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1951-02-13 第10回国会 参議院 大蔵委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年二月十三日(火曜日)    午前十時四十九分開会   —————————————   本日の会議に付した事件 ○所得税法の一部を改正する法律案  (内閣送付) ○法人税法の一部を改正する法律案  (内閣送付) ○通行税法の一部を改正する法律案  (内閣送付) ○登録税法の一部を改正する法律案  (内閣送付) ○相続税法の一部を改正する法律案  (内閣送付) ○印紙税法の一部を改正する法律案  (内閣送付) ○骨牌税法の一部を改正する法律案  (内閣送付) ○租税特別措置法の一部を改正する法  律案内閣送付) ○国民金融公庫法の一部を改正する法  律案内閣送付) ○開拓者資金融通特別会計において貸  付金財源に充てるための一般会計  からする繰入金に関する法律案(内  閣送付)   —————————————
  2. 小串清一

    委員長小串清一君) これより大蔵委員会を開会いたします。  本日の議事日程につきまして、政府委員の御説明を求めるのでありますが、その議案は左の十件ほどであります。一、所得税法の一部を改正する法律案、二、法人税法の一部を改正する法律案、三、通行税法の一部を改正する法律案、四、登録税法の一部を改正する法律案、五、相続税法の一部を改正する法律案、六、印紙税法の一部を改正する法律案、七、骨牌税法の一部を改正する法律案、八、租税特別措置法の一部を改正する法律案、九、国民金融公庫法の一部を改正する法律案、十、開拓者資金融通特別会計において貸付金財源に充てるための一般会計からする繰入金に関する法律案。以上十件につきまして、政府委員の御説明を求めます。西川政務次官
  3. 西川甚五郎

    政府委員西川甚五郎君) 只今議題となりました所得税法の一部を改正する法律案ほか七法律案につきまして、その提案理由説明いたします。  政府は昨年中央地方を通する税制根本的改正を行い、国民租税負担軽減合理化図つたのでありますが、今日の国民生活実情から考慮しますと、国民負担はなお相当重いものがありますので、極力歳出を削減し本年重ねて大巾の減税を断行し、国民生活の安定、資本蓄積に資することといたしたのであります。そのらち、酒税引下物品税改正砂糖消費税及び揮発油税引下並び給與所得に対する源泉徴収税額暫定的軽減につきましては、先に第九回国会におきまして御審議を経まして、すでに実施いたしておるのでありますが、今回更に所得税法ほか七税法につきまして、この改正案提案する運びと相成つた次第であります。  先ず、今回の税制改正基本方針につきまして、申上げます。改正方針としましては、第一に、昨年の減税に引続いて重ねて本年度において約七百四十三億円に達する減税を断行し、国民租税負担軽減合理化を図つておるのであります。  第二には、税制根本につきましては、昨年の改正によりまして確立いたしておりますので、今回は制度根本を変更することは差し控えたのでありますが、負担の一層の公平化合理化とを図るため必要な若干の補正を行うと共に税制簡素化図つたのであります。  第三には、朝鮮動乱後変転する国際情勢に対処して、早急に我が国経済の自立を達成することが緊要となつておりまして、そのためには急速な資本蓄積が要望されますので、税制資本蓄積に資するため各般の措置を講じたのであります。  次に、各税に関する改正大要について申上げます。まず、所得税法の一部を改正する法律案について申上げます。先ほども申上げました、ごとく、今回の改正におきましては負担軽減を第一義といたしており、このため、先ず基礎控除現行二万玉千円から三万円に、扶養控除及び不具者控除現行一万一千円から一万五千円に、それぞれ引き上げると共に、税率につきましては、従来の税率適用上の階級区分の刻みの中が低額所得のところで狭く累進税率の上昇が急激となつておりましたのを修正し、所得階級区分のうち、八万円を超える金額と十二万円を超える金額との段階を撤廃し、最高税率適用限度を従来の五十万円から百万円に引き上げることといたしました。  以上により、所得税負担相当軽減されることとなるのでありまして、例えば、給與所得者について申しますと、月収五千円の独身者は、現行負担額月四百三十三円が改正後は三百五十円となりまして、その軽減割合は一割九分一厘となり、又、扶養親族四人で月収一万五千円を有する者は、現行負担額日千四百五十八円が改正後は千百四円となりまして、その軽減割合は二割四分二厘となるのであります。次に、事業所得者について申しますと、扶養親族四名で年所得十万円の者は、現行負担額年五千四百円が改正後は二千円となりまして、その軽減割合は六割二分九厘となり、又、扶養親族四名で年所得二十万円の者は、現行負担額年三万三千三百円が改正後は二万五千五百円となり、その軽減割合は二割三分四厘となるのであります。  次に、租税力の比較的に簿弱と認められる老年者、寡婦及び勤労学生につきましては、これらの者の所得から一万五千円を特別に控除することといたしました。更に、税制簡素化を図る趣旨から、従来の資産所得合算及び扶養親族所得合算制度を廃止することといたしました。以上の特別控除を認められる岩或いは所得合算廃止適用を受ける者につきましては、前に申し上げた軽減割合よりも更に一層負担軽減を受けることになるのであります。  次に、資本蓄積措置一環として、生命保険契約に基いて支拂つた保険料については、二千円を限度として所得から控除することといたしました。この改正により生命保険の増加に資し得ると共に、相当負担軽減となるのであります。  更に、所得税制補正的改正といたしましては、申告所得税運営面の故善が急務となつている状況に鑑み、一般申告期限及び納期を現行農業所得者の場合と同様七月、十一月及び翌年二月の三期として、納税者の十分な助力によつて自主的な申告及び納付が行われると共に、税務官庁所得の正確な調査をし、公平な課税が行われ得るように措置しておるのであります。又、青色申告制度を助長するための措置として、青色申告者が再調査又は審査の請求をしている間は督促又は差押公売等滞納処分を行うことができないことどいたしました。  次に、従来更正決定をなし得る期間一般時効期間適用を受け、申告期限後五年となつているのでありますが、代課税を長く末確定のままにいたしておくことは適当でないと考えられますので、今後は原則として申告書提出期限から三年後には更正決定を行うことができないことにいたしているのであります。なお、この制度法人税及び相続税についても設けることといたしております。  又、近く改正商法施行されることに伴い、所要の規定整備を行いますと共に、給與所得者確定申告書提出限度を引き上げる等所得税制簡素合理化を図ることに努めました。  次に法人税法の一部を改正する法律案について申上げます。法人税につきましては、昨年根本的改正序行い相当大巾な負担軽減を図りましたので、今回は、若干の規定整備するに止め、後で申上げます通り、主として資本蓄積を促進するため必要な措置租税特別措置法におきまして、講ずることといたしたのであります。法人税法改正としましては、近く改正商法施行されることに伴い、無額面株式を発行した場合の発行価額のうち資本に組み入れなかつた金額額面株式を発行した場合のプレミアムと同様益金に算入しないこととする等規定整備を図ることとし、又、法人税法規定する同族会社に該当する会社でありましても、その親会社が非同族会社であるときは、同族会社積立金課税を行わないことといたしました。  次に、相続税法の一部を改正する法律案について申上げます。相続税におきましては、資本蓄積措置一環として、被相続人の死亡により相続人その他の者が取得する生命保険金につきましては、取得者ごとに十万円を限度として特別に控除することとしております。  次に、租税特別措置法の一部を改正する法律案について申上げます。先ず、貯蓄の増強を図るため、公社債及び預貯金の利子等に対する所得税課税に当り源泉選択を認め、その税率を百分の五十といたしました。次に、会社社内留保を増加して自己資本蓄積に資するため、積立金に対する百分の二の法人税課税を廃止することといたしました。ただ、同族会社に対しましては、五十万円を超える留保金額に対する現行の百分の七の税率を、百分の五の税率に改めることにいたしております。  更に、今後我が国国際経済社会に参加して経済復興を図つて行く上に緊要と認められる特定の機械設備又は船舶等につきましては、取得後三年間は法定償却額の五割増の特別償却を行い得ることとして、これらの機械等新規取得を容易ならしめることといたしておらます。又、見返資金で保有する銀行等優先株式又は優先出資に対する配当につきましては、資金コストの低下に資するよう、所得計算上これを損金に算入することといたしました。なお、従来輸入砂糖に対しましては、免税措置を講じて参つたのでありますが、最近における砂糖消費実情に顧み、これを廃止することといたしました。  次に、通行税法の一部を改正する法律案について申上げます。通行税につきましては、近く我が国民間航空が再開される見込でありますので、その際は航空機の乗客に対し、通行税一般税率である百分の二十で課税鑑行うこととすると共に、汽船の二等乗客の料金に対しましては、その性質にかんがみ通行税を課さないことといたしました。  次に、登録税法の一部を改正する法律案について申上げます。登録税改正は、全く技術的なものでありまして、近く改正商法施行されることに伴いまして、無額面株式が発行ざれる場合には、その発行価額のうち資本に組み入れられた金額に対して登録税を課することとする等規定整備を図つているのであります。  次に、印紙税法の一部を改正する法律案について申上げます。印紙税につきましては、受取書、手形、売買契約書借用証書等課税最低限は百円、又物品切手のそれは十円となつておりますのを、最近における経済取引実情より考慮いたしまして、前者については千円に、後者については五千円に、それぞれ引き上げることといたしたのであります。  最後に、骨牌税法の一部を改正する法律案について申上げます。従来、トランプ及び花札に対しましては、一組につき百三十円の税率課税して参つたのでありすすか、これは高率に過ぎるきらいがありますので、先きに物品税税率を引き下げたことと関連しまして、一組につき五十円の税率に改めることといたしたのであります。  以上各法律案につきましてその大要を申上げましたが、昭和二十六年度租税及び印紙收入予算額は、四千四百四十五億円となるのでありまして、これは税制改正を行わない場合の收入見込額五千八百八十八億余円に対しまして、約七百四十三億円の減税となるのであります。減税額の内訳を各税について申上げますと、所得税におきましては、源泉徴収所得税で三百十億九千八百万円、申告納税所得税で三百三億千八百万円、合計六百十四億千六百万円、法人税におきましては重ねて再評価を行うことによる減収額を含めまして、二十九億五千八百万円、相続税におきまして一億八千三百万円、印紙税骨牌税におきまして、一億一千三百万円、総計六百四十六億七千万円の減収となるのでありますが、重ねて再評価を行うことにより再評価税におきまして、十五億千二百万円、輸入砂糖に対する課税により、六十億円、計七十五億千二百万円の増収となりますので、差し引き五百七十一億五千八百万円の減税となるのであります。  これに今回の改正一環としてすでに実施している酒税引下物品税改正揮発油税及び砂糖消費税引下による減収額百七千一穂五千八百万円を加えますと、七百四十三億千六百万円の減税となる次第であります。  政府は昨年の減税に引続きまして今年更に以上の如く巨額の減税を断行いたしまして、国民生活の安定、資本蓄積に資することといたしておるの、でありますが、税制改正と共に税務行政の運用につきましても、更に一段の改善を加え、納税円滑化課税の適正を図るため万全の措置を講ずる考えであります。国民各位の深い御理解と一層の御協力を切に期待する次第であります。今回提案いたしました各法律案につきましては、何とぞ御審議上速かに賛成せられんことを切望してやまない次第であります。  次に、国民金融公庫法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由を御説明いたします。  本公庫は、発足以来、国民大衆資金需要に応ずるため再三の増資を行い、昨年十二月末までに、普通小口貸付四十二億四千万円の貸付を行い、一般金融機関から融資を受けることが困難な国民大衆生活を建て直し、経済復興に寄與して参つたのであります。昭和一一十六年度におきましても、公庫に対する資金需要は、依然相当の額に上るものと予想され、この種資金の円滑な疎通を図ることは極めて緊要でありますので、この際公庫資本金四十億円を六十億円とすることとし、昭和二十六年度予算において公庫に対する出資金二十億円を計上したのであります。明年度におきましては、この増資額二十億円に既往貸付金回収金を加え、最低約五十億円の新規資金が確保されることとなつております。  次に、開拓者資金融通特別会計において貸付金財源に充てるための一般会計からする繰入金に関する法律案提出理由を御説明申上げます。  開拓者資金融通法による農地の開拓者に対する資金貸付に関する歳入歳出につきましては、開拓者資金融通特別会計を設けて経理いたしておりますが、この貸付金財源は、従来この会計負担で発行する公債又は借入金によつて調達して参つたのでありますが、健全財政の見地から妥当でないと思われますので、昭和二十四年度から引き続き、一般会計からの繰入金を以てその財源に充てて参つたのであります。  昭和二十六年度におきましても、前年度と同様の趣旨を以ちまして、営農資金として十億一千四百四万円、共同施設資金として四千二百二十五万円、営農促進対策資金として三億六千七百万円、合計十四億二千三百二十九万円の貸付を計画いたしておりますので、この額を一般会計から繰り入れまして貸付金財源に充てることといたしたいのであります。  なお、この繰入金は、将来貸付金がこの会計へ償還されますので、繰入額に相当する金額に達するまで、予算の定めるところにより一般会計へ繰り戻す規定を設けることといたしたいのであります。以上の理由によりまして、この二法律案提出いたしました次第であります。  何とぞ、御審議の上、速かに御賛成あらんことをお願い申し上げます。
  4. 小串清一

    委員長小串清一君) 御希望によつて只今提案理由を御説明になりました部分に対しましての質問をお願いいたします。……若し御発言がなければ、次に、今までの案は先ずそのままとしまして、所得税法の一部を改正する法律案ほか七件の税制改正案内容を更に主税局長から説明を求め、又二十六年度租税及び印紙収入予算に関しても説明を求めようと存じます……只今主税局長説明を求めることを申上げましたが、衆議院のほうに都合で廻られるそうでありますから、忠調査課長にこの二十六年度租税及び印紙收入予算についての説明を求めようと存じます。……それでは今申上げましたが、若し簡單な御質問なら、まだ主税局長はもう少しこの席におらるるそうでありますから、御質問を願います。
  5. 大矢半次郎

    大矢半次郎君 今日提案されました以外に、今国会会期牛提案の予定の税法関係法律は幾つありますか。又その提出の時期はいつ頃になりますか、お伺いいたします。
  6. 平田敬一郎

    政府委員平田敬一郎君) 提出いたしましたほかに目下計画いたしておりますのは、国税徴收法の一部を改正する法律案、それから税務代理士法改正する法律案、それから資産評価法の一部を改正する法律案、この三件につきまして目下案を取りまとめ中でございます。そのうち税務代理士法案につきましては、恐らく国会提出ということにお話を願うことに相成るかと思いますが、これらの諸法案につきましては、目下最終的に議案の取りまとめ中でございまして、私ども希望といたしましては、来週中には国会提出する運びになるように取計いたいと、かように考えて目下進行いたしておる次第でございます。
  7. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 この際主税局長にお伺いして置きたいのですが、実は今度出された予算の組立ては、去年の十月の物価を基準にしてなされたということを聞いております。その後非常に物価が上つておるというのも、これはもう安定本部長官あたりも本会議あたりではつきり言つておるのです。そうしますと、それに伴つて相当税増收見込まれて来やしないかと思うのですが、それに対する主税局長としての考え方見通しと、それから若し物価が高騰し、あらゆる面において税の増徴が見られるとした場合に、補正予算を組む必要が生じて来やしないかと思うのですが、それに対する見通しですね。これについて局長の意見を承わりたい。
  8. 平田敬一郎

    政府委員平田敬一郎君) 大体歳出歳入共に十月頃の物価を基にしまして計算いたしておりますことに、お話通りでございます。ただこの歳出の面におきましては、或いは一部特殊な原料、資材の値上りが激しいために、一部の事業費の実行については相当影響があるというようなことが考えられるかと思いまするが、歳入の面におきましては、全体としての物価水準騰貴というのは、実は十月前後に比べまして現在のところそれほど顕著ではないのでありまして、消費者物価指数卸物価指数は若干その後微騰いたしておりまするが、それほど顯著な騰貴は示しておりません。むしろ朝鮮事変勃発の六月前後からすでに十月までに相当騰貴をいたしておりまして、その部分歳入計算にも十分織り込んでおりまするので、今のところといたしまして、私ども更に現段階において今回計算いたしましたより以上の税收入を期待できるかどうかということにつきましては、まだはつきり見通しは付きかねると、こういう状態でございます。大体におきましては、私ども今度最後まで見るべきところは見まして、法人税收入等も最近の成績に顧みまして相当増収見込んでおりますので、今の段階におきまして、更に見積りに対しまして増收ができるというような計算をすることはちよつと困難ではなかろうかと、このように考えておる次第でございます。
  9. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 この点はいずれ大蔵大臣も出席してもらつて、もつととの委員会で検討する必要があると思いますから、適当な機会に大臣の出席を求めたいと思います。
  10. 小串清一

    委員長小串清一君) 了承いたしました。
  11. 黒田英雄

    黒田英雄君 只今説明によると、法人税並びに登録税等改正商法が近く施行せられるということを予見して、それに応じての税法を作られておるのですが、この頃商法は一年延期するとか再検討するとかいうような案を持つておるようですが、これとの関係はどういうふうにお考えですか。
  12. 平田敬一郎

    政府委員平田敬一郎君) 商法改正に伴つて改正すべき事項は、法人税法並びに所得税法においてそれぞれ規定を設けております。それから登録税法においても同様でございますが、これはいずれも商法施行が延びますれば、関係條文施行をその法律附則で遅らせるかどうか。そういう途もあろうかと思いますが、又そういう措置をいたしませんでも、大体法律としましては円滑に行くのではないかと見ておりまするが、ただ全面的に施行を延期するということになりますると、その施行の延期の法律に関連しまして、場合によりましては適当な補充規定を設けたらどうかというふうに考えております。
  13. 黒田英雄

    黒田英雄君 その改正商法施行がただ延びるというだけならば、これで今きめておいてもよいのですが、内容を検討していろいろ変えるということになると、ことで審議することが妙なことになるように思うのですが……。
  14. 平田敬一郎

    政府委員平田敬一郎君) 現在の法律では、一応改正商法が近く実行される運びになつておりまするので、それに遅れをとつてはいかんというので、それぞれ税法改正を実はいたしておるわけでございます。確か税法附則でその趣旨を明らかにいたしまして、商法改正に関連した條文は、原則としまして改正商法施行のときから施行するというような規定を設けるだろうと思いますが、そういうような方法をやりますれば自然に調節できる。更に又商法が今回別に改正ざれるということになりますれば、又これに応じまして税法は一緒に検討しまして、必要な規定を設けなければならないということに相成るかとも思うのでございますが、今のところはこういう方法で進めるよりほかなかろうと、かように考えておるわけであります。
  15. 森下政一

    森下政一君 主税局長にお尋ねしますが、近頃この税法上の減税という言葉がしばしば新聞紙上などで散見するのでありますが、この問題につきまして、過般も国会の論議があつて大蔵大臣税法上の減税実質上の減税も選ぶところはないというふうな答弁があつたように、これも私新聞で承知したのでありますが、若し選ぶところがないのならば、わざわざそんな用語の区別をする必要はないはずなんで、減税はどこまでも減税であつて国民負担軽減されるということでなければならん。一体その減税という言葉から国民の予想し且つ期待しますところは、常にそれだけ負担実質的に軽減されて家計が潤うて来るということでなければならないと私は思うのでありますが、然るに單なる税法上の減税に過ぎないというふうな批判も世間では行われるということは、結局明らかに法規の上では減税が行われるのであるけれども、半面において一般消費物資等価格等が上昇して行くというふうな傾向が極めて顯著である。現に上昇しつつあるということであれば、折角の減税が行われても既往に比べて負担軽減にはならない、家計は潤わない、こういうことを税法上の減税に過ぎないと言つておるのじやないかと思うのですが、今回政府は深く国民の了解を得たいと言われるけれども只今政務次官の御説明にもそういう言葉があつたが、七百四十三億という必ずつまり減税が行われるのだと言われるが、これが本当に実質的な負担軽減になるのか、或いは單なる税法上の減税であつて実質的には家計は潤つて来ないという結果になるのか、政府のこの点に対するはりきりした見解を私はこの際に拝聴しておきたいと思うのです。これは非常にこの広範な税法改正に関する審議を本委員会が、後継続しますにおいて眼目になる点だと思いますので、このことをお尋ねしておきたいと思います。
  16. 平田敬一郎

    政府委員平田敬一郎君) お話の点はなかなか議論のあるところでございますが、税法上という言落がいいかどうか、これは私ども決してそういう言落がいいとは実は考えていないのでありまして、ただ従来の予算額と前年度予算額と、その年の予算額とを比較して税收入がどうなるかということで減税額というものを計算した例もございまして、そういうふうな方法よりもむしろ今回いたしましたように現行税法をそのまま来年度実行するとするならば幾ら収入が上るか、それに対しまして改正税法で実行いたしますれば負担幾らになる、その差額が税法改正によりまして租税收入を減らして行く、これがつまり改正による減税額、こういう考え方をとつておるのでありまして、やはり建て方といたしましては、私ども減税額を見る場合におきます見方は後者のほうが正しいのじやないかと見ております。ただ併しそれだけで減税云々の問題を議論するのは非常にまあ私らとしましてはシンプルな議論であつて、然るがごとくに簡單なものではない、これは応の減税額を示す目安だと思います。大まかにはそういうことが言い得るかと思うのでありますが、むしろ実質負担が殖えるか殖えないかというこれは一つは各税に亘りまして一体税の負担がどうなるか、これが番大事なことではないかと思います。所得税が果してこの個人ごとに見てどのくらい減税になるか、物品親等におきましても減税した結果価格にどういう影響があるか、その結果消費者がどういう減税の効果を受けるか。酒にいたしましても、減税によりまして値が下つて消費者の負担がどうなるか、これが一番これは軍視すべき点でありまして、そういう問題から減税か否かを議論すべきではないかと第一に考えます。それから大まかに見ました場合におきましては、これはやはり私ども一つは国民所得に対する税の負担というものを見ておりますが、この国民所得計算が率直に申上げまして非常に精密を欠く、精密を得る段階に至つておりませんので、これはこの議論からだけでもなかなか盡せないと思うのでありますが、一つの目安としてはそういう見方もあると思うのでございますが、そういう点からおつて行きましても、やはりこの減税に実はなるのでございまして、その資料としまして若干例を申しますと、二十四年度におきまして、国税、地方税を通じて二七四彩の負担でございます。それが二十五年度になりますと、二三%に下つておりますが、この改正税法を実施した後における負担は二〇・二%くらいにまあ下る、こういう計算も一つはできるのであります。これも国民所得計算自体、或いは税の見積り自体につきまして芸干の問題がございます。実績になつて見ないと本当のところはわからない。併し傾向としましては相当この負担軽減の方向を示しているのじやないかというふうに考えるのでございます。それから更に遡りまして問題はこういう問題があろうと思いますが、結局二十六年度に予定している税收入額と二十玉年度に予定している税收入額と総額において同じじやないか、減税でないじやないか、こういう見方が実はあるわけであります。併しそこは私ほ、結局いろいろ問題ございますが、国民所得が実際において増加している。結局実質的には税収の増加によりまして実質的に増加する、こういう面に関する限りにおきましては、それによりまして税の自然増収が出て来た場合、その自然増収税法改正減税いたしまして、それによつて税の負担を前年と同じくするということは、これは取りも直さず私は本当の意味の減税だろうと思うんです。つまり実質的に国民所得が増加して、それだけ担税力が増加するわけでありますから、それに従つて税の自然増が出て来る部分を、これを税法改正によつて減らすということになりますので、結局税引の国民所得と申しますか、税を引いた残りの国民の手取り所得が殖えて来る。その引いた残りが結局一方におきましては家計費に向い、消費に向う、他方におきましては資本蓄積に向うと思うのでございますが、そういうものが殖えて来るということに関する限りにおきまして、やはり改正によつて実質的な減税であろうというふうに考えるのであります。問題は非常に減税の額をシンプルな額で表現して、それが唯絶対なるかのごとくこの行きますのはこれはまあどうかと思うのでございますが、大体におきましては、併し先ほども提案理由説明いたしました通り税法改正しない場合の税額と、改正した場合の税額と比較しまして、その差額を改正上の減税額、こういうふうに見ますのは、これは一つの有力な見方であろう。但しそれだけに限つて問題を解決してしまうということはこれは無理で、これはさつき申しましたようないろいろの角度から検討して、実質的に減税になるということを研究し、結論付けるべき問題じやないか、私はかように考えているのでございます。
  17. 森下政一

    森下政一君 これは主税局長にお尋ねするのは少し見当違いになるかも知れませんが、只今の御説明、いろいろ問題、議論の余地があるとは思いますが、一応御説明として了承いたしますが、現内閣が昭和二十四年から二十五年にかけて一貫してとつて来たと思われる方針はインフレを抑制しなければならんというので、特に二十四年度においてはいわゆる画期的な超均衡予算を組んだ、そうして国民の懐ろに環流しておりますところの通貨をできる限り政府の手に奪回してしまうという方針で可なり峻厳な課税をした。これは経済原則の要請でもあつた。それに合致せしめるために徴税を励行して行く、課税相当高率的な課税をして行くというわけで、国民にはなお耐乏生活を要請するというふうなことが行なわれて来たわけであつたと思うんです。それが昨年度の二十五年度の後半からやや改められて税の軽減ということが取上げられて、今度の予算では減税を断行する、曾つての公約を実施するのだということが可なり大幅に取上げられていると思います。更に前国会における委員会においての大蔵大臣と私がやりとりをしました論議においても、大蔵大臣はなお且つ税が高過ぎると思うとの私の議論に対して全く同感だ、自分が大蔵大臣である限りにおいてはもう毎年度減税をするに減税を以てしたいということをおつしやつてつたのでありますが、これは明らかにドツジ構想の一部がすでに目的を達したというので、税の面においては成るべくこれを軽減して行くというふうに、政府相当の努力をされて、ドツジ氏の了承を得られて、こういうふうな措置が講ぜられたと思うのですが、ところがその半面ではこれとちよつと矛盾すると思われるようなことが予算面に現われておる。これは主税局長の担当される面ではないと思うのですが、例えば例のインベントリー・ファイナンス、しばしば国会で問題になるインベソトリー・ファイナンスなんかが今度の予算ではこれを更に大幅に行われておるというふうなわけで、ちよつと両者は矛盾しておると、こういうふうに考えるのですが、体政府の意図はその辺どういうところにあるのか、お伺いしたいのですが、これは政務次官からでも聞けたら非常に結構です。
  18. 西川甚五郎

    政府委員西川甚五郎君) 今のインベソトリー・ファイナンスの五百億といいますのは、実は昨年の予算を編成する最初には、そういう考えがなかつたのが、朝鮮動乱が起りまして、やはりインフレーシヨンの心配もありますし、一応そういう枠を置いておくほうが必要であるという考えから、あのインベントリー・フアイナンスを継続した、若しも朝鮮動乱が起らなかつたならば、ああいう問題がインベントリー・フアイナンスというものももう止めてしまうという恰好になつておると思います。
  19. 森下政一

    森下政一君 これは予算委員会ででも論議することで、ここではちよつと見当外れだと思うのですけれども、御説のように、朝鮮事変というようなものが一つの原因になつて政府が全く考えておられなかつたインベントリー・フアイナンスというものを今度又大幅に取上げなければならん。そうしてインフレ再燃の危險を防止する、こう言われるのですが、若しそこに原因があるなら、私はこれは今度の憂慮されるインフレ再燃の危險を防止するという方策は、従来のような通貨的な措置というか、小手先で阻止するなんということはできないので、もつと世界的な経済情勢というものと睨合せて、根本的な政策というものによつてこれを処理しなければならんのじやないか。そらしないことには一方では非常に苛酷な税金を取つてつたのを改めて、そうして税の軽減に資するという政府方針であるにかかわらず、一方ではこれとおよそ矛盾するような措置が講じられているということになる。これはインフレ再燃の危險を防止するという政策が、手段が従来通りのインベントリー・フアイナンスによつて行うなんというようなことが少し観点が違うのじやないか。これはまあこの委員会での議論ではありませんからこれ以上申上げようとは思いませんが、ちよつとそういう気がするのです。これは又他日の問題にいたします。
  20. 平田敬一郎

    政府委員平田敬一郎君) 只今の問題は政務次官から今お話ございましたし、又或いは適当な機会に大臣が御出席になりまして、いろいろお話願おうかと思いまするが、これはやはり御指摘の点は正に減税の態度をきめる場合には、一つの基本的な問題であつたわけでありまして、私ども朝鮮動乱前の情勢から考えますと、如何なる面から見ても減税を不可とする理由はなくて、できるだけの大幅の減税をいたしたい、又いたすことができると考えていたのでございます。ところがその後情勢が大分変つて来まして、変つて来た情勢の一つの集中的な問題が輸出、輸入のアンバランスと申しますか、そこから来る輸出、むしろ輸出超過になりまして、そこから来る円資金から申しますと、インフレ要因、それが非常に大きな問題になつておる。二十五年度といたしましても現実にそれが相当大きな支拂超過に実はなつております。二十五年度におきまして、それは現実に通貨の増発になる程度が少くなつたのは、一にかかりまして各種の債務償還費が多額に計上されておりまして、これの実行が見合わされたために相役されて、従つて、通貨膨脹になる程度が少くて済んでおる。それで若しも来年度におきまして同様な事態が生ずるといたしますると、これはやはりインフレの問題としまして相当大きな問題でございますので、その問題に対処する手段といたしまして、為替会計の特例五百億の繰入れという措置を講ずることに相成つたのではないかと、これは私見ておるのでございます。で、勿論併し根本方策は緊急輸入を図りまして、輸出超過にならんようにするというのが、これは最大の要件だと思いますが、併し今の国際情勢で絶対にそういうふうになり得るかということを考えますと、必ずしもそういうふうになり得ない場合もあり得ると考えますので、こういうふうな措置を講じまして、インフレの要因を排除するように考えて行こうというようになつたのではないかと考えておるのであります。と同時に、一方におきまして、動乱以後経済活動が非常に盛んになりまして、生産も御承知のように非常に飛躍的に増加いたしております。そういたしまして生産が飛躍的に増加しますと、担税力がさつき申しましたようにおのずから殖えるわけであります。それにもかかわらず税收入としましては、極力減らすことにしまして、そこはさつき申しました税法改正によつて同時に減税を図ると、両方をやりまして、減税もやる、インフレに対しても備えるということで、結局最後的には二十六年度予算がきまつたものであると考えておるのでございます。併しこの問題はなおいろいろ政策的には問題の点が多いと思いますので、他日更に大臣政務次官のほうから御説明になるかと思いまするが、それただけを附け加えておきます。
  21. 森下政一

    森下政一君 今日は政府の意図される税法改正の各法律案大要説明を拜聽したわけですが、恐らく本国会は、本委員会の論議いたします、審査いたしますものが一番重要な問題じやないかと思うので、更に各委員においてこの問題を精査し、研究いたしました上で、質問に入ることが妥当ではないかと思うのと、今日は本委員会委員長並びに委員の理事の打合会を本委員会散会後に予定しておりますので、各位の御同意が得られるなら、今日の委員会はこの程度で終つて頂いたら結構だと思うのですが、如何でしようか。
  22. 小串清一

    委員長小串清一君) 只今の森下委員の御意見如何でしようか。
  23. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 さつき平田局長が、衆議院のほうに用があるから、忠課長をしてこの何か提案理由説明をもつと詳細にすると……。
  24. 小串清一

    委員長小串清一君) それはあなたのお留守中でしたが、衆議院のほうが一時休憩になりまして、主税局長が行かれるのが中止になつたわけです。
  25. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 それで済んだんですか説明は。まだでしよう。
  26. 小串清一

    委員長小串清一君) 従つて只今森下委員の御意見は、今日は重大なる法案がたくさんある、この運用について理事会をやりたい、打合会をやろうということになつておるから、大体本日は説明をこの程度に願つて、更に精査した上で、各委員諸君は十分な御質問をして頂いたほうがいいんじやないかと、こういう御意見なんです。如何ですか。
  27. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 どうでしよう、長い時間かかるならとにかく、大した時間でなければ、なお詳細に、まだ十二時まで間がありますから、説明を聞いて、定らなかつたら改めて又質問するということで、一応説明をお聞きになるということは。
  28. 小串清一

    委員長小串清一君) 簡単なお尋ねならですけれども、打合会がありまして、余り遅くなると、午後の会議もありますものですから……。簡單なものならお尋ねになつたらいいかと思います。
  29. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 さつき主税局長がもう少し明細に補足的に説明されるというお話つたのですが、それをお聞きしたいと思います。
  30. 平田敬一郎

    政府委員平田敬一郎君) 税の改正の要綱のほうは、実は先ほど政務次官の御説明で大体が盡されておりまして、あとは條文の細かい問題が多いと存じておるのでございますが、ただ今歳入予算説明として出しておりまするこの事項について、説明をしたらどうかというお話がございましたので、私都合が悪ければ調査課長から説明いたしますということにいたして置いたのでございますが、これはこの際いたしますか、或は次の機会にいたしますか。その点ちよつと……これは説明しますとやはり十分やそこらじやむずかかしいと思いますが、適当な機会に、まだ会期も長うございますので、適当な機会にいたしたいと思います。
  31. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 森下君の提案通りに今日は一応これで打切つて、改めて一つ詳しく御説明願うということにしたらどうですか。
  32. 小串清一

    委員長小串清一君) 油井君どうですか。
  33. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 そうしておきます。
  34. 小串清一

    委員長小串清一君) それでは本日はこの程度にいたしまして、更に委員諸君の御精査によつて当局の説明を求め、ときに又大臣の出席も要求するつもりであります。  これを以て散会いたします。    午前十一時四十一分散会  出席者は左の通り    委員長     小串 清一君    理事            大矢半次郎君            森下 政一君    委員            岡崎 真一君            黒田 英雄君            九鬼紋十郎君            佐多 忠隆君            小林 政夫君            高橋龍太郎君            山崎  恒君            油井賢太郎君   政府委員    大蔵政務次官  西川甚五郎君    大蔵省主税局長 平田敬一郎君   事務局側    常任委員会專門    員       木村常次郎君    常任委員会專門    員       小田 正義君