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1951-07-20 第10回国会 参議院 人事委員打合会 閉会後第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年七月二十日(金曜日)    午前十一時九分開議   ―――――――――――――   本日の会議に付した事件 ○国家公務員給与問題に関する調査  の件  (給与ベース改訂に関する件)   ―――――――――――――
  2. 吉田法晴

    委員長吉田法晴君) それでは只今から打合会を開会いたします。  休会中で郷里に帰つておられた委員かたがたに十分の御連絡がとれなかつたと思うのでありますが、給与ぺース人事院勧告も近いと思われる折から、米価の改訂に伴いまして政府のほうで公務員給与引上げるという声明がなされ、大蔵省案として千五百円案といつたようなものも新聞に見られるような情勢になつて参りまして、取急ぎでありますけれども委員会を開いて事態を明らかにし、又人事院勧告その他について調査をいたしたいと考える次第でございます。人事院山下人事官に御出席を願つておりますので、御質問一つお願いしたいと思います。
  3. 森崎隆

    森崎隆君 山下人事官にそれでは御質問申上げます。ペース勧告についての問題が中心になるように今委員長から申されましたが、その前に部分的な問題でございますけれども特別職関係いたしまするところの給与別表のあり方、又それに対するお考え等につきまして御意見をお聞きしたいと思うのであります。現在私たちとして考えておりまする、又予想しておりまする給与別表につきましては、郵政電通関係現業かたがた教職におる人々についても、こういう人々公務員に対する別表というものは随分前から熱望している問題であり、又人事院としても努力をして頂かなければならない重点の一つであると私は考えているわけでございます。ところが、最近人事院で、この別表につきましては相当研究も進んで来ておるらしうございまするが、伝え聞くところの人事院別表に対する考えと、我々が期待しておるところの別表に対する考えが非常に、といいますか、根本的なずれがあるような気がいたします。私たちは、御存じのように六三ベースのあの当時から別表というものはやはり勤労特殊性というものを十分に考慮する意味を以て別表が作成された。従いまして、これを現実に申上げますると、一般給与水準プラスアルフアーというような性格を持つ、一般的な言葉で申しますれば、優遇的な性格を必然的に持たなければ、別表を作る意味がない、こういうように実は私たち考えて来たのでございますが、この基本的な別表性格につきまして、人事院のお考え、特に山下人事官のお考え一つ先ずお聞きいたしたいと思います。
  4. 山下興家

    説明員山下興家君) 給与表別表がどんなものができるかということは、まだ人事院で審議されておりません。案がどのようなものが出て来るかということを知りません。併し、一般論から申しますと、別表即ち優遇という意味ではなくて、給与表というものは物指しでありますから、その物指しによつてほかのものを当てがつておるという給与の上る割合がどう、何号はどう、何号はどう、何級はどういう仕事というようなことを言うのでありますから、別表ができたから即優遇ということは考えておらない、然し人によつて、又職業によつて能率上昇工合が違つて来ます。それで、例えば職業がどんどん変つて行く人と、それから同じ職業に長く留まつて熟練をして、能率が上るというようなのと違いますから、それで現業と非現業とは一律には行かないだろう。それでそれはできるだけ成るべく別表を作りたいという気持でおるわけでございます。
  5. 森崎隆

    森崎隆君 重ねて今の優遇という意味を全然それでは考えていない。結果的には優遇的な性格を持つようなものもおる。或る級の段階においてはそういう人もあるし、逆に言いますれば、又或る級号俸のものについては昇給昇格等期間の延長と又いろいろな面から優遇反対のような性格を持つような場合もあるというように今のお言葉はとつていいのでありますか。それならば別表を作るという根本的な意義をもう一回人事院の態度としてはつまりお聞きしなければならない。どういうつもりで別表というものをお作りになるか。その重点的な意義をお聞きいたしたい、
  6. 山下興家

    説明員山下興家君) 人事院考え方としましては、先刻申しましたように、まだ結論に達しておらないのでございますから、申上げかねるのでありますが、私一入の考え方としては、例えば号俸によつて級上り方が上へ反つて行くような上り方をするものもある。又先に号俸が進むに従つて上り方が段々減つて来るような性質のものもあるし、そういう場合にはどうしても一つ物指しでは測れないものですから、そういうものは別表にして物指しを違えて行かなくちやならんけれども、例えば上反りに反つて行くというようなものであれば、その中へいろいろなものがみな叩き込めるわけでございます。但しそこに上るのには、どういうふうに上るとか何とかいう、優遇とかの問題は又別でございまして、その意味物指しとは別に、例えば初任級がどうするとか、昇級期間をどうするとかいうようなことがこれに入つて来て初めて優遇という議論が出て来ると思うのであります。私どもは将来は表というものは、今の物指しを表わすということにしたいということを私は考えておるのでありますが、まだ結論に達しておらない。
  7. 森崎隆

    森崎隆君 業務の特殊性に鑑みまして、別の物指しを作るという意味別表、これは勿論そういう意味別表というものが生れて来るのでありますが、例えて申しますならば、教職員関係別表というものを作ると仮定しまして、これについていろいろ私たちが心配しておること、やはり要望いたしたいことは、羅列的に申上げまするならば、ほかの官庁にもいろいろな面がございましようが、この教職員というものにつきましては、御存じのように、超過勤務手当というものが全国どこに行きましても、予算化されていない。従いまして、目宿直料その他だけしかございません。ところが他の官庁にもそういう意味性格は或る程度ございましようが、教職員におきましては、特にひどいのでありまするが、教職員の時間外勤務というものについては、非常に大きなものがあるわけであります。これを二種類に分けますと、第一は普通一般職かたがたの場合と同じような正規超過勤務、例えば職員会議を放課後する、或いは又PTAの会合に、Tが入つております関係で、やはり役員その他と会合をする、又選抜校とか、又運動会その地レクリ工ーシヨン等準備会合研究会とか、いろいろな、これは大体学校長の一応方針、指令に従つてやる正規会合で、超過勤務になるわけであります。それともう一つ教職員の特殊な超過勤務とございますのは、これは潜在的な意味で目に見えません。端的に申上げますならば、例えば大学の教授なんかにおきましても、やはりこの目に見えない特殊の超過動務というのは、これは大きなウエイトを占めておる。これなくしては学校で学生に対して講義ができない。その準備措置として、相当な時間、大部分の時間をこれに食われておるのだろうと思います。やはり義務教育等におきましても、いわゆる教材研究、こういう言葉で表現されるといますが、その整理、配列、又これを如何にして児童生徒に理解せしめるかの方法論研究、又劣等生その他の特別児童に対する研究、又いろいろなテストについての整理といつたような、これはもう明らかに、家庭でやろうと学校でやろうと、図書室館でやろうと研究室でやろうと、そういう時間が一日に何時間か必ず割かれなければ、教師としての任務は遂行できない。この二重の性格を持つ、いわゆる二種類超過勤務があるわけなんですが、現在はこれについての手当というものは出ていない。そういう面から彼らの勤務内容は非密な特殊性を持つておる。これに対して別表を作るということになりますれば、言い換えますならば、超過勤務手当というものを組まない限りは、それを中心にしたような、プラス・アルフアーの面を考えなければ別表としての意義は全然認められないことになる。そういうような、そこにやはり私たち申しましたように原則論として、一般論として優遇的な性格を持たなければ、別表意義はないと私は考えておるわけであります。又、郵政の、例えば配達をしておる人々につきましても、随分これは、電報配達につきましても、郵便その他のものの配達にしましても、これは一年中を通していつもそうとは申しませんが、電報につきましても時間的に二十四時間ぶつ通しての勤務内容がございます。天候の関係も随分ございます。四季を通じて非常に苦しい場合もございます、又、地域的にも随分山奥へ自転車一台でとび廻るというような、非常に特別な、辛い勤労性質を持つております。これもやはり同様のことだと思います。この優遇的な性格が若しないといたしますれば、別表意義はないと思いますね。  それからもう一つ心配しておりますのは、別表を作るという時期について私たち特に希望いたしたい点は、予想されるベース水準改訂後、これはまあ法律化されまして、一応給与水準上つて、実施をされます。それが済んだあとで改めて今言いますような、優遇的な性格を持つ別表を出してもらいたい。第二の段階として私たちは出してもらいたい。と申しますのは、どうもこれは今まで随分騙されておりました関係でもございましようが、私たちは或る意味で人は悪くなつておりますが、ベース改訂のどさくさで別表ができますると、別表そのものは非常に悪いものでありましても、ペース改訂ということで、まあ結果は多少はよくなるというところに公務員の騙される面があるのじやないかと思いますが、それからいま一つ根本的に申上げたいのは、別表を作ることによりまして、職階制をうんと強化するというような面も私たち非常に警戒をしなければならん面が一つあろうと思います。それから公務員としての、政治活動だけじやございませんが、いわゆる基本的な人権に則りまするところの活動面の自由というものが、これによつて非常に手枷せ、足枷せをはめられる、こういうような心配も持つておる。それから一方におきましては、この別表が出ることによりまして、何と申しますか、今までの、例えば昇給の金額並びに期間、そういつたようなことにつきましても、いろいろな名目で、まあずれるような、悪くなるような部面も出て来るのじやないか、これを私たち非常に心配しておるわけです。こういう面が全部プラスの面でよくなれば、これは結局優遇ということに一致するということになりますが、心配するのはその点なんです。例えばこれまでは一号ずつの昇給につきましては、六カ月、九カ月、一年という枠がございましたが、その一号というものを多少殖やすというような名目の下に昇給期間をずつと引延ばすということになりますれば、その間に非常に不利になるものもできるのじやないかということも実は懸念しておるわけです。勿論これは人事院でそういうことをやつておると申すわけじやないのであります。いろいろ心配して自分たちが悪い面を予想して申上げるのでありますが、こういういわゆる公務員の身分を非常に束縛し、職階制を強化し、そうして実質的には給与のいい意味の特殊的な改善にはならないといつたような別表を若しお作りになるようなことになりますれば、これは絶対に私たちは排撃です。飽くまでも最初申上げました原則沿つた、納得の行く、そういうような別表ならば、私たちは一日も早く作つてもらいたい気持を実は持つておるのであります。そういう観点からも、給与水準引上げと同時にこういうことをやられると、どうもそこに紛れる面もございますので、給与水準決定してその以後においてできるだけ早く、今申しましたようにいい意味別表お作り頂くことが、これが私たち希望であります。そういう意味で今後この別表の問題について研究をされ作業を進められる御意向でございますならば、是非とも私たちの趣旨をお汲取り頂きまして、善処方をお願いいたしたい。この問題についての私の質問はこれで一応打切りたいと思います。是非とも一つこの点はお約束願つて置きたいと思います。
  8. 吉田法晴

    委員長吉田法晴君) 森崎委員、今のは要望でございますか、それとも質問ですか。
  9. 森崎隆

    森崎隆君 要望でございます。
  10. 吉田法晴

    委員長吉田法晴君) 答弁求められますか。
  11. 森崎隆

    森崎隆君 人事官のほうでいろいろそれについて御意見がございますならばお聞きいたしとうございます。
  12. 山下興家

    説明員山下興家君) 只今森崎さんからいろいろな御質問、御意見があつたのでございますが、繰返して……、別表というもの、我々が考えておる別表というものは、根本的には労働性質によつてつて行くということでありますから、それは物指しであつて、その範囲内において労働に適合したような給与にして行こうということでございます。もう一つ教職員超過勤務のことについてお話がございましたが、実はこの超過勤務というものは誠に面倒な問題でございまして、これは給与が低いからああいうふうに乱雑になると思うのでありまして、大体局長だとか課長だとかというところがそう本当に時間によつて縛られ、きめられるものではなくして、森崎君の言われるように自分の家にいる間でもほかとの交渉があるとかいろいろなことがあるでありましようが、それを今のようにどこまでも勤務時間によつてやるということについては、多少私も疑問を持つておるのであります。これは成るべく近い将来において解決したいというふうに思つております。その場合に俸給表にどう現われるかといつたようなことは当然考えなくてはならんことだと思いますが、又それがそのときの……。今の御意見は十分承わつて置きまして、そうして将来考えることにいたしたいと思います。それからそういうわけでございますから、別表その他は、私自身の考えとしましては、やはり森崎さんのおつしやるように本格的に給与準則のところで行きたい。それでベースアツプベースアツプ、別問題だ、先ずベースアツプということを考えて、それはそれとして、そうして給与の形の本体本体に、労働に合うような適当な恰好において直すこことがどうかと私は思つておるのでございますが、この問題がまだ人事官会議にもかかつておりませんし、ほかの人がどう思つておるかわかりませんかち、何ともはつきりしたことは申上げかねるのであります。  それから職階制の問題がございましたが、教職員職階制というものは、成るほど非常にむずかしいのでありまして、研究職員と似たような大変むずかしいことだと思います。これから先職階制は無論やつて行きますが、これも私の予想で誠に相済まんけれども、どうもでき上つたものは今のものとそう離れたものじやないのではないか、例えば教授だとか助教授だとか助手だとかいうようなものはやはりああいつたような恰好になるのじやないか。これは想像に過ぎませんが、そのうちに今の職階作業が進んで行きましたらはつきりいたします。
  13. 森崎隆

    森崎隆君 一審附加えたいと思いますが、今の別表意味人事官の申される通りで私はいいと思います。特殊の勤労にふさわしい合理的な別表を作つて行けばいいと思います。それを具体的に申しますと、やはり優遇的なプラスアルフアー性格を必然的に持つということを私たちは真実に思つておる。それから原則といたしまして、この別表は特に教職員とか郵政関係は余りにも遅れております。ベース改訂と同時にこれはやらなければならないことは私どもよく考えております。できたらそうしたいという考えはありますが、非常にこれは警戒心が強過ぎると言えばそれまででございますが、下手をしては困るという気持で特に教職員の場合の別表一つ考え頂いてべースアツプと切離して一つ慎重に御研究頂きたいということを重ねてお願いいたします。
  14. 吉田法晴

    委員長吉田法晴君) 今の森崎委員質問に関連して、先ほどの御答弁ではべースアツプはベースアツプで一応実施して、そうして別表を作り、給与準則はそれと切離してあとでやるという御答弁でございますか、どうですか。
  15. 千葉信

    千葉信君 その問題に関連して……。只今問題になつております特別俸給表の問題について、今森崎委員のほうから御質問も又御意見もありましたし、それから山下人事官のほうからも御答弁がありましたが、今私ども問題にしておる特別俸給表に関する限り、いささかお考えが違つておる点があるのではないか。私は決して森崎委員意見を反駁するために申上げておるのではありませんけれども、実際にその利害関係者であるところの現業職員立場から要望されておるところの特別俸給表の問題は、少し只今お話と食違つておる点がある。この点について私は簡単に御意見を申上げながら特に人事官の御答弁をこの際お伺いして置きたいと思うのでございます。  今山下人事官が言われたように、労働価値に対する正しい反対給付という形において給与決定されるという、そういう原則的な方針についてはこれは私どもも賛成ですし、又そうならなければならないということは承知しております。そうしてその場合に国家公務員等におきましては給与準則において、正しく職階制や或いはその職種職級従つて給与決定されるべき問題でございまして、その点についての、人事院当局は相当作業を進めておられるということも、これ又私ども承知しております。併し御承知のように現在の一般職職員に対する給与というものは、その給与準則決定される以前の暫定措置という形において、国家公務員法第二十九条第五項でとられている臨時措置暫定措置という形でとられております。併し暫定措置の中におきましても、例えば等しく現業職員と言われておりましても、税務関係職員或いは警察関係職員等におきましては、特別俸給表適用を受けておりまして、比較的他の職員の場合と比べて、職務内容に応ずる給与準則適用されております。併しこの場合といえども、適正な労働価値に対する判定給付という状態にまではまだ進んでおりません。併し一応そういう措置がとられております。併し郵政電通、或いは厚生、農林等現業職員の場合には、これは一般職員と全く同じに、現業職員としての特性も、職務内容というものに対する考慮というものも殆んど払われないという形において取扱われておる。そうして現在の見通しから言いますれば、根本的に給与体係としての給与準則国会における審議なり人事院勧告なりは、従来の政府との質疑応答の中からも、どんどん時間的に遷延遷延を重ねて来ておる。人事院当局としてはできるだけ早くということをおつしやつておりながら、今日の段階においてもまだ、第十二国会、これは本年の通常国会気持でありますが、その通常国会にすらも提案されるかどうかわからないという状態が、従来のいろいろな経緯からいいましても私は言えると思うのであります。従つてそういうふうな最後的な給与決定ということがどしどし遷延しつつあるという、そういう段階の中で、特に一般職職員俸給表で扱われているために、不当な、不利益な待遇を受けている。今森崎君からもお話のありました教職員諸君であるとかその他の現業職員給与表俸給の問題が、実はもう少しそういうような給与準則が待つておられないというような状態の中からこの問題が出て来ているわけであります。従つて第十国会におきましてとられました参議院の決議というものも、現業職員に対する特別俸給表制定に関する決議というものもそういう情勢の中で山下人事官が言われたように、その職種内容なり、責任の度合その他に応ずる給与決定するという最後決定以前に、とにかく現在のこういうなかなか時間的には見通しの立たない給与準則の最後的な解決以前に急場の状態を何とか救わなければならない。特に現業職員等の場合にありましては一般職職員俸給表がそのまま適用されているということの関係から、例えば例を電報配達、或いは郵便配達、或いは郵便電信右技者、こういう職種人々をとらえて考えて見ますると、学歴が少いという問題、或いはその仕事自体が非常に簡単な軽度の筋肉労働であるというような、そういう立場からなかなかその級の昇格ということはこれは不可能だという、これはその級の決定の仕方がそういう建前になつております関係上、そういう仕事に従事している人々は二十年経つても二十五年経つてもなかなか上級には行けない。学歴のある人たちが十級、十一級、十二級という形でどんどん昇級して行くにかかわらず、その人たち学歴或いは又その他の条件から昇進を阻まれている。その関係で同一職種に従事している限り級の昇格がどうしても行なわれないという立場から、俸給表におきましても頭打ちが非常に顯著に現われている。例えば郵政電通等におきましては総体の従業員の約三割の職員がこの頭打ちというみじめな憂目を見ている。これは人事院当局のほうとしては級別定数増大することによつてその救済ができるというふうにお考えになられているのかどうか。いろいろ措置はとられたようではありまするけれども、併し人事院当局級別定数増大という問題も、大蔵省当局の予算上の方針からなかなか人事院の思い通りに行かない。そういう関係から現実問題としては三割に上るところの俸給頭打ち状態が起つている。従つて単にこれは級別定数増大だけではこの問題は片付かないのみならず、現業職員の場合におきましては、一般監督行政職と同じ俸給表適用されているために、あらゆる級別定数の中で頭打ちの現象が起つている。而も先の見通しの立たない混沌とした取扱いを受けながら非常に苛酷な労働を強いられて働いている。こういう状態は勿論これは山下人事官のお考えになつていられるように、又山下人事官が今ここで特にこれは個人的意見でございますと断わられたように、山下人事官の御意見のように、私は根本の方針としてはこの問題が級の頭打ちの中で最後的な解決が行われるということについては私は反対でもないし、又その場合には適正な給与準則と  いうものが考えられなければならない。併し今問題になつている特別俸給表の設定の問題、今度の人事院給与ベース勧告の場合にどうしてもこれを入れてくれという要望なり、又国会決議というのは、今度の給与ベース勧告の場合に特別俸給表勧善を同時に行なつて、そうしてこういう不利な条件というものを一日も早く克服する必要がある。そうしてこの問題について一先ず或る程度解決をしながら給与準則の中で取扱うところの現業職員立場というものを少くとも不利に陥らないような形に持つてつて置かなければならない。これは現在の職階制に関する法律の中におきましても、職階制適用によつては直接には支給されている俸給を下廻るような決定は行なわないという附則があるわけであります。こういう点にも現業職員は一縷の希望を持つておる。そういう立場から今特別俸給表の問題が日程に上つておるわけでありまするし、又これを要望しておる現業職員諸君気持も実はそこにあるのです。従つてそういう考え要望というものをこの際人事院としては十分考えながら、自分意見はこうであるという立場で押し切らずに、これらの不利な状態をできるだけ救済してやるという方向で努力されることが、人事官の本来の仕事ではないかとこう私は考えておりますので、この点に関して先ほど人事院当局へ参りまして一応のお話は承わつておりまするけれども、この際改めて山下人事官から明確な御答弁を承わつて置きたいと思う次第でございます。
  16. 山下興家

    説明員山下興家君) 千葉さんのおつしやつたことについてお答えいたしますが、現在警察だとか、税務職員なんかについての特別俸給表があるというのは、これは私が先刻申しましたような労働の特別な性質違つた性質特別俸給表というものができたのでないということは、私は了承しております。それはなぜかというと、今の簡単な俸給表に対する法律をこしらえますときに、そういうことを研究する余地がなかつたので、それで今までのものをそのままを作り直して行つたわけでありますが、併しああいう恰好のものは未整理のものでありますから、できるだけ早い機会においてこれを整理したい。即ち結局先刻申しましたように職務性質に適合したような昇給の進め方をして行きたい。それで現在の現業職員級別に掲げております基準によつて縛られておるというようなこともその一つでありますから、これをできるだけ早く違つた恰好のもので現わしたいのだということは私どもも昔から十分考えておるのでございます。ただ給与準則というものが私どもがやります上になかなか長くかかつたことは確かでございますし、これはできれば次の国会、十一国会にこれを出して御審議が願いたいということを思いまして、そうして事務当局へもそういうふうにして激励をしておる次第でございます。それで仮に今給与ベースを上げる勧告を出しましても、それは十一国会で審議されるでありましよう。それで給与に対する準則もまあ同じ国会で審議されるということになる。そのときにどういうふうになりますかはわかりませんが、大体噛み合わして、こううまく行くというようになりはしないかと、これは想像するのであります。ただそれなら同時に出せばいいじやないかとこう言われますが、ベースに対する勧告だけは非常に時期がむずかしいのでございまして、この十一国会には補正予算が出るだろう。そうしてその補正予算を組むときに間に合うときでないといかん。この間に合うという意味が、我々が出します基礎をすつかり了解してもらつて、成るほどと予算を組まれる人に了解をしてもらつて、さてそこでこれだけのものがどうして組めるかという研究をされる時期が相当なくちやならんと思うのであります。それでこれはできるだけ早くしたいと思つておりますが、ただできるだけ早くとは言いますが、途方もなく早くやりますと現状に即さないようなことになる虞れがありますので、その資料のほうから言うとできるだけ遅く、それからして予算措置の上から言うとできるだけ早くというので、その勧告の時期というものを適当なところを狙つて行きたいと思うのであります。それで先ず出しまして、そうしてこれは内閣の仕事ですからそのほうへは出します。併し給与準則のほうは、私どものほうの直接の仕事でございますから、これはもう少し時間が稼げる。ゆつくりと研究が続けられるだろう、そういうふうに思つております。ただもう一つおつしやつたところで、枠外昇級がえらいむずかしいというようなことは、これは誠に残念なことでございますが、あれも昇級時期がきまつておるのでありまして、即ち普通の昇級期の二倍といつたような時期がきまつておる。これが普通の表の中にあるのと一つも違わないわけでありますから、これを予算上早く押えられるということは誠に困つたことだと思うのです。こういうことはいろいろ事務の繰作の上から解決して行きたい、こういうふうに考えております。
  17. 千葉信

    千葉信君 私は俸給表が日程に上つている問題の真意を十分山下人事官は御承知になつておられながら、給与準則の設定の問題とからみ合せて私は、相当ごまかそうとか、責任を回避しようという方向に動いておられる、こういうふうに一応曲解せざるを得ない状態でありまするが、今山下人事官がおつしやられた給与準則の中で、特別俸給表に関するいろいろな問題なんかを解決したいという御意見は、これは山下人事官ばかりではなく、私は或る筋に折衝したときも同様の御見解を承わつたことがありましたけれども、併しそういう立場山下人事官も今お話になつておられながら、併しここに問題があるということは、大体特別俸給表要望にできるだけ副うように今度の第十一国会にどうせ給与ベース引上げも審議されるのだから、従つてその国会までに至急作業を終るというふうに事務当局のほうに十分命令は出してある。従つて給与ベース引上げの問題を審議する第十一国会で同様に給与準則の問題も審議されるであろう。そうすれば今ここで特別俸給表の問題を掲げる必要はないのではないか。こういうふうに山下さんはおつしやるけれども、併し私ども先ほどから申上げておるように、どうしてもこの際特別俸給表を日程に上らして、この問題を解決しなければならないという立場をとつている一つの理由としては、実は山下人事官がおつしやつておられる給与準則の設定なり、解決の問題がある。決して第十一国会や、若しくは第十二国会等でそう簡単には解決しない。こういう点を私どもは非常に心配しているからであります。山下人事官自身といえども、御答弁の中では、非常に強行にその問題を推進しようとして、事務当局にも厳命しておるというふうなお話でありますけれども、実は山下人事官の真意をぶち割れば、私はそういうところに逃げこんでおるに過ぎなくて、山下人事官御自身が第十一国会給与準則を必ず審議してもらうという形に持つて行かれるということには恐らく私は全然自信がないのじやないか。それをさながら自信がおありになるように御答弁されているのは、先ほど申上げたように、私はそういう答弁の仕方によつて一場を糊塗されんとするお考えがあるのではないか、こういう点を私は非常に心配しておるのであります。そういう点についてもう少し明確に山下人事官のほうから、それはそうではない、十一国会に十分提案できるように、この程度給与準則に関する作業が進んでいる。若しくはこの問題がこの程度まで推進されているという点を明らかにされれば、私は山下人事官が厳命されているその効果がどの程度現われるかということについて見通しが立つわけでございますから、一つ問題は少し発展する形になりますけれども、不可分の問題でありますので、給与準則設定に関する人事院当局作業が現在どういう段階にあるか。各省ごとの各職務に関する分類や、職種決定級別決定等がどういう細目的な段階に到達しているか。その点が実はこの際問題になつて来ると思いますので、一つその点についても御答弁を願いたいと思います。
  18. 山下興家

    説明員山下興家君) 実は前に御承知のように、職階に対する法律が制定されまして、そうしてその後職級明細表、それに格付もできるだけ急いでまあやつておるわけであります。大体のところまあ少しは残つておりますが、五、六月にはほぼ済んだ恰好にはなつておるのでありますが、私はよほど大事をとりましてこれは本当の現場に即したものでなければならない。そうしてこれは発表しながら、これをやるのでありますといつて発表しておりますけれども、まだ動いておらないのであります。実は動いておらないというわけは、各省で十分に研究をしてもらつて、そうして各人が自分がここに格付けをされたのには不平であるというようなことがあつたら、どんどんそれは申出てもらつて、そうして審議して、そうして最後には実は九月くらいからということでちよつと抑えてあるくらいの程度でございます。そのときになると二様にもそれを動かさなければならないし、それからその職階は給與の俸給の問題にもからみついて来なければならないのでありますから、私ども作業自体から考えましても、給與準則を遅らすということは、実に非常に困ることなんです。非常に困る。それであるから盛んに事務当局を鞭撻いたしまして何としても給與準則を早くこしらえ、そうしてそれを本当に間に合わすためには臨時国会にかけても間に合わないくらいの心配があるのでありますから、それで早くやるということを考えておるのであります。これはよそに対するごまかしでも何でもございません。今までは給與準則がえらく長くなりましたから千葉さんはあんなことを言うけれども、それは何だかこじつけをやつておるのだろう。又ごまかしをやつておるのだろう。どうせできやしないとこう思われるかも知れないけれども、併し実際それはこちらの操作自体が行き詰りましたら何とかしてやりたいという非常な熱意はあるのでございます。それで同じ国会にかけるのに違う恰好を持つて来て、又それでその次に変えるといつたら、そうすると何を一体人事院はやつておるのかといつて今度は千葉さんなんかに笑われる虞れが多分にありますから、これは給與準則のほうで一つ……。そうして給與のベースを上げるのは先ず上げて置きたい。そういう気持でおるのでございます。嘘でもかけ引きでもなんでもございません。御了承願いたい。
  19. 千葉信

    千葉信君 私ども実は今度の閉会中に大体今日で三回も委員会を開催しておりますが、遺憾ながら出席要求をしてある浅井総裁は今日までまだ一回もお見えになつておらん。決してこれは非難するために申上げておるのではなく、今問題になつております特別俸給表等の問題につきましても、山下さん自身が先ほど言われたように、一応個人意見の色彩が非常に濃厚な御意見を吐かれておるという私は印象を非常に濃厚に受けるわけなんです。こんなことを申上げるのは、実は現業職員特別俸給表要望する人々の代表がそれぞれ人事院当局と折衝しました経験からすると、必ずしも特別俸給表を今度の給與ベース勧告のときに一緒に勧告するということについては、まだ人事官会議でも最後の結論が出たという形にはかたまつておらない。特に先ほど森崎委員からも教職員特別俸給表の問題について強い要望が述べられましたのでありますが、そういう問題等につきましても、従来の閣僚諸君との折衝の中でも相当その問題は只今の御意見とは、お話とは違つた形での印象が濃厚な答弁が行われておる。こういう状態から言いますと、私はこういう人事委員会等のいろいろな質疑応答の中では、実はもう少し責任のある而も個人的意見という形でない人事院当局意見というものを私ども希望するわけなのですけれども、併し今ここでその問題を強硬に取り上げてみても無駄なことでありますから、その点は私は割愛して、特にこの際山下人事官に御要望申上げたいことは、おつしやる意見は私も十分わかりますし、又特別俸給表等の問題に関しても給與準則の中で具体的に最後的な結論を出したいというお考えもわかりますけれども、併し今問題になつており、それから又実際に現業職員等要望している特別俸給表の設定なり、或いは給與ベース勧告の場合における特別俸給表に関する同時勧告というような問題については、実は山下人事官のお考えになつておられることとは相当食違つている立場からこの要望が持出されているということを十分この際お考えになつて、恐らく私は最近行われます人事官会議でこの特別俸給表をどういうふうな形で扱うべきかということが論議されるだろうと思われますので、山下人事官立場から公務員諸君の、特に現業職員の利益を擁護してやるのだという責務の建前から考えられても、十分この際この問題について、もつと広い角度から問題をお取上げになることをこの際要望して私の山下人事官に対する質問を一応打切ります。
  20. 吉田法晴

    委員長吉田法晴君) 只今千葉委員、それから森崎委員質問要望に対して山下人事官のはつきりしたお答えをお願いしたいのでありまするが、先ほどの千葉委員お話では給與準則の中に織込むというお話に対して、警察或いは全官公職員のように、これは警察税務職員等と同じように前からこれは認められなければならぬ問題でありまして、従つて給與準則完成の前に認められて然るべきじやないか、こういう御要望であつたと思うのであります。問題は給與準則の中に織込むとして、その要望が容れられるか、容れられぬか、問題はここにかかると思うのでありますが、山下人事官の御見解を一つ承わつて置きたいと思います。
  21. 山下興家

    説明員山下興家君) 先刻申上げましたように、特別俸給表といつたようなものは、十一国会に出される予定である準則の中で出されましよう。そうしてベースだけは今から急ぐから今先ず要求して置きましよう。それでそうしますとそこに大体一カ月くらいな時間は稼げるのでありますから、その間に十分御意思を承わりまして、そうしてそれが実現できるようなふうに又実情に合うように努力したいと思つております。
  22. 千葉信

    千葉信君 それから今月の七日に人事院当局から寒冷地石炭手当に関する勧告が出されました。非常に立派な勧告なので私は敬服しておりますが、ただその中に一つ従来も参議院におけるいろいろな場合の質疑応答におきましても、どうせその支給の時期の問題については組まれた予算の枠内で支給するのだから、二回に分けるのも、一回に支給するのも同じだ、而も石炭手当なり、寒冷地給の問題の給與の性質に鑑みると、できるだけ早い機会に冬期に使用する消費物資等を買入れることが有利だと思うから、人事院とじてもできれば二十六年度からは支給方法については分割しないで一回に支給するという方向について人事院としては考えたい。こういう御答弁がありましたのに、今度出ました勧告では、依然として従来通り八月と十月二回の支給、これは私は石炭手当のほうについては、予算上三千五百円という二十六毎度予算に対して、一トン当りの今度の勧告では五千円になつておりますから、炭価に一千五百円の開きがある。従つてこれは新たに補正予算という問題とも関連して来るというそういう立場から石炭手当のほうについては、私は二回に分割支払という方法をとられたことも肯定できますけれども、寒冷地給のほうについては、予算上何ら食違いも起らない。支給別の区分なり等級別決定して、今度の勧告がなされておるわけでありまするから、人事院としてはこの際従来お考えになつておられたように、少くとも寒冷地給のほうに関する限りは八月一回なり、若しくは九月一回支給という形でこの勧告を修正される御用意がないかどうか。この点を承わりたいと思います。
  23. 山下興家

    説明員山下興家君) 石炭手当のほうは二回でいいが、寒冷地手当のほうは二回を一回にすべきだというお話なんですが、実は私承わつておらなかつたのでございます。そういう要望が本当に全国的にあるならば、そのほうが又便利ならば、私どももそうして悪い理由がないように思いますが、その御要望はどうも公式に出ているのでしようかどうでしようか。私どもの所には十分に伝わつておらないのでございますが、そういうわけですから、これを勧告を修正をするというようなことはちよつと行かないと思いますが、若し必要あれば、或いは将来考えてもいいと思います。
  24. 千葉信

    千葉信君 この一回の支給の問題については、私どもの参議院の人事委員会でもこの問題を取上げられて、人事院当局に対して要望したことがありますし、それから又御承知の通りにこれは寒冷地給対策協議会という形で全国の公務員がこの組織の中に結集されておる。この結集されている対策協議会の意見としても、このことは人事院当局のほうに再度に亘つて申入れを交渉の際中に行つているはずなんです。それから常識的に考えても、八月の三十一日と十月の三十一日に二回支給される場合と、それから八月一回に支給される場合は、これは常識的に考えた場合でも、例えば石炭にしても、或いは薪炭にしても、その他の消費財等についても、冬が近づけば近づくほど値上りするということは、これは誰でもわかつていることでありまするから、そういう点から考えても、こういう要望というものは私は肯ずけるはずだと思う。従つて若し今山下人事官がおつしやつたように、従来山下人事官の耳にこういう要望が達していなかつたとしても、今後この問題が急速に幾多の要望となつて現われるだろうと思いますが、できるだけそういう際には人事院としても従来の寒冷地給或いは石炭手当等については、補正勧告なり或いは修正を第二次勧告ということも行われた経緯から見ましても、今度もできるだけこういう問題に対して人事院としては相当親心を持つて御考慮願いたい、こう思つておるわけでございますが、その点……。
  25. 山下興家

    説明員山下興家君) 今のところ、ちよつとはつきり私わからなかつたのでございますが、将来は石炭は二回でいい、寒冷地手当は一回ということですが、或いは石炭が一回ということになると、少し私疑問があるのでございますが、それは大体八月だろうと思いますが、そうすると通常国会でそれが予算に組まれないと、どうも工合が悪いのではないか。そうすると、それを通常国会に組まれるためには、去年の八月頃に勧告していないと、通常の予算の中には入らないことはもう御承知の通りであります。ところが今度のように石炭の価格がどんどん上つて来る場合においては、我々は八月に間に合うように、できるだけ新らしい資料によつてという考えからやつておるのでございまして、今も千葉さんが御指摘になりましたように、三千五百円の予算で人事院は五千円と勧告をした、その間の開きはどうするかと言えば、それは補正予算のときに当然考えてもらうよりほかにないのではないかと考えなければならないのであります。そういう意味から言つて、将来どうなりますか知りませんが、石炭を一回だけにして置くのがいいかどうか私少し疑問に思つておるのでございますが、そうして又トン数だけでも三トンというトン数も、貯蔵の上からいつてどんなものでありましようか。それで寒冷地給のほうはこれは額も割合に少いし、そんなことは余りなかろうかと思うのでありますが、その辺について御意見を承わつて置きたい。
  26. 千葉信

    千葉信君 私先ほど石炭手当のほうについては、補正予算等との関連があるから二回支給ということも一応止むを得ないだろうけれどもという形でお話申上げたのであります。併し今山下人事官が言われたように、石炭手当等のごときは、できるだけ新らしい基礎の上に、或いは新らしい資料の上に立つて勧告することが、これがいい方法ではないかというお話がありましたけれども、これは今年度の寒冷地給、石炭手当勧告が遅れたために、人事院当局としては、石炭手当に関する限り怪我の功名を立てた、こういう点から実は非常にうまく我田引水をやつておられます。併し昨年の人事委員会でもいろいろ論議されましたように、実は人事院としては石炭手当、寒冷地給等もこういうふうに遷延した形でやるべきではない。毎年石炭の価格等にいたしましても、常に従来の状態からいうと、予算上の問題から人事院勧告が実施されておらない。昨年人事院では四千百五十円の勧告をいたしたけれども、実際は三千五百円しか予算上の関係で支給されなかつた。これが若し予算を組む前に寒冷地給や石炭手当勧告が出されておれば、少くとも人事院としてはその勧告がもつともつと尊重され、又政府によつて実行されやすくなるのではないか。そういう立場から寒冷地給、石炭手当等は予算編成前に二十六年度分等は勧告するように、つまり二十六年度分の石炭手当、寒冷地給等については二十五年の九月以前に、二十六年度の予算が編成される前に勧告されるように持つて行くというほうが妥当ではないか。こういう点について、実は昨年も人事委員会を通じて御要望を申上げましたけれども人事院当局としては寒冷地給、石炭手当についての新らしい人事院立場に立つて勧告というものは、これは給与べースが引上げられた場合に勧告する。去年寒冷地給と石炭手当勧告はこういうことであつて、而も十二月の、寒冷地給、石炭手当については給与ベースが引上になつた場合にも、人事院のほうからは勧告されないで今日まで遅れて来た。ただ、遅れて来たということで怪我の功名に近いものがあつた。こういう点から山下人事官は新らしい資料によつて勧告したほうが有利ではないかとおつしやいますけれども、私はこの意見については一応考える必要があると思うが、この問題についていろいろ論議することは時間の関係上次の機会に譲りたいと思いますけれども、何としてもそういう立場から先ほど申上げた私のお話というのは、石炭手当のほうは予算との間に食い違いがあるから、今年は二回分割支給でもこれは止むを得ないと思うけれども、寒冷地給のほうは一回に支給しても何ら支障が起らないではないか。そういう立場であつたから人事院としては今度の勧告でも前年度通りという勧告を行なつたけれども、できるだけこれは公式にも非公式にもこの問題に関する要望が出ると思います。相当熾烈な要望でありましようから、これはできるだけ八月三十一日なら八月三十一日に一括して支給するという方向へ勧告を修正する御努力を私としては強く要望するわけであります。
  27. 森崎隆

    森崎隆君 給与水準引上げに関します勧告についてお尋ね申上げたいと思います。随分給与水準引上げに関する人事院勧告を全公務員は期待して待つておるのでありますが、その前に私たち公務員の意思を体しまして、一昨日安本長官のほうへ、又大蔵大臣のほうへ一万二千円ベースの即時実施という意味要望書を出して置きました。ところが一万二千円の給与水準というものは、私たちから考えますというと、相当もう古いのでありまして、米価の改訂、電力料の値上げ等のフアクターは全然入つていないと私は考えておりますが、まあ一応この際この一万二千円ベースを私たち要望しております。この前にも人事官のほうから民間給与との比較等につきまして、民間給与がピンからキリまであるということが申されました。それもよくわかりますが、ただ公務員給与は国家が責任を以てやつておるわけであります。一つの企業体と考えましても一番大きいのでありまして、比較というものは、やはり民間給与と申しましてもピンからキリまである中で、やはり相当の大規模のものと給与は比較してもらわなければならん。現在民間給与の実態は人事官としてすでに調査済みであると思いますが、相当の賃金、水準等につきましては一万二千円というベースは余り見られない。もつと水準はずんずん上つておるように私ども考えております。勿論小さい企業体は非常に安いものもございます。一カ月働いて三千五百円や四千円もらつておるようなものがございます。これと国家が責任を持つてつておるところの公務員給与水準とは比較すべきではないと思います。御存じのように今も申しました三千円、四千円で一カ月働かされておるような私企業的の面もございますが、こういうような賃金と、政府で予算で組んでおりますところの生活困窮者に関します、このほうに載つておりますあの実態と比べましても話にならない。そこにやはり国家としての権威があり、文化水準のモデルを示す責任観念からはつきりした、又全国民への納得の行くような水準がやはり当然示されなければならない。私たちはそう考えておる。そういう意味で一万二千円ベース、これはまだむしろ低過ざるというふうに実は考えておりますが、勧告も非常に近いうちになされるように何となく私たちは思うのですが、この際御存じのように、新聞にも二万六百幾らとかいうものが報道されております。新聞は勝手なことを書いておつて人事院関係はないとおつしやればそれまででございますが、参議院の我々人事委員会といたしましては、一応現在のまあ作業が完了しておりますればその状態、進行中でありますならばその状態というような具体的な内容を、必要であれば速記をとめてもよろしうございますが、大体勧告の具体的な時期、又その水準、これに関連するところのいろいろな問題、又これが算定されるまでの基礎についての、重要なポイントについての人事院の御意見なり、こういうものを是非私はこの際お聞きしたい。人事官一つお願いしたいと思います。そういう今公式に発表できないといたしますれば、話合いという形でも結構ですから、速記をとめて頂いても結構ですから、その点を一つ
  28. 山下興家

    説明員山下興家君) 今森崎さんからお話がありまして、民間給与との比較をよほど尊重しなくちやならんというお話がありましたが、私どもも全くそう思うのであります。ということはこの際特に考える必要があるということは、我々が給与のべースを上げてもらいたい。上げるべきだということを国会並びに内閣に勧告いたしますときには、これは国民に対して訴えておるのでありまして、無論国民から公務員に対して給与を支払つている。納税者が支払つているという意味において、その国民の代表者である国会に対して了解を求めるという上からいいましても、民間の給与水準に合うべきだ。それより上廻るべきではない。丁度合うならまあ誰でも賛成をしてもらえるだろう。こう思いますから民間給与調査というものにもう一番重点を置いておるのであります。併しそう言いましても、官庁仕事とえらい違う所を選りましても工合が悪いし、森崎さんのおつしやるようにえらい小さな企業を選んでもいけませんので、それでそれについて十分注意いたしまして、この一般公務員と同じような仕事の所を選びまして、そうしてそれを実は調査したわけでございます。成るべくこれに近い資料をと思つて調査して来たのでありますが、四月半ばから五月半ばにかけて細心の調査をいたしました。併しまだそれだけでは工合が悪いからほかの全産業その他のものの三月からの上り工合なんかによつても補正をいたしまして、そして大体この五月にこれだけになるだろう、なるということをはつきり認めまして、それもただ一点や二点でなくてもう全部の何級々々という相当のものを全部洗いざらい出しまして、民間給与にならつたものをこしらえておるというのが一つであります。又一方毎年やつておりますように理論生計費のほうから出した摂取カロリー、その他からの計算があるわけであります。それは国民の平均の所におるべきだというやはり建前からこういう摂取カロリー、そういうものを全部洗いざらい出しまして、そうして約十八歳の単身のものは幾らであるべきだということを出して、そしてその両方を満足するような線を引いて計算をするという立場に立つておるのであります。その額がどれだけになるかとおつしやいましても、それは全部の計算をして最後に出る数字でございますから、予測は許されてないので、忠実に穿つておるということだけは、今度は特に民間給与に対して最も忠実に守つておるんだということだけは申上げることができると思います。そうしてその際できれば理論生計費は若しも米価が上るならそれも勘定に入れたい。こういうふうに思つております。
  29. 森崎隆

    森崎隆君 重ねてどうもそれでは私たちははつきりいたしませんのでございまして、新聞は、これはデマだと言われればデマで結構でございますけれども、何か根拠を以てああいう新聞を書かれるのだろうと思います。人事委員会の我々委員が全然そういうことはわからないが、新聞のほうでああいうふうに勝手に書くというのはどういう根拠で出すのか、それが先ず一つ。  それからもう一つこれは原則的な問題ですから御答弁できると思いますが、民間給与につきましては本給よりほかに特殊勤務手当、家族手当、地域給などもやはりあるだろうと思いますが、別個に臨時の手当という問題がこれはある。現在私たちのまあ些細な手でいろいろ調べたり聞いたりしたところでは、相当多数の会社は事務系統の会社でございまするが、大体三カ月に一回ずつくらいの、年少くとも四回くらいのいわゆるボーナスと名のつく手当を出しております。昨年は公務員にとりましては、御存じのように十二月に年末手当として一カ月分の半額ということに実はなつておる。これもやはり民間給与の実態と考え併せて、これと或る意味のバランスをとるということになりますれば、このボーナスと名のつくもの、これにつきましてもやはり根本的に人事院勧告では考えを改めて、この際の勧告にもつとしつかわしたもの、額やその他の点ではとても民間の給与その他に追いつけないといたしましても、少くとも制度としはこれに或る程度の追随をして行けるような勧告内容は当然あるものと私ども期待いたしておりますが、この特別手当につきましてどういう御方針でやつておられるか。それをお伺いいたしたい。
  30. 山下興家

    説明員山下興家君) 新聞に一万六百円とか、なんとか出たということにつきましては、私どもも実は驚いておるのでありまして、まだ人事官会議も開かれないし、最後の数字も出ないのに、どうしてああいう数字が出るのか不思議でございますが、数字は何とかしてひねくればニユーズ・バリユーはとにかく相当なものでございましようから、これは我々責任を以て何とか言うことはできない。あれはどこからも洩れておらないということははつきりしておるのでございます。それで今度は仮に開いて見たら間違つておるということも立証されるだろうと思いますけれども、それでボーナスの問題でございますが、これは御尤もだと思うのでございます。だんだん世の中が正常の状態になつて来ますと、民間給与のボーナスがだんだん殖えて来るわけでございます。今までは大体期間のきまつての収入と比較をしておつて、そうしてこの前の年末給の場合には、又あのときにはボーナスを入れて一ヶ月ということを勧告したわけでございます。今度も民間のボーナス式のものは相当考えるべきではないかと実は思つておるのであります。
  31. 吉田法晴

    委員長吉田法晴君) まだ人事官会議にかけておらんから数字も出ておらん。正式に発表し得る段階にないというお話でございますが、新聞の模様では浅井総裁が去る十七日にリゾー民政局長を訪問して云々ということでございます。それから政府のほうで米価の改訂に伴つて千五百円云々といつたような数字も出ておるこの際、原則論だけでまだ数字が整つておりませんから、幾らになるかわからないということば言える段階ではないと思いますが、勧告の時期その他についてどういうふうな見通し、或いは人事院として心組みでおられますのか。その点を承わつて置きたいと思います。
  32. 山下興家

    説明員山下興家君) 千五百円というような数字がどういう意味なのか私どもわかりませんが、あれはまあ旧憲法時代で陛下からお金が出るということならそれは二千円とか、千五百円とか、そうしてそれを適当に分配するということは考えられるのでありますけれども、とにかく新憲法下ではそういう頂くのではなくして労働の対価でありますから、これははつきりした基礎の下に立たんと納税者を満足することができないと思う。それで民間の給与に、森崎さんの言われますように忠実に研究をしております。そんな結果でそこに出て来る数字でありますから、どうも如何に千五百円といつてやられても、よそで数字を立てられても私どものほうにはわからない。わかつたときは発表するときなんだという以外にないのでございます。リゾー氏に総裁が会つたということはこれはリゾーさんは御承知のように民政局長でございますから、いろいろな用事のためにときどき会うのであります。それは新聞記者がなぜ出したかと言われますとわかりませんが、あそこに記者が動いておりまして、総裁はどこに行つた、あそこに行つたGHQに行つたということがわかれば、そうすればあそこに行つたのなら民政局長だろうということが、それは推測であつて、民政局長に会つたのなら給与のことで行つたんだろうという、そのだんだん推測していつて給与のことであろうということになる。私の知つておる範囲においては給与のことについてリゾーさんに会つたということはないのであります。
  33. 吉田法晴

    委員長吉田法晴君) いつ頃勧告されることになるであろうという時期の見通しについては。
  34. 山下興家

    説明員山下興家君) その見通しにつきましては、先刻申しましたように、これは非常にむずかしいのでありまして、できるだけ早く、即ち予算に繰込み得られるだけの、できるだけ早くということと、資料はできるだけ遅い現状……。私が今申上げましたのは先ず五月の基礎による、これは最も統計としては新らしい統計を利用しておると思うのであります。統計は時間がかかりますから、これよりも早くということは困難であろう。それで今度は予算のほうから考えますと、御承知のように八月の初めは次の予算を編成するのに大蔵省は資料を集める時期でございますから、今のところ相当適当した時期じやないかとそう思うわけでございます。併し今何日頃とかなんとかいうことは困難でございますが、余り遠くはなかろうということだけは御了承願いたいと思います。
  35. 森崎隆

    森崎隆君 どうもはつきりしたことが言えないのはよくわかりました、その点具体的に承わりましたが、まあ新聞にああいう記事が出て責任は持てないということはわかるのでありますが、あとから考えまして、その通りであつたことが往々ありますので、残念でありますが、それは別としまして、或る新聞に偶然にああいう記事が出ましたが、大体の予想として当然あれまりも上廻つた勧告をされることを期待しておるのですが、上廻つておるか、下廻つておるか、大体の予想をお聞かせ願います。  それからもう一つ、大体これは人事官個人の意見は聞けると思うのですが、初任級の、即ち一級一号はどういうところにおさえようとしておるか、これは具体的に言つていいのじやないかと思います。これが第二点。  それからもう一点はボーナスの問題、本当に希望のある御意見を伺つたのでありますが、それを一つ特にお願いしたいのでありますが、この前の人事委員会におきましても、今年の夏季手当の問題で随分山下さんにも要望し、又岡崎官房長官にも要望して参つたのでありますが、政府は今のところボーナスの問題で、いい意味で今度の勧告案で勧告するといたしますれば、その精神に則りまして特に今回早く支給するという勧告を特に人事院で出してもらいたいということをお願いしたいのであります。今日は山下さんの個人的な御意見だろうと思いますが、以下三点について御私見で結構ですから御答弁をして頂きたいと思います。
  36. 山下興家

    説明員山下興家君) 新聞に出た数字を上廻つておるか、下廻つておるかつということは困難であります。今の数字は最後に出て来るのでありますから、何とか言いますと、本当のはつたりになつて何を言つておるかということになりますからこれだけはお断りして置きます。民間の給与にならつておるということを御承知願いたいと思います。それは一級一号はどうなつておるかということは、これは最後でないと出ませんけれども……、
  37. 森崎隆

    森崎隆君 それはわからんことないだろう。
  38. 山下興家

    説明員山下興家君) 併し十八歳の成年男子の必要の金は、これは理論生計費の中から出しますから、この経費の中から新米価も組んでは見たと思いますが、それによつてきまる、今のところ数字はわかりません。
  39. 森崎隆

    森崎隆君 おかしいな。
  40. 山下興家

    説明員山下興家君) 実際はわからん、夏期手当の問題はございません、これは日本のこの習慣があるのでありますが、御承知の通りそれで冬期ほど必要なのか、冬期のは十二月は非常に日本ではお金がかかるということは御承知の通りでありますが、夏期はどうかということになりますと、よほど疑問と思います。その遡つてどうにかしろとか、或いはいつからこれをどうにかしろということになりますと予算に食い込むことになる。我々は予算からできるだけ離れたい。そうでないと今のこの世の中に給与べースどうだと言われますれば、これは参るのでありますから、こういうことでなくて予算はどうでありましようとも、どういうむづかしい仕事がありましようとも国民と同じに公務員も生活水準にしてもらつてもいいと思います。これは納税者に、国会に向つて嘆願するのでありますから、それでその場合に今の予算をどう組むとか、流用しろとかいうことはこれは人事院としては出過ぎておることであるから、そういう権限外のことには触れたくない。できるだけ国会と内閣とでやつて頂くことを希望する。
  41. 千葉信

    千葉信君 いろいろ新聞なんかを見ても、それからいろいろ私ども聞く話の中でも今人事院を廃止するとか、或いは人事院の機構を総理府の一部局にしてしまうというような話が相当出ておるようでありますが、これに対して人事院としてはどういうふうに考えておられるか、その点をこの際明確に御意見を伺つて置きたい。申上げまする意味というのは、人事院ができますときの期待が余りに大きかつたためか知れませんけれども、従来の人事院の業績というものは必ずしも芳ばしいものではなくて期待外れ、がつかりしたというのが大方の気持だと思うのであります。併しそうかといつて今の見通しから言いますと、それでは一体人事院を全部廃止するとか、総理府の一部局に縮小してしまつて、そうして本来のあるべき姿に返して、公務員諸君に対しては団体交渉権なり罷業権なりを全部そつくりそのまま帰してもらえるかというと、今の見通しではそういう点もなかなか簡単に見通しがつかない。そうすればやはり公務員諸君立場からいつても又国民の立場からりいつても、人事院に対して期待するところがあるし、又人事院の機構が縮小どころかますます拡大強化整備されて行くということがこれが望ましい。私なんかもそういう意見では人後に落ちないわけなんです。併し今度の場合なんかを例にとつてみても、給与ベースの問題なんかを例にとつてみても、政府のほうではもう四月以来やれ二千円だとか、やれ千円だとか、極く最近などは千五百円ぐらい引上げる。それも昨年十二月に給與べースが改訂された後は膨らんで来ている、千五百円、引上げるということになればそれは大体金額は一万円という恰好になる。こんな恰好ども、意思表示などもしばしばなされているし、新聞にも伝えられているし、政府自身もその問題については否定するような態度をとつておらない。而も今日新聞などの報ずるところによりますと、補正予算編成の構想などが発表されておる。それなんかでも財源その他の問題は一応明確にされているし、更に給与ベースについては千五百円程度ということも報道されている。そういう状態の中で、同じ新聞の中に実は一万六百五十八円の給与ベース勧告案がそろそろでき上つて、そして民政局のほうとも折衝が行われているという新聞記事が出ていたので、私はやはり人事院は相当頑張つてつているという印象を受けたのですが、今山下さんのお話を承わると、みんな新聞のデマだという、それを否定するようなお話があつたのですが、そうなると私どもが又人事院の怠慢ということに対して不満の意思を表明せざるを得ない。特に今申上げたように人事院の廃止とか機構の縮小という問題が取上げられているときに、給与ベースの問題に関して政府自身からしばしばああいう声明なり若しくは又談話が発表されたり、方針意見が発表されたりということになりますと、而も今のお話では一体人事院はどの程度の金額を勧告されるかまだ最後の結論が出ていないというそういう恰好で、而も先の見通しというものはしかじかだと今政府が言つているように、千五百円程度引上げに終るという事態すらも起るんじやないか。そうすればこういう段階に来ても人事院がぼやぼやしているとかというこれはもう国民諸君ばかりでなく公務員諸君も率先して人事院頼むに足らずという恰好で、総理府の一部局ならああいう役に立たない人事院はそうしてもらつてもかまわないという空気が出て来て来る。こういう空気があるということを人事院は十分にお考えになつて給与ベース改訂をやつておられるかどうか。こういう点で人事院の御意見を承つて置きたい。
  42. 山下興家

    説明員山下興家君) 千葉さんのおつしやつたことは尤もでございますが、私ども人事院立場について人事院で立てられた三大目標というのを私が書きまして、そして国会の皆様がたにお配りしたことは御承知だろうと思います。それで我々も、ストライキやなんかができない、団体交渉ができない公務員とそれから政府即ち内閣との間に立ちまして、使用主である内閣の立場に立つてそしてどちらにも満足される、公務員にも満足が行くように、国民にも満足が行くような数字はかくのごときものでありましようというのが我々の立場でありますから、それは使用主である政府が金の上からいつて二千円やれるぞ、千五百円やれるぞといつたような景気のいいことを言つてもらうのは誠に結構なことで幾らでも結構なのです。但し我々は最低ぎりぎりはこれであるべきだという一線を出しますから、それは何も使用主である政府がそう言つたから早くやれといつて間に合わんようにはしませんけれども、そんなに急ぐ必要もなし、適当だと思うときに適当な手を打つようにすれば私どもはいいと思います。ただ若しも独立性がなくて、これが内閣によつて動かされるような位置に若しあつたとしたら、これはお前は二千円というけれども千円にして置けとかいうようなことになると、これは何のことかわからなくなりますから、本来の人事院立場を守るためには、独立性が非常に大切だということも、同時にそのときに申上げましたように、政党政治は非常に結構だけれども弊害が伴う。そうするとあの男は選挙に非常にうまくやつてくれたから御褒美にあの局長にしようとか、あの次官にしようとかいうようなことをやられると困りますから、それも駄目です。こういうことを言うことが政党政治を健全に発達さすのには是非必要だ、そういうふうに思つております。それから全部の者が又自分の身分が民主的でなかつたら昔のように封建的な身分を持つてそしていい顔をしてごまかしておつてもいかん、こう思いますから、それに対してははつきりと我々は存在を明かにしておるつもりなのでございますし、御満足の行かないところは非常にたくさんありましようが、又方々から、或いは一方の見方から言いますると、どこからも好かれないということもいいのかも知れない。(笑声)裁判官も余り好かれる裁判官はないでありましようから、そういう点から言うといいかも知れないと思うのです。そういうことでまじめにやつておるつもりでございますから、これから先一つできるだけ御鞭撻を願いたい。私のは極端に言えばこれが駄目であれば新憲法は紙に書いた絵である、本当に新憲法を実行するためにはこういうものが必要なんだということをつくづく感ずるのであります。
  43. 吉田法晴

    委員長吉田法晴君) その点は今日の委員会を急に開きましたのも、千葉委員の言われるような人事院の鞭撻といつちやおかしいのですが、大いに力づけ、こういう人事院の基礎がいろいろな批判によつて問題になつておるときに、私ども人事院を激励し、守つて行かなければならん、こういう気持考えられておるのですが、それに勧告の時期もいつになるかわからん、或いは今までできておる数字がわからんという、こういう御態度では甚だ私ども不満に思うのであります。すでに五月の数字も、それから理論生計費も民間給与調査も終つて、恐らく数字が一万六百幾らであるかどうか知りませんが、恐らく調べておるのだろうと思う。問題は先ほどちよつと米価も織込むということでしたが、米価その他のものを織込んでどうなるかという問題は残つておると思うのでありますけれども、公式には人事官会議決定がなく、或いは発表し得る段階に至らなくとも、私どもはこういう情勢の中においては、少くも人事院が私どもに御相談を願つて、そうして進めて行かれることが最もいいのだと考えておるのであります。その点について、人事官と申しますか、人事院に対して不満の意を表明して置きたいと思います。  それではこの程度で休憩いたしまして、官房長官が一時半から二時ということでございます。一時半からちよつと時間が足りんかと思いますけれどで、一応そういうことにしまして、早目にちよつとお集りを願いたいと思います。それでは午前中はこれで休憩いたします。    午後零時四十九分休憩    ―――――・―――――    午後一時四十六分開会
  44. 吉田法晴

    委員長吉田法晴君) それでは只今から午前に引続いて打合会を開会いたします。私から官房長官に委員を代表して御質問を申上げたいと思うのでありますが、先般来米価の改訂に伴つて給与引上げを行うという政府声明が報ぜられているのでありますが、この政府声明の根拠になりました閣議申合せと申しますか、その給与に関する部分をお尋ねをいたしたいと思うのであります。なお新聞の報ずるところによりますと千五百円程度給与引上げるという意向を伝えられておりますが、これは大蔵省の意見でありますのか、或いは政府全体の意見でありますのか、その辺がはつきりいたしませんがこの数字につきましてどういうふうに政府として考えておられるのでありますかこの点伺いたいと思います。
  45. 岡崎勝男

    説明員(岡崎勝男君) あの政府の発表にありますように、今後補正予算を組む際にその財源は給与引上げと減税に優先的に振り向けるということでありまして、財源が余計あれば無論給与改訂にも余計行きましようし、減税にも余計行きましようが、一にこれは財源と見合つてのことであります。尤もあの政府の発表にありますように、給与引上げについては米価の改訂その他の事情とありまして、米価の問題だけを我々は今取上げておりますが、将来はその他給与改訂を必要とするような物価の改訂があり得ることをも予想しております。そういうわけでいろいろの事情を見て見ないとまだわかりませんが、要するに財源の問題に可なり制約されることは事実であります。そこで千五百円というようなことを委員長が言われましたが、これは全く根もない記事、新聞に出ていたことか知りませんが、根拠のないものでありまして、政府若しくは大蔵当局で何円ぐらいと、こう言つたことは一度もないはずであります。又そういう勘定はまだ出て来ないわけであります。というのはパリテイ指数その他を見ました上に将来他の物価の値上り状況が果してどの程度であるか、これを見なければ正確な数字も出て来ないのでありますから、その正確な数字が出てから今度は財源でそれだけ出せるかどうかという点も見合わなければならない、こういう意味ですから、必ずしも幾らということは今言えない状況になつております。
  46. 吉田法晴

    委員長吉田法晴君) 只今の御答弁で新たなる財源も減税と給与に優先的に廻すということで、金額その他については全然まだ未決定である、こういうお話でございますが、そうすると御承知のように予算編成に間に合うように給与改訂についての人事院勧告がこれはなされるだろうと思うのでありますが、只今の御答弁の中に正確な数字云々というのは、その人事院勧告に基く数字でありまするか。或いは別に政府自体として数字を御検討になつてということでありまするか、その点が一点。  それから米価改訂その他ということですが、米価の点については決定をした上で織込むということはわかつておりますが、或いは電力値上げ問題その他或いは鉄道の値上げ、或いは郵便云々といつたような話もございましたが、そういうものも織込んで考えられるとこういう意味でありましたのか。その点を一つ重ねてお尋ねしたいと思います。
  47. 岡崎勝男

    説明員(岡崎勝男君) 人事院勧告というものがいつなされるか。それは私も知りませんが、出れば無論勧告をできる限り尊重する意味においてこれを検討いたします。併しながらこれはほんの仮定の問題ですが、仮に勧告が早く出る、そのあとで又他の物の物価の改訂が行われるというような場合には、必ずしも勧告だけでいいというわけにも行かない場合があると思います。要するにこれは実質的の問題ですからして、勧告が出ればこれをできるだけ尊重することは無論でありますが、出る時期にもよると思います。なお勧告がどういう形で出るか知りませんが、出ても無論この財源に制約されるという点があり得ることは、これは前から御承知の通りであります。それからその他の事情というのは必ずしもそういう値上りの問題ばかりでもないのでありまして、例えばパリテイ指数等を見ると、九月には二五〇という予想の下に米価を改訂しておるのでありますが、果して九月に二五〇になるか。どうも今の物価の状況から見ますると、かなりこれを下廻るようなパリテイ指数になるのじやないか、こういうふうにも思われるのでありまして、無論物価の改訂というのは、つまり物価の上る状況も勘案いたしますが、同時にこのパリテイ指数が仮に下るような場合には、それも勘案するわけであります。高いほうばかり、つまり余計かかるほうばかりというわけでもないのであります。その他の事情というのはそういう要するに物価の事情、こういうことであります。
  48. 吉田法晴

    委員長吉田法晴君) パリテイにおいて九月に二五〇になるかどうかわからん。こういうお話ですが、これはそのときになつて見なければわからんことでありますが、現在米価のほか電力料の値上げがどの程度になるかわかりせまんけれども、上るであろうということは大体予想し得ると思うのであります。電力問題についてもその値上りを給与に吸収し得るか、給与引上げに吸収されるかどうかという点について、実は私どもも心配をしておるのであります。そのほかにいわれておるのは、鉄道の値上りその他というものがあるわけなのでありますが、問題はこれは給与の基礎になります時期をいつにとるかという点にかかつて参ると思います。  それから人事院勧告も、これもいつ出るかという時期によつてその基礎の数字が違つて参ると思うのでありますけれども、例えば今年の五月なら五月の数字をとつて、これは或いはマーケツトバスケツトによる理論生計費、或いは民間給与調査による数字、そういうものをとつて幾らになるという数字は現在は出ておりませんけれども、恐らく事務的には或る程度まとまつておるかと思うのでありますが、更にそのほかに米価なり、或いは電力値上げなり、そういうものをどこまで織込むか。やはりこの勧告の時期にも関連して参ると思うのであります。人事院勧告が出たならば、それを尊重し、それを基礎にして、財源が許すならばこれを実現したいというお気持はわかるのですが、その際に先ほど言われました正確な数字というのを人事院勧告と離れて、人事院勧告を基礎にするけれども、財政的にはどうだからということもおやりになるか、それとも別に政府自体で数字を検討されてなさるのか、その点を先ほど伺つたわけであります。その点一つ……。
  49. 岡崎勝男

    説明員(岡崎勝男君) これは極く素人的にいうと、人事院勧告というのは科学的といわれますが、或る一定の時期をとつて、その時期のいろいろな物価の水準等によつて数字を出されるわけです。政府のほうはでき得るならば相当期間変えなくて済むような給料を算定したい、こう考えて余り科学的でないかも知れませんが、将来一体物価が上る見込であるか、下る見込であるか、そういう点もとにかく考慮には入れる、実際の数字の上に出て来るかどうかは別としまして……。ですから全然人事院勧告通りということにはならんかも知れません。又今申しましたように人事院勧告は過去の何月かのフアミリー・バスケツトとかCPIとかいろいろのものを調べるのでありましようが、我々のほうの米価の改訂のときはすでに九月のパリテイ指数を二五〇と抑えて計算しておるのでありまして、そういうふうに先のほうの数字を抑えて計算しておる物価でもありますから、必ずしも全然一致する場合のみとは思われんと思いますが、やり方の大体のところは似たようなものだと思つております。
  50. 吉田法晴

    委員長吉田法晴君) 重ねてお尋ねをいたしますが、成るべく将来に亘つても変えなくても済むような給与、言い換えますと将来の物価傾向も織込んで給与をきめたい、これはまあ異議がないのでありますが、今の人事院勧告の中に出て参ります数字と、別に政府において、これは官房でおやりになりますのか大蔵省でおやりになるのか知りませんけれども、別な数字を基礎にしてなされるかのような印象を受けられるようなお話は、これは人事院というものを作りました趣旨からいたしましても、私どもとして賛成するわけに参らんと思うのであります。人事院から出て来ました数字、勧告を財政的な事情からどの程度に容れられるか容れられんかという点は、これは政府仕事だと思うのでありますけれども、別に数字を出されるということはこれは制度的にも間違いではないか、こういうように考えるのであります。  なお物価の問題については、一応先ほどパリテイ指数云々というお話でございましたけれども、当然米価改訂のほか電力料の値上げ、若しそれが確実に見込まれますならば、或いは鉄道運賃の値上り或いは郵便料の値上り等と、将来の物価というものを当然これは織込まなければならん。人事院勧告の中にそれが入りましようとも、或いは入らない場合に政府として考えられるということもこれは当然だと思つておりますが、その点はこれは当然の議論としてお考えを頂きたいと思います。それからもう一つ、これは今の官房長官の御意見の中にも、多少人事院勧告なり、或いは人事院そのものを無視するような御意見があつたかのような感じがするのであります。最近そういう傾向にありますことを甚だ残念に思うのであります。  なお、法令諮問委員会においてこの人事院の機構改革或いは権限の縮小と申しますか、一部は人事院に権限、仕事を残して置くけれども、一部は内閣なり或いは何なりに移そうといつたような構想があるかのようなことを承わるのでありますが、それらの点について現状のところで結構でございますから御意見を承わつて置きたいと思います。
  51. 岡崎勝男

    説明員(岡崎勝男君) 初めの点につきましては、人事院と別の数字を作るのは賛成できんという委員長お話でありますが、今委員長が言われた通り人事院勧告の中に、例えば将来はつきり見込まれる値上りが入つていない場合には、我々のほうでその数字を別に立てるということは当然あり得るわけでございます。又昨年も問題になりましたが、人事院の石炭手当のときの石炭の値段と政府の値段とは考えが違つておりました。こういうこともあり得るわけでございます。全然無批判に人事院の数字を全部そのまま取り入れるというわけでもないのであります。尊重は無論いたします。  それから人事院改革等については、いろいろ新聞には伝えられておりますが、政府としてはまだ意見は何ら確定しておりません。目下研究中であります。いずれ結論が出た場合には、国会に提出して国会の審議を得る、こういうことになるわけでございます。今のところは何ら結論は出ておりません。
  52. 吉田法晴

    委員長吉田法晴君) 重ねて簡単にお尋ね申上げます。お尋ねというよりは或いは希望になるかも知れませんが、結論が出ておらんので申上げる段階にないというお話はわかるのでありますが、人事院を作りました最初の経緯からしても、明らかなように、公務員の罷業権或いは団体交渉権を制限して、そのために人事院というものが作られ、そうして民主的な人事行政に関する機構というものができたのでありますが、最近はどうもこの人事院の権威がだんだん政府によつて折り曲げられつつあるような感じがし、そうして又最後に人事院の権限の縮小という問題が出て参つたことについては、若しそういうことになれば、これは公務員の罷業権なり或いは団体交渉権というような制限を復活してもらいたい、するのが当然であるという議論が出て参ると思うのであります。人事院設立の趣旨に鑑みまして、民主的な機構を逆戻りさせないように一つ特にお願いしたいと思うのであります。  それではこれで散会いたします。    午後二時四分散会  出席者は左の通り。    委員長     吉田 法晴君    理事            加藤 武徳君            千葉  信君    委員            森崎  隆君   事務局側    常任委員会専門    員       川島 孝彦君    常任委員会専門    員       熊埜御堂定君   説明員    内閣官房長官  岡崎 勝男君    人  事  官 山下 興家君