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1951-02-12 第10回国会 参議院 水産委員会 第9号
公式Web版
会議録情報
0
昭和
二十六年二月十二日(月曜日) 午後一時三十七分開会 ————————————— 本日の
会議
に付した事件 ○
水産物増産対策
に関する調査の件 (
水産
省設置問題に関する件) (
水産皮革行政
問題に関する件) —————————————
木下辰雄
1
○
委員長
(
木下辰雄
君)
只今
から
委員会
を開会いたします。本月は
水産皮革
の問題で
陳情者
も見えておりますし、これを
議題
に供しますが、その前に
水産省設置運動中央本部
から
陳情
に見えておりますので、その
陳情
を先に
お願い
いたすことにいたします。
只今
からその
陳情
を許可いたします。
鍋島熊道
君。
鍋島熊道
2
○
参考人
(
鍋島熊道
君)
水産省設置運動中央本部
の
鍋島
でございます。今日
お願い
の筋がありまして、
本部
の幹事及び
特別委員
という十名の
委員
がありますので、皆顔を揃えて
お願い
に参りましたのでございます。
お願い
の筋は、
是非一つ
この
水産行政
の機構を拡大強化して
水産業
の進展を図り、
国民
の栄養を充実するようにお図りを願いたい、その
意味
におきまして、全国の
漁民大衆
から六十九万五千余り、約七十万の請願に対する
署名
が
本部
へ集まりまして、これは正式の手続を経まして、過日
衆参両院
に請願してあるのでございます。自然その点は
内閣委員会
かどつかで御
審議
願
つて
おると思
つて
おります。そのほかにあらかじめ
衆参両院
の
議員諸公
の御
賛成
を得たいと思いまして、その都度
お願い
いたしまして、
参議院
では百五十九名の御
賛成
の
署名
を得ております。
衆議院
では二百八十九名の
賛成署名
を頂戴しております。
衆議院
、
参議院
とも
過半数
の
署名
でございますので、各
党派別
に勘定いたしましても、共産党を除いたほかでは
過半数
にな
つて
おります。こういう
実情
でございますので、
是非
この機会に
参議院
の
水産委員会
が先ず取上げて、そうして
参議院
の議案に上程して頂きまして、願わくば
参議院
の本
会議
で満場一致で
設置法案
を御決議願うように
お願い
いたしたいと思います。それが
お願い
の筋でございます。よろしくどうぞ……。
木下辰雄
3
○
委員長
(
木下辰雄
君) この問題は
参議院
の
委員会
におきましては、すでに数回前の
国会
の
委員会
におきまして決定いたしました。そうして
水産省設置法案
も大体
委員
の
審議
を経ております。
只今鍋島会長
から御
説明
の
通り
、
衆議院
、
参議院
もこの
水産省設置法案
に
過半数
の
議員
が
署名
をしております。で、私はでき得るならば、
衆議院
から出してもらいたいという
希望
でありましたが、いろいろの
関係
で、
只今設置本部
のほうから、
参議院
から
発議
してもらいたいというような御
希望
がありますので、
参議院
としても当然この問題は
取扱
うことに相当の責任も、又義務もありますので、最初の
委員会
の
決定通り
、本
委員会
の
委員
の
発議
を以て至急この
法案
を提案いたしたい、かように思
つて
おります。御
異議
ございませんか。
青山正一
4
○
青山正一
君 大体
衆議院
が先議しなければならない
建前
のものが、
参議院
から
発議
して先議するというふうなことについて、何か根本的な
理由
があるわけなんですか。その点を
一つ
お聞かせ願いたい。
木下辰雄
5
○
委員長
(
木下辰雄
君) それは
陳情者
のほうから
一つ
伺いたいと思います。
鍋島熊道
6
○
参考人
(
鍋島熊道
君) 予算の
関係
だと
衆議院
が先議ということにな
つて
おるかのように承知しておりますが、その他の
法案
に対しては、不肖私どつちが先かということも承知いたしません。実は常識的に
考え
まして、
衆議院
のほうで
是非上程
を願いたいという
希望
も持ちまして、過般来
衆議院
の
自由党
の主要なおかたがたにも個別的に面接いたしまして、いろいろ
お願い
をいたしましたのでございますが、どうも今その時期でない、こういう
お話
でございましたので、とい
つて
、徒らに逡巡してこの
国会
の会期を過すわけに参りませんので、やむを得ずではありませんが、とにかく先ず
参議院
で
一つ
上程願いたいと、こういうのでございます。
青山正一
7
○
青山正一
君
委員長
にお伺いしたいのですが、これが
参議院
から先議するというようなことになるとすれば、
参議院
としては相当の
決心
を持たなければならんものと、こういうふうに
考え
ますが、例えば各
党派別
に
過半数
の
署名
を得たというふうにおつしや
つて
おるわけでありますが、私の
考え
といたしまして、これは個人的に
賛成者
は非瀞に多いというわけにな
つて
おりますが、これが
各党
々々というふうなことになりますと、或いはその
党自体
の
気持
というものは、どういうふうに変化するかということを
考え
て見ると、これは非常にむずかしい問題じやなかろうか、こういうふうに
考え
ておるわけであります。例えば恐らく社会党なり、民主党なり、
緑風会あたり
も
賛成
するかも知れませんが、
自由党
の内部に行きますと、説がどういうふうに変化するかというようなことを
考え
て見ますと、先のことが非常に思いやられるわけであります。又
委員長
といたしましても、これが
一つ
の
決心
の上どころだと思いますが、例えばそういうような
空気
があ
つた
場合におきまして、飽くまでこれを貫徹をする
意味合
で、今
国会
でいわゆる
審議未了
というようなことでなしに、例えば飽くまでそういう
空気
があ
つた
場合においては、
継続審議
で進んで行くとか、何とかいうようなお
気持
もおありになるかどうか、その点を
一つ
お伺いしたいと思います。
木下辰雄
8
○
委員長
(
木下辰雄
君) お答えいたします。この
法案
は大体
参議院
の
各党
とも私は
賛成
だと思
つて
おりますが、ただ
自由党
として、現在の
政府党
として時期尚早なりというような
意見
があるやに聞いております。併しそれは党議としてどうこうすることはしたくない、これを結論を付けたくない成行きに任せるというような
状態
のようであります。
参議院
におきましては、もとより
青山
君の盡力によりまして、社会党も殆んど
全員
が
署名
しておられる、又民主党も殆んど
全員
が
署名
しておる、
緑風会
も大多数は
署名
しておりますので、この
発議者
としては、できるだけ
各党
の人の了解を得まして、多数の人を以て
発議者
にいたして、そうして
参議院
は、私は恐らく大多数を以て通過するものと仮定しております。
参議院
において
審議未了
とか、何とかはなかろうと思います。
衆議院
に
廻つた
場合においてどうするか、これは
衆議院
のことで一向見通しが付きませんが、恐らく若し
衆議院
に
廻つた
場合にも、否決とか、
審議未了
とがはやらないのじやないか、大体
継続審議
が最悪の場合じやないかと思います。併し返答をここでいろいろ躊躇して、この
国民
の熱烈な
希望
であり、ここまで来たものを、而も本日
参議院
に出してもらいたいという切なる
陳情
がありましたものを、この間どうも等閑に付するということは、議院としてもどうかと思いますので、この際できるだけ
皆さん
の御援助を受け、多数の
署名
を得て、至急
発議
を決議することにいたしたいと思いますが、御
異議
ございませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
木下辰雄
9
○
委員長
(
木下辰雄
君) 御
異議
ないと認めます。ではさよう決定いたします。 —————————————
木下辰雄
10
○
委員長
(
木下辰雄
君) 次に、本日の
議題
であります
水産皮革行政
を
農林省
に一元化してもらいたいという
陳情
があります。この
陳情
をここで許可することに御
異議
ございませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
木下辰雄
11
○
委員長
(
木下辰雄
君) 御
異議
ないと認めます。それでは
加藤憲章
君に御
発言
を願います。
加藤憲章
12
○
参考人
(
加藤憲章
君) 私は
水産皮革協会
の
加藤
でございます。 私の
お願い
申上げたいことは、
水産皮革
が非常に
衰退
いたしまして来ておりますので、
国家
の
重要資源
としてこれを復興開発して頂きたい。それがためには
只今
のように
通産省
と
農林省
との二元的に管掌されております点が、十分に現在の
水産皮革
の最も困難といたしております点を御援助願うのに甚だ迂遠な気がいたしますので、それを
農林省
の
所管
に一貫して頂きまして、最も
水産皮革
が困難を感じております点に対して、十分に
行政
上御
支援
を願いたいという点にあるのであります。
只今我が国
の
皮革
の
現状
を見ますると、
年需要
といたしまして、
原皮
のトン数より換算いたしまして、三万五千トンぐらいの
需要
があるものと
考え
ております。うち昨年度におきまして、
国内
で一万二、三千トンが出ておるのでありますが、他は殆んど
輸入原皮
に頼
つて
おるような
状態
でありまして、
国内
の
資源
は三、四割に当らないのであります。昨年七—九の
民貿
のときにおきましても、約七十五万ドル、二十五億万円の
外国原皮
の
買付
がなされておるのであります。而もその後の
世界
の情勢は
皮革
の
市場
が非常に変りまして、
世界
の
最大原皮
の
輸出国
であります
南米
、アルゼンチンも
輸出
を禁止いたしてるような
状態
であります。次いで
濠洲
その他の重要な
皮革
の
産出国
が
輸出
を差控えるような
状況下
に変
つて
参
つて
おるのであります。然るに
我が国
の
水産皮革
は、過去において年額二千トンも
生産
された実績があるのでありますが、昨年は僅々百五十トンの
生産
に落ちて
しまつたの
であります。恐らくは本年は
壊滅
の
状態
に至るのではないかと、私
ども
憂えておるような
状態
なのであります。その主なる
原因
は、総括いたしますると、
原料
の
水産
の
原皮
の
集荷
の不備にあるのであります。
我が国
の
水産皮革
の
鞣製
の
行政
は、戦前においては
農林省
が
所管
いたされてお
つたの
であります。その後
戰時中
に
軍需省
ができまして、
軍需省
に移管されましたものであります。その後戦後
通産省
に移管されるようなことにな
つて
来たのであります。この
畜産
のほうの
行政
が
通産省
に
所管
されておるということは当然なことであると
考え
ます。その七、八割の
原料
が
外国
の
輸入原料
である
関係
上、最も
畜産
の
原料
を
主体
にいたしております
陸獣皮
の
行政
が
通産所
にあるということは当然なことであると
考え
ます。而も
畜産皮
の
鞣製
というものは
人類古来
の
工業
でありまして、
我が国
におきましても、又
外国
におきましても、牧畜、
屠殺
、それから
屠殺場
から出ました
原皮
の
市場
も確立いたしておりまして、相場も取引も長い伝統と習慣に裏付けらておるのでありまして、これを
通産省
が
所管
なされても何ら疑問のないところなのであります。然るに
水産皮革
は、海外にも多くこの例を見ない
水産国
としての
日本
の
特殊事情
によ
つて
育成
されんとしつつある
産業
なので、ございまして、先ほ
ども
申上げました
通り
、
我が国
の
水産皮革
の
衰退
は主な
原因
が
原皮
の問題にかか
つて
おるのであります。この問題の鍵は
水産行政下
にあるのであります。この
我が国
の
水産皮革
を最も
育成
せしめるためには、
農林省
が
原皮
より
鞣製
まで一貫して掌握して頂きまして、その
育成
を図ることになれば、
我が国
においても
皮革資源
のうちに
水産皮革
が確固たる基礎を得るまでに成長上得るのではないかと
考え
ておるのであります。現在のごとく、
原皮
は
農林省
、
鞣製
は
通産省
と二元のような
行政
の下にありまして、
只今
の
ようこ水産皮革
の
衰退
、
壊滅
の
状態
を再び過去の
状態
までに取戻すことは非常に困難なことと
考え
ておるのであります。殊に「さめ」皮のごときは漁港、或いは「ちくわ」、「かまぼこ」等の製造をしておる近くの漁村の中に
漁業協同施設
としての
工業
として最も適しておるのであります。鮮度の良好なる
原皮
を処理いたしまして、良好なる
製品
と低廉なる
製品
を出さしめることが可能と
考え
るのであります。
水産試験所
はこれが
技術
の
研究
と
指導
をなされまして、それらのことにまりまして、
水産行政下
の問題が最も重要なことであるのであります。又「
くじら
」皮におきましても、
只今
の
日本
の
現状
の処理はほんの
過渡期
の
状況
にあるのであります。
只今
の
状況
よりも、更に
原料
を半分の薄さにとりまして、更に今の四倍の大きさにと
つて
来るということ等が可能になりますると、その
コスト
が非常に逓減されまして、立派な
收益
を上げる
産業
に変
つて
行くのであります。然るに
只今
の
程度
の
状況下
におきましては、ただ
水産皮革
から革ができて使いものになるという実験が済んだばかりでありまして、
品質
その他において使用には耐えるが、その
コスト
の問題が
自由経済下
におきまして、到底立ち行く
状況
までに開発されておらないのであります。
我が国
の
水産皮革
の今後の
育成
は、かか
つて
原料
の問題にあると私は信じておるのであります。こういう見地におきまして、
是非
とも身を入れてこの開発に当
つて
頂くことが
世界
の
皮革
の
資源
の窮乏の際に、最も必要なことであろうと
考え
まして、この
お願い
に出た次第なのであります。 以上のような
理由
でございますので、
是非
詳細は
陳情書
に書いてございますから、何とぞ私
ども
の
願意
が
皆さん
の御
支援
によ
つて
達せられまして、
水産皮革
が
我が国
の
産業
として立行くように御
支援
を願いたいと御懇願する次第であります。
木下辰雄
13
○
委員長
(
木下辰雄
君)
只今
の
陳情
は、戦争前
通り
、
水産皮革
を一元的に
水産庁
において
取扱つて
、そうしてその
育成強化
を図
つて
もらいたいという趣旨と思いますが、この
陳情
に対して何か御
質問
がありましたら、
お願い
いたします。
青山正一
14
○
青山正一
君 どうなんですか、
水産皮革
の
原料
はやはり
水産局
で扱
つて
おるのですか、或いは
畜産局
で扱
つて
おるのですか、どちらですか。
加藤憲章
15
○
参考人
(
加藤憲章
君)
水産庁
です。
青山正一
16
○
青山正一
君 なめすほうは
畜産局
、こういうふうにな
つて
おるわけですか。
加藤憲章
17
○
参考人
(
加藤憲章
君) そうです。
中川以良
18
○
委員外議員
(
中川以良君
)
委員外
の
発言
をお許し願います。
木下辰雄
19
○
委員長
(
木下辰雄
君)
委員外
の
発言
を許可することに御
異議
ございませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
木下辰雄
20
○
委員長
(
木下辰雄
君) 御
異議
ないと認めます。
発言
を許します。
中川以良
21
○
委員外議員
(
中川以良君
)
只今加藤憲章
君が
陳情
いたしたのでございますが、私は
皮革産業全般
に対しまして、いろいろ
関係
を持
つて
おりますので、その立場から特に一、二
発言
をさして頂きたいと存じます。
水産皮革
につきましては、
戰争中皮革
が非常に
需要
が多く
なつ
たに伴いまして、
輸入
が殆んど杜絶したというような
状態
で、従来の牛、馬、
豚等
の
陸上皮革
から、
水産皮革
のほうに
皮革産業
というものが進出をして参
つたの
でありまして、その当時は
国家
といたしましても、いろいろこれを
育成
、
助成
をいたして参
つたの
であります。今
お話
の
加藤
君は、
我が国
の
水産皮革会社
といたしまして最も大きな
日産皮革会社
の社長をしておられまして、これは
只今
「
くじら
」の皮を
主体
にいたした
生産
をや
つて
おられるのであります。
加藤
君は従来「さめ」皮につきましても非常に貢献をされたかたであります。今日
皮革
が
統制
を外してしま
つて
おりますので、私
ども
この
皮革産業
の
統制
につきましては、
戰後一日
も早くこれが
統制
はもはや解除すべきであるということを強く叫んで参りまして、昨年漸くこれが実現をいたしたのであります。ところが
統制
を外して見ますると、従来
統制
中は
水産皮革
にいたしましても、又
陸上皮革
にいたしましても、なかなかその
統制
の軌道に乗
つて
参らない。これは
皮革産業
といたしまして、非常に複雑な
方面
がございまして、なかなか
統制
が十分に実施できない。
国内
の
皮革
の
原料
が我々は年産約一万トンに見てお
つたの
であります。これは
陸上皮革
だけでございますが、それがいざ
統制
をして見ますると、漸く五千トン足らずしか出ない。四千数百トンしか出ないというような
実情
でありました。ところが今度
統制
を解除いたしますると、すでに一万トン以上、
只今
出ておりますような
状態
であります。こういうようなことを
考え
ますると、今後
皮革
の面におきましても、或る
程度
の
統制
を加えなければならんという
議論
も出て参りまするが、私はできるだけこの際
外国原皮
を
輸入
をいたしまして、
皮革
の
統制
はしないほうが、これは
国家
のためになり、この
産業
を勧めるためにもこのほうがいい。
原皮
が出なくな
つて
、而も出なくな
つて
隠れた
原皮
は闇に流れて不急不要のものにな
つて
しまう。
残つて
漸く出た僅かな
統制
に乗
つた
原皮
は悪い
原皮
が出まして、つまり
統制
で価格が抑えられるために
品質
が非常に低下をして、貴重なる
資源
を極めて不利益に
利用
されて、そうして
高度利用
ができないというようなことがございます。こう
考え
ますると、私は先ず今後の
事態
に対処いたしまして、今
お話
ししたように、
原料
をできるだけ
北米並び
に
南米
或いは
濠洲方面等
から、この際
輸入
をするように、これは
通産省
のほうにも話して置きまして、
通産省
もこれに対してあらゆる手を打
つて
おります。それと同時に、この際やはり
水産皮革
の
助成
、これが
育成
に努めなければならんと存ずるのであります。
水産皮革
をできるだけこの際多量に
生産
をして、これらを以て、いわゆる牛革とか、或いは
馬革
とか、そういうものに代
つて
、これで十分間に合う
方面
にこれを向けて行くということに着目すべきであると思います。こういう
意味
から申しますると、今日
水産皮革
というものは全く継子扱いにな
つて
おりまして、
通産省
においても、もう
統制
がないためにこれに
十分熱
を入れていない。又
水産庁
においても、これは
所管
は
通産省
であるからとい
つて
、
水産試験所等
においては、
皮革
の
試験
、これが
研究等
は殆んど疎かにせられておるような
状態
であります。こういうふうに
考え
ますると、どうしてもやはり
農林省
において、
一つ
この際将来の
事態
に対処してこれが
対策
を立てて頂いて、
水産庁
が一層
一つ力
を入れて、
水産業
に対して御熱意を注いで頂きたいと存ずるのであります。こうなりますると、今の
所管
の
問題等
が出るのでありまするが、
只今
は
統制
もないのでありまするから、この
所管
の問題も極めて円滑に私は
政府
の
話合
において解決が付く問題ではなかろうかと思います。かような
意味
において、
是非一つ木陳情
の
願意
につきまして、
皆様がた
の御賛同、御
努力
を
お願い
いたじたいと思います。
木下辰雄
22
○
委員長
(
木下辰雄
君)
只今
の
陳情者加藤憲章
君、並びに
中川
君の
意見
に対して、
農林当局
の御
意見
をお伺いしたいと思います。先ず政務次官から
一つ
御
発言
を願います。
島村軍次
23
○
政府委員
(
島村軍次
君)
お話
の点はよくわかりましたが、私は全く素人でありまして、これから
一つ
うんと勉強いたしまして、なるべく期待に副うように
努力
をいたしたいと思います。
木下辰雄
24
○
委員長
(
木下辰雄
君)
水産庁長官
はどうですか。
家坂孝平
25
○
政府委員
(
家坂孝平
君)
水産皮革事業
が非常に困難な
状況
に立ち至
つて
おりますることは、私
ども
もよく承知しておるところであります。それで私
ども
といたしましては、
原料
を扱
つて
おりまする
関係
上、この
事業
というものを如何にしたらば採算のよい姿に立ち帰らせ得るかということにつきましては、いろいろ
研究
をして参
つて
おるわけでありまするけれ
ども
、なかなか現
段階
におきましては、相当困難な要素があるようであります。それで
只今
いろいろ
陳情
されました
お話
を聞いておりましても、実際
一つ
の
所管官庁
で
取扱
うことが非常に望ましい、こういうお
考え
であることはよくわかるのであります。と申しましても、私
ども水産庁
がこれを直ちに取上げてやりました場合に、果してこの
皮革事業
というものが殷盛を極
むるごとき状態
に直ちに立ち帰るかどうかということにつきましては、誠に私
ども
としましては、
只今
十分なる自信も持てない
状態
であるわけであります。それは
水産皮革
を
取扱つて
おりまして、その
行政
を
通産省関係
に移管いたしましてから、すでに十年に相成
つて
おるわけでありまするが、この十余年の間私
ども
としましては、その
技術者
も殆んど手放し、今のところでは大変この
仕事
に対しましての
技術的内容
などに関しましては乏しいような
状態
であるわけであります。それでこの
陳情
をお受けいたしたことがありますので、早速
通産省方面
の
当局
ともいろいろ相談をして参
つて
おるようなわけでありまするが、まだ十分に
話合
いが付かぬような
段階
でありまして、今後も引続きその点につきましては、十分私
ども
の納得の行くように
お話合
を付けまして、そうしていずれに持
つて
行
つた
ほうが最もこの
事業
の回復を図ることができるかという判断を付けまして、そうして善処したい。かように目下
考え
ておるわけであります。
木下辰雄
26
○
委員長
(
木下辰雄
君) 御
質問
ございませんか。
青山正一
27
○
青山正一
君 これはもう
水産委員会
で
はつ
きり取上げなければならんというこの判然たる理窟は通
つて
おるわけであります。ただ殊に今
農林次官
、
水産庁長官
が来ておられますけれ
ども
、これはただ言葉だけに流れるというようなことでなしに、一旦引受けた場合にはぴんからきりまで
はつ
きり引受けようというような心構えは、これは必要だろうと思います。これは一例に過ぎませんが、例えば
昭和
十二年とか、十三年に
商工省
の
商務局
の
管轄
の
中央市場
の
業務
が
農林省
の
農政局
とか、或いは
水産局
へ引移
つて
おる、移
つて
おるにかかわらず、最近
市場
の
方面
におきましては、
通産省
へ
管轄
を移せというような
議論
が非常に大きいようなわけなんです。これはやはり
市場
に対して、或る
はつ
きりした信念の下に
水産庁
なり、或いは
農政局
が働いていない
証拠
だと思うのです。これは私らの
建前
から行けば、これは当然
水産
の
管轄
であ
つて
、又その角度から進んで行かなければならんと思いますが、少くともこうい
つた
市場
の
関係
は、今盛んに
通産省
へその
仕事
を移せという声が現われておる以上は、少くとも
農政局
なり、或いは
水産庁あたり
が、この
業務
に対して非常に不熱心であるという
証拠
をこれは現わしておるだろうと、私はそういうふうに解釈しております。だからこの問題は
はつ
きり引受けるからには、ぴんからきりまで、どんなことがあ
つて
も
はつ
きりこの線に持
つて
行くという覚悟の下に進んで頂くように、私は
農林省
に要望したいと思います。
中川以良
28
○
委員外議員
(
中川以良君
)
主管
の問題は非常にこれはまあ簡単に片付かないと思いますが、それにいたしましても、
原料関係
の
指導
に対しましては、
一つ至急
にお運びを願いたいと思うのであります。今日
水産研究所あたり
で一体
水産皮革
に対し丁どのくらいの御
研究
をしていらつしやるのか、どういうふうな
状態
にな
つて
おるかというような点も
一つ
お洩らしを頂きたいと思うのであります。これは
主管
の問題でなくして、
現実
の問題でございますが、
現実
に
一つ
これは
水産研究所あたり
は取上げて、明日からでもこれは進めて頂かなければならんかと思います。これは
さつき加藤
君の
お話
もございましたごとく、いわゆる
水産業者
が「
くじら
」をと
つて
来る、これを直ちに剥いで、
水産業者
に本当にその
潤おい
があるというふうに持
つて
行かなければ、
原料
の
増産
はできないのでありますから、これにはどうしてもやはり
水産庁
がお力を入れて頂かなければ、この問題は解決しないと思いますので、これは恐らく
水産皮革関係
の人の切なる
陳情
も私はそこにあると思いますから、その点お含み願いたいと思います。今日
研究所関係
の点がおわかりでしたら、
一つ
御
説明
願いたいと思います。
水野榮
29
○
説明員
(
水野榮
君) お答え申上げます。現在
水産研究所等
で
水産原皮
の
收集
を取上げておるかどうかというような御
質問
かと思いますが、恐らく私
ども
よくその点をつまびらかにしませんが、
所管
が一応
通産省
にあるということで、恐らく
工業試験場
のほうで
水産原皮
の収集の
研究
をや
つて
おるだろうと思います。
所管
が移りますれば、当然
水産研究所
のほうで或いは取上げることと思います。なお
原皮
の
集荷
問題でございますが、以前は
原皮
の
集荷
につきましては、
臨時措置令
に基いて
集荷
の
一手販売会社
がありまして、そこで
集荷
をしておりましたのでありますが、終戦と共にこの規則もなくなりましたのでありますが、この「さめ」の
利用
という点につきましては、ただ鮮肉を
利用
するというだけでなく、
原皮
までも
利用
することによりまして、「さめ」の価値を大いに高めることができると思いますので、「さめ」の
有効利用
、
高度利用
という
建前
から行きまして、いい、きずのない優秀な
原皮
が
原皮工場
に入りますようなふうに
考え
て行きたい。こういうふうに思
つて
おります。
木下辰雄
30
○
委員長
(
木下辰雄
君)
只今通産省
から
包装雑貨課長
が見えましたが、
只今水産皮革
の問題の
一元的行政
をや
つて
くれ、
水産庁
で一元的に
行政
をと
つて
くれ、そうして今殆んど顧みられない
水産皮革
の
育成強化
を大いに図
つて
もらいたいというような
陳情
がありまして、今大体
水産庁
からも御
意見
がありましたが、
通産省
としてはどういう御
意見
でしようか、
お願い
いたします。
兼坂隆一
31
○
説明員
(兼
坂隆一
君)
水産皮革
の問題につきましては、
戰時中
からいろいろ問題がございまして、特に
戰時中皮革需給関係
の不足しております間、
水産皮革
の確保ということについて
努力
して参
つて
来てお
つたの
でございますが、最近におきましては、
国内
原皮
の需給
関係
が好転して来ておりますということと、それから又
輸入原皮
が比較的順調に入
つて
来ているとい
つた
ような
関係
から、今
お話
がございましたような
状況
が現われていると思うのでございますが、御趣旨の
通り
、今後のいろいろな問題を
考え
ますと、
水産皮革
が
我が国
の
皮革
の需給
関係
に
一つ
の供給面として大きな役割を持つということについては、私
ども
十二分に
考え
ているのでございます。今
水産
皮羊をや
つて
おられますところは、大部分の工場か、戦争中
水産皮革
の工場を確か企業整備で二社にいたしたいと思
つて
いるのでございますが、その二社とも現在
陸獣皮
の
関係
でおやり願
つて
いる。そのほかにも工場がありますが、そうい
つた
ような
関係
からいたしまして、今後
水産皮革
の重要性ということは当然私
ども
認識して、又その
努力
をしなければならないとは
考え
ておりますが、
陸獣皮
の
関係
もございますので、両方相当な
生産
量を出されてありますが、ところが両方や
つて
おられるとい
つた
ような面から、いろいろこの点については、なお
研究
いたしたいというふうに
考え
ております。殊に
水産皮革
の問題につきましては、「さめ」皮の場合に鮮度の問題が一番大事な問題と
考え
ておりますので、これらの点、鮮度を落しますと、
品質
が非常に悪くなるというような点が戦時中も見受けられましたので、鮮度の点、その他鮮度の確保というようなことが非常に重要な、今後これを
育成
して行く上におきまして、非常に大きな出題と
考え
られますから、今後
所管
の問題につきましては、なお
研究
させて頂きたいと思いまして、
水産庁
とも十分連絡いたしまして、鮮度の確保を中心にいたしますれば、「さめ」皮も非常にいいものができますのでございますので、こうい
つた
点について
努力
をいたしたい、かように
考え
ております。
木下辰雄
32
○
委員長
(
木下辰雄
君) それですべて何ですか、今まで
通り
原皮
は
水産庁
、
製品
は
通産省
ということにして、お互いにやりたいという御
意見
ですか。
兼坂隆一
33
○
説明員
(兼
坂隆一
君) お答えいたします。現在今申上げましたように、
陸獣皮
をや
つて
おられるところで、
水産原皮
を共にお扱いにな
つて
いらつしやるという問題もございますので、それらの点についてなお
研究
をする余地があるのじやないかというふうに
考え
ております。取りあえずの措置といたしましては、よく御連絡申上げてや
つた
ら如何かと、かように
考え
ております。
青山正一
34
○
青山正一
君 ここに村山さんがおいでにな
つて
いるが、村山さんのほう一に、こういうふうな
関係
の御
研究
なんか、
水産
研究
会あたりでどういうふうな御
研究
をや
つて
おられるのですか、それをお聞きしたいのですが。
木下辰雄
35
○
委員長
(
木下辰雄
君) ここに
水産
研究
会の村山敏三さんがお見えにな
つて
おりますが、御
発言
を許して御差支えございませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
木下辰雄
36
○
委員長
(
木下辰雄
君) 御
異議
ないと認めます。御
発言
を許します。村山君。
村山敏三
37
○
参考人
(村山敏三君) 御指名にあずかりましたから、ちよつとお答えいたします。
水産皮革
の
研究
は、以前は
水産試験所
で非常に熱心にや
つて
おりましたけれ
ども
、先ほど來の
お話
のように、その加工面の
所管官庁
が
通産省
に移りました
関係
で、私の今知
つて
いる範囲では、
水産試験所
、現在の
水産研究所
は
研究
をや
つて
おらぬように思います。私は
水産
研究
会のほうをや
つて
いるのでありますが、
水産
研究
会にもいろいろ
研究
課題が沢山ございますけれ
ども
、現在のところ
水産皮革
に関する
研究
課題は何もございません。以上のような次第であります。
青山正一
38
○
青山正一
君 証人にちよつとお聞きしたいと思いますが、やはりあなたのほうの御
関係
の
皮革
の、
水産皮革
を
取扱つて
いる会社は二つだけですか。それから
陸獣皮
も相当扱
つて
おられるのですか、その点も
一つ
お聞きしたい。
加藤憲章
39
○
参考人
(
加藤憲章
君)
只今
の
状態
は初め「さめ」皮の業者は「さめ」皮だけの工場でや
つて
お
つたの
であります。それから「
くじら
」のほうもそこだけでや
つて
お
つたの
でありますが、だんだん
水産皮革
のほうが引合わなくなるにつれて
陸獣皮
をやらざるを得ない、その設備を
利用
するために転向せざるを得ないという
状況下
に、だんだん
水産皮革
が衰亡の
状況
に入
つて
おります。恐らくはそこに九つか、現在まで我々の協会の会員として出ておりますが、我々の協会の会費さえ事欠くような
状況下
に「さめ」皮一般は落ちております。それから「
くじら
」の
皮革
は私のほうがただ
一つ
、
日本
に
一つ
ばかりではなく、
世界
のどこでもや
つて
ないのを、私
ども
が
一つ
十幾年間持ち耐えて
研究
を続けて、現在も
研究
をしておりますが、その採算たるや甚だ困難なものがあるのでありまして、
畜産
品の利益を以て引つば
つて
行くという形で、何とか改善したいとは思
つて
おります。併しその主な問題がすべて
原料関係
を改善することによ
つて
大きく好転し得るという
現状
から見まして、そういう判断になる次第でございます。
木下辰雄
40
○
委員長
(
木下辰雄
君) ちよつと兼坂課長にお尋ねいたしますが、今
工業
試験
所で
水産皮革
の
研究
をや
つて
おりますか、どうか。
兼坂隆一
41
○
説明員
(兼
坂隆一
君) お答えいたします。現在いたしておりませんと思います。
中川以良
42
○
委員外議員
(
中川以良君
)
只今
も私が申しましたように、請願者の
願意
は要するに
原料
の
集荷
面が非常にうまく行
つて
いないというところの私はあると思うのであります。これは
通産省
ではできないのでありまして、それで
水産庁
がもう少し骨を折
つて
もらいたいということです。今日は
水産皮革
は
統制
は全然ないのでございますから、どこの工場でも扱えるわけでありますので、これは
指導
よろしきを得れば、私はどこでも扱
つて
行け、品物もできると思うのです。要はこの際少しでも多く
皮革資源
を培養して行きたいというところにあるわけでありまして、その点私も非常に共鳴しておるのでありますが、
所管
の問題は
統制
のない今日ではそうむずかしいことはなかろうと思いますが、これはそうなかなか一概に直ちに解決はできないと思いますので、取りあえず差当りの問題としては、
水産研究所あたり
でも、これのほうをお取上げになりまして、如何に皮を剥いだらいいか、先ほど
お話
しのように「
くじら
」にしましても、どのくらいの厚み、どのくらいの大きさに剥いだら有効に使えるかということを
水産庁
でおやりにならなければ私はできないと思いますので、そういう面につきまして、
通産省
とも十分御連絡をと
つて
頂いて、先ず最初の第一歩を至急にそこから踏み出して頂きたいと思います。
木下辰雄
43
○
委員長
(
木下辰雄
君) ちよつと私からお伺いしますが、今
統制
がない場合に、これは
通産省
の問題だ、
水産庁
の問題だということが言えるかどうか。
統制
がなければ、誰がや
つて
も同じじやありませんですか。
兼坂隆一
44
○
説明員
(兼
坂隆一
君) 今
お話
しのように
統制
は全然ないのでございますが、一応業界の、業界と申しましようか、おやりになる工場の資金でありますとか、それと必要が起りますれば、電力でございますとか、そうい
つた
お世話をする範囲のことがございますればこれにつきまして、
所管官庁
がお世話をするということにな
つて
参ると思います。そうい
つた
ような
関係
からいたしまして、
一つ
のほうでお世話するのが便利ではないかということも
考え
られる、かように
考え
ております。
青山正一
45
○
青山正一
君 問題は
只今
中川
先生がおつしや
つた
ように、如何にして
原料
を得るかということが僕は先決問題だと思います。それにはやはり
水産庁
とよく連絡をしてそうして、
原料
をたくさん獲得するということが僕は第一義的にこれは謳われているのではなかろうかと
考え
ます。それであとからこの
原料
の一貫
指導
をそこでや
つて
、例えば今まで
工業
試験
所あたりでや
つて
いないことを
水産研究所
でや
つて
、そうして飽くまでその面の
育成
の策をとる、こういうふうな二段構えに進んで行くだろうと、こういうふうな私は今の
陳情
と解釈するわけですが、このうちこれを
委員会
で取上げて、この次の機会に
審議
して頂いて結論を出すというようなふうに進んで行くことを
希望
したいと思います。
木下辰雄
46
○
委員長
(
木下辰雄
君) この
皮革
の問題はほかにございませんければ打切りたいと思いますが、御
異議
ございませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
木下辰雄
47
○
委員長
(
木下辰雄
君) では改めて次の
委員会
において、
水産委員会
としての態度を決定いたすことにいたします。 ほかに御
意見
ございませんければ、本日はこれを以て散会いたします。 午後二時三十分散会 出席者は左の
通り
。
委員長
木下 辰雄君 理事
青山
正一君 千田 正君
委員
入交 太藏君 櫻内 義雄君
委員外議員
中川
以良君
政府委員
農林政務次官 島村 軍次君
水産庁長官
家坂 孝平君 事務局側 常任
委員会
專門 員 岡 尊信君 常任
委員会
專門 員 林 達磨君
説明員
水産庁
水産
課長 水野 榮君 通商
産業
省通商 雑貨局包裝雑貨 課長 兼坂 隆一君
参考人
水産
省設置運動 中央
本部
委員長
鍋島
熊道君
水産皮革協会
々 長
加藤
憲章君
水産
研究
会会長 村山 敏三君