運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1951-03-06 第10回国会 参議院 大蔵委員会 第15号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年三月六日(火曜日)    午前十時五十七分開会   —————————————   本日の会議に付した事件 ○国民金融公庫法の一部を改正する法  律案内閣提出衆議院送付) ○国家公務員のための国設宿舎に関す  る法律の一部を改正する法律案(内  閣提出) ○旧軍用財産貸付及び讓渡特例等  に関する法律の一部を改正する法律  案(内閣送付) ○開拓者資金融通特別会計において貸  付金財源に充てるための一般会計  からする繰入金に関する法律案(内  閣提出衆議院送付) ○所得税法の一部を改正する法律案  (内閣提出衆議院送付) ○法人税法の一部を改正する法律案  (内閣提出衆議院送付) ○通行税法の一部を改正する法律案  (内閣提出衆議院送付) ○登録税法の一部を改正する法律案  (内閣提出衆議院送付) ○相続税法の一部を改正する法律案  (内閣提出衆議院送付) ○印紙税法の一部を改正する法律案  (内閣提出衆議院送付) ○骨牌税法の一部を改正する法律案  (内閣提出衆議院送付) ○租税特別措置法の一部を改正する法  律案内閣提出衆議院送付)   —————————————
  2. 小串清一

    委員長小串清一君) これより大蔵委員会を開会いたします。  第一に、国民金融公庫法の一部を改正する法律案、それから所得税法の一部を改正する法律案ほか七件の税制改正案等について質疑を開始いたします。
  3. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 この前国民金融公庫の貸出の日歩等について政府側質問して置いたのですが、その回答を先ず求めたいと思います。
  4. 最上孝敬

    説明員最上孝敬君) 先般お尋ねの点は、この予算参考書として挙げてあります二十六年度、及び二十五年度予定貸借対照表予定損益計算書におきまして、貸借対照表の借方に載つております普通貸付残高三十七億五千九百万に対しまして、同じ損益計算書の利益の部に載つております普通小口貸付利子二億七千万と、それからその次にあります二十五年度における普通小口貸付二十四億六千二百万、それに対して普通小口貸付利子が一億三千四百万とあります。これで見ますというと、二十五年度及び二十六年度を比べますと、二十五年度残高約二十五億に対しまして、二十六年度は三十七億で約五割くらいしか殖えておりません。それに反して利息のほうは一億三千四百万が二億七千万というふうに二倍になつておりますので、恐らく何か利率の引上ということが計画されておるのじやないかという御質問でございました。これは貸借対照表に挙つております小口貸付の金額は、年度末の残高でございます。利息計算いたします根拠になりますのは、年度中の平均残高でございます。平均残高のほうで計算いたしますと、二十六年度は二十五年度の残と、それから二十六年度までの残の大体中央の数になつておりまして、三十億三千二百万でございます。その九%、これは一割予定しておるのですが、九%で計算いたしまして、そうして一割……一割ではございません。九分六厘を予定しておるのでございますから、九分計算いたしまして、三九、二十七で二億七千万円となつたのでございます。それから二十五年度のほうは前年度の残と二十五年度の残と、丁度中央よりもやや低くなつておりますのは、二十五年度におきましては、補正予算で以て十二月以降相当な貸出しが出ましたために低くなつておりまして、同年度平均残高は十三億四千五百万でございます。これは一割二分を一〇%で計算いたしまして、一億三千四百万ということになつておりますので、別にこの利率の引上げということを計画しておるわけではございません。
  5. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 そこで重ねてお伺いしたいのですが、政府の今度の金利の引上げ問題ですね。あれに関連して国民金融公庫も必然的にやはり金利というものは上つて行かなくてはならないのじやないかと思うのですが、この公庫の性質上、特に利子を高くしないで現在のまま据置きにするとか、或いは将来反対に安くして小口貸付けに対する恩恵を施すというふうな方向に向うのですか。その点いま一応明らかにして置いて頂きたいのです。
  6. 飯田良一

    説明員飯田良一君) これは前回にもお答えいたしたのでございますけれども、従来国民金融公庫金利というものが、その目的から見まして成るべく低いほうがいいというふうに考えておられたにかかわらず、一割二分ということで据置いて参りましたわけでございます。国民金融公庫資金量が従来非常に不足を告げておりましたために、従いまして独立採算制等の見地から一割二分というのに我慢せざるを得なかつたのでございます。二十六年度計画におきましては、相当資金量も増加いたすことでありますし、待望の独立採算ということも、なお金利を引下げる場合においても可能であるという見通しがつくに至つておるわけでありまして、先ほど説明がありましたように、予算計画におきましては一応利子收入九分ということで算出いたしております。なお具体的な実行に当りましては、現在研究しておりますのは、従事の一割二分を九分六厘程度に引下げ得るという計算になつておるわけでありまして、実施の時期等に関しましては、なお具体的に研究いたしたいと存じます。要するに、その程度までは引下げたいという計画を持つておることをお答えいたします。   —————————————
  7. 小串清一

    委員長小串清一君) 議事の都合によりまして、国家公務員のための国設宿舎に関する法律の一部を改正する法律案議題といたしたいのですが、これは政府で一応説明がありましたけれども、なおこの際管財局長からこの案について何か説明をしてもらいたいと思います。今のこの案はこちらが先議になつておりますので、成るべくならば少し速かにこれを運びたいと思います。どうぞ、そのおつもりで是非御協力を願います。
  8. 吉田晴二

    政府委員吉田晴二君) それでは国家公務員のための国設宿舎に関する法律の一部を改正する法律案に対して更に御説明申上げます、今回のこの改正は、理由書にもございますように、この国設宿舎設置する機関、設置維持及び管理に要する費用並びに宿舎使用料所属区分使用料徴收に関する規定等についての所要の改正でありまして、まあいわば非常に技術的の問題でございます。御承知通りこの法律昭和二十四年に制定されまして、国家公務員のための国設宿舎関係につきまして、従来法律では特に規定のなかつたものを法律にいたしまして、その国家公務員のために設けられた宿舎の円滑なる運用を期するように主としてその調整を目途として作られたものであります。これによりまして、昭和二十四年の大体全体の宿舎を合せますと、約三千戸の宿舎が設けられたのであります。引続きまして、昭和二十五年度、本年度におきましても、約三千戸の宿舎が設けられております。更に来年度においても十二億の予算が出ておるわけであります。漸次整備をして来ておるわけであります。只今申しましたように、この改正條文について申上げますと、主として技術的の問題でございます。第八條を御覧頂きますと、これは宿舎管理規定でございます。第八條では、大蔵大臣宿舎設置維持管理。この三つのものにつきまして総合調整をするこういうことに見出しができております。そうして総合調整大蔵大臣がなすことが一項になりまして、二項では衆議院議長参議院議長内閣総理大臣法務総裁各省大臣最高裁判所長官会計検査院長及び人事院総裁、いわゆる各省各庁の長と略しておるのでありますが、各省各庁の長が設置維持管理の実地の事務大蔵大臣の定めるところに従つて行う。つまり第一項では、設置維持管理三つ総合調整大蔵大臣がする。その後の設置維持管理大蔵大臣の定めるところによつて各省各庁の長がやると、こういうふうに規定ができております。ところが実際の問題を見ますと、この設置という問題につきましては、各省各庁の長が別々にやるということは非常に面倒なことであります。この維持管理のほうはこれは各省各庁の長にやつて頂くのは当然でありますが、設置そのものにつきましては、これはむしろ大蔵大臣が全部まとめてやつておるのが現在の実情であります。又そういうふうに現わすのがよかろう。但し特別の場合には、これは各省各庁の長がやることにして、原則は大蔵大臣がやるということにしたいという、こういう趣旨でありまして、第八條の二項を削りまして、「第八條の二」というものを作りました。ここにございますように「大蔵大臣は……設置する……」ただ只今申上げましたように、郵政事業電気通信事業というような事業を企業的に運営する特別会計で負担する宿舎については、その当該特別会計管理する各省各庁の長でやる。又特定の官署に勤務する国家公務員のために一時に多数の宿舎設置する必要があるというような場合、或いは又非常に遠隔の地に、何といいますか、ぽつんぽつんとある宿舎というようなものは、大蔵大臣設置しないで、各省各庁の長がやつたほうがいいというような場合がございましたならば、その場合には各省各庁の長がやるということに第八條の二が決まつて来たわけであります。  次に第八條の三は、これは前の第八條の二項と同じことでありまして、宿舎維持管理はこれは各省各庁の長がやるということであります。これはただ條文を変えたために第八條の三ができたのでありまして、実際問題としては何ら変りはないわけであります。次に第十條でありますが、第十條には公邸規定がございます。いわゆる昔から申しております官邸でありますが、これは法律規定し先人だけにこれを貸與するという規定でございます。只今ではここにございます一から十三の項目に分れておりまして、これを申上げますと衆議院議長、副議長参議院議長、副議長内閣総理大臣及び国務大臣、最高裁判所裁判官会計検査院長人事院総裁衆議院事務総長参議院事務総長、並びに衆議院法制局長及び参議院法制局長、宮内府長官侍従長検事総長国家公安委員会委員長内閣官房長官それから国立国会図書館長と分れておりまして、今回御承知通り警察予備隊というものができましてそこの本部長官ができたのであります。この警察予備隊本部長官もこの種の各項目に挙げられております公務員のかたがたと比較いたしまして、検事総長、その他国家公安委員会委員長等に権衡して参りまして、この中に当然公邸を持つものであるというところから警察予備隊本部長官を入れました。  なお、これは当然予算範囲内でやるべき問題でありますので、ここに予算範囲内で設置するのだという文句を入れたわけであります。  なお、第十二條におきましても、これは第十二條というのは無料宿舎規定でありますが、これも只今の話で予算範囲内で、これは当然のことであるかも知れませんが、これをはつきりする意味においてこの字句を挿入するということにいたしたのであります。  次に、第十四條は有料宿舎使用料規定であります。これは、第十四條の有料宿舎使用料については大体どういう基準でやるか、或いはこの明け渡した場合の使用料日割計算の問題であるとか、或いはその使用料をどういうふうにして徴收するかというような規定が今まであるわけでありますが、三項に分れておりますが、更に一項追加いたしまして、この宿舎明け渡しをした場合には、この宿舎明け渡しということは、つまり国家公務員でなくなつた、或いは死亡した、転勤、転職等で資格がなくなつた、或いは国の事務事業の運営の必要に基き先順位者が生じたときには明け渡しをしなければならないが、実際その明け渡しをする場合には多少の日があるわけであります。それで一応公邸及び無料宿舎にあつては六十日、有料宿舎は六カ月ということが第十九條に規定してありますが、その間のこれは公務員でない場合がありますので、その宿舎使用料はその三項では規定はつきりいたしておりませんので、ここに四項を以ちましてその使用料を、毎月その月末までに、国に拂い込まなければならない。という規定を追加いたしたのであります。これは従来から当然あるべきであつた規定が抜けておりましたのを追加いたしたのであります。  次は第十八條規定でありますが、第十八條費用及び使用料費用負担区分がきめてございまして、この使用料というものは「それぞれ宿舎の貸與を受けた者の報酬を支弁する会計」を「当該宿舎所属する会計」と改めるという規定でございまして、これが宿舎に入つておる人のそのもの報酬を拂う会計ということになりまするというと、それも一つの考え方ではあるわけでありますが、現実の問題といたしましては、その現在の例で申上げますと、合同宿舎等があるわけでありますが、合同宿舎にいろいろな人が入つておるわけであります。そうしますというと、それが中には預金部特別会計の人が入つておるとか、一般会計の人が入つておる、そういうものが入つてしまいますと、現実状態に合わないのであります。その宿舎には今実際のところ一般会計所属になつておりますから、それはその使用料も当然その中に入つて来なければならん。これはむしろ宿舎所属する会計というふうに規定を改めないというと、現実状態に合わないという点で第十八條の第一項中の「それぞれ宿舎の貸與を受けた者」とありますのを、「当該宿舎所属する会計」ということに改めたのであります。同時に第二項におきましても「郵政事業電気通信事業その他事業を企業的に運営する特別会計」とありますのを、特にこれを「政令で定める特別会計」というふうにいたしまして、「その他事業を企業的に運営する特別会計」というものをむしろ政令はつきりしようというふうにいたしたわけであります。  なお附則におきまして、第一項はこれは「昭和二十六年四月一日から施行する。」というのであります。第二項につきましてはこれは国有財産法の第十五條という規定がございまして、この規定につきましてつまり何といいますか、異なる会計間の所管換というものは有償にしなければならんという規定があるわけでありまして、その当然或いは使用させる場合には有償として整理をしなければならんという制度があるわけでありますが、当分の間、これを所属を異にする会計の間において、所管換若しくは所属者をし、又は所属を異にする会計をして使用させるときは、国有財産法第十五條規定にかかわらず、当分の間、当該会計間において無償として整理するということにいたしたいというわけであります。以上簡單に御説明申上げました。
  9. 小串清一

    委員長小串清一君) 今の吉田管財局長の御説明についてなお御質問ありませんか。  もう一つここに今日議題にまだされておりませんが、旧軍用財産の貸與及び譲渡特例等に関する法律の一部を改正する法律案、これは管財局関係であります。これについての予備審査をいたしまして御質疑がありましたら……或いは一通り説明を先にしてもらいましようか。旧軍用財産貸付及び譲渡特例に関する法律案について……。
  10. 愛知揆一

    愛知揆一君 議事進行で、今の国設宿舎に関する改正法律案はもう質疑打切ることをここできめて置いたほうがいいのではないか、極めて事務的な問題でもあるから……。
  11. 小串清一

    委員長小串清一君) 御尤もでございますが、さよう御質疑がないようでありますから、質疑打切つて討論に入ることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  12. 小串清一

    委員長小串清一君) 御異議ないと認めます。
  13. 黒田英雄

    黒田英雄君 ちよつと質問を……只今の問題に関しまして……。
  14. 小串清一

    委員長小串清一君) 今御異議がないということで質疑打切つてしまいましたが……。
  15. 黒田英雄

    黒田英雄君 これは私、まだもらつてから、昨日かもらつたでしよう。それで原文等とも照らして見ないのですが、それで一つ二つちよつと質問して……照らして見れば質問しなくとも済むかも知れませんが……。
  16. 小串清一

    委員長小串清一君) 只今質疑打切りましたが、なお黒田委員より一応簡單お尋ねがあるそうでありますから、それについて発言を許します。
  17. 黒田英雄

    黒田英雄君 十四條に次の一項を加える、有料宿舎の貸與を受けた者が、まあ役人をやめるとか、転任をして宿舎をあと明け渡す期間が相当あるのですね、何カ月とかいう、その間、今までは使用料を取つていなかつたのですか、それとも取つてはおつたが、毎月取るというような規定がなかつたのでそうするというのですか。現行法を私持つていないものですからはつきりわからないのですが……。
  18. 吉田晴二

    政府委員吉田晴二君) これは当然取つてつたのですが、その取り方において従来規定はつきりしておりませんで、第四項を設けてそれをはつきりさせる、こういうわけであります。
  19. 黒田英雄

    黒田英雄君 取つてはおつたのですね。
  20. 吉田晴二

    政府委員吉田晴二君) 取つてはおりました。
  21. 黒田英雄

    黒田英雄君 それからこの十條で、「予算範囲内で」を加えるということは、結構と思うのですが、今まではこれはなかつたというので急にこしらえなければならないというのでしようが、併し今までにできていない官舎というものはまだ相当あつたのですか。警察予備隊本部長官は勿論新たに加わるのですが、今までの或いは最高裁判所裁判官とか、何とかというのもあつてつておると思うのですが、それらは全部官舎はみなできておらんですか、或いはできておるのですか。
  22. 吉田晴二

    政府委員吉田晴二君) 只今までには最高裁判所裁判官等官舎は、公邸は全部まだできておりません。一部のかたはできておりますが、一部のかたはまだ今後の問題になつて残つております。
  23. 九鬼紋十郎

    九鬼紋十郎君 附則の第二項の特別の取扱いを「当分の間」というのは、何か六カ月間とか、三カ月間という期限を切つたらいかんのですか。
  24. 吉田晴二

    政府委員吉田晴二君) これは御承知通り、従来官邸と申しますか、或いは宿舎についてこういう総合調整をやらないで、各省ばらばらにやつてつた。それをこの法律で一切の必要に応じて合うように調整をしよう、こういう趣旨法律でございます。従つてこれを総合調整する場合に、こちらの省に貸してあつたのを、こちらの省に持つて行くということが自由自在にできれば理想的でありますが、これは実際問題としては早急にはできません、新しく宿舎を作つて割当てる場合に、成るべく下足のところに持つて行く、それでそちらのやつと権衡をとるという方法が一番円滑に行くわけであります。そのためにはやはり多少時日を要すると思います。ちよつと六カ月などではむずかしい、多少時間が要ると思います。
  25. 九鬼紋十郎

    九鬼紋十郎君 そうするとこの規定を、ずつとそういう調整をするということになると、長く結局時間がかかつて、こういう規定を残して置いた方が便利だということでないですか。いつまでも、こういう規定にしておいて、相当自由に調整ができるようにして置いた方が……当分というのを削つちやつたほうが
  26. 吉田晴二

    政府委員吉田晴二君) 国有財産法の本来の規定は、第十五條できまつておるわけでありまして、この十五條に対する一つの例外で、又長くやるということも理想とするところではございません。やはり何といいますか、経過的な規定でございますので、そこにあれするのが当然だと思います。
  27. 小串清一

    委員長小串清一君) 大体御質疑は盡きたものと認めますから、これより討論に入ります。御意見のおありのかたは、それぞれ賛否を明らかにしてお述べを願います。別に御意見もないようでございますから、討論は終局したものと認めまして御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶものあり〕
  28. 小串清一

    委員長小串清一君) 御異議ないと認めます。よつて本法案は本院の先議案でありますが、これより賛否を決定したいと思います。本案に御賛成の諸君の挙手を願います。    〔総員挙手
  29. 小串清一

    委員長小串清一君) 全会一致と認めます。よつて本案は原案通り可決すべきものと決定いたしました。  なお本会議における委員長口頭報告の内容については、本院規則第百四條によりあらかじめ多数意見者の御承認を願うことに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  30. 小串清一

    委員長小串清一君) 御異議ないと認めます。委員長が議院に提出する報告書に附する多数意見者の御署名をお願いいたします。  多数意見者署名  森 八三一   小宮山常吉  小林 政夫   大矢半次郎  油井賢太郎   愛知 揆一  黒田 英雄   九鬼紋十郎  岡崎 真一   佐多 忠隆
  31. 小串清一

    委員長小串清一君) それから御署名中でありますが、次に開拓者資金融通特別会計において貸付金財源に充てるための一般会計からする繰入金に関する法律の、これは政府委員が今日担当の人が見えておりませんが、各位において御質問はありますか。
  32. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 まだ間があるのですが、やはり見えないかたもあるのですが、この関係政府委員が来たときですね、質疑を……お諮りになつて質疑打切るなり、何なりの方法をとつて頂きたいと思います。
  33. 小串清一

    委員長小串清一君) それでは只今通り取り計います。   —————————————
  34. 小串清一

    委員長小串清一君) それでは戻りまして旧軍用財産貸付及び譲渡特例に関する法律の一部を改正する法律案について、只今関係当局がおりますから質議を開始しようと思います。
  35. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 もう少し詳しく政府委員から説明をお聞かせ願いたいと思います。
  36. 小串清一

    委員長小串清一君) 只今油井君の要求もありますから、国有財産貸付及び譲渡特例に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、管財局長から一応御説明を願いたいと思います。
  37. 吉田晴二

    政府委員吉田晴二君) それでは旧軍用財産貸付及び譲渡特例に関する法律案の一部を改正する法律案につきまして簡單に御説明申上げます。  この法律は御承知通り、大体旧陸軍省海軍省及び軍需省所管に属していた普通財産というものを処分いたしますのに、非常に厖大な財産でありますが、成るべくこれを早く処分して行く。而もそれを非常に緊急なことに、或いは医療施設であるとか、或いは学校施設であるとか、そういうようなものに特に転用を有利にするというような目的を以て昭和二十三年に作られた法律でございますが、そのうち特に譲渡に対する減額規定が三年の有効期間になつております。そこでこれが今年の七月にはその減額規定が失効になるという問題がございます。特にこれは本国会でその点を先ずもう三年間延期するという必要がある。それが第一点の改正理由でございます。それから、その減額規定は第二條にございますが、その減額の場合に時価の二割以内で減額ができるということになつておるのでありますが、これを時価の四割以内で減額することができる。と申しますのは、これは従来学校であるとか、医療施設の用に供するため公共団体讓渡する場合、二割以内で減額することができるという規定があつたのでありますが、現在の状況から見ますと、なおこの二割の減額ではなかなか不十分な点もございます。更にこれを、特にこういうものについては早く処分いたし、或いは又適用をその当事者のほうに有利にしたいという関係から、二割以内というのを、四割以内ということに直したわけであります。更にこれは只今までの規定は、これは譲渡の場合の減額規定、つまり割引して売る規定であつたのでありますが、そのほかに実際これを貸付けております場合に、最近の状況といたしましては、土地、建物等の不動産に対する経理統制令規定が緩和されまして、こういうような施設に対する統制の除外がされまして、そういたしますと国有財産法上は当然これを時価徴收しなければならんという問題になるわけであります。ところがこの学校とか、或いは公共団体医療設備というようなものについては、これを時価徴收するということは、最近の時価と比べてみますというと、非常に多額の経費を負担させることになります。そうなりますと、無理な場合も起つて参りますので、これは五割以内の減額をすることができる、つまり貸付料について五割以内の減額をすることができるということに新たにこれは規定を置いたわけでございます。ただこの減額のできる場合は、昭和二十六年三月三十一日現在貸付けておる従前の借受人に対してだけできる。只今のような処置でございますので、従前から貸付けているものだけに、この貸付料減額をすることができる。讓渡のほうは勿論そういうわけではありませんが、只今の場合は貸付の場合においてはそういうことに制限されておるという規定であります。  なお、これに附加えまして、只今までは公共団体医療施設、或いは学校教育法の用に供する学校設置者というものに限つてつたのでありまするが、これは社会事業施設公共団体である場合、この場合においても同じような趣旨で以て減額してもよかろう、減額、或いは讓渡の減、或いは貸付減額をしてもよかろう。こういうふうに思いまして、特に社会事業施設というものを、社会事業施設公共団体に置く場合においても、この減額をすることができるというふうに規定を直しました。その社会事業施設というのは、これはただ社会事業施設と申しましたのでは余りはつきりしませんので、一項を追加いたしまして、「社会事業施設とは、社会事業法第一條に規定する事業の用に供する施設、兒童福祉法第七條に規定する兒童福祉施設、身体障害者福祉法第五條第一項に規定する身体障害者更生援護施設、生活保護法第三十八條第一項に規定する保護施設及び保護を要する引揚者又は戰災者の寮をいう。」というふうにはつきりと規定したわけであります。ただこれは、つまり社会事業法が只今改正法律案が出ているのでございますが、若しそれが通りますればこの規定は当然その法律のほうで改正するということになつております。  それからなお第三條に、これは延納の規定がございます。この旧軍財産只今申しました旧陸軍省海軍省軍需省に属しておりました普通財産及び財産税法、戰時補償特別措置法により物納されました財産につきましては、これが従前からの使用者に讓渡した場合には、未拂代金の三年以内の延納の特約ができるという特別の規定があるわけであります。現在その物納の関係は、この財産税法、戰時補償特別措置法以外に、所得税法或いは相続税法においても同じような物納の規定がございます。これらの場合にも延納ができる。同時に延納の期間は従前三年でありましたのを五年に改めるということにいたしたわけであります。  次に第五條は、これは従来地方公共団体が無償で国か学校の用に供するという意味で寄附したものがあるのであります。その場合は、後になつて国がその用に供しなくなつた学校の用に供しなくなつたという場合には、これを無償で返還しなければならないという規定でございます。ところがこの学校というのが、中には例えば戰時中に設けられました海員の養成所であるとかというような、一種の学校ではありますが嚴密な意味において、学校ということはできないというものがあるのであります。そういうものについてもやはり第五條を適用さすのが当然であるという要望もございますので、單に学校というのを、学校その他の教育施設ということで、その他の教育施設もこれの中に含めるというような改正を考えております。以上簡單でございますが御説明申上げました。
  38. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 今の御説明のうちで二、三点伺いたいのですが、時価というのは、一体こういうふうに物価の変動が激しくなつた場合は何を基準としてされるか、或いはその時価が変つた場合には、国家において順次変えて行くのは、どういう規定によつて変えられるか。それをちよつと御説明願いたいと思います。
  39. 吉田晴二

    政府委員吉田晴二君) この時価をきめる基は何かということでございますが、これは結局国有財産と申しますか、国の処分の場合には適正な対価をとらなければならないという財政法の規定があるわけであります。これが基になりまして当然適正な対価というものは、即ち時価であります。そのときどきのいわゆる市場に行われておる価格というものを、国が対価として受取ることが適正な対価であるということから来ておるのであります。その時価というものをもう少し砕いて考えて見ますというと、仮に土地なら土地といたします、土地の一般の売買価格というものはその時価になつております。それはその売買価格が、現実の問題としてどこから具体的に算出されるかということになりますと、これはなかなか具体的にもむずかしいのでありますが、やはりその土地の類似の土地の売買実例、これが非常に先ず第一に参考になるわけであります。更にその土地の賃貸価格等を基礎として、相続税の課税標準価格とか、或いは財産税実施の場合の価格に一定の指数をかけたもの、或いは勧業銀行その他の民間の精通者の評価、そういうようなものをいろいろ総合いたしまてその土地の価格となる、こういうような見方をいたしております。
  40. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 そこでさつきの御説明の中に、時価に比較して多額の経費を負担させることは気の毒だというような御意味のことを言われておるのでありますが、物価が世間一般騰貴するとか、或いは下つた場合には余り関係はないでしようが、上つたような場合、やはり時価に比較して順次変つて行く賃貸価格なり、或いは譲渡価格というのは、これは当り前だと思うのです。それに今の御説明だと、時価は上つてもやはり安く処分したほうがいいのではないかというふうにも聞えるのですが、そうすればもうこの旧軍用財産というようなものの評価というものをはつきりさせてしまつて時価関係なくどんどん入札とか何かで以て処分するというような方法も出て来ると思うのですが、それはどういうふうにお考えになつておりますか。
  41. 吉田晴二

    政府委員吉田晴二君) 一般の場合には我々はそれで結構で、当然そうしておるわけでありますが、併しここに規定しておりますように、この公共団体、先ず大体これは県であるとか市町村でありますが、こういうものが医療施設の用に供しておるとか、或いは社会事業に供しておるというような財産につきまして、又或いは学校、これはまあ大体公共団体学校であるとか、或いは私立学校も入るのでありますが、こういうようなものについては、特別にこういう措置をしてもいいのではないか。まあ何といいますが、用途並びにその設置者について特に制限をしておりますので、その意味において特別な措置を図つて行こうと、こういう趣旨でございます。
  42. 小串清一

    委員長小串清一君) ちよつと如何ですか。これはまだ相当続きますが、佐藤政府委員にやつと都合して出て頂きましたが、衆議院送付開拓者資金融通特別会計に対して一般会計からする繰入金法律案、これは簡單のようですが、このほうを御審議願うことにして、ちよつと質疑を待つて頂いてそうしたいと思いますが、よろしうございますか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  43. 小串清一

    委員長小串清一君) それでは開拓者資金融通特別会計において貸付金財源に充てるための一般会計からする繰入金に関する法律案につきまして、衆議院送付のこの案について御審議を願います。
  44. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 この特別会計一般会計から繰入金で賄つたほうがなぜ健全財政の見地から妥当かという説明を、もう少し一つ詳しくやつて頂きたいと思います。
  45. 佐藤一郎

    政府委員(佐藤一郎君) これは私から御説明するのでは不十分であろうと思うのですが、まあ開拓者資金に限りませず、ほかの特別会計その他を通じまして、いわゆるドツジ・ラインとしまして、インベントリー・フアイナンスと申しますか、資産の見合いの資金の融通というものにつきましては、従来でありますれば普通の借入金を以て賄つて行くという方法をとつておりましたのを、特にいわゆるドツジ方式ということで、一般会計から繰入れてれを賄う。但し将来余裕があれば又それを返すと、こういうような方式を一般的にとつておりまして、それはこの開拓者の特別会計だけに限つておる問題ではないわけであります。従つてこれは全体としての金融の問題に関連いたしますので、私からお答えするのは不適当だろうと思うのでありまするが、却つて議論に亘ることになるのではないかと思いますが、どんなものでしようか。これはまあ私の今度個人的な推測になりますが、インフレの要因というものを全般的にまだまだ警戒する実情にある。そういう状況の下におきましては、たとえ期間が非常に長期に亘るものでないにもせよ、できるだけ資金の放出というものはこれを抑えて行くという見地からして、やはり一般会計から繰入れの方式をとつてつておるものどこう考えております。短期なものについては、これは運転的な性質のものであるから借入金で処理してもよいのではないかという意見も十分成り立つことと思いますけれども、特にインフレの懸念というものを重視いたしまして、そうして少しでもインフレに発展する可能性のある問題をできるだけ堰き止めて行きたいと、こういうふうな考え方に基いておるものと、かように私は了解いたしております。
  46. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 これは政府委員お尋ねするのでなくて、むしろ大臣なり或いは政務次官にお尋ねする点かも知れませんけれども、こういう金融措置を殊更国民の税金を以て賄つておる一般会計から出すということについての是非になりますけれども、これは初めからこういうふうな計画が大蔵省内にあつたのですか。それとも突如としてこういうふうになつたのですか。その経過は、あなたがた事務当局でも或る程度おわかりになつておると思うのですが……。
  47. 佐藤一郎

    政府委員(佐藤一郎君) これはまあ、予算の問題にも触れて参りますのですが、一番最初、これは本年初めての問題でございませんから、昭和二十四年度予算のときからすでに問題になつておりました点でありまして、そのときのいきさつをちよつとつまびらかにいたしませんが、たしか内部的には公債によつてやる、即ちこの特別会計法の趣旨に基きまして従来のやり方でやるという意見政府の部内にはあつたわけでありますが、いわゆるドツジ・ラインとして、全体の国の財政方針というものがはつきりとドツジ方式に副うという方針が確立いたしまして、その結果として、その一環として、公債でやるという考え方は改められて、そうして二十四年以来現在のような方法をとるようになつて来ておるわけであります。
  48. 小林政夫

    ○小林政夫君 今油井さんの言われた問題を検討する上にも参考になると思いますが、この営農資金貸付事業計画、この実態がわかるような資料をお願いいたします。次の共同施設資金貸付事業計画、又第三番目の営農促進対策資金貸付事業計画、これはまあ金の面ではわかりておりますが、仕事の実態ですね。説明できれば説明して下さい。
  49. 野田哲五郎

    説明員(野田哲五郎君) この営農資金と申しますのは、開拓者が入植いたしまして、種子、肥料、農具、家畜等を購入する経費でございます。開拓者が土地をもらい、土地を買受けまして、家を建てて、営農の段階に入りますと、それらの資金が極めて多額に要るのでありまして、それに対しまして政府は三年間に分けまして、総額一戸当り十三万程度の金を貸付けようとするものでございます。  次の共同施設資金と申しますのは、前の営農資金が主として個々の開拓農民に貸付けることを目的としておるのに対しまして、共同施設資金というのは、この開拓者が協同組合を組織いたしまして、共同の加工事業を経営するという場合の施設に金を貸すものでございます。最後に営農促進対策資金と申しますのは、昭和二十一、二十二年の両年度に入りました入植者につきましては、この資金融通の関係が極めて不円滑でありまして、入植者の一部分についてのみ貸出されたわけであります。と申しますか、一部分についてのみ予算が積算されたのであります。ところが実際貸付をやります場合には、全体を見て貸付をしなければならんというようなことで、極めて水増しをされて薄く行つたというような事情がありまして、そのために経営上若干の支障を来しておる。これをカバーいたしますために、その古い入植者に対しまして、営農促進のために、主として家畜を入れるということから組まれた予算でございます。
  50. 小林政夫

    ○小林政夫君 今のは大体の趣旨はわかりますが、その具体的なそういつた趣旨によつてやられる、一々、例えば第一期の営農資金というのは個人が対象となつておるようですが、その個人名までは要りませんが、府県別くらいまでは、資金の使用をされる用途別、それから地区別ですね。そういう計画の明細がありませんか。あとでもいいのですが……。
  51. 野田哲五郎

    説明員(野田哲五郎君) あとで差上げます。
  52. 小串清一

    委員長小串清一君) それで、今御要求の資料がなければ、この問題についての御討議はお差支えになりますか。
  53. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 まだこの問題はもう少し質疑を続行さして頂きたいと思います。都合で今日でなくてもいいのですが……。
  54. 小串清一

    委員長小串清一君) それでは午前中の会議はこれを以て休憩いたします。午後一時より再開をいたします。    午前十一時五十二分休憩    —————・—————    午後一時四十四分開会
  55. 小串清一

    委員長小串清一君) 午前に引続きまして会議を続行いたします。  所得税法の一部を改正する法律案ほか七件の税制改正案につきまして質疑を開始いたします。
  56. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 この際平田局長にお伺いして置きたいのですが、最近物価の趨勢が非常に高騰の傾向があるので出すね。御承知のように動乱以来、年末までは大して消費者価格というものは上つてないのに、一月二月になつてからの急騰振りは、まあ平均五〇%ぐらい上つたのじやないかと言れております。そういう際にあつて、この税制改正というものは十月或いは十一月を一基準にされてお立てになつた改正案なんですが、物価の高騰がこんなに著しくなつて参りました以上は、やはり基礎控除であるとか、扶養控除というようなものをもう一応検討して、もつと控除率にするというようなことは今からお考えになれないのですか。
  57. 平田敬一郎

    政府委員(平田敬一郎君) 最近における物価の傾向が油井さんのお話のように大分又値上りつつあるというようなことは確かに相当な部面について言い得ると思いますが、ただ私どものやはり今までの資料として出て来たところによりますと、一部の基礎原材料等の物価は相当顯著な値上りを来しておるのでございますが、全体の消費者物価と申しますか、消費者の購入する物資の価格というものについて見ますと、実は全体として見ますと、まだそれほど顯著な影響は来たしていない。消費者物価指数は、先般もお話ありましたように、十一月が、昭和二十四年の中垣を一〇〇としまして、確か九三くらいであつたと思います。それが十二月に少し上りまして九七というところになつたようでございますが、まあこの指数が今後どういうふうに動きますか、これは私ども一番注目すべき点だと思うのでございますが、まだ私どものところに的確な最近の状況に関するこれらの資料を得られませんので、的確なことは申上げにくいのでございまするが、全般的に歳入の計画等を立て変えるという必要までは今のところまだないのではないか。併し今後どういうふうにこれらの動きがなつて参りますか、その次第では或いは再検討を必要とする事情が全然ないとは申上げかねると思いますが、今のところまだそこまで行きますのは少し早きに過ぎるのじやないかと、かように考えておるのであります。
  58. 木村禧八郎

    ○木村禧八郎君 それに関連して……この前勤労所得税の基礎控除、扶養控除の引上げ、それから税率の引下げ等によつてどれだけ減税になるかという表を出して頂いたのですね、あれの、最近の物価事情に基いてああいう表をもう一遍出して頂きたいのです。
  59. 平田敬一郎

    政府委員(平田敬一郎君) 基礎控除、家族控除の引上げによりまして所得税がどれだけ減税になるかという資料は、歳入歳出の説明の材料としまして出してございます。これは御承知通り昭和二十六年度における改正しない場合の税額、それを基礎にいたしまして、それに改正の基礎控除、扶養親族の控除を当てはめますと幾ら税が減るか、こういう計算にたつているのでございます。従いましてその資料としましてはこの歳入の見積りの問題がございますが、今としましてその額を動かすということはどうかと思うのであります。ただ木村さんのお話は生計費に及ぼす影響、あれでございますか。
  60. 木村禧八郎

    ○木村禧八郎君 そうです。
  61. 平田敬一郎

    政府委員(平田敬一郎君) あれの資料でございましたら出してもよろしいと思うのであります。ただあれでは直接政府の政策によりまして動くフアクターが、一方においては減税によつて家計費の負担が減る、他方公定価格の米価の引上げ等によりまして逆に家計費の負担は殖える、間接税の引下げによりまして、それ自体としてはやはり物価を下げるフアクターになる。そういうものを見込むとどうなるか、こういう資料を作つたのでございます。その資料でございましたら、なお最近の状況に基きまして作成して出したいと思います。
  62. 木村禧八郎

    ○木村禧八郎君 今御要求したのはそういつた資料なんですが、お願いいたします。それで補給金を削つて、そのために公定価格が上るものもありますし、それから最近の消費者物価事情も考慮して作つて頂きたいと思います。生計費に減税がどのくらい影響するか、即ち家計費の負担がどのくらいになるかということ、そういう意味での資料なんです。
  63. 平田敬一郎

    政府委員(平田敬一郎君) 生計費全体の資料とりますと、なかなかむずかしいのじやないかと思います。と申しますのは、賃金が動く場合がございますし、どういうふうにして見るべきか、これはなかなか実はむずかしいのでございまして、変動するフアクターをやつぱり一定のところに限つて作業しないと、到底むずかしいのじやないかと思うのでございますが、お話しの資料はどういう資料でありますか、お話しがございましたら、もう少し研究して見たいと思います。
  64. 木村禧八郎

    ○木村禧八郎君 例えば東京都の生計費調査があります。ああいうものを基礎にして頂いて結構なんです。ほかには生計費調査というのは具体的にありませんから、まあ人事院で標準生計費ですか、ああいうものも作つておると思うのです。ですからそういう何か東京都のでもいいですし、人事院のあの生計費調査でもいいし、何かそういうこれまでいわゆる実質的な減税と税法上の減税ということは非常に問題になつておる点なんでありますからして、我々はその点を明らかにしたいわけなんです。
  65. 平田敬一郎

    政府委員(平田敬一郎君) 財政政策によりまして直接その影響する部面についてフアクターをもつて来て影響を見るということは、先ほど申しましたように、これは可能のことであります。ただ今の物価は御承知通り国際的な原因等によつて相当動いている。それによつて賃金等も相当やつぱり動いている、会社の利潤等も動いている。勿論消費者の家計の内容も変つている、そういう変り方をどういうふうにして分析するのか。これはやはり一定時期の過去の実績を調べてそれを分析するより方法はないかと思いますが、それを予測するということはちよつとなかなか私どもとして作業も到底不可能ではないかと思うのでございますが、ただ問題は一定時期のときにおいて、例えば一月なら一月の家計費の内容を分析して、その際に税がどうなるか、或いは煙草の値下げによつてどうなるか、或いは米価の引上げによつてどういう影響を受けるか、そういうのは十一月では工合が悪いと思いますが、十二月なら十二月の実績を基にして、できる限りのフアククーを作るということはこれは可能なことだと思います。ただ今後どういうふうに物価が動いて行くかというその予想を織込みましてそういう資料を作るということは到底不可能じやないかと思います。
  66. 木村禧八郎

    ○木村禧八郎君 そう、いう意味じやないのです。この前に生計費にどういう減税が影響するかという資料を出されましたから、あれを最近の事情に基いて出して頂きたいと思う。それからもう一つお伺いしたいのは、よくCPIをお使いになりますが、CPIを九月から十月にどうしてああいうふうに変えたかということの理由を聞いても、なかなか單に技術的な問題だと言つて、具体的に我々にまだ答弁しておりませんし、それから九月と十月と同一方法、即ち新らしい方法によつてつても、大体指数は同じである。従つてそれを延ばせば、これは旧計算方法によるのと同じわけだと、こういうふうに答弁しておるのです。ところがだんだん調査して見ますと、相当問題があることが明らかになつて来たのです。ですからCPIを九月と十月を繋げて、それでがCPI下つているから消費者価格が下つておる。CPIが余り上らないから大したことにならない、こういうことにはならないのじやないかと思います。それで主税局長もお調べになつたかと思いますがあれはどうしても繋がらないと思うのですが、その点如何ですか。
  67. 平田敬一郎

    政府委員(平田敬一郎君) CPIの作り方はお話の通り九月頃若干変えたということは私も聞いております。従つて私もその幹部にはその繋がりは統計局においてできる限り正確なものを作つておるだろうということを念を押したのですが、それは大体そうだということでございました。私どもそれ以上深く立入りますことは統計局の仕事になりますので、若しも必要でございますれば、CPIという資料は非常に大事な資料でございますから、或いは統計局の専門家から御聽取願つたらどうかと存ずるのであります。  なお物価の動向でございますが、外国におきましても一卸売物価と小売物価の上り方は大分違つております。三月ちよつと調べて見たのでありますか、アメリカにおいても朝鮮動乱前に比べまして、卸売物価は二割七、八分上つております。これに対して小売物価指数は僅か三%しか上つておらない。イギリスの場合におきましてもほぼ同様である。尤もイギリスの場合は補給金で安定政策をやつておりますから、一層顯著だと思います。アメリカの場合はそれほどそういう政策はとつておらないのでございますが、そういうようなことであります。この卸売物価の上り方と消費者物価の上り方、そのギヤツプは今後どういうふうに実際上なつて行くか、これは恐らくいろいろ問題があるだろうと思いますが、最近までのところ私どもも消費者物価指数が卸売物価に比べまして、上り方が少いという点につきましては、相当のやはり理由があるように考えるのでございます。それは先般も申上げましたように、何と申しましてもやはり家計費のうちの五、六割を占めるところの食糧の上り方が割合に少い、これが一番消費者物価指数が比較的安定を保つておるゆえんじやないか。衣料品その他は相当確かに上つておると思いますが、それの影響が全体としましては、比較的少いというところにこれらの原因があるんじやないかと思います。併しこれはどういうふうになつて行くか、これ確かにいろいろ問題だろうと思いますが、どうも断定的な予測を今下すことは私どもなかなかむずかしいと思います。
  68. 木村禧八郎

    ○木村禧八郎君 どうも政府側ではいつも大蔵省側の人ばかりでなく、物価め問題を質問しますと非常に楽観しておる、楽観というよりも卸売物価は上つたけれども、生産財は上つたけれども消費財のほうは上らない、そう言つておりますが、併し卸売物価が最近のように非常に顕著に上り出しておるということは、やがて小売物価が上る前兆だと思います。その先鞭をつけておるわけです。ですから卸売物価が上らない、小売物価も大して上らないからそれで大したことはない。勿論小売物価の上り方の少いことについては今主税局長が言われたように、ウエイトの大きい主食の値上りがそう大したことはないということも大きな要素だとは思いますが、併し我々ばかりでなく、むしろ外国のほうの人、フアイン博士とかシカゴ大学のアツカーマンというような人は非常に前途を警戒しております。卸売物価が上つたということはやがて消費者物価が上る前兆である、そういうふうに見ておるのですが、それは当然のことであります。ですから何か消費者物価についてそれを陳弁これ努めるように聞えるわけでありますが、やはり実際問題として物価が上るなら上るという考え方で対処しなければいかんと思いますが、その点どうも政府側の答弁は如何にも言訳的なふうに聞えるのですが、これはやはりそういう意味で卸売物価が上つたということは、やがて小売物価が上るという前提で税の問題を考えなければいかんのじやないですか。
  69. 平田敬一郎

    政府委員(平田敬一郎君) これは私の若干個人的な考え方でございますが、具体的に木村さんのお話のように卸売物価が先ず上つて、あとで小売物価が上つて行くという傾向は、確かに理論としては考えられる傾向じやないかと考えるのでございますが、ただ一旦財政計画その他の計画を立てる場合におきまして、まだ上つていないものを予測しまして、それに対して事前に上つた対策を講じて行くというのは、これはどうも少し計画としてはシユアーな計画じやないのです。やはり極力日本政府といたしましては、物価の安定につきましてはやはり危險の要素は極力危險として感じまして、対策を立てるべきところは立てるということで、物価についてはできる限り安定の方向に持つて行くというのが、これが政府の当然行くべき途じやないかと思いますが、それにもかかわらずどうしても万一できなかつた場合においてどうなるかということになつて来ますと、これは恐らく私はやはり相当のアジヤストをやらざるを得ないということが或いは出て来るのじやないかというふうに考えられるのでございますが、それを事前に非常に心配して、そういう計画等でも、上るものとして予算の歳出を組んだり、或いは歳入を組んでしまうというようなことが、これは少し計画としまして私はシユアーじやないんじやないか。これは私の個人的見解でございますが、むしろ物価の安定につきましてはすでに木村さんのお話のように、私は危險信号は危險信号としまして十分考えつつ、打つべき手は打つという方向に行くべきじやないかと思います。従つて物価政策を安定せしめるためのやり方が不十分じやないが。まだいろいろ方法はあるじやないかということにつきましては、これはおのずからいろいろ議論の余地があろうと思いますけれども、上ることを当然の前提にいたしまして今から計画を立てて置くということは、これは個人的の意見でございますが、私は妥当であろうかどうかと、かように考えるのでございます。
  70. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 只今のに関連しまして、これは安本の調査として発表になつているのですが、消費財が十二月では一〇二に安本ではなつているのですね。それは動乱直前を一〇〇として、ところが二月に入つてから一二四まで安本でも認めている。これは生産資材のほうは一七二になつていますから、その感覚から行くと大分消費財というものは上つていないように見えますけれども、一般市場に出ております物価の高騰振りというものは、これは局長も十分おわかりだと思います。そこで只今木村委員からの質問と関連するのですが、大体どの程度くらいまで物価が高騰したときには基礎控除なり扶養控除をもつと額を殖やして、国民の生活安定に寄與したいというふうな考えになつて来るかということ、これが問題なんです。それは一体どの程度くらいになつたらば主税局あたりではお考えになるのですか。
  71. 平田敬一郎

    政府委員(平田敬一郎君) 今のお話の問題は、お話の見地からだけでは私はこの判断はむずかしいじやないかと思います。やはりそのときの情勢に基きましていろいろなフアクター再検討しまして、その上で結論を下さざるを得ない。物価が仮りに二割上れば当然二割が然るべきだ、或いは一割までなら目をつぶつて置いてもいい、そういう筋合いだけでも話はいけないのじやないか。勿論そういう事情もよく再検討いたしまして、歳入歳出はどう動くか、それによりまして税法を変えた場合にはどういうふうになつて来るか。その結果が更に物価安定にどういう影響を及ぼすかといつたような点を考えまして、愼重な判断の下に結論を下さざるを得ないのじやないかと考えますので、今ちよつとどうも仮定的にどのくらい上りましたならばどうか、何割ぐらいまでは辛抱できるといつたようなことはちよつと一概に言いにくいのじやないかと考える次第であります。
  72. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 そこで物価はどんどん上つてしまつて国民が塗炭の苦しみに陷つてから、そういうことを研究したのでは手遅れになる。これは賢明なる主税局長は常にもう部下を督励して経済情勢の変動に伴つて対応する税制というものを検討されていると思います。そうすれば大体のところその検討によつてどのくらい上つたときはどういうふうにしなくちやならんということはもうその答えは出ていると思います。例えばそこで消費財は只今は二割四分しか上つてないというような形としても、これが更に五割なり六割なり生産資材が上るにつれて上つて来た場合、税制を改正しなくてはならないということを今からやはり検討されていると思います。それは十分おやりになつているでしようか。
  73. 平田敬一郎

    政府委員(平田敬一郎君) そういう問題はすでに過去においてはたくさんの経験を持つておりますので、今更別に考えなくてもファクターはおのずからわかつておりますが、例えば昭和二十四年度におきましては実は二十三年に比べまして物価の水準もたしか三割乃至四割近く高くなつていたかと思います。それにもかかわらず物価安定の超均衡予算を編成するために税法を変えなかつたといつたような事情は、このことは油井さんの御存じの通りであると思いますが、その結果相当な自然増收を図りまして、それで相当猛烈な物価安定を図つたということも、現実においては行われたのは、まさにドツヂ政策だつたと思いますが、そういうような事情もあつたのでございます。併しそれにもかかわらず物価が急激に上りましたので控除等を引上げまして、それによつてできる限り負担の合理化を図つた例もございまするので、これはやはりそのときの情勢をかみ分けましていろいろなフアクターを考えて決定すべき問題であつて簡單に一定の方式でやるべきだとか、或いはやるべきでないかというような、そういう簡單なことではなかなか結論が出にくいのじやないとかいうふうに感ずるのでございます。従いまして今としては私どもそういうことにつきまして軽軽しい結論を下すことはできないし、又差控えるべきじやないかと、私はかように考えておるのでございます。
  74. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 そこで去年の十月あたりを基準とされた今度の税制そのものと、当然物価も上つて、来たるべき四月からの新年度における国民生活の様相というものはまるで変つて来る。そういう際において今回出された改正法で以て政府は非常にもうこれは最もいい改正案だということは言い切れないと思います。その点は当局としてどうお考えになつていますか。
  75. 平田敬一郎

    政府委員(平田敬一郎君) 今のお話、四月頃にまるで変つて来るという前提になつておるようでございますが、私はそうなりますかどうかわからんと思います。最近までの事態から申上げますと、さつき申上げましたように消費者物価指数等の動きからしましたら、まだ根本的にやり替えるという必要は私どもとしましてはないのじやないか。ただ併しこれは相当動いております。殊に物価は国内の経済政策よりもむしろ海外との関係において動いておりますので、これはお話のようなことが問題にならんということは、これは私はそれまでは言いかねると思いますが、併し今のところといたしましては今度の改正で相当な改正になる、かように私ども考えるのでございます。
  76. 木村禧八郎

    ○木村禧八郎君 事務当局としては良心的に考えて見て、これまで減税といつたのは名目的な減税で、最近の物価騰貴から考えればもう大体ベースアップとか減税は物価騰貴によつて相殺されてトントンぐらいになつておる、こういうふうにお考えじやないですか。これは計数で彈じくことは困難ですが、大体の感じとしてどうなんですか。
  77. 平田敬一郎

    政府委員(平田敬一郎君) これは精密なデーターが出て来ないと、なかなか軽々しく言えんと思いますが、併し私は消費者物価指数というものはさつき木村さんのお話のように主食の価格は比較的に実際にその価格が安定しておりますので、ほかの物資の価格につきましては相当問題でございますが、必ずしも私は木村さんのお話のような考えは持つておりません。
  78. 木村禧八郎

    ○木村禧八郎君 前に平田さんがお書きになつたものを拜見しまして、それでやはり税法上の減税はやはり実質上の減税になるんだ、こういう御議論のようでしたがやはりそういうお考えでございますか。
  79. 平田敬一郎

    政府委員(平田敬一郎君) 私書いたものにもよく断つて置いたはずでございますが、大体において物価が足踏み、最近までのような傾向にとどまるということでありますれば、これは確かにお話の通りだと思います。それから実質上の減税か、税法上の減税か、これはいろいろ議論があります。先般も森下さんにお答えいたしたのでありますが、これは單に物価だけではなくてあらゆる面において判断しつつ、やはり考慮せらるべき問題じやないかということは、私どもも曾つて議論したところであります。とにかくそうしまして税法を変えまして、ここに変えない場合に比べまして相当な減税になるわけであります。最近までの経済事情を基にする限りにおきましては、これはやはり相当の減税になるということは今でも確信いたしております。
  80. 木村禧八郎

    ○木村禧八郎君 只今のお話ですと、物価事情にして変らなければということなんですね。いつでもそこは議論になるのですが、政府のほうではそういうことを前提にしてないのです。税法上の減税はやはり実質上の減税だ、こういうふうに言い切つて来ておりますので、その点は明らかにして頂きたい。物価が変化すれば税法上の減税も実質上の減税にならない、こういうふうに考えるべきじやないですか。
  81. 平田敬一郎

    政府委員(平田敬一郎君) 又税法上とか実質上とかいう言葉がついておりまていろいろ問題になつておりますが、要するに常識的に行きまして減税か、減税でないかという観点から行きましたならば、これは勿論私ども減税になることは間違いない。ただ一方税法を改正しまして税の負担を軽くしましても、物価が上つて来ましてその関係から生計費が苦しくなるとか、或いは所得税の負担が総体的に重くなる虞れがあるとか、こういう問題につきましては又それとしてそれぞれ検討して、そして全体で負担がどうなるかということを判断すべき問題じやないか。減税としましてはこれは私ども勿論税法を改正することによりましていわゆる減税ということは完全に実現できるものと考えておるのでございます。
  82. 木村禧八郎

    ○木村禧八郎君 そこがいつも非常に問題になるところで、政府の公約と反するか反しないかの境目になつて来るのですが、どうも主税局長のお話を聞いていますと、陳弁しているに過ぎないように思うのですが、これはもうインフレ期においては常識だと思うのです。例えば生計費が一千円上つた場合、それで今度は千円べース・アップしたとします。そうしますと千円を年に換算しますと一万二千円です。ところが今度基礎控除は五千円上げただけです。仮に生計費が千円上つたからべース・アツプ千円したとすれば、その場合基礎控除は一万二千円上げるべきです。にもかかわらず五千円しかしない。従いまして今まで六千円の人が今度は千円べース・アップしたとき七千円で税を勘定して見ると税負担率は重くなつて来る。これは常識だと思うのです。税負担が重くなつたか軽くなつたか、物価騰貴すれば生計費に喰込んで来るのですから、結局税金を余計取ればそれだけ生計内容に税金が食い込んで来る。それは決して減税とは言えないと思うのです。ですからそういう減税か減税でないかの考え方、事務当局の考え方がそういう形式的な考えであつてはこれは意味をなさないじやないかと思いますし、政策としても非常に国民を何か騙ますような、欺瞞するような、知識程度の低い人を欺瞞するようなことになる。ですから我々としては飽くまでもそれは明らかにしなければいけないと思う。実際は減税でないのだ、減税とはこういうものであるということを明らかにしなければならないと思いますが、どうも事務当局は幾らそれを言つても、前の行きがかりがあるのかも知れませんが、余りにそれに固執し過ぎると思いますが、この辺で税負担の考え方、減税かそうじやないかということは早急にお考えになる必要があるんじやないですか。
  83. 平田敬一郎

    政府委員(平田敬一郎君) 政治的にどういうふうに話すか、これは別に又いろいろ言い方があるかと思いますけれども、税法を変えることによりまして、変えない場合に比較しまして税の收入が減る、減收を図るためには第一義的にそれが減税になるということはこれは何人といえども否認することはできないと私は思います。その反面物価が上つて来た、それで実際におきまして減税をやつたが、他方におきまして物価が上る、それによつて実際の国民の生活がどうなつて来るか。そういう問題になつて来ますと、これは又先ほど木村さんから資料の御要求がございましたが、なかなかむずかし問題があります。そういう問題も併せて判断しないとなかなかむずかしだろう、一これは確かであると思つております。併しその際におきまして、財政政策以外のフアクターで物価が上つたような場合、例えば賃金がどういうふうな状況になつて来るか、そういういろいろなファクターを併せて考えまして結論をつけないと、一概にはなかなか言いにくいのじやないか。それと物価につきましても先ほどから議論しておりますように、仮定で話をするか、或いは現実がどうであるか、現実の消費者物価指数がどうなつておるか、その辺をよく分析して結論を下すべきものではないかと、私はかように考えるのであります。そういたしまして先ほどから申上げましたように、大体昨年の十二月が昭和二十四年度の平均と比べまして九七でございます。その後若干恐らく騰貴しておるだろう、騰貴の傾向にあるということはこれは私ども否認するものではないのでございますが、それが御指摘のような、或いは先ほど油井さんからお話になりましたように、四月には当然相当猛烈に上りまして、非常に重要なことになるかどうか、その辺のところは今のところどうも言いがたい。むしろできる限りそういうことにならないようにいろいろな施策を講じて行くというところに目下努力をすべきでありますし、又努力されつつある、私はかように考えます。減税の問題はそう簡單に、何か一つの点だけをとらえましてそれで全部を解決しようということはこれはなかなか私どもむずかしいのじやないか。そのような意味におきましてお話の通りいろいろなことを考えまして減税の問題について判断をすべきだという点は、確かに御尤もだと思います。
  84. 木村禧八郎

    ○木村禧八郎君 税法上の減税も一種の減税である、これはわかり切つておるのですが、考え方なのです。本当に減税というものは国民生活を安定させるという意味の減税でなければ意味がないので、そういう形式的な考えであれば仕方がありません。併しさつき油井、氏の質問も仮定々々と言つておりますけれども、主税局長は先ほどからCPIが九七になつておるというふうに言つておりますけれども、その仮定自体が間違つておるということはあなたは認めておるのじやないですか。九月と十月においては繋らない指数を続けておるのです。これも嚴密にいえば一つの仮定なんです。ですからそういう間違つた指数において上つておるということを証明することは間違いで、若しそういうことをおつしやるようならば、もつと嚴密に総理庁の統計をお調べになつて頂きたいと思います。本当に繋るのか繋らないのか、我々が調べたところでは繋げるのは無理なんです。明らかに無理です。それは生計内容の低いところを調査対象にしておるのであります。これは具体的にはつきりわかつておるのですから、ですからそういう数字でお答えにならないで、やはり仮定がいけないというなら、嚴密な意味において科学的にお考えになるなら、そういうCPIのあれについてもこれから再検討されてから私は言つて頂きたいと思います。確かに上つておるわけなんです。CPIはそんなに下つておるはずはないと思います。ですからそこは議論になるといけませんから現実にあれを調査して見て頂いて、そうしてお答えになつて頂きたいと思います。
  85. 平田敬一郎

    政府委員(平田敬一郎君) 今の繋りにつきましては、先ほどお答えいたしました通り、私ども実は統計局の調査に或る程度信頼しておると申しますか、統計技術としてはベストを盡しておるという意味におきまして信頼いたしておるわけでありまして、その点御疑問の点は又一つ更にはつきりさせることにいたしますが、必要でございますれば、物価庁について御承知を願つたらいいと思います。それと私が言いましたのは、二十四年の平均に対しまして、九七と申上げたのでありまして、昭和二十五年の六月で、もうこれは実は低い。六月から比べますと、十二月は七、八%の騰貴になつておるということでございます。そういう点から行きまして、私はCPIの昨年の実績の数字に、それほど大きな誤差があろうとは実は思つておらないのでございますが、まあその辺のところにつきましては、検討してみたいと思います。
  86. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 局長に更に一点伺いたいのですが、経済安定本部の統計を見ますというと、個人の賃貸所得というのは相当多いのですね。これは私ども実は意外とするくらい多いのですが、これについては七百九十億円というものを二十六年度に見込んでおります。これは相当の金額になつているのですが、税制を施行されるに当つて、こういうものはどんな工合に見込んでおられるか一つ……。
  87. 平田敬一郎

    政府委員(平田敬一郎君) これはお話の通り、この辺の数字は最近非常に変つておりまする注目すべきファクターでありましてこの値上りは主として固定資産税の増徴に伴いまして、地代、家賃の統制額を引上げたということが一つの大きな理由でございます。それから小作料も昨年改訂いたしまして、大体七倍程度にこれも固定資産税の引上げで、まあ若干の貨幣価値の修正という意味におきまして、小作料などの騰貴となつております。これが主たる原因だと思います。まあ、そのほかに個人の預金の利子の増加等も見ておりますが、預金の利子の率も若干含めておりますが、大巾に上つておりますのは、やはり地代、家賃、小作料の統制額の変更でございます。而もこれも上つておりますが、併し絶対額といたしますと、非常に少い。と申しますのは地代、家賃等につきましては、修繕費、公課の増加はコストに計算をいたしまして認めて来ております。ところが、最初の純粋の貨幣投資額につきましては、今まであれはいわゆる再評価を認めていない。非常に実は無理な統制家賃地代になつておるのでございます。それをまあ徐々に私どもは再評価を完全にいたしまして、修正すべきものだと思いますが、なかなか完全にはできておりません。併し二十五年度におきまして、そのような修正が税制の改革に伴いまして行われまして、その結果相当大きな増額になるであろう。併し戰前の地代、家賃の国民所得に対する比率と、この二十六年度の予想された比率とは雲泥の差がございまして、私の勘でございますが、総体的には十分の一ぐらいの差があつたろうと思います。併しお話の点なんか、国民所得の構成上これは二、三年で私、よほど平常化して行く、法人なんかでも昭和二十二、三年ぐらいまでは特経会社法が布かれた関係上、非常に過小であつたのでございますが、配当もそうでございますが、配当は、調べますと、昭和二十四年で僅かに全体で五十億円、それが二十五年は恐らく二百五十億円になつておるとみております。二百五十億になりましても、戰前の配当に比べますと、まだ非常に実は低い。これは私は徐々になお修正されて行くことと思います。課税におきましても、その辺が、だんだん平常化しますれば、所得税の構成もおのずから変つて来る。現在の所得税は大部分が実は勤労所得税、中小商工業者の所得税、農民の所得税が一緒になつておる。農民の所得税が非常に少いし、配当が少い、地代、家賃が少い、利子所得が少い、そういう点が大きくなつておると思います。急速ではないと思いますけれども私は徐々に或る程度修正されまして、所得税の総額といたしましても、比較的だんだんいい姿になるのじやないかと、まあ、かように考えております。そのような意味におきまして少し余談になりましたが、非常に注目すべき点でございますので、御参考までに申上げたのであります。
  88. 小串清一

    委員長小串清一君) 只今大蔵大臣が出席されましたから、油井君の質問を続行して頂きます。
  89. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 大蔵大臣に大体私の質問する趣旨は、先ほど箇條書きで申上げて置いたのですが、国民が知らんとする点であると思いますから、一つこの際明確に御答弁を願いたいと思います。先ほど来実は平田局長を中心として、物価の変動に伴う予算の補正というようなことと、国民所得の増大によつて、税制の変更をする必要があるかないかというようなことを、今まで質疑応答をやつてつたのです。併しこの際大臣に対しても、この点について明確な一つの御判断を願いたいと思うのですが、この予算を作られた当時と比べて、最近の物価の騰勢は非常に著るしいものがあつて、十二月と比べてもう二割以上も消費資材においても変動来たしておるのです。そういう際においてはやはり税の負担ということに対しても、国民は非常な重圧を感ずる。こういう点から申しますと、今回の税制改正というのが最初政府が企図された大幅の減税ということと大分方向が変つて来たのではないかと思われる。又確かにそうなつておるわけです。それに対して四月からこの税制改正をするのでありますが、若しこういう状態が続くならば、更に税の改正を施すというようなことを、今から御検討になつておられるのが至当ではないかと思います。この点について大臣としてのお考えを、この際お聞かせ置きを願いたいと思います。
  90. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) お答え申上げますが、御承知通り昨年の六月の末の朝鮮の動乱勃発以来、物価が漸騰して参りました。十一月頃から消費者物価指数も上りつつあるのであります。六月の一二六、一二五ですか、それが十—十一月が一二八となり十二月は多分一三四・三くらいだつたと思います。一月はまだわかりませんが、生産資材自体が相当上つて参りましたが、消費者物価指数のほうには、まだ大した今のところ影響はないと思います。昭和二十四年中の平均が一三〇何ぼということになりますと、まだそこまでは行つていないのではないかというふうに考えておるし、併し何分にも物価が非常に上るということは、我々として捨てておけませんので、最近の消費者物価指数の上昇の原因を見ますと、綿製品が衣料品で一番多いようでありますが、これにつきましても、できるだけ抑えるような方途を考えておるわけです。而して見通しとしましては私は或る程度物価が上つて来ることは、これは止むを得ないと思います。而して今のところは物価が或る程度上るという前提の下に、今度の税法改正におつかけて又税法改正をして行く。そうして国民の生活を今以上苦しくないようにする考えがないかという御質問でありますが、これに対しましては、まだ私は最近の数字までも見ておりませんし、今直ちに追つて減税するという考えは持つておりません。できるだけ物価が上るのを抑えて行くように方策を講じて行くのが、必要であると思います。
  91. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 そこで折角大臣が企図された減税というものは、こういう思いもよらない動乱とういうような形で以て、大分当初の御方針と変つて来たということは、これは否まれない事実であると思いますが、その点は大臣も肯定されるのですか、その点一つはつきりして置きたいと思います。
  92. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) これは案をこしらえました頃は、消費者物価指数が一二七、八のときであるのであります。従いまして消費者物価指数が上つて来れば、それだけ減税の恩典が少くなつたということは言い得ると思います。従いましてできるだけ今の消費者物価指数が上らんように努めたいと、こう思つております。
  93. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 そこでそれに関連して昨年の輸出入貿易の点について、特に大臣の御意見を承わつておきたいのですが、昨年の六月、いわゆる上半期までは我が国の物価というものは世界水準に比べて……、昔大臣は……。その当時どういうふうにお考えになつたか知らんが、大体輸出を増進させなくちやならんという御方針であつたと思います。併し私どもとしては、動乱が起きて以来、これは今日本で以て輸出を考えるよりも輸入の増大ということを図らなくちやならんのではないか。却つて日本の物価というものは、世界水準に比べて高いものでないのじやないかというようなことも検討してみた、そういう点について幸か不幸か輸出が非常に増大されて、ドルの蓄積が非常に豊富になつた。それはまあ現内閣においては我が国の貿易が非常に進展したといつて大変誇りとなさつていたわけです。ところが動乱がだんだん進むに従つて、これは輸入ということを増大しなければ大変だというふうに又考えが変つて来たのでありますが、それに関連して、その当時大臣としては輸出を進展させるべき方策が是とされたのであるか、或いは輸入ということをやはり重大視されたのであるか。まあ過去を振り返つてその当時のお考えをお聞かせ願つて置きたい。
  94. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) 私は日本の自立経済を早急に達成いたしますためには、輸入も輸出も同じように考えなければならんと思います。ただ昨年の上半期頃までは輸出があまり伸びなかつた。朝鮮動乱後輸出が伸びるのみならず、特需関係によりまして手持ドルが殖えて参りました。それで輸出は割に楽に行くのでありますが、輸入はなかなか外貨予算の使い方その他でうまく行つておりません。従いまして昨年の四月頃から輸入に力を入れなければならないというので、外貨予算の編成その他につきましても改善を加えまして、そうして最近では相当輸入も伸びて来ておる状況であるのであります。ドルが溜つたからもう輸入第一主義だという考え方も、これは一応肯けるのでありますが、やはり日本としましては、今援助を受けておる関係上、輸出よりも輸入だ、輸入第一主義だということに凝り固まることはどうか。やはり輸出も考えなければならん。そうして又輸入も早急に急がなければならん。両方とも私は同じように考えて行くべきものじやないかと思つております。
  95. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 そこで去年の輸出入の実績ですが、輸入の面において一昨年二十四年度はたしか九億四百ドルだと思いますが、昨年の大体の推定はこれを僅か超過した程度であるというような政府の発表があつたのですね。そうすると金額においては輸入は大体同じでも数量においてはこれは大変な相違を示しておつたものですが、その点は大臣はどういうふうに御検討をされておるのですか。
  96. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) この輸入はガリオアのほうを加えてからの輸入の数字だと思います。従いまして輸入は伸びて参りました。併し輸入のほうでは一般物資の輸入は、コンマーシヤルベースによります輸入は相当殖えておる。併しガリオアの輸入が大変減つたために輸入全体としては伸びなかつたと、こういう結果に相成ると思うのであります。
  97. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 そこで一昨年あたり大臣は、為替レート三百六十円当時、輸出があまり不振であつて、もつとこれを増大するには、やはりレートを変更した方がいいのじやないか。円を引下げたらどうだというふうな輿論が非常に強かつた。この国会においても大臣に対してそういうふうな意図があるかどうかということをかなり質問されたが、大臣はその当時は、もうレートを変更することは必要ない。むしろ却つて引上げるのが日本の円の信用を高めるゆえんであつて、そういう方針が好ましいのだという話をされたのです。ところが昨今のようになつて参りますど、大臣のお話が実現されて来ているのですから、今日輸入増進ということを相当力を入れなくてはならないという見当から見ても、大臣の方針から見ても、こういう際には三百六十円のレートをこの際改めまして、円の信用をもつと高めるということによつてインフレを押える、或いは輸入の増進を図るという方向には持つて行けないものですか。
  98. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) 当時為替相場一ドル三百六十円と決定いたしました頃は、何と申しますか、いわゆる複数制によりまして一ドル四百円とか五百円というようなものもあつたのであります。従いまして三百六十円設定後におきまして、なお且つ少し円が高過ぎるのじやないかというような議論を耳にいたしましたので、我々としては円を下げてそうして輸出を楽にしようという考え方じやなしに、円を上げるくらいの心がまえで行くべきだということを言つたのでありまして、円を上げなければならんというよりも心がまえを話したのであります。これは昨年の正月の朝日新聞に出ておつたと思いますが、そういう考え方で参つているのであります。従つてお話のように相当ドルが溜つて来た。そこで為替相場一ドル三百六十円を三百円とか三百三十円にしたらどうかというふうなお話でございますが、この為替相場の決定というものは、そんなに半年や或いは二、三カ月の状態によつて云々すべき問題じやない。いろいろなフアクターが含まれているのであります。私はそういうことは職業柄民間での議論はどうこう言わないが、大蔵大臣としては軽々しく言えない問題だと思います。而して真意は私はこのままで続けて行くのが本当だと、こういうふうに考えております。
  99. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 大臣の意向がそこで明確になつたのですが、次にもう一つ伺いたいのは、大臣は常に金利を世界水準に達するまで低くすべきであるということを言われているのです。更に又物価というものもやはり国際水準に近くなるような我が国としては方向をもつて進まなければならないということを言われているのです。そういう点について、最近金利が我が国の金利は高い高いと言われるのが、大臣あたりから引下げでなしに今度は引上げというような方針に急変されたのです。これは今までのおとりになつた方策とまるで違つて参るのでありますが、この点はどうしてそういうふうなお考えになつたかという点を先ず伺いたいのと、それから更に物価の点も国際水準にまで近づけなくてはならないという点でありますが、日本の物価というものが、一体国際水準とどういうふうな現在立場にあるかということを大臣はどうお考えになつているか、これを取りあえずお尋ねいたしたいのであります。
  100. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) 私は金利を国際金利に近づけなければいけないという考え方はいたしておりますが、物価のような気持は持つておりません。物価は貿易によつて行きますと、おのずから好むと好まざるとにかかわらずこれに行くのが当然なんです。ただ国内の物価事情から申しましてこれを或る程度急激な変化の起らないような施策は講じておりまするが、これは物価というものは国際水準に近寄つて行くということは考えておる。金利の点になりますと又おのずから事柄が違いまして、これは戰前におきましても日本の金利は欧米、英米諸国よりは非常に高かつたのであります。而して今急に日本の金利を国際金利、国際金利と申しましても、イギリス、アメリカと違いますし、又欧米でもかなり違つております。従いましてこの金利をすぐそこに持つて行くというふうなことはこれは言うべくしてなかなかむずかしい。ただ考え方としては成るべく低金利で競争力を強めるということはこれは理想であると思うのであります。従つて日本の金利をどうするかという場合におきましては、やはり長い目で見て行く一つの考え方をおきましても、今の当座の経済事情に応じて金利政策というものは或る程度変更しなければならんと思うのであります。従いまして今金利水準を引上げる、貸付金利を引上げるということにつきましては、私はまだ決断をいたしておりません。ただ最近日本銀行の高率適用の問題につきまして、高率適用の範囲の問題、そして又特殊のいわゆる割引担保、担保貸しの利率の点につきましては政策委員会のほうで検討しておるようであります。今直ちに全面的に金利の引上げをやるというところまでは私はまだ決心いたしていないのであります。ただ経済界の情勢によりまして金利は或る程度その場合に沿つたような方向で行かなければならん。そして今の金利の問題は日本銀行の公定割引歩合の問題を主として言つているのでありまして、一般銀行の貸付金利についてはどうなるかというふうなことにつきましてはまだ余り聞いていないのであります。御承知通り日本の金利政策と申しましても、日本銀行の松定割引歩合はいわゆる一銭四厘でありますが、普通の銀行の貸出しは二銭乃至二銭四厘、こういうことになつておるのであります。こういう形態は世界にも稀に見るのであります。普通の金融論、銀行論ではなかなか説明のつかんような状態であるのであります。従いましてこういう既成の事実を頭に置きながら日本の現在置かれた経済情勢というところから、低金利ということも或る程度是正しなければならんという事態が起つて来るかもわからん。こういう考え方を持つておるのであります。
  101. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 そこでこのインフレに対する対策として金融を引締めるという見地で以て日銀あたりが高率適用というような方策に出たようでありますが、今の大臣のお話を聞いておりますと、日銀と大臣とのほうの考えというものは常に一致しておるというわけでもないようでありますが、インフレ防止に対しては單なる金融の引締めだけで以てその効果が現われるものとするとすれば、これは私は大きな間違いだと思つておるのですが大臣はやはりこの点については金融引締めだけで以て当然やれないものとお考えになつておられるかどうか、その点はどうですか。
  102. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) インフレ防止の策としてはいろいろな方法がありましよう、まあアメリカにおきましては消費の抑制をやつたり、或いは金利の引上げをやつておるようであります。勿論金利の引上げだけでインフレなんか防止できるものではない。ただいろいろな施策の中の一つとしては考え得るのではないかと思います。
  103. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 そこで国民として最近とかく日銀対大蔵省の間の意見の確執ということについて実は懸念をしておるわけです。最高機関の大蔵省と、又一方において金融の最高機関であるところの日銀当局との意見が常に食い違いを生じておるということについてはまあ経済上に及ぼす影響は相当大きいということは当然であります。その点を大臣としては日銀には何らの権限がないのだ。大蔵省の方針一本でもつて進んで行くんだというふうな信念でもつてお進みになるのですか。最近の新聞等におけるところの問題等よりして一応この点をお伺いして置きたい。
  104. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) よく今のような御質問があるのでありまするが、日銀と大蔵省とは何ら意見が相違いたしておりません。高率適用の問題でも常に連絡をとり、相談をしながらやつておるのであります。意見が、どこが違うかということをお示し下されば、その問題について話合いで協調いたして参りたいと思います。それはお互いに全部が初めから意見が一致するものじやございません。同じ党の人でも、同じ銀行の人でもやはりそこには議論がある。議論があるからといつて意見が対立しておるというのは、これはあなたのお間違い。お互いの信ずるところを相談し合つてそうして一点にまとめて行く、こういうことでなければ、いい施策はできないのであります。この頃新聞に大蔵省の考え方とそれから日本銀行の考え方と出ますが、これは大蔵大臣の考え方、日銀総裁の考え方、これが違つたままでやつて行こうというのじやないのであります。そういうことはよくないことでありますので、いろいろな金融施策につきまして常に協調連絡をとつてつておるのであります。
  105. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 これに関連して最近衆議院あたりで取上げたようですが、例の東銀債の問題です。これは私ども貿易のいわゆる進展ということをこの日本としてはどうしても図らなくてはならないという見地から見ると、東銀あたりのような、元のいわゆる正金の変形の貿易銀行のナンバー・ワンというようなところでは、新しい設立のために資金が充実していない。そのために思うように貿易の面における施策も行えないというような立場からして、どうしても資金の面の緩和を図りたいというので、法律で定められたところの範囲内で以て債券の発行をしたいというようなことは、これはまあ当然だと思うのです。それに対していろいろと問題が起つて大蔵大臣は二十億というのを十億に減らされた。併しそれに対してごうごうたる非難があつたというようなことは、甚だ私ども残念だと思うのですが、あれはやはり法律で以てきめられておる以上は、その範囲内で行うことについては或る程度当局、いわゆる東銀なら東銀の意向を尊重してやつてもいいじやないかと思うのですが、僅か十億や二十億で以て貿易資金の解決というようなものがつくものでもないし、又それによつてそれほどの大きな影響を及ぼさなかつたと思うのでありますが、あれほどの問題になつたことは甚だ遺憾だと思うのであります。むしろ大臣は我々国会で以てきめた法律従つて届出をすれば、もうそれを承認してやつてもよかつたんじやないかと思うのでありますが、こと古いようですが、一応参議院の大蔵委員としては、大臣が見えたのは暫くぶりですから、この点についてこの際明確に大臣の意見をお聞かせ願いたいと思います。
  106. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) 大体油井委員と同じような考えでおります。法律上当然できるのでありまするから、私は東銀から非公式にお話がありましたときに結構だ、自分の考えとしては結構と思う、こういう答えをいたしたのであります。併しながら何分にも初めてのことでございますし、将来の資金吸收の状況その他投資者の層なんかを検討して見る必要があるので、一応十億くらいで初めスタートしたらどうだ、こういう私の意見は言つたのであります。そこでその意見によつてやられたのであります。私といたしましては法律上当然認められておることでございますし、又銀行として特殊な長期資金が要るような場合におきましては、あの手も一つ方法だ、これは資金吸收の面から申しまして一つ方法だという考えで賛成いたしましたような次第であるのであります。従いまして今後におきましても私は当然與えられた権利に基いてやられますときにとやこう差出がましいことは言いたくない。今後それが金融情勢に全面的に悪影響を及ぼすようなことになるということは困りますので、そういう全体の意味から私は監督者として非常な注意を與えることはいたします。併し今後は一切認めないのだとか、或いは今後積極的にやらせるとかというふうな考え方は両方とも極端でございますし、持つておりません。事情によりまして適当だと考える場合におきましては銀行の申出によりまして許可して行くつもりであります。ただ金融市場に預金の非常な横流れ等が起きました場合におきましては、発行の方法、條件或いは地域別の、発行地域の問題、いろいろな点につきましてそれに検討を加えて行こうという考えであります。
  107. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 今のお言葉で明白になつたのですが、新聞紙上では興味本位に取上げるせいか、日銀当局では絶対今後発行はさせないのだというようなことを取上げ、又大蔵大臣の談としては、今後も認めて行く方針だと二つ並べておいて、そう結論はどうなつたかということは、今まで私ども寡聞にして見ていなかつたのですが、只今のお話によるというと情勢に応じては引続き他の銀行からもそういう申出があつた場合にはやはり順次お認めになる、こう解釈してよろしいのですか。
  108. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) 大体その通りであります。申出があつたから順次認めるというのでなく、情勢によりまして金利その他いろいろな條件に応じまして相談に応ずる。私は日本銀行が反対するという気持もありますが、本当に日本銀行が反対しておるのかということをまだ聞かないのです。ただ政策委員の一人は予算委員会で反対の意向を述べました。又銀行間におきましても御承知通り大銀行の頭取がこれはいいことだという論文を出しておる人もあります。又ちよちよい会つて見ましてもまああの程度ならいいだろう、こういう制度は一つの外国為替の引受け等の方法として考えられるのだ。ですから私は議論はありまするけれども、これは余り大きく取上げてどうこうするほどの問題じやない。そういう問題にまだなつて参りません。大きい議論をしなければならんほどの問題になつて来ない。だから私は今も申上げました通りその情勢によつてお申出があれば結構だと言いますし、又申出によつてそれは少し多過ぎやしないかということは一応注意を與えるつもりでありますから、法律上認められた制度でありまするから、これは弊害のない限りは、とやこう言うべき問題ではないと考えております。
  109. 木村禧八郎

    ○木村禧八郎君 只今の東銀債の問題について大蔵大臣御答弁があつたのですが、あの銀行債券発行等に関する法律ですが、あれに基いて出すことになつたと思うのですが、あれの一番始めの第一條を見ますと、あれは長期資金を供給するためにああいう債券を発行を認めるということが原則になつておるように書いてございます。そういうところから見ると短期債ですね。短期債を発行するということは、あの法律の精神から見てどうなるのでございましようか。
  110. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) 債券の発行等に関する法律におきましては、お話の通り第一條に長期資金ということになつております。そこで今度出します、吸收のために出します債券につきましては、長期債券ということは言つていない金融債ということが三條に書いてあるのであります。そこで三年ものの債券で集めるか、それから一年ものの債券で集めるかということが問題になる前に、その金が長期資金に向うかどうかということを問題にしなければいけない。一年ものの割引いた債券だからこれは短期だと断定することは誤りなのであります。金を集める方法なのでございますから、法律は出すときの條件を言つたので、そこが非常な食い違いになつておるのであります。而して一年ものの債券が短期なりや長期なりやという議論が非常に多かつたのでありますが、これは第二義的な問題であると考えます。従いましてあの法律によりまして出しておる債券も東銀は三年ものを出しますし、一年ものも出しております。商工中金は一年ものを出しておる、農林中金は一年ものをおおむね出しておる。これは例外的に六カ月ものを出したものがあるのであります。これはどういうふうに金が使われるということがあの法律の問題でありまして、それを集めるのに一年ものの債券、二年もの、三年もの、五年もの、これはおのずからその場合によつて考えて然るべきものじやないかと思うのであります。
  111. 木村禧八郎

    ○木村禧八郎君 そこはどうも私納得できないのですが、東京銀行は商業銀行でありますので、長期金融でないのであります。一応それはまあ短期資金に向けられるものと思わなければならないのでありまして、あの精神はやはり長期資金を調達するための方法として、優先株式の引受けと共に債券を発行する。あれはやはり長期資金の供給というのならそれに見合う資金としては長期的に賄うのが建前じやないのですか。少し変則的なような気がするのですが、これはまあ今後の長期金融政策、或いは長期金融機構の問題とも関連すると思うのですが、今の大蔵大臣の御答弁でそれでどうも納得行かない気がするのですが、その東京銀行が長期金融機関である場合にはそれで納得行くわけなのです。その点はどうなのですか。
  112. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) そこで今の  一年ものの割引債券で出した金が長期に使われるかどうかという問題になつて参ります。今木村さん御承知通りに、日本は特殊銀行がなくなりまして、建前としては預金を受入れて貸出しをやる、いわゆる商業銀行といいますか、短期金融であります。併し現実はどうでございましよう。船舶増強にいたしましても、船舶資金は一般の普通銀行で皆出しておる、相当出しておる。調査によりますると長期をやつているのは貸出しの一割というような調査がありまするが、実際は一割や二割じやないと思う。商業銀行である第一銀行にしましても、帝国銀行にしましても、勧銀でも同じ性質のものでありますが、そういう長期のものが出ておるのであります。地方銀行でも出ておる。又東京銀行におきましても、單に貿手の割引ばかりでなしに、設備資金を貸しておる場合も相当あると私は考えておるのであります。だからこれを直ちに商業銀行だから短期金融をやるのだということは、これは昔の銀行論であつて、令の銀行制度はそういうふうになつていない。いい悪いかは別問題でございますが、実際上は預金部が、興銀が中心になつて第六次船にしましても相当普通銀行で皆建設資金を出しておる。改造の分にしましてもこれは長期です。これを普通銀行、商業銀行がずつと皆出しておる。この現実から言つたならば、私は東京銀行でも長期資金の必要の場合がありますし、又貿易金融はどうなるという議論がありますが、今頃の商業銀行は二カ月、或いは三カ月で皆切替えになつておる。それが商業金融、短期金融かというと、必ずしもそうでない。こういうのでございまして、商業銀行だからこれは短期の分しかやつていないのだということは現実を無視した議論だと思うのであります。貿易金融の問題につきましてもこれは戦争前日本銀行から二千万円の長期貸付を低利でやつたのであります。これは今の状況から申しまして東京銀行にはかなりの資金が要る。併し店員が少くて資金が集まらない。それならば貸出しを少くすればいいじやないかという手もありますが、やはり外国為替等については手慣れた人のところに行く。水の流れるがごとくに……。それで非常に資金不足で貿易資金等に支障を来たしておりまして、そうして相当の長期金融もやつておりますので、私は認めたのであります。
  113. 木村禧八郎

    ○木村禧八郎君 それは実情は大蔵大臣のおつしやる通りだと思うのであります。そういたしますと大蔵大臣は今後日本の金融機構の整備ということはお考えにならないかどうか。このままで当然いい。短期金融機関として建前があるべきものが長期もやつておるというのはこれは変則で……、併し変則じやない、それは古い銀行の経営の仕方である。そうしますと今の商業銀行が長期金融をずつとやつて行くことがいいかどうか、或いはやはり今後それは現実が止むを得ないのだ。変則的、変則的と言つていいかどうか知りませんが、現実論だ。それじや今後はそのままでいわゆる長期金融、日本の金融機構の整備ということがしよつちゆう問題になつておるのです。常に銀行とかその他で問題になつているのですが、今のお話を聞きますとこのままでいい、短期金融機関が長期金融をやつていいという建前の問題ですが、そういうふうなことはどうお考えになりますか。
  114. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) これは又別個の問題でございます。現実の金融をどうやるかというときには現実状態によつてつて行かなければならない。現実の制度でやつて行かなければならない。理想として、将来この兼営銀行主義で行くか、或いは分業主義で行くか、これは先ず銀行制度でございますが、数十年来議論されたことなんです。我々が昔特殊銀行というものを持ちまして、貿易は正金銀行、或いは長期金融は興銀、勧銀、北拓とこういうふうな建前で行つておりましたが、どういう都合か、とにかく全部商業銀行になつてしまつた。いいか悪いか別問題です。そうでこういう現実から言うと今の資金を流す上においでこの現実状態によつて一応はやつて行かなければならない。将来の問題はどうするかという問題が最近議論になつております。そこで昔の形のように貿易金融は特殊の銀行を置くか、或いは長期資金は勧銀、興銀を復活してやるかという問題があるのであります。勧銀、興銀を復活いたしましても、今普通銀行も長期資金を出しておるし、一遍には肩代りができるものではございません。私はやつぱり今の全部商業銀行という建前で、実際が長期金融をやつておる兼営銀行であるという状態を考えまして、これを或る程度長期専門的なものを置く必要があるし、又普通銀行が余りに長期資金に対して金を出すということも考えものだというので、日本開発銀行というのを計画いたしております。日本開発銀行におきましては、資金の許す限りにおきまして普通銀行の長期資金の肩代りをやるとか、或いはできれば自分のところで独自の貸付をやつて行くような方法にして行きたい。だから日本開発銀行だけでいいかという問題になりますと、それじや足らんだろう。一つそうすると昔長期金融になれた興業銀行、勧銀、北拓を特殊銀行として長期金融の専門店にするかという問題になりまするが、今の現状から言つて勧銀とか北拓なんか長期金融専門の銀行になることは私は好まないと思います。又興業銀行にいたしましても今直ちに昔のような型に帰るということにつきましては相当に二の足を踏むと思う。なお法律でやればできるじやないか、こう言われてもなかなかそれは実際上むつかしい。だから日本の現状を見ながらこれは兼営銀行にしてもみずから限度があります。分業主義にいたしましても、そればかりは日本の昔からの経済の状況からいつて分業主義如何にも欠点があるのであります。併しながら或る程度今のように商業銀行の建前にして、全部をこうして実際の長期金融をやつたり、而も商業金融にしましても円滑に行かんというのじやよくないから、これを改める方法としまして先ず開発銀行からやつて行こう、こういう考えで進んでおるのであります。これは大きい問題でございますので、どういう制度にいつ頃から始めたらいいか、こういうことにつきましては今検討を加えておるのであります。
  115. 木村禧八郎

    ○木村禧八郎君 まあ現実がそうだからそのままでいいということではないことはわかりましたが、この東銀債の問題は一番問題点は、これまでいわゆる預金に対するいわゆる無記名預金、あれができなくなつたので便法としてああいうものを復興することになつたというところに一番問題があるのじやないのでしようか。そうしますと私はこの預金についての、無記名預金が絶対にいけないというようなことは私は言つていないのですが、大きな合法的な脱税を許して置くということはいけないと思うのです。それだからといつてすぐ預金を調べて資金の蓄積に支障を生ずるというようなことは非常に困つたことですが、それだからといつて建前としてそういう合法的な脱税を許すような形のものを許すことは大蔵大臣としてはよろしいとお考えになるのですか。
  116. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) 経過的な問題としてそういうことが議論になると思います。これは御承知通りに昔から割引興業債券というものは、興銀のほうで出しておつたのでございます。これにつきましても議論がございました。我々は主計局長の当時まではこれが新聞の広告に出ておりますのを非常ににがにがしく感じきて、これはもともと法人が持つことにしてやつているのだから、個人のほうへ売りつけるようなことはしてもらいたくないということを申出たこともあるのでありますが、その後の情勢から申しまして私は今の場合或る程度の割引債券を発行することは止むを得ない。それによつて短期債券が一つ出て来る。貯蓄増強になるということならば、それは今のところ止むを得ないと考えておるのであります。
  117. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 問題は元に戻しまして、先ほどの貿易尻の問題ですが、去年一年を通じて大体バランスはガリオア輸入によつてとれておるというわけですが、そのため一般の資金によるところの輸出は増進して、ドルの蓄積は殖えたこういう結果を生じておるが、これに対しては現政府として殊に経済閣僚のナンバーワンの大蔵大臣としまして去年の貿易総体についての我が国の一体成績というものは成功であつたか、失敗であつたかということをどうお考えになるか、これは非常に大きな問題だと思うのです。例えば選挙演説等におきまして現内閣の閣僚の或る人などのごときは、手放し的な楽観主義を各地に行つて唱えておる。極端な例を申上げますというと、日本の生産水準が戰前の一〇二%くらいになつたということを以て、もう一等国になつたんだというようなことを言つて、国民を喜ばしておる。これでは少しく今の日本の情勢から見て行過ぎはしないかと思う。そういう点から見ても、貿易尻の国民に対するところの観念はやはり失敗は失敗であつたと、明確にされたほうが国民の気分も引締める上に役に立つんじやないかと思う。これについては大臣としてはどういうふうな御見解を持つておられるか。
  118. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) 私からこういうことを申上げると、手前味噌になるかも知れませんが、これは私は大体において好成績を治めたということは言えると思います。手放しの楽観は勿論いたしておりません。それは成功であつたか、成功でなかつたかということは、各方面からの見方からしなければならない。輸入貿易が十分に行かないので失敗だという見方もなきにしもあらず。併し輸出も殖え、輸入も殖えて来た、こういう現状から見れば非常にいい道を歩んで来たと言えると私は思うのであります。
  119. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 そこで問題が、先ほど大臣が今後は輸入に重点を相当置かれる、又そういう趨勢になつておる、こういうようなお話ですが、二十本年度政府の方針としては、輸出入のバランスというものはいずれにウエイトを置かれるような御方針ですか。
  120. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) 御承知通りに原料は向うから入れてそうして加工して出すのでありままするから、輸入第一主義という考えではございません。輸入も輸出も大事ですが、併し幸いに輸出は伸びて来たので、今度はそれにマッチするように輸入から先にやつて行こう。こういうのでありまして、従いまして輸入も輸出も両方相待つてつて行かなければいかない問題だと考えております。
  121. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 大臣の見解は、これは常識的には当り前なんですけれども、実際面にはまあ今経済界では輸入にもつと重点を置かなければ、飢餓輸出になるだろうということを懸念しておる。そういう見地から今から政府の方針も大体輸入に相当力を入れて来ておることは私は認めるのです。そこで例のインベントリー・ファイナンスの五百億というものを使える余地は今度はなくなりやしないか、と思う。それについては大臣はどうお考えになるか。
  122. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) 私はやはり或る程度の金は要ることに計算ができて、それによつてつてつておるのであります。五百億程度のインベントリー・フアイナンスは今から準備して置かなければ大変だという考えを持つております。勿論今年、昭和二十五年度よりは相当輸出入も伸びて来ることはこれは明らかでございまするが、インベントリー・ファイナンスとしての五百億は少くとも、多過ぎることはないと私は思つております。
  123. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 今の大臣のお話ですが、バランスがとれて行つている以上、幸いドルの蓄積も最近だんだん減つて来つつあるということは、これは喜ぶへき趨勢にあると思うのです。そういう際において先の見通しとして輸出の、いわゆる尻を拭うためのインベントリー・ファイナンスを考えるのはもうおやめになつたらどうかと思うのですが、その点は重ねて大臣の所見をはつきりして頂きたいのですが……。
  124. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) バランスがとれているということは、どういうふうなことをバランスがとれているというのか、それは輸出と輸入、貿易外、その他がぴたつと行つているという意味じやなく、これは輸出入の差額が出まして、そこにあの程度の金が要る、これでバランスがとれて行くと、こういうのです。
  125. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 ドルの蓄積はだんだん減つております。減つてもまだ相当の蓄積が今でもあるのですが、併しそれがだんだん減つて行くということになれば、改めて五百億も一般会計から国民のいわゆる税金を以て賄つているところの国家財政の上において、五百億という大金をインベントリー・フアイナンス方式によつて支出するということはどうか、この点なんです。
  126. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) 手持ちのドルが今一月、二月でちよつと減つているが、これも知れたものでございます。かるが故にもう五百億円要らんのじやないか、こういうお話でございまするが、数字に亘る問題でございまするから、別に数字で事務当局から説明させてもよろしうございます。我々いろいろな事情を考えてこの程度のものは必要であると断定いたしているのでございます。
  127. 木村禧八郎

    ○木村禧八郎君 二十六年度予算に関する総合的の質問予算委員会で行いたいと思うのですが、この際一つだけ大蔵大臣にお伺いしたいことがあるのです、それは為替の問題なのですが、これは為替のレートの問題じやなく、レートについては又いろいろ意見があるのですが、為替の管理の問題です。為替管理は最近いろいろ交換円の問題とか、無為替貿易の問題とか、いろいろ外貨に関する問題、いろいろ起つているのですが、外貨の闇取引ですか、為替の……。そういう問題について為替管理の今実情はどうなつているか、それはうまく行つているのかどうか。相当いろんな抜穴があるやに言われているのですが、その点はどうなんでしようか。
  128. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) 御質問の重点がわかりませんが、為替管理のほうは私は順調に行つていると考えております。どの点がどうだということを御指摘になれば……。
  129. 木村禧八郎

    ○木村禧八郎君 これは具体的に為替管理といつていいのかどうか知りませんが、例えばアメリカからドルを持つて来て、そのドルを預金にしまして、それを元にして円を借りる。その円で日本でいろんな商売をして儲けて、その儲けで品物を日本で買つて外国に持つて行く。こういうような取引が行われると、それだけそれはインフレの要素になりますし、それは非常な日本の国としても損だと思うのです。そういうような取引が非常にたくさんあるやに言われているのです。それからいわゆる交換円ですね。交換円というものはいろいろそういう貿易業者の間利用されておると、こう言われておるのです。その交換円については何ら弊害がないとお考えなんですか。
  130. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) ドルを持つて来て、こつちで安いからものを買うということについては、為替管理で許可制を布いておると考えております。又交換円についてもはつきりした手続きをとりまして、そうして持つて来たときのドルが幾ら、こちらで幾ら使つてその残りが幾らということを審査しておると思つております。
  131. 木村禧八郎

    ○木村禧八郎君 こういう具体的な例を聞いたのですが、よくわからないのですが、例えばこれは千葉銀行の頭取の古莊四郎彦氏がこの間世界連邦会議に行かれたわけです。ところで非常にたくさんの金を使つた。これは地方の銀行でありますが、地方の人が、地方銀行でありながら、その千葉銀行は地方に余り金融しない。大分不平があるのだそうですが、そのかたがそのかたの細君を秘書にいたしまして、秘書として連れて行くのに六百万円を旅費として計上しておられた。だんだん調べて見ると、一千万円以上も外国で使つて来られた。それで非常にたくさんいろいろな土産ものを持つて帰られた。ところが一緒に世界連邦会議へ行かれた人は、いわゆるテン・ダラーの旅行をして非常に困つて羨しがつてつて来た。そういうことは相当非難の的になつておるようです。そういうような場合にそんなにたくさん外貨が手に入るものかどうかということなんですね。こういうようなことはどうなんでございましようか。旅行者についてそんなにたくさんの金が手に入るものかどうか。
  132. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) 外国の旅行者につきましては各個々の人につきまして外貨の額を大蔵省で審査して渡しておるのであります。併し今のお話の某がどういうふうに外貨を手に入れたかということは、只今のところ私は存じません。
  133. 木村禧八郎

    ○木村禧八郎君 この千葉銀行というのは前にも不正貸付問題で取調べを受けたのだそうですが、国警隊長が銀行を調べると、それが取付になる危險がある。従つてそれは財界撹乱の虞れがあるから、その不正貸付けの捜査を打切る、こういう声明を出して、これを打切つたそうでありますが、大蔵省銀行局としてはそういう場合にこれは検査をしなければならないのではございませんか。その点はどうなんですか。
  134. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) 御承知のように大蔵省の銀行局に検査を担当するものがおりまして、常に各銀行を検査いたしております。これは昔から極秘裡にやつておるのであります。いつどこを検査するということは言つておりませんが、常に銀行の検査はいたしております。
  135. 木村禧八郎

    ○木村禧八郎君 そういう不正貸付があつたかどうか、私は知りませんが、併しそれを国警隊長が、例えば株主が集つて、その不正貸付けの問題について協議するとすれば、これは財界撹乱の虞れがあるから、これを打切ると声明して、そういうことをさせないようにするということは、国警隊長にそういう権限があるのでございましようか。
  136. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) 国警隊の権限はよく知りませんが、銀行に関しましては、我々が監督いたしているのであります。而して国警隊長がどういうふうな場合にどういう措置をとつたかということは、それが違法なりや否やということは事実を調べないとお答えできません。
  137. 木村禧八郎

    ○木村禧八郎君 私がこういうような小さい問題ですが、具体的な問題を取上げましたのは、地方銀行が預金を地方で集めて、地方にこれを還元して融資しないと、そういうことに対する非常な不満から、我々のところにそういう陳情があつてその一つの例としてこういう具体的なことを訴えられたわけなんです。而もこういう千葉銀行の不正貸付問題というのが起つて、それが国警隊長が財界撹乱の虞れがあるからといつて捜査を打切つて、その後においてそこの頭取の古莊四郎彦氏が世界連邦会議に出席の場合に、六百万円も、これは公表された金額だそうですが、外貨を獲得して、そうして我々から見れば贅沢に使つて濫費したというように見えるのですが、非常に大切な外貨をそのように使つていいのかどうか、そういう問題なんです。従いましてこういう事実があつたかどうか、これは銀行局としてお調べになつたかどうか、大蔵大臣はこういうことは御存じないかも知れませんが、その点銀行局に確めて頂きたいと思いますが如何でしようか。
  138. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) 先ほどお答え申上げましたように、外国旅行者につきましては、個々の人についてどれだけという許可を與えております。而して税関のほうへ出すときに届出ることに相成つておるのであります。千葉銀行の頭取がどこでどれだけ使つたということも調べなければなりませんし、どこでドルを手に入れられたかということも調べなければなりませんが、私としては存じません。銀行局で調べる必要がおるとすれば調べさせてもよろしうございます。
  139. 木村禧八郎

    ○木村禧八郎君 その場合に旅行者が外貨を得る場合、制限というものはないわけですか、許可を得さえすればいいわけですか。
  140. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) その人の使命その他によりまして基準を設けてやつております。
  141. 木村禧八郎

    ○木村禧八郎君 大体のところ最高の制限といいますか、そういうような何か基準はあるわけですか。
  142. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) 細かい問題は存じませんが、その人の使命、滞在期間、旅行の行程、例えばニューヨークだけにおるか、或いは全米を廻るか、そういうことによつていろいろな検討を加えて認許可をいたしておるわけであります。
  143. 木村禧八郎

    ○木村禧八郎君 私は実は古莊某が個人で金を幾ら使つたということは何ら我々が関知しないところで、問題にならないが、若し銀行の金をこういうことに使つた、そういうことになりますと、地方の銀行は地方に貸さないで、而む聞くところによると地方で預金を集めて都市のほうに運用をしておるということを私は聞いたのですが、事実かどうか知らないのですが、そういう非難があるわけです。そういう地方金融の立場から御質問しておるのでありますから、この点大蔵大臣が、そういう金が個人のものなら問題じやないのですが、一応これをお調べになつて頂きたいと思うのです。
  144. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) 私は古莊君が自分の金を使つたか銀行の金を使つたか存じません。又頭取であれば銀行のために使う場合もありましようし、又交際費として自分のために使う場合もあるし、銀行に関係したことで使う場合もあると思います。今あなたの御質問の外国旅行に対してどれだけ銀行の金を使つたか、こういう御質問でございますが、これは検討いたしまして、そのことをここで直ちに申上げられるかどうかということを考慮してかつら処置いたしたいと思います。
  145. 杉山昌作

    ○杉山昌作君 大蔵大臣にたばこの値下げ問題に関連して二つ、三つ質問申上げたいと思います。大臣は、先だつての財政演説、今年の四月からたばこの値下げをやりたい、その趣旨は所得税その他の減税と相待つて、国民負担の軽減、合理化にあるのだという意味の御説明をなさつておるのでありますが、その値下げは、何をどういうふうにするのかということと、それとその趣旨をもう一度繰返して御説明願いたいと思います。
  146. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) たばこの消費の状況その他から考えまして、四月一日よりピース、光をおのおの十円下げる予定でおるのであります。これはどうも私はピース、光は少し高過ぎるのじやないかという観点から下げようといたしておるのであります。従いまして、値下げによつて相当の消費も殖えますし、予算に載つておりますように、大体本年度程度の收入を挙げ得ると考えております。
  147. 杉山昌作

    ○杉山昌作君 そうすると国民の負担の軽減、合理化というよりも、下げても消費が殖えて、本年度程度の税收入を確保する、むしろ、財政收入の確保ということのほうが、中心で計画されたように思います。というのはもう一つは、数量からも来るのでありますが、私が申上げたいのは、大体今回ピース、光よりも、本当にたばこ銭に困つておるというのは、みのりやバットをのむ人達であると思うのです。成るほど戰前に比べれば、ピース、光の値段はバツト、みのりよりは著るしく高くなつております。高くはなつておりますけれども、現実の問題として苦労して、塗炭に苦しんでおるというものは、ピース、光を愛用しておる連中ではなくて、みのりなり、バットをのんでおる連中であります。だから、本当は値下げをするなら、バット、みのりのほうを値下げすべきである。そのほうが国民負担の軽減、従つて国民生活の安定に資するゆえんである。従つて今のお話では、そういうようなことよりも、むしろ今年度と同じぐらいの益金の確保もできるからというようなことは確かに私はそれが本当だろうと思うのです。それは数量の点からもそうですが、来年度の販売数量を予算で見ますると、今年度よりは四十億本殖えております。併しながら、その殖えたものの殆んど大部分、九割余というものは上級品のピースを中心とし、光を中心とした方面にあつて、下級品の増加は殖えていない。ところが実際問題は、今日一番たばこの不足しておるのは、下級品なんでありまして、どこのたばこ屋に行きましても、バットが欲しい、みのりが欲しいと言つて買いに行つても、それがないものだから、止むを得ず高いピースを買い、光を買わされて帰つて来る、これが実際の実情であります。そういうところから考えましても、来年度の販売計画がそういうふうな下級品の増加には全然といつてもよいくらいにない。下級品をのむ人は買いに行つても依然としてないからして、止むを得ずもつと負担の多い高いものを買わされるというような状況の販売計画を立てておる。これは今の大臣の仰せのように確かに来年度の財政收入をたばこから千百三十億、今年度とほぼ同額のものを得る、こういうことからしてすべて割り出されんとしておると思いますが、そういうような解釈でよろしうございますか。
  148. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) たばこの値下をいたします場合におきましては、やはり全体の財政收入、専売收入ということを考慮に入れなければならないと思います。今のたばこの消費の実情がお話のように下級品に相当集つて来ておるということは私も認めます。それならば下級品ばかり作つてみんなの嗜好に十分副うようにしたらよいじやないか、こういう考え方も出るのでありますが、これは財政收入の確保の上からいつて、下級品ばかりというわけにはいきません。そこで下級品も殖やしまするが、下級品が足りなくて上級品を止むを得ず買うという場合においてはこれを安くするのも一つ方法であるのであります。全体の売行、或いは生産能力等を考え、又財政收入を或る程度確保し、いろいろな点から考えましてまあピース、光が少し高過ぎるからこれを下げよう、こういう結論になつて来ているのであります。
  149. 杉山昌作

    ○杉山昌作君 お示しの通りにたばこの専売というようなものはこれは財政専売でありますので、殊に財政收入の確保ということを中心にしてやられるそのこと自体は当然であると思うのであります。只今光、ピースが少し高過ぎるというお話がありましたけれども、その値下にしましても或いは販売計画にしましても、私が今指摘した通りに千百三十億の益金確保ということが一番問題であると思います。そこで只今私は大臣にお聞きしたいことは、それほどまでにして今需要は下級品であるし、下級品をのんでおる人はもつと安いものがほしいという状態であつて一方いろいろ減税をして国民負担の軽減を図るという施策をしておるにかかわらず、たばこについてはそういう状態であるにもかかわらず、なお且つ下級品の供給は或る一定の限度にとどめておいて、そうして止むを得ず高いものを買わせるというような方針をとる。結局千百三十億の確保ということが中心になつておりますが、それまでにして確保しなければならないところのたばこからの財政收入の必要性と、政府が先般来唱えておりますたばこ専売の民営化の問題との関係、これを伺いたいのであります。御承知通りに今日政府は来年度の千百三十億と大体最近の毎年の実績なり予算なりを見ましても、千百億から千二百億かのものが得たいという目安であると思います。これは大体政府ではだんだんにこの財政の規模を小さくして、従つてたばこの收益も少くて済むというような考えでありましようけれども、今までの足取りから考え、又講和後の自衛の備えをするとかいろいろなことをすると、なかなか財政の規模が今日よりだんだん小さくなることは期待できない。従つてたばこの益金も千百億、千二百億円くらいのものは今後数年間に亘つて確保しなければならない状態ではないかと思う。ところが今日のたばこの需給から鑑みまして、千百億、千二百億という金は非常にすぐには出て来ないのであります。酒とよく比較されますが、酒は先般値段を下げ、税金を下げた、そうしたら売行きが多くなつてつて收入が増したというような状態でありますけれども、たばこについては全く需要が異なつているのでありまして、来年度の予定いたしております八百二十億本というものはほぼ数量的には頭打ちになつているのではないかと思います。御承知のようにたばこは値が高くなつたからといつて節約ができない代りに、値が安くなつたからといつてむやみにのめるものではない。大体数量は値段によつてつて来るものではない。そういうことから考えまして、この八百二十億本というものが少しぐらい値が下つて来て、或いは品質がよくなつて来たということで千億本、或いは千二百億本になるということは考えられない。つまりたばこについては、酒において先だつてみたごとく薄利多売というようなことは殆んど余地がなくなつているというのがたばこの需給の現状だと思います。又それであればこそ安いものをたくさん売つたり、或いは数の多い下級品のほうの値下げをしたりすると、八百二十億本、総体千百三十億円の金が儲からないものだから、そこで値下げをしても数の少いほうの上のほうを下げ、販売計画にしても、みんなの欲しがる安いものを売止めをして高いものを無理に売抜く計画を立てて漸く千百三十億円というものの確保ができておる。言換えれば商売道に反した商売をしてこそ初めてこの千百三十億が確保できる。ところが商売道に反した商売というのはたばこ専売であるからこそできるのでありまして、これを若し民営にして五社なり十社なりというものに競争をして事業をやらしたら、結局各社とも自分のほうの売上げを増進させたいために安いものを余計作る、そうすれば千百十億千百二十億というような益金が絶対出て来ない。これが独占的なことから生れるところのいわゆる経済上の独占というようなものをそこに按配してやつているのが今の専売なんでありまして、こういうところから考えると、政府は専売をやめて民営にしたい。現にこの一月三十一日の本会議油井君の質問に対しても首相はたばこの民営移管の問題は私が明らかに申しております通り政府といたしましては民営に移したいのだ。併し利害関係のある国民の意向もよく承知した上で愼重にやりたいと言つておりますが、私に言わせれば何も利害関係のある国民の意向をよく承知しないでも、政府みずから自分の財布に手を当ててみれば、今日やるべからざることがはつきり感じられるのではないかと思います。一方こういうふうな状態で一昨年の夏に政府が設けました臨時専売制度審議会がつい最近、一年半に亘るところの長期の愼重なる審議の結果、たばこの民営を現在断行するということは、財政上或いは経済上その他の都合から時期尚早であると考える人が多いという答申を出しているし、又それと相前後いたしまして、衆議院の経済安定委員会におきましては、やはりこの問題について結論的な申合せをするということになつておる自由党案、社会党案、それから民主党案と、それぞれ党の名前を正式に冠したところの三案を比較検討の結果、政府與党であるところの自由党案を採決している。ところがそれを読んで見ますと、我が国は財政経済の現状に鑑み、たばこ民営は時期尚早であると考える、という自由党案として提出して、それを可決しているわけなんです。更に又吉田総理大臣がその意向をよく承知しているところの、利害関係を有する国民のうち、最も利害関係があると思われる全国のたばこ耕作者は民営絶対反対という意思をはつきりいたしまして、本国会に全国から非常に夥しい請願をして参つているのであります。こういうような状態を考え、又先ほど私の申上げました益金の確保という点から考えまして、これでもやはり政府は今日においてもなお民営をする方針で慎重に研究しているとお考えなのでありましようか、そこらの御意向を承わりたいと思います。
  150. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) たばこの民営につきましては、経過につきましてお話の通りの道を歩んで来ておるのであります。財政的見地、又国民の嗜好に応ずる点等から考えまして、専売制度審議会におきましても、一年半の長きに亘つて検討を加えられ、最近答申が出て参つたのであります。答申もお話の通り私はこの問題につきましてなお今後も検討を加えて行きたいと思つておるのであります。併し今結論を申上げる段階に至つておりません。一概にたばこの民営と申しましても、いろいろのやり方があるのでございます。やはりいろいろなやり方につきまして、十分検討を加えてから適当な措置を講じたいと思つております。
  151. 杉山昌作

    ○杉山昌作君 もう一つ今の値下げに関連いたしまして、お伺いいたしますが、大体来年度の販売計画は先ほど申上げましたように非常に商売道に外れた商売を強要するような程度のものでありまして、これを実行して、あの予定されたところの販売数量を確保するということは、なかなか一通りの話じやないと思う。そのためにはたばこの小売人というものは非常な労苦を必要とするし、又余分な経費も要ると思うのであります。従つて今日たばこ小売人の利益工合が六分では小売人はやつて行けない、どうしても協力ができない、売上完成ができないということが頻りに言われておるのであります。これにつきましては政府でもその事情を了とせられて、来年度たばこ小売人の手数料を引上げられるという噂を聞いております。ただ伺いますと、その程度が貧弱で果して小売人の協力を得られるかどうか、従つて益金の確保ができるような売上完成ができるかということを非常に疑問に思つておりますが、それはいいといたしまして、この問題についての久米監理官の先般衆議院の安定委員会での答弁を拜見しますと、専売公社においては、あの程度の利益引上げでは困る、非常に熱心にもつと引上げを要望をされているけれども、財政上或いは予算編成上困るのだということを言つております。で一体小売人の利率を幾らにするかというようなこと、これは私は思うのに、純粹の商売上のことであると思うのであります。これはすべての会社がやつているように、小売人の利益を上げるか、或いは利率をそのままにして福引を出す、或いは温泉なり芝居に招待するとかいろいろなことをそのときどきの事情によつていろいろな手を打つような措置によつて、販売の増進なり、販売の確保をして行く、これは純然たる商売上のことなんです。純然たる商売上のことに属するならば、これはその道に最も詳わしく、又売上げ増進、売上げ完成について全責任を持つているところの専売公社に任かしていいものじやないか。専売公社からそれほど熱心に要望しているにもかかわらず、政府がそれを抑えるということは何かこうおかしい。殊に専売公社は政府から独立した企業体として、而も総裁以下の重要なポストには実業家を起用している。そういうことになれば、商売は向うに任かせる上いうことで初めて専売公社の売上増進に対して責任を持たせてやるということになるのでありますが、政府は財政上、予算編成上これはいけないということで、専売公社の熱心なる申出を断つているというふうなことがはつきりしているわけでありますが、こういうふうな問題につきましてもう少し商売は公社に任かせるということで、政府は大綱にとどめるというようなことで、全般をもつと切換えて行く、この問題は専売公社にお任かせするというようなことをお考えになりませんかどうか。
  152. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) 御趣旨の点は首肯できる点多々あるのでありますが、商売は商売屋に任かせると申しましても、なかなかこれは行きません。これは專売品であるという建前からいつて、私は両者話合で行くべき問題であると思うのであります。たばこの小売屋のマージンにつきまして、今何か政府委員か誰か自分らの意思に反してこうなつたのだということを言つたそうでありますが、私はその人の気持がよくわからないので、国会で御審議願うときには、專売公社の総裁と大蔵省とは完全に意見が一致しておることだと思うのであります。そういうことを言つたかどうか知りませんが、私は商売であるから全部専売公社に任かす、こういうことはやはり如何なものかと思います。
  153. 小林政夫

    ○小林政夫君 先ほどの本会議の席上で御質問を大臣に対してしたのでありますが、多少大臣のほうにおいてとり違えられている点があると思うので、この機会に訂正して置きたいと思うのであります。私は日本経済の自立の問題として資本蓄積を取上げたのであります。その中で本年度予算においては、成るほど税法上は減税ということにはなつておるが、総額に、予算額においては大した……金額的には減税になつておらないし、そうして而も朝鮮事変発生以来の物価の情勢、或いは輸入の促進の状態等を考えて、なかなかこの程度の減税では相当資本蓄積はむずかしいのではないか。勿論資本蓄積は個人たると法人たるとを問わず、自発的な資本蓄積に行くのが必要なのであります。それが最も嚴正な、適当であるのでありますが、又減税しても、今減税については実質上の減税にはならないというような議論もありますが、そういう議論はさておき、或る程度の減税になつたとしても、減税のし放しではいけない。その減税が国民負担の軽減になつたものを積極的に蓄積にまで吸上げて行く施策をうんと馬力をかけてもらいたい、こういつた意味の質問でありまして、質問の重点は資本蓄積のほうにあつたのであります。大臣の御答弁は実質上の減税が、税法上の減税と実質上の減税上それから学問上の減税も同じということで、減税論のほうに重点を置かれたようでありますが、私の質問の要旨はそこにあつたのでありまして、御了承願いたいと思います。  それからこの際にお聞きしたいのは、大臣とも最も縁りのある広島県の松永というところに木履業者がありますが、全町を挙げて下駄を作つておる。この業者が非常に最近金の廻りがよくないとうことで、その原因は資金融通準則というので以て、木履製造業者は丙の取扱いを受けておる。一方同じような業者である静岡県のほうは、問屋であるということによつて乙の取扱いを受けておる。それで地元銀行の中銀或いは広銀というような銀行においては丙であるから金利も高くしてもらわなければならないし、融資の枠が少いので十分に融資できない、こういうことを言つておられた。すぐ当局にお尋ねしましたところが、この融資準則はもう死文であつてそれに捉わられて丙だから出せないとか、丙だから金利が高いというようなことはおかしいという答弁でありました。併しこれは広島地区で聞いたわけではありませんが、他の地区でたまたま機会がありまして日銀の出先で伺いましたところが、やはり相当この準則は重点を置いて一々甲、乙、丙別に報告を徴しておる、こういうことで生きているのだということなんです。若し大蔵事務当局の見解のように、この資金融資準則が死文であるならば、更にこれを置いて置く必要はない。実際問題として片山内閣のときにきめられた準則なのであります。自由党内閣である本内閣において踏襲されることもどうかと……、特にその自由党内閣としての経済政策から考えても、相当問題じやないか。これを改変されるとすれば、相当その後の経済情勢を織り込んで、若し置いておくならば、その後の経済情勢を織り込んで、相当この準則について再検討の用意があるのではないか。殊に最近一万田総裁等の談話を新聞で承知したところによると、今後は成るべくの直接の物資統制を避けて、金融によつて統制の効果を現わして行きたいということであれば、この準則を生かして行かなければならない。こういう際にこれを全然死文にされるならば廃してもらいたい。思い切つて廃して撤廃する。生かすならば徹底的に再検討して、実情にマッチするような考えで行かなければならない。これに対するお考えを伺いたいと思う。
  154. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) 事務当局がどういう返事をしましたか、私はつまびらかにしておりませんが、資金融資準則は今残つていると思います。ただこれに対しまする銀行の関心が昔ほどになくなつた、こういう意味で言つたわけです。若しそう言つたとすればそういつた意味で言つたのではないかと思います。今後資金融通準則を強化して行くかどうかという問題につきましては、余ほど検討を加えなければなりませんが、今ある資金融通準則につきまして、今置いてある以上、これがたとえウエイトが軽くなりましたにしましても、実情に副うように改めて行きたいと思つております。
  155. 大矢半次郎

    大矢半次郎君 私は税制問題についてお伺いいたしたいのであります。昨年シヤウプ勧告に基きまして、税制の画期的改正をいたしたのでありますが、その当時におきましても、このシヤウプ勧告の税制改正案は、世界において最本進歩的なものであるが、果して我が国の実情に適合しておるかどうかということについては、随分各方面に意見があつたのであります。政府におきましてもこれらの点を斟酌されまして、多少の修正を加えられて、なるべく実情に副うように進められた跡があるのでありますが、併し施行一年にして今から振返つて見ると、どうしてもやはり根本的に再検討する必要があるのではなかろうかということを私は感じておるのでありまして、この点につきまして大臣の御所見を伺いたいと思うのであります。問題はいろいろあるのでありますが、最も顯著なものは、法人に対する課税の考え方であります。御承知通り従来日本におきましては、いわゆる大陸方面の思想を取入れまして、法人の独立的の存在を認めて行く、法人において課税し、又株式配当等についても、個人においてこれを総合する建前をとつていたのでありますが、シヤウプ勧告においてはこれを放擲いたしまして、いわゆる英米の考えを取入れて、二重課税は排除するという建前をとつておるのであります。併しながら英米におきましても決してこの二重課税は根本的に排除されておりません。英国におきましては、ロイド・ジヨージの内閣におきまして、いわゆるサー・タツクスなるものを設け、それ以来配当課税はノーマル・タツクスにおいては課税しておらんのでありますが、サー・タツクスにおいては課税しておると承知しております。又アメリカにおきましてももと大体英国の租税制度に倣つてつたのでありますが、その後漸次二重課税の制度をとりまして、今においては完全に二重課税が行われておる状態でありまして、施行の実際から見ますと、世界を通じて二重課税がむしろ本則になつておると見なければならんのであります。併しながらシヤウプ博士の考え方は一種独特でありまして、いわゆる讓渡所得がこの法人、個人を通ずる課税の中心になつておるのでありまして、この譲渡所得を完全に把握しなければ、直接税の理論付けができない、立派な体系はできないのだ。この讓渡所得の課税をいい加減にしでおるならば、所得税の累進課税もむしろ放棄して然るべきではないかという趣旨のことは勧告の各方面に散見しておるのでありまする例えばシヤウプ勧告の序文においては、こう言つておるのであります。「ここにわれわれが勧告しているのは、租税制度であつて、相互に関連のない多くの別箇の措置ではない。一切の重要な勧告事項および細かい勧告事項の多くは、相互に関連をもつている。もし重要な勧告事項の一部が排除されるとすれば、他の部分は、その結果価値を減じ、場合によつては有害のものともなろう。従つて、われわれは、勧告の一部のみを取入れることに伴う結果については責任を負わない。例えば、われわれは、所得税において法人税との二重課税を避け一同時に常習の脱税を防止するような租税制度を立案した。このような制度のうちでも重要な部分とされているのは、讓渡所得を全額課税し、讓渡損失を全額控除することである。もし現在実施されているように讓渡所得と損失が金額ではなく、何%しか算入されないものとすれば、われわれの勧告による法人税および所得税は大幅な改正を要するであろう。」こう言つております。  更に本文に入りまして変動所得の中においては、「個人所得税及び法人税に対するわれわれの勧告は、讓渡所得の全額課税、讓渡損失の全額免除ということに基いている。もし讓渡所得及び損失の全額制が取り入れられないとしたら、われわれは法人税の軽減をはるかに縮少し、法人からうけるあらゆる種類の分配所得に対する所得税の取扱をはるかに峻嚴なものとするように勧告するであろう。この場合には、なお、その他いくつかの制限を行うように勧告することになろうが、讓渡所得に対する上の改革を行う場合に比して、その制限を行つてみたところで、はるかに不公平な税制となつてしまうのである。讓渡所得の全額課税、讓渡損失の全額控除こそはわれわれの勧告の中で最も強調されているところなのである。」こうなつております。  更に法人税の項におきましては、「この法人税の構成全体は、讓渡所得が完全に個人に対して課税されるという前提に基礎を置いている点を再強調する必要がある。このことができず、従つて早かれ遅かれ全所得が、配当されると配当されないとを問わず、個人所得税が課税されない場合には、この計画全体は、無効となるであろう。もちろん讓渡所得を個人の課税所得に完全に含ましめることができなければ、多くの点において非理論的でなく、気まぐれでもなく、差別待遇的でもない法人税の改正案を立案することは殆んど不可能であると思う。」  かくのごとくいたしまして、法人税及び所得税を通じて、譲渡所得の完全把握一〇〇%課税がこの直接税の最重点になつておるのであります。併しながらこの讓渡所得の完全把握、一〇〇%の課税は到底至難であるということは、私ども長く税の実務に従事したもりは、当初から信じて疑わないところでありまして、施行一年、今日から振返つて見て、まさにこのことは如実に現わされておるのであります。無記名公債、社債の登録制度は勿論、株式売買の報告のごときも幾ら強調いたしましても、実行できないのが、昨年のシヤウプ博士の第二次の渡来によつて明らかにせられておるのであります。従いましてこのシヤウプ税制の直接税に関する基本的な考え方は、日本の実情には差当りどういても適合しないというわけになり、それがどういう結果を生んでおるかと申しますれば、他の所得に比べて、法人税及び株式配当を通ずる所得課税において法人企業が著しく軽減されておるということになつております。従いまして、昨年の税制改正以後、商工業者等のうち大規模、中規模のものが続々として法人になつておるのは御承知通りであります。かくのごとくにして、シヤウプ博士が最も力を入れて、租税負担の均衡に重点を置いたものが現実に即しないことになり、却つてこれが課税の不公平を招き、中小の商工業者或いは農業者、漁業者というような、零細な個人企業形態のものの負担が著しく過重になつておるという結果を招来しておるのでありまして、私は租税制度並びに、これが運営の上からいつて、これは根本的に再検討する必要があると思うのであります。而も讓渡所得の課税はアメリカにおいてもシヤウプ博士のような制度はとつておりません。これはもう主税局長において十分御承知のはずでありまして、私の申上げるまでもないと思いますがアメリカにおいてもやつていないような非常に実行の困難なるものを、直接税の中心に置いて、而して今日これが運用が頗る不完全であるというような状態にある以上は、これはどうしても今後の税制改正の基本的の大きな問題として再検討する必要があると考えるのでありますが、この点についての大蔵大臣の御所見を伺いたい。
  156. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) シヤウプ博士の勧告は今お読みの通りでありまして、非常に理想的な案でありまして、我々も検討の上適当であるという考えの下に御審議を願い、これが法案として成立し、これによつて施行しておるのであります。実行して見まして、お話の通りなかなかうまく行かない点もございます。又その後の経済界の変化等を考えまして、私はやはり日本の経済の実情に合うように、合わないところをだんだん直して行くべきではないかと思います。而して今税制の根本改革をシヤウプの勧告案以外にやつたらという問題につきましては、これは重要な問題でございますので、今後の経済界の動き等を見まして、とくと研究いたしたいと思つております。
  157. 大矢半次郎

    大矢半次郎君 大臣から只今の御答弁を伺いまして、私も大体満足するわけでありますが、併しながら現にこの租税制度及び運営の上において、非常に不均衡の事態が起つておるものを、たとえ一年、二年の間と雖もこれを放置して置くのはいけないことかと思いまして、臨時措置法等におきまして、速やかにこれらの点を是正すべきではなかろうかと考えますが、如何でございましようか。
  158. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) 大矢委員の憂えておられる問題は、法人課税の問題、即ち今までの大陸系の税制のように独立の企業体としてみる、又そう見なくても、英米流のように或る程度の独立性を認めたらどうか。日本のように全然法人の独立性を見ずに、個人の即延長だ。こういう見方がいいか悪いかということにつきましては、これは議論のあるところと思います。個人が法人になるという例も実は見ておるのでありまするが、それは今度御審議願う地方税におきましても、やはり法人の所得の所得税額の一割程度を加算することによりまして、行過ぎの点は是正いたしておるのであります。又譲渡所得につきましても、お話の通り、アメリカにおきましても、日本ほど嚴格にやつておりません。又実情が、不動産の譲渡所得は明確に課税いたしておりまするが、株式の譲渡所得につきましては、足らざる点が多々あるように思います。而して今譲渡所得の問題或いは法人課税の問題につきまして、臨時措置というものでも講じて今、今国会にそういう根本的なものをやる考えはないかというお話でございまするが、只今国会でやる考えは持つておりません。ただ、今後の情勢を見まして、税の違います状況、国民所得の分布の状況等から考えまして、今後におきましても、税制は特に重要な問題でありまするから、検討は加えまするが、今直ちに結論をなかなか見出しにくいのであります。又時期の点におきましても、今国会に出すということは、私は申上げかねるのであります。
  159. 大矢半次郎

    大矢半次郎君 私は今国会中に提出したらということまでは申上げておりません。ただ、研究中というので荏苒一年、二年引延すべき問題ではないじやなかろうかということを申上げて置きます。殊に譲渡所得と関連いたしまして、一時所得は、以前においては継続して入つて来る所得と分離して課税しておる。或いはこれを半額にして課税しておるというようになつておりまして、私は少くともこういう程度改正は成るべく早い機会にするのが日本の実情に適しておるではなかろうかと思う。そういたしまするというと、目下給與所得者等におきまして、非常に問題視しておりまするところの退職給與に対する課税等も実情に副うような軽減ができるのではなかろうか。これがシヤウプ博士の一流の譲渡所得の議論の捲添えを食つて、今非常な苛酷な状態に置かれておるのでありまして、これらの点は速やかに御考慮あつて然るべきではなかろうかと考えます。
  160. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) この譲渡所得の問題、法人の課税の問題につきましては、これは根本に触れる問題でございまするから、よほど検討を要すると思います。併し譲渡所得の捲添えを食つたと言われます一時所得の問題につきましては、これは税制全般の根本の問題よりも或る程度離れておりますので、検討は加えております。
  161. 松永義雄

    ○松永義雄君 ちよつと関連して……。
  162. 小串清一

    委員長小串清一君) 先に森君の通告がありますからそれじや、一つか二つでおやめを願います。
  163. 松永義雄

    ○松永義雄君 一つ大蔵大臣にお願いをいたしたいのでありますけれども、税制を改革しなければならんということは、大矢さんから言われました。我我も賛成いたしております。過日公聴会においてもそういう趣旨のことを伺つておるのです。この点は速記録を御覧になつて頂けば、明瞭であるのであります。それでまあ、アメリカのことを引合いに出すことはどうかと思いますけれども、一応太平洋戰争後において法人所得も廃止されたようであります。ところが、再びここで又復活を見ようとして、すでにきまつたのではないかと思つているのであります。で、その事情、原因等につきましては、アメリカの情勢云々ということは伺つておりますから、そのまま進むわけには行かないと思うのでありますけれども、併しその事情は直接、或いは間接という点から見て、揆を一にするものがあるのじやないか。そういつたようなわけで、只今大矢さんの言われたように、負担の均衡を図つて行くということは誰しも考えていることではないかと思うのです。くだくだしく細かいことは省いて置きますけれども、とにかくこの点だけを質問して置きたいのですが、日本の経済状態が今のままで継続して行くと仮定して、まあ来るべき国会にしても、次の国会にしても最近の機会において税制の改革、負担の均衡は図る必要があるのではないか。その点についてお尋ねいたします。今の経済状態がそのまま続いて行くと仮定して、続いて行つたなら来るべき次の国会において負担の均衡を図る必要があるのじやないか。御意見を伺います。
  164. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) 只今のところ改正税法案を出す考えは持つておりません。
  165. 森八三一

    ○森八三一君 中小企業者、農民、漁業者などの経済振興を図りますことが非常に重要でありますことは、今更申上げるまでもありません。で、この問題に関連いたしまして、特に金融の円滑化、金融の疎通を図るということが、非常に重要であるということで、政府当局におきましても、いろいろの施策を進められておるのでありまして、今日の状態で十分であり、満足であるというわけではございませんが、いろいろの方途が講ぜられておるということは十分に私どもも了承し、認めるところでありますが、その一環といたしまして、特に商工中央金庫、農林中央金庫などに対しまして、先に政府が優先出資をされまして、債券発行の限度拡大に資せられたのでありますが、その優先出資の配当が、一般の剰余金からなされなければならないということで、七分五厘の配当をいたしますためには結局一割有余の剰余を上げなければならんということで、この改正を多年熱願して参つたのでありますが、今度の租税特別措置法改正に当りまして、五條の八で、この問題は一般の損失に戻すということで解決が見られました。この点は非常に感謝をいたしておるのでありますが、その基礎になります七分五厘という配当率の問題でございますが、既に御承知のように、中小産者の集りであるそれぞれの基礎協同組合等の出資配当につきましては、農業協同組合のごときは、法規で年五分以下だということに規定をいたしておりますし、中央金庫その他の金融機関においても、それぞれ政府監督の下に、定款に規定を命ぜられるということになつておるのでありますが、それらいずれも六分以下の規定であると承知いたしております。折角政府がこれらの困難をいたしておりまする中小企業者の金融疎通のために御心配を願いました優先出資の配当が七分五厘ということは、余りにも高額に失し、中小企業者の負担を重からしめておるものであるというように言わなければならんと思うのでありますが、これに関しまして、この七分五厘の優先配当の傘を低下、変更を考えるべきではないかと存ずるのでありますが、これに対しまして先ず大臣に御所見を伺いたいと思います。  それから第二の点は、農林中央金庫の例をとりますと、二十億の優先出資を頂いておるのでありますが、この二十億の優先出資は、計画を承わりますと、十五カ年間にこれを償却するという計画に相成つておるのであります。十五カ年間に償却をいたしますると、十五年先にはその二十億が零になつて二十倍の債券発行の枠が、又元に戻つてしまう。こういうことになりますので、年々の償却金に相当するだけは積立金を積立てろというように相成つております。この措置について異論があるのではありませんが、その積立てまする積立金は、これ又経営上の剰余金から、利益から積立てをしなければならん。こうなりますと、現行法の下におきましては、その積立てのために、法人税、その他を換算いたしますると、おおむね一割五分近くの剰余金を上げなければならん、こうなります。これ又非常に折角の施設が中小産業者の負担に転嫁されておるということになりますので、この積立てます積立金につきましては、今度の五條の八の訂正と同様に、損失を以て計算ができるというように措置を願いますことが、中小企業者の金融措置を図るという根本的な本質、趣旨から考えまして、非常に大切な問題であるというように存じますのでありますが、以上二点につきまして、大臣の御所見を伺いたいと存じます。
  166. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) 見返資金からの優先出資につきましての七分五厘の配当は高過ぎるのじやないかというのが御質問の第一点でありますが、御承知通り見返資金につきましては他の産業への出資も七分五厘に原則として相なつているのであります。こういう関係を考えまして今直ちに七分五厘をどうこうということはちよつと困難ではないかと思います。あの当時から比べますと、当時は預金部貸付けの利子なんか九分を超えていたのでありますが、その関係で七分五厘できめられた。預金部貸付けは六分五厘、或いは七分の長期貸付であります。こうなつたら再検討する必要はないかということの問題になると思うのでありますが、今やはり短期債が七分五厘、或いは長期債だと八分五厘だと思います。どうしてもこれはやつて行けない程度のものじやないと思います。見返資金から出ます金利につきましてはこれは常に検討を加えなければなりませんが、直ちに今下げるという結論に行くかどうかということは問題だと思います。  第二の債券発行の見返りとしての自己資本はどうか。これは何も積立金によつてやらなければならんというわけのものではございません。出資によつてもできるのであります。ただ積立金がだんだん殖えて来れば自己資本が多くなるから優先株の出資がなくなつても大体行けるだろうという十五年先の見当であるのであります。今積立金をして運用して行けば、それが一割五分になるというのでありますが、その計算の根拠がわかりませんが、普通の積立をやつておれば、これが債券発行の本になるわけでございます。又その積立金が足りないというときには出資をしてやつてもいいのであります。今私は積立金につきましてこれを農林中金、商工中金の積立金を無税にする、こういうことは困難ではなかろうかと思います。
  167. 大矢半次郎

    大矢半次郎君 今のに多少関連してお伺いいたしますが、御承知通り農業協同組合、或いは漁業協同組合等の特別法人に対しましては、以前には普通法人と違いまして法人税の税率に差等があつた。大体普通法人が三五%の程度で課税を受けている際に、二五%の課税を特別法人は受けることになつていたのでありますが、これも一昨年のシヤウプ博士の勧告に基きまして、一切の法人は同率で課税を受けなければならんということになりまして、現在はすべて三五%の課税を受けている。私はこれもやはり日本の実情から考えて、もう一遍振り返つて検討して見る必要があるのではないかと思います。現在農業団体、或いは漁業団体等がその帯びる使命は非常に重大であり、又最近の経済事情等によりまして、その経済的基礎がおおむね薄弱でありまして、これを強化するために全国に一大増資運動が展開されているのであります。政府におきましては今度特別措置法におきまして、大企業方面に対する減価消却の特別の措置を認めるということにいたしまして、これらの資本の充実を図ることをいたしているのは誠に結構でありますが、零細の漁民、農民等は個々のものについてそういうことはできないのでありまして、従いまして食糧の増産の急務、動物蛋白資源の獲得の急務なる今日、而して全国的な増資運動が展開されている今日といたしまして、これら弱少の協同組合の資本の充実を期する意味におきまして、その課税の率をやはりもとのように、或る程度一般法人に比べて低くするのが適当ではなかろうか。先ほど森委員からもお話がありました通り、これらの法人は普通の法人と違いまして配当も或いは法規の上で制限され、或いは定款等において制限して、できるだけ資本の蓄積を図つているのでありますからして、これらの諸点を考えられまして、大企業と同じようにこれら小法人に対しましても資本蓄積のために特別の措置を講じて頂ければ結構だと思いますが、その点に対してのお考えは如何ですか。
  168. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) お話の通りに法人税に対しまする税率よりも、こういう中間法人と申しますか、農業、漁業の協同組合等に対しましては低い税率で課税しておつたのでありますが、それがだんだんと普通の法人に近寄つて参りました。然るところシヤウプ博士の勧告によりまして法人と同様に相成つたのであります。併し何と申しましても或る程度一般法人とは違う点がありますので、税法上できるだけの措置は講じております。併し今後におきまして昔のようになおす、低い税率にする気持はないかというお話でありますが、私はこれは検討してみたいと考えておるのであります。ただ今お話になりました資本の増加という問題は、一般の農業協同組合に全般的にということではなしに、農業協同組合の中には非常に経営不如意の組合が相当ありますので、そういうところのものは出資を殖やすという計画を今農林省方面で研究されておるようであります。併しこの問題とは別個に農業協同組合、漁業協同組合等のいわゆる中間法人というものにつきましては、私は今の実情からいつて検討する余地があるのではないかと思つております。
  169. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 議事進行について……。この際大臣折角見えたのですが、他の委員会では主管大臣が相当時間を割いて出席して委員と共に国事に関する重大事項についての審議をしているわです。ところが大蔵大臣は非常に御多忙のようで、めつたに出て頂けないのですが、これはやはり各委員会中でも重大な委員会と私は思つておりますが、重大法案の審議、或いは討論というような場合に際しては、是非一つ大臣が時間を割いて出て来て、共にこの委員会において検討されることを強く要望して置きたいと思います。
  170. 小串清一

    委員長小串清一君) 一つさようお願いいたします。それでは本日は大分長時間に亘りましたからこれを以て散会いたします。なお明日は午後一時より開会いたします。    午後四時二十二分散会  出席者は左の通り。    委員長     小串 清一君    理事            大矢半次郎君            杉山 昌作君    委員            愛知 揆一君            岡崎 真一君            黒田 英雄君            九鬼紋十郎君            清澤 俊英君            佐多 忠隆君            松永 義雄君            小宮山常吉君            小林 政夫君            高橋龍太郎君            山崎  恒君            油井賢太郎君            森 八三一君            木村禧八郎君   国務大臣    大 蔵 大 臣 池田 勇人君   政府委員    大蔵政務次官  西川甚五郎君    大蔵省主計局法    規課長     佐藤 一郎君    大蔵省主税局長 平田敬一郎君    大蔵省管財局長 吉田 晴二君    大蔵省銀行局長 舟山 正吉君   事務局側    常任委員会專門    員       木村常次郎君    常任委員会專門    員       小田 正義君   説明員    大蔵省銀行局特    殊金融課長   飯田 良一君    国民金融公庫理    事       最上 孝敬君    農林省農地局営    農課長     野田哲五郎君