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1951-03-13 第10回国会 参議院 大蔵、水産、通商産業連合委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年三月十三日(火曜日)    午後一時四十六分開会   —————————————  委員氏名   大蔵委員    委員長     小串 清一君    理事      大矢半次郎君    理事      森下 政一君    理事      杉山 昌作君    理事      木内 四郎君            愛知 揆一君            岡崎 真一君            九鬼紋十郎君            黒田 英雄君            清澤 俊英君            佐多 忠隆君            野溝  勝君            松永 義雄君            小林 政夫君            小宮山常吉君            高橋龍太郎君            山崎  恒君            油井賢太郎君            森 八三一君            木村禧八郎君   水産委員    委員長     木下 辰雄君    理事      青山 正一君    理事      千田  正君            秋山俊一郎君            入交 太藏君           大野木秀次郎君            松浦 清一君            佐藤 尚武君            櫻内 義雄君            細川 嘉六君   通商産業委員    委員長    深川榮左エ門君    理事      古池 信三君    理事      廣瀬與兵衞君    理事      栗山 良夫君    理事      結城 安次君            上原 正吉君            小野 義夫君            重宗 雄三君            松本  昇君            小松 正雄君            島   清君            下條 恭兵君            椿  繁夫君            加藤 正人君            高瀬荘太郎君            山川 良一君            山内 卓郎君            駒井 藤平君            境野 清雄君            西田 隆男君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○関税定率法の一部を改正する法律案  (内閣送付)   —————————————    〔小串清一委員長席に着く〕
  2. 小串清一

    委員長小串清君) これより大蔵通商産業水産常任委員連合会を開会いたします。議雄関税定率法の一部を改正する法律案についてであります。  この際お諮りいたしますが、運輸委員高木正夫君からこの委員会発言をしたいという御通告がありましたが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 小串清一

    委員長小串清一君) 御異議ないと認めて高木君を委員外に御発言願うように取計います。  それではこれより質疑を御通告順逐つてお願いをいたします。高木さん何か御意見つた一つお願いいたしましよう。
  4. 高木正夫

    委員外議員高木正夫君) 大臣がお見えになりませんですから大臣がお見えになつてからにと思います。もう政務次官には申上げておりますので、同じことをくり返すことになりますので……。
  5. 高瀬荘太郎

    高瀬荘太郎君 今日は通産大臣農林大臣がお見えになりますか。
  6. 小串清一

    委員長小串清一君) 見えることになつておりますが、ただ衆議院の議長選挙のために遅れるらしい。その前に事務的の御質問がありますれば、どなたでも御発言願います。只今税関部長主税局長税関部調査課長見えておりますからお願いしたいと思います。……御発言がありませんようでありますから、大臣の出席が多分向う三十分以内だろうと思いますが、その間このまま休憩をいたしたいと思いますが、御異議ありませんか。
  7. 松永義雄

    松永義雄君 若しおひまみたいな時間がございましたら、ちよつとお聞きしたいのですけれども。
  8. 小串清一

    委員長小串清君) それではすぐどうぞ御発言願います。
  9. 松永義雄

    松永義雄君 私の質問したいことは、このガットとか称する問題の正体及び将来どういうふうに進行して行くか御説明願いたいと思います。
  10. 石田正

    政府委員石田正君) お話のありました関税及び貿易に対する一般協定でございますが、これは御承知通りに一九四七年にジュネーブで、国際貿易機関がございますが、I・T・〇と呼んでおりますが、これの準備委員会の最中にこの国際貿易機関のできるまでの暫定機関といいますか、それができるのが待つておれないということがございまして、二十三の国がこの協定を締結いたしたのであります。この協定は一部、二部、三部というふうに分れておりますが、一番重要な部面は第一部でございまして、この第一部におきましては、二十三の国がいろいろと関税交渉をいたしまして、そうして或る物につきましては関税率引下げをする。それから或る品物につきましては低い関税率を将来上げないというような約束をする。又これはまだありませんが、或る低い関税率を将来これ以上には上げない約束をする、こういうふうなことをきめたわけであります。この税率につきましては二通りございまして、いわゆる最恵国扱いをするところの税率と、それから又特恵を與えております国につきましては、その特恵税率というものと両者につきましてそういうふうな約束をしたわけでございます。この二十三の国がやりましたところの第一回のガットはその後一九四九年になりまして、アンシーという所で会議をいたしました結果、更に十ヵ国が加つたのであります。それからなお去年の年末から今年にかけまして、私はつきりした数字は忘れましたが、たしか六カ国と思いますが、これが今度新らしくガットに加入すべく交渉をいたしておるわけでございます。この六万国の中にはオーストリーとか、西独とか、或いは韓国というような国が入つておるのでありまして、我々といたしましてはその帰趨がどうなるかということを非常な関心をもつて見守つておるわけでございます、このガットと言いますものは、第一部は先に申しましたような工合に関税率の問題でございますが、二部以下はまだ発効いたしておりませんが、このほうになりますると、或いは為替統制であるとか、或いは国内補助金の問題とか、そういうふうな問題につきましていわゆる自由な貿易の流れを阻害するような障害になる手段を減らそうと、こういうふうなことが規定せられておるのでありまするが、現在の情勢から申しまして、このガットというものがどうなるかという点につきましては、先ほど申しました国際貿易機関のほうがどうなるかという点と非常に関係を持つておるのでございまして、国際貿易機関が若し発効いたしまするならば、そちらのほうにこのガットというものは吸牧されると申しますか、その一部をなすというようなことになるように考えられておつたのでありますが、このI・T ○のほうにおきましては、大体アメリカのほうが急にこれを批准するということのけはいがない、或いはもう諦らめてしまうというような動きがありまして、そこでその点非常に悲観的になつて来ておるわけであります。そこでむしろこのガットのほうの中にI・T・〇の部分を入れて、そうして何と申しますか、I・T・〇の代替物にしようとこういうふうな考え方も常に或る方面においては起つて来ておる。こういうのが現状でございます。ただ国際経済現状が相当何と申しますか、緊迫いたしておることは争われないことでございまして、そういう緊迫状態が続きますると、平常時の観念を以て律し難いという部面がありまするので、他面におきましてはガットというものはこれは更に国際関係が険悪に相成る場合には一時眠らしてしまうといいますか、廃棄するというようなことになるのではないかと、こういう考え方も従来からあるわけであります。ただ今までのところいたしましては、果してガットがI・T・〇の代りのように拡大強化されて行くか、或いはキガツトが現状以上の進歩を示すことなく、そのままに残るかどうかという、こういうような問題につきましては的確に今予断を下すことはできないというのが実情でございます。  それからなおこのガットが拡大いたします場合は勿論でございますけれども、拡大いたしませんでも、現状のままで大体足踏みをいたすといたしましても、日本国際貿易の中におきまして、関税障壁というものの抵抗を輸出面において少くして行こうというためには、日本として成るべく早い機会にこのガットに加入したほうがよろしい、こういうふうに考えられるわけであります。なおこのガット日本が加入することにつきましては、イギリスその他の国におきましてなかなか容易に肯んじないということ、これは前回に申上げたいことがありますので、ここでは省略させて頂きます。
  11. 松永義雄

    松永義雄君 ガットはU・Nの一部ということではないんですか。
  12. 石田正

    政府委員石田正君) 国際連合ガットとの関係でございますが、これはちよつと非常にデリケートな関係になつておりまして、どう申上げてよろしいかわからないのでありますが、先ほど申しましたI・T・〇というものは国際連合一つ専門機関として働く、そうしてその間に何と申しますか、一つ協定ができるということを予想しておつたわけでございます。で、ここでは今ではそのI・T・〇の一つ部面といたしましてガットが動く、こういうようなことが考えられておつたわけでありますが、このI・T・〇の問題は今出ておりません。併しながら国際連合ガット関係につきましては、例えばこのガット国際連合に登録するとか、或いは国際連合事務局長がいろいろ書類の中立ちをするとかいうようなことになつておりまして、相当密接な関係があるということは言えるかと存じます。
  13. 松永義雄

    松永義雄君 そうしますと、国際連合へ加入するということと、ガットに加入するということは密接な関連はあるけれども、主体は違うというわけですか。
  14. 石田正

    政府委員石田正君) 現在国際連合参加国でありましてガットに入つておらない国もあるわけでございます。従いまして国際連合に入りますことと、それからしてガットに加入するということは必ずしも関係ございません。ただ国連の参加国の有志の国の間にガットが結ばれておる。こういう状況でございます。
  15. 松永義雄

    松永義雄君 英国のほうから申すと、アメリカのほうの関税率を下げてもらいたいというような考え方があるようですが、そのように英国アメリカの間に関税税率の上に何か意見の相違でもあるのですか。
  16. 石田正

    政府委員石田正君) この点は的確にはちよつと申上げかねるのでございますが、こういう事情ではないかと思うのであります。大体低い関税で以て行く、それから又為替統制や或いは貿易統制とかいうようなものをやめてしまう、こういう考え方はむしろアメリカのほうが当初強かつたのでございまして、イギリスのほうの考え統制経済をやる、或いは国力が違うというような点から申しまして、どちらかと言いますると、逡巡するという傾きが見えたわけでございます。今のお話の点はI・T・〇というものができませんで、そうしてアメリカGATTに対してどういう法的根拠を持つて臨んでいるかと申しますと、アメリカ関税法におきましては、大統領は五〇%の限度内におきまして行政権作用として関税引下或いは引上をすることができる。その引下ができるという点はこれは相互通商協定法の規定かと思いますが、そういうのがございましてそれによつてつているわけでございます。やはり何と申しますか、GATT交渉も一回、二回といたしまして、お互いに引下をして来た、そういたしますと、相当まあアメリカといたしましては引下をしましたので、それ以上更に引下をするためには相互通商協定法以上の強い授権がなければならない。そういう点がございまして、その面からアメリカ関税引下限度が来ているというふうなことをほかの国からいたしまして苦情が出て参つたというような事情ではないかと思います。
  17. 松永義雄

    松永義雄君 そこで先ほどお話がありました最近の世界情勢が相当GATT関連を持つて来て、影響を及ぼして来たと思うのですが、先ほどのお話では一時その作用が停止することになるかも知れない、そういう意見があるというお話がありましたが、例えばアメリカ内における最近の経済統制から見まして、このGATTとどういうかうな関係になつて来ますか。もう一遍御説明して頂きたい。
  18. 石田正

    政府委員石田正君) これは非常にむずかしい問題がございますが、先ほど私がGATTの停退ということを申しましたのは、このGATT参加国の数ががどんどん殖えて行く。或いは更に関税の率の引下相互間に行われるという点について非常な進展が見られるかどうかという点について疑問が起つて来たということを申したのでありまして、何と申しますか、GATTがそのまま廃止されるとか、なくなつてしまうとかというふうなことを申上げたのじやないということを一つ御了承願いたいと思います。  それからアメリカ経済統制をやつておる際にどうなるかという問題でありますが、経済統制をやつておりますか、併しアメリカGATTに対しまして依然参加いたしております。それからしてトーキーの会議にも出席いたしておるのでありまして、これは統制によりまして直ちにアメリカGATTに対する態度を変えるということなつておらないと言えるのでございます。
  19. 小串清一

    委員長小串清一君) もう二十分九二十五分で大蔵大臣農林大臣がここに見えるわけであります。それまで暫時休憩いたします。    午後二時五分休憩    —————————— 午後三時二分再開
  20. 小串清一

    委員長小串清一君) 休憩前に引締きまして会議を開きます。  それでは高瀬委員の御発言を願います。
  21. 高瀬荘太郎

    高瀬荘太郎君 この法案は、日本通商政策の基本をきめるものでありますし、産業貿易国民生活の上から言いまして、非常に重大な法案であると考えております。そこで私は、この法案国内経済との一般的な緊密な関係を中心といたしまして、政府にお伺いをいたしたいと思います。  先ず第一に、この法案を立案されました政府貿易政策の基本的な考え方、基本的な方針というものは、政府提案理由で御説明になつておられるところや、又法案の内容になつております定率主義等から考えまして、いわゆる自由貿易主義原則をおとりになつて、その原則に立脚してお作りになつたものと考えますが、その点お伺いしたいと思います。
  22. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 世界貿易情勢並びに我が国産業状態を睨合せまして、自由貿易主義根幹とし、これに或る程度保護貿易政策を加味して立案したのであります。
  23. 高瀬荘太郎

    高瀬荘太郎君 大体大戰後世界の趨勢は通商自由の方向に向つておることは事実でありますけれども、現在の、殊に最近の実情から申しますと、各国ともむしろその反対に行くような傾向見えるのではないかと思う、特に貿易管理貿易統制というような傾向が非常に強く現われて来ておるのでありますが、そういう傾向が一番強く現われている際に、日本といたしましてそれとむしろ逆行いたしますよらな自由通商基調とする政策を実行される、そういう基調の立法をされる、即時実施されるという点につきましては、少し実情に逆行するというような結果になりやしないかということを考えますが、その点如何でございましようか。
  24. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 御承知通り我が国関税制度は、大正十五年に相当程度改正を加えました。その後余り大した改正を加えていなかつたのであります。終戰後これに対しまして根本的改正を加うべきはずでありたのでありますが関係方面との話合も実は今日まで延びて来たのであります。日本世界貿易市場に乗出しますことにつきましては、是非ともこの関税改正をして、新らしいものにしなければならんという考えの下に、先ほど申しました根本趣旨の下に立案いたしたわけであります。而してお話のように世界通商貿易は、自由主義根幹としておるけれども、最近保護貿易に変つておるのじやないかというお話でございますが、税率の点、その他につきまして、保護貿易をそう強くは出しておりません。私の見るところではそういう考え方が、税率を特に引上げるというふうな措置には出ていないと私は見ておるのであります。而して国内統制ということにつきましては、各国大部分実行しつつあるのでありますが、関税の問題につきまして、特に鎖国主義をとつたり、或いは率を上げるというところまでは行つてないと思つておるのであります。而して今回盛りました税率につきましては、やはり各国状況を見まして、大体各国我が国税率を見て、まあ妥当であるというふうな結論が出るように税率を盛つておる次第であります。
  25. 高瀬荘太郎

    高瀬荘太郎君 大体各国税率に歩調を合せておられるように私も考えますが、ただそういう低率主義関税政策を実行するという場合は、その国の産業基礎がしつかり確立をいたしまして、強固な経済的地盤を持つておるという場合に適当とするわけでありますが、日本の現在の産業経済実情は、どうもそれにまだ適合するところまで行つておらん。そういう点を考えますと、この税法と現在の日本経済実情とが合わないという点ができはしないかということを考えますが如何ですか。
  26. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) そういう点は、我が国実情並びに世界情勢を十分加味して、私は作つたつもりであるのであります。自由主義保護主義のむずかしい点がございまするが、それはその時代々々によりまして、できるだけのことを考慮に入れて作成した案であります。
  27. 高瀬荘太郎

    高瀬荘太郎君 日本でも只今お話がありましたように、現在は非常に強力な貿易管理、或いは為替管理をやつておるわけでありますが、それによつて日本産業経済が維持されて行くというような非常に弱い、まだ基礎しか持つておらないのでないかというふうに私は考えるのでありますが、政府としてこの法案を四月一日から実施されるというような案になつておりますが、その場合に、現在の貿易管理或いは為替管理等はどうなさるおつもりでありますか、これを変更する、或いは近くそういう管理は廃止するというようなお考えでありますかどうか、若し直ぐは廃止しないのだというようなお考えであるとすれば、近い将来にはこれを廃止する、大体そのお見通しはどの程度であるか伺いたい。
  28. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 御審議を願つております法案が通過いたしますると、為替管理において影響はないかという御質問でありまするが、私は我が国の今の国際貸借から申しまして、まだ当分のうちは為替管理を続けて行かなければならんと考えております。
  29. 高瀬荘太郎

    高瀬荘太郎君 当分現在の為替管理、それによる貿易管理といろものが続いて行くということになりますと、実はこの法案が実行されましても、その根本の精神は生きて来ない、大半意見がないというふうに考えるのでありますが、そういう場合に若し当分は現在のような管理が続くのだとすれば、そういう意味で以て今すぐこれを作つて実施するというようなことは余り意味がないのではないか。そういう事情にあるのならば、むしろ実行をもつと延しまして、その間になお十分の検討を加えられるというほらが適当ではないかと思いますが、その点如何ですか。
  30. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) この為替管理の問題と、それから関税定率の問題とは関係はございまするけれども、別個の立場でやつて行くべきものだと思います。私は日本国際貸借の上から申しまして、まだ当分為替管理の必要を認めております。併し為替管理をしておるからといつて、今のような関税定率法講和には臨めないと思います。やはり各国なみ関税体制を整えて講和に臨むととが是非とも必要であると考えておるのであります。
  31. 高瀬荘太郎

    高瀬荘太郎君 まあ関税政策といたしましては、税率によりまして貿易関係産業状態というのを適切に訂正して行こう、こういう趣旨であるわけでありますから、一方で国税定率法をきめまして、そうして他方管理を非常に鞏固に行うということになりますと、関税法目的とするところは大半失われるという結果になるのじやないかと思いますが、その点如何でございますか。
  32. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 為替管理の問題は国際貸借の問題から参ります。而して関税の問題は個々の物についてのものであるのであります。従つて個個品物につきまして国内保護政策、或いは又貿易上の問題で率の上げ下げもありましよう。併しそれで以て国際貸借がうまく行くのではないのであります。これは為替管理をやつております国々におきまして、やはり関税定率について適当な措置をとつていることを見ましても、両者は相共に国際貸借並びに国内産業というふうに両立し得るものと私は考えております。
  33. 高瀬荘太郎

    高瀬荘太郎君 無論為替管理関係関税法の問題とは別個には考えられますが、併し実際問題として、結果において為替管理の面が非常に強力に実行されるということになれば、関税法によつて産業育成を図るとか、国民生活の安定を図るというような意味はむしろ強く出て来ませんで、為替管理方面から最も強く影響が出る、こういう結果になると思いますので、只今のような御質問を申上げたわけであります。  次に、この法案を見ますと、大体收入目的とするような財政関税というものは余り重点は置かれておらないだろうと思いますが、財政收入予定表を拝見いたしますと、原油とか砂糖輸入税は相当巨額に計上されておるようであります。この二つ関税收入の合計が全関税収入額の六割くらいを占めていると思います。これは収入目的財政関税と解釈してよろしいのでありますか、その点を伺いたいと思います。
  34. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 自由貿易主義の下に保護貿易管理してやつておるのであります。財政目的というものはこの改正には余り強くは出ておりません。併し中におきましても、やはり或る程度財政目的ということはあります。従つて只今申上げました砂糖はその最たるものでございまして、原油につきましては国内産保護ということもありますが、或る程度財政需要にも加つているのであります。
  35. 高瀬荘太郎

    高瀬荘太郎君 財政收入目的とするといたしますと、これらのものは他方で、国内消費税が又相当強くかけられて、それも財政收入目的になつているわけでありまして、その上に関税のほうで收入目的の税がかけられるということになると、二重の重複するという結果になつて非常に重くなりますし、不合理になりはしませんですか。
  36. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 御承知通り砂糖に対しまする国内税を課税することにいたしておるのでありますが、国内産砂糖も或る程度ありますが、私はこの程度のものであれば、砂糖は外国に比べまして著しく高いということもないのであります。内国税で大体来年度六十億円ぐらいを予想いたしておるのでありまするが、これを以ていたしましても、イギリス砂糖に比べまして、まだどちらかというと低め程度じやないかと考えております。砂糖につきましては、財政收入意味合いを加えまして一割五分程度の課税ということを計画いたしておるのであります。
  37. 高瀬荘太郎

    高瀬荘太郎君 只今大蔵大臣の御説明ですと、この二つの税は專ら收目的財政関税であつて保護育成というような意味ではないと考えてよろしいのでありますか。
  38. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 御承知通り国内産砂糖といたしましては、北海道の「てんさい」糖或いは鹿児島、高知、その他点々としてありますが、やはり或る震度の保護という意味を加えておるのであります。保護をする必要がなければ、この率なんかにつきましても相当考えて、低めにしてもいいと思うのであります。やはり国内砂糖状況から申しまして、保護育成ということを加味いたしております。
  39. 高瀬荘太郎

    高瀬荘太郎君 砂糖について或る程度保護的な意味も入つているというお答えでありますが、石油につきましても同じに考えてよろしいのでありますか。
  40. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) これは石油の問題につきましては、まあ全体の消費の一割程度のものが国内産でございます。而して実際問題としますと、国内産よりも運賃が高くなつたために輸入のほうが高い、こういうふうな状態でございまして、保護ということになりますと変になるのでありまするが、これは先ほど申しましたような財政收入ということを加味いたしたのであります。
  41. 高瀬荘太郎

    高瀬荘太郎君 なおこの税率根本的な改正といたしまして、従量税率というものをやめて、従価税率になすつた。その点は私は非常に適当な英断と敬意を表するわけでありますが、日本で今まで従量税率が使われておりました理由や、又現在でも外国で従量税が相当に使われているという理由は、それが理論的には相当不合理な点がありましても、課税上非常に便利である、徴税上大変簡便であるという点かや来ているだろうと思います。そこでまあ合理的な税体系に改めるために、今度従価税になさいますと、そういう便宜がなくなつて来る、大変手数がかかる、面倒な問題も起き易いと私は考えております。そこで大蔵省としては、その面倒な手数のかかる方法をとる以上は、価格査定等と関連いたしまして、相当税関吏増員というようなことも必要になつて来やしないかと思いますが、その点如何ですか。
  42. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 従量税にするか従価税にするかということは、これは関税法上相当問題であるのであります。手数がかかるということ、並びに価格の異動によりまして輸入品がそれだけ動いて行くと、こういう不便な点もあるのでありまするが、実際に副いまするためには、やはり公平と申しまするか、こういう点から今回従量課税主義に変えたのであります。而してこれがためにお話通りに相当の税関吏におきまして人員の増加を必要といたします。従いまして、予算面では千数百名の増員を計画いたしておるのであります。
  43. 高瀬荘太郎

    高瀬荘太郎君 国際的な物価及び国内物価というふうなものが、税率決定については非常に関係の深いものであると考えますが、この法案立案につきましては、国際物価や国内物価の問題は大体いつ頃を標準にしてお考えになりましたか、伺いたいと思います。
  44. 平田敬一郎

    政府委員(平田敬一郎君) 関税率をきめます場合の価格の参考にいたしましたのは、この案を最終的にまとめまする前後におきまする状況と若干の見通しを付けまして、それを従量税率基礎にいたしたのでございまするがただ関税率は若干長期の、非常に長期というわけには行きませんが、極く瞬間的な現象だけで判断するわけには参りませんので、勿論そういうことも考慮に入れつ、更に将来の或る程度の見通しを入れまして、それぞれ妥当な税率を盛ることにいたしたのであります。  それからなお査定の場合の価格でございますが、この点につきましては、従来の関税定率法は非常に簡單でございまして、輸入の際の到着価格によるということで、非常に法律は簡單になつていたのでございますが、今回はその二條で相当詳細に関税の課税価格の基本を規定いたしまして、よるべき基準を明らかにいたしております。それによりまして、行政上の手数等も、成るべく基準を明らかにいたしまして、トラブルが少くて、且つ公平になるように努力いたしたいと考えておる次第でございます。
  45. 高瀬荘太郎

    高瀬荘太郎君 御承知のように、現在物価が非常に外国でも国内でも動いておるわけであります。この法案を立案なさる場合に基準とされ、或いは予想されました外国の価格、国内価格というものが現在までに相当違つて来ていやしないだろうか、又将来をお見通しになつたのと大分違うような情勢に現在なつておるのではないかというふうに考えますが、若しそうなりますというと、税率が非常に不合理なものになる慮れがあるのではなかろうか。税率がすでにそういう関係で以て不合理になつておるとしたならば、こういう点をどう調整なさいますか、伺いたいと思います。
  46. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 大体国際物価に十二月頃の様子によりまして或る程度先高を見越してやつておるのであります。而して今後の国際物価についてどう考えるかというお話でありますが、私は余り大して上りはしないだろう、大した異動はないだろうという工合に考えております。たとえ一割或いは二割今後とも異動するにいたしましても、この程度税率ならばそう大した影響はないと考えております。
  47. 高瀬荘太郎

    高瀬荘太郎君 税率と為替相場も非常に関係があると思います。そうして現在の為替相場というものは人為的に相当きめられておるものでありまして将来これがどうなるかということについては、みんないろいろと考えておる状態ではないかと思います。そこで政府として現在の為替相場というものが今後ずつと維持されると、こういうお見通しでこれはお作りになりましたかどうか、お伺いいたしたいと思います。
  48. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 現在の為替相場を維持するという考えで作つておるのであります。
  49. 高瀬荘太郎

    高瀬荘太郎君 そうしますと、若し維持されないというような状態が起きるかも知れませんが、そういうような場合にはやはりすぐこの税率というものが訂正されなければならないというふうにお考えでありましようか。
  50. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 為替相場を変えるという気持はございませんが、理論的に為替相場が変つたならば関税率も変えて行くかという御質問と心得まして答弁申上げまするが、為替相場が変つたから直ちに関税率を変えなければならんということは、これは机上の議論でございまして、実際問題といたしまして、先般のポンド地域の為替相場の引下がありましても、関税率を動かした例は殆んどないと私は記憶いたしておるのであります。
  51. 高瀬荘太郎

    高瀬荘太郎君 ではインフレとの関係ちよつとお尋ねいたしたいと思いますが、御承知のように、現在外国の物価が相当著しく高くなつておるわけであります。今までの関税法によりますと、関税はありますけれども、殆んど無税に等しいという実情であつたと思います。そこへ今度まあ低率主義とは申しながら相当の関税率がかけられるということになると、現在高くなつておる外国物価の上に更に関税がかけられるということになりまして、今までよりは国内物価に影響が強くなる、国内物価をそれだけ騰貴させる要因が強くなるということになるのではないかと思いますが、その点は如何でございましようか。
  52. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) これは関税率を盛りますために最も我々が苦慮したところでありまして、国内物価が或る程度税率を引上げることによつて影響することは止むを得ないことだと考えております。従いまして、生活必需品等につきましては成るべく無税主義をとつておるのであります。
  53. 高瀬荘太郎

    高瀬荘太郎君 今お答えのありましたような趣旨で以て、特別な措置の無税という範囲が作られておるのだろうと思いますが、主食等についての無税というようなことはその趣旨が多いのだろうと思います。その趣旨から見ますというと、主食関係だけでなく、もつと広く食糧物資については同じようなことが必要じやなかろうかというふうに私は考えるのでありますが、それを主食関係だけに限定なさいました理由はどこにありますか。
  54. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 主食とか鉄鋼部門は臨時的に無税にいたしておるのであります。然らば主食以外の雑穀とか或いはその他のものについてはどうかという御意見でありますが、私の考えといたしましては、今のところ主食程度にとどめたいという考えでございます。
  55. 高瀬荘太郎

    高瀬荘太郎君 私はさつき申しましたような事情から、主食関係以外の食糧物資についてもなおその無税にするという範囲を拡大する必要が実際上あるのではないかと考えますが、それについての質問は打切りまして、次にこの法案がまあ日本産業貿易に非常に重大な関係を持つわけでありますから、それらの点も十分御考慮になつたと思います。併しそれでもなお今まで殆んど実質上無税の状態にありましたところへ、この税法ができて、税が適用されるということになれば、日本貿易等に対しまして相当の影響があるものと考えるのでありますが、そういう点についてはどうお考えになりますか。
  56. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) この問題はお話通りに、日本産業経済に重要な関係を持つ法案でございますので、作成に当りましては、各省の者と会議をした上で案を作りました。そして関税審議会を開き、これには実業界の代表者又学識経験者を入れまして、十分検討の上御審議願うことにいたしたのであります。
  57. 高瀬荘太郎

    高瀬荘太郎君 御承知のように、現在輸入の促進ということが非常に重大な問題でありまして、政府としても非常にその方面に努力をされておると思いますが、とにかく今まで無税の状態でありましたものが、税をかけられるということになりますと、そういう点について障害を来すような虞れはございませんか。特に備蓄輸入というようなことを政府も盛んに強調されておるわけでありますが、それらとの関係において差支えを生ずることはありませんでしようか。
  58. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 輸入の促進につきましては、御承知通り全力を挙げておるのでありますが、おおむね原料品につきましては課税しないことにいたしておりますので、大した支障はないと考えております。これは勿論国民の負担から申しますれば、無税に越したことはないのでありまするが、併しそれは先ほど来お話になりましたように、国内産業保護という意味もございまして、或る程度この関税法改正によりまして課税品について値上りすることは止むを得ない。而してその度合につきましては、先ほど申上げましたように、関係各省並びに民間学識経験者の意見を十分に取入れて案を作成した次第であります。
  59. 高瀬荘太郎

    高瀬荘太郎君 御承知のように、低率主義関税政策というものは、原則として商工立法の政策でありまして、農業に対しては不利益な場合が多いわけであります。従いまして、この法案が実施されました場合に、果して農業或いは農村に対する影響がどうであるかということが心配されるのでありますが、現在は外国の農産物の価格も非常に高いし、又為替管理も行われておりまするので、差支えないかと思いまするが、将来外国市場の状況も変りまして、又管理もなくなるというようなことになりますというと、この法律が農業或いは農村に対しまして非常に深刻な不安を與えはしないかということを恐れるのでありますが、この点如何でありますか。
  60. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 現在におきましては、お話通りさしたる影響もございません。又将来におきまして、農産物に対する国内価格と国際価格とがどうなるかという問題につきましては、これは今からとやかく言えませんが、そういう場合を予想いたしまして、主食その他につきましての税率を一応きめておる次第でございます。而してこういうものは相手のあることでございますし、そのときの情勢によつて変えて行かなければならん問題が起つて来ると思います。
  61. 高瀬荘太郎

    高瀬荘太郎君 農業についてばかりでなく、将来の日本経済構造、産業構造とこの法案が密接な関係を持つておると思いますが、安定本部で所管しておられる経済自立審議会の報告で、まあ将来の日本産業構造についての大体の輪郭を示しております。それとこの法案とがどんなふうの関係にありますか。その産業構造を具体的に実現して行くというような意味で以て、そういう意味をこの法案に十分盛り込むということでお考えになりましたかどうか、伺いたい。
  62. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) これは先ほど申上げましたように、安本、通産省、農林省、関係の深いところの各省とは十分打合せをしてやつたのであります。
  63. 高瀬荘太郎

    高瀬荘太郎君 そこであの産業構造によりますと、将来の日本産業構造の中で、重化学工業というようなものは非常に重大な地位を占めるということになるわけでありますが、政府から出された説明によりましても、そういう意味で、合成樹脂とかソーダ灰とかいうような方面で相当の高率をきめてあるということになつております。併しそれか二割乃至大体三割ではないかと思いますが、その程度で以て果して将来の産業構造から言いまして、最も重要な重化学工業についての保護が十分行われるのかどうかということについて疑問を持つておりますが、政府のお考えを伺いたい。  又陳情等によつて見ましても、建築染料についての課税のきめ方が少し不合理な点があるのではないかと思いますが、税表で以つて二五%ときめて置いて、附則で当分は一五%とするということになつておりますが、普通の場合は、まだ非常に基礎の脆弱な場合に、幼稚産業に対して高い税で保護をしております。それがだんだんよくなるに従つて税率を下げて行くというのか普通の行き方ではないかと思いますか、この税法ではその点が建築染料について逆になつておるわけであります。その点を伺いたいと思います。
  64. 平田敬一郎

    政府委員(平田敬一郎君) 私から一応お答え申上げますが、先ほど大臣からお話のありましたように、本案を作り委すまでには、実は各省の態度を恐らく数十回ほども論議を重ねております。その間各省のそれぞれ担当部局の間におきましても、生産官庁と需要官庁との間におきましては相当意見の差がございまして、その意見の差につきましては十分論議を盡しまして、実は本案を最終的に取りまとめた次第でごごいます。そういたしまして、今御指個の産業自立計画等の関連におきまし、重化学工業等をどうするかといつたよらな問題、それから鉄鋼政策をどりするかといつたような問題、或いは食糧政策、農業政策といつたような問題もすべて相当活発に論議いたしまして、取りまとめましたものでありますことを、私からも更に附加えて置きたいと存じます。そういたしまして、重化学工業の問題でございますが、化学工業等におきまして、保護すれば相当日本産業育成が図り得るというもりにつきましては、どちらかと申しますと実は高率のほうを適用いたしております。今度の保護関税関税率の一世低率は大体一〇%乃至二〇%、まあ一五%程度のものが一番多いのでございますが、特に保護を必要と認められるようなものにつきましては、二〇%乃至二五%或いは特別の自動車等につきましては、最高四十%程度関税率を設けることにいたしておるのでございます。そういうような点につきましても十分考慮を加えまして、妥当な率をきめることにいたしたわけでございます。併し果してこれで十分かどうかということになりますと、これ又各生産官庁の間におきましては、御承知通りまだもつと高くして欲しいという意見も実は相当あつたのでありますが、先ほども申上げましたように、世界の一般的な傾向に合致せしめるということと、それから消費者等に及ぼす影響ということと、まあ両面を考えまして、妥当な税率を作ることにまとめ上げたのでございます。ソーダ灰その地化学工業の中でも育成を必要とするものにつきましては、比較的高めの税率を設けておるのでございます。  最後に建染染料の問題でございますが、この問題も実は非常な論議の中心になつたところの問題でございまして、建染染料を今後育成して行くという点から申しますと、少くとも二五%の関税率が妥当である。或いは場合によりましたら、それよりももう少し高い関税率を認むべきではないかという、こういう点も実は出ました。ところで、調査してみますと、差当り日本ではまだできていない、近き将来においてはつきり生産或いは増産の見込が確実であるかということになりますと、どうもはつきりいたさない要素があります。そういう場合におきまして、建染染料に余り高率な課税をいたしますると、織物の製品の売行に及ぼす影響はどうであるか。この建染染料は外国との競争上、織物色彩に属する技術におきまして、必要不可欠のものであつて、それは相当どうしても今後余計使うべきものである。そういう一方においては強い主張がありましても、どうも日本では未だ殆んどできていない。或いは近き将来においてもできる見込がないというものであれば、この際は織物の製品をよくするという見地に重きをおきまして、暫定的には一五%の関税率にしたいということであります。まあ、こういうことで実は落着いた次第でございます。併し案をまとめまする経過におきましては、実はいろいろな意見がございまして、このようなことになりましたことを御了承願いたいと思います。
  65. 高瀬荘太郎

    高瀬荘太郎君 決定されるまでのいきさつはよくわかりましたが、併しとにかく二五%という率をおきめになつておるということは建染染料について育成をしようという考えがあつたからだろうと思います。その育成について二五%でなければ適当でないと考えられているところに、当分の間にしろ一五%にして置くということになりますというと、育成保護という目的は全然無視されてしまう。こういう結果になつてしまうのじやなかろうか。その点甚だ矛盾があるというふうに思います。併し今お話のように、現在は幾らもできておらないというような意味で以て是非日本として必要な原料でありますから、これは安く入れなければならないという状況にあるということでありましたならば、一方で育成をしながら而も現在の状態では安く入れる、こういうことを考えなければならない。そういうためにはむしろ当分税率は安くしてしまう。一五%にしてしまつておいて、そうしてまだ小規模ながら始まつてこれから出発しようとしております建染工業に対しまして、特別な助成手段を講ずる。助成金なり補助金なりやるというほうが最も合理的ではなかろうかと思いますが、如何でございます。
  66. 平田敬一郎

    政府委員(平田敬一郎君) 建染染料の問題は実は大分長時間かかりまして協議してきめたのでありますが、確たる生産の見込がはつきりいたしますれば、私どもも或いは二五%をこの際直ちに適用するほうが妥当ではないかという意見も、一時は相当強く持つてつたのでございます。ただよく調べて見ますと、建染染料の中でも本当の非常に高級的なむずかしいものはなかなか今完全にできるという見通しがつきにくいという、まあそういう事情がございましたので、それならば当分のうち一五%にするということもいいのではなかろうかという趣旨で一五%にしたのでございます。勿論建染染料の中でも最近一部できているものもあるようでございます。必要は大いに認めておるのでございますが、織物の製品に及ぼす影響等を考えまして、一五%にいたしたのでございます。それに対しまして、別途に助成金等の方法を講ずるか講じないか。それは染料につきましては、曾つて特別の助成策を講ぜられたことがございますので、慎重審議した上で決定されるべき問題ではないかと考えております。
  67. 高瀬荘太郎

    高瀬荘太郎君 次に政府産業の合理化というような意味で以て産業設備を近代化しなければならない、その特別な法案も作ろうというような御計画もあつたようであります。従いまして、現在の日本としては、そういう意味から近代的な機械を輸入するということは非常に重要なことになつておるわけでありますが、この重要な機械輸入につきまして、何ら特別な税法上の措置は講ぜられておらないように思います。今日のような事情から申しますと、そういう近代的な是非必要な特別な機械の輸入ということについては、主食と同じようなふうに当分の間無税にする、こういうような措置是非必要じやないかと思いますが、この点如何ですか。
  68. 平田敬一郎

    政府委員(平田敬一郎君) 日本産業の近代化に関しまする法案が通産省で一時立案されたことがございますが、最近は衆議院のほうでそういうことを研究しておられるようであります。その際におきまして、機械について関税の免除をすべきだという議論も相当ございまして、十分私どもも検討していたのでございますが、原則的に余り細かいものにつきまして免税を設けますことは如何であろうかと実は考えていたのでございますがただ併し機械の中でもどうしても現に日本にできていない、それから将来ちよつとできる見込がない、而もこの機械を輸入いたしまして、産業に使用しますれば非常に顯著な効果がある。こういうものにつきしては、よく審査の上で再検討してみたらどうかということで、目下実は検討いたしておる次第であるのでございます。
  69. 高瀬荘太郎

    高瀬荘太郎君 それと大変関係がありますが、外資の導入との関係でございます。それがやはり同じような意味で以て特別な考慮を必要とするというようにも思いますが、その点は如何ですか。
  70. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 御質問の点がはつきりいたしませんが、機械を輸入することにつきましては、主税局長が答えたように検討して頂いておりますが、外資の……外国資本でございますか、御質問の点がちよつとはつきりいたしませんので……。
  71. 高瀬荘太郎

    高瀬荘太郎君 外資の導入と申しましても、大部分は機械その他の輸入になるものと私は考えております。金で入つて来るというようなことは余り考えられない。で、従つて前の質問と大体同じになるわけでありますが、一般の場合の機械については何ら考慮をしないで、特別な措置も……外資と関連する機械その他の設備では考慮するというようなお考えがあるかどうか、それをお伺いいたします。
  72. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) これは外資で入つて来る品物だから関税を負けるという考えは持つておりません。
  73. 高瀬荘太郎

    高瀬荘太郎君 最後に先ほどお話が出たのでございますが、I・T・〇とかガットとの関係であります。この法案をお作りになる場合にはガットに参加するというような予想をしてお作りになつたのではないかと私は思います。無論参加できれば非常に日本としては結構なことだと思いますが、現在の実情は先ほども御説明がありましたように、なかなか参加がそう簡單にはできそうもないのではないかというふうに思います。そこで政府としてはこの法案を作りまして、ガット加入についてできるだけの努力をされるお考えだろうと思いますが、その加入のできるお見込を、又加入するにつきましていろいろの対策があるかと思いますが、どんな対策をお考えになつておられましようか。
  74. 平田敬一郎

    政府委員(平田敬一郎君) ガツトの大体の成立ちと経過については先ほど、税関部長から御説明申上げたわけでありますが、これに入りますことは私はやはり日本貿易政策上相当有利になると、一般的に言い得ることかと考えるのであります。従いまして、できる限りこのような機会の近からんことを実は希望しておるわけでありますが、その前提といたしまして、やはり関税制度につきましても最近の世界傾向並びに日本産業実情等からいたしまして、最近並びに近き将来に対処いたしまして、合理的であると説明できるような制度を作つて置くことが先ず何よりも大事である。そういう意味で今回特に私ども全般的に改正案を立案いたしまして、提案いたしたような次第であります。適正な貿易並びに関税等の制度が確立いたしました上におきましては、国際関係等の事情もございますが、私は説明並びにいろいろな交渉によりまして、相当加入の可能性は強いというように感じております次第であります。ただ併しこの問題は平和條約だとか国連等との関係もございますので、早急に実現できるかどうか、その辺は非常に問題があるかと思いますが、実現、加入できるような條件を成るべく早く日本としても作つて置くということが、差当りといたしましては急務であると考えております。
  75. 高瀬荘太郎

    高瀬荘太郎君 この法案のように日本産業貿易国民生活というあらゆる経済問題に重要なる関係のあります法案につきましては、もつと細かく具体的に質疑をする必要があるかと思いますが、私は先ず今日は一般的な質疑で打切りたいと思います。けれども私はこの法案の非常に重大な性質を持つておるというところから考えまして、この検討、審議は十分愼重にやらなければならない、こう考えております。余り急いで拙速主義で以て簡単にきめてしまうというようなことは、将来の日本経済産業の上から行きまして、非常に支障を来たすようなことが生じはしないかというふうに考えまするので、一つ十分愼重に審議をして行きたいと、こうお願い申上げまして、私の質問を終ります。
  76. 木下辰雄

    ○木下辰雄君 私は水産の立場から大蔵大臣に御質問申上げます。もとより細部の点は秋山君から質問をいたしましたし、私は大乘的の見地から質問いたしたい。  この関税問題、関税の審議にかかることを聞きまして、私は実は非常に驚いて安本長官、農林大臣並びに大蔵大臣にお目にかかりました。もとより安本長官は勿論非常に反対しておられる、農林大臣もその通り大蔵大臣に対して私縷々お願いいたしました。ところが多分承知なつたと、かように承知いたしております。ところが豈図らんや、この法案が出て来たというので、実は非常に驚いたのであります。いろいろ今高瀬委員からの質問に対してのお答えの中に、この関税国内産業保護するという部分が相当あるというお考えでありましたが、一体我が国の油類の関税に対して、国内保護という意味が多分に含まれておるかどうか。この点についてお伺いいたしたい。
  77. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 先ほど高瀬委員にお答えいたしましたように、国内産業保護意味を加えまして盛つておるのであります。国内産業というといろいろなものがあります。即ち採油業等にも関係があります。
  78. 木下辰雄

    ○木下辰雄君 この水産の油類……もとより全部の油もそうですが、大体輸入が九割である。国内産業は一割である、而も一割の産業中帝国石油が大体国内産業の九七%を占めている。而もこの帝国石油は十二月の値上りにおいて相当儲けている。現在においては一割五分の配当をしているというふうに聞いている。こういう内地産業が一割しかない、而もその九七%を帝国石油がやつているというふうな産業に対してこれ以上保護して、そうして国内産業を圧迫するという必要がどこにあるかということについてお答え願います。
  79. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) これは全体の消費のうち国内産が一割である、而もそれが日本石油である、こういうふうなことから論ずべきじやなくて、やはり日本石油以外の石油会社、或いは新規の採油等の保護意味を加えましてやつているのであります。
  80. 木下辰雄

    ○木下辰雄君 それからこの関税問題については各省が十分了解をして、水産方面においても了解したというような言葉がありましたが、水産庁においては現在まで反対しておつたと私は記憶しております。更に殊に重油という問題は、水産に対しては非常な重要な問題でありまして、殆んと油の三〇%は水産が使つている。若しこれを実施した曉においては七億円の増税になる。そのために水産業が正に破滅に頻するという状態であります。この事実を一体御承知であるかどうか、大蔵大臣にお伺いしたい。
  81. 平田敬一郎

    政府委員(平田敬一郎君) 一応私から経緯を申上げまして、あとで大蔵大臣からお答え申上げると思いますが、この重油に関程を課税するようになります結果、漁業に相当影響があるということにつきましては、これは実は大分私どもも議論の対象にいたしたのであります。油類の保護関税の率をどうするか、これも議論がありまして、実はその原油採油の保護という点に非常に力を入れますと、到底一〇%では不十分であるというような議論もあつたのであります。一面におきましては、お話のようにいろいろな消費者の方面に及ぼす影響を考慮いたしまして、比較的低い一〇%という課税にいたしたのであります。戰前におきましては大体一五%乃至四〇%程度油類に対しまして課税いたしていたのであります。現在はインフレの結果、その従量税は殆んど二百分の一以下の計算になつている。それを昔に戻すわけではございませんが、戻すにいたしましても、比較的低い率にして戻そうというので、そういう点を考慮して定めた点であります。併しこの漁業につきましてはそれでもなお影響が重大で、何とかならないかという、これも農林省からも相当強い意見がありましたことは私どもも承知しておりますけれども、この問題は以前におきましては、漁業用の油に対しましては、特別に実は免税いたした時代がございます。この免税をやるかやらないか。実はこれにつきましても私ども検討をいたして見たのでございます。ところで前の沿革をよく調べて見ますと、この免税しました油が十分横流れをいたしまして、或るデパート等に売られていたような実例もございまして、当時非常に問題にしましてこれはやめになつたというような事情もございましたので、その技術的方法などにつきまして、どうも十分確信がない。で漁業に與える影響が相当あるということはこれは私どもも率直に認めるのでございまするが、果して免税して然るべきかどうかということになりますと、これ又なかなか簡單に結論を得ないということで、やはり結局、農林省で不満ではあつたのでありまするが、こういう原案にまとめたのであります。従いましてなお若干技術的問題、横流れ問題、そのような問題に関連いたしまして、この問題につきましては私ども若干の検討の余地は残つておるかと考えますが、大体今までのいきさつの経過並びに最近の状況を申しまするとそのようなところなのでございます。
  82. 木下辰雄

    ○木下辰雄君 大分不服のある御答弁でありましたが、今日はその免税した場合において、やはり横流れするという心配は毛頭ないのであります、足らないのですから……—。昭和二十五年度においては約五十万キロリットル、それでも実際においては非常に足らないのです。大体全需要の五〇%若しくは六〇%しかない。そういう場合において横流れするなんていうことは毛頭その心配はないと思います。それから十二月の値上げにおきまして大体国内産油は一キロリツトル当り七千四百五十円ところが今度運賃が値上りすることを予想してやりますと、外泊の値段は一方八百二円、こういうように私は報告を聞いておるのです。そうすると外国油は非常に高い。高いのに、而も一割しかない内地の精油を保護する必要がどこにあるか、こういう結果になる。だからして今主税局長お話のように、大分お含みがあつて水産事情を千分お考えになつて、何でも措置をおとりになるようなお話ですが、一体そういう御考慮がここに拂われておるかどうか、もう一遍お答え願いたい。
  83. 平田敬一郎

    政府委員(平田敬一郎君) この原油関税率一〇%にいたしました事情は、先ほど申上げましたように、影響を成るべく少くする意味で最低限度にした。油につきましても、関税では保護せずにむしろ補助金等でやつたらどうか、こういうお説も大分ございましたが、補助金と申しましても、今の財政需要から申しましてそれほど多額のものをやるわけには行かない。然らば非常に高い関税率を設けまして、それで保護したらどうかという意見もございましたが、これもやはり及ぼす影響が大きいので、必ずしも妥当でないということで、結局関税率といたしましても、比較的低い関税率保護する。そのほか新規開発等の場合も助成金は最小限度において出して行くということで、結局結論を得たのでございます。でそういたしまして、この影響をいろいろ調べて見たのでございますが、大体原油に一〇%課税いたしますと、ガソリンの値段が大体六%程度上る予定でございます。その程度でございますれば、一〇%の原油関税は、最近の状況から見て先ず何とか各企業とも、各産業ともそう大きな影響はなくてやつて行けるのではないか、こういう趣旨で定めたのでございます。そういたしまして僅か一〇%の油のためにという、こういう説が大分あつたのでございますが、これもやはり関税率の組替え等におきましても、中立側からの意見等を聞きますると、やはり一〇%乃至一五%の原油日本において生産されるということはいろいろな意味におきまして非常な強味である。それがあるとないとは、外国の日本の市場に売ります場合におきまする條件その他におきましても相当違つて来るわけであります。若し輸入等が一時困難になるような事態が起りますれば、それは何としても国内原油を開発するようにして行かなければならん。そういう意味におきまして、たとえ、全体の割合から行きますと比較的少いのでございますが、原油保護助長ということにつきましては、これは力を入れてやるべきじやないかというのが、やはり大多数の意見のようでございましたので、そのことを附加えて置きます。  なお漁業につきましては、先ほど申上げましたような事情でございまして、技術的問題その他がございまして、私ども容易に結論に到達しない、なかなかむずかしいということで、原案といたしましては、できるだけ低い一〇%で行くということにいたしておるのでございます。でございまするが、最近更にそういう問題について大分議論がございますので、この議論につきましては、勿論私ども今後におきましてもなお検討を続けるということは差支えないと考えております。
  84. 木下辰雄

    ○木下辰雄君 大臣の御意見はどうですか。
  85. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 大体主税局長の言う通りであります。この問題につきましてはいろいろな経緯があるのでございまして、……ちよつと速記をとめて頂きます。
  86. 小串清一

    委員長小串清一君) 速記を止めて。    〔速記中止〕
  87. 小串清一

    委員長小串清一君) 速記を始めて。下條恭兵君が御通告があつて、さつき見えんようですから、下條恭兵君に発言を許します。
  88. 下條恭兵

    ○下條恭兵君 大蔵大臣にお尋ねしたいと思うのでありますが、大体今木下委員からの質問関連するのでありますけれども、この石油関税です、これは国内産業保護の立場だというふうに御説明を承わつたのでありますが、そうだとすると、先ほどから指摘があつた通りだと私は思うのでありますが、この関税をかけるために国内産業にどういう影響を及ぼすかということは、今水産関係の数字が挙りましたから、あとで詳しく挙げる必要もないと思うのでありますけれども、私は大蔵大臣にお尋ねしたいのは、本当にこれは国内の採油業を保護する立場だけをお考えになつたのか。それとも税収を殖やすためにお考えになつておるのか。どちらが比重が重いのか、その点先ず最初にお伺いしたいと思います。
  89. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 両方考えております。
  90. 下條恭兵

    ○下條恭兵君 この石油関税は、予算の場合を見ますと、十六億ということになつておると思います。この十六億を得るために、今水産関係だけで七億の税収になると言われておるのでありますが、こういうインフレ対策が最も必要な際に、この石油のようなあらゆる産業関連性を持ち、価格の基礎関連性を持つて原油の課税が、大蔵大臣は妥当であるとお考えになるか。
  91. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 勿論妥当であると考えまして原案を作成いたしたのであります。
  92. 下條恭兵

    ○下條恭兵君 それでは私は大蔵大臣にお尋ねしたいと思いますが、大蔵大臣石油のことは余り御存じないと見えて、さつき日本石油と言つておりますが、採油業をやつておるのは帝国石油であつて日本石油じやない。これは大蔵大臣の錯覚だろうと思いますけれども、而も帝国石油が九十何%かの採油をやつておることは、木下委員の言われた通りであります。ところが今日に、私はそういう問題がありますので、安本長官と通産大臣の出席を求めておつたのでありますが、おりませんから大蔵大臣にお尋ねしたわけでありますけれども、大体保護関税をかけなければならんというのは、私は関税のことは全然素人でありますけれども、国内の国産品が輸入よりも原価が高くつく場合にかけるのだと考えます。然るに現在国産原油の価格は、一キロ当り八千四百五十円であります。年末に入つた漁業原油が八千六百二十九円であり、今年の二月和歌山県に入りましたのは九千四百四十五円、三月初めに入るものが、私の聞くところによると九千五百四十円となると聞いております。而も今後船賃が上る関係、それから向うの原油が一般的にも価格が上昇傾向にあるという関係から、国産を保護するという意味から関税をかけなければならんという理由は私は成り立たないと思うのでありますが、その点はどういうお考えですか。
  93. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) これは今の輸入価格が非常に運貸が高いから、のういう奇現象を起しておるのであります。従いまして運賃が安くなればやはり非常に採算がとれるが、日本原油よりも高いのも本当であるのであります。で今の状態としては、そういういわゆる何と申しますか、例外的な状態であるのであります。
  94. 下條恭兵

    ○下條恭兵君 私が挙げた数字が木下委員の挙げた数字と少し違うのでありますけれども、これは私は二月和歌山県に入つたのは、日本船で運んだ場合の値段を挙げたのであります。そして而も原油に関する限りは、輸入に際して、二十六年度になりますと日本船がたくさんできて、大体全部日本船で運べるようになるはずであります。大蔵大臣御存じかどうか知りませんけれども、そういうような状況にありますからして、私は近い将来に国産の原油が輸入原油よりも割高につくということがあり得ないように思つておりますし、又業界の一般の観測もさようのようであります。大蔵大臣がどうしてもそうなると言うならば、具体的に船賃がどうして、どこ産の原油が幾らだということをお示し願いたいと思います。
  95. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 原則といたしましては、外国から来るものが内地のものより高ければ関税意味をなさんじやないかというのが一つ原則でございます。併しそういう場合において一切関税の存在余地はないかというと、必ずしもそうではございません。今御審議願つておりますもののうち、パルプなんかいい例でございますが、日本産のパルプは外国から輸入するパルプに対しまして半分値ぐらいでございます。我々は国内産業保護のためにパルプに五%でしたか課税しようといたしておるのであります。而して石油原油におきましては、私は今運賃の非常な値上りによりまして、これは日本の船の運賃が値上りしておりますから外国品と変らないように存じます。それによつて外国産が非常に高くなる、こういう状態がありますので、関税定率法といたしましては、一応一〇%の率をきめて置くことが適当であるという考えの下にいたしたのであります。
  96. 下條恭兵

    ○下條恭兵君 そうしますと、只今大蔵大臣の御説明、最後のお言葉を聞きますと、一応税率はきめて置いても、これは実施を延ばしてもかまわんというお考えがあるのでありますか。
  97. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) そういう考え方は私はつきりここで申上げるわけに行きませんが、速記をとめて話をしたことでおわかりだと思います。今でも実は原油についてだけは或る程度の重油税を課税しておると思います。で方面を違えまして、全部定率にするか、或いは特殊のものにつきまして、漁業用についてどうするかという問題は、弊害が起らざる限り検討して見ようというので検討いたしております。ここでお約束はできません。
  98. 下條恭兵

    ○下條恭兵君 私も以前関税をかけておつたのは聞いておりますが、以前の税率は、原油を輸入した場合と、それから製品を輸入した場合と殆んどこつちの販売価格が変らないような税率になつていたと思うのでありますが、今度の新らしい税法によると、製品の場合とそれから原油を輸入して精製した場合と、この販売価格の上に差が出るのか、出ないのか。その点一つ伺いたいと思います。
  99. 平田敬一郎

    政府委員(平田敬一郎君) 先ほどの問題に関連いたしますが、この価格の点は私ども調査いたしております。極く最近の状況は、今御指摘のような事例があることも私ども承知いたしております。併しこの事情が今後どうなるかということを考えますと、これはやはり私は非常に短期の変態的な現象ではなかろうか。今大蔵大臣お話のありましたように、いわゆる日本の採油業の基礎と外国の採油業の基礎とは大分違いますし、やはり或る程度長期に亘つて見ますれば、これはどうしてもやはり保護育成の必要があるということを強く実は感じておるのでございます。戰前におきましてもそうでございましたが、その基本的事情は最近においてもそう顯著に変つていない。殊に今後におきまして原油資源の開発、新規の新鉱の開発等をいたしますれば、コストはだんだん高くなる、原価、生産費がだんだん高くなつて行くということは当然考えなければならんと思います。そういう点も考えまして関税率をきめたような次第でございますが、併し非常に最近單価の点になりますと、若干お話のような問題があるということも考えられるかと思います。  それからなおこの原油と製品等の価格の問題でございますが、これはそれぞれ原油の場合は、主として国内原油の生産価格及び今後における見通しというようなものと関連いたしまして税率をきめて製品につきましては、それぞれ加工コストはどうなるか、そういう場合におきましてどの程度の差別を付けるほうが妥当かという点をきめまして定めておるのでございますが、価格の点におきましては、勿論原油で入れたほうが製品で入れるよりもむしろ有利だというような政策をとつておるのは、これはいいことだと考えまして、価格差が少し付いておりますことは、今下條さんが言われる通りだと思います。
  100. 下條恭兵

    ○下條恭兵君 私が申上げるまでもなく、製品を輸入するよりも原油の輸入が日本経済にとつて好ましいことでありますから、是非ともその差を、仮にどうしても関税をかけるとしてもその差を大きくしてもらいたいという希望を持つておるのであります。なお私どもは国産原油が、たとえ一割でありましてもこれはいろいろな意味で、先ほど大蔵大臣が指摘されたような意味を除いても、なお私は保護育成して行かなければならん問題だと考えておるのでありますが、併しながら私は今ここで申上げたいのは、前回の通産委員会でも、主税局長は御出席だつたのでありますが、一方には通産省の説明は、昨年の試掘助成金が一億三千万円で、今年が一億一千万円に減額しておるのであります。その説明に、減額している理由として、会社の業債が非常によくて自力で以て今は試掘その他の仕事をどんどん進められる状況にあるからして助成金を削つたということを言つておるのと、そうして一方には関税をかけなければ成立たんということは非常に矛盾があるが、大蔵大臣のように、長期の見通しということになればこれは別でありますし、確かに日本石油関係の資源の分布関係からして、将来太刀打できると私も思つておりません。併し私は今ここで、関税をかけることが妥当でないと考えるのは、先ほどから申しますように、インフレの途上で、而もあらゆる物価に影響する関係から、而も一方帝石は自力で当面の試掘その他を進めるのに何ら差支えないというような状態にある、こういうことを、政府がそういうふうに前提しておられるのでありますからして、むしろこの際関税をかけないほうがいいと、かような意見を持つておるわけでありまして、この点だけ少くも私はこの前通産当局にお尋ねしたとき、甚だ確信のない答弁をしておつたことは主税局長も御承知通りでありますが、大蔵大臣は、そういうような実情にあつてもなお且つこれを強行する必要があるかどうか、どういうふうにお考えになつておるか、その辺をお尋ねしたいと思うのです。
  101. 平田敬一郎

    政府委員(平田敬一郎君) 先般私も通産委員会に一緒に同席しておりましたので若干存じておるのでございますが、私はやはり通産省といたしましても、先ほど申上げましたように、今の段階では或る程度補助金政策と、それから関税率による補助と、この二つ、両方で行きたいというような意見のようであつたかと思います。ただ補助金につきましては、通産省としましても増額したいのは希望ではあろうかと思いますが、これは財政その他いろいろの関係から考えまして減額、若干減るということになりましても、まあ変更せざるを得なかつたというようなことになるのじやないかと思います。今現在帝石が或る程度の利益を出しているということはお話通りでありますが、併し今後新規の開発ということになりますと、又條件がいろいろ変つて来る、まあこういうことのために三十四、五万、三十万キロリットル近くの生産を今後上げて行くためには、やはりどうしても或る程度の條件が悪くなるということを覚悟しなければならない。そうしますとやはりこういう関税率によりまして或る程度の価格差を付ける、それによりまして採算を図つて行く、同時に助成金等につきましてもやはり或る程度の支出が必要だ、減りましても僅かな額じやなかつたかと思いますが、通産省としましても、恐らく両方の政策でやつて行きたいというのが真意ではないだろうかと、私はそういふうに伺つたのでありますが、まあ私一応、鉱山局のかたがお見えになつておりませんので申上げました。
  102. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 通産省のほうで探鉱その他の補助費は要らんというようなことは言つていないと思います。十分やつて行けるからと言うのならば一億一千万円は削つてもいいのでありますが、やつて行けないからというので出したのでございます。昨年より減つたのは、私の記憶ではあれは昨年は日本国全土の分だと思います。それを種目を減らしましたか、或いは北海道の開発につきましては、北海道の探鉱費がほかのほうよりも多いという関係で、実際上は減つていなかつたのじやないかと思います。これははつきりしておりませんが、今の補助金を出す種目が減つたか、或いは地域が減つて、北海道のほうは別の費目で出したために減つたと、自分はおぼろげながら記憶しておるのであります。通産者が、もう自力で立つて行くから補助金は要らんのだ、又大蔵省もこういうふうなことを言つた覚えはございませんから御了承願いたいと思います。
  103. 下條恭兵

    ○下條恭兵君 どうも非常に石油の技術的な問題を主税局長から説明を聞いて恐縮しておるのでありますけれども、石油の場合、新鉱開発をして必ずしもだんだん條件が悪くなるとは限らないのであります。例えば非常に浅い所に油が発見されたとすると、非常にコストの安い油が出て来るのでありまして、将来必ずしもそういう断定を下すのは、私は甚だ乱暴と思うのでありますが、併し通産当局が何を言つたか、これは速記録を見ればわかることでありますので、そういう議論は又通産当局とやることにいたしまして、私の質問はこれで打切ります。
  104. 小串清一

    委員長小串清一君) 御通告の順がありますので、高木正夫君。
  105. 高木正夫

    委員外議員高木正夫君) 委員外議員としてお許しを得ました私は運輸委員をやつておるものでありますが、先ほど来関税全般につきまして高瀬委員から縷々質問がありまして、政府当局の御答弁によりまして、大分わかつたような点もありますが、ただ二、三の点につきまして御質問を申上げたいと思います。  運輸委員会といたしましては、二回ばかり開きましていろいろ御質問を申上げたのでありますが、その際の要点といたしましては、大体保護関税だと、そのほかに特別理由がないのだということを御質問申上げたところ大体それに終つておるんだということでありたのであります。本日の大臣の御答弁の中には、税收入の点を相当考慮しておる、或る程度考慮しておるというお話でありましたので、従いまして私の質問も多少変つて来ることになりますが、大体といたしまして、保護関税の性質の色彩が只今非常に濃厚であると思います。こういう観点からいたしまして、重ねて御質問を申上げるわけでありますが、先ず常識的に私どもは考えますと、或る品物につきまして関税を課するか課さないかということの重点といいますか、そういう点が多多あるであるだろうと思うのであります。そのうちで二点ばかりが最も重点ではなかろうか。それは一つは、国内の生産が国内の需要をどの程度に満たしておるか。つまり国内の生産が極めて少い。或いは殆んどないというときにはそれは関税を課すべきでないのが本当じやないか。国内の生産が需要を殆んど満たし得る、或る程度どうやらこうやら満たし得るというときに関税をかけるのが、これが関税の面に現われて来るんじやないかというふうに考えられるのでありますが、尤も奢侈品のごときは別問題でございますが、大体においてそういうことが言えるんじやないかと思います。  今もう一つの問題といたしましては、これは最も重要な問題であろうと思いますが、その品物が国民経済並びに国民生活にどれだけ重大な影響と及ぼすか、重要度の問題であろうと思います。即ち若しその重要度が低いときには、たとえ国内生産が少くても、場合によつて関税をかけなければならない場合もありましようし、又これに反して重要度が極めて高いというときには、相当の量が生産されましても、これはやはり関税を課すべきでないかというように考えるのであります。大体これは常識的の議論であります。学問的にではないかも知れませんか、大体各国もそういう考えを持つておるようでありまするし、又今回御改正になろうとしておりまするものを見ましても、その精神が多分に織り込まれておる。即ち羊毛のごとき、或いは綿花のごとき、主要食糧はもとよりでありますが、或いは生ゴムのごとき、これはもう免税になつておる。ただひとり石油類に限りまして、それがそういうようになつていない。ここに私どものちよつと理解に苦しむ点があるのであります。なぜ理解に苦しむかと申しますると、先ほど来いろいろの御説明のありました通りに、国内生産が僅かに九%、これも将来航空事業が発達して参りますと、まだまだ需要が殖えるでありましよう。そうすれば、大体五%くらいまで落ちるのじやないかということも考えられるのであります。なお又重要度におきましては、先ほど委員からいろいろお話のありまた通り、これは農業、水産業などに重大な関係があり、そうでなくても目下農村なり或いは水産業界が喘いでおるこの際に、そういう税金をかけることはなお困らすようなことになるのじやないか。延いては又国民の食生活にも及んで行く、これは重大な意義を持つものじやなかろうか。或いは又他面輸送という点から考えましても、これはもう私がここで縷々詳しく説明するまでもなく、国の産業の動脈になつておるのであります。而も現実的にはどうかといいますと、最近トラックの運賃などが上りまして、これ以上の運賃をとるわけにもいかんような状態になつておるのであります。石油類に関税をかけますると、それが転嫁して参ります、自然転嫁して参るのでありまするが、転嫁することができなければ、業者が苦しむのであり、又転嫁し得るとすれば、国民の利害の問題となつて来るわけであるのであります。こういう点から考えますると、どうしても私どもは重要度から考えまして、又その国内生産の比率から考えなまして、これは当然無税にすべきものであるというようにも考えるのでありますが、要は、石油類の国民経済又国民の生活に対するどれだけの重要度を政府のほうでお認めになるか。例えば羊毛のごときものよりも、その点において劣るのじやないかというようなお考えを持つておるかどうかを一応先ずお尋ねを申上げたいと思います。
  106. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) これは先ほど来申上げたことで盡きておると思うのでありまするが、私は日本原油資源の情勢などから考えまして、一応一〇%程度関税は適当であると考えまして、出したのであります。而してそれが産業に及ぼす影響なども十分検討の上出しておるのでありまするから、これは先ほど申上げましたように、特殊の面につきまして、即ち漁業の面におきましては今検討を加えておるということは申上げた通りであります。これは何でも課税を始めますときは、いろいろな議論のあるところであります。而して我々は将来国際市場に入ります。又日本の資源開発の上からいつて、その適当なる方途を今からとつて置く必要があると言つて一〇%の関税を出したのであります。
  107. 高木正夫

    委員外議員高木正夫君) 次にお尋ね申上げたいと思いまするのは、これは愚問になるかも知れませんが、私どもは関税を課するよりも、むしろ国際情勢が、大分緊迫しておりまするこの際に、政府のアカウントにおいてこれをどんどん輸入をして置く必要がないろうかと思うのであります。その点について一応お尋ねしたいと思います。
  108. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) できるだけ輸入の面につきましては、いろいろ考えて努力いたしておりまするが、やはりこの石油につきましては、政府は買いたいからといつて、一度にどんどん買うわけにも参りません。予算その他の点もありますし……。石油のみならず他の違う品物につきましても、できるだけの輸入はやつております。
  109. 高木正夫

    委員外議員高木正夫君) もう一つ最後にお尋ね申上げたいと思いまするが、先ほど来、国内生産の問題が大分問題に上つてつたようでありますが、私もこの点についてもう一度お伺いしたいと思うのでありますが、国内生産の補助、助長といいますか、資源開発のために補助をやられるということは私は非常に賛成であります。どうしてもやらなくちやならん問題と思うのでありますが、その補助を関税を以て充てるかどうかという点であるのであります。関税と補助とは、これは別の問題じやなかろうかと考えるのでありまするが、大体先ほどの御説明通りに、三十二万キロリットル、これに対する補助はどうかと申しますると、一キロリットル当り約千円くらいでいいんじやなかろうか。これは国内産と輸入品との関係、CIF価格との比較をいたしまして、大体千円くらいじやなかろうか。そうすれば三億か四億くらいで済むのじやなかろうか。然るに一方関税のほうは十六億も、場合によつては二十億も出るのじやないか。その点が少しどうかと思うのであります。そういうものを財源に充てなくても、二十五年度消費税の収入から考えまして、政府は最初六十七億を予定されてあつたようでありますが、これに対して二十五年度の見込といたしましては、大体七十二億五千万円くらいだということを承わつておるのであります。余裕がそこに五億ばかり出ておる。これは二十五年度のことでありますが、二十六年度も需要がますます増せば、恐らくそういうことになつて来るのじやなかろうか、この消費税の財源をそこに充てて行けば、十分にこれが補助、助長できるのじやないかというようにも考えるのでありますが、その点について一応承わりたいと思います。
  110. 平田敬一郎

    政府委員(平田敬一郎君) 私先ほど石油業などにつきましては、関税だけでもいかん、助成金と両方で行くべきじやないか、こういうことを申上げましたわけでございますが、関税で行きますと、それだけ価格差ができまして、その差だけはコストが高くても増産できるということになりますので、確かにこれは私どもそれだけ保護になることは間違いないことだと思います。併し更に新鉱の開発その他特別のことをやりまして、一方におきまして必要な助成をやりまして、両々相待ちまして国内石油事業の開発、増産ということに資するということは、これは考え方として成り立ち得る政策ではないか。問題はその程度をそれぞれ如何ようにするかということだろうと思います。そうしてそういう場合におきまして、今のお話は何か揮発油税の増収部分で補つたらどうか、こういう御意見でございまして、一応常識的にはそういうことも考えられますが、そういうことで考えますのはどうであろうか。勿論揮発油税はそれぞれやはり財政収入を挙げるために徴収いたしておるわけでございますが、予算が実績と違うということは、これはあり得ると思いますが、それがあり得るから直ちにそれを以て助成金に充てるというのも如何であろうか。一般の財政需要として、財政の中でどの程度の助成金をどういう方法で出すかという問題、それから関税賦課率をどうするか、基本的にはこういうことを中心に判断すべきじやないかと思います。従いまして揮発油税の予算をオーバーした収入ですぐどうするということにつきましては、これは一つの繋がりはあるかも知れませんが、そういう角度からきめるわけには行くまいかと考える次第でございます。
  111. 高木正夫

    委員外議員高木正夫君) 先ほど来高瀬委員等の質問に対しまして十分なるお答えもありまして、又先ほど大臣からの懇切な、速記をやめてまでの御答弁でありましたので、私大体この辺で質問を打切つて置きたいと思うのでありますが、ただ希望を申上げることは、單に原油だけじやなしに、重油、つまり石油類一般、ガソリン、又軽油等につきましても、一つ特別の御考慮をお願いしたいということを最後に附加えまして、私の質問を終りたいと思います。
  112. 小串清一

    委員長小串清一君) 秋山君にちよつと発言を許します。
  113. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 私どもも水産部面からお尋ねをいたすつもりでありましたが、先ほど来者委員のかたがたからの御質疑によりまして大体了承することができました。ただ今日の水産業漁業が如何なる状態にあるか。大体漁業はその使用します重要資材が殆んど大部分輸入に待つている性格のものであります。即ち綿糸、綿網或いはトウライン、マニラ・ロープ、それから石油類、これらの極めて重要な資材がことごとく輸入に待つておりまして、最近運賃、或いは産地の価格が高騰いたしまてこれらの資材がぐんぐん上つて参ります。最初補給金等がございましたが、これも打ち切られた結果といたしまして、非常に最近上つて参りまして、綿糸、綿漁網等におきましては約七割、それからマニラ・ロープの類にいたしましても約六割を値上げしているような状態になつております。従つて漁業の経営の面はと申しますと、魚価は反対にむしろ低落の状態にありまして、その経営が非常に困難に相成つておりまして、或る面におきましてはだんだん業者が倒産を見つつあるような状態になつております。併しながらこの産業は、農業と同じように我々国民の重要な食料を受持つている産業でありますので、これが潰滅は国民として忍び得ないところであります。さように窮迫した状態にあります上に、この石油も上つて来る。その上に又関税を課するということになりますと、現在より約二割五分の高値を見ることに相成りまして、本来健全なものであれば、それくらいの値上げはあえて差支えないかもしれませんが、殆んど瀕死の状態になつているところにその重荷は、全く圧し潰すような恰好に相成りますので、この関税定率法改正が伝わりますや、全国の漁業者代表は上京いたしまして、毎日のように我々に陳情いたしております。又需報、書面等において引つきりなしにこの阻止に全力を挙げているような実情であります。先ほど来大臣が極めて含みのある御答弁をなさいましたので、我々としてはそのお話に全幅の信頼を置きまして、この窮状にある漁業を何とか救済して行くというような意味合いにおきまして、この税の実施について格段の御考慮を頂くことをお願い申上げまして私のお尋ねを打切ることにいたします。
  114. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 私は具体的に大臣の答弁を多少お聞きしたいと思うのですが、第一番に、今回のこの関税改正におきまして、予算の面から見ますというと、大体昨年度に比べて約三倍の関税收入となつて現われているのであります。併しそのうち昨年免税になつておりました食糧を抜きにしましても、やはりかなりの増税となるのでありますが、それほど二十六年度におきましては、相当の輸入を大臣は見込まれて、この改正案をお出しになつているのかどうか、この点を先ずお尋ねいたりします。
  115. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 大体今年度関税収入は十五億程度じやなかつたかと思います。但し相当の自然増加があるようであります。来年度につきましては、関税定率を一応改正いたしまして五十億ばかりを見込んでいるのであります。何分にも内国税とは違いまして、関税收入は、貿易状況によりましてよほど動きがあるのであります。大体五十億ということが固く見積つて計算されていると思います。
  116. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 そこで大蔵省の原案のいわゆる収入見込額をずつと見て参りましても、ほんの一部分を除いては、皆国内の最も重要な必要物資が多いのであります。そういう部面におきまして、先ほどいろいろ各委員からも話が出ておりましたが、関税税率改正によつて、この前と変化しているかどうか。つまり昨年度に比べて特に増税になつているのかどうかということが問題になると思うのであります。今回の改正によつて、その点はどんな状況になつておりますか。
  117. 平田敬一郎

    政府委員(平田敬一郎君) 今大臣お話になりました通りでございますが、何しろ今の関税率というものが、率直に申上げまして従量税が、極端に申しますと馬鹿げた税率になつていると申しますか、意味のない税率になつておる。それが私は関税收入が非常に少くなつている最大の理由だと考えているのでございます。平均の関税の負担率を調べたのがございますが、戰前、即ち大正十五年、今の関税法ができました際におきましては、有税品に対する関税の平均負担率が一七・二%であつたのでございます、有税品に対する関税率の負担につきまして……。それが昭和十一年は大体同じで一八・七%、これは価格の変動で若干変つてつておりますが、一八・七%になつておりましたのが、昭和二十四年におきましては、僅か一・五九%、これは有税品の総額の輸入価格に対しまする関税収入の割合ということでございます。こういう非常に低いものになつている。多国の例などを見ましても、こんな馬鹿げた関税率を持つている所は実はないのでありまして、比較的低いアメリカにおいてさえ五%乃至一〇%程度、ときによつて動いておりますが、平均負担になつております。イギリスやフランスは勿論高くて、一〇%乃至二〇%程度になつているのでありまして、今の関税率が如何にインフレーシヨンの結果ノミナルなものになつてしまつているか。その結果收入も非常に少くなつている。戰前におきましては、全体の租税收入の二割前後を関税収入が挙げておつたのでありますが、最近は一%ですか、極く僅かな額で、現在では一%より遥かに下廻つております。今回はやつと総体の四千四百億に対しまして五十億でございますから、一%ちよつと強になるのでございまして、こういうような状態になつておりますこと自体が、非常に今の関税定率法の不自然、不合理を物語るものでございます。今度改正によりまして、五十億程度收入になりますが、そういう面から考えまして、これが特に若干殖えたから問題にするということはどうかと考えているのでございます。むしろ問題は今後どういう工合になつて来るか。むしろ若干増加の傾向に今後行くのじやないか、こういうように私は大体改正の前後の点から申しますと、大部分はやはり今度の改正によつて殖えるということは、これは否定できないことだと思います。
  118. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 そこで食糧の中の大豆とか、落花生とか、或いは菜種とかいう、砂糖を除いての品種につきまして、今回相当輸入についての関税が課せられておりますが、こういうものは今まで免税でありましたが、御承知のように国民生活には最も必要な物資でありまして、こういうものが昨年までは免税であつて、今年から関税商かけて行くという御方針にされたのは、どういう意図でされたのか、我々多少疑問ですが、この点大臣から、一つ明確にお答えを願いたいと思います。
  119. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 御承知通り関税率定法では、あれは石八十何銭でしたが、率が盛つてあるのであります。ただ入つて参ります大豆がおおむねガリオアで入つてつた関係上、そういうことがございましたが、免税になつてつたのであります。併し国内の大豆増産の意味からいたしまして、一%でございましたか、その程度は課税しても差支えないのではないかというふうな意見の下に、課税することにいたしておるのであります。
  120. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 只今大臣の御答弁でありますが、実際只今私が申上げたような種類の食糧品を国内において如何に増産を図つても、こういう狭い国でありまして、今まで特に大豆等におきましては満洲に依存しておつたのであります。それが殆んど入らなくなつた今日におきましては、多少政策をお変えになつてもいいんじやないかと思うのですが、そういうお考えはおありになりませんか。
  121. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) そういう考え方の人も相当あるのでありますが、農林省等におきましては、やはり増産の意味から課税すべきだという議論が強かつたと聞いております。
  122. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 これは議論に亘りますので、連合委員会でなしに、いずれ大蔵委員会におきまして、各省のかたがたともよく協議したいと思いますが、こういう点は是正されたほうが私はよろしくはないかと思うのでありますが、又もう一点といたしまして、若し将来増産のための関税を課するといたしましても、差当つては今のところまだ非常な不足をしておるのです。大体八割見当を海外輸入に仰がなくてはならず、而も満洲あたりから輸入した当時と違いまして、非常にコストも高いのです。そういうものを輸入する際におきましては、これに課税をされるということは多少矛盾じやないかと思うのですが、その点なお大臣の個人の御意見でもよろしいのですが、明白に願いたいと思います。
  123. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) これは議論のあるところでありまするが、一応私は課税すべきものとして提案いたしておるのであります。
  124. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 その点はその程度にいたしまして、大麦と小麦とが、同じような種類のものが片つ方は二〇%、片つ方は一〇%というような課税の方法も、これも多少疑問の点だと思うのですが、どういうわけでこのような措置をとられたか。相当これも国民の生活上において大きな問題だと思うのですが、お答えを願いたいと思います。
  125. 平田敬一郎

    政府委員(平田敬一郎君) 大分細目になりまするので、或いは農林省から来てもらつて説明して頂いたほうがいいかと思いますが、一応審議の途中におきまして大分議論かありまして、私も若干記憶しておりますので申上げますが、先ず大豆につきましては、やはり日本の畑作農業を考えまして、将来におきまして最も増産いたしたい、農林省といたしましては大豆の増産につきましては、畑作の中では最も力を入れている一つだということでございまして、いも作よりもむしろ大豆方面の今後の一層の耕作反別の増加による増産、これを少くとも最近までは重要な政策にしておられたように聞いております。そういうような点におきまして、大豆につきましては、これは大分議論したのでございますが、やはり適当な関税を盛りまして保護したほうがよかろうというような結論に到達したのでございます。ただ極く最近の近い状況だけを考えますと、いろいろ議論がございますが、関税率の基本的な考え方といたしましては、そのような点から意見の一致を見たような次第でございます。  それから小麦と大麦でございます。これも小麦の増産に最も力を入れたい、而も小麦は一番国際的にいろいろな関係影響を受けるところが大きいと、小麦は農産物の中では世界的な範囲に考えますと一番数量の多いものであると考えますが、これがどういうふうに日本に入つて来るか、やはり一番関税率といたしまして保護の際に重点を置くべき種目だという考え方からいたしまして、小麦の関税は幾分ほかのものよりも高くいたしております。勿論小麦の増産等につきましても大分積極的に考えておるようでありますが、世界的な影響を受けることが特に小麦の場合が顕著であるということも考えまして、或る程度高い関係率を設けるということに相成つたわけであります。なおこの辺の政策的な細目は、必要な機会に農林省から出席いたしまして申上げることと思います。
  126. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 もう一点伺います。最近の密貿易の点でありますが、これが一向に減少されないということは、今朝の新聞等においても現われておるのであります。結局当然取入れるべき関税を取らないで、そういう不正行為をするような人々の利益になるような現在の状態では、これは全く我々国民といたしましては残念至極に堪えないのです。そういう点におきまして、新聞等におきましては、税関のいわゆる拡充、強化をするというようなことも出ておりましたが、密貿易の取締を徹底化して頂きたいということと、それから又海上保安庁のごときも大蔵省に附属させるというような意見も出ておつたようでありますが、そういうことによつて只今私が申上げたようなことが或る程度防止できるのかどうかという点につき、大臣のお考えをお聞かせ願いたいと思います。
  127. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) この税関行政につきましては、戰争中並びに戰後、殊に戰後におきまして、非常に縮小いたしまして、人員につきましても殆んど五分の一とか、或いは七、八分の一にまで減少をいたしておつたのであります。外国貿易の重要性がだんだん増して参りましたので、やはりお話の密貿易がかなりひどくなつて参りましたので、殊に朝鮮、台湾というものが、昔は殆んど内国と同じように取扱われておつたのが、外国になりました関係上、取締を十分にするために、先はど申上げましたような税関吏におきましても、千四、五百名の本年度増員を計画いたしておるのであります。で監視その他によりまして密貿易を取締りますと同時に、海上保安庁並びに警察方面との連絡を密にいたしまして十分な取締を計画いたしておるような次第であります。
  128. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 最後にもう一点、我が国における今回の税制改正で、而も先ほどのお話によると、大体一五%くらいの輸入税だというお話でございましたけれども、日本から輸出されるものの総平均の関税はどの程度になつておりますか。これは日本と諸外国と比べて、輸入よりもむしろ輸出の、いわゆる我が国から輸出されて向うの国の輸入税が非常に高いというような場合におきましては、これは日本にとつて非常に不利になるわけであります。そういう点、あらましでよろしいのですがお答え願いたいと思います。
  129. 平田敬一郎

    政府委員(平田敬一郎君) 日本から輸出されるものに対して、具体的に幾らの関税が諸外国でかかつたかと、この調べはなかなかむずかしくて、そういう的確な調べはございませんが、外国の関税率の高さの大体につきましては、先ほどもちよつと申上げましたが、なお補足して申上げますと大体有税品の負担率でございますが、イギリスが比較的高くて、これは最近は有税品だけの輸入価格に対しまする関税収入の比率がございまして、一九四九年で三五・八%になつております。それから先ほどアメリカにつきまして五%乃至一〇%と申上げましたが、これはちよつと私の表現が不十分でありまして、このほうは全体の貿易額に対する関税收入の比率でございます。有税品だけの比率を申上げますと、一九四八年の統計によりますと一三・二%ということになつております。もう一つ前の一九四七年は一九・六%、これは貿易の輸入品の統制の割合の変化と、或いは若干関税率引下げた結果だろうと思いますが、そういうことになつております。フランス等は一九四九年が一〇・四%、カナダが二一%こういう状態にそれぞれなつております。なおフランスは恐らく総輸入額に対する関税率の比率でございますので、有税品だけの比率から申しますと、二十五%前後になつておるのじやないかと思いますが、比較的高くなつております。これに対しまして日本関税は、さつき申しましたように、全部正確に有税品に対しまして出しますと一〇・四%でございますかに改正案によりますとなるようでございます。でほぼ関税として持つております基本的な多くの関税率は、大体一〇%か二〇%くらいのものが多いのでございます。全部の貿易量から通算いたしますと、このようなことに相成るようでございます。
  130. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 一応あとの大蔵委員会のときにいたします。
  131. 小串清一

    委員長小串清一君) この連合委員会はこれを以つて終了することといたしまして、あとは大蔵委員会を継続する間に、若し他の会派から希望があれば発言を許すことにしようと思います。本日はこれを以て散会いたします。    午後五時二分散会  出席者は左の通り。   大蔵委員    委員長     小串 清一君    理事            大矢半次郎君            杉山 昌作君    委員            愛知 揆一君            黒田 英雄君            清澤 俊英君            佐多 忠隆君            松永 義雄君            小宮山常吉君            小林 政夫君            山崎  恒君            油井賢太郎君            森 八三一君            木村禧八郎君   水産委員    委員長     木下 辰雄君    委員            秋山俊一郎君            入交 太藏君            松浦 清一君            櫻内 義雄君   通商産業委員    理事            廣瀬與兵衞君            栗山 良夫君            結城 安次君    委員            上原 正吉君            重宗 雄三君            下條 恭兵君            椿  繁夫君            高瀬荘太郎君            山川 良一君            駒井 藤平君   委員外議員            高木 正夫君   国務大臣    大 蔵 大 臣 池田 勇人君   政府委員    大蔵政務次官  西川甚五郎君    大蔵主税局長 平田敬一郎君    大蔵省主税局税    関部長     石田  正君    水産庁次長   山本  豐君   事務局側    常任委員会專門    員       木村常次郎君    常任委員会專門    員       小田 正義君    常任委員会專門    員       岡  尊信君    常任委員会專門    員       林  達磨君    常任委員会專門    員       小田橋貞壽君