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1951-03-09 第10回国会 参議院 大蔵委員会 第18号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年三月九日(金曜日)    午後一時四十五分開会   —————————————   本日の会議に付した事件 ○外国為替資金特別会計法案(内閣送  付) ○在外公館等借入金返済準備に関  する法律案内閣送付) ○開拓者資金融通特別会計において貸  付金財源に充てるための一般会計  からする繰入金に関する法律案(内  閣提出衆議院送付) ○旧軍用財産貸付及び讓渡特例等  に関する法律の一部を改正する法律  案(内閣提出衆議院送付) ○不正保有物資等特別措置特別会計法  等を廃止する法律案内閣提出、衆  議院送付) ○国民金融公庫法の一部を改正する法  律案内閣提出衆議院送付)   —————————————
  2. 小串清一

    委員長小串清一君) これより大蔵委員会を開会いたします。  先ず外国為替資金特別会計法案並びに在外公館等借入金返済準備に関する法律案について提案の理由の説明を政府に求めます。
  3. 西川甚五郎

    政府委員西川甚五郎君) 外国為替資金特別会計法案ほか一法律案提出理由を御説明申上げます。  政府の行う外国為替等の集中のための売買につきましては、従来それに関する経理を行うため外国為替特別会計を置き同会計において為替取引に伴う一切の收支を予算に計上して経理して来たのでありますが、今回更にその円滑を期するためこれを改正いたしまして、新たに外国為替資金を置き、外国為替等売買を本資金の運用として行うこととし、その運営に関する経理一般会計と区分して特別に行うため外国為替資金特別会計を設置することとし、以て政府の行う外国為替等売買及びこれに伴う取引円滑化に資することとしようとするものでございます。  従つて、本会計は、外国為替等売買に伴つて生ずる利益外国為替資金運営に基く牧益金借入金の借入及び融通証券発行に因る收入金、決算上の不足補てんのための一般会計からの補てん金を以て歳入とし、事務取扱費事務委託費外国為替資金運営に要する経費借入金及び融通証券償還金融通証券発行及び償還に関する経費及び外国為替等売買に伴つて生ずる損失の補てん金等経費を以て歳出といたしますと共に、特別会計に必要な措置規定いたそうとするものであります。  次に在外公館等借入金返済準備に関する法律案提出理由を御説明申上げます。  在外公館等借入金につきましては、先に制定されました在外公館等借入金整理準備審査会法に基き、政府は、鋭意その確認事務を進めて参つたのでありますが、確認を終えたこれらの借入金は、できるだけ速かに返済いたしたい所存であります。よつて政府は、その返済昭和二十六年度中に開始することと、返済に関して必要な事項を定める法律案をこの法律施行後最初に召集される国会提出し、返済に必要な諸般の措置を講ずることとすると共に、右の返済に関する法律案に織り込むべき事項のうち、最も重要であり、又困難な問題でありますところの、借入金を表示する現地通貨評価について、特に諮問機関を設置いたしまして、評価に関する事項を調査審議させることといたしたのであります。  これがこの二法案提出いたしました理由でございます。何とぞ御審議の上速かに御賛成あらんことをお願い申上げます。   —————————————
  4. 小串清一

    委員長小串清一君) それでは開拓者資金融通特別会計において貸付金財源に充てるための一般会計からする繰入金に関する法律案、この法案につきましては、前回質疑は盡きたようでありますが、これより討論に入ろうと思いますが、御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 小串清一

    委員長小串清一君) 御異議ないと認めては討論に入ります。御意見のおありのかたは賛否を明らかにしてお述べになるようにお願いいたします。別に御意見がございませんようですが、討論は終結したものと認めて御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 小串清一

    委員長小串清一君) 御異議ないと認めます。それではこれより採決に入ります。  開拓者資金融通特別会計において貸付金財源に充てるための一般会計からする繰入金に関する法律案に御賛成の諸君の挙手を願います。    〔総員挙手
  7. 小串清一

    委員長小串清一君) 全会一致と認めます。よつて本案は可決せられました。  なお本会議における委員長口頭報告の内容については本院規則第百四條により、あらかじめ承認を願うことに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 小串清一

    委員長小串清一君) 御異議ないと認めます。それから委員長議院提出する報告書に附する多数意見者の御署名をお願いいたします。   多数意見者署名     黒田 英雄  大矢半次郎     小宮山常吉  愛知 揆一     高橋龍太郎  佐多 忠隆     森 八三一  油井賢太郎     山崎  恒  清澤 俊英     小林 政夫  木村禧八郎     杉山 昌作   —————————————
  9. 小串清一

    委員長小串清一君) 次は旧軍用財産貸付及び讓渡特例等に関する法律の一部を改正する法律案の御質疑を願います。御質疑はありませんか。
  10. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 ちよつと待つて下さい。この法案のうちで営利目的に途中から変つた場合のいわゆる監督とか、そういうことはどこでやつておられるか。それから完全にそれは行われておるかということを御説明願います。
  11. 吉田晴二

    政府委員吉田晴二君) これは大蔵省管財局地方部局であります財務局というものが全国に十ございまして、そのほかに各県ごと財務部がございます。その財務部のほかにこの国有財産関係を專担しておりまする出張所というものがやはり約六千ばかりございます。そういうところで特にこの特別の讓渡なり貸付をして、契約相手かたとなります者について常時注意をしておるわけであります。こういうものに該当した場合には契約を解除するということ、或いは適当な措置をとるということをしておるわけであります。ただ現在のところにおいてはこれに該当した者はございません。
  12. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 今までないのですか、営利目的としたり又は利益を上げるように公共団体目的を変えたという例はないのですか。
  13. 吉田晴二

    政府委員吉田晴二君) ここにございますように、まあ公共団体医療施設の用に供するときでございますが、こういう場合の該当はございません。現在までございません。
  14. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 もう一点伺いたいのは、一体旧軍用財産というものは、早く処分するのが目的なんですか、それとも立ぐされのままで目的に副わないものはそのままにして置くという方向政府のやりかたなんですか、その点はどうですか。
  15. 吉田晴二

    政府委員吉田晴二君) 政府の方針といたしましては、こういう軍用財産については早く処分したいということを只今考えております。
  16. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 ところが実際において各軍港とか或いは軍の都市、まあ各方面の軍のあつたところの都市ですね、そういうところにおいて国有財産、旧軍用財産の活用されていないのが非常にたくさん多いのですね、例えば呉であるとか何とかいう軍港に行つて見ても、もう立ちぐされのままで、勿体ないと思うような施設がたくさんあるのですが、そのままになつておる。而もそういう都市においては、早くこれを転換して我々に利用させてもらいたいという気持が多いのです。そういろ気分はさつぱり入れられていないという苦情が多いようですが、そこで私がさつき質問したように早く処分するのが目的か、それとも値段が上るのを見込みまして、国家財政的見地に寄與したいというのが目的なんですか、こういうことになつて来るのです。
  17. 吉田晴二

    政府委員吉田晴二君) 何分にも終戰によりまして日本の経済は非常に縮小したわけです。それにもかかわらず、旧軍財産というようなものは、一時的には非常にこれは不働設備になつておる。そこでこれを経済的に使う人がどうしてもない。又旧軍財産が割合に、何と申しましても軍用目的のために使われておりますので、非常な辺部な所に存在しておる場合が起つて来る。或いは非常に経済的な設備としては不向きだというような点で、利用される点がどうしても普通の民間財政よりも悪いということが一応あるわけであります。まあその関係上、なかなか従来から利用されなかつたような面が多いわけであります。併し最近の状態を見てみますと、この朝鮮事変以来非常に転活用が活溌であります。例えば只今呉お話がございましたが、呉におきましても大分いろいろな企業のだんだん申込がございます。又同じあの近所におきましても、光工廠であるとか大阪の造兵廠であるとか、そういうような所にもだんだんと企業のほうから申込があるというような状態であります。なお本法律案におきましてもその点を特に考えまして、第三條の改正におきましては、従来から延納については三年間の延納でありましたのを、これを五年に延長するという措置を講じておるわけであります。こういう措置によりまして、只今申上げたような転換が更にやりよくなるのではないかというふうに考えております。
  18. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 若し先ほどのお話のように早く処分するのが目的だとすれば、これは入札とか何かというような方法で、政府の意図した価格まで入札があれば、いつでも押下げるというようなことは行なつてないのですか。
  19. 吉田晴二

    政府委員吉田晴二君) 実際問題といたしましては、大体空いておるような設備におきましては、或る企業のほうでそこを是非欲しいというような申込がありました場合、それが非常に重要産業である、特に会計法令随意契約が認められておるというような企業でない場合には、原則としてこれを入札にするという建前にしておるわけであります。これが一般原則であります。
  20. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 そこで地方産業の発展とか或いは戰災地の復興というようなことについて、営利目的としても重要産業であるならば、どんどんそういうふうな方向でやつておられるのでありますか。
  21. 吉田晴二

    政府委員吉田晴二君) これは別にその価格の点においては特別な考慮はしておりませんが、そういう会計法令で特に認められておる事業限つて随意契約をできるような途を設けております。
  22. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 売渡されたときは今の定義に当てはまつても、そのあとで以て事業をやつて見ると、思わしくないというので、他に転売するというようなことは、これは自由なんですか。
  23. 吉田晴二

    政府委員吉田晴二君) そういうような特別な随意契約ができるような業種というようなもので特に随意契約をする、こういう場合には特別なその用途指定というものを出しまして、その用途に、これは大体十年になつておりますが、その十年間その用途に使うという條件を附けてこれを讓渡しておる。途中で転売するとか、或いは他の業種転換するというようなことにできないことになつておりますので、そういう場合にはやはり契約を解除しなければならんということになつております。
  24. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 それからこの時価の問題ですけど、毎年これは時価というのは変えられて来ておるのですけれども、それでは終戰直後と今日では大分物価違つて、恐らく時価も相当変つておると思うのですが、そり倍率はどのくらいですか。  それからもう一つは、そういうふうに時価で以て大蔵省において算定して何か国有財産基準にされておると思うのですけど、その国有財産のいはゆる目録、この前もらつたことはたしかありましたけれども、ああいう評価というものは、毎年政府においては変えて出しておられるのですか。
  25. 吉田晴二

    政府委員吉田晴二君) 只今倍率の点でございますが、これほは例えば勧銀の指数なんかで或る程度のものが出ておりますが、これも非常に我々が実際に当つて見ますというと、例えば東京の倍数と或いは呉の倍数、或いは姫路の倍数というものをとつて見ますというと、実は非常に差異があるので、ここでちよつと只今概括的なことを申上げにくいのでありますが、なおその一般の表の問題でございますが、これはたしか御承知の通り毎年国有財産の現在額報告書、それから毎年の総計算書というものを国会に出しております。これにはただ台帳価格で上つておりますので、いわゆるその時価というものは出ておりません。この時価ということについては、国有財産法規定で以て、昭和二十七年度にその時価をその台帳に書入れる。それを五年目ごとに更新して行くという規定になつておりまして、まだその時期になつておりませんので、二十六年度あたりから準備をいたしまして、二十七年度にこれを改訂する。改訂と申しますか、附加えるというような準備をしておるわけであります。
  26. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 呉工廠ですね、あれはこれに該当するわけですか。
  27. 吉田晴二

    政府委員吉田晴二君) これは第三條の売拂代金延納ということについては、若し支拂代金が一時に支拂うことが困難であると認められたときならば、この延納規定適用になるのであります。
  28. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 数において旧軍用財産として賠償指定になつているものですね、これはどのくらいありますか。
  29. 吉田晴二

    政府委員吉田晴二君) ちよつとどのくらいという数字でございますが……。
  30. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 資料がありましたらあとで欲しいのですが。
  31. 吉田晴二

    政府委員吉田晴二君) 畏まりました。
  32. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それから呉工廠ですね、御承知のように新聞で伝えられるところによると、ナシヨナル・バルクキヤリヤー・コーポレーシヨンあたり会社に売渡すということが言われておるのですが、それは事実なんですか。
  33. 吉田晴二

    政府委員吉田晴二君) 只今そのナシヨナル・バルクキヤリヤーから呉工廠の一部を買入れたいというお話が出ておるようなことは事実であります。
  34. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 日本軍用資産が……国有財産ですね、これを外国法人に売る場合、これは日本法人に売る場合と同じでいいんですか。僕はよくその法律関係を知りませんが。
  35. 吉田晴二

    政府委員吉田晴二君) これは法律上は別に制限はないのでございます。ただこれが賠償指定設備でございますから、原則的には売拂ということほむずかしい。やはり関係方面の少くとも許可がなければいけないことになつております。
  36. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 その売拂対象になつている一部を今言われましたが、あれはたしか播磨造船ですか……。
  37. 吉田晴二

    政府委員吉田晴二君) 只今問題になつておりますところは、播磨造船が借受けて一時使用をしております中の、大体半分くらいではないかと思います。
  38. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 聞くところによると、播磨造艦が投資した金額に比して著しく低く安く拂下げられるようなことを聞いておりますが、これは一応貸すのじやなくて、讓渡、売つてしまうわけですか。それからその拂下の大体価格ですね、価格などはどの程度なんですか。その点をお伺いしたい。
  39. 吉田晴二

    政府委員吉田晴二君) これはまだ交渉中でございますので、価格がどういうふうになるか、まだはつきりした結論は出てありませんが、少くとも売拂うということになれば、これは適正な価格で売らなければならん。いわゆる時価で売拂わなければならんというふうに考えております。
  40. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 その代金ドルで拂うのですか、円で拂うのですか。
  41. 吉田晴二

    政府委員吉田晴二君) とれもまあ今のところはつきりした結論は出ておりませんが、少くとも我々の希望しておりますのは、ドルで得たいというふうに考えております。
  42. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 この法律改正適用の範囲ですね、呉工廠只今問題になつておりますナシヨナル・バルクキヤリヤー・コーポレーシヨンに対する売渡しが、この法律適用によつて、その代金延納ですか、三年が五年になるということになると、非常に長期になるのですね。この間にいろいろな物価変動もありますし、そういう点はどうなんですか。
  43. 吉田晴二

    政府委員吉田晴二君) 只今のお尋ねの点は、実は私先ほど申上げたのは一般的な問題として申上げましたので、ナシヨナル・バルクキヤリヤー・コーポレーシヨンの場合につきましては、これは恐らく延納向うは申請しないだろうと思います。というのは、向うのほうが金利が非常に低いものですから、延納いたしますと、当然こちらとしては市場金利に相当するだけの利息は取るという建前でやつておりますので、ナシヨナル・バルクキヤリーヤー・コポレーシヨンのほうは、アメリカ金利で考えておりますと思いますので、延納にしてそれだけの利息を拂うことは、却つて向うのほうでは不利になりますから、即納にするということになるし、又その條文から言いましても、売拂代金の一時安排が著しく困難であると認められる場合には該当しないのではないか。従つて向うが仮に延納を言つて来ましても、認める必要はないのではないか、そういうふうに考えております。
  44. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 重要な国有財産であるのに、不当に安く買われるのではないかというので、非常に衆議院でも問題になつておりましたが、時価からいつてどのくらい安く讓渡される模様なんですか。
  45. 吉田晴二

    政府委員吉田晴二君) これはまだ向うからの何と申しますか、申入れと言いますか、これは一応六十五万ドルということで、約二億三千万円くらいになるかと思います。この六十五万ドルというのも、それで向うが買切りにしてしまうという金額ではなく、十年間向う使つたあとでこちらに只で返すという、一つ評価の仕方による価格であります。ただこれは向うの申出でありまして、我々のほうではそれで応じようという気持はありません。できるだけ、少くとももう少し高くしたいということで只今交渉しておるわけであります。
  46. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 こういう国有財産外国法人に売る場合は、これは政府が、大蔵省と折衝して、それでやつてできればいいものなんですか、それとも何か国会承認を得ないでいいんですか。
  47. 吉田晴二

    政府委員吉田晴二君) 只今の法制上の問題といたしましては、そういう国会承認を得るということはございません。一応このような問題は大蔵省だけではきめませんで、各省と協議いたしましたり、或いは又問題によりましては閣議にまで持つて行くということにしております。
  48. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 そういう例は他にはありますか。又今話合い中のものはございますか。
  49. 吉田晴二

    政府委員吉田晴二君) 只今のところ国有財産につきましては別にほかには聞いておりません。
  50. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 国有財産でない問題について何かありますか。
  51. 吉田晴二

    政府委員吉田晴二君) 私の聞いておりまするところでは、例えば大きな石油会社等において株式の関係相当外国の資本が入つておる。従つて間接的には財産が或る程度外国に支配されておるというケースがあるようであります。なお私申し忘れましたが、アメリカのほうで最近九段の野々宮アパートというのがありますが、これを国務省のほうで買收したいというケースがありました。大体そんなふうに考えております。
  52. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 旧軍港転換法、あの法律とこの法律とで何か関連したところ、或いは抵触して困るというような事項、そういうことはどうなんですか。
  53. 吉田晴二

    政府委員吉田晴二君) 旧軍港転換法規定といたしまして、その第四條は、現在提案されております旧軍用財産貸付及び讓渡特例等に関する法律の一部を改正する法律案の第二條並びに第三條の規定を引用しまして、それを更に時価の二割というものを五割、それから延期三年というのを十年というふうに変更して、旧軍用転換法とはそういう意味で関連しておりますが、別に抵触するということはないと思います。
  54. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 そこでこの旧軍用財産の主だつた項目、例えば建物がこうとか、土地がどうとか、或いは機械設備、そういうような極く主だつたところで結構ですが、資料を出して頂きたいと思います。今わかつた数字をお示し願います。
  55. 吉田晴二

    政府委員吉田晴二君) それでは数字を申上げます。土地が九億二千六百万坪、台帳価格にいたしまして二十五億二千三百万円、それから立木竹二千百万円、価格にいたしまして二億六千六百万円、それから建物が千四百万坪、価格にいたしまして二十三億六千百万円、それから工作物でありますが、工作物はこれはちよつと一つ一つの数量的な表示ができませんので、価格だけで表示しておりますが、八億一千五百万円、それから機械器具は三十五万七千、価格にいたしまして十二億五千八百万円、それから船舶が八千八百隻、価格にいたしまして四億七千八百万円、合計いたしまして金額で七十七億円、大体の数字でございます。
  56. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 これだけ現在国有されておるとして、その利用は全然ないのですか。ただ経費だけがこれに対して嵩んで行くとすれば、その経費は一年間にどのくらいかかりますか。
  57. 吉田晴二

    政府委員吉田晴二君) 大変失礼いたしました。只今申上げましたのは、これは軍から引継いだ数字そのままを申上げたのであります。只今計算いたしておりますが、これはすでにこの中から売拂済或い所管換したものを除いたものが現在の総額になつておるということになつております。只今集計いたしておりますが、全体の価格で申しますと、売拂済のものが約十二億円、それから所管換済、つまり農地に所管換したとか、他の行政目的使つたというものが約十億円ございます。それから更にそのうちまだいわゆる連合軍のほうで使用しておるとか、或いは未返還になつておるというようなものが、これが二十七億円ほどございます。従つてその中で実際何といいますか、いろいろな機械器具であるとか、或いは貸付けておりますもの、一時使用しておりますものを除いて、この財産のうち十四億円だけが未だ未了になつておることになります。
  58. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 その十四億の内訳を一つ……。
  59. 吉田晴二

    政府委員吉田晴二君) それではこれは金額で申し上げますが、土地が四億七千三百万円、立木竹が一億四千三百万円、建物が三億四千九百万円、工作物が二億一千百万円、機械器が八千五百万円、船舶が一億四千四百万円、合計十四億余万円ということになつております。
  60. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 そういうものはただ投げ放しにして置くのですか。それとも国家で活用されておるのですか。
  61. 吉田晴二

    政府委員吉田晴二君) 只今申上げましたものは、いわゆるまだ利用の域に達していないというわけでありまして、大体政府が止むを得ず管理をしておる分でございます。ただ只今申上げましたように、このうちの大部分の大きなものは土地立木竹でございますが、この中には何と申しますか、昔軍が練兵場とか、非常に大きな野戰演習地というようなものに使つてつたので、どうも農耕に適しない所で、どうも現在のところでは余り利用価値がないという所が多いのでございます。又建物にいたしましても辺郡なところにございまして、どうもこれを処分しようといたしましてもながく希望者が少いというような状態でございます。又船舶等にいたしましても、いわゆる木造船等で、かなり台帳価格では高いけれども、その後相当損傷しておるというようなもので、余り利用価値がないというものが只今つておるものであります。
  62. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 保管料は年どのくらい見積つておられますか。
  63. 吉田晴二

    政府委員吉田晴二君) ちよつと只今はつきりした数字は記憶しておりませんが、保管料そのものは、その大した金額には上つておらないと思います。何百万円という程度かと思います。
  64. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 土地の四億七千三百万円に該当する坪数はどのくらいになつておりますか。
  65. 吉田晴二

    政府委員吉田晴二君) 坪数は一億一千九百万坪です。
  66. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 この台帳で行くと、土地なんか非常に安いものになるのですね。例えばこれは四円五十銭足らずになるのですね。それでその時価をどのくらいに大ざつぱに見積つておりますか。
  67. 吉田晴二

    政府委員吉田晴二君) これは先ほど申上げましたように、このうちには勿論宅地の分もあるかと思いますが、いわゆる原野、山林というようなものも入つておるわけであります。特に農耕に適するような所は、大体すでに農林省のほうに所管換をしております。農耕にも余り適さないというようないわゆる荒蕪地が多いのでありまして、果してこれを評価しまして、どのくらいの倍率になるかというようなことは、ちよつとはつきりいたさないのであります。
  68. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 先ほどの金額基準はいつの基準ですか。
  69. 吉田晴二

    政府委員吉田晴二君) 只今土地立木竹につきましては、これは大体昭和二十一年のときの評価になつております。その他のものについては、これは取得した当特の価格がそのまま台帳価格になつて、ずつと引継いで来ております。
  70. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 大体取得当時というと、いつ頃ですか。
  71. 吉田晴二

    政府委員吉田晴二君) これはそういうわけでありますから、その時、その時によつて違つておるわけです。例えば建物等については、つまり買取つたとき、或いは建築したときでありますから、非常に古いものもありますし、又終戰前に大体台帳に上つたものなどは、割合に価格の高いものですが、台帳価格ではそういう点に関するはつきりしたことがつかめない。従つて我々が見るときは、数量のほうで或る程度のことがわかります。ただいろいろなものを合計して見ますというと、どうも数量だけでは困るので、価格をとるということになつでおります。
  72. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 大体において終戰前のものですね。そうしますと、非常にまあ常識から考えましても、どの建物についても価格は非常に上つておるわけですね。ですから今度は拂下げるときに、どういうふうにしてその倍数を計算されるか、それは我々として問題にするのは、成るべく国は適正に、そして少しぐらい高くてもいいのですから、その評価の仕方が問題になると思うのです、倍率が……。どういうふうにして評価されるのか、時価というものを……。
  73. 吉田晴二

    政府委員吉田晴二君) それでは具体的に申上げますと、例えば土地なら土地評価するとい今場合には、これは大体その類似の土地の賃貸価格というものが先ずこれは標準になるわけであります。大体附近の土地の賃貸価格がわかりますというと、その賃貸価格の所が、財産税の標準価格のときにどれくらいの価格になつておるか、それから財産税の時から、即ち昭和二十一年三月から現在までの間の土地価格の上り方、その倍数を見ます。これは先ほど申上げましたような全国平均というようなものもありますが、又各都市によつて都市或いは農村によつて、いろいろと倍率も違いますので、成るたけそのわかつておる具体的な倍率をとります。なお税務署のほうに参りますと、大体相続税の標準率というものがございます。又登記所のほうには登記価格というものがございますので、そういうものも一応参考にいたしまして、更に土地売買実例、附近の土地売買実例を参考にすると同時に、精通者の意見も徴しまして、場合によりましては民間の勧業銀行であるとか、或いは信託会社だとか、そういうところの評価を基礎にするというようなことをいたすわけであります。なお建物でありますとか或いは機械器具等については、現在それを作るとすれば、新品で作るとすればどのくらいの価格になるか、大体公定価格それから現在の労務費を元にして計算をいたしますが、それによりまして得た金額から、その後の減価償却を引てい参ります。それから更に具体的にその建物がどのくらい破損しておるか、或いはその地位、環境、或いはその土地の経済状態というようなものをいろいろと勘案いたしまして、適正な価格をきめる。更に先ほど申上げましたような勧業銀行、信託会社等の評価を参考にするというような方法によつて出すということになつております。
  74. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 さつきのお示しになつ数字ですね、七十七億という数字ですね。それから現在残つているものですね。売拂済のもの、そういうものをあとから話されたのは、六十四億見当なんですね。そこで十三億違うのですけれども、売拂済の十二億というのは、時価で若し売つたとすれば、十三億という違いは少し大き過ぎはしないかと思うのですけれども……。
  75. 吉田晴二

    政府委員吉田晴二君) 売拂済の十二億というのは、これはやはり台帳価格で計算しております。実際の拂抑価格は必ずしも十二億ではないわけであります。何でございましたら、もう一遍その数字を計算して当りますが、全部で七十七億になつて来なければならんのです。
  76. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 じやまあ、もう少し資料を出してもらつて、もう一応検討したいと思います。
  77. 吉田晴二

    政府委員吉田晴二君) 只今申上げました資料は、一応用意はいたしておりますが、お手許に何でございましたら差上げて結構だと思います。
  78. 小串清一

    委員長小串清一君) 資料が用意してあれば、今お出しになつたらどうです。故意に延ばさなくてもいいでしよう。
  79. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 先ほど聞き忘れたのですが、バルクキヤリヤーの問題ですが、播磨造船が借りておるというのですが、播磨造船が相当の投資をしておりますね。そのときに不当に安かつた場合、政府が何か補償するというような関係は出て来ないのでしようか。
  80. 吉田晴二

    政府委員吉田晴二君) これは播磨造船のほうで或る程度の何と申しますか、投資をしておるかと思いますが、一時使用中のものでございますので、少くとも契約上は政府のほうから補償するという問題は起らない。ただナシヨナル・バルクキヤリヤーが倉庫を使う場合には、何と申しますか、徳義上ナシヨナル・バルクキヤリヤーが播磨造船に対して補償するという問題が起ると思います。
  81. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 もう一つお伺いして置きます。先ほどのお話ですと、最近大分旧軍用財産讓渡が捗つて来ておる。そういうような御説明もあつたと思いますが、この延納の場合、今後物価騰貴を考えますと、今後の物価騰貴はどのくらいになるか問題でしようけれども、相当インフレになると、非常にものによつては只で讓渡してやるというようなことになりかねないと思うのでありますが、これをお考えになつた時と最近の物価とは違つておりますね。この法律案をお考えになつた時と……。その点どうですか。
  82. 吉田晴二

    政府委員吉田晴二君) 只今お話の点は、成るほど非常にインフレが起ればそういう問題も起るかと思いますが、ここに提案いたしました趣旨といたしましては、この法律を御覧になりますと、この延納の点につきましては、旧軍用財産のほかにいわゆる財産税法であるとか、戰時補償特別措置法であるとか、或いは所得税法、相続税法、こういうものによつて物納された財産、こういうものが相当あるわけです。これの措置もだんだんにやつて来ておるわけでありますが、漸次その処分が非常に困難になつて来た。というのは、物納財産においては、大きくそれを現在使用しておりますのは、いわゆる何と申しますか、そう所得の多くない、いわゆる資産の少い人が多いのであります。そういう人に対して、これは借金で売拂うこともなかなか困難でありますというので、実はこの間朝日新聞の投書欄にも、大臣から説明しましたように、三年の延納でもなおこれはむずかしかろう、そこで、できればそれを五年まで拡げまして、それで円滑にこれをやつて行くということが適当ではないかという趣旨か、むしろこの場合に非常に多いわけであります。併せて只今のようなことも考えております。
  83. 小串清一

    委員長小串清一君) 油井君、質問ありませんか。
  84. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 ちよつと待つて下さい。
  85. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 只今お話を伺いますと、相当そういう延納とか又減額しなければなかなか処分が困難だというお話で、こういう法律案を出されたのですが、これによつて今までまだ処理の未済のもの、処理ができないものが相当捗る、こういうお見通しですか。
  86. 吉田晴二

    政府委員吉田晴二君) 我々考えておりますのは、特に学校施設等については、これは従来は公共団体或いは私立学校、両方含むわけでありますが、相当何と申しますか、従来は預金部資金等によりまして、いろいろと長い貸付期間もありまして、処理が順調にできたのでありますが、終戰後そういうことはないので非常に公共団体等においては困つております。そういう点はこの法律によつて相当救われます。価格の点から申しましても、或いは納期の点から申しましても相当救われると思います。かなり処理が促進されるというように考えております。それからなお他の財産につきましても、この規定によりまして相当処理が円滑に行くというように考えております。
  87. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 この表を見て、機械器具のところで未返還が二方八千九百三十四、返還で売拂済が四万四千二百七十四ですか、金額から見ますと機械器具の未返還の分が一億五千万見当、売拂済が八千万足らず、これは特別の数字があるわけですか。つまり売れ残りのものが非常に大きなものであるとか、或いは値段の高いものであるとかいうふうなことを示すのですか。
  88. 吉田晴二

    政府委員吉田晴二君) その通りでございまして、まあ大体未返還になつておるような機械というものは、非常に機械といたしましても相当精度のいいものであります。いわゆる一級機械、二級機械というようなものであります。売拂済になつておるものは大体二級機械として、スクラツプにして売つてしまうというようなものが多いわけであります。従つてここに数字上においてもそれが出ておるというわけであります。
  89. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 そこで未返還の機械器具でも、或いは建物でも、土地でも、これは相当そういう今のお話から見ると、日本の経済の建直しなんかには有効適切に使えるものだと思うのでありますが、これの解除、返還してもらう時期とか、或いは目当というようなものは、只今のところどんな見通しですか。
  90. 吉田晴二

    政府委員吉田晴二君) これは大変むずかしい問題でございまして、実は我々のところではなかなか判断がつきかねるのであります。ただ我々としては、成るべく早く返還してもちいまして、有効に使いたいということは考えておるのであります。ただその中で、未返還の中でいわゆる一時使用ということになつておりますのは、未返還ではありますが、関係方面の許可を得て、実際問題して企業のほうは使つておる、使用料を納めて使つておるとい、ことであります。
  91. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 それはさつき私が申上げた数字の未返還のうち、一時使用の数字を言つたのでしたが、その次に未使用分というのが、大変な数字が載つておりますね。例えば機械器具の台数十九万六千台、このほうは全然使つてないということになりますれば、これはこのほうが問題ですね。それがつまり日本再建の役に立つということなら、非常に勿体ない話なんですね。これについてはどれだけの政府側として努力を拂つておられるのか、或いはこういうものに対する返還かたを要望する声がどの程度あるかということを、わかる範囲内において、若し何でしたら政務次官あたりから御説明願いたいと思います。
  92. 吉田晴二

    政府委員吉田晴二君) ちよつとこういうことは一応申上げられるかと思うのでありますが、つまり未使用の分につきまして、一時使用の申請が相当今出て来ておる。そしてそれに対しては関係方面、実は一昨年あたりまでは非常に窮屈でありまして、なかなか何と申しますか、その使用を認めてくれなかつた。ところが最近、殊に昨年の下半期あたりからは、この申請が出ますと、割台に一時使用の許可をしてくれるわけであります。これによつてこの未使用になつております分がだんだん一時使用のほうに移つて行く。その点から見まして、相当何と言いますか、或る重要な機械については相当の要望が多いということは察せられると思います。
  93. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 先ほどの延納の場合ですけれども、それは物納財産讓渡したような場合、その場合にはさつきのお話のように、例えば土地とか建物、こういう場合には、さつきお話したような、相当延納しなければ困難な場合が生じて来ると想像されます。併し工作機械とか、こういうようなものについては、今後最返のいろいろな情勢を考えると、相当騰貴して来る傾向にあると思うのです。この点は最近の物価事情というものも、御承知の通りだんだん国防経済の段階に入つて来ておりますから、そういうものについてはどうなんですか、相当これはもう少し政府が持つておりますと、非常に儲かると思うのです。先ほど保管料は数百万円に過ぎないというお話がありましたが、その点はどうなんですか。不当に安い拂下ということにならないのでしようか。
  94. 吉田晴二

    政府委員吉田晴二君) 我々のほうの扱いといたしましては、大体土地とか建物等については、原則として延納を認める場合が多いわけであります。機械等については成るべくこれは処分してもらう、機械が施設と一体になつておるというような場合にだけ延納というような扱いでやつております。なおその値上りの点でありまするが、これは我々のほうから申上げるのもどうかと思いますが、まあ政府としては、成るべくそういう物価の値上りということがないように考えているわけでありまして、只今のところから判断すれば、従来のような状態というものはまあなかろうというふうに考えております。
  95. 小串清一

    委員長小串清一君) もはや別に御発言がないようでありますから、質疑は盡きたものと認めて、討論に入ることに御異議ありませんか。
  96. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 ちよつと待つて下さい。
  97. 小串清一

    委員長小串清一君) 続いてやつて下さい。間を置かないで……。
  98. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 これはかなりこの前の委員会でもこの問題については相当論議したんでしたが、やはり各党ともこの点についていろいろいわゆる旧軍用財産利用法とか、それから活用法とかいうことについて希望があると思うのです。そういう点から言つて、やはり党に帰つてこういう事情になつておるということを一応説明して、又党のほうの意向も聞いてから改めて質疑をする時間を一つ與えて頂きたいと私は思います。さよう私お諮りを願います。
  99. 小串清一

    委員長小串清一君) 如何ですか。これを延期しておのおの党へ帰つて御相談の上でやつて頂くことにしますか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  100. 小串清一

    委員長小串清一君) 昨日大体申合せまして、およそその賛否は党へ帰つて……成るべく四十何件という案をこれからやるというのですから、進行をして頂きたいということをお願いしてあるわけであります、それでこれらの問題も多分党で御相談になつておることと私は思つておりましたが、只今油井君の御希望ですから、とにかく本日はこの程度で次の問題に移ります。  質疑を打切つてよろしうございますか。
  101. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 いや、待つて下さい。その質疑ももつと我々この委員会に出てるものだけの質疑じやなしに、いろいろ希望者も……これは大きな問題ですからあると思うから、党に帰つて質疑の希望や何かを聞きたいということを言つておるわけです。
  102. 小串清一

    委員長小串清一君) どうぞ十分御研究の上で質疑はやつて頂きますが、併し間を置かないでどうぞ党の御意見をきめて頂くようにお願いします。では次にこれはこのままで次に移ります。  不正保有物資等特別措置特別会計法等を廃止する法律案について質疑を開始いたします。
  103. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 この法案提出のその理由ですね。これは要するに登録国債でなく、現金で支拂う、こういうことにするのが趣旨なんですか。
  104. 伊藤繁樹

    政府委員(伊藤繁樹君) そういう趣旨ではございませんで、不正物資特別会計法及び登録国債で交付する法律案を全部廃止しようということでございます。従いまして従来すでに交付しておりました登録国債につきましては、すでに全部三月一日で償還の手続を終つておりますので、そういう必要もないわけです。
  105. 小串清一

    委員長小串清一君) これは別段御発言がないようでありますから、質疑を打切つて……。
  106. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 今後は不正保有物資というようなものは、政府で買上げしないということなんですか、今の話は。
  107. 伊藤繁樹

    政府委員(伊藤繁樹君) さようでございます。ただ不正保有物資と申しますと、常識的に一応犯罪に関連して取得された物資という意味になりますが、それにつきましては刑法、或いは刑事訴訟法の規定におきましても没收の規定その他もございますので、そういう一般法規に讓りまして、終戰直後の混乱時期に制定されたそういう買上法は廃止しよう、こういう趣旨でございます。
  108. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 そうしますと、いわゆる終戰直後から暫らくの間と比べて最近こういうものが少くなつたから必要がない、こういうことにも了解していいんですか。
  109. 伊藤繁樹

    政府委員(伊藤繁樹君) 終戰直後にこうした法令が制定せられました理由は、当時非常に物の需給関係が窮屈であつたと同時に、不正な手段で買溜めをするというような、当時非常なインフレ傾向でございましたので、先高見越しで不正入手する、或いは過剰に在庫を抱くという傾向がありましたので、こういう法令を制定せられたわけでございますが、その後順次物資需給の面も変つて来まして、大幅に統制も解除せられましたので、従つてこういう非常な手段でございますところの強制買入法というものを廃止しようという趣旨でございます。
  110. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 そういう御趣旨だつたらですね、私はおかしいと思うのです。実は今まではそうであつたんですが、最近は事情が変つておると思うのです。それで又政府はまあ原則としては自由経済の方向に持つて行くことにいたしておりますが、物によりましては再統制の段階に来ていることは明らかであります。安本長官もそう言つております。そうして稀少物資については再統制の段階に入る。若しそういう御趣旨であるなら又こういう法律を制定しなければならなくなると思う。現在の情勢が変つたのだから私はとれを廃止する必要はないと思うのです。むしろ恐らくこういう情勢になる前にお考えになつ法律案ではないですか。
  111. 伊藤繁樹

    政府委員(伊藤繁樹君) 朝鮮事変後におきまして経済情勢並びに物資需給の関係に変化を来たしておりますることは事実でございますが、その結果或いはお話のありましたように再統制というような問題もあり得るかとも存じます。併しながら現在の方針におきましては、その場合におきましても或いに輸出の制限、或いは不急用途への使用の制限というかつこうにおきましての統制は行われるかとも思いますが、これは個々の業者に、事業者なり、個人の持つておりまするところの在庫を調べまして、そうしてこれを強制的に取上げるという、いわば個々の、非常にケースの多い行政的措置でございまして、従つて多少物資統制の変化しつつありまする現在におきましてもこういろ意味における強制措置は避けたいという方針の下にこの廃止の法を提出したわけでございます。
  112. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 前には物調法はこれは止めるというような方向にあつたのですが、最近には臨時物資需給調整法、これが又適用の必要も生じておるわけですから、これ自体を廃止しなくともただ運用でこれまでそうして来たのですから、運用して行けると思うのでありますが、非常に積極的な理由が……又事情が変つて来ておるのではないかと思うのですよ。ですから、どうも今の御説明では納得できないのです。若しかこれを廃止すればそれに代つてそういうことが防げる……こういうことがあるということが一つのやはり伝家の宝刀みたいなものです。あるということも一つの効果だと思う。なくしますと又それによつて障害が生ずる場合があると思うのですが、どうも只今の御説明ではこれを廃止する積極的な理由にはならないように私は思う、最近の情勢の変化によつては。この点どうなんですか。
  113. 伊藤繁樹

    政府委員(伊藤繁樹君) 先ほど申上げましたように、一般法律違反によりまして入手いたしました場合には、刑法及び刑事訴訟法一般規定によりましてこれを没收するという法的措置もとり得るわけでございます。それから事業者なり個人なりが不当に統制物資の在庫を持つておるというような事実がございますれば、若しもそれが統制物資である限りにおきましては、臨時物資需給調整法に基きまして、その讓渡の命令なりそういう法的措置は残しておるわけでございます。
  114. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 二十五年度の予算ではこの金額は大体十三億七千万円からあつたのですね。やはり相当の金額になつておるのですが、今のお話によるというと、もうこういうような取扱をしないでもやつて行けるというのですが、只今木村君が言つたように、物資が不足になりつつある今日、或いはこの金額よりもつと相当の金額が計上されなければならないようなことになるかも知れませんと思うのですが、そういう点は研究の上これを廃止するというふうにされたんですか。そのいきさつを一応お聞かせ願いたいのです。
  115. 伊藤繁樹

    政府委員(伊藤繁樹君) この特別会計法は二十五年度におきまして大体すでに整理段階に入つておりまして、従いまして今の予算額も大体従前買入れた物資の売拂い、過去にそういう事実が起きました物資を売拂うという規定の予算的措置でございます。従いまして、そのお話の通りこの特別会計法を廃止いたしますという趣旨は、大分以前からその方針でありますが、なお情勢の変化に応じましての処置につきまして再検討いたしましたが、先ほど申上げましたような理由によりまして、一応廃止するのが妥当であるという見解に到達したのでございます。
  116. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 これを廃止しても刑法の規定があり、臨時物資需給調整法の規定がある。であるからその弊害がないだろうと言われますけれども、この法律の狙つたところと、臨時物資需給調整法、それから刑法の狙うところとは効果が違うのじやないかと思いますね。今までそういう三つであつたわけですよ。それが三つ必要であつたからあつたわけですね。ところが、成るほどお話のように、朝鮮動乱が起る前には成るほどお話のような方向に向いて来たと思うのですよ。勿論問題は、今後の問題をどういうふうに判断するか、相当甘く考えていいのか、相当これは嚴しく考えるべきかどうかですが、最近もうすでに買溜めとか何か出て来ておるのですよ、もうそろそろ。これは止めろつたつてなかなか止まらん問題でありまして、私はこれをすぐに適用する、すぐむちやくちやに適用するというようなことを言つておるのじないんです。こういうものはやはりあつたほうがいいのじやないか、それが今後の物価対策の一つとしてむしろなくさないほうがいいんで、今まではなくしたほうがよかつたのかも知れなかつたのです、併し情勢も変つているから、これを存置して置くことは、この会計で安く買われてしまうというのは業者として困るから、やはり正常保有しないということになりますが、そういう意味でもあつたほうが今後の情勢と睨み合して効果的である。先ほども臨時物資需給調整法の狙うところと、刑法の狙うところと、これまであつたこの法律の狙うところとは違うので、おのおのその効果がその三つ寄つてこれまで相当効果を收めて来たんですから、問題は、今後の情勢如何ですが、我々は今後の情勢は、そんなに朝鮮動乱以後の情勢は甘くない。又インフレ防止の隠退蔵とか、闇その他を防ぐという意味でも、むしろこういものを残したほうがよい。そのほうが積極的な理由になると思うのです。只今の御説明では、臨時物資需給調整法があるからいいのだ、刑法の規定があるからいいのだと言われるが、これだけではどうも納得ができないと思います。
  117. 伊藤繁樹

    政府委員(伊藤繁樹君) 今後の経済情勢におきまして若しインフレの情勢が深刻化いたしますれば、お話のございましたように買溜め、退蔵、そういう傾向もあろうかと思いますが、それにつきましては現に暴利取締令その他におきまして別の面から取締を行なつておる現状でございます。先ほど御説明を申上げましたように、この特別会計法は二十五年度までずつと運用しておつたわけではございませんので、二十五年度はすでに整理段階として運用しておりましたので、そういう実際上のこの特別会計に新たに命令を出し、そうして買上げるということはしておりませんのでありますから、従いましてこれが従来非常にそういう退蔵傾向の支柱になつて、そうしてこれが外されると急に各国民が安心してそういう傾向に一層拍車をかけるというような懸念はないと考えております。
  118. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 私はそういうような極端なことを言つておるのではないのです。これは常識で考えてもわかると思いますが、問題は考え方なんですよ、要するに。今政府はだんだん統制を外して行こう、自由経済にして行こう、そういう精神に副うてその一環としてこういう法律がだんだんできておるのですね。そこを言つておるのでして、議論になりますから私はもうこの程度でやめますけれども、どうも今までの御説明では積極的な理由が、どうも考えられないのです。
  119. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 結局この法案不正保有物資等特別措置特別会計法、これは昭和二十三年に出したのですが、それで公団がいろいろこういうものの取扱をしていたのですが、公団がなくなるから、やるところがないからこれもやめておこう。こういうわけですね。こういうこと考えられておるのですか。
  120. 伊藤繁樹

    政府委員(伊藤繁樹君) そういう理由ではございません。私が先ほど申しましたような理由でございます。
  121. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 それでは参考人にお聞きしたいのですが、若しこういう法律をそのまま残して置くとすれば、公団に代つてどういう機関が扱うことができるのです。
  122. 伊藤繁樹

    政府委員(伊藤繁樹君) これは御承知のように非常にケースがたくさんございまして、文現物を取扱うわけでございますから、これは地方庁なり或いはそういう行政機関だけでは足りないかと思います。従いましてそういうためには、若し公団がなければ、極端な場合には代行商社を使つてやる、ということにもなるかと思いますが、そういうことでは適当でないと思いますので、若しこの会計法を残すとすれば、やはり公団的な機関が必要であろうかと思います。但し公団がなくなるから逆にこの会計法を廃止するという考え方で来たわけではないのであります。
  123. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 結局公団なんかの廃止に伴つてこの法案が存続しておると不便なことが多いというようなのも理由一つになるのではないかと思うのですが、あなたはそうではないかとおつしやるが、実際にはそういうようなことになるのではないのですか。
  124. 伊藤繁樹

    政府委員(伊藤繁樹君) 理由一つにはなると思います。
  125. 小串清一

    委員長小串清一君) この案は、この程度で留保しまして、次の国民金融公庫法の一部を改正する法律案について質疑を開始いたします。
  126. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 国民金融公庫で、今度公庫法の予算決算に関する改正法律が出ますね。そうしますと、二十二條の「公庫の予算に定められた金額の借入をすることができる。」という、この條項が削られることになるのだろうと思うのですが、それでいいですか。
  127. 舟山正吉

    政府委員(舟山正吉君) 只今御指摘の條文は二十二條の二でありますが、現在は「公庫は、大蔵大臣の認可を受けて、政府から公庫の予算に定められた金額借入金をすることができる。」とございますのを、借入金の限度を予算総則に調うということを予定しております。
  128. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 そうすると、今後公庫の改正がなされると「公庫の予算に定められた金額」という、この文句はなくなるわけですね。
  129. 舟山正吉

    政府委員(舟山正吉君) 用意いたしております法律の字句のことは、ちよつと手許に資料を持つておりませんので明確に申上げかねますが、現在は御承知の通り、公庫の貸付金並びに借入金については、年々予算を立てておつたのを外しまして、経費予算だけを予算に立てるという建前になるのでございます。
  130. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 ちよつと私が聞きたいのは、公庫がそういう予算決算の扱い方を変えるとしますと、昭和二十六年度政府関係機関予算の総則の中に謳つてある第二十一條、国民金融公庫法第二十二條の二の規定によつて、国民金融公庫が昭和二十六年度において更生資金貸付のため借入をすることができる金額の最高限度額を三億円とする。という規定があるのですが、この二十一條の規定で、仮に国民金融公庫法の第二十二條の二の規定がなくなるとすれば、この総則はどういうふうになるのか、総則の二十一條はどういうふうに扱われることになるのかという点なんです。
  131. 舟山正吉

    政府委員(舟山正吉君) 只今借入の限度を全然なくしてしまうということは考えておりません。で、借入の限度はやはり総則に謳らという建前で新法案を用意しております。
  132. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 そうするとこの規定によつてということだけを取つて、総則には借入金金額だけは謳ろういうことになりますか。
  133. 舟山正吉

    政府委員(舟山正吉君) 第二十二條の二は、借入金の枠を公庫の予算で定めるというふうに解すべきと思うのでありまして、借入金を公庫の予算面に謳うということをいたさないのであります。この公庫の予算からは外しまして、むしろ予算総則において大きな枠を設定するということを考えておるわけであります。
  134. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 だから、この規定が改められなければ二十二條の二の規定によつて必ず掲げなければならないのだが、これが改められるとするなら掲げなくてもいいのだけれども、ただ借入金の限度をばはつきりするために、ここに予算の問題としてだけ掲げたのだということになりましようか。
  135. 舟山正吉

    政府委員(舟山正吉君) 予算に定める方法に…予算書の、何と申しますか、各項の下に、国民金融公庫のところで貸付金及び借入金を計数を以て表示する方法もございますが、それを、予算総則で借入金の枠をきめるという行き方も、やはりこれは形の上から申しますると予算で定めることになるというわけでございまして、今後は予算総則で借入金の枠を定めるという行き方で行きたいと考えている次第であります。言い換えますれば、国民金融公庫のほうで予算計数を表示いたしますと、貸付金も一方は見合いに立ちます、それに対して、資金收支といたしまして借入金も出て来るわけであります。それをやめまして、借入金の限度だけを予算総則に謳うということにいたしたいと考えているのであります。
  136. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 だから私がお聞きしたいのは、借入金の限度をきめることは国民金融公庫法としては必ずしも絶対的に必要じやないのだけれども、予算の運用の問題として、予算のほうの必要から限度をば一応二十一條というような規定できめて置くという意味かどうかということです。
  137. 舟山正吉

    政府委員(舟山正吉君) 政府財政の資金を規正する意味において、やはり予算の総則に借入金の限度が出て来ることになると解してよいと思います。
  138. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 そうすると、まあこの改正法によりますと、二十億を更に増資されるのですが、それ以外に金融公庫が債券を発行するとか……。先ずお聞きしたいのは債券を発行するというようなことは許されないわけですか。
  139. 舟山正吉

    政府委員(舟山正吉君) 債券を発行し得るようにすることにつきましても研究いたしましたけれども、只今のところはこれが実現は困難であるという結論に達した次第であります。
  140. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 そうすると、今度借入をする場合に、更生資金貸付のために借入をすることのできる最高限度をきめてますが、それ以外の借入金つたらできるようになるかどうか。今度の公庫の規定を変えることそれができるようになりますか。
  141. 舟山正吉

    政府委員(舟山正吉君) 今度の公庫経理に関しまする法律案を出しますると、公庫はこれまでは一年間における貸付、及び借入の金額を予算に計上しておりましたので、その枠に事業が縛られて参つたのでありますが、それが改正せられまして、貸付及び借入についてはこの予算は一応なくなるわけであります。併し今度予算総則において借入金の最高限度という枠ができるわけであります。そこでその枠の範囲内では借入ができるわけでございます。そこで更生資金につきましては、二十六年度の予算総則におきまして三億円の枠を設定してございます。それから二十二條の二によりまして、公庫が資金の借入をすることができる、この規定を受けまして、更生資金につきましては三億円の限度で適宜借入をすることができる、それを貸付に廻すことができるのでありますが、併しその他の普通の小口貸付につきましては、そういう枠の設定が予算総則にまだございませんから、成るほど一年間の貸付、借入の予算というものはなくなりまして、二十二條の規定がなかつたならば、二十二條の二のうち、「公庫の予算に定められた金額」、この字句がないといたしましたならば借入はできるわけでありますが、借入の限度は二十二條の二によりまして予算で定めてなけりやならんということになつておりますので、今すぐには預金部その他から借入ができないのであります。
  142. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 そうすると、仮にこれが改められるとすれば、更生資金貸付のためでなければできるということになるでしようが……こう了解したいのですが、その場合にそういうものをおやりになるお考えがあるかどうか。
  143. 舟山正吉

    政府委員(舟山正吉君) 今度の法律改正がありますと、更生資金につきましてはすでに予算総則において三億の枠の決定がありますから、その範囲内においては借入をすることができるのであります。それからその他の普通の小口貸付につきましては、それを裏から申しますと、予算総則に普通小口貸付について幾らの範囲内で借入ができるということを謳わなければまだ借入をすることができないということであります。
  144. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 それは予算にきめる必要はないので、公庫の予算に定められた金額というものが、若し取れれば予算に定めることは必要としないで公庫のほうはできるようになるのじやないかと、ただ問題は、それじや予算の問題として、貸付けるほうの金融機関、ここで言えば資金運用部でしようが、そのほうに何か予算的な限定がなければ借りるということは可能になりはせんかと思うのですが……。
  145. 舟山正吉

    政府委員(舟山正吉君) この二十二條の二は変らないのでございます。それで政府が借入をする場合には、公庫の予算に定められた金額でなければならないということになるのでありまして、その予算で定める方式につきましては、従来と変りまして予算総則に謳うということになるのであります。
  146. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 それじやその点もう少し調べまして更に後刻お尋ねしますが、もう一つお聞きして置きたいのは、そうすると、金融債を発行することができるというのは国民金融公庫法からできないのですか。
  147. 舟山正吉

    政府委員(舟山正吉君) 債雰発行は金融機関の特例になつておりますの一で、法律にないからできないということであります。
  148. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 ちよつと国民金融公庫法関係じやないのですが、中小企業金融としてこの前に御報告願つたのですが、それは中小企業信用保險制度の問題ですが、この前予算委員会で報告されたのですが、三十六億の保險をする予定であるということで、その金融機関に対する割当は相当進んでおる、こういうまあ御報告があつたのですが、或るほど金融機関に対する割当は二十億ですか、相当多くなつておるようですけれども、実際その割当てた金融機関が貸した金額はどのくらいになつておるのですか。
  149. 舟山正吉

    政府委員(舟山正吉君) 今年度の総額が三十六億でもう今では二十数億金融機関に割当てられておると思いますが、そのうち最近お報告では金額にして五千万円くらい貸出しておつたと記憶いたします。
  150. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 そうしますと、大体本年度、本年度というのは二十五年度、三十六億の割当があつて、実際には五千万円程度、これはもう非常に少額じやないですか。この前銀行局長にも御質問したのですが、これで実際中小企業金融になるかどうかというこを御質問したわけでして、その程度では問題にならないと言つてもいいくらいじやないか。その原因ですね。もう三月もすぐ終るわけですが、三十六億も割当の範囲があつて、実際には五千万円しか貸してない。これはよほど原因についてよく検討してもつと効果を挙げるなり、或いはこの方法が悪いなら又改めて再検討しなければならない、こういうふうにどうも考えられるのですけれども……。
  151. 舟山正吉

    政府委員(舟山正吉君) この保險制度が実施以来急速に実績が挙りませんゆえんのものは、まあ一つには制度自体につきましてもこれが制定され発表されてからいろいろ世間に批判もあるわけであります。それらの中には傾聴すべき説もあるかと考えますが、併し又一方から見ますと、こういう制度をこしらえましても金融機関の末端まで徹底いたしますのになかなか時間を要するのであります。この周知徹底につきましては、私のほう及び中小企業庁で宣伝に努めておるわけでありますが、大体まあ金融機関の末端にまでこの制度を含み込ませまして、これを借入申込者に十分説明してやるということに至りますまで時期のズレがございます。それから又申込者のほうもなかなかこの制度を含み込んでおりません。従つて金融機関に申込みをなかなかいたさんという事実もあると思うのでございます。どうも……、例えば見返資金の中小融資の問題にいたしましても、実施いたしました当初はなかなかこれは周知徹底されないという事実がありますので、私はもう少し様子を見ませんと本当の批判はできないのじやないかと考えております。
  152. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それにしてもまあ程度の問題があると思うのですが、三十六億の枠があるにもかかわらず年度内に五千万円程度というのでは、趣旨が徹底していないということも無論あるのですが、もつと根本の原因、例えば保險料の一部負担の問題とか、或いは又よく言われるように金融機関に資金の枠自体がない、資金の枠がないのだから非常に困難じやないか。その三十六億の枠をどこからか作つて上げれば、これはまあそう順調に行くかも知れませんけれども、その点もう少しこの趣旨が徹底しないというだけでなく、この制度自体について、まだ保險料の問題或いは資金の枠の問題と、具体的にやはり検討して見る必要があるのではないでしようか。
  153. 舟山正吉

    政府委員(舟山正吉君) 資金の足りませんという点は、これはやはり資金の総量につきまして信用統制をして行かなければならない問題でありますから、この部門についてだけ資金を特に供給するということは如何かと考えられる次第でございまして、この保險制度につきまして実施早々いろいろ聞きます批判のうちに、これは金融機関が結局二割五分の金融を負担しなければならない、これは金融機関を刺激して、これを大いに利用するという気持にさせない大きな理由であるというようなことを聞きます。やはり二割五分の負担を金融機関がするくらいなら、現在あります信用保証制度、これのほうがまだ金融機関にとつて魅力がある、こういつたようなことも聞くのでございまして、その他世評がいろいろございますが、それらをいろいろ十分傾聽してやつて行きたいと考えております。
  154. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 どうでしよう。この中小企業信用保險法によつて、普通の金融機関にこういう中小金融をさせるというところに、その制度自体に無理があるのではないでしようか、どうしても金融機関は、特に今後、銀行局長も言われておるようにだんだん信用統制、量的にも質的にも統制がだんだん進んで来ると思うのですね。普通の銀行はそちらのほうへどうしても貸出ししにくくなると思う。そこでこれは中小企業金融全体としてもう一度考え直す必要があるのではないか。即ち中小金融機関というものはあるのですから、これはその制度自体からいつて無理なようにしないで、これは我々憶測すると今までは、今の政府が中小企業を考えているんだぞと、こういう一つの宣伝、広告に使つたように、結果から見て考えられるのです。そういう宣伝、広告ではなく、実際中小業者は実際に効果の挙ることを望んでおるのでありますから、もつと実質的に考える意味で、そういう必要があるなら中小金融機関自体にそういうことをさせたらどうかと思うのです。この点如何ですか。
  155. 舟山正吉

    政府委員(舟山正吉君) その木村委員の御質問のうちに、中小金融というようなものは、或る程度專門的な機関が担当しなければ円滑に行われないという点につきましては、私は或る意味において御同感でございます。まあ従来市中銀行等に中小金融を奬励して参つたのでありますが、やはり銀行の金融機関の間にもいろいろ分業がございまして、比較的大規模の企業に金融することを主たる任務とするものもあるわけであります。それと半面、中小金融を扱うものは、それぞれの專門の知識も経験もなければならんということも言われるのでございまして、そこでこの信用保險につきましても、その取扱機関といたしましては無盡会社、信用組合というものも入れているわけであります。やはり今後中小金融を円滑にしますために、特にこういうふうな規模の小さい金融機関を十分育成して行かなければならんというふうに考えている次第でございます。ただこの專門の機関と申しましても、すぐに飛躍いたしまして、例えば政府直接関係の特殊機関でなければならんということにつきましては、必ずしも賛意を表しがたいのでありますが、又そういう特殊機関が必要な部門もあるかと思いまするが、広く特殊機関のみならず民営の機関につきましても、專門の機関を育てて行くということは必要であろうと考えます。
  156. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 私は今局長が言われたように、何でも政府の特殊機関でなければいかんというほどには考えていないのですけれども、要するに中小企業信用保險法を改正して、もつと中小金融を担当するそういう金融機関のほうに集中したらどうかということなんです。それで更に、実績をここで論ずるのは早いかも知れませんが、三十六億の枠に対して五千万円というのは、余りにもどらも少な過ぎると思いますので、その点からもう一遍、一体銀行がこういう業務を実際問題として担当することが困難なら、思い切つてその銀行のほうに與える便宜を集中的に中小金融機関のほうに與えるようにしたらどうか、こういうことなんです。
  157. 舟山正吉

    政府委員(舟山正吉君) この金融機関に割振ります枠の問題は、これは固定したものじやなくて、非常に勉強して、枠をよく使つたものは次の枠を割当てるときにはそちらを多くして行くという方針をとるわけでございまして、只今の趣旨に副うように運用上やつて行きたいと考えます。
  158. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 運用上でなく、やはりそういうふうにはつきり法律化せられるような御方針はないのですか。
  159. 舟山正吉

    政府委員(舟山正吉君) 法律上特に特殊の特定の金融機関を排除するというような必要もなかろうかと考えますので、法律を変えなくても御趣旨に副えるのではないかと考えております。
  160. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 実際に効果が挙がれば必ずしも法律改正する必要はないでしようけれども、運用上やつて行くと言いますと、具体的に只今どういうふうにこれまでの欠陷を是正し得るかというふうにお考えになりますか。
  161. 舟山正吉

    政府委員(舟山正吉君) 例えば次の枠の割当のときにおきましては、無蓋会社とか、或いは信用組合にその枠の殆んど大部分は割当できるというようなことをやつて参ればよろしいのではないかと考えます。
  162. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 国民金融公庫の問題にもう一遍返るのですが、国民金融公庫の職員の給料が非常に低いという話があるのですが、今大体どれくらい実際には……。
  163. 舟山正吉

    政府委員(舟山正吉君) 国民金融公庫の職員は一般職の国家公務員を以て待遇せられておるのでございまして、その実際の給與は職階表を御覧頂ければわかるわけであります。ただ特例といたしまして一般職の国家公務員給に三割以内の加算をすることができることになつております。
  164. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 国家公務員の給與は大体民間のそれに該当するような職種と大体均衡をとるというようなことが謳われておると思うのですが、そうだとすると我々が人事院から報告を受けておるところによると、民間においては金融機関の給與はほかの産業に比べて若干高いということを言われておるのですが、そうだとするとそれと調子を合せるためには金融公庫の業務の特殊性といいますか、そういうものから考えて一般職の国家公務員の給與をそのまま一律に当てはめるということは若干不合理なんじやないか、ただ三割の加給というのは公庫全般に通ずる問題であるので、もう少しその点を金融機関として特殊に配慮することのほうが必要なのじやないか。殊に最近のように資金量が非常に増加しており、従つて貸付件数その他も殖えて来るでありましようし、業務量が非常に殖えているのに、人員の増加はそれに追つかない。そうだとすると、勢いその一人々々がオーバー・ワークを強いられるというようなことになつている現状だと思うのですが、そういう点を特別に配慮する方法はないのですか。
  165. 舟山正吉

    政府委員(舟山正吉君) 先ほどのお話のお答えに言葉が不十分でありました点を補足さして頂きます。三割以内の加給と申しましたが、平均一割の加算、そうして最高三割に止めるということでございますから、さよう御了承願いたいと思います。で、公庫の職員の給與を、まあ一般公務員並みでいいかどうかということにつきましてはいろいろ意見があるところと考えます。政府におきましても、或いは給與担当部門におきましてはどう考えるか、それと離れまして、私どもといたしましては、これは一般公務員の給與で以て律するのは相当無理があるのじやないか、何か俗な言葉でもつと色をつけていいのじやないかというふうに考えておる次第でございます。
  166. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 殊に今度できた日本輸出銀行は大体一般公務員ということでなくして、役職員はすべて特別職というような形にして、給與の面も特別にお考えになつているのじやないかと思うのですが、それに準じたような扱い、そういう方向改正することはできないのか……。
  167. 舟山正吉

    政府委員(舟山正吉君) 現在国民金融公庫は飽くまで国家機関として徹底した扱いをしておりますので、それに従事いたします職員も一般職の公務員ということになるのでございます。国民金融公庫をもう少し国家機関的色彩を薄くすると申しますか、もつと自由に民間企業の間に伍して活動できるようにすると申しますか、そういうことにいたしますれば、職員の給與の問題も又別途の見地から考えていいのではないかと考えます。併しその根本につきましては、なお研究いたしたいと考えます。
  168. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 輸出銀行はその点性質的には逢うのですか。
  169. 舟山正吉

    政府委員(舟山正吉君) まあ、全額政府出資というような点につきましては共通でございますが、その活動を飽くまで自由にする、そのためには、法律の上には現われておりませんけれども、政府の規範をできるだけ少くしまして活動せしむるためには、人材も集める必要がある。そのためには給與についても特例を設けるという建前でできておるのでございます。国民金融公庫について、まあ同じような考えをとつたほうがいいかどうかにつきましては、なお研究いたしたいと存じます。
  170. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 その金融機関の重要性というような問題から言えば、輸出銀行が特別に大企業の金融機関である意味において重要でもありましようが、別な意味においては中小企業の、或いは庶民大衆の金融機関は社会的にはもつと重要なのですから、日本銀行のほうはいろいろな意味で手足を持つているので、それを使うことによつて業務の代行ができる面が相当たくさんあると思うのですが、国民金融公庫のほうには、そういう便宜も輸出銀行に比較しては少いのではないか、そういうことを考えれば、重要性の面から見ればむしろ輸出銀行に優つても劣るものでないと思うのですが、輸出銀行のほうには、すでに一般職でなくて、特別職としての扱いをしておられると聞いておりますので、少くともそれと調子を合わすような御配慮があつて然るべきなんじやないかと思うのですが、どうでしよう。
  171. 舟山正吉

    政府委員(舟山正吉君) 御意見は初めから否定申上げるわけではないのでありまして、なお今後研究いたしたいと思います。
  172. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 よくこの金融公庫の業務についての批評を地方で聞きますときには、私の郷里は鹿兒島でございますが、大部分が鹿兒島市で集中的に貸付が行われて、地方郡部のほうには殆んど貸付が行われない、なぜそれが行われないかというと、出張旅費がないのだというのですね、そこで、どうしても人を出すことができないから、実地調査その他ができないために、自然地方郡部にはやられないということで、地方郡部の非常な不平不満が多いのですが、聞くところによると一般公務員の旅費規程に拘束されて、一日八十円以上は支給されないということになつておる。そういうことで、もう出ることが絶対不可能になつておるというような状況なんですが、との点を何かもう少し規程を改正するなり、或いは運用の面でもいいのでしようが、何か手心を加えるようなことはできないのかどうか。
  173. 舟山正吉

    政府委員(舟山正吉君) 公庫の旅費その他の経費につきましては、私どもも現状で以て決して満足しているわけではないのでありまして、更に機会を得まして、これは増額に努めたいと考えております。例えば支所設置のごときも、まだ支拂のない府県もございますので、最近の機会において、これが拡充に努めたいというような気持を持つているような次第でございます。当座の問題といたしましては、あります経費をできるだけ有効に使う、或いは支所を置きませんようなところは代理所を活用するというようなことで、できるだけの機能を発揮させたいと思つている次第でございます。
  174. 小串清一

    委員長小串清一君) 御質問はありませんか。質問を打切つてもよろしうございますか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  175. 小串清一

    委員長小串清一君) それでは質疑を打切りまして、本日はこの程度で散会をいたします。    午後三時四十九分散会  出席者は左の通り。    委員長     小串 清一君    理事            大矢半次郎君            杉山 昌作君    委員            愛知 揆一君            黒田 英雄君            清澤 俊英君            佐多 忠隆君            小林 政夫君            小宮山常吉君            高橋龍太郎君            山崎  恒君            油井賢太郎君            森 八三一君            木村禧八郎君   政府委員    大蔵政務次官  西川甚五郎君    大蔵省主計局法    規課長     佐藤 一郎君    大蔵省管財局長 吉田 晴二君    大蔵省銀行局長 舟山 正吉君    通商産業大臣官    房会計課長   伊藤 繁樹君   事務局側    常任委員会專門    員       木村常次郎君    常任委員会專門    員       小田 正義君