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1951-03-23 第10回国会 参議院 水産委員会 第19号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年三月二十三日(金曜日)    午後二時三十八分開会   ―――――――――――――   本日の会議に付した事件 ○委員長報告漁船法の一部を改正する法律案(秋  山俊一郎君外三名発議) ○水産物増産対策に関する調査の件  (漁業権証券課税に関する件)   ―――――――――――――
  2. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) 只今から委員会を開会いたします。  ちよつと御報告いたします。この前の委員会におきまして御決定になりました、船舶職員法に対して修正意見運輸委員会に申込みまして、運輸委員会において修正を決定してGHQのほうに出すことに決定しました。それをちよつとここで朗読いたします。  「附則第九項の次に附則第十項として次の一項を加える。  10 海上保安庁長官は、この法律施行の際、現に左に掲げる船舶において船長の職務を行つている者に対しては、その居住する市町村の長(特別区にあつては特別区の長)のその旨の証明があつた場合に限り、昭和二十九年八月三十一日までのその者の申請により、試験を行わないで、小型船舶操縦士の資格についての免許を与えることができる。   一、総トン数二十トン未満帆船   二、総トン数二十トン未満漁船   三、平水区域のみを航行する帆船   別表第一を別表第七と、別表第二を別表第六と、別表第三を別表第一と、別表第四を別表第二と、別表第五を別表第三と、別表第六を別表第四と、別表第七を別表第五とする。」こういう修正をすることにいたしました。   ―――――――――――――
  3. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) 次に日程に掲げて置きました漁船法の一部を改正する法律案を議題に供します。  提案者から提案理由の御説明を求めます。
  4. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 漁船法の一部を改正する法律案につきまして、発議者秋山俊一郎木下辰雄青山正一千田正、この五名の発議なつておりますが、私が便宜上説明を申上げます。  漁船法は、第七回国会において成立し、昭和二十五年五月十三日法律第百七十八号を以て公布、同年八月十二日施行になりましたが、その後の運用の実績に徴しまして所要改正を施そうとするものであります。先ず第一点は、漁船建造等工事完成後に認定を行うことにいたしたことであります。現行法によりますと、漁船建造及び改造の許可には漁業種類総トン数その他各種の許可要件条件となりますが、既往の経験によりますと必ずしもでき上つた漁船がこれらの条件に合致していない場合があります。併し、この許可要件が厳守されることは、合計総トン数最高限度性能基準を確保して漁業の調整及び取締の完全を期しますために是非とも必要なことでありますので、このたび、新たに規定を設けて、この種の違反の絶滅を期そうとするのであります。これによつて、現在各方面から要望されております漁業取締の強化も、軽少の経費を以て十分の効果を挙げられることが期待できるものと信じます。  第二点は、登録票検認制度を設けたことであります。漁船登録された後その登録事項変更を生じたときは変更登録をしなければなりませんが、その申請を怠り又は故意にしない者が多いために漁船原簿に現われたものと漁船実態とがとかく遊離しがちでありましたので、これを確実に合致させる必要から新たに都道府県知事に、三年ごとに登録漁船登録票について検認を行うことといたしたのであります。  第三点は、登録手数料都道府県収入とすることにいたしたことであります。従来、登録手数料は国の収入とし、実務を取扱う都道府県には、平衡交付金によつて還元していたのでありますが、地方財政の確保の見地から直接都道府県収入とすることに改め、且つ、検認制度の創設に伴いまして、その手数料をも徴収できるごとにいたしたのであります。  以上三点が改正点の主要なものでありますが、その他現行法において建造等許可基準の個所の中に含めて規定されております合計総トン数最高限度及び性能基準の設定について、新たに一条を設けて別個に規定することにいたし、建造等許可基準から造船所及び機関製作所技術的能力資金調達能力に関する規定を削除し民間の自由意思に任せることにいたしましたほか、法文について所要整理を施したのであります。  以上がこの法律案の大要でありますが、何とぞ慎重御審議上速かに御可決あらんことをお願い申上げる次第であります。
  5. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) 漁船法の一部を改正する法律案内容について法制局岡田部長から御説明を願います。
  6. 岡田武彦

    法制局参事岡田武彦君) 私から一部改正法律案内容概略を御説明申上げます。  先ずお手許に配つてございます法律案につきまして御説明申上げます。先ず新らしい第三条でございます。これは先ほど発案議員からの御説明にありましたように、現行法では現在第四条第一号及び第二号におきまして、この動力漁船合計総トン数最高限度又は性能基準というものは、この建造等許可基準なつておつたわけでございます。併しながらこれは非常に重要な基本的な事項でございますので、この新らしい第三条によりまして、農林大臣が必要としますときにはこの限度、若しくは基準を制定し得る旨を明記いたしまして、且つ又これを決定いたしますときにはこれを告示する任務をはつきりいたしたわけでございます。但しごの但書にございますように、合計総トン数最高限度は時々刻々の情勢に合いますように一年の効力を有する、即ち毎年設定しなければならんようにいたして、現状と食い違わないようにいたしてあるわけでございます。次に第三条の二、これは法文整理のほかに新たに第三条の二の第八項といたしまして、新らしい条文を附加えてございます。これは現在におきましては、建造等許可を受けました者が計画変更いたしますときには、更に変更許可を受けることになつているのでございます。ところが許可官庁は違つておりまして、農林大臣又は都道府県知事なつております場合に、計画変更によりましてその許可すべき官庁が違つて参りました場合、そのときにはその新らしく許可を受くべき官庁許可を受けなければならないという許可規定を設けたわけでございます。  次に第四条でございますが、先ほど新らしい第三条で申しましたように改正いたしましたので、それに伴う現行法第四条の一号、二号の条文整理をいたしております。次に第三号につきましては、実質的に変更をいたしておるのでございまして、第三号の末段のほうを御覧になりますと「又は起業認可を必要としない場合においてその漁業につき許可見込がないとき。」と、つまり現在都道府県知事許可におきましては、起業認可というものがございませんで、大部分はすぐ許可をいたすことが多いのでございまして、そういう場合にはこの許可基準におきましても、その都道府県許可見込があるか否かということを許可基準にいたしておるわけでございます。  それから第七条でございますが、現在は省令の定めるところによりまして、建造若しくは改修の完了報告をいたしておるのでございますが、今度は新らしく条文を変えまして、農林大臣又は都道府県知事許可を受けた者は省令又は都道府県規則の定めるところによりましてその完了報告するということにいたしたわけでございます。  次に第七条の二、これは先ほど説明にありましたように、新らしい制度でございまして、工事完成後におきまして、果して許可要件に該当するか否かということをこれによつて認定いたしまして、取締完璧を期するという規定でございます。  それから第十条でございます。これは登録基準でございますが、これも条文整理並びに新設なつておりますが、先ず第十条第一号でございます。これは許可要件に違反しておるか否か、建造の際の許可要件に違反しておるか否かということを、この登録基準に新らしく附加えておるのでございます。それから第二号は条文整理による修正でございます。第三号はこれは新設でございまして、その申請にかかる漁船が第七条の二の規定により認定を要する、工事完成の後に認定を要する動力漁船の場合におきましては認定を要する規定でございます。第四号も新設された条文でございまして、第十六条第三号の規定によつて登録取消を受けたものであるとき、これは後から申上げますが、登録票検認制度ができたのでありますが、検認を受けないときは登録取消ができます。この規定を新らしく追加いたしたのであります。第五号は現行通りであります。  次の第十一条の二、これは先ほど説明ありました新らしい制度でございまして、これはやはり取締完璧を期するために登録票と船と両方を照らし合せまして検認を受けなければならないという制度を設けたのでございます。これは検認の目から更に三年経ちましたら又検認を受けるという制度に相成つているのであります。  次に第十六条も条文整理程度でございまして、新らしくほかの条文との関係上第二号、「第十一条の二の規定に違反して検認を受けないとき。」という条項を新らしく附加えているわけでございます。  次に第十九条でございます。これは先ほども御説明ございましたように、現在は国の収入にいたしているわけでございますが、今度は地方財政の確立の見地から都道府県に納める。なお又新らしい制度でありますところの第十一条の二の検認申請をする者に対します手数料を新らしく附加えている次第でございます。  それから第二十条でございますが、これは船舶法適用との関係でございますが、現在は積量測度に閲する部分を除きまして、船舶法適用を除外している、即ち積量測度船舶法適用を受けているわけでございますが、更に船名の標示に関する規定もやはり適用を受けさせたほうがいいのじやないかというので、そういう条項を附加えたわけでございます。  あと極く簡單でございますが、二十条の二に漁船原簿の副本の提出等に関する規定規定しているのでございます。  以上簡單でございますが、法文概略につきまして御説明申上げました。
  7. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) 提案者以外の委員の御質問をお願いいたします。………御質問がありませんければこの次の委員会まで十分一つ研究になりまして、この次の委員会で御質疑、御意見を承わることにいたします。  漁船法の一部改正法律案は本日はこれを以て打切ります。   ―――――――――――――
  8. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) 次に漁業権証券のその後の交渉経過について水産庁から御発表願います。
  9. 久宗高

    説明員久宗高君) 漁業権証券課税問題につきましての交渉経過につきましては、たしか前回の委員会におきまして資料をお配りして御説明をしたわけでございますが、その後の経過について更に御報告申上げます。  本問題が、この前の委員会お話いたしましたように、課税問題から出発したわけでございますが、この解決の方法免許料関係、又漁業権証券内容関連いたしますので、交渉主計局理財局に及んでいるわけでございます。そこで只今までの経過では、主税局のほうといたしましては一応まだ結論的なお話は出ておりませんが、大体税関係検討は終られまして、あと免許料がどういうふうな形で取られるか、又漁業権証券がどういう内容証券として交付されるかという問題について、水産庁の決定的な意見が聞ければ、それと関連して結論が出せるというところまで行つております。又一方理財局のほうは漁業権証券内容につきましては、従来やかましい問題でありました漁業者のかみ合せの問題につきまして、一応それが切離し得るならば漁業権証券内容漁民にも非常に有利になり、又国債政策上も成るべくノーマルな形の証券がいいということで、一応のお話では十年で五分五厘利附証券で行こうというところのお話なつているわけでございます。このことも結局主計局のほうではじきます国債経理の金がどのくらい送り込んで来られるかによつてきまるということになりまして、現在のところ問題は主計局に集中した形になつております。結局免許料見通しと、証券財源の問題をどう割切るかによりまして、主計局のほうの関係、又理財局のほうの関係も大体きまつて来るような形になつております。そこで現在主計局とこの問題について議論を進めておるわけでございますが、お配りしました資料にも書いてございますように、免許料を取ります場合に、この中に免許料の本来の性格とは若干変つて参りましたこの枠づきの問題がございまするので、その枠をどういうふうに考えて行くか、その中に利子部分が入つているわけでございますが、この点が最終的に漁民の負担で賄わるべきかどうかという根本的な議論がございますのと、もう一つ証券年賦償還ではなくて、例えば十年の五分五厘の利子附証券といつたような形になりました場合に、一方免許料のほうは年々漁業収益の中から払われて参りますので、仮に計算利子を含ませませんでも国の内部において積んで置いて、それで利子を積むようなことができるのではないかと、こういうような点についての技術的に検討を進めておるわけでございます。で只今までのところでは、まだ水産庁といたしましては年々の免許料の入つて参りました場合に、これが国の会計内部において少くとも五分五厘くらいの運用会計法上もできるのではないかという点を衝いておるわけでございますが、主計局のほうとしては、一般会計特別会計との関連から見て、そういうような運用はできないと思うと、そこでその点更にもう少し検討したいというところまで行つておるわけでございます。この結論につきましては、まだ本日におきましてはどうだというところまで行つておらないわけでございます。
  10. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) 本問題に関する御質問ございませんか……。私から質問しますが、見通しはどうですか。いつ頃きまる予定ですか。
  11. 久宗高

    説明員久宗高君) 実は本日も午前中主計局に参りましてその免許料一般会計に入つて来た場合、それを国債整理基金のほうに廻して行く場合に、どういうような計算になるかということについて相当詳細に両者で検討してみたんでございますが、まだそこにはつきりと水産庁意見主計局意見との合致が得られてないわけでございます。これは根本的に利子部分を負わせるべきかどうかという問題が一つありますのと、又特別会計一般会計経理関係で、その間に私どもとしてはまあ積んで置いたらいいんではないかというような意見を出しておるわけでございますが、例えば技術的にはそうはならないというような意見がございまして、まだきつちり明確に割切れてないわけでございます。併しこの問題につきましては、本日も更に後刻大蔵省に伺つて更に検討してみたいと考えますし、少くとも今週中にこの見通しについてははつきりきめなければいけないと考えております。
  12. 青山正一

    青山正一君 今御説明のですね、このここに書いてあります一とか或いは二の……、一の漁業会の所有する漁業権の場合とか、或いは二の個人有漁業権等の場合、この二つの問題に絡んで、大体額とすればどのくらいですか、その点一つ説明願いたいと思います。
  13. 久宗高

    説明員久宗高君) 税金額そのものにつきましては、これは先ほどお話しましたように、主税局のほうの決定的な意見ではないわけでございますが、若し仮に考え方といたしまして再評価をあれでやつたような考え方で行きますと、九億一千八百万円になるわけでございます。で水産庁のほうで今の漁業権内容によりましてやり方を変えた案によりますと五億九千六百万円、その程度になるわけでございます。
  14. 青山正一

    青山正一君 この免許許可料にですね、証券の利息を含めてあるわけですね。
  15. 久宗高

    説明員久宗高君) 今までのお話では、法文もそうなつておるわけでございまするが、補償金がきまりますと、それを一応元利均等償還方式でやるように考えておりましたので、免許料のほうも補償金の額を成る年数で、文成る利率で元利均等に償還した場合の年額を勘定して行くという形になつているわけでございます。そこで若し証券のほうを元利均等償還方式をとらないということになり、更に年々の財源を必ずしも見合わさなくてもいいということになれば、免許料のほうの内容も変つて来るわけでございます。
  16. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) よろしうございますか。では委員外議員発言を許すことに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  17. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) 異議なしと認めます。小林君。
  18. 小林政夫

    委員外議員小林政夫君) 先般の大蔵委員会木下委員長も御出席になつて、大蔵大臣に対しても課税をせんようにという要望をされたわけでありますが、その後引続いて私から主税局長にどういうふうになつておるのかということで、次いでこちらの意見は勿論課税しないで欲しいということははつきり表明した上で、大蔵当局事務当局意見を聞いたが、そのときに私はこの前のこの水産委員会において久宗氏或いは山本次長においても、大蔵当局課税をしないという建前で考えてくれておるので、もう少し政治的に取り上げるのは待つてもらいたいということだつたので、大蔵委員会でも全然発言をせずに来たわけであります。ところがたまたま所得税法の一部を改正する法律案であるとか、或いは再評価法案等審議がいよいよもう押し迫つて参りましたので、一応どうなつたのかというこれを委員長に聞いたところが、まだ何にも様子がないのだというようなことで、ちよつとこれが……主税局長の今日までのまあ研究中であると、まだ結論に達しておらないということでありましたが、その言われたことは大体まあここに書いてあるような、財産税を納めたときと、それからその補償額との差額について、十分の九に対しては六%の再評価税をかけなきやならんのじやないか、それからそれは個人の場合、会社の場合はいずれにしても会社においてその漁業権というものを如何に評価しておるか、評価額以上出た補償額というものは利益に間違いない。で課税対象になる利益が挙がつておれば、その会社が、併しまあそれについても一遍に補償額を支払うわけでないので、支払つた額だけそれが収入になるというようなことで考えてみたいというような話もあつたわけであります。完全に課税をしないということは研究中ではあるが、むずかしいという話だつた。でそういうことでこの水産庁当局は成る程度、五億六億近いもの、或いは九億というような税金がこの漁業水産業界方面へかかつていいというお考えなんですか。
  19. 久宗高

    説明員久宗高君) 漁業権補償金課税になるという形での議論が進められておるわけでございますが、この説明にもお書きしましたように、問題を分けて考えますと、それは補償すべき本来の損失そのもの見合つたものが経理上載つていないということから来る問題でございまして、むしろ補償以前の問題なんであります。そこで今の再評価といつたような問題も出て参りますので、この点についてはやはり補償いたします以上、そこに取るバランスをとらなきやいけないというふうに考えます。
  20. 小林政夫

    委員外議員小林政夫君) ちよつと今の補償をする以上バランスをとるということですが、ということは各個人個人とか、まあ業態々々によつて或いは評価しておるものもあるし、評価しておらないものもある。前の財産税関係で取る程度税金を払つたものもあろうし、ないものもある。そこのバランスをとるという意味ですか。
  21. 久宗高

    説明員久宗高君) 先ずあの漁業権補償金額法律的に一応法定されているという問題と、もう一つはこの補償をいたします場合に、例えば法人税法で申しますとあらゆる財産が正当に評価されたものとしてそれを前提としての経理なつております。そこは仮に補償金が行きました場合は、自動的にその損失を受けたものとその補償というものは見合つたような形で経理上出て来るというような形になつておるのでございますが、ただ漁業権につきましてはもともと帳簿に載つていないというものが非常に多いわけでございます。又載つておりましても評価というよりはたまたまそのときに払つた手数料といつたようなものは、仮に十円というような形で載つておる。こういう問題を法律上どう取扱うかという問題が一つあるわけでございます。それからもう一つの問題として、国の全般的な問題といたしまして再評価という問題をやつておるわけでございますが、その際漁業権についてはそれをどう取扱うかという問題について具体的に再評価をしてないものが大部分である。それで漁業制度の改革がなくても再評価の問題ということは切離して考えるべきであつたと思いますので、たまたまそれが今川町に来ておりますから、再評価の問題とは切離しましたが、一番その再評価実態に即してその問題を処理した場合に補償金と、それからそれによつて失つたものというものとの見合わして行くということが最も妥当な考え方ではないかと、現行法そのまま適用した場合には相当な金額になるわけですが、そういうこと自体が非常におかしいということと、それから目の施策としては補償ということも国の措置であり、それから再評価の問題の場合法律をきめたのも国の措置でございますから、これを両者合体して行くことが最も実態に即した方法ではないかと、こう考えられるわけでございます。そしてその場合に結果においては補償金から税が取られたような形になりましても、内容といたしましては実質的に再評価をして、その場合当然払わなければならない税を払つて、そして失つたものと得たものとがパーになつておるという関係を作ることが他の面の処理のためにも最も合理的であるというふうな考えで、そういうふうな意味のことを申上げたのであります。
  22. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) ちよつと私から御質問いたしますが、仮に法律漁業権証券に対しては課税せずという条項があつたとしても、再評価に対する意味ですか。
  23. 久宗高

    説明員久宗高君) 補償金に対して課税せずという場合に、これは実は再評価税の問題と、法人税の問題に分れるわけでございます。で法人税の問題として考えました場合には課税せずということは一体経理上どういうことになりますかと考えますと、恐らく例えばそれは益金に算入しないとか、そういう表現になると思うのであります。そこで只今申しましたように、この漁業権補償金自体に税がかかつて来るという問題ではなくして、飽くまでその失つたものと得たものとの間が同じになつていない、現在の経理上同じになつていないという問題でありますから、それを合せませんとその問題は恐らく解決できないだろうと思います。
  24. 小林政夫

    委員外議員小林政夫君) まあ久宗さんの考え方はわかりますが、こういう再評価税をかける、或いは法人税の或る程度対象にするというような……或ろ程度税金をかけなければ水産業界の間における公平を失する点がありますか、あなたのお考えでは……。
  25. 久宗高

    説明員久宗高君) この補償を受けるかたたちの内部関係で不公平が起るとは考えません。ただ国施策としてはやはり不公平な問題は起ると思います。ただその場合に……。
  26. 小林政夫

    委員外議員小林政夫君) 国の施策というのは水産業者の、まあ甲、乙、丙の水産業者にとつて不公平だというのですか、国民全体に考えてですか。
  27. 久宗高

    説明員久宗高君) 全体に考えております。
  28. 小林政夫

    委員外議員小林政夫君) 水産業界の間において厚く、国民全体に薄いということにならないのならば、今の水産業界はさなきだに政府の財政資金を注ぎ込まなければやつて行けない状態であるわけです。いわんやこういう問題について税金を取るということは如何なる名儀があろうとも賛成しかねるわけです。むしろ税金を取らないで一般税金から水産業界に金を引張つて来なければ立直らないという状態にある緊迫した水産業である。いろいろ事務的には勿論そういつた、いろいろあるでしよう。併しこれは法的措置によつて資産評価税においても特例を設けることもできますし、或いは法人税法の中に特例を設けることもできるわけであります。そこで私は今いろいろ大蔵委員会でも所得税法法人税法改正は通つてしまいましたが、資産評価税も今日通りました。そういう関連の問題を審議しておる間であるから、早くそのそういう結果を我々に知らせてもらえるならば、改めて改正案を出すということは骨が折れる、ついでに出すことは何でもない、非常にやり易い、だから一日も早く事務的な折衝をしておるということであつたが、その折衝の模様によつてうまく行かないならば様子を見てやれということを申上げておつたが、今日に至つてそういうことを聞くのは意外千万であつて、全水産業界の現在の危機を考えればこれは国家全体的に考えまして多少公平を失する措置があつても、全水産業界はむしろ財政資金を大幅に注ぎ込まなければならん状態にあるので、特に特例を設けてそういう意味における、如何なる場合における税金もこの漁業権証券に対する課税を免除するという措置を請じなければならんものと思います。
  29. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) 何か意見がありますか。
  30. 久宗高

    説明員久宗高君) 只今の御意見でございますが、勿論水産業界に、いわゆろ国の財政投資が非常に少いという問題につきましてはおつしやる通りだと思うのでありますが、又この補償金の問題につきまして税金問題が起りましてからたびたび申上げておりますように、これを税金問題としてだけでは解決ができませんし、又いずれにいたしましても非常な特例的な措置をとらなければ現在の税法としての、この制度改革との実態との結び付きができないわけですが、従つてこれと免許料たり証券内容なりに関連いたしまして、現在大蔵省のほうとお話を進めておるわけでございます。又その場合に、この税の処置につきましてこれを法人税改正で行くのか、或いは法人税、所謂税の改正で行くのか、或いは再評価税改正で参りますのか、或いは別途の措置で行くのか、この点もこれは組合せてみないとわからないわけでございます。そこで水産庁の立場といたしましては、お話のありましたような財政的な負担を漁民にかけたくない、又これを軽減すべきであるという考え方の下にこの問題は処理しておりますが、これとは又別にそういう問題はそれぞれ金融なり財政なりの問題として追究して行くべきだと考えて進めております。
  31. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 私も只今小林議員からの御意見に賛成でありますが、私も再評価法律内容をよく存じませんけれども、今回補償された漁業権に対して補償された額が果してその漁業権の本当の価値であつたかどうか、恐らくこの評価については、評価と申しますか、補償額については各県から非常に不満を申出て、きめられた額は半分にも満たないといつたような意見が多数出ております。これは最初この調査をしますときの理由その他が不分明であつたために県或いは業者の資料提供の上において遺憾な点があつたかも知れませんが、実体から申しまして、この補償額というものが本当にその漁業権の実体に即しておつたかどうかということについては多分の疑念がある。疑念というよりもむしろ過少に過ぎておつたという感じを深くするものであります。  そこでこの漁業権が他に移つて行くと、まあ売買の場合も考えられましようが、今回のごとく喪失する、その代償として補償金を得られるということが起つたために再評価課税という問題が起つております。或いはそういうことが一切なしに、漁業権の移譲というようなことがない場合にでもこの再評価に対する問題が起つて来るかどうか、勿論現在補償を受けた限りにおいてはその漁業権はいわゆる所有主から一旦手を離れてしまつて、そうして今日では今後の所有者には漁業権はないのであります。今後与えられる場合は別としまして持ち続けておるものでない。従つて例えば土地、家屋のごとく売払つた場合はそれに再評価をして、そうして課税するという建前にこの漁業権も相当するものであるかどうか、この点をお伺いしたいのですが……。
  32. 久宗高

    説明員久宗高君) 補償をするから再評価の問題が起つたのではないのであります。再評価そのものは、これは基準がきまつておりますし、それをするしないは自由でございます。ただ若し再評価をしておらない場合の状態考えますと、仮にこの漁業権制度改革がない場合を考えまして、私が仮に十万円の漁業権、これは財産税当時仮に十万円と評価されたものを持つておるといたしまして、それを売ります場合に仮に二百万円に売れたといたします。そういうような場合に若し再評価をしておりませんと、これは二百万円と十万円の差額は当然譲渡所得として課税されるわけであります。そういうことがインフレの結果仮に二百万円になるような値段になつたわけでございますから、そういうことの不合理を抑えるために漁業権については財産税評価のときの十倍までの再評価が許されております。ですから私が仮にその通りいたしましたとして百万円に再評価して置く、そういたしますと、その百万円に評価いたします場合に九十万円に対する百分の六の税を払つただけで漁業権を百万円にすることができるわけであります。それがその後現在売ります場合に二百万円に売れたという場合に、その百万円と二百万円の差額はこれはやはり譲渡所得として税金が取られるわけであります。これを今の補償の場合に引当つて見ますと、仮に財産税のとき十万円であつた、ところがそれをずつと再評価しておらないところに漁業権補償が国の計算によつて仮に百万円になつて来たと、そうするとこのままで行きますとそこに九十万円というものは譲渡所得として課税されるわけであります。それを再評価を逆算的に行いますと、百万円までは再評価ができるわけでありますから漁業権は百万円に評価して置きまして、その再評価税だけは払つて置く、それと国から来た補償金がイコールでありますからその間何ら譲渡所得が生じない。従つて漁業権そのものには税はかからない。失つたものと得たものはパーであるという関係になるのでありまして、そういうような関係に置くのが最も妥当と考えられますので、これを如何に法的な、且つ実際的な措置によつてやるかは別として、実際にそうなるようにして頂けば一番制度改革も実体と税制との調整もつくんじやないかという考え方であります。
  33. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 結局若し制度改革というものが起らなければ恐らく漁業権の再評価なんということは考えないで行つたんじやないかと思います。その必要も殆んど感じないんじやないかと思うのですが、まあ売買するときにそういう問題が起りましようが協同組合等が持つておる場合にその漁業権を売るということは恐らくないはずです。又現在の制度ではそれを売るということについては余りその役所のほうでも賛成せられないのであつて、そういう漁業権であるとするならば再評価という問題は起つて来なかつたろう。従つてこの国がこれを制度改革の上に取上げるという問題が起つたならばこそこの再評価というものもくつついて来た。而もその補償額先ほど私の申上げましたように、本当の実体のこれを失うときになつ考えて見れば、こんなものではとてもやり切れない。一漁場については一年に数千万円の利益を挙げておる。その僅かの金で取られてしまつては永久にその利益は失われる。それにすればこの漁業権の代償というものは余りにも安いということから考えますというと、これに対して課税するということは、余りにも酷じやないかと私は思う。従つてこれを取扱つた水産庁といたしましては、できるだけこれに課税しないことにして御努力を頂くべきじやないかと思う。如何なる名義にかかわらず元は漁業権補償に起因しておるものであると、かように私は考えますので、大蔵省としては何か名目をつけて取ろうとしておるか、或いは名目をつけて取るまいとしておるか、その点をよく考えて取るまいとしておるならば、取られないような理屈をくつつけろべきじやないか、取ろうとしておるから、何とか少し取らせるようにという考え方よりも、こればかりのものを五億や六億のものを漁村から取上げなくても、もともとその協同組合ならば或いは又漁業権を受けるものもあるかも知れないが、そうでないものであるとすると、これはなくなつてしまうということを考えますというと、この課税というものは私は誠に不当なものであると考えます。従つて大蔵省において所得税その他の税法が只今伺いますと、もうすでに通過してしまつたということであれば、これにこの問題だけをあとから差入れるということができないことかも知れませんが、併し今後において何らかの措置を講じまして、この漁業権証券に伴うところの課税は、たとえ再評価であつても、しないで済むような御対策を願いたい、御努力願いたい。
  34. 小林政夫

    委員外議員小林政夫君) 大体この前長官が見えておらなかつたのですが、次長山本さんが見えていたときの水産委員会における話というか、水産庁当月とのいわば約束と大分違うのですね。とにかくあのときはもう全部課税をしてもらわない、課税をしてはいけない。これが、或る程度課税は止むを得ないので、その額をできるだけ少くするということではないので、絶対に課税をしてはいけないのだと、課税をさしてはいけないのだという建前で進んでもらいたい。ところが久宗氏は、大蔵当月も大体その課税をせんという意向で、こちらの立場になつ考えてくれているのだから、まあもうちよつと任してくれ、こういうことだつたのでお任せして、万が一その事務折衝がうまく行かんようであつたら、早く連絡をする、こういうことであつたのであります。だから原局である水産庁のかたが、何ぼかにしても、税がかかるということは止むを得ないというような、肚になつてもらつては困るのであつて、絶対に課税をしないということでいろいろ事務的に煎じ詰めて見たが、どうしてもこの点だけは、こういう問題は残る、こういう問題を早く我々に知らしてもらつて、それを特別立法として解決して行くということをとらなければならんと思うのであります。再評価なんということがありますが、再評価は任意な問題であつて、しても、しなくてもいい問題でありますが、再評価をやつて経営が成り立つような漁業ならば何も苦労しない。漁業権の再評価なんかしたらとても、恐らく今の漁業は成り立たないわけであります。こういうことは先ほど秋山委員が言われたように、漁業権証券に対する課税の問題を考えなければならん、そういう意味においていいろいろ事務的に、或いは法的に研究された上で、どうしてもこの問題だけは、こういう特例を設けなければ解決しないのだというぎりぎりのところを研究してもらつて、残る問題は早く知らしてもらつて、特別立法ででも解決する、こういうふうに取り運んで頂きたいと思うのであります。
  35. 青山正一

    青山正一君 つまりこの久宗さんのおつしやつたことは、例えば十万円で買つた漁業権が、再評価されて、百二十万円になつた、そういう場合において、十万円の十倍の価格の、百万円のものは六%でやるのだ、で百万円を超える、つまりあとの二十万円に対しては税法通り三十六万円かけるのだ、こういうわけなんですね。
  36. 久宗高

    説明員久宗高君) そういうことではなくて、実体から見て、補償金一つぱいに再評価がされておつたものと見て処理したら一番よいのではないかということでございます。それと前の御質問とも関連いたしますが、前と約束が違うじやないかというお話もあり、又税金がかかるのであつたら、それについてすぐ連絡するようにという問題ではございますが、これは途中で、私のほうから経過報告をいたしました場合に、お聞きになつておらないかたもあるかと思いますが、考え方といたしましては、この補償に関する税だけの問題で解決すべきかどうかという問題もございます。トータルとして不当な課税が行われず、漁業にとつて最も合理的であり、又国民経済上から見ても不公平でないというような措置をきめて行くのがいいのではないかと考えまして、これを免許料なり証券内容なりと関連して話をお進めしているわけであります。それについての問題がやや、見積つておりますので、後刻これは非常に細かい問題でありますので、懇談会の形をとつて頂けますれば詳細に申上げたいと思います。
  37. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) この漁業権証券という問題は、漁業権の民主化、漁業の改革というような意味において、止むを得んと思いますけれども、いわば法律によつて政府は強制的にこれを買収した、それに対して補償金を払う、その補償金免許料を取上げるというような問題でありますが、これに対して如何なる意味においても課税をするということは、これは不当であるし、最初から我々も課税しないものとして承知しておつたのです。それで我々としては、飽くまでも、如何なる方法を以ても課税しないということを強く主張したいと思います。先に秋山君及び小林君の御意見もありましたが、委員会としての、これに対する態度を決定いたしたいと思いますが、如何でしようか。    〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
  38. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) それでは今その態度に関する試案を作らせまして、あとで御報告いたしますから、暫らくの間懇談会に入ります。    午後三時三十六分懇談会に移る    ―――――・―――――    午後四時二十六分懇談会を終る
  39. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) 懇談会はこの程度にいたしまして散会いたします。    午後四時二十七分散会  出席者は左の通り。    委員長     木下 辰雄君    理事      青山 正一君    委員            秋山俊一郎君            入交 太藏君            松浦 清一君   委員外議員            小林 政夫君   政府委員    水産庁長官   家坂 孝平君   事務局側    常任委員会専門    員       岡  尊信君    常任委員会専門    員       林  達磨君   法制局側    参     事    (第三部長)  岡田 武彦君   説明員    水産庁連絡官室    室長      久宗  高君