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1951-03-20 第10回国会 参議院 水産委員会 第18号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年三月二十日(火曜日)    午前十時二十七分開会   —————————————   本日の会議に付した事件 ○船舶職員法案に関する件 ○運輸委員会に対する申入れに関する  件   —————————————
  2. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) 只今から委員会を開会いたします。  船舶職員法案を議題に供します。この法案に対して質疑がありましたら願います。
  3. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 今回提出されておりますこの船舶職員法のうち従来なかつたところの二十トン未満五トン以下の漁船船員に対しても試験を行なつて船舶職員資格を与えるというふうなことになつておるようでありますが、実は私もこの法案を昨日初めて拝見いたしまして、あらかたの説明を伺つたんでございますが、御承知のように、五トン以上二十トン未満漁船漁業をやつておる連中は、船の運航が商売じやなくて、漁をするのが商売である、従つて勿論漁をするためには船を動かさなければ漁はできないから、船を動かす技術も勿論具えてはおりますが、何ら勉強して、草間的に勉強してやつたような連中ではなく、実地経験から魚を取るための必要性から船を運航するというような技術を習得しておるという程度のものでありまして、これが試験を施すということになりますと、これらの船頭なんかに対して大変なシヨツクを与えると思うのです。殊に学術試験をするといつたようなことがありますが、こういうことは、勿論程度の問題でもありましようけれども、従来やつておりますのは、長い間講習会なんかを開きまして、そうしてそのあと試験をするといつたようなことをやつておりますけれども、これらの連中は、人に雇われて乗つておるのじやなくて、自分漁業を経営して、みずから乗つて商売をしておる関係上、一カ月も講習を受けるというような余裕はとてもありませんし、恐らく二週間といつても、出て来て講習を受けるような余地はなかなかないものと思うのです。この試験程度につきまして、どの程度試験を行うお考えでありますか。先ずその試験の、これらの小型操縦士資格を得るための試験程度についてお伺いしたいので知ります。
  4. 松平直一

    政府委員松平直一君) 只今の御質問でございますが、今回新設しまし小型船舶操縦士免状試験については、必要な最小限度にとどめるというつもりでおります。只今お話がございました通り、今回初めて小型船免許制を設けまして、試験をいたしますし、又その実態只今おつしやいました通り、非常に程度が低いということを私のほうも十分承知しておりますので、例えば海上の交通の規則の中の非常に基礎的なもの、即ち海上衝突予防法の極く基礎的なもの、或いは海難防止のための天候、気象関係、そういうものの最小限度知識試験するというふうに考えております。
  5. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 勿論程度については抽象的ではわかりにくいのでありますが、又これを具体的に現わすことも困難と思いますけれども、従来長い間漁をやつて来た者でありますから、その技術の点については或る程度技術を持つておる。実地に行えば恐らくパスするだろうが、これを口頭にしましても或いは筆記にしましても、試験ということになると、漁師たちは恐らく尻込みをして、出て来ない者がたくさんあるのじやないか。併し出て来なければ資格が得られない、船に来れない、商売ができないということのために、違反が相当出て来るのじやないか。まあ試験を受けずに乗つているといつても、試験を受けて、資格を持つた者を雇うて乗せるという余力はこれらの者にはありません。みずからやつて行つて、辛うじて商売をするような状態でありますから、そういう何はない。そうしますと、従来におきましても二十トン未満の船には資格者を乗せなくてもいいということになつておりますために、二十トン未満の船が非常に多いのです。これはよく海上保安庁でも御承知と思いますが、三十トンくらいある船が十九、八というようなことで、今までたくさんあつた。ところが先般来、漁船法が制定されまして、登録制をとるというような関係から、そのトン数等についてのごまかしは殆んどできなくなつておる。そうしますというと、試験を受けるか、然らずんば商売をやめるか、こういう二つの岐路に追い込まれておるのでありまして、私どもも将来、この漁船船員というのでなくて、船に乗るところの漁師が、船を運航する技術を正規に習得して、そうして資質を向上するということについては大賛成であります。併しながら、これを急速に行うことのために、これらの小漁民に非常な苦痛、というよりもむしろ致命的な打撃を与えるということを、私は非常に恐れるわけであります。そこででき得ることならば、これらの商売をやつておる、漁業をやつておる者の多くは、極く片田舎の漁村の者でありますので、その市町村長は、大体その状況がわかつておる、某は本来祖先伝来の事業を継いでおる、或いはいつ頃から商売を始めておるとかいつたようなことは大体わかつておる。従つてそういつたような者に対して市町村長が、その業態の証明でもするならば、大体免状を下附してやるといつたようなことであるならば、私は差支えないのじやないかと思いますが、若しこの法規にありますように試験をするということになりますと、それ自体でもう非常に怯えてしまう、人の前に出てものを言うこともできないような実態でありまして、事実漁業者を御存じのかたはわかりますが、さもないとわからない。実は低級と言つちや何ですが、実はそういう面では低いレベルの連中であります。それでここに乗船履歴というようなこともありますが、乗船履歴を誰が証明するか、普通の船員であれば船長或いは船主乗船証明をすることができますけれども、みずから船に乗つてみずから運航して商売をしておるという者を誰が証明するか、むずかしい、これは結局市町村長証明する以外に証明のしようがないという場合が多いと思います。そういつた者に対しましての試験は、この過渡期におきましては、永久にそういうことを私は主張するわけじやないが、この法律ができて三年の猶予期間があると言いましても、その間に試験がある。そうすると二年後に試験を受けなければならない者もできて来ますし、期日が来てから試験に合格することができないということができても非常に困るのであります。その試験程度を以上のような程度に斟酌はできないものかどうかお伺いいたします。
  6. 松平直一

    政府委員松平直一君) 只今質問のうちの最初の、急激に行うことの非常な影響を与える点について先ずお答えいたしますが、御承知通り私のほうには経過措置がとつてございまして、三年間の猶予期間があるわけでございます。ただその三年間に……、三年後に一度に試験を行いまして、それで合格しなければ免状を出さんというようなことよりも、むしろ三年間の間に何遍お受け下すつても構わない、例えば最初に受けていけなければ、もう一遍受けるというふうにして、三年間に何遍でも受けて、その間不足な知識を補給するなり何なり、或いは試験に慣れるなり何なりというような措置考えております。それから試験内容先ほど申上げましたように、最小限度のものなのでございますが、大型船試験をいたしますように、非常にむずかしい筆記試験などを考えておりません。むしろ試験を通じて知識啓蒙指導に当るようなふうに考えておる次第であります。それから履歴証明の点もございましたが、御承知通り今回の小型船舶操縦士連中証明いたしますものは、船員法の適用もございませんから、船員手帖を持つておりません、これは船主ならば自分自身又は漁業会等証明、或いは乗組員ならば船主証明というようなもので十分その履歴証明したいと思つております。
  7. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 皆さんお考えになれば、誠に簡単にお考えになりますが、一体漁業者にお会いになればすぐわかる。とても人の前に出て来てそういう説明はできない連中が多いのだから、とてもみずから行つてそういうおえらがたの前で自分考えを話すということはできないと、頭から自分考えてかかる連中が多いのです。これは私は誠に恥かしい話で、我々の同僚、業界の中にそういう連中が今以ておるかということは、私も言いたくないのでありますけれども、ただこの経済状態の面白くない際に、何遍でも受ければよいじやないかと言つたつて、とてもそんなものではありません。これが普通の船員であるならば、閑漁期に下りて来て、或いは船主指導の下に試験を受けよう、或いは少し勉強をしようということもありますけれども、その日その日を暮しておる連中が、何遍も試験を受けに行くということは考えられないのです、だから丁度先だつてもあん摩、はり、きゆう師の試験等も出て来て、片端から試験々々とおつしやつておられますが、これは私はこの法律を制定するにつきまして公聴会でも開きまして、一般大衆漁民の声もとり入れて頂きたいと思いましたが、それもできないということで、そうすれば我々の責任も非常に思いのでありまして、この際特にこれを考えて頂いて、中央におられるかたはそういうお気持でおられましても、実際に試験に当る人の気持は必ずしもそうではないかも知れない。私は曾つて二十トン以上の船に乗込むところの丙種運転士、或いは機関士等試験をするために講習を開きまして、関係官等のおいでを願つて、そうしていろいろな団体が講習を受けて、二週間なり、或いは長いのは一カ月というような講習をいたしまして、そうして試験を受けさしたのでありますが、それでも合格しないものもたくさんある。そういういろいろな経験を持つておりますが、そういう連中は皆若い者であります。大体二十代から三十代くらいの者で、四十過ぎた者は全然来ない、そういう連中ならばいいのでありますが、現在の漁師は五十、六十になる者が乗つてつておるのに、それを引出して試験をするというようなことは、私考えると誠に可哀そうであり、これが試験が受けられなかつたら商売はできないのだということになると、一家の破滅というようなことも考えなければならないので、この試験制度につきましては、経過規定は三年でありましても、そう普通の船員のようなふうには考えられないと思う。従つてこの規定は私は暫く削除してもらうか、或いは今私のお願いしておりますような、市町村長乃至は漁業会長等証明によつて一応資格を与えてもらうということでなければ、大きなシヨツクを与える。のみならずこれは騒動になりはせんかと私は考えるわけであります。これは恐らくまだ全国の漁民には滲透しておりません。一部の人はそういうことを聞きつけて大分猛烈に運動をしつつある。こういうことをやられては困るということを言つて来ておる向きもあるのでありますが、全般的に恐らく知られていないと思う。それで全般的にこれがわかつて来ますと、それは困るという声が強くなると思いますので、何とかそういうふうな程度試験と申しますか、認定をしてもらえないのか、こういうふうに私は考えておるのですが、どうでもやはり口述試験等をやらなければならんものか、それがためには例えば海上衝突予防法のごときものも教え込まなければいけないというものもたんさんあると思うのです。そうしなければ困るというものもたくさんあると思います。併しそれによる損害というものはそうたくさん出ておりません。むしろ大きな船からやられる場合多い、それは小さな船からではなく、大きな船がやるということが多い、それは多くは港内の問題です。従つて一律にこういう規定が出るということは、非常に私ども憂慮しておるのでありますが、私はむしろ漁船法もできたので、船員法と別に考えたらどうかということを先般来考えておる者の一人でありますが、この急激な試験制度による小さい漁民の困窮ということを考ますと、このまま私はそれを通すわけに行かんと考えます。もう一応そういつたような内容について、これはどういうふうに通りましても、試験というものは、尤も試験を行うということを書いてある以上は行わなければならんでしようが、何かその辺を修正して行くということについての非常な不都合なことがあるかどうかお伺いしたいと思います。
  8. 松平直一

    政府委員松平直一君) 只今の御質問のうちの、結局は試験のやり方、或いは内容について、実情を考えてもつと緩和せよという御趣旨と存じましたが、実は先ほどいろいろ御説明申上げましたが、非常に抽象的のように受取られますが、これが私のほうでは御承知通り、現在でも漁船船員試験は実際実施しておりまして、只今心配のような程度試験も実際やつておりますので、試験官としては、そういう方面の取扱いと申しますか、要領と申しますか、相当慣れておるつもりでございます。それで例えば試験官の前へ出れば口がきけなくなるとかいつたような御心配は恐らくないと思います。それから先ほど何遍も試験を受ければよいというふうに申上げましたが、これは一つの例にいたしましただけで、実際は内容は非常に簡単で、結局は漁師経験履歴で以て学び取つたところのものを、一応ほんのちよつと補足する程度のものでございますので、恐らく落第をするようなことは考えておりませんのです。(笑声)  それからもう一つ、一般にこのことを知らないというような御質問でございましたけれども、大体この法案がいろいろ計画をされて、成案になるまで三年有余かかつておるわけであります。それでこの面から、勿論水産関係からも委員が出で頂いて、こういう結論になりましたのですが、公聴会を二回開きまして、この問題は実は出ておる次第であります。
  9. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 じや公聴会はいつどこで開かれたか、私は実は水産関係して、今まで水産以外に関係したことがない人間であります。誠に不勉強で、昨日実は初めてそれを知つたわけであります。私が知らなかつたからほかの人も知らないということは言えないのでありますけれども、かような問題が、恐らくこれが漁民に滲透しておるとは私には考えられないのです。公聴会はいつどこでおやりになりましたか、そうしてどういうメンバーがお集りになりましたか。
  10. 松平直一

    政府委員松平直君) 二十五年一月に東京神戸において開かれております。
  11. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 そうして、出て来た者はどういう連中ですか。
  12. 松平直一

    政府委員松平直一君) 公聴会には御承知通り各界の者が参加しております。
  13. 青山正一

    青山正一君 今秋山先牛がおつしやつたように、二十トン未満、五十トンというような関係のものは、全部合わせますと、大体の数字は二万見当だろうと思いますが、実際には大体四万なんです。ところが今五トンとか七トン、八トンぐらいの船に乗つておる船長という者は、恐らく小学校を出たような人は一人もいません。場合によつて自分の名前ぐらい書く程度で、あとは恐らく字も知らないという人が安いのではないか、こういうふうに思つております。現にこの前の公聴会に出ておられた機関士なり、或いはああいう人たち言葉つきを見ましても、それは殆んど淳朴でありまして、学校よりも、むしろ十ぐらいの時分から先ず第一に船の、甲板、それから機関でもいじろうか、それから船長になつて行こうかという連中が非常に多いわけですが、その連中に、今こういうような法案をつきつけて、そうしてやれと言つても、恐らくこれは無理だろうと思います。勿論こういうふうな法律自身の行きかたというものは、これは理窟はつきりわかつております。理窟はつきりわかつておりますが、現在では四万近くの船主とか、そういうふうな機関士のかたは、今急に試験をする、こうしなければいかんというような、ただその言葉だけを聞いても、皆ぞつとするのじやないかと、こういうふうに考えている。それで今秋山さんからいろいろ御意見があつたわけですが、それはただ村の村長あたり証明か何かではつきりその理窟がつけられるものならば、つけて頂ければ結構だし、若しできなければ、その三年というやつを五年とか十年くらいに何とかできないものかしらんというふうなお話もできるの上ではないかと、こういうふうに思つております。これも三年を五年とか十年にできないものでしようか、どうなんでしようか。この五トンというようなことになりますと、これはなかなか問題だろうと思うのですがね。現在ある数字は二万人だろうと思いますけれども、あなたのほうのお調べではそういう数字になるだろうと思いますが、実際上は四万人以上になつているだろうと思います。そうするとこれの漁業に及ぼす影響というものは非常に多いのじやなかろうかと思いますが、こういうことについて秋山さんから聞いているわけですが、どうでしようか。三年を五年にするとか、或いは七年とか十年にするという、今の段階をそういうふうにして救う途はないかどうか。
  14. 松平直一

    政府委員松平直一君) 今のお話でございますが、猶予期間を三年と置いたわけであります。私のほうでは先ほどから申します通り、急激に施行することが非常に影響が大きいというので、一応三カ年間の猶予期間を設けたわけでありまして、その間私のほうでは勿論のこと、今秋山さんのお話のように啓蒙宣伝には勿論当ります。又関係官庁も、実はこのことについては深くお考えを頂いて、いろいろ御計画があるようでございますし、私のほうでもこれを立案するに当りましては、十分協議をいたしておるわけであります。この三カ年間で大体行くのじやないかということで三年ときめましたので、五年でなければならんかどうかという点は、これは相当問題があるかと思いますが、一応三年ということでよかろうということになつておるわけであります。
  15. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 只今質問のように、私はこの問題について曾つて一人の漁民からも陳情も何も受けておりません。ただ昨日初めて伺つて、私の考えでこういうことを申上げているのでありますが、委員長は、余目の水産関係に非常に広い関係を持つておられますが、これについて何か、これは結構だとか、或いはこれは困るというような意見をお聞きになつたことがありますか。
  16. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) まだありませんですね。
  17. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 若しそうだとすれば、これは意見がないから賛成だと見ていいのか、或いは知らないで黙つているのかということになるのですが、私は後者のほうではないかと思う。そういうことを考えますが故に、この問題を黙つてするすると通すわけに行かない。こういうふうに私は考えて、強く昨日からどうすればいいかということを心配しているわけであります。今日も。私ども同僚運輸委員の人々に意見を一応話してあるわけでありますが、どうも何とかこれはのままで置いては大変なことになりはしないかと私は考えますが、委員長はどうお考えになつておりますか。
  18. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) 秋山青山委員からいろいろ御意見なり御質問がありましたが、私から一応松平部長にお尋ねしたいと思います。両委員から申されましたように、二十トン以下の船、殊に十トン内外の船というものは、これは家族労働である。賦課税の対象にならんような自家労力の船が非常に多い。そういうのは、親交が船長をして、そうして子供や何かが船員としてやつている。そういうものは、青山君のお話があつたように殆ど学校行つていないという人も相当ある。それが発動機船の大部分を占めている。二万七千隻ほどすでに登録した船があるが、それ以上の無登録の船を加えれば四万隻にも達するのです。そういう者に対してどういう方法で以てこの第十二条の試験をやられるのか。一回で足りんときは二回も三回もやる。こうなれば、恐らく漁場別試験をしても四十個所やらなければならん、四十個所やつて、全部パスすればいいが、パスしなかつたら、二回も三回もやるということになれば、三回も四回もやらなければならん。そういうことを三年以内にやり得るかどうか、それが一つと、もう一つは第八条にありますように試験たびごとに五百円の金を出さなければならぬ。而もこの効力は五年で以てこの免許は無効になり、又やらなければならぬ。こういう煩雑な手続ですね。而も今まで無免許で辺つていた者に対して適用することができるかどうか。それから第十条の罰則でありますが、こういう罰則は、小さなものについても一度あつたならば取消す、取消したならば二カ年間は試験を受ける資格がなくなる。こうなれば、零細なこういう漁業が脅かされるような慮れが多分にあろうと思つております。こういう実状に合わない法案をやるということについて、水産委員会として非常に問題になりまして、実は運輸委員会に対して連合委員会を申込んだが、申込む前に一応保安庁意見を聞いて、事実上秋山委員が言われたように、市町村長或いは漁業組合長あたりが証明したならば、無条件で免許でもくれるというような便法が講ぜられれば、あえて我々はこの法律をいじくる必要はないと思つておりますが、そうでなく、やはり学術試験を行うということになりますれば、我々としては相当修正しなければならぬ。かような見地から先ほどから真剣に質問しておるのでありますが、こういう点に対する松平部長の御意見を伺いたいと思います。
  19. 松平直一

    政府委員松平直一君) 試験方法につきまして私のほうでも十分数が多い点を考えておるわけであります。各地区に散在しておりますので、当然一個所へ集めるということではありませんで、こちらから出向いて行くということも予定しておりまして、受験者負担をできる限り少くする点は考えております。御承知通り保安庁には試験官というのがおりますが、これで足りない面も予想されますので、私のほうには海上保安部とか或いは保安部支所別にやはり免状を持つた、経歴を持つた者が多数おりますので、そういう者を動員いたしまして各地に出向いていたすつもりでおりますから、その点についての負担は御心配のようにはならぬと考えております。それから先ほどからたびたび申上げましたが、学術試験ということでございますが、学術試験ではなく口術試験だけを考えております。又手数料につきましても、試験を受ける場合には五百円以内でございますので、勿論適当な額を考えます。百円以内にするつもり、で考えております。
  20. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) いま一つ伺いますが、今のお話では、各地試験官を派してやる、こういうお話ですが、三年間において五万人の試験を十分やり得るというようなお語でありましたが、漁村においては全部の船が港に集つているということは非常に少い。今日は試験日といいましても、目先に非常に凪で、そこに集つている場合には、恐らく港から出漁してしまうだろう。出漁するなどいつても、補償せん限りは、一日例えば三万円なり五万円なり取れるというのを放つて、港に安閑としておる漁師は殆んどない。時化の日にしなければならない。時化なら時化の日に大量に集まつておりますけれども、その時化の日を選んで試験をするということは困難だろうと思います。私は事実問題として、三カ月間に四が人の試験をするということは、全般的に普及するような試験をやるということは至難じやないかと思う。で果してその自信があるかないか、もう一度お尋ねしたいと思います。
  21. 松平直一

    政府委員松平直一君) 只今の御心配の点は、実は私どものほうも非常に考えておる点でございまして、勿論各地に派遣して行う予定でおります。それは私どものほうにもこういう適当な者がおりますからそう考えました次第でございまして、御承知通りこの試験内容は、例えば大型船の、筆記試験をやりましたり、いろいろむづかしい問題を出す試験でございませんので、時間的にも割合早く行きますし、又漁閑期とか休日とかそういうようなものを利用いたしまして、十分受験者の便利を図るつもりでございます。
  22. 千田正

    千田正君 委員長の今の質問に競いて補足して聞きますが、さつき保安庁のほうの説明によるというと、二回ほど公聴会をやつて、それが神戸東京だ、こういうことは恐らく大型船舶に対する公聴会だろうと思うので、二十トン以下の小漁船に対するそれを代表する人が出ておらなかつたのではないか、こう私考えるのであります。もう一つは、只今保安庁のお考えになるような、保安庁から人を派遣して、或いは試験官を派遣して各村々を廻つて試験をやる。これは成るほど肯ける点もあるのでありますが、先般大久保長官を呼んで、この委員会と外務委員会質問した場合において、現在海上保安庁においては哨戒の船さえも足りない。マツクアーサー・ラインの問題、或いは北洋漁業の問題、そういう問題が起きたときさえも哨戒の船さえ足りないのだ、とても手に間に合わない状況である。こういうような状況において、果して今あなたがおつしやるように休日を利用して、或いは漁閑期を利用して、その限られた日に全国の而も島々、殊に交通の不便なところにこういう漁船が多いのであります。そういうところまであなたがたが派遣されるだけの予算を取つておるか。この法案を通過するに際して、そういう試験に対する予算措置が恐らく取つてないだろうと思う。あなたがたの範囲内においてこの試験をやるだけの予算がないのだ。或いは早い話に燈台の設置の問題にしても、あなたがたのなかなか燈台の設置の費用が取れない。我々は一生懸命やつておる、それでさえも取れない。而もこういうような問題になると、四万人になんなんとする小漁船のあるところは、とても神戸や大阪や東京のような大都市でもなければ、或いは一万人くらいの人口の都市でもありません。殆んど人の通わない八丈島に近いような所に、このいわゆる小漁船があるのです。そういうところまであなたがたのほうで試験官を派遣し、人を派遣するだけの予算があるのか、或いは実際そういう事実上の予算があるのか、これは先般の大久保長官の説明と非常に矛盾した点があるので、人が足りない、本当にあらゆるものを動員しても海上保安庁の職務を遂行しなければならない現在の情勢にあつて、船も人も足りないというときに、果してこういうことが実行できるかどうか、この点は甚だ私は怪訝に堪えないのであります。その点の御説明を願いたいということと、各県庁なり或いは地方庁に委託してやるとするならば、そういうときにおける方法はどうしてやるかという点についてなお明確に御説明願いたいと思うのであります。
  23. 松平直一

    政府委員松平直一君) 最初の問題で、公聴会を開いたが、漁船関係のほうは来なかつたであろう、又十分徹底をしていないという御質問ですが、勿論先ほど申上げました通り東京神戸公聴会のその関係のほうのかたは勿論見えました。又去年の六月から私のほうで特に海難防止対策というものを各地で実施しております。御承知通りと思いますが、これに関連いたしましては再々そういう方面と会合を開きまして、その際にもすでに我々のほうで今度の法案についても、まあ大体こういうふうな行きかたをするというような点についての宣伝と申しますか、そういうものを再々行なつて来ております。この小型船が実施される点について御心配のほど地方は知らないということはないと存じます。  それから試験の実施でございますが、これについて成るほど御質問通り、非常に津々浦々にもあるわけなんでございますから、法案にもございます通り、二十七条でございますが、小型船の問題が御承知通りの数が多く、而も非常に分散をしておるという点に鑑みまして、この試験に関連しましては、都道府県知事に行わせることができるということにいたしておるわけでございます。
  24. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) 今千田委員の御質問に対してまだはつきりしていませんが、そういう場合に予算措置ができるかどうかという点について……。
  25. 松平直一

    政府委員松平直一君) これの予算措置に関しましては、人員において十三各、費用におきまして三百万円が実は計上されております。それで三百万円と十三名では少いではないかということでございますと思うのですが、先ほども申上げました通り、専門の試験官でなくても、私のほうの出先にそういう適当な者が非常にたくさんおりますので、そういう者を動員いたしますので、この人員と経費によつて十分賄つて行けると、こう思つております。
  26. 千田正

    千田正君 どうもその予算の問題が僕は少いと思います。というのは、この日本全国を、北海道から九州の端までで、十三人の試験官で、三百万円くらいのはした金で実際四万の船舶に対するこの許可に対する試験ができますか、現実において……。而も三年間ですよ、三年間……。これは一年の予算計画ですか、三年間になるというと九百万円になりますか。
  27. 松平直一

    政府委員松平直一君) 只今の点で、予算の少いという質問でございますが、これはいわゆる指導官を考えておるのであります。実際に行います者は、先ほどから何度も申上げました通り、地方の官署の資格を持つた、免状を持つた者を動員する考えでございます。その者はもうすでに現在おりますし、それに対して特に又増員は要らないと考えます。それから都道府県のほうへもどんどんこれは移せることになつておりますのでその点で 賄えるつもりでおります。
  28. 千田正

    千田正君 仮に都道府県に委した場合には、都道府県にしてもこれはやるでしようが、そういう場合には、ただお前のほうの県でやれということで委せますか。或いは多少あなたのほうの分からこれに対する補助金とかそういうものを出してやつてやらせるつもりですか。
  29. 松平直一

    政府委員松平直一君) この点に関しましては自治庁と十分打合せができておるわけでございます。自治庁のほうでは、大体この二十六条にございまするこの手数料で賄つて行く、まあ全部賄えますかどうかわかりませんが、手数料を収入としてその費用に充てるということで話ができておると思います。
  30. 青山正一

    青山正一君 先ほどから部長からいろいろ話がありましたのですけれども、この五トン以上二十トン未満というやつですね、漁船に関する限り、僕はそこまで、部長の言うようなところまで納得は行つていないと思います。現にここに漁村関係しておる三人なり四人なりの議員がおりますが、若しそういうことがあれば、必ずそういうことが耳に入るわけですが、今現在において誰もそういう事実を聞いていない。そういうことを見ますと、ほかの船舶関係は、二十トン以上のほうの関係は今の船舶法の適用を受けておるのですからして、いろいろそういうふうな問題も耳に入つておるだろうと思いますが、漁船に関する限りは、恐らく百人おるものなら九十人は恐らく僕はこういう実情を知らないと思います。それともう一つは、今まで船員法の中に、二十トン未満五トン級関係は全然適用外になつておつたわけでありますが、幾らかこうして除外例といつた関係で済んでおつたわけでありますが、現に十九トン九〇という船等でも、恐らく日本の漁船の中の大体七割か八割を占めておるわけです。そういう実情から考えて見てもこれはわかるわけです。十九トン九〇といつても、実際は二十五トンあるやつも、或いは三十トン近いものもあるし、これはみんな試験があるだろうということから来ている原因だろうと思います。そういう点から考えて、二十トン未満五トン以上漁船に限つてということで、今まで幾らか段階を設けておるわけですが、この法律自体を一つ何か訂正して、そうして段階を設けたら如何ですか。例えば三年というやつを五年というようなことで……、そうすればその間に自分の息子が成人しちやつて試験を受ける。これはそういうふうに法律の建前をして行かなければならないという理窟はわかつておりますけれども、今恐らく、それを一体どうするかということになれば、それはみんな小学校も出ない十二、三の時分から甲板の水洗いから、それが少し昇格して、焼玉エンヂンをいじるとか、それが昇格しちやつて漸く舵取りになつたというようなことは、普通漁船は舵取りを以て船長というふうに言うておるわけですから、その点は一つ十分に御了解願つて、やはりこの二十トン未満五トン以上という関係漁船に関する限りは、何かそういうふうなことで、一つもう少し何か段階を設けるというようなふうなことで進んで行つたらどうかと思うのですが、それに対する御見解は如何ですか。
  31. 松平直一

    政府委員松平直一君) 三年間という問題につきましては、先ほど申上げました通り、いろいろ相談して三年間ときめましたが、大型船の二十トン以上の船についても、今度の法律ではいろいろいじくつている点もございます。これはまあ大体三年間でよろしいと思うわけでございますが、まあ三年間というものに私のほうが非常に固執をいたすわけではございません。
  32. 千田正

    千田正君 海上保安庁の対象となつたこれは、なかなか漁業に関する限りは相当面倒なようであるというのが、さつき秋山委員から言うたように、現在就業しておる昔に対しては、一応町村長、若しくは漁業協同組合長の証明があつた場合にはこれを許可して、三年後の切替えのときはまあそれを切替えて行くか、新らしく就業する者に対しての試験ということをお考えになられるか、どうか。これはさつきも話が出ましたが、何か三年前にあん摩、はり、きゆうの試験法という問題が起きて来た。丁度今と同じような問題です。ところが全国のあん摩、マツサージ師、はり、きゆうの連中が、大挙して議会に押掛けて来た。結局そのときの関係筋からの御指令というのは、いわゆる不衛生である、そして医学的経験を持つておらん、だから一応人体衛生学というものを勉強して、そうして消毒の一つも覚えてからでなきやあん摩、はり、きゆうの免状を与えない。ところが全国のあん摩、はり、きゆうの諸君は、そういうことはまあ勉強もしてない。それからへ免状を取上げられるというと、明日からもう生活をやつて行けない。早く言えば今度は個人の人権に対する非常な侵害になる、生活の……。そういう問題で非常な問題が起きたことがあります。結局そのとき関係筋の了解を求めて現在就業しておる者に対してはこれを従来通り免許に対しては、本法の施行に際しては条文にあるような一応の衛生学を勉強した者に対して、試験の上にこれを厚生大臣が許可するという問題で、一応けりがついたことがあります。それと同じように、この二十トン以下の小型漁船にいる人たちが、明日の生活に関係する問題が相当出て来ると思う。そこで仮に繁文褥礼をやるのじやなくして、生活の実態を捕捉して、それに対処する方法考えるのが、いわゆる法律の効果の最も正しい方向であり、又我々政治を行う者からすれば、そうならなければならないという現実を直視しまして、その点を十分考慮する必要があるのじやないか。その点について松平部長の一応の御見解を頂けば結構だと思います。
  33. 松平直一

    政府委員松平直一君) 御指摘の点は誠に私どもも同感でございまして、ただ私どものほうで考えましたのは、今実施されております最下級のものでありまして、例えば丙種航海士、ああいうものを小型船にすぐ適用して行こうというのですと、必ず只今のような事態にぶつかるわけなんでございますが、特に小型船というもののその実態を考慮に入れたとして、小型船舶操縦士という特別なものをわざわざ作りまして今度はまあ適用して行こう、従つて問題は相当やさしくて、まあ無試験と殆んど同様と申上げてもよろしいと思います。勿論今の最下級、丙種航海士の免状を持つてもらえば、これは航海の安全を期する上においては非常によろしいわけなんでございますが、いきなりこれを適用できませんので、こういう措置をいたしまして、まあ将来はこの小型船のほうから丙航へだんだん引上げて行つてもらいたい、こう考えております。
  34. 千田正

    千田正君 非常に細かいことを聞いて恐縮ですが さつき予算が三百万円、それからまあそれで足りない分は免許料のうちからそれを一つ充当する。大体受験料は百円でしたか、ところが今おつしやるところに上ると、どういう免許状を差上げるのか知りませんが、なかなか紙が高くなりまして、印刷料を入れて相当の金額になります。それをあれするというと、仮に一県千人の受験者があるとしますと、せいぜい二万円私はこれは相当まあ予算がないというと、実際あなたがたが企図しているような結論に到達しないのじやないかと思いますので、この点を一応聞いて置きます。
  35. 松平直一

    政府委員松平直一君) 例えば地方の都道府県で行いますような場合の試験につきましては、いずれいろいろ実際行うということになりますと、交付金の問題とか何とかいうのが起ると思いますですが、この点につきましては、一応自治庁と打合せてきめた点でございます。  それから当方といたしましては、最初の予算でございました三百万円、成るほど余り十分でないとは思いますのですが、まあこれで行きます。又再来年度の予算につきましては私どものほうも十分努力するつもりでございます。
  36. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 先ほど試験内容或いは施行方法についての御説明がありましたが、お話によりますと、殆んど無試験状態であつて、落第する者はないような御予想であるようであります。然らば何のためにこの試験をやらなければいけないか、どうせ皆通すなら初めからやらないで、市町村長証明くらいで通してやつて、三年なり五年なりの先においてやるようにしたほうがこれはいいのじやないか、ただそんな形式的のことで漁民負担をかける、負担をかけるということは、単なる試料の負担ではない、仕事を休むとか、精神的な負担を与えるということは、この際無理にやらなければならないというふうには御説明では受取れない。それならば私はさつきから申上げておるように、若しそういうけりをつけなければならないなら、証明をして、ただこの経過規定の中にもそういうことを入れて、そうして五年先なら五年先において初めてこれを実施して行くということにしなければ何ら効果はないと思います。
  37. 松平直一

    政府委員松平直一君) 無試験に近いというふうに申上げましたが、それは実際の問題その他に関係してでございますが、むしろ私のほうでは、試験を実施することによりましてその方面の関心を高めてもらい、試験を通じてそういう知識を、むしろ最初は我々のほうから啓蒙して行く、こういう点を重視しておるわけであります。又それでなければ、現在これを行うのは非常に無理であるということを考えて一応小型船舶操縦士免状を持ちましたら、将来はどんどんそれが上級のほうに行つてもらうに又指導をいたす考えでございます。
  38. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) いろいろ御質問がありましたが、要するに中途半端な予算と中途半端の人員をわざわざこしらえて、而もこういう面倒な試験制度をやることは、私は非常に無理があると思う。これには身体検査と学術試験を行うということになつておりますが、こうやるには、どうしても一人に二、三十分間を要する。場合によつては一カ所に千人もおるところがある。そういう場合において、僅かな費用で而も僅かな人員で三年間において全部やり得るということは、私どもどうしても考えられない。又それほどの効果がない。秋山君のお説を辺り、無理してまでも効果のない試験をやる必要がどこにあるかということは、私どもも言えると思う。その点要するに海上保安庁として経過規定を置いてこの海技の免状に対しては市町村長或いは漁業協同組合の認定或いは証明によつて無条件に免状を下付するというような制度でもできない限りは、如何に松平部長が、皆通るようにするのだと言われても、試験官によつてはなかなかそうも行くまい。それから全部出張してやると言つても、その間においていろいろ紛糾を……、非情に漁村にマイナスを来たす、こういうことは決して当を得た措置ではない、そういう経過規定を作るか、若しくはこの二十トン以下の海技免状を廃止するか、どちらかに私はしたいと思うが、それに対してはつきりした最後の答弁をお願いいたしたいと思います。
  39. 松平直一

    政府委員松平直一君) 小型操縦士免状を廃止するということにつきましては、これを設けることに至りました点の説明が十分でなかつたと思いますが、非常に問題だと存じます。実際小型船の海難が非常に多い。全海難件数の三〇%に及ぶというような点を考えまして、而もその海難の原因の六〇%はやはり乗組員の海技知識の不足というようなものに起因いたしますので、この海難を少しでも減らして行くというのが航行の安全を期する一つの非常な眼目であります。  これをやりますのには、いろいろな方法考えられるわけでございますが、とにかく乗組員にそういう知識を持つてもらうということが一番早道で確実であるという点で、慎重審議、各方面と連絡いたしておりますし、慎重審議の上、小型船舶にこういう操縦士制度を設けるということにいたし、更にこういうことを設けたことによりまして、啓蒙する意味が非常に深く、それによつて更になお一層の海難の減少、航行の安全を期するというふうな観点からいたしましたわけでございまして、その目的には最も適合しているのではないか、こう考えたのであります。それで結局は小型船舶操縦士を設けるということになりますと、その実施の問題でございます。先ほどからいろいろ私も説明をし、又御意見承わりましたのですが、私の説明では或いは御納得が行かない点もあるのじやないかと思いますのですが、ともかくも目的が目的でございますので、そういうものを通じて今の精神を、何と言いますか、普及して行くという点に非常な重点を置きました制度なんでございまして、いろいろ御心配の点は私のほうで十分考慮し、又実施をいたしました上で、支障がございましたら、如何様のお叱りも受けたい、こう思つております。
  40. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) まだ私の質問が徹底しておりませんが、あなたはプラスの面のみ言われるが、確かに私は将来は幾らかプラスになると思うが、現在においてはマイナスになると思う。私の言うのは、現在その職にある者をそのままに認めて、新たに作るとか、新たに事業を始めるとかいう人はもとより別でありますが、市町村長若しくは漁業協同組合が証明を與える。現在その職にある者には無条件で與える。與えられた人は永久に免状を持つている。何のために五年ごとにする必要があるのかと思う。新たに就業をする者に対しては適用するが、現在職にいる者にそのまま認めるということはできるか、できないかということをもう一遍お尋ねしたい。
  41. 松平直一

    政府委員松平直一君) 只今の点は非常に問題の点なんでございますが、まあ国家試験という立場から申しますと、そう簡単なふうにも行かないわけでございますし、又実際試験を受けるほうの側から申しますれば、只今の御心配の点が十分ある。その両方を考えまして、先ほど説明いたしまするような方法で、その両方をむしろうまく調整をして行きたい、こう考えております。
  42. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) ほかに質問がありませんか。なければ水産委員会としての態度を決定いたしたいと思います。  今皆さんの御意見によりますと、現在のその衝に当つておる船長若しくは機関長は、そのまま漁業協同組合長、或いは市町村長証明によつて免状をもらうというようにするか、附則としてするか、もう一つは、二十トン以下の海技免状を廃止するか、その二点にあると思いますが、如何いたしましよう。
  43. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 廃止するということと結果においては同じ感じもありますが、この規定の精神は私はいいと思うのです。将来漁業に従事する者の素質を向上するという狙いによる趣旨は、非常に私も賛成なんです。ただ急速にこれを行うことによる非常な影響を恐れるものであるからして、今委員長のおつしやつた前段の方法をとりたいと私は考える。そうしてこれが三年或いは五年の後にはこの条件によつて試験を行なつて行く。この三年の間において前段のお話のように市町村長或いは漁業協同組合長という者の証明は、私は市町村長のほうがいいと思う。市町村長でないと、漁業協同組合ではちよつと資格の点においてどうかと思いますし、又市町村長がわからなければ、漁業協同組合長あたりの意見を徴してやればいいわけですから、市町村長証明がある者に対しては操縦士の資格を与える。こういうふうに修正して頂けば結構だと思います。
  44. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) ほかに御意見……。
  45. 青山正一

    青山正一君 大体同じです。
  46. 千田正

    千田正君 大体保安庁説明は、落第者は殆んどないだろうという説明ですから、そういう説明によるというと、結局これは形式的に一応まあ整えようということだと思うのです。それでこれをさつきの二つの段階にお話をされました、廃止ということは、これはいけないと思います。私から申上げれば、只今秋山委員のおつしやられた通り市町村長証明がある場合、市町村長証明を与える場合には、漁業協同組合長が附箋を附けて市町村長に許可願いか何か出して、それに対して市町村長あたり証明を与えるようにしたほうが万全を期されるのではないかと思います。そうして経験のある者に対して与えるというのが妥当ではないか、そうして三年、二年の期間の間に今後繰縦士なり機関士免状を持とうとする者は講習会か何かそういうものによつて勉強して、そうして試験を受けて許可を取るという方法が妥当であろうと私は考えます。
  47. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) 市町村長というと、東京都の場合には区長ですかな。
  48. 千田正

    千田正君 そういうことになりますね。
  49. 岡尊信

    ○専門員(岡尊信君) 市町村長の場合には書き方があります。市町村長の場合には……。
  50. 千田正

    千田正君 六大都市の場合においては区長なら区長。
  51. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) それではそういう工合に修正意見を附則として附けることをここに決定いたしまして、直ちに運輸委員会に申出るということに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  52. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) 御異議ないと認めます。
  53. 青山正一

    青山正一君 ちよつと別紙の附表に「漁船の場合」と書いてあるのですが、その第二段目に「総トン数二十トン未満漁船(四十馬力以上の推進機関を有するものに限ると。)こういうことで、このあとの、船舶操縦士、この関係はいいにしましても、機関長、丙種機関士はいいですか、悪いですか、その点検討する必要がある。別表四の二段です。機関長、丙種機関士
  54. 岡尊信

    ○専門員(岡尊信君) 四十馬力以上の推進機を持つておるものに限るというのであるから、大型馬力を持つていないものはいいでしよう。
  55. 青山正一

    青山正一君 これは秋山さん、どうですか。
  56. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 今の問題になつております点はこれでいいと思います。四十馬力以上のものは、免状がなければいけないが、四十馬力以下のものは、これは機関士においてはいい、四十馬力以下のものは差支えない。以下のものはかまわない。
  57. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) ではさよう決定することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  58. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) それでは本委員会の決定事項として、委員長名を以て直ちに運輸委員会に申出いたします。  本日の委員会はこれにて散会いたします。    午前十一時三十七分散会  出席者は左の通り。    委員長     木下 辰雄君    理事            青山 正一君            千田  正君    委員            秋山俊一郎君            櫻内 義雄君   政府委員    海上保安庁海事    検査部長    松平 直一君   事務局側    常任委員会専門    員       岡  尊信君    常任委員会専門    員       林  達磨君