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1951-03-19 第10回国会 参議院 大蔵委員会 第23号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年三月十九日(月曜日)    午後一時三十八分開会   —————————————   本日の会議に付した事件復興金融金庫に対する政府出資等に  関する法律の一部を改正する法律案  (内閣送付) ○関税法の一部を改正する法律案(内  閣送付) ○たばこ專売法の一部を改正する法律  案(内閣送付) ○通行税法の一部を改正する法律案  (内閣提出衆議院送付) ○登録税法の一部を改正する法律案  (内閣提出衆議院送付) ○相続税法の一部を改正する法律案  (内閣提出衆議院送付) ○印紙税法の一部を改正する法律案  (内閣提出衆議院送付) ○骨牌税法の一部を改正する法律案  (内閣提出衆議院送付) ○所得税法の一部を改正する法律案  (内閣提出衆議院送付) ○法人税法の一部を改正する法律案  (内閣提出衆議院送付) ○租税特別措置法の一部を改正する法  律案内閣提出衆議院送付)   —————————————
  2. 小串清一

    委員長小串清一君) これより第一十二回大蔵委員会を開会いたします。  復興金融金庫に対する政府出資等に関する法律の一部を改正する法律案関税法の一部を改正する法律案たばこ專売法の一部を改正する法律案、以上三案とも予備審査であります。政府より提案理由の御説明を求めます。
  3. 西川甚五郎

    政府委員西川甚五郎君) 只今議題となりました復興金融金庫に対する政府出資等に関する法律の一部を改正する法律案提出理由を御説明申し上げます。  今回改正しようといたします主なる点は、次の四点であります。  その第一点は、復興金融金庫国庫納付金は、収益勘定からのものと資本勘定からのものとの二本建となつておりまして、その債権を保全するための費用につきましては、従来収益勘定で経理されていたのでありますが、この費用のうち本来債務者の負担すべきものは、債権保全費用立替金として資本勘定で経理するのが適当でありますので、今回これを資本勘定からの国庫納付金の計算に算入することとしようとする点であります。  第二点は、復興金融金庫が引受けた農林債券償還金につきましては、従来その国庫納付に関する規定が設けられていなかつたのでありますが、これを昭和二十六年度において国庫納付せしめその納付額に相当する金額の減資を行おうとする点であります。  第三点は、復興金融金庫が融通した資金で、代物弁済として公社債を受け入れることにより回収したものがあります場合には、その公社債当該年度における償還金に相当する金額国庫納付せしめようとする点であります。  第四点は、昭和二十五年度分の国庫納付金につきまして、その納付のための支出予算額がその納付すべき額に対して不足いたします場合には、その不足額昭和二十六年度において納付せしめることとしようとする点であります。  次に只今議題となりました関税法の一部を改正する法律案について提出理由を御説明申し上げます。  今回改正しようといたします主な点は、次の五点であります。  その第一の点は、関税法は、戰時中行政簡素化趣旨により、外国貿易船輸出入業者に対する許可認可事項を極力廃止したのでありますが、近時外国貿易正常化に伴いまして、必要最小限度取締規定を復活することといたしました。  第二の点として、税関の執務時間外の臨時開庁等には、従来勅令又は省令を以て手数料を徴収していたのでありますが、財政法規定趣旨に鑑み、これを法律規定することといたしました。  第三の点としては、外国貿易の伸展並びに関税率全面的改正に即応いたしまして、関税の賦課に関して不服のある輸入業者の利益を保護するため、関税訴願審査制度を整備することにいたしました。  第四の点としては、近時密貿易方法は、極めて巧妙になつておりまして、犯則者は、往々犯則物件を海中に投下する等の方法をとつており、犯則貨物漂流物又は遺失物として拾得される場合が多いので、これらの物件を拾得した者は、税関又は警察に差し出さなければならないこととする等、水難救護法及び遺失物法特例を設けることといたしました。  第五の点としては、密貿易者の検挙に重要な役割を果している第三者通報制度の一層の活用を図るため報告者に対する報償金を増額することといたしました。  その他、港域法改正に伴いまして、別表で規定しております開港の港名等について所要改正をいたそうとするものであります。  次に、只今議題となりましたたばこ専売法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由を御説明申上げます。  先ず第一点は、農薬用たばこに関する特例を設けたことでありまして、農薬用葉たばこは、日本專売公社において、その収納を行わないこととし、他方これらの葉たばこも、製造たばこの原料として用いることもできるので、右の措置に応じ、たばこ専売法違反事件取締上適正な運用を定め、所要規定を整備いたしたことでございます。  次に第二点として、製造たばこに対する災害補償規定を整備いたしたことであります。製造たばこ小売人は、日本専売公社の指示するところに従い、一定の製造たばこ品種別手持数量を常備しなければならない義務がございますが、日本專売公社の責に帰すべき事由又は不可抗力によつて小売人が所持する製造たばこが、品質の悪変、包装汚染等販売に不適当となつた場合には、現行法では引換制度によつて救済することとなつております。併し天災によつて小売人製造たばこが滅失いたしました場合には、小売人は、手許に引き換えるべき製造たばこがないわけでございますから、このような場合にはその滅失した製造たばこの二分の一程度までは、補償することができる制度を設けることといたした次第でございます。  最後に、製造たばこ包装製造等許可制について御説明申し上げます。たばこ専売法違反事件取締の必要上、新たに包装製造又は営業の目的を持つた所持、讓渡販売等について、日本専売公社許可を要することといたした次第でございます。  以上が、この法律案提案理由であります。何とぞ御審議の上、速かに御賛成の程御願い致します。
  4. 愛知揆一

    愛知揆一君 この法律案審議について、議事進行意見を申上げたいのでありますが、先般事務局のほうで作つて頂いた資料によりますると、まだ相当件数の未提出法律案があるようでありますが、これについては、先月の議院運営委員会におきましても、一般的な取扱の方法として、原則的には二月中に提案なつたものについて三月中に審議するということになつておる次第であります。勿論それは原則的なものではありますけれども、すでに三月も下旬になろうとしておりまするときに、なお今後法案提出が予想されておるような状況にありますることは、今後の審議上非常に支障があると思いまするので、この際、あとどのくらいが政府として提案を予想されるものであるか。又そのうちで年度関係その他からいつて、どうしても三月中に成立を必要とするものがどのくらいあるか。これを一応伺つておきたいと思います。
  5. 西川甚五郎

    政府委員西川甚五郎君) 只今はつきり存じ上げませんから、一応この問題は明日御回答させて頂くようにお願いしたいと思います。
  6. 愛知揆一

    愛知揆一君 ちよつと事務局のほうからでも、この前一応お配り頂いたものと、それから今見通されておる状況を参考までに伺いたいと思います。
  7. 木村常次郎

    ○專門員(木村常次郎君) 今までお手許に届いてないもので、予定されておるのは、塩專売法の一部を改正する法律案、資産再評価法の一部を改正する法律案国税徴収法の一部を改正する法律案、それから再評価積立金資本組入に関する法律案、これはまだ付託にならないのですが、これも大蔵委員会にかかる予定ですが、今法務委員会にかかるかどうかというようなことが少し問題になつておりますので、どうなりましたかわかりません。それから公認会計士法の一部を改正する法律案税理士法案、それからこれはまだはつきりいたしませんですが、旧令による共済組合等から年金支給者のための特別措置法の一部を改正する法律案、それから相互銀行法案信用金庫法案、そういうものがまだ残つておるわけであります。開発銀行は如何でしようか。
  8. 西川甚五郎

    政府委員西川甚五郎君) 開発銀行は大体でき上つておるのですが、二十二、三日頃までに閣議決定のところへ持つて行きたいのですが、一番最後に出る案になると思います。
  9. 愛知揆一

    愛知揆一君 結構です。
  10. 小串清一

    委員長小串清一君) それでは通行税法の一部を改正する法律案登録税法の一部を改正する法律案相続税法の一部を改正する法律案印紙税法の一部を改正する法律案骨牌税法の一部を改正する法律案、右五案を一括して質疑を続行いたします。  別段御発言もないようでありますから……。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  11. 小串清一

    委員長小串清一君) 御異議ないものと認めます。質疑は盡きたものと認めて直ちに討論に入ることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  12. 小串清一

    委員長小串清一君) それではこれより討論に入ります。御意見のあるかたは、それぞれ賛否を明らかにしてお述べを願います。    〔「討論省略」と呼ぶ者あり〕
  13. 小串清一

    委員長小串清一君) 別に御意見もないようでありますから、討論は終局したものと認めて御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  14. 小串清一

    委員長小串清一君) 御異議ないと認めます。それではこれより採決に入ります。先刻いたしました五法律案を一括して採決をいたします。  原案に御賛成のかたの挙手を願います。    〔総員挙手
  15. 小串清一

    委員長小串清一君) 全会一致と認めます。よつてこの五法案は原案通り可決すべきものと決定をいたしました。  なお本会議における委員長口頭報告の内容については、本院規則第百四条によつて、あらかじめ多数意見者の承認を経なければならないことになつておりますが、御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  16. 小串清一

    委員長小串清一君) 御異議ないものと認めます。  それから委員長議院提出する報告書につき、多数意見者署名を附することになつておりますから順次御署名を願います。   多数意見者署名     森 八三一  小宮山常吉     小林 政夫  松永 義雄     大矢半次郎  木内 四郎     油井賢太郎  愛知 揆一     黒田 英雄  尾崎 眞一
  17. 小串清一

    委員長小串清一君) 御署名漏れはございませんか。……御署名漏れないと認めます。   —————————————
  18. 小串清一

    委員長小串清一君) それでは所得税法の一部を改正する法律案法人税法の一部を改正する法律案租税特別措置法の一部を改正する法律案の三案について御質疑をお願いいたします。
  19. 松永義雄

    松永義雄君 これは経済安定本部のほうに御質問するほうが妥当と思うのですけれども、併し主税局長は学者ですから私の質問に答えて頂けると思います。それは極めて抽象的な原則的のことでありますが、経済安定という意味はどういうことかということです。(笑声)もう少し具体的に私申上げておきたいのですが、このことは前々より同僚委員の御質問があつたと思いますが、繰返し御質問するのもどうかと思うのですが、経済安定ということも、いろいろの考え方があると思います。私の考えている点といたしましては、要するに物価と賃金と申しますか、生計費、それから税金関係、これが均衡よろしきを得ているであろうかと考えます。その点から御質問いたしたいと思うのでありますが、先ず第一に御質問いたしたいことは、租税特別措置法の一部を改正する法律案の中に、関税法と同じようにやはり砂糖税金が上るという規定なつているのであります。それで結論を直ちにお聞きいたしたいのですが、この結果、配給価格にどれくらいの影響を及ぼすかということであります。
  20. 平田敬一郎

    政府委員平田敬一郎君) 最後の点ちよつとお聞き漏らしたのですが。
  21. 松永義雄

    松永義雄君 税金が上るためにどれくらい砂糖配給値段影響を及ぼすか、その率……。
  22. 平田敬一郎

    政府委員平田敬一郎君) 砂糖につきましては、今までガリオア等輸入しておりました関係、並びにそれを主食の代替配給等も行なわれておりました関係上、臨時免税して参つたのですが、大分砂糖消費事情も変りましたので、今回免税を廃止することにいたしたのであります。ただ前国会で砂糖消費税税率につきましては、大分大幅の引下げをいたしておりますので、この税率をそのままに適応したらどうかと考えまして、そういたしますると精製糖の場合におきましては、現在の小売価格に対しまして二割程度引上げになるということでございます。百斤につきまして千円でございまして、この程度でございますれば、今の小売価格に対して二割程度響くということでございまして、最近の状況から見まして先ず妥当であるものと考えている次第であります。
  23. 松永義雄

    松永義雄君 これは関税のほうも入れて二割ですか。
  24. 平田敬一郎

    政府委員平田敬一郎君) 関税のほうは、先般も説明いたしましたように、粗糖についてやはり一割の関税率を予定しております。精製糖に対しましてはそれよりも若干低くなつておりまして、従いましてその部分と合せて値上りをいたす、こういうことに相成つております。
  25. 松永義雄

    松永義雄君 両方加えて二割ということに大体解釈してよろしいですか、そういうふうに聞いておいて……。
  26. 平田敬一郎

    政府委員平田敬一郎君) 粗糖の場合一割でございますので、若干これよりも内輪のものになるかと思いますが、税から見ますと消費税と合せて二割八、九分程度になるのじやないかと見ております。三割ちよつと弱。
  27. 松永義雄

    松永義雄君 そこでさつきの原論に戻るのですが、経済安定とは一体どういうことかという、まあ極めて一部でありますけれども、只今のお話しは砂糖、その他お味噌とか、醤油とか値上げをして、生活物資が著しく上つておる。あなたたびたび統計のことを言われているようですけれども、事実は、我々の認識から言えば、お台所に非常に大きな響きを与えている。この事実を見ても、できるだけ簡單に申上げますが、ベース等も考えて頂かなければならない、税金も考えながらベースをつまり、コスト・オブ・リビングということからベースを考えて、この頃はやりのエスカレーターということがあるが、一つあなたの御答弁の範囲内から、どうかあなたの蘊蓄を披瀝してお答えを頂きたいと思います。
  28. 平田敬一郎

    政府委員平田敬一郎君) 砂糖につきましては、今申上げました程度影響でございますが、お説の通り砂糖は現在でも尚輸入が十分でございませんで、どつちかと申しますと、まだ闇価格自由価格は相当高くなつているといつたような事情もございまするし、先ずこの程度課税によりまして、余り大きく生活に響くとは実は考えていないのでございます。ただ御指摘の全体のべースの問題のお尋ねでございますが、これはむしろ最近の物価騰貴との関係をどういうふうに考えるかという問題が一番大きい問題だろうと思います。それでその後における財政の見通し、そういうような関連におきまして決定せらるべき問題ではないかと考えるのでありますが、先般もたびたび申上げておりますように、幸いにいたしまして、昨年の十二月頃までは実は消費者物価指数は極く僅かの微騰にとどまりまして、殆んど上つていなかつたのであります。二十四年の平均を一〇〇といたしますと、十二月が九七という程度でございましたが、今年の一月になりまして少しはね上りまして、それが一〇一ぐらいに上つております。なおその後若干騰貴の傾向にあるのではないかということを憂えているのでございますが、一般の消費者物価がどういうふうに動いて来るか。これが相当動いて来るということになりますと、恐らくベースの問題とか或いは更に所得税改正の問題といつたような問題が出て来るかと思いますが、まだ今のところ政府といたしましてはこれを直ちに改訂するといつたようなところまでは実は情勢は来ていないのではないか、今後の情勢をよく見究めまして、情勢が変りますれば、勿論それに応じまして妥当な措置を講ずべきものではないかと考えるのでございます。ただ一方におきましては、歳出の側におきましても、最近の特殊な物件につきましては相当実は値上りを来たしております。この一部の歳出につきましては、値上りしましたために、元の事業をそのままやるとしますれば、当然追加歳出を要するというような事情もございます。そういう場合におきましてこの財源をどうするか、相当全般的に、若しも今のような情勢が更に今後少し激しくなつて来るということになりますと、そういうことになるのではないかと考えるのでございますが、現在までのところ私どもまだ具体的に案を考えるという段階に至つていないということを申添えておきたいと存ずるのでございます。
  29. 松永義雄

    松永義雄君 もう一点だけですが、いつも消費者統計ですが、それを援用せられるのですけれども、併し米の闇価格も相当値上りを来たしておる。生活に必要なる物資が上るのは、いい悪いは別にしまして、とにかく事実は上つているということは、米のごとき、味噌のごとき、砂糖のごときものは、延いてその他の物価値上りを来たす動因となると考えるのは常識だと思うのであります。政府はしばしば経済は安定したと言つて威張つていられますが、最近の情勢は、これはあなたのほうが百も御承知だと思いますが、乱れたものを直す、ベースを上げるとか上げないというようなことでなくて、それに伴つて行くのが経済安定の本旨ではないかというように私としては考えるのですが、御考慮を一つ願いたいと思います。
  30. 平田敬一郎

    政府委員平田敬一郎君) 現在の段階におきましては、どうも詳しく申上げるだけの材料を持合せていないのでございまするが、先ずやはり前提といたしましては、できるだけ物価の安定を図るということに努力を重ねるべきではないか、併しそれにもかかわらずやはり結果におきまして上つて来たという場上におきましては、適当な時期にそれに応じました調整は必要ではないかと考えるのでございますが、ただやはりこのような措置につきましては現状並びに将来をよく見通しまして適正な措置を講じませんと、却つてその機会に更に破綻を生じまして、インフレの危險を多くするといつたようなことになる虞れもございまするし、そういう点もよく考慮いたしまして妥当な措置をとるべきものではないかと私は考えておる次第であります。
  31. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 今の松永委員質問に関連するのですが、砂糖消費税ですが、これはまだ国民担税率は相当私はあると思うのです。それでむしろ生活必需品のその他の、例えば先般あなたのほうから出された関税率大豆であるとか、落花生とか菜種油とか、そういつたようなものを関税暫らく免税するとか、石油税免税するとかいうほうが、経済安定には私は却つて効果がありはしないかと思うのです。その点に関連して、今まで大蔵省側検討した結果どんなような工合になされておるか、ちよつとお尋ねしたい。
  32. 平田敬一郎

    政府委員平田敬一郎君) 砂糖消費税は現在大体四割の税率でございましたのが二割程度引戻りまして、普通の引下げであるのでありますが、砂糖消費税をもう少し高く課税してもいいじやないかという御議論も確かに一方においてあるかと思うのでありますが、併し酒類その他と違いまして、純粋な嗜好品ともどうも言いかねるところがございまして、砂糖はやはり或る程度必需品的な性質を有していることは事実でございますので、さればと言いまして、一時のように食糧の代替物、カロリーの補給源、そういう意味は今日ではなくなつておると考えられまするので、まあ課税してもよろしかろうという考えでございます。さればと言いましても、余りこれに対しまして高率な課税をいたしますのはほかの課税との権衡上如何か、物品税税率としましても課税をするとすれば、今のところ二割前後の砂糖消費税の負担が妥当ではないかと考えております。  それから関税との関係でございますが、関税は勿論第二次的の財政収入という点もございますが主としましてはむしろ国内産業の保護という見地から、どちらかと申しますと重視いたしておるわけでございます。そのような点から考えますと、御指摘のように、大豆の場合、大豆国内増産についてどう考えるかという問題を実は相当重要なファクターに入れておるのでございます。それから油の場合でも、たびたび申上げますように、国内原油資源をどうして行くかという点にどちらかと申しますと大体の中心を置きまして、併し余りに保護すると申しましても、消費者に対する影響が大きい場合には或る程度低い税率にしなければならないといつたような、両者の面を併せ考えまして関税率を定めておるような次第でございます。ただ併し極く最近の事態からいたしまして大豆油とかにつきましては、すぐ四月から実行していいかどうか、大分議論がございますが、基本的には今申上げましたような観点から考えまして、妥当な関税率を定めるということにいたしておる次第でございます。
  33. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 ただ大蔵省当局においては砂糖消費税関係については、もつと担税力があるかどうかという点についての検討はなさつたことは事実なんですね。
  34. 平田敬一郎

    政府委員平田敬一郎君) これは率直に申しまして砂糖の免除をやめる際につきましても、いろいろ調べました。砂糖は大体御承知通り文明の進歩していない所であればあるほど必需度が少くて、嗜好品に近い。非常に進歩した国におきましてはむしろ必需品と関連しておる所が多いようです。作しそれにもかかわらずやはり砂糖につきましては、大体各国課税いたしておりまして、アメリカにおいてさえ相当に課税をいたしております。でございますが、アメリカあたり課税率は一番低いようでございます。一〇%未満、五、六%だつたかと思います。イギリスあたりは二割程度課税しておるようでございます。その他少し文明の進んでいない国におきましてはもつと高く課税しておる所もあるようでございますが、先ず日本といたしましてはほかの間接税税率と比較いたしまして今免税点を外して課税する際でもございませんし、二割程度課税ということは妥当ではないか、こういうことで砂糖消費税税率を考えておるような次第でございます。
  35. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 只今の局長の話はよくわかるのです。アメリカじや大体一人当り一年十六貫目程度砂糖を消費している。而も世界での文明国砂糖消費量が多いほど、いわゆる文明程度というか、文化の程度が高いとさえ言われている。併し日本では何しろ戰後の復旧ということが非常に重大であり、而も砂糖なんかは大体アメリカの十分の一くらいしかの消費量に現在なつておりません。そういうものに課税を高くしたところで、国民生活全体の上に及ぼす影響は私は大したことはないと思うのです。併しながらそれに対して徴収される税額というものは、これは相当の額に上ることはまああなたの御承知通りなんです。そこで追追砂糖輸入も殖えて参りましようけれども、そういうものに対して、暫らく嗜好品のほうにウエイトを、重きを置いて、もつと税率を私は高くするなり、関税を高くするというような措置をとつてそのほかの、いわゆる国民大衆になくてはならないような物資税金というようなものにかけることを控え目にするとか、或いは他の税金を下げるとかといつたようなことにされたほうがいいんじやないかと思うのですが、そういう点について御当局では更に一段検討を願いたいと思うのです。これを希望条件としておきます。  それからもう一つ、配付されました資料についてちよつと伺いたいのですが、去年と比べまして、今年の一月末のいわゆる租税収入額ですが、それが八二・三%しかになつていないのです。補正予算において幾分税率引下げるといつたようなこともされているにもかかわらず、昨年と比べて率が非常に低下しているというのは、これはどういうことを一体意味するのであるか。つまり国民生活がこれだけ苦しくなつて、税金徴収に耐え得られないということを現わしているのか。或いは当局において徴収が、少しく徴収方法が昨年あたりと比べてゆるくしているという点であるのか、そういつたような点をちよつと説明願いたいのです。
  36. 平田敬一郎

    政府委員平田敬一郎君) 御指摘のように一月末におきましては、前年に比べまして若干低くなつております。それから二月末におきましてもなお若干低くなつておりますが、これは御承知通り主としましては申告所得税の納期を若干、一カ月だけずらしまして、一月末でございましたのを二月末に延ばした面があるのであります。従いまして申告所得税の税の収入の割合が、その中でも特に悪くなつているようでございますが、そういう点が比較的大きな理由であろう。従いまして三月中頃以後になりますれば、漸次接近して参つて来るものとも考えている次第でございます。その程度も比較的軽微であると考えますが、お話の点は確かにそういう現象が二月末項までの実績でございますと、現われているようでございます。併し三月の上旬、中旬以後になりますと大体前年に近い成績を示して来ることになるのじやないか、まあこのように期待いたしております。
  37. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 私のさつき申上げたのは、表を間違えまして、二月末の資料でありますけれども、前年同期の収入歩合と比べて八六・五%、これは局長は大変軽く大差ないようにお話になつておるが、一三・五%も減少しておるということは、これは相当大きな社会問題じやないかと思うのです。この点については局長の御説明では少し納得行かないのですが、これはもつと掘り下げて御検討なさつて、改めて国税庁あたりと御協議の上御答弁願いたいと思います。
  38. 平田敬一郎

    政府委員平田敬一郎君) これは非常に私ども重要な案でございますので、よく検討いたしておるのでございますが、御指摘通りに、去年に比べてではありませんで、予算の総額に比べまして、二月末の収入割合が八二・四%になつております。昨年は予算総額に対しまして、二月末の収入割合が八六・七%でございまして、四%程度の差があるということでございまして、全体が前年同期の収入割合に対しまして八二・四%になつておるというわけではございません。そういうことになりまして、主として申告所得税がし収入が遅れております関係だと思います。なおこれはまだやや正確でございません、速報でございますが、三月十日現在におきましては前年が八九・六%でございますのに対しまして、本年が八七%、つまり二・六%だけの開きでございますが、大分接近いたしております。これは主としまして二月末の納期でありますところの申告所得税等が、二月下旬から三月の上旬にかけまして、大分入つて来ました結果大分接近いたしたのでございます。これは今後督促等を行いまして、申告所得税が入つて来ますれば、大体同じ所に行けるのじやないかというふうに考えております。
  39. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 今の説明でその点は了解したのですが、やはりこの申告納税が昨年と比べて大分悪いということはこれが一番問題になる点だと思うのです。申告納税のいわゆる是非ということが、これによつて明らかになつておると思うのです。もう少し申告納税して滞納しないような人に対するところの優遇策というようなものを講じて徴収方法の改善というようなものは図れないのですか。
  40. 平田敬一郎

    政府委員平田敬一郎君) なおこの申告所得税につきましては、三月の一旬で大分更に接近いたして来ております。三月の一旬に、例えば前年同期が六七・三%に対しまして、今年は六〇・二%というふうな開きになつて参りましたが、これは今後督促等いたしますると更に接近して来るかと思いますが、ただ併し、御指摘通り申告納税が一番ややうまく行つていないということは事実でございます。従いまして今国税庁におきましても、税務署におきましても、殆んど勢力の大半は申告所得税の円滑な査定と、それから徴税ということに努力をいたしておるのでございますが、なかなか問題が簡單に行かん所も各種あるようでございます。今年度は殊に申告ということに重きを置きまして、相当事前に納税者に対しまして申告の指導をする。そうしまして申告の成績は相当前年よりもよくなつて来つつあるようでございます。ただ併し非常に理想的な状態に行つておるかと申しますとなかなかそうではないのでありまして、私はやはりここ四、五年は要するのではないかと考えますが、漸を追いまして改善を加えまして、申告所得税の本旨に即するような納税と徴税が行えるようにいたしたいと思います。これは目下徴税の方面に力と、勢力の大半を費やして努力しておることは御承知通りでございます。
  41. 黒田英雄

    ○黒田英雄君 小さい問題ですが、所得税法の十一条の五は、生命保險に払込んだ保險料は、二千円までは免除されるのですが、これはこの頃二年とか三年分を一遍に払込むというような何があるのですが、こういう場合には仮に六千円とか払込んだものは今年二千円、又来年二千円と引くことはできるのですか。
  42. 平田敬一郎

    政府委員平田敬一郎君) その年々にして参ります。或る年に払込んだ保險料のうち一千円ということでございまして……。
  43. 黒田英雄

    ○黒田英雄君 そうしますというと、毎年払込めば二千円で、四千円引かれるわけですね。それを一年に二年分とか三年分を払込んでしまうと一遍しか引かれないことになるわけですね。
  44. 平田敬一郎

    政府委員平田敬一郎君) さようでございます。これは年々に払込んだ保險料のうち幾らということにいたしませんというと、繰越しを認めるとか何とかということはとても技術上整理がむずかしいのではないかと考えておりまして、或る人が或る年に払込んだ保險料のうち二千円……。
  45. 黒田英雄

    ○黒田英雄君 二千円、三千円を一遍に払込んでいるのは、又来年にしろということになるわけですね結局。
  46. 平田敬一郎

    政府委員平田敬一郎君) 或いは結果におきましてそういうことになるかも知れません。
  47. 黒田英雄

    ○黒田英雄君 我々非常に便利で向うからそうして来るのですから、こちらは払込んでおつたんですがね。
  48. 小林政夫

    ○小林政夫君 証券の売買差益に対する課税について、帰つて大蔵大臣も研究するということでございましたが、その後どういうふうになつておりますか。
  49. 平田敬一郎

    政府委員平田敬一郎君) この問題につきましては、先般一応大臣もお見えになりましてちよつと御意見をお述べになつたのでございますが、昨年のシヤウプ勧告で相当重要な改正の一環であつたのでございまして、改正におきましては法人税は、所得税を前払いしておりまして、総合課税の際に法人税を控除する。その半面株式等を売買しまして得た利益、この利益の全額を課税の対象に入れる。尤もこのインフレーシヨンによりまして値上りした分、この名目所得の分は、再評価税を課税するということで、再評価の倍率を乗じて出て来た額を超えて売買しました場合に全額を課税対象に取入れる、こういうシステムに昨年変えたわけでございます。で、この制度は従いまして相当二十五年度の税制改革の全体の制度の中の重要な一環をなしておるのでございます。その点は先日も大矢委員から御指摘があり、且つ御質問がありまして、大臣もお答えになつたのでありますが、そういう税制の根本に関する問題でございますので、いま少し実施の状況を見た上でよく検討いたしたい。果してどの程度まで実際において価格を補足ができるかどうか、それからそういう方法がいいかどうか非常に問題が多いと思いますが、経済的に見ますと、この制度は二つの見方から判断して参つたらどうか、今度の制度は非常に株式を投資目的といいますか、利廻採算を某にしまして株式投資をする、余り株の値上り値下りで儲けようというのでなくて、長期に定安した株式投資、而も配当を、相当配当所得を得たいというのでその見地から投資する人、こういう人に対しましては実は非常にいい、いいと申しますか、有利な制度でございます、今までに比べまして……。今までは御承知通り、株の配当に対しましては源泉で控除しておるのは、法人税を課税しまして、それを配当率を源泉課税で二割差引いて、而も総合課税ちよつぴり、一割五分という制度を実は二十四年から実行いたしたのでございます。その前は全額総合課税をしたりしておつたのですが、二十五年度の改正によりましては、その源泉課税は全部やめまして、そのほかに配当を総合課税する場合に、配当所得の二割五分、税額を控除として引くんです。課税所得から引くのではございません。所得の税額から差引きますから、二重課税をする、それを排除する。その結果投資家の利廻採算は非常に株式の場合よくなつております。そういう点は非常に将来の株式投資に有効な役目を果しております。その半面従来は讓渡所得に対しては、一時所得というので二分の一を総合課税にいたしておつたのでございますが、今度は全額総合課税する。ただ併し先ほど申しましたように、インフレ利得の分は排除する。それからもう一つは、その変動所得として五カ年平均課税は、これは認める、そういう方向でやつておりますので、インフレ利得を排除した面は、これは確かに今までと比べまして讓渡所得の課税上も投資家に有利になつておりますが、短期の売買の所得に対しましては、今までよりもどつちかと申しますときつくなつております。どちらの制度経済的に見ましていいかということになると思います。徴税上におきましても、果してどこまで正しく申告され、査定ができるか、そういう点がいろいろ問題でございますので、まあ今後なおそういう点につきましては、根本に触れる問題でございますから、よく研究して見るということで大臣もここでお述べになつておりまして、私もそういうような心持でいる次第でございます。
  50. 小林政夫

    ○小林政夫君 一十五年度の課税収入が、実際に捕まえられた数字わかりますか。
  51. 平田敬一郎

    政府委員平田敬一郎君) これは非常に細かいフアクターでございますので、二十五年度、二十六年の見込は一一見ておりませんが、二十四年度分の株式等讓渡所得の課税実績は、二分の一した額でございまして、二分の一した額の残りが二億五千五百九十九万二千円という所得金額が、課税の実績に現われているようでございます。この点は先般租税に関する参考計表としてお配りしております所得税の分に入つております。
  52. 松永義雄

    松永義雄君 再評価積立金資本組入に関する法律案の第三条、(「議題になつていないよ。」と呼ぶ者あり)ちよつと、関連していますから、株式を発行することができる、こう書いてあるんです。これは無償に株式を株主に与える場合も予想されているんですか。
  53. 平田敬一郎

    政府委員平田敬一郎君) 大体再評価積立金は、原則として株主のものだという観念をとつておるのでございますが、会社の資産の含みをつまり評価しまして表面に計上したということでございますので、これは原則として株主に帰属すべきものだ、従つて原則は株主に対する無償ということにいたしております。ただ例外といたしまして、その際に抱き合せの増資という意味で、有償増資を合せてやることができる。それから端数株の整理等に対しても若干の規定を設けております。原則は株主に当然帰属すべきものであるけれども、分配するというような意味に解釈いたしておるわけでございます。
  54. 松永義雄

    松永義雄君 そこでお尋ねしたいのは、今度留保所得に対して積立てた場合に税金を除くということになつているんですね。そこで問題は、先ず第一に、先ほどお尋ねがありました株主に有利になつて、配当所得が殖える勘定になる、そうして更に会社のほうでは積立金を無税にするからどんどん積立てて留保所得が殖えて来る、で会社が堅実になる、こういう趣旨だろうと思うんですが、そこで積立金のほうの場合なんですが、一応まあそういう考えを持つている人から言えば、筋が通つているとも考えますけれども、併しこれにつきましては会社の重役というか、マネージヤーが非常にまじめでなければならんということが前提になるのではないかと思うのです。それでそれは幾多の大蔵省の監督の規定だとか、或いはよそのお役所の監督の規定だとか何とかによつて監督せられることになつているのですけれども、併し事実は各会社の重役さんたちが会社の金を濫費することは、もう過去の実際においてこれは判断されることであるのでありますが、従つて株主のほうから言うと、会社に金を積立てると使われちやうから配当しろしろと言つて株主は重役を責める、重役は株主に対してこの際何とかまあ株主の言い分も立てておかないと自分らの地位が危しくなるというので、重役としては株主に対してできるだけ配当をしよう、悪い場合は蛸配当までして地位を繋いで行こうという傾向がある。すべてが、従来の会社の重役というものが、実際の資本主義的資本家を超えてはつたりのような重役が非常に多いということを我々は認めているのであります。健全なる資本主義の発達ということでなくて、スペキユレイテイブの考えを持つたような連中も非常に多いのでありまして、問題は、如何にこういうふうに規定を設けられて資本家側のほうの意図を表現されても、それの運営に当る人が、実際的に会社が多少でも公共的性質を帯びているという考えがあるとすると、それを伸ばして行けるだけの資格が果して現在の重役にあるかどうかということであります。それはまあ昨日ちよつとほかの法案について御質問申上げたのですが、まあ我々電車に乗つて富籖定期預金なんか見ても随分おかしい。競輪を見るような気がするのですが、ああいうものは一体貯蓄精神だろうかということを僕も聞きたい。過渡時代だから仕方がないという意味ですか。併ししばしば政府のかたがたも言われている通りに、余り御馳走費なんか出さないようにするように、そういうことを監督するのに、御馳走費もこれも或る程度必要でしようけれども、併し濫費するといつたような気持はただ御馳走だけにとどまらないで、背任にまで進んで行くようになる。ただ問題にならないだけの話で、事実上そういうことが起つておりまして、それで如何に兜町の人間が株式民主化と言つても、兜町の橋は渡れんという、怖くて行かれんという気持が強くある。一体そういつたような点について、まあこれは希望にはなるのですけれども、実際問題についてもう少し法律の条文だけをきめたからつたつて、それを行う意思があるということが前提ならいいけれども、その先は余り言いますと差障りがありますから、内部に触れないでおきますけれども、実際もう少しこういう法律を作るのに実態をよく見極めてお作りにならなければ、文字だけ並べて置いたつてこれは何にも効果はありません。やはり積立金のごとき税金を取つたほうがいいのじやないか、何でも取つたほうがいいのじやないかという考えが、そういう精神があるのですが……。
  55. 平田敬一郎

    政府委員平田敬一郎君) 積立金に対する課税を、措置法で停止いたしますのを、できる限りこういう際でございますから、社内留保を多くして、自己資金で産業資金を調達するようにという趣旨を加えまして、この課税をやめることにいたしたのでございます。併しこの負担自体としてそれほどの問題でございませんので、これがために非常にそういう方向に行くかどうか、これが問題だと思いますが、まあ併しこういう空気を作りますと、おのずからそういう方向に相当行き得るのじやないかということを考えまして、この措置をとるようにいたしたような次第でございます。それから先ほど御指摘の資本の再評価積立金のほうは、これは御承知通り固定資産の評価の付け替えをやりまして、それを積立金に整理するだけでございまして、その積立金を、而も株式資本金に振り替えると申しますか、加えると申しますか、そういうことでございますので、これは異議はあるまい。そういたしまして会社の資本構成をむしろできる限り最近の経済事情に合つたものにいたしまして、それでむしろ経営者が逆に鞭撻されるというような方向に行くべきではないか、最近の配当率等が非常に四割、五割と言つて、一応高いようですが、実は非常に低い。四割、五割と言いましても、表面上の資本金が非常に過小なために、それが余り大した配当じやないという場合が相当多いのであります。私どもはむしろこの基礎の確立した企業の場合におきましては、或る程度この再評価積立金を資本に組入れまして、資本金を最近の貨幣価値に応じました資本金に直しまして、それに対して果してどれくらいの利益を上げて行くのか、配当をどうするのか、将来の経営をどうするのか、そういうふうなことにつきまして経営者の、悪く言いまするとごまかす余地をなくする、よく言いますと、まあ経営の基準をはつきりさせまして、やつてもらうようにするという方向に行くのがいいのじやないかという趣旨で、実はこの組入れを認めようという考えでございます。なお御指摘通り余り資本金を少くして、五割配当といつて、表面上は高い配当をいたしております。勢い安易な企業の中には、こんなに儲けて配当しているのだから、会社の社内におきましても、或る程度経費として交際費等、多少支出してもいいのだ、こういう考えを持つている人もおるのではないかと思います。そういう点の是正にも、むしろ多少資し得るのじやないかというふうに考えておるのでございまして、いろいろな措置を講じまして、できる限り会社の経営の合理化を図りますと同時に、社内留保による資金の蓄積ができるようにいたしたいというのが、今回の各案を通じました一つの考え方でありますことを申添えておきたいと存ずる次第であります。
  56. 松永義雄

    松永義雄君 一応まああなたの立場から、あなたの説明せられたことは、会社にとつては、それは非常にいいことではありますが、併し税金をかけられるから積立しないでどんどん配当してしまえ、税金を取らないようになつたのだから留保処分をどんどんやつて行かれる、そしてまあ産業の合理化ができるのではないかと考える、一応それは納得できるのですが、ところが現在の会社の経営方法のごときは、実際どうかと思うが、一々これはまあ例示することはどうかと思うのですが、今の重役諸公なんてのは、一口に言えばゼントルマン的じやない。それからもう一つ、少い資本で利益が上つているので、配当すると五割とか、四割とか……まあ株数を殖やして、そうしてとにかく表面的でも率を低くして行こう、その点の説明は私はそれをイエスとは言えないのですけれども、併しあなたのおつしやつたことはわかりますけれども、それがためにその会社が儲つて行く場合に、留保所得のほうへどんどん廻して行くなり、とにかく又株のほうへ配当を廻して行けば、却つて五割で済んだものが、今度は元の株数から言えば七割になつて来るということになつて行つて、会社というものが、会社自身及び株主自身が非常な利得をする結果になるので、これはまあ最近の経済情勢の然らしむるところであると思うのですが、そういう傾向になつている際でありますから、又元に戻つて、これは法人税の問題である、所得税の問題である、勤労所得税を何とかして行く、そういうことも考えられるということを一つ申上げます。まあ私がそう思うのですから、一つ政府においてもそれが正しいかどうか一つ御研究願いたいと思います。結構です。
  57. 平田敬一郎

    政府委員平田敬一郎君) 法人税の負担が少し、軽いのじやないかという議論が大分最近ございまして、恐らくむしろ法人税を増税して所得税を軽くすべきじやないかという意見が大分出ておるようでございますが、これは先ほども申上げたように、一つは法人の課税制度につきまして、先ほど小林委員のお話もありましたようなシステムを導入することにいたしましたのが一つと、それからもう一つは、超過所得税を昨年やめたのでございますが、三五%の普通所得税だけで果してこれでいいかどうか、こういう議論と存ずるのであります。で最近の状況から見ますと、法人が相当に成績を挙げておると思いますが、最近は税率が、税負担が合理化されましたために、法人企業の決算は相当よくなつております。今までのような高い税率がかかつておりました時代に比べまして、むしろもうその利益を堂々と一つ正しく申告をしようという方向に最近相当来ておるようであります。これは税率の合理化と同様に一方におきましては査察機構の活動もあずかつて力があると考えるのでございますが、それによりまして正しい利益が正しく申告されて行きますれば、非常に傾向としまして私はいい傾向に来ておるのではないか。そうしますと非常に全体の負担が公正になるという点が考えられますので、法人税につきましてはそのような点に特に期待をいたしまして、余り税率の引上げを急ぐのは、私どもまだ如何であろうかと考えております。ただ現在としまして経済状況等大分変つて来ておりまするし、それから先ほど小林委員から御指摘のありました点の課税制度等につきましては、実際の状況によりまして更に検討いたして見たいと思いますが、そういう点につきまして相当将来問題にすべき点が残つておることは率直に申上げて私どももこれは認めておるのでありまして、そういう点につきましても、よく情勢の推移等考えて、そのときに応じまして妥当な税法ができるように今後も努力いたしたいと考える次第であります。
  58. 松永義雄

    松永義雄君 もう一点お伺いいたしたいのですが、くどいようですが、会社が儲かる。儲かると留保所得を考える。株主配当が一応その程度でとどまれば、又それ自体として或る側から言えば筋の通つた話だろうと思うのですが、併し金が溜まつて来るというと、これはこの間の新聞に書いてあります通り、どんどん不動産を殖やして、どんどんビルデイングを建てる、或いは会社とは直接の関係ない事業税を払う方面において盛んに贅沢な建築が行われるといつたようなわけで、先ほど申上げたように会社の重役の濫費というか、脱法的な濫費、これはあなたとして会社との関係はどういうことになるか知りませんが、浮いた調子になつてしまう虞れるが多分あるのではないか。我々として見れば余り配当し過ぎるじやないかといつて非難をするのに、その上に濫費して重役があちらこちらに使う、それじや一体むちやくちやな資本主義じやないかということを感じておるわけですが、その点を一つ、くどいようですが、先ほどと同じことを申上げて……、一つ御説明願いたい。
  59. 平田敬一郎

    政府委員平田敬一郎君) 会社の濫費の問題は、税制の場合でもいつでも私は昔から議論しておるのでございますが、どちらかと申しますと、超過所得税等相当高率の課税をする、利益を出せばその出した分の大部分はこれは税で取つてしまうということのほうが、むしろ濫費に向う慮れが一般的に多いようであります。三五%程度のフラツトな税率にいたしますと、その点はむしろ濫費に向わしめない方向に行くようでございます。ただ御指摘のように更に一層状況がよくなつて、これまでの税金を納めてもなお余裕綿々としておりまして、従つて贅沢なことができる、そういうことになりますと、これは又そういう見地から自然会社が贅沢なと申しますが、やることの余り必要ないことまで儲けた機会にやつてしまう、こういう傾向になるかと考えるのでありまして、御指摘の点はむしろ後者の点だろうと思いますが、併しその辺はやはり税金が高いと、又濫費に追い込む、その結果をどうするかという問題であろうと考えるのでありますが、資金の融通等についても、私はやはり相当儲かつておる企業等は、銀行等の貸出についても或る程度の調節を加えられますれば、儲かつた資金は本当に必要な方面の資金に流して行くというような方向に或る程度行き得る可能性がありますし、今の段階におきましては、余り会社に重税を課して逆に濫費に行かせるというような方向に行かないほうがどちらかと申しますと望ましいのではないかと考えますが、併し御指摘通り、大分いろいろな企業等もございますので、そういう情勢等をよく注意しておきまして、税制の適用につきましてもその情勢に適応するような工夫を凝らして行くということは当然努めて行くべきものと考えるものでございます。なおこの留保所得を多くするという点で、濫費が多くなるという御心配でございますが、これは実は会社が交際費とか、或いはいろいろな少し贅沢な経費を出す。これは経費になるのです、実は率直に申しまして……。従つて留保所得はそれを引いた残りなんでございまして、留保所得を軽くして行くということになりますれば、これはあえて使わないで留保しておきまして、その資金を有効に使うという方向に行き得る可能性もまあございまして、これはなかなか一つの角度だけからは判断はむずかしくて、いろいろな要素がございますが、お話のような点もよく考えまして、将来とも妥当な課税制度のできるように努めたいと考えておる次第であります。
  60. 松永義雄

    松永義雄君 口論みたいになるのですが、まあ税金を坂つても、税金を払うくらいならば使つてしまつたほうがいい。これは昔からよく申します。留保所得は……、留保所得とおつしやいますが、そこのところはやはりあれなんでしよう。動産や不動産に変つてもいいわけなんですから、そこで問題は、重役がまあ一坪五百円の地所を六百円で買つて見たりですね、……といつたようなことが従来行われておつたようであります。殊に最近まあ相当な信用のある会社においても、具体的な一々の例は申上げませんが、動産と言いますか……といつたような売買についても、まあよくそんなことやつていられるもんだなどいうことも我々は見受けているようであります。結局これは経済ということに道徳を入れるということで、なかなかむずかしいことかも知れませんけれども、併しそれが徹底しなければ、たとえあなたが誠意を以てこういう法律案をお作りになろうとして見たところで、それは実効が挙らない。結局それは将来日本経済組織がどういうふうに行くかという大きな問題だと思います。そういうことも考えている委員も一人いるということをお認めになつて頂きたい。
  61. 小串清一

    委員長小串清一君) この法案についてはまだ御質疑がありましようね。
  62. 清澤俊英

    ○清澤俊英君 ちよつとこの今日のあれと何か違つておるかも知れませんが、最近新聞を見ますと、酒の小売の値段を上げられるような新聞がぼつぼつ見えておりますが、あれは大体どうなつておるのですか。実はあの問題について、酒税のこの前の引下げのときに米の値段も上るし、物の値段も上るのであなたに大体どうであろうかと……いや、それは心配ないというお話があつたようでありますが、それが一カ月もたたないうちに上るという話をぼつぼつ聞きますので、若し上るとすれば、その事情をお伺いしておきたいと思います。
  63. 平田敬一郎

    政府委員平田敬一郎君) 先般法律案を御審査願いましたのは、たしか昨年の十一月でございまして、まあ四カ月も前になるわけでございますが、その当時といたしましては、私どもは米は或る程度上るということで、この米の値上りに伴う価格の改訂はいずれしなければならんだろう、併しその程度は比較的軽微だと考えておるということを申上げておいたのでございますが、その後更にコストの計算をいたして見ますと、最近では殊に小運送賃等が相当値上りをいたしておるようでございます。それから米以外の原料につきましても、例えばいも類等が昨年の十一月に比べまして、やはり実際に取得しました原料が少し高くなつておるようでございます。従いましてこうなるとやはり酒類につきましても、或る程度生産と販売の適正を期するためには、最近の原価事情に応じました価格の改訂というものは必要じやないかということを考えまして、目下相当精細な原価計算をいたしまして、価格の改訂を立案中でございます。その結果といたしまして、まだこれは確定ではございませんが、清酒の場合におきましては一升当り二十五円乃至三十円、それから焼酎がやはり大体三十円前後、その他そういう類似の値上げはどうも最近の原料高、運賃高等からいたしまして、止むを得なかろうというので、目下そういう値上げを、価格の改訂を行うべく取り進め中でございます。その程度の値上げでございますれば、値段からいたしますと清酒が、二級酒が大体四百六十円でございまして、四百六十円に対しまして二十五円の値上りですと約五%、焼酎は三百三十円でございますが、これが三十円上りますと、これは一割近くになります。この程度の引上げは、今の事情からいたしまして止むを得なかろうという趣旨で目下改訂を取り進め中でございますので、この際申上げまして御了承願いたいと思います。
  64. 清澤俊英

    ○清澤俊英君 それからこれは法人の所得の問題ですが、松永さんから大分御質問があつたようですから、重複しておるかどうか知りませんが、大体法人の所得というものは、これはまあ小さい会社はそうでもありませんが、少し大きな会社になつたら果して完全につかむ御自信があるのですか、大体は地方の税務署が行つて妥協して来るのじやないかという考えを持つておる。常識から見ましても、地方の税務署全体がかかつて見ましても、大きな会社になればそれより以上の人員を揃えて経理をやつておるのに、それをそれより以下の人で行つて、技能的にもそれから又知識的にも以下の人が行つて果してつかめるか、つかめないか。従つて一般にまあ何億という儲けのあつたところでは、それの三倍も五倍も儲けておるということを言つておるのですが、そういうものに対する御確信はどうでしようか。結局しますれば、この間の日発の問題に際しまして、小坂総裁が言うように、何かわがらない金が何十億もそこらにごろついておる、そういうものはさつぱりわからない。こういうことはどこの会社にもあると思いますが、そういうことに対するつかみ方に対する御見解を一つお伺いいたします。
  65. 平田敬一郎

    政府委員平田敬一郎君) お話の点は一応常識的と考えます。それが最近はどつちかと申しますと、むしろ傾向が逆になつて参りまして、大会社のほうがむしろ調査が徹底して、相当適正な査定ができておりまして、中小のほうがどつちかと申しますとなおまだ不十分のような実情にあるように、そこまでむしろ進歩したと申しますか、なつておるのでございます。それから御指摘の税務署の役人ではなかなかむずかしいという、全く私ども同感していたのでございますが、二年ほど前の改正で、先ず査察官を設けまして、惡質の脱税をやつているものと認めますものにつきましては、優秀な官吏を査察官といたしまして、査察官が同時に多数で調査できるようにいたしております。これは税務署單位にしませんで、国税局單位に配置しております。それからそういうものでなく一般の調査にいたしましても、税務署の管轄から国税庁の管轄に大きな会社のものは移しまして、調査を、これは国税局の調査官というのが專ら当ることになつております。この調査官は更に税務官吏の中の相当な経験者であり、且つ優秀なものを比較的多数揃えまして、必要に応じまして五人、十人一緒に行つて調べることができるような機動的な組織を実は作つておりまして、従いましてこの調査官等が調べますると相当いい成績を挙げて来ているようでございます。それからもう一つは、これは二十五度の改正から申告者に実は重役、社長、それから経理担当の責任者、これらの自署捺印という非常にむずかしいことですが、この申告は正しいもので自分が作つたものであるということを立証せしめる意味におきまして、自分で自署して出さなければならない、盲判ではいけない、変な書類を作成いたしまして、あとで脱税等が起つた場合におきましては、従つて社長なり経理担当の重役は逃げることができない、こういう仕組に昨年の改正でいたしたのでありますが、そういう点からいたしましても相当正しく申告する、余り変なごまかしはできない、こういう方向に進んで来ておるようであります。それからそれと、先ほど松永さんに申上げましたように法人税の税率制度自体が相当合理化されまして、所得の計算方法も合理化されまして、税率も三五%の一本の税率にしたということでありまして、まあ大きな会社等は、あとで税務署或いは国税庁等から変な責任を問われるよりもむしろ正しい申告をずつとやつたほうがいいということに最近相当来ておるようであります。そこで私は大会社は今はどちらかといいますと、相当よくなつて来ておるわけです。ただ非常に技術的な点でまあ相当問題が残ることは事実でございますが、その点につきましては成るべく取扱方針等も公開いたしまして、それに準拠して計算するように事前にやかましくいつております。それから事業におきましては、できるだけよく取調べまして、適当な計算をするようにしようというわけでありまして、この点は飛躍的改善がなされ得るのじやないか。従いまして御懸念の点はむしろこの中頃と申しますか、その会社にどつちかと申しますと、まだ相当残つておるのだ、この辺の同族会社になりますと、なかなか第三者もいないで、一人か二人で負担してやつておるということになりますと、どつちかと申しますと、経理を適当にやる余地が多いのでございますので、そういう方面につきましては更に一段と調査を徹底させまして、正確な申告と査定ができるように努めて行くべきではないかと考えておるのですが、そういう方面につきましてもよく注意いたしまして、今後勉強して行くつもりであります。
  66. 清澤俊英

    ○清澤俊英君 それでこの間も鉱工品貿易公団の審査の際ですが、不足金の一部を一般会計から補填すると、あの審査の際にまあ十何億の価格差の損失などが出ております。大体あれらのものを考えて見ますと非常に安いけれども、二十五年前期あたりから後期にかけて大体相当量が入つておる、殊に纖維品などが非常に多いと思うのであります。それがまあ二十五年の朝鮮動乱以来急激な暴騰を来たしておる、こういうのはよほど大変な利益を得ておるだろうと思います。従つて会社の名前は申しませんが、或る会社のごときは、これらの変動によつて数十億を儲けておると、そういうので、小会社などへどんどんと金が廻つて来て、そうしてそこでもう現にその小会社などが地方の物資を全部買溜めしておる、一年分くらいの品物も買溜めしておるから、そこにおる従業員などは、うちの会社は昨日まで遅配で困つておつたが、もう大丈夫だ、もうここ半年や一年くらいはちやんと材料まで買う金が来ておるのだからということを言うておるのです。こういうようなものに対することが間違いなく調べられておるでしようかどうか。
  67. 平田敬一郎

    政府委員平田敬一郎君) お話のような点も私どももちよちよい耳にいたしております。一般の株式を公開しておるような会社は決算上の利益には出さなくても、申告の際にはすつかり利益を出して来るような所もございます。それからそうじやない向きに対しましてはよく調査を徹底させまして努力をいたしたい。さつき申しました調査官の制度等も、相当人間を揃えまして、私も先般大阪の国税局に参りましたところが、一堂に集めて何か講習しておる、何だと聞きましたところが、調査官を百四、五十人一緒に集めまして、調査官の講習をいたしておりましたが、そういう官吏をうまく機動的に動かしまして調査しますと相当な成績を挙げ得るというので、目下国税庁におきましても、朝鮮動乱以後特に景気のいい所、利益を大いに収めたと認められる所、こういう向きに対しましては特別調査の計画をいたしておるようでございます。特に糸へん、金へんと言つておられますが、そういう方面のみならず、いろいろな情勢からして相当利益を挙げておると認められるような部面、この部面に対しましては手遅れなく、うまく調査することをしまして後憂を来たさないように努力しております。私は相当成績が挙つておるのじやないかということを期待していますが、そういう計画も漸次適切に行われまして、公平な課税ができるように努めたいと考えておる次第であります。
  68. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 資料を拜見していますと、今回昭和二十六年度の予算に所得税、法人税等を計上されておる基礎や何か明細に書いてあるのですけれども、これはこの前の補正予算のときの延長であつて、実際二十六年度の税法改正というのは、あの補正予算の当時とは大分変つておるのだからもう勿論直さなければいかんのじやないかと思うのですが、まだ何も局長は改正する必要を認めておられませんか。それとも近い将来やり直さなくてはならない段階に来たというふうにお考えになつておられますか。
  69. 平田敬一郎

    政府委員平田敬一郎君) これはもう油井さんにたびたびお答えしたのですが、補正予算にそのままが載つておるわけではございませんで、補正予算の数字と所得税とは緊密なる関係をとつておりますが、二十六年度において、実は増加見込をそれぞれ指数で現わしまして、それで基礎を出しておるわけでございます。それでその増加見込の指数が、この案を最終的に認めましたのが十二月、乃至一部は今年の一月でありますが、法人税の収入等が成績が非常によろしいのでだんだん計画を立てるにつれまして、この一月中に最終的に余計に見たのでございます。更に一層余計見込替えをすることが必要かどうか、できるかどうかと、こういう問題だろうと思います。この点は率直に申上げまして、最近までのような傾向が今後なお引続く、こういう傾向が続いておるという、或いは若干又激しくなつて来ると、こういうことになつて来ますと、これは私は或る程度の見込替えをする時期が来るかとも存じますけれども、今の段階におきましては、まだいつどういう方法において変えてやるべきかというところを具体的に申上げる段階までは至つていないことを御承知願いたいと存じます。
  70. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 そこで若しそういうふうな段階に来た場合には、どの税を一番先にやり直すかということは問題になると思うのですが、私はこの基礎控除ですね、各種の基礎控除の率が、今回の改訂では少しくまだ少な過ぎる、こう思われるのですけれども、局長のお考えとしてはその点どうでしよう。
  71. 平田敬一郎

    政府委員平田敬一郎君) 基礎控除は二万五千円から三万円に引上げるわけでございます。その一番関係の深いのはやはり消費者物価指数だと思つておりますが、二十四年度を平均しまして、この一月の指数が一〇一じやなく、正確にいいますと一〇〇・九、こういうことになつておるようでございます。昨年の十二月は九七くらいでございましたが、少し上りまして一〇〇・九になつております。従いましてこの指数が少し上つて来ますと、これは現実に家庭で購入する物資の価格が上つて来たということになりまして、購買力の変動と申しますか、そういうことを実際立証しておるということになると思うのでございまして、この指数の動きに一番注目いたしておるのでございます。従つてこれが又どんどん上つて行くということになりますと、更に又所得税の控除等につきましても、或る程度検討するのが、これはまあ理窟を申しますと正しい行き方ではないかというふうに考えます。併し二十四年の基礎控除は一万五千円です。それを二十五年に二万五千円にし、今度二十六年は三万円にするようでありますから、二十四年の水準に比べまして大体水準が同じでございます。これに対しまして倍になつておるわけで、所得税につきましては、私は相当な改善が行われたというふうに今でも考えておるわけでございます。従いまして今後更に上げるか上げないかという問題になつて参りますと、これは今後における財政事情と申しますか、歳出の側の事情も併せ考えて、所得税の合理化をどうするかといつたような問題をやはり総合的に考えませんと、どれから先にやるべきかというふうに今からきめてかかるというのも少しむずかしいのじやないかと考えますが、今後の情勢の推移等を考えまして、勿論そういうような点につきましても、我々は始終研究を怠らないで参りたいと考えているのであります。
  72. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 もう一点、たしかシヤウプ勧告の中に、一体税率というものは半分くらいまで取られるなら仕方ないけれども、それ以上取られるようになるのは不合理だというようなことが書いてあつたように記憶するのですが、地方税を合せますとやはり七〇%、或いは八〇%というふうな高率課税になるのがあるのですね、そういうのも将来順次訂正されるようなことは検討なされましたか。
  73. 平田敬一郎

    政府委員平田敬一郎君) 所得税の最高税率をどうするかというのは、非常に今問題で、二十五年度の改正でもその点が一つの大きな問題になつたわけでありますが、これは五五%でありますが、それに市町村民税が約一割八分、標準で行きますと……。それを入れますと従つて六五%くらいであります。この事業税はこれは所得から経費で差引くのです。一種の事業の経費的なものと認めまして、まあこれを負担の中に入れていいかどうかいろいろ議論がありましたが、一応私どもは除外してもいいのじやないか。殊に二十六年度から附加価値税になりまして、はつきり売上げ税みたいなものになりますので、なお更そうだと思いますが、大体六五%の所得税の最高税率が果してどうかという問題だと思います。その点から考えますと、実は少し率が低いのです。先般各国の所得税の概要をこの委員会にお配りしましたが、アメリカは現在九二%、それを今度は九六%に上げるというふうに大統領は勧告しておるようですが、イギリスは九五%非常に高い税率で、ドイツもよく調べて見ましたら九〇%以上課税しているようです。  従つて所得税税率が五五%、地方税を入れましても六五%、こういうことになりますが、むしろ低過ぎるのじやないかという議論がどちらかと申しますと多いのです。ただその点につきましては、新税制は富裕税で負担するという建前をとつております。高額所得の会社の重役さんの所得だとか、或いは事業によつて生じた所得に対しましては、いきなり高率課税しないが、一旦所得が資産化いたしまして、その資産から生ずる所得に対しましては、富裕税と合せて相当の高率になる。五千万円を越しますと千分の三、利廻が一割と計算しますと、所得に対しましては富裕税は三〇%の負担ということになります。で、そうしますとやはり所得税、富裕税を合せますと、相当な負担になる。そういう問題を併せ考えて、どういうふうにしたら所得課税として一番いいかという問題に帰着して来ると思うのでございます。従いましてこの問題は、富裕税と併せまして所得税の最高税率を按配するという考えは、シヤウプ勧告においては特に強く謳つているわけでございますが。そういう点をどういうふうに今後考えて行くか、これは非常に税制の上における常に重要な一つの問題であるかと考えるのであります。それから私は、所得税は地方税を入れまして六五%でございますれば高いほうではない、むしろ問題は、所得の最高税率の適用を受けるブラツケツトが今は五十万円、百万円に……、これは最近の貨幣価値からいつて妥当かどうか、むしろその辺に問題があるのではないか。百万円の所得と申しましても戰前の貨幣価値に直しますと、まあ五、六千円くらいの所得でございますが、二百分の一としますと五千円になりますが、その辺に少し問題が残つておるのではないか。従いましてむしろ会計区分、できますれば私は将来なお上にずらすほうが望ましいのではないかと考えておりますが、今の段階におきましては、最高税率の問題につきましては、そのような点が今後の研究問題となろうかと考えておる次第でございます。
  74. 森八三一

    ○森八三一君 非常に小さい問題でありますが、農地改革の最後の仕上的な一つの考慮としまして、御承知の土地の交換分合を推進して行かなければ、更に一層生産を高めて行くということが、労力的にも関係いたしまして非常に困難であるということで、政府のほうもこの問題につきましては、かなり農林省を中心として積極的に推進をされておるという状況にあるのでございます。これは非常に細分化された農村の実情から申せば、非常に大切な問題だと思うのでございます。その場合に等価の交換のときには課税の対象にはなりませんのでありますが、不等価の交換の場合には、その超過部分に対して所得の課税があるというような話を聞くのでありますが、それがどのようなお取扱いになつておりますのか。若し私の聞くようなことでありますると、非常に面積の細分化されておりまする農家に対しまして、理論的な根拠からは交換分合を推進して行くということが実質的には進まないという結果になりまして、国家的な増産を達成して行く上において、殊に国内食糧の自給度を高めて行くという観点から非常に支障があると思われますので、好ましい方法といたしましては、こういうような問題は何らかの臨時措置が講ぜられて然るべきかと存じまするのでありまするが、その辺どういうような取扱いをされていますか。又今後のお考えについて承わりたいと思います。
  75. 平田敬一郎

    政府委員平田敬一郎君) 土地の交換分合という問題は、農業の生産を上げる意味において重要であることは、私どももときどき承わつておるのでございますが、現在におきましては、登録税につきましては、交換によりまして保存の登記をする場合は登録税を免除する、これは租税措置法でその規定を設けまして、そのような場合におきまする障害をできるだけ少くするように考えておるのでございます。それから所得税の問題におきましては、これは何か特別の法律でも作りましてよほど強制的に広汎にやるようなことになりますれば、これは確かになお今後研究の余地があろうかと思われますが、現在のところにおきましては、交換しました場合におきましては、御指摘通り等価交換の限度におきましては、讓渡所得には課税をしない。ただあとで讓渡した土地は、前の土地の原価で買つたもの、こういうことになつております。その土地を将来更に売買した場合には、讓渡課税をする、こういうことにいたしておるのであります。ただ差額がありまして、金銭で一部の対価を得ておる、こういう場合ですと、その機会に譲渡所得に課税計算をしまして課税しておきませんと、将来におきまして課税するという機会がなくなりますので、その限度におきましては、これはやはり課税をするのはいたし方なかろうというふうに考えておるのでございます。尤もその際におきましても、土地等につきましても、再評価法に基きまして再評価をすることになつておりますので、財産税の評価額から一定の倍率の所までは所得税課税対象になりませんで、ただ六%の再評価税だけを行うことになつております。先ず大きな支障はないのではないかと考えますが、なお併し特別の法令等を設けまして相当一般的に且つ強行的にやるというような政策でも行われるということになりますれば、或いは若干の研究の余地が残つておるのではないかと考える次第でございます。
  76. 森八三一

    ○森八三一君 尤もこの問題は非常にむずかしい問題でありますので、すでに個々人の耕作面積が非常に小さくなつておりますので、大規模にこれを強制的に推進をするということについてはいろいろ問題もあろうと思います。という関係から、自然部落なり村なりで話合つて円満に進めて行くというような方法が当然考えられて行くと思うのでございますが、そういう場合にその超過所得と申しますか、現金で収受いたしましたものが、実際その農家の収受したという関係には置かれないわけでありまして、むしろどつちかと申しますれば、いい土地を手放すとか、面積が小さくなることは、現在の農業経営から考えますれば非常に喜ばないことを、国全体の生産を上げて行くという観点から強行するということになりますわけでありまして、その超過と申しまするか、現金収受の分につきましては、これが他に土地を求められたことになりますれば非常に結構でありますが、当然現在の情勢におきましては、新らしい土地をそれによつて求めるということは困難であつて、自然その農家の経営規模というものは縮小され、生産は非常に低い状態に変つて行くという結果になるわけでありますので、国全体の生産増強のために一つの犠牲を強いられたということになるわけでございますので、これは今後の問題として十分御研究を願いたいと思うのです。  それから法人税の関係でありまするが、たしか先日大矢委員の御質問に対しまして、大蔵大臣から御答弁があつたように記憶いたしておるのでありまするが、中小企業でございますと商業組合とか、水産農林関係の組合のごとき零細業者の団結いたしておりまする特別の任務を持つ法人、而もそれらは大部分法律におきましてそれぞれ営利を目的とすることを禁止されておるというような状況でもありますので、こういうものに対しまする法人税につきましては、相当考慮をして頂くべき内容があるのではないか、でき得ますなれば、これは免税措置を期待いたしたいのでありますが、国全体の財政関係もあることだと思うのでございますが、といつて一般法人と同列に並べておるという現行法では、その持つている法人の特殊的な性格から申しまして欠ける点があるのではないかと考えるのでありますが、これに対しまして今後のお考えを承わりたいと思います。
  77. 平田敬一郎

    政府委員平田敬一郎君) 特別の法人につきましては、昨年から三五%の同じ税率課税するということにいたしたのでございますが、その前は若干一〇%の差がございましたことはお話の通りでございます。ただこれは私どもそういう法人の所得を計算する際に、法人の特殊性は十分に考えておるのでございまして、例えば産業協同組合でございますれば、組合員に対しまして、事業の分量に応じてなす配当と申しますか、これは所得から除外する、課税所得に算入しないということにいたしております。而うしまして純粋に出資を中心としまして組合の中に利潤として残る部分、この部分だけを、実は残るところの部分として出資に応じまして配当する分、この分だけがいわゆる法人の課税の対象に実はなるのでございまして、その事業の分量に応ずる配当の分を除外しましたあとの部分におきましては、普通の会社の分と実質において差がないのではないかということを考えまして、同じにいたした次第でございます。ただ併し現在として小さい法人である、或いは法人自体も資本が薄弱だから低くすべきかどうかというような問題が別にあろうかと思いますが、そういう問題としまして今後研究をするかしないかということに帰着するのではないかと考えるのであります。なお非常に、そういう団体でありまして課税上ではどうにも行かないというようなものに対しましては、別途に農協等に対しましても一定の措置をとるようなことを考えておるのでございますが、大体今申しましたように、この出資を中心としましてこの利益があり、配当する分、こういう分につきましては、まあ特別に差をつけたほうがいいかどうか、これは将来におきましても研究して見たいと思いまするが、まあ特別に担税力が弱いものといたしまして、特別な政策を、どういうふうに率を低くするか、そういう問題として考えるべきものではないかというふうに今のところ考えておるのでございます。なお一種の商品の売買とか、或いは製造とか、そういう通常営利事業で行なわれますような事業、又所得につきましては、ひとり特別法人のみならず、昨年からは公益法人、民法三十四条の法人等が行います場合におきましてもやはり課税する。いやしくも一定のいわゆる取引と申しますか、普通の営利事業で行われますような事業を、特定の団体等で行いまして、それによつて利益が出て来なければこれは課税しませんが、利益が出て来た場合におきましては普通の法人にも課税するという、まあ二十五年度の改正で一貫したのでございますが、その辺果して実情に即するかどうかという点で再検討の声が出て来ておるようでございますが、そういう点につきましてもよく研究して見たいと思います。理論は今申上げましたような理論で出て来ておりますことを併わせてこの機会に申上げまして御参考にいたしたいと思う次第であります。
  78. 森八三一

    ○森八三一君 只今局長のお話の出資配当と、それから事業の分量に対する配当の関係でありますが、勿論これは私どもの解釈では、事業分量に対しての割戻しをするか、資本に対する利益を配当の形においてつけるか、どちらを選ぶかということは、組合の総会における自由な意思によつて決定されて然るべきものと思うのでありまして、その場合において、お話のございましたように、事業分量に対する配当はこれを課税の対象にしないということは、法律規定いたしているところでありまするが、実際の取扱がややもいたしますると、その組合の定款で規定をいたしております出資による配当の最高までに配当をしなければ事業分量に応ずる配当を認めないというような取扱が間違つて行われているような事例があるやに承わるのでありまして、これは恐らく政府の御方針なり、規定をお作りになつたときの精神には副わないのであるというようにお伺いするのでありまして、利益をどういうふうに割るかということは、組合の総会における意思決定でよろしい。事業分量に応じた割戻しをやりまして、出資による配当をしないということがありましても、それは決して脱税とかいう目的でやつたのではなくて、問題は残らないというふうに思うのでありまするが、その辺の解釈につきまして、お伺いいたしたいと思います。
  79. 平田敬一郎

    政府委員平田敬一郎君) 只今のお話は私も全く同感でありまして、むしろこの種の組合は、出資を中心として動くというよりも各事業者の共同した組合でございますから、どつちかと申しますと、事業の分量に応じまして、余計な分が組合に残つた場合におきましては事業の分量に応じまして分けるのがむしろ本筋ではなかろうかというふうに考えるのでございます。従いまして勿論その結果は、お話の通り組合の自由だと思いますが、課税におきましても、そのようなことをやつております場合におきましては、まあ当然認めらるべきでありまして、そういうものを否認する云々の問題は、余り起すべき筋合いのものでないと考える次第であります。ただ出資による配当の代りに、全く同じような基準で事業の分量に応じて配当するということはあり得ないと思いますが、基準がはつきり事業の分量に応じておりまする以上におきましては、当然組合に配当すべきではないかということをはつきり申上げて差支えないかと考えるのでございます。
  80. 森八三一

    ○森八三一君 もう一つ小さな問題で気の付きましたことをお伺いしたいのは、所得の決定、或いは相続税等の決定の場合に、今申上げました水産とか林業の協同組合、農業関係の協同組合等の組合員がその問題に当りました場合には、組合の預金通帳を提示をしなければ、税務当局の御了解が得られないというようなことがかなり強行されておる地方があるように聞いておるのであります。勿論課税の対象を正確に把握して参りますために、方法としてそれを否定することは如何かと思うのでありますが、ただそれが銀行とか郵便局とかいうような場合には、比較的調査が困難であるということで、調査が極めて見やすい立場に置かれておる協同組合等の場合には、強く要請せられるために、却つてこういうような機関の発達を妨げておるというような事例がときどき私ども耳に入るのでありまして、これは当然いずれの機関に対しましても、政府としては公平に取扱うという原則にお立ちになつておることは、よく理解はできまするが、実際の現われておる行動というものは、必ずしも公平に扱い得ないということから、いろいろの不満が起き問題が起つておるというふうな実情にあるのでありますが、こういうことに対しまして、本当に公平に扱うということが実際問題として可能であるとは私ども考えられないのでございますが、実際のお取扱はどうなりますのか、その辺の御方針を承わつて置きたい。
  81. 平田敬一郎

    政府委員平田敬一郎君) お話の点は、結局できるだけ私のほうも公平に扱うということが、税務行政をやります場合におきまして一番重要な一つの原則だと考えておるのでございまして、わかりやすいから特にいじめるとか、或いは相手方が弱いから調査を徹底させるというような筋合いのものであつてはいけないのではないかというふうに考えます。ただ問題は、多数の税務官吏がおりまして、それぞれ調査を担当いたしておるわけでございますが、結局税務官吏の熟練度を上げるというのと、素質を引上げると申しますか、そういうことによりまして、一々調査に当りまする際における税務官吏の能力と品格と申しますか、そういう問題に最後は帰着するのじやないかと思います。勿論方針といたしましては、極力余り不都合な事件がございますと直ちに注意いたしまして、爾後そういうことがないようにするといつたような措置をとつておることも、たびたびございます。併し要するに調査に当りまする担当官吏の能力と素質を上げまして、それによりまして、できる限りこの公平な調査ができるようにいたしたい。特別法人に限りまして今御指摘のような預金通帳を出さなければ申告は認めないというようなことを一律にやつておるとしますれば、それはどうも如何かと考えますが、これはやはり調べまして、どうも辻褄が合わないというような場合、そういうような場合におきましては、必要によりまして預金帳その他を付けて出せということもあろうかと思います。併しそこまでしなくても十分説明で納得が行きまして、査定ができる場合もあるかと考えるのであります。そういう点はやはり個々の事例に応じまして妥当な処理をして行くというふうに努むべき問題ではなかろうか、かように考えておる次第でございます。
  82. 清澤俊英

    ○清澤俊英君 丁度いい機会でございますからちよつとお伺いします。農業所得の計算に、労働力の計算を所得からのけられていることが、しばしば問題になるのでございますが、そこで一つ考えて頂かなければならんことは、特に單作地帶などですが、大体労働力が一反歩について、今のところ農林省あたりの計算にして見ましても、二十八人から二十三人くらい、こういう点でございますが、実際はもつと開きがございますが、三十三人くらいから十八人くらいと思つております。それで労働力のかかる所ほど収穫がないのです。これが事実なのでございまして、そういう逆比例を持つのが実態になつております。まあこれを私どもの單作地帶で一つの例を挙げますれば、今東北地方へ汽車に乗つておいでになればすぐわかる。桑畑をずつと見て歩くと、一株の桑を五所なり六所なりちやんと縛つてある。これは秋口になりますと、一反歩に数人の手間をかけてこれを皆結えて、そして雪に害されないようにする。春先になりますと、それをほぐす、これに十人くらいの者が一反歩に費される。而もその十人を、それを計算において必要経費として見積るときは、その方法がない。而もそういう冷害地帶であるというような場所の、山奥等になりますれば、耕地整理もできておらないし、非常に交通も不便だし、又冷害も受けやすいというようなことで、従つて収穫もずつとこれは他の場合よりは減つて来るのであります。こういう逆比例がある。そこで昔からこういう労働力と収穫との不均衡を直すために、徳川時代でも一つの刈地制度という制度が設けられて、大体余り労働力を計算に入れない時代でも、収穫を中心にして、そうして一反歩という地積を対象にしませんで、百刈、こういうものを中心にして大体の小作料等がきめられている。それで結局百刈とれるという地籍が二反である場合も、一反半である場合もある。そうしてその地積を中心にしないで、そこからでき上る収穫を中心にして年貢を取る。昔の年貢米は今の税金と同じようなものと考えていい、いろいろ性質は違いますが……。こういう心遣いが行われている。それが今のような進歩した時代におきまして、ただ一反歩の収穫だけを、いろいろな諸経費で見積るが、その一番の逆比例を持つた労力をお考えになつて頂かなかつたら、それは農村における所得の計算が、千日たつても解決つかない、こう思うのであります。私は是非一つ、御無理をお願いするわけじやないのですが、少くともこの実情を調べて、そうしてこういう昔からのそういう方法があるならば、一つそういうものについて、何らかの合理性を発見し出そうという考え方ぐらいして頂いて、一つのそういう調査機関ぐらいをお設けをして頂く御意思があるのかどうか。現在正直に申上げますと、そういう事情が大分わかつて参りましたから、必要経費というものを多分に見て頂く、併し実際には、そろばんに合わんものは、多分に見てもらうものに引当てて行く上に実は困つている。相当の額まで必要経費として余分のものを見て頂きたい。これを引当てて行くのに困るという状態になつていて、なお解決つかんものが残るというのは、この矛盾した労働力の計算を看過せられているのだというところに私は基因するのだ、こう思いますので、これは非常に重要な問題であり、而も数百年来と言つていいか、いつ頃から刈地制度が始まつたのかわかりませんから、何百年来というわけには参りませんが、古い昔からそういう一つの形が残されて、そうして収穫というものを反別等でなく、収穫の上で反別をきめて行く、結局分け前の問題が、そこに出て来るのでありますから、こういうものが取られておるということを一つお考え置き下さいまして、何とかする方法を、何か一つ調査機関でも設けて、まじめに研究して頂くようなことが考えられませんかどうかということを一つお伺いしておきたいと思います。
  83. 平田敬一郎

    政府委員平田敬一郎君) 只今の御指摘の点、問題が二つあると思いますが、労賃の分につきましては、他人に払いますところの賃金、雇用労賃、これは当然所得の計算上必要経費に実は算入いたしまして、その代り、もらうほうに所得税がかかつて来る、これは給与所得としてかかつて来る。で自分の自家労賃でございますと、それが即ち農業所得になるという観念からいたしまして、自家労賃は所得から差引くというようなことは、これは非常に所得税の本来の建前上できないと申しますか、すべきでないと申しますか、そういうことに実は相成るわけでございます。従いまして雇用の労賃を比較的余計払つているような場合におきまして、それを十分必要経費に見るということでございますれば、これは当然よく調べまして、見るべきものは見る、その代りもらつたほうに今度所得税が給与所得としてかかつて来るということに相成りまするので、自家労賃でありますると、それが即ち農業所得の大部分でございまして、それを差引くということはなかなかむずかしいのでございます。問題はそういう場合におきまして、何か特別なことが考えられないかということだろうと思いますが、その点につきましては、一つは農業所得は勤労所得的要素が多いから、一般勤労控除というものをやるか、やらんかという問題が一つございます。それからもう一つは、家族労働に対して、何か特別な考慮をしたほうがいいのじやないかという議論がございます。これは後者の問題につきましては、今まで引いておりませんでしたのを、二十五年から一万五千円の控除は全部行うということにいたしたのでございますが、農業所得に対しまして、特別な勤労控除をするかしないか、この問題は相当いろいろ研究して見たのでございますが、農業所得について見てみますると、中小の営業所得についてもやはり認むべきではないか、大工、左官のような場合におきましては認むべきじやないか、或いは小売業者の場合におきましても、自分で働いて、自分だけで所得する分がある場合におきましては、労賃部分が相当あるのじやないか、こういうふうになりまして、農業についてだけ認めるのはどうか、こういう議論がございます。それからもう一つは、そういうふうに事業所得においてもやはり勤労控除の一割五分が、果して一割五分でいいかどうか、一般の給与水準に対する控除の比率の問題、そういう問題がございまして、この問題は取上げて見たのでございますが、なおもう少しよく研究して見ようということで、解決は将来に延ばすことに実はいたしております。そういう問題は確かにあろうと思いますが、所得の計算上自家労賃を引いてくれという非常に常識的な要望もございますけれども、これは如何に考えましても、ちよつと理由を発見するのに困難でございます。その点だけは一つ御了承願いたいと思います。
  84. 清澤俊英

    ○清澤俊英君 それでどうもしばしばこれは言うのでございますが、呑み込まれるところがどうも説明が悪いのかどうかわかりませんが、はつきりしないようでございますが、結局私の申上げているのは、労役費がかかればかかるほど、収穫が少いという点であります。これが大体日本の水田が持つ特異性だと思う。ほかの企業等におきまして、働けばその率だけ大体儲けが正比例するというのとは違つて、もともと天然の条件があつて、余計働かなかつたら、働いても到底収穫は取れない、収穫の取れないような所ほど、余計な労力がかかる、こういう自然に縛られた条件を持つているのが、耕地の特性であります。それを單なる労役関係という関係で律せられては、割り切れないものができる。従つて割り切れないものが昔からありましたればこそ、一反歩に対する収穫を幾らと見ないで、とにかく収穫の率を反別に見ないで、収穫を中心にしてその収穫に合した反別を昔は振り当ててくれた、こういう心やりのある実例さえ、日本の歴史は持つている。それが進歩した現在において御破算になつて、そうして労力と収穫というものをどこまでも正比例したような考え方で土地収入を御計算になつては、とんだ間違いができて来る。それだから割り切れないものがいつまでたつてもできて来る。こういうことを申上げているので、だから幸い昔からあります。そういう例を中心にして、一応そういう面倒ないろいろな面があると思います。いろいろ御説明の通り面倒な面がありますから、相当な経費を組んで、取つ組んで解決するという考え方があるのかないのか、こういう私は御質問をしているので、一つまじめに取つ組んでもらいたい、こういうお願いなんでございます。
  85. 平田敬一郎

    政府委員平田敬一郎君) なお補足的に御説明申上げておきますが、最近までは農業所得を計算する際に、反当りの標準と申しますか、一反歩当りの所得幾ら、こういう標準の査定の仕方をやつていたのでございますが、昨年あたりからやり方を変えまして、収入は、実収と申しますか、実際の収入金を調べまして、それによる、それに対しまして経費が幾らかかるかということは、さつき申上げました自家労賃の分は、どうも経費の中に入れるわけには行かないのでございますが、その他の肥料代、苗代、全部経費に見まして、それを差引いた残りを所得に入れて、その経費を見る際には、一々調査が付きませんので、これは百円当り何円というやはり標準を作つております。その標準を作る際に、自家労賃をまともに見るということは、ちよつと性質上むずかしいのでございますが、たださつき申上げましたように、実収を見る際に、よく実情に合うようにいたしまして、無理な査定がないようにしなければならない。このことは、私どもよくわかるのでございます。更に一歩進みまして、非常な労働強化をして、而も収入が少い、つまり單位労働当りの所得が非常に少い場合と、多い場合と、税制上何か差を付ける、税制或いは税務行政上差を付ける余地があるかどうか、こういう問題だろうと思いますが、この問題はたしかに一つの問題ではあろうと思いますけれども、なかなかちよつと解決は簡單に行かないむずかしい問題であろうかと存じまするが、併しよく單作地帯の問題は、課税のみならず、いろいろな問題があるようでございますので、なおよく私たちも頭を新たにして考えて見たいと思いますが、今まで私たちがいろいろ調べましたようなことに関連しまして申上げることは、大体以上の諸点が主な点であると考えられるのであります。
  86. 清澤俊英

    ○清澤俊英君 大体近寄つて参りましたが、大体問題にしているのは、自家労力の問題です。結局収穫の中に入りまする必要経費の自家労力が、自家労力をかければかける所ほど収穫がないというのが、これが従来のところであります。だから自家労力の計算の中に実際入れてしまえば、そういう自家労力のうんとかかる所は収穫がないのですから、殆んどもらえる分が、頂戴する分ぐらいである。だからこの間も、ここに小串委員長もおられますが、新潟の税務署長や、或いは附近の税務署長が来て言われるのに、どうもかけられません。労力まで見たら取柄がなくなる、これが実態であると思う。而も取柄がなくなる所はどうかと言えば、労力をかければかけるほどその場所は収穫がない場所だというのであります。こういう労力をかけない場所ほど収穫があるというのでありますから、この食い違いを一つ本当に制度の上に考えてもらわなければ問題にならないということを申上げたのでありまして、折角一つ何とか考えて見たい、こういうのでありますから、これは急速に何らかの調査機関を設けて御調査に乗出して頂きたい。大体この事実がおわかりにならないのです。大蔵省のかたは本当におわかりになつていないのでありますから、どうか一つお願いいたします。
  87. 平田敬一郎

    政府委員平田敬一郎君) 重ねて申上げておきますが、ただ所得税の所得の計算上、自家労賃は経費にはならない。それは経費とすべきものではないということだけは一つ前提にしてお考えを願いたいと思うのでございます。その他の点につきましては、これは私どもよくわかつていないところは更に調べまして、できる限り制度の面におきましても、或いは所得の査定の上におきましても合理的なものにすることに勉強いたしたいと考えておる次第であります。
  88. 清澤俊英

    ○清澤俊英君 どうもかないませんね。くどいようでありますが、その他の必要経費を十分見て頂くということは、これはもう当り前の話でわかつておりますが、私の申上げてみることは、その他の経費というよりは、一番主力が自家労働なんであります。その自家労働をたくさんかければかけるような場所ほど収穫がないというところに問題がある。そこに問題があるのだから、それを何とか一つ、そういう矛盾した、逆比例になつておるそこのところを直してもらわなければならん。本腰で一つ研究し出していい方法を探し出し、そうして自家労力というものと所得というものに対しまする考えを改めてもらわなければならない、こういうことなんであります。現在日本の国の山間部地方の農家が零細農化しておるのは、これはそれの集積したものが、自由経済時代には作つたものが間に合わないから結局田畑は自分の家の家族が食べるだけのものを作つてあとはよそへ行つて働け、これが零細農化した基本的な私は問題だと思うのであります。ただ計算がつきませんじや問題にならん。徳川時代でもそのことについては刈地制度というものを設けてその点はほぼ解決しておるのに、今の時代においてそれが解決できないということは、御研究が足らんのじやないか。徳川時代はただ年貢よりほかにないのでありますから命がけで取つ組んだと思いますが、今はどうでもいいというお考え方では甚だ残念でありますから、そのつもりで一つ何とかここの食い違いに本腰を入れて取つ組んで頂きたい、こういうのであります。
  89. 平田敬一郎

    政府委員平田敬一郎君) お話の点、私も……例えば自家労力ですね、要するに投下した労働力一單位当りの農業所得額が、お話のような所は比較的少いという点は、そういう事情にあるということはこれはよくわかりましたが、ただ自家労力自体が所得を構成していないということは、これはどうも言えないということだけを申上げたのでありまして、これは自家労力を農業所得の経費で差引きますと、給与所得者の所得には課税しておるのでありますが、賃金という部分に対しまして所得税課税外に置くという結果になるのでありまして、問題は、むしろ生活費は基礎控除なり、家族控除で控除して行く、或いは家族従業者は特別控除で控除する、こういうことによりまして、制度の上で全般として考えるべき問題じやないか。ただ所得の計算におきましては、お話のように、單位労働当りの農業所得が、今の御説明のような場所におきましては、どちらかというと比較的少いということは、これはよくわかりましたが、それはよく実収を見まする場合等におきまして十分考えまして、適切な査定をして参りたいと、かように考えております。
  90. 清澤俊英

    ○清澤俊英君 ちよつとくどくなりますが、非常に問題点は、農業に限りまして一反当りの労力の計算はですね、これは他の自家労働と違つて作業しております者から見れば大体標準は取れるのであります。これは取ることができまずから、だから一反当りに対する労働所得がどれくらいになるかというような計算は大体標準が付きますと思うのであります。付かないと思つているところに何か非常にお考えと私らの考えとの相違がありまして、大体この附近ならば何事何人かかる場所だ、この附近ならば何十何人かかる場所だ、それ以上かけるのは怠け者だとか、それ以下のものはよく働く者だというような大体の標準が付きまして、そうして御承知のごとく賃貸をきめますのにも一等から十何等まであるというぐらいな大体の標準が、何らか政府のほうに立ててあるのでありまして、それらを出すことは、実際農村に入つている者にいたしましたら至つて簡單な仕事だと思いますので、やる気になられれば何か合理的なものがそこに探し出せると思いますので、是非取つ組んで頂きたいと思います。ここで幾ら議論しても始まりませんので、これで私は打切りますが……。
  91. 大矢半次郎

    大矢半次郎君 特別措置法改正におきまして、日本経済の再建に資する機械その他の設備及び船舶で命令の定めるものは特に償却を認めるというふうにしているのでありますが、この命令で定める範囲とはどんなふうになつておりますか。
  92. 平田敬一郎

    政府委員平田敬一郎君) これは目下通産省で機械の範囲等につきましては、今具体的細目を作成してもらつているのでございますが、日本の産業の近代化のために必要な機械、どつちかと申しますと一般にざらにあるような機械ではございませんので、産業の能率を高めるための特殊な機械というものを各産業に亘りましてそれぞれ精密に調査いたしまして、相当詳細なリストを作りまして、これに該当するものを適用するようにいたしたい。で余り大まかにいたしますと目的を達成いたしませんので、或る程度細かに、細かに行きますとなかなか税務官庁の認定等も困難でございますので、できれば通産省の指定と申しますか、認定と申しますか、認定を受けたものを該当するようにいたしたい、そういう趣旨で目下相当詳細に通産省で立案中でございまして、そういたしましてできるだけ産業の能率化に寄与するようにいたしたい、かように考えているのであります。
  93. 大矢半次郎

    大矢半次郎君 減価償却資産の耐用年数は、近く改訂されるように伺つているのでありますが、その改訂の従来と変つた主な点を御説明願いたいと思います。
  94. 平田敬一郎

    政府委員平田敬一郎君) 減価償却につきましては昨年度大分変えましたが、なお残つている問題がございますので、今これは総検討いたしているのであります。一番大きな問題は、耐用年数をどうするかという問題でありますが、この点につきましては相当調査がすでに進行いたしまして、個別的に各産業ごとに各団体に各省から資料を求めまして最近の事態に適合するように改正する見込でございます。大体立て方は従来とそう大きく変りないのでありまして、産業の分類等もできる限り細分いたしまして、各産業の実情に応ずるように一ついたしたい。そうしまして今の耐用年数を一律に短かくするという方法をとりませんで、やはり機械等につきましては、相当個別的に吟味をいたしまして、各産業の最近の実情に応ずるようにいたしたいという趣旨で目下作業を取り進めております。それで現在の定められた年限よりもむしろ短くなるのが大部分でございますが、中には、若干長くなるものがあるようでございます。で各産業の実情に適するようにいたしたい。機械設側等につきましては、そういたしまして、従来のような総合償却の方法も進めるようにいたしたいと、で、ただそのほかに個別償却の方法も併せできるような耐用年数の定め方をやつて見ようというので、これも目下考えておるのでございます。それでこれが第一点であります。  それから第二点は、機械的に定めました年数がどうも個別的なその工場の実情に合わないとか、それがいろいろ原因があるかと思いますが、事情の変更、陳腐化等によりまして、個別的にどうも非常に年限が一般的な率では長過るというようなこと等につきましては、各企業ごとに今度は特別な年数と申しますか、年数を行政官庁の承認によつて認める制度も併せて設けたい。一種の特別償却をするというようなことも、それと関連しまして陳腐化資産等については考えて行きたい、そういう点が主なる点でございます。そのほか現在は償却不足分になりますと、只今一応未償却の中にはぶつ込んでおりますが、償却不足を爾後の年度に直ちに償却するということはできないことになつておりますが、これも五カ年ぐらいを限りまして、いつでも過去の償却不足は追加償却できるようにしたらどうかという、そういう点につきましても研究いたしておるのであります。そうしまして全体としましてなるべく償却制度が合理化され、更に最近の実情に合うように新らしいものにしたいという意味で目下全部の産業につきまして相当手のかかる仕事を進めておりますことを御報告申上げておく次第であります。
  95. 大矢半次郎

    大矢半次郎君 只今説明によりまして、従来の非常に機械的に出した点を改正されるとのことでございますが、甚だ結構と思いますが、最後に説明ありました、このいわゆる償却不足を、これを今度五カ年間ぐらい期限を切つてあとから足らない分を償却し得るようにしたらということを研究しているというのでありますが、この特別措置法の第五条の五ですか、これを読んで見ると、やはりそれはいけないということをはつきり書いておるようでありますが、その点は如何ですか。
  96. 平田敬一郎

    政府委員平田敬一郎君) この特別措置法を立案します際におきましては、一般の償却についてこのような措置を講ずるか講じないか、これは問題にいたしていたのでございますが、今度の特別措置法だけは相当、この五割増という特別の償却を認める際でもございまするし、最初の三年間になお十分に利益が上がらなくて、あと二年ぐらいたつと相当の償却ができる、こういうような場合が相当予想されるということもございましたので、はつきりそれを認めるようにいたしたいというふうになつておるのでございます。でそうしまして、特別償却の点につきましては、やはり法律に定めましたような方法で行つて然るべきじやないかという一般の償却分につきまして、先ほど申上げましたような措置を講じたいと、かように現在のところ考えております。
  97. 大矢半次郎

    大矢半次郎君 一般の償却については、政令でその点をきめておるようでありますが、これは近く改正する見込である、こう承知してよろしいですか。
  98. 平田敬一郎

    政府委員平田敬一郎君) 償却の細目、或いは年限等の問題につきましては、大体政令なり大蔵省令で規定できるようになつておりますので、そのほうの改正によりましていたしたい。従いまして耐用年数を改正いたしました大蔵省の今の省令でございますが、それを改正いたしまして新らしい法人税法の適用と同時に、この適用するようにいたしたいと、つまり四月一日以後終了する事業年度分から適用するようにいたしたいということで、目下作業を進めております。まあできる限り四月一ぱいには告示ができるように取り進めたいというふうに考えておりますが、相当厖大な作業でございますので、若干遅れるかも知れませんが、そういう考えで目下進めておりますことを申上げておきます。
  99. 大矢半次郎

    大矢半次郎君 非常に結構なことでありますから、是非そうお願いしたいと思います。先刻この附加価値税におきまして、新規に取得した減価償却資産を、取得の初年度に全額特別措置を認めるというのは非常に行き過ぎ、今後の新規機械の特別償却等と関連して見ても誠に不均衡である。どうも償却に関して国税、地方税を通じて非常に一貫しない点があるように感じまするが、この点を、或いは所管が違うかも知れませんけれども、適当に考慮して然るべく調整のとれるようにお願いできないでしようか。
  100. 平田敬一郎

    政府委員平田敬一郎君) 附加価値税につきましても、私ども若干所管庁になつておりますのでよく議論いたしているところでございますが、附加価値税におきましては、昨年のシヤウプ勧告で、まあ自然的支出は一遍に引いたほうが今後の、何と申しますか、産業の近代化と申しますか、或いはインベストメントの増加、そういうことに非常に役立つ、それから調整上の手数から言いましても、そのほうが非常に簡便であるという理由で、一時に買つたときに引いたらどうか、こういう実は勧告になつたのでございます。これも少し理窟を申しますと、やはり附加価値の計算の際におきましても、年々償却を計算して行くというほうが、これは新らしいのじやないかと思いますが、ただ便宜から申しますと一遍に引くほうが簡便である。附加価値税は所得税と違いまして、どちらかと申しますと税率も非常に低いし、いつ引きましても負担に及ぼす影響が比較的少い、そういう点から考えまして、一時に考慮する制度を昨年シヤウプ勧告通り採用いたしまして実行することにいたしているのでございます。ただ昨年はそれだけで終るつもりでございましたが、本年度それに附加えまして、附加価値税を、最初に定める年度の初めにおきまして持つている資産について、これはやはり償却を認めるということにいたしましたので、やや立て方が崩れて来たのでございますが、併しこの償却を一遍に、自然支出を一遍に差引くというのも確かに一つの考え方でございまするし、附加価値税の税率が大体四%と、非常に低いものでございますので、まあこの制度はやはりそのまま存置したほうがいいのじやないかということで、今度も変えないことにいたしております。ただこの点は加算法をとります場合は、これは所得税、法人税と同じように、償却計算で行くということにいたしているのでございますが、費上から仕入れを差引く場合におきましては、簡便でもあるし、且つ今後の自然支出、新規投資の増加という点からいたしまして資するところが大きいというので、特に変更を加えなかつたのでございます。実施の結果に顧みまして、或いは更に検討を要する問題ではなかろうかと考えている次第であります。
  101. 小串清一

    委員長小串清一君) ちよつとお諮りいたしますが、只今審議中の税法につきましては、一応質疑を打切りまして、明日討論採決をいたしたいと思いますが、明日は大臣の出席も要求するつもりでございます。明日午後そういう運びにしたいと思いますが、如何ですか。(「異議なし」と呼ぶ者あり)
  102. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 大臣の出席を要求しておいて、質疑はこれで打切るのですか。
  103. 小串清一

    委員長小串清一君) 討論をするときに……。
  104. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 討論だけを大臣に聞かせるのですか。
  105. 小串清一

    委員長小串清一君) 一応打切るのですが、討論のときに質疑があるだろうという考え方です。
  106. 清澤俊英

    ○清澤俊英君 だから質疑はやつていいのでしよう。
  107. 小串清一

    委員長小串清一君) まあ際限ないとちよつと困りますから、そういうことにしてお願いしたい。若し完全に打切るならば、もう採決だけでありますから今やつてもいいわけでありますけれども、又皆さんお考えになつて多少御研究になる都合があろうかと思いますから、明日の午後討論採決に移りたい。なおそのときに質疑はあとは余り長くなく願つて討論に……。
  108. 清澤俊英

    ○清澤俊英君 衆議院の申入れ、農林委員会の申入れなど大分あるわけですから、そう簡單に打切つてしまうのも、これは関税定率に関するもので大分関係があるかと思いますがね。
  109. 小串清一

    委員長小串清一君) それでよろしうございますか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  110. 小串清一

    委員長小串清一君) それでは本日はこれで散会いたします。    午後四時十一分散会  出席者は左の通り。    委員長     小串 清一君    理事            大矢半次郎君            木内 四郎君    委員            愛知 揆一君            岡崎 真一君            黒田 英雄君            清澤 俊英君            佐多 忠隆君            松永 義雄君            小宮山常吉君            小林 政夫君            油井賢太郎君            森 八三一君   政府委員    大蔵政務次官  西川甚五郎君    大蔵省主税局長 平田敬一郎君   事務局側    常任委員会專門    員       木村常次郎君    常任委員会專門    員       小田 正義君