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1951-03-07 第10回国会 参議院 大蔵委員会 第16号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年三月七日(水曜日)    午後一時四十四分開会   —————————————   本日の会議に付した事件 ○開拓者資金融通特別会計において貸  付金財源に充てるための一般会計  からする繰入金に関する法律案(内  閣提出衆議院送付) ○公団等予算及び決算暫定措置に  関する法律の一部を改正する法律案  (内閣提出衆議院送付) ○農地証券償還金の一部を一般会計  の負担とすることに関する法律案  (内閣提出衆議院送付) ○商品券取締法の一部を收正する法律  案(内閣提出衆議院送付) ○国家公務員等の旅費に関する法律の  一部を改正する法律案内閣提出、  衆議院送付) ○国家公務員共済組合法の規定による  年金の額の改訂に関する法律案(内  閣提出衆議院送付)   —————————————
  2. 小串清一

    委員長小串清一君) これより大蔵委員会を開会いたします。  都合によりまして開拓者資金融通特別会計において貸付金財源に充てるための一般会計からする繰入金に関する法律案を議題といたします。この問題はすでに政府の御説明がありましたのですから、御質疑を願いたいと思います。
  3. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 昨日ちよつと政府側資料提出を求めて置いたのですが、できておりますか。
  4. 小串清一

    委員長小串清一君) それは参つております。開拓者資金事務局別資金別貸付現在額、この表ですが。
  5. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 そこでこの貸付によるところの最近までの成績ですね、いわゆる開拓に関しての実効がどの程度挙つているか、或いはそれに対する弊害ですね、例えば開拓したがために治山治水の上において相当影響を及ぼしたというようなことがあるかどうか、その点を先ず第一に御説明願いたいと思います。
  6. 野田哲五郎

    説明員野田哲五郎君) 御質問の開拓の現況でありますが、御承知のごとく、開拓昭和二十年の終戰直後から始められまして、今日まで継続しておるわけであります。その実績をここに掻摘んで申上げますと、未墾地の取得におきまして、昭和二十五年度末現地で百二十万町歩、それからそのうち売渡しが済んでおりますものが三十五万町歩ということになつております。それから入植者状況でございますが、今日まで入植いたしました累計は十九万戸でありまして、現在残つておりますのは十四万戸でございます。約五万戸が脱落者ということになるわけであります。で、この入植者の包容しております総人口は七十五万五千ということになるわけであります。それからこの入植者のほかに地元増反というのがございますが、これが六十八万二十戸、六十八万戸増反を実施しておるわけであります。これらの入植者増反者によります開墾の総面積は、今日四十一万町歩という数字を示しております。で主要食糧生産見込でありますが、開拓地は米は非常に少いのでありまして、麦とか雑穀とか、いわゆる米換算にいたしますと非常に率の惡い産物が多うございますけれども、それで約二百五十万石の米換算生産を示しております。  開拓者営農状況簡單に申上げますと、大体耕地面積にいたしまして、既存農家に対して、既存農家の一戸当り平均面積に対しまして、現在開墾が済んでおります一戸当り面積は三割くらい増であります。農機具の類におきましては、大体機械的な農機具におきましては、既存農家一戸当り平均の三割程度という状況であります。家畜におきましては、経営特殊性から参るのでありますが、非常に既存農家と接近しておりまして、例えば馬をとりますと、既存農家一戸当りに対しまして八三%の数字を示しております。乳牛に至りますと、これは非常に数が増して参りまして、既存農家との一戸当り比較は二〇〇%という数字になつて参つております。で大体家畜面におきましては、既存農家の持つております比率よりも遥かに高いということが言えると思います。このことが要するに畑地経営におきまして家畜の糞尿、堆厩肥というものを通じまして、畑地生産力が急速に上つて行くことを暗示するものでありまして、先ほど申上げました低い生産量というものも、今後急速に上つていくということを確信しておる次第であります。今まで開拓にかなりの金額が投資されておりますけれども昭和二十四年度の末で考えて見ますると、約現金にいたしまして百五億の金が投ぜられております。それを物価によります価値換算をやりますと、三百二十億という数字が出て参りますけれども開拓者が現在持つております資金を評価いたしますと、三百五十六億という数字を示すことができるのであります。これらから見まして、開拓相当の御批判を各方面から受けましたけれども、実質的には着々と内容を充実しているということを御了解頂けるかと思うのであります。  次に開拓の持ちます欠点といたしまして、治山治水の面に及ぼす影響が御指摘がありましたが、この問題につきましては、若干当初の開拓におきまして急速なる農地買收をいたしました関係から、そういう事例が起きたかも知れんのであります。たびたび指摘はされておりますが、いざ現在について仔細に検討をいたしますと、かなり抽象的な議論が多かつたのであります。で、併しながら我々といたしましてはさような世論の御要求に応えまして、最近におきましては嚴重なる適地調査開拓地計画を樹立することにいたしまして、その点を防止しておるのでありまして、少くとも今後の開拓の点につきましては御心配の点はないと思つております。
  7. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 そこで、只今の御説明の中の脱落者が大体四分の一あるのです。この脱落者に対するところの貸付金のいわゆる回收というようなことは、どういうふうに処置されておりますか。
  8. 野田哲五郎

    説明員野田哲五郎君) これは資金融通法によりまして一時償還をせしめることになつております。只今までの成績資金返還を命じましたものが七千一百万円でありまして、それに対して收入済のものが三千八百万円であります。五四%が返還されたということでありまして、残りの四六%、三千三百万円は未收であります。これは当初におきまする脱落者は、ほかにいろいろ職業の途が発見されましたために転ずる者が多く、比較的順調に返還されたのであります。ところが最近における脱落者におきましては、生活が非常に困つて、止むを得ずほかに転ずるというような状態でありますので、一時償還成績がかなり低下して参つております。これに対しましては年賦償還方法によりまして、更に追求して行くというふうにしておるのであります。ことが年度と申しますか、我々としましては、今後この和解の方法によりまして、正式に年賦で取上げるというような考えを持つております。
  9. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 最後にもう一点伺つて置きたいのは、この資金においてですね、申込と、それから実際に利用される率ですね。どの程度潤いが、つまり開拓者に廻つておるか、その点をちよつと御説明願いたいと思います。
  10. 野田哲五郎

    説明員野田哲五郎君) この資金は、原則といたしまして入植者に均等に貸付けされるということになつております。従つて入植者……、但し非常にその営農成績惡い、而もそれを打開する方策が十分立つていないという場合におきましては、資金の、危険がありますから、その点は抑えることにしております。併し原則といたしましては、平等公平に渡すということにしておるわけであります。そこで私どもとしましては、予算範囲内におきまして、大体これくらいの資金が貸付けされるという目安を立てて開拓者に示しますと、その範囲内におきましておのおの必要なる計画をして申込むというようなのが実情であるかと思います。
  11. 松永義雄

    松永義雄君 只今説明の中で、最近の脱落は、いい仕事に転ずるというのでなく、生活の困難だというようなお話でしたが、その事情、理由、原因ちよつとお話し願いたいと思います。
  12. 野田哲五郎

    説明員野田哲五郎君) 開拓の当初におきまして、かなりこの開拓が容易に実現するというような希望を以て多数の開拓者が入られたわけであります。ところが開拓して見ますと、非常に困難な問題がございます。それは例えば家を作らなければならない、道路を作らなければならない、或いは又開墾をしなければならない。さような困難な事情は、一般既存農家においては見えない現象であります。さようなハンデイキヤツプを負いながら、而も土地條件が非常に劣惡でありましたので、遂に生業の見通しを立て得ないままに、経済が貧困になつ脱落するというようなのが多かつたのであります。私どもといたしましては、この問題は開拓に基本的に附きまとう問題もありましようけれども一つ土壌改良について政府の手の打ちかたが非常に生ぬるかつたというようなことから、この方面に力を入れ、本年度、二十六年度予算におきましてはそれを考慮して頂くようになつておりますので、この点は非常に是正されて行くかと思うのであります。
  13. 松永義雄

    松永義雄君 最近の、終戰後における開拓者に対して税金のようなものはどういうふうになつておりますか。
  14. 野田哲五郎

    説明員野田哲五郎君) 所得税につきましては、かなり開拓者の中から心配の声が起つて参りましたが、実際上の問題としては余り何していないようであります。それから町村税におきましては、少額の税金が課せられております。
  15. 松永義雄

    松永義雄君 私の聞いたところによると、二十二三年、四年頃の税金関係、これが一般部市並み税金でかかつて来て、とてもこれでは支拂いできないというような声が聞えて来たのでありますが、そのように税務署のほうでは税金をかけておりますか。
  16. 野田哲五郎

    説明員野田哲五郎君) 事例といたしましては、さような事例がままありまして、開拓者のほうからも所得税の免除に関する強い要望が出て参つたのであります。併しながらその事態に対応いたしまして、広く調べて見ましたところが、かなりしその事例は局限されておりましたので、税務署十分話をしまして、開拓実情から見て適正なる査定を願うことにいたしました結果、今日では所得税に関する不満というものはほぼ消滅したように思つております。
  17. 松永義雄

    松永義雄君 只今政府委員かたは非常に楽観的というか、見かたをしておられるのでありますけれども、事実は殆んど経営の成り立たないような税金を課して来ているんで、税務署に向つて大衆運動を持つて来ても、なかなか実情の納得を得ることができない。今日は幾らかわかつりて来たようですけれども只今お話のあつたように土地の肥えてる、瘠せてるということで大きな差がありまして、それに対して一般並み税金を課して来ること自体が、これは素人で考えても不可能のことなんで、そういうことによつて開拓者に対して非常な重圧を與えて来たのであります。  主税局かた、誰も見えてないでしようか。
  18. 小串清一

    委員長小串清一君) 主税局では見えておりません。
  19. 松永義雄

    松永義雄君 主税局かた開拓者に対する将来の取扱いを聞きたいのです。
  20. 小串清一

    委員長小串清一君) それでは後ほど……。
  21. 松永義雄

    松永義雄君 要するに今お話のあつたように開拓者というのは痩地へ向つて努力するのであり、これはもう普通以上の助力を與えなければならんことは勿論で、そのためにこうした融資というような法案も出て来る。然るにそこへ持つて来て税金を課けて来たのでは、そうでなくても普通の農家税金の重荷に堪え切れん。ましてや開拓はそれに堪えられるものじやない。こういう点は非常に注意をしてもらわなきやいけないと思うのですが、主税局開拓者に対する取扱方針……。
  22. 小串清一

    委員長小串清一君) 主税局の者を呼んでもらいたいという御希望ですか。
  23. 松永義雄

    松永義雄君 そうです。主税局から……。
  24. 小串清一

    委員長小串清一君) それでは呼びにやりますが、ほかのことを……。
  25. 清澤俊英

    清澤俊英君 ちよつとお伺いしますが、さつき開拓者の数ですな、大体十九万というのですな。
  26. 野田哲五郎

    説明員野田哲五郎君) はあ。
  27. 清澤俊英

    清澤俊英君 それからその次の十四万というのは何ですが。
  28. 野田哲五郎

    説明員野田哲五郎君) 五万戸脱落いたしまして、現在残つておりますのは十四万戸。
  29. 清澤俊英

    清澤俊英君 それで増産開拓のほうが六十八万戸、それで数字は間違いないのですな。
  30. 野田哲五郎

    説明員野田哲五郎君) 間違いありません。
  31. 清澤俊英

    清澤俊英君 それでは増産のほうでは脱落は殆んどありませんね。そこで問題になりますのは、我々が見ますと、増産開拒は、とにかく経済的な非常に強い裏付を持つてつておりますから、数も十八万戸あり、反別はちよつと違いますが、従つて一人の脱落者もない。非常に成功している。結局十九万の約四分の一、五万戸が脱落するということは、折角入れた開墾事業に対して、いろいろ終戰当時、質も非常に適しない者もあつたかも知れませんが、大体において面倒の見かたが足らなかつたのじやないか、こう思いますが、その点を一つはつきりさして頂きたい。今も松永さんがお伺いしている通り、何がために脱落しているのだ、こういうこと。この点を一つはつきりお聞かせ願いたい。
  32. 野田哲五郎

    説明員野田哲五郎君) お答えいたします。脱落が特に終戦直後に入植されたかたに多い原因は、やはり終戰直後社会情勢を反映いたしまして、それの救済策として開拓事業が出発したわけであります。そのために開拓希望されるかたを無制限に取入れたという点から見まして、開墾に十分堪え得る能力のあるかたを選定することができなかつたということが第一点であるかと思います。  第二点は、土地状況が非常に惡い。当時すべての人は、争いまして交通の便利な飛行場跡練兵場跡に入られたのでありますが、これを今日から見ますと、いわゆる、農業用土壌を形成していないわけであります。これはもう岩石の分解したものに過ぎないわけでありまして、かような所に開墾を始めたということに非常に無理があつたと思うのであります。その他、政府施策が緊急の場合でありまして、今日から見ますと甚だ不徹底であつたということも認めざるを得ないかと思うのであります。
  33. 清澤俊英

    清澤俊英君 それが事実は聞きますと、どさくさまぎれに非常な不適当な人を、国策的に連れて行き、その次には、全然これはもう初めからわかつてつたのですが、土質が全然開拓に向かないで、却つて近隣人たちはあんな所へああいう馬鹿なことを又政府はしておると言うて、笑われるような所へ入植させ、その上いろいろな道路交通、その他開墾上の諸施設が不便で、不適当な施設をして置いて、それが脱落して帰るということは、これは当然の話であります。従つてそれがまあ当然脱落して帰るから、今言いました資金返還が、一時に出したものはそれを返還したかも知れませんが、その後の返せんやつに対しては、徹底的な方針と、緩和策を講ずる、非常に含みのあるお話をお伺いしておりまするが、こうして見ますると、私は入れた者が相当責任を負わなければならん。入つた者こそ、私は、全然農耕に経験のない者が入つたのでありますから、従つてそれは指導して入れた者の責任で、却つて損害を出さなければならんくらいに考えても差支えないと考えます。それほどの徹底した考えはなくとも、そういつた事情はもつとよく調べて、そうして何かの御処置をお考できないでありましようか。できればもつと強硬な態度で、その脱落者からなお追求して、これを要求して行くという御対策を続けられるのかどうか、それが一点。それからこれと関連しまして、今現に入植しておる者も、殆んど入植してそこに居すわりが着いたとしても、これもその後の施策として用排水の問題、或いは畑地開墾したならば、相当金額をかければ次に開田をなし得るような所に対しまする施設に、殆んど開墾地としての特別のお考えがないようでありますので、そういう点に対して将来どうして行かれるのか、このまま、開墾地をあのままたして、道路も開鑿せず、用排水もそのままにして置く、こういうようお考え開墾事業を進めて行かれるのかどうか、大体お聞きして置きたいと思います。
  34. 野田哲五郎

    説明員野田哲五郎君) 脱落者に対する資金返還要求の問題は、これは国の大切な資金を貸して頂いておるわけでありますから、私どもとしましては、酷にならざる程度におきまして、確実に返してもらおう、かように思つております。又我々の地方仕事を受持つていてくれる者も、その気持で進んでおるのでありまして、新潟県の事例のごときは、開拓者脱落いたしまして、学校の小使になつたわけであります。そこで約二万円借りておりますうちに、一万円はどうしても自分で返すことができますれどもあと一万円は返すことができないというような事態が起りました。その場合に県の融資の係の人が、それではあとの一万円は月賦で返してくれるならばというようなことで、金融機関から用立てて、二万円返してくれたというような事例もあります。中には自分で喰い潰した金であるけれども、これは政府責任であるというような気持を持つておる開拓者もあるかと思いますけれども開拓者一般といたしましては、この資金が非常に大切なものである。どうしても返さなければならんという気持を持つておるのでありまして、その気持を阻害するような対策は成るべくとりたくない、かように存じておるわけであります。  それから今後のやりかたにつきまして、御指摘のように、畑から開田へという問題もありますが、我々といたしましては、従来日本において非常に閑却されておりました畑地経営を、この開拓によりまして確立したいという強い希望を持ち、又開拓者の多くの人もさような考え方を以て進んでおるわけであります、そこで先どほ申しましたように、家畜の類が非常にたくさん入つて来るというような実情であります。但し簡単に開田ができる、或いは簡単に灌漑ができるというような所につきましては、是非実現をお願いしたいと、かように思つております。
  35. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 これは主計局のほうへお伺いして置きたいのですが、この特別会計予算を見ますというと、ただ單にですね、今年の收入予算と支出の予算を計上しておるのですね、それでまあ今資料要求したので、全貌は明らかになつたわけですけれども、例えば現在この資金として出ているのは五十二億近いものが出ておるのですが、この計算によりますというと、今年度の収入、例えば十六億なら十六億、これしか出ていない。これだけでは一体この特別会計全貌というものは、どうなつておるかということが明らかでないのですね、将来は、今年はもう間に合わないとしても、これはやはり全般的のですね、事業の総計も載せて置いたほうが、我々審議する都合上いいのじやないかと思いますが、そういうことはお考えなつておられないのですか。ほかの特別会計にも恐らく同樣なことは言われるのですが……。
  36. 佐藤一郎

    政府委員佐藤一郎君) 特別会計は国会にたまに出て参るのですが、私も今度開拓者資金の改正に際して予算を、よく、添付書類を見ますとですね、どうも不十分の感じを持つております。実はこれについては来年は直そうという話もしております。できるだけ今のような意味の御要望に副えるようなものを出したいと、こう思います。
  37. 森八三一

    ○森八三一君 先刻の御説明によりまするというと、これらの資金は、入植者に対しましては公平、平等に貸付けをするというように承わつたのでありますが、それは勿論予算範囲内で行われることになるのでありまして、そういたしますると、実際の営農なり住宅なり、それぞれの用途につきまして、所用とする実額と、貸付けをせられる額との間には開きがあるように思われるのであります。その実際の所用額と、この制度によつて付けを行われまする額の比率が大体どれくらいになつているのか。それからそれが非常に開きがありといたしますると、その不足部分というものは、一体どういう方法で調達をされておるのか、或いは入植している諸君は、非常に経済的にも弱者でありまして、困つておるかたと思うのでありますが、そういう場合に他の方面からその不足分を調達するとしますれば、そこには非常に無理がかかつて来るというようにも思われるのであり、そういう無理がかかつて来るところに、十九万戸入植したけれども五万戸脱落をした。その五万戸には、原因はそういうことばかりではないかと思いますが、そういうこともかなり一つの大きなフアクターとして考えられるのではないかと思われるのでありまして、若しそうだといたしますれば、予算範囲内で、いわゆる公平平等に、広く薄く行くというような建前でなくて、もう少し徹底して行くような考えを持つたほうがいいのではないかというようにも考えられるのでありますが、それらの点につきまして実情一つお話し願いたいと思います。
  38. 野田哲五郎

    説明員野田哲五郎君) 開拓地開拓農家の場合におきましては、地域別によりまして、大体経営面積もきまつて参りますし、従つて経営内容も異なつて参りますので、私のほうでいろいろの累計作つて実情に照らし合わせながら考えておるわけであります。それによりますと、一番代表的に考えられますのは、二年三作地帯ということにしておりますが、これの総所要資本額は四十六万円くらいかかるわけであります。それに対しまして現在の政府の助成と融資とを合わせますと二十三万円程度であります。従つてここに相当の……二十三万円程度差額が出て来るということが考えられます。但しこのほかに建設工事というようなものが行われるところもありまして、それに労賃も入りますが、この差額の二十三万円というのは、我々が希望する経営の発展の程度犠牲にする、或いは又自分労賃收入によつてつて行くというようなことで来ておるわけであります。そこで我々といたしましては、成るべく必要な金を早く注ぎ込んでもらいまして、開拓が早く実現することを希望するのでありますが、なかなか国の財政の都合でできませんので、若干スピードを犠牲にしながら行つておるというような実情でございます。で御指摘の公平、平等主義に対する御批判でありますが、これはやはり一万戸なら一万戸を入れました以上は、それをすべての人が先ず第一に脱落しないように持つて行く、第二にはすべての人がよくなつて行くように持つて行くという考え方でありまして、秀才教育はできるだけ避けたいという気持で、基本的な原則はやはり公平で行きたいと思つております。併し立地條件の差もありますし、又それによりましていろいろ経営上の内容の差もありますので、或る程度彼此融通と申しますか、或る程度一部に厚く一部に薄くということは実施しておる次第であります。
  39. 九鬼紋十郎

    九鬼紋十郎君 この参考資料を見ますと、地方が非常に局限されておるように見えます。殊に仙台なんかが殊に多いという事情はどういうことによつてきまるのでありますか。
  40. 野田哲五郎

    説明員野田哲五郎君) 仙台以下左に並べておりますのは、御承知のように農地事務局の管内を示しております、仙台農地事務局等の……。そこでこれらの事務局におきましては、統括しております県の数が違いますし、又府県によりまして開拓者の数の大小が非常にあるわけであります。東北開拓の大株主でありまして、ここに非常にたくさんの人が入殖をしておる関係でかようなことになつておるのであります。
  41. 九鬼紋十郎

    九鬼紋十郎君 それでいろいろの事情から考えれば、北海道なんか相当開拓地域が多いのじやないかというように考えますが、そういつたことを、或いは政府のほうで多少指導的に計画して開拓をやらせるというような意図はないのですか。
  42. 野田哲五郎

    説明員野田哲五郎君) お話通り、やはり北海道開拓上非常に大きな位置を占めることは我々も承知しておるわけであります。今までは要するに内地におきます問題が中心でありましたが、今後漸次内地のまあ未墜地というものが少くなりますので、重点は北海道東北という所に移つて行くと思います。そうしてその移りかたにつきましては、これは計画的に実地するつもりであります。   —————————————
  43. 小串清一

    委員長小串清一君) この案につきましては暫く質疑を保留いたしまして、次に公団等予算及び決算暫定措置に関する法律の一部を改正する法律案について御審議を願います。政府委員からこの案については一応なお御説明を願いましよう。
  44. 佐藤一郎

    政府委員佐藤一郎君) 簡單に御説明申上げます。  御承知のように昭和二十四年度予算から公団等、即ち政府機関と称しますものの予算を国会に対して提出いたしまして、御審議を願つておるわけであります。でその手続等を規定いたしますための法律として、現在公団等予算及び決算暫定措置に関する法律というのがございまして、この法律に基いて国の予算と同じようなやりかたで、手続によつて国会に提案して御審議を願う、或いは又国の予算と同じような執行の仕方をして行くというようなことが規定されておるのでございますが、従来この暫定法律の中には、いわゆる予備費の規定が欠けておりました。政府機関の中には予備費を設けておつたものもございますが、それは従来事業的な性質の政府機関が多いために、その收支尻を合わせるというようなために予備費という名前を使つてあるという程度のものしがなかつたのでありますが、法律上の制度といたしまして、やはりこれらのものにも予備費の制度を設けようというのが一点でございます。  それから繰越につきまして、御承知のような事業的な性格のものが大部分でございますが、繰越の規定を実は欠いておりまして、非常に不便を感じたことがございますので、繰越の制度をここに設けよう、その他字句の修正がございます。改正としましては極めて簡単なものでございます。
  45. 小串清一

    委員長小串清一君) 本案につきまして、御質疑はありませんか。
  46. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 各公団が最近いろいろ問題が出ているんですね、そういう際において、いわゆる予備費などというものがないときでさへもああいつたようないろいろな問題が出るのに、こういうような予備費というような案が出た場合に、いろいろ勝手な理屈をつけて、あとからあとからとその予備費を使うというような慮れはないのですか。
  47. 佐藤一郎

    政府委員佐藤一郎君) 只今の御心配はないと思います。と申しますのは、最近における公団の問題というものは、こういつた関係のものでありませんで、いろいろな不正行為でありますとか、或いは予算の目的を無視した使用の仕方をするというようなことでございます。御承知のように公団の予算というものは、事業的な性質を持つておるために、相当弾力性を持つて組まれております。従いまして現在でも何か内部の流用、利用というものを相当激しく行なつております。又それでないと実際さばけないというようなこともございまして、相当流用が行われております。従いましてやろうと思えば流用とでも申しますればできるわけでございます。予備費の制度を設けましたのは、現在法的にきめてなくて、事実上やつておるもの等もございますし、又建前としては、やはり予備費というものを置くことが適当であるという意味でやつております。現在の各種の公団の問題とは直接関係がない、こう考えております。
  48. 清澤俊英

    清澤俊英君 今は公団で残つているのは幾つありますか、名前を……。
  49. 佐藤一郎

    政府委員佐藤一郎君) 現在残つておりますのは価格調整公団、食糧配給公団、肥料配給公団、油糧砂糖配給公団、産業復興公団、鉱工品貿易公団、繊維貿易公団、これらは昭和二十六年度予算としては、なお清算のための経費が計上されておるという意味で残つておるのでありまして、もう公団は全部解散するということになつております。現在は清算事務をするために残つております。
  50. 清澤俊英

    清澤俊英君 そうしますと、公団の実際の運用でなくて、清算事務上、不足の場合今のこの処置をとられますと、そうすると只今油井さんが質問せられた、どうもそこに割り切れない何物かが残るようですが、そうしますと、結論として、結局然らば油井さんの言われたような、非常に不明確なものに廻るのでなく、運用上の中のあるものだ、その流用の中というものは、大体どんなところを指すことになるのですか。
  51. 佐藤一郎

    政府委員佐藤一郎君) 実はこの法律の名前が、公団がなくなりますので、公団等というのをこの次の機会に変えるつもりでおりますが、公団がなくなりましても、なお復興金融金庫、国民金融公庫、住宅金融公庫、或いは商船管理委員会とか、いろいろな例の政府機関と称するものはなお残つております。それでこの法律の適用は将来もまだありますので、この際こういう制度の改正を特にやつているわけであります。実際問題としましては、もう公団につきましては、この制度の改正を特にこの際するという必要はないわけであります。  後のほうの御質問の趣旨はちよつとよくわかりませんが、特に公団が清算に再会をしているという際に、何かの意図を以てこういう改正の必要が起つたのじやないかというようなお話のようでしたが、特にそういう気持は持つておりません。この予備費の制度なり、繰越の制度を設けましても、そのために公団の清算が左右されるということはございません。
  52. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 今のお話によつて、公団や何かの今までの予算を見ますと、昨年度でもやはり予備費は計上してあるんですね、公団では……。それで今のお話公団等という、公団以外の等は、どういう機関なんですか。
  53. 佐藤一郎

    政府委員佐藤一郎君) これは公団等と申しますのは、政府関係というのは、言葉が当時まだできておりませんでして、現在この予算政府機関というのがございますね。この政府機関を指しているわけなんです。それを公団等という名前で書いてあるわけであります。
  54. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 そうしますと、もう公団はすでに予備費はちやんと取つてあるんですね。この前の、つまり昭和二十五年度でも。そうするとほかにまだ予備費の取つてないところのために、これは法を以て作るとなると、ここのところの名前が何ですか適当じやないんじやないですか。それともほかの事業で公団が新らしく働ける條件があるので、この公団等というものを使つたというふうな意味に解釈していいんですか。
  55. 佐藤一郎

    政府委員佐藤一郎君) これはおつしやる通りに名前がもう適当でなくなりつつあります。それでちよつと申上げましたように、この次の機会あたりに他の改正すべき点等も合わせまして、この公団等という名前を政府機関というふうに直しますか、何か適当な名前に変えたい、こう考えております。殆んどおつしやるように、印象がもう従来は公団中心の政府機関であつたものですから、そのまま名前にしてありまして、現在としてはちよつとおかしな感じを持つのはおつしやる通りであります。できるだけまあ早い機会に直したい、こう思つております。
  56. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 そこで第十二條あたり、予備費を使おうと思うときは、大蔵大臣の承認を経なければならないことになるんですね。この承認というものは円滑に速かにあるものなのですか。それともなかなか嚴重な審査を経てからでないと承認されないのですか、その辺のところを伺いたい。
  57. 佐藤一郎

    政府委員佐藤一郎君) これは一般の場合の予備費でありますと、閣議決定等を経て非常に嚴重でございます。まあ公団等につきましても同樣にいずれも予備費の制度を正式に設けるということになりますと、大蔵大臣としては責任を持つて十分なる審査をいたしまして、そうして承認をして行く、こういうふうにしたいと思います。
  58. 小串清一

    委員長小串清一君) 別に発言もないようでありますから、質疑は盡きたものと認めまして、直ちに討論に入ることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  59. 小串清一

    委員長小串清一君) 御異議なしと認めます。  それではこれより討論に入ります。御意見のおありのかたは、それぞれ賛否を明らかにしてお述べを願います。別に御意見もないようでありますから、討論は盡きたものと認めて御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  60. 小串清一

    委員長小串清一君) 御異議ないと認めます。よつてこれより採決に入ります。  本法案を原案通りに可決することに御賛成のかたの御挙手を願います。    〔総員挙手〕
  61. 小串清一

    委員長小串清一君) 全会一致と認めます。よつて本案は決定いたしました。  なお本会議における委員長の口頭報告の内容については、本院規則第百四條によりあらかじめ御承認を願うことに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  62. 小串清一

    委員長小串清一君) 御異議ないと認めます。それから委員長が議院に提出する報告書に対する多数意見者の御署名をお願いいたします。   多数意見者署名     森 八三一  九鬼紋十郎     高橋龍太郎  黒田 英雄     小宮山常吉  岡崎 真一     小林 政夫  清澤 俊英     杉山 昌作  松永 義雄     大矢半次郎  愛知 揆一     油井賢太郎   —————————————
  63. 小串清一

    委員長小串清一君) 次に問題に供しますのは、農地証券償還金の一部を一般会計の負担とすることに関する法律案について、政府委員内容説明を願います。
  64. 佐藤一郎

    政府委員佐藤一郎君) 簡單に申し上げます。  御承知のように自作農創設特別措置特別会計におきましては、農地の買上げに対して農地証券を交付して参つておるのでありますが、その農地証券昭和二十五年度末、即ち来る三月の年度末まで一切、合わせまして八十八億千三百万円くらいの発行の予想高になつております。そうしまして、そのうちですでに自作農創設の特別会計からその償還のために国債整理基金特別会計へ繰入れました額が五十四億八千七百万円に上つております。これは昭和二十四年度におきまして十億六千六百万円、二十五年度におきまして四十四億二千百万円というものが載つております。それだけすでに国債整理基金へ繰入れてあるわけであります。その差額の三十三万二千五百万円というものが残つておるわけでありますが、この三十三億二千五百万円のこの残額を、できるだけ速かに償還をいたしたい。即ち従来のように自作農創設特別会計が、その買上げました土地を売りまして代金が償還されて来るというのを待つておりますと、相当長い期間に亘ることになりますので、できるだけその償還を繰上げるためには、どうしても残額の三十三億というものを一般会計の負担において繰上償還をするという方法しかないわけでございます。それで昭和二十五年度からこの繰上償還の措置を講ずるということでこの法律案を提案したわけであります。御承知のようにこの自作農の創設特別会計法の中には、この農地証券償還は、この特別会計の負担においてしなければならない、こういう特別の規定が一本入つておりますので、その規定の例外といたしまして、一般会計において負担をするということの措置のために、特別の法律的な権限を得なければならないというためにこの法律案提出したわけであります。
  65. 杉山昌作

    ○杉山昌作君 今のことについてちよつとお伺いいたしますが、この法律施行の際まで償還を終つたもの以外のものは、全部一般会計の負担にしてしまうということになるわけですか。
  66. 佐藤一郎

    政府委員佐藤一郎君) 御承知のように一般会計には相当額の債務償還費が載つておるわけであります。繰上償還をいたします際には、この債務償還費から出すわけでございますが、現在のところではこれを全部一般会計から繰上げて償還する、こういうふうに考えております。
  67. 杉山昌作

    ○杉山昌作君 そうすると繰上償還は、全部二十六年度一カ年で償還する計画なつておるのでありますか。
  68. 佐藤一郎

    政府委員佐藤一郎君) この三十三億円の残額を昭和二十六年の一月までにすでに十五億円償還をいたしておりまして、二月以降に、二十六年度中も含めまして十七億円というものを償還いたす予定になつております。従いまして全部二十六年度中には償還したい、こういう計画なつております。
  69. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 今の数字はどうもちよつとはつきりしないのですが、発行総額は大体九十二億八千万ですね、二十四年度はこのあれによつて見ますと……。
  70. 佐藤一郎

    政府委員佐藤一郎君) 今油井さんのおつしやいましたのは、予算の書類からおつしやつたのですか……。これは実は予算の書類は、ちよつと説明を要するのですが、そこにございますのはちよつと表現がまずいのですが、発行予定なんです。と申しますのは、買收令書を発行しました分の数字がこの添附書類に載つておるのです。その買收令書は発行いたしましたが、実際に今度は買上げまして、農地証券を発行いたしましたのが八十八億円、こういうことになるわけです。と申しますのは、あとで取消しとか、或いは価格の変更とかいうこと等もあるわけであります。
  71. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 この予算によると、二十四年度までは償還が載つているが、二十五年度というものは載つていないのですね。そうすると、今の御説明は二十五年度のことを言つているのか、二十六年度のことを言うのか、どうも数字が明白じやないのですが。
  72. 佐藤一郎

    政府委員佐藤一郎君) 現在までに償還をすでにいたしておるものが五十四億円あるわけであります。それで二十六年の一月末をとりますと、七十億円すでに償還をしております。二十六年の一月末の償還済が七十一億千四百万です。そうして二月以降に十七億九千九百万というものの償還の予定をいたしております。
  73. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 そこで、この農地証券を実際農民が政府から受取つて、金融の途となるものがないために、安くてもかまわないから売つたという例が相当あるのですね。そういう事例を調査なすつてあるかどうか。
  74. 中島武

    説明員(中島武君) それでは御質問の点について簡單に御説明申上げますと、従来これらの農地証券金融機関に流れている面について、勧業銀行において、或いは日本銀行等におきましても種々調査をして見たのでありますが、そのほかにも殆ど全国的にいろいろな金融機関がこれを買上げているというようなことで、徹底した調査というものができなくて、大体の見当としまして、大体五億くらいのものがそういうふうな面に流れているのじやないかというふうな見当をつけた程度であります。
  75. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 そうするとあれですか発行総額八十八億に対して、金に困つて、いわゆる政府償還するまでに農家から手放された額が五億、こういうようなことなのですか。
  76. 中島武

    説明員(中島武君) 今の調査は、これは全面的に買上償還をやるという問題が二十五年度から始まつたわけでありまして、それが大体、それらの見込をつけたのが二十四年の末頃のことであります。それ以後調査をしてない、全面的に買上げをするということで、すべて国が買上げてしまうから、問題になつて来なかつたのであります。
  77. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 その買上げの方式は、記号順とか、発行月日の古い順とかなつているのですか。それとも要望に応じて買上げたのですか。
  78. 中島武

    説明員(中島武君) 今の問題につきましては、当初いろいろ資金が足りなくて困つている、或いは冠婚葬祭等の場合に金が必要であるというような面につきましては、大体月一戸当り二千円を限度にしまして毎月買上償還をやつて、それからそのあとにおきまして、限度を五千円程度に引上げようじやないかという案が出て来まして、大蔵省のほうとも、大体打合せをしまして、その線で行きつつあつたのでありますが、今度全面的に買上げになつたわけでありまして、それにつきましては、買上げの順序というようなことは別段考えずに、いろいろ討議されましたけれども、全面的に買上げるというふうになりまして、発行の順序とかそういうものは全然考えておりません。
  79. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 そこで実際にあつたことなんですが、農村のいわゆる無知に乘じて、半額くらいで買集めたというような話も聞くのです。そういうふうなことがあつた際に、当局において最も温情味のある手段をとるのが至当ではなかつたかと思うのですが、そういう噂や或いは話を聞いたとき、当局では何らかの対策を講じられたかどうか。
  80. 中島武

    説明員(中島武君) 御指摘の点につきましては、政府側としましてもいろいろ考えたのでありますが、それに対して実際に打ちました手としては、都道府県なり或いは市町村なりというものを通じまして、できるだけそういうものを買わないように、当時ぼつぼつ国が全面的に買上げるというような兆しが見えて来た関係もありまして、そういうものを売拂わないようにというような指導の面はしておりますけれども、それに対する特別なる救済対策というようものは何ら考えて来ておりません。
  81. 清澤俊英

    清澤俊英君 農地証券の取扱いかたですね、大体初めは買上げ償還しないというやりかたですね、それを堅持していたのはいつまでなんですか。
  82. 中島武

    説明員(中島武君) 農地証券は御承知のように二十四カ年、二年据置、二十二カ年の元利均等償還という形で来ておりまして、それに自作農創設特別措置特別会計の歳入歳出のバランスの関係もありまして、これを早急に買上げるということは、勿論会計の性格上できないという方針をとつて来たのでありますけれども、財政的に、農地の売渡代金が非常に予想したよりも以上に上廻つたパーセンテージで入つて来たという関係で、大蔵省のほうでこれを早急に余剰資金で以て買上げようという問題が起きまして、その問題を始めたのは二十四年からであります。
  83. 清澤俊英

    清澤俊英君 何月ですか。
  84. 中島武

    説明員(中島武君) 二十四年の大体補正予算考えたのでありまして、大体二十四年の暮であります。
  85. 清澤俊英

    清澤俊英君 この際補正予算は取つたのでしよう。
  86. 中島武

    説明員(中島武君) はあ。
  87. 清澤俊英

    清澤俊英君 それでこれが問題になつているので、補正予算で取つたが、農地証券を持つておる者は、今いろいろ躊躇をなさつた、こういうお話がありますが、大部分の農村では知らんでおつた。そうしてたまたま参議院の選挙のちよつと前あたりが一番白熱的な問題になつたが、その当時補正予算が出る出ないという時分から、実際としては農村へたくさんのブローカーが入つて買上げが行われた。当時は二十二カ年年賦で殆どまとまつた金が入らないというので、まとまつた金が欲しい人たちが大部分手離した。それが現地或いはいろいろなところへ先に廻つてつて買上げたために、実際利益した唐は、一部の証券業者、一部の銀行業者だつた。こういうことになるのでありますが、只今あなたの説明では五億ぐらい、それくらいのものが買われておつた、こうお話になつたのですが、こういうような御調査で五億円というものが出たのですか。
  88. 中島武

    説明員(中島武君) 先ほど申上げましたように、この五億円というのは、確実な全国的な金融機関に当つたわけでもありませんし、勿論それらを調査することは非常に困難なことでありますので、我々といたしましては、如何にしてこれらのものを大体つかむかということに苦慮いたしておるのでありますが、どうしてもそれらの数字をつかむことができなかつた。それで結論は、勧業銀行或いは日本銀行を中心にいたしまりして、大体の動きかたというものを銀行から聞きまして、これくらいのものがあるだろうという予想を、銀行の大体の見込によつて知つたというようなわけであります。
  89. 清澤俊英

    清澤俊英君 そうしますと 今ここでいろいろお伺していてもなかなか面倒でありますから、これは二、三カ月に大体買上げが行われてしまつた。こう思いまするので、大体大どころで一まとめで出たと思いますが、ここで拂い出した何か残つておりますか、それを基本にして、大体どの方面へ、或いは勧業銀行或いは何銀行とか、何証券というようなところに、どのくらいのものがどういうふうに行つて、この八十八億千四百万円がこなされたか、大体の数字を参考書類として提出して頂きたいと思います。
  90. 中島武

    説明員(中島武君) 今の八十八億に対して現在までに買上げしたものが、この表にありますように五十四億あるわけでありまして、これらの回收が、どういうものを対象にして回收されたかということについては、現在行われております日本銀行並びに勧業銀行等の回收機関に対しまして、全国的な調査を必要とすると、こういうふうに考えられます。従つてこれらの数字を確認することに多少の時日を要すると思いますが、それらの期間の余裕を與えて頂きたい、こう思います。
  91. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 主計局ちよつと伺いたいのですが、一般会計の歳出のどこにこれは載つているのですか。まだ金額は載つていないのですか。
  92. 佐藤一郎

    政府委員佐藤一郎君) これは全体として債務償還費の中から一部を割いて出すわけであります。
  93. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 そこで伺いたいのは、昭和二十四年から始まつたと言うのですが、その前においても債務償還は確かにあつたはずですが、なかつたのですか、二十三年あたりに……。
  94. 佐藤一郎

    政府委員佐藤一郎君) これはまだ起らなかつたのです。据置期間があるわけです。
  95. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 いや、据置期間があつても、ほかの国債とこれは事情が全然違うのだから、国家の財政の許す限りにおいては、もつと早くやるべきではなかつたかと思うのですが、いつの政府がやつたか、私は知りませんが、もつと当局としては親切味のあるやりかたを行なつておくべきではなかつたかと思うのですが、その点についてどうですか。
  96. 中島武

    説明員(中島武君) 御指摘の点につきましては、農地証券が先ほども申上げましたように二十二カ年の据置、元利均等償還ということになつております。この買上げという問題が上つたのは、私どものこの特別会計自体に余剰財源的な、一時的な余剰財源ができた。その財源を遊ばして置くことはもつたいないではないかという、各方面のいろいろのお話がありまして、それではこれは当然資金融通面等も考えられるけれども、これは飽くまで農地証券に肩替りすべきものであるという意見が司令部等からも出て参りまして、それから買上げという問題が起きたのでありまして、それ以前におきましては、買上げというようなことを考えていなかつた。そこで問題は買上げをするためには財源そのものが足りない。足りない分は債務償還費でそれじや出そうじやないかということになつたのでありまして、最初から債務償還費で出すという問題は、全然考慮されていなかつたと思つております。
  97. 小串清一

    委員長小串清一君) 清澤委員に申上げますが、先刻の御注文のあれは相当の時日を要するというのですが、この問題についてなお質疑がそうなければ、質疑を打切りたいと思いますが……。
  98. 松永義雄

    松永義雄君 買上価格というのは時価ですか。
  99. 中島武

    説明員(中島武君) 農地証券の買上価格についての御質問でありますが、これは買上価格は額面の額であります。それと当該年度までの利子の支拂期間が来ているものには、利子を含めて買い上げることになつております。
  100. 松永義雄

    松永義雄君 時価はどれくらいしておるのですか。
  101. 中島武

    説明員(中島武君) 当時農地証券金融機関の手に流れておるというような話をいろいろ聞いた際に、これは地域的にいろいろ、それから又買上げを、売渡そうという人の経済的な條件というような問題もありまして、必らずしも一律に考えるわけに行かないのでありますが、農地証券が将来このまま二十三年間持つて行かれるというような考え方があつた時代には、最低四五%くらいのものに下がつておつた。それが国が買上げをするだろうというような兆しが見えてから、どんどん上昇しまして、それが大体七〇%か八〇%程度までに引上つたということを聞いております。
  102. 小串清一

    委員長小串清一君) 別に質疑がないようでありますから、先刻清澤委員の御注文の問題は、後日配付するということにしまして、この質疑は盡きたものと認めて、直ちに討論に入ることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  103. 小串清一

    委員長小串清一君) 御異議ないと認めます。それではこれより討論に入ります。御意見のおありのかたは、それぞれ賛否を明らかにしてお述べを願います。
  104. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 私はこの法律案には賛成をいたします。併しながら只今までの質疑応答にも明らかに現われておりました通りに、こういうふうな農民の、いわゆる困つた人々のためにこの証券を、金融の途を開くというようなことを政府考えていなかつたということに対しては、非常に不満を感ずるものであります。而も債務償還ということは、その当時も並行して行われている際には、こういう農地証券のごときものから先ず優先的に償還の途を開くという考えを持つのが当然じやなかつたか、こういうふうに思われるのであります。将来若しこういうふうなものが、同樣なものが出ました際に、政府当局といたしましては、一般庶民、或いは大衆という人々の幸福のために先ず図るというような考えで以て行われんことを強く要望いたしまして、賛成するものであります。
  105. 小串清一

    委員長小串清一君) 他に御意見もないようでありますから、討論は終局したものと認めて御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  106. 小串清一

    委員長小串清一君) 御異議ないと認めます。それではこれより採決に入ります。本案に御賛成の諸君の挙手を願います。    〔総員挙手〕
  107. 小串清一

    委員長小串清一君) 総員賛成と認めます。よつて本案は満場一致を以て原案通り可決すべきものと決定いたしました。なお本会議における委員長の口頭報告の内容については、本院規則百四條によりあらかじめ御承認を願うことに御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  108. 小串清一

    委員長小串清一君) 異議なしと認めます。それから委員長が議院に提出する報告書に添附する多数意見者の御署名をお願いいたします。   多数意見者署名     森 八三一  油井賢太郎     小宮山常吉  黒田 英雄     小林 政夫  清澤 俊英     杉山 昌作  岡崎 真一     愛知 揆一  松永 義雄   —————————————
  109. 小串清一

    委員長小串清一君) 開拓者資金融通特別会計において貸付金財源に充てるための一般会計からする繰入金に関する法律案につきまして、先刻松永委員より開拓者の納税その他についての御質疑のために政府の答弁を要求せられまして、只今国税庁の村山所得税課長が参りましたので、お尋ねを願います。
  110. 松永義雄

    松永義雄君 これは国税庁はよく御承知のことで、その事情はここで私がくどく申上げることもないと思います。開拓者諸君が瘠地の開墾をするのに如何に困難であるかが、常識から判断してわかり切つておるのにもかかわらず、課税の上において一般の農民と同じような標準によつてつて、そのために開拓農民の苦しみは想像に余りあるものがあつたのでありまするが、今更それを申上げるのもどうかと思うのですが、併し将来税務署、国税庁といたしましては、そうした開拓者に対してどういうような方針を以て課税上取扱つて行かれるかというお気持を一言お聞きしたいと思うのであります。
  111. 村山達雄

    説明員(村山達雄君) お答え申上げます。現在開拓者に対する所得税法上の課税につきましては、特別の規定を持つておりませんです。ただ従来問題になりましたのは、この開拓した当時に非常に所得が少いというので、その所得の見積りに当りまして、ともすると正確を欠いておつたために、多少問題があつたことにございます。これが大体食糧事情がやかましくつて開拓が行われておりました昭和二十二年、三年頃の事情でございます。その後漸次税務行政の執行のほうも、所得の計算が精密になりましたために、実際上つた所得程度しか見込まなくなりましたので、事実上殆んど問題は解消しておると思われます。と申しますのは、何と申しましても、開拓した土地は、一般の田畑よりも所得は非常に少いわけでございます。農家が平均いたしまして、扶養親族が約五人くらいありますと、現在の税法で扶養親族の控除が約六万円、それに基礎控除の二万五千円、合わせますと約八万五千、昨年の農業所得者の平均が約十万でございます。そういたしますと、実際問題といたしまして、開拓者の場合は、大部分の場合は今すでに課税点からおつこつてしまう。こういう事情にありますために、去年、今年を通じまして、開拓者については問題もあるということは耳にしております。従いまして今後税法改正が何らかの形で行われまして、これらの開拓者について非常に無理に税がかかつて来るという事態が起きました場合には、又そこで考慮の問題になると思うのでありますが、現行税法では、特に開拓者のために今考えねばならんほど税制が不自由にできておるとは思つておりません。
  112. 松永義雄

    松永義雄君 先ほど申し上げましたように、只今政府委員から説明いたしておつたように、二十二年、二十三年頃の開拓者に対する課税というものが、殆んど負担に堪えないような酷なものであつた。そのために没落して行く者がかなりあつたのであります。その当時我々は強く税務署へ行つてその間の事情説明して、素人でもこれはわかることなんで、一般の、長くやつておる熟練した者と、新しく山林を拓いて、そうして始めた、開拓しておる者とを、それを同一の標準によつて取扱う、これはひどいじやないかと言つて説明し、その他いろいろの努力によつて税務署もわかつて来たということになつて来ておる。当時の一体そうした犠牲に対して、今更ぐちを言つても始まらないでしようが、併しそれに対してあなたのほうで考慮するか、或いは他の方面の支出によつて、そして開拓者の経済を補つて行くことが必要じやないかと思うのです。どうか一つ開拓者の諸君が、非常に苦しんでおるのでありますから、あんなことは二度と繰返さないように、一つ十分あなたのほうから注意して頂きたいと思います。希望だけを申上げて置きます。
  113. 杉山昌作

    ○杉山昌作君 これは法律の形式の問題に関連するので、主計局のほうにお尋ねするのでありますが、これは開拓者資金融通特別会計法ですか、そのほうでこの資金は借入れるなり、或いは公債を発行してやるのだ。だけれどもそれでは健全財政の立場から工合が惡いと思うから、二十四年度からこういう恰好でやつて来たと、こう言うのでありますが、そういたしますと、こういうふうな考え方であるならば、今日の財政状況が非常に変り、或いは財政の方針が非常に変ることならば、やはり二十七年度、二十八年度と続くのではないか。併しこの法律の形式を見ると、二十六年だけでありますが、これが今までに二十四年度、二十五年度、二十六年度と、こういう法律を繰返して行つた理由ではないかと思うのであります。これは一種のインヴエントリー・フアイナンスのようなもので、政府はインヴエントリー・フアイナンスということに自信がないものだから、年々こういうことを続けて行くつもりなのかどうか。そこらのことでちよつと伺いたいと思います。
  114. 佐藤一郎

    政府委員佐藤一郎君) それはどうも私が御答弁してよいかどうかわかりませんが、先日もちよつとお答え申上げましたが、インヴエントリー・フアイナンスの問題も一面ございますが、純粋なインヴエントリー・フアイナンスと言えるかどうか多少問題でありますが、いずれにいたしましても、本特別会計としては当初の出発以来、借入金の制度ということで当初は出発してやつて来ておるわけであります。それで、この本法自体を変えてしまつて、今後は成るべく借入金の制度によらないで一般会計からの繰入れということを制度化したらどうか。まあ御意見を押進めると、そういうことになろうと思うのでありますが、そこまで私のほうも、今おつしやいましたように自信を持つて変えるという段階には達していないと、こう考えておりますや先日お話がありましたように、借入金をやるのが自然ではないかという意見も一部には相当強いわけでありまして、今早急に従来の建てかたを将来に亘つて全面的に変えるというところまで、思い切つてやるべきかどうかといいますと、私のほうとしてはそこまで考える必要はないのではないかと、こう考えております。
  115. 小林政夫

    ○小林政夫君 昨日要求した資料として手許に配布されておるのでありますが、これは事務局別の資金の枠は、二十四年度及び二十五年度の状態はわかつております。私の昨日お尋ねしました趣旨は、こういうふうな区分によつて実際にどういう仕事をしたか、例えば住宅資金にしても、一体何戸建つたのかというようなこと、それから共同施設としてはいろいろ共同施設があるでしようが、どういう種類の共同施設を何カ所にどういうことで作つたかというような、事業の実態がわかる資料が欲しい、こういう要求をしたわけです。勿論これは本来なら予算委員会で審議するのでしようが、一応形式的な資金操作のことだけの法案なんで、本委員会としては実態について検討することについてはいろいろ疑問がありますが、一応実態を知らんと困ると思うのですがね。
  116. 野田哲五郎

    説明員野田哲五郎君) 資料につきまして、只今指摘の点が欠けておりましたのは遺憾でありますが、住宅資金と申しますのは、これは昭和二十二年まででありまして、二十三年度以降は全部補助金によつて行われております。今までこれによりまして貸付けました住宅は八万五千月ございます。それから共同施設資金のほうは、これは八百四十六件貸しております。営農資金は、これは農業経営上必要な資材の購入でありまして、非常に多方面でありますから、それはむしろ開拓の実績という面において捉えるべきではないか、かように思つております。
  117. 小林政夫

    ○小林政夫君 そういう事業の実態は、どこの委員会で検討しておりますか。
  118. 野田哲五郎

    説明員野田哲五郎君) 農林委員会と思います。
  119. 小串清一

    委員長小串清一君) 別に御発言もなければ、質疑は盡きたものと認めて、討論に入ることに御異議ありませんか。
  120. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 党で一応打合せをしなければならんから……。
  121. 小串清一

    委員長小串清一君) それでは質疑は盡きたものと認めて、次の案に移ります。
  122. 小林政夫

    ○小林政夫君 議事進行について。この開拓者資金融通特別会計のこの法案、こういうような例に類する、例えば本委員会においては経営資金の繰入れ、繰戻しというふうな形式だけを審議しておる、実態は他の委員会において審議をしておるというふうな法案の審議について、勿論本委員会においても実態を研究してもいいわけでありますが、他の委員会の審議の経過とも関連をする問題だと思いますから、その採決については、そういう点も十分睨み合わせてお願いしたいと思います。(「賛成」と呼ぶ者あり)
  123. 小串清一

    委員長小串清一君) 只今小林君の御希望通り、この案は質疑は終了しましたが、討論採決を延ばすことについて御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  124. 小串清一

    委員長小串清一君) さように決定いたします。   —————————————
  125. 小串清一

    委員長小串清一君) 商品券取締法の一部を改正する法律案、これは簡單のようでありますが、酒井理財局次長も見えておりますから、酒井理財局次長から御説明を願いたいと思います。
  126. 酒井俊彦

    政府委員(酒井俊彦君) 商品券取締法の一部を改正する法律案の趣旨を御説明申上げます。  最近御承知のように政府の債務償還或いは日本銀行のいわゆる国債オペレーシヨンによりまして、市中にありますところの国債がだんだん減少いたして参りました。ところが現在の商品券取締法によりますと、商品券を発行しようといたしまする者は、発行高の二分の一に相当する国債を供託しなければならんことになつております。そうしてこの供託物は、現在の法律では、国債に限られておるのであります。従いましてそういうふうに市中にだんだん国債が減少いたして参りましたので、なかなか国債が入手困難であるというところからいたしまして、この法律号改正いたしまして、国債のほかに金銭、地方債或いは主務大臣の確実と認めますところの社債、若しくはこれに準ずる債券というものも供託物件として供託し得るということにいたして、国債入手の困難を緩和いたしたいというのが、大体の趣旨でございますが、なおこの機会に、現在の法律昭和七年に制定になりまして、当時若干の法律の不備がありまして、例えば五條で、当該官吏が商品券発行者の店舗その他を検査することができるようになつていますが、その場合に身分を示す証票を持参するという現定が欠けておりますので、これらの点を併せて改正いたしたいというのが第二点であります。なお当時制定のままで、罰則等もそのままになつておりまして、今日の貨幣価値から申しますならば、罰金の額が何奴にも低額に過ぎるということもございまするので、これを今日の貨幣価値に合わせましてそれぞれ罰金を改正するというのが、本案の趣旨でございます。簡單でございますが、以上を以ちまして御説明を終りたいと思います。
  127. 愛知揆一

    ○愛知揆一君 ちよつと参考までに伺いたいのでありますが、国債の減少に関連する問題として、商品券取締法以外に供託を国債に限定し、或いは国債その他のものが規定されておるものがあると思うのでありますが、その他の類似の例と、それに対する処置、或いは見込等について御説明頂きたいと思います。
  128. 酒井俊彦

    政府委員(酒井俊彦君) 只今まで調べましたところでは、国債に限定されておるものはなかつたと思つております。ほかに租税の延納等の場合、或いは專売に関係しまして供託がございますが、これはたしか地方債、社債等をも供託物件に加えるということに現在なつておると思います。
  129. 愛知揆一

    ○愛知揆一君 それからこれに準ずる債券というものは、大体どういう程度のものですか。
  130. 酒井俊彦

    政府委員(酒井俊彦君) 例えば放送債券のような、会社の社債でない、他の特別法人等が発行いたしまする債券でございまするが、これも社債同樣に担保にとつていいんではないかということで、これに準ずる債券という字を入れてございます。
  131. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 参考までに伺いますが、商品券の現在の発行総額はどのくらいになつておりますか。地域的に若しおわかりなら……。
  132. 酒井俊彦

    政府委員(酒井俊彦君) ちよつと資料が古いのでございますが、昨年の十一月現在までは我々のほうで発行高はわかつております。現在高といたしまして一億九千八百万、全国での発行残高でございます。それから地域別に申しますと、これは数字が更に古くなりまして九月分でございますが、東京財務局管内、つまり関東地方が一億七百万、それから北陸地方が六百六十万、それから東海地方が二千七百万、四国地方が百三十八万、中国地方が六百九十一万でございます。それから北九州、これは福岡、佐賀、長崎三県でありますが千三百四十七万、それから南九州地方、それ以外の九州が百八十万、東北地方が五百二十七万、それから近畿地方が七千八百三十六万という残高になつておりますが、只今申上げましたのは昨年の九月の数字でございまして、先ほど申上げました十一月末の数字、一億九千八百万と若干突き合わないかと存じます。九月現在で申しますと二億五千七百八十一万という発行残高に相成つております。
  133. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 第一條の命令の定むる額というのは、具体的には現在はどうなつておりますか。
  134. 酒井俊彦

    政府委員(酒井俊彦君) 命令の定むる額は、現在三千円になつております。
  135. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 今のは三千円以下のものは供託しなくてもいいということなんですか。
  136. 酒井俊彦

    政府委員(酒井俊彦君) さようでございます。この法律昭和七年に制定されまして、それ以来ずつと改正をいたしておりませんので、当時三千円ということになつておりまして、三千円つまでの発行額であれば供託は要しないということになつて、今日ではその三千円が甚だ低いのでありますが、当時から改正をいたしませんのでこういうことになつております。
  137. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 もう一つは、これは商品券というのは殆んどデパートで出しておると思うのです。そのほかの一般小売商が商品券を出しても、いわゆる商品券に貼附するところの印紙税が高過ぎて出せないというようなことをよく言われておるのですが、そういうのをもつと低くするような意向はないのですか。
  138. 酒井俊彦

    政府委員(酒井俊彦君) お説のように、大体発行いたしております大部分が百貨店でございますが、中には中小業者の連鎖店と申しますか、共同で商品券を発行しておるような例も若干ございます。お話のように、印紙税が相当かかりますので、或る程度利益があるものでないとなかなか発行しにくいという状況でございます。印紙税の関係につきましては、主税局方面の意向もございますので、只今ちよつと私限りではお答えいたしかねるのでございますので、御了承を願います。
  139. 九鬼紋十郎

    九鬼紋十郎君 この第五條の検査というのはときどきやつているのですか。
  140. 酒井俊彦

    政府委員(酒井俊彦君) 実は最近になりましてからは余り大した検査をいたしておりません。ただ商品券は御承知のように無記名で売買、贈答に用いられておりますので、やはり或る程度確実な信用がなければ、一般の大衆に迷惑を及ぼすこともございますので、そういう意味で非常に不詳のあるような場合その他には検査をしなければならんと思います。
  141. 九鬼紋十郎

    九鬼紋十郎君 デパートなんかで商品券を買うと一割のたしか税金がかかつて来るのですが、都民税、そういつたものには普通は税金……デパートのほうで、いろいろ商品券を出しているほうで不正なことが行われないとも限りませんので、そういつた意味からして、やはり嚴重に購買者のほうとしては、一割のそういつたものを出している関係もあるから、十分に一つ監督してもらいたいと思うのですが、そういう意味でときどき監督をするということを実現したらどうですか。
  142. 酒井俊彦

    政府委員(酒井俊彦君) おつしやる通り、ときどき監督をするということは必要だろうと思います。ただ最近までは大体信用のある百貨店で主に出しておりますので、それほど不正なことはないと思つて見て参つたのであります。御説のように、できるだけ検査をするようにいたしたいと思つております。
  143. 松永義雄

    松永義雄君 発券残高はどうしてわかりますか。
  144. 酒井俊彦

    政府委員(酒井俊彦君) この発券高は、供託をいたしますと同時に主務大臣に届出るということになりまして、現在これは大蔵省の財務局が事務を扱つております。そこへの届出によりまして、発券残高がわかります。
  145. 松永義雄

    松永義雄君 そうなりますと、届出者の自由であつて、果して正確を期し得られるかどうかわからないのですが、そういうことについてお疑を持つとか、或いは検査をするとか、そういうようなことを考えたことはあるのですか。
  146. 酒井俊彦

    政府委員(酒井俊彦君) これは実は一昨年までは各地方長官と申しますか、地方長官の事務であつたのでありますが、昨年財務当局の事務にありまして、この商品券発行者と財務局の職員と常時お話合いをいたしまして、まあ何と申しますか、指導といつたような意味で常に正確な資料を頂くのに努力いたしております。
  147. 松永義雄

    松永義雄君 それで発券額の二分の一を供託するということについて、その保証として供託する債券の種類について先ほど御質問があつたのですが、国債のごときの時価は、今非常に少くなつているから、高いからいいですけれども、その他の債券のごとき、発券額と、その保証として提供される債券の時価に相違があるような場合にはどういうように考えておりますか。
  148. 酒井俊彦

    政府委員(酒井俊彦君) この供託物件につきましては時価で詳価をいたしまして、更にその時価に対して掛目を、例えば八割五分でありますとか、九割でありますとか、一定の安全率をとりまして掛目をかける。この掛目は大体日本銀行で担保に取ります掛目と同じような割合を取りまして、時価及びその安全率においてそういう評価をして供託をやつておるわけであります。
  149. 松永義雄

    松永義雄君 御承知通り商品券というものはあらかじめ金を取つて、そうしてあとで品物に変るわけですが、殆んど人の金を以て商売をやつておるというのが商品券発行者の商売の状態なんでありまして、問題は先ほど心配もせられましたし、保証供託の制度もあるようでありますが、発券額が一体どれくらいに達しておるか、残高がどれくらいに達しておるかということはかなり重大な問題であろうと思います。御承知通り戦前において商品券はデパートの如何によつて市場価格の相違があつたのです。そのようにデパートが紙幣と同じように商品券を自由に発行して、そうして資金を吸收して、その結果商品券の価格が、時価が下つて来るということが現実にあつたのであります。商品券の発行残高及び発行額というものは、お客に対しては相当これは嚴重に守つて行かなければならない。先ほど政府委員お話では話合いた。こういうことですが、何も私どもは強いて疑うわけではありませんけれども、お役人のかたがたは割合に正直なので、デパートの役員なんかは海千山千の人が多いのであります。そのために小売商人がどれくらい商売上に圧迫を受けておるかということは、こはれ皆樣よく承知しておられますので、私が申上げるまでもない。その点は、利益を受けている半面、嚴重に一つデパートに対しては法律通りに励行してもらいたいと思います。
  150. 酒井俊彦

    政府委員(酒井俊彦君) お話通り発行高というものは非常に一般に利害関係のあることでありますから、嚴重に私どもとしても調査をいたします。勿論その間に調査漏れがあるというようなことはないことを期しておりますが、なお今後も検査等を励行いたしまして、十分注意したいと思つております。なおこれに関しまして、昨年の六月まで各地方に届出事務権限が委任されておつたのでありますが、財務局に去年の七月から事務が移管されまして、六月に六十二件の届出がありましたものが、七月には二百七件と、大体二倍以上に殖えています。これなども財務局で徹底的に各地方の商品券の発行高を取調べるということに努力いたしました結果、無届のものも全部届出をさして、正規の取締上に乘せるということをいたしました結果、届出件数が非常に殖えて来たものであろうと思います。
  151. 松永義雄

    松永義雄君 これは御出席の政府委員に対する御質問にならないので、或いは主税局に対する御質問になろうと思いますが、とにかく、御承知通り三越にしてもなんにしても株の値段は恐ろしく騰貴いたして、如何にもデパートの商売は儲かるかのごとき印象を與えているのです。これは法人税の問題になるのでしようが、三越や三井が住民税は僅か二千円か三千円で、誠にちよつと想像もつかないような数字が出ておる。一つああした儲かるデパートに対しては徹底的に誤りなく調査してもらわなければならない。税法の改正も考えなければならんと思うのです。デパートによつて小売商店が非常に圧迫を受けておることは申すまでもない。このままで行けばデパート中心になつてしまう。曾つての昔の小売商人保護の運動が又始まるだろうと思う。念のために申上げて置きます。以上で私の質問を終ります。
  152. 酒井俊彦

    政府委員(酒井俊彦君) 只今の御質問に対するお答えではございませんが、御参考までに商品券に対する税のことを申上げますと、国で大体六%税をかけております。それから東京の場合で申しますと東京都が四%、合計一割というものが商品券にかかつております。これが大体お客さんのほうの負担だろうと思います。ただ百貨店のほうから申しますと、商品券はやはり偽造を防ぎますために相当立派な印刷をしなければならない。なお二分の一に相当する担保を大体金融機関等から借りまして供託して置くのでありますから、それらの金利を合せ、又印刷費等を合せますと、まあ必ずしも金融機関から金を借りて運転資金に充てた場合よりも商品券のほうが有利だということも言えない場合が非常に多いのじやないかと思いますので、ちよつと御参考までに申上げて置きます。
  153. 松永義雄

    松永義雄君 そういうような御答弁があるから発行額及び発行残高について疑を持つて来るわけです。デパートがあれほどの株価を呈しておるほどに儲けておるということは、如何に金を只使つている、金利も拂わないで使つているかということがはつきりわかる。だから私は発行残高及び発行額については、話合いというような程度を越えて、もつと徹底的に一つ調べないといかんと思うのであります。
  154. 小串清一

    委員長小串清一君) 別に御質疑もないようでありますから盡きたものと認め、討論に入ることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  155. 小串清一

    委員長小串清一君) 御異議ないと認めます。  これより討論に入ります。御意見のおありのかたはそれぞれ賛否を明らかにしてお述べを願います。ほかに御意見もございませんようですから、討論は終局したものと認めて御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  156. 小串清一

    委員長小串清一君) 御異議ないと認めます。  これより採決に入ります。本案に対し原案通り可決することに御賛成のかたの挙手を願います。    〔総員挙手〕
  157. 小串清一

    委員長小串清一君) 全員賛成と認めます。よつて本案は全会一致を以て可決せられました。  なお本会議における委員長の口頭報告の内容については、本院規則第百四條によりあらかじめ御承認願うことに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  158. 小串清一

    委員長小串清一君) 御異議ないと認めます。
  159. 小串清一

    委員長小串清一君) それから委員長が議院に提出する報告書に対する多数意見者の御署名をお願いいたします。   多数意見者署名     黒田 英雄  愛知 揆一     小宮山常吉  油井賢太郎     森 八三一  九鬼紋十郎     小林 政夫  岡崎 真一     杉山 昌作  松永 義雄     佐多 忠隆   —————————————
  160. 小串清一

    委員長小串清一君) 次は国家公務員等の旅費に関する法律の一部を改正する法律案、なお国家公務員共済組合法の規定による年金の額の改定に関する法律案、二案を一括して質疑を開始いたします。二案について政府委員より御説明を願いたいと思います。
  161. 磯田好祐

    政府委員(磯田好祐君) 只今提案になりました国家公務員等の旅費に関する法律案について大体内容を御説明いたします。  今度の改正の法律案の主たる目的といたしますところは、提案理由説明にも申上げました通り原則といたしまして、昨年制定いたしました国家公務員等の旅費に関する法律の事務の簡素化を図るということを主たる目的といたしておるのでございます。先ずその第一点について申上げますと、従来の旅費法によりますと、現在の旅行命令は旅行命令書に記載いたしまして出すという形になつておりまして、例えば具体的に申上げますならば、一人の公務員を出張させるために、四枚の旅行命令書を出さなければならん、それは旅行命令権者、それから支出官、支出担当官並びに会計検査院に出すということになつておりまして、一人々々の出張に対して非常に煩雑な手数になつておるのであります。併しながら現実にその効果は余り期待できないのでありまして、むしろこれは従前やつておりましたように、旅行命令簿に記載いたしまして、事務を簡素化したほうがいいのじやないかというような考え方からいたしまして、旅行命令簿に記載することによりまして、旅行命令を出すという形にいたしたのでございます。それから第二点は、従来例えば税務署の職員の出張、例えば管内の所得の調査のために常時出張いたす場合だとか、或いは食糧事務所とか、或いは公共事業の出張というように、常時出張をするような場合におきまして、出張することが殆んどその職務となつておるような場合におきましては、その手続の煩瑣を省くために日額旅費という形で旅費を出すことになつておるのでありますが、従来は日額旅費は各省各庁の長が大蔵大臣と協議をして出すということになつておるのでありまして、この各庁の長が大蔵大臣と協議をしなければならないことになつておるということが、各省各庁によりまして不権衡を生ずる慮れがある。この関係を統一的にいたしますために、日額の旅費につきまして、その支給対象を大蔵大臣が指定して、簡素化を図ろうというのが第二点でございます。それから第三点は、現在の旅費は現在の旅費法によりまして、一定の定額がきまることに相成つておるわけでございまするが、現在の法律によりましては、不当にその旅費の実費を超えた場合におきましては、その超えた分を削減することができるという、旅費の調整権限が各省各庁の長に與えられておるのでありまするが、ところが例えば最近のように、ガリオアでアメリカに行くというような場合におきまして、旅費の実費として普通の費用がかかるのでありますが、現実には少しも国家としては旅費を出さんでもよろしい、そういう場合におきまして現在の法律にありまする旅費の調整権限では、現実には削限できない、実際に支給いたしておりませんけれども法律上疑問がある。そういう関係がありますので、その旅費の調整権限に彈力性を持たせるということにいたしたのであります。それからなおこれは小さい点でございまするが、現在の旅費法におきましては、これは関係方面からの要請もありまして、條件附の採用期間中の者が、若しその條件附の採用期間中に成績が余りよくなくて、やめた場合には、それに対して帰住の旅費を出すという形になつております。併しながら我々の一般の公務員がやめました際には、帰住の旅費を出すという制度になつていないので、かかる條件附の採用期間中の者に対してだけ出すということは不均衡ではないか、こういう関係もありまして、こういう点を修正することにいたしております。  以上が大体現行法の改正に関する主な点でございます。
  162. 小串清一

    委員長小串清一君) なお国家公務員共済組合法の規定による年金の額の改定に関する法律案
  163. 磯田好祐

    政府委員(磯田好祐君) 御承知のように、国家公務員の給與につきましては、今年の一月以降その給與ベースが従来の六千三百円べースからいわゆる八千円ベースまで引上げられたわけでございます。ところが現在の法律によりまするならば、共済組合とか恩給の基準は、従来の俸給というものがその算定の基準に相成つておるわけであります。従つてこれを端的に申上げまするならば、その算定の基準には、従来の六千三百円の俸給というものがその基準になつておる。従いまして若しこれを現在のままで放つて置きまするならば、昭和二十五年の十二月三十一日までに退職いたしましたところの公務員の恩給なり、或いは共済組合の年金なりは、従来の低いベースによつて支給されるということになるわけです。然るに本年の一月一日以降退職いたしましたところの公務員の恩給なり、共済組合の年金なりと申しまするのは、そのときの俸給、即ちいわゆる新らしい八千円ベースの基準によつてその恩給なり、共済組合の年金なりが出るということになりまして、その間において不均衡を生ずる、即ち去年の十二月三十一日までにやめた人には非常にお気の毒な結果になるということに相成りまするので、従いまして今回別途近く恩給法の改正がありまして、恩給につきましても新らしい八千円ベースまでその恩給金額を引上げることになる予定でございまするので、それと併せまして共済組合の年金につきましても新らしい新給與のべースまでこれを引上げるというのが今回の法律案の趣旨でございます。
  164. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 この国家公務員の旅費は支給総額に対して何%ぐらいに現在なつていますか。
  165. 磯田好祐

    政府委員(磯田好祐君) 支給総額と申しますと給與に対する割合でございますか。
  166. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 一年間の総給與に対して……。
  167. 磯田好祐

    政府委員(磯田好祐君) 現在の昭和二十五年度におきまする予算計上額の旅費は、百五十八億ということになつております。それから二十六年度におきまする旅費の予算計上額は、一般会計特別会計を合せまして、百五十八億ということに相成つております。これに対しまして一般職の公務員の給與総額は大体八百億というふうにお考えなつて頂いていいかと思います。従いましておおむね、給與に対する二〇%程度のものが旅費の総額になるというふうに御承知願います。
  168. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 随分大きな旅費が出るわけでありますが、この旅費が果して妥当かどうか、いわゆる出張目的が妥当かどうかということを監督なり監査するところはどういうところでありますか。
  169. 磯田好祐

    政府委員(磯田好祐君) 現在のところにおきましては、大蔵省の主計局がその旅費に関しまする監督官庁ということに相成つております。併しながら勿論この旅費の支出につきましては、現在御承知のように会計検査院がその各省各庁の支出につきまして検査をいたす、その場合において、若し仮に不当なる出張があつたような場合におきましては、これを検査院からいろいろと責任を問うという形に相成つておるわけでございます。
  170. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 もう一点、これは予算を組むときは主計局が一応検討するのでしようか。不足を生じたとき、そういう際に出す途がなくて困つているというような官庁も一方に現われ、一方においては今度は予算に組まれただけの旅費は要らなくて相当つておるという場合もちよちよい起るわけですね。そういう際に対する調整というのは何か行われることになつておるのですか。
  171. 磯田好祐

    政府委員(磯田好祐君) 現在主計局で、各予算の担当の係におきまして旅費を査定いたします場合は、各省各庁におきまする仕事のボリュームによりまして、その全体の予算の積算をきめるわけでございます。従いましてその仕事のボリューム、大体来年度におきまして例えば公共事業費はこの程度になる、その程度なつた場合におきまして旅費は大体どの程度になるかというような、仕事のボリュームに比例いたしまして予算を査定いたしておるわけであります。それから又例えば銀行検査、或いは徴税、或いは食糧事務所というように、その殆んど出張することが仕事というようなところもあるのですが、それはその各職場、職場に応じましたところの査定をするという形になつておるわけであります。只今お話で、その場合において各省各庁間において不均衡があり得るのではないか。それは勿論観念的にはあり得るわけでございまするが、現在のところその間にある各省各庁において旅費が不足するというような場合におきましても、給與とか旅費というようなものにつきましては、原則としてその流用を認めないというような建前を以て主計局では臨んで来ておるわけでございます。
  172. 九鬼紋十郎

    九鬼紋十郎君 大体公務員のかたがたが出張されるときの、それぞれ随員とか何とかいうものの数はきめられておりますか。
  173. 磯田好祐

    政府委員(磯田好祐君) 随員というような、その人数はきまつておりません。そのときの仕事に応じまして随員は連れるということになつております。例えば銀行検査なり何にいたしましても、主任の検査員の補佐役としまして帳簿なり算盤なり要るような場合にはその程度の必要な随員を連れるということになつておるわけでございます。
  174. 九鬼紋十郎

    九鬼紋十郎君 随分この出張旅費というようなものは、相当金額に達するのですが、今聞くと地方などに出られるし、随分余分の人がついて行くような感じを我々は抱くのですが、成るべくそういつた点を自重してもらつて、この費用をできるだけ節約してもらうことを特に要望したいのです。
  175. 小串清一

    委員長小串清一君) さて、この国家公務員等の旅費に関する法律の一部を改正する法律案についてもはや質疑は盡きれたようでありますが、直ちに討論採決に入ることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  176. 小串清一

    委員長小串清一君) 御異議ないものと認めます。それではこれより討論に入ります。御意見のおありのかたはそれぞれ賛否を明らかにしてお述べを願います……。別に御発言もないようですから、討論は終局したものと認めて、直ちに採決に入ることに御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  177. 小串清一

    委員長小串清一君) 御異議ないものと認めます。これより採決に入ります。本案に御賛成の諸君の挙手を求めます。    〔総員挙手〕
  178. 小串清一

    委員長小串清一君) 全会一致と認めます。よつて本案は原案通り可決せられました。  なお本会議における委員長の口頭報告の内容については、本院規則第百四條によつて、あらかじめ御承認を得ることに御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  179. 小串清一

    委員長小串清一君) 御異議ないと認めます。  それから委員長が議院に提出する報告書に対する多数意見者の御署名をお願いいたします。   多数意見者署名     黒田 英雄  油井賢太郎     小宮山常吉  九鬼紋十郎     小林 政夫  岡崎 真一     杉山 昌作  愛知 揆一     佐多 忠隆   —————————————
  180. 小串清一

    委員長小串清一君) 次に国家公務員共済組合法の規定による年金の額の改定に関する法律案について御質問がありましたらお願いします。
  181. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 国家公務員の給與ですが、これは二十六年度予算に組んである人件費ですと、一般会計或いは特別会計、一人当り平均どれくらいになるのですか。
  182. 磯田好祐

    政府委員(磯田好祐君) 只今佐多委員から御質問のありました昭和二十六年度におきまする公務員の給與の平均額は総予算においてどういうふうに組込んであるかという御質問でございます。この点につきましては、先般当参議院の人事委員会からも資料提出要求がありまして、現在その各自明細によりまして算定中でございます。併し大体私どもの目の子で一応計算いたし幸したところでは、八千円をちよつと上廻るところではないかというふうに考えております。
  183. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 その今お調べの資料はいつ頃までにできますか。
  184. 磯田好祐

    政府委員(磯田好祐君) 遅くとも今週一ぱい程度には提出いたしたいと思います。
  185. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 それではそれをこちらにも御提出願いたい。それから、よくわからないのですが、この場合には、国鉄とか專売はこの国家公務員共済組合法の中に入つておらないのですか。
  186. 磯田好祐

    政府委員(磯田好祐君) 国鉄專売は、それぞれの法律の條文によりまして、この国家公務員共済組合法の規定を準用することにいたしております。従いましてこの法律におきましては、国鉄專売におきましてもこの一般公務員の共済組合の年金の改定の際におきまして、同時に、同じようにこれを引上げている、さように相成つておるわけであります。
  187. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 国鉄の場合は、そういう問題、団体交渉なり何なりによるというようなことになるのではないかと思いますが、若しこれを準用するということにここで規定されますと、そういう団体交渉なり何なりの範囲外になつて、法律的に確定してしまうという結果になるのですか。
  188. 磯田好祐

    政府委員(磯田好祐君) 只今御質問の点は極めてむずかしい問題でありますが、現在の国鉄、專売の給與その他の労働條件については公共企業体労働関係法によりまして、団体交渉の対象になるということになつておるように私ども記憶しておるのでございます。現在までのところ国鉄、專売につきましては御承知のように職員の大部分は元一般公務員であつた、従つてその大部分につきましてはいわゆる恩給法が適用されておるわけであります。それから又恩給法の適用にならないところの旧雇傭人につきましては、ここにありますいわゆる国家公務員共済組合の規定によりまして、その退職年金を支給するという形になつております。それから又これと不可分の関係にありますが、退職手当法というのが別に一つございます。これにつきましても団体交渉の対象になるのかならないのかといういろいろの問題があるわけでございます。併しながら現在までのところ政府部内といたしましては、御承知のように昨年の年末におきましてマイヤースの勧告がありまして、新らしい新恩総制度ができるという問題か現在いろいろ問題になつておるわけであります。その際におきまして従来の恩給制度なり、共済組合制度なり、或いは退職金制度なりをどうするかという問題が問題となり得ると思うのでございますが、現在のところこれらの恩給、それから共済組合の年金並びに退職手当というものは、それぞれ法律できまりましたところの基準によつてこれを支給するということに相成つておわけでございます。
  189. 小林政夫

    ○小林政夫君 年金額の改定によつて増加する費用の総額は幾らですか。
  190. 磯田好祐

    政府委員(磯田好祐君) この年金額の改定によりまして、この年金額と申しましてもこれはすでに昭和二十五年の十二月三十一日までに退職したところの雇傭人に対する分の引上であります。この分に伴います一応の予算の総額といたしましては二億二千五百万円というような一応計算をいたしております。この分につきましては来年度の交付金には算定いたしてございます。
  191. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 そうしますと先ほど專売と国鉄のほうは一応これに準用することにきめると法律的に確定されることになるので、団体交渉の対象からこの問題が外されることになるであろうというふうに了解していいのですか。
  192. 磯田好祐

    政府委員(磯田好祐君) その問題につきましては、従来もそういうシステムになつておりましたし、今後もそういうふうに少くとも恒久的な恩給制度に改正せられるまではこの制度によつて行くのが適当ではないかと政府ではさように考えております。
  193. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 今恩給制度の問題、退職金法等の問題はそれとして別に論議したいと思うのですが、仮に準用する三項を取つたとしたならばあなたがたのこの法律を実施して行かれる上において何がしかの不都合ができるかどうか、或いは不都合ができるとすればどういうところにお困りになるか、そういう点をお伺いします。
  194. 磯田好祐

    政府委員(磯田好祐君) 只今佐多委員の御指摘になりました点は、今度準用するという規定を落したらどうかというふうに拜聽いたしたのでございますが、もともと現在の日本国有鉄道法並びに日本專売公社法におきまして、こういうもの、国家公務員共済組合法の規定を準用するように相成つておるわけであります。従いましてこの年金の額を改定するためには、どういたしましても日本国有鉄道法身体を変えなければいかん、或いは日本專売公社法自体を変えなければ、現在の年金の額は従来のまま据置かれる、団体交渉の対象にはならない。準用する規定をそのまま置いておくということにいたしますならば、従来の日本国有鉄道法の五十七條並びに日本專売公社法の五十一條によりまして、現在の国家公務員法の規定が準用されておりまするので、従いましてその年金の額は、従前の低い給與ベースでそのままそれが基準になるということに自動的になるわけであります。従いましてその際におきましても、この規定を落しましても、落せば従来の低い基準によるということになるわけでありますから、これを準用いたしませんと国鉄、專売はお騒ぎになるのじやないか、かように思うわけであります。
  195. 小串清一

    委員長小串清一君) それでは本案は質疑は盡きたものと認めて、討論に入ることに御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  196. 小串清一

    委員長小串清一君) 御異議ないと認めます。それではこれより討論に入ります。御意見のおありのかたは、賛否を明らかにしてお述べを願います。  別に御意見もないようでありますから、討論は終局したものと認めて御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  197. 小串清一

    委員長小串清一君) 御異議ないと認めます。  それではこれより採決に入ります。本案に賛成の諸君の挙手を願います。    〔総員挙手〕
  198. 小串清一

    委員長小串清一君) 全会一致と認めます。よつて本案は原案通り可決すべきものと決定いたしました。  なお本会議における委員長の口頭報告の内容については、本院規則第百四條によりあらかじめ御承知願うことに御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  199. 小串清一

    委員長小串清一君) 御異議ないと認めます。  それから委員長が議院に提出する報告書に附する多数意見者の御署名をお願いいたします。   多数意見者署名     黒田 英雄  佐多 忠隆     小宮山常吉  愛知 揆一     岡崎 真一  油井賢太郎     小林 政夫  九鬼紋十郎     杉山 昌作   —————————————
  200. 愛知揆一

    ○愛知揆一君 現在大蔵委員会で審議中の議案の表を順次頂いておるわけですが、本日会議終了後でもよろしうございますが、大体どういう状況なつておりますか、ちよつと進行の現況を事務当局からでも御説明願えれば……。
  201. 小串清一

    委員長小串清一君) 承知しました。ちよつと調べる必要がありますから、会議終了後に御報告申上げます。  それでは本日はこの程度を以て散会いたします。    午後四時九分散会  出席者は左の通り。    委員長     小串 清一君    理事            大矢半次郎君            杉山 昌作君    委員            愛知 揆一君            岡崎 真一君            九鬼紋十郎君            黒田 英雄君            清澤 俊英君            佐多 忠隆君            松永 義雄君            小林 政夫君            小宮山常吉君            高橋龍太郎君            油井賢太郎君            森 八三一君            木村禧八郎君   政府委員    大蔵政務次官  西川甚五郎君    大蔵省主計局給    與課長     磯田 好祐君    大蔵省主計局法    規課長     佐藤 一郎君    大蔵省理財局次    長       酒井 俊彦君   事務局側    常任委員会專門    員       木村常次郎君    常任委員会專門    員       小田 正義君   説明員    国税庁所得税課    長       村山 達雄君    農林省農地局特   別会計課事務官  中島  武君    農林省農地局営    農課長     野田哲五郎