○衆議院議員(宮腰喜助君) 簡単に申上げますが、当初は大分違
つた様式でありまして、
信用金庫と
信用協同組合との間が非常な差異があ
つたのであります。というのは、その当時
信用組合の
内容については員外貯金は認めない、又第二次の修正の場合には、員外貯金の二割くらい認めよう、監督の問題は大蔵省で一本で行こう。こういうのであ
つたのですが、途中で監督問題も地方行政庁に変
つて参りまして、現在に至
つても
内容は地方行政庁の監督である。当時小さな業者のかたがたの
意見によると、今まで大蔵省の監督であ
つたものが、地方行政庁の監督になるというと、
業務の関係から
言つても監督が大蔵省であり、地方庁であるということに差異が設けられるというと、非常に仕事がやりにくいから、成るべくなら大蔵省の監督でや
つて欲しいということを
言つて来られておりました。ところが極く最近の意向を聞きますと、監督だけは地方行政庁にして頂きたいという、又元の状態を繰返しているような
意見も大分あります。当初はそういう組合で
信用金庫と、それから
信用協同組合とは相当開きがあ
つたのでありますが、小さな業者の団体が東京に会合しまして、是非
信用組合も現状のまま員外貯金を許されまして、そして
業務を継続したい。若しも員外貯金を制限するようであれば、二百万だとか、或いは百五十万
程度の
信用組合は員外貯金がなければ到底潰れてしまう。こういうような工合で、非常に反対
意見があ
つたのであります。又決議が出まして衆議院のほうに持
つて参りました。事情を聞いてみると非常に気の毒に思
つたので、我々もいろいろ各正派、殊に社会党、自由党ともいろいろ御
意見を徴しまして、漸く
信用協同組合のほうは員外貯金を認めようというところまで参りました。この最後の衆議院の段階のときは員外貯金を制限して欲しい、その修正案の
内容には組合員の配偶者、これは入籍した者も、しない者も一緒に入れまして、配偶者、それからその親族の預金、定期預金の範囲内に限定しようという
意見もあ
つたのです。そこまで来ないと、
信用金庫と
信用協同組合を両建てにした
理由が成り立たないじやないかという御
意見もありまして、大分問題に
なつたのでありますが、社会党とも、自由党とも相談したのですが、これで行くというと、到底衆議院は通過しまい。相当問題になるから、これは員外貯金を自由に認めるというところで出そうということに
なつたのであります。で、私のほうは監督権の問題も大分論議したのでありますが、監督権の問題については、大蔵省のほうへ移管しないというと、
信用組合の、弱体な経営を持
つているような
信用組合は、却
つて地方行政庁の監督を喜ぶというような工合で、
信用金庫に切替えを喜ばない入も出て来るんじやないか。大蔵省の監督は厳重だし、それから地方行政庁だ
つたら帳簿の
内容を見ることを知らないような人がたの多い関係上、却
つて監督は不十分である。そうすれば
信用金庫と
信用協同組合とを両建てにしても却
つて資産の大きいものも、
内容の貧弱なものも
信用協同組合にとどまるというような結果にもなるので、監督という問題も相当議論をや
つたのでありますが、どうもそこまで行かないで、監督権を地方行政庁に置くという恰好のまま、まあ
信用協同組合は通過させたのであります。
従つて私ども何らか両方に
相違があることを考えても見たのでありますが、十分
審議の余裕があ
つたようですが、又いろいろ司令部との折衝を繰返しておるような関係上、そこまで至らずに、衆議院は通過してしま
つたわけなんであります。そこで現状の段階としても、私らは成るべくであ
つたらこの
信用金庫と
信用組合を両建てとするなら、監督権の範囲だけでも大蔵省へ移管していいのじやないかという私らの、又社会党のかたがたの
意見もありましたが、結果としては両
法案がそんなに
相違がないということだけは事実であります。