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政府委員(
山本豊君) 詳細は
あとで
担当課長から御
説明さしたいと思いますが、今までのこの
法案のでき上りまする経過につきまして、大体私から
お話して置きたいと思うのであります。御承知のように、この
法律案は昨年の六月の二十日に第一回の
海上保安審議会がありまして、
海上保安審議会と申しまするのは、
海上保安庁の唯一の
官民合体の
審議機関でありまして、
保安行政に関する
重要事項を
審議するという
機関でございまするが、私が
水産庁を代表しまして
委員を拝命しておりますので、
会合のたびには私が大体出てお
つたわけであります。止むを得ないときには
部長或いは
課長が代理で出た次第でありますが、この
審議会では勿論
海上保安庁のいろいろな
事項の
報告でありますとか、救難の事業の
報告でありますとか、時々そのときの協議問題もいろいろあるわけでありますが、大体におきまして今日までこの
審議会におきまして、今日御
審議になります
船舶職員法をどう持
つて行くかということを、極めて基礎的な要綱の時代から何回も
練つて参つたのであります。そのときに、
水産関係殊に
漁船関係としましては、実は今日の
漁業の現況からいいまして、
保安庁で
考えておるように、船の五トン
未満は別でありまするが、それ以上の多数の船について新らしい
職員の
資格、或いは
免許、そういうものをきめる
法律でありまするので、そのことが高度なことは非常に望ましいのでありますが、果してそうしかく簡単に十把一絡に
漁船の
船員等についてもこれを一律に律して行くということは如何なものであろうか、むしろ
漁船船員につきましては別の観点から別の
単行法で以てなおよく研究を重ねた上で持出すのが筋でないかというような当初
議論があ
つたのであります。併し
保安庁としましては、どうも
漁船関係だけを残してや
つて行くということは
所管官庁としては立場上困るということもありますので、然らば
一つ漁船船員の
資格とか或いは
免許とか、こういう問題については十分
水産庁の
意見を取込んでくれろ、この
委員の中には民間の
漁業関係も入
つておるのでありますが、そういうことをいろいろと申上げまして、それは大いに聞こうじやないかということで、一体に
なつてこの
船員法を固めて行くという方向に
参つたのであります。ところがこの中にございまする、
あとで
附表に出ておりまするような詳細な
船員の
資格とか或いは森とか、いろいろあるのでありまするが、この論議の際に、
漁船のほうはこれは
省令でいいじやないかというような話が先ず出ました。というのは、
漁船のほうは非常に複雑でございますし、又
一般船舶と同様に扱うのは如何かというような
議論がやはり出て参りまして、別途
省令のときに
考えようというような
意見も出たのでありますが、それでは
片手落である、我々は対等に
考えてもらわなければ困る、殊に質においては如何か知りませんが、量においては
漁船の
船員の数というものは今日の
船員の
相当量を占めるわけでありますので、そういう点をいろいろ主張しました結果、然らば同等に
一つ考えるということで、但しその
内容につきましては
一つ専門委員会を設置して、
水産漁業の
関係者の
技術者或いは
専門家を
相当に入れましたその
委員会でよく
練つた上で取上げようということになりまして、そういうふうな
専門委員会を設置して頂きまして、その
専門委員会でこの
附表につきましては何回となくよく練
つてできておるわけであります。
それからなおもう一点問題になりました点は、今度の
法律案ではそういう
附表の点につきましても
法律案に入
つて参りましたので、
省令に委任する点はそう根本的な点はなくな
つたのでありますが、併しながらその
省令にいろいろ
漁業関係のものも又出て来るわけでありますので、それらの制定とか
いろいろ改廃の場合には、少くとも
所管大臣は
農林大臣に協議をしてくれ、この点の
規定は従来
現行法ではいわゆる
省令の
規定にな
つておるのであります。それを同じことなら
法律に書いてもらわなければ困るというふうな
申出もいたしまして、この点は
最後まできまらなか
つたのでありますが、
最後に法務府でいろいろ検討して頂きまして、そこで今日配付の
法律案の中には、二十九条でありますか何かに一項入
つておるような事情にな
つております。その点は我々としましても大体もうそれでいいと思うのであります。それからお手許に二月八日附で
海上保安審議会委員長から
保安庁の
長官宛に出ておる文書がございます。これは
法律案に関する
件答申というわけで、この
法律案の各
条項については
意見が一応ないのでありまするけれども、これの運用につきまして三点の
申入をされておるわけであります。これは
審議会の
決議として
申入れたわけであります。これを御覧頂きますと、三項ございますが、その
一つは、今度は
小型漁船とか
小型機帆船の
船舶職員となる者も広く新もしいこの表によ
つて免許或いはその
資格を判定されるわけであります。そこで若しこれが高位的にその質が向上することは非常にいいのでおりますが、
漁船船員等におきまして
養成がそれについて行けないということになりますると、而も又厳格な
試験をされますると、実際問題として、狙いは結構なんでありますが、実情に副わないような結果になりやしないかということもありまして、それらの点を考慮しまして、
我我としましてはむしろこの
法案自体は大体において異議はないのでありますが、これに伴う
漁船船員の
養成の
相当な
予算的裏付を是非これは強く
政府全体として
考えてもらわなければ困るというようなことを
意見として申述べてお
つたのでありますが、それがまあ取上げられまして、この第一項のように、一応の
附帯条件と申しますか、
予算的な
措置を
十分とつてくれということを織込んであるわけであります。
それから第二は、これは
漁船漁業関係が直接的な問題でないのでありますが、
一定の場合に
免許の
取消処分をするとかいろいろな
規定があるわけでありますが、その
取消処分をする場合に
審議会か
公聴会か、そういうものの
意見を聞いて、民主的に独善でなくやるという
規定があ
つたのであります。ところがそれは
関係方面でそういう
審議会等についてはそういう具体的の
事項を、
意見を聞くとか何とかということは
審議会としては面白くないというふうなことで、
関係方面では反対があ
つたわけであります。併し
委員会の空気は、とはい
つてもやはり目下の情勢では或いは
公聴会でもいいから第三者の
意見も必ず聞けということではなくて、聞き得る
程度の考慮が必要でないかというふうな
委員会の多数の
意見でありますので、こういう
要望にな
つておるわけであります。
それから第三点は、
資格の
免許、登録、
試験に関する
事務を、これを現存の法制では一応
海上保安庁が全部握
つておりまして、併し
小型船のように、
地方的なものにつきましては
海上保安庁と
地方の
知事とが相談しました上で
知事にこれを委任と言いまするか、することができるような
規定にな
つておるのであります。ところがこれに対しまして最近いわゆる
国家事務の
地方委譲という問題が全体的にいろいろと表面に出て参
つておりますので、その
意味からこういうものについては全面的に
地方に
知事の
権限として
委譲したらどうか、こういう
要望がこれは恐らく
自治庁方面から強く出て参
つておりますので、そこで
審議会としましていろいろ検討したのでありまするが、とにかく我々としましてもその
趣旨には反対するわけではないけれども、現在この
法律を出すこのときにおきましては、そういう問題をいろいろと取込んで参るということは、なかなか事態を紛糾させますので、これは
一つ法律が
通つてからその他の
地方の
委譲の問題と関連がありまするから、決して固守するわけではないけれども、今回はその点は含みとして聞き置く
程度で、円満にこの
法律通過のために勘弁してもらえんだろうかということが、第三点の
申入であります。
以上三点はこの
法案についての
審議会の最終的な
希望条件としまして決定になりまして、
法案自体の各
条項につきましては
水産庁と
保安庁とでは大体において
意見がよく一致を見たわけであります。尤も、先ほど
委員長から
ちよつと伺いましたのですが、
保安庁からの提出の案には、これは参議院のそのほうの
委員会でありましようが、若干の
修正希望意見があるそうでありますが、それらにつきましては我々まだ知悉しておりませんので、そういう
意見を又この
委員会におきまして拝聴した上で、これらについて又
水産庁として申述べなければならん点が出て参りますれば、それにつきましても又
意見を申述べたいと思うのでありますが、大体におきまして今日までのいろいろとこの
法案の出て参りました経緯は以上の
通りであります。
あとで
経済課長から条文につきまして簡単に御
説明申上げます。