運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1951-01-29 第10回国会 参議院 水産委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年一月二十九日(月曜日)    午後一時四十二分開会   —————————————   本日の会議に付した事件 ○水産物増産対策に関する調査の件  (漁区問題及び漁業協定締結等につ  いてダレス氏に懇請する件)  (新潟県海区問題に関する陳情の  件)  (漁業用燃油及び綿糸に関する件) ○水産業協同組合法の一部を改正する  法律案に関する件   —————————————
  2. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) 只今から委員会を開会いたします。  最初講和問題のためにダレス特派大使がお見えになつておりますので、漁業協定の問題について、衆議院参議院委員長としてダレス氏にお会いしたいということで農林大臣にも申込んであります。農林大臣から至急会うように取計らうというような返事を頂きましたので、そのダレス大使に会う場合において、どういうことを懇請するかという点について、專門員のかたにいろいろ研究してもらいまして、專門員業界の各団体とも連絡いたしまして、大体ここに取りまとめた案がございますので、今、林專門員から一応朗読をいたします。
  3. 林達磨

    專門員林達磨君) それでは私朗読いたしまして、あと簡單説明を加えたいと思います。  昭和二十六年一月二十五日   参議院水産委員長 木下 辰雄   ダレス特派大使閣下    漁業協定締結、及び漁区拡張に関する懇請  特派大使閣下におかれましては、対日講和促進のため、かねてから多大の御高配を頂き、我々日本国民として誠に感激に堪えないところでありまして、ここに深甚なる謝意を表する次第であります。  今回重ねて御来朝を得ました機会に、講和問題に関連して我々の最も深い関心を抱いている表記の件に関し、閣下の一層の御盡力によつて諸案件の実現いたしますよう、参議院水産委員会の決定に基き更に陳情いたします。  御承知通り我が国は今次大戦によつて領土の大半を失ひ、主要食糧において毎年三百万トンの不足を生ずることになりました。これは民族の生存上、大きな脅威でありまして、我々としては新たに国民食生活に科学的な再検討を加えなければならない重大時機に直面しているのであります。  然るに一方国民栄養の基本的な要素となつている動物性蛋白質について見れば、その八〇%以上を補給する水産食糧は、終戦以来沿岸漁業濫獲によつて、漸く資源枯渇の顕著なる事実が現われ、遠洋漁業に多くの期待をかけざるを得ない切迫した事情にあるのであります。故に我々は今後の太平洋漁業あり方については、誠に重大なる関心を抱かざるを得ないのでありまして、閣下並びに貴国政府、貴国民各位の、我が国民食生活の伝統、慣習及び第二次大戰以後食糧事情等に十分なる認識を持たれ、人道的見地から公正妥当なる解決を與えられんことを切望するものであります。  或々は太平洋資源保護漁業上より起る国際紛争を未然に防ぐため、関係各国の協力によつて次に述べるような漁業協定を締終し、太平洋上に新たな漁業秩序を確立して世界平和に貢献せんことを期しているのであります。  閣下におかれては我々の熱意を諒とせられ、これが実現のため斡旋の労をとられんことをここに重ねて懇請いたします。    懇請事項    一、漁業協定に関する件  (1) 国際捕鯨協定参加   捕鯨については、米国政府の特段の御配慮によつて現在南氷洋捕鯨に二船団の出漁を許されているが、鯨族保護繁殖については我々も重大な関心を有するので、速かに同協定参加して国際捕鯨委員会の統制の下に出漁いたしたい。  (2) 日韓漁業協定締結日韓両国漁業は地理的に資源的に密接な関係にありますので、両国沿岸漁業保護と利害を調整するため漁業協定を結ぶことが最も適当であると考えられるので、これが斡旋方をお願いいたしたい。  (3) 以上の漁業協定はいずれも国 際法の示す通り領海三浬以内はその所属国主権管轄下に置かれるものであり、公海航行並びに漁撈が絶対自由であるという原則前提とし、これを再確認の上締結されるものであるべきでありまして、すでにこれは幾多の国際漁業協定に明記するところであります。漁業に関する国際紛争を惹起する虞れもありますので特に留意されるよう希望いたします。    二、千島小笠原琉球諸島の帰属に関する件   千島小笠原琉球諸島は、いずれもポツダム宣言に言う侵略によつて獲得した領土ではなく、歴史が明らかに示すように、古来から我が領土でありますから、講和條約によつて当然日本に帰属すべきものと考えます。これらの諸島漁業根拠地として水産業の上からも極めて重要な地位を占めるものであります。   閣下並びに、貴国政府の格段の御配慮をお願いしたい。    三、漁区拡張に関する件   支那東海黄海漁区現状のままでは甚だしく資源枯渇する状況にありますので、次の理由により、講和條締結前出来るだけ速かに監視船行動許可区域まで拡張されるよう御配意をお願いしたい。  (1) 京、阪、神其他西日本大都市の必要とする鮮魚の約七〇%を以西底曳漁業によつて供給していますが、このままでは百億円を投資している本事業は重大なる影響を受けることになります。  (2) 現在の漁獲高年産二十五万トンが監視船行動区域まで拡張されれば資材はこのままで五〇%の増産ができます。  (3)監視船行動区域は過去、現在とも中国、朝鮮側は利用していませんから国際的な影響は生じません。  以上でありますが、第一の国際捕鯨協定に関する問題は、御承知の対日講和原則の第五項に、日本漁業については、国際協定を嚴守させるという項目に特に揚げておりますが、その中で国際協定と称するものは、この国際捕鯨協定をも含んでおると考えられますが、更に業界においても熱心に希望しておるところでありまして、現在御承知の二船団でありますが、戰前は六船団出漁いたしております。これに加入したいというのは、業界の挙げての希望であるのであります。  それから次の日韓漁業協定締結は、昨年秋山先生等と一緒に下関に参りまして、九月でありましたが、その会場の席でも下関業界全会一致日韓漁業協定を一時も早く締結してもらいたい、そうして安心して、我々は出漁したいという要望でございましたので、それをここに謳つたのであります。  それからその次の漁業協定国際法の示す通り領海三浬以内はその所属国主権範囲内にあり、その他の公海は絶対に自由であるべきだ、これは言うまでもないことてありますけれども、いずれも漁業協定の中にそういうことを特に規定しておりますので、この際挙げてこの点を懇請することにいたしたのであります。  それから千島小笠原琉球諸島に関することは、これは御説明申上げるまでもございません。  漁区拡張に関することにつきましては、全体の漁区を撤廃してもらいたいという行き方と、それから現在の漁区拡張してもらいたいという三つの行き方がございます。併し撤廃してもらいたいと要求いたしましても、事実上甚だ困難であると考えましたので、一部分の拡張、殊に以西底曳焦眉の急に差迫つておりますので、支那東海黄海だけを取上げました次第でございます。この点は、以西底曵協会首腦部相談をいたしまして、どうういう文面にして出すか、民間輿論をも反映させたいと考えたのでありますから、相談をして大体以西底曳協会のかたがたが希望される文章をそのままに採用したつもりであります。なおちよつと申上げて置きたいと思いますことは、これは勿論委員会如何ようにも決定されるわけでありますが、各方面と連絡をとりまして日本民間陳情でありましようとも、或いは官の陳情でありましようとも、一致した歩調をとることが国家のためであるというふうに考えましたので、この文章を作りまして、すぐに衆議院水産委員会にこれを十部渡しました。それから経団連でも、ダレス特派大使にほかの問題と一諸に漁区問題をも懇請したいということの連絡がありましたので、一応こういう、これはほんの案に過ぎないけれども、一応この線じやないかと思うという意味においてこの案を渡してございます。それから以西底曳は、今申しましたような相談をいたしまして何しましたので、渡してございます。そういうようなことで実は民間との連絡をいたしたつもりでございますから、大体民間輿論がこれに反映しておるように承知して頂いてよろしいのではないかと思います。
  4. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) 只今林專門員から説明いたしましたように、民間輿論も十分反映さして、大体この案は作つたそうであります。そうして衆議院ともいろいろ今折衝いたしております。なおこの問題について委員各位の御意見追加事項、或いはその他いろいろ御質問がありましたら、この際お求め願います。
  5. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 只今懇請案は大変結構だと思いますが、大体この第三番目の漁区拡張に関する問題で、現在の区域監視船行動許可区域まで拡げてもらいたいということを謳つてございますが、これは我々の本当の願いは、撤廃してもらいたいというのが本旨なんです。従つてそれを願つてもできないだろうということもあるかも知れませんが、一応そのことを謳う必要はないだろうか、即ち資源枯渇する状態にありますので、講和の際には、この線は撤廃されなければならんと思うが、焦眉の急に迫つておる現在においては、講和條約前にできるだけ速かにこれを拡張してもらいたい、こういつたように謳つたら如何なものだろうかと思います。というのは、前にも日韓漁業協定あとの方に、「公海航行並びに漁撈が絶対自由であるという原則前提とし、」ということが謳つてございます。従つてこの支那東海黄海においてのみ、これを実情については制約しておるということを認める必要もないと思いますが、どんなものでございましようか。
  6. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) これは、ほかの問題は講和條約後においてする場合の拡張でございますが、漁区拡張講和條約前における懇請事項であります。もとよりこれは講和條約ができましたらマツカーサー・ラインというものは当然なくなると思いますけれども、その前においてやつてもらいたいという、これはその希望でありますので、こういう工合に作りましたが、この際一挙に漁区制限を撤廃してもらいたいと、ここで変えていいか惡いか、その点についての……。
  7. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 これは撤廃してもらいたいのであるけれども、講和前であるから、講和前においてはここまで拡げてもらいたい、こういうあれなんです。一挙にやつてもらいたいというのは、念願であるけれども、これはとてもお話のようになかなかむずかしいのであるから講和のときにはこれは述べられるものというような気持を現わして置く必要はないか。何かこれでもう、講和のときにも、これで行くようになつてしまうとちよつとなんですがね。
  8. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) これは講和條約の場合にはマツカーサー・ラインは撤廃されるという前提で書いたのですけれども、そういう場合に誤解を招く慮れがあるならば、そういうことを前提として、講和條約後においては、当然最初の第(3)に、領海三浬以内は場公海航行並びに漁撈が絶対自由であるということを確言しておりますので、これは講和條約の場合、それでこの第三の漁区拡張に関する件も、そういう前提は要らぬのではないか、これは当然講和前には、三浬以内は……公海は航海行並びに漁撈が絶対自由であるとなつておるので、そういう前提をせずに、講和前において暫定的にこうしてもらいたいという、これは請願のつもりでありますが、如何でありますか。
  9. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 そこに誤解を招く虞れがなければいいのでありますがね。
  10. 青山正一

    青山正一君 この問題は一応、後ほど委員長なり秋山委員なり或いは林專門員を交えて一つそういう字句的なことはお話合い願うということにいたしまして、大体私の考えといたしましては、この点は全部賛意を表したいと思います。ただ併し私はその前に一つ委員長に、別に惡い意味で申上げるのじやないのですが、どの新聞にも、本日只今御配付になつたこの案というものが発表されておる。而も参議院の決議によつて大体まとまつたものだというふうなことで発表されておるわけなんです。而もその中には、この案に消してあるところのオットセイ條参加とか、或いは日米鮭鱒の問題なども出ておるように窺われるのです。私はもとよりですね、このオットセイ條約に参加するとか或いは日米鮭鱒の問題が、若しですね、この案にありとすれば、社会党としては絶対に反対を唱えたいと、こういうふうな建前で進んでおつたのでありますが、本日の御説明によりますと、この両方の案というものは削られておつたので非常に結構だと、こういうふうに考えております。大体この案に対してはですね、恐らく社会党全員といえども文句はないだろうと、こういうふうに考えております。只今秋山委員お話あつた点については、又三者がお寄り願つてお話願うことにしまして、大体の進め方はこれで結構だろうと思いますが、今後かかることのないように、あらかじめ御注意だけ申上げて置きます。これは勿論委員長の恐らくお気持ではなかろうと思いますが、事務局にこういうような書類が余り流れないように特に御注意願いたいと、こういうふうに考えております。以上。
  11. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) これは前に新聞等に洩れたことは甚だ遺憾と思います。以後十分注意いたします。  それで大体秋山委員の御意見もありますし、又衆議院とも折衝がありますので、大体この線に沿うて、字句等委員長にお任せ願うことにして決定するごとに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  12. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) 御異議ないと認めます。適当に字句その他は修正いたします。又衆議院と折衝いたしまして、多少は案文も変るかも知れませんがこれは委員長に御一任願います。
  13. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) 次に、資材の問題に入る前に、新潟県から陳情のかたが参つておりますが、この際陳情を許可することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  14. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) 御異議ないと認めます。それでは新潟県の陳情を許可いたします。どなたか……。
  15. 磯田米吉

    参考人磯田米吉君) では許さして頂きまして、陳情要旨を概略つまんで申上げます。  新潟県におきましては、新潟以西新潟以北、この大体二つに分れまして、漁業の形態が変つておりまして新潟以西漁業は、往々にして資本を以て経営するところの底曳漁業でありまして、更にこの以西の二区に跨がる沿岸漁業は、共に佐渡三区の地区におきましては、いわゆる沿岸漁業であります。この底曳とこの沿岸漁業の二種に分れておるのでございますが、ことごとくこの一部の底曳漁業のために、稚魚が濫獲されまして、繁殖保護を阻害され、資源枯渇まで来たして、すでに最後的段階に入りまして、一切沿岸漁民零細漁民は、もう生か死かという現状に追い詰められておる現状であります。然るに一部の底曳禁止区域があるにかかわらず、あえてそれを改めようとせず、頻りにそのあとを追うて沿岸漁民を悩ましておる現在でございます。それももともと新潟県におきましては、その監視船不足のため、その監視の不徹底のために、それらを満足することができない現下におきまして、ことごとく海が壊わされつつあります。今回それらに基きまして、いろいろと地方から底曳処理要項案に基きまして、今回小型底曳処理要項案というものをめぐりまして、おのおのその県におきましても、当県におきましても、その問題につきまして禁止区域と期間の設定というようなことで大体意見一致を見るべく、その整備調整にいろいろと漁民の声を聽取されまして審議を進められたのでございますが、もともと零細三区の漁民の声は断じてさして頂いては困る、そのものよりも更に圧縮整備原則とする本省の基本的原則に基きまして、断じて許すことはならん。今までの、現在海区の或る一部の底曳圧縮整備するものかと思つておりますにもかかわらず、当県におきましては、それらと逆行的に一部の底曳船を以て県下一円に行くと見なして、至る所においてその底曳を許可して、更に生産高揚に努めたいという形でことごとく会議が進められておりますのですが、沿岸漁業のほうでは、万一それが許されるとしたならば、殆んど漁場はなくなつてしもう。資源がなくなつてしまう。我々はもうその日から食を断たれるということで、許すことができないという闘争を続けておる現状でございますけれども、その明るさを見ず最後的段階に入りまして知事の裁定であるような形に伺いました。どうか願くば、我々零細漁民といたしましては、この地方においては基本的政策に基きまして、できるならば、今まであつたところの縦の線を侵して沿岸漁民の苦しむことのないように、資源枯渇することのないような対策をとつて頂きたいと思います。誠に簡單でございましたですが、これを以て陳情要旨といたしたいと思います。
  16. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) ちよつと磯田さんに私からお尋ねしますが、今の陳情の御趣旨はですね、新潟県で設定しておる禁止区域内に底曳を入れるという調整委員意見だというのですか。
  17. 磯田米吉

    参考人磯田米吉君) そうでございます。四区に分れておりますところの三区がことごとく意見一致をいたしておりますのですが一部の要望要望といつては失敬、語弊があるかも知れませんが、基本的な政策反対底曳漁船を、何とかそういうことができるような県の一本の方針を定めたい、こういう御方針でございますが、もともと中部におきましては、漁民声そのものと結付けまして、調整委員意見としては断じて許すことはできない。ところがその地理的條件によりまして佐渡の一部その他南部の一部において、海区の状況が、これを相容れなければ、その目的が、会議が円満な妥協ができないとするならば、その地理的の條件によつて大して苦痛にならんところだけを一応認めてやろうというような意向から、その土地々々の特殊性によつて許さるべき形を、特殊性によつて中部において多少の意見を持つてその漁民の声を代表して出られる中部委員のあれを以て今まで進んでおりますので、万一それらのために、漁民の声を代表する中部委員の声が蹂躪され、万一にもそれを侵すところの危險なことができましたならば、殆んど新潟県の漁業は滅亡であると思います。
  18. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) 漁業調整委員主張を犠牲にして云々というのは、漁業調整委員がきめるのでしよう。漁業調整委員の総意を無視して禁止区域に船を入るようなことを誰がするのですか。
  19. 磯田米吉

    参考人磯田米吉君) それを扱われるところの行政官吏のほうで、どうもそういう傾向に、我々の解せないところの行動を続けておられるかのような不安があるのであります。
  20. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) 調整委員意見を無視して県がやろうとするのでありますか。
  21. 磯田米吉

    参考人磯田米吉君) まあいわば海区ごとの意見を統一して、何とか新潟県一本の筋に持つて行こう、かような考えでございます。
  22. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) ちよつと亘さんに質問いたしますが、今の、あなた新潟県のことでよく知つておられると思いますので、今の説明に敷衍して、一つわかりやすくお話して頂けませんか。
  23. 亘四郎

    参考人亘四郎君) 私から、それでは私の聞き及んでおる範囲について御説明申し上げますが、先ほど磯田さんのお話にございましたように、海区が、新潟県は上越、中越、下越と更に佐渡と、この四海区に分れております。で勿論各海区に海区選出の調査委員がおられるのであります。今問題になつておりまする停止線の引かれておる海区はおおむね中部の海区になつております。その中部の海区を侵そうとする新潟市を根拠地といたしました大型底曳があるのであります。それで県の意向としては、聞きき及びまするに全海区を連合会一本としてこれを調整しようとしておるような様子であります。ところが中越海区の調整委員は、絶対に現在の禁止区域というものとを撤廃してはいかないという強い主張を今日までして参つたのであります。併し他の海区の調整委員は、比較的地域の関係上、これに対して中越の海区の委員ほど熱意はないわけであります。同時に県の水産課を中心といたしました考え方といたしまして、禁止区域をできたならば撤廃したいという意向があるように多く見受けられます。そうした影響力が相当強いのと、それから地元の、新潟におけるところの底曳業者勢力というものも侮るべからざる大きな勢力を持つておるのであります。そうした圧力がありまするために、今陳情に及んでありまする中越の海岸の漁民脅威というのがますます加つて来る。併しこれは思うに、中央、即ち水産庁の意思とは絶対に相容れないものを県が独自の解釈を以て、こうした行動をとろうとしておるのではなかろうかと、こう考えておるのであります。それでこの際、水産庁のこの問題に対しまする明確な一つ御回答をお願いいたしまして、更に若し水産庁の御意見が、県のそうした意向一致しておらない場合には、嚴重な通達を以て県の水産課意向を是正して頂きたい、これが陳情の大体の趣旨なのでございます。
  24. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) わかりました。
  25. 青山正一

    青山正一君 あの水産庁から何か通達が来ておるその案文があるのですか、あなたのほうに。
  26. 磯田米吉

    参考人磯田米吉君) 要綱があります。
  27. 青山正一

    青山正一君 ちよつと見せて頂きたいのですが……。で、この問題は、戦後の食糧不足という立場からして、つまり一番やりやすい小型底曳へ転向したために、小型底曳が急に増加して、その上無許可船が二万六千隻を超える状態で、こういつた種類の漁業濫獲漁場を崩壊に陷れておる。そこですべての漁業生活擁護の上から小刑底曳漁獲を防止するために、こういつた、小型機船の整理とか或いは操業区域制限或いは漁区禁止或いは許可等に関する農林大臣承認制水産庁のほうで何とか考えておるように承わつておるわけなんです。こういつた方針で、水産庁が進んで、すでに瀬戸内海の沿岸底曳業者なり或いは愛知県の底曳業者などが水産委員長の所へもおいでになつて、この政府方針もこれはどうも止むを得ない、せめてこの政府方針に協力する意味で、この年限をきめて欲しいとか、或いは転業とか、転職の途を開いて欲しい、或いは国家補償考えて欲しいというような注文まで、すでに水産委員長なり、或いは各委員の所へ来ておるだろうと思いますが、それで参議院水産委員の、少くとも委員長なり私どもも多少親心でこういつた民間底曳業者のことも考えてやろうという気持を持つておるということも、これは事実だろうと思うのでありますが、ただ特に水産庁次長にこちらにおいで願つておるわけなんですが、お聞きしたいのは、一方において、日本全体の建前から小型底曳業者をこういうふうにして整理するという、こういうふうな行き方でやつて行こうという大きい方針を示しておつて、一方他地区においてこれは水産庁意向とまるきり逆の行き方で、而も関係のない海区の調査委員が、その中の三つなり四つなり加つて一つ調整委員会意向とまるきり逆に進めて行こうということは、これはもう絶対に腑に落ちぬところであります。だからはつきりとここに水産庁としてこの種の通達を出しておるわけなんですから、その通達通り一つ冷静に履行してもらうというような建前に、一つはつきりした意向を、次長のほうでよく長官と相談なすつて一つお願いしたいと思いますが、それに対する次長のお考えを二つ承わりたいと思います。
  28. 山本豊

    政府委員山本豊君) 小型底曳の整理問題につきましては、いろいろ現在水産庁でも準備をいたしておるわけでおります。これもいろいろと要望がありまして、早急にやりたいと実は考えて、昨年の八月頃から実地の調査その他に着手したのでありますが、何さま各地区によりましてこのあり方が種種雑多でありまして、それらの現状を先ず把握しないことには、なかなか整理要綱なるものが上すべりになるきらいもありますので、今日までいろいろかかつてつたのでありますが、今日水産庁としての考えが一応まとまつたものでありまするので、地方にもそれを通達して、県庁でも意見があれば述べてもらうように、更に沿岸漁場のいろいろの整理計画を立てられたり、調整委員会のほうでもこれについて論議があろう。又論議のありましたものにつきましては、なお検討、是正いたして整理して行きたい。特にこの問題につきましては單に一片の通牒だけではできる問題ではないのでありまして、一つには、これの転換でありますとか、或いは沿岸の場合、その養殖事業の問題でありますとか、何らかそういうふうな経済的の裏付けの問題も考えなければならんし、又この要綱が仮に実施される段になりましても、爾後の取締の問題につきましては、沿岸の多数の漁業者の熱意ある協力がないとこれはできることでないのであります。そういう意味で、現在まだ最終的にはきめていないのでありますが、漁場の整理計画の問題も、非常に焦眉に追つておりまするので、これらと睨み合せをしなければならん関係上、徐々に公表をいたしまして、先般の漁業調整中央審議会でも、この要綱その他について議論しておつたのであります。そういう過度的な状況にあることを前提にお考え願いたいと思うのでありますが、只今新潟県の問題につきましても、これらの問題の取上げ方につきましては、水産庁としては決して責任転嫁をするつもりはないのでありますが、やはりその地元の調整委員会、更に又県の連合会がある場合には連合会、その意見がどういうふうになりまするか。それとまあ知事の裁定の問題、そういういわゆる出先の実情に最も詳しいところの自主的なさばきを我我としては期待しているわけであります。殊に又つぶさに水産庁が全国津津浦々に至るまで、そういういろいろな問題を一々簡潔にはさばき切れない事情のあることは御了察願えると思うのでございます。併しながらこれがいわゆる地方的に知事なり或いは連合海区調整委員会なり、そういう所で議論が対立いたしまして、どうにもさばけぬという場合には、無論この法律の上におきましても、中央漁業審議会においてもこれを取上げる権限があるわけでありますし、又それらに基きまして、水産庁としても大臣が知事に或る通達をするということは、法制上可能なことでありますから、いよいよとなりますれば、そういうことにも相成るかと思うのでありますが、ただ政府も一片の通牒で、そういう非常な生活問題等にからんでいるものを、簡單には処理できないと思うのでありますして、只今事情等につきましは、これは一方的だけの話を承わるわけにも行きませんので、県の係官も水産庁としてよく聽取いたしまして、いよいよとなれば、先ほども申しましたような、いろいろな手段はありますけれども、その前に一つ県のほうにも、水産庁としてもできるだけ一つ事情を聽き取り、或いは又注意すべきことは注意いたしまして、地方的に、できれば皆さんがたのお考えのように円満に運べるように処置したい、こういうふうにお考えております。
  29. 青山正一

    青山正一君 これは、山本さんも非常にこの方面は広い卓見を持つておられますのですからして、よくこの問題を吟味なさるとよくおわかりだろうと思いますが、こんなんですよ。今まである区域へ入つて来るやつを押し出そうというのじやないのですよ、禁止区域沿岸漁業の協同組合の所までこうして持つて来たから、そこに問題があるのです。そうするとですね、国家的な建前からして、そういうふうな方針をやめて行こうというような建前のところに、新たにそういうふうな漁区拡張しちやつて、そこで、底曳をやらしたからという問題が一つと、それからそこに従事する船を殖やそう、そこに問題があるわけなんです。そうすると、この海区の調整委員会では、それは困るということで進んでいるわけなんです。ところがその海区と全然関係のない海区の三つがそこに入り込んで来て、そしてその三つの中には底曳業者がありまするからして、やはり底曳業者のほうに肩を持ちたい、或いはその他の海区に、底曳業者だからこちらに入つてもいいんじやないかということでやつているんですから、その点やつぱり十分心して一つ考え置きを願いたいと思います。以上簡單ですが。
  30. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) 今の問題について、山本次長の御意見を伺いたいと思います。
  31. 山本豊

    政府委員山本豊君) その要綱に示めしてありまするところは、抽象的ではございまするが、大体まあ青山委員から申されましたように、この沿岸の、いろいろ漁場を整理するときに、従来こういう禁止区域拡張するとか、或いは底曳をむやみに殖やすとかいう方向はとつていないと思うのであります。従いましてこの問題につきましては県がどういうふうな事情で、そういうようなふうにまだ結論は下してないようでありますから、どういう事情になつて来ておるのか。そういう事情もよく聞きました上で、県のほうにも我々のほうからよく言つて、できるだけ事前に誤りのないように事前に防げるように措置したいと思います。
  32. 青山正一

    青山正一君 お願いいたします。
  33. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) これからほかの問題に移りますが、陳情者は一応御退場願います。
  34. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) 次に、水産業協同組合法の一部を改正する法律案を、この委員会として提案いたしたいという趣旨であります。この趣旨については、岡專門員から一応簡單に御説明願います。
  35. 岡尊信

    專門員(岡尊信君) この水産業協同組合の第九国会で一応改正をして頂いたのであります。その共済会、いわゆる水産業協同組合共済会の事項についての更に改正を加えるのであります。これは当時予想し得なかつた実情が、共済会を組織して見ましたところ出て来たのであります。それはどういうことであるかと申しますると、第一は、共済会の役員の選任には、水産業協同組合の役員選任の規定を準用しておるのであります。即ち組合の理事の定数の少くも四分の三は組合員であつて、勿論準組合一員は除くのでありますが、組合員でなければならない、こういうことになつております。但し設立当時の理事の定数の少くとも四分の三は、設立の同意を申出た漁民でなければならないというように嚴重に書かれてあるのであります。ところで実際上水産業協同組合の共済会を全国的に組織いたしまして、理事の選任等をいたしましたところ、大体理事は、各府県の府県漁連の会長が多く理事になることが最も共済会の運営上よろしいのでありましで、選挙の結果も大体そういうようになつたのであります。ところでここに全国の県漁連の会長というのは、多くは漁民でない者が、いわゆる員外理事と申しまして漁民でない者が理事になり、会長になつておるのでありまして、共済会におきましては、若し水産業協同組合と同じように町分の三以上が漁民でなければならんということになると、共済会の運営に甚だしき支障を来たすというので、こういうように條文を一つ改正しようと、こう考えましてこの準用規定の中に、この條文を入れたのであります。  それからここでなお御了解願つて置きたいと思いまするのは、もう一つの問題は、農林中央金庫法の改正でありまして、水産業協同組合は御承知通り農林中央金庫のいわゆる系統機関になつておるのでありまするが、共済会をも水産業協同組合と同様農林中央金庫の系統機関の中に人れて、預金もできるし、金も借りられるとするように改正したほうが共済会の運営上よろしいというので、これを入れたのであります。  もう一つ、ここで御了承願つて置きたいと思いますのは、その附則を御覽願いますと、「この法律は、公布の日から施行する。但し、改正後の水産業協同組会法第百條の十一第三項の規定のうち、同法三十四條第七項に係る部分は、この法律施行前にした理事の選任についても適用する。」こういう附則を入れたのであります。これは実は先般理事の選挙をして見たのでありまするが、いわゆる四分の三の範囲で収まらないで、員外理事というものが非常に多くなつた選挙になつておるのであります。農林省が……若しこの点について水産庁において認可する場合にいろいろの問題もありますので、当時の選挙をこれによつて有効にしようというようなつもりで考えたのであります。これは非常にむずかしい問題で、上へ遡る問題でありますが、併し法理論としては、法制局におきましても審議いたしました結果、まあよろしい、余り適当な條項ではないが、よろしいということでありましたが、だんだん調べて見ますると、共済会については、すでに水産庁におきまして或る條件を附けて、認可したそうであります。従つてこの條項は、但書以降は削つてもいいように思つてあります。大体こういうような方向で、その筋に了解を得るべく交渉をしたいという、いわゆるまだほんの試案であります。
  36. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) 只今專門員から御説明いたしました通り、第一項は、現在県漁連の理事は共済会の役員になることができるというようにすることであります。  第二は、協同組合同様、この共済会も農林中金に加入し得るという、この二項であります。これは共済会の……折角参議院で共済会を作るという議事を開きましたので、その共済会の運用上、どうしてもこうしなければうまくないというための民間希望を入れた改正案であります。で、御意見がありましたら御発表願います。若し御意見がなければ、議員提出として出したいと思います。御意見如何ですか。
  37. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 只今の理事の選任の制限の問題ですが、四分の三という字句を取つてしまつて、もうそういう制限を全然抜いてしまうのですか。或いは半数……
  38. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) 理事と書いてございます。ここに改正して、協同組合の理事たる者はいいというふうにして、水産協同組合の……
  39. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 理事であれば、そうすると四分の三とか二分の一とかいうことはないわけですね。
  40. 岡尊信

    專門員(岡尊信君) 四分の三の中に入るわけですね。
  41. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) 理事は四分の三の中に入る。理事を認めるわけです。
  42. 青山正一

    青山正一君 これは水産業界或いは漁民などに関係しておつた人は、この点は非常に至極尤もだというように考えられますけれども、ただ問題はその筋のOKを受けておるかどうかという問題、それから中金の問題ですが、これは当委員会ばかりじやなしに、やはり農林委員会もかかるのじやないですか。
  43. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) 第一の要点は、これはまだここできめて、決定すればその筋のOKをとることになると思います。第二の問題は、農林委員会にはかからぬと思います。
  44. 青山正一

    青山正一君 かかりますね。
  45. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) かからぬと思います。農林委員会には。
  46. 青山正一

    青山正一君 至極結構です。
  47. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) ほかに御意見ありませんか。それではこういう意味においてその筋のOKをとるべくやります。  それからなお字句等の修正は、委員長にお任せ願いたいと思います。御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  48. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) 御異議ないと認めます。   —————————————
  49. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) それから次に、資材の問題に移ります。現在の漁業資材は非常に窮屈でありまして、重油にせよ、資材にせよ、非常に価格は上るし、入手は非常に困難だということでありますが、現在の重油の状態並びに資材状態について水産庁の水野課長から大体の現状を御説明願います。
  50. 水野榮

    説明員(水野榮君) 最近の、先ず重油の状況から申上げたいと思います。  重油の問題につきましては、御承知のように昨年の暮に価格の値上りがありましたが、それに引き続いて又最近朝鮮動乱の影響を受けまして、この重油の現物化が非常に窮屈になつておりまして、特に九州地区におきましては、その操業にも事欠くというふうな状況が出て参つのであります。この一—三月の石油製品の総額は約十一万トンでございますが、この一—三月のうち一月の見通しでありますが、先ず重油について申上げますと、一—三月の、特に一月でございますが、まだ二月、三月につきましては十分な見通しを立てておらないのでありますが、先ず一月の重油についての見通しを申上げて見たいと思うのであります。先ず一月分の、国内から供給をされますもの、それから製品として輸入されるもの、これを合せますと、五万七十三十キロ・リットルとなつております。それからそのほかに軍の放出といたしまして二千三百キロリットル、合せまして五万九千三百三十キロ・リツトル、こういうものが重油の全体の供給量でございます。そのほか軽油につきまして申上げますと、国内の原油から製するもの、輸入によつて賄うもの、合せまして供給が一万七千百五十キロ・リットルあるのであります。それに軍からの特別の放出の一万五千を加えまして、三万二千百五十キロ供給力があるのであります。併しながらこの軽油につきましては、外航船に使うものを差引きまして、結局一万一千百五十キロというのが軽油の供給力であります。従いまして主燃料の軽油、重油について申しますと、これが先ほど申しました重油の五万九千三百三十キロ・リットルと、それから軽油の一万一千百五十キロが、この供給力になつて、おるのでありますが、更にこういうことではとても一月は切り抜けられないというので、重油船一万五千トンを民需のほうに振向けてもらいまして、結局この一万五千を加えますと八万四千百五十キロが一月分の総供給力になるのであります。一方需要のほうはどうなつておるかと申しますと、一—三月の枠が、安本の枠でありますが、これが漁業全部含めまして三十万キロ・リットル、従つてこれを一ヵ月分にしますと十万キロ・リットル要るのであります。そうしますとこの十万キロ・リットル要るところに、供給力としては八万四千百五十キロしかないということになりますと、約一万五六千の不足ができて来るのでありますが、これは十二月からの繰越、先月からの繰越が約二万九千キロ・リットルあるのであります。これらは元売の基地からの報告であつて、これを加えますと一月は何とか切拔け得るということになつております。勿論これは軽油をまぜて使うということに相成るのであります。尤も冬期、冬分は北海道方面におきましては軽油をまぜて使つてつたのでありますが、今度は北海道や東北方面、寒い地方でなくして全国にやはり軽油をまぜて使つてもらわなければいけないという問題が起つて来ておるのでありまして、現に一月分につきましては、軽油をまぜて売るようにということが通産省から出ておるのであります。大体価格にいたしまして二割方高いということになつております。それでは一月分はそれでいいのでありますが、二月、三月ということになればどういうことになるだろうかと申しますと、これは私どもまだ十分な情報を得ておりませんが、資源庁なり安本なりからの説明によりますと、一万五千トン級の船を二杯ほど、これは重油でありますが、二月分は民需のほうへ向けてやるとこういうことでありますが、一万五千が二杯で三万トンになるのであります。そのほか国内産の原油が約六万トン期待できるのでありますが、結局九万トン、九万トンということになりますと、やはり一月分には、一月まあ十万トンといたしますと、これもなかなか窮屈なことになるのじやないかというふうに思つております。この点もやはり軽油をまぜて使つて行かなければ到底乗り切つて行けないのじやないかというふうな見通しであります。二月、三月も大体そういうふうな見通しでございます。なおこの重油につきましては、昨年末値段が上りましたが、更に最近関税の問題が起つておるのであります。石油類について関税をかける、厚油が一〇%それから重油、軽油等について一〇%かけるという問題が起つておるのでありますが、この問題は、すでに重油に税をかけるという点につきましては、司令部のほうの関係も大体内諾を受けておるようでありますが、我々といたしましては、この上重油の値上りを来たすことは漁業経営に非常な圧迫を加えるという関係からいたしまして、只今この関税の免除ということにつきまして、いろいろと手を打つておるのでありまして、明日関税審議会が開かれるのでありますが、その席上で、この漁業の現在直面しておる経営上の問題から、どうしてもこれは免税にしてもらわなければいけないということを強く主張してもらうために、委員でありますところの次官に只今お願いをしておる次第であります。  次に、この綿糸の需給のお話をいたしたいと思います。  綿糸は、大体年間二千万ポンド、二百万玉要るのでありますが、第三四半期は、輸出のほうに非常に伸びましたために内需がだんだんと遅れて行きまして、結局三十万玉三百万ポンドしか割当がなかつたのでありますが、第四四半期におきましては、六百万ポンドを割当てることになつたのであります。これを初め五百万ポンドということであつたんでありますが、NRSのほうからESSに対して非常に強い折衝がありまして六百万ポンドに殖やして頂いたのでありまして、すでに第一次割当といたしまして四十八乃玉配給の手順を完了いたしました。後の十二万玉は、第二次分として次に割当てたいと思つております。なぜこういうふうな割当をしたかと申しますと、昨年の十月から、この原綿の輸入は民間貿易に委ねられたのでありまして、現在政府で手持をしておるものが九万三千梱、それから民間輸入で入れられるものが一万九千五百梱、結局割合にしますと、政府拂下のものが八二・五%、それから民貿によるものが一七・%ということになつておるので、我々といたしましては、この漁業に全部、その民貿でなくして安い政府拂下の綿糸をもらいたいということを交渉したのでありますが、漁業だけにそういう取扱ができないというので、結局六十万玉のうちの八〇%政府拂下のものをやろう、あとの二〇%を民間貿易のもので取つてもらいたい。こういう交渉が成立いたしましたので、差当り安い物四十八万玉の配給をすることにいたしたのであります。綿糸の需給については、これは全く変りませんが、大体年間二千万ポンド程度の需要を賄うことはできるのじやないかと思うのであります。ところが漁網になる綿糸でありますが、これで最も困ることは、切符は行つても現物化がなかなかできないという問題があるのであります。これはこの前にも、この席で問題になつたと思いますが、輸出に向けたほうが非常に有利だというので、紡織業者は内需、特に漁業のほうに向けることを好まない。こういう点と、それから輸出乃至内需のほうでも繊維製品というものになりますと、先拂を以つて綿糸を引取るような取引をやつているのに、漁業のほうでは、とかく金が後拂になるというふうなことで、非常にこれの入手に專門業者も困難をしているようでありますので、我々といたしましては、できるだけこの現物化という問題に注意をして、資金の手当をよくするように注意いたしますと共に、その配給をする場合に、これが必ず現物化するようなところへ配給をするようなに指導をしておるのであります。  大体石油製品並びに綿糸についての、最近の需給状況説明を以上を以て終ります。
  51. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 水産庁次長の山本さんは正月早々九州をお廻りになりまして、九州における石油の現状についてよく事情をお聞き下さつたし、又見て頂いたと思うのでございますが、その当時においては極めて逼迫した状態にあつて、あらゆる方面から二十キロ、三十キロのものまでも借り歩いて、漁業のほうに廻したというふうな状態でございました。丁度昨年暮に長崎方面はいわしの不漁を非常にかこつておりましたのが、正月になりましておおばいわしの豊漁が伝えられて来て、非常な漁況を呈したにかかわらず、油がないために船が出られないという頗る気の毒な状態にありまして、当時大臣にも強くお願いをいたしまして処置を願つたのでありますが、なお私はその後上京いたしましたけれども、長崎の新聞等を見ますというと、千五百トンの油が長崎に入つたのにかかわらず、これは漁業用ばかりではなく、一般用も含んでいるというようなことで、これが漁業に廻らず、漁業者がこれは自分たちが使えるものと考えて喜んでおつたのが、処置が付かないでまごまごしておるということを最近の新聞で見たのでありますが、その間の状態水産庁でお考えになつておりますか、それをどういうふうにお扱いになりますか。
  52. 水野榮

    説明員(水野榮君) 最近の状況も、陳情のかたから聞いているのでありまして、決して楽観は許さないと思うのであります。まあ單に漁業の面だけではなくして、ほかの機帆船等も非常に不足をかこつているのでありますが、一海上の輸送につきましては、まあ漁業ほど私は困つておらないのじやないかというふうな見通し、感じを持つているのであります。というのは、機帆船のようなもの、極く小型のものにつきましては、それは漁業と同じように困つているかも知れませんが、ちよつと大型のものになつて、特殊の物資を運ぶというようなものについては、かなりゆとりのある配給を受けておるのじやないかというようなことも聞いておりますが、まあそれがためにそれだけから漁業が圧迫されるということもないのでありまして、特需のほうに向けられるものが非常に最近大きくなつておりまして、その司令部の係官のかたの話を聞きますと、大体こういう状態は数カ月続くのじやないか、こういうようなことを言つておるわけであります。
  53. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 そういうことを伺つたのではありません。過日大臣及び次長がおいでになりまして、向うから電話なり電報なりで御照会になつて処置をされたはずですが、それはどうなつたか。  それから今私が申上げましたのは、出光のタンクにたしか千五百トン最近入つたそうであります。それが水産のほうでは、水産庁の御好意による千五百トンであると考えているし、一方出光のほうでは、いやそれは一般も含めての話だ、何でもそこに食い違いがあつたかのように新聞には見えておるのであります。それで出光のほうからも不足量を訴えて、油を廻してくれといつている最中に、千五百トン入つて来た。水産庁水産庁で千五百トン廻してやるからと言つたのが、ごつちやになつて片方は水産のものだ、片方は、水産ばかりではなく、おれのほうもあつたのだ、こういうことでそれの処理に困つて、非常に揉めておるということを聞いたのでありますが、それはどういうことなのでありましようかということを伺つておるのです。
  54. 水野榮

    説明員(水野榮君) 次長から長官宛に電報を頂きました。それによつて我我といたしましては、すぐに司令部へ連絡をいたしまして、こういうふうな実情になつておるのだということの実情を訴えたのであります。そうするとNRSのほうでもそれをよく知つておりまして、早速PDのほうへこの連絡をしてくれたのでありますが、どうも只今のところいたし方ないようなことになつておるわけであります。  それからこの千五百トンの、例の大阪へ入つた船から千五百トンを長崎へ廻したというのは、まあ我々としましては水産のほうへ廻してもらいたいということを申出たのでありますけれども、資源庁のほうとしては、水産だけということではなくして、長崎地方のものが千五百トンということになつておるのでありまして、これは業者のほうと結局何もひもがついていないのでありますから、需要者のほうと、それから元売なり、小売なりとの話合で、全部水産に取ろうと思えば取れるんじやないかというふうに私ども考えておる次第であります。
  55. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 くどいようでありますが、水産庁では漁業のことはよくおわかりのことと思いますが、いわしの漁業のごときは、いつまでも取れるものではありません。いわしは長崎では精々五月、先ず四月まででありまして殊に今長崎では輸出のためにいわしの罐詰製造を大きく本年は計画してじやんじやんやつておるわけであります。そこへ油が足らないのでみすみす取れないということは、国のためからいつても大きな損失であります。そこで先ほど水野課長からのお話のように、一般の機帆船等を動かしても、それはさほどではないだろうというお見通しであつたならば、もう少し強力に資源庁方面に働きかけて、この漁期を取りはずさないで、そして大事な国家産業をこの際伸ばして行く、少くとも萎靡させないようなふうに、一つ強力にやつて頂きたいと私は考えておるのです。まあどうもいたし方がないというようなことではなしに一つ無理でも押通して、この僅かな時期に取れるものは取つて、そして国民に資するというように御盡力を願いたい。水産庁にお伺いするのは、筋が外れておると思うのでありますけれども、私はこういうふうな心配があるのでありますが、昨年油の値上げがありました際に、我々は重油の値上げは困る、できるだけ値上げを少くして、今まで通りの要求に相マッチするように考えてもらいたいということを強く要望いたしまして、幾分初めの原案を引下げて、一・六でしたか、落ちついたのでありますが、そういうことが、日本の製油業者に響きまして、高い油は造るが、安い油は余り造らないといつたようなことが、国内生産に影響していないかどうか。若しそういうことがあるならば、私は大変これは間違つた問題だと思うのであります。この辺若し水産庁次長にそういうことがおわかりでありましたならば、お答え願いたいが、若しおわかりないならば、この方面も委員長のほうで一つ御考慮を願いたい。
  56. 山本豊

    政府委員山本豊君) 油の問題につきまして、秋山委員からいろいろと、正月早々長崎へ参りましたときに、これに対する水産庁その他の処置等についてお尋ねがあつたのでありますが、私も早速電報を打ちまして、帰りましてその点を確めたのでありますが、そのときの話で、他に廻すべき船を長崎並びに下関のほうに廻しまして、両方とも千五百トンずつ下すという一応資源庁のお話でありますから、取りあえず一時凌ぎができるというつもりでおつたわけでありますが、その後の事情只今いろいろ伺いまして、これはなお我々としましてNRSの問題もありますが、やはり資源庁のほうにも我我としても強く、この重油が大事であると思いますので、十分もう少し当つて見たい、かように考えております。  それから油のこの前の値上の率が少し低かつたために、或いは廻りが惡いのではないかというお話でありますが、これも詳細なところは、我々よりは資源庁のほうに聞いて見ないとよくわからないのでありますが、当時、あのときにも我々は半面そういう点もいろいろ考えて見たのであります。結局価格も大事だけれども、量が確保されなければ意味がない。その辺はどうであろうかということをいろいろ論議したのでありますが、併しこちらの要望よりは遥かに高くきまつたわけでありまして、あの程度では、生産面において漁業家のほうがおのずから損をするということはないではなかろうかというように考えております。併し今御念を押されましたので、よくそれらの事情を今後注意して、実情を調べて見たいと考えております。
  57. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 どうもこの問題は非常にきわものでございますので、特に一つお願いいたします。
  58. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) ほかにありませんか。それでは私からちよつとお伺いいたしますが、綿糸の年間需要が二千万ポンド、今度六百万ポンドきまつたというのは四半期ですか。
  59. 水野榮

    説明員(水野榮君) はあ、四半期です。
  60. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) それから来年度の第一四半期以後のことはわかりませんね。
  61. 水野榮

    説明員(水野榮君) 二十五年度の第一四半期が五百八十九万ポンド、それから第二四半期が五百五十万ポンド、それに第三四半期が三百万ポンド、第四四半期が今度六百万ポンドになるのであります。
  62. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) わかりました。ほかに重油、綿糸等について御質問ありませんか。
  63. 青山正一

    青山正一君 この問題は非常に重要な問題でありますから、又の機会に更に一つやらして頂きたいと思います。
  64. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) それではこの次の委員会において、安本と商工省の繊維局長を更に委員会に呼びまして、なお十分検討いたしたいと思います。  本日はこの程度で散会して御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  65. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) それではこれを以て閉会いたします。    午後三時八分散会  出席者は左の通り。    委員長     木下 辰雄君    理事            千田  正君            青山 正一君    委員            秋山俊一郎君            入交 太藏君            櫻内 義雄君   政府委員    水産庁次長   山本  豊君   事務局側    常任委員会專門    員       岡  尊信君    常任委員会專門    員       林  達磨君   説明員    水産庁生産部水    産課長     水野  榮君   参考人    衆議院議員   亘  四郎君    新潟中部海区    漁業調整委員  磯田 米吉君