説明なつたわけですが、そうするとその残つたものについてどういう方策を講ぜられるつもりであるかという点を伺いたいのです。
  148. 飯田良一

    説明員(飯田良一君) 信用協同組合としていわば残るというのは、実は余り、意味が違つた意味にとられる慮れもあるのでございますが、信用協同組合として当然の機能を発揮するという意味において残るというふうに存ずるのでございますが、現在あります信用協同組合の中の職域の組合、或いは同業者の組合というものが、丁度その信用協同組合の建前に丁度合致する組合かと存ずるのでございますが、現在におきましても、かような組合におきましては員外預金というものは定款上大体制限しておるのが一般でございまして、即ち組合員を中心といたす金融という、いわゆる協同組合の本旨に徹した運営を現在もすでに行われつあるのでございます。かような意味合いに、おきましては、その監督が仮に府県知事というようなことになりまして、いわば俗に申しまして、看板が少し小さくなつたというふうな意味合いのものがありましても、元来が組合員の結合、一種の組織、或いは同業者の組織というものに根拠をおくのでございまして、その意味においてみずからの組合に対する信用というものは、免許の如何、或いは、監督の如何というもの以外の非常に強固なものを持つておると存ずるのでございます。又業務の範囲も、今申上げましたように、従来と同様ということになつて参りますれば、その発展は現段階における状況と全く相違のないことになるわけでありますので、逐次基礎の強固になるに従つて相当の発達を遂げ得るものというふうな見通しを持つております。
  149. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 先ほどは論理的な意味から見てお話を聞いたわけですが、実際に例えば労働銀行設立という……、実際に労働銀行としてできておるものもありますが、或いは全国的な労働銀行設立の話も実はあるわけであります。お話のように残つたものの中に職域的なものとして労働銀行というものが今後作られて行かれる要請があつたとしまするならば、そういうものについて労働銀行法を考えるというか、或いはお話のようにそれを府県単位に自主的に、自分で勝手に育てて行こうというふうに、委せるのみでなしに、或いは将来労働銀行法をこしらえて、これをまとめて行く、或いは法的な基礎を與えて行く、或いはそういうことになりますと、県なら県に任せておくのじやなくて、大蔵省においても多少関與するといつた面も出て参るかも知れませんが、こういう問題についてどういうように考えておられるか。
  150. 飯田良一

    説明員(飯田良一君) かような性質の組合に対しましては、いわゆる金融機関の監督当局としての大蔵省が不必要に立ち入るといいますか、むしろ干渉がましいことはしたくないという建前をとつておりますので、特に大蔵省が続いて世話を焼くというようなことよりも、むしろ自主的な運営に任して行くという建前をとつて参りたいと、かように存じております
  151. 油井賢太郎

    ○油井賢太郎君 本日はどうです、この辺で今日は散会せられては……、提案いたします。
  152. 清澤俊英

    清澤俊英君 大分さつきから問題になつていますがね、この前の信用組合の認可の、衆議院から廻つて来たあの法案が食い違いがある。それであの当時の責任者とでもいいますか、今泉君か、奥村君にちよつと来てもらつて、一応意見を聞いてみたいと思うのですがな、この次の機会に……。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  153. 大矢半次郎

    理事大矢半次郎君) 取計らいましよう。本日はこれを以て散会いたします。    午後四時十九分散会  出席者は左の通り。    理事            大矢半次郎君            清澤 俊英君            杉山 昌作君            木内 四郎君    委員            愛知 揆一君            黒田 英雄君            九鬼紋十郎君            吉田 法晴君            佐多 忠隆君            小宮山常吉君            小林 政夫君            油井賢太郎君            森 八三一君            木村禧八郎君   委員外議員            山本 米治君   衆議院議員            宮腰 喜助君   政府委員    大蔵政務次官  西川甚五郎君    大蔵省銀行局長 河野 通一君    証券取引委員会    事務局長    吉田 晴二君    中小企業庁長官 小笠 公韶君   事務局側    常任委員会専門    員       木村常次郎君    常任委員会専門    員       小田 正義君   説明員    大蔵省銀行局特    殊金融課長   飯田 良一君    大蔵省銀行局保    険課長     長崎 正造君