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1951-03-28 第10回国会 参議院 大蔵委員会 第29号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年三月二十八日(水曜日)    午後零時五分開会   —————————————   本日の会議に付した事件 ○日本開発銀行法案内閣送付) ○物品税法の一部を改正する法律案  (内閣提出衆議院送付) ○国税徴収法の一部を改正する法律案  (内閣提出衆議院送付)   —————————————
  2. 小串清一

    委員長小串清一君) それではこれより第二十八回の大蔵委員会を開会いたします。  先ず以て日本開発銀行法案提案理由の御説明を願います。
  3. 西川甚五郎

    政府委員西川甚五郎君) 只今議題となりました日本開発銀行法案につきまして、提案理由を御説明申上げます。  我が国経済基盤を育成し、その将来における自立を安定した基礎の上に招来するためには、重要基礎産業所要資金、なかんずく長期設備資金供給を円滑ならしめる必要がつとに認識されておつたのであります。これがため政府におきましては、将来とも長期産業資金を確保するため種々の施策を実施して参つたのでありまするが、先ず第一に、企業の必要とする長期産業資金は、本来増資或いは社債の発行のごとき自己資本の充実によつて調達すべきであるとの考えに立脚して、証券市場の育成、証券投資思想の普及などに努力して参つたのであります。併しながら、資本の蓄積も乏しく、国民所得も概して零細な我が国実情に徴しますときは、このような施策のみを以てしては、必ずしも全きを期しがたいと考えられましたために第二の対策といたしまして先に金融債発行を認め、預金部資金によるその引受を行うこととしたのであります。過去一カ年間における債券発行銀行の実績に徴しますと、これらの銀行国民経済上重要と考えられる産業資金供給を行なつており、今後の活動も期待せられるのでありますが、これらの銀行は、商業ベース則つて業務を行うことを大原則としているのでありまして、この点から見て債券発行資金による産業資金供給のみを以てしても、これ又十分とはいいがたいといわなければならないのであります。  このような諸点並びにそのよつて来たる原因に鑑みまして、政府は、このたび全額政府出資による独立の金融機関を設立し、その業務として我が国経済再建及び産業の開発に必要な長期設備資金供給せしめることとしたのであります。その運用資金としましては、昭和二十六年度において差し当り百億円を米国対日援助見返資金特別会計から出資いたしましてこれに当てることとしております。なお、昭和二十六年度中の一定の時期において、復興金融金庫を解散し、その権利義務を承継した後におきましては、その回収金原則として一般会計からの新らしい出資金となることとなつております。  右のほか、日本開発銀行業務運営に関する基本方針については日本輸出銀行とおおむね同一であり、役職員の地位、大蔵大臣の監督、予算の編成及び執行、経理その他の面におきましてできるかぎり無用の拘束を少くし、その能率的運営を期しております。以上がこの法案内容でございます。  何とぞ御審議の上御賛成せられるよう切望してやまないものであります。
  4. 小串清一

    委員長小串清一君) 如何でございましようか。これは非常に重大な問題でありますが、本日はもう時間がありませんが明日は大蔵大臣の出席を求めて皆様の質疑を続行したいと思いますが如何ですか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 小串清一

    委員長小串清一君) それではさよう取計らいます。   —————————————
  6. 小串清一

    委員長小串清一君) 次に物品税法の一部を改正する法律案、これはまだ内容説明がなかつたようでありますかうちよつと説明してもらいます。
  7. 平田敬一郎

    政府委員平田敬一郎君) 物品税法改正内容の極く簡単な点につきましては、先般提案理由説明で申し上げたかと思いますが、事柄は大体二つございまして、一つサツカリンヅルチン課税につきまして課税方法を若干変更しよう。と申しますのはサツカリンヅルチンを使用いたしまして特殊の甘味剤を製造しまして、それを販売するということになつておるのでございますが、その原料たるサツカリンヅルチン段階課税しますると、製品が売れるまで、非常に前に課税されまして、納税資金調達等がうまく行かないという事情がございまするので、その製品段階課税し、サツカリンヅルチンにつきましては原料免税をしよう、こういう改正一つでございます。  それから第二点は、物品税施行に適正を期しますために証紙制度を新らしく設けたことでございます。但しこの証紙は、前の取引高税証紙みたいなものと違いまして、單にこのものは物品税を納めたものであるという証票標物品等貼付する性質のものでございます。金額表示はいたしておりません。庫出しする際に納税済であるという一つ証紙貼付いたしましてそれによつて市場に出ている品物が果して課税を受けたものであるか、或いは脱税等によりまして出たものであるかはつきりいたしまして、取締を容易にし、それによりまして、税収の確保を期しますと同時に、他方におきましては正常な業者の利益を適正に擁護して行こう、こういう考えの下に証紙制度を採用することにいたしたのであります。この証紙につきましては、物品性質によりましてどうも証紙を利用しにくい物等もございまするので、政府におきましては、差当り貼付見込物品といたしまして考えておりますのは、嗜好飲料、それから鞄、トランク、飴、サツカリンヅルチンそれからサイダー、ラムネ、こういうものに最初のうちは限定して実行いたしたいと考えております。余り零細なものにつきまして一々貼付せしめることは、業者手数等関係もございまするので、目的を達成する上におきまして、而も技術的にも証紙貼付が比較的可能であると認められるものにつきましてこの制度を実行することにして参りたい。かように考えておる次第でございます。
  8. 愛知揆一

    愛知揆一君 ちよつと細かい事ですが、伺いたいのであります。ミツゲンというのは、この改正法ではどういう取扱になるのですか。
  9. 平田敬一郎

    政府委員平田敬一郎君) 第二種第三号の「サツカリンヅルチン及此等原料トスル調味用型人工甘味料」これに該当することになりまして、ツゲンの段階課税される。ミツゲン原料としまして、サツカリン、ズルチンを製造場から移出する際に、原料免税をいたしまして、製品になつてから課税しよう。但しその課税に当りましては飽くまでもサツカリンヅルチン使用料一キロにつきまして同じ税負担をさせるというふうにいたしておるのであります。
  10. 愛知揆一

    愛知揆一君 この改正案が出る前は、ミツゲン課税については現行法によりますと、サツカリンヅルチン庫出しというか、持出したときに本来課税すべきものであつてミツゲン製造業者制度上は脱税を相当やつてつたということになるわけで、相当九州方面では問題があつたようでありますが、そういうものの取扱といいますか、現在脱税として一応抑えておるものもあると思いますが、それは制度の無理からそういうことになつておると思います。これの救済策というのはどうなるものでしようか。
  11. 平田敬一郎

    政府委員平田敬一郎君) 脱税に相当するものも中にはあるかも知れませんが、私はそれは比較的少く問題は滞納になつておることであります。それは製品が売れなくて資金繰りがつかない、その間に課税になつて滞納になつておる。これにつきましては、実情に応じまして極力今後徴収を図つて行くということになるかと存じます。
  12. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 これは改正になつて税金を納める人は同じなのですか。
  13. 平田敬一郎

    政府委員平田敬一郎君) 大部分は同じであろうと考えております。サツカリンヅルチン製造者サツカリンヅルチン原料としましてほかの工場に持つて行きまして、それでミツゲン等製品を作つておるというのが大部分でございす。違つた場合は恐らく今のところはないかと思いますが、理論上はあり得ることはございます。勿論あり得る場合におきましても、ちやんと原料免税の手続をとつて行きますから、取締上は差支えないと思います。
  14. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 その点なんですが、今までは製造業者にすぐかけておつた、今度は製品になつてからかけると言われますが、どれだけ使用したかどうかということを調べることは、それについてちよつとさつき愛知氏も御質問なつたかと思いますが、その点がはつきりしないと、今後税収が減るというようなことも出て来ると思います。
  15. 平田敬一郎

    政府委員平田敬一郎君) サツカリンヅルチン自体もそれを課税品として残しております。それを人工甘味料を作る原料として庫出しをする場合におきまして、原料免税商品を受けまして、免税に該当しないということになるわけでございまして、その辺の取締で以て目的を達成できると考えております。
  16. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 さつき証紙みたいなものを付けると言われましたが、それをもう少し説明してくれませんか。よくわかりませんから。
  17. 平田敬一郎

    政府委員平田敬一郎君) これは物品税証紙というのを政府が作製いたしまして物品税納税義務者に交付するわけであります。受け払いを明らかにいたしまして、製造場から課税物品庫出しする際に必ず証紙を適当なところに貼付いたしまして出さなければならんということになりますと市場に出廻つております商品が果して納税済のものであるかどうか、或いは脱税品であるかどうかということが非常にはつきりして来る。ただ貼つていないからという理由だけですぐ脱税とは言えないかと思いますが、それは或る程度調査は要するかと思いますが、脱税調査に非常に役立つ、そういう意味におきましてこの証紙というものを物品に貼らせたらどうか、こういう趣旨のものでございす。
  18. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 そういうこの法案を出されたような趣旨ですとこれは広汎にいろいろな物品についてそういう問題が起つて来はしませんか。
  19. 平田敬一郎

    政府委員平田敬一郎君) 物品の種類が相当ございますので、そういうことに該当しそうなものとそうでないものとあると思います。余り零細なもので証紙なんか貼ると手数がかかるというようなものにつきましては、実益が比較的少いので、そういうものにつきましては実行はいたさない。やはり貼付によりまして相当な効果を挙げ且つそれが実際問題といたしましても比較的可能性が多いというものにつきましてこの制度を利用するようにしたいと考えております。何に貼らせるかということにつきましては業界の意見もよく聞きまして、大蔵省の告示か或いは省令で品目を特定いたしまして、明らかにいたしたいと考えております。
  20. 黒田英雄

    黒田英雄君 証紙というのと表示証というのとはつきりわからないのですが、証紙政府がこしらえて交付するのですかそれから表示証政府がこしらえないのですか、どういうものですか。
  21. 平田敬一郎

    政府委員平田敬一郎君) これは証紙を余り貼らせますと、商品性質から行けば、如何にもどうも体裁等がよくない。製造者ちやんと自分の一定表示証商品にくつ附けるわけでございますが、そういう表示証であつて且つ証紙の代用をし得るようなもの、こういうものにつきましては、その受け払いを明らかにいたしましてそれで証紙貼付に代えるような制度として設けて置きたいというわけであります。
  22. 黒田英雄

    黒田英雄君 その表示証というのはやはり政府の認可を得てこしらえるのですか。
  23. 平田敬一郎

    政府委員平田敬一郎君) 勿論その作製並びに受け払いですね。幾らつて幾らしたか、そういうことにつきましては全部政府承認を受けさせてやらせるつもりでおります。
  24. 大矢半次郎

    大矢半次郎君 証紙それから表示証というのは四月一日以降使用するわけでしようが、その前にすでに出されておる商品との間に過渡期において判断がつかないような場合が多いだろうと思いますが、それはどうなさるおつもりですか。
  25. 平田敬一郎

    政府委員平田敬一郎君) 理想を申しますと、一定施行時期に市場に出ておる商品全部につきまして戻し入れさせてやらせれば徹底するわけでありますが、そこまで行きますと取引相当混乱を与えますので、そういう措置はやらないで置く、従いまして或る期間を過ぎなければこの証紙を貼らせる目的は十分達成できないということになるかと思いますが、経過期間の間は証紙の貼つてあるものと貼つてないものと市場に出廻つておる。併しそれもいたし方がない。従いましてその間に貼つてないものについて、單に貼つてないという理由で厳しく取締るというようなことは避けたい、一定期間経ちますと、大体証紙の貼られたものばかりが市場に出廻りますので、そのとき以降は取締が非常に容易になる、こういう程度で本制度につきましては満足すべきものじやないかと考えておるのでございます。
  26. 小串清一

    委員長小串清一君) 別段御質問もないようでありますから、質疑は盡きたものと認めて討論に入ることに御異議ありませんか。   (「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  27. 小串清一

    委員長小串清一君) 御異議なしと認めます。それでは討論に入ります。御意見のおありのかたはそれぞれ賛否を明らかにしてお述べを願います。別に意見もないようでありますから、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。   (「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  28. 小串清一

    委員長小串清一君) 御異議ないと認めます。よつて物品税法の一部を改正する法律案衆議院送付の原案通り可決することに御賛成のかたの挙手を願います。    〔総員挙手
  29. 小串清一

    委員長小串清一君) 全会一致と認めます。よつて本案は原案通り可決すべきものと決定いたしました。なお本会議における委員長口頭報告内容については、本院規則第百四条によりあらかじめ御承認を願うことに御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  30. 小串清一

    委員長小串清一君) 御異議ないと認めます。それから委員長が議院に提出する報告書に附する多数意見者の御署名をお願いいたします。   多数意見者署名    森 八三一  木内 四郎    木村禧八郎  愛知 揆一    小林 政夫  黒田 英雄    杉山 昌作  岡崎 真一    清澤 俊英  油井賢太郎    大矢半次郎   —————————————
  31. 小串清一

    委員長小串清一君) 次に国税徴収法の一部を改正する法律案の御質疑をお願いいたします。
  32. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 ちよつと主税局長にお伺いしたいのですが、所得税をかける場合、所得税と称して物品に一個幾らというふうに税金をかけていいものですか。
  33. 平田敬一郎

    政府委員平田敬一郎君) お話趣旨はよくわかりませんのでございすがその所得は、飽くまでも所得をよく計算いたしまして出すべきものだと思いますが、ただ田畑等でございますと、幾ら米ができたか、その生産量調べましてそれの単価を出しまして、収入金を出して、あとは全部の農家について所得は出しにくいものですから、標準率を作成して所得を計算する、こういう一種の調査によりまして所得を査定する場合等もございますが、皆それぞれやはり究極には各所得を正しく計算して査定するように考えております。
  34. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 そうしますと、原則としては物品そのものにかければ物品税になるわけでありますが、所得税としてそういう形でかけては間違いである、こういうふうに見ていいわけですか。
  35. 平田敬一郎

    政府委員平田敬一郎君) ただそれだけの理由課税するのはどうかと思います。ただ今申しましたように、所得個別調査がなかなかむずかしい場合におきましては、所得を推定する方法といたしまして、例えば理髪屋さんの場合でございますと、椅子の台数等調べまして、大体どれくらいの所得がある、そういう推計調査をやつて、それによつてやらざるを得ないという場合もございます。
  36. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 これは実例一つ申し上げませんとはつきりしないと思いますが、実は静岡須津中里部落というところで副業竹行李を作つておる。その竹行李に対する課税につきまして、出荷組合に対して物品税的に課税しておる。それで一個幾ら税金をとつておる。その結果非常に弊害が出て来ておる。例えば副業でやる人と専業にやる人と非常に違いが出て来まして、その所得にかけるならば専業の人、これは話がわかる。ところが副業でやる人たちは、一個幾らでは副業の人にはそう大して苦痛はないけれども、専業の人にそういう物品税的にかけられたのでは非常にこれは不均衡を生ずるというので、そういう所得税物品税的にかけていいかどうか、これは問題ではないか。その後出荷組合に対して、法人制でも何でもない申合せ組合だそうですが、その出荷組合に対して物品税的に一個幾らとしてかけるという、こういう実例があるのです。これはどういうものですか。
  37. 平田敬一郎

    政府委員平田敬一郎君) 一個幾らという、ただ簡単にそれだけの方法で全部しまいにして何か課税するというのは、これはどうかと思いますが、さつき申しましたように所得を推定する資料といたしまして、出荷の個数並びにその金額調べてその金額に対しまして所得率を適用しまして所得を算定し、それを基にしまして控除等を適用して所得税額を算出する。少くともそれだけの手数方法は盡さなければおかしいんじやないかと思いますが、一個幾らというふうに機械的にそれだけで税額をいきなり査定するといつたような方法は如何かと思うのでございますが、具体例につきましてはなおよく国税長官も見えましたが、取調べた上でお答えしたらどうかと思います。
  38. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 事実そういう例がございますから、一つ調査して調べて頂きまして、そうして所得税を一個幾ら竹行李一個幾らで税を取る、こういうことが事実行われておつたら、それは私は間違いだと思いますので、よく御調査願いたいと思います。これはあとはつきりそこの場所をお示ししたいと思います。静岡県の須津中里という部落です。一つ調査願いたいと思います。  なお国税長官がお見えになりましたから御質問申上げたいのですが、この国税徴収につきまして長官も随分いろいろお骨折りでありましようが、まだまだ末端においては非常に徹底しない点があるのは非常に遺憾なのですが、特にこういう問題が起つたのです。この前参議院の大蔵委員会の小委員会におきまして、農業課税におきましては必要経費を適正に見るべきであるという、こういう請願に対する採択があつたわけです。そこでこれは国税長官御存知通り、これは千葉県の流山です。ところでこの国税庁事務官のかたです。それは長官御存知だと思うのですが向後武治というかたですね、事務官がその流山に行きまして、国会に対してああいう請願をしたことはよろしくないと、それで諸君かそういうことをするともつとひどく税金が高くなるぞ。だんだん調べれば収入がもつと多くなつて来る。だからあれは成るべく取下げるようにしたらいいだろうというので、判を取つて取下げるように、そういうことをした。こういうようなことはこれは一つの強制みたいなことになると思うのですが、国会も採択した、そういうことについて、それをやめさせるように国税庁事務官行つてそういうことをやるということは、これは長官として正当とお考えですかどうかお伺いしたいのです
  39. 高橋衛

    政府委員高橋衛君) 只今事務官参つて請願を取下げるようなふうなことをやつたという、お話は、まだ全然聞いておりません。そういうふうな事実があつたかどうか、又どういうふうな事情でやつたかということを十分に調査いたしましてそれに対する適切な処分をとりたいと思います。
  40. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 これはもう事実なんです。実は私のところにそういうことをされたという陳情書がこんなに来ているのです。これは各個人みんな署名捺印しております。例えばその一つの例を申上げますが、昭和二十四年度所得税につき国税局調査を受けまして、いろいろ話の上で悪いようにはしないから取下げたほうがいいでしようと言われたので取下げまして、本年は意外の不作で納税にも困つております。どうかよろしくお願いいたしますと。それから昭和二十四年度所得税のことにつき国税局より審査に来まして、大して調査もせず、ほかの人が皆取下げしたから取下げなさいというので取下げはいたしましたが、悪いようにはしないからと言つておりましたが、重税のため困つておる。何とぞ必要経費のことにつき御同情、御盡力をお願いいたします。こういうふうにして皆署名しまして来ておるのです。又一月十二日国税局から二人で朝十時半頃来まして、いろいろ話をしましたが、取下げを強要されたので、役人の言うままに取下げをしました。必要経費を御心配願います。まだたくさんございます。それで皆これは署名捺印しております。こういう事実があるのでございます。ですからこの国会にああいう請願をしたと、それに対して、殊に農民はお役人が来ると非常に恐がるのです、非常に怯えておりまして……。それでああいうような請願はけしからんじやないかというふうにとられて、そうしてこれはまだたくさんありますから、時間かかかりますから省略しますが、あとでお見せしますが、そういうふうにいたして、国会に折角請願して必要経費を適正に認定……採択されたのに対して、国税庁のほうで熱心に実情調べて、必要経費を適正にするような努力をされないで、むしろその請願を取下げるような運動をしておると、これは事実なんでございます。それで勿論長官はそのことは今御存じないようでありますから、これはよくお調べになつて頂きたいと思います。こういうことは、国会のそういう決定に対して、これを取下げる運動政府のほうでさせると、こういうことになると、これは穏かでないと思うのです。これは確かに私は非常に行き過ぎだと思うのですが、この実情を御調査願いまして、そうして適当な処置をとつて頂きたいと思います。
  41. 高橋衛

    政府委員高橋衛君) 只今お読み上げになりました書類だけでは、どうも事実がどうであつたか、必ずしも適確に判断いたしかねるのでありますが、それらの事実をよく調査いたしまして、適正に処置いたしたいと考えます。なお私どもといたしましては、いつも申上げておりまする通り、できるだけ親切に又十分に申出のある点を調査いたしまして、そうして適正に決定いたしたいと、こういう趣旨の指示を絶えずいたしておりますが、弁解になるかも知れませんが、何分昭和二十四年度の場合におきましては、更正決定の数が全国で四百万を超えておりますというふうな事情もございましたし、我々といたしましても、そういう個々の審査処理につきましても処置を急いだというような関係上或いはさような必らずしも適当でないということが行われた面もあつたのではないかというふうに想像されるのでございます。何と言いましても適当なことでないと思いますので、将来は十分そういうことのないように注意して行きたいと考える次第でございます。
  42. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 只今国税長官の御答弁がございましたので、その御答弁に信頼しまして、よく御調査して頂きまして、行過ぎのないように希望して置きます。  もう一つこれはやはり具体的な例なんでございますがこの国税徴収我我におきまして非常に遺憾なことが一つあるのですが、この点もう一つ調べになつて善処して頂きたいのです。それは先ほど竹行李について問題になりました静岡県の須津村のことなんでございます。これについては余り細かいことを申上げますと、その対象になる人は税務署事務官なんですから、その人に対して、まだそれははつきりしないのに余り内容に亘つて困ることになると気の毒ですから具体的に名前はあとで申上げます、長官に……。その具体的の例はこうなんです。静岡県の富士税務署三井兼夫というかたです。この三井兼夫という税務署長の、その署員です。高橋という事務官高橋常雄というかたですがこの事務官をめぐつて所得税決定について非常にいろいろ問題があるのです。その事務官自体所得決定についても問題があるのです。それから事務官親戚につきましていろいろ所得税申告決定について非常に不当なことが出て来ておるのです。これはその土地の農民組合課税が不当なので、それではほかの人はどういうふうに課税されておるかというのを調べたわけなんです。調べたところが、税務官吏自体、或いは税務官吏親戚、そういうところに対して非常に不当に所得決定をしておるということがわかつたのです。こういうことがわかりますと、農民あたりの納税に対する意識、納税思想というものは非常に悪くなると思うのです。従いましてこういう事実がありますので、余り具体的に申上げますと却つて個人に対して、まだこれが調査して見てはつきりしないのに、余りにそういう不当な涜職的なことを申上げるのはいけないと思いますからあとでそれは国税長官に申上げますがこの点も一つ調べになつて頂きたいと思うのです。こういうような、末端においてこういうことが行われますと、納税上、納税意識を非常に私は悪くすると思いますので、この点についても一つ調査願いたい。あとで詳しくは又申上げますが、如何でございましよう、か。
  43. 高橋衛

    政府委員高橋衛君) 税務官吏の実際に所得その他の調査をいたします際におけるところの態度なり何なりが、ややともすれば疑惑を招くというようなことがありますると、お話通り納税思想にも非常に悪影響を及ぼしますので、私どもといたしましては、そういう点に常々必要な注意を払つてつておるのでありますが、若しもそういうふうな事実がありといたしますれば、これは完全な汚職でありますから、これは十分な処分をいたしたいと思うのであります。ただ私どもの見るところによりますというと、実は昨年の法律の改正によりまして、国税庁の監察官に或る程度の警察権も与えるということになりまして、積極的にこれらの調査を相当進めて参つておるのであります。又それによつて相当の成績を挙げて参つておりますのでありまして、漸次そういうふうな傾向が減少しておる絶滅されておるという程度にまでは到底まだ自信を以て申上げかねるのでありますが、とにかくこれが絶滅を期して努力いたしておるということは申上げてもいいかと思うのであります。而して今回の大蔵省設置法の改正におきまして、この監察官の数を六十名から二倍にいたしまして更に徹底を図ろうという考えでおるのであります。特にそういうふうな汚職の起りまするケースは、主としてむしろ都会地に多いと私どもは見ておるのでありますが、田舎の税務署でありますると、いろいろすぐ風評が立ちまするし、又いろいろ投書等もありまして、割合に調査がしやすい従つて予防もしやすいという現状であります。都会においてはそういうようなことがなかなか調べがつきにくい、監督がしにくいという関係上、絶滅を期するということがなかなか困難であります。只今富士税務署の問題につきましては、田舎の税務署でありますからそういうふうな事実はすぐはつきりすると思います。従つてはつきりと事実を確めました上で措置をいたしたいと考える次第であります。
  44. 小林政夫

    ○小林政夫君 税務署員の銀行預金の調査の問題でありますが、これについては愼重にやるようにという通牒は出ておるように拜承しておりますが、最近やはり田舎の銀行等の話を聞くと、どうも余りその点愼重でないようであります。それでただ非常に下つぱの税務署員、或いは誰でも該当者の預金を勝手にやるというようなことで、非常に迷惑をこうむつておるというか、今の資本蓄積、預金の吸収というような点についてかなり迷惑をしておるようであります。それについて少くとも預金を調べるという場合は、地方局長くらいの証明を以て調べるというような、制度上もう少し、ただ取扱い上愼重にやれというようなことでなしに、もつと上級官吏の証明がなくてはできないというような制度というか、取扱いにするわけには行かんのですか。
  45. 高橋衛

    政府委員高橋衛君) 預金の調査に関しましては只今お話通り、これが預金者の心理に悪い影響を及ぼしておる。資本蓄積にいろいろな弊害をもたらすということがあつてはいけないと考えまして、その取扱いには極めて慎重な態度を以て臨ませるようにいたしておるのであります。而して調査をいたします際におきましても、相当の地位にある或る程度の年配の行つた人に必らず行つてもらう。而してその間いろいろなトラブルを起さないようにという方針で臨んでおるのでありますが、又預金の調査をいたします際においても、一般的に調査をするというようなことはいたしませんで、或る程度の申告について漏れがあるという大体の見当がつきますかたについて具体的な氏名を示しまして個々に調査をするという建前にいたしておるのであります。一般的な調査をするというようなことは絶対にいたしておりません。而して今までの経験によりますると、いろいろなトラブルの起りまする問題は、むしろ何といいますか金融機関側の十分な御了解を得られない、どうしてもこれを調査しなければその脱税調査ができないという場合であるにもかかわらず、なかなか得られない、止むを得ず令状を以て行かなければならないというふうな場合が相当起りがちなのでございます。而して又そういうふうな事例が相当各所に亘つて多いのでございまして、局長の判断に任せるといたしますと、非常に多数の税務署を持ち、又相当の官吏を持つておりまする関係上、時日を相当遷延いたしまして、又はその他事務上なかなか困難でございますので、私どもといたしましては、むしろ積極的に金融機関の御協力をお願いいたしまして、その間のトラブルをできるだけ少くし、又私どもといたしましても調査の対象をできるだけ少くして、そうして本当に脱税調査に必要な最小限度にとどめるという考え方で行きたいと考える次第であります。
  46. 小林政夫

    ○小林政夫君 一般的な調査をしないということは、そのようになつておるようですか、併し必らずし銀行側の非協力的な態度によつて起るというようなことでなしに、どうも私の心配するような点が多いようにも思われるのであります。戰前は何か局長の証明がなくてはいけないというような、大分そういうことも行われておつたようにも思うのでありますけれども、その点についてただ取扱い上愼重を要すということでなしに、愼重になるような手続をふんでやるということについて一段の御研究を願いたいと思います。
  47. 小串清一

    委員長小串清一君) それでは暫時休憩いたします。    午後零時四十九分休憩    —————・—————    午後五時五分開会
  48. 小串清一

    委員長小串清一君) これより再開いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時六分散会  出席者は左の通り。    委員長     小串 清一君    理事            大矢半次郎君            清澤 俊英君            杉山 昌作君            木内 四郎君    委員            愛知 揆一君            岡崎 真一君            黒田 英雄君            佐多 忠隆君            小林 政夫君            油井賢太郎君            森 八三一君            木村禧八郎君   政府委員    大蔵政務次官  西川甚五郎君    大蔵省主計局法    規課長     佐藤 一郎君    大蔵省主税局長 平田敬一郎君    国税庁長官   高橋  衛君   事務局側    常任委員会專門    員       木村常次郎君    常任委員会專門    員       小田 正義君