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1951-02-23 第10回国会 参議院 大蔵委員会 第12号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年二月二十三日(金曜日)    午前十時五十分開会   —————————————   本日の会議に付した事件 ○所得税法の一部を改正する法律案  (内閣送付) ○法人税法の一部を改正する法律案  (内閣送付) ○通行税法の一部を改正する法律案  (内閣送付) ○登録税法の一部を改正する法律案  (内閣送付) ○相続税法の一部を改正する法律案  (内閣送付) ○印紙税法の一部を改正する法律案  (内閣送付) ○骨牌税法の一部を改正する法律案  (内閣送付) ○租税特別措置法の一部を改正する法  律案内閣送付) ○東京銀行債券発行問題に関する件   —————————————
  2. 小串清一

    ○委員長(小串清一君) これより委員会を開会いたします。  所得税ほか七つの税法案に関連して昨日問題になつておりました小林委員から要求されました昭和二十六年度国民所得その他の租税收入等についての経済安定本部調査について、特に答弁を要求してございますから、これよりそのほうをやり、その他今まで問題になつておりました所得税法の一部を改正する法律案ほか七件の改正法律案について質疑するつもりであります。  なお本日は、目下問題になつております金融債について、東京銀行債券発行を契機として、問題となつておりますことは御承知の通りであります。本件は、單に東銀債券発行の可否というよりも、むしろ金融債のあり方、金融機構、無記名預金等税制等関係もありまして、当大蔵委員会としては、根本的に検討をする必要があるかと存じますので、本日銀行局長の出席を求めまして、当局より先ず意見を求め、委員各位の質疑をお願いすることにいたしたいと思いますから、あらかじめ申上げます。それではこれより経済安定本部財政金融局長の西田君の説明を求めます。
  3. 内田常雄

    政府委員内田常雄君) 今朝ほどお手許に二十四年度から二十六年度までの国民所得推計についての資料をお届け申上げて置きましたから、それにつきまして一応の説明を先ず申上げたいと思います。安定本部でやつております国民所得は、実は政府として過去の実績について国民所得を固めておるのでありまして、他方予算とか、税收等を対象といたしまする二十六年度国民所得見込とか或いは自立経済等に関連いたします二十七、八年度国民所得見込等は、過去に調べました実績基礎といたしまして、それに将来の物価の動向とか、賃金見通しとか、或いは生産雇用見通しとかいうような、見通し数字をかき合せまして予想を出しておるわけでありまして、正直に申しますと、国民所得実績自身我が国にはこの実績を作るための基礎統計が諸外国におけるように十分整つておりませんために、必ずしも完全なものではない上に、又実績を作り上げる時間も半年以上もずれるような形になつて参つておりまするし、従つてこのような、必ずしも現在の段階において完璧でない実績を基といたしまして、先に生産がどのくらい増加するであろう、物価がどの程度動くであろうというような、かなりむずかしい見通しをかき合せまして推測いたしまする予想でありまするから、この予想及び実績につきましては、いつも第二次の実績、或いは予想、第三次の実績予想といつてあとからあとから訂正を重ねて参つておる次第であります。今回お手許に差上げております二十四年度及至二十六年度国民所得推計は、一番左側にございます二十四年度実績基礎としたものでありまして、そのことは一番下に三行に亘つて備考にもございますが、二十四年度実績も、実は二回も三回も訂正をいたしました実績でありまして、これにつきましては、実は御承知のように先般総司令部国民所得研究のために参つておられたフーバー博士等によりまして、或いは過少見積りではないかということを指摘されたままになつておりまして、これらの点につきましては、安定本部でも現在検討中でありまして、なおこの実績改訂版が出るかも知れない、かような状況であります。この二十四年度基礎にして二十五年度、二十六年度のを出したものででございます。この国民所得作り方は、御承知のようにいろいろの作り方があるのでありまして、経済の循環を生産の面から見た生産国民所得生産された余剰価値が各階層にどのように配分されておるかという分配国民所得等がございます。ここに出されておりますものは分配国民所得でありまして、従いましてこの欄にありますように、先ず勤労者にどれだけの国民所得が還元され、その次の第二番目は法人以外の個々の事業人資本主に対してどれだけの国民所得が還元され、次は法人所得としてどれだけ見込まれ、即ち事業にあらざる地代、利子等の取り前としてどれだけの国民所得が分配されておるかということを現わしております。  先ず勤労所得の二十四年度実績は、ここにありますように一兆二千七百五十九億、二十四年度を一〇〇とすると、二十五年度は一一五・四、二十六年度は一三一・四というように勤労所得はだんだん上つて参りました。個人のほうも二十四年度を一〇〇とすると、二十五年度は一一二・一、二十六年度は十二八・九というふうに上つて参りました。この結果国民所得総額として二兆八千七百四十七億という仮の実績に対しまして、二十五年度は三兆三千百四十億、二十六年度は三兆八千四十億ということになるのであります。なお経済安定本部におきましては、御承知のように自立経済三カ年計画基礎といたしまして、実は二十八年度まで想定して一応やつておるのでありまして、これは恐らくお手許にすでにお届けしてあることと思いますが、自立経済関係報告資料のうちに二十八年度までのものが載つておるわけであります。二十八年度はたしか四兆一千六百四十億というような推定が出ておると思います。ただこのお手許に配りました国民所得の二十五年度、二十六年度と、今私が触れました自立経済計画における国民所得の二十五年度と二十六年度とは一カ所におきまして違つております。そのため総額も二十五年度、二十六年度は違つております。法人所得関係は、最近の状況に鑑みまして自立経済審議会が作りました法人所得よりも若干減らしてここには、載せてございます。その結果例えば、二十五年度で申しますと自立経済審議会のほうの今月の推計は三兆二千六百五十億になつておりますものが、この表では三兆三千百四十億になつており、来年度、二十六年度につきましても若干法人所得自立経済計画における国民所得見方よりも殖やしてございます。  それでこれの推計の仕方につきましてなお簡單にお話を進めて見ますると、勤労所得につきましては、結局これは国民所得というものは勤労者賃金給與等を得る勤労者の総人数と、それから賃金の單価と掛け合せた額になりますために、結局二十五年度と二十六年度における雇用量増加見込を一方に出しまして、それに対して賃金上昇見込推計いたすのであります。両方掛け合せたのでありますが、だんだん話が細かくなつて来るのでありますが、雇用量につきましては、二十四年度、昨年度を一〇〇とした場合に、本年度、二十五年度雇用量が四・一%増加して来年度におきましては七・一%増加するという見込の下に、且つ又賃金は二十四年度の一年間の、これは総理庁で出しております内閣勤労統計という統計があるのでございますが、その全産業平均を一〇〇といたしました場合に、二十五年度、これはまあ三月終りまで参つておりません、実績は年の途中までしか出ておりませんけれども、三月までの推計を一応いたしました結果、昨年度一〇〇に対して一一〇・八、即ち一〇%八だけ賃金が二十五年度は上る。二十六年度は、別に物価上昇を想定しないでも、雇用内容改善等によりまして、これが一二二・五に上つて参るというような推計をいたしまして、この雇用量増加賃金上昇カーブを掛け合せました結果が三十四年度における勤労所得一兆二千七百五十九億が一兆七千五百六十億になる、こういうような計算をいたしております。この勤労所得の中にも、詳しく申上げますと農業労務者林業労務者水産業労務者もありましようし、又各産業業種ごと労務者があるのでありますが、大体の計算の仕方は、今申しましたような形で計算いたしております。この雇用量増加政善、或いは賃金上昇等見込は、すべて先ほども言いました安定本部経済自立審議会における見通しと同じものをとつておるわけであります。  その次の個人業主所得、これは一番調査に困難をいたしておりまする所得種類でありますが、これも農林水産業のような原始産業と、それから鉱工業自由業のような一般産業と大きく分けておるのでありますが、この個人業主所得につきましては、実績自身をつかまえるのは非常に困難でありまして、我が国に適当な與えられた統計がないために、経済安定本部でも相当予算を計上いたしまして、全国の中都市等につきましてサンプル調査をいたしましたり、又税の課税実績等でこれを参酌いたしましたりいろいろ苦心いたしまして、極めて不完全ではありますけれども、今の段階ではこれ以上得られない実績を作ることに努力しております。これを二十五年度、二十六年度に延ばして見ると、これを先ほど勤労所得において雇用量賃金の推移の見込指数をアツプライするのと同じように、個人業主の場合には、生産増加見込物価変動見込、この両方の指数をアツプライいたしまして、二十五年度、二十六年度見込を出しておるのであります。生産につきましては、これは農林水産業一般について申上げますと、自立経済計画の中に詳しく載つておりますが、二十四年度生産実績を一〇〇とすると二十五年度一〇二・三、二十六年度は一〇五・四というようなことで、年々二%程度しか生産は殖えないのであります。併し鉱工業の場合には二十四年度を一〇〇といたしますと二十五年度、本年度は一二五・六というように二五%以上増加し、二十六年度はこれが一四二・六%というようなことで、二十四年度に対して四二%乃至四三%増加をするのであります。よく皆さんすでに御承知のように、これは戰前鉱工業生産水準つまり昭和七—十一年の五カ年平均水準を一〇〇とした場合に、二十五年度におきましては戰前の一〇〇を一年平均で僅か突破する、我々のほうの数字ではこれが二十五年度は一〇〇・五%、〇・五%だけ七—十一年の生産水準を越すことになり、来年は七—十一年を一〇〇といたしますと、一四・一%だけ生産が全体として鉱工業において殖えるというような数字我我は想定いたしておるのでありますが、この鉱工業生産増加見込を、個人業主におけるいろいろな細かい業主に分解をいたしまして、それぞれの指数、それぞれのウエイトを踏み直したような数字にいたしまして、これを各業主の二十四年度国民所得実績に一応適用し、物価につきましては、申上げるまでもなく、物価が二十四年度一応安定いたしましたものが最近は又上つて参つておるわけでありますが、その上り方の最近までの実績で今度の予想をはじきまして、更にこれを適用する、併し物価につきましては、これは来年のことはなかなかわからない事情にありますので、二十五年度、二十六年度をはじきます際一つ仮定を置きまして、その仮定と申しますのは、物価は本年の三月、来月でありますか、本年度末の物価水準が二十六年度はそのまま横ばいする、従いまして又自立経済の二十八年度まで国民所得をはじきます際には、二十七年度も二十八年度も今年二月の物価がそのまま横ばいするという一つ仮定を置きまして、そうしてそれを掛け合すということになつております。つまり生産のほうは二十五年度生産増加、二十六年度、二十七年度増加を見積つておりますが、物価のほうは今年の三月の動きは見ますが、あと横ばいである、こういうような仮定をいたしまして、個人業主所得をはじいておるわけであります。従つて現実に二十六年が或る程度経過いたしますと、物価はそれより違つた姿をとるでありましようから、我々のほうでは更に又、二十五年度国民所得の第二次推計、第三次推計というものを時々出して参らなければならないという場合が出て来るわけであります。かような仮定の下における物価でありますが、これはほかの機会でも或いは御承知かと存じますが、物価は物によりまして一見我々の感覚と違つた状況があるわけであります。つまり生産財等におきましては、二十四年の中頃から物価がずつと上つて参つて来ておるのでありますが、いわゆるCPI消費者実効価格というものをとります場合には、朝鮮動乱後といえども必ずしも実効価格は今までのところ上つておらない数字実績として毎月発表されておりまして、このCPIを先ず申しますと、二十四年度を一〇〇とした場合に、今年の三月をフルに見込みましても、これの実数は九四・一、つまり二十四年度よりもなお六%くらい二十五年度のほうがCPIが低いという数字になるのであります。先ほど申しますように今年の三月をずつと横ばいにして計算をいたしましても、なお二十六年度CPIは二十四年度一〇〇にして九八・八というような数字で二十四年度よりも二十六年度CPIのほうがまだ幾らか低いというような数字になつて参ります。ところが生産財実効価格のほうは、これは申すまでもなく上つておりまして、二十四年度実績を一〇〇といたします場合に、二十五年度、今年の三月までの一年間を平均して取りますと一一八・一%に上つている。これは勿論昨年の六月と今年の三月とを比較いたして見ますると、生産財価格は非常に上つておりますけれども生産財といえども年度は二十四年度よりもずつと下つて来ておりますから、二十五年度一ぱいに生産財実効価格というものは昨年一〇〇に対して一一八、来年を同じように三月を横ばいにいたしました場合には、先ず一三〇程度というようなことになりますのですが、今申上げましたような数字を二十四年度個人業主所得実績に適用いたしまして二十六年度をはじいております。ただ農業につきましては米価関係が二十六年度出来秋米価パリテイがすでに想定されておりますから、今年の三月の米価をそのまま横ばいというふうに見ないで、出来秋米価パリテイ、たしか一九五だつたと思いますが、石当り六千百何円という数字現実に一応與えられ、それが基になつて食糧管理特別会計予算もできているわけでありますから、その上る数字を取つて見ますと、米価は二十四年度を一〇〇とした場合に、二十五年度が一一七、二十六年度が一一九というような上り方数字を出しまして、これを農業のほうの個人業主所得に適用いたして仮に計算をいたしております。従いましてこの国民所得におきましては、農業関係と、その他の業種関係物価見方仮定が違うわけでありまして、ほかに方法がないためにさような算定の下にこういう計算をいたしているわけであります。あとはこの個人賃貸所得法人所得等がありますが、法人所得等につきましてはこれは主として二十六年度予算、或いは二十五年度予算及び予算施行実績等の、つまり課税資料基礎といたしまして、それに若干の修正を加えて国民所得といたして推定をいたしておりまするし、今次個人賃貸所得等におきましても、先ほど来申上げましたように勤労所得、或いは業主所得と同じように、例えば建て家増加指数とか、家賃の上る指数とか、それぞれ掛け合せをいたしまして二十四年度実績から延長している、こういうやり方をいたしております。従つて最も大きな点は、物価のベースの一つ仮定ができているということになつておりまするから、今後の物価動きによつて現実には国民所得というものは動いて参る、ただ自立経済等を立てまする場合に、今度の場合にも、今年の三月の物価横ばいというようなことを一応の基礎にして、その中でいろいろの構造を作つてあるわけでありまして、そのために自立経済の考え方、組立て方というものはそのままで参りましても、自立経済に用いた資金上の指数とか、或いは物価指数とか、現実の面では変つて参りますけれどもつて参ることは国民所得を取ります我々の立場、或いは自立経済を作ります我々の立場の上にはそう支障はないと考えているのでありまして、ただ数字上の修正は出て参るわけであります。こういうことになつております。一応御説明申上げました。
  4. 小林政夫

    小林政夫君 二十四年度実績ということが推計の根本的な基礎なつておるようですが、実績というのはどういうところでやられた実績ですか。
  5. 内田常雄

    政府委員内田常雄君) 二十四年度作り方でございますが、私は実はその実績を作るほうの名人ではないのでありますが、ラインは心得えておりますので、そのラインを申上げたいと思います。
  6. 小林政夫

    小林政夫君 大体の要領を……。
  7. 内田常雄

    政府委員内田常雄君) それでは大体の要領を申上げます。先ず勤労所得でありますが、極く大ざつぱに申しますと、今勤労所得計算するための資料として二つの大きな統計が発表されております。一つは、先ほども触れました総理府の毎月勤労統計賃金統計であります。これは男女別業種別に毎月の賃金変動を現わしております。もう一つの主要な統計は、労働力調査報告というのを労働省でございますか、労働省が毎月公表いたしておりますが、これは業種別勤労者実数変動を毎月示しております。そこで極く簡單に考えますると、結局勤労者に入る所得は、冬業種ごと勤労者実員数に一方の統計における毎月の賃金を掛け合せまして、それを全部合計したものが勤労所得になる、その中には官公吏もありまするし、鉱工業労務者もございますし、商業、自由業に従事する者もある、或いは団体役員もあるというふうになつております。ただ農業とか水産業につきましては、たしか毎月勤労統計及び労働力調査報告にはなかつたと思います。これは別に農林省方面統計農業労務者につきましては、日額日雇賃金調というのが農林省から出されております。それに対しまして農家経済調査といいますか、そういうものが農林省のほうから出ておりまして、これが農家の各規模ことに調査がありまして、各規模ごとにどれだけの農業雇用者を使うか、農業雇用者の場合には非常に臨時の人が多いので、月ことに非常に違つております。而も一方は日額賃金が載つておりますので、それを何か数種のグループに分けまして日額を掛けて月額に延ばし、それを一定の型によつて年額に延ばすというような、やや複雑なことをやりまして、農業における労務者所得計算する。林業水産業のほうも、これも鉱工業のように簡單に参らないで、農業鉱工業との丁度間程度の掛け合せのような方法をとりまして勤労所得実績をはじいております。これは毎月の勤労統計労働力調査報告は二、三カ月遅れて統計が出るようであります。農業とか水産業とか林業統計は非常に遅れるというようなことのために、この実績も半年ぐらいずれたものでなければ出ない。アメリカあたりですと一四半期ズレぐらいの国民所得実績はどんどん出て参る、今日ですと十二月くらいまで、二十五年の暮までの実績がわかるというように統計が整備しておるようでありますが、我が国では恐らくまだ去年の六月くらいまでの実績しか上つていないのじやないかと思います。  それから個人業主所得実績、これも先ほど触れたのでありますが、これは税のほうから見ますと、先ず事業税とか或いは申告所得税を取りますために、無論課税所得があり、課税所得を又引延ばして全体所得推計できるわけでありますが、私どもは税は或いはこの所得調査にゆがめられている部分無きにしもあらずと考えますので、全然別の点から個人業主所得をとることにいたしまして、たしか全国のいろいろな型の都市、十都市ですか二十都市ですかを選びまして、業主もいろいろな種類業主を含むような形で業主をとりまして、その個人業主について商工会議所その他の機関を調べまして実態調査をやるのであります。その実態調査は飽くまでもこれは雛型といいますが、抽出調査でありますから、それをそのまま全体に延ばす際にいろいろな問題がある。そこで税のほうは或る業者、個人所得のつかみ方としては間違つておるかも知れませんけれども、全体から見た場合は、或る都市都市との間、或る事業事業との間というものは一つの型があるわけでありますから、税における課税所得の型のようなものを一方睨みながら、或々が個別的に作つた個人業主所得全国的に全体的に引延ばすようなことをやつておるわけでありまして、これは私どものほうに国民所得調査室というこのための組織がございまして、これが中心なつ全国のいろいろな機関の協力を得ながらやつておるわけであります。法人所得、これも実際の所得をつかむということはなわなわむずかしい。特に国民所得という場合には、要するに法人が作り出す、法人に残る附加価値でありますから、必ずしも簿記会計でいう法人所得、或いは税でいう法人所得とも違う点があるわけでありますが、現状におきましては、これのつかみ方が非常にむずかしいために、主としてこれは先にも触れましたように、課税のための予算見積りをいろいろな点から法人についてやる。それを基礎として何か一つの型があるはずです。修正したり又課税のための所得は、所得ある者だけでありますが、国民所得として全体を見る場合には、損のある、所得のない法人を見て、その分を、損の分を引かなければならないものですから、損のある法人の型、損のある法人所得の割合というものを一方に出しまして、それを課税所得から引いたりするようなことをやつて非常な苦心をして、いわゆる実績を作り、課税所得としておるようであります。  大体さようなことで、なおそれ以上詳しいことは必要によりまして、そのほうの専門家からお答えさせることにいたします。
  8. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 ちよつと関連して……、二十五年度数字が、暫定的でもいいが、実績となる……、一応確定するのは、時期に言つていつ頃か、それから実績になると二十六年度はそう違わないという話だが、二十五年度実績になるとやはり違う、こういうお見込ですか。
  9. 内田常雄

    政府委員内田常雄君) そうです。二十五年度実績になりますのは、恐らく二十五年度終了から五カ月近くなりますから、二十六年の早くても九月だろうと思います。
  10. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 それでやはり相当違いますか、今までの感じでは……。
  11. 内田常雄

    政府委員内田常雄君) 二十五年度は、一応二十五年度末、つまり本年の三月までの物価見通しておりますから、二十六年度ほどには違わないと思います。二十六年度は丁度三月まで、ところがこれも正直に白状いたしますと、この二十五年度予測でありますが、予測使つた物価によつて、我々がここまで物価は上らない、今年の三月においてそれほど物価が上らないだろうと思つてこの数字を作りましたものが、すでに物価のほうが先に、実は生産財につきましては上つてしまつておるので、詳しくやり直せばもう少し二十五年も殖やさなければならん面がすでにあるようであります。大体申しますと、先ほど取りました生産財実効価格ですが、生産財実効価格は、基準昭和二十二年七月から二十三年六月を一〇〇としておりますが、その基準一〇〇に対して今年の二月は三〇一・八と見ましてつまり二十三年の三倍というふうに見ましてやつておりましたのに、最近発表になりました生産財実効価格数字を見ますと、すでに昨年十一月の数字、これは一番新らしい実績数ですが、昨年十一月において三一一・五という数字が出てしまつておる。従つてこれが十一月ですから、今年の三月まであと四、五カ月の数字が出て参るときには、この三一一というものは、今年の状況ですと更に上つてしまつて、三二〇とか三三〇とかいう数字が出て来るのじやなかろうかそれを我々のほうでは今年の三月を三〇一・八というような数字を使つたままになつております。これはもう生産財のほうは、消費財生産財実効価格に比して上げ足が非常に想像以上のピツチでありましたために、こういうことになつておる。それらの点を中心として相当六カ月後の実績が出るときには違うのじやないかと思います。
  12. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 これは生産のほうは、勤労者の員数のほうはその狂わないですか、二十五年度は……。
  13. 内田常雄

    政府委員内田常雄君) 勤労者の員数のほうはそう狂うまいと思つております。これは佐多さんも御承知のように、今度の自立経済審議会においては、生産相当殖えますが、雇用はそう改善しないという見通しなつております。ただ雇用内容として、賃金等は改善するけれども、失業数が減るとかいう数字なつておらない。この二十四、五、六の間におきましても、雇用数字というものは大きいものを見積つておりません。ここに前の数字がございますが、大体雇用員数のほうはそう狂うようなことはなかろうかと思います。
  14. 小林政夫

    小林政夫君 特に所得計算について安本の見解をお尋ねするゆえんは、減税はどうかという所得課税の問題とからんでおるのでありますが、その判断をするために尋ねておるわけですが、今の個人業主所得及び法人所得の算定方法を求められておる個人業主のほうは、実態調査等を或る程度考慮に入れると思いますが、今のお話でありますと、法人所得のほうは大分課税見込額、課税額から逆算的な要素が多少ある。それで先般の本委員会における大矢委員の議論においても、個人のほうはなかなか過大見積ではないか、それから法人のほうは過小見積りではないかというような意見もあつたのであります。そこで個人業主のほうの所得見積りについても、多少課税額のはね返りのようなことを今おつしやつたわけですが、もう少し詳しく私としては計算方法を聞きたいと思うのでございますけれども……。
  15. 内田常雄

    政府委員内田常雄君) 国民所得は、これは貨幣価値と申しますか、購買力が不動のものでないために、数字が大きくなることが必ずしも国民の実質所得が大きくなつて来ているわけではありませんが、名目所得は御承知のように大きくなつている。併し財政規模或いは税收の予算実績等は、むしろ最近におきましては、年々減らされて来ている、これは全体としてのお話ですが、従つて我々は全体としての割合を見ますと、国民所得或いは国民総生産について財政規模なり或いは税收額というものは低くなつて来ているということは間違いございません。各税法が減税になつている以上に、国民所得と税の割合は、国民負担が低くなつて来ていることは現われている。各業主の間とか、法人法人との間とかについては、これはいろいろな面がありますけれども、これはなかなか国民所得計算と、それからその当該税金等を付けましても、国民所得自身が、私が先ほどから申上げましたように、実績におきましても、予測におきましても、びた一文も狂わないことはないということで大体の傾向を見ている。併し税のほうは、税の目的から、かなり具体的に一つ一つ捉えて課税されておるものでありまして、それをぶつけて見ましても、計算の総合が現われるだけで、それを以て負担の公平とか或いは軽重とかいうような判断には具体的にはならん面が多いだろうと思います。
  16. 油井賢太郎

    ○油井賢太郎君 今のお話のうちでCPIが余り上つていないというようなお話なんですが、実際我々常識的に考えますと、相当消費価格というものが上つているのですが、その狂いはどうして来るのですか。これはやはりあなたのほうの調査では、消費財というものは上つていないというふうな確信がおつきになりますか。
  17. 内田常雄

    政府委員内田常雄君) CPIは、これは数字の上で上つていないことは御承知の通うでありまして、例えば東京の二十四年度CPI平均は、一三二・七でありまして、ずつと二十四年度中は各月のCPIは下つて参つておるわけで、二十四年度末、即ち昨年の三月にはCPIは一二五という数字、それから更に本年度に入りましても、一番低い月は五月の一一八というところまで下つて来ております。一番新しいCPI数字が昨年の十二月でありますが、一二八・八というような数字で、昨年度の十二月が一三〇・九というところから見ましても、ずつと下げ足が来て、六月以降僅かに上つている。私の記憶では、これは計算すればすぐ出るのでありますが、昨年の四千六月のCPIを一〇〇とした場合、この十二月は一〇六か一〇七で、六%か七%しか上つていない。これはCPIは嘘を作つたものではなく、実際の調査対象になる生計費における購買内容から形成されておるわけでありまして、妙な言い方ですが、無論繊維品等を買わなければ上つて来ないのですが、CPIが上つていることは買われているということなんです。従つてこのCPIの中に現われていることは、各物価ではなく、現実に家庭が一定の家計費で購入した内容の掛け合せが出て来るのでありますから、例えば物価が如何に上つても私どもの場合で見ますと、家庭が買わん場合が多いのですから、CPIの中に出て来ない、こういう恰好だろうと思います。併しいつまでも変らないのではありません。上つているものは大体先ず消費財では繊維、あとは金属とか……、金属等は余り変りありませんが食糧の関係もあるでしようが食糧は今まで一月以降若干上つているのでありましようが、十二月まではそのままの価格であり、闇はむしろ下つておる。この中に詳細な分析がありますが、何ならこれを差上げてもよろしうございます。
  18. 油井賢太郎

    ○油井賢太郎君 結局CPIというものは、消費力といつでも並行するということになれば、その月の所得CPIというものは常に一致している、こういうふうになつてしまうということですね。消費財価格変動というものは何にも織込まなくてもいいことになる。その矛盾はどういうことになりますか。
  19. 平田敬一郎

    政府委員(平田敬一郎君) このCPI動きは、主税局といたしましても注目して見ておりますので、若干その見ておりますことを御参考までに申上げますが、CPIは内閣の統計局でやつております五、六千の世帶の現実家計調査を基にいたしまして、それを指数化しておる。ウエイトは一定のウエイトをとりまして、現実指数化しておりますので、その指数といたしましては、やはり物価指数、消費者の購買する総合物価指数をなしていることはこれは間違いないと思います。これは最近或るものは非常に上つておりますが、CPIの内容を見ますと、或る部分は相当つている、例えば家計費の中で御承知の通り飲食費は約六割近くを占めておりますので、この主食、副食等の動きがどうなるかというのが、実はCPI指数に非常に大きく影響することだと思います。而も配給がよくなつているか悪くなつているか、闇の部分が多いか少いか、そういうことによりましても実効価格が変つて来る。従いまして私は最近まで比較的CPI物価騰貴にかかわらず安定しておりますのは、食物の価格というものは比較的ほかの物価より上つていない、これが一番大きな原因ではないかと思います。衣料品その他のものは相当やはり私は上つていると思いますが、これはウエイトがやはりそれだけ少い家計費の中で占める部分が少いものですから、全体としてCPIの結果に現われるところは少くなつております。こういうのが大体の傾向ではないかと思います。それから家賃、交通費等は去年以来上つておりませんし、こういうもの全部を含めました総合指数でございますから、今安本の金融局長からお話になりましたような状態に実はなつておるようですが、衆議院でも、物価は我々の常識では二割乃至三割上つているのに、局長の説明は違うのではないかと大分反問されて、統計もたびたび申上げたのでありますが、私ども、さつき金融局長のお話のように、昭和二十四年の平均を一〇〇としますと、昨年の十一月の水準はまだ九三ですね、それが十二月にちよつと四%くらい上りまして、九七になつておる。十二月に非常に上りましたのは、これは私は相当CPIの危險信号というふうにこれを感じておるのですが、一方十二月におきましても賞與等の支拂がありまして、まだ賃金の方拂の総額は出ておりませんが、相当殖えておるようですね、従つてその辺が相当影響しているところもあるのではないかと考えられますが、今後どういうふうになつて行くか、これはなかなか問題だろうと思いますが、今までのところは財政金融局長のお話通りでございまして、余り実は上つてない。二十四年を平均しますとむしろ下廻つている。去年の六月頃に比べますとと二月で六・七%の増加というのが大体の状況のようでございます。なお併しこの点はいろいろ資料等必要がございますれば、別途に作つて御提出してもよいと思いますが、私どもそのように判断いたしております。
  20. 小串清一

    ○委員長(小串清一君) ちよつとお諮りしますが、舟山銀行局長が見えていますので、東銀の債券問題についてこれより質疑を……
  21. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 そうするとこの問題は又別の機会に……。
  22. 小串清一

    ○委員長(小串清一君) 若し御希望があつたら別の機会に……、舟山局長は非常に忙しい人ですから、一時これは留保して……、舟山局長にお願いしますが、この東銀金融債発行を契機としての、只今問題になつている……、いろいろの議論があるのでありますが、この東銀発行の可否を論ずるよりも、金融債のあり方とか金融の機構とか、無記名預金と税制との関係とかいろいろ問題があると思います。これについて局長の考えを一つ説明願いたいと思います。
  23. 舟山正吉

    政府委員(舟山正吉君) 最近銀行の金融債発行の問題、これは正確に申しますれば短期の金融債発行の問題をめぐりまして、東京銀行東銀債貿易債なるものを発行しようとする具体的な問題に至りして、世上いろいろ批判があるが、この中には私ども予想もしない雑音も入つておりますので、意外としておるところでございますが、この問題は昨年銀行等の債券発行等に関する法律の制定以来、純粋に事務的にいろいろ検討もし、計画も取り運ばれて参つたのでございまして、ここに若干その経緯につきまして御説明申上げて御了解、御明察を頂きたいと思うのであります。この昨年の債券発行法の制定におきまして、銀行も、あらゆる銀行が基盤においては平等な立場に債券を発行し得るということに相成つたのでございます。  先ず第一に問題になつておりますことは、東銀債の発行が同法の趣旨に反するのではないかという点でございますが、そういうような法律的見解について、問題のないことは、若し御質問がありますれば詳細申上げたいと思いますけれども、端的に同法に基いて現に割引興業債券、割引商工債券が発行されておるという事実だけ捉えましても、別に問題として取上げる点はないわけでございます。同法におきましては、同法施行と関連いたしまして、興業銀行、勧業銀行その他の旧特殊銀行を普通銀行といたしまして、他の銀行と同列に置くという精神を持つておるわけでございます。  それから次に、同法に基きまして短期の金融債券を発行する意図が当初からあつたのかどうかという問題につきましては、当時同法案の提案理由にも謳つてございますし、又質疑の際に私どもの見解も御説申上げた次第であります。例えば預金証券とも言うべき短期の金融債も同法に基いて発行し得るのであるということをはつきり申上げておる次第であります。そこで昨年の夏頃から、東京銀行におきましては早速東銀債券を発行いたしたいという希望も持ち、計画も立てたのであります。そうしまして私ども事務当局のほうにその可否について御相談もあつたのであります。御承知の通り金融債発行は、従来の許可事項から外しまして、あらかじめ当局に届出ればよろしいということになつたのであります。東銀もそういう建前になりましたにもかかわらず、短期金融債発行については愼重な態度を以て事務当局に相談があつたわけでございます。私どもも慎重に研究しますために、暫らく実行を待つようにという趣旨を以ちまして、到頭昨年中にはその発行を見るに至らなかつたのでございます。東銀ではその希望を捨てませず、昨年の暮になりまして、更に新春を期して東銀債の発行をいたしたいという申出がございました。別途この資本蓄積の問題が非常に緊要である時期になりまして、かたがた金融も特需関係とか、輸出関係とかのために相当引きゆるみまして、市中に余裕資金のあることも御承知の通りであります。この資本蓄積の一つ方法といたしまして、当局といたしましては、別途税制のほうの改正をも考えまして、御承知の通りこの預金利子に対する源泉選択課税の復活ということも、昨年暮頃の情勢におきまして、ほぼ復活の見込がついて来たという時期に相成つたのでございます。金融界からは今度の債券発行をめぐりましても、こういう金融債発行よりも、又昔のごとく無記名定期預金の復活のほうがより効果的であるという御要望もあつたわけでありますが、この無記名定期預金の問題につきましては、再三私どものほうでも研究いたしたのでありますけれども、どうしてもこれは実現される見込はないという結論を見るに至つてつたのであります。そこでこの資本蓄積にはいろいろ手を用いる必要がある。ついては預金証券とも申すべき短期金融債発行もこの際これを認めまして、あらゆる手段を盡して資金吸收に努めるということが必要であろう、又その時期であるという見解に達しましたので、この東銀債の発行もよろしいであろうということを大蔵省の見解として東銀に申し渡したわけであります。ただこの際短期の銀行債の発行につきまして、私どもは何も手放しで全然自由に各銀行をしてその発行を認めるという趣旨ではなかつたのでございます。このことは最近この問題が世間の問題になります前に、見解もすでに表明しておる次第でございます。即ちこれが濫発を見まするならば、現在問題となつておりますように、預金の横流れその他の弊害を伴う慮れなしといたしません。そこで各銀行の各月の発行額、延いてはその月における銀行短期債の発行総額、更にその條件、更に進みましては売出しの方法、こういうものについて、或る程度の調整をしなければならないということを考えておつたのでございます。そうしてこのことは各銀行から金融債発行の希望がありましたときには、適当に内面指導をいたしたいと考えておつた次第でございます。こういたしますことによつて、單に定期預金が銀行債に振替わるといつたような弊害も十分に除き得る、そうしてこの資金吸收に十分貢献し得るというような考えを持つてつたのでございます。今後におきましても各銀行に債券発行について自由競争さすということではございません。そこは適宜調整をとつて行くつもりであることは変らないのでございます。こういたしますれば短期銀行債の発行によりまして、弊害の面より利益の面が非常に大きい。そして現在の金融情勢上裨益するところが少くないと、こう考えておる次第でございます。その他派生的な問題がいろいろございますが、なお御質問によりましてお答え申上げたいと思います。
  24. 松永義雄

    ○松永義雄君 ちよつと簡單に、只今大蔵省なんですが、見解の発表とか指示とかいう言葉があつたのですが、解釈のしようによつては金融の統制ということになろうかと思いますが、そういつたことは銀行業務について法律の根拠があつて指示とか見解があつたのですか。
  25. 舟山正吉

    政府委員(舟山正吉君) 私が見解とか指示とか申しましたのは、例えば銀行業者の集まり等の席上において意見の交換をする際に、そういうことを申したのであります。そうしてこの権限的な問題につきましては、銀行に対しては広汎な監督権を持つております。そういうことによりまして少くとも表面には立ちませんけれども、いろいろ内面的な御相談には応ずるということは従来もやつておることであります。それらによつて金融界の円滑なる運営をしたいという考えでやつたことであります。
  26. 松永義雄

    ○松永義雄君 その監督という意味ですけれどもね、そういう積極的な指示にまでも及ぶべきですか、監督という言葉は……。
  27. 舟山正吉

    政府委員(舟山正吉君) この金融界に起ります凡百のいろいろの問題につきまして御相談に応じ、或いはこちらからこうしたらよかろうという意見を申上げておるわけでございます。
  28. 松永義雄

    ○松永義雄君 普通監督という言葉は、取締という言葉に似た、親戚のような感じがするのですけれども、積極的に述べられるだけの権限がはつきり法律上認められているか。
  29. 舟山正吉

    政府委員(舟山正吉君) 銀行法の中に、大蔵大臣は銀行に対して諸々の指示をなし得るという規定がございます。
  30. 大矢半次郎

    ○大矢半次郎君 従前は特殊銀行、例えば興業銀行等において相当短期の割引債券を発行していたのでありまするが。あれは期間は一年のものに限つておりますか。それともそれよりも長期のものがあるか、又六カ月、三カ月の短期のものがありましたか、その点……。
  31. 舟山正吉

    政府委員(舟山正吉君) 戰争後債券を発行いたしましたのは主として興業銀行でありまして、これについては三年の利付の債券、それから一年の割引発行の形による債券とございました。それからこの法律ができまして、見返資金で特殊金融機関に実施いたしましてからは、商工債券等の割引発行の形で出ております。なお特殊の例でありますけれども、昨年は農林債券につきまして半年ものの発行を、これは一年を限つて特殊の事情がございましたために認めた例がございます。併し金融債券といたしましては一年ものの割引発行のもの、それから三年ものの長期のもの、この二種類と考えてよろしいと思うのでございます。
  32. 大矢半次郎

    ○大矢半次郎君 長期資金の三年のものは、金融界の條件が許すならば、もつと長いものでも発行し得るのではなかろうかと思いますが、これは既往のものにおいても幾らも例があります。私の伺つているのは、割引債券についてそういう三年とかということを果して会後お認めなさるかどうか。それから六ヶ月、三ヶ月の短期の割引債券もやはりお認めになるか。法律上の解釈及び実際の運用上、どういうふうになるか。
  33. 舟山正吉

    政府委員(舟山正吉君) この三年ものの債券もでき得ればもつと長くいたしたいのでありますが、これはインフレ進行時期におきましては、なかなかそういう債券は売れません。一両年以来インフレも安定して参りましたので、漸次債券を長期化して行くことが可能になつて来たところであつたのであります。それから割引債券につきましては、一年もののほかはございません。それで今度東銀について認めるについて、短期銀行債券の條件は、一年ものに限つて行くという考えを持つてつたのでありまして、半年ものとか、三カ月ものを認めるという意思はなかつたわけでありまして、そこで又誤解を招く言葉でありますが、認めると申しましても、法律上はあらかじめの届出によりまして銀行が発行する建前になつております。併しその届に先立ちまして、いろいろお話合いをし、いわゆる内面政策といたしまして、そういうものは出させないという方針をとりたいと考えております。
  34. 大矢半次郎

    ○大矢半次郎君 先ほどのお話の、無記名の定期預金の復活ということも大分希望があることで研究して見たが、到底実現が困難だというので、これは見合した、併しその他のいろいろの方法でできるだけ貯蓄増強をしなければならんというので懸案の東銀債の短期割引発行も認めることにした、こういうお話でございまするが、そういたしますというと、定期預金につきましては、御承知の通り金利の調整審議会がありまして、金利の調整をやつておるのでありまするが、これを短期債券、東銀債の例等につきましては、どういうお考えをお持ちでございましようか。
  35. 舟山正吉

    政府委員(舟山正吉君) 臨時金利調整法により、金利の制限につきましては、この一年以下の金利についてのみ規定がございます。それから債券等につきましては、同法には別に制限規矩はないのであります。併し今度一年の短期銀行債というものが出ますにつきましては、これは丁度定期預金と経済的に働きを同じくするものでありますから、同期間の定期預金と或る程度の均衡はとつて行かなければならんという考えを持ちまして、従来割興等におきましては年利で七分二毛くらいの金利でありましたのを、東銀債においては年五分というところまつで引下げることを考えたのであります。
  36. 大矢半次郎

    ○大矢半次郎君 興業銀行のごときは、店舗が少いから発行方法、売出し方法についてもおのずから限度があると思うのでありますが、東京銀行のごとき、或いはその他の普通銀行においてこういうものを発行することになりますと、よほど変つて来て、他の普通銀行等の定期預金に対する影響もあると思うのでありますが、そういう点についてはどういう考慮を拂つておられますか。
  37. 舟山正吉

    政府委員(舟山正吉君) 債券発行法の制定以来、各銀行は法律的には一定の條件さえあれば、つまり自己資本に対する発行余力がありますれば債券を発行し得ることになつたのであります。そこでこれを、発行を予期するということは必ずしも公平の観念に合致しない、但し発行する場合の條件、金額等の調整は必要であるという考えを持つておるわけでございます。
  38. 大矢半次郎

    ○大矢半次郎君 それから先ほど定期預金との関係のお話がありましたが、定期預金につきましては、相当税負担があるのでありまするが、この割引発行の債券については、所得税関係はどういうふうに御解釈なすつておられますか。
  39. 舟山正吉

    政府委員(舟山正吉君) 割引債券につきましては、売出価額と償還価額との差、いわゆる発行格差につきましては、これは申告によつて課税を受けるというのが、税法の解釈と承知いたしております。
  40. 大矢半次郎

    ○大矢半次郎君 それから新聞紙等におきましては、貸倒準備金を、この債券発行基礎計算するところの一般の利益から積立てた準備金の中に計算するかのような記事もあるのでありまするが、大蔵省といたしましては、法律の解釈をどういうふうに見ておられますか。
  41. 舟山正吉

    政府委員(舟山正吉君) 債券発行法におきまして、第二條の第二項に、「この法律において「自己資本」とは、資本金及び準備金をいう。」とありましてその準備金は、「準備金、積立金、基金その他名称の如何を問わず利益のうちから積み立てられたものであつて、且つ、株主勘定に属するものをいう。」という規定がありまして、貸倒準備金は、経済的に見まして利益の中から積立てられたものであり、且つこれは株主勘定に属すると見てよろしいという意味合いにおきまして、本法の自己資本の中に入れたわけでございます。税法等の解釈と、この法律につきましての経済的な解釈とは、或いは異なるところがあるかも知れませんけれども、本法の解釈上は差支えないものと考えております。
  42. 大矢半次郎

    ○大矢半次郎君 私はその点非常に疑問を持つておるのであります。貸倒準備金は、どうしても貸出し債権の中に相当不安なものがあるからして、それを将来の準備のために積立てる、而して金融機関につきましては、特に普通の会社以上に現下の金融情勢から見て、その準備率を多くしなければならんというので、三年間の期間を限つて、特に現在多くしておるようであります。金融機関のほうからもこれは非常な要望があつて、どうしても貸出に不安なものがあるからして、これは普通の会社と異なつて、準備率を多くしてもらいたいという要求があつて、ああいう法律ができたものと思つておるのでありますが、そういうふうな情勢にありながら、今債券発行基礎にこの貸倒準備金を入れるというのは、不確実な要素が多分にある、これがために又税の方面においても課税しないで損金に見えるところのものを発行基準にとるというのは、債券の信用を傷付けるものではなかろうかと思いまして、私はこれは愼重に御考慮願いたいと思います。現に当初大蔵省でもそのような解釈をとつていたのが、最近変更したのではなかろうかというような気がいたしまするが、これは是非御考願いたいと思います。
  43. 舟山正吉

    政府委員(舟山正吉君) 貸倒準備金を自己資本に入れるかどうかの解釈につきましては、本法制定以来切実な必要というものはなかつたから、特に研究することがなかつたのであります。この際当局の解釈としては、自己資本に算入してよろしいということを、研究の結果決定した次第であることを御了承願いたいと思います。それから貸倒準備金は、成るほど不良債権がありました場合には、これは準備金といたしましては減るわけでありますが、併しこれは銀行の内部留保であるという意味におきまして、本法の精神から照し、且つ経済的に考えまして、債券発行額を関連させて考えるということは、必ずしも不当でないと考えます。
  44. 大矢半次郎

    ○大矢半次郎君 主税局長はおられますか。主税局長に伺いたいのですが、今の銀行局長説明のようにいたしまして、税法上果してこれを損金に見るのが適当とお考えになりますか。
  45. 平田敬一郎

    政府委員(平田敬一郎君) なかなかむづかしい問題と思いますが、今銀行局長のお答えは、恐らく債券の発行等に関する法律の解釈問題としてお答え願つたのじやないかと思います。これを実質的に判断した場合にどうすべきかということになつて来ますと、私は若干研究の余地があるのではないかと思うのでございますが、税法で認めましたものは、今のお話のように、将来貸倒れになる危險が相当多分にある、それに対する準備としまして設けるというのが、貸倒準備金の準備でございます。若しそういう危險がない、非常に準備金として確実なものであるということになりますと、これは或いは準備の率等につきまして、どうするか検討するといつたような問題が出て来ると思います。併し今のところといたしましては、現在の法律の解釈といたしましては、銀行局の解釈は、これはいたし方なかろう、かように考えるのでございますが、政策的にどうする、又立法論としてどうするか、この点につきましては、まだ若干問題が残つておるのじやないかと思います。
  46. 大矢半次郎

    ○大矢半次郎君 この銀行等の債券発行等に関する法律自体を見ましても、若しも預金が債券発行のときに比べて増加して、従つて自己資本の二十倍を越すような場合には、期末において利益の中から準備金を積立ててそれを補填しなければならんという規定がありますが、こういう場合には貸倒準備金を増加して、そうして積立金の補充をやつて差支えないという解釈をとられますか。
  47. 大月高

    説明員(大月高君) 先ほどの局長の御説明を補足いたします。貸倒準備金を積みます前提といたしましては、先ず利益があることが必要でございまして、その利益の中から利益の百分の三十いとう限度で積むわけでございます。従つて一般の準備金と同じく、利益の中から積立てまして、それを将来の貸倒れの準備に当てるわけでございます。税法において認められておりますのは、最小限そのくらいの貸倒れは将来あるべしということを予想いたしまして、認められておるわけでございまし、これが只今では百分二という数字なつております。貸倒金の百分の二という限度になつております。銀行の実際の経理におきましては、将来起ることあるべしと予測いたします貸倒れに対しましては、税金を拂つた貸倒準備金をやはり別途積んで置くわけでございまして、税法のほうにおきまして、百分の二の程度までは税法上優遇する、それを超える分につきましては、有税を以て積立ててもかまわないという建前になつておるわけでありまして、税法のほうで比較的確実な分を除外しておるわけであります。この考え方は、例えば税法と金融との関係におきまして、今度この債券発行法に基きます優先株式に対する配当は、七分五厘ということになつておりますが、この七分五厘の配当につきまして、損金処分として税法上は見るという法律案を只今国会に提出してございます。つまりこの七分五厘というものが利益の処分がないというような問題になりますと、やはり経済的には利益の処分である、併し税法上はこれを損金として扱つて優遇するんだ、こういう意味だと了解いたしておるのでございます。その他将来取り崩されることあるべしという問題につきましては例えば現在利益処分として各会社でやつております退職準備の引当金のごときも、長い計算を以ていたしますれば、退職者があれば必ず崩れて行く準備金なのでありまして、これは現在有税になつておりますけれども、これは如何なるものを税法上優遇するかどうかということによつて判断していい問題ではないかと考えます。
  48. 大矢半次郎

    ○大矢半次郎君 私は税法所定の貸倒準備金以外に、自分のものを貸倒準備の名前で銀行が積立てたものを、そういうものを、債券発行基礎にするのは、不当だということを申上げておるのじやありません。それは御随意です。私はそういうことについて御質問しておるわけじやございません。私は現下の経済金融の情勢からいつて、銀行の貸出資産の内容の中に、こういう不安のものがあるからして、普通の会社よりも余分に貸倒準備金を積立てなければならん。これがために税法上もその積立てた分は、損金に扱わなければならんと一方にして置きながら、最も信用を重じなければならん債券の発行基礎たる準備金にこれをそのまま入れるということは、法律の解釈よりも、むしろ貸倒れの準備金の制度を設けたゆえん、又金融債券の世間に対する信用を保持するゆえんから言つても、決して当を得たものではなかろうと、こういう考えの下に聞いておるのです。私は單に論理を喜んでおるわけではありません。事の妥当なりや否やということについて御意見を伺つておるわけです。
  49. 舟山正吉

    政府委員(舟山正吉君) 預金と債券の額を、自己資本に対して一定の率を保たしめるという本法の措置につきまして、かかる貸倒準備金のほかに、いろいろ準備金も算入し得ることを本法では認めておるわけでございます。今大矢委員のおつしやいましたように、嚴密にこの自己資本というものを、これを経済的に嚴密のものとするというようなことになりますれば、例えばこの新銀行法の草案において採用いたしましたような実質資本というような観念、即ち銀行の資産中、不良のものはことごとく洗い去つた残りの資産から算出いたしました実質資本、こういうところまで行かなければ徹底しないのではないか。又それも一つの行き方ではあるということを考えておるのであります。本法の解釈といたしましては、あらゆる準備金、積立金等は一応の内部預金といたしまして、それによつて債券発行限度の線を算出いたしてよろしいということになつておりますので、貸倒準備金の今度の取扱につきましてもあえて不当なことはないと考えております。
  50. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 今の問題に関連して……、どうもいろいろ御説明を聞いていると、貸倒準備金を自己資本に算入するということは、非常に無理があるという感じは掩い隠せないと思うのですが、今の大矢委員の意見でも、その点ははつきりしているし、御答弁も非常に苦しい、無理な御答弁のように感ずるのですが、そういう無理を今になつてあえてしなければならなくなつたというのは、一体どういうためにそういうことになつたのか。私たちが市井で聞くところによると、東銀に大体短期債を許すという一つの無理をやつたために、そのために各銀行が、その他の市中銀行が騒ぎ出した。特に大銀行の間あたりでも発行余力のないものが非常な騒ぎをやり始めたために、若干そこに発行余力をつけてやるために、苦し紛れに、最初に無理をやつたものだから苦し紛れて更にそれを合理化するために第二の無理、或いは極言すれば、嘘をやらなければならんというようなことになつて、非常な無理をやつているのじやないかという感じが掩い隠せないのですが、もう少しそういう実体面の実情をお話願いたい。
  51. 油井賢太郎

    ○油井賢太郎君 関連してお聞きしたいのですが、大体今回の問題の焦点というのは、大蔵省のいわゆる見解の帰着点にあると思うんですが、我々はここの大蔵委員会で以て、銀行等の債券発行等に関する法律で以て、はつきりと第五條におきましてこの債券を発行しようとするときは、主務大臣に届け出なければならないと、届けさえすればいいというように我々はきめたと思うのです。それに対して大蔵省側は、届けがあつたものを無條件にどんどん許可して行けば、こんな問題はもうなかつたと思うのです。その点がどうもはつきりしないために、こういうことになつたのじやないかと思うのですが、一体国会で以て、国会の審議権で以てこういう法律をきめた以上は、それの上を行く大蔵省があるというのは、我々納得が行かんですが、その点について、今のに関連してお答え願いたいと思います。根本的問題です。
  52. 舟山正吉

    政府委員(舟山正吉君) 自己資本の解釈につきましては、先ほどと申上げましたように、本法に基きまして具体的の債券を発行するという現実の問題にぶつかりませんでしたために、法律制定以来、特に突き詰めた結論を出すということをいたさなかつたのであります。東銀債の発行をきつかけにいたしまして、解釈をはつきりさす必要がございましたので、この貸倒準備金につきましても、申上げておるような結論を下したわけでございます。それでその解釈につきましては、先ほどから申上げておりますような趣旨に基きまして、私どもは決して不当なものではないと考えておる次第でございます。それから第五條の規定に関連いたしまして、届出事項であるから、大蔵省がこれを阻止したりすることは適当でなかろうという御見解でございますが、金融上の問題は、いろいろその銀行だけの問題として片付けるわけに参らん場合が多いのでありまして、金融界全体に波及する、それから又その扱いには極めて微妙なものがあるわけでございますので、銀行からも御相談に見え、それに対して私どもは私どもの見解を申上げるということは、行政適当な措置と確信いたしておるのでございます。まあ夏頃から東銀としては発行の希望を持つてつたのに、当局が故意に抑えたということはないのでございます。
  53. 油井賢太郎

    ○油井賢太郎君 只今の御回答の趣旨はわかります。趣旨はわかるんですけれども、法律で以てはつきりきまつておるものを、これは法律を変えないでもそういうことをやつて差支えないかどうかという点になりますと、我々疑問なんですね、もう法律ではつきりしているものなら、飽くまでこの法の通りにやつて行くべきものじやないかと思う。それについて政府みずからが、法をむしろなめているというふうに言われてもいたし方ないのじやないかと思うのですが、今後もそういう方針でやられるんですか。若しそれなら、我々が幾ら法律できめても無駄になつてしまう、その点はどういうふうにお考えですか。
  54. 舟山正吉

    政府委員(舟山正吉君) 私どもは決して法律の趣旨を無視しておるわけではございません。ただその実施に当りましては、特に金融に関する問題につきましては、愼重を期する必要もございますので、その都度いろいろこちらの見解は申上げるということは、必要があろうかと考えております。
  55. 油井賢太郎

    ○油井賢太郎君 新聞等によりますというと、日銀当局並びに政策委員会は、この件に関しては反対していたというふうなんですが、どういう理由で反対しておつたのか、それとも大蔵省側との見解の相違というものはどういう点にあつたか、又政策委員会は、或いは日本銀行は、そういう干渉をするだけの権限というものは、どういう法律によつてあるのだか、それを明確にして頂きたい。
  56. 舟山正吉

    政府委員(舟山正吉君) 東銀債の発行に対する反対論といたしましては、これをきつかけに大銀行が続々と短期銀行債を出すことになりましては、地方銀行あたりに非常に迷惑をかける、即ちそれらの定期預金等が横流れする虞れがあるというようなことであろうと思うのであります。それにつきましては、私ども発行方法等について十分調整して行けばその弊はないと考えておる次第であります。  それから日銀政策委員会、或いは金融界におきましていろいろ意見を出されますことは、又これは当然なことと考えております。
  57. 松永義雄

    ○松永義雄君 届出と指示ということと、どつちが優先するのですか、その点をはつきり……。
  58. 舟山正吉

    政府委員(舟山正吉君) 東京銀行が当局の指示と申しますか、或いは意見と申しますか、それに反して若しどうしても発行するのだということで強硬な措置に出ますれば、法律的にはこれを何ら阻止する方法はございません。
  59. 油井賢太郎

    ○油井賢太郎君 結局今の答えで以て大分明確になつたのですが、他の銀行でもやはり同様に発行するだけの権利は保有しておるのですから、そうである以上は、東銀だけに大蔵省が指示とか何とかいう問題じやないと思うのですが、それが世間一般では何か東銀だけに対して特殊取扱をしたのではないかというふうに読解されておるのかどうかわかりませんが、そういうふうに取沙汰されておるのです。そうである以上は、他の銀行でも債券を発行したいという届けがあつたならどんどんさせるということで以て、新聞に出ておるようなスキヤンダルという問題は出まいと思いますが、それが明白になつていないのはどういうわけですか。
  60. 舟山正吉

    政府委員(舟山正吉君) 本法施行以来の一年間におきまして、短期銀行債を出して見たいがというお申出があつたのは東京銀行だけであります。その他は届出は勿論御相談にもあずかつておらない。それに対しまして先ほども申上げましたような理由に基きまして、東銀債の発行は結構だと、こういう御返事を申上げたので、決して東銀だけに対して特殊扱いをしているということはないのでありまして、ましていわんや、それに関してスキヤンダルめいたことを世上で申されることは甚だ迷惑に感じます。
  61. 油井賢太郎

    ○油井賢太郎君 そこで、これは法律の趣旨というものがはつきりされればおのずから帰着点が出て来ると思うのです。大体今、日本で以て貿易金融というものは非常に不足していて、いろいろ工手の割引とか再割ということで日銀あたりでもやつておりますが、思うように行かない、結果において貿易業者はできるだけ便宜の多い銀行にどうしても貿易資金の金融を頼むのです。ところが東京銀行というのは元の横浜正金銀行であつて、貿易に関するエキスパートが揃つておるので、他の銀行に行くよりも東京銀行へ行つたほうが貿易関係の相談が早いと言つておるわけです。それが貿易業者の間にそういう声が強い、事実そうなんです。そういう際において大蔵当局、或いは金融関係の幹部のかたがたがそういうところを何故ああやつて抑えておるか。いわゆる自由競争時代的なものにもかかわらず、貿易資金の緩和を図るというような施策をしてないから、結局こういう法律によつて許される範囲内のことでもやろうという点が出ると思うのです。そういうふうな面において、根本的な金融政策面において政府の施策が正しくないのじやないかと、そのようにも思われるのです。そういう点から見ても、今回の問題はたつた十億の問題であつて、日本の貿易金融がこれほど大騒ぎするようでは、甚だ将来の貿易対策にも大きな影響があると思います。銀行局の当局としては、これに対してどういうふうにお考えになつておられるのでありますか。
  62. 舟山正吉

    政府委員(舟山正吉君) 御質問の趣旨が東銀債の発行を何か抑えておるというふうに、抑えておるのでけしからんというふうな趣旨に拜聽いたしたのでありますが、これを抑えていることはないのでございまして、現に、今月は十億の発行を認めた次第でございまして、貿易金融の重要性というものは重々認識しておる次第でございます。
  63. 油井賢太郎

    ○油井賢太郎君 もう一点。それではなぜ最初届け出た二十億を十億に減らしたかということなんです。
  64. 舟山正吉

    政府委員(舟山正吉君) これはこの銀行短期債を初めて発行することでもあり、そうして東銀がこのことを発表いたしまするや、金融界の一部の方面において相当の反対の意見も表明せられました。これについては漸進的に、或いは愼重を期してやつて行くことが適当であろうというふうに考えまして、それに対して東銀もそういう気持になられたのでございまして、決して東銀に強圧を加えてこれを十億減少せしめたというようなことはなかつたのであります。
  65. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 私もたくさんありますが、時間がないというお話ですから、他の機会にほかの問題は讓りまして、たださつき御質問したのがまだちつとも答弁になつておりませんので、もう一遍その答弁を求めたいと思うのですが、繰返えしても非常にあれかと思いますから、もう一つ視角を変えて貸倒準備金の自己資本算入の問題に関連するものとして、今度はもつと具体的に申しますと、発行資格のある銀行というのは今のところ、今の最近の数字でどれだけあるかということと、特にこれは大銀行、地方銀行について数字的にお示しを願いたい。最近の数字基礎にして、一体各銀行が発行余力としてどれくらいのものを持つているのかということを具体的に一つお示しを願いたい。  それから更にこれは貸倒準備金を入れた場合と、入れない場合とを区別して、どういう変化が出て来るのか。このことを数字的に明瞭にお示し願えれば、さつき私が質問した点が非常に具体的にはつきりなつて来ると思うのですが、その点を一つお示し願いたいと思います。
  66. 舟山正吉

    政府委員(舟山正吉君) この債券発行余力を計算いたします場合の預金平均残高は、過去一年間のものを取るということになつております。それでここに持つております資料は、昨年の九月末を基準といたしまして、過去一年間の預金平均残高を取つておりますが、現状から見ますれば、若干の相違があると思いますが、これを御説明申上げたいと思います。  銀行を分けまして、先ず貸倒準備金を含まないときの余力のある銀行の数、それから余力を申上げたいと思います。十一大銀行につきましては、十一行中六行が余力があり、その余力は三百九十億であります。それから旧特別銀行におきましては三行とも余力があり、余力は六百七十五億であります。地方銀行では五十五行中五行が余力があり、その余力は五億であります。信託銀行は六行中五行が余力があり、余力に三十三億であります。これを合計しまして七十五行中十九行が余力があり、その余力は千百五億であります。  次に貸倒準備金を含めましたときの状況を申上げますると、十一大銀行は十一行中八行が余力があり、余力は九百七十六億であります。それから旧特別銀行は同じく三行とも余力があり、その余力は八百十二億であります。地方銀行は五十五行中十六行が余力があり、余力は八十八億であります。信託銀行は六行中五行が余力があり、余力は四十一億であります。合計しまして七十五行中三十二行が余力があり、その余力は千九百十九億であります。
  67. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 今のあれで、昨年の九月を基準にされたのは何か理由があるのかどうか。若し何だつたらもつと新らしい数字基礎にしたほうがより適正なあれが出るのではないかと思いますが、その点を一つ説明願いたいことと、それから今の資料一つ資料にして御提出願いたいと思います。
  68. 舟山正吉

    政府委員(舟山正吉君) 預金について過去一年の平均残高を取りますことは、若干の手数がかかりますので、便宜業務報告書等でわかつております九月末の数字を取つたわけであります。なお最近の数字を取つて見たいと考えますが、預金は殖えておりますから、最近ではこれらの余力は減つておると思います。
  69. 松永義雄

    ○松永義雄君 大蔵大臣にどうしても出席を求めなければいかんと思うのですが、それを是非希望いたします。
  70. 小串清一

    ○委員長(小串清一君) それはほかの問題で、すでに大臣の出席を要求しておりますから、近く会議のときに来てもらうことにします。  それで本日はもう時間も大分過ぎましたから、この程度で散会をいたします。    午後零時三十一分散会  出席者は左の通り。    委員長     小串 清一君    理事            大矢半次郎君            森下 政一君            杉山 昌作君    委員            岡崎 真一君            黒田 英雄君            九鬼紋十郎君            清澤 俊雄君            佐多 忠隆君            松永 義雄君            小宮山常吉君            小林 政夫君            高橋龍太郎君            油井賢太郎君   政府委員    大蔵省主税局長 平田敬一郎君    大蔵省銀行局長 舟山 正吉君    経済安定本部財    政金融局長   内田 常雄君   事務局側    常任委員会專門    員       木村常次郎君    常任委員会專門    員       小田 正義君   説明員    大蔵省銀行局銀    行課長     大月  高君