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1951-02-12 第10回国会 参議院 水産委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年二月十二日(月曜日)    午後一時三十七分開会   —————————————   本日の会議に付した事件 ○水産物増産対策に関する調査の件  (水産省設置問題に関する件)  (水産皮革行政問題に関する件)   —————————————
  2. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) 只今から委員会を開会いたします。本月は水産皮革の問題で陳情者も見えておりますし、これを議題に供しますが、その前に水産省設置運動中央本部から陳情に見えておりますので、その陳情を先にお願いいたすことにいたします。只今からその陳情を許可いたします。鍋島熊道君。
  3. 鍋島熊道

    参考人鍋島熊道君) 水産省設置運動中央本部鍋島でございます。今日お願いの筋がありまして、本部の幹事及び特別委員という十名の委員がありますので、皆顔を揃えてお願いに参りましたのでございます。お願いの筋は、是非一つこの水産行政の機構を拡大強化して水産業の進展を図り、国民の栄養を充実するようにお図りを願いたい、その意味におきまして、全国の漁民大衆から六十九万五千余り、約七十万の請願に対する署名本部へ集まりまして、これは正式の手続を経まして、過日衆参両院に請願してあるのでございます。自然その点は内閣委員会かどつかで御審議つておると思つております。そのほかにあらかじめ衆参両院議員諸公の御賛成を得たいと思いまして、その都度お願いいたしまして、参議院では百五十九名の御賛成署名を得ております。衆議院では二百八十九名の賛成署名を頂戴しております。衆議院参議院とも過半数署名でございますので、各党派別に勘定いたしましても、共産党を除いたほかでは過半数になつております。こういう実情でございますので、是非この機会に参議院水産委員会が先ず取上げて、そうして参議院の議案に上程して頂きまして、願わくば参議院の本会議で満場一致で設置法案を御決議願うようにお願いいたしたいと思います。それがお願いの筋でございます。よろしくどうぞ……。
  4. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) この問題は参議院委員会におきましては、すでに数回前の国会委員会におきまして決定いたしました。そうして水産省設置法案も大体委員審議を経ております。只今鍋島会長から御説明通り衆議院参議院もこの水産省設置法案過半数議員署名をしております。で、私はでき得るならば、衆議院から出してもらいたいという希望でありましたが、いろいろの関係で、只今設置本部のほうから、参議院から発議してもらいたいというような御希望がありますので、参議院としても当然この問題は取扱うことに相当の責任も、又義務もありますので、最初の委員会決定通り、本委員会委員発議を以て至急この法案を提案いたしたい、かように思つております。御異議ございませんか。
  5. 青山正一

    青山正一君 大体衆議院が先議しなければならない建前のものが、参議院から発議して先議するというふうなことについて、何か根本的な理由があるわけなんですか。その点を一つお聞かせ願いたい。
  6. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) それは陳情者のほうから一つ伺いたいと思います。
  7. 鍋島熊道

    参考人鍋島熊道君) 予算の関係だと衆議院が先議ということになつておるかのように承知しておりますが、その他の法案に対しては、不肖私どつちが先かということも承知いたしません。実は常識的に考えまして、衆議院のほうで是非上程を願いたいという希望も持ちまして、過般来衆議院自由党の主要なおかたがたにも個別的に面接いたしまして、いろいろお願いをいたしましたのでございますが、どうも今その時期でない、こういうお話でございましたので、といつて、徒らに逡巡してこの国会の会期を過すわけに参りませんので、やむを得ずではありませんが、とにかく先ず参議院一つ上程願いたいと、こういうのでございます。
  8. 青山正一

    青山正一君 委員長にお伺いしたいのですが、これが参議院から先議するというようなことになるとすれば、参議院としては相当の決心を持たなければならんものと、こういうふうに考えますが、例えば各党派別過半数署名を得たというふうにおつしやつておるわけでありますが、私の考えといたしまして、これは個人的に賛成者は非瀞に多いというわけになつておりますが、これが各党々々というふうなことになりますと、或いはその党自体気持というものは、どういうふうに変化するかということを考えて見ると、これは非常にむずかしい問題じやなかろうか、こういうふうに考えておるわけであります。例えば恐らく社会党なり、民主党なり、緑風会あたり賛成するかも知れませんが、自由党の内部に行きますと、説がどういうふうに変化するかというようなことを考えて見ますと、先のことが非常に思いやられるわけであります。又委員長といたしましても、これが一つ決心の上どころだと思いますが、例えばそういうような空気があつた場合におきまして、飽くまでこれを貫徹をする意味合で、今国会でいわゆる審議未了というようなことでなしに、例えば飽くまでそういう空気があつた場合においては、継続審議で進んで行くとか、何とかいうようなお気持もおありになるかどうか、その点を一つお伺いしたいと思います。
  9. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) お答えいたします。この法案は大体参議院各党とも私は賛成だと思つておりますが、ただ自由党として、現在の政府党として時期尚早なりというような意見があるやに聞いております。併しそれは党議としてどうこうすることはしたくない、これを結論を付けたくない成行きに任せるというような状態のようであります。参議院におきましては、もとより青山君の盡力によりまして、社会党も殆んど全員署名しておられる、又民主党も殆んど全員署名しておる、緑風会も大多数は署名しておりますので、この発議者としては、できるだけ各党の人の了解を得まして、多数の人を以て発議者にいたして、そうして参議院は、私は恐らく大多数を以て通過するものと仮定しております。参議院において審議未了とか、何とかはなかろうと思います。衆議院廻つた場合においてどうするか、これは衆議院のことで一向見通しが付きませんが、恐らく若し衆議院廻つた場合にも、否決とか、審議未了とがはやらないのじやないか、大体継続審議が最悪の場合じやないかと思います。併し返答をここでいろいろ躊躇して、この国民の熱烈な希望であり、ここまで来たものを、而も本日参議院に出してもらいたいという切なる陳情がありましたものを、この間どうも等閑に付するということは、議院としてもどうかと思いますので、この際できるだけ皆さんの御援助を受け、多数の署名を得て、至急発議を決議することにいたしたいと思いますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  10. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) 御異議ないと認めます。ではさよう決定いたします。   —————————————
  11. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) 次に、本日の議題であります水産皮革行政農林省に一元化してもらいたいという陳情があります。この陳情をここで許可することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  12. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) 御異議ないと認めます。それでは加藤憲章君に御発言を願います。
  13. 加藤憲章

    参考人加藤憲章君) 私は水産皮革協会加藤でございます。  私のお願い申上げたいことは、水産皮革が非常に衰退いたしまして来ておりますので、国家重要資源としてこれを復興開発して頂きたい。それがためには只今のように通産省農林省との二元的に管掌されております点が、十分に現在の水産皮革の最も困難といたしております点を御援助願うのに甚だ迂遠な気がいたしますので、それを農林省所管に一貫して頂きまして、最も水産皮革が困難を感じております点に対して、十分に行政上御支援を願いたいという点にあるのであります。只今我が国皮革現状を見ますると、年需要といたしまして、原皮のトン数より換算いたしまして、三万五千トンぐらいの需要があるものと考えております。うち昨年度におきまして、国内で一万二、三千トンが出ておるのでありますが、他は殆んど輸入原皮に頼つておるような状態でありまして、国内資源は三、四割に当らないのであります。昨年七—九の民貿のときにおきましても、約七十五万ドル、二十五億万円の外国原皮買付がなされておるのであります。而もその後の世界の情勢は皮革市場が非常に変りまして、世界最大原皮輸出国であります南米、アルゼンチンも輸出を禁止いたしてるような状態であります。次いで濠洲その他の重要な皮革産出国輸出を差控えるような状況下に変つてつておるのであります。然るに我が国水産皮革は、過去において年額二千トンも生産された実績があるのでありますが、昨年は僅々百五十トンの生産に落ちてしまつたのであります。恐らくは本年は壊滅状態に至るのではないかと、私ども憂えておるような状態なのであります。その主なる原因は、総括いたしますると、原料水産原皮集荷の不備にあるのであります。我が国水産皮革鞣製行政は、戦前においては農林省所管いたされておつたのであります。その後戰時中軍需省ができまして、軍需省に移管されましたものであります。その後戦後通産省に移管されるようなことになつて来たのであります。この畜産のほうの行政通産省所管されておるということは当然なことであると考えます。その七、八割の原料外国輸入原料である関係上、最も畜産原料主体にいたしております陸獣皮行政通産所にあるということは当然なことであると考えます。而も畜産皮鞣製というものは人類古来工業でありまして、我が国におきましても、又外国におきましても、牧畜、屠殺、それから屠殺場から出ました原皮市場も確立いたしておりまして、相場も取引も長い伝統と習慣に裏付けらておるのでありまして、これを通産省所管なされても何ら疑問のないところなのであります。然るに水産皮革は、海外にも多くこの例を見ない水産国としての日本特殊事情によつて育成されんとしつつある産業なので、ございまして、先ほども申上げました通り我が国水産皮革衰退は主な原因原皮の問題にかかつておるのであります。この問題の鍵は水産行政下にあるのであります。この我が国水産皮革を最も育成せしめるためには、農林省原皮より鞣製まで一貫して掌握して頂きまして、その育成を図ることになれば、我が国においても皮革資源のうちに水産皮革が確固たる基礎を得るまでに成長上得るのではないかと考えておるのであります。現在のごとく、原皮農林省鞣製通産省と二元のような行政の下にありまして、只今ようこ水産皮革衰退壊滅状態を再び過去の状態までに取戻すことは非常に困難なことと考えておるのであります。殊に「さめ」皮のごときは漁港、或いは「ちくわ」、「かまぼこ」等の製造をしておる近くの漁村の中に漁業協同施設としての工業として最も適しておるのであります。鮮度の良好なる原皮を処理いたしまして、良好なる製品と低廉なる製品を出さしめることが可能と考えるのであります。水産試験所はこれが技術研究指導をなされまして、それらのことにまりまして、水産行政下の問題が最も重要なことであるのであります。又「くじら」皮におきましても、只今日本現状の処理はほんの過渡期状況にあるのであります。只今状況よりも、更に原料を半分の薄さにとりまして、更に今の四倍の大きさにとつて来るということ等が可能になりますると、そのコストが非常に逓減されまして、立派な收益を上げる産業に変つて行くのであります。然るに只今程度状況下におきましては、ただ水産皮革から革ができて使いものになるという実験が済んだばかりでありまして、品質その他において使用には耐えるが、そのコストの問題が自由経済下におきまして、到底立ち行く状況までに開発されておらないのであります。我が国水産皮革の今後の育成は、かかつて原料の問題にあると私は信じておるのであります。こういう見地におきまして、是非とも身を入れてこの開発に当つて頂くことが世界皮革資源の窮乏の際に、最も必要なことであろうと考えまして、このお願いに出た次第なのであります。  以上のような理由でございますので、是非詳細は陳情書に書いてございますから、何とぞ私ども願意皆さんの御支援によつて達せられまして、水産皮革我が国産業として立行くように御支援を願いたいと御懇願する次第であります。
  14. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) 只今陳情は、戦争前通り水産皮革を一元的に水産庁において取扱つて、そうしてその育成強化を図つてもらいたいという趣旨と思いますが、この陳情に対して何か御質問がありましたら、お願いいたします。
  15. 青山正一

    青山正一君 どうなんですか、水産皮革原料はやはり水産局で扱つておるのですか、或いは畜産局で扱つておるのですか、どちらですか。
  16. 加藤憲章

    参考人加藤憲章君) 水産庁です。
  17. 青山正一

    青山正一君 なめすほうは畜産局、こういうふうになつておるわけですか。
  18. 加藤憲章

    参考人加藤憲章君) そうです。
  19. 中川以良

    委員外議員中川以良君) 委員外発言をお許し願います。
  20. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) 委員外発言を許可することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  21. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) 御異議ないと認めます。発言を許します。
  22. 中川以良

    委員外議員中川以良君) 只今加藤憲章君が陳情いたしたのでございますが、私は皮革産業全般に対しまして、いろいろ関係を持つておりますので、その立場から特に一、二発言をさして頂きたいと存じます。  水産皮革につきましては、戰争中皮革が非常に需要が多くなつたに伴いまして、輸入が殆んど杜絶したというような状態で、従来の牛、馬、豚等陸上皮革から、水産皮革のほうに皮革産業というものが進出をして参つたのでありまして、その当時は国家といたしましても、いろいろこれを育成助成をいたして参つたのであります。今お話加藤君は、我が国水産皮革会社といたしまして最も大きな日産皮革会社の社長をしておられまして、これは只今くじら」の皮を主体にいたした生産をやつておられるのであります。加藤君は従来「さめ」皮につきましても非常に貢献をされたかたであります。今日皮革統制を外してしまつておりますので、私どもこの皮革産業統制につきましては、戰後一日も早くこれが統制はもはや解除すべきであるということを強く叫んで参りまして、昨年漸くこれが実現をいたしたのであります。ところが統制を外して見ますると、従来統制中は水産皮革にいたしましても、又陸上皮革にいたしましても、なかなかその統制の軌道に乗つて参らない。これは皮革産業といたしまして、非常に複雑な方面がございまして、なかなか統制が十分に実施できない。国内皮革原料が我々は年産約一万トンに見ておつたのであります。これは陸上皮革だけでございますが、それがいざ統制をして見ますると、漸く五千トン足らずしか出ない。四千数百トンしか出ないというような実情でありました。ところが今度統制を解除いたしますると、すでに一万トン以上、只今出ておりますような状態であります。こういうようなことを考えますると、今後皮革の面におきましても、或る程度統制を加えなければならんという議論も出て参りまするが、私はできるだけこの際外国原皮輸入をいたしまして、皮革統制はしないほうが、これは国家のためになり、この産業を勧めるためにもこのほうがいい。原皮が出なくなつて、而も出なくなつて隠れた原皮は闇に流れて不急不要のものになつてしまう。残つて漸く出た僅かな統制に乗つた原皮は悪い原皮が出まして、つまり統制で価格が抑えられるために品質が非常に低下をして、貴重なる資源を極めて不利益に利用されて、そうして高度利用ができないというようなことがございます。こう考えますると、私は先ず今後の事態に対処いたしまして、今お話ししたように、原料をできるだけ北米並び南米或いは濠洲方面等から、この際輸入をするように、これは通産省のほうにも話して置きまして、通産省もこれに対してあらゆる手を打つております。それと同時に、この際やはり水産皮革助成、これが育成に努めなければならんと存ずるのであります。水産皮革をできるだけこの際多量に生産をして、これらを以て、いわゆる牛革とか、或いは馬革とか、そういうものに代つて、これで十分間に合う方面にこれを向けて行くということに着目すべきであると思います。こういう意味から申しますると、今日水産皮革というものは全く継子扱いになつておりまして、通産省においても、もう統制がないためにこれに十分熱を入れていない。又水産庁においても、これは所管通産省であるからといつて水産試験所等においては、皮革試験、これが研究等は殆んど疎かにせられておるような状態であります。こういうふうに考えますると、どうしてもやはり農林省において、一つこの際将来の事態に対処してこれが対策を立てて頂いて、水産庁が一層一つ力を入れて、水産業に対して御熱意を注いで頂きたいと存ずるのであります。こうなりますると、今の所管問題等が出るのでありまするが、只今統制もないのでありまするから、この所管の問題も極めて円滑に私は政府話合において解決が付く問題ではなかろうかと思います。かような意味において、是非一つ木陳情願意につきまして、皆様がたの御賛同、御努力お願いいたじたいと思います。
  23. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) 只今陳情者加藤憲章君、並びに中川君の意見に対して、農林当局の御意見をお伺いしたいと思います。先ず政務次官から一つ発言を願います。
  24. 島村軍次

    政府委員島村軍次君) お話の点はよくわかりましたが、私は全く素人でありまして、これから一つうんと勉強いたしまして、なるべく期待に副うように努力をいたしたいと思います。
  25. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) 水産庁長官はどうですか。
  26. 家坂孝平

    政府委員家坂孝平君) 水産皮革事業が非常に困難な状況に立ち至つておりますることは、私どももよく承知しておるところであります。それで私どもといたしましては、原料を扱つておりまする関係上、この事業というものを如何にしたらば採算のよい姿に立ち帰らせ得るかということにつきましては、いろいろ研究をして参つておるわけでありまするけれども、なかなか現段階におきましては、相当困難な要素があるようであります。それで只今いろいろ陳情されましたお話を聞いておりましても、実際一つ所管官庁取扱うことが非常に望ましい、こういうお考えであることはよくわかるのであります。と申しましても、私ども水産庁がこれを直ちに取上げてやりました場合に、果してこの皮革事業というものが殷盛を極むるごとき状態に直ちに立ち帰るかどうかということにつきましては、誠に私どもとしましては、只今十分なる自信も持てない状態であるわけであります。それは水産皮革取扱つておりまして、その行政通産省関係に移管いたしましてから、すでに十年に相成つておるわけでありまするが、この十余年の間私どもとしましては、その技術者も殆んど手放し、今のところでは大変この仕事に対しましての技術的内容などに関しましては乏しいような状態であるわけであります。それでこの陳情をお受けいたしたことがありますので、早速通産省方面当局ともいろいろ相談をして参つておるようなわけでありまするが、まだ十分に話合いが付かぬような段階でありまして、今後も引続きその点につきましては、十分私どもの納得の行くようにお話合を付けまして、そうしていずれに持つてつたほうが最もこの事業の回復を図ることができるかという判断を付けまして、そうして善処したい。かように目下考えておるわけであります。
  27. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) 御質問ございませんか。
  28. 青山正一

    青山正一君 これはもう水産委員会はつきり取上げなければならんというこの判然たる理窟は通つておるわけであります。ただ殊に今農林次官水産庁長官が来ておられますけれども、これはただ言葉だけに流れるというようなことでなしに、一旦引受けた場合にはぴんからきりまではつきり引受けようというような心構えは、これは必要だろうと思います。これは一例に過ぎませんが、例えば昭和十二年とか、十三年に商工省商務局管轄中央市場業務農林省農政局とか、或いは水産局へ引移つておる、移つておるにかかわらず、最近市場方面におきましては、通産省管轄を移せというような議論が非常に大きいようなわけなんです。これはやはり市場に対して、或るはつきりした信念の下に水産庁なり、或いは農政局が働いていない証拠だと思うのです。これは私らの建前から行けば、これは当然水産管轄であつて、又その角度から進んで行かなければならんと思いますが、少くともこういつた市場関係は、今盛んに通産省へその仕事を移せという声が現われておる以上は、少くとも農政局なり、或いは水産庁あたりが、この業務に対して非常に不熱心であるという証拠をこれは現わしておるだろうと、私はそういうふうに解釈しております。だからこの問題ははつきり引受けるからには、ぴんからきりまで、どんなことがあつてはつきりこの線に持つて行くという覚悟の下に進んで頂くように、私は農林省に要望したいと思います。
  29. 中川以良

    委員外議員中川以良君) 主管の問題は非常にこれはまあ簡単に片付かないと思いますが、それにいたしましても、原料関係指導に対しましては、一つ至急にお運びを願いたいと思うのであります。今日水産研究所あたりで一体水産皮革に対し丁どのくらいの御研究をしていらつしやるのか、どういうふうな状態になつておるかというような点も一つお洩らしを頂きたいと思うのであります。これは主管の問題でなくして、現実の問題でございますが、現実一つこれは水産研究所あたりは取上げて、明日からでもこれは進めて頂かなければならんかと思います。これはさつき加藤君のお話もございましたごとく、いわゆる水産業者が「くじら」をとつて来る、これを直ちに剥いで、水産業者に本当にその潤おいがあるというふうに持つて行かなければ、原料増産はできないのでありますから、これにはどうしてもやはり水産庁がお力を入れて頂かなければ、この問題は解決しないと思いますので、これは恐らく水産皮革関係の人の切なる陳情も私はそこにあると思いますから、その点お含み願いたいと思います。今日研究所関係の点がおわかりでしたら、一つ説明願いたいと思います。
  30. 水野榮

    説明員水野榮君) お答え申上げます。現在水産研究所等水産原皮收集を取上げておるかどうかというような御質問かと思いますが、恐らく私どもよくその点をつまびらかにしませんが、所管が一応通産省にあるということで、恐らく工業試験場のほうで水産原皮の収集の研究をやつておるだろうと思います。所管が移りますれば、当然水産研究所のほうで或いは取上げることと思います。なお原皮集荷問題でございますが、以前は原皮集荷につきましては、臨時措置令に基いて集荷一手販売会社がありまして、そこで集荷をしておりましたのでありますが、終戦と共にこの規則もなくなりましたのでありますが、この「さめ」の利用という点につきましては、ただ鮮肉を利用するというだけでなく、原皮までも利用することによりまして、「さめ」の価値を大いに高めることができると思いますので、「さめ」の有効利用高度利用という建前から行きまして、いい、きずのない優秀な原皮原皮工場に入りますようなふうに考えて行きたい。こういうふうに思つております。
  31. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) 只今通産省から包装雑貨課長が見えましたが、只今水産皮革の問題の一元的行政をやつてくれ、水産庁で一元的に行政をとつてくれ、そうして今殆んど顧みられない水産皮革育成強化を大いに図つてもらいたいというような陳情がありまして、今大体水産庁からも御意見がありましたが、通産省としてはどういう御意見でしようか、お願いいたします。
  32. 兼坂隆一

    説明員(兼坂隆一君) 水産皮革の問題につきましては、戰時中からいろいろ問題がございまして、特に戰時中皮革需給関係の不足しております間、水産皮革の確保ということについて努力して参つて来ておつたのでございますが、最近におきましては、国内原皮の需給関係が好転して来ておりますということと、それから又輸入原皮が比較的順調に入つて来ているといつたような関係から、今お話がございましたような状況が現われていると思うのでございますが、御趣旨の通り、今後のいろいろな問題を考えますと、水産皮革我が国皮革の需給関係一つの供給面として大きな役割を持つということについては、私ども十二分に考えているのでございます。今水産皮羊をやつておられますところは、大部分の工場か、戦争中水産皮革の工場を確か企業整備で二社にいたしたいと思つているのでございますが、その二社とも現在陸獣皮関係でおやり願つている。そのほかにも工場がありますが、そういつたような関係からいたしまして、今後水産皮革の重要性ということは当然私ども認識して、又その努力をしなければならないとは考えておりますが、陸獣皮関係もございますので、両方相当な生産量を出されてありますが、ところが両方やつておられるといつたような面から、いろいろこの点については、なお研究いたしたいというふうに考えております。殊に水産皮革の問題につきましては、「さめ」皮の場合に鮮度の問題が一番大事な問題と考えておりますので、これらの点、鮮度を落しますと、品質が非常に悪くなるというような点が戦時中も見受けられましたので、鮮度の点、その他鮮度の確保というようなことが非常に重要な、今後これを育成して行く上におきまして、非常に大きな出題と考えられますから、今後所管の問題につきましては、なお研究させて頂きたいと思いまして、水産庁とも十分連絡いたしまして、鮮度の確保を中心にいたしますれば、「さめ」皮も非常にいいものができますのでございますので、こういつた点について努力をいたしたい、かように考えております。
  33. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) それですべて何ですか、今まで通り原皮水産庁製品通産省ということにして、お互いにやりたいという御意見ですか。
  34. 兼坂隆一

    説明員(兼坂隆一君) お答えいたします。現在今申上げましたように、陸獣皮をやつておられるところで、水産原皮を共にお扱いになつていらつしやるという問題もございますので、それらの点についてなお研究をする余地があるのじやないかというふうに考えております。取りあえずの措置といたしましては、よく御連絡申上げてやつたら如何かと、かように考えております。
  35. 青山正一

    青山正一君 ここに村山さんがおいでになつているが、村山さんのほう一に、こういうふうな関係の御研究なんか、水産研究会あたりでどういうふうな御研究をやつておられるのですか、それをお聞きしたいのですが。
  36. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) ここに水産研究会の村山敏三さんがお見えになつておりますが、御発言を許して御差支えございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  37. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) 御異議ないと認めます。御発言を許します。村山君。
  38. 村山敏三

    参考人(村山敏三君) 御指名にあずかりましたから、ちよつとお答えいたします。水産皮革研究は、以前は水産試験所で非常に熱心にやつておりましたけれども、先ほど來のお話のように、その加工面の所管官庁通産省に移りました関係で、私の今知つている範囲では、水産試験所、現在の水産研究所研究をやつておらぬように思います。私は水産研究会のほうをやつているのでありますが、水産研究会にもいろいろ研究課題が沢山ございますけれども、現在のところ水産皮革に関する研究課題は何もございません。以上のような次第であります。
  39. 青山正一

    青山正一君 証人にちよつとお聞きしたいと思いますが、やはりあなたのほうの御関係皮革の、水産皮革取扱つている会社は二つだけですか。それから陸獣皮も相当扱つておられるのですか、その点も一つお聞きしたい。
  40. 加藤憲章

    参考人加藤憲章君) 只今状態は初め「さめ」皮の業者は「さめ」皮だけの工場でやつてつたのであります。それから「くじら」のほうもそこだけでやつてつたのでありますが、だんだん水産皮革のほうが引合わなくなるにつれて陸獣皮をやらざるを得ない、その設備を利用するために転向せざるを得ないという状況下に、だんだん水産皮革が衰亡の状況に入つております。恐らくはそこに九つか、現在まで我々の協会の会員として出ておりますが、我々の協会の会費さえ事欠くような状況下に「さめ」皮一般は落ちております。それから「くじら」の皮革は私のほうがただ一つ日本一つばかりではなく、世界のどこでもやつてないのを、私ども一つ十幾年間持ち耐えて研究を続けて、現在も研究をしておりますが、その採算たるや甚だ困難なものがあるのでありまして、畜産品の利益を以て引つばつて行くという形で、何とか改善したいとは思つております。併しその主な問題がすべて原料関係を改善することによつて大きく好転し得るという現状から見まして、そういう判断になる次第でございます。
  41. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) ちよつと兼坂課長にお尋ねいたしますが、今工業試験所で水産皮革研究をやつておりますか、どうか。
  42. 兼坂隆一

    説明員(兼坂隆一君) お答えいたします。現在いたしておりませんと思います。
  43. 中川以良

    委員外議員中川以良君) 只今も私が申しましたように、請願者の願意は要するに原料集荷面が非常にうまく行つていないというところの私はあると思うのであります。これは通産省ではできないのでありまして、それで水産庁がもう少し骨を折つてもらいたいということです。今日は水産皮革統制は全然ないのでございますから、どこの工場でも扱えるわけでありますので、これは指導よろしきを得れば、私はどこでも扱つて行け、品物もできると思うのです。要はこの際少しでも多く皮革資源を培養して行きたいというところにあるわけでありまして、その点私も非常に共鳴しておるのでありますが、所管の問題は統制のない今日ではそうむずかしいことはなかろうと思いますが、これはそうなかなか一概に直ちに解決はできないと思いますので、取りあえず差当りの問題としては、水産研究所あたりでも、これのほうをお取上げになりまして、如何に皮を剥いだらいいか、先ほどお話しのように「くじら」にしましても、どのくらいの厚み、どのくらいの大きさに剥いだら有効に使えるかということを水産庁でおやりにならなければ私はできないと思いますので、そういう面につきまして、通産省とも十分御連絡をとつて頂いて、先ず最初の第一歩を至急にそこから踏み出して頂きたいと思います。
  44. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) ちよつと私からお伺いしますが、今統制がない場合に、これは通産省の問題だ、水産庁の問題だということが言えるかどうか。統制がなければ、誰がやつても同じじやありませんですか。
  45. 兼坂隆一

    説明員(兼坂隆一君) 今お話しのように統制は全然ないのでございますが、一応業界の、業界と申しましようか、おやりになる工場の資金でありますとか、それと必要が起りますれば、電力でございますとか、そういつたお世話をする範囲のことがございますればこれにつきまして、所管官庁がお世話をするということになつて参ると思います。そういつたような関係からいたしまして、一つのほうでお世話するのが便利ではないかということも考えられる、かように考えております。
  46. 青山正一

    青山正一君 問題は只今中川先生がおつしやつたように、如何にして原料を得るかということが僕は先決問題だと思います。それにはやはり水産庁とよく連絡をしてそうして、原料をたくさん獲得するということが僕は第一義的にこれは謳われているのではなかろうかと考えます。それであとからこの原料の一貫指導をそこでやつて、例えば今まで工業試験所あたりでやつていないことを水産研究所でやつて、そうして飽くまでその面の育成の策をとる、こういうふうな二段構えに進んで行くだろうと、こういうふうな私は今の陳情と解釈するわけですが、このうちこれを委員会で取上げて、この次の機会に審議して頂いて結論を出すというようなふうに進んで行くことを希望したいと思います。
  47. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) この皮革の問題はほかにございませんければ打切りたいと思いますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  48. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) では改めて次の委員会において、水産委員会としての態度を決定いたすことにいたします。  ほかに御意見ございませんければ、本日はこれを以て散会いたします。    午後二時三十分散会  出席者は左の通り。    委員長     木下 辰雄君    理事            青山 正一君            千田  正君    委員            入交 太藏君            櫻内 義雄君   委員外議員            中川 以良君   政府委員    農林政務次官  島村 軍次君    水産庁長官   家坂 孝平君   事務局側    常任委員会專門    員       岡  尊信君    常任委員会專門    員       林  達磨君   説明員    水産庁水産課長 水野  榮君    通商産業省通商    雑貨局包裝雑貨    課長      兼坂 隆一君   参考人    水産省設置運動   中央本部委員長  鍋島 熊道君    水産皮革協会々    長       加藤 憲章君    水産研究会会長 村山 敏三君