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1951-05-16 第10回国会 参議院 水産委員会 第25号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年五月十六日(水曜日)    午後一時五十八分開会   —————————————   本日の会議に付した事件 ○水産物増産対策に関する調査の件  (水産資材に関する件)   —————————————
  2. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) 只今から委員会を開会いたします。  本日は安本から渡部産業局次長、それから近藤燃料課長佐藤事務官繊維雑貨課長宗事務官、それから通産省から通商繊維結局の佐橋綿業課長水産庁から水野水産課長がお見えになつております。漁業用資材に関する件を議題に供します。重油撚糸並びに合成化学繊維件等について御質問がありましたらお願いします。
  3. 青山正一

    青山正一君 全般的のことについて安本のかたにお聞きしたいと思いますが、最近水産業資材、或いはこういうことに関係のあるものは統制を外されたり、或いは外される趣のように聞いておるわけなのですが、最近の国際情勢から考えて見まして、朝鮮の動乱もなかなかやみそうもありませんし、場合によれば世界の第三次戦争に捲込んで行きはせんかということを非常に心配しておるわけなのです。そうなるとしますると、重油にいたしましても或いは綿花にいたしましても、ロープにいたしましても、これは殆んど全部が戦争資材であり、而も殆んど全部が米国からの輸入を仰いでおるようなわけでありますが、そうなつた場合においてアメリカあたりは殆んど又統制準備態勢に進んで行つておる。日本は殆んどそういつた統制から離れまして却つて自由経済へと移行しておる。而も今まで官貿であつたものが民貿に鞍替えした。それで今後の目安は一体どういうふうにお考えになつておるか、その点をまあお聞きしたいと思うのです。例えば今現在民貿に変つておるやつが、今後の段階におきまして例えば戦争に持ち込んだ場合において船腹が足らない。足らなければ自然的に民貿のものが官貿に鞍替りせんか。官貿に鞍替ると或いは戦争になるというふうな建前になるとすれば、又これは再統制というふうなことにもなりはしないかと思うのですが、現在の段階においてそういつたことを念頭に入れまして、いわゆる統制を外したり、或いは統制を外そうとしておるのですか、その点について一つお聞きしたいと、こういうふうに思つておりますが……。
  4. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) 渡部さんから現在の燃料見通しその他を一つ詳細に御説明を願いまして、又青山委員の御答弁をお願いします。
  5. 渡部伍良

    政府委員渡部伍良君) 数字的な詳細に亘りましては、恐縮ですが安本燃料課長が来ておりますから……。  大体の只今の御質問につきまして、統制をだんだん外して行くんじやないかというふうな御意見でありますが、今までのやり方は需要供給の緩和したもの、つまり供給に懸念のないものについて統制を外して行くというので来ておるのであります。あと燃料課長から御説明申上げると思いますが、重油などについては、石油関係については当分のうち統制を外せるような見通しを今のところ持つておりません。撚糸の問題につきましては最近の綿糸価の暴落というような関係、これはアメリカ綿花生産が非常にいいというような原因もありますし、先ほどお話がありましたように将来の国際関係等と睨み合せて、どうしたらいいかというので、一部の統制を外しておりますが、今後更に強く統制を外して行くかどうかということにつきましては、只今部内におきまして慎重な検討を加えておるような状態であります。あと燃料課長から……。
  6. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) それでは近藤燃料課長から燃油の見通し、それから佐橋綿業課長から漁網繊維見通し一つお伺いいたしたいと思います。
  7. 近藤勝

    説明員近藤勝君) 私安本燃料課長近藤でございます。只今お話の、石油の、需給関係から見て統制がどうかというお話につきましては、渡部次長の申上げられた通りでございますが、先ず我々事務当局としましては統制を外す、外さないという問題の前に、本年度石油有効需要を完全に充足するために、どういう手を打つたらいいかということに只今努力中なわけでございます。御承知のように、石油は原油の形か乃至は製品の形で殆んど需要の九〇%を外国に依存しているわけでございまして、従つてこれを完全な需要充足をするためには、それに相当する外貨を用意しなければならないということで、只今一年間の有効需要約四百七十万キロリットルの製品需要を完全に充足するために、約一億五千万ドル程度外貨を用意してもらうように関係箇所に折衝中でございます。この外貨が果してどの程度つくかということは、今のところちよつと予想がつきませんが、若し我々の考えている外貨がほぼつくということになりますれば、お手許に配付いたしましたこの石油需給がほぼバランスがとれるという見通しがついているわけであります。で、この二十六年度石油有効需要というものの中の水産用というのは八一万三千キロ程度ございますが、これは去年の割当実績に比較いたしますと、ほぼ二倍近いものでございます。従つて去年は相当水産事業を初め、ここに申上げておるような各産業とも石油需要というものに対しての割当圧縮率が、非常に大きかつたために、非常な御迷惑をかけていたんでありますが、本年はそれだけの外貨と、それに対応するタンカー、その他の手当がつけばほぼ御満足の行くような数量が入つて行くんじやないかということを、我々としても非常な望みを持つて期待しておるわけであります。この問題は一年を通じての問題でございますけれども、差当り一番水産関係利害関係の深い重油の問題にしまして、各四半期割当てられている今までの実績と言いますものは、ほぼ十万キロ程度でございましたが、この第一四半期から追加分を含めまして十五万キロ程度にまで殖やし、第二四半期には更に油の入つて来る状況と睨み合せまして、水産当局と連絡の上適当な増量を考えようと思つておる次第でざざいます。で、私のほうとしましては事務的にはそういう準備をしておるんでございますが、これは一にかかつて輸入外貨の問題というもので抑えられている関係から、非常な努力はいたしておるんでございますが、先行の問題は今のところちよつと見当がつかないわけでございます、ただここでほほ申上げていいことは、第一四半期におきましては、私のはうで考えておりました重油民貿外貨はほほ要求通り取れまして、それが船積みのいろいろな準備も各事業会社のほうでつきましたものですから、これが六月、早いものは五月の末、それから六月以降から効果が現われて来るようになつておりますが、少くとも第一四半期の後半期においては漸次明るい見通しか立つているわけであります  ちよつと附言いたしますと、ほぼ概数でございますけれども、申上げました数字の中で有効需要の測定が四百七十万トンと申上げましたが、四百七十万トンというのは去年の割当実績は二百六十万トンでございまして、従つて産業別に多少の差はございますけれども、有効需要に対してほぼ六〇%程度充足しか去年はつかなかつたということが概略申上げられるかと思います。以上簡単でございますけれども……。
  8. 佐橋滋

    説明員佐橋滋君) 綿の全般状況についての統制問題を簡単に御説明したいと思います。青山委員から御質疑がありましたように、私たちのほうは先の見通しはちよつとわかり兼ねますが、現在まで見通せております状況下においては統制を外せる、こういうふうに確信しておるものでありまして、今後状況急変がありますれば、現在までの戦争中の統制残滓は一掃いたしまして、新らしい角度においての統制方式というものを考えたい。御承知のように現在まで残つております綿統制品は、戦時中に外国から一切の綿花が入つて来ない。これを食い延すために一般消費者消費を制限するという角度で始まつた統制でありまして、今後我々が見通せる状況というのは、そういう何と言いますか、戦争が始まる、前に持つてつた綿花を食い潰す、できるだけ長くしようとかいうような問題とは違つて来まして、今後もいずれのほうからでも量の問題はありましようけれども、入つて来ることは間違いがありませんので、今後新らしい角度統制するということになりますれば、むしろ一般消費者対象にしないで、必要な面に積極的な確保策請ずるというような統制方式にしたい。こういうふうに考えて、現在の戦時中の残滓であります統制経済綿統制の問題は解こう、こういうふうに考えておるものであります。現在の見通しを申上げますと、この前当委員会において説明しましたように、我々のほうは本年度百六十九万梱の綿糸生産をする。そういたしまして約十四億ヤードの綿布の輸出をいたしまして特需その他の緊急な需要に月約八千梱を留保し、なお且つ国内に月々五千梱の綿糸供給ができる、こういう見通しに立つて進んで来たのであります。現在までのところ紡績設備増錘状況も極めて順調に進んでおりまして、現在約四百五十万錘が稼働をいたしておりまして、現在の生産年ベース百六十九万梱、一月に直しますと十四万三千くらいになると思いますが、この四月におきましてはこの生産を挙げておるわけであります。この前この委員会で申しましたように、月五万五千梱の数量を出し、且つ現在までの、その前の八万一千円の値段が十四万円になる。量が殖えるということと、値段が上るという二つの前提に立ちますと、国内消費はそこまで到底ついて来れない、こういうふうに考えておつたのでありますが、現状は果してその通りでありまして、御承知のようにこの三月の初め闇値で約二十五万円ほとしておりました綿糸一梱が、現在では十六万円を割りつつある状況であります。この四—六の計画は月五千梱、ただ一—三月度においての追加が、四——六へ入つてから一万五千梱の追加がありましたので、現実においてはすでに月五万五千ベースになつておるわけであります。この第一次の発券が、約十一万七千五百梱ばかりのものをすでにもう全部発券済みでありますが、現在までのところ何と言いますか、このほうのデリバリーは、消費者が切符をもらつても金融の状況、或いは綿糸が更に右を割るのではないかというような先安の見通しで、ながなが紡績のほうでは糸を作らせて持つておるにもかかわらず、買いに来ないというのが現状であるわけであります。我々のほうとしては、現在、残しておりまする統制というのは綿糸配給統制と、それから綿糸価格と、織物価格と、綿製品価格、これだけが残つておりまして、綿織物等についての配給規則は全部廃止をいたしました。現在残つておりますのは今申しました配給規則関係では綿糸、それから水産庁関係漁業資材配給規則、それから今の値段だけであります。今の状況から行きまして早急にこの一切の統制を外さないと、却つて糸消費者その他で、十四万の糸を買つてつておられるかたが痛手を受けることもあり得るということは、今までの統制を、繊維については絹、麻、人絹、スフ等について逐次外して来ましたが、そのときに必ず外した途端には、同時に市価よりも遥かに一遍落込むのが常識でありまして現在十五万円台になつております綿糸が、外したら恐らく十四万円を一回は割るのではないか、こういうふうに考えますので、今言いましたように紡績が糸を持つていてもなお買いに来ないというような状況とも睨み合せまして、早急に統制を外したいということで、現在安本物価庁とも相談をし、政党側のほうの御意見も承わつて慎重にあれを進めておりますが、できるだけ今月一ばいぐらいに成案を得てこれを実施に移したい、こういうふうに考えておるわけであります。あとで又御質問があれば補足したいと思います。
  9. 青山正一

    青山正一君 今佐橋さんからいろいろこの統制の問題について、今までの行き方は駄目であつた、それで今まで取つてあるものを食い潰しておつた、今度新しい角度で量の問題はあるが、多かれ少なかれ他国から入るものとみなして、それを対象として統制して行くんだ、こういうふうなお話がありましたが、やはりあなたのほうとしてこういうふうな統制方式を今後やらなければならんというような考えの下に研究を進めておるのかどうかという問題と、それからもう一つ漁業用の綿というものは殆んど二万一千のものが、只今お話通り十五万になつた、そのために非常に高くなつた結果、漁業者がこれを購入することが非常にむずかしいというような建前にもなつておろうと思いますが、そういう点についてどういうふうな報告を受けておるかどうかという問題と、それからもう一つは若し統制を外した場合において、例えばこの網のほうへ持つて行くべき綿がほかへ流れておるというようなことになりやしないかという点を非常に心配しておるわけなんです。その点と、この三点について一つお聞きしたいと思います。
  10. 佐橋滋

    説明員佐橋滋君) 第一点の新らしい統制方式考えておるかという御質問でありますが、これは現在のところは考えておらないのであります。と申しますことは、アメリカの綿の状況が今年は非常に豊作であろう。昨年は御承知のように作付けの制限をいたしまして一千万俵の生産にとどまつたわけでありますが、今年は千六百万俵を割ることはよもあるまいということが、この前国際割当事務局パーカー事務局長が来られたときにありまして、一般予想から言いましても六月の末にはもう正式な何といいますか、収穫予想発表が、日本の米と同じようなのがあるわけでありますが、千六百万俵である。そのほかパキスタンにいたしましても、エジプトにいたしましても、今年まあ非常に値よく綿が通りました関係上、本年度は相当な増産をすると、こういうふうに予測されますので、日本に対する綿花割当も今年よりは殖える、殖えても減るという見通しは全然ありませんし、値段の点においても大幅な値下げがあると、こういうふうに予測しておりますので、殖えた亘をこなす設備も着々進捗中でありますので、現在のところ今の再統制問題というものは考えておりません。そのときになりますれば、そのときになつて状況急変でもありますれば別でありますが、現在は考えておりません。  それから第二点は、この綿漁網が八万一千円、去年の初めあたりから言えば更にまあ上つたわけでありますが、最近では八万一千から十四万、六万上つた。これが水産業者が買えないということについて何かの手はということでありましたが、我々のほうといたしましては、これは漁網ばかりではありませんので、織物につきましても、メリヤスにつきましても、先の製品の値下りという面から、どうしても原料高製品安という状況が先に行きますので、皆買い控えをしておる状況であります。で今の八万円から十四万円に上つたために、特にまあ魚価等に及ぼす影響は、この前もお話があつたと思いますが、我々のほうといたしましては綿糸の全生産量から見ますれば、漁網に対する割当というものは一割以下の数字でありますので、漁網のほうで魚価統制等の問題があるとすれば、これは補給金なり何なり、いわゆる消費者の面への政策によつて何らかの手を打つて頂きたいと、こういうふうに考えるのであります。  それから第三点の、統制を外した際にほかのほうへ行きはせんかということでありますが、我々が自由競争的な立場で考えますれば取あえず何といいますか、現在の状況から行けば綿織物、その他のほうが漁網よりは値が通ると思いますが、これは必然的に漁網のほうの需要も絶対需要でありますので、必ず需要が起きて来るということになりますれば、大体今の織物と対抗して買えるのじやないか。又そうすると価が釣上るかということでありますが、現在の国際市場見通しから行きましても、日本綿製品がこの一、二月のように非常な高値で売れる……綿織物が非常な高値で海外に売れるということはあり得ないと我々は考えております。これは当然国際相場十四万円の現在の右というものは非常に高い相場でありますので、このあたりで落着くと、このあたりの金が出し得れば量的には確保ができると、こういうことになるのじやないか、こういうふうに考えておるのであります。
  11. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) 水産庁長官は、ちよつと用事があつてほかに出られるそうでありますから、ちよつとその前に私がお伺いしますが、只今青山委員の御質問の第二点に対する佐橋課長の御答弁では、それは水産業者も困つておるだろうと、それに対しては補給金その他を考えたらどうかというようなお話でありましたが、この問題に対して水産庁長官はどういうお考えですか。
  12. 藤田巖

    政府委員藤田巖君) 私最近水産庁のほうへ廻りましたので、まだ最近の事情を詳しく承知いたしておりませんが、大体この漁網用綿糸につきましても相当需給バランスがとれて来ておることは承知をいたしております。併しながらこれは全部、つまり国際価格に左右せられるわけでありまして、非常に高くなつておるわけであります。それでその漁網等、或いは原料等値上りが経営に影響を及ぼして来ておる。これについては勿論分析的に申せば全部平均漁価のパーセンテージにいたしますれば、比較的これは少ないとも言えるのでありますが、併し各漁業ごとにこれを考えて見ますと、必ずしもそうは言えないので、非常に我々需要の大きいウェイトもあり、或いは漁網関係資材ウェイトの大きい関係もあり、一概には言えなかろうと思つております。とにかくこの値上りが非常に響き、そして一方漁価というものが、一般購買力関係でこれが伸びておりませんので、勢い漁価を抑えておる。殊に又販売機構が不完全でもございますから、生産者売渡し値段というものはやはり産地においては、うんと取れたときは叩かれ、又取れなくてもそう自由には売れないというような状態が出て来ておりますわけであります。それでこれの対策をどうするかということであります。私は率直に申しまして、併しながら統制の外れております漁業について補給金というふうな制度を立てるということも、これは非常に困難な問題だと思つております。それで、さればどういうふうにするかというふうな問題でありますが、非常に資材が高くなつて、これに対してどういうふうにして経済を安定させるかという問題であります。これは非常に私はむずかしい問題だと思いますが、まあできる限り手に入ります資材、重要な生産資材というようなものができる限り安く漁業者の手に入るようにしてやる、それはまあいろいろの方法があると考えます。でありますからして、勿論あらゆる方法考えなければならんと思いますが、勿論生産者側の施設によつてこれをその間の、中間の経費を削減して行くような考え方考えて行かなければならんだろうと思います。そうして又一方、漁価の点についても生産者は叩かれ、消費地においての消費者価格というものは、又消費者から言えば安くなつておらないというふうな点もあるわけであります。その間の中間利潤というものを、できる限り多く無駄なものを廃止して、生産者もできる限り有利に売り、消費者もできる限り安く買えるような仕組、つまり配給機構の整備ということについて、なお一層の考慮が必要じやないかというふうに思つておりますわけであります。従つて水産庁として具体的にどういう案があるかと聞かれましても、直ちにこういう案があるというふうなことも明示できないのでありますが、私どもの考え方としてはやはり各種施策を講ずることによつて、やはり協同組合等がもう少し本当に活用され、そして漁業者のためにもつと積極的な活動を続けて、これがその間の漁民の利益になるような施策をやつて行く。それに対して政府が、又各種の面であらゆる金融的な方面、でき得れば財政金融的な方面で、何かうまくこれを援助するというふうな方法がとれれば非常にいいというふうに抽象的に考えております。具体的な方法は今研究中でありますので、できる限り早く成案を見出したいと思います。
  13. 青山正一

    青山正一君 只今水産庁長官の御意見を聞きますと、非常に弱いような御意見にも拝承するわけですが、先ほどの答弁佐橋さんの答弁のほうがよほどはつきりしておつたように聞けるわけですが、佐橋さんにお聞きしたいのですが、この補給金についての問題については、水産庁のほうではこういうふうに相当問題になつておるのでありますが、他の面からの問題についてそういつた補給金の問題が出ておるかどうか。それから又あなたのお考えとしてこの補給金を出しても差支えないじやないかというような御意見であるかどうか。その点も一つ承わりたいということと、それから最近漁網業者が、殆んど大多数の者が転業したいというふうな御意見があるようにも見受けられておるのでありますが、そういうふうなことをお聞きになつたかどうか、聞いておつたならば、その一体原因はどこにあるかということを、御研究になつたことがあるかどうか。その辺を一つお聞きしたいということと、それから問題は別なんですが、油の問題ですが、油のこともいろいろ新聞紙上発表によりますと、例えば三月三十日の閣議で決定したいわゆる重油関係揮発油関係、これは各地区ごとに違つておるわけでずが、平均して大体一二%のものが、北海道北部が四二%、北海道の南部が二九%、九州のほうは極端だと思うのですが、北部西部はどこに限界点を置いているのかどうか知りませんが、北部が九%で西部のほうが一八%、そうすると一つちよつとした村と村との間に、そういうふうにして石油値段が違うというふうなことになるわけですが、それに反して京浜などは三%、阪神などは九%であります。こういうふうに非常にひどい段階を設けておるわけなんですが、これについて業者側は納得しておるわけなんですか、どうなんですか。その点を一つお聞きしたいということと、それからどうしてもやはりこれでやつて行かなければならんのか、この点をお伺いしたいと思います。以上の点であります。
  14. 佐橋滋

    説明員佐橋滋君) お答えいたします。補給金問題はほかの漁網以外の部面からは全然開いたことはありません。補給金問題を私が挙げましたのは、この前もいろいろ問題になりましたように、漁価生産者のほうが反映させられないのだ。そのために安く手に入れなければならんのだということになりますれば、補給金問題なり或いは漁獲物冷蔵設備といいますか、そんなことは水産庁でお考えになることでしようが、そういうことがあると思うのです。補給金を我々のほうとしますれば出されるのは何といいますか、統制を外したあとで、補給金問題が云々されますと、そのトレースの問題が非常に困難になりますので、若しもこういう問題をお考えになられるとすれば、直接漁網をお買いになる水産業者相手にして頂きたいので、その糸が途中まで、何といいますか、漁網等に最終的に流れるものは安くするというふうでありますと、糸自体商品性の問題から行きましても非常にやりにくくなりますし、トレースの仕方も非常にむずかしくなりますので、現実漁網を手に入れられたかたが、補給金を頂けるというふうなシステムでお考え願えれば、我々のほうとしては一向に差障りはない。こういうように考えるのであります。  それから第二点の転業者の問題でありますが、二十四年の九月と去年の九月と比べますと、六百六十軒の漁網撚糸業者が三百九十軒くらいになつておりますので、若干これは減つております。これは何といいますか、この前受注制を布きまして、優秀な業者消費者の注文が集まつて行くというようなことで、篩い落されたかたもあるかと思いますが、現実にはそういうように減つておりますが、業界全般として現在生き残つておる漁網屋、或いは撚糸屋が転業したいというような話は、現在のところ全然聞いておりません。むしろ統制が外れたら一つつて見ようかというような、新規業者の話を我々のほうとしては聞いておるような状況であります。それで今後の割当にしましても取りあえず現在割当をやつておりますので、この第一次割当、もう実施しましたが、第二次割当につきましても取りあえず新規業者相手にしないで、既存の業者にだけ割当てて行くという行き方で、統制が外れたら新規業者として御希望のかたがあれば自由にやつて頂きたい、こういう態度で我々は臨んでおるわけであります。
  15. 渡部伍良

    政府委員渡部伍良君) 油の価格の問題でありますが、これは価格調整公団というプール機関が廃止になつたので、万止むを得ず結局プールができないものですから、供給県からの運賃実費を基準にしてきめておるのであります。それにつきまして地区と地区との差が余りにひどい、こういう問題がありましたので、需要者のほうはどこの地区でも都合のいい所で買えるようにすることによりまして、その間の調整をとつておるのでありますが、これはどうしてもプール機関がない限り止むを得んのではないかというふうな考えでおるわけであります。何かいい方法考えなければならんのではないかと思います。
  16. 青山正一

    青山正一君 九州の九%、一八%ですな、それに西部北部と両方に分けてあるわけなのですが、これは余りに、隣の村が九%でこちらの村が一八%という結果になりはせんかと思うのですが、これはもう少し差を少くするとか、又はほかの土地のほうに考えて行くとかいうような考えでなければ、これは二倍以上の値上りを示しておりますので、どうした結果なんでしようね、北部の九%、西部の一八%、運賃自身から見ましてもこういう結果が生まれて来るのでしようか、どうなんでしようかな。
  17. 渡部伍良

    政府委員渡部伍良君) 今の問題は結局北九州になると、山口とか福岡ですね、西になると西海岸になるのですから、これは相当の運賃の差が出て来るのではないかと思うのですが、もつと詳細になつて来ますと、物価庁のほうから算定した人を呼んで御説明を申上げなければいかんのじやないかと思うのですが、これは或る程度機械的にやらないと結局持つてつてくれない。こういう問題が起つて来る。結局消費者が取りに行くか、持つて行くか、こういう問題になるわけですから、そういう問題が起つて来るわけです。
  18. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) ほかに御質問はありませんか……。私からちよつとお尋ねしますが、化学の合成繊維漁網界における進出がだんだん具体化して行つておりますが、これに対して商工省はどういうお考えを持つておられますか。又先の見通し等について若し御説明ができましたらお願いいたします。
  19. 佐橋滋

    説明員佐橋滋君) 御承知のように、ビニロン、アミランというように合成繊維を盛んに各化繊会社、綿紡会社がやつておりますが、現在までの数量はまだ試験期のようなあれでありまして、大量の数字は出ておりませんが、もう各方面での試験の結果は、非常に漁網等生産資材に使われた場合に極めていいという成績が出ておりますので、今後殖える分は恐らく衣料に廻るよりも先に生産資材へ廻つて行くのではないか、こういうように考えております。この間も三越で東洋レーヨンですね、その他も協力しまして作つた網とか延繩などを出して、いろいろの何と申しますか、漁網に比べての耐久力、腐蝕度、漁獲の高だとか、そういうようなものの細かいデータを挙げて説明しておりましたが、現在のところ我々の聞いておりますところでは、まだ綿の同量のものについては三倍とか五倍近い金がかかるようであります。勿論これは不漁その他で流出するということがなければ、耐久力がありますし、それから乾かす心配が要らないとか、漁獲が多いとか、非常なプラスはありますが、漁網も流れたりすることがありますから、そういう点での御心配はあると思いますが、いずれにしても合成繊維生産が今すぐ上つて来れば恐らく綿漁網、綿延縄のせいぜい倍ぐらいのところにとどまるのじやないか。こう考えております。そうなりますれば相当大幅に使える。非常に目方も軽いですし、水も吸いませんし、扱いも大体において便利なようであります。延繩は何か非常に扱いにくいそうです。まだ固くてぴんぴんしておるそうです。
  20. 青山正一

    青山正一君 合成繊維の点について大体綿糸は一ポンド三百七十円、マニラは百五十円、アミランは大体七百円から一千円、ビニロンが六百円。このビニロンとか、塩化ビニールとか、このビニールというものに至つては二百五十円ということになりますと、綿糸より遥かに安いということになりますが、水産庁としても、こういつた綿業家といたしましても、やはりこの綿糸が現在の状態では非常に需給状態がいいというふうなことにもなつておりますが、今後もやはり相当国際情勢が変るというようなことになれば、こういつた国産品も又考えて行かなければならんというような立場に追いやられるわけですが、ビニロンとか塩化ビニールとか、それからアミラン、アミランはちよつと高いのですが、そういうような関係の特徴を十分に研究費を出して、そうして若しこれがはつきりと完成されたならば、例えばビニールとか、ビニールはこれは安いのですけれども、アミランと綿と比べて見ますと、大体二倍半近くなりますので、こういつたものの差額を国庫補助金というような形ですかね、例えば昔焼玉エンジンをジーゼル・エンジンに直すときに国庫補助をした。現在のあの司令部が存在しておる間はそういう点は非常にむつかしいけれども、やはりそういうふうな点も考えて見るお気持があるのかないのか、その点承わりたいと思います。
  21. 藤田巖

    政府委員藤田巖君) 化学繊維も私承わつておりますところじや、もう相当試験をした結果、非常に成績もいいということがわかつておるようであります、ただ全体の数量がまだ、確か一割程度でありましたか、全体の一割程度でありましたか、いたしておりますのと、先ほどお話の出ました価格がやはり高い。それはどういたしましても、使い馴れた綿漁網に、そのほうに執著するということがありがちだと思います。私どもといたしましては、併しながらやはりお話通りに、この国際的に国産品であるこの化学繊維による漁網については、現在も水産研究会その他で調査研究をし、私どももそれに対する助成をいたしておりますが、こういうものをもつと積極的に考えるとか、それから先ほどお話のございました普通の漁網と化学繊維漁網との間の価格差を何とか補給する方法というようなお話もございました。果してそういうようなやり方でうまく予算がとれるかどうか、非常に考究の要があると思いますが、ともかく何かの方法で、この化学繊維というものは、私どもとして大いに調査研究を進める。それから又これが立派に普及するようなことについて、我々といたしましても、予算的にもできる限りやつて参りたいというようなつもりでおります。
  22. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) ほかに御質問はありませんか。御質問がありませんければ、本日の委員会はこれを以て散会いたしたいと思います。    午後二時四十四分散会  出席者は左の通り。    委員長     木下 辰雄君    理事            青山 正一君            千田  正君    委員            秋山俊一郎君            入交 太藏君            松浦 清一君            櫻内 義雄君   政府委員    水産庁長官   藤田  巖君    経済安定本部産    業局次長    渡部 伍良君   事務局側    常任委員会専門    員       岡  尊信君    常任委員会専門    員       林  達磨君   説明員    通商産業省通商   繊維局綿業課長  佐橋  滋君    経済安定本部産    業局燃料課長  近藤  勝君