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1951-03-19 第10回国会 参議院 水産委員会 第17号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年三月十九日(月曜日)    午後一時四十六分開会   —————————————   本日の会議に付した事件 ○船舶職員法案に関する件 ○連合委員会開会の件   —————————————
  2. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) 只今より水産委員会開会いたします。船舶職員法案を議題に供します。ちよつと速記を止めて。    午後一時四十七分速記中止。    ——————————    午後三時四十四分速記開始
  3. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) それでは船舶職員法案について山本次長の概括的の説明を求めます。
  4. 山本豊

    政府委員山本豊君) 詳細はあと担当課長から御説明さしたいと思いますが、今までのこの法案のでき上りまする経過につきまして、大体私からお話して置きたいと思うのであります。御承知のように、この法律案は昨年の六月の二十日に第一回の海上保安審議会がありまして、海上保安審議会と申しまするのは、海上保安庁の唯一の官民合体審議機関でありまして、保安行政に関する重要事項審議するという機関でございまするが、私が水産庁を代表しまして委員を拝命しておりますので、会合のたびには私が大体出ておつたわけであります。止むを得ないときには部長或いは課長が代理で出た次第でありますが、この審議会では勿論海上保安庁のいろいろな事項報告でありますとか、救難の事業の報告でありますとか、時々そのときの協議問題もいろいろあるわけでありますが、大体におきまして今日までこの審議会におきまして、今日御審議になります船舶職員法をどう持つて行くかということを、極めて基礎的な要綱の時代から何回も練つて参つたのであります。そのときに、水産関係殊漁船関係としましては、実は今日の漁業の現況からいいまして、保安庁考えておるように、船の五トン未満は別でありまするが、それ以上の多数の船について新らしい職員資格、或いは免許、そういうものをきめる法律でありまするので、そのことが高度なことは非常に望ましいのでありますが、果してそうしかく簡単に十把一絡に漁船船員等についてもこれを一律に律して行くということは如何なものであろうか、むしろ漁船船員につきましては別の観点から別の単行法で以てなおよく研究を重ねた上で持出すのが筋でないかというような当初議論があつたのであります。併し保安庁としましては、どうも漁船関係だけを残してやつて行くということは所管官庁としては立場上困るということもありますので、然らば一つ漁船船員資格とか或いは免許とか、こういう問題については十分水産庁意見を取込んでくれろ、この委員の中には民間の漁業関係も入つておるのでありますが、そういうことをいろいろと申上げまして、それは大いに聞こうじやないかということで、一体になつてこ船員法を固めて行くという方向に参つたのであります。ところがこの中にございまする、あと附表に出ておりまするような詳細な船員資格とか或いは森とか、いろいろあるのでありまするが、この論議の際に、漁船のほうはこれは省令でいいじやないかというような話が先ず出ました。というのは、漁船のほうは非常に複雑でございますし、又一般船舶と同様に扱うのは如何かというような議論がやはり出て参りまして、別途省令のときに考えようというような意見も出たのでありますが、それでは片手落である、我々は対等に考えてもらわなければ困る、殊に質においては如何か知りませんが、量においては漁船船員の数というものは今日の船員相当量を占めるわけでありますので、そういう点をいろいろ主張しました結果、然らば同等に一つ考えるということで、但しその内容につきましては一つ専門委員会を設置して、水産漁業関係者技術者或いは専門家相当に入れましたその委員会でよく練つた上で取上げようということになりまして、そういうふうな専門委員会を設置して頂きまして、その専門委員会でこの附表につきましては何回となくよく練つてできておるわけであります。  それからなおもう一点問題になりました点は、今度の法律案ではそういう附表の点につきましても法律案に入つて参りましたので、省令に委任する点はそう根本的な点はなくなつたのでありますが、併しながらその省令にいろいろ漁業関係のものも又出て来るわけでありますので、それらの制定とかいろいろ改廃の場合には、少くとも所管大臣農林大臣に協議をしてくれ、この点の規定は従来現行法ではいわゆる省令規定になつておるのであります。それを同じことなら法律に書いてもらわなければ困るというふうな申出もいたしまして、この点は最後まできまらなかつたのでありますが、最後に法務府でいろいろ検討して頂きまして、そこで今日配付の法律案の中には、二十九条でありますか何かに一項入つておるような事情になつております。その点は我々としましても大体もうそれでいいと思うのであります。それからお手許に二月八日附で海上保安審議会委員長から保安庁長官宛に出ておる文書がございます。これは法律案に関する件答申というわけで、この法律案の各条項については意見が一応ないのでありまするけれども、これの運用につきまして三点の申入をされておるわけであります。これは審議会決議として申入れたわけであります。これを御覧頂きますと、三項ございますが、その一つは、今度は小型漁船とか小型機帆船船舶職員となる者も広く新もしいこの表によつて免許或いはその資格を判定されるわけであります。そこで若しこれが高位的にその質が向上することは非常にいいのでおりますが、漁船船員等におきまして養成がそれについて行けないということになりますると、而も又厳格な試験をされますると、実際問題として、狙いは結構なんでありますが、実情に副わないような結果になりやしないかということもありまして、それらの点を考慮しまして、我我としましてはむしろこの法案自体は大体において異議はないのでありますが、これに伴う漁船船員養成相当予算的裏付を是非これは強く政府全体として考えてもらわなければ困るというようなことを意見として申述べておつたのでありますが、それがまあ取上げられまして、この第一項のように、一応の附帯条件と申しますか、予算的な措置十分とつてくれということを織込んであるわけであります。  それから第二は、これは漁船漁業関係が直接的な問題でないのでありますが、一定の場合に免許取消処分をするとかいろいろな規定があるわけでありますが、その取消処分をする場合に審議会公聴会か、そういうものの意見を聞いて、民主的に独善でなくやるという規定があつたのであります。ところがそれは関係方面でそういう審議会等についてはそういう具体的の事項を、意見を聞くとか何とかということは審議会としては面白くないというふうなことで、関係方面では反対があつたわけであります。併し委員会の空気は、とはいつてもやはり目下の情勢では或いは公聴会でもいいから第三者の意見も必ず聞けということではなくて、聞き得る程度の考慮が必要でないかというふうな委員会の多数の意見でありますので、こういう要望になつておるわけであります。  それから第三点は、資格免許、登録、試験に関する事務を、これを現存の法制では一応海上保安庁が全部握つておりまして、併し小型船のように、地方的なものにつきましては海上保安庁地方知事とが相談しました上で知事にこれを委任と言いまするか、することができるような規定になつておるのであります。ところがこれに対しまして最近いわゆる国家事務地方委譲という問題が全体的にいろいろと表面に出て参つておりますので、その意味からこういうものについては全面的に地方知事権限として委譲したらどうか、こういう要望がこれは恐らく自治庁方面から強く出て参つておりますので、そこで審議会としましていろいろ検討したのでありまするが、とにかく我々としましてもその趣旨には反対するわけではないけれども、現在この法律を出すこのときにおきましては、そういう問題をいろいろと取込んで参るということは、なかなか事態を紛糾させますので、これは一つ法律通つてからその他の地方委譲の問題と関連がありまするから、決して固守するわけではないけれども、今回はその点は含みとして聞き置く程度で、円満にこの法律通過のために勘弁してもらえんだろうかということが、第三点の申入であります。  以上三点はこの法案についての審議会の最終的な希望条件としまして決定になりまして、法案自体の各条項につきましては水産庁保安庁とでは大体において意見がよく一致を見たわけであります。尤も、先ほど委員長からちよつと伺いましたのですが、保安庁からの提出の案には、これは参議院のそのほうの委員会でありましようが、若干の修正希望意見があるそうでありますが、それらにつきましては我々まだ知悉しておりませんので、そういう意見を又この委員会におきまして拝聴した上で、これらについて又水産庁として申述べなければならん点が出て参りますれば、それにつきましても又意見を申述べたいと思うのでありますが、大体におきまして今日までのいろいろとこの法案の出て参りました経緯は以上の通りであります。あと経済課長から条文につきまして簡単に御説明申上げます。
  5. 青山正一

    青山正一君 議事進行について。今次長からいろいろお話があつたのですが、時間も大分切迫しておりまするから、水産庁海員組合あたりがこれに参画してやつたわけでありまして、大体法律も殆んど賛成してもいいようなふうなことは漏れ承わつておるわけなんですが、ただ水産庁としてどこをどういうふうにして修正してもらいたいというような意見、そいつがどういうふうにして取上げられたという要点のみを説明して進めて頂きたいと、こううふうに考えるのであります。
  6. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) それでは課長ちよつと私希望しますが、漁船関係する法文で以前の法律違つた点があつたら、それを御説明頂きたいと思います。
  7. 奥田孝

    説明員奥田孝君) それでは今度の船舶職員法改正につきまして、問題となる点だけを簡単に御説明申上げたいと思います。大体今度の改正につきまして問題になる点は、大体三つの点だと私は考えております。第一の点は、今度の改正によりまして従来本法適用されておりませんでした五トン以上二十トン未満漁船まで本法適用になることになりますので、漁業関係としましては従来以上にこの法律との関係が深くなるわけでございます。そういう意味合からいたしまして、農林大臣といたしまして本法に関しまして如何なる権限を持つべきか、即ち農林省としまして本法にどういう工合にタツチすべきかという問題が第一点だと思います。それから第二点といたしましては、本法実体的な内容自体でございまして、いろいろ資格が引上げられたりいたしておりますので、そういう実体的な点につきまして漁業から見まして問題ないかどうかという点が第二点でございまする。それから第三点といたしましては、さつき申上げましたように、適用範囲が非常に広くなりますために、船員養成ということが非常に重要な問題となりますので、その養成につきましてこれを漁業界負担でやるということは非常にむずかしいのでありますので、国家としてその養成に対して如何なる措置をとるべきかということが第三点であります。  で、以上三つの点につきまして、どういう工合水産庁として措置をしたかという点につきまして簡単に御説明申上げます。  第一点の農林省として本法にタツチするその仕方につきましては、先ほど次長から御説明申上げましたように、本法漁業関係に非常に関係の深い法律でありますので、本法に基く命令を運輸省で定めます場合には、必ず農林大臣会議をされたいというのが我々の希望であつたのであります。これに対しましては、海上保安庁も理解ある態度で我々の交渉に応ぜられまして、その結果先ほど次長から御説明ありましたように、第二十九条が設けられたようなわけでございます。第二十九条に「運輸大臣は、この法律に基く命令を制定しようとするときは、農林大臣に協議しなければならない。」という一項目が入つたわけでありまして、この点につきましては、我々は満足をしているわけでございます。  それから第二点の実体的な問題でございますが、この点につきましては、先ほど次長からも触れられましたのでありますが、この本法実体であります資格表審議につきましては、それだけじやありませんが、特にその点につきましては、保安審議会分科会といたしまして、船舶職員法令改正分科会というのが保安庁に設けられまして、これに水産関係といたしましては、学識経験者といたしまして大水の大里さん、かつおまぐろの小出さん、業界代表といたしまして底曳関係の細野さん、漁船員代表といたしまして日水柳瀬さん、それから水産庁代表として松任谷漁政部長、この五人がこの分科会のメンバーとなりました。事細かに審議実体につきまして審議にタツチをされまして、その結果大体この資格表につきましては水産庁といたしましても、大体満足すべき結果が出ておるという工合考えておるのでございます。この資格表を定める場合に、我々として問題といたしました点は、従来ややもすれば漁船は特殊なものであるというので、その資格を低めよう低めようというような傾向が多少あつたようでございます。併し我々といたしましては、そういう考え方はいけないのであつて漁船もやはり一般船舶並みに、或いは場合によつてはそれ以上資格の高い人を乗り込ます必要があるという考えで以て当つたわけであります。ただそうかといいまして現実を無視いたしまして、無暗に高い資格漁船に要求いたしますことは現実と矛盾いたしますので、そういう漁船船員レベルを高めるという理想と、それから現状との妥協というところを考えましてでき上つたのがこの案になつておるわけでございます。これにつきましては、お配りしました資料のうち、船舶職員法改正に伴う参考資料、こういう表がございますが、これの第一頁に、新旧船舶職員法資格表対照表というのがございます。これは表がちよつと複雑いたしておりまして、わかりにくいのでございますが、これを御覧になりますれば、現在とそれから今度新らしく変らんとする資格表、この比較がわかるわけでございますが、これは大体我々としましては、さつき申上げましたように満足すべき状態であるという工合考えておるわけでございます。この表につきまして、御質問ございましたら御質問に応じまして、お答え申上げたいと思います。  それから第三点の船員養成の問題でございますが、この改正によりまして、さつき申上げましたように五トン以上二十トン未満漁船も、やはり資格を持つた船員を乗り込まさなければならないということになりまするし、又一部資格が引上げられたものもございますために、結局そのために新たに本法適用を受けます技能者が約三万人ございます。それから上級の免状を必要とするものが約三千人ございます。合計いたしまして、三万三千人という人間を養成せねばなりません。その猶予期間といたしましては、本法施行後約三年間でございますので、三年間に三万三千人の船員養成する必要があるわけであります。一年にいたしますと約一万一千人を養成する必要があるわけであります。然るに現在の我々のほうで盛つております船員養成予算は、二十六年度で只今要求しております予算が約三百万円であります。僅か三百万円でありまして、これによりまして養成し得る人員は約二千人に過ぎないのでございます。而もこの二千人は従来のままで行つた場合の新陳代謝を考えての養成人員でございますので、そのほかに新たに今申上げましたように、一年間に一万一千人ほどを養成せねばなりませんので、この養成に要する経費は早急に何とか措置する必要があるわけでありまして、我々の概算でありますが、昭和二十六年度におきまして約三千万円近くを要するという工合に計算をしておるわけであります。それで先ほど次長からもお話がございましたように、本法改正案審議いたしました海上保安審議会におきましても、この養成費は何とかせよという決議までしておるようなわけでありまして、この養成費につきましては、我々としましてはできるだけの努力をいたしまして、この養成に遺憾なきを期したいという工合考えておるわけでございます。  以上問題となりました点を簡単に御説明申上げました。
  8. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) 何か御質問ありますか……ちよつと私からお尋ねしますが、今までは漁船は二十トン未満の船には別に資格を限定してなかつたのですが、只今奥田課長発動機を据附けた漁船である以上、いわゆる優秀なる船長機関長を持つために優秀者をやつたほうがいいというお考えですが、それは私ももとよりこの点には異存はないが、僅か六、七トン、十トン未満くらいの本当の小型な乗船、それの船長はいわゆる船頭であつて、殆んど一定教育も受けてないというような人も非常に多い。そういう人に一々この小型船舶操縦士という免状を与えるためには、どういう工合試験課目があるか、どういう工合資格選定があるか、その点についてお述べ願いたい。
  9. 奥田孝

    説明員奥田孝君) その点は委員長のおつしやいます通りでありまして、我々もこの法案審議過程におきましても、そういう漁業界に無理な負担をかけるのではないかという点は、最も問題にいたしました点でございます。そういう点からいたしまして、この二十トン未満五トン以上の漁船につきましては、船長小型船舶操縦士という資格を要求いたしておりますし、又同じく五トン以上二十トン未満漁船で、四〇馬力以上のエンジンを有するものにつきましては、機関長としまして丙種機関士というのを要求しておるわけであります。そこで只今委員長がおつしやいましたように、そういう資格をきめますその試験が非常にむずかしいものであります場合には、漁業界で非常に困りますので、そういう試験施行に当りましては、十分漁業実体に即してやるように、そのことはたびたび保安庁のほうに申入れてあるわけでございまして、この試験の実施につきましては、今後もそういう趣旨保安庁交渉いたしまして、漁業界に無理な負担を与えないようにできるだけの努力をいたしたいと思つております。
  10. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) もう一つ、いやしくも免状を持つた船長が乗る以上は、船員手帳というものを備え付けることが必要だと思います。そうしてその船員手帳にはその日その日の出漁の位置或いは時間そういうものを詳細に記入することになつておりますが、そういう点はどうですか。
  11. 奥田孝

    説明員奥田孝君) 船員手帳はあれは船員法にいう船員が持つことになつておりますので、漁船につきましては三十トン以上の漁船についての問題でございます。ですから今後の二十トン未満漁船につきましては、そういう問題は起らないのであります。
  12. 千田正

    千田正君 今五トン以上二十トン以下の船舶免状という点につきまして、恐らくこれは今度の法案通つて試験を受けるということになれば、相当これは混乱をするような感もあるのでありますので、これと同等ではありませんが、同様な趣旨で今から三年前にあんまマツサージ法改正法案というやつが出たことがあるのです。そのときの法案内容は全部あんまマツサージ衛生学を勉強して、その試験を受けなければ実行させない。こういう法案でありましたが、委員会ではそれではなかなか大変だ、今までの既得の職業の者に対しての一応の苦しみを与えることであるから、今まで既得した権利を認て、これから受ける者に対しては試験を課すということであつたのですが、この二十トン以下五トン以上の試験などに対しましても、十分にこれは考えて、今までの既得権者に対しては、本当に簡単な試験をいたして資格を与えて、これからの試験を受ける人に対しては、一般常識試験を受けさせるというような方法に考えてやられるかどうか、この点を当該官庁であるところの海上保安庁あたり水産庁から強く申入れてもらいたいということを私は要望します。
  13. 奥田孝

    説明員奥田孝君) 只今の点御尤もでございまして、我々としましては、今度例えば百トン以上のかつおまぐろ漁船が、従来は船長乙種二等航海士でよかつたわけでございますが、今後三年間の猶予期間が過ぎましたあとは、船長乙種一等航海士でなければならんという工合レベルが上げられております。こういうような問題につきましては、従来乙種二等航海士として百トン以上のかつおまぐろ漁船船長をしておつたような人が、今度は乙種一等航海士免状を取らなければならないということになります。そういう際には十分従来の閲歴と申しますか、従来の経験を十分に加味して試験をやつてもらいたいということを保安庁のほうへ申入れてあります。それで小型船舶操縦士につきましても、同様に従来の閲歴というものを十分に参酌してやつてもらうように申入れてありますが、なおその点につきましては、遺憾のないように保安庁交渉をして見たいと思つております。
  14. 千田正

    千田正君 願わくば試験の点は、許可条件として、今までのいわゆる体験の期間というようなものを試験条件か、或いは許可条件の中に入れて欲しいということを特に水産庁からお願いしたいと思つております。
  15. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 まだこれは私はよく読んでないから、質問ができないのですが、概括的に今までのお話伺つた点などからいいますと、五トン未満とか、或いは十トン未満ぐらいの船は、大体船主が乗つて仕事をして来ておりまして、これは漁船資格或いは履歴といつたところで、誰が履歴を証明するか、殊に人に雇われている以上は、雇主が証明することがあるが、自分で船を造つてつていた者に対しては、その資格証明もなかなかむずかしい。又それらの人々が試験を受ける、学術、試験だの筆記試験だのと言つたら、とても一年や二年やつて見たつてできはしない。そうなると結局その人は漁をやめてしまうということになる。本当漁業は、これは漁をやつている人で、船を運行している人ではない。その漁をやつている人が、自分免状がないから免状を持つた人を雇うて乗せるというようなことになると、これは商売は成立たん。従つて、これは商売つたりというようなことになる場合も、私はかなり多いと思うのです。こういう点は、かようなふうに海員免状を持たして、順次レベルを上げるということには私は非常に賛成でありますけれども、そこまで行く過程において、三年なら三年という間にそれを準備完了するということは恐らくむずかしい。そこに人を殺さなければならぬという問題が私は起つて来ると思うのです。それでこの問題はもう少し私どもは研究したいと思うのですが、聴聞会なんかやらんのですか。
  16. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) これは大体本日の運輸委員会打切つて、そうして数カ所を修正するということに決定したという話をさつき聞いたのです。
  17. 青山正一

    青山正一君 これは今聞いたところなんですが、この次も質問を続行するそうです。今こちらへ来ておつた松浦委員の祕書の人が日本海員組合教育部長ほか五、六人連れて来ておるのですが、今水産庁意見として通してもいいというようなお話ですが、委員の皆様に非常に御迷惑がかかるわけなんですが、明日の朝もう一度委員会でも開いて頂いて、当面の責任者であり、この前拿捕のときに呼んだ漁船船員組合長である高橋君にでも明日こちらに来て頂いて、若し通して差支えないというならば、これはそのまま水産庁の言うままに認めてもよいし、若しどうしても直さなければならんというような意見があつたら、委員諸君によく検討してもらつて、そうして委員長のほうから修正点運輸委員会申入れるというような形で、もう一度今先輩の委員申入れたようなふうなことで、一つ明日でも会合を開いてそういうふうにやつたらどうかと思いますが、如何ですか。
  18. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) ちよつとお諮りしますが、まだ運輸委員会においては審議中でありますれば、先に千田委員秋山委員青山委員からの適切なる御主張、御意見もありましたので、連合委員会を申込んでそこで発表することにしては如何ですか。    〔「結構です」と呼ぶ者あり〕
  19. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) それでは連合委員会を開くことの申入をすることに本日決定いたしたいと思いますが、御異存ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  20. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) 御異議ないと認めます。直ちに運輸委員会連合委員会申入をいたします。その際に一つ詳細に互つてあらかじめこれを読んで、そうして御質問願いたいと思います。
  21. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 水産庁にお伺いしますが、今私の申上げたような懸念がありませんか。只今青山委員からお話の、この間の拿捕事件によつて見えたかたは、これは有資格者なんです。ああいう船は大体いいんですよ、もう五十トンとか遠洋に行く船は皆持つております。ところがそうじやなくて、十五トン未満のものは、試験を受けると言つたら大変な騒ぎになると思うのですが、そこで試験を受けるために勉強をするといつたつて、ああいう人は毎日自分で船に乗つてつて商売をしなければならんし、試験を受けるゆとりがない人があると思うのです。それでどうして試験を受けさすか、受けられなかつたら闇でやるより仕方がない、そこでわざと罪人を作るようなかつこうになりはせんか。そこに何か便法を講じないことには、日本の沿岸漁業を非常に圧迫することになりますよ。
  22. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) これは運輸委員会申入れます。
  23. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 もう少し内輪の肚をきめて置かなければならんと思うのです。
  24. 青山正一

    青山正一君 当面の松浦委員が明後日でなければ帰れんということですから、松浦さんも船員出身のかたなので、その問題は検討しておるし、運輸委員会もできるだけ明後日までに引延ばして頂いて、少し勉強をするということで、松浦委員にもいろいろ又折衝する余地を与えて置いて頂きたいと思うのですが……。
  25. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) 結構と思いますが、この小さい、ほんの親子兄弟が乗つて行くような漁船が非常に多いのです。殊に今三万隻と言われましたけれども、これは登録された船が三万隻かも知れんが、まだ多数あると思う。恐らく私は十万隻もあると思う。登録されただけでも三万隻ある。その船に対して一々試験をするとか、考査をするとかいうことが、行うことができるかできんかという実情も私ども心配するので、こういう点については運輸当局の方針をとくと聞きたいと思うのです。それで是非連合委員会で御発表願いたいと思います。
  26. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 海員組合とおつしやいますけれども、海員組合は船員が入つておるので、漁師は入つておるのではないのです。それとはもう一つ下なんです。そこで今二十トン未満ということをさつき言われましたが、現在まで二十トン未満では資格が要らないということのために、大きな船でも二十トン未満ということにしてやつて来た例があるのです。今後もそういうことが起るようなことになつて来て妙なものができ上る。のみならず漁業者が本当に漁をしておる、船を運航するのが商売じやなくて、漁をするのが商売で、それがために船を運航しておるので、これは技術の面においては何ら懸念はないけれども、試験ということになると恐らく通らんでしよう。学術試験なんかやられたら……そこは何としても一つこれは試験を受けないでいいか、或いは受けても通るようなほうに持つて行かんと、沿岸漁業者はもう総倒れにならなければならん。松浦さんがお見えになつても、松浦さんのグループ、に入つていない連中です。
  27. 青山正一

    青山正一君 日本海員組合のほうには、塩竈とか八戸の小型底曳が全部入つておる。その連中が全部大挙して海員組合のほうに押掛けて来ておる。そういうような意見を大分いろいろ海員組合のほうはやはり御聴取になつておられるだろうと思いますが、そういう意味合からこちらが申上げでおるわけであつて、決して海員組合のほうもそれ自身の主体性から考えているというわけでないので、八戸、塩竈、釜石というようなところにおる関係の人が殆んど全部今度海員組合に加入したのだろうと思う。その点からやはり高橋さんあたりが大分研究なさつておるのじやなかろうか、こういうふうに考えておりますので、それで先ほどのような申入をしたわけなのであつて……。
  28. 千田正

    千田正君 議事進行について、只今秋山委員、それから青山委員からも、との法案の問題につきましては、事小型の漁船の問題が、相当沿岸漁民の生活にも影響を及ぼす点があると思います。又画期的な問題と私も思いますので、これは水産庁或いは運輸省の御研究には敬意を表しますけれども、できるだけ委員会としてはもう少し慎重に研究したいと思いますので、次の機会において採決して頂くというふうにお願いしたいと思います。最も近い機会において運輸委員会とも協議、合同審査するということにいたしまして当委員会の意思を決定して頂きたい。
  29. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) 只今千田委員も言われたように、最近における運輸委員会連合委員会席上で十分疑問のあるところを各委員から主張をして頂いて、そうしてその後において水産委員会を開いて、そこで水産委員会としての決定事項をきめて、運輸委員会へ申込むということにしては如何ですか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  30. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) ではさように取計らいます。
  31. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 これは公聴会は開かないのですか。
  32. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) 大体審議は向うでは済んでおるそうです。それでこちらから連合委員会申入れれば、それは向うで開いてくれます。そこで十分こちらが質問をして、その質問の結果によつて水産委員会の態度を決定することにしたほうがいいと思います。先ほど決定したように……。  それでは本日の委員会はこれを以て散会いたします。    午後四時二十九分散会  出席者は左の通り。    委員長     木下 辰雄君    理事            青山 正一君            千田  正君    委員            秋山俊一郎君            櫻内 義雄君   政府委員    水産庁次長   山本  豊君   事務局側    常任委員会專門    員       岡  尊信君    常任委員会專門    員       林  達磨君   説明員    水産庁漁政部経    済課長     奥田  孝君