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1951-03-20 第10回国会 参議院 大蔵委員会 第24号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年三月二十日(火曜日)    午後二時二分開会   —————————————   本日の会議に付した事件 ○漁業権補償金に関する課税問題の件 ○所得税法の一部を改正する法律案  (内閣提出衆議院送付) ○法人税法の一部を改正する法律案  (内閣提出衆議院送付) ○租税特別措置法の一部を改正する法  律案内閣提出衆議院送付) ○資産再評価法の一部を改正する法律  案(内閣提出) ○再評価積立金資本組入に関する法  律案内閣提出) ○保險募集の取締に関する法律の一部  を改正する法律案内閣提出) ○国税徴收法の一部を改正する法律案  (内閣送付) ○在外公館等借入金の返済の準備に関  する法律案内閣提出衆議院送  付) ○保税倉庫法及び保税工場法の一部を  改正する法律案内閣提出衆議院  送付)   —————————————
  2. 小串清一

    委員長小串清一君) これより大蔵委員会を開会いたします。  昨日に引続きまして所得税法の一部を改正する法律案法人税法の一部を改正する法律案租税特別措置法の一部を改正する法律案について審議を続けます。木下水産委員長から漁業権補償金に関する課税の問題について発言を求められておりますから、先ずこれを許します。
  3. 木下辰雄

    委員外議員木下辰雄君) 漁業権補償金課税問題につきまして大蔵大臣に御質問いたしたいと思います。漁業法改正によりまして、在来の漁業権全部を政府はこれを買上げる、要するに漁業権を全部消滅せしめて、これに対して補償金を出すということに、漁業法に相成つたのであります。これはいわば強制買收でありまして、昭和二十二年七月から昭和二十三年六月までの、その当時の公定価格による貨幣価値によつて百七十億円を補償する、かように相成つたのであります。それは漁業協同組合に対する補償額が大体百三十億であつて個人に対する補償額が約四十億、かようになつております。これはこの金は、新たに優先順位適格性によつて、而も新免許を與えた場合においてその免許料及び漁業許可料からこの百七十億円に相当するものを、毎年権利料免許料及び許可料として取立てる、かようになつております。その百七十億に対して所得税を課するかのごとき噂が專ら立ちまして、漁民は非常に恐慌を来たして、陳情請願が殺到しておる状況であります。それは多分本委員会におきましてもその陳情請願が付託されておるだろうとかように考えております。漁業法改正当時、この漁業権に対しては課税をしない、この補償金に対しては課税をしないということは再々当局から言明を受けております。然るに非常な多額所得税を課するというような意向があるやに洩れ承わつております。これは甚だ我々遺憾に思いまして、非常に不都合な行為であると存じますので、大蔵大臣のこれに対する御見解をはつきりお伺いいたします。
  4. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 漁業権を譲渡した場合に、課税の問題につきましては只今検討をいたしておるということでございます。私十分まだ検討いたしておりません。何とも申上げられませんが、この問題につきまして所得税を課しないということは大蔵省では言つたことはないのであります。ほかの役所が申したかわかりませんが、それは別問題でございます。十分検討いたしたいと思います。ただ事柄が、お話のような点がありますので、十分いろんな点を各面から考慮してきめたい、かように思つております。
  5. 木下辰雄

    委員外議員木下辰雄君) 大体わかりましたが、昭和二十二、三年頃の貨幣価値と今日とは非常に貨幣価値が変つております。その上に若し所得税を課せられる、こういうようになれば、漁民に対しては非常な負担になりまするのみならず、この補償金に対しては漁民が先申しましたように、免許料許可料を以て全部又再び拂う、かようになつておりますので、この所得税は是非かけないようにお願いいたしたい、大蔵当局からは所得税は課するということは、かけないということは御説明なかつたかも知れませんが、その当時漁業法審議に当つて当時の農林当局はこれは所得税を課さないということを再三申されております。又その金、要するに補償金相当のものを民間から又拂うわけになつておりますので、若し所得税を課されたならばそれだけ漁民は多大の負担となります。むしろ補償金をもらつた意味もない。そういうことを十分一つ考えになりまして、この所得税をかけないということに是非御努力願いたいということを申上げまして、私の質問を終りたいと思います。
  6. 小林政夫

    小林政夫君 今の木下水産委員長の要望の通りでありますが、水産常任委員会農林当局にその問題を私も委員外議員として質問したときに、大蔵当局は十分その漁業権補償金の性質というものを了承して、事務当局においても如何に理由附ければ税金がかからないかという、かけないという腹で検討してもらつておるので、まあいろいろお尋ねになることは暫らく待つてもらいたいというふうなことであつたので、この委員会においても一回もお尋ねしなかつたわけであります。是非木下さんの趣旨によつて、かけないということで御研究を願いたいと思います。
  7. 小串清一

    委員長小串清一君) 御質問ございませんか。
  8. 松永義雄

    松永義雄君 ちよつと簡單にお尋ねいたしたいのでございますが、毎々主税局長にもお尋ねしたことで繰り返し御質問いたすことは恐縮でございますが、大臣はこの前の国会において経済が安定された、こういうことを言われたのであります。そのときにおける経済が安定したかどうかは別にいたしまして、その後における物価につきましては、これはいつも統計を掲げて反論せられるのでありますけれども、事実上我々の台所が非常に苦しくなつて来たということは、これは僞わりない事実なんでございます。例えば味噌、醤油にしましても又このたびの法律によつて一も砂糖の配給価格が値上げせられる結果になるらしく聞いておるのであります。その他家賃等、衣食住を含めまして我々の生活費が嵩まつて来ているということは、これは実際我々は経験いたしておるところでありまして、その額は二割どころか、倍額にも達するものもあるというようなわけであります。ところでこの経済の安定ということはどういうことかということについていろいろ議論があろうと思うのですが、我々の考えるところによりますと、物価生計費、それから税金がうまくそのところを得て釣合つているというふうに考えているのであります。然るに物価が非常に値上りを来たした、ところが生計費は非常に重くかかつて来る、なお又税金が非常に高い、つまり我々勤労階級例えばベースの点につきましてもそのままになつて、本年の一月一日から上つた形になつておりますが、併し物価に比較しまして收入は少い、然るに物価は非常に高いし、税金は重いという関係になつているのであります。細かいことは一々申上げませんが、こうした戰乱後における経済界は非常に混乱を来たしているのでありまして、そうした場合に対して我々としてはベース引上げ考えることが必要であろうと思うのですが、この委員会としては一体今の税金をどういうふうになさるおつもりであるか、又現状のままでいいとお考えになつておりますか。この際はともかくこの法案法案として将来どういうふうにお考えになつているかという点についてお伺いいたしておきたいのであります。
  9. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 最近の物価上り方から考えて、この程度減税でいいか、こういう御質問だと思うのであります。今の財政状況から申しまして私はこの程度減税で我慢して行くよりほかないと考えております。事柄を分けて考えますると、物価上つたために国民がひとしくその苦しさを感じておるのでありますが、一般工場労務者賃金は御承知通りかなりつて参つたのであります。で私は一般工場労務者のほうはまあまあ我慢して頂きまして、物価上つて俸給が抑えられておる公務員に対してどうするかという問題は、これは別の問題であります。松永さんのお話は主としてそのほうじやないかと思いまするが、これも物価上つたと申しましても、この一月が最近の統計でございますが、CPI一三九幾らと、こうなつております。昭和二十四年の一三七というところから比べますと、殆んど上つていない、而してあの当時よりは俸給上つておるからまだ我慢できるのじやないかという見方もあるのであります。併しいずれにしてももともと官吏の俸給民間に比べて低くとも高いことはない、最近の物価値上りについて政府考えなければならんじやないか、こういうお話は私は尤もな点があると思うのでございます。従いまして人事院からどういう勧告が出ますか、我々も今後の物価の見通し、物価状況によりまして、公務員給與につきましては、人事院勧告が出ましたら、十分尊重して行きたいと考えておるのでありますが、公務員給與引上げるということになりますと、相当財源が要る、そうすると減税どころじやない、増税しなければならないじやないかと、こういうふうな議論も出て来るのであります。最近の物価騰勢がどこまで続くか、我々はできるだけ抑えたいと思いますし、又物価騰勢が極く最近は一応頭打ちをしたのではないかという点もありますので、今後情勢を見まして善処いたしたいと考えております。
  10. 松永義雄

    松永義雄君 これ又くどく今まで言うて来たことで、重ねて申すことはないのですが、とにかく一部の層は物価値上り需要の増加によつて非常な利益を挙げておるのであります。然るに物価値上りによつて、又他の一部の層は生活が困難になつて来ておるという事実があります、そうした面に対して税法も当然こう動いて行かなければならんと思うのです。ただ現状が相当長い期間続くかどうかという点についてはこれは将来のことでありますから、いろいろの見方があろう思うのですが、併し大体の世間の観察では、今の景況というものは相当長く続くだろう、こういうふうに判断されておるのであります。従つてこの物価値上りによつて利益を得たという層に対して、どういうふうに扱つて行くか。物価値上りによつて生活の苦くしなつた人に対して、税金の面についてせめて生計費の面についてはどういうふうに扱つて行くか、この混乱した状態を……上げるとか、上げないとかということでなくて、そこに均衡を得せしめる、安定を得せしめるために方策を講じなければならんと思うのですが、その点に関する御意見をお聞きしたいと思います。
  11. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 物価上つてお困りのかたがあるから、これに対処するのに減税で行つたらどうかというお話でございまするが、これは私はそうは考えません。この所得税なんかにはそう個々の問題につきまして一々当てはめるような法律を作るということは甚だ困難である。私は物価上つた場合におきましては、これは賃金や利得が上る、こういう考え方で行くべぎだと思います。物価が上るので減税ということは、財政理論から申しますると、私は基本的考え方としては逆じやないか。やはり物価上つて行くときに、物価が余り上らないようにする、そうして又そのときには賃金所得をそれにマツチさせる、こういうことと思うのであります。物価を上げないようにするにはどうするかということになると、これはいわゆる増税というようなことが考えられるのであります。これは税金種類によつて違いまするが、建前としてはそういう建前で行くべきじやないかという気持を持つております。
  12. 松永義雄

    松永義雄君 今の大臣の御意見の中で、御尤もだと思う点もあるのですが、物価が上ればエスカレーター式賃金を上げて行かなければならん、こういうことはよその国では考えられていない。そこで又元に戻つて公務員ベースの点に移るわけですが、併しベースを上げるということが最もよいことであるか、若しこれが上げなければならんとしても、上げる前にこの委員会として取扱うべき問題として、税法の問題から、せめてもその負担を軽くするために、負担軽減するということができやしないかと思うのですが、重ねてお伺いいたします、
  13. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 私は公務員物価高による生活苦を総和するために特に公務員だけに減税ということもできませんし、又減税生活難をカバーするということよりも、本筋賃金を殖やすこと本筋だと思います。
  14. 野溝勝

    野溝勝君 丁度大臣が来ておりますから、この際一、二御質問しておきます。今回の所得税改正ですが、この改正についての大体の考え方というものは私もわかるのですが、併しその考え方裏付となるべきものが、私ども要するに納得のできない点があるのです。と申しますのは、大体免税点引上げるという点については了承できるのですが、その免税点引上げによつて負担軽減を少し図つても、実質上においては却つて水増し所得というものを見ておるわけです。いわば前年度より所得が大きくなつたという対象の上に立つて税体系なんです。かような点から見ると、あなたがたの考えによる少しばかりの免税点引上げということは、これは決して大衆全体の負担軽減ということには私はならんと思つております。そこであなた自身もおわかりだろうと思うのですが、大体農村なり或いは勤労階級戰前における預金状態戰後における預金状態とを比較して見ますならば、如何にこの大衆がだんだんと経済的に詰つて来たかということがおわかりになると思うのです。こういう点に対して、この減税というか、所得税改正は、そういうことも考えてなされたのですか、どういう意味でやられたのですか、ただ提案理由だけでは私はその点納得ができないのです。こういう点を一つあなたの御意見をお聞きしたいと思います。
  15. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 戰前戰後におきまする国民所得状況、又所得階級別状況は、すつかり変つて来ておるのであります。過去七、八カ年に蓄積されました資本は殆んど大部分なくなつておる、こういうような状況であるのであります。而して今回の減税措置は、戰後状況を見まして、日本財政の許す限度におきまして減税をいたしたのであります。ただここで申上げますことは、昭和二十五年度におきましても減税し、二十六年度においても減税を続けて行こうをするのであります。一遍に多くを望むことはできません。ただ我々としましては、全体的に少しでも国民生活水準の向上に役立つようにという心構えで参つておるのであります。よくこの物価指数によりまして基礎控除の問題なんかを云々されるのでありまするが、何と申しましても、今の国民所得階級、或いは全体の所得の数から申しまして、そうして又一面財政需要から考えまして、私はこの程度で我慢して頂くよりほかないのではないかと、こう考えております。
  16. 野溝勝

    野溝勝君 これ以上は議論になりますから避けますが、この際一つもう一点だけお聞きして置きたいと思います。これは主計局長でも大臣でも結構ですが、大体今の農業所得課税対象ですが、農家保有米に対しても課税しておるのですが、これはどういう考えでこの保有米課税をしておるのですか。例えばこれをまあ所得として見ておるのですが、かような見方が第一正しいのですかどうか、私は非常にこの点疑義があるのですが、どうお考えになつてこれを課税対象にするのですか。
  17. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 農家所得は、牧穫物から政権を得るに必要な経費を引いたものでございますが、それを自分の家で消費なさろうとなさるまいと理窟上は課税するのが本当であります。若し自分の家で食べるものを課税しないということにしたならば、家族の多い人は幾ら米作つて所得がないということに相成るのであります。
  18. 野溝勝

    野溝勝君 一応その論議はこれを肯定するとしても、例えば基本米価が三等米五千三百円とすれば、五千三百円の三等米を食つておるということはあなたが認めての上ですか。
  19. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 自分のところで作られたものを食べる食べんの問題ではございません、所得の問題は……。従いまして、米麦を作られて、そうして米を食べないというような場合があつても、又自分のところで食べられても、又四等米を買つて三等米を売つても、所得計算には違いはございません。
  20. 野溝勝

    野溝勝君 そういう考えについては、私はお聞きしなければならんですが、例えばその割当の問題について非常に公正を欠いておる、併しそれはまあ無理があつても一応割当を受ける。その場合、その割当を受けると、保有米というものが殆んどないという状態が実際にある。併し、さような現実にあつても、それでも同様にそれを所得とみなすか。もう一つは、例えばさような場合に屑米などを食つておる場合もあるのです。そういう場合も、これは所得のあるものと見て依然としてかける意思があるのか、こういう点についてはつきりあなたの御意思を聞いて置きたいと思います。
  21. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) これは課税する課税しないという意思の問題ではございません。自分のところでお作りになつた米、麦が幾らである。而もその米が、ほかの人は一等米お作りになつておる、併し自分は三等米を作つておる。一等米とか、三等米とか、五等麦のものによつて所得をきめるのであります。食べる食べないの問題、課税する意思のあるなしの問題ではございません。これは事実によつて計算すべきものであります。
  22. 野溝勝

    野溝勝君 それならお聞きしますが、各税務署においてそういうものに対する判定の違うのはどういうわけですか。
  23. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 各税務署におきましての所得計算につきましては、国税局並び国税庁のほうで適当に指導しておるはずでございます。
  24. 野溝勝

    野溝勝君 一貫しておらないということは、あなたの所得体系に対する考え方とは一体違うじやないですか。あなたの考えから言うたらば、私は一貫すべきものだと思う。その一貫しないという点は、そこにおのおの税務署においての考え方、解釈の仕方が少し違つて来ると思う。そういう点は一体どういうふうに指導しているのですか。
  25. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 国税庁長官の下に租税の行政は一貫しておると思います。若し一貫していない点かあれば、御指示によりまして改めるにやぶさかではありません。
  26. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 この際、大臣に先ほどのに関連するのですが、国税庁で以て所得計算をする算定と、地方税徴收するに当つて地方のいわゆる徴收事務所算定とが大分違つておるというので、各地で以て問題が起きている。これを何とかもつと一貫してきちんとやる方法はとれないですか。いずれが正しいかということが、お互いに自分のほうが正しいというようなことで、結局納税者にとつては大変迷惑な話なんです。
  27. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 所得税税務署決定いたします。事業税のほうは各府県決定する建前になつております。而して従来は所得税決定に右へならえする府県もございます。又ならわずに独自の考えでやられるところもあるのであります。併し同じ事実の問題を、国が見るときと地方が見るときと違うということは、なかなかこれは説明はできないのでありまするが、そこが調査の何と申しますか行き届く場合と行き届かん場合、或いは経費その他の見方によつて違いがあると思うのであります。理想としては直さなきやならんと思うのでありますが、なかなか困難であります。今の俸給所得というようなものは、これは地方であろうが国であろうが同じでございますが、得てして営業所得とか農業所得になりますと、なかなか一本になりにくいのか実情であります。併し理想としては、極く正確な帳簿をつけてもらい、そして取扱いも一定にいたしたいという気持は持つておりますが、なかなかこれは困難な問題だと思います。
  28. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 この点は一つ何か名案を考究して頂きたいと思うのです。よく地方においてトラブルが起きますから……。それからその次に、地方税国税納期がとかくダブつているような点があつて、一遍に負担しなくちやならんというので困る場合も多いのです。これなどの調整ももう少し上手にできないかと思うのですが、地方といわゆる大蔵省側との折衝は十分になさつておられるのですか。
  29. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) これは従来は十分折衝協議をしてきめております。今も協議をしてやつておるのであります。何分にも国税におきましても、御承知通り昨年と本年は納期が違うような状態であります。或いは又地方税におきましては、御承知のような昨年度ああいうふうなことが起りましたので、ごつちやになつたのでありまするが、考え方は、とにかく国民一つ懐ろから出るのでありますから、できるだけ調整をするようにいたしておるのであります。
  30. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 次にもう一点、最近自由経済になつてから、大阪とか或いは東京とか都市におけるところの活気というものは、地方と全然違つて、非常な活気を呈しておるのであります。それにもかかわらず、課税の面においては、やはり相変らず地方的にいわゆる今までの実績を基準として、今年はどのくらい増さなくてはならないといつたような観念で以て徴收に当つているというような、これはいつも大臣はそういう事実は絶対ないとおつしやるけれども、事実はそうなんですね。或る程度目標を置いて、その目標に到達しないと結局自分の局なり或いは税務署というものが成績が悪いと、そういう観念で以てとかく無理が行く。その半面において、大都会等においては、大きな会社等が相当多額負担をするというと、あとのほうはまあどうでもいいといつたようなことで以て、都市地方との懸隔が非常につくのです。こういうものの調整は全くよろしくやりませんと、そこに非常な不公平が起きるんですが、これについて何らかの対策をお講じになつておられるか如何ですか。
  31. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) これは対策を講じない、無対策が一番いい対策であるのであります。でよく割当とか何とかいう問題がありますが、御承知通り、これは昭和二十五年度の事業所得予算は千五百億円、補正予算で千百七十億円に減らしております。実際は千億円切れましよう、我々はこの税を取らなきやならんという観念は毛頭持つておりません。それから税務署によりまして、お話のように大会社があるところは楽に行くだろうと、こう申しましても、法人税源泉所得税事業所得税とは別個に分けて見ておるわけなのでございますから、酒税がたくさん上るからといつてそこの個人営業者のほうの税金を安くするというような、そんな考え方は持つておりません。一応課税が公平に行つているか、又各税務署均衡に行つているかどうかということは、国税局長或いは国税庁長官としては、見るならば税額として見なければならん。而して、見るならばそこにおりまする個々の人々について見て行かなければならん。例えば或る税務署多額納税者がたくさんおるというところには、ちよつと一割所得上つて税金はうんと上るのであります。だからそういうところを見るのには、よつぽど個々の土地の経済事情納税者種類等を十分検討しなければできないことでございまして、そこで我々がこの税を幾ら取れとか何とか言わなくても、税務署長税法によりまして極く懇切丁寧に、又税法の精神を汲んでやれば、大体の考え方を統一しておれば、割当とか何とかいうことは必要ないと思います。私どもの心構えといたしましては、決して無理な税金を取るということは、角を矯めて牛を殺すのだ、経済復興が大事なんだと、こういうことを言つておりまするから、よほど施行上におきましても反映いたしまして、本年なんかは、東京大阪では昨年は七、八割更正決定いたしましたが、殆んど更正決定をしなくても、七、八割は申告納税というような状況になつて来ておると私は聞いておるのであります。そうならなければいかんのであります。少くとも昨年までは一齊に更正決定をやりましたが、今年は一齊に更正決定をやることはよさしておりますので、よほど改善されていると思うのであります。
  32. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 今日の話題と少し違うかも知れませんが、大臣が見えたので、今の日本開発銀行ですね。これが閣議で以て一両日中に設立の決定を見るようでありますけれども、この開発銀行方針如何によつて日本経済復興に相当大きな影響を及ぼすと思うのですが一刻も早くこれを出されることと同時に、この開発銀行に対するところの人事なり或いは方策なりについてあらかじめ、若し御発表できるならば、今アウトラインでいいのですが、お示し願えないですか。
  33. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 一、二日のうちにきまると思いまするが、きまりましたら直ちに事前に御説明申上げたいと思います。まだ細かい点につきましては決定していない点があるのでありまするが、大体の構想といたしましては、長期産業資金を出す、而も一般銀行ではなかなか出しにくいようなものについて出そうと、こういう建前であります。而して当初は百億円を見返資金から出して設立しよう、総裁、副総裁は内閣総理大臣が任命する、こういうことで、細かい法人格その他につきましては、大体日本輸出銀行と同様でございます。
  34. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 大体この開発銀行のまあ似たような性格としては、日本輸出銀行が出ておるのですが、それである以上は、会期が切迫したあと僅かしかないときまで延ばさないで、もつと早くこの銀行の内容というようなものを決定されるのが至当でなかつたかと思うのですが、何かそこに理由があるのですか。
  35. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) この開発銀行は今回百億円の出資でございまするが、私としては当初この銀行は輸出銀行と違いまして金融債を、債券を発行するような制度にしたらどうか、又外資の受入態勢を整える意味からいたしましてそういうことも予定してやつたらどうか、こういう気持を持つて折衝いたしておつたのでございますが、なかなかそこまで議がまとまりませんので、一応取りあえず会期が切迫しておりますので、百億円の出資でスタートしようというところで行つたわけです。成るべく早く出したいと思つて八方努力いたしたのでありますが、そこまでまだ話合いがまとまるところまで至らなかつた。で今後こういう問題につきましては提出後でも検討できるのであります。一応取りあえず銀行をこしらえるのが先じやないかというので、出すことにしたわけであります。
  36. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 これに関連して開発銀行では、何か目的としては例えば紡績とかパルプとかいう相当利潤の上つておるところには、貸出しを或る程度ブレーキをかけようというようなことも新聞に見受けられるのですね。ところが、それほど大臣がお思いになつておるほどにいわゆる大産業というものは伸びて行つて資本蓄積が十分になつてつておるということは、これはまあ一面においては非常な利得かも知れませんけれども、又今日ここに提案されておる法人税にも関連するのですが、三五%で以て一律にもうどんなに利益上つてもこの税率で行くということ自体が、少しく今の時勢にふさわしくないというようなことは、大臣はお考えになりませんか。
  37. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 三五%のフラツトの税率で行くことがいいか、或いは昔やつておりましたような臨時所得税と申しますか、或いはこれもやつておりました超過所得税の行き方という議論はあるだろうと思いますが、私は只今のところでは、やはりこのフラツトの税率で行つたほうが資本蓄積に役立つ。又今回地方税でも法人税一割を取ることに相成りましたので、今ここ半年、一年非常に景気がよくなつたと、こういうのですぐ超過所得或いは臨時所得税式のものを考えるということはいたさないほうが、経済復興のためにいいのじやたいか、こう考えております。
  38. 小串清一

    委員長小串清一君) だんだん御審議になつておりますこう税法三案につきましては、余りほかに御発言はないようでありますが、この辺で質疑は盡きたものと認めて、直ちに討論に入ることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  39. 小串清一

    委員長小串清一君) 御異議ないと認めます。  然らば先ず順次この法案について討論を願います。御意見のおありのかたはそれぞれ賛否を明らかにしてお述べを願います。先ず所得税法の一部を改正する法律案について討論をお願いします。
  40. 松永義雄

    松永義雄君 私は社会党を代表しまして、只今議題になつております所得税法の一部を改正する法律案に反対の意を表するものであります。次いで恐らく法人税法の一部を改正する法律案並びに租税特別措置法の一部を改正する法律案、この二つの法案についても討論に付されると思いますが、私はそれらの法案を通じて一貫してそこに存在する我々の考え方からいたしまして、反対の意を表するものであります。昨年戰乱以来、日本経済界が非常な変動を生じておるのであります。その以前のことについても無論意見があるのでありますが、少くとも今日に至るまで非常な変動を生じておるのでありまして、それに適応する税制の建前をとらねばならなかつたはずであると思うのであります。言うまでもなく物価は非常に上昇しまして、それによつて一部の層は非常な利益を挙げておるのであります。又半面、これがために生計がだんだん苦しくなつて行く者も存在するのであります。先ほど申上げましたように、お台所の必需物資を先ず例に挙げて見てもこれもはつきりいたしておるところでありまして、殊に直接関係のある砂糖の問題にしても同様であると思います。そのように我々の生計が苦しくなつて、而もその半面に非常な利益を挙げておる者があるにもかかわらず、そうしたこれによつて幸いしておる者と、だんだん苦しくなつておる者に対しての考慮がこの法律によつて拂われておらない、十分に拂われておらないということを認めなければならないのでございます。所得税法の一部を改正する法律案の中におきまして、少くとも生計を立てるぐらいの收入は確保して、その収入に対して税金をかけるということはできるだけ避けて行かなければならん。この点からしまして、只今議題になつております法律案は私としては十分でないと認めまして、反対の意を表するものでございます。
  41. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 私は民主党を代表いたしまして、所得税法の一部を改正する法律案に賛成するものであります。大体今度の改正の要旨は、我々が常に政府当局等に向つて反省を促し、一刻も早く改正すべき点であることを申述べておつた点の実現と見てもよろしいのですが、併しここでただ最近の朝鮮動乱以後の趨勢を鑑みますと、この程度の修正ではなかなか国民生活上に及ぼす影響が微小であると言わざるを得ないのであります。即ち政府側におきましては、物価の騰貴は大したことではない、大臣を初め大蔵当局においてはCPIがむしろ去年の初めあたりから見ても大して上つていないというふうなことを言われております。併しながら一方におきまして、安定本部等の意見を徴しまするというと、いわゆるエンゲル係数が食料費の大部分を占めておるのが、まだまだ相当大きな部分であつて、而もそれが物価が余り上つてない、いわゆる主食に対する価格が上つていない、そのために僅かな物品が多少の騰貴をしたところで及ぼす影響は少いのだというふうなことを言われております。併しながら、大蔵当局のほうになりますというと、主食や何かのいわゆる生活費に占める部分はずつと減つております。そういう点から見て国民所得が増して、この程度の税負担は当然だというふうなことになつていて、その間一貫していない。そういう点と、最近の物価値上りというのは、かなり各消費部門において大蔵当局考えているような生易しいものではない、相当の値上りを示し、而も生産資材の値上りはいずれは消費資材の値上りに影響するのは明らかであります。そういうことを考えまするというと、この程度の修正だけではいわゆる国民の担税能力にマツチするということは言い得ないと思います。更に又当局はこの所得税法改正によつて相当大幅な減税を断行したがごとくに言われておりますけれども、一方において地方税の大幅の引上げというものが、これを抹殺しております。そういう点から見ましても、将来はやはり大蔵当局自分のほうさえ減税をすればもうどうでもいいんだという考えでなしに、地方税と睨み合せまして、総合的に国民負担というものを軽減する親切心を起して頂きたいと思うのであります。早い機会にいずれ補正予算は出るでありましようが、或いは基礎控除の変更であるとか、税率の是正であるとかいうことをいま一段工夫なさつて、以て国民負担均衡化と、軽減ということを検討されるように切に希望して置きます。以上希望條件を付して賛成するものであります。
  42. 小串清一

    委員長小串清一君) ほかに御意見がないようでございますが、討論終結と認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  43. 小串清一

    委員長小串清一君) 御異議ないと認めます。それではこれより採決に入ります。所得税法の一部を改正する法律案を原案通り可決することに賛成のかたの挙手を願います。    〔挙手者多数〕
  44. 小串清一

    委員長小串清一君) 過半数と認めます。よつて法案は可決すべきものと決定いたしました。  なお、本会議における委員長の口頭報告の内容については、本院規則第百四條によりあらかじめ御承認願うことに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  45. 小串清一

    委員長小串清一君) 御異議ないと認めます。  それから委員長が議院に提出する報告書に附する多数意見者の御署名をお願いいたします。  多数意見者署名    高橋龍太郎   森 八三一    杉山 昌作   小林 政夫    大矢半次郎   木内 四郎    油井賢太郎   岡崎 真一    黒田 英雄   愛知 揆一   —————————————
  46. 小串清一

    委員長小串清一君) 次に、法人税法の一部を改正する法律案につきまして討論に入ります。それでは松永君。
  47. 松永義雄

    松永義雄君 これは誰しも御承知のことで、私からくどく申上げることもないと思いますが、日本の昨年戰乱以来の景気というものは、日本独自の力によるものもないとは言えないのですが、併しよそから来た影響が強いということをこれは肯定しなければならんのであります。でその原因は直接であるか、間接であるかは別にしまして、外国におきまするこうした原因における景気というものに対して税法がどういうふうに変化を受けているかということは、すでに当局から提出された資料によつて明瞭になつているのであります。そのうちの法人税につきましては、太平洋戰争後に一旦超過所得税が廃止されたけれども、今日はそれが復活を見て法人税の超過所得税がかけられているのであります。で何も日本が外国の真似をしなければならんことはないと思うのでありますが、併しその景気の動きの状態を見ますときには、日本の法人に対しても税金を余計取るということについては何らの反対的な理論も見出し得ないので、むしろ進んで税金を余計かけて行くべきものではないかと思うのであります。ただ徒らに儲けたから羨ましいから税金をかけるというのではなくて、負担の能力が非常に増大しておるから、そうしたものに負担の増加を図ることが当然ではないかというふうに考えておるのであります。然るにここに議題になつております法人税の一部を改正する法律案は、この趣旨に十分乗つておらないものがあると見ておるのでありまして、我々社会党といたしましては、この法案に対しては著しく不満の意を表すると同時に、本案に対して反対をするものであります。
  48. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 私は民主党を代表いたしまして法人税法の一部を改正する法律案に賛成するものであります。二%の積立金課税の廃止、これは私が常々主張いたしており、我が党といたしましても支持しておつたのでありますが、漸く実現を見たということは遅蒔きながら非常にこれは結構だと思います。併しながら三五%フラツト課税ということに対しまして、最近の情勢を見ますというと、大企業等におきましては非常に利得を挙げて、而もその利得をどうやつて使つていいかわからんというふうな状況に至つておるというのが相当あるのです。そういう点は、恐らくこの法人税が累進課税の際において社内留保というか、或いは隠されたというか、そういつたようなものが一齊に現われた結果であるかも知れないのでありますけれども、朝鮮動乱後においては相当日本経済界が偏頗な経過を示しておつて、一方において非常に多額利益を挙げる場所もあり、又その半面においてはそのため却つて資材等が大企業に集中されて困つておる半面も出て来ておるというところもあるのであります。そういう点から勘案いたしまして、多少アブノーマルな状態に最近なりつつあるとき、一率に三五%一本という税率ということは、もはや考慮をしなくてはならない段階に入つたのではないかと思われるのでありますけれども、資本蓄積の大目標も至極結構だといたしましても、その蓄積の面において不公平のない法人税税法改正ということも、今から検討しておかなくてはならないのではないかと思われるのであります。こういう点、将来において是正することを、検討することを希望いたしまして賛成するものであります。
  49. 小串清一

    委員長小串清一君) ほかに御意見もないようでありますから、討論は終局したものと認めて御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  50. 小串清一

    委員長小串清一君) 御異議ないと認めます。  それではこれより採決に入ります。法人税法の一部を改正する法律案を原案通り可決することに御賛成のかたの挙手を願います。    〔挙手者多数〕
  51. 小串清一

    委員長小串清一君) 過半数と認めます。よつて本案は原案通り可決すべきものと決定いたしました。  なお、本会議における委員長の口頭報告の内容については本院規則第百四條によりあらかじめ御承認願うことに御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  52. 小串清一

    委員長小串清一君) 御異議ないと認めます。  それから委員長が議院に提出する報告書に附する多数意見者の御署名をお願いいたします。  多数意見者署名    高橋龍太郎   森 八三一    杉山 昌作   小林 政夫    大矢半次郎   木内 四郎    油井賢太郎   岡崎 真一    黒田 英雄   愛知 揆一   —————————————
  53. 小串清一

    委員長小串清一君) 次に、租税特別措置法の一部を改正する法律案につきまして討論に入ります。御意見のおありのかたはそれぞれ賛否を明らかにしてお述べを願います。
  54. 松永義雄

    松永義雄君 私は社会党を代表しまして、租税特別措置法の一部を改正する法律案について反対の理由を表するものであります。それは先ほどこの税法について申上げた意見を引用いたしまして私の意見を申上げるのでありまするが、先ほど大臣のおつしやつたように、物価或いは賃金を上げるのは当然だ、物価は上る、併しその賃金はまだ上げようとする気配に及んでおらない、ただ單に砂糖ばかりの問題ならばともかく、ほかのいろいろ必要物資の値が上つて参りまして、勤労階級生活がだんだん苦しくなつて来ておるのでありまして、特にその税法改正の値上げの率と、本案の値上げの率とを勘案いたしますというと、相当砂糖の配給価格の上に影響を及ぼしておるのです。このようにどんどん物価上つて来て、そうしてそれに対する対策が講じられておらないのは、私としては非常に遺憾と存ずる次第であります。これ又諸外国の例を引きまして、そうしてこれに必ず倣わなければならんということを申上げるわけではないのでありますが、物価が一割上つて直ちに賃金が問題になつて来る、そうしてそれに適応するところの対策が講じられておる。然るに我が国の経済政策というか、財政政策というものは、労働者や農民のほうの生活は考慮に入れられないで、そうしてその負担を増す方向にのみ持つて行かれる傾向があるのであります。而も富める者に対してはその負担の増加を図つておらない。こうした点からいたしまして、他の方法が講じられた上にこうした税法ができて行くというのならとにかく、この税法だけをどんどん進めて行かれて、それでほかの問題はまだ考慮にも入つていないものがあるとするならば、我々としてはどうしても反対の意を表さざるを得ないのであります。私は遺憾ながら本案に対して反対の意を表します。
  55. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 私はこの法案に賛成をいたすものでありますが、先ほど松永委員から砂糖の点について論及されましたけれども、この條項を見まするというと、食糧事情の好転に鑑みて輸入砂糖に対するところの消費税の免税措置を廃止するということを謳つておるのであります。どうもこういうことは日本国民といたしまして、砂糖が今まで主食の代用、或いはカロリー攝取のために必要欠くべからざるものとして大きな役割を果しておつたかのように見受けられて、これについての消費税の免税措置をとつていたということについては、私は常に反対しておつたのであります。漸く今日廃止されまして、消費税はかかることになつたのでありますが、如何にもこの理由に述てあるところのものは、單なる理窟に過ぎないというふうな感じがするのであります。将来こういつたようなことのないように当局においても断乎たる決意を持つて頂きたいと、こういうふうに思うのであります。将来におきましては、この砂糖等につきましても相当課税を考慮いたしまして、実際国民生活に適応するような消費税の設定を今から検討してもらいたいということを一言附加えて賛成するものであります。
  56. 小串清一

    委員長小串清一君) 他に御意見もないようでありますから、討論は終局したものと認めて御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  57. 小串清一

    委員長小串清一君) 御異議ないと認めます。  これより採決に入ります。租税特別措置法の一部を改正する法律案を原案通り可決することに御賛成のかたの挙手を願います。    〔挙手者多数〕
  58. 小串清一

    委員長小串清一君) 過半数と認めます。よつて本案は原案通り可決すべきものと決定いたしました。  なお、本会議における委員長の口頭報告の内容については本院規則第百四條によりあらかじめ御承認願うことに御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  59. 小串清一

    委員長小串清一君) 御異議ないと認めます。  それから委員長が議院に提出する報告書に対する多数意見者の署名をお願いいたします。  多数意見者署名    杉山 昌作   小林 政夫    松永 義雄   大矢半次郎    木内 四郎   油井賢太郎    岡崎 真一   黒田 英雄    愛知 揆一   —————————————
  60. 小林政夫

    小林政夫君 主税局長にお尋ねしたいのですが、先ほど余りよくまだ大臣まで問題にしていないようでしたから、先ほどの漁業権証券の取得者に対する課税の問題で、農林の事務当局とあなたのほうとが、いろいろ御研究願つておるわけでありますが、現在までの研究して頂いた状況を御報告、御説明願いたいと思います。
  61. 平田敬一郎

    政府委員(平田敬一郎君) 漁業権証券の課税の問題につきましては、実は私どもやや具体的にこの説明に接しましたのは本年になりましてからでありまして、その後鏡意水産庁からの説明を聞きまして、目下検討いたしておるのでございますが、現行のまま、そのまま特別な措置を講じないということになりますと、相当税がかかるという結論になるようでございます。と申しますのは、漁業権証券を一体誰が受けるかによつて大分違うのでございますが、先ず個人が受ける場合、この場合におきましては、譲渡所得税課税、再評価税の問題、二つあります。これは御承知通り一種の私ども強制譲渡と解釈せざるを得んと考えておるのでありますが、そうなりますと財産税の評価額と、それから今回補償を受けまする際の評価額との差額、この差額が課税対象になるわけでありまして、その差額のうち財産税評価額に対しまして十倍までのところ、これは再評価法によつてきめておるのでございます。十倍までのところは六%の再評価税だけで済む、十倍を越えまして補償を受ける額に対しましては譲渡所得としまして課税する、これは勿論一種の変動所得としまして五ヵ年間平均課税の方法でございます。一時に入つて来るという理由でございますが、そういう原則に相成るのでございます。それから又法人の場合でありますと現在漁業権幾らに帳簿に記載しておりますか、その記載しておりまする漁業権の額と今回補償としてもらいまする額との差額、これはやはり益金になる。これはもうこの点は解釈上も疑問の余地がなく、如何なる收入といえども法人は益金に算入しますので、そのようなことになるのでございます。併し法人の場合でも再評価が勿論できますので、すでに帳簿価格に計上している法人は前年再評価したかも知れません。それから或いは今回更に任意評価もできることになるのでございますが、再評価をする額まではやはり法人の場合も六%ですることになります。再評価額を越える分につきましては普通の法人税がかかつて来る。このようなものに放つて置きますとなるわけでございます。併しそれではどうもやはりこの漁業権を一時に全部買上げまして新らしい一種の違つた漁業権を設定して免許料をとると、非常にドラステイツクな措置をやることになつておりますので、そのままやりましたのではやはり実情に即しないだろうというので、この一般の課税原則に対しましてやはりどのような特例を認めるか、そういうことにつきましては目下研究いたしておるのでございます。個人の場合でございますとどうも財産税評価額の平均水準と、それから今回の補償額の平均水準はどうも十倍よりは大分高くなつておるようでございまして、ちよつとした今までの調べによりますと二十二、三倍ぐらいの高さになるようでござい余す。これは勿論最終的にきめますまでにはそのような資料も的確に集めなくちやならんと思つておりますが、相当高くなつております。そこでそれをそのまま今の原則通りつたほうがいいか、或いは漁業権につきましては全面的にこのように再評価されましてそれによつて強制買收されますので、何か倍率も特例を設けるような方法が果して考えられるか考えられないか、或いはそういう方法をどうせとるならば、もつと機械的に簡單な方法で済ましてしまうような方法を考えるかどうか、そのような方法を考えております。それから法人の場合におきましては証券をもらいまして一遍に現金化するわけではない、この証券が一体如何なる発行條件で発行されるか、それから免許料は最初は利子を含めて免許料を取るのだという話でしたが、最近は又利子の分は国庫の負担にしてもらうようにしてもらいたいと、こういう要望がありまして條件がはつきりきまつていない。そこで問題があつたのですが当初の計画のように二十五カ年間に均等の償還をして行くということでありますれば、一時に証券を取得した際に課税しない。それはいわゆる圧縮記帳と称しまして、前の帳簿価格まで評価を切り下げることを認めまして、後に償還されるたびごとに益金に算入されるような方法をとつて行く。その半面組合なり法人等……、会社等免許料を年年拂つて行きますので必ずしも一致しませんが、免許料経費として差引きますので、そういうようにして徐々にならして行けばこれはよほど負担が緩和になりはしないかということで研究をしていたのでありますが、最近は更に漁業権証券の金融化ということに関連いたしまして、発行條件につきまして最初の考え方とだんだん変りつつあるようであります。従いまして課税につきましてどうするか私どもまだその辺の條件がもう少し具体的にきまらないと、この特例を認めるにつきましても実はなかなか案が具体的にまとまらない。こういう段階に参つておりまして今申上げましたような点を総合して考えまして、趣旨といたしましては全然その御要望の通り行くということはどうも今までの一般の例に鑑みまして行過ぎではないかと思いますが、できるだけ実情に即しまして無理のない、或る程度のところで若干御不満がありましても何とか御辛抱して頂けるような特例を認めたらどうかというので、今申上げましたような諸点につきまして実は検討いたしておる際でございますので、もう少しくお待ちを願いますれば結論が出て来ると思います。かように考えております。
  62. 小林政夫

    小林政夫君 先ほどの趣旨によりまして是非御善処をお願いいたします。
  63. 小串清一

    委員長小串清一君) 資産再評価法の一部を改正する法律案、再評価積立金資本組入に関する法律案、保険募集の取締に関する法律の一部を改正する法律案、以上先議でありまして、もう一つ国税徴收法の一部を改正する法律案、これは予備審査であります。以上の四案について政府提案理由の御説明を乞います。
  64. 伊原隆

    政府委員(伊原隆君) 只今議題となりました資産再評価法の一部を改正する法律案及び再評価積立金資本組入に関する法律案につきまして、その提案の理由を御説明申上げます。  昨年資産再評価法が制定されまして、企業の資産再評価が実施されたのでありますが、当時の経済情勢におきましては十分の収益を挙げ得ない企業も少くなく、全体としての再評価額は当初の予想よりかなり低目となつている実情であります。然るに朝鮮動乱の勃発を契機といたしまして、経済界は相当活況を呈し、企業の收益力も相当回復しつつありますので、この際、前回再評価を十分に行わなかつた企業に対して、おおむね前回と同様の基準により、更に再評価を行い得る機会を與え、企業経理を合理化し健全な資本の蓄積を図ることが必要と考えられるのであります。  又、再評価積立金資本組入につきましては、現行法におきましては昭和二十八年一月一日まではこれを行い得ないことになつているのでありてますが、今日の経済界の実情から見まして、このような制限はもはや不必要と認められますので、この際再評価積立金を早期に資本に組み入れ得ることとするのが適当と考えられるのであります。  以上の理由によりまして、今回この両法律案を提案いたした次第であります。  次に両法律案につきましてその概要を申上げます  先ず資産再評価法の一部を改正する法律案におきましては、今回の第二次再評価は、法人につきましては原則として本年一月一日又は一月一日から九月三十日までに開始する事業年度の初日現在で行い得ることとし、ただ、電力、ガス等の公益事業を営む法人につきましては、特別の事情がありますので再評価の時期を一年延長することを認めております。又、個人につきましては本年一月一日現在で再評価を行いすることとしております。  次に再評価の対象となる資産は、前回再評価を行うことのできた資産で前回限度額まで再評価を行わなかつたものとしておりますが、ただ、株式は、今回の可評価からは除外いたしました。これらの資産につきましての再評価の基準は、原則として前回通り物価倍数によることとしておりますが、前回の再評価以後に減価償却を行なつている資産につきましては、前回の再評価限度額からその償却額だけ減額したものを今回の再評価限度額といたしております。又いわゆる腐化資産の再評価限度額につきましては、稼動率、收益率等の向上に基く増額を認めることとしております。  次に、再評価税につきましては、前回と同様再評価差額に対して百分の六の税率によつて課することといたしておりまして、その納付方法につきましてはおおむね前回通りであります。ただ延納の最終期限は、これを一年延長し、今回の再評価後五年ということにいたしているのであります。  次に、再評価積立金資本に組み入れ得る時期につきましては、従来の規定では昭和二十八年一月一日以後となつておりますのを、本年七月一日以後におきましては、再評価積立金の四分の三の範囲内で、その資本へ組み入れ得ることといたしておるのであります。又再評価を行なつ会社の社債の発行限度につきましては、従来は、再評価積立金の四分の三の範囲内で再評価後三年間に亘りまして毎年その四分の一ずつを社債の発行限に算入することになつているのでありますが、このような制限を緩和し、再評価積立金の四分の三を直ちに社債の発行限度に算入することといたしております。  この外、金融機関再建整備法による調整勘定を設けている金融機関の再訂価積立金取り崩しについて特例を設けると共に、商法の一部を改正する法律の施行等に伴いまして所要の規定を整備することといたしているのであります。  次に、再評価積立金資本組入に関する法律案でありますが、この法律案は、只今御説明申上げましたように、再評価積立金を早期に資本に組み入れ得ることとしたのに伴いまして、その組入の手続及び方法につきまして必要な事項を定めようとするものでありまして、その主な内容は、   第一に、再評価積立金資本組入は、株主総会の特別決議によるを要すること。   第二に、再評価積立金資本に組み入れた場合には、組入と同時に又はその後随時に株主総会の特別決議によつて株主に対して新株を発行することができること。   第三に、この新株は株主に対して無償で交付することを原則としますが、株主総会の特別決議によつて新株の発行価額の一部を株主に拂い込ませることを認め、併せて引受のない新株の処理方法及び新株を引き受けない株主の引受権の譲渡又は金銭分配請求権につき必要な規定を設けること。   第四に、再評価積立金資本組入による新株の発行の場合における会社資本の金額及び資本準備金の積立につき商法の特例を設けると共に、税法所得計算に関して所要の特例を設けること等であります。  以上、両法律案につきまして、その大要を御説明申上げた次第でありますが、何とぞ御審議の上、速かに御賛成あらんことを切望してやまない次第であります。
  65. 舟山正吉

    政府委員(舟山正吉君) 保険募集の取締に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由を御説明申上げます。  本法は、昭和二十三年七月、当時保険募集の状況がびん乱して、保険契約者に不利益を與える虞れが多分にありましたので、生命保険募集人等に登録制を布くと共に、不正募集行為の取締を行うため制定施行されたものであります。その後、本法の適切な運営によつて、募集状況は、漸次改善されて来たのでありますが、生命保険会社と契約者との間の契約上の紛争は、今日なおその跡を絶たない実情でありまして、保険契約者の保護と保険事業の健全なる発達を図るためには、悪質募集に対する取締を、一層厳重に行う必要があると考えます。  現行法の規定には、登録制度の運用上の面からも、又不正募集行為取締の面からも、種々不備な点がありますので、今回大要次の通り改正を行うことといたしたのであります。  第一に、現行法では、生命保険会社の役員及び使用人の登録と、生命保険募集人の登録とを区別して行なつていたのでありますが、この区別を存置することは、取締上の実益もないので、事務の簡素化を図るため、両者を統一することといたしました。  第二に、現行法では、下請生命保険募集人は、届出制となつておりますが、実情は登録をなすべき生命保険募集人等が登録の申請を怠つて届出によつている場合があり、又登録を取り消された者が届出によつて募集に従事し得る等の欠陷があるので、届出制を廃止してすべて登録制とすることといたしました。  第三に、現行法では、保険会社と委託関係にある募集人等が契約者に損害を與えたときは、会社にその賠償責任があることになつておりますが、会社の使用人等の與える損害については、民法の不法行為に関する賠償責任の規定によつており、本法に特別の規定がありませんので、この際本法において統一的な規定を設けることにいたしたのであります。  第四に、既存の保険契約を不当に消滅させて新たな保険契約の申込をさせる等の契約の不当な乗換募集は、保険契約者に不利益なことでありますので、これを禁止する規定を設けることといたしました。  その他登録の抹消に関する規定を設ける等所要の改正が加えられております。  以上の通りでありますので、何とぞ御審議の上速かに御賛成あらんことを希望いたします。
  66. 平田敬一郎

    政府委員(平田敬一郎君) 次に、国税徴收法の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由を御説明申上げます。  政府は、昨年以来引続き税制の改正を断行し、国民負担軽減合理化を図つて参つたのでありますが、徴収制度につきましてもその合理化に努め、一層円滑且つ適正な納税が行われるように措置することが必要であると認められますので、ここに国税徴収法の一部を改正する法律案を提案いたした次第であります。  以下本法案の大要を御説明いたします。  先ず、最近における滞納の発生及びその処理の状況に鑑み、納税者に特別の事情がある場合における租税の徴収及び滞納処分につきその合理化を図ることといたしました。  その第一は、分納及び徴收猶予の制度を新設したことであります。  即ち、納税者が災害、盗難、疾病、廃業等により、又は申告期限から一年以上経つて更正、決定を受けたことにより、その税金を一時に納付できない場合は、その申請によりまして、一年以内の分納又は徴收猶予を認めることといたしているのであります。而してその分納又は徴収猶予の期間中は、延滞加算税額を免除するほか、一定の場合には利子税額をも免除することができることといたしております。  なお、昭和二十四年分以前の所得税、相続税、物品税及び増加所得税、財産税等の旧税につきましては、その負担状況及び滞納の現状等に鑑みまして、徴收猶予をなし得る場合の條件を若干緩和いたしますと共に、猶予期間を二年以内とする等の措置により、その合理的な整理に資することといたしたのであります。  その第二は、滞納処分の猶予制度を新設したことであります。  即ち、公売処分等の執行によりまして滞納者の事業の継続を著しく阻害する虞れが強く、且つ又、その処分を一時猶予して置くほうが究極において徴税上有利であると認められますときは、二年以内において適宜その処分の執行を猶予することができることとし、その期間中は、延滞加算税額を免除し得ることといたしたのであります。而して二年以内に資力が回復したとき又は新規に発生した税金の滞納等の事実がありました場合は、直ちに滞納処分を続行することといたしております。  その第三は、滞納処分の停止の制度を設けたことであります。  即ち、滞納者が無財産の場合又は著しく生活困窮に陥る虞れがある場合等におきましては、三年間滞納処分を停止することができるものといたしておるのであります。而してこの停止期間中は、利子税額及び延滞加算税額を免除することができることといたしております。  なお、この停止期間中におきましても、滞納者が資力を回復したと認められる場合には、停止処分を取りやめて徴收するのでありますが、停止後三年たつてもなお資力が回復しない場合には、納税義務が消滅することといたしております。  以上の三つの措置によりまして、滞納につき特別の事情がある納税者につきましては、その実情に応じ、努めて合理的に且つ適切な徴税を行うごととしている次第であります。  次は、差押禁止物件の範囲を拡張したことであります。  即ち、現在の国民生活の実情及び滞納処分の執行の状況に鑑みまして、差押禁止物件の範囲を拡張し、主として自己労力による農業者、事業者及び営業者につきましては、その業務上不可欠な農具、器具、材料、肥料、牛馬、種子等を差押禁止物件とすると共に、食糧及び薪炭につきましては、六カ月間の生活に必要な部分について差押をすることができないことといたしております。  次に、昭和二十四年十二月三十一日以前の期間に対する加算税及び延滞金につきましては、特定の場合に限り、これを軽減し得ることといたしました。  即ち、加算税につきましては、申告期限から一年以上たつて行われた更正決定に基いて徴収される場合、又は一度更正決定を受けた後の修正申告又は更正に基いて徴收される場合には、日歩十銭のものを日歩四銭に軽減することができることとすると共に、これらの場合には、日歩二十銭の延滞金を日歩八銭に軽減することができることといたしております。而してこの軽減措置は、加算税又は延滞金を現に滞納している場合のみならず、すでにこれを納付している場合も適用するのでありますが、既納分の還付を受けますためには、本年六月末日までにその申請をしなければならないこととしております。  又、納税者が災害、疾病又は廃業等によつて現に加算税又は延滞金を滞納しております場合には、加算税の日歩十銭を四銭に、延滞金の日歩二十銭を八銭に、それぞれ軽減することができるものといたしました。  次に、督促手数料は徴收しないことといたしました。  即ち、滞納者に督促状を発する場合の十円の督促手数料は、今後徴収しないこととして、事務の簡素化を図ることといたしたのであります。なお督促状を発する場合には、原則としてこれを発する日から十日を経過した後の日を納付の日とすることといたしております。  次は、納税者に詐害行為等がありました場合の徴收方法を改善したことであります。即ち滞納処分の実情に顧みますと、滞納者が故意にその財産を親族等に移転し、或いはその事業を同族会社に組織替えをする等により、滞納処分の目的達成を不可能ならしめるごとき事例が少くない実情でありますので、正当な納税者との権衡上、かかる場合には滞納者本人について滞納処分を執行してもなお徴收すべき税金に不足するときに限つて、これらの親族又は同族会社から徴税できることとしたのであります。  次は国税地方税との間の徴収の順位を同一にしたことであります。即ち昨年四月の改正によりまして、国税地方税の徴収順位は原則として同順位とし、ただ納税人について強制執行等がありました場合には国税地方税に優先することといたしたのでありますが、今回これらの場合にも全く同一順位といたしたのであります。  以上が今回の改正の要点でありますが、そのほか、納税義務の承継、滞納処分の管轄権等につきまして規定の整備を図つております。  政府は、以上の改正によりまして、今後一層適正、且つ、円滑な徴税を行うよう期しているのであります。  御審議の上何とぞ速かに御賛成せられるよう切望してやまない次第であります。   —————————————
  67. 小串清一

    委員長小串清一君) 次に、館等借入金の返済の準備に関する法律案、これは今まで予備審査によつて質疑は終局しておりますが、この際本審査によつて再び質疑を開始しようと思います。別段御質疑がありませんければ、直ちに討論に入りたいと思いますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  68. 小串清一

    委員長小串清一君) 然らばこれより討論に入ります。御意見のおありのおかたは賛否を明らかにしてお述べを願います。
  69. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 私はこの法案に賛成するものでありますが、終戰後大分日数もたつておりまして、未だに引揚等によるところの人が拂つた犠牲に対しての措置ができておらないということは甚だ残念であります。而も今回の予算等においても、この法律に対応すべき予算措置がとられていないのであります。これで以て中には財政上の苦難からいたしまして、自殺までしたというような例も各地にあります。一刻も早く予算措置をとつて、この法案裏付けになる措置を実現されんことを切に要望して賛成します。
  70. 小串清一

    委員長小串清一君) 他に御意見もないようでありまするから、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  71. 小串清一

    委員長小串清一君) 御異議ないと認めます。  これより採決に入ります。在外公館等借入金の返済の準備に関する法律案について原案通り可決することに賛成のおかたの挙手をお願いいたします。    〔総員挙手〕
  72. 小串清一

    委員長小串清一君) 全会一致と認めます。よつて本案は可決すべきものと決定いたしました。  なお、本会議における委員長の口頭報告の内容については、本院規則第百四條により、あらかじめ御承認を願うことに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  73. 小串清一

    委員長小串清一君) 御異議ないと認めます。  それから委員長が議院に提出する報告書に附する多数意見者の御署名をお願いいたします。  多数意見者署名    杉山 昌作   小林 政夫    松永 義雄   大矢半次郎    木内 四郎   油井賢太郎    岡崎 真一   黒田 英雄    愛知 揆一   —————————————
  74. 小串清一

    委員長小串清一君) 次に、保税倉庫税法及び保税工場法の一部を改正する法律案につきまして、政府よりこの際内容の御説明を願いたいと思います。
  75. 平田敬一郎

    政府委員(平田敬一郎君) 本案は、先般提案理由の際に説明いたしましたところに余り附け加えるところはないのでございますが、要点を再び申上げて見たいと思います。  第一点は、従来保税倉庫と保税工場の特許手数料でございますが、この特許手数料につきましては、法律では規定がなくて、勅令で規定されていたのでございますが、最近の財政法の趣旨に顧みまして、法律に根拠規定を置くことにいたしたのでございます。内容の点は特別変更にはならないのでございます。それが第一点でございます。  それから第二点は、保税倉庫及び保税工場の営業者が、蔵置貨物の輸入税に関しまして、輸入税に関する責任を、災害によりまして滅失した場合、又は税関の承認を受けまして滅却した場合、こういう場合におきましては免除してやるという規定を、これは新たに法律に入れまして、こういう制度の運用の改善に資したいという点でございます。それが第二点でございます。  それから第三の点は、担保の種類の拡張でございまして、従来は保税倉庫の庫主の提供する輸入税の担保の種類は、金銭、国債証券の二つに限定されていたのでございますが、これを新たに税関長が確実と認める社債にまで拡張し得ることにいたした点でございます。この点も保税倉庫の運用上改善に資するところがあると考えたわけでございます。  第四の点は、罰則の規定を改正いたした点でございますが、これもおおむね最近のこの種の法律改正に倣いまして、最近の罰則の規定と同様な規定に改めるという趣旨でございます。即ち第一点は、秩序犯に対しまする罰金刑について最高額を定めた点でございます。それから第二は、両罰規定を設けた点であります。それから第三点といたしましては、刑法の総則を適用する規定、適用を排除する場合の規定につきまして、他の法律と同様に、最近の立法例に倣いまして改正いたした点でございます。いずれも罰則につきましては條文の最近のやり方に合わした程度改正でございます。  以上の四点が、保税倉庫法及び保税工場法改正の点でございまして、若干新らしくいたしましたのと、それから今後の運用の改善に資するというのが本案の目的でございます。
  76. 松永義雄

    松永義雄君 議事進行についてお願いしたいのですけれども、事貿易に関することで、倉庫に関係した貿易状況というものはどういうふうになつているのですか。その所管の役所からちよつと御出頭願つてつたほうがいいと思います。
  77. 小串清一

    委員長小串清一君) それでは税関部の業務課長から御説明願います。
  78. 木村秀弘

    説明員(木村秀弘君) 保税倉庫につきましては昨年の十二月末現在で二百十五件、坪数にして十万七千坪くらいになつております。これは御承知のように、外国から輸入されました品物が関税をかけられないでそのまま保税倉庫に入れておく、そうしてそれを再輸出をするとか、或いは消費を見まして国内へ引取るというときまで関税を猶予してやる。そうして引取るときに初めて関税をかけられるということになつております。終戰以来今日までかなり順調に保税倉庫が運営或いは発展しております。なお、関税定率法の改正によりまして、全部従価税に切り換わるということになりますと、かなり保税倉庫が殖えて来るのじやないかというような見通しでございます。  又保税工場につきましては、やはり昨年の十二月末現在で六十一件ございます。これはいろいろな工場がございまして、輸入品を原料或いは材料として加工をいたしまして、それを再輸出をするという目的のために設けられておる保税工場と、それから石油のタンクでございますが、これは外国から輸入されますいろいろな油を貯蔵いたします。その油はいろいろの種類のものが混合いたしますので、これを保税工場にしております。それで現在保税工場はいろいろな種類のものがございまして、例えば一、二の例を申上げますと、外国から模造真珠のエツセンスを入れまして、そうして日本で作つたガラス玉にそれを塗つて、そして輸出をする。又変つたのになりますというと、ハワイから原盤を入れて、それをNHKで吹き込みまして、そうして再輸出をする。その他種々雑多なものがございます。まあ大体そういう状況であります。保税工場の現在隘路といたしましては、保税工場へ入れます原料或いは出します製品につきまして、通産省の契約許可が要りますし、又同時に税関の許可が要るという二重の許可になつております。できるならばこれを税関ならば税関一本でやるようにいたしたいと思います。大体そういう程度で、あと特に障碍となるような事項はございません。
  79. 松永義雄

    松永義雄君 品物というか、品種ですが、それからどれくらいの金額に上るものでしよう、再輸出の場合に、通過貿易といいますか……。
  80. 木村秀弘

    説明員(木村秀弘君) 通過貿易でどのくらいの金額か、ちよつと手許に資料がございませんので、あとで調べましてお知らせしたいと思います。  それから保税工場につきましては、これも的確な数字は持つておりませんけれども、全部再輸出されるものと、そのうちの大部分のものが再輸出されるものと、或いは場合によりましては、全部国内に引取られるものといろいろな種類がございます。全額については只今資料を持つておりませんので、昨年分くらいのものは改めて提出したいと思います。
  81. 松永義雄

    松永義雄君 只今品種についてちよつと御説明があつたようですけれども、追つてもう一遍その他の品種について大体でいいのですけれども、再輸出される場合の品種、品物……。
  82. 木村秀弘

    説明員(木村秀弘君) 品種ですか。
  83. 松永義雄

    松永義雄君 品種……。
  84. 木村秀弘

    説明員(木村秀弘君) 再輸出されますものには先ほど申上げました模造真珠のようなもの、それから水晶とか、或いはダイヤモンドの原石を入れまして、それを磨いて出すというようなものもございます。それから毛糸類を入れまして、それに刺繍を施して手袋にして出すというようなもの、それから先ほど申上げました原盤に録音を吹き込みましてそれを出すというようなもの、それから自動車の部品を入れてそれを組み立てて出すというようなもの、それから薬品の原料を入れましてここで製品にしてそしてそれを南方に出すというようなもの、それから朝鮮から機関車その他の車輌を入れまして、それを修理いたしまして又出すというようなもの、それから海人草の原料を入れましてそれを薬剤にして出す。それから麻袋のように麻の原料を入れて袋にして出すというような、雑多の種類のものがございます。
  85. 小林政夫

    小林政夫君 今その保税工場を利用することは何か特定の制限等かござすか。向うの注文をとれば自由にできるのですか。
  86. 木村秀弘

    説明員(木村秀弘君) 特殊の制限はございません。それでただ制限と言えますかどうですか、結局国内へ入りました輸入品の原材料がどんどん流れるということになりますと困りますので、従いまして工場におきましては、大体それは輸出品の製造に使われるという保障が必要なわけであります。併しながらそういう設備を持たないようなものにつきましては、保税工場として現在認可しておりませんけれども、併しながらそれ以外におきましては、その取締りがつくという見込がつきますれば、全然無制限に認可いたしております。
  87. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 ちよつとお伺いしたいのですが、只今いわゆる進駐軍が来ておりますね。これは都合によつてはあとで速記録を消してもらつてもいいと思いますが、進駐軍が来ておりますね。いわゆる軍の用に供しておる倉庫と、それからこの保税倉庫との関連が相当にあると思うのですが、実情はどんなことになつておりますか。
  88. 木村秀弘

    説明員(木村秀弘君) これは非常に厄介なことになつておりまして……。
  89. 小串清一

    委員長小串清一君) 速記をとめて。    〔速記中止〕
  90. 小串清一

    委員長小串清一君) 速記をつけて下さい。
  91. 平田敬一郎

    政府委員(平田敬一郎君) 関税のほうはお話のように、手持品に対して関税がかかるだけ課税するというわけには参りませんので、そういう特別の措置は講じておりません。
  92. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 そうしますと、現在もうすでにOSS等に入つておる物件についての関税はもうそのままというふうに了承してよろしいのですね。それともう一点、若しOSSあたりの倉庫に入つておるものはどういうふうになるのですか、その当日は。
  93. 平田敬一郎

    政府委員(平田敬一郎君) 保税倉庫に入つております貨物につきましては、まだ関税の課税の問題は発生しておりませんので、これにつきましては又その保税倉庫から更に引取る際に課税するという問題があるかと思います。保税倉庫の場合も同様でございます。
  94. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 東京都内にある、例えばOSSの店の内部の倉庫ですね、これは保税倉庫と現在なつておるわけですね。
  95. 平田敬一郎

    政府委員(平田敬一郎君) そうです。
  96. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 それじやよろしいです。
  97. 黒田英雄

    ○黒田英雄君 この保税倉庫、保税工場について改正されることは大体私は賛成ですが、曾つては保税地域を指定するかどうか論議がされて、私なども相当研究はしたのですが、今日戰災の後で港湾等の設備等が非常に破壊されたり、変つておると思うのですが、若し保税地域を設定することがいいとなれば、今日は非常にやりいいときじやないかと思うのですが、この保税地域を設けることがいいか悪いかというようなことについて、今日研究されておるのですかどうか。主税局長からお答えを願いたいと思う。
  98. 平田敬一郎

    政府委員(平田敬一郎君) 保税地域の問題につきましては、実は一昨年、昨年の初め頃でございますか、そういうのを設けたらどうかという一部に相当有力な意見がありまして、研究いたしたのでございまするが、その当時といたしましては、余り広汎な地域に限りまして、保税地域を設けると、これはどうも如何にも少し行き過ぎと申しますか、関税権の及ばない地域を設定して置きますのは如何であろうかというような考えでございましたが、併し或る程度の地帶を限りまして、いわゆる米国ではたしか自由地帶と称しておりますが、あるようでございます。少し地域を限定いたしまして、その地域につきましては、比較的関税法の適用の少い、或いは殆んど受けないものにしまして、中継貿易、或いは加工貿易等を振興するようにしたらどうか、こういう案を研究して見たことがあるのでございます。そうしまして場合によりましては、これを実現の運びに行くか行かないか、大分進行いたしたのでありますが、併しその前にやはりこの現状におきまして保税工場なり保税倉庫、こういう制度を活用いたしますれば、現在もなお相当行き得る可能性もございまするし、今にわかにそういう地帯をこの際設定することにつきましてはまだ結論を得ませんので、少し延び延びになつて場おる次第でございます。この問題は将来の貿易の状況等にも関連し、更に保税工場、保税倉庫の実際の活用の程度とも考え合わせまして、将来とも研究して参りたいと思いますが、現在のところは大体今申上げましたような程度であります。
  99. 西川甚五郎

    政府委員(西川甚五郎君) 昨日愛知委員から御請求がありまして、この法案の進捗状況ちよつと御説明申上げますと、現在衆議院で御審議を願つておりまするものが十六件でございます。そうして参議院では四件お願いいたしておりまするから、合計二十件現在御審議を願つておるのでございます。そのほかに最近出ますものといたしましては、塩の専売法の一部を改正する法律案、それから日本開発銀行法案、この二つでありますが、そのほかに議員提出のものが、納税貯蓄組合法と公認会計士法の一部を改正する法案、それから税務代理士法、これも議員提出であります。そのほかに損害保険料率算出団体に関する法律の一部を改正する法律案、これも政府から提出いたしまするから、政府提案は三件今後出るはずでございます。これも一番大きな問題は日本開発鉱行の法案でありますが、これも大体まとめまして今日の閣議決定の上G・Sのほうへ出しまして二十三日か四日には提出いたしたいと思いますから、大変遅れたのでございまするが、よろしく御審議を願つてお願いしたいと思つております。
  100. 小串清一

    委員長小串清一君) 本日はこれを以て散会いたしたいと思いますが、御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  101. 小串清一

    委員長小串清一君) それではこれを以て散会いたします。    午後四時十六分散会  出席者は左の通り。    委員長     小串 清一君    理事            大矢半次郎君            杉山 昌作君            木内 四郎君    委員            愛知 揆一君            岡崎 真一君            黒田 英雄君            野溝  勝君            松永 義雄君            小林 政夫君            高橋龍太郎君            油井賢太郎君            森 八三一君   委員外議員    水産委員長   木下 辰雄君   国務大臣    大 蔵 大 臣 池田 勇人君   政府委員    外国為替管理委    員会委員   大久保太三郎君    大蔵大臣官房長 森永貞一郎君    大蔵政務次官  西川甚五郎君    大蔵省主税局長 平田敬一郎君    大蔵省理財局長 伊原  隆君    大蔵省理財局次    長       酒井 俊彦君    大蔵省理財局経    済課長     吉田 信邦君    大蔵省銀行局長 舟山 正吉君   事務局側    常任委員会專門    員       木村常次郎君    常任委員会專門    員       小田 正義君   説明員    大蔵省主税局税    関部業務課長  木村 秀弘君