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1951-03-09 第10回国会 参議院 図書館運営委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年三月九日(金曜日)    午後一時二十七分開会   —————————————  委員氏名    委員長     徳川 宗敬君    理事      平沼彌太郎君    理事      羽仁 五郎君            岡田 信次君            徳川 頼貞君            梅津 錦一君            金子 洋文君            森崎  隆君            西田 天香君            星   一君   —————————————   委員の異動 二月二十三日議長において有馬英二君 を委員に指名した。   —————————————   本日の会議に付した事件 ○国立国会図書館組織規程の一部を改  正する規程案国立国会図書館職員定員規程の一部  を改正する規程案国立国会図書館支部上野図書館組織  規程の一部を改正する規程案総合庁舎設計に関する件 ○視察報告   —————————————
  2. 徳川宗敬

    委員長徳川宗敬君) それではこれから委員会を開会いたします。  本日は議案として三つ審議を願いますが、その第一は国立国会図書館組織規程の一部を改正する規程案でございます。これを問題に供します。先ず初めに金森館長から御説明を願いたいと思います。
  3. 金森徳次郎

    国立国会図書館長金森徳次郎君) 今お願いいたしておりまする案は、図書館組織規程の一部を改正するものとありまして、眼目としておりまするりは、二つの支部図書館を加えるということであります。又それだけであります。従来幾つかの支部図書館を持つ、おりましたけれども、昨年の夏頃でありますけれども、いろいろの話の経過から、前々からこの委員会委員のかたがたの御意見伺つてはおりましたが、横浜にありまする大倉山図書館は従来民営で行われておりましたけれども、それが種々なる事情で殆んど休業の姿になつておりまして、その図書館は建物も敷地も書庫も立派でありまするし、又持つておりまする書物相当品質の選ばれたものがおよそ十万冊ばかりあるのでありまして、これを国立国会図書館の中に包容するということが非常に好ましいというような希望を持つておりました。事実いろいろな手を打つておりましたが、予算といたしましては、全然明白になされておりませんので、来るべき年度におきまして、この図書館につきましての予算か認められることになりまして、そこで今回この組織規程を改正いたしまして、支部大倉山文化科学図書館というものを第十一号として規定をしたい。これが第一の点であります。なおこの大倉山図書館は或る程度独立した経営か今後も行われなければならんと思つております。と申しますのは、何しろ場所も隔つておりますし、それからその図書館は特殊な種類の書物でできておりまして、言い換えますると、宗教、哲学、倫理、教育、心理、歴史、はつきりこれに限定されるとは言われませんが、とにかくかような精神文化に関するものに大体限定せられておりまするので、ここはその実情に従いまして一番適当な管理をしたいと考えております。職員等も極く僅かの職員よりほかに只今予算ではいたし方もございません。極力能率を発揮させて目的を果したいと思つております。昨年の十月十七日から一応予算を差繰りまして、格別な名義を作らないで事実上閲覧に供しておりまするが、本年の二月末日に至りまする間に、開館日数は百八日でありまするが、閲覧人員は約三千人でありました。表向きに開いていないというような形ではありますけれども相当需要は増加して来る情勢にあると思つております。  それから次にこの規程の中の改正をいたしまする今一つは、特別調達庁図書館支部図書館として加えようというのであります。御承知のように特別調達庁は比較的新らしくできた内閣所属官庁でありまして、漸次その規模が整いますにつれて、やや図書館の趣を持つたものを備えるようになつたのでありますが、大体そんなに大きな規模を持つておるわけではございませんC種々なる資料を集めまして、本年の初め頃までの計算と思いまするが、約四千五百冊の蔵書でありますけれども、併しその仕事関係からやはり特殊な図書を集めておりまするので、支部図書館としてこれを存置することが適当であろうと思いまして、ここに加へることに案を立てたのであります。それから次に、この規程のしまいのほうに、支部靜嘉堂文庫の在り場所規定しております。これは従来の規程は、やや官僚的と申しまするか、靜嘉堂文庫靜嘉堂文庫に置く、東洋文庫東洋文庫に置くというような調子で書いてありまして、誠に理窟に間違いはございませんけれども、併し相当註釈を加えなければ説明ができないようになつておりまして、今回大倉山図書館支部にいたしまするに際しまして、はつきり地名を書いて、誰でもこの規程を見ればある所が探れると、こういうふうにいたしましただけでありまして、他に別段の深い意味もございません。何とぞ御審議をお願いいたしたいと思います。
  4. 羽仁五郎

    羽仁五郎君 只今館長の御説明なつた点については、これは国立国会図書館管理に基いて御提案になつておることだと思うので、全く異存がないのでありますが、この際にちよつと御説明を願つておきたいと思うことがありのですが、それは先日新聞ちよつと出ていましたが、まあゴシツプですから大して問題にするにもあたらないと思いますけれども、併し世間の若し疑惑があるといけないと思うので、この世田谷にある靜嘉堂文庫についてでしたろうか、何かその記事は図書館のほうでもすでに恐らく注意せられたことだと思います。毎日でしたか、朝日でしたか、下のほうにちよつと書いてありました。この支部図書館がだんだ多くなれば、それにつれてその支部図書館関係して、ゴシツプ程度の材料ならかまわないのですけれども、何か国立国会図書館及びその支部図書館運営について疑惑を生ずるようなことがあるとまずいと思つたのですが。
  5. 徳川宗敬

    委員長徳川宗敬君) ちよつと速記とめて。    〔速記中止
  6. 徳川宗敬

    委員長徳川宗敬君) 速記を始めて。
  7. 金森徳次郎

    国立国会図書館長金森徳次郎君)  今お話になりましたようなゴシツプ新聞に出たということは、これは事実であるのでございますけれども、実際その地形の上から申しましても、全然関係のないところにございまする、図書館関係のところは厳密な取扱をしておりまするので、如何ように考えましても、そういうことが起ろうとは想像は付きませんし、又実益もその関係者に起ることもないように思いするので、私どもの感ずるところで、全くの誤り伝えたものであろうとつております。なお注意するところ今後ともよく注意をするつもりであります
  8. 徳川宗敬

    委員長徳川宗敬君) ほかに御発言もなければ、只今の御説明になりましこの案につきましては、御異議ござませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  9. 徳川宗敬

    委員長徳川宗敬君) では御異議ないものと認めます。    —————・—————
  10. 徳川宗敬

    委員長徳川宗敬君) それでは議案の第二に移ります。国立国会図書館職員定員規程の一部を改正する規程案であります。ではこれも金森館長から御説明を願います。
  11. 金森徳次郎

    国立国会図書館長金森徳次郎君) 議案第二は、図書館中央館定員増加するというのが主眼点であります。昨年国会のほうに御意見がありまして、調査立法考査局を拡充し、そのほか図書館施設を良くして、真に国会の役に立つように改善をすべきものである、こういう御趣旨が示されまして、それに応じまして予算当局といろいろ交渉を続けまして、調査立法考査局につきましての定員を通じて六十人増加する予算が認められました。なおそのほか図書館事務の拡大によりまして、それは主としてこの大倉山図書館支部として認むるということに関係をいたしまして、合計六十六人の増員予算の上で認められました。この六十六人といいまするのは、いろいろの階級に亘つておるものでありまして、極く軽い人も含んでおり、比較的高い人も含んでおるのであります。それに従いまして、今回内部の機構を改善をいたしまして、そのうちの六十人につきましては、七月の初めから増加する、そのほかのものにつきましては、四月の一日から増加すると、こういう計画を立てております。ところでもう一つの問題は、現在の職員の中で、かような規則の中に上つていない人があるのであります。それは極く低い地位の人であり、昔で言えば、雇用人という格式に当つておりますものは、規程の中には現われておりません。併しそういうふうな立場の人も漸次能力も発達いたしまするし、そのほかの釣合い等も考えまして、やはりこの規程の上に上るような、これも古い名前を借りて用いますれば、判任官奏任官、こういうようなふうのランクに上げる必要のものもありまするので、この際それらの全部を頭のうちに入れまして、全くの増員であるものもありまするし、或いは職員昇格させるというものもありまするし、或いは又甲の名目から乙の名目に変更するというものもございまして、この三つの見地から人数を整理いたしまして、この規程の中に書いてあるように数字が現われたのであります。実質を申しますれば、結局立法調査のために予算が六十人、それから大倉山図書館のために六人、合計六十六人の予算ができまして、この六十六人の中にはかような規程の中に掲げるものと、掲げるを要せざるものと二組あるのでありまするが、その掲げるものをここに挙げました。更に従来の職員の中で掲げられていなかつたものをいわば昇格をいたしまして、ここに上せたというのであります。そういう点につきましては、財務当局との間に十分相談を付けておりまして、同意を得ております。細かい数字のことは申上げましても煩雑になろうと思いまするので、その形の上であらかた申上げまするが、司書部分につきましては十六人増員されることになります。専門調査員につきましては二人増員せられ、調査員につきましては十六人増員せられております。参事につきましては八人の増になつておりまするし、主事につきましては五十人の増になつております。これは先にも申しました通り予算上の措置が全部とれておるのであります。そしてこれは今も申しました通り予算関係がありまして、大部分は七月一日からでなければ増員ができませんので、そこでこの附則のところに「六月三十日までは」という條件を置きまして、それまでは余り殖えないことに規定がしてあるのであります。何分よろしく御審議を願います。
  12. 徳川宗敬

    委員長徳川宗敬君) それでは御質問がございましたら御質問願います。
  13. 有馬英二

    有馬英二君 只今承わりました増加人員ですが、合せましても六十六人にならないように私は思うのであります。司書が十六名、專門調査員が二名、調査員が十六名、参事八名、主事五十名といたしますると、これだけで六十六名増加ということになるんでしようか。
  14. 金森徳次郎

    国立国会図書館長金森徳次郎君) 官庁予算規則との関係上かなり混み入つておりまして、予算が取れましてもそれがここの表に現わるる職員にはなりませんので、予算の上では今回六十六人だけ増員をすることになつておりますけれども、そのうちの極く軽い地位の人は、この規程の中には人づては参りませんので、その関係で出て来まするものは三十九人だけここの中に姿を現わしておるのであります。そのほかに五十八人だけは従来おりまする職員を幾分昇格をいたしまして、つまり雇用人のところから昔で言う判任官、或いは奏任官のところへ上げたのでありましてそれが五十八人だけ入つております。そこで三十九人と五十八人というものがここの増員の中に出て来ておるわけでありまして、先の六十六人がここに顔を出しておるわけではございません。そこの中からはほんの僅かしか、三十九人しかここに顔を出しておりません。
  15. 羽仁五郎

    羽仁五郎君 最近議院立法がもつと盛んにされる傾向にあるので、その際立法考査局仕事はますます必要になつて行くと思う。今御説明の御趣旨のようなふうに、特に調査立法考査局として増員せられることには賛成であります。ただ最近まで私の経験しておるところでは、調査立法考査局機能というものは、必ずしも或いは多くの議員各位の満足せられておるところであるかどうかということは疑問だと思うので、一層この調査立法考査局が充実せられるように御努力を願いたいと思うのであります。  それからもう一つの点は、最近特に中国なり何なりの事情というものの客観的な知識というものは、我々国会議員も非常に必要とするところであるのですが、これらに関して調査が行われると、どうかすると誤解を生じて、共産主義に対してこれを支持し或いは宣伝するような意味を持つんじやないかというふうな誤解を生ずることが現在の日本状態において間々ある、併しその誤解を恐れてそういう関係調査したりすることを恐れるような風が若し起つて来ることは、これは非常に重大な問題だと思う。共産主義に賛成するか反対するかを問わず、やはり立法上それの客観的な実体というものを正確に把握してそれに反対し或いは賛成するということでなければならない。実体が十分把握されていないと、どういうことが行われておるのか、何をしておるのかさつぱりわからない、ただこれを一時に排撃するといつても排撃もできやしないと思うので、恐らく現在立法調査考査局において、そういう誤解を生ずるから、そういう調査を全然しないというふうなことは勿論ないと思いますけれども、併しどうかそういう誤解を恐れてそういうデリケートな問題の調査は余りやらんというふうなことのないようにお願いしたいと思います。これは希望でありまして、この提案に賛成いたします。
  16. 金森徳次郎

    国立国会図書館長金森徳次郎君) 只今お話下さいました点は非常に有難い御指示であると思つておりますが、調査立法考査局機能が十分でないということは、これは私どもも深く考えておるところでありまして、今回の増一員ができますれば、先ず第一に規模相当整備いたしまして、又その人員の配置、適材を任命する、こういう方面にも十分の考究をしたいと思つております。現在それにつきまして相当程度まで案を練つておりまするけれども、たまたま調査局長が一月にアメリカへ参つておりまして、この方面のことを調査する任務を背負つてつておりますので、帰りましてその経験を更に参酌いたしまして、十分の案を作つて、できるだけのいい成績を挙げたいものと思つております。  それから第二の点におきましては、例えば中国状態、或いはソ連状態につきまして、平素油断なく調査をするということは全く必要であろうと考えております。曾つて中国の問題につきまして、実は意外な疑惑を受けまして、その調査は我々は全く素直な考えで、そして何かの役に立つであろうという予想をもつていたしましたことが、疑惑から疑惑を生み出しまして、かなりな悪影響職員の上に、つまり一仕事の上に用心をすると、こういう悪影響を生みましたことは事実でありますが、更にソ連関係におきましても一相当研究をしなければならない分野が残つておりまして、私どものほうの図書館にはソ連の言葉を解釈し得る人も若干備えておりますけれども、併しこれも疑惑を避ける意味におきまして、余り表に立つて仕事は発表しておりません。少しく話は横に飛びますけれども、ほど遠からん前にロックフェラーのフアース氏に会いましたところが、ソ連調査はどんなふうに注意をもつて行なつておるかというような話がありまして、そしてアメリカではソ連書物をそのまま複製をしておるとか、又ソ連書物を読み得る英語に翻訳をしておるものもある、その両方を合せて定期刊行物のようにして発行しておる、お前のほうが欲しければやろうと、こういうような話をして、私どもはそれを望んで置いたのですが、漸次その方面に人が充実すると共に、考えなければならんと思つております。
  17. 徳川宗敬

    委員長徳川宗敬君) ほかに御質時もないようでありますが、本案につきまして承認を与えることに決定して御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  18. 徳川宗敬

    委員長徳川宗敬君) 御異議ないものと認めます。
  19. 徳川宗敬

    委員長徳川宗敬君) 議案第三は、国立国会図書館支部上野図書館組織規程の一部を改正する規程案であります。これにつきましても、館長より御説明を願います。
  20. 金森徳次郎

    国立国会図書館長金森徳次郎君) 上野図書館いろいろまだ問題を前途に控えておりまして、国立国会図書館法規定するところによりますると、できるだけ早い機会にこれを東京都に譲り渡すべきものである、こういうような規定がございまして、その規定があるにかかわらず実際はこれを譲り渡すという上に幾多の問題を持つております。その点は別の問題といたしまして、とにかく前途に問題を含んでおりますので、にわかにこれの解決はできぬと思い、まするが、併しながらその間ここの図書館に手を抜くということは又よろしくないのであります。今のところ自然の発達する程度に応じまして、これを完備して行くという方向努力をいたしております。例えば本年度、本年度というのは来るべき年度でありまして、予算を頂きまして書庫を増築するというようなこともいたしておりまするが、職員の面におきましては、只今のところ、人を殖やすというだけのまだ理由はつきりいたしませんけれども、人々をよその振合いに応じまして昇格させるということは、適当の時期になつていると思います。そこでこの案におきまして若干の定員増加をいたしておりまするが、併しこれは人数は現在の職員そのものでございます。ただ司書に下のほうから二人だけ上げまして、現在の九人を十一人にしたということ、それから主事のほうも、それよりも下の所から三人を上げまして、現在の二十五人を二十八人にしたというのがこの趣旨でありまして、絶対の面で見れば増員も何もして、いないのであります。  何とぞ御審議をお願いいたします。
  21. 徳川宗敬

    委員長徳川宗敬君) 御質問はございますか。
  22. 羽仁五郎

    羽仁五郎君 只今館長からすでに御説明があつたのでありますが、この法律従つて、且つ又その内容から言つても当然そうあるべきことが希望されておるのでありますが、この支部図書館上野図書館東京都に返されるということは、勿論現在の国立国会図書館として可能な限りにおいて十分の御努力をなさつておるものと、そういう御趣旨説明伺つてよろしいのでございますね。
  23. 金森徳次郎

    国立国会図書館長金森徳次郎君) この問題はもとより法律の定むるところに従つてこれを実現するという気持を持つて努力をしております。ただちよつと先ほど申しましたように、あの図書館に入つております書物相当部分は、国全体の図書館たる趣旨におきまして長年収集されておりまして、日本に一部しかない、そうして地方的な利害とは直接関係がない、こういうものが含まれておるのでありまして、そういうものを、言い換えますると国の純粋の必要の面から集められたところの書物を、直ちに各行政団体に移すということは理由が甚だ乏しいのでありまして、曾つてダウンス氏が来て助言をせられましたように、やはりそれは中央図書館に必要なる書物だけは移管するのが正当なものと思つております。中央図書館のほうの設備が整いませんので、言わば無理な場所において図書館をやつておりますので、それらの文献を移し替えるということもできないのであります。その点が一番癌になつておりまするし、それから従一乗東京都の側からして多少のお話もありましたけれども、それは非公式なものでありまして、一つの場合は予算の問題が国の予算を、現在の国の予算程度のものを付けたまま東京都に移管するというような希望も、もとよりこれは非公式なものでありますけれども、そういうこともありまして、なかなか話が付かないのであります。最近東京都のほうでも、図書館の整備が多少進みつつあるがごとくにも感ぜられまするので、この問題につきましては、もつと本格的に考究を重ねて行かなければならぬと思つておりますが、ただ一言実際の問題として見ますと、相当困難な点がありまして、それを一一解決して行かなければ最後の答えは出ないように考えております。
  24. 羽仁五郎

    羽仁五郎君 今の御説明で了承いたしましたが、それについても、国の中央図書館たる国立国会図書館の本建築ができないということが今の最大の困難のようでありますし、折角我々が上野図書館をできるだけ早く東京都に返したいというふうに考えているのに、国の中央図書館にその本の持つて行き場がないために、これがなかなか捗らないという館長の非常な御苦心を伺うにつけても、いわゆる国立国会図書館の本建築をできるだけ早く着手されたいということを希望いたしまして、この議案に賛成いたします。
  25. 徳川宗敬

    委員長徳川宗敬君) ほかに御質問もなければ、本案に対しましても承認を与えることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  26. 徳川宗敬

    委員長徳川宗敬君) 御異議ないと認めます。では以上で三件につきまして承認を与えることに決定いたしました。
  27. 徳川宗敬

    委員長徳川宗敬君) それから先般各省庁の支部図書館を視察したのでありますが、その際話題に上りましたもののうちで、只今建築中の総合庁舎の中に各省図書室を特別に設計して頂くという点につきましていろいろお話が出たのでありますが、今日は幸い建設省の管理局大村営繕部長がおいでになつておりますから、その後新庁舎設計のうちに支部図書館の室が設けられるような運びになつておるかどうかということを一つ伺つてみたいと思います。
  28. 大村巳代治

    説明員大村巳代治君) 只今委員長お話の合同庁舎は、本年度予算から着手しておるわけであります。大体規模は一万四千坪ばかりの延面積の八階建の鉄筋鉄骨コンクリート造庁舎を予定いたしております。その設計に当りまして、私ども図書館重要性はわきまえておりましたものでございますから、あらかじめ御連絡をいたして御意見を承わつたわけでございます。現在建てております庁舎のうち、収容されます各省内容がまだはつきりいたしておりませんし、又どの程度そういう設備をしたらいいかという点につきましても目下研究中でございます。大体の御希望は承わりましたので、その点は尊重して行きたいと思いますが、何分各省とも非常に執務面積に不足をしております状態でございますので、御希望通りの坪数がとれるかどうかはちよつと今のところまだはつきりいたしかねております。一部にそういう施設を設けたいという希望は持つておりますので追つて決定次第又御報告いたしたいと思つております。
  29. 羽仁五郎

    羽仁五郎君 只今のご説明で、当局のほうでも十分尊重して考えておられるというふうに承わつて、大変仕合せに思うのですが、我々の感じでは、やはり図書館仕事というものが、今まで日本では十分尊重されていなかつた、その弊風が非常に強いと思うのです。現在各省にある図書館にしても設備が非常に貧弱で、図書室とは言えないようなものが多い。そういう現状であるということを十分お考え下すつて従つてこれを妥当な形に持つて来るには一層その点を強く考えて頂かないと、今までとかく無視されがちでありますから、その点を十分考慮して頂かないと、やはり甚だ不十分なものができて、将来却つて困るということになると思うのです。それで御承知のように、各官庁の文書などの保管というふうな点から言つても、従来のやり方に対して、いろいろな点で進捗的な方法が最近は採用され、フアイリング・システムでやるなりそういう方向に進んで行き、できるだけ官庁の業務というものが合理的に能率的に、近代的に遂行されるということが必要だと思うのであります、そのためにも、その各官庁図書館というものを相当充実して行かなければならない。昔のようないわゆる大福帳的な事務じやなく、近代的な官庁事務が遂行されて行く上に必要である。  それから第二にはやはり公務員法などでもその趣旨が述べられているように、公務員人たちの素質の向上ということも、やはり公務員仕事が合理的に行われて行く上には非常に必要でありますが、残念ながらまだ一般的教養というものは低い、そのために近代的な公務員としていろいろ不満な点が多い。又それが国の政治の上にも影響するという点も多分に考慮しなければならない。それで、一般に長い期間に亙つて効力を発生するような仕事については、とかく閑却されがちである。併し図書室乃至図書館が充実し、そうしてそれが近代的な面積と、それからその設備とを持つているということは、目の先の問題に直接現われるほかのいろいろな仕事重要性とは異つた長期に亙つてその効果を挙げる重大な任務があると思うので、狭い面積の中に、各省がそれぞれ重要な仕事に関する面積を要求されるということはよくわかるのでありますが、併しその際どうかそれが不当に閑却せられることがないように、殊に現在の傾向では不当に閑却され易いのですから、幾分これは強く、一十分その点を考慮して頂くことをお願いしたいと思うのであります。
  30. 徳川宗敬

    委員長徳川宗敬君) ほかに御質問ございませんか。  只今の御答弁で、現在もこの図書室を造ることについては、お考えが変つておらないようでありますが、この新庁舎設計に当りまして、図書館側にこの希望をお問合わせになつたということは非常にいいお考えだと思うのでありますが、今後も設計なり又建築を実施されるに当りまして、どうぞその工事を進める前庭、十分図書館側の専門の要求なり、希望なりをお聞きになつて一つお進め願いたい、かように存じます。どうぞよろしく願います。
  31. 羽仁五郎

    羽仁五郎君 その問題に関連してなんですが、これは直接今関係している問題じやないのですが、例えば全国で現在建築される小学校なり中学校なり新制高校の建築なんかでも、私が二、三の専門家の意見で聞いたところによると、かなり古い形の建築様式をそのまま脱却しないでおられる。例えばそういう学校に車寄せなんかを昔のような形でお付けになつたり、或いは非常に廊下を余計お付けになつたり、近代建築のプランというものの上からそういう無用な建坪というものをもつと有益に生かす近代建築技術があるということを專門家から伺つたことがあるのですが、私專門でないから強く申上げることは勿論できませんですが、十分そういう点を御考慮になつて古いプランニングとは違つた近代的なエフエクテイブ・プランニングになされておることだろうと思うのです。まあ少くとも車寄せや廊下の建坪があるなら、必らず図書室をそれだけ広くして頂くというような意味で強く希望を申上げたいと思います。どうかその点御了解願いたいと思います。
  32. 大村巳代治

    説明員大村巳代治君) 只今の御意見誠に私ども啓発されるところがあります。ただ学校関係は文部省でやつております。私ども所管外でございます。
  33. 有馬英二

    有馬英二君 私は今回初めてここへ顔を出しましたようなわけで、何にもこの図書館のことについて知識がないのでありますが、よほど前に私はアメリカへ参りまして、アメリカ国会図書館を見たことがあります。ヨーロッパでも各国の図書館を見たことがありますので、そういう面から見まして、二十一年に衆議院に出ました際も、国会図書館、我が国の国会図書館は余りに貧弱なので、私は非常に何といいますか遺憾を感じておつたのであります。今回新庁舎ができるということで誠に私は喜びに堪えないのでありますが、これは只今羽仁議員からも御希望がありましたように、私はもう本当にこれはこの図書館の議員としてばかりでなしに、一般の議員といたしましてももつと有機的でそうして完備した、我々国会議員になくてはならないところの立派な図書館作つて頂きたい。こういうことを私は希望いたし、これは誰でもそういうことを希望しておるとは私は思いますけれども、特に前から希望しておつたものでありますから、この際一言だけでも私は希望を述べさして頂きたい。それにつきまして、若し折りがありましたならば、只今でなくてもよろしいのでありますが、新庁舎設計とか或いは機構その他につきましても、お示しを願うことができれば大変結構であると私は考えます。
  34. 金森徳次郎

    国立国会図書館長金森徳次郎君) 只今お尋ねの点は、実はまだ図書館の新庁舎を作るべき時期は来ておりません。いろいろの委員会の御意見等も漸次熟しつつありますけれども財務当局と話を進めるときに、いわば玄関払いというような形でございまして、どうも思うように任せません。ただ計画は図面の上で漸次進めておりまするので、然るべき機会に一つ説明をさして頂きたいと考えます。
  35. 徳川宗敬

    委員長徳川宗敬君) それではこの際先般行いました視察の報告を申上げます。 旧臘十二月九日各省庁長官に対して参議院図書館運営委員長から、行政司法各部門支部図書館の運営について要望書を送付いたしましたが、今般その実情を調査するため委員会において視察を実施いたしました。視察は二月二十七日法務府、厚生省、農林省、労働省の四館について行われましたが、本委員会においては、委員長並びに岡田議員が参加し、国会図書館側から金森館長、酉水部長ほか係の者が参加して予定通り終了いたしました。ここにその視察の概要を報告いたします。  (一) 法務図書館は明治四年司法省設置以来の沿革を有し、法制資料の収集について特色を有する支部図書難中の白眉ともいうべき図書館でありますが、法制資料の増大に伴つて書庫閲覧室はようやく狭隘を告げ、その拡充が当面の一課題となつております。蒐書は内外の法律資料に亘つて相当広範囲に收集されておりますが、松山館長の言によれば、外国図書資料については未だ不足の点があるのでこれに力を注ぐと共に特に外国判例集の整備に努力いたしたい旨説明しておりました。  予算人員の不足については、各支部図書館共通の悩みを持つておるのでありますが、法務図書館のごとき比較的大きな支部図書館においては特に予算措置は十分でないことを感じます。人員については図書館専任職員六名兼任十名計十六名の職員を有するのでありますが、利用者数が多いため人員が不足して、多忙のために病気欠勤、退職等が多いとのことでありました。  一  利用者については本図書館は熱心な利用者が多く去る二月十五日の降雪の際にも六名の閲覧者があつたとのことであります。  (二)厚生省図書館は大正十一年十一月内務省外局社会局設置と共に設けられた図書室から始まつたのでありますが、火災による焼失等に会い図書の収集等必ずしも満足すべき過程にあつたとは言いがたいものがあります。戦後においても社会情勢の影響から一時いわゆる教養図書を多数購入して専門図書館としての機能を無視したかのごとき感がないでもなかつたとのことでありました。この事実から厚生省図書館においては専門資料の整備が一課題となつているのであります。厚生省においては視察後大臣、事務次官、総務課長等と懇談いたしたのでありますが、各局課における受贈図書については各局課において保管をして、支部図書館において把握し得ないものがあることが問題とされました。又国立第一病院の図書室、芝の公衆衛生院の図書館に優れたもののあることなどが話題となつたのであります。  (三) 午後は岡田議員公用のため委員長一名で農林省並びに労働省図書館を視察いたしました。農林省図書館は昭和二十二年米国農務省図書館長シヨー氏の農林省図書館設置に関する勧告に基いて昭和一十二年六月先ず統計調査部内に図書課が設置され、昭和二十三年八月支部図書館なつたものであります。農林省図書館はシヨー氏勧告に副つて発足いたしました。設備その他は極めて貧弱であるが、その施設の弱体、職員の不足等の悪條件を克服して農林省蔵書目録の刊行、図書月報の発刊等、実際的活動においては支部図書館中の出色ある存在となつております。本図書館の当面の課題としては地下二階に放置されている不完全な書庫改善の問題、全然欠けている閲覧施設設置の問題があります。  六階にある事務室と地下二階にある書庫の間において連絡その他に不便のあることは当然でありまして農林省首脳部の理解の不足を痛切に感ぜしめるものがあります。  なお根本的な施設改善は着工し始めた総合庁舎の中に最初から図書館施設を取入れることだと思います。この点については委員各位のお許しを得て後ほど、関係当局説明を聴取いたしたいと存じます。    農林省図書館は他の各支部図書館と同額の五十万円予算の配賦を受けているのでありますが、このほかに統計調査部より三百万円の補助を受けており各種刊行物の発刊はこれらの補助に負うところが多いのであります。人員は現在課長以下専任兼任併せまして十五名でありますが、リフアレンス業務を充実させるためには更に多くの人員を要するとの言でありました。    視察終了後安田館長から、農地改革の際、農林省刊行の資料を昭和八年頃から大小洩らさず網羅的に收集していた事務官の個人の所蔵図書が、大いに役立つた例を挙げ、公的に官庁資料を収集しなければならない重要性を強調して感銘を与えました。    又ガリオア資金による寄贈図書が本図書館においては相当に多いのでありますが、講和後これらが中止されないかどうかについて心配している旨の話がありました。  (四) 労働省図書館は労働省の竹橋庁舎内にあり、書庫事務室、閲覧室が小規模ながら整つておりまして、新しい官庁図書館としては図書館らしい形態を有する点に特色があります。労働関係専門図書の中には米国労働省発行資料四千艇を有し、一般公開をも行なつているとのことでありました。    視察終了後ここでも事務次官、統計調査部長等と懇談を行いましたが、図書館の利用価値が省内全般に必ずしも徹底していないことが話題に上りました。予算について大蔵省当局が理解のないこともさることながら、必要図書の購入については未だ努力の余地がありますので、国立国会図書館長の格別の御研究と御配慮をお願いいたしたいと存じます。  (五) 以上四支部図書館は、それぞれ特色を有し又それぞれ種々の問題を含んでおり他の支部図書館の有する運営上の諸問題も相似たものがあるのではないかと考えられるのであります。先般当委員会の行いました各省庁長官宛の要望書と関連して考察いたしますならば、第一の図書館専管部課設置の問題については、図書館専管部課を有する法務府、農林省が専管部課のない厚生省等に比較して運営上種々便宜のある点は明白であり、第二の図書館施設の確保と改善の問題は、いずれの図書館においても共通の課題でありますが、法務府等のすでに独立の施設を有する図書館におきましても、書庫等狭隘を告げているのであります。第三の図書館職員地位については、地位の向上もさることながら人員の不足も考慮しなければならないと思われます。又図書館資料の整備充実については、未だ専門図書館として調査機能に十分な寄与をなし得ない図書館もあると思われます。更に考査奉仕業務の強化については、人員の充実と密接な関係があると思われるのであります。第四の予算措置については、各支部図書館とも現在は若干の館を除いて五十万円の均一配分を受けているのでありますが、今回の視察においても各館その実情を異にするのでありますから、その経費は各館の実情も重要性を考量して、それぞれ別に査定することを要望すべきは当然であり、その点大蔵当局の理解ある援助を望むこと切なるものがあります。これら要望書に述べられた事項は、各館においては実現の緒についたところもあり、未だ具体化しない館もあるわけでありますが委員会としても更に各支部図書館がこの要望事項の趣旨を具体化して頂きたいことを重ねて希望したいと思うのであります。  以上簡単でありますが、先般の視察の報告を終ります。  これで御報告を終りまして、懇談会に移りたいと存じます。  それではこれで委員会は散会いたします。    午後二時十六分散会  出席者は左の通り。    委員長     徳川 宗敬君    理事            平沼彌太郎君            羽仁 五郎君    委員            岡田 信次君            徳川 頼貞君            有馬 英二君   国立国会図書館側    国立国会図書館    長       金森徳次郎君   説明員    建設省管理局営    繕部長     大村巳代治