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1951-02-14 第10回国会 参議院 水産委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年二月十四日(水曜日)    午後一時三十六分開会   —————————————   本日の会議に付した事件水産物増産対策に関する調査の件  (太平洋漁場問題に関する件)  (臨時漁業災害復旧融資及び損失補  償法案に関する件)   —————————————
  2. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) 只今から委員会を開会いたします。最初に昨日総理大臣から発表になりましたダレス大使との交換文書新聞紙上で拝見しましたが、そのことで漁業協定前の暫定措置に対する往復文吉がありましたが、その点についてなお詳しく若し上御承知ならば、家坂長官から一応御説明願いたいと思います。
  3. 家坂孝平

    政府委員家坂孝平君) 昨日記者団のほうにも司令部側から発表があつたわけでありますが、過日ダレス特使が見えられたときに、総理との間に漁業に関する書簡往復されたのであります。その大体の骨子は、国際漁場保存発表に対する点につきましては日本は十分なる関心を持つておるということを、先ず第一に総理からダレス氏宛の手紙の冒頭に強調しておるのであります。それから第二は、講和締結後の漁業協定用意があるということをはつきりと書いてあります。それから第三点は、漁業協定の成立するまでの操業禁止漁場を明示しておるのであります。それから最後国際漁業に関しまして難視委員会というようなものを創設いたしまして、これを十分働かして、日本国際漁場に対する正しい行きかたをするということを附け加えてあるわけであります。大体の骨子はその四点に盡きるのでありますが、その内容につきましては、大体この文をお読みになればおわかりになると思いまするが、第一点の国際漁場保存発展に関する関心を十分持つておるということに関しましては、日本国民食糧供給源として魚に依存することが大きい、従つて日本国民漁場保存発展に特別な関心を持つておるのだということを先ず強調しております。  それから日本政府は、公海にある漁場保存発展の問題は困難な問題であり、且つこれらの漁場はその保存発展のために協同して行動しない限りにおいては速かに枯渇するかも知れないということをはつきりと認識しておる。或る国々は、自国の漁民が容易に漁礁することのできる近い公海漁場資源枯渇を防止するために、国際協定や自発的な、自制的な法令を採択しておる。又これらの保存漁場を他の国々からの無統制な漁業に任せたならば、その結果は国際的摩擦漁場自体枯渇に終るであろうという事実を我々はよく承知しておるということを書いてありますが、この最後の或る国々はということは、主としてアメリカカナダ方面のことを示しておるのじやないかと思います。  それから第二の講和締結後の漁業協定用意があるということは、こういう字句で表現しておるのであります。日本政府日本への完全な主権回復の後、でき得る限り速かに日本及びこのような他の国々国民が接近できる漁場発展保存のため、公正な取きめを作成する目的を以て交渉を行う用意がある。こういうふうに表現しております。  それから漁業協定成立までの操業区域というようなものに対してどういう考えを持つておるかということをその次に謳つておるのでありまするが、それは協定のできるまで日本政府は、濫獲から保護するために国際的又は国内的処置によつて措置がすでにできておるすべての水域における現在保存漁場で、且つ日本国民又は日本船が一九四〇年に操業していなかつた漁場では、自発的措置として日本国民及び船舶漁場操業を禁止する。一九四〇年というのは太平洋戦争の始まる前の年であります。その当時日本漁船操業していなかつた漁場では漁業をやらないということを謳つておるのであります。併しこれは日本政府が有する国際的権利の放棄を意味するものではありませんということもはつきりとこれに附け加えてあります。このような漁場の中には東部太平洋とべーリング海水域のさけ、ハリバツト、にしん、いわし及びまぐろ漁場が含まれておるということは、東太平洋アメリカ側カナダ側の魚は取りには参りませんということを示しておるものであります。  それから最後国際漁場監視委員会の創設の点に触れておるのでありますが、日本政府は前記の措置が完全に遵守されるようにすることを任務とするところの政府及び業界、業者の代表者で構成するところの委員会を設立いたします。そうして関係外国政府の正当に任命された代表者オブザーバーとして委員会に出席するよう招請しますというような形の委員会を作るということであります。委員会が違反をしたと認める者は厳重に処罰する、この処罰には漁業免許の取消しを含むということも書いてあります。大体の骨子は以上のような筋で書いてあるのであります。これに対しましてダレス特使から総理大臣宛に返事があるのでありまするが、向う側もこの日本の述べたこれに対して非常に満足の意を表しておるのでありまして、なお合衆国政府としても、自分の信ずるところによれば他の関係政府平和條約によつて日本への完全な主権回復の後、直ちに両国の国民が接近できる漁場保存発展のため公正な取きめを作成する目的を以て交渉を行う用意がある。向うでも日本と同じく講和締結後そうした締結を、漁業協定を結ぶ用意があるということをはつきり書いて来ておるのであります。まあ大体そんな往復文書内容でありまするが、これを大観いたしますると、日本が今まで世界各国から侵略漁業であるというようなふうに解釈されておつたのでありまするけれども日本側が今後は資源維持その他の国際的信義に基きまして、十分愼重な態度で国際漁場に臨むという意思の発表と、それから各国と結ばれるべき漁業協定というものは、講和締結後にやりたいというようなこと大筋としてここに謳つてあると考えておるのであります。まあ大体骨子でありまするが内容につきまして御報告申上げます。
  4. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) 何か御質問があつたら……。
  5. 青山正一

    青山正一君 只今詳しく本日の新聞紙上に出ておりました講和條約と漁業の問題についていろいろ意見を承わつたのでありますが、この問題は非常に結構だと、こういうふうに考えておりますが、ただ申上げたいことは、お聞きしたいことは、このアメリカ側のいわゆる百五十マイル説というものと、今度の首相ダレス氏の手紙関連性は一体今後はどうなるかという問題と、それから第二点として、今度の書簡にいわゆる以西底曳関係、或いは北千島とか北海道関係、勿論オホーツク海とかべーリング海とかいうような字句も出ておつたのですが、この近廻りの、日本の内地に近い北千島或いは北海道関係漁場、そういつたような結附がないのでございますが、これをどういうふうに政府が解釈しておるかという問題と、それから第三の問題、マツカーサー・ラインは、講和條約が結ばれた後にこれは勿論外されるわけでありますが、その際において只今申上げました以西底曳漁業、いわゆる南支那海或いは東支那海、黄海、こういつた関係漁場、これは大体中共なり或いは北鮮とか南鮮、こういつた方面政府と大体話合わなければならん、こういうふうに考えておりますし、それから又先ほど申上げましたアメリカ側に接近していない北千島とか北海道、いわゆるソ連領との結附関係のある所はやはりソ連との話合い考えると申しますか、漁業條約を結んで行かなければならんということになりますかと思いますが、その際に、私この間質問したように、やはり全面講和でなければいけないのではないか、或いは漁業條約を結ぶにしましても、中共とか北鮮、或いはソ連漁業條約を結ばなければいかんというふうなことになりますと、マツカーサーラインが外れた後に、一体日本船舶がそのラインの外に出た場合に、中共なり或いは北鮮なり、或いは南鮮なり、ソ連に今でさえいろいろ拿捕されている問題が非常に多いわけですが、こういつた問題が非常に大きく出て来るだろうと思いますが、そういうふうな点については、政府自身はそこまで考えておられるのですか、どうなんですか。又今度の書簡にそういうものがどういうふうに影響されるわけなのですか、その点についてお聞きしたいと思います。この三点です。
  6. 家坂孝平

    政府委員家坂孝平君) アメリカ側が百五十マイル説を唱えておるというようなことは仄聞しておつたのでありまするが、この書簡往復文書によりましてもわかりまするが、漁業協定はすべて講和條締結後に讓ろう。とにかく講和締結するまでは先ほど説明を申上げましたうちにありまする一九四〇年の姿に立帰るようにして参りたい、かような意味合いであるのでありまして、現在の百五十マイルという説をアメリカ側が持つておるやに聞いておりますけれども、すべては漁業協定締結の際に改めて話合おうではないかという考え方が織込まれておるものと考えておるのであります。  それから以西底曳などに全然触れておらないのでありまするが、これはこの話合いは、ダレス特使としてはまあアメリカを主体として大体話をざれた、ようでありまして、以西底曳或い北洋水域というようなものにつきましては余り話が出なかつたのではないかというように私は考えております。  それからマツカーサー・ライン講和條締結後におきましては当然除去されるものと考えまするが、そうなつた場合には、隣接国家との間にいろいろ拿捕事件とか、そういつた紛争問題が起きるということも想像されるのであります。併しこれは勿論隣接国家との間に個々にやはり漁業協定を結ぶことによつて、安定した漁業操業されるものと考えますので、その協定ができる国とはそう紛争もないのではないか、かように考えますが、ただ協定のできないような状態におかれる隣接国家もあると考えられますので、その点は非常に不安の気持もあるのでありますが、そのときは勿論講和條締結後でありますから、日本自体もそれに相当保護政策をとつて漁船の安全を考えて行くことにせねばならんものと考えております。
  7. 青山正一

    青山正一君 只今長良から御意見を承わつたのでありますが、改めて再確認いたしたいと思いますが、第一の問題は講和條締結後に譲るとなれば、つまり百五十マイル説という気持アメリカ側にまだあるものとみなされるわけですか。  それから第二の問題は、以西底曳とか或いは北洋水域ですね、これは今度の発表に話が触れていない、こういうふうに解釈していいわけなんですか、どうなんですか。  それから第三は、中共とか或いはソヴイエト、朝鮮と若し仮に漁業協定というものが講和條約後にできないとすれば、拿捕されても仕方がない、いわゆる自衛権の発動もそういうようなところに自然的に生れて来るものとみなしていいかどうか、この三点について改めてお聞きしたいと思います。
  8. 家坂孝平

    政府委員家坂孝平君) 大分外交問題のようなむずかしい問題で、私十分自信のあることを申上げることができないかもしれませんが、講和締結後になりましてからアメリカが百五十マイル説を固執するかどうかということは、なかなか見通しとしても判断が付かんのでありまするが、これは相当交渉が続けられれば、必らずしも百五十マイルというようなものが結果として生まれるという場合のみではないと私は考えるのであります。こうした書簡が取交わされたのでありまするが、これによつて相番よい反響もあるかと思いますので、この点につきましては十分私どもも、百五十マイルというようなことで一旦アメリカあたりと話でもきまるとしますると、その後における各国との協定に大きな響きがあると考えますので、この点はできるだけ短い距離で話合いを付けるようにしなければいかんと、かように考えておるのであります。  それから以西底曳等の点でありまするが、それは確実に私は総理からその話を聞いたわけでもないのでありまして、先ほども私はそう考えておると申上げたのでありまするが、恐らくソ連側或いは中共側関係いたしまする水域の問題につきましては、余り深い話は勿論出ていなかつたのじやなかろうかと、私は想像しているのであります。それからソ連中共との今後の、多数講和になりますか単独講和になりますか、講和條約が締結された後もソ連或いは中共との紛争問題があるということは、或いは事実となつて生れるかも知れません。知れませんけれども、これにつきましては日本側といたしましては、主権回復した形におきまして、十分みずからやはり自衛して参らなければいかんと、かように私は考えておりますし、政府もその方針で行くものと私は想像しておるのであります。
  9. 青山正一

    青山正一君 委員長ちよつとお伺いしたいのですが、先ほど参議院の委員会におきまして、ダレス氏に対するいろいろな水産の行き方というものについて決議をいたしまして、そうしてダレス氏のほうに行かれまして出したというふうなことで、その衝に当られました委員長として、今度の書簡に対してどういうふうにお考になつておられますか、その点について承わりたいのです。
  10. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) 私は今回のダレス特使吉田首相との交換文書は、大体において来るべき漁業協定内容を示したものではないかと、かように思います。例えば百五十マイル、二百マイルとかいう代りに、もとより暫定措置でありますけれども日本漁船は、他国が国際的協定をしている漁業、或いは国内的にすでに措置をしている、保存区域というような措置をしている所へは日本漁船はやらないのだ、併しながら飽くまでも公海漁場の原則は守つて行くのだ。一九四〇年、即ち昭和十五年までの日本出漁漁船に対してはその実績を認めるのだというふうに書いてありますので、私は漁業協定は大体この線を確認して協定するのではなかろうかと想像しております。百五十マイル・二百マイルとかいう説を若し向うとして主張した場合には、日本としては飽くまでもこれに対抗して拒否して行かなければならんと、こう思つております。それから今のマ・ライン撤廃後におけるいろいろな漁場の不安については、日本としてできるだけの自衛をせねばならん。これは当然水産庁も保安庁も考うべき問題だろうと思つております。それでいま一つ私は疑問に思つているのは、いやしくも日本漁業に対してこういう協定をする場合に、水産最高行政機関たる水産庁長官政府として、吉田首相として、何か話があつたかどうか、事前に何か長官に話があつたかどうか、それを私は承わりたい。
  11. 家坂孝平

    政府委員家坂孝平君) この問題につきましては、個々の問題につきまして外務省側から相談があつたのであります。大体私どもの意向もよく打診せられまして、そして作成されたものと考えております。
  12. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) 何かこの問題  について御意見なり御質問があれば、御質問がないのでしたらこの問題はこれで打切りまして……。
  13. 千田正

    千田正君 ちよつと今の、本日の新聞を見て非常に我々も疑問を生じて来ると同時に大きな問題として将来の問題が出て来るのじやないかと思うのですが、べーリング海峡その他のいわゆる千島からかけてのあのラインに対して、仮にここに日本政府並びに業界から新らしく委員会が設けられた場合、或いはオブザーバーとして関係国が出席するという場合におきまして、勿論本百の新聞等は、当然アメリカ日本だけの問題に限られておるようでありますが、将来この海を中心として起きる問題はソ連との問題が起きて来ると思うのですが、そういう問題に対しては、今のところは何とも言えないだろうと思いますけれども、将来はどういうふうにこうした問題を、競合して来る問題に対してどういう対策をとられるか。さつきの話に、拿捕される船舶、或いは漁船という問題に対して正当防衞的なこと的なことしか言つておらない。何か私どもはそこに戦争的な雰囲気が感じられるのでありますが、それ以外には平年的にこれを解決しながら日本漁場の獲得とか或いは日本水産業の将来の発展を画すべき何物かを我々は考えなくちやならんと思いますが、その点について水産庁長官としてお考えがあるとするならば、この際御披瀝を願いたいと思います。
  14. 家坂孝平

    政府委員家坂孝平君) ソ連並び中共あたりがどういう形で講和條約の締結に至るか、私どもとしましても判断に非常に苦しんでおるのでありますが、一応ここでどれだけの国と講和條約の締結が成立するかはつきりとわかりませんけれども、とにかく一応そうした国に関しては主権回復できるのでありますから、その主権の下に外交七五を講じて、できるだけソ連側或いは中共側と十分なる漁業協定を結ばれることを念願するものでありますけれども、併し講和條約が締結されない国とそうしたことが果して円満に行くかどうか、これは非常にむずかしいこととも考えられまするので、なかなか容易ならんことだと考えておるのでありますが、できるだけ第三国あたりの斡旋というようなものも考え得られますので、我々水産界といたしましては、とにかく何らかの協定に漕ぎつけて、そうして紛争のできるだけ起きないように、平和的な漁業のできるように取運んで参りたいと考えております。
  15. 千田正

    千田正君 もう一つお聞きしたい。らつこ、おつとせいに関する問題が今日の新聞に出ておりましたが、このらつて、おつとせいの協定日本は参加することを許されるとするならば、どういう範囲で、どういう條件の下に或いは許されるかということについては、何か見通しがございますかどうか、その点も伺つて置きたいと思います。
  16. 家坂孝平

    政府委員家坂孝平君) らつこ、おつとせいの條約につきましては、今全然この條約問題にからみまして研究を続けてはおりませんのでありまするが、これはソ連アメリカなどと共にこれが締結されておる関係もありまして、今このおつとせい、らつこ條約に参加するか或いはしないかというようなことは、今のところ研究の課題として取上げてはおらないのでありまするが、これはやはり機会をつかみまして條約に参加して、安全に取運ばなければいかんものと私は考えております。
  17. 青山正一

    青山正一君 只今千田さんからいろいろ御質問がありましたのですが、それに関連してお聞きしたいと思いますが、今のところ日本としてはアメリカその他、ソ連とか或いは中共を含まない單独講和方針で進んで行くように考えられておるわけでございますが、こういつたその單独講和なつた場合におきまして、少くともソ連とか或いは中共側に対しては主権回復とは言われないはずですからして、これはなかなかむずかしい問題だろうと思いますが、これに対して水産庁長官気持として、果してソ連とか中共に対して、こういうふうな状態ならば漁業協定が結ばれるかどうかというお気持のほどを承わりたいと思います。
  18. 家坂孝平

    政府委員家坂孝平君) 私は非常にこれはむずかしい問題だと思います。併し日本近海におきまして最も優良な漁区を持つておりまするソ連並び中共周辺水域におきまする操業が、何らかの形で協定を結んでできることを本当に念願するものでありまするが、これはなかなか日本單独ではむずかしい点もあるのではないかと考えられますので、先ほどちよつと申上げました第三国の協力、支援を得まして、そうして何らかの形で操業が安全にできるように持つて行けないものであろうかというような程度のことを考えておるわけであります。
  19. 千田正

    千田正君 ちよつと一言だけ、これは或いは速記をとめて頂かなければならんかどうかわかりませんが、さつき、若しもこの水域において日本漁船その他が拿捕される、或いは妨害された場合において、日本がこれは自主権回復した後において止むを得ず防衞しなければならない。そういうふうに承わつておりまするが、果してここ二年や三年の期間の中にそういうような誠に悲しい事実が起きた場合において、日本防衞態勢において一体それを防衞し切れるかどうか。若しし切れない場合において、今の日本と條約を結んだ相手国、或いはアメリカ或いはカナダ、こういうようなところは共同の防衞に当つてもらえるのかどうか、或いは全然日本一員として自主的にこれを防衞しなければならないか、こういう問題は将来大きな問題になつて来ると思いますが、若しもここで特にその点についてはつきりお話願えれば、非常に我々は心構えを持つ上において参考になると思いますが、この点については如何でございますか。
  20. 家坂孝平

    政府委員家坂孝平君) 大変むずかしい問題でありますが、まあ私の心情といたしましては、防衞というような言葉は少し強過ぎるかも知れませんが、まあ自衛するというような形で保護をしながら操業をするというような程度操業を続けたらどうかと、かように考えておるわけでありますが、これもむずかしい問題でして、簡単に自衛権操業が本当に安全を期して行かれるかどうか、実際の漁業者がそんなことで乗り出すかどうかということも甚だ疑問の点もありますけれども、何とか保護的な政策を施すなりして、できるだけ増産を続けたいと、こういうふうに考えておるのであります。
  21. 千田正

    千田正君 なぜ私はこういう質問をしたかと申しますというと、若しも日本自衛権なるものが貧弱なために完全に漁船操業できない、或るいは飽くまでも日本漁業を守るために日本が、そこに日本自衛権の主動力というものを結集した場合において、第三次世界大戦というようなことが不幸にして、私は書いたくないのでありますが、日本のいわゆる水域繞つてそういう問題の発端になる虞れが多分にあるから、私はあえて御質問申し上げたわけなんであります。我々は勿論戦争を好むものではないし、平和のうちに産業をどんどん推し進めて行きたいと思うのでありますが、不幸にしてそういう事態が起きた場合に、日本は力がないから泣き寝入りをしなければならないのかどうか。飽くまで日本は平和的に漁業を守らなければならないという場合において、そこに日本外国との間に或いは何らかの外交上の紛争をかもすような発端がそこに起きるとするならば、我々は水産業としてのために悲しむ。我々として、国民として相当に慎重に考えなければならないという点がありますので、あえて私はその点についてお伺いしたわけであります。
  22. 松浦清一

    松浦清一君 水産庁長官にこんな重大な問題をお伺いするのは、答弁も非常にお困りになると思いますけれども、今日御答弁にならなくても、單に水産庁という立場でなしに、日本政府講和後における日本水産業のありかたについての方針をきめて後刻御回答頂きたいと思うのですが、今問題になつておりまする講和条約日本漁業権の問題というものは非常に重大な関係があると思うのであります。我々はまあ未だに全面雄和説というものを捨てないでいるのですが、これは好むと好まざるとにかかわらず、ダレス特使が訪日されていろいろ残して行かれた言葉の中から考えて見ても、世界のいろいろの情勢から考えて見ても、單独講和乃至は多数講和可能性というものは非常に強まりつつある。若し多数講和というようなことになると、極東委員会の十三カ国のうちの十一カ国、即ちソ連中共を除いたその他の国家群との條約が結ばれる、講和條約が結ばれる、こういうことになるのです。そうなると、その国々との交戦状態というものは終結いたしますけれどもソ連中共との交戦状態というものは終結しないわけなんです。今日の新聞で見ると、吉田首相ダレスさんとの書簡往復によつて日本漁業の問題というものが講和條締結後においては戦前の状態に復帰される、こういう非常に、まあ明るいようなことが報道されているのですが、日本漁業の一番肝腎なところと言えば、今以西底曳をやつている支那海北洋である。若し講和集約ができて、日本漁業権が拡張されるという面よりも、今よりも拡張されないという面が非常に多いわけです。例えばマツカーサーラインというものが排除せられても、アメリカその他の国々との関係というものは講和條約の締結によつてマツカーサーラインが除去されるということになつても、現実の東支那海における漁業というものは解消されないわけですね。地図の上に引かれたマツカーサーラインが取られても、中共日本漁業関係においては交戦状態にありますから、漁業協定だけが、そう簡単に結ばれるということが予想できないわけであります。そうすると日本マツカーサーラインが排除されたから、やはりその方面に出漁しようという努力が拂われるに違いない、そのために今問題になつている自衛方針というものが立てられるに違いない。日本の独立の立場において自衛するか、或いは国連の協力を得て自衛するということになるかわからんけれども、どつちにしたところで日本の船に対する護衛が行われるということになるわけですね、これは想像して見ると……。そうなると中共は、日本漁船東支那海に現在のマツカーサーラインを越えて入つて来られるということに対しては、現実の利害というものが中共と非常に衝突するわけです。今までの中共の態度から見て……。そうすると向うは来させまいという努力が拂われる、今でさえラインを越えてない船でも拿捕して行こうとする傾向がだんだん顯著になりつつあるときに、やはり向うに行けば、日本漁船に対して妨害をしようという行為が現れて来るということも予想できるわけです。その妨害を排除しようとして日本がいわゆる自衛権を発動しようということになれば、ここにやはり一つの衝突が起る。ちよつと速記を……。
  23. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) ちよつと速記をとめて……。    〔速記中止〕
  24. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) 速記を始めて下さい。
  25. 松浦清一

    松浦清一君 これからの日本水産業というものは鐚一文にもならないということになる。だから今の日本だけでどうにもならないという、講和に対する立場は、これはよくわかるけれども日本水産業という立場から考えて見ると、そういう障害を除去するためにこの水産業の立場から非常な努力を拂わなければならん。全面講和という夢みたようなことを言うなと考えるかも知らんけれども、やはり業を守る立場からその方向に向つて少しでも、鐚一文にもならないところだけ解放されても、権利が與えられても何もならないのであるから、実質的に日本漁業というものが、これから大いに操業のできる方面講和條約というもので持つて行かれるように、日本政府の努力が拂われなければならん。よしその努力が拂われても不可能だつたとしても、賢明な努力が拂われなければならんと思うが、その点について日本水産行政の立場からどういう態度を今日までとり来り、又将来講和條約の結ばれるに至るまでの過程において努力されようとしているかということの日本政府としてのお考え方を、長官だけにお答えを求めても無理であろうと思いますから、よく御相談の上で後刻お答えを願いたい。
  26. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) これは大きな問題であるからして十分一つ御協議の上、近き将来における委員会において御発言願いたいと思います。場合によつたらこういう問題に対しまして外務省並びに農林大臣の出席を求めてもよろしうございます。
  27. 松浦清一

    松浦清一君 そうですね。
  28. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) ほかに質問がございませんければ、本問題はここで打切ります。   —————————————
  29. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) 臨時漁業災害復旧融資及び損失補償法案というものが、この前奥田課長に一応この委員会で説明を求めましたが、これをできるだけ本国会において実現したいと思いますので、更にこれの説明を求めます。
  30. 奧田孝

    ○説明員(奧田孝君) それでは臨時漁業災害復旧融資及び損失補償法案の内容につきまして簡単に御説明申上げます。  この法案で考えておりますることは、昭和三十五年中に起きましたキジアとかジェーンというようなああいう颱風によりまして、漁業者が損害を受けました場合に、その損害復旧のため資金が要るわけでありますが、その資金を農林中央金庫又はその他の銀行から借りました際に、政府が一定限度の融資の損失補償を付けるということが内容になつております。その補償の限度は、この法案の第五條にありますように、総額が三億円という限度を限りまして、政府が金融機関と損失補償を結ぶ、こういうことになつておるわけでざいます。  それでなおそれに附加えまして、都道府県も同じような損失補償契約が金融機関と結び得るということが法案の内容になつております。で三億円という限度を算出いたしました基礎につきましては、お手許に配りました資料の一番最後にありますが、大体損害額の七割を要融資額、つまり融資を要する額といたしまして、その要融資額の漁船につきましては一割、漁具その他の施設につきましては二割の損失補償を付けるという計算をいたしますると、補償限度が約三億になりますので、三億を限度ということにいたしておるわけであります。結局この問題はもう過ぎ去りました災害による復旧のための融資を円滑にしようということで、少し時間がずれておるじやないかというような感じをお持ちになると思います。が、私どものほうで現地を調べて見ますると、昨年二十五年中における災害で災害を受けました漁業者の復旧状態を調べて見ますと、正規の金融機関から融資を受けているのは誠に少ないのであります。でどうしているかと言いますと、例えば網にいたしますと網屋から掛け買いをしているとか、或いは漁船の修理にいたしましても造船所に借りてやつておる、或いは親類から借りたり、或いは高利貸から借りたり、そういうような非常に不健全な融資の受けかたをして何とかやつておるという実情でございますので、こういうような措置を講じまして、銀行からの融資が円滑に行くようにするということは、漁業者にとりまして誠に必要な措置であるのではないかという工合に思つておるわけであります。一応御説明を終ります。
  31. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) 内容について御質問がありましたらお願いいたします。
  32. 千田正

    千田正君 この法案は非常に結構ですが、私はこれについて一応お伺いしたいと思うのは、これは勿論漁具、漁船その他漁業用施設に対する災害復旧融資でありますが、先般来陳情しております、例えば私の県で言いまするというと、宮古湾、湾内に曾ての颱風のために川上から流木がやつて来て、そうして直径五尺或いは三尺というような木の根が丁度山中の湖水のように湾内に沈没しておる。そのために漁船が航行或いは操業できない、こういうような災害に対してはどういうような方法においてこの復旧の方法をやつて頂けるかという点について、これには載つておりませんが、水産庁としての考え方を追加して考えて頂きたいと思います。この点如何ですか。
  33. 奧田孝

    ○説明員(奧田孝君) 災害の種類につきまし冨は一応この案では別紙に掲げておりますような、大体颱風とか或いは水害というものでこの案ができておりますが、只今仰せになりましたようなその他いろいろな災害があるわけでありますので、我々といたしましては初めこういう一応限定された災害に対する対策としまして一応スタートいたしまして、今後はそういう災害の種類をだんだん拡大して行く方向に行つたらいいじやないかという工合に考えておるわけであります。
  34. 青山正一

    青山正一君 この法律案は至極結構で、ございましてこれからどしどしこういうふうな法律案を出して頂きたいと思いますが、ちよつとこの法案と関連性がありますからお聞きしたいと思いますが、例えばジエーン颱風によりまして大阪の中央市場にありまする生産者の荷物なり、或いは卸売業者、或いは仲買の手持品が三億なり四億近い損失を受けたというような事情もはつきりしておるのでありますが、そういうようなものに対してはやはり農林省としては、この法案には勿論かかつておりませんですが、何かお考えがあるのですか、どういうのですか、その点についてお聞きしたいと思うのであります。
  35. 奧田孝

    ○説明員(奧田孝君) 流通関係業者それから加工業者等の災害の復旧につきましても何かの措置が必要だと、我々はもう痛感いたしておるわけでございますが、只今のところ一応漁業者だけにつきましてこういう措置を講じまして、加工業者、流通業者の面におきましては今後の施策に待ちたりというように一応考えておるわけであります。それは非常に我々といたしましては心苦しいわけでございますが、一応こういう措置の芽をとにかくそこに伸ばすという意味におきまして、小さく生んで大きく育てるというような方向へ行きたいと思つておりますので、青山議員のおつしやりましたような流通関係業者の関係は、これからは抜けておるわけでありますが、その点は一つ御了承をお願いしたいと思うのであります。
  36. 青山正一

    青山正一君 私は先般このジェーン颱風で、委員長の命令によつていろいろ視察を命ぜられたわけでありますが、只今の法案とは全然関係はありませんですが、又多少関係ありとも見られるわけでありますが、このジェーン颱風によりまして大阪の中央市場におきましてその倉庫にありました生産者の手持品、或いは荷受業者、或いは仲買業者の荷物が殆ど三億、或いは四億近くのものがだめになつた、それに対して何か金融的に政府として、今までにいろいろ陳情もあつただろう思いますが、何か措置考えておられるかどうかということについて長官に一つ承わりたいと、こういうわけです。
  37. 家坂孝平

    政府委員家坂孝平君) 只今大阪の市場のお話でありまするが、これは恐らく私陳情のあつたということを覚えておりませんですが、たしかなかつたのじやないかと思つております、話は聞いておりますけれども。こうした風水害に対しましてそうした市場側の商品に対する損害というものに対しましては、今のところ水産庁といたしましてはこれを立法化しましたもので補償するとか、或いは資金の面倒を見ようというようなことは考えてはおらないのでありますが、併しそうした苦境にあられるかたがたから資金の斡旋というようなお話があれば、私どもはできるだけ努力してもらいたいと、かように思つております。
  38. 秋山俊一郎

    ○秋山俊一郎君 この法案によりますと、補償限度について一〇%、二〇%という区別があるようですが、漁船を一〇%にした理由はどういう理由によるのですか。
  39. 奧田孝

    ○説明員(奧田孝君) 漁船につきましては一応漁船保險という制度がございまするので、ほかの業務と区別いたしまして一〇%に下げたわけでございます。
  40. 秋山俊一郎

    ○秋山俊一郎君 成るほど漁船に対しては漁船保険の制度がありますが、併し漁船保険というものは、漁船のすべてが網羅されていないと思います。そうした場合にただ一部の船が保険制度があるから、他の船も一〇形しかやらないということは手落はでないか。又保険制度がありましても、これは結局ただで現金を拂うわけではないのでありまして、保険を掛けてない船も相当ある、と思いますので、ここに区別をすることは如何かと思うのですが、区別しなければ工合が惑う、ございましようか
  41. 奧田孝

    ○説明員(奧田孝君) 実は漁船につきましては現に漁船保険という国家のそういう施策があるのであるから、こう一いう損失補償の対象から除けという議論もございますのですが、我々といたしましては、成るほど漁船については漁船保険という制度がございますが、漁業者漁船保険を利用しておる実態を見ますると、漁船の船価の極く僅かの部分しかその保險によりまして愼補されないというような保険の利用をいたしております。それと保険に掛けておらない漁業者も現実の問題としてあるわけでございますので、それでそういうことを考え合せまして、一応損失補償の対象にはするけれども、併し全然そういう損失救済の制度のない一般の業務と同一に扱うのもどうかと思いまして、一〇%と二〇%という差別を設けたわけでございます。
  42. 秋山俊一郎

    ○秋山俊一郎君 重ねてお尋ねしますが、そうしますとここの漁具二〇%、その他二〇%とありますが、このその他はどういうものを指しますか。これは保険にかかつてないもののみを含むわけでございますか。
  43. 奧田孝

    ○説明員(奧田孝君) その他と申しますのは、主に養殖施設の、ごときものを指しておるわけであります。
  44. 秋山俊一郎

    ○秋山俊一郎君 何かはかに建物その他工作物というものが入つておるわけですか。
  45. 奧田孝

    ○説明員(奧田孝君) それも入つております。入つておりますが、養殖施設というものがこの中で主な部分を占めております。
  46. 秋山俊一郎

    ○秋山俊一郎君 細かいことを押問答するようですけれども、保険に入つておるから一〇で、入つてないから二〇%ということになると、その他の中にもいろいろなものが出て来んかと思うのですがね。従つてこれは一律に三〇%として置くほうが私はいいのじやないか、こう考えるが如何ですか。
  47. 奧田孝

    ○説明員(奧田孝君) 一応その他の施設でもそれは保険に掛けておるものがあるわけでありますけれども、それは別に国家としてそういう施策を講じておるわけで、ございませんで、漁船保険と一般の保險とはやはり区別せねばならないんじんやないかという工合に考えまして、こういう差別を設けたわけでございます。
  48. 秋山俊一郎

    ○秋山俊一郎君 やはり漁船も、すべて保険に掛かつておるものは国家保護を受けておらんのです。民間会社に保険を掛けておるものもあるわけです。そうなつて来ますと、そこに或る程度の矛盾が起るわけですがね。これは私はもう一様に同じ%で行くべきものだと思うのですが、そういう努力を拂つてこの法案は齋しく二〇%で行くように御盡力願いたいと思いまする
  49. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) 大体この法案は、皆様がお差支えなければ議員提出にいたしたらと、かように存じます。議員提出の場合に十分検討いたして頂きたいと思います。
  50. 松浦清一

    松浦清一君 簡單ですから坐つたままで質問いたしますが、第三條の「農林中央金庫又は主務大臣の指定する金融機関」という「主務大臣の指定する金融機関」というのはどういうものを指しておるのですか。
  51. 奧田孝

    ○説明員(奧田孝君) これは大体銀行を指して……。
  52. 松浦清一

    松浦清一君 普通の市中銀行と解してよろしうございますか。
  53. 奧田孝

    ○説明員(奧田孝君) 無盡業とか信託、そういうものは指定しないという意味で、銀行を指定しようということに考えておるわけであります。
  54. 松浦清一

    松浦清一君 これは勿論中央的な銀行、それから地方の銀行も含まれておりますね。市中銀行全体と解してよろしうございますね。
  55. 奧田孝

    ○説明員(奧田孝君) これは銀行というのはそういう筋を指定して行くのじやないかと考えております。
  56. 松浦清一

    松浦清一君 重ねて、第五條の第一項の真ん中頃から、「当該損失額から前項の規定により政府が補てんした額を差し引いてえた額を限度としてその損失を補償する旨の契約を、融資機関と結ぶことができる都道府県が融資機関と契約を結ぶことができる、こういうふうになるのですか。そうすると都道府県が融資機関とそういう損失補償の契約をして、「政府が補てんした額を差し引いてえた額を限度としてその損失を補償する」という意味は、その差額ができるというときには、これは政府が補償するということになるのですか。大変突飛なお伺いになるかも知れませんが、意味がちよつとわからないのですが……。
  57. 奧田孝

    ○説明員(奧田孝君) お答えいたします。政府と都道府県がそれぞれ損失補償を結んだ場合に、或る焦げ付きができまして、それを補償せねばならんという事態が生じました際に、どちら側のほうの損失補償が優先するかという問題が起りますので、その際は政府のほうで先ず損失補償をいたします。そうして残つた額につきまして都道府県が損失を補償する、こういうことになるわけであります。
  58. 松浦清一

    松浦清一君 意味はわかりましたけれども、どうなんですかね、こういう法律を作ると、都道府県にその義務が生ずるということになるわけですか。
  59. 奧田孝

    ○説明員(奧田孝君) この第二項は、都道府県はそういう損失補償契約を結ぶことができるというわけでありますので……。
  60. 松浦清一

    松浦清一君 しないでもいい……。
  61. 奧田孝

    ○説明員(奧田孝君) しないでもいいわけです。これは都道府県にそれだけの財源がなければできませんので、「できる」ということでございます。それでなお申上げますと、この第二項がなくても都道府県はできるのでありますけれども……、ですからこの第二項があるために都道府県はそういうことができるというのじやなくて、この第二項を設けることによりまして、一般に都道府県がそういうことをなし得るということを明らかにすると兵に、都近府県に対するまあ一種の勧告的な意味を持つ規定だと思つておるわけであります。
  62. 松浦清一

    松浦清一君 それではこういう工合に了解すればよろしうございますね。都道府県が水産業に対して非常に同情があり親切である場合には、融資機関が安心をして業者に金を貸してやるということができるようにその補償をする、親切でないところはしないでもいいので、義務附けるわけじやない、親切な心を喚起する條文である、こう解釈すればいいわけですね。
  63. 奧田孝

    ○説明員(奧田孝君) そうです。
  64. 松浦清一

    松浦清一君 わかりました。意味がわかりました。それから第六條の、第五條の第三項から引続いての関連ですが、この審査会というのは二十人……、中央だけにこしらえるわけですね。
  65. 奧田孝

    ○説明員(奧田孝君) 実は審査会につきましては、関係方面から審査会というものが一般的に再検討の要があるというような指示がございますので、この審査会につきましては、或いは設けないほうがいいのじやないかという工合に考えられるわけでございます。私どもとしては、むしろこの案から審査会の規定を除いたほうがいいのじやないかというように考えております。
  66. 松浦清一

    松浦清一君 そうすると、ここに規定されてある関係の、天災によつて被害を受けた額というものは、もうすでにはつきりわかつているわけですか、どこそこにどういう被害があつたということは……。
  67. 奧田孝

    ○説明員(奧田孝君) これは県から報告を取りまして、一応わかつております。
  68. 松浦清一

    松浦清一君 そうするとその県の報告というものは、一応中央においては信用するというわけですか。若しあなたのおつしやるように審査会を作らないということになれば、審査会を作らないほうがいいとおつしやるならば、若し作らないとすれば、各府県からの報告の損失額というものを鵜呑みにするわけですか。
  69. 奧田孝

    ○説明員(奧田孝君) 各県から参つております災害額は、一応損失補償の限度を算定する資料として利用いたしましたわけでありまして、個々の融資に当りましては、結局都道府県庁が、これは確かに災害を受けたその復旧資金であるという証明でもしまして、それに基いて政府損失補償契約を結んで行くというような形をとつて行くよりしようがないのじやないかと思つております。そういう意味におきまして各県からの報告は、一応損失補償限度を算定する資料として利用したという程度でありまして、現実の損害額というものはやはり相当つておるところもあるのじやないか、かように考えております。
  70. 松浦清一

    松浦清一君 意味はよくわかりましたが、そうすると問題は、あなたのほうが起案されたのでしようが、第六條の審査会を設けなくても設けてもい  い、こういうことでまあ出してくれたわけですね。そうするとこの委員会自身が若し議員提出法律案として出せば、是か否かをきめねばならんというわけですね。
  71. 奧田孝

    ○説明員(奧田孝君) 関係方面の意向を忖度いたしますと、審査会というような制度はむしろないほうがいいのじやないかという工合に私ども考えております。
  72. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) ちよつと私から質問しますが、大体GHQに当りましたか、どうですか。
  73. 奧田孝

    ○説明員(奧田孝君) NRSの係官に一応の御説明はいたしました。
  74. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) 大蔵省との関係はまだ何もしておりませんか。これは初年度から三億円の準備金が要るわけですね。
  75. 奧田孝

    ○説明員(奧田孝君) これは実は損害復旧融資は、融資の期限から分けますと、三年間の融資期間で行くものと、五年間の融資期間で行くものとに分け  てあります。そういたしますと、仮に二年間の融資期間で貸しました資金につきまして言いますと、二年経ちまして、そのときに漁業者が返済できないというときに融資の損失というものが発生するわけであります。そういう損失が発生いたしましたら、後一年かかりましてこの額を調査決定いたしまして、政府損失補償債務が実際に生じますのは四年後の初めに発生するということになります。五年後のものにつきましては更に三年後になりますので、予算といたしましては、現実に政府の金が出るというのは三年後からということになるわけであります。
  76. 松浦清一

    松浦清一君 第二條の第二項で、融資の期間は一年であるということはきめてありますけれども、今おつしやつたように、ほかの事柄はここにないのですが、それは別の法律でそういうことができるのですか。そういうことになつているわけですか。
  77. 奧田孝

    ○説明員(奧田孝君) この第三條に、融資の期限は十年を超えることができないということで最高限を定めてありますが、実際の扱いといたしましては、そういう二年間のものと五年間のもので政府が金融機関と契約を結んで行く、こういう工合に実際の扱いとしてやつて行きたいと思います。
  78. 松浦清一

    松浦清一君 法律できめなくてもそういうことはいいわけなのですか。
  79. 奧田孝

    ○説明員(奧田孝君) はあ。
  80. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) ほかに御質疑ありませんか。御質疑ありませんければ、三時から本会議が始まりますので、これを以て散会いたします。    午後二時五十七分散会  出席者は左の通り。    委員長     木下 辰雄君    理事            青山 正一君            千田  正君    委員            秋山俊一郎君            入交 太藏君            松浦 清一君   政府委員    水産庁長官   家坂 孝平君   事務局側    常任委員会專門    員       岡  尊信君    常任委員会專門    員       林  達磨君   説明員    水産庁経済課長 奧田  孝君