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1951-02-22 第10回国会 参議院 大蔵委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年二月二十二日(木曜日)    午前十一時四分開会   —————————————   本日の会議に付した事件 ○所得税法の一部を改正する法律案  (内閣送付) ○法人税法の一部を改正する法律案  (内閣送付) ○通行税法の一部を改正する法律案  (内閣送付) ○登録税法の一部を改正する法律案  (内閣送付) ○相続税法の一部を改正する法律案  (内閣送付) ○印紙税法の一部を改正する法律案  (内閣送付) ○骨牌税法の一部を改正する法律案  (内閣送付) ○租税特別措置法の一部を改正する法  律案内閣送付)   —————————————
  2. 小串清一

    委員長小串清一君) それではこれより大蔵委員会を開会いたします。所得税法の一部を改正する法律案ほか七件の税制改正案についての質疑を開始いたします。委員のかたがたから質問の通告がございますので、順次これを続行するつもりでありますが、只今厚生省保險局長安田さんが見えておりますから、佐多君の御質問を先ず。
  3. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 先日大蔵省当局説明によりますと、所得税法改正一つとして、資本蓄積増強一環として、生命保險契約に基いて支拂つた保險料については、二千円を限度として所得から控除するということをやつたと、これは資本蓄積見地であると同時に、このくらいの保險料であれば、大衆的な保險契約者を対象とするものだから、そういう人たち租税負担軽減の一助にもなるという趣旨で、これを企てているんだというお話がありましたが、そうだとすればもつと大衆性を持つた健康保險その他の社会保險について、もつとその点を重要に考慮すべきじやないかという御質問をしたのに対していろいろ社会保險、特に健康保險保險料その他についていろいろ根本的な問題がまだ残つておるので、今のところはどうとも決定しがたい状態だというお話でございましたが、従つて私は大蔵当局意見意見として、更に直接に主管しておられる厚生省事務当局においては、その点をどういうふうにお考えになつておるか、特に当局からの御説明を願いたい。
  4. 安田巖

    政府委員安田巖君) 社会保險保險料所得金額から控除するという問題は、この法案が出る前に実は私どもから大蔵省に希望いたした事項でございます。  その理由生命保險保險料控除というのは、御承知のように、大正十二年以来、昭和二十二年の改正所得税法が施行せられるまで行われて来たんであります。生命保險料控除が行われなくなりましてからは、勿論社会保險のほうもとまつてしまつたわけであります。併し今度生命保險保險料控除が行われることになりますならば、大正十二年以来二十二年まで行われて来たように、社会保險のほうも所得のほうから控除してもらいたい、これがまあ一つ理由であります。その間健康保險保險料は、実は解釈控除されて来たので、生命保險保險料という表現の中に含まれるという解釈で実は控除されて来たわけであります。  それから第二の理由といたしまして、これは本質的なことでございますけれども、各種の社会保險保險料は、勤労所得者にとりましては絶対的な必要準備金であります。個人担税力を減殺する原因となるものでありますから、所得から控除しなければならんと、こういうのが私ども一つの主張でございまして、これは学説から見ましても、或いは諸外国立法例等におきましても、そういうことが是認せられておると思います。それからもう一つは、仮に社会保險のうちでも、短期の、例えば健康保險保險料というようなものは、生命保險保險料とは違うんだという説もあるかと思います。それならば船員保險でありますとか、或いは厚生年金保險でありますとか、そういうものの中に、いわゆる生命保險と同じような意味におきまして、養老年金などがございますが、そういつた長期保險保險料のみにつきましても、せめて控除してもらいたい。こういうようなことが主たる事由つたろうと思います。いろいろ諸般事情によりまして、政府としては今回は社会保險保險料控除しないと第十一号いうことになつておりますので、私どものほうも止むを得ないと思つております。
  5. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 今のお話によりますと、解釈上からも外国の事例からも、その他負担均衡といいますか、そういう点からも、社会保險料について控除することは当然だという御意見を持つておられるにかかわらず、諸般事情政府ではこうきめたんだという諸般事情というのはあなたのほうはどういうふうにお考えになつておりますか、その諸般事情というものを、もつと具体的に御説明願いたいと思います。
  6. 安田巖

    政府委員安田巖君) それは実は大蔵省のほうで御説明になるかと思いますが、主とした理由は、今度の生命保險保險料所得金額から控除するということが資本蓄積だというような意味を主たる狙いとしているという事情がございまして、そういうふうな事由でありますと、社会保險のほうは一応強制だから、特にそれによつて利益を得ることがないのではないかということも入つているのではないかと思います。一つ大蔵省のほうから……。
  7. 泉美之松

    説明員泉美之松君) お答えいたします。大蔵省といたしまして、今度の保險料控除につきましては、二つの点から社会保險を入れないことにいたしたのでございます。  第一点は先ほどお話がありましたように、今回の保險料控除は、資本蓄積措置一環どいたしまして行われることになつたのでございますから、任意保險に限りたい。従いましていわゆる保險会社生命保險と、それから郵便局でやつております簡易生命保險、それから郵便年金、この三つのもの、任意のものに限りまして保險料控除を認めまして、これらによつて保險料拂込が多くなり、その資金が蓄積されて国民経済の上に有意義な働きをするようにという意味で、任意のものに限つたのが一点でございます。第二点は、税收との関係からいたしまして、社会保險のほうにまで控除を認めますことにいたしますれば、減收額が更に約三十三億五千五百万円減收することになるのでございます。そこで歳出との関係からいたしまして、それまで認めることはできがたい、かような事情がございましたので、社会保險にはこの際は認めず、将来の研究に持つことにいたしたい。保險料控除というものの性質からいたしまして、昭和二十二年まで社会保險控除を認めて置きながら、今後認めないという主義の上からの反対ではないのでございます。以上申上げました二点は、今後研究することにいたしたい、かように行えておる次第でございます。
  8. 森下政一

    森下政一君 減收幾らです。
  9. 泉美之松

    説明員泉美之松君) 三十三億五千五百万円です。
  10. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 そうしますと、生命保險料控除をやるために減收になるのは幾らですか。
  11. 泉美之松

    説明員泉美之松君) これは先日お配りしてあると思いますが、十六億七千万円でございます。
  12. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 二点理由を挙げて反対されたのですが、後者の歳入の問題は、生命保險料控除する場合でも十六億の歳入減があり、それをもつと大衆的に、庶民的にやつた場合に三十三億の歳入減があるからといつて、今現在の歳入規模から言えば、そんなに非常に大きく理由に取上げられるほどの規模のものではないのではないかという感じがするのですが、その点はどう考えられますか。それから更に第一の理由として、資本蓄積のためにこれはやつたのだとおつしやるが、我々が大臣から提案理由として説明を聞いたのは、成るほど資本蓄積もさることながら、もつと大きくは第一にはやはり減税を打出すのだ。第二は更に租税負担の公平をやるのだということを非常に強く謳われているので、順位からいつてもウエイトからいつても、むしろ負担の公平は最も重要視されなければならない問題だと思うのです。それにもかかわらずそれを犠牲にして、ただ軍資本蓄積のためだからこれだけをやるのだということは、提案理由からも説明にならないと思うのですが、その点を、これは大臣に更にお尋ねはしたいと思いますけれども一応御説明願いたいと思います。
  13. 泉美之松

    説明員泉美之松君) 三十三億五千五百万円は、全体の税收の上から言えば僅かではないかというお話でございますが、申上げるまでもなく、歳入歳出釣合つて初めて均衡予算が編成されるのでございまして、更に三十三億五千五百万円減收になりますと、本年度租税及び印紙收入の四千四百四十五億四百万円というものから、三十三億五千五百万円だけ少くなります。それでは歳入歳出の尻が合いませんので、そのようにいたしておる次第でございます。
  14. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 その点はもつと意見はありますが、これは大臣に御質疑することにいたしまして、第一点はどういうふうにお考えになりますか、資本蓄積のために、減税或いは租税負担の公平を犠牲にしていいという考え方なのかどうか。
  15. 泉美之松

    説明員泉美之松君) 勿論今回の改正は、租税負担軽減合理化ということが第一でございまして、そのために基礎控除引上げ扶養控除引上げ、及び税率の改正を行なつているのでございまして、資本蓄積のために租税の公平を害していいという考えは、私どもとしてはとつておらないのでございます。ただ社会保險につきまして、保險料控除除を認めることになりますと、実際的には殆んど大部分のものにつきまして、基礎控除を更に二千円引上げたと同じような効果を生じまして、減收が大きくなる。それでは歳入歳出辻棲が合わなくなるという点から、この際は見送りまして将来研究することにいたしたい、かように考えているわけでございます。
  16. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 そうすると今の御意見ですと、資本蓄積の問題よりか歳入の減になるという点が主だというふうに解釈していいと思いますが、それでいいかどうか。それから先ほど保險料の本質上の問題については、さつき保險局長の御意見通りに、もう問題はないのだというふうな御説明つたと思いますが、昨日の御説明ではちよつとその点が違つていたので、その点も現在の御説明でその通りでいいのか、事務当局としてはそれで統一した意見であるというふうに了解してよろしいかどうか。
  17. 泉美之松

    説明員泉美之松君) お答えいたします。まあ社会保険性質論からいたしますと、保險料拂込みまして、まあ全部のものについてではございませんけれども、やはりそれ相当の給付があるというところになお若干の問題があろうと考えているのでございます。併し減收の点さえ許す事情が生じましたならば、従来から認めておつたことでもありますし、又外国でも認めておる事情がありまするので、そういう点を研究して将来善処したい、こういう意味でございます。
  18. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 そうしますと、まあこの点は先ほど言いましたように、私歳入の問題については意見が全然反対なんで、どうしてもこの問題だけは絶対に修正を要求しなければならんと思うのですが、これは厚生省事務当局のほうにお尋ねしますが、事務当局のほうでは簡単に、理由のないのに諸般事情上といつて簡単に引下つておいでになつて、そのままでお通しになるつもりかどうか。
  19. 安田巖

    政府委員安田巖君) いろいろ今、泉さんからお話があつたような事情でございまして、やはり財政上の見地からと言われますというと、これは私どもも非常に大きな問題になりますので、現在のところではやはり……。併しまあ他日、成るべく近い将来におきましてこういう改正の際に、生命保險料と同じような控除をいたしたい、こういうふうに思つております。
  20. 松永義雄

    松永義雄君 ちよつと関連して、第十一條の五、「個人の総所得金額から控除する。」と、こう書いてあつて、恐らく繰返し御説明があつたと思うのですが、ところが申告書なら申告書に、これだけの保險に入つているから保險料だけ減らしてくれと、こう言つて頼むと、逆に税務署は、それだけの保險に入れるようなおかたなら、もつと所得を殖やしたらいいんじやないかと言つて、事実上従来は減るどころか却つて殖えておつた。そういう御経験もあろうかと思うのですが、一体その法文解釈から言えば、これは当然の結論が出るので、別に怪しむところはないのですが、実際の取扱としては却つて税務署所得金額を殖やしているという結果になつている。如何でしようか。
  21. 泉美之松

    説明員泉美之松君) 只今松永委員お話がありましたが、税務の実際上、保險料控除を申請すればそれだけ所得を殖やすようなことはないかという御懸念でございます。誠に御尤もな御懸念と思いますが、私どもとしましては、さようなことを税務署のほうでやらせないように十分指導監督して参つて行くつもりでございまして、さようなことは起らないと考えております。
  22. 松永義雄

    松永義雄君 只今この法文解釈から当然の結論としてお話があつて、各税務署に対してそのように手配してと、こうおつしやるのですけれども、この際改めて大蔵省としては、各税務署に対して保險に入つているからそれだけお前が所得があるのじやないかと逆に所得が増加するようなことを絶対にしないように、一つ嚴重にやつて頂きたいということを強く要望して置きます。
  23. 小串清一

    委員長小串清一君) 今安田保險局長は、ほかの委員会に都合によかまして出席いたしますので、安田局長関係のない質問をお願いいたします。
  24. 大矢半次郎

    大矢半次郎君 郵便年金所得計算の場合に、既往の拂込みの保險料は、必要経費として控除していたのではないかと思つておりますが、さようでありますか。
  25. 泉美之松

    説明員泉美之松君) お答えいたします。郵便年金を生前取得いたしまする場合に、それから保險料でも満期養老保險につきまして満期が生前に到来いたしまして所得を得ますときは、一時所得といたしまして、それのために拂込みました保險料は勿論、必要経費として引いております。
  26. 大矢半次郎

    大矢半次郎君 そうすると、今回の改正において保險料拂込みを、年額二千円以下は控除するというふうにするというと、ダブつて引かれるということになるかと思いますが、その点は如何ですか。
  27. 泉美之松

    説明員泉美之松君) その点では、ダブる点は生じます。
  28. 大矢半次郎

    大矢半次郎君 それでよろしいのですか。
  29. 泉美之松

    説明員泉美之松君) 二重控除になるのではないかという点が問題でございますが、やはり年々に拂込みましたものは特別に控除するということになつておりますのと、それから満期が到来いたしまして生じましたものにつきましては、一時に相当多額所得が生じますので、ダブつて引くことになるのも止むを得ないと考えております。
  30. 大矢半次郎

    大矢半次郎君 それから、これは立法経過の問題になりまするが、資本蓄積のために生命保險険料控除を認めるというならば、これは所得税法のうちに規定するのはおかしい、むしろ特別措置法で規定すべきではなかろうかと思われますが、その点は如何でしよう。
  31. 泉美之松

    説明員泉美之松君) その点につきましては、立法技術上いろいろ問題はあろうかと想いますが、租税特別措置法のほうに規定いたしますると、当分の聞そういつた生命保險料控除をするということになりまして、将来どうなるかわからないというふうな心配もありまするので、保險料控除につきましては、恒久的な制度といたしたい、かように考えまして、所得税法の中に規定いたしておる次第でございます。
  32. 大矢半次郎

    大矢半次郎君 そうしますというと、むしろ資本蓄積見地からこれを認めるというのではなくて、負担の公平の点から認めなければならんというふうに思われますが、如何でしようか。
  33. 泉美之松

    説明員泉美之松君) 先ほども申上げました通り差当りは主として資本蓄積の点を考慮して設けるのでございますが、この制度負担軽減という点におきまして相当著しい効果を持つているのでございまして、差当り任意保險に限つておりますので、資本蓄積の点が主となりますが、将来或いは社会保險にまで拡張するというような事態が生じましたならば、負担の公平という点が主になつて来ようかと考えるのでございまして、そういうふうになりますれば、大矢委員お話通り負担の公平ということを全面に出して来るということになろうかと思うのでありますが、当当り資本蓄積のほうに重点を置きまして考えているというふうに御了解願いたいと思います。
  34. 大矢半次郎

    大矢半次郎君 只今の御説明によりますると、私どうしても租税特別措置法に規定すべきことである、それがどうしても恒久的に出さなければならんということになれば、やはり他の社会保險のほうとの均衡も十分考慮して然るべきではなかろうかと考えますが、如何でしようか。
  35. 泉美之松

    説明員泉美之松君) これは立法政策としてどちらをとるべきかにつきましては、いろいろの見解があろうと思うのでございますが、政府としまし、は、只今申上げましたように考えているというふうに御了解願いたいと思います。
  36. 小串清一

    委員長小串清一君) 先日野溝委員から要求ぜられました租税收入確保に関連して酒造原料の米、麦、甘藷等予定量確保する問題について、食糧庁長官に来てもらつておりますから、これからそのほうの説明を求めようと思います。
  37. 野溝勝

    野溝勝君 安孫子さんにちよつとお伺いするのですが、先日租税の問題で質疑大蔵当局にしたのですが、その際に大蔵当局見解では、税收においても減收になるようなことはないと思う、それから、予定通り進行している、こういう答弁になつているのですが、そこで今の国際情勢を見て、食糧需給というものを非常に我々は心配しておるわけなんです。特に衆議院においても問題になりました通り、二月には向うからの予定輸入量もちよつと不可能な状態になつておる、大体政府の発表によりまするというと、手持米ども非常に窮屈になつておる、前年度予定よりは非常に減つておるわけです。そうすると端境期を控えて、国内的な食糧の不足、それから予定輸入量心配、そういうような点から見て非常に窮屈になつて来ると思うのです。そうすると今政府では麦まで外そうというようなことになる、そうすれば確実なる私は税收見通しというものはどうも困難になつて来ると思うが、その間農林当局との間における話合いは一体どうなつておるか、且つ又それは絶対間違いないと保証し得るかどうか。こういうことを聞いたのですが、ところが大体そういうわけであります。けれども詳細のことは打合せてない、こういう御答弁なんです。だから一応あなたに来てもらつて、その間のいきさつ、並びに実情をお聴きしたい、こういうわけでこの委員会が要求したわけです。
  38. 安孫子藤吉

    政府委員安孫子藤吉君) 酒造原料の点につきましては大蔵省ともいろいろ打合せをいたしまして、御承知のように米は六十万石ということを出しました。農林省といたしましては、そういう観点からいたしましても、もう少し減じたかつたのでありますけれども酒税確保という観点から六十万石を動かすことができない。これは非常に円滑に行つておるようでありますから、この点の御心配はなかろうかと思います。それから一番問題になりまするのはアルコール関係で、甘藷手当が今年は十分に行かなかつたということを聞いております。もう少し価格が下がるであろうと一応思つたのが案外甘藷価格が下らなかつた。そのほか澱粉に関する需要なんかも相局増大しました関係で、切干し甘藷に関する手当が若干遅れたということもあろうかと思います。そういう点から酒税に関しても相当ひびが入るのじやないかということを国税庁としてもいろいろ心配しておられます。その辺の事情も実は織込みまして、米のほうは六十万石というふうにきめたわけでありまして、従来の交渉の経過から申しますと、本年度酒税確保原料面においては大体できるという想定を、私どもとしては国税庁とも打合せの結果、そう思つておるわけであります。最近の原料の、特に甘藷に関しまする原料手当状況は詳細は知つておりませんけれども酒造米をきめますときのいきさつはさようなことになつておるわけでございます。  それからそれに関連いたしまして今年の需給見通しがどうかという点にもお触れになつたのでありますけれども、これはほかの委員会でも申上げておりまするように、昨年の六月末の政府並びに公団の手持ちが三百二、三十万トンであつたのでありますが、本本年の六月末には二百二十万トン前後になるのではなかろうかと思つております。従つてその間に百万トン程度手持ちが減るという形になります。その主なる原因は、前年度末におきましては、甘藷並びに甘藷の製品、澱粉、そういうようなものを相当手持ちをいたしておりました。それから雑穀類相当手持ちをいたしておつたわけであります。配給適格品手持ち相当ございました。そうしたものはこの年度内に相当処分をして来ておりまして、甘藷澱粉等については買入れというものをいたしておりませんので、その間の手持ち減がございます。それからもう一つは、輸入が、当初三百二十万トン程度見込んでおつたのでありますけれども、昨今の情勢から申しまして、固く見まして二百七十万トン、それからその後いろいろ努力をいたしまして、私どもとしては大体三百万トンから三百十万トンまでは可能であるという見通しを持つております。併し食糧のことでありますから、非常に固く見まして二百七十万トンの輸入ということで抑えますと、その間計画に対しまして五十万トンになる。これも手持ち減のほうに現われて来る数字であります。そういうような因子が全部集まりまして百万トンの手持ち減という形になつております。そのうち食糧需給操作上問題になりまするのは、最後に申上げました輸入減の問題であります。前者の甘藷の買入れがなかつたこと、或いは雑穀配給適格品を買入れないで処分一方で行つておるための手持ち減、こういうようなことは考え方によりますれば、食管特別会計健全性を保持して行く上においてむしろプラスのほうでありまして、米、或いは問題になつておりまする麦等に関しまする統制の純粋性を保持しまして、会計を運用して行く面においてはむしろプラスの面であろうかと思います。結局需給の面において一番問題になりますのは輸入食糧の点になるわけであります。この点は各国とも相当買付けの方向に進んでおるわけでありまして、只今状況では価格を上げれば入るという状態であります。物がないということよりも、値段を上げれば買える状態であります。それから船舶等も、やはり船賃を少し気張れば船は動き得るという状態でありますので、二百七十万トンと固く見込んでおりますが、三百万トンを超す輸入量確保は私どもはできるかと、かように思つております。取りとめがなく、御質問趣旨に副わなかつたかと思いますが、そういう状態であります。
  39. 野溝勝

    野溝勝君 大体長官の御説明では、非常に楽観されておるようでありますけれども、私はさような楽観は許されんと思つております。この問題は、今日は時間の関係もありますのでお聞きはいたしませんが、ただ参考に一つ御記憶を願いたいと思うのですが、大蔵当局の話を聞いて見ると、すでに今日のごとく一〇%、二〇%の値上りになる前に、あらかじめ前の値段のときに、農林当局に対して今のうちに相当輸入をするようにというお話をされておつたやに聞いておるわけです。その当時農林当局のほうでは大丈夫だというような見通しを立てられておつた。そこに今日食い違いを来たして、今安孫子さんの言われるように結局外国食糧輸入することによつてこの問題はカバーできる、外国食糧輸入は少し食糧管理特別会計を変えてもらつて予算を変えてもらえば相当入る見込みだ、こう言われておりますが、御承知のごとく、ユーゴー方面だとか、インド方面相当買付けを煽つておるわけです。そういうときになかなか私は外国輸入食糧予定量二百七十万トンの確保も困難になつて来るのじやないかというふうに私は案じておるものです。特にこういう国際情勢になつて来れば、より一層私はそういうことを感ずるのですが、さてその場合若しこれが、国際情勢の発展によつて輸入が困難になつた場合は、その場合に対する釀造方面原料などに対してはどういうふうにしようかという考え方最悪の場合に対する考え方を持つておられますか、或いはそれを持たなんで、今のままの案だけを持つておられるか、最悪の案を持つておられるならば、最悪の案をこの際お話願いたいと思います。
  40. 安孫子藤吉

    政府委員安孫子藤吉君) 非常に需給が緊迫して参りました場合に、釀造原料をどの程度まで切り詰めるか、その見当を持つておるかというお尋ねでありますが、只今のところそういう腹案を持つておりません。過去の実績から申しますと、釀造原料が一番低かつたのは、あれは二十五、六万石ですか、三十万石くらいでしたか、それくらいが一番落ちたときだと思います。そういう過去の例はありますけれども、現在非常に緊迫しておる場合に、どの程度まで釀造原料を切り詰めるかということについての腹案は只今つておりません。
  41. 小串清一

    委員長小串清一君) ちよつと関連して私からお尋ねいたしますが、これは酒税の問題で、昨年の十一月二十七日ですか、GSのほうへ参りまして、モス歳入課長といろいろ議論をしましたときに、私の考えでは、これは大蔵当局や各方面を調べたんですが、とにかく密造のために米をつぶすのが二百五十万石くらいある。これは酒税を引下げることによつて政府の取締りをうんと嚴重にする。そのやり方によりまして、私は現在消費されると推定した石数の半分くらいのものはつぶさなないようにできると思う。然るときは酒のほうではむしろここで三十万石や五十万石……、現在の六十万石を或いは八十万石、或いは百万石ぐらい造らせてもいいではないかということを私はモス歳入課長に話した。そうしますと、モスさんはそのときにですね、只今委員長意見は、僕も個人としては同感だ、それは十分密造を取締る上においてそういうふうな処置をとることもあり得るだろうが、今我々としてはそれに軽卒に賛成はできない。併し個人としては委員長意見に賛成だ、こういうふうに言つていられたんですがね、それについての長官のお考えを伺つて置こうと思います。
  42. 安孫子藤吉

    政府委員安孫子藤吉君) 密造の原因は私も專門でないのでわかりませんが、一つ価格の面であろうかと思います。相当安く大量に酒か供給されれば密造が減つて来るのは当然であります。それで一つ価格を下げればいい。それから供出との関係において密造が減ればそれだけ供出が殖えて来るから、これも当然そういうことになろうかと思います。尤も現在の供出の状況を見ますと、軍に酒の関係で密造が減れば政府に対する供出が殖えるという速断はできなかろうと思います。超過供出の状況を見ますと、超過供出奨励金が昨年産米については〇、二五倍になつております。この程度では率直にう申しますと、生産者のほうでは税金がかかつて来ますから、それとの睨み合いで、政府に超過供出として出すよりも横流しをしたほうが算盤繰りがいいと、こういうこともありまして、必ずしも余裕のあるものが超過供出に乗つて来るという状況にはなつておりません。従つて酒が非常に安くふんだんにあつて、生産者が釀造酒を飲むようになつて、密造酒はやめになつて、その結果手持の米にゆとりがあるという状況になりましても、政府の供出面において必ずそれだけのものが殖えて来るという状況にはこれはならんのじやないかというふうに思つております。
  43. 小串清一

    委員長小串清一君) それについて私は考えるのですが、実際これは主税局でも大分関係がありますけれども、真に密造の取締りがよくできれば、嫌でも米は余る。余つて政府の超過供出に乗つて来やしないというあなたのお考だけれども、余るものなら結局は闇で売るかどうかしなければならないわけになるのですから、まあこの問題のポイントは如何なる程度まで取締りをやり得るか、これが一つですね。それから果して取締りが相当にできて、現在の密造酒で米をつぶすものが半分だけはセーブすることができたという場合には、私は超過供出はあり得るもの、或いは超過供出をさせ得るものと思いますけれども、その点についてどうですか。
  44. 安孫子藤吉

    政府委員安孫子藤吉君) 私も農家に手持する余裕がありました場合に、それが全部横に流れるというふうには考えておりません。又仮に横に流れるといたしましても、国民経済的に問題はありますが、結局まあ腐つて捨てるものでなく、誰かの食糧になつておるのでありますからそこは少し感覚を太くして考えれば、それも国の食糧需給の上に役立つておるという見方もできるかと思います。それで農家の手持は……、取締りを嚴重にして密造を減らせば、それだけ農家の手持が殖えるから、その一部が供出面に乗り、一部が闇に流れるという結果になると思うのであります。いずれにいたしましても、密造をできるだけ少くする、根絶するということに是非やつて参らなければならんと思います。その面には取締りの面と又酒税との関係もありますけれども、やはり価格の面というものとの両建で行かなければ、なかなか密造を根絶することは困難ではないかと考えております。
  45. 小串清一

    委員長小串清一君) 大蔵省のほうでは今度の密造取締りについて多少お見込みが……予算も別に変更はないようだが、相当の方法を講ずるのか、或いは密造を減らし得るような主税局のほうではお考えはないか、これは税金にも関係ありますが。
  46. 泉美之松

    説明員泉美之松君) 酒の密造につきましては従来とも取締りをやつてつてつたのでありますが、何分にも酒税の比率が比較的高かつたものでございますから、このために何と申しますか、一般の酒造家の造る酒が高くてはなかなか密造の根絶は期せられない。かような事情がございましたので、先の臨時国会におきまして酒税の引下げによりまして、約三〇%がた酒類の値下げを行うことができましたので、これによりまして相当強力に密造取締りができ得る素地ができました。それで今後密造取締りを励行したい。かように考えておるのでございますが、併し密造を完全に根絶するということはなかなか容易でなかろうと思います。併し取締りの励行によりまして従来の密造の三分の一程度は根絶し得るのじやなかろうか、かように考えておる次第でございます。
  47. 森下政一

    森下政一君 前国会にですね、三〇%ばかり酒類の価格の値下げが行われた、そのために却つてこの酒の消費が殖えて税收が多くなつたということになつたのですが、当時この一般の酒造業者の要望しておつたのは、大体二級酒を四百円くらいのところで押えてもらううことができれば、密造しているものは採算がとれなくなる、従つて密造が根絶できるということを熱心に提唱しておつたと思うのですが、自治体警察が今御承知のように警察法の改正で、問題になつておるのですが、どうもその密造の取締りなどという場合に、小さな村なんか応密造が行われておる場合に、警察官なんというものは甚だ無力である。平素において非常に村民と懇意の間柄になつておるので、密造を知つてつてもどうにもならんという実情であつて、どれほど嚴重な警察力を以て取締ると言つても、密造は実際問題において取締ることはできない。いろいろ情実が働いてできないという事情にあるから、経済的に採算がとれなくな。て自然に密造はやまつてしまうという方法を考えてもらわなければならぬと思う。それには二級酒を四百円くらいのところに押えてもらうと大体密造というものは根絶できるという意見つたのですが、私はこれは一理あると思うのですね。密造を警察力によつて取締ることをやつて見てもこれは容易じやない。だからもう一飛躍してですね、業者の要望に応える程度の酒の値下げが断行されたら密造は解消する、而も酒の消費量が却つて多くなり税收が殖えて行く。大蔵省は財政的に何の痛痒も感じない。而も食糧の点から見ましても密造に流れるものが阻止されるということになれば国民がそれに潤うということになると思うのですが、そういうふうにお考えになりませんか。
  48. 泉美之松

    説明員泉美之松君) お話通り密造を完全に根絶するためには、それが経済的に引合わないというようにすることが一番結構であることは申上げるまでもないのでございます。併し戦後の財政需要等からいたしまして酒税の收入にかなり大きな額を期待しなければならない現状にありまして、又先ほどお話がございましたように酒造原料としまして、そうたくさんのものをお願いすることもなかなか容易ならん事情にありますので、このたびとしましてはそこまで徹底して酒税を値下げして、酒類の価格を引下げるというところまで行けないところに悩みがあるのでございまして、事情さえ許すようになりますれば、そのような方向に進んで行くことが結構であることは、私どももそのように考えておるのであります。
  49. 森下政一

    森下政一君 只今の点で、先に酒類の値下げを断行されて財政的には何にも減收になつていない、むしろ増收になつておるんじやないかと思うのです。而も密造のために横に流れておる米の分量というものは、勿論密造が行われておるのだから正確に把握することはできんということであろうと思うけれども、想像以上に多量のものが流れておるというふうに考えられる。そこで酒造原料として食糧を割愛した量を少々殖やしても、私は密造に流れておるそれに比較するならば、遥かに少いのじやないかということを考え、而もその結果酒類をもう一つ飛躍して値下げを断行されても決して税收はあなたが憂えられるように減收なんということには全然なつて来ないというふうに考える。この点はあなたとここで押問答をしてもしようがないことだけれども一つ大蔵当局が真剣になつて再考さるべき重大な問題だと私は思う。こういう要望を強く申上げて置きます。
  50. 野溝勝

    野溝勝君 泉さんも丁度おられるから申上げて置きますが、先ほど見通しの問題については、これはまあ見解の違いでございますからこれはあれですが、この際安孫子さんに更に、私はこれは公にしなくてもよいが、このままでは私は自由経済はなかなか困難と思つております。それで最悪の事能を考え、第二段、第三段くらいのやはり案を検討されて置かれんことを希望いたします。それから今酒の密造の問題についていろいろお話がありましたが、これは酒の増石に私は非常に関係があると思うのですが、特に酒の増石ということばかりでなくて、国内の食糧需給関係においても非常に関係があると思うのです。そこで私自身は一つの密造者に対する対策試案というものを持つていますが、まだそれは発表しておりませんが、この問題はこれは大蔵当局農林当局ともに相談されて、この解決に一つ全力を挙げてもらいたいと思います。というのは、税收の面から乃至は食糧の供出並びに需給関係の面から総合的に考えるならば、私は委託製造のような恰好でもいいと思う、そうすれば酒造業者の方面に対するあれも侵さないし、同時に税收方面においても算盤の調整はできますし、供出関係においても欠陷の解決調整はできると思う。そういう点においてこの際酒の徹底的な引下げをやるか、さもなければ委託制度というようなものについても両当局間において検討願つて頂きたいと思います。これを一つ希望に申上げまして私の質問を終ります。どうです、泉さん、その点を一つ当局がおられますから一つ検討するということを確約できますか。
  51. 泉美之松

    説明員泉美之松君) 私のほうは研究案をいろいろ作つておるのでございますが、研究は今までもやつて来ておりますし、将来も研究して行きたいと思うのでございますが、併し相当大きな問題でございますので、特に食糧需給は将来に対する見通しの問題が非常にむずかしい問題が入つておりますので、日本だけで自給できない現状においてそういう措置を講ずることになかなか難点があるようでございます。併しながら私どもとしてはいろいろな研究案は持つております。
  52. 野溝勝

    野溝勝君 農林当局において一つ……。
  53. 安孫子藤吉

    政府委員安孫子藤吉君) 委託釀造制度の問題は二年ぐらい前ですか、当やかましくお話があつたのですが、七の当時、端的に申上げますと、需給見通し相当窮屈でありましたので、大蔵省のほうから折角話がありましたけれども、私どもとしては反対をして参つたものでありますが、状況も変つておりますので、十分連絡をとつて研究いたしたいと思います
  54. 油井賢太郎

    ○油井賢太郎君 安孫子長官がおいでになつておるので、砂糖の件についてしお伺いしたいのですが、砂糖は最近の輸入が大変、戰前とやや同様ぐらいに殖えておるのです。それで二十五年度までの資料は頂いたのですが、二十六年度もやはり同量まで、或いはもつと多い数量を輸入されるかどうか。  それから砂糖に対するところの政府見解というものは、これは食糧一環として輸入されるのであるか、或いは嗜好品として輸入されるのであるか。そういう点について先ずお聞きしたいと思います。
  55. 安孫子藤吉

    政府委員安孫子藤吉君) 砂糖の輸入は当分の間順調に参ると思います。二十六年度においても大体前年度と同様の輸入ができると思います。それから主食という考え方食糧という考え方、嗜好品という考え方、これはやはり国民生活に不可欠なものであるという考え方で扱つて参ります。又将来とも大分輸入に仰がなければならぬものであります。実際闇価格と公定価格との差も開いておる物資でありますので、特別会計において買入れ、二十六年度は正規の配給をいたしたいと考えております。
  56. 油井賢太郎

    ○油井賢太郎君 そこで去年と同じように輸入されるのですか、世界で以て砂糖の消費量が多い国は文化水準の進んでおる国というふうに、或る意味から見ると言われておる。そういう点から見て、現在の砂糖の輸入量というものは適正であるか、或いはもつとこれを殖やして行きたい方針であるか。更に国民一人当りの需要量の平均というものはどの程度が至当であるか、このについてお伺いしたい。
  57. 安孫子藤吉

    政府委員安孫子藤吉君) 聞違つてつたらあとで訂正いたしたいと思いますが昔は砂糖は大体百万トンぐらい使つてつたと思つております、全部合せて…。それがまあ五、六十万トン程度という見込みをつけておりますから、大体半分ということになります。これを戦前程度に回復することは今の日本の経済状態といたしましては困難だと思います。それで百万トンというような目標は私どもとしては持つておりません。先ず六十万トン程度のものは是非確保いたしたいというような見当で、いろいろ案を進めておるような次第であります。
  58. 油井賢太郎

    ○油井賢太郎君 昔は大体農家なんかでは、殆んど砂糖というものは使わなかつた。ところが最近では、配給になつてから、全国皆一律に配給しておるために、都会地でも比較的砂糖の消費が多いにもかかわらず不足をしており、農家のほうでは、砂糖というものを今まで使わなかつた者にまで配給されておる。こういう矛盾が出ておるのですが、今後もやはり同じような方策で進まれるのですか。
  59. 安孫子藤吉

    政府委員安孫子藤吉君) まあ問題が砂糖を統制して行くのがいいかどうか、消費面についての統制が適策かどうかということになります。私どもは今までのようなやり方で配給を続けて行きたいと、こう思つております。農家においては曾つて砂糖の消費が余りなかつたので、都市においての消費が多かつたのだから、その間に差等を付けたらどうかというような意見もあります。併し、やはり国民生活の上から申しまして、農村は砂糖を少くし、都市を多くするというようなまあ適当な理由というものは私どもとしてはなかなか見付からん。やはり平等にやつて参りたいと思います。
  60. 油井賢太郎

    ○油井賢太郎君 平等にされるというのは、結局これは国民の、先ほどお話があつた主食の一環と見られておるようですが、今日日本の財政から言つて、成るべく生活の必要度の高いものを輸入しなければならない時にあつて、砂糖を輸入するということは、これは実をいうと国家経済からいつてプラスかどうか疑問なんですね。そういうふうな状態にある砂糖に対して、まああなたのほうでは、主食同様な観念を持たれておるということは、どうも私は呑込めないのです。その点もう一遍はつきりおつしやつて頂きたい。
  61. 安孫子藤吉

    政府委員安孫子藤吉君) 砂糖が大体七十万トン程度の輸入が確実だということになりますれば、これは配給をやめまして、自由にしてもよかろうと思つております。一応併しその辺の保障もありませんし先ほどお話がありましたように、今後主食について必ずしも楽観はできないのじやないかという御意見もあります。その事情は砂糖についても私はあると思います。できるだけ輸入については努力いたしますけれども、そういう段階におきまして、この際に消費の規制を、配給制度をやめて自由にするということは適当じやないのじやないかというふうに考えているわけでございます。  なお加えまして、都市と農村との間に砂糖の消費に曾つて差があつたから、その差を付けた配給制度考えたいというふうな御意向もあるようでありますけれども、その点はやはり同じように取扱つて行くほうが全般的に適切じやないかというふうに考えております。
  62. 油井賢太郎

    ○油井賢太郎君 私は農村と都会を別にするという意味じやないのですが、そこで先ほど長官の言葉の中にも、砂糖はマル公と闇と相当隔たりがある。これは併し、隔たりがあることは天下周知の事実です。密輸も相当あると思うのです。これは自由にしたほうがそういう弊害が少くなりはしないかと思うのと、同時に、輸入の面においては嚴重な監視をして、砂糖の消費税を今度二十六年度には相当取るわけですから、これに対する收入の確保というものも図らなくちやならないと思うのです。ところが、現在砂糖の密輸というものはもう殆んど公然と行われて、それが都会の大通りには軒を並べて、いわゆる販売品となつて加工されているわけです。そういう点について少し政府のほうでは無頓着過ぎるように思うのですね。これについてはどういうふうなお考えですか。
  63. 安孫子藤吉

    政府委員安孫子藤吉君) 銀座あたりにいろいろ闇の砂糖が出ているのは存じております。これはいろいろなルートから出ておるのでありまして、その間、通関の際の取締りその他はいろいろな方面からの御注意もかたがたありまするので、できるだけ嚴重に取締るということで通産省と打合せをいたしてやつておるわけであります。いろいろ国際的な関係もありまして完全に参つておりませんが、取締りのほうを嚴重にやりたいと思つております。
  64. 油井賢太郎

    ○油井賢太郎君 その次に砂糖の税金ですが、二十六年度は大体六十三億見当の消費税を取ることになつている。併しこれは一般マル公以外の取引の価格から見るというと、非常に課税というものは安いものですね。例えば酒とか、或いはたばこというものの課税の面と比べて、若しこれが主食でないというような観点から見て行くというと、余りにも安過ぎはしないか、国家財政がいろいろ困難を極めている際に、こういう砂糖あたりのものを他のたばことか、酒と同様に或る程度課税を重くして、一面においては闇の防止と共に、国家財政に寄與するというようなこをお考えなつたことはおありですか。
  65. 安孫子藤吉

    政府委員安孫子藤吉君) 私のほうとしましては格別考えたことはございません。大蔵省のほうと相談いたしまして……。
  66. 油井賢太郎

    ○油井賢太郎君 大蔵省見解を併せてお聞きしたい。
  67. 泉美之松

    説明員泉美之松君) 大蔵省といたしましては、成るほど砂糖が嗜好品としての性格を持つていることは、只今油井委員お話通りではありますが、併し嗜好品といたしましても、酒とたばこに比しましはやはりその程度が落ちるものと考えておるのでございまして、現状におきましては、なお配給されておる状況でもありますし、余り高く砂糖消費税を課税いたしますると、国民の生計費に及ぼす影響も考慮いたさなければならんと考えられますので、この程度が適当であろうというふうに考えておるのであります。
  68. 油井賢太郎

    ○油井賢太郎君 大変今のお話には、国民のためになるようなお話でございますけれども、砂糖の消費税が六十二億というのは、一人当りせいぜい一年間で八十円ですね。一月当りだと十円足らずですね。そういう税金が多少上つたところで、これは国民の負担にそう影響を及ぼすものではないと私は思う。それほど大蔵省で以て大変国民の生活の面に御努力をなさるなら、ほかにもつと税を引下げるべき科目はたくさんあると思う。これは将来において大蔵当局の現地の事情をよくおわかりになつているあなたがたから、率先してもう少し課税の内容というものを御検討願いたいと思うのです。まあ砂糖の問題についてはまだありますけれども、いずれ又折を見てお話を伺いたいと思います。  次に、先ほどほかの委員からお話がありましたが、ちよつと安孫子長官にもう一点聞きたいのですけれども、農村におけるところの酒の需要状態ですが、さつき野溝委員からお話がありましたが、委託釀造というような制度を非常に希望されている。これについては衛生的の見地から言つても是非早急に実現を図つて頂きたいと思う。これは先ほどお話の点では、何か遠慮される点がたくさんあるようなことですが、国民の大きな部分を占める農家の衛生ということも考えられて、更に又犯罪というようなことも考えられて、大つぴらに気持よく農村方面に、農村に必要な酒を配給するということによつて、一層農村の生産意欲を向上させることになると思うのです。そういう点についても思いやりのある方策を立てて頂きたいと思うのですが、念のために、そういうふうなお考えをお持ちになりますかどうか、伺いたいと思います。
  69. 安孫子藤吉

    政府委員安孫子藤吉君) 当時問題にいたしました点は、はつきり覚えておりませんので何ですが、供出に相当影響がありはしないかといううことは恐れた点であります。それは委託釀造であるからそんなことはないということもありますが、供出の面に相当悪い影響を及ぼすのじやないか、それからいろいろなやり方がありますけれども、交換形式でありますか、売買の形式でありますかという点についての問題もあります。結局現在の供出制度の建前から申しますならば、生産されたもののうち自家保有量というもの、これは一人当り大体四合、それに味噌用とか種子用が若干加わりますけれども、この自家用を除きました残りのものを全部供出する、こういう建前になつております。そうしますと委託釀造に廻りましたものは自家用を割いて出しておるという理窟になるのであります。四合を割いて出す、ところが現在でも御承知のように自家保有量四合というものは、これは農家の重労働をやりまする農作業にとつて甚だ少いものなのです。もつと殖やせという議論がいろいろ強いし、私尤もだと思つております。この自家用を殖やしますれば結局供出量は減つて来る。供出量が減つて参りますことは、都市生活者等に対して二合七勺の配給ができん。例えば米だけにしても米食率が相当減るという、都市生活者は米食率が減るということが、家計費に非常に大きな影響を持つているのが現状であります。二合七勺の配給があるかないかということよりも、二合七勺の中に含まれる米の率が幾らかということが家計費に非常に大きな影響がある。これは御承知通りであります。それでどうしても米のほうは大量に一つ出して頂きたいというのが建前であります。そこの仕組の中に委託釀造というものを入れて参りますことは非常に困難な実情にあります。その辺の見通しなり、或いは見当がつきますれば私ども賛成することに決してやぶさかではないと思います。
  70. 油井賢太郎

    ○油井賢太郎君 これは、長官はいろいろの立場からそうお話になるのでしようが、農家のほうへ行つてつて見ますと、自家用にいわゆる濁酒を作るということはこれは当然なのですね。それで税務署関係でも自家用のものまで余り押さえるのはどうかというふうな見解で今日まで来ておるのですね。そのために非常に米の無駄ができておるのです。保健的にも悪いのです。それよりも思い切つてそういうことを、実際にあなたが御調査になればわかるだろうし、又おわかりになつていると思う。もうこの辺ではつきりした線をお出しになつてもいい時代じやないかと思うのですが、それはどうなんでしようか。
  71. 安孫子藤吉

    政府委員安孫子藤吉君) 全般的に申しますと、委託釀造の制度というものは一つの実際適切な方策であろうかと思います。供出面との関係において一応誰人も納得の行く理窟ができれば、これは私どももそれでよかろうかと思います。その辺がなかなかむずかしいので悩んでおるわけです。
  72. 油井賢太郎

    ○油井賢太郎君 大変お含みのある言葉と思つて了承します。
  73. 小串清一

    委員長小串清一君) 油井委員から大蔵大臣の出席を求められていますから、そのように取計らおうと思います。物価の変動について国民所得の増による税制の変更を要するかどうか、金利の引上げとか、インフレ防止とか、或いは為替レートとかいうこと、一つ皆さんの御同意を得て、大蔵大臣の出席を要求いたします。    〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
  74. 小串清一

    委員長小串清一君) さよう御了承願います。
  75. 油井賢太郎

    ○油井賢太郎君 今の問題、これはこの前から大蔵大臣の都合がつくときに大蔵委員会に出てもらいたいということを委員長が申入れて、この前賛成を得ておるのです。ところがなかなか大蔵大臣がこの肝心な大蔵委員会に出て来ないのです。これは委員長において嚴嚴重に督促願いたい。(「異議なし」と呼ぶ者あり)
  76. 小串清一

    委員長小串清一君) それ故に、私皆さんの決議を以て要求しようというので申上げたのです。それで今日はこの程度で休憩いたしまして、午後一時半から再開をしますから、さよう御了承願います。    牛後零時十五分休憩    —————・—————    午後二時四十分開会
  77. 小串清一

    委員長小串清一君) 大蔵委員会を再開いたします。一時半再開のところ、午前中より要求しておりました内田経済安定本部財政金融局長が未だに見えませんので、内田政府委員には時間嚴守を警告することといたしまして、本日はこれで散会いたします。    午後二時四十一分散会  出席者は左の通り。    委員長     小串 清一君    理事            大矢半次郎君            森下 政一君            杉山 昌作君    委員            愛知 揆一君            岡崎 真一君            黒田 英雄君            九鬼紋十郎君            清澤 俊英君            佐多 忠隆君            野溝  勝君            松永 義雄君            小宮山常吉君            小林 政夫君            油井賢太郎君   政府委員    大蔵政務次官  西川甚五郎君    食糧庁長官   安孫子藤吉君    厚産省保險局長 安田  巖君   事務局側    常任委員会專門    員       木村常次郎君    常任委員会專門    員       小田 正義君   説明員    大蔵省主税局税    制課勤務    泉 美之松君