運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1951-03-22 第10回国会 参議院 大蔵委員会 第25号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年三月二十二日(木曜日)    午後一時五十五分開会   —————————————   委員の異動 三月二十日委員九鬼紋十郎君及び森下 政一君辞任につき、その補欠として山 本米治君及び吉田法晴君を議長におい て指名した。   —————————————   本日の会議に付した事件 ○保険募集取締に関する法律の一部  を改正する法律案内閣提出) ○保税倉庫法及び保税工場法の一部を  改正する法律案内閣提出、衆議院  送付) ○資産評価法の一部を改正する法律  案(内閣提出) ○再評価積立金資本組入に関する法  律案内閣提出) ○公認会計士法の一部を改正する法律  案(平岡市三君外九名発議) ○外国為替資金特別会計法案(内閣送  付)   —————————————
  2. 小串清一

    委員長小串清一君) これより第二十四回大蔵委員会を開会いたします。先ず第一に、この保険募集取締に関する法律の一部を改正する法律案について質疑を開始いたします。
  3. 松永義雄

    松永義雄君 これはあれですか、元保険所轄官庁というのが商工省つたのですが、今度大蔵に変つたというようなことになるのですか。
  4. 長崎正造

    説明員長崎正造君) 元保険の監督は商工省保険局でやりまして、戦争中たしか昭和十六年くらいから大蔵省の所管になつたのであります。現在では銀行局に保険課という一課があつて、そこでやつております。それと別に保険募集に関する取締は特に関連はないわけです。
  5. 松永義雄

    松永義雄君 そうするとやはり今でも昔、商工省で監督しておるように今度は大蔵省のほうで監督する、こういうことになりますか。
  6. 長崎正造

    説明員長崎正造君) そういうことになります。
  7. 松永義雄

    松永義雄君 それでこれはもう大蔵省のほうのかたがたがよく御承知のことだと思うのですが、結論から申しますと、保険会社保険料をなかなか払わないことがあるのです。しばしばそうしたことがあつてそれは主として外交というか、代理店というか、そういう方面の間違いから起きているのであります。最近もそうした例があるし、殊に保険会社というか、会社自身においても取扱に少し無理なこともあるということも私も経験いたしていますから、そのように折角生命保険に入つても昔からよく言う告知義務の問題でなんとかなんくせを付けて金を払わないようにする。それから代理店が途中で金を使い込んだり、受取を出しておつても、それが有効か、無効かということが起きておつたり、それから外交員加入者というか、保険契約者に対して、でたらめなことを言う、後になつてそれが証拠の問題で争いになり、結局泣寝入つてしまわなければならん、そういう例は終戦後にも我々経験いたしておるのですが、そういう方面に対する取扱一体大蔵省の心がまえといいますか、それをちよつとお聞きしておきたいと思います。
  8. 長崎正造

    説明員長崎正造君) お話のように、生命保険募集というものは終戦後これはインフレーシヨンの関係で、非常に経費が高くなつて、それから又戦前小口契約処理するというような必要が保険会社の側でも起りましたので、契約の乗換え募集というのが行われたわけでございます。この方法は戦後の素質の低下した募集員によつて行われましたために、非常に不正な或いは不適当な魔表というようなものを用いて無理に契約募集するというようなことがありまして、そのためにこれを放置できなくなつて昭和二十三年七月にこの保険募集取締に関する法律というものができまして、外務員登録不正募集取締というものを合せてやるということになつたわけであります。その後当局といたしましても、新聞、ラジオ等によつて不正募集自体を発表して一般の啓蒙を図るというようなことと同時に、外務員のブラツクリストを作成するというようなことをいたしまして、今日まで数百名の者を掲げて各社に配付しておるというようなことを行なつております。又登録制度というものを十分に運用いたしまして、外務員の所在を突き止めて、そうして不正なものは調査いたしまして、登録の取消とか、或いは業務の停止というようなことをする。このためにその事務を各財務局に委讓して、全国に亘る外務員取締に遺憾のないようにするというようなことで、最近ではだんだん事故も減つておるような状況になつております。そのほか大蔵省の中で、この事故の苦情を受けつけまして、事故の調停をやつておるというようなこともやつております。双方の言い分を聞きまして、そうして会社が非である場合には、既払いの保険料を返させるというような方法で解決しているわけであります。  それから一番初めにお話のありました点は、告知義務違反問題だと思うのでありますが、これは告知義務違反制度というものは、弱体の者がこれを通知しないで保険に入るということが、保険団体性からいつて工合が惡いわけでありますが、ですから制度そのものはよろしいわけでありますが、併し先ほど来申上げましたような、不正の募集で体の惡いということを知りながら勧誘員募集をし保険契約をする、そうしてあと告知義務に名をかつて保険金を払わないというのは保険の信用を害しますので、結局これは外務員素質の向上ということにかかるわけでありますが、そういつたような不当な非常に契約者に気の毒な事例については、やはり両者の間に入つて斡旋の労をとるというようなことをやつております。将来は結局この外務員素質をよくするために、免許制度というようなところまで行かなければならないということで、研究いたしておる次第であります。
  9. 松永義雄

    松永義雄君 御承知通り保険約款というものは非常に精細に書いてありまして、素人が読んでもこれはなかなかわかりつこない。で、僕にもそういう経験がするのですが、例えば親がどういう病気で死んだか、そういうことを書いておかなければいけないんじやないかと言うと、いいでしよう、そういうことは書かなくともいいと、試して見るのですが、そういつたことを外務員が言うのです。田舎に行つてもとにかく人間には慾があるものですから病気持ちの被保険者とか、被保険者病気をしていると話をすると、なに入つておけばいい、そうして入られる。それからこれはインフレの時だからいいですけれども、デフレに向う時に、実に保険金額というか、多額な契約をさす外務員がそうしてデフレになつて札が尊くなつてきて保険料が払えないというようなことをやつて、結局失効になつて保険契約者が馬鹿を見る。あの手この手で外務員代理店、殊に農村において実際詐僞みたいなことを平気でやつて、いざ問題になると証拠の問題になる、そうすると保険契約者が負けてしまう、泣寝入りになる、そうして商工省に行けば、商工省では、君、証拠がなければいけない、会社に行けば保険約款に書いてある通りだ、そうして細かい数字を見せるというようなわけで、保険契約者というのは多くの場合馬鹿を見ておる。ああいう保険約款については周知せしめるように、ああ細かい文字で裏に書いてしまわないで、世の中は競争だから馬鹿のほうが負けるのだといえばそれまでの話で、もう少し約款なんかわかり易く契約者にしておいたならばいい、そんなら入らなかつたということになる。とかく親切が足りないということが考えられる。いろいろトラブルも起きておることもあるのですが、これは団体契約なんかよくそういういろいろな問題がおきておる。我々のところにも陳情がやつて来るの零すが、一つあなたのほうが今度監督しておられるということでありますから、十分に保険会社終戦後どさくさまぎれに代理店外務員が勝手なことをやり、保険料使い込みなんか到る所にあるのじやないかということを私一、二の例で全体を判断できると思うわけであります。その点を一つ十分気を付けて頂きたいと思います。
  10. 小串清一

    委員長小串清一君) 別段に御意見もないようですから質疑を終了して直ちに討論に入ることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  11. 小串清一

    委員長小串清一君) それではこれより討論に入ります。御意見のおありのかたは、それぞれ賛否を明らかにしてお述べを願います。別段御意見もないようでございますから、討論は終局したものと認めることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  12. 小串清一

    委員長小串清一君) 御異議ないと認めます。それではこれより採決に入ります。保険募集取締に関する法律の一部を改正する法律案を原案通り可決することに御賛成のかたの挙手を願います。    〔総員挙手
  13. 小串清一

    委員長小串清一君) 全会一致と認めます。よつて本案は可決決定せられました。  なお本会議における委員長口頭報告内容については、本院規則第百四係のあらかじめ御承認を願うことに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  14. 小串清一

    委員長小串清一君) 御異議ないと認めます。  それから委員長議院に提出する報告書に多数意見者の御署名をお願いいたします。   多数意見者署名     大矢半次郎  高橋龍太郎     松永 義雄  小宮山常吉     木内 四郎  愛知 揆一     山本 米治  岡崎 眞一     油井賢太郎  杉山 昌作     黒田 英雄  森 八三一     小林 政夫
  15. 小串清一

    委員長小串清一君) 次は保税倉庫法及び保税工場法の一部を改正する法律案について御審議を願います。
  16. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 現在保税工場というのは、この前数字はお聞きしたのですけれども、あの利用に当つての実際の状況ですね、これはどんなことになつておりますか、ちよつと御説明願いたい。
  17. 平田敬一郎

    政府委員平田敬一郎君) 昭和二十四年度分の実績でございますが、先ず保税倉庫につきましては、一年間に倉入りしました総額は金額で二百十一億八千六百七十二万四千円、そのうち更に輸入手続をしまして輸入しましたのが百五十六億二千二百余万円、その他まだ未処理のものが四十二億千二百余万円、年度末現在におきまして三十六億八百余万円というものがなお残つておりますという状態であります。  それから保税工場のほうは、保税工場に入りましたのが先ず外国貨物におきまして三十億四千九百万、内国貨物におきまして八億八百余万円、それでその外国貨物のうち積戻ししましたのが七十八万円、それから輸入手続をしまして輸入しましたのが、十三億四千余万円、その他が一億六千九百万、それが今の外国貨物のうち加工しました製造品その他の部分輸入したのが十億六千七百余万円、その他で輸入しないものが多分この際輸出したものだと思いますが、八百三十二万五千円、それから内国貨物は大部分内地引取りいたしまして七億二百余万円、まだ未処理のものその他のものが二億四千万円、こういう金額におきましての状況になつております。
  18. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 その今のお話利用者別はおわかりになりませんか、これは日本人日本人以外との。
  19. 平田敬一郎

  20. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 そうです。
  21. 平田敬一郎

    政府委員平田敬一郎君) 日本人外人の区分までは統計とつていないのですが。
  22. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 保税倉庫保税工場利用者は、大体日本人より外人のほうが多いというような話を聞いていますがそうなんですか。
  23. 平田敬一郎

    政府委員平田敬一郎君) 全体としましては勿論日本人です。ただ昨年新らしく設けましてそれから先般問題になりました特殊保税倉庫と申しますか、外人用のものにつきまして臨時の保税倉庫として認めたもの、これは大部分外人関係でございます。
  24. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 保税倉庫保税工場を経営して結局外国外国の取引をしたような場合においては、日本政府に及ぼす利得というものがあるのですか。例えば民間ですとそういう保税工場に入つて加工したりなんかして加工賃が入るというようなことがありますが、政府としてはどういうふうな利得があるのですか。
  25. 平田敬一郎

    政府委員平田敬一郎君) 政府といたしましては関税も別に課税いたしませんので特別に利益というものはないかと思います。ただ特許手数料というものを若干納めますが、それは極く僅かなものでございまして、特別に保税倉庫なり保税工場に入つて来ましてそれによつて利得を受けるということはございません。ただそれによつて国内的に経済活動日本において行われますので、それによつて日本におきまして所得なり消費などが行なわれると、そういう場合におきますそれぞれ内国税の収入が間接に入つて参るということはありますが、直接には余りそういうことはございません。
  26. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 一遍お聞きしたいことは、日本人工場におきまして保税場所といいますか、そういうことをきめて今のこの法案趣旨に副つたようなことはできることになつていますか。
  27. 平田敬一郎

    政府委員平田敬一郎君) 先般申上げましたように法案條件に該当するものでございますればこれは保税工場の申請がある場合は原則として認め、取締上著しく支障がある場合におきましては認めない場合もございますが、そうでない場合においては保税倉庫とか保税工場の施設を利用することがこれは当然できることとなつております。御承知通り江東附近におきます大きな倉庫は大部分保税倉庫になつておりまして、内地に輸入するものもすぐ引取らないで一時倉庫に置いておくものにつきましては、保税倉庫に置いてありますのは輸入ときまらないでその間は輸入税を課税しないということに相成るわけでございます。先ほど申上げました数字の大半につきましても大体皆日本の商社の利用に属するものでございます。
  28. 松永義雄

    松永義雄君 ちよつと一口、加工して輸出先というのはどういう国ですか。
  29. 平田敬一郎

    政府委員平田敬一郎君) これは恐らく広範囲に亘つていると思いますが、特別に保税倉庫保税工場、特に保税工場利用して輸出する輸出先というものは特別に定めておりませんのでございますが、まあやはりどちらかと申しますと日本の近くと申しますか東洋方面に行くものが多いのじやないかと見ております。最近は併しまだなかなかそういう事業も戦前ほどの状態にまでは回復していないと思いますけれども、今後はそういうものは漸次多くなつて来る可能性があるだろうと考えております。
  30. 小串清一

    委員長小串清一君) 別に御意見もないようでありますから質疑は尽きたものと認め直ちに討論に入ることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  31. 小串清一

    委員長小串清一君) 御異議ないものと認めます。それでは討論に入ります。御意見のおありのかたはそれぞれ賛否を明らかにしてお述べを願います。  別段御意見もないようでありますから、討論は終結したものと認めて御異議ございませんか    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  32. 小串清一

    委員長小串清一君) 御異議ないと認めます。それではこれより採決に入ります。  保税倉庫法及び保税工場法の一部を改正する法律案を原案通り可決することに賛成のかたの御挙手を願います。    〔総員挙手
  33. 小串清一

    委員長小串清一君) 全会一致と認めます。よつて本案は原案通り可決すべきものと決定いたしました。なお本会議における委員長口頭報告内容は本院規則第百四條によりあらかじめ御承認願うことに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  34. 小串清一

    委員長小串清一君) 御異議ないと認めます。それから委員長議院提出報告書に附する多数意見書に御署名を願います。   多数意見者署名     大矢半次郎  高橋龍太郎     松永 義雄  小宮山常吉     木内 四郎  愛知 揆一     油井賢太郎  岡崎 眞一     山本 米治  杉山 昌作     黒田 英雄  森 八三一     小林 政夫   —————————————
  35. 小串清一

    委員長小串清一君) 資産評価法の一部を改正する法律案について質疑を開始いたします。
  36. 山本米治

    山本米治君 この資産評価法の一部を改正する法律案のほかに再評価積立金資本組入に関する法律案というのが出るわけですが、法律一つでも少いほうがいいので、この資産評価法の一部を改正する法律案でもつて評価積立金資本組入に関する法律案内容を盛り込めなかつたものかどうか、それが二つになつておるのはどういう理由かお伺いしたいのですが。
  37. 吉田信邦

    政府委員吉田信邦君) 資産評価法におきまして従来この資本組入につきましては別に法律で定めるというふうに規定しておりました関係上、一応解釈的に申せばそういつた意味から別にいたしたというわけでございます。又実質的にも資産評価法自体は税法的な問題、或いは基礎的な問題、こういつたものが渾然といろいろ規定されておりまして御覧になりますとかなり複雑な形になつております。従いましてこの際この資本組入に関する手続でございますので、一応別にいたしましたほうがわかり易いのじやないかというような趣旨で私ども分けた次第でございます。
  38. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 資産評価最初にできたときに、これではなかなか思うように再評価ができないじやないかという私は意見を述べて、近いうちにもう一遍再評価するような考えはないかという話をしたときがあつたのです。が、たしか平田主税局長もそのときも回答されておるのです。もうこれでその必要はない、こういうようなことがあつたのですね。併し今日又更に再評価しなくてはならなくなつたというふうな打明話ですね、これをもう少し噛みくだいてお話願いたいのです。
  39. 平田敬一郎

    政府委員平田敬一郎君) 前からの御説明に続きますから私から一応お答えいたしますが、前回評価を一齊に一遍限りやりまして、大体やつた結果は相当広汎に一般的に行われるということを政府としては期待する、結果におきましてもやれるという企業は大体においてやれるのではないかとこういうお答えをいたしたかと思いますが、やつて見ましたところが若干実は問題がございまして、やつてないところ或いはやり方の少いところは相当あつたようでございます。併しその一番大きな原因をたぐつて見ますといろいろございますが、経済情勢と申しますか、昨年の上半期頃の情勢相当下り坂でございまして、将来に対してどうも見通しちよつとなかなか楽観できない、見通し企業はつけにくいという事情が多い。それともう一つはやはり将来のことは、やるまですでに相当な成績を挙げておる企業でございますと、これは相当自信を持つてつておるようでございますが、そのときまでに十分立ち直つていないという企業はどういたしましても将来の見通しに対しまして悲観的でありまして、やはりなかなかよう決意できなかつたと、こういうところじやないかと思うのでございます。ところが昨来の夏以後情勢が大分変りまして、企業収益状況も大分よくなりましたし、又将来に対しましても明るい見通し企業としましてはつきやすくなつた。こういう状態になりましたので前回やらなかつたり、或いは十分できなかつたものが再びやつてもらうということになりますと、相当更にやるような情勢になりましたので今回ともう一回この機会を与えまして、最近及び今後の情勢に十分対処いたしました再評価をするように措置いたしたいというのが今回の主たる点でございまして、そういう点からいたしましてこの際行いますることが妥当であるとかように考えておる次第でございます。
  40. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 又今回これをやつてまあ再評価の仕方が少かつたとか或いはやつて置けばよかつたとか又あとで出るだろうと思いますが、これは一時的の法律じやなしに、いつでもできるような法律にするということは考えられないのですか。
  41. 平田敬一郎

    政府委員平田敬一郎君) その点は再評価法を制定しまする最初から、いろいろ問題になつた点でありまして、一番最初は一定の期間にだらだらやつてもいいというような案も考えたことがあるのでございますが、併しこの再評価というのは、会社にとりましても又取扱税務官庁等にとりましても、非常に特別な仕事でありまして、やはり余りだらくやるよりも区切りをつけて一遍にやつたほうがよいということで、前回も一齊に一遍にやることにしたのであります。今後におきましてもやはりこういう仕事状況に応じまして、たびたびやるべきものでなくして、やはり情勢のいろいろと変化した場合にはこれ又別でございますが、そうでない場合におきましては、やつぱり区切りをつけましてやるほうが、企業にとりましても又取扱う役所にとりましても便宜ではないかという考え方をとりまして、勿論今回の措置としましては法人は十一月三十日まで個人は九月三十日まで再評価の決定をしまして実行するということのほうがいいだろうということにいたしたわけであります。将来又著しく情勢が変つて来た場合にどうするかという問題は今からちよつとなかなか言明しがたいと思いますが、成るべくそういうことがなくて済むのがいいと思いますけれども、絶対にやれないかということにつきましては今どうも言明することは如何かと考えている次第であります。
  42. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 次に再評価法律できめてある基準といいますか非常に難解でありまして、一般趣旨が徹底していないの零すが、もう少し簡単な方法で、例えば不動産のような場合には何年に建築されたとか何かでなしに、賃貸価格というものが大蔵省関係でもはつきりわかつているのですから、その賃貸価格の何倍とかもつと簡単な方法があつた利用者がもつと多くなると思うのですが、やはりそれは変更される意思はないのですか。
  43. 吉田信邦

    政府委員吉田信邦君) お答え申上げます。その点につきましては、まあ地方では大体そういう行き方で、賃貸価格の何倍とかいうことでいつているのでありますが、再評価のほうはどうもそこまで参りますと、現在御承知通り多少文句のあるところもございましようし、又細かい計算は会社企業等については成るべく厳密にするように、そうして又実質に副うというような面から考えまして、こういう方式をとつたわけでございます。ただ法文を見ますと非常にむずかしいのでございますが、実際から申しますと、大体前の法律の裏に別表がございまして、それでやはり大体見当がつく。昭和何年に買つた土地なら何倍、減価償却資産なら何倍というように、表を見れば簡単に出るというふうな形にいたしておりますので、この前回方法を今回も続けて行きたいと考えているのであります。
  44. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 ところが実際に当つてみるとわかつているのは税務官吏だけで、実際のほうは説明を受けてもその説明通りに検討することは容易じやない。殊に不動産あたりは、工場なら工場を取得したといつてもその取得に対して又すぐ修理をするとか、或いはこれを増設をするとか、その区分けなんかがなかなか容易じやない。ですからそういうふうにむずかしく細かくやるよりも、大ざつぱに賃貸価格に対してどういうふうにするということのほうが、納めるほうも納めいいし、結局納税の観念も殖えるだろうと思うのですがね。余り法文をむずかしくやつておいて実効が上らなくても、税務署の仕事ばかり殖えるということは感心しない。そういう点をもう少し検討されたらどうかと思うのですが、御意見如何ですか。
  45. 平田敬一郎

    政府委員平田敬一郎君) この不動産土地家屋につきましては、お話のようなことも一つの案でございますが、ただ今度の再評価に二つありまして、償却資産の再評価とそれから例の譲渡した場合の譲渡所得を計算する場合の基礎になりますところの再評価と、二つあるのでございますが、殊に後者の場合でございますと、財産税評価額との差額ということにおいて問題になるわけでございまして、従いまして財産税評価当時から、一般購買力がどのような変動を画いているか、物価水準がどう動いているか、一般物価水準が動いている、その上つている限度のものは普通の所得には見ない。それを超える場合を実質所得に見よう、こういう基本観念から、特に讓渡所得の場合にはなつておるのでありますが、そういう場合におきましては、やはり財産税評価額を基にしまして、それぞれ適当な倍率を乗じまして、それでアジヤストするという行き方のほうが一番筋が通つていると申しますか、そういう方向に行くのじやないか。筋は筋として若干簡単の方法をとつてたらとこういう御意見も確かにあるかと思いますが、併し土地家屋につきましては片付きましても、その他の資産につきましては問題は依然残りますし、やはり再評価法全体としましては、倍率を適用する方式で行つたほうがいいのじやないか。又余り個別的に違つてもどうであろうか。そう申しましても、倍率をいろいろ違えておりますので、やはり又不便な方式になるのではないかというふうなことに相成ろうかと思いますが、その点は成るべく卸売物価に見ておるのでありますが、併し株式その他若干のものにつきましては特例を設けて別途の方法を講じておりますが、別表を見て頂けばわかるということになります。先ずこういう方法がいいのじやないかというふうに考えておるのでございます。  それから先ほどちよつと申上げましたが、今回任意再評価につきまして、もう一遍再評価のチヤンスを与える実際上の理由は、お話通り前回は十分まだ徹底しないで納税者もどういうふうにして算盤を彈いていいかわからなかつた。それが大分わかつて来た。それからほかの企業のやつてみた結果に対するいろいろな結果も出ておりますので、今回もう一遍チャンスを与えますとよほど徹底が図られまして望ましいような結果が得られるだろう。私は第二の点につきましては更に徹底を図りまして目的を達成するようにいたしたいと考えております。
  46. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 もう一遍最初、当初の大蔵省の再評価税の徴収予想額ですね。現在取立の実績等の数字がおわかりでしようか。
  47. 平田敬一郎

    政府委員平田敬一郎君) 再評価税は当初は相当たしか私ども見ていたのでございますが、補正予算で実は実績が出て来ましたので大分減額をしましたのでございます。減額しました結果は実績は大体最近の状況から見ましてその実績通り行きそうでございます。補正予算の改訂しました数字は実績通りになるようでございます。ただ特に差が出て参りましたのは一つは電気関係がやれなかつた。電気関係は概算でございますが再評価差額では基準の七掛ぐらいやりますとしますと、二千五、六百億差額が出て来る。それが電力再編成或いは電気料金等との関係でやれなかつたの一つでございます。  それからもう一つ、今のは再評価差額でございますが、それから今申しましたように、一般的にその当時まで事業の収益がまだ上つていなかつた企業が、これも将来を見越して思切つてやるということをしなかつたという点。それから中小の法人が比較的やつておりません。これはどつちかと申しますと新らしい会社が多うございますので、最初からそれほど見ていなかつたのでございますが、それにもかかわらずやつておるのでございます。そういう関係で大分減らしたのであります。減らしたところからしますと大体今年度予定通り行きそうでございます。今その数字を調べて申上げますから。
  48. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 もう一つは今度は法人税が単一に三五%となつたため、再評価というものはウエイトが前ほど大きくなくなつて来たのじやないかと思います。その関係はどうですか。
  49. 平田敬一郎

    政府委員平田敬一郎君) その点は再評価をやります際も、法人税は超過所得をやめるという前提で去年一緒に提案しておりますので、その点は同様でございます。むしろ事業税をやめて附加価値税になる。ところが事業税が二年間延びたということ、それから今度法人につきましても法人税の一割、市町村民税が課税になる。その点を考えますと、今度はむしろ前回よりもやつたほうが少し計算上有利だというようなことにはなりそうでございますが、ただ超過所得税の点はすでに前回におきましてもやめるということで一緒に提案しておりますので、その関係は同様でございます。再評価手続に関する理解が徹底しますれば、恐らくもつと企業は再評価につきまして熱心であつたであろうということは考えられるわけでございます。
  50. 山本米治

    山本米治君 この再評価差額に対する課税はもともと資本課税で私は惡税だと思つておるのですが、最もこれに似たものに価格差益に対する課税、惡税がありましたが、これは後になくなつて今日なお富裕税等の資本課税がありますが、これを前回同様六%とることになつておりますが、これをやめるとか或いは軽くするとかいうようなことは考えられなかつたものかどうか。そうすれば無論すでに再評価をやつた人との不公平の問題もありますが、そういうことは全然問題にならないでしようか。
  51. 平田敬一郎

    政府委員平田敬一郎君) 再評価税につきましては、大分六%がきまるまではいろいろな意見があつたことは御承知通りでございますが、先ず基本的に考えますと、もともと一般の場合でございますれば、法人の場合ですと資産を売却して差額が出て来ると三五%の税がかかる。個人の場合でも讓渡所得がかかる。ただお話通りインフレーシヨンによる値上り所得の点から非課税にすべきだと、こういう意見があるわけでありますが、課税の根拠は二、三ございまして、一つは従来すでに売却した人は相当高い課税を受けておるわけでございます。殊に個人の場合でございますと、讓渡所得等におきまして相当な課税を受けておるのでございますが、それに引き比べまして、再評価をした後におきまして全然どうも非課税ということはこれは少し余りにも無理論と申しますか、名目所得課税理論、非課税理論に過ぎる点があるのではないか。若干は納めて貰つたほうがいいのではないかという点が一つ。それからもう一点はインフレーシヨンによりまして、御承知通り損をする人がたくさんあるわけでありますが、預金者、債権者、猛烈な損がございます。こういう有休財産を持つております場合につきましては、損をしないで殆んど価値を保持して来ておるわけでございますが、損をしない人に対して税をかけるということはちよつと表現が変でございますけれども、そういうものとのバランスから行きましてもやはり若干は納めて貰つてもいいのではないかという点。それからもう一点は全然非課税にしますと、中には今まで利益の中で税金にかかるべきものがかからないで企業利用されておる税があると思いますが、そういうものの利益のある際におきまして全然課税しないというのはどうであろうか。従つてこの際若干の課税をしたらどうか。余り全然課税しないということになると企業によりましては水ぶくれ評価と申しますか、将来のことを考えまして余り高過ぎて評価をしてもどうも困る。勿論枠がございますけれどもこれは荒つぽい枠でございまして、必ずしも枠が完全に妥当するというわけに行かないのでございますが、この枠の中におきまして企業が自己の責任においてうまく判断する若干のブレーキと申しますか、そういうものの役目を果すというような点、それらの点を考慮しまして六%にしたのでありますが、これを全部更に非課税にしたらどうか、或いは半分に軽減したらどうかという御意見もありますが、もつとその点につきましては意見もいろいろございますが、私ども前回やりました状況に基きましても企業の牧益が上つておる、将来の見通しがいいということで実は予想よりも多くやつておる会社がざらでございます。紡績とか人絹、紙、それから化学工業は相当フルにやつておるようでございまして、従いましてこの再評価税をときに軽減したり、やめたりしなければならないということもないのではないか。やはり相当状況がよくなつ会社はありはしないか。そうしますと、先ず六%の税はそのままにしていいんじやないか。こういうことで御了承願いたいと思います。
  52. 山本米治

    山本米治君 税収もあるだろうと思うのですが、これは予算書で調べればわかると思いますが、二十六年度幾らくらいになつておりますか。
  53. 平田敬一郎

    政府委員平田敬一郎君) 昭和二十六年度において七十億ほど見込んでおります。
  54. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 さつきの数字を…。
  55. 平田敬一郎

    政府委員平田敬一郎君) 当初予算におきましては百五十九億三千八百万円ほど見込でいたのでございますが、それを補正いたしまして六十二億二千五百万円、二十五年度収入にいたしてございます。これは先ほど申しましたように電気関係がやらなかつたのと、それから今申上げました一般の比較的好況でなかつた事業が少し内輪であるという、その中でも特に電気関係がやらなかつたのが一番大きい下つた理由だと思います。
  56. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 それから貰つた資料をずつと見て行きますというと、大体小規模の法人というものの再評価が実に率からいうと少い。大規模の法人だけがやつているのですね。これは一体どういうことを現わしているのですか。当局としてはどう考えられますか。
  57. 平田敬一郎

    政府委員平田敬一郎君) これは私ども大分分析してみたのでございますが、小規模の法人は実は半分以上が戦後、最近できた会社、いわゆる個人企業会社企業なつたものであります。これは相当すでに或る程度帳簿が高い会社が設立しておりますので、それほどやる必要性がなかつた。勿論若干前からずつと存続しておる会社に比べますと比較的帳簿が高くなつている。それからもう一つ実際上の理由かと思いますが、この中の殊にこれは法人になりますと税務署の調査が徹底していないこと。それから会社等におきましても帳簿組織がなかなか完備していない。従いまして従来は満足な資料がございませんものですから課税上認定というような処分をやつておるものが多いのであります。そういう場合になりますと再評価をやつて償却した経費でほかの収入が多くなると申しましても、どうも何だかはつきりしないと申しますか、結局どの途大した差はないのではないかと、こういうような気持を持つていた会社が率直に申上げますと相当多かつたのではないか。併しその点はこの二十五年度の改正で青色申告の制度も導入し、それから所得の計算方法も相当精密にし得る。更正決定もやる。で、申告も大分むずかしいことをやりまして、本当の適正所得というものを申告させるようにいたしておりますので、そういう点の認識が大分開けつつあるようであります。それから先ほど申上げました再評価手続に関する理解と申しますか、認識が十分行届いていなかつた、こういういろいろな点があるかと思います。最後に申しました点は今回もう一遍見まして、又或る程度やることができるのではないかと考えられるわけでございますが、大まかに申上げまして小法人が比較的やつていないというのは大体そういうところにあるのではないかということも考えられます。
  58. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 それからこの再評価積立金の四分の三というのは、これは全額というふうにしないというのは、どういう意味があるのですか。
  59. 吉田信邦

    政府委員吉田信邦君) 四分の三というのは、資本繰入の場合四分の三ということになつておりますが、この四分の三にいたしました理由といたしましては一応再評価はいたしましたけれども、若し急に物価の変動でもあつて値下りが起るとか。それから中には多少評価し過ぎという場合も起り得るかと考えますので、そういつた場合に再評価積立金を取崩す可能性がある。それから又そのほかの損失が出ました場合には損失の補填のために再評価積立金を取崩すということになつておりますので、差当り四分の三程度、そういう危険率を四分の一と見まして、四分の三は確実な資本として大体考えられるのではなかろうかということに出発いたしておるのであります。
  60. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 それはその会社の自由にさせておいても今のお話ですとよろしいじやないですかね。全額やろうと半分やろうと三分の一やろうと法律に謳わなくつてもその会社々々の自己の能率に応じて適当にやられるんじやないですか。
  61. 吉田信邦

    政府委員吉田信邦君) その点につきましてはいわば再評価したことによつて将来資本が殖えるようなことがあつてはいけないという配慮がございまして、一応現在としては四分の三だけ資本に繰入れる。併し従来の法律もそうでございましたが、昭和二十八年度以後になりまして、その際に再評価積立金の取崩しのためには再評価税を全額完納してしまえば再評価積立金を全額取崩すことができるということにいたしてございますので、従来の法律の建前もありましたのでこの程度は将来のことも考えて堅実に考えて行きたい。まあ考え方によつては、今資本繰入を認めるならそのこと全部再評価税さえ納めてしまえば全部資本繰入ができるということにするのも一つ方法かと考えたのでございますが、従来の建前もあり、又その程度資本繰入ができれば実際としては相当効果もございますし、それによつて会社の経理上資本を堅実にすることができるのじやなかろうかと、こう考えておるのであります。
  62. 松永義雄

    松永義雄君 私は資料を若し出して頂ければ結構だと思うのですが、別に採決に影響を及ぼすわけではないのです。これによつて減価償却が殖えて行くわけです。そうすると会社の自己資金と申しますか、それとも殖えて来る結構になると思います。それから税法を改正したとき、積立金の面でもこれもやはり自己資金が殖えて来ることで、昨年上半期の決算と下半期の決算面においてどういうふうな変化が起きたか、自己資金の上に影響を及ぼしているかという数字です。これはあなたのほうでちよつとおわかりになつていれば頂きたいのですが産業合理化です。首切りという意味の産業合理化でない産業合理化がどの程度進行しているか、これも昨年の上半期と下半期を見て、若しこれが数字の上ではつきり出て来ましたら通産省ですか、そちらの方面からでも資料をお出し願つてその数字を見せて頂きたいと思います。  それからもう一点社外配当金の問題ですが、昨年の上半期と下半期の決算においてどれくらいの変化を生じているかどうか。その三点。
  63. 吉田信邦

    政府委員吉田信邦君) 償却費の問題につきましては実は私どものほうにも実績の資料が出て参りますまでにはちよつと時間がかかるのじやなかろうかと思います。大蔵省の調査部でこれは全部の会社ではございませんが、相当数の会社についての整理統計をとつておりますが、やはり半年或いは一年近く遅れますと或いは急場に間に合ないかと存じますので、一応大体の見当を申上げますと、例えば昨年の今回の再評価によりまして約三千五百億程度固定費産額が増加したわけでございます。そういたしますと大体耐用年数を二十年に見込みますと、定率法で計算いたしまして約一割が償却費になる。従いまして三千五百億再評価差額が出ますと、約三百五十億円の償却費が殖えるわけでございます。で再評価した時期によりまして或いは去年の一月やつたところもあれば三月、五月というふうに時期がいろいろまちまちでございますので、恐らく実績の数字をとりましても直ちにはお役に立ち得ないかと思いますが、大ざつぱに考えまして昨年の再評価によつて年間平均して三百五十億円の償却費が殖えておる。それから今後の再々評価によりまして、まあ実際はどうなるかわかりませんが、私どもの大体の見当では約千億程度殖えるだろうということを予想しておりますし、そのほかに若し電力再編成によつて電力が再評価いたしますとすればやはり出て参りますので、いわば今度の再々評価が約一千億とみればこれによつて百億の償却費が殖える。それからまあ電力がどれだけありますかはちよつと見当がつきませんが、先ほど主税局長がお話になりました限度額の七割程度やるといたしますと、そうすると二千五百億の再評価をやるとすれば二百五十億の償却費が増加するというふうな計算になつて参ります。まあこういつた意味で昨年度は産業資金のほうから申しましても償却費によつて産業資金を賄われた分がかなりございました。又今年は更に多くなるだろうというふうに推定をいたしておる次第でございます。  又その次にお話がございました合理化の進捗状況という点につきましては、どうもいずれ後ほど通産省とも相談いたしてみますが、何か的確な資料があるかどうか調べましてお答えを申上げたいと思います。  それから配当金の点につきましてはこれもまだ全般的な数字は出ておりませんが、上場会社について調べたものがございますのでちよつと御説明申上げます。証券取引所の上場会社につきまして調べますると、大体昭和二十四年の五月におきましては上場会社数が五百三十のうち配当しておつた会社は七社でございます。これが現在では五百八十一社上場されておる会社中、配当しておるものが四百五に殖えております。それからその平均配当率でございますが、昭和二十四年の七月におきましては有配会社の平均配当率は一一%でございます。その後だんだん殖えまして本年の一月末の平均配当率は一六%ということになつております。で先ず大ざつぱに申せば昭和二十四年の上半期におきましては配当をしておる会社は殆んど皆無にひとしかつた、それが現在では八割程度配当するようになつた。で前の昭和二十四年の上半期の配当は、まあ僅かに有配会社についてみれば一一%程度配当しておつたが、今度は大多数の会社の配当が出て来て、而もそれを平均して一六%になつておるというに申上げることができると思います。
  64. 松永義雄

    松永義雄君 その程度の数字は頂いておるんですが、金額、今日ではなくてもいいのですが、昨年の上半期の決算と、下半期といいますか、今年一月の決算になつておるものがありましたら、最近の金額の差がおわかりになりましたら、今日おわかりになつておれば今日でも……。
  65. 吉田信邦

    政府委員吉田信邦君) 決算の全体の数字ちよつとまだつかみにくいので、一応配当率とかそういつた程度のものでよろしければ直ぐ今申した程度の資料でしたら、まあいろいろな積立金がどうなつておる償却がどうなつておるという数字は実はとつておりませんので、配当率程度でございましたら直ぐにでも間に合せるようにいたします。
  66. 松永義雄

    松永義雄君 その率は頂いているんです。私のほうでもわかりますが、金額が……。
  67. 平田敬一郎

    政府委員平田敬一郎君) 税金の関係の分を少し補足して申上げますが、今度の再評価によりまして先ほど吉田課長から説明しましたように、更に一千億円程度この再評価をする、差額は……、そうしますとこれは建物等もございますので、私どもとしましては年の償却比率を大体七分と押えておりますが、七十億円程度減価償却が殖える、従いまして法人税はそれの三五%二十四億減収になります。初年度の関係と、それから最初の年度の徴収歩合等の関係から申しますと、本年度は十五億四千三百万円という減収になるという計算をいたしております。その半面再評価税の收入がございますが、再評価税の関係におきましては丁度逆に一千億再評価差額が出て参りますのと、そのうち最初の年度の分が半分ございまして三十億、ただそのうち初年度の関係、延納との関係がありまして、結局今年入つて来る、二十六年度に再評価税として入つて来る分十五億一千二百万円、最初の年度は再評価税の収入と減価償却の法人税の減収と、若干減が多い。併し再評価税はここ二、三年で済みますのでその後においてはむしろ法人税においては減税になる、こういう結果に相成るかと思います。大体そのような計算をいたしております。  それから償却の点も先ほど吉田君が説明したようでありますが、これは余り自信のある数字ではないのでございますが、大体主税局で推計いたしたところによりますと、二十四年度は償却が九十億八千万程度、それが二十五年度におきましては、再評価その他で殖えまして資産として殖えたのと両方で三百六十六億、それから二十六年度におきましてはそれが更に六百九十億円程度に殖える、これはさつき再評価の分は七十億でございますが、そのほか耐用年数を改正する、その他或いは措置法によつて特別償却等がございまして或る程度増加する、更に電気関係が再評価をやるとしますれば、もう一層殖えて来る、まあ大体このようになつております。  それから配当のほうは二十四年度、これは前の実績でございますが、四十一億円程度でございます。それが二十五年度におきましては、今吉田課長から説明されましたような状況からしまして、大ざつぱに推計いたしますと二百四十億円程度、それから来年はやはり資本の増加等がございますので、配当率は大した影響はないと見ましてもそれが三百四十億円程度に殖えるのではないか。こういう極くこれは概略の推計でございますが、そういう調査をいたしておりますことを御報告いたしておきます。なお必要な材料は又御提出したいと思います。
  68. 松永義雄

    松永義雄君 今の資料の概略の款項別に、これは通産省なんかにそういうような説明書があると思うんですが、そういうものがありましたら今日、明日ということは申上げませんからありましたら配付して貰うようにお取計らい願いたいと思います。
  69. 小串清一

    委員長小串清一君) 他に別に御発言がないようでありますから質疑をこの辺で打切りまして、直ちに討論に入ることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  70. 小串清一

    委員長小串清一君) 御異議ないと認めまして討論に移ります。御意見御発表の方はそれぞれ賛否を明らかにして御発表願いたいと思います。  別に御意見がないようでありますから討論は終結したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  71. 小串清一

    委員長小串清一君) 御異議ないと認めます。それではこれより採決に入ります。資産評価法の一部を改正する法律案を原案通り可決することに御賛成の方の挙手を願います。    〔総員挙手
  72. 小串清一

    委員長小串清一君) 全会一致と認めます。よつて本案は原案通り可決すべきものと決定いたしました。なお本会議における委員長口頭報告内容については本院規則第百四條によりあらかじめ御了承を願うことに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  73. 小串清一

    委員長小串清一君) 御異議ないと認めます。それから委員長議院に提出する報告書に付する多数意見者の御署名をお願いいたします。   多数意見者署名     松永 義雄  大矢半次郎     小宮山常吉  愛知 揆一     木内 四郎  油井賢太郎     山本 米治  黒田 英雄     岡崎 眞一  杉山 昌作     森 八三一  小林 政夫
  74. 小串清一

    委員長小串清一君) 次に再評価積立金資本組入に関する法律案について審議を開始いたします。別に御発言もございませんから質疑を打切りまして、直ちに討論に入ることに御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  75. 小串清一

    委員長小串清一君) 御異議ないものと認めます。それではこれより討論に入ります。御発言のお方は賛否を明らかにして御発表あるように願います。……別に御意見もないようでありますから、討論は終局したものと認めて御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  76. 小串清一

    委員長小串清一君) それではこれより採決をいたします。再評価積立金資本組入に関する法律案を原案通り可決することに御賛成のかたの御挙手を願います。    〔総員挙手
  77. 小串清一

    委員長小串清一君) 全会一致と認めます。よつて本案は原案通り可決決定いたしました。なお本会議における委員長口頭報告内容については、本院規則第百四條によりあらかじめ御承認を願うことに御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  78. 小串清一

    委員長小串清一君) 御異議なしと認めます。それから委員長議院に提出する報告書に付する多数意見者の御署名をお願いいたします。   多数意見者署名     大矢半次郎  松永 義雄     小宮山常吉  木内 四郎     愛知 揆一  油井賢太郎     山本 米治  黒田 英雄     岡崎 眞一  杉山 昌作     森 八三一  小林 政夫   —————————————
  79. 小串清一

    委員長小串清一君) 次に議題といたしますのは、公認会計士法案の一部を改正する法律案、参議院議員提出を議題に供します。発議者の御説明を願います。
  80. 平岡市三

    委員外議員(平岡市三君) 只今議題となりました公認会計士法の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由を御説明いたします。  公認会計士法は、我が国に立派な会計士制度を誕生せしめる構想の下に第二回国会において制定されたのでありますが、財務書類の監査証明という職能に応じた高い品位と技能とを有する公認会計士制度を確立するためにたびたび改正が行われましたことは御承知通りであります。  このたびもまた、この趣旨に則りまして、次の諸点について改正を加え、制度の改善充実を図りたいと存ずる次第であります。  先ず第一に、財務書類の監査証明の業務は、公認会計士、外国公認会計士及び計理士でなければ営んではならないことといたしたのであります。即ち公認会計士制度は極めて新らしい制度であり、且つ企業の財務書類の監査又は証明に関する業務は高度の技能と職業道徳とを必要とすることが強く要請せられますので、かかる業務を営む者は、公認会計士、外国公認会計士、計理士のごとく特定の資格を有する者に限定することといたしたのであります。  第二に、公認会計士の資格試験でありますところの第三次試験の試験科目に、新たに、税に関する実務を加えることといたしたのであります。けだし、税に関する実務知識は、公認会計士がその業務を行う上におきまして当然必要とされるからでございまして、シヤウプ第二次勧告におきましても同様の趣旨の勧告が行われている次第であります。なお試験科目の増加に伴いまして、試験委員の定数を増加することといたしております。  第三に、特別試験の施行期間を二カ年延長することといたしたのであります。即ち特別公認会計士試験の施行は、本年七月を以て打切ることになつておりますが、公認会計士の資格試験でありますところの第三次試験の受験資格者が約二年後でなければ相当の数に達しないことが予想されますことと、現在まで特別に試験に合格した者のほかにこの特別試験を受験する資格のある優秀な学識経験者が多数存在いたしますので、かかる適格者にも特別試験を受験する機会を与えることが望ましいという理由から特別試験の施行期間を二カ年延長することといたしたのであります。  第四に、公認会計士試験の第三次試験の受験資格を緩和いたしまして、会計士補となる資格を有する者であれば会計士補の登録を受けていなくても受験し得ることといたしたのであります。  その他罰則の整備及び條文の整理をすることといたしております。  以上がこの法律案を提出する理由であります。何とぞ御審議の上速かに御賛成せられんことをお願いいたします。
  81. 小串清一

    委員長小串清一君) ちよつと速記をとめて下さい。    〔速記中止〕
  82. 小串清一

    委員長小串清一君) 速記を始めて下さい。
  83. 松永義雄

    松永義雄君 例えば株式会社の監査役が公認会計士に頼んで、公認会計士が監査をして、その書類を監査役が重役会というか取締役なんかに提出するという場合も想像されるのです。
  84. 河本文一

    政府委員(河本文一君) 監査役は内部の役員として内部の関係におきまして監査するのであります。これを調べましてその正確なることを認める、こういうわけでありますが、公認会計士はその会社の監査役の調査を済まして決算を確定いたしましたものに対しまして、更に独立の責任を以て全く会社とは独立した立場におきまして監査する、こういうことになるのでございます。
  85. 松永義雄

    松永義雄君 これは平田主税局長さんと前から議論して来た点ですけれども、各会社の考課状というものはなかなか見にくいということは、これはまえまえから言われていることで、これさえ確実になれば株式の民主化のごときは立ちどころに解決する、少し極言かも知れませんが、そういうくらい会社内容というものがわからないのです。一応新聞紙上には決算報告書というものが出ておるのですけれども、それだけ見てわかる人というものは殆んどないし、経済雑誌にいろいろ研究せられたところが発表されておりますが、それすらもなかなか我々としては納得できないということは私個人にも経験があるのですが、例えば紡績会社にしても綿はどれくらいのものであるか、在庫品の品物の性質はいいか悪いかとか、先ほど話しました減価償却の対象となる機械器具は一体実際どのくらいの値打を持つているか、それは最も外部の株主としては知りたいことであります。ところが従来の監査役の出した監査なんというものはこれは形式的なものであつて、殆んどこれは極論かも知れないけれども信を置きがたいと言つていい、それが新らしい商法ではこれを厳重に監査するという建前だけにはなつたはずですけれども、ところがここに公認会計士というものが出て来て、一体そういうものの検査というようなものの技術、能力という点まで考慮してまでこういう法文をお作りになつておられるのですか、試験が課せられるようですけれども。
  86. 河本文一

    政府委員(河本文一君) この公認会計士の監査というものを始めようとするために公認会計士制度が生まれたのでございますが、それは今御質問になりましたように証券を民主化し、又外資を導入するにはどうしても立派に会社内容を整えなければならない。それには従来の監査役というような、会社の職員であつて取締役と一体をなして、一体ではありませんが職員の一人として監査するということはどうも従来甚だ不徹底なるを免れない。そこで立派な会計士の資格のある人が独立してこれを監査して、そうしてそういう目的を達成するのに協力しよう、こういうわけでありますが、これは取引委員会のほうに出しますところの、公の取引所において取引せらるる会社というものにこの公認会計士の監査を要求するのはそれだけに限るわけでございまして、監査役というほうは一般の小さい会社に対しましては商法の規定によります監査役の制度は不徹底でありまして、この監査役というものは従来は会社の内部の事務の執行にいろいろタツチするような性質でありましたのを、先般の改正によりまして純然たる経理に関する事柄だけに対する監督をするような職責に改まつた承知いたしておる次第でございます。公認会計士の将来いたしますところの監査は、今度の証券取引委員会の規則によりまして大体取引所に上場せられる株式会社の中で、特に一億円以上の資本金のものに対してだけこれを七月一日より施行する、こういうことになつておるような次第であります。
  87. 松永義雄

    松永義雄君 例えばローヤーならローヤーは岩田博士、あそこへ行つて認定を受けると間違いない、あそこへ行つて聞けばいいと同じように、あの公認会計士のところへ行けばこの会社の実情は正確にわかる、そういう立派な公認会計士ができて来る、これが恐らくこの法案の理想ではないかと思う。それについて例えば私が頼まれて或る機械会社なら機械会社を外からでいいから検査してくれと、こう頼まれた場合に、機械のことなんかは六法全書では機械のいいか悪いかはわからない、立ちどころにお断わりしなければならない。同様に今まで経理士と称せられた人たちは相当そういう点もよく御研究になつているようですけれども、税金のことばかり一生懸命やつて来られて、あの会社のことはどうかというと、やはり私の答えと同じようにそんなことはなかなかわかるものじやないというような答えなんです。今度こういう制度をお作りになることはいいのですが、そこで公認会計士というものはたばこ一本だつてここにもなかなか専門の委員はいないのですが、それがいいか悪いかということになつて来るとこれはなかなか容易なことではない、それがわからなければ会社の実情というものは本当はわからない。わかつたつもりでいて東洋経済やダイヤモンドなんかを読んでいるんですけれども、見たところが実際はわかつたという結論を自分の心の中に出しているわけではない。それくらい会社の経理というものは、実情を見るということは非常に困難である。そういうような場合、非常に専門的の技術のある人をここでお作りになりたいという考えだと思いますが、そういうものに対してどういうふうにお考えになつておりますか。
  88. 河本文一

    政府委員(河本文一君) この公認会計士の制度は、その会社の経理の取扱が新らしい会計学の定めるところに従つて適当に整理されておるかどうかということを主として見るのでございまして、お説のごとくどうもその経理の関係から発したところの会社取扱が正しいかどうかということでございますから、その機械が非常に工合が悪いとか何とかいうような、そういう方面になりますというと、これは公認会計士がなかなかそれに対し相当の知識を持ち、それを判別するといつたようなことはこれは困難かと存じますが、新らしい会計学の諸原則に則りまして、一般にこの経理が行われておるかどうかということを見て、そうしてそれらのことについて正しいということを証明させよう、こういう趣旨でございます。それでこの会計士法が布かれたならば、あらゆる点において非常ないい会社であるとか、或いは悪い会社であるとかいうようなことを判別するということが、公認会計士だけではそれはそうすべてのことを望むわけにはいかんと存じますが、その経営におきまして何が不都合な、ごまかしをやつているとか何とかいうような事柄については、十分監査を行うことについては安心ができることになる性質のものであるというふうに考えておる次第であります。
  89. 小串清一

    委員長小串清一君) 別に御発言がありませんから質疑は尽きたものと認めて、討論に入ることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  90. 小串清一

    委員長小串清一君) 御異議ないと認めます。  それではこれより討論に入ります。御意見のおありのかたは賛否を明らかにして御発言を願います。……別に御発言もないようでございますから討論は終結したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  91. 小串清一

    委員長小串清一君) それではこれより採決に入ります。  公認会計士法の一部を改正する法律案を提出者の原案通り可決することに御賛成の方の御挙手を願います。  [総員挙手
  92. 小串清一

    委員長小串清一君) 全会一致と認めます。よつて本案は原案通り可決すべきものと決定いたしました。  なお本会議における委員長口頭報告内容については、本院規則第百四條によりあらかじめ御了承を願うことに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  93. 小串清一

    委員長小串清一君) 御異議ないと認めます。  それから委員長議院に提出する報告書に附する多数意見者の御署名をお願いいたします。   多数意見者署名    大矢半次郎  小宮山常吉    松永 義雄  杉山 昌作    木内 四郎  愛知 揆一    山本 米治  黒田 英雄    森 八三一  小林 政夫    油井賢太郎  岡崎 眞一   —————————————
  94. 小串清一

    委員長小串清一君) この際油井委員から御要求のありました外国為替資金特別会計法案につきまして、通産省の通商局次長の松尾君が出席しておられますから、為替の優先割当廃止など新聞紙上で問題になつておる為替問題について油井委員質疑がありますから、これに対して御説明を願います。
  95. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 ちよつとその前に速記をやめて頂きたいと思います。
  96. 小串清一

    委員長小串清一君) 速記を止めて下さい。    〔速記中止〕
  97. 小串清一

    委員長小串清一君) 速記を始めて下さい。
  98. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 通商局次長が見えておるので、外為委員会のほうとお二人の意見をお聞きしておきたいのですけれども、今朝の日本経済新聞に輸入金融の調整方式という点についての両者の食い違いが大きく出ておるのですが、これについて一体通商局としてのお考えからいつて現在のいわゆる輸入為替方式というものが改めなくてはならないか、或いはどんな方法にしたらばよいかという点について取りあえずお聞きしたいと思います。
  99. 松尾泰一郎

    説明員(松尾泰一郎君) 只今の輸入方式でありますが、この輸入方式とそれから輸入金融の問題と二つについてお答え申上げます。  先ず取あえず輸入方式について申上げますが、御承知のように今の輸入方式といたしましては資金の割当をいたします方式と、それから俗にAASと申しております自動承認制の方式と、それから極く一部、僅かの部分でありますが、残つております先着順方式と三つに大きく分かれるのでありますが、この三つの制度についての考え方といたしましては別段我々として改善をする必要はないのではないか。大体方式としては現状程度でよかろうかと思つております。ただ最近のように実は先般AASについて資金が不足したと申しますか、非常に申請が多くありましたために、このサスペンシヨンをかけざるを得ないということになつております。そういうふうになつて来ますと、どうしても制度中の品目間の均衡というふうなものが実は問題になつて参ります傾向もありまするので、今通産省といたしましては制度としては非常にいいとは思つておるのでありますが、その品目の範囲について若干再検討する必要があるのではないかというふうに考えておるのであります。  それから輸入金融のほうにつきましては、我々のほうから申上げるよりも為替委員会のほうからお答えを願つたほうがよかろうと思います。
  100. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 委員会のほうはあとからちよつとお聞きしたいのですが、その前に輸入当局として現在の為替操作で以て輸入というものが円滑に行われておるかどうか。今のお話によるというと別に支障ないというようなお話なんですね。
  101. 松尾泰一郎

    説明員(松尾泰一郎君) そうです。
  102. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 それで今後輸入というもののお見通しはどうでしようね。
  103. 松尾泰一郎

    説明員(松尾泰一郎君) 御存じのように昨年の後半以来非常な輸入促進措置をして参つておりますことは御存じの通りでございます。ちよつと簡単にこの数字を申上げますと、いわゆる輸入予算の公表いたしましたものが昨年の一——三月では七千二百万ドル程度でありましたのが、四——六月になりまして一億六千万ドルに殖えまして、それから七——九月になりまして約四億ドル程度の公表をいたしております。それが十——十二月になりまして約五億ドル程度の公表をいたしておりますが、そのほかに七月期以降長期予算としまして一億ドル程度の公表をいたしておるのであります。本年度に入りましていわゆる一——三月期におきましての現在までにおきまして八億ドル以上の公表をいたしておるのであります。非常な輸入促進措置をして参つておるのは今申上げました数字でおわかりのことかと思いますが、併しながらこの今の数字そのまま続けられるかと申しますと必ずしもそうではなかろうかと思います。昨年度の輸出実績が八億ドル弱、まだはつきりした集計はできていないのでありますが、大体我我の見通しでは七億八、九千万ドル程度かと思うのでありますが、本年度の輸出目標といたしまして大体十一億ドル程度のものを予想しておりますが、この十億ドル、十一億ドル程度の輸出と、それから貿易外の收入を入れましても毎期三、四億ドル程度の公表ができれば非常にいいわけでありまして、この去年の七月以降四億とか、五億とか、或いは八億ドルというふうな輸入について非常な促進措置を講じられたのは特殊の理由によるものであつて、今後この調子でこの金額で以て行くことは到底困難かと思つております。併しながら制度そのもの、或いは日本の現在の輸入外貨の獲得量から見まして、いわゆる輸出入の均衡ということはこれはほかの経済面から申しましても止むを得ないことでありますので、輸入促進をすると申しましても結局金がなければやれないわけでありますので、他方輸出促進のほうに努力いたしましてできるだけ外貨の収入を多くし、輸入のほうに努力したいというふうに考えておる次第でございます。
  104. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 金がなければ輸入ができないことはこれはよくわかるのですが、輸出の代金がなければ輸入ができないか、或いは輸出代金以外に輸入資金の調整或いは調達というものはできますか、それは輸入当局としてはどんな工合にお考えになつておりますか。
  105. 松尾泰一郎

    説明員(松尾泰一郎君) 理論的に考えて見ますと輸出代金以外の輸入資金ということになりますと、いわゆる貿易外の收入、現在いわゆる特需による外貨收入が貿易外として考えられておるのでございますが、それとそれからあとは又いろいろこれは理論的な問題はあるかも知れませんが、いわゆるいろいろなユーザンスその他の措置による一切の外国からのクレジツトというようなものがその源泉ではなかろうかと思うのでありまして、海外から特殊の新らしい借款でもない限りはやはりみずから稼いだ輸出代金を資力といたしまして、それに若干のいわゆる貿易外の収入その他の金融操作で以てやれるであろう、外貨の限度に輸入をととめざるを得ないのではないかと思います。なお勿論この輸入の中には援助費によるものもございますが、これは一応論外にして申しますれば、大体そういうようなことではなかろうかと思います。
  106. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 海外からの何か借款というようなもくろみがあるかどうか。松尾さんはたしかアメリカに行つて最近お帰りになつたんですが、そういういう点についての御交渉等はあつたんですか。
  107. 松尾泰一郎

    説明員(松尾泰一郎君) 実はそういうふうなことにつきましては全然お話する機会もありませんし、又そういう使命も与えられておらなかつたために、そういう話について触れなかつたような実情であります。
  108. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 日本政府輸入担当部を代表して行かれた以上は或る程度のいわゆる空気というものも御覧になつて来たろうとは思うんですが、そういう今私が言つたような見通しはつきかねるのですか。それとも将来明るい希望があるのですか。
  109. 松尾泰一郎

    説明員(松尾泰一郎君) これは非常にむずかしいお尋ねなのでありまして、卒直に申しまして我々といたしましては現在の援助を或る程度継続されたいというふうな点につきましては話合があつたのでありますが、その他のいわゆる大きな商業クレジツト的なものは実は先ず通産省の所管寿もございませんので、そういうことについては全然触れずに来たのであります。従つて感じと申しましてもその辺の感じはちよとつきかねるのであります。
  110. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 若し何でしたら速記をとめてでも、それ以上のあれはありませんか。
  111. 松尾泰一郎

    説明員(松尾泰一郎君) ありません。
  112. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 多少心細い話ですが、併し只今通商局の次長が言われたように、今のいわゆる輸入金融の調整方式は一向差支ないというのですが、外為委員会としては非常にこの点を懸念されておるようですがその点如何ですか。
  113. 大久保太三郎

    政府委員(大久保太三郎君) 只今の輸入方式の中で特に問題になりますのはいわゆる自動承認制でございますが、これは輸入を促進する意味におきまして非常に効果的な制度だと思われるのであります。一定の外貨を予定いたしましてそれからそれに地域だけの制限、それから一定の品目だけの制限というかなり自由な枠の中で輸入業者が採算によつて輸入したいと思えば自由に許可の申請ができるわけでございます。これが最初AA制度を発足いたしました時には品目の制限で品目はたしか三十四くらいであつたのでございますが、最近はたしか百七十四に拡大されておりまして、殆んど日本輸入いたします主要資材の中で、通産省のいわゆる事前割当、これに属するものは、例えば食糧であるとか、米綿であるとか、そういつた極めて小範囲のものに限られ、多くのものは自動承認制によつてなされておるという状態になつております。それからこれに対する予算でございますが、これも現に一——三の予算で申上げますと非常に最初スタートいたしましたときには金額は少なかつたようでございますが、日本の外貨の蓄積状況と睨合せましてその後約八回くらいこの予算の改訂をいたしまして、非常に大きい枠を全体の輸入予算の中に、又AAに振充てる、そういつた制度でございますので、この輸入については非常に自由であります、ところで一方輸入金融の面におきまして、御承知通り、昨年九月からいわゆる日銀の外貨貸付制度、これが施行されまして輸入業者が輸入いたしましてメーカーにその品物を売渡すまで、とにかく三カ月乃至四カ月の間低利で以て而も「つうぺい」で金融が受けられるという補助的な促進施策がございましてこの制度と睨合せまして輸入というものは非常に楽にできたように思うのであります。ところが先ほど松尾次長からお話のございました外貨予算を、非常に輸入促進のために大量に割くということができる、又そうしなければならんという事態でございますならば、非常によく動く制度でございますけれども、そうでなしに、やはり外貨面におきまして十分なものを割くことができないという制約がございます場合には、やはりこの制度につきまして若干のやはり修正が要るんじやないか。そういたしませんと、余り輸入が自由なために非常に重要な輸入に外貨が使われずに他の資材或いは同じ資材におきましても、重要な工業用の資材に充てられずにその輸入されたものが消費資材に向くというふうな傾きもないでは、ございません。そういう意味合におきまして、若干の私はこの仕組において考慮を要する事態に到達しておるのじやないか、そういうふうに見ておるわけであります。で、これをどういうふうにかえますかはまだ十分な検討を要するわけでありまして、併しながら若しこれを仮にこういうこのAA制度をやめるというふうなことになりますと、それに代るべきものといたしましては、事前割当制度になりますが、事前割当制度にも勿論いい点がございますけれども、これをやりますと、やはり輸入について極端な統制方式を用いなくちやならんというので、却つて弊害の面が現われて来る慮れもございますので、要は事前割当制度の長所を生かしながらこの制度のやはり長所を十分に、やはり行くように適度の調整を加えて行きたいということが必要じやないかと思います。
  114. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 大体伺つたのですが、そこでですね、この外国為替資金特別会計法の中にある第四條のですね、外国為替資金に属する現金に不足があるときは、一時借入金及び又は融通証券を発行するということが書いてあるのですね。而もこれは国会の議決を経るということになつておるんですが、この金額は予算書にある特別会計のこの予算総則にあるところの第五條にきめてある、最高限度五百億というのがこれに該当するのですね。
  115. 大久保太三郎

    政府委員(大久保太三郎君) さようでございます。
  116. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 それからですね、第十八條でですね、この会計で以て、歳出の支払上、現事金に不足があるときは、やはり一時借入金とか融通証券を発行するというようなことを書いてありますが、これは予算には関係ないのですな、これはもう幾らでもこの会計で以て自由にできるのですか、その見込金額はどの程度になるのです。
  117. 大久保太三郎

    政府委員(大久保太三郎君) 十八條に掲げております歳出の支払い上、現金に不足があるときは、この会計の負担において、一時借入をしたり、或いは融通証券の発行ができるのは、第四條の借入金とは全然事別個でございます。第四條の方におきましては、これはこの最高限度につきまして国会の御承認を得るということにいたしましたが、第十八條のこの一時借入金につきましては、これは実際問題といたしまして、そういう借入の必要が起るということは非常な稀有な例じやないかと思います。大体において見通しといたしましては、借入をしないでも歳入でもつて歳出が支弁できるということが普通じやないかと思います。のみならず仮に歳出の支払い上、まあ現金が足りません場合におきましても、この法案において規定をいたしましたように、この外国為替資金に属する現金、外国為替資金の方に現金が常時あるのが当然でございますので、それから一時繰替をいたしましてそうして歳出に充てる、そうして歳入があればそれで以て返して行くということを、予測いたしておるわけであります。で、この繰替使用につきましては、年度内に返済しなければならんでございますが、若し万一の場合これはまあちよつと想像だけでございますけれども、万一この繰替使用をしましたのを返済するために現金に困るというときには、年度越の借入金をして切拔けて行くという、また何と申しますか一つの安全弁、調節弁にですね、そういう十八條の規定を置いた次第でございます。で、この金額におきましても全体の歳出が十七億、その中に相当額の予備費を持つておりますぐらいでございまして、全体といたしましては極めて少額のものでございますので、一時借入金或いは融通証券の発行につきまして、格別国会の御承認を得なくてもいいじやないか、財政法の特例をこの特別会計法によつて認めて頂く、そういうふうに考えた次第でございます。
  118. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 このほか今度の二十六年度の予算で以てインベントリー・フアイナンスとして五百億の資金が一般会計から繰入れられるのですが、あれはこの法案の中の第四條の適用とは全然違うのですね。
  119. 大久保太三郎

    政府委員(大久保太三郎君) この一般会計からの繰入金はこの借入金とは全然別個です。
  120. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 要するに第三條の二になつておるのですね。
  121. 大久保太三郎

    政府委員(大久保太三郎君) この一般会計からの繰入金を以て資金を作ると、その元になる……。
  122. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 次にこの昭和二十六年度のこの特別会計の予定貸借対照表を見ると、資本が千六百六十二億になつておるのですが、これは何と何とが集つてこの金額になるのか、ちよつと質問したいのですが。
  123. 大久保太三郎

    政府委員(大久保太三郎君) 昭和二十六年度の特別会計予定貸借対照表のお話の資本金でございますが、これは昭和二十五年度末の資本金といたしまして、残高が約千百九十七億一千万円ございますが、それに加えまして、今度予定いたしております一般会計からの繰入金の五百億とこれをプラスいたします、なお昭和二十五年度に外国為替特別会計の損失といたしまして、純損でございますが、これが三十四億九千万円予定されますので、この損を差引きましてそうして残りの千六百六十二億一千万円、これが今度の特別会計の二十六年度末における資本金であろうと思う、そう予想しましたわけです。
  124. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 この資本金に一般会計から五百億を繰入れなくてはならないというのは、どういうところから来ているんですか、この法案と関連するのですか。
  125. 大久保太三郎

    政府委員(大久保太三郎君) この問題でございますが、大体今度の特別会計法におきましては、資金を一般会計からの繰入によつて調節するということになつております。で、その額といたしましては別にこの特別会計法にしても額には別に限定はないわけでありまして、或る何がしかの資金が繰入れられば資金としては発足するわけです。ただ併しながら、この特別会計を今後一ヵ年運営いたしまする、一ヵ年にとどまりませんが、今後ずつと運営いたします上におきましては、どうしても相当程度の十分な円滑資金の基金が要るとそういうことを考えたわけであります。で、この前も御説明申上げたと存じますが、二十六年度の国際收支の状況から見まして、どういたしましても五百億の資金、これを基金として保有し、なお借入の限度といたしましては、五百億を法定して頂きまして、約千億くらいの資金を運用してやつて行くということが円滑にこれを運営いたしますのに必要だと、そういうふうに考えておる次第であります。
  126. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 ちよつと遡りますが、先ほど御説明昭和二十五年度末の残高千百九十七億というのはこれはどういうふうな数字のより集りなんですか。
  127. 大久保太三郎

    政府委員(大久保太三郎君) この昭和二十五年度末の資本金の残高でございますが、これは只今現行の特別会計法に資本金の規定がございまして、現在の特別会計法の第四條でございますが、これにはこの資本の概念を導入しております。この資本とはどういうものをいうかというと、この規定にあるのでございますが、ここに只今御指摘の千百九十七億一千万円の構成といたしましては、元のこの現在の特別会計法のできます前に、貿易特別会計の中に外国為替資金というものがございました。この外国為替資金に属しておりました資産の額から負債の額を控除した額と、それから貿易特別会計及び一般会計からの繰入金それから総司令部勘定に属する外国為替等にかかる権利義務で、その経理を政府に移管されたものについて、権利の額から義務の額を引いた額、そういうふうな三つのカテゴリーからなつておるわけでありまして、で、外国資金に属していたこの純資産額というのは、極く僅かなちよつと数字を覚えませんでしたが、数十億の金額でございますが、それから貿易特別会計、一般会計からの繰入金、これは御承知通り昭和二十五年度におきましては、貿特から二百六十億一般会計から百億の繰入金がございますのでその二百六十億を加えます。それからなおこの第三の司令部勘定の外国為替でございますが、この経理を日本政府に移管されたものにつきまして、これは純資産額を資本金とする、これにつきましては別に日本といたしまして従来の会計といたしましては円の対価を支払わずに、この会計といたしましては、或いは前の会計といたしましては、円の対価を支払わずでそのままただで外貨を引継いだことがございます。それを全部円に評価をいたしまして、その三者の合計が只今の数字に該当するわけでございます。
  128. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 結局ずつと今までのお話承わつていますと、第四條の規定で別にここには金額を明示していないのですが、五百億という予算が取られているのですけれども、別にこの規定があるからといつて予算を計上する必要はないのですね。第三條の規定、一般会計から繰入れなくても、第四條でもやつて行けるということになるのですね。
  129. 大久保太三郎

    政府委員(大久保太三郎君) 勿論特別会計法といたしましては、その最初創設される外国為替資金の額がどれだけあるかということにつきましては直接関連ございません。ただ併し予算の面におきまして、今度の外国為替資金特別会計の予算のほかに、この資金に繰入れる額といたしまして、五百億の繰入を一般会計の予算で以てきめているわけでございます。これは専ら経済的な見地と申しますか、この特別会計法に基いて、この外国為替資金の運営を十分やつて行く、円滑にやつて行くという見地から必要で予算に掲げられているわけでございます。
  130. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 併し現在でも日銀で以て金融操作をしていることで十分賄つて行けているのですから、必ずしも第三條によつて、巨額の、国民から取つた税金でこの会計に繰入れるという必要はあるかないかということですね。これはどうお考えになりますか。
  131. 大久保太三郎

    政府委員(大久保太三郎君) お説の通り外国為替特別会計の円資金の調達方法といたしましては、日銀から相当額の信用を受けまして、借入によりまして運営いたしておるわけでありますが、併しながら私どもといたしましては、来年度はやはり相当額の外貨の保有増が予想されまするし、これを全部保有する資金を借入金、即ち日銀の信用によつてつて行つていいかどうかという点になりますと相当疑問を持つわけでございます。外貨の保有高の増加によつて生ずる円資金はやはりこれを市中から資金を吸上げたもので賄つて行くというのが、今のインフレ的な傾向を持つた経済情勢に対応する策といたしまして適当ではないかというふうに感じますわけでございます。なおそれに加えましてこれは政府資金全体の対民間收支の問題でございますが、一般会計において相当額は上潮が上つても、やはり特別会計は失調だという状態でありまするならば、それを全体の金融財政施策といたしまして、やはりインベントリーで以てこれらの対民間の失調傾向をチエツクして行くということが必要ではないか、そう考えます。なお特別会計といたしましての立場からいたしますと、外貨を保有する資金としてはやはり一時的な借入金で参りませずに、恒久的な一つの円のフアンドをもらつてそれによつてやるというのが、まあ何と申しますか本来オーソドツクスの方法ではないかと思うのでございます。委員会といたしましてこれを運営いたしますのに、できるだけコストのかからない資金を使いたい。借入金で若しやりますとすれば、日銀借入金ならば年にいたしまして日歩八厘、若し外国為替証券の、つまり融通証券の発行によりますと日歩一銭三厘かかるわけであります。借入金で賄います場合には、日本銀行としてはストレートに資金が出るわけでございまして、現在の金融情勢から申しますとどうしてもこれを証券化いたしまして、日銀のマーケツト・オペレーシヨンの利くような仕組にしなくちやならんと思うのであります。日銀は御承知通り、只今短期証券の手持が非常に少いのでございまして、外為に吸い上げるためにはこれを証券化したい、証券化したものを市中に売りまして、他の特別会計或いは民間に売りまして、そうして吸収したいという希望を持つているのでございまして、そういう意味合からどういたしましても、借入れいたします場合には一銭三厘のコストがかかるわけであります。そういたしますと約五分近いコストの資金を我々は運用しなくちやならないことに相成りますのですが、一方それによつて得た外貨というものはそういうふうに運用できません。仮にそのコストに応じた利息で外貨を運用いたしますならば、日本輸入金融面において相当のコスト高を免かれんということになります。特別会計の独立採算の意味から言いますとこれは大事だと存ずるのでございまするが、その点から申しますと、どうしてもコストのかからない一定のフアンドを許容して頂いて、その範囲で繰廻しをつけて行きたい、そういうことを希望いたしておるわけでございます。
  132. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 今までのお話でどうも矛盾があるのは、これは通産省の輸入局にも伺いたいのですが、去年はとにかく相当ドル資金が順に殖えて来ているのですね。結局ドル資金が殖えているというのは、輸出の増大によつて輸入より輸出が多かつたからドル資金が殖えて来ているわけなんですね。それで輸出が多くなればそれの見合にドル資金が殖えて、従つて輸入もする可能性ができるという御説明ではありますけれども、併しそれではいつまで経つても、輸出しなければ輸入できないということになつて来るわけなんですね。私はそんなことは、まあそういう説もあつてそればかりではなくてやれると思うのです。輸入局としてはこれはどうお考えになつておりますか、輸出が増進しなければ、輸入はあなたのほうでの計画というものは立たないということになつておるのですか。これが去年我が国のいわゆる飢餓輸出というふうな失敗といわれるゆえんじやないのですか。この点について輸入局としてのお考えはどうです。今外国為替管理委員会のほうでは輸出によるドルの蓄積がない限りには輸入ができないというふうな解釈をとつておられますが、そうばかりとは言い切れないと思うのですか。
  133. 松尾泰一郎

    説明員(松尾泰一郎君) 基本的にはやはり為替委員会からも御説明がありましたように、輸出がなければ輸入はできないことは明らかなことでありまして、他から大きい借款とか或いは援助とかいうものが期待できれば輸出なくして輸入をすることも可能かと思いますけれども、基本的には輸出をせざれば輸入ができないというこれは当然のことと思うのであります。余談になりますが、今回我々海外に廻りましたところによりましても、イギリス初めヨーロツパ諸国は最近の情勢下におきましても、あらゆる施策を尽しましてドル獲得のために輸出振興方策をいろいろとつております。今お尋ねのこの輸出なくして輸入をする方法はないか、或いはあるのではないかということでありますが、我々といたしましては輸出がやはり基本的な問題になるのではないか、それによつて外貨を獲得しなければ輸入ができないと確信しております。勿論輸出だけではございませんで、何がしかの貿易外の收入ということも期待はできるのでありますが、やはり大部分は輸出することが外貨の獲得、いわゆる輸入手段獲得の大きなものだろうと思つております。
  134. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 今私の言い廻しが悪かつたかも知れませんけれども、輸出をして獲得したドルと見合せた輸入が常に行われ得れば、必ずしもこれは外貨というものの残高を残しておく必要はないと思うのです。要するに輸出が増進したらその増進したドルに見返るすぐに輸入というものを結びつけて行けば、何もドルの残高を特別殖やして、而もこのドルの残高というのは、これは管理委員会からも説明願いたいのだが、恐らく外銀に当座預金として無利子で預けておくと思うのです。その点から見ていわゆる輸出入のバランスがとれてないということになる。そのとれてないことを條件として、外国為替資金というものを豊富に一般会計から廻しておくということは、これは当を得たものではないと思うのです。その点についての輸入局並びに委員会の説明を願いたいです。
  135. 松尾泰一郎

    説明員(松尾泰一郎君) 今御指摘のありました輸入を完全に輸出に見合つたようにやればというお尋ねでありますが、元来日本輸入というものは非常にシーズナルと申しますか、季節的なものが多いのであります。食糧を初め棉花にいたしましても非常に輸入資金がシーズンによりまして増減があるわけでありますが、他方輸出の方は若干クリスマスシーズン前とか、或いはイースターのシーズンの前とかによつての、或いは上半期と下半期との増減の差はありますけれども、おおむねコンスタントにしておるのでありますので、余ほどうまく外貨資金を運用いたしますにしても、やはり或る程度輸出と輸入とが時期的にはうまく符合しないということは、当然起つて来るのではなかろうかと思うのであります。その意味におきまして、これから先は為替委員会のほうのあれになろうかと思いますが、何がしかそこに調節作用が必要でありまして、輸出があつただけを必ずうまく輸入で以て使つて行くというやりかた、これも外貨資金の運用を非常に巧妙にやれば或る程度はできることかも知れませんが、これは非常にむずかしいことでありまして、勿論そういうふうに努めるにいたしましても輸出と輸入とは性質上相当違う問題がありますので、時間的に見れば必ず何がしかのギヤツプがあるということは御了承願いたいと思つております。
  136. 大久保太三郎

    政府委員(大久保太三郎君) 輸出と輸入がうまく見合つて行われるならば、余分の資金を持たなくても賄えるのではないかというお尋ねのように伺つたのでございますが、先ほども御説明申上げましたように、日本の持つております外貨はただそれを遊ばして、ただ預金をしておるだけではございませんで、これはやはり輸入の運転資金としてフルに利用いたしておるわけでございます。輸入の信用状発行に対して保証金を積まなければならん、その保証金は預け先が相当広範に亘つておりますので、ぎりぎりのパーセンテージだけでは済みませんので相当程度の余裕を持つていなければちよつと繰り廻しがつけられないのです。若しこれを非常に極端に操作いたしまするならば、毎日のように附替えをしなければなりませず、そういたしますと海外から見まして一つ日本の外貨のポジシヨンに対して疑惑を抱かれるという慮れもなきにしもあらずと存じます。  それからなお現在の日本の立場といたしまして、相当程度のやはり運転資金を持つておるのだということでございませんと、例えば外銀から得ます信用その他にいたしましても條件が相当不利になる関係があるだろうと思います。私どもといたしましてはできるだけ日本輸入業者、延いては一般経済界の負担を減少してそうして輸入した資材が輸出に廻る場合に、そのコストを下げて行くというふうに、この資金のコストの面でもできるだけこれを引下げたいということを念願いたしまして、できるだけ有利な條件で以て外銀その他のフアシリテイを得たいと考えるのでございますが、それにはやはり日本といたしましても、ほかに何らの在外資産というものを期待できない事態でございますので、或る程度のやはり現金を保有しておく。それによつて国際的な信用をかち得たい、そう考えておるわけであります。只今のような規模におきまして輸入が行われているという際におきましては、非常に資金の効率的な運用を図るというのはむずかしいことでございますが、できるだけ繰ち廻しをうまくやつて参ろうとは努力いたしておりますけれども、それにいたしましても相当程度のやはり外貨保有が必要じやないか、こう考える次第でございます。
  137. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 この問題はまだ事インフレ様相に相当大きな影響を及ぼすかどうかという点や、その他どうしてもインペントリーフアイナンスでなければこの資金が賄えぬかどうかという点についての、例えば大蔵大臣であるとか、或いは相当こういうことを検討をしている学者の説等も伺いたいと思うのですが、今日はこの程度で以て一応打切りにして……。
  138. 小串清一

    委員長小串清一君) 御要求の通り取運びます。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時三十一分散会  出席者は左の通り。    委員長     小串 清一君    理事            大矢半次郎君            杉山 昌作君            木内 四郎君    委員            愛知 揆一君            岡崎 眞二君            黒田 英雄君            山本 米治君            松永 義雄君            小宮山常吉君            小林 政夫君            高橋龍太郎君            油井賢太郎君            森 八三一君   委員外議員            平岡 市三君   政府委員    外国為替管理委    員会委員   大久保太三郎君    外国為替管理委    員会事務局長  牛場 信彦君    大蔵政務次官  西川甚五郎君    大蔵省主計局法    規課長     佐藤 一郎君    大蔵省主税局長 平田敬一郎君    大蔵省理財局長 伊原  隆君    大蔵省理財局経    済課長     吉田 信邦君    公認会計士管理    委員委員長  河本 文一君    公認会計士管理   委員会事務局長  伊藤  博君   事務局側    常任委員会専門    員       大村常次郎君    常任委員会専門    員       小田 正義君   説明員    大蔵省銀行局保    険課長     長崎 正造君    通商産業省通商    局次長     松尾泰一郎君