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1950-12-12 第10回国会 参議院 大蔵委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年十二月十二日(火曜日)    午後一時三十七分開会   —————————————  委員氏名    委員長     小串 清一君    理事      大矢半次郎君    理事      佐多 忠隆君    理事      山崎  恒君    理事      木内 四郎君            愛知 揆一君            岡崎 真一君            九鬼紋十郎君            黒田 英雄君            清澤 俊英君            野溝  勝君            松永 義雄君            森下 政一君            小林 政夫君            小宮山常吉君            杉山 昌作君            高橋龍太郎君            油井賢太郎君            森 八三一君            木村禧八郎君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○外国為替特別会計資本増加に充  てるための一般会計からする繰入金  に関する法律案内閣提出衆議院  送付) ○特別職職員給與に関する法律の  一部を改正する法律案内閣提出、  衆議院送付)   —————————————
  2. 小串清一

    委員長小串清一君) これより第一回大蔵委員会を開会いたします。外国為替特別会計資本増加に充てるための一般会計からする繰入金に関する法律案議題といたします。同時に特別職職員給與に関する法律の一部を改正する法律案両案を議題といたします。大蔵大臣より説明を求められております。
  3. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 只今議題となりました特別職職員給與に関する法律の一部を改正する法律案ほか一法律案につきまして提案の理由を御説明申上げます。  先ず特別職職員給與に関する法律の一部を改正する法律案につきまして御説明申上げます。  特別職職員給與については、従来一般職職員給與との権衡においてその職務内容に応じた給與が定められた参つたのでありますが、今般人事院の勧告に基き一般職職員給與改訂されることとなりましたので、特別職におきましても一般職同様特別職職員給與に関する法律に所要の改正を加え、給與改訂を行い、併せて国会閉会中に新たに特別職職員となりました者を適用範囲に加えたいと存ずるのであります。  次に、改正の要点を簡單に御説明申上げます。  第一に国会閉会中新たに特別職職員となり政令で定められておりました者を適用範囲に挿入いたしました。  第二に内閣総理大臣等給與につきましては、一般職職員給與改訂権衡を図り、且つその職務内容に応じ俸給月額を、現行のおおむね三割乃至五割増給することとし別表を改めました。  第三に首都建設委員会委員等給與は、従来日額千円の範囲内で手当が支給されていたのでありますが、これも一般職非常動職員である委員、顧問、参與等と同様、日額を千八百五十円に改めました。  第四に食糧配給公団特別手当一般職公団職員と同様、従来の三割を一割に改めることといたしました。  以上が、この法律案提出致しました理由であります。何とぞ御審議上速かに御賛成あらんことを希望いたします。  次に外国為替特別会計資本増加に充てるための一般会計から繰入金に関する法律案提出理由を御説明申上げます。  外国為替特別会計におきましては、昭和二十四年度以降輸出増加に伴いまして外貨手持の激増を来し、これがため円資金予算に比し著しく不定を生ずる実情にあつたのであります。昭和二十四年度におきましては、右の不足を借入金により賄つて参つたのでありまして、今年度におきましては日本銀行の外貨貸付制度の運用により右の困難は著しく緩和されることと相成りましたが、なお相当不足を生じますので貿易特別会計より二百六十億円繰り入れる外、一般会計より百億円の繰入を行うことといたしましてこの会計運営を円滑にしようとするものであります。  以上がこの法律案提出いたしました理由であります。何とぞ御審議の上右法律案につきまして速かに御賛成あらんことを希望いたします。
  4. 小串清一

    委員長小串清一君) 本案に関連をいたしまして、波多野予算委員長より発言を求められております。これを許します。
  5. 波多野鼎

    委員外議員波多野鼎君) 外為の問題に関連いたしまして、ちよつと御質問を申上げたい点があるのであります。それは十二月の八日の日本経済新聞に総司令部から関税の問題について覚書が一日大蔵省あて参つたということが出ております。そうして而も新聞に報ぜられた内容では、甚だ理解しがたい点が大分沢山ありまして、その点についてお伺いしたいのでありますが先ず最初関税問題というのは、いうまでもなく日本経済自立計画と非常に重要な関係があるのでありまして、政府のほうでは三カ年を目標として自立計画を立てて参られましたのでありますが、この日本のような生産力の非常に落ちておる国と、それからアメリカのような非常に高度の国との経済関係におきまして、関税の問題というものは、日本経済自立のために非常に大きな意義を持つておると思う。若し非常に低い率の関税ということにでもなれば、日本経済は恐らく競争に堪えられないで、段々崩壊して行くのじやないかということが恐れられておりまして、自立経済建設の達成の上から、関税政策の持つ重大意義というものは、これは皆さんどなたでもお考えのことと思います。ところが今申し上げました、十二月一日に示されたと伝えられるこの覚書を見ておりますと、甚だまあ我々の立場から言うと感心し得ないような覚書内容なのでありまして、そこで而も覚書の一部として新聞には報道されております。そのために、業界におきましては、いろいろの揣摩臆測が行われているし、又非常な不安も省き起されている状態なんで、特に食糧だとか、ガソリンだとか、乗用自動車というものは、無税でどんどん日本に入れるのだといつたようなことも出ているし、従いまして不安が起るのは当然だと思います。そこでどういう品目について、どのような税率が勧告されたのかということをできるだけ明らかにして置きたいと思う。そこで先ずお伺いしたい第一の点は、この総司会部から出された覚書新聞が報しておりますものは、どういう性格のものであるかということを先ずお伺いいたします。
  6. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 司令部より関税率一般改正につきまして、向うからの或る程度意思表示があつたということは事実でございます。実は関税率一般的改正につきまして、日本政府におきましても検討を加えて、非公式に向うと話を進めておつたわけであります。その案につきまして、向う意見が何と言いますか、一つのまとまつたものというのでなしに、ただ断片的というのがよろしうございますか、或る事柄につきまして、私の意目を聞いて来ておるわけなのであります。普通の覚書のような最後的なものではございません。こういうふうな点について、自分はこう考えるが、日本政府はどう考えるかというくらいな、との分についてはいついつまでにこちらの考え方を返事せよ、そういうようなことであるのであります。普通の覚書というところまで行つておりません。従いまして、どの品目についてどういう意見だということを、ここで申上げることは少し早過ぎるのではないかと思います。いろいろなデリケートな問題がございますので、私は向うさんの意見十分検討をし、こちらの意見十分練つて、そうして話を進めて行きたいと思つております。お話通り関税率改正ということは、我が国の自立経済に最も重要な事柄でありますので、各般に亘りまして愼重に研究を続けておる次第でございます。
  7. 波多野鼎

    委員外議員波多野鼎君) そうしますと、新聞覚書という形で発表されているのは、間違いというように理解していいわけですか。つまり従来ならば日本政府側事務当局と、向う事務当局とがいろいろな問題について折衝する。その折衝過程というものは、いつも秘密にせられておるのは当然だと思いますが、その折衝過程折衝やり方一つとして、このような手紙が来たという程度のことと理解して差支えないのですか。
  8. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 私はそう考えております。
  9. 波多野鼎

    委員外議員波多野鼎君) そうしますと、ここに新聞に発表されているものは、日本政府考えておる関税定率の全貌についての向う意見問合せでなくて、一部の、極く一部のものについての向う問合せ、こういうふうに理解していいわけですね。
  10. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 実は私、向うから来たいわゆる中間的の向う意見の書類は、実はまだ見ていないのであります。全体の中の一部か、或いは半分以上かお答え申上げられませんが、大蔵大臣としては、まだそれを検討して返事を出していない段階であるのであります。いずれ今月中には何とか研究の上、返事をいたしたいと思つております。
  11. 波多野鼎

    委員外議員波多野鼎君) 関税定率改正の問題は、もう大分前からいろいろ問題になつておるのでありますが、できるだけ早い機会に自主的な関税をきめるということは、我々の希望なんでありますが、政府として今度の通常国会に、この関税定率法改正について法律を出される用意をしておられますか、どうですか。
  12. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 前から研究をいたしまして、大体国内的には殆んどまとまる程度のところまで行つてつたと了承いたしております。従いまして向う意見を聞いておるような状態でございますので、私といたしましては、本国会に出したいというので進んでおります。
  13. 波多野鼎

    委員外議員波多野鼎君) 本国会提出の準備をしておられると思いますが、その関税定率法改正基本方針、どういうところに方針を置いておられるかというような点について、若し御説明願えれば結構だと思います。
  14. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 保護政策で行くか、自由政策で行くか、この点は問題があると思うのでありまするが、やはり従価税から従量税というふうなことになれば大分変つて行くと思います。何分にも今の税率は非常に低過ぎて合わない状態でありますので、実態に副うような方法で行きたいと思います。私は産業保護という建前と、自由通商というこの両建てをマツチさすような方法で行きたいという気持を持つているのであります。余りに自由主義で参りましても、日本の育成すべき産業が立つて行かんというふうでは困りますので、十分その点を考えて行きたい思つております。而して問題は食糧その他につきましては関税率を今でも置いておりますが、置いといて別の法律無税にしている、こういうやりかたで行くか、一応税率をきめて置いて、無税という法律手段をとつておりますが、そうでなしに税率を今のような方法で行く考えかたと、或いは今主食等に課税しても意味をなさないのだから無税にして置いて、そうして適当なときを以て税率をきめるという方法で行くか、こういう点が私はあると思うのであります。併し全般としては、一つのまとまつた一般的改正税率でやりたい、こういう気持で進んでおります。
  15. 波多野鼎

    委員外議員波多野鼎君) 主食の問題もありますが、主食とか銑鉄鉱油石油なんですが、こういつたような主要品品目についていろいろ関税改正のしかた関税運営のしかたというものはいろいろあると思いますが、激変する世界情勢に応じて弾力的な、機動的な関税を運用しなければならんと思うのですが、こういう主食銑鉄或いは鉱油などにつきまして、或る程度これを保護する必要が勿論十分あると思うので、こういうものを保護するという趣旨の関税を立てながら、なお且つこういうものにおいて重要な要素となつているその他の品目などについては、やはり関連的に保護的な手を伸ばさなければならんのですが、そういう点はどうなんですか。
  16. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) お話通りで、実は鉄鋼、銑鉄補給価格税率にいたしましても、一貫メーカー平炉メーカーと勿論意見は違つております。なかなか厄介な点があるのであります。石油関係におきましてもそういうことがございます。併しやはり全体を見合せまして、適当な案を今作成中であるのであります。
  17. 波多野鼎

    委員外議員波多野鼎君) 最後にもう一つお伺いして置きたいと思いますが、関税定率法改正の問題は随分長い間日本でも論議されておりまして、未だに結論が出て来ないような状態で甚だ遺憾なのであります。結論が出ない理由がどこにあるか私はよくわかりませんが、こういうようなことをお考えになることはどうだろうかと思うのですが、即ち税制の問題についてシヤウプ氏がやつて来た。金融の問題についてドツジ氏が来るといつたようなことで、まあ伺う側の相当権威者をこちらに招聘いたしまして、そうして総司令部、或いは日本の役所、或いは又業界、そういうものの意見をそういう人たちに、使節団といいますか、それに十分伝えまして、そしてもうできるだけ早くこの関税定率法を成立できるような段取りを、どうも段取りの点においてすでに障害があるのじやないかという気がするので、その障害を除くためにそういつた段取りをとることが近道じやないかと思うのであるが、こういう点について大蔵大臣はどういうお考えですか。
  18. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 御説誠に御尤もでございまして、私はワシントンでその話をいたしまして、有力な非常に学識経験のあるかたを寄越す、こういうような話になつてつたのであります。併し先般向うからおいでになりましたが、そのかたは上海税関に三十何年か、二十何年かおられ、非常に税関通でございます。関税行政通でございまして、又立派なかたで、日本税関をずつと実施について御覧になつたようであります。併し定率法ということよりも税関行政というほうのエキスパートでございまして、私も話をいたしましたが、そのかたも、やはり或る程度税関につきましての考えかたは、お述べになつたのじやないかと思います。特にこういうふうな何と申しまするか、関税関係エキスパートというよりも、税関行政エキスパート、こういうことになります。併し私はそういうかた意見を聞き、又我々も従来からこの問題につきましては相当日本政府としても検討を進めておつた問題でございまするので、大体の案はできつつある状態でございす。
  19. 波多野鼎

    委員外議員波多野鼎君) 最後にもう一つ……。そこで今のこの問題は最初に申上げたように、単なる関税技術の問題じやないのです。そんな低い程度の問題じやない、もつと高度の問題、これは日本経済の在り方がどうなるか、自立経済をどういうふうにして達成するか、その後の日本経済の在り方如何という高度の政治的な判断が先行しなければならない問題だと私は思うので、そこでそういうふうな点については権威者をむしろ招聘すべきであると思う。そういう点について大蔵大臣は同感のようでありますから、なお一層の努力をお願いしたいと思うのであります。ただ技術的な問題じやどうにも解決のつかん問題がたくさんあるのですから、そういう点を更にお考えの上御努力を願いたい。そうして日本産業界自立経済一つの具体的な目標を與えるということ、これが非常に大事なことだと思うので、而もその目標関税率の如何によつてぐらぐらするようなことになるのですから、それほど世界経済影響日本は強く受けておりますから、その防波堤と申しますか、関税防波堤の高さを大体この程度で……この程度防波堤のなかでこういう自立をやつて行く努力をするのだ、こういう目標を早く與えることが必要でありますから、そういう政治的な、而も政治的の見識の高いそういう人を招聘して、早く結論を出す段取りをつけるように希望したいと思うのであります。
  20. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 ちよつと今のに関連してお伺いしたいと思うのですが、大体昭和二十六年度の予算におきましては、大臣としては関税收入はどのくらいのパーセンテージに、いわゆる国家財政の面に置いておかれるような御方針になつておりますか。
  21. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 御承知通り今年は関税收入が十四、五億であつたかと思います。私は来年度におきまして相当、七十億程度收入になれるのではないかというふうな気持行つております。これは併しまだ固めておりませんのではつきりした数字は申上げかねます。その程度收入があるのではないかという想像をいたしております。
  22. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 御承知通り日本貿易界は、輸入は大体原材料を主として輸入しておるのです。従つてその原材料によつて結局輸出の振興を図るという段階にあるもの、例えば綿花であるとか或いは鉄であるとかマンガンであるとかというようなものの輸入相当あると思う。そういう原材料に対して余りそう高い関税をかけると、結局輸出のコストが高くなつて藪蛇になつて意味をなさないということが危惧されておりますから、そうい点については原材料に対しての税は相当軽減するとか或いは無税にするというようなお考えはないのですか。
  23. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 昔から原材料の問題につきましてはおおむね無税になつておるのでありまして、今問題になりました原材料につきましても銑鉄をどうするかというふうなことになりますと、なかなか議論のあるところでございまして、そういうところは一方では安い原料を製造業者に與えるようにしなければならん。又片一方では一貫作業のことも考えなければならん、いろいろなむずかしい問題もございますが、原材料向うに出て行くものにつきましては、これは原則として無税にすることは適当であろうと考えております。
  24. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 もう一点税関手続上において、この品目検討をすることも、どこに当てはめるかわからないという品物がちよちよい出るのですね。そういう際において、税関では大抵成るべく高いところに当てはめようという気分で税金を取るということになつておるのです。そのために輸入業者等においても思わぬ狂いが出て、日本産業界にも相当大きな影響が来るということもあるのです。それは大蔵省方針としては、若し当てはまる、該当すべきものがない場合には、すべて高いところに適用させるという御方針なのですか。それをひとつ明確にして置いて頂きたいと思います。
  25. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) そういう考えを持つておりません。税というものは疑わしいときには、安いところに持つて行くのが原則です。高いところに持つて行くことは私としてはとるべきではないと思います。税関の問題が出ましたが、御承知通り戰争中は殆んど税関の機能がなくなつております。最近になりましてから又為替管理の問題から税関状況が漸くもとに戻りつつある状況でございますが、貿易が国策の重要部分でありますので、今この人員を急速に殖やすような強い要望が関係方面からあるのです。私は行政整理をやつた直後そういうことは如何なことかと可思いますが、とにかくこの関税收入を図る税関行政というものを急速によくするためには、相当の人を入れなければいかんというので、急速に増員を行つて関税行政の完璧を期したいとこう思つております。
  26. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 外為の問題についてお伺いしたいと思うのです。この外為特別会計の法案は第九臨時国会審議未了となり、再び取扱うことになつたのですが、ゆつくりと大蔵大臣にこの問題について質問される機会を與えられたことを非常に辛いだと思うのです。で私はこの外為に百億一般会計から繰入れるということが、この問題がこの金融の問題、減税の問題、いろいろな問題に響いて来たと思いますし、又私はこれに関連してやはり見返資金のほうが非常に問題になつて来ると思いますので、外為一般会計から百億円繰入れることになつたその経過について大蔵大臣にお伺いしたいと思うのです。最初これは見返資金のほうから一応繰入れるような計画があつたように聞いたのですが、最初はそういうプランであつたのですか。
  27. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 木村さんにはもう十分にお話し申上げたと思うのでありますが、まあ質問があればいたします。これはもう幾ら繰返して申上げたとて……併し、今の御質問は見返りから繰入れるということでございます。これは全然考えておりません。
  28. 小串清一

    委員長小串清一君) ちよつと待つて下さい。御発言中ですがね、委員外から一松さんが質問したいというので前から御通告を受けているのです。その御通告をひとつ先にやらせて頂くようにお願いします。
  29. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 いや、その前に……。
  30. 一松定吉

    委員外議員一松定吉君) 大した問題じやないですから。
  31. 小串清一

    委員長小串清一君) 前から御通告を受けておりますから、ひとつ先にやらして頂くように御同意をお願いします。
  32. 一松定吉

    委員外議員一松定吉君) 大蔵大臣にお伺いしますが、只今審議中の特別職職員給與に関する法律案ですね。別表について少し伺いたい。これによりますと私のどうも理解しがたいのは、国務大臣と他の人事官及び検査官、国立国会図書館長国家公安委員会委員公正取引委員会委員長地方財政委員会委員長全国選挙管理委員会委員長公益事業委員会委員長文化財保護委員会委員長、大使に対し、これが国務大臣と同じように俸給が四万八千円ということになつている。これは私甚だ理解に苦しむ。国務大臣は御承知通り総理大臣の勿論命を受けるのであるが、国政のすべてに干與して重大な任務を負わされている地位にある。明治憲法時代総理大臣とも同じであつたけれども、今の憲法では総理大臣の任命ということにはなりましたけれども、職務範囲においてはやはり明治憲法時代大臣と同じ、範囲が変わつていない。従つて国務大臣に対する国民の感情も、総理の次は国務大臣だというぐらいの考えを持つてつた。然るにこの待遇至つて、今私が読み上げた人々と同じ四万八千円の俸給を支給するということはどうしても私は常識上許せない。これは多分こうではないかと推測はしております。例の国務大臣がほかの官公職員俸給を上げるときに、片山内閣で下級の人々俸給がまだ審議が十分できていないときに、国務大臣俸給を上げるということはよくないから、このままに据置きして置こうではないかということで閣議で話合をして、それがために国会議員などの歳費が上つたにもかかわらず、国務大臣俸給が上らなかつたことは、大蔵大臣はその当時御承知であつた。そこで各大臣はいわゆる大臣俸給をもらわずして、国会議員なみ俸給をもらつてつた、そういうようなことであるから、どうかというと大臣俸給というものは極く稀薄であつた。そのときに今私が読み上げた職を設けるということについては、これはやはり今国務大臣がもらつているような俸給から考えれば、それくらいにしなければならないのじやないかということで、そういうようにしたと私は考える。ところが爾来国務大臣俸給はずつと上つて来た。それが上つて来たにつれて国務大臣俸給国会議員よりも少なかつた当時に均衡を保つためにこしらえたのが、国務大臣と同じ待遇だという法律上の根幹があるために、国務大臣地位を上げたためにこれがずつとつり上げられたというのが私は実情ではないかと思う。それならば、今回あなたがこれらの一般職を上げたために、特別職均衡を保つためにこれを上げなければならんということで、この修正の案をお出しになつたのならば、こういう機会国務大臣と今私が読み上げたところの職務の人の待遇は異にするというのが私は正しいやり方ではないかと実は考えております。これについてあなたはどうお考えになるかということが一つ。  その次に私のどうも腑に落ちないのは、国会議員俸給は四万三千ということである。ところがこの特別職のうちの衆議院及び参議院事務総長、これらの人が国会議員より高い四万五千円という給與を受ける。これは一体どういうわけか、私の理解するところによると、いわゆる衆議院及び参議院事務総長、昔の書記官長は、明治憲法のときには勅任官であつた国会議員奏任官勅任官の間に位するという待遇を受けておつた。だからして内閣書記官長というものは国会議員よりも当然高い俸給を受けておつた。ところが今日のようにいわゆる主権在民の新憲法の下では、主権在民という立場から国会議員地位は非常に高まつて来た。事務総長だとかいうような属僚とは違う。然るに明治憲法時代勅任官であつたという頭でこれらの人の待遇国会議員よりも高くしなければならんという根拠はどこにあるか。私どもはそういう点についてどうも御理解ができない。それから私が申した先刻の国務大臣と同一待遇を受ける者のうちでも、長、即ち長の人は、これはまあいろいろ理由もあるでしようが、長でも何でもない国家公安委員会の委員国務大臣と同じにやはり四万八千円の俸給を取るというのは一体どういうわけか、こういうようなことは私どもは何も国会議員俸給を高くせよというのではありませんよ。国会議員は、主権在民の今日においては国権の最高機関を形成する国会議員、その国会議員の指揮命令を受けているところの事務総長などが、或いは国会議員よりも国事を処理する上において極く狭範囲の立場におる私が今列挙したような人々国会議員よりも五千円も高く而も国務大臣と同一であるということは、今日あなたが一般職を上げるために特別職均衡を保つ意味において上げたということは、ただ以前が高かつたから今度上げるということではいけません。やはりそういうようなそれぞれの人々地位考え、そうしてこれが国民の納得する待遇であるということでなければならんと思うのでありますが、然るにこういうような国務大臣と同じにするというようなことはどういうわけであるか。或いは事務総長が、即ち国会議員、国権の最高機関として国務のために働く非常な地位の高くなつた国会議員がその国会議員の指揮命令を受けるところの事務総長よりも下である、そういう待遇をしなければならんとはどういうわけか。或いはこれらの人はほかに收入がないからというようなことであれば、ほかに收入考えればいい。こういうような比較をしてすぐにどちらが地位が高いか低かということを比較することの材料の目標となる俸給の階級について、一方は四万五千円であり、一方は四万三千円であり、二千円国会議員より高くしなければならんという、こういう理由を私どもが一つ納得するように御説明を願いたい。いずれあとから又質問いたします。
  33. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 特別職のうち、お話の点につきましては検討は私としてはいたしたのであります。併しおおむね法律国務大臣と一緒にするという規定がございますし、既成事実と相成つておりますので、私はこのままで行つたほうがいいという結論に相成つたのであります。次に国会事務総長の点につきますると、これはお話通り沿革の問題もございます。それから内閣の官房長官そして国会事務総長、大体似たものであるというふうな考え方の下に一緒にいたしておるのであります。
  34. 一松定吉

    委員外議員一松定吉君) 今あなたのお答えのような沿革から来たものであろうと私も考えておつたのです。それならば、その沿革は今日の新憲法では覆されたものだ、即ち以前は勅任官であつたものが、今度は国会議員あたりの下風に立たなきやならん事務総長、以前は勅任官奏任官との中間に待遇を受けておつた国会議員が今日では国権の最高機関を組織する国会議員ということになれば、もと明治憲法時代にそうであつたからといつて、そういうようなことは政治を掌る立場から当然考慮に入れなければならん問題であろうと私は考える。今あなたのお言葉では、以前からそういう沿革があつたから今度はそういうふうにしたほうがいいと思うとおつしやられるけれども、私の質問に対して如何に考えるか、国会議員と、国会議員から指揮命令を受くべき立場におる、国会法の二十八條によりましても、国会議員の下風に立つ立場におる事務総長、もつと私をして言わしむるならば、副議長は四万五千円、衆議院参議院も、その副議長と同一に参議院なり衆議院事務総長待遇しなくちやならんというのはどういうわけか。副議長というのは議長不在のときには、議長を助けて万般の行政事務その他立法事務を監督指揮する立場におる副議長、その副議長といわゆる下僚、属僚であるところの事務総長とを同一に待遇しなきやならんのは、どういうわけか。そういう点についてはあなたは正しいやり方だとお考えですか、或いは私の質問によつて、成るほどその点は考慮に入れなきやならんものだとお考えになりますか。その点を一つお尋ねいたします。
  35. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) これはきめますときに、やはり従来の沿革等も考えなきやなりませんし、そうして又官房長官も多分上つたと思います。そして官房長官をここへ持つて来る場合においては、国会事務総長は大体均衡をとるべきではないか、こういうふうな考えの下にやつたのであります。私は只今のところ、将来は別問題として、只今のところ、やはり沿革も考えなければなりませんし、権衡その他いろいろな点から検討して行かなきやいかんと思つておるのでありまするが、先程来申上げましたような規定もありますし、又権衡の問題等も考えまして、なかなか上げずに置いておくというのは困難な問題、一松先生も御存じだと思いますが、一度は私は考えてみたのでありますが、例えば人事院総裁と人事官とは違うのではないか、会計検査院の三人が同じようにとるのも如何なものか、こういうような点がありますが、なかなか急にやるというのは困難な点がありますので、一応国務大臣というようなところは、そういうふうに法律もある、こういうのでやつておるのであります。それから事務総長の分につきましては、官房長官と権衡をとらざるを得んじやないか、こういうところからこういうところをとつたのであります。
  36. 一松定吉

    委員外議員一松定吉君) 事務総長は、官房長官と均衡を保つためにやつたということはわかります。然らば国務大臣との調和をとるとかいうようなことではあなたは考えなかつたか、或いは国会議員との権衡を維持するということについては考えなかつたか、その点はどうです。
  37. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) なかなか理窟をいうと厄介なのでありまするが、官房長官という仕事は、これは国務大臣が兼ねておる場合が多いのであります。なかなかむずかしい厄介な仕事であるのであります。そこで先ず官房長官は現状からいつて上ぐべきだというので、官房長官を上げる、然るところ事務総長も出て来たわけであるのであります。それはお話のように、実際の執務の状況から見ますと、事務総長と官房長官はどうかということになりますと、私は或る程度つてもいいのじやないかというような気が実質的にはありますが、併し問題としましては、やはり権衡をとるのがいいのじやないかというので、こういうようにいたしたのでございます。国会議員と官房長官と或いは事務総長という問題になりますと、国会議員のほうが上か下かという問題、これはお話通りでありまするが、俸給というものは必ずしもそれによれないもの、先ほど来の言葉を繰返すようでございますが、権衡と沿革というものが可なり入つて来るのであります。国会議員のほうは、理窟から申しますと国会議員のほうは国会でおきめになることでありますが、私は国会議員事務総長を常に権衡を常に権衡をとつて下へ置かなければならん理窟も今のところどうかという気がいたしておるのであります。
  38. 一松定吉

    委員外議員一松定吉君) あなたは官房長官と事務総長を比較していなさる、私のほうは国会議員事務総長との権衡がとれるか又国務大臣国務大臣以外の公安委員会の委員だとか委員長というものを同一待遇にしなければならんかということを聞く。ここです。事務総長と官房長官、私をして言わしむれば、官房長官は大概国務大臣、今の岡崎君は国務大臣ではないようだけれども、国務大臣ならば問題は起らないけれども、私の言うのは、事務総長というような、国会において指揮、命令を受ける、これは事務官であります、属僚です。それが国権の最高機関である国会議員よりも待遇を上にするとか、或いは国政万般に参画するところの国務大臣と国家公安委員委員と同じであるというようなことは、あなたは均衡を保つとお考えですか。ではこういうことを聞きましよう。あなたは今大蔵大臣大蔵大臣というあなたの地位と、それと国家公安委員委員という地位と、社会上、法律上、職務上どちらが高いと思つているか、お考えなさつていますか、これを聞きます。
  39. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 地位の高い低いという問題もさることでありまするが、私はこれまでも、国務大臣なみに取扱うという既定の事実がありますので、それにのつかつてつたわけであるのであります。仕事の忙がしい、ひまという問題もありましようが、やはりその地位地位によつて一定の俸給を設ける必要があるとも考えているのであります。
  40. 一松定吉

    委員外議員一松定吉君) 大蔵大臣と同一待遇をするという、その沿革は、先刻私が申したような、あなたはそのときは事務次官であつたと思う。そのときは国務大臣俸給というものは国会議員より少かつた。それを御存じでしようね。
  41. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) はつきり覚えておりませんがそういうこともあつたかと思います。
  42. 一松定吉

    委員外議員一松定吉君) それは確かにあつた。私は国務大臣であつたから知つている。(笑声)そのときにその低い国務大臣と同じくらいには待遇しなければならんだろう、国会議員より俸給は低いけれども、といつたのが沿革です。ところがその後国務大臣待遇は上げられた。そこで上げられたときにすぐにこれらの人の待遇考えなければならんので、法律にそういう條文があるからといつてずつと引張り上げられた。国務大臣上つたことによつて引張り上げられた。引張り上げられたその瞬間に不均衡を来たしている。それならばそういうときに、いわゆるそれらのことに干與しているあなた方のお立場から、これは上げてはいかんということにしなければならんと思う。それで私はあなたを追求しませんが、こういうことは私の考えでは、不均衡だと思う。恐らく居並ぶ委員諸君も全部これは私の質問は普通だとお考えになろうと思う。私の質問は私正しい考えだと思つていますから、今度は改正になつたならば、将来これらの点について一応十分に検討して是正する意思ありや否や、これをお尋ねしましよう。
  43. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 先ほど申上げましたように一応検討はいたしたのであります。併し将来におきまして十分検討いたしたいと思います。
  44. 一松定吉

    委員外議員一松定吉君) どうか将来これらのことを研究して、こういう不均衡で世間の人から国会議員地位を、自分から卑められるようなの待遇の仕方をしないように最後に申上げておきます。これは国会議員俸給を上げろというのではありません。これらの人のものをこの国会議員均衡を保つようにして欲しい。それを誤解なきようにして頂きたいと、それだけのことを申上げて質問を終ります。
  45. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 先ほどに引続きまして質問申上げたいのでありますが、この二十五年度の補正予算の予備審査のときは二回に亘つて河野主計局長から外為不足は見返資金のほうから補填するから心配ないということを我々答弁を受けている。私は非常にしつこかつたのですけれども、河野主計局長にそれで大丈夫かということを二回念を押した。それは速記にあると思う。見返資金のほうから廻ることになるから心配ない、殆んどもう問題にならんようなふうに扱われまして、それならばいいのかと思つてつた。ところが突如非常な大きな問題になりましたので、私は單にそれを責めるという意味で伺つているのではなくて、それを続いて、見返資金というものが、今後どうなるかということを大蔵大臣に前提として質問しているのです。そこでもう一つ進めてお伺いしたいのは、委員会で来年度、アメリカ年度で言えば一九五一年乃至五二年と思うのですが、援助資金が一億ドルくらいの見当の予想をつけている、こういう御答弁があつたのですが、大体そのように了解してよいのですか。
  46. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 一九五一乃至五二のアメリカの予算で、どういうふうにもらえるか分りません。一億五千万ドルといい、或いは一億ドルといつております。私といたしましては、一億ドルを予定して予算を組むのがいいのではないかというので、一億ドルを予定いたしております。御承知通りに今年度の二億足らずの分がそこへずれてまいりますから、そういうものを入れますと、一億ドルの議決があつたにいたしましても、一億四千万ドルくらいの收入になるのではないかという考えでおります。
  47. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 そうしますと、それを今度は見返資金に換算するとしますと、仮に一億ドルとしますと、三百六十億ですね。一億五千万ドルとしますと五、六百億円、そうすると再来年度の見返資金は大体そのくらいの、アメリカ援助は見返資金になるのですが、その程度として、それで足りないわけだと思うのですね。今までの資金計画によれば、それでこれは私の推測ですけれども、大蔵大臣は特にドツジさんとお会いになつて、二カ月も検討されたのだから、その結果を伺いたいので、すが、ドツジさんとのお話合は、そこから段々せめていつて、結局見返資金が一九五一年乃至二年度に一億ドル乃至一億五千万ドルというようなことになる、大体……。その後一応なくなるとしまして、そのときに見返資金は幾ら、今度は、来年度の見返資金は幾ら、それを通じて考えますと、見返資金は今ここでは余り使つちやいけない、もう少し繰越す必要がある。対日援助がなくなつたときの産業資金その他を賄うための見返資金は今すぐそんなに使つちやいけない。従つて見返資金をここのところベレザーヴしておいて、来年、再来年までに段々使うという計画の下に、最初見返りからインベントリーに廻そうとしたのを、これを止めて、そうして一般会計から繰入れる。或いは見返資金のほうで償還すべきはずだつた公債を来年度に繰越す、こういうふうにして、見返資金を中心とする資金計画をまず前提として、それがそのはね返りがインベントリーに来て、そのはね返りが給與ベースに来て、そうして又現在のほうに来た、こういうふうに考えることは間違いですか。
  48. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 見返りからインベントリーをする考え方は初めから持つておりません。次の見返資金の使い方の問題で、債務償還をする予定でありました五百億円を今年度を来年度に持ち越しまして、そうして見返資金が少なかつた場合の見返資金のフアンドの一部に充てよう、或いは債務償還があるかも知れませんが、一応今年度においては債務償還をせずに、見返資金が少くなることなどを考えまして繰越そう、こういうことにいたそうとしているのであります。まだきまつているわけではありませんが……。第三の御質問の見返資金を繰越したらこれを一般会計からインバントリー・ファイナンスをするとか、そうやるならば給與の分は出せないということは、順序は全部一遍にきめるわけでありますから、これはもう見返りが先で一般会計への繰越しがその次で、そうして給與の一カ月が半月になつたのが後で、税金がどう、こういうのはこれは一回限りで、予算というものは最後にきまるものでありますから、どの科目がどうなつたからこの科目はこうなるというものではございません。大体問題は金融的に見ますれば見返資金がいいか、預金部がいいかという問題につきましてはやりくりの点はありましよう。
  49. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 只今の見返りからインベントリー、税の問題、給與の問題、これで最後に一遍にきまるというお話はその通りだと思う。併し我々が大蔵大臣質問したいのは、今後の日本経済の見通しと非常に重要な関係があるので、ドツジさんと大蔵大臣が二カ月に亘つて検討したのですが、それは何を中心にして検討されたか。又ドツジさんはどういう構想で来られたか。この点は相当重要視しなければならないのですし、私は今度の国会でこれを十分にどうも明らかにできなかつたことを遺憾に思う。併し非常に幸か、不幸か外為法律案が持越されたので、私はこれを幸いとして十分にここで姿をはつきり大蔵大臣にして頂きたいと思つて質問しておるわけなんです。それで私は一番重点を置いてお話したいのは、大蔵大臣予算の編成の姿を私はこういうふうに考えたいと思う。大体大蔵大臣は財政規模を縮小し、これは前からの考えですね、委員会でも答弁された。先ず財政規模を縮小、これだけ減税、先ず減税が先に頭に浮ぶ、これだけ減税するのにどれだけ財政規模を縮小したらいいか。それからいろいろな点に行つておると思う。そこで朝鮮動乱の影響等々も大蔵大臣は中味は余り考えなかつたじやないか。ドツジさんが来られたのは、見返資金がなくなつた後に日本産業資金とか、そういうものをどうするかということをドツジさんは頭に画いて来ました。ところが朝鮮動乱が起つたから、その日本自立経済をやる場合百に、アメリカ援助がなくなつたとき見返資金をどうするか、こういう考えでそれに対して朝鮮動乱の影響をどう織込むかということがドツジさんの検討の中心であつたじやないかと思う。ところが大蔵大臣のほうはそれとズレて、先ず財政規模の縮小、減税ということが頭にあつて、そういう内容的のことについてドツジさんとの間に十分一致するところがなかつた。そこで二カ月もかかり、それで見返資金の運用ということが非常に大きくクローズ・アツプされた。恐らく新聞に出ておりましたが、最後の一番の折衝の重点は見返資金にあつたじやないかと思う。それから預金部資金にあつたじやないかと思う。そういう金融的な面にあつたと思うのですが、その点について十分に明らかにされていないわけです。そこで大蔵大臣にお伺いしたいのは、本年度と来年度ですね、再来年度の見返資金を中心とする資金計画ですな、資金計画はどういうふうになつておるかを伺いたいのです。
  50. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 只今研究中でございます。
  51. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それでは千九百五十一年、乃至五十二年度の対日援助は一億ドル、乃至一億五千万ドル、その後は大体援助はなくなるという想定の下にやつておられるわけですか。
  52. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 私はなくなるじやないかという気持でおりまするが、再来年度の見返資金計画につきましては、先ほど申上げましたように来年度の分を作りまして、一応検討はしたいと思つております。その際において五一から五二が一億ドル、こうやりました関係上、五二から五三の分はなかなか困難じやないかと思います。
  53. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 そこでこれは、非常にそうなりますと大きな問題で、大蔵大臣は財政演説でもやはり最後にその不安が出ておつて資本蓄積といつてもそう急に蓄積することは困難で、今言つた五二、五三年度は困難かもしれないが、外資導入ということを大蔵大臣は言つて、逃げていると言つては変ですが、そういうところで一応理論的には辻棲を合せていると思うのですが、大蔵大臣は援助がなくなつた後において、見返資金というものの身代りのあれがなくなると思うので、それはそれでいろいろな産業資金とか、そういう資本の蓄積の問題、そういう問題をどうするわけですか。財政演説ではどうしても足りないと言つておるのですから、そのときに外資が入つて来ないと、あれは外資を前提として言われたのですが、そのときにどういうふうにされるのか。非常に重要な問題になつて来ると思うのですが、その点はどういうふうにお考えですか。
  54. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 今の状態から一九五二年から五三年の計画は、なかなか立ちにくいと思います。早い話が二十六年度の輸出貿易をどの程度に見込むか、こういう問題もあるのであります。御承知通り、今年度は六億一千万ドル程度輸入だと、こういうことでこの四月あなたと議論したわけです。併し実際は八億ドルを超える、こういうふうなことになつて来るのであります。我々の財政経済政策がうまく行き、国民がこれにマツチして、資本蓄積或いは勤労の効率を高めて下さるならば、相当私は伸びて行くじやないかと思う、徒らに悲観しないと同時に又楽観も禁物でございますが、そのときそのときに適当な方策を立てて行けば私は外資導入も期待されるので、二十七年度の予算につきまして今ここではつきり申上げられませんが、援助がなくなつても、とにかく立行くように早く建直す、安定の度を加えて行かなければならん、こういうふうに考えております。
  55. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 私はいつも大体悲観論ばかり述べておるのですが、それはいつも最悪のことを考えて置くことがいいのであつて、私は政府のことでほめたことはないので、政府のことは野党は必ず批判的にならなければいけないと思うのです。それがいいことなんであつて、ただ私はめちやくちやくに悲観論をしておるのではないのでして、ただ一番心配するのは、先ほど大藏大臣も言つておられるのですが、援助がなくなる場合は自立経済をやらなければならない。そのときに、輸出は、大蔵大臣が言われたように、予想外に殖えましたけれども、その輸出の植えたことによつてこれが再生産に役つて、国民生活の水準が高まるならいい。ところが我々心配することは、援助がなくなつて、而も自立経済をやらなければならんということになつて来ると、而も自立経済を無理に強行しようとすると、国民生活水準を相当低めなければ自立経済相当困難になる。そこに問題があるのである。それでもうすでに朝鮮動乱の結果国民生活水準が低くなつて大蔵大臣輸出が殖えたというけれども、再生産的な輸出の殖えかたでない。特需とか輸出が殖えても、これは外貨がたまつてすぐにそれが再生産的に増加して来ない。そういうところに問題があるわけんですから、その点を注意、警戒しないと、自立経済はいいとして、非常な低い水準で自立経済をさせられる。話に聞くところによると、ドイツとかイタリーの水準は戰前の生活水準に達している、日本より高い水準に達しておる。ところがそれより日本では更に低い水準で自立経済に持つて行かれるか、非常に重大な問題なんですが、大蔵大臣あくびなんかしておるときじやないんですよ、冗談じやないですよ。その点どういうふうに大蔵大臣考えになつておられるか、自立経済の水準の問題についてどう考えられますか。
  56. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) この問題も先ほど安本長官と御議論になつたところでありますが、我々は経済政策として実質賃金の引上、生活水準の向上ということは最も願つておるところであるのであります。従いまして輸出入の振興その他各般の施策をその点に持つて行つておるつもりであります。
  57. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 大体再来年度、来年下期から、一九五一年乃至二年度の対日援助というものは一億ドル、或いは一億五千万ドル、その後はなくなる。そういう想定が立つておるとすれば、それを基礎にして見返資金がどのくらいになり、それからずつと逆算して行つて今後の資金計画というものが一応立たなければならんはずだと思うのです。そういうところから、これは財政にも非常に響いて来ておるし、預金部資金運用の仕方のほうに響いて来ておるし、ドツジさんの預金部に運用部を作るという構想などもそういうところから来ておると思うし、そういう計画がなければならんはずだと思うのです。ドツジさんと二カ月に亘つて折衝された一番ポイントはどこにあつたのか、そういうところにあつたのではないのですか。この点もう一度くどいようですが質問いたします。
  58. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 一般会計、特別会計並びに見返資金、或いは預金部のほうの話をしたのであります。ニカ月おられましても、初めの二週間あまりは私会いませんでした。その後におきましてもそうたびたび会つたわけではございません。併し今度の予算、或いは来年度の予算につきましても、主なる点は大体もう六月に向う相当打合せをいたしました。十九日おります間に十四、五くらいドツジ氏と殆んど毎日話をした、今度の予算に出しました点も大体話をしておつたのであります。ただ朝鮮事変という問題がその後に発生したものでございますから、これをどういうふうに見通して行くか、そうして日本のインフレをどういうふうな恰好で抑える方法をとるかということが、ドツジ氏が来られてから最も研究された点でありましようし、私もその点につきまして最も力を注いだのであります。
  59. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 河野主計局長がお見えになつておるから主計局長にお伺いしたいのです。最初外為のほうの資金不足に対して見返資金からこれを補う途があるから心配はないということを、主計局長は二十五年度の補正予算の予備審査のとき二回お答えになつておると思うが、それに間違いないと思うが、どうですか。
  60. 河野一之

    政府委員(河野一之君) 或いはそういうことを申上げたかも存じません。当時は非常に、ユーザンスの開かれる前でありまして外為として非常に資金不足しておつたので、見返資金からそういうふうなことになるかも知れんというようなことは申上げたことがあるかと思います。併しこの補正予算の問題に関連いたしまして、一方見返資金を私企業に相当出すとか、或いはその他の問題で見返資金相当余裕をとらなければならんというような情勢もありまするので、必ずしも前に申上げたような方向が正しい、そう進むべきであつたというふうなことは現在考えておらない次第であります。
  61. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 現在の話を聞いておるのでなくて、私先ほど大蔵大臣に、最初外為のほうに見返りから出す計画ではなかつたかと質問したら、そんなことは全然考えていなかつた、これは速記を見れば分ります。大蔵大臣はそういう答弁であつたから、私は二回に亘つて主計局長から最初そういう話であつたということを聞いたのであります。それで私は非常にしつこく外為のことは私は二回に亘つて河野主計局長に聞いたわけです。そのとき、いやこれはもう見返りのほうから補填できるから大して心配ないというように至極く簡單に扱われたわけです。それで私はこれは大した問題でない。そんならいいと思つていたのです。それが非常に重大化したから、それで又今度は一般会計から外為に百億入れるということが予算編成過程において一番大きな問題の焦点になつただけにくどく御質問をしておるのですが、それが見返資金の運用に大きく影響して、その見返資金の運用ということが更に発展して、援助資金がなくなつたときと関連して見返資金の長期的計画ですか、そういう観点から成るべく見返資金をどんどんずらして行く。そういうことからの一環として問題になつて来たと思われるので質問したわけです。ですから現在ではなくて、当時、これは速記を見ればわかると思いますが、そういう計画で一応あつたわけじやないのですか。その後は変つたのでしようけれども、最初はそういう計画であつたと思いますが、それと違いますか。
  62. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 大蔵大臣としては先ほど申上げた通り、見返から外為のほうに持つて行くということは頭に一つも置いたことはございません。
  63. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 大蔵大臣は全然そうでなかつた。それは併しおかしいですね。主計局長と全然連絡がなくやつておるのか。この重大な予算作成の上に当つて、主計局長は全然浮いちやつておるわけです。事務局としてはですね、非常におかしいと思います。そんな不徹底なことで我々に説明してよろしいのですか。それでは我々を愚弄しておるようなものじやないですか。
  64. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) こういう重大な問題は大蔵大臣の責任でやります。
  65. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 やりますけれども、過程においてそういうプランもあつたのじやないですか。結果がそうなつたから改めておるのじやないか。そういうことの過程を説明して貰いたい。
  66. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 過程は、主計局長が自分でそういうことを考えたかどうか知りませんが、私は初めからそういう気持を持つたことはないのです。
  67. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それは省議を開いてそういうことは検討されるのじやないですか。そのときに主計局長からそういう意見が出たけれども、大蔵大臣は反対であつた、こういう意味なんですか。
  68. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 私はそういうようなことを省議で問題にしたことはございません。
  69. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それでは主計局長は我々に説明されるときに、それは主計局長個人だけの考えとして説明されたのですか。
  70. 河野一之

    政府委員(河野一之君) 別にその問題について大臣と御相談したことはないのでありますが、私はそういうこともあろうかというような立場で申上げたわけであります。
  71. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それではまあ今後主計局長から意見を聞くときにはそういうふうにして聞かないと、我々は相当やはり信頼を置いて、予算審議の参考のために聞いておるのですから、そういう点は相当愼重に答えてもらわないと、まるで我々に対していいからかんにその場をしのげばいいという、こういうような形で答弁されたのでは困ると思います。それで今度一番国民も不満であるのは、我々も不満であるのは、恐らく国会でもそうだと思うけれども、ドツジさんと二カ月もあれだけ折衝をされて、その結論として最後において外為の問題が大きくなつて一般会計から繰入れとなつた。その一番の中心は見返資金をどうするかということになつて、これを明らかにできないということが私はおかしいのです。その最後に御質問しますが、この見返資金の運用の構想ですね。もう大体大きなラインはわかつたわけですから、一九五一年、一九五二年には一億乃至一億五千万ドル減るが、次はなくなると、こういう想定の下に今後見返資金の運用の計画ですね、これはどういうふうになるか、数字的に今検討しているでしようが、一体どういうふうになるのか。それがいわゆる大蔵大臣資本の蓄積だ、大蔵大臣が財政演説で、資本蓄積を強調したことは、結局その本当の裏は、ドツジさんが自立経済の問題を引つ下げて来たのだが、それをはつきりと正面に出していない。援助資金がなくなつたときに、見返りがなくなると困るから、今余り使わないで、公共事業のほうに廻すのも減るし、私企業のほうに廻すのも減つて来るわけです。非常に大きな変化がそこに来ているんです。この見返資金運用の問題をはつきりさせないでぼんやりさせてこの国会を通してしまつたわけです。本当は見返資金がどういうふうになつて行くかということが一番大きな焦点でなくちやならなかつたと思うのですが、今度見返資金のあれはどういうふうになるのか。今数字があれば一番いいんですけれども、その方向です。その方向をこれはもうドツジさんと話合つて、大体は結論が出ているはずなんですから、その点今後二十六年度予算を我々又これから検討し、研究する上に非常な参考になると思うのですからその点御答弁願いたいと思うのです。
  72. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 二十六年の予算案を審議いたします場合におきまして、見返資金の運用等につきましても詳しく御説明できると思います。大体この前御審議つた昭和二十五年度の計画通りでやつて行こうと思つております。なお預金部との関係におきまして、又金融事情その他の状況によりまして御審議願いましたところに変更があるのは、五百億円の債務償還は今のところ本年度内に行わずに繰越そうか、こういうところであるのであります。
  73. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 一般会計のほうで未償還の公債は、これはどうなんですか。
  74. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) これは只今のところ二百五、六十億円債務償還に充つべき金額が残つております。御承知通り当初は七百四、五十億円だつたと思いますが、すでに二百億円ばかり債務償還いたしまして、今主として農地証券その他の分でございます。それから警察予備隊、海上保安庁のほうにポ政令で二百四十六億円出しました。残りが二百四十億と思いますが、これが今年度内に預金部の持つている国債の償還に充て、そしてその金を一般産業資金、或いは地方債に廻わそう、こういう考えでおります。
  75. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 ポ政令のは二百四十六億ですか。
  76. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 警察予備隊のものは二百億円、海上保安庁関係が四十六億かと記憶しております。
  77. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それから見返りのほうの五百億を繰越ししたということは、その償還は日本銀行の持つている国債を償還するようになるので、これは繰越ししたのですか。
  78. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) そういうことではございません。そればかりという意味じやございません。預金部でもまだ残つておりますし、又市中銀行もまだ持つております。こういう関係で今暫く債務償還を持つて見よう、こういう考え方であります。
  79. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 そうしますと、一応この五百億償還するという建前には変りなくて、一時時期をずらす、これが何かはかに公債償還という形でなく変るという可能性はないのですか。
  80. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 本年度内におきまして債務償還はしないつもりで案を作りつつあるのであります。二十六年度になつたらどうするかということにつきましては、まだ答える段階に達しておりません。
  81. 愛知揆一

    ○愛知揆一君 外為の繰入れに関する法律案の質疑は、大体この程度で打切ることにしたらどうでしようか。
  82. 松永義雄

    ○松永義雄君 今のに関連して簡單に一つ聞きたいのですが……。
  83. 小串清一

    委員長小串清一君) ああいう意見が出ておりますので、皆さんに御相談をと思つてつたのですが……。
  84. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 重要な問題ですから、そう簡單に繰上げては……。
  85. 小串清一

    委員長小串清一君) お諮りいたしますが、只今外為の問題はこの程度質問を終結したらどうかという御発言が出ておるのですが、議事進行に関することですから、皆さんの御意見を伺いたいと思います。
  86. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 まだ質問は終らないのです。そう余り……、
  87. 小串清一

    委員長小串清一君) ただ皆さんの御意向をお聞きすることは、私としては……、まだやりたいとおつしやれば……。皆さんの御意見が出ないようですから、どうぞおやりになつて下さい。
  88. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 その見返り、或いは預金部資金、そういうものの運用計画ですね。これは先程作業をしておるというお話でしたが、これは安本を中心でやるわけですか。その作業は……。
  89. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 見返資金のほうにつきましては安本が主でございますが、預金部資金と非常に繋がりを持つておりますので、而もドツジ氏と私が政府を代表して話をいたしましたので、一応大蔵省で案をこしらえまして、そうして閣議にかけます前に安本長官と相談いたしまして、それからきめる、こういうふうな段階にいたしたいと思つております。
  90. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 そういう計画はこの二十六年度予算審議するときには、大体結論が出るわけですか。
  91. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) それは当然そのときには結論を出さなければいけません。今までにもまして預金部或いは見返りが一般会計関係を持つておるのが多くなつて来ると思います。
  92. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それからお伺いしたいのは、金融債券の引受けは、大体予定通りに行くわけですか。
  93. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 予定通りという言葉が何でございますが、只今検討いたしておるのでありますが、私は大体預金部の金融債今年度二百億円、来年度二百億円くらいの計画を持つておりますが、何分にも国会開会中はそういう事務が殆んど見られない。こういう状況でありまして、今日も一時頃まで役所におりましたが、その預金部の今年度の二百億円金融債引受けの計画の会議をしようと思つていたのですが、こつちに来る関係でそれを又延ばしたのですが、会議をやつたら少しはお話できるかと思うのであります。本当に大蔵大臣としてはゆつくり事務を見る暇がないような状況でありますが、成るべく早い機会結論を出したいと思つております。
  94. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 私はどうしてこういう質問をするかというと、この間も大蔵大臣に一応質問したのですが、ドツジさんはプランを作りに来たのだ、大体大蔵大臣とドツジさんといろいろの話合というのは新聞などに出ておりますけれども、大体その通り行くか、行かないかはわからない。わからないというと語弊がありますけれども……。ですから新聞なんか見ると金融債の問題はスムースに行くのかと思うと、行かないようになつて見えたり、新聞のことですからその真偽はわかりませんけれども、非常に難航する。そういう意味で何だか我々としては頼りない。そこでその予定通り行くのかどうかということを聞いておるのですが、そうすると今の二百億金融債の金の問題を検討しているのですけれども、これもわからない。そういうことになると何だか我々非常にその点がはつきり掴めないのですが、大体こういうようなことは、二十六年度予算審議する場合には大体みんな目鼻がついて来る、こういうふうに了解してよろしいですか。
  95. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 大体目鼻をつけたいと思います。これはこの二百億の金融債を預金部から出すということにつきましても、今百億円の預託をやつておりますが、これをいつ引上げるかということと関連して、それから又百億円の中でもつて金融機関中無盡とか信用協同組合の方も又別に考えなければなりません。それから今二百億出すといつてもさあ興銀がどれだけ引受けて農林中金、商工中金がどれだけ引受けるか、こういう問題があります。興銀なんかは今のところ相当出しておるので、増資をしなければならんのではないかという問題もあるので、私は只今のところ見返資金から今年度内に優先株出資は計画していなかつたのでありますが、二百億のあれを出そうということになりますと、これは優先株の出資もこれは又やらなければいかんのでありますが、これは興銀のほうへうんと引受けさそうと思いますが、なかなか限度が、三十六億か四十億くらいしか残つていないと思いますので、今度それじや商工中金に余力があるから、金融債を引受けさしたらどうか、商工中金のほうは、やはりいつも十億も十五億も金を貸出すだけの規模ができておりません。こういうわけで計画は二百億立つておりますが、これが今年度内までにどのくらいの程度まで行くか、今の状態で全部引受けさせるのに、どういうふうなほかの措置をとらなければならないか。これはいろいろな問題があります。従いましてどうなるかわからん、こういうふうにあなたは変なほうばかりおとりになりますが、二百億やるには、どういうふうにしてやつたら一番うまく使えるかということを研究しなければならん。御承知通り国会が始まりまして、殆どそういうようなところに大蔵大臣として時間が十分ない。ではつきりお答えするためには、相当な時間をもらつて、案を練つて来ないといかないのでございます。方針だけはお話し申した通りでございます。何にもわからんじやないかというほど、我々無責任な仕事はいたしていないのであります。
  96. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それは地方債の問題と関連しておるのです。例えば金融債二百億引受一けるとしましても、いよいよ実際にそれだけ引受けられないとすれば、実際問題として地方債の方の枠を廻すということが出て来ますし、そういうような金融債を引受けるというので、地方債はもう少し拡げてもいいのに、金融債のほうが押込んで来たので、地方債の枠が拡がらない。こういうようなことにも非常な関係をして来ると思うので、はつきりしない、という言葉は、我々としてはなんですか、地方債の枠の問題なんかを考えて、実際問題として困るわけなんですよ。そういう意味で伺つておるのです。
  97. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) あなたの議論は、地方債のほうの枠を殖やすためには、金融債のほうの二百億を少くして、地方債へやつたらどうか。こういうふうなお考えのようですが、これはとんでもないことです。預金部は金が足りないので地方債が引受けられないというのじやない。これは地方の財政状況からいつて、そういう地方債をどんどん出すことがよくないという考え方です。この問題は最後まで折衝いたしまして、実は悪い言葉でいえば、喧嘩別れ……、結局ドツジ氏が帰るときにメモランダムを送つて来た。こういうふうな状態であります。つまり預金部の金、これだけで金融債二百億を引受けるが、あとは融資する金がないというような場合は、金融債はこちらへ廻すということがあるが、預金部には金はまだある。あるが、それは今の状況からいつて地方債へやつちやいかん。こういつて覚え書きが来ておるのです。そこで私はこの前ほかの機会で申上げたと思いますが、一般金融機関が地方公共団体に融資しております。これは枠がないのであります。そこで私は今まで私のところで計画いたしておりました公共団体の一般金融機関から借りておるのは、これは高い利子でございますが、一割以上の分もありますから、預金部で六分五厘で肩代りしよう、こういう計画を立つて、すでに二十億は肩代りいたしております。十二月の二十億の分、これは待たして、そして預金部から肩代りするので、その金額は地方団体へ貸してやつてくれということであれば、三百七十億が三百九十億になり、なお別の方面で金融を、地方公共団体が一般金融機関から借りるような方法を何とか考えてこの年を越さなければいかない。こういうふうな気持でおりまして、そういう計画を、私の所で地方債も、平衡交付金も、何も考えないというお叱りを受けますが、私は自分の力の及ぶ限りにおいては、地方公共団体の財政の切り盛りに努力をしておるということを御承知置き願いたいと思います。
  98. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 只今の預金部資金がなくて地方債を引受けないのではないということは、委員会で聞きまして明らかにされましたので我々承知しております。金融債のほうは、二百億引受けるといつても、引受けられない。余裕ができたときに、余裕というよりも、引受けようと思つても引受けられない。そういうときの資金をどうするかということに問題が残ると思います。それで地方債の枠をこのくらいにきめるのはいいか悪いかは、相当やはり議論があるところだと思います。大蔵省のほうはこのくらいでいいと言うと、相当議論があると思います。  もう一つお伺いしたいのは、オーバー・ローンの問題でありますが、金融債引受によつて、そういう金融債を発行できる。ところがオーバー・ローンの問題は、それをいわゆる解決できるかも知れませんが、特に市中の銀行等は、金融債は発行できない状態にあるとすると、オーバー・ローンの問題はどういうふうになつて行くのか。その点はドツジさんとの折衝で問題になつたのか、ならないのか。結局オーバー・ローンの問題については、今後大蔵大臣としてはどういう対策をお立てになつて行くか。この点をお伺いいたします。
  99. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) これは財政資金関係がありますので、そのオーバー・ローンのこと等も計画を立つておるのであります。オーバー・ローンというのはどの程度のオーバー・ローンか、こういう問題になるのであります。  日本銀行の貸出が一時千六百億を超えた場合がありましたが、昨日、今日は千二百億程度になつております。昨年の状態も千億円くらいだつたと思いますので、今貸出がそう多いということでもないと思います。片一方市中銀行でも、オーバー・ローンということにすると、預金に対して日本銀行の貸出が相当行つておりますので、オーバー・ローンの銀行もありましよう。併しこういうものを仔細にやつて見るというと、オーバー・ローンというのは、貸出先が社債を発行するとか、いろいろな調整をやつてつたり、そして又市中銀行も長期の貸出をする。或いは長期の市中銀行の貸出を他のほうべ振り替わるとか、いろいろな方法が出てくると思います。今度は見返資金の使い方についても、そういう点を考慮してあるので徐々に正常な姿になつて来るのではないかと私は思います。いずれにいたしましても、このオーバー・ローンの問題を解決するためには、やはり資本の蓄積が必要でございます。金利の引上等いろいろな方法があると思いますが、そのうちにだんだんこういう問題も解決して行きたいと考えております。
  100. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 最後一つ……、余り時間をとるのも恐縮ですから、最後一つお伺いしますが、オーバー・ローンの問題は、ドツジ氏あたりから非常にやかましく言われたということ等は新聞に出ておりまして、国内でも随分オーバー・ローン、オーバー・ローンと言つて問題になつたようですが、この問題はドツジ氏と大蔵大臣との会談の折衝というのですか、それにおいては大きなウエイトは置かれなかつたのですか。これまで言われたようなドツジさんは、それに対して相当強くオーバー・ローン解決の問題について何か要望されたとか、こういう手を打てとかいう点については問題にならなかつたのですか。
  101. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 会談の内容は避けたいと思いまするが、一般の人が考えているよりも、余程ドツジ氏は日本の経済の実態を掴んでおられる。ワシントンへ行きましたときに、陸軍省、国務省の人がオーバー・ローンの問題をとやかく言つておられましたが、もうドツジ氏の頭には、話題が古い、これを議論するよりも、これを直すのにどういうふうにしたらいいかということを考えられておつたようでございます。従いましてオーバー・ローンの問題は余り話題には上りませんでした。
  102. 松永義雄

    ○松永義雄君 今木村さんの御質問の中にもあつたのですが、今日の新聞にも定期預金の金利引上の問題について問題があるようですが、定期預金の利息の引上に関する時期ですね。或いはこれに対する反対の意見ですね。これに対する反対の意見というのはどんなものでしようか。
  103. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 金利の問題は、私は貯蓄増強の点からいつて、成るべく上げたほうがいいだろうということで勧奨いたしておりまするが、大蔵省は面接に関係ございません。銀行が日本銀行の政策委員会等と話合つてきめて、そうして大蔵大臣の許可を受ける、こういうことに相成つておると思います。その間の、例えば地方銀行が上げることに賛成、中央の大銀行は余り賛成していないということは、仄かに聞いておりまするが、実際どこがどうだということは聞いておりません。ただいつから上げるかという問題は、一日も早くという説と、来年の一月一日からという説とあるようです。まあこれは日本銀行その他の金融機関がとにかく上げるということについて承認してくれれば、余り誰が反対、誰が賛成ということは、私は強いて咎めない。こういう態度でおります。
  104. 松永義雄

    ○松永義雄君 大蔵大臣は何も知らないようなことをおつしやつておるようですけれども、重大なことを知らないでよいとも考えられないのですが、どういうわけで反対しておるのですか。普通銀行が。
  105. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) そういうようなことを言つておるというだけで、理由なんか私は聞いておりません。
  106. 松永義雄

    ○松永義雄君 理由は分らないのですか。
  107. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 聞いておりません。
  108. 松永義雄

    ○松永義雄君 最近の市中銀行に対する預金の増加率、預金部に対する増加率はどんなものですか。
  109. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 十一月は預金部に対する増加率は少し落ちておつたと聞いております。銀行のほうも余りよくないと思いますが、十二月になつて貯蓄増強の運動を起したので、少しぐらい盛り返しておると思います。尚十二月は預金の相当殖える月であるのであります。私は政府の支拂いその他が順調に行けば、本月は相当殖えるのではないかと思つております。
  110. 松永義雄

    ○松永義雄君 大蔵省の銀行に対する監督権というものはひところよりは強くないかも知れませんが、国民の大部分は郵便局のほうを安心して貯金をして行くようですけれども、銀行に対する不信の念というものは強くなつて来ておるという気運は考えられないのですか。銀行のやり口ということを考えられないのですか。
  111. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 銀行に対して国民の不信があるとは考えておりません。大蔵省は銀行に対しましては相当の監督権は持つております。金利の問題につきましては、私どもの方で幾らにしろということは、命令はできないと、こういうことでございます。
  112. 愛知揆一

    ○愛知揆一君 先ほど動議を出しましたように、外為繰入金の法案については、これを以て質疑打切りの動議を提出いたします。    〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
  113. 小串清一

    委員長小串清一君) 如何でございますか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  114. 小串清一

    委員長小串清一君) では御異議はないものと認めまして、質疑はこれにて打切ります。お諮りいたしますが、この案並びに特別職給與に関する法律と二つでありますが、この案も委員諸君がなお党に帰つて御協議をする必要もあると思いますから、今日はこの程度にとどめたいと思いますが、如何でございますか。御異議はありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  115. 小串清一

    委員長小串清一君) ではこの程度にとどめます。それでは本日はこの程度で散会いたします。    午後三時十五分散会  出席者は左の通り。    委員長     小串 清一君    理事            大矢半次郎君            佐多 忠隆君    委員            愛知 揆一君            岡崎 真一君            黒田 英雄君            九鬼紋十郎君            清澤 俊英君            松永 義雄君            小宮山常吉君            杉山 昌作君            高橋龍太郎君            油井賢太郎君            森 八三一君            木村禧八郎君   委員外議員    予算委員長   波多野 鼎君            一松 定吉君   国務大臣    大 蔵 大 臣 池田 勇人君   政府委員    大蔵政務次官  西川甚五郎君    大蔵省主計局長 河野 一之君    大蔵大臣官房長 森永貞一郎君