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1951-03-30 第10回国会 参議院 人事委員会 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年三月三十日(金曜日)    午前十一時三十二分開会   —————————————   委員の異動 本日委員大谷瑩潤君辞任につき、その 補欠として宮本邦彦君を議長において 指名した。   —————————————   本日の会議に付した事件 ○国家公務員災害補償法案内閣提  出)   —————————————
  2. 木下源吾

    委員長木下源吾君) これより委員会開きます。  政府委員人事院山下人事官慶徳次長堀込補償課長、大蔵省の経理課長であります。  先ず国家公務員災害補償法案質疑を行います。質疑はございませんか。
  3. 千葉信

    千葉信君 山下人事官にお尋ねいたしますが、今提出されておりまする国家公務員に対する災害補償法案の問題について、殆んどこの法案に関する人事院勧告が全面的にそのまま政府のほうから案件として提出されておるのでございますが、この問題について私ども承知するところによりますと、人事院当局としてはこの案件立案する過程の中で利害関係の深い国家公務員諸君意見というものを殆んど徴しておらない。そうして勧告若しくは案件国会に提出されてから後に、公務員諸君意見なり、或いは公務員諸君組合の意向というものを徴するという、そういう態度をおとりになつたということでございますが、なぜ人事院としては、こういう重大な問題に関する案件立案に際して、国民全体の意見ということは、いささかこれは極端でございまするけれども、少くとも利害関係の深い公務員諸君意見を徴するというくらいの親切が当然人事院としてはとられるべき態度であろうと考えるのでありますが、この点について人事院はどうお考えになつてこういう非民主的な態度をおとりになつたか。その点を先ず承わりたいと思います。
  4. 山下興家

    政府委員山下興家君) 実はこの災害補償につきましては、今まで各省で随分まちまちになつておりました事柄をこの際統制して、そうして人事院中心となつてそうして研究して行こうというので、今度この法案ができたのでありまして、それですから内容は従前のものと殆んど変りがないのであります。それでこれから先だんだん研究いたしまして、そうして改良をして竹かなくちやならん。先ず体制を整えて行こうという意味であつたのであります。併し無論御承知のように、人事主任官会議というものがありまして、各省から人事行政に携つておる人が集まつて、その会議には十分かけて練つてあるわけであります。
  5. 千葉信

    千葉信君 只今の御答弁は、私の具体的な質問に対して、お答えになつておらないようでありますが、先ずその点から明確なお答えを願いたいと思います。具体的にはどうして直接利害関係の深い公務員諸君意見だけでも徴することをやらなかつたか、その点について御答弁をお願いいたします。
  6. 山下興家

    政府委員山下興家君) これは従来のことと根本的に違うことであるならば、そういう手段もとつたでありましようが、殆んど内容が変つておりませんので、ただ体制だけを整えたというに過ぎないのでありますから、これで以ておしまいというわけではないと思います。これから先は十分いろいろの人に聞いてから進むべきだ、改良して行きたいと思つております。
  7. 千葉信

    千葉信君 勿論この提出された法案を見ますると、単なる従来のものの寄せ集め細工に過ぎなくて、我々としてはその点に非常に不満を持つておりますけれども、併し今、山下人事官が言われたように、これから研究をするなどという御答弁は、私としては到底腑に落ちかねる態度というふうに考えざるを得ないのですが、例えば国家公務員法の第九十五条によりましても、「人事院は、なるべくすみやかに、補償制度研究を行い、その成果国会及び内閣に提出するとともに、その計画を実施しなければならない。」こういうふうにはつきり規定されておりまするし、関連の深い共済組合法等が、もう三年以前に提出されているにかかわらず、この災害補償法に関しては、この長い年月の間、何らの研究も行われておらなかつたというのが、只今山下人事宮の御答弁から明瞭に出て来る点だと思うのですが、私はこの第九十五条の点から言つても、これから研究するというのじやなく、今までの三カ年間に、当然この問題に対する相当深い研究なり、或いはその成果を見ていなければならない段階だと思うのですが、今からこの法律作つて、従来のものを單に寄せ集めて置いて、そしてこれから研究されるという只今お答えは、私としてはどうもその点腑に落ちないのです。その点について如何ですか。
  8. 山下興家

    政府委員山下興家君) これだけの法案を作りますのにも、相当労力を要したわけであります。相当研究をしてここまで作つたのでありますが、先刻申しました研究というのは、これから先又改善をして行くのに、恐らく永久にどこでおしまいということがないのでありますから、これから先はどこまでも研究をして行く、人事院中心となつて研究をして行くことができる。今まではまとめることについていろいろな研究をし、それから又予算の問題、その他についてどこでどういうふうな、という細かな実施方法について研究をしたのでありまして、改善なんかについては、これから先、又次から次へと研究をするという意味において研究をしたということでありまして、そういつたことから、人事官が今までは研究しておらなかつた、これから始めるのだ、という意味におとりになつては困ると思います。
  9. 千葉信

    千葉信君 成るほど只今人事官答弁されたように、従来のいろいろに分れておつたものを寄せ集めるという労力は費やされたようでありますけれども、併し少くともまじめにこの問題と取組んで、基本的な立場から御研究なつ法案というようには私どもは到底考えられない。例えば基本的にこの提出されたる法案というものは、大体は労働基準法そのもの考え方そつくりそのままこれに採用しているという点です。こういう点から見ましても私は現在の公務員諸君のいろいろな待遇条件や、その他の問題に関連して考えて見ても、労働基準法における最低の線をそつくりそのまま立法化して持つて来た、今度の災害補償法というものに対しては、その点についても私は非常に大きな不満を表明せざるを得ないのでございますけれども、併しこの問題について今これ以上質問をしても無益でございますから、私は今後起るであろう問題と関連いたしますので、人事院としては将来ともこういう案件立案に当つて直接利害関係の深い公務員諸君意見や、或いは公務員従業員組合考え方というようなものを参考にされるおつもりかどうか。将来に向つての問題として私はこの際人事院当局から御答弁を承わつて置きたいと思います。
  10. 山下興家

    政府委員山下興家君) 千葉さんのおつしやつたように、できるだけたくさんの人の意見を聞きたいということを思つております。ただどういう方法によつてそれを聞くかというようなことについては、まだ定まつたことはありませんけれども、我々は虚心坦懐できるだけたくさんの人の意見を聞きたいと思つております。
  11. 千葉信

    千葉信君 只今の御答弁に対しては私ども将来に大きな期待をかけておりますから、そのつもりで今後できるだけ只今の御答弁に副うようにお考え願いたい。このことをお願いいたしまして次の質問に入りたいと思います。  今度のこの法案を見まして一番私ども不満に思つておりますことは、殆んどの条項を検討いたしましても、労働基準法最低線そつくりそのまま、この法案考え方として取入れておる。ところが労働基準法の場合におきまするこの基準というのは、何人も認めておりまするように、最低基準でございます。従いまして、これらの基準を下廻ることがあつてはならないという制限なのでございまして、一般産業における労働基準法適用を受けている労働者諸君は、これまでの団体交渉においてこの最低基準を割らないという基準において、或る程度これを上廻る条件を確保しているというのが実情でございます。どうも現在の公務員諸君一般産業労働者よりも遥かに低水準待遇を受け、劣悪なる労働条件下にあるにもかかわらず、こういう立法がなされますと、少くとも公務員諸君のごとき場合におきましては、一般産業労働者のような団体交渉であるとか、罷業権であるとかというようなものを持たないために、この最低の基本に常に縛られてしまう、そういう状態が起るわけでございますが、一体人事院としてはその点についてどうお考えなつたか。これも御答弁を承わりたいと思います。
  12. 山下興家

    政府委員山下興家君) この一般企業に対しまして、公務員給与その他の待遇が劣らないようにしたいということを我々は始終念願して努力しておるのであります。ただこの補償に関しましては、損害賠償といつたような意味でありますから、先ず一般企業と別に、公務員考えない。公務員を別に考えるのは、別個の方法によつて考えて行こうということを思つておるのでございます。それで日本のこの労働基準法は、御承知のように相当進んでおります。尤も、どこまでもまだ不足の点はありましようけれども、これから先どこまで、先へ進んで行くかということについては十分考えさせて頂きたいと思つております。
  13. 千葉信

    千葉信君 私のお尋ねしたいことは、成るほど山下人事官の言われるように、損害賠償という問題もございましようけれども、現在の給与水準からいいましても、これは少くとも私どもとしては、非常に低水準にあるという実情は、これはもう何人も認めているところでございますが、そういう低水準給与の問題に関連して、損害賠償という問題が、これはそういう不当な給与であるために、賠償ということについては、やつぱり同様にその問題も関連して考える必要があつたと思うのですが、只今の御答弁では、労働基準法自体が、非常に進歩した、進んでいる法律であるから、我々としては、この程度で差支えないというふうな考えたということでございますが、私ども只今の御答弁に対しては全くもう不満であるということを表明するにとどめて山下人事官に対する質問は一応この程度で打切りたいと思います。
  14. 木下源吾

    委員長木下源吾君) 御報告申上げますが、国家公務員等に対する退職手当臨時措置に関する法律の一部を改正する法律案は、本委員会において予備審査中のところ、只今本付託に相成りました。御報告を申上げます。従つてこれを、この前の御意見等もありましたから只今災害補償法案と一括して上程いたしますか如何いたしますか、お諮りいたします。
  15. 加藤武徳

    加藤武徳君 若干質的には異つた点がございまするが、質問内容につきまして、両者に関連する点もございまするので、一括の上程をお願いいたします。
  16. 木下源吾

    委員長木下源吾君) 加藤君の御意見通り、一括上程することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  17. 木下源吾

    委員長木下源吾君) ではその通りいたします。  それでは両案一括して質疑をお願いいたします。
  18. 加藤武徳

    加藤武徳君 私は前回、前々回の本委員会におきまして、恩給法と、災害補償法案との関係、或いはこの災害補償法案が、一般職のみによつて利用せられて、特別職には適用されないというような問題、更に福祉施設等につきましての質問をいたしたのでありまするが、本日は、やや細部に亘るとは考えまするが、二三の質問をいたしたいと考えております。  質問の第一点は、補償法案の第十二条、休業補償、この規定中心にいたしまして、第四条の平均給与額との関係、これにつきましての質問をいたしたいと思います。第十二条の休業補償は、職員公務負傷し、又は疾病にかかりまして、療養のため勤務することができなかつた場合に、給与を受けておる場合と、そうでない給与を受け得ない場合とに区別をいたしまして、後段につきましては、平均給与額の百分の六十に相当する金額支給する原案になつているようでありまするが、本案の第四条の第二項は、一般職職員給与に関しまして、いわゆる平均給与額とは、俸給扶養手当勤務地手当特殊勤務地手当、以下列挙いたしまして、数種類に分れる給与を併せて、いわゆる平均給与額というように規定がしてあるように理解をするのでありますが、この第十二条の療養のため勤務することができない場合に給与を受け得る場合は、いわゆる平均給与額のうち、どの項目とどの項目給与を受け得るような現在の組織になつておりまするか、この点を第一にお伺いしたいと思います。  第二に給与を受け得ないものは、いわゆる平均給与額の百分の六十に相当する金額しか受け得ないのでありますが、この給与を受け得ない、百分の六十に相当する金額しか受け得ない者は日雇労務者、その他の極く限られた者であるという工合理解はいたしておりまするが、この後者の百分の六十と、給与を受け得る者の給与額との開きがどの程度ありまするか、この点を第二番目にお伺いいたします。  三番目にお伺いしたいことは、仮にこの第十二条、後段給与を受け得ない者が、平均給与額の百分の六十を受くることなく、給与を受け得る者と同じ程度給与支給するといたしまする場合に、予算的にどの程度の齟齬が生じまするか、これを伺いたいと思います。大変小さいことで恐縮でございまするが、以上三点につきましての御見解を伺いたいと思います。
  19. 慶徳庄意

    政府委員慶徳庄意君) 只今質問給与を受け得る者と受け得ない者の区別の点を先にお答え申上げたいと存じます。現在の給与法建前からいたしまして、いわゆる俸給表適用を受けます者は公務上の傷病等によりまして休業いたしましても、俸給そのもの全額支給する建前をとつております。つまり元官吏俸給令第七条という規定がございまして、その規定が現在でも有効に相成つておりますので、その規定に基きまして、只今申上げましたごとく、俸給全額支給するという建前に相成つておるわけであります。更に又これらの人々に対しましては扶養手当勤務地手当というようなものにつきましても人事院規則によりまして全額支給するという建前に相成つております。従いまして第四条に掲げておりまする給与のうち俸給扶養手当及び勤務地手当というものは、全額支給に相成るのでありまするが、超過勤務手当或いは特殊勤務手当の大部分というような、勤労の実証に基いて支払われる給与体系に相成つております。たとえ公傷中でありましても現実に勤務いたしておりませんので、それらの給与はこの給与の中に入つて来ないということになるわけでございます。  それから第二の給与支給を受けない者と申上げまするのは、給与法俸給表適用のない者、つまり日々雇い入れられる者であるというようないわゆる非常勤労働者でございまして、このかたがたが百分の六十という休業補償に実質的に該当するということになるかと思つております。  従いまして第三番目の両者開きがどのくらいかという御質問でございましたが、これは少し個々のものについて計算をいたして見ないとわからない点があるのでありますが、只今申上げましたように俸給表適用を受けて俸給全額を受けまする公務員は当然給与を受けますので税金がかかります。ところが百分の六十のほうは休業補償でありますので、この法律が通過いたしました暁においては非課税所得に相成ります。税金との出入りの関係がありまするので、事務的に少し計算をいたした結果において答えさして頂きたいと存じます。従いまして第三番目の予算上においてどのくらいであるかという問題もこの開きの問題と直接関係がございまするので、実は現在手許に調べた材料を持つておりませんのでありますが、これものちほど概算をいたしましてお答え申上げたいと存じます。
  20. 加藤武徳

    加藤武徳君 只今慶徳次長答弁で大体了解できたのでありまするが、私が念願いたしますることは、定員法等関係で実際上療養のため勤務することができない場合に、給与を受け得る者と給与を受け得ない非常勤労務者としてその枠にはめられておる者との間に仕事の内容等に実質的な差異がない場合、両者余り給与補償額開きがあるということは好ましくない。こういう工合考えまするので、只今のような質問といたしたようなわけなんでありまするが、大体慶徳次長答弁を私は了承いたしました。
  21. 紅露みつ

    紅露みつ君 二十六日の委員会でございましたか、この十九条の打切補償について、慶徳次長にお尋ね申したのでございますが、なおこれは大分掘下げないと納得が行かないということを申上げて置きましたのですが、そこで今日又重ねてお尋ね申上げたいと思いますのは、その時の御説明に「第十条の規定によつて補償を受ける職員が、療養開始後三年を経過しても負傷又は疾病がなおらない場合においては、国は、打切補償として、平均給与額の千二百日分に相当する金額支給することができる。」と、こういうふうになつておるのでございますが、御説明によりますと、三年を経過いたしましても癒らない場合には、ここに書いてあるように、国が打切補償で片付けるのだということでなく、癒らない場合にはなおそれは打切補償との意味における補償は打切るが、条件をつけて、癒つたらこれは停止するぞという条件で年金を支給するのだ。だからこの際癒らないからといつて一挙に打切るということの、ここの法文通りなことは発動させない方針で行くのだというこういう御説明であつたのでございまするけれども、その精神として伺うことは結構だと思うのでございますが、ここに法文化されておらないのでございますが、それはその親心十分実施機関に徹底すればよろしうございますけれども、どこかにこれは根拠になる法文があるのでございましようか。それを伺つて置きたいと思います。
  22. 慶徳庄意

    政府委員慶徳庄意君) 只今質問のごとく、方針といたしましては、飽くまでも職員保護ということを前提といたさなければなりませんが、第十九条にも書いてありまするごとく打切補償をすることができるのでございまして、このできるという意味をばよくよくの例外以外は完全に癒るまで補償を続行する、続けるという方針で行きたいと考えております。そのやり方につきましては、この法律には明確に出ておりませんが、第二条の規定によりまして、それぞれ人事院の権限が定められてございまして、人事院はこの法律実施及び解釈に関しまして必要な人事院規則を制定することができるという条項がございます。従いまして、この人事院規則におきましてその精神を明確にいたしまして、少くとも各庁が思い思いの運用によりまして、只今申上げました精神に背反する運用が行われないように、これを具体的に申上げますならば、極めて利害的関係が大きい問題でありまするので、各実施機関打切補償を行いまする場合においては、その個々案件につきまして人事院の承認を得た上において実施するというようなやり方を以ちまして円滑な運用を図つて行きたい、かように考えております。而もその点を人事院規則の中に明確に謳いたい、かように考えております。
  23. 紅露みつ

    紅露みつ君 今の説明人事院規則のうちに明文化として行くということで一応わかつたようでございまするけれども、ここになぜそれをはつきりこういうふうな間接な廻りくどい方法をとらないで、ここに法文化して行くという方法をおとりにならないのでございましようか。大して長い文を必要としないと私は存じますけれども、この点如何ですか。
  24. 慶徳庄意

    政府委員慶徳庄意君) これはその通りでありまして、誠に恐縮でありますが、例えば傷害を受けまして、家庭事情等によりまして、どうしても自分はやめて田舎に引込まなければならない。而も又我が国には無医村相当にあるというような現状でございますので、むしろ自分は勤めておりまするならば、いわゆる国の施設等によりまして、療養その他の補償が与え得られるのでありますけれども、どうしても家庭事情もあつて無医村補償を受けることができない。むしろ本人の便利のために、打切補償をどうしても欲しいというような場合も考え方といたしましては、そういう場合もあるであろうというようなことも予想されるのではないかと考えます。従いまして、今申上げましたような例外がございまして、是非本人もそういたしたい。又客観的に見ても、そうすること自身が本人利益保護のために適当であるというようなふうに認めました場合には、やはりこの条項を発動させる場合があつてよくはなかろうかというような考えをとつておるわけであります。更に又先般申上げましたごとく、民間との一応の釣合をとるという考え方もございますので、この第十九条のような若干弾力性のある条文といたした次第でございます。
  25. 紅露みつ

    紅露みつ君 弾力性を持たせたところは大変結構だと思うのでございますけれども、今お話になりましたような例のほうが普通の場合よりも多いとは、私ども考えられないのでございますが、やつぱりこういうふうな複雑なことになりますというと、人事院としてはそういうお考えでなさいましても、これが実際に運用されるときになつて、どうも親心が末端まで徹底しないのじやないかという感じが私は強いのでございます。ここにそういうふうな例外がありはいたしましようけれども、やつぱり例外としてもここに謳われて悪いことはないと思うのですが、とかくこの法案ですね、これは一旦立案されるというと、どうもそれを変更するということがちよつと感情的にではないかと思うほど、変えることを肯定されないようなふうに私はいつも思うのでございますけれども、あとで紛らわしいといつたようなことはしつかりここに謳つておおきになるほうが、人事院のお持ちになる親心が私はそのまますぐにはつきりと解釈されていいと思いますので、併しそういう御答弁でございますので今後もこれはもう少し研究さして頂きたいと存じますが、この間も申上げました結核療養でございますが、これが公務であるかどうかという点の判定、なかなかこれはむずかしいと思います。実際にいろいろ説明を伺いましてもどうも納得が行かない。直接負傷のような場合と違いますけれどもその職業の条件とか、この間も大分お話がありましたが、環境とかというもののために罹病するということになれば、やつぱり公務だというように私はその後も考えられるのでございまして、結核についてはですね、別な観点から結核全体がみなこれは公務である、こういうふうに私は思われるのでございますが、その中には特別な例外もありましよう。ありましようがどうもその判定の線を引くというところに納得が行かないのでございますが、その後も又何か研究されたでございましようか。やつぱりこの前と同じようなどこかに線を引かなければならないのだが、どうもこれはまだ確定しないというようなことでございますというと、大変先行き不安を感ずるのです。それからその判定機関でございますが、ただ実施機関と謳われておりますけれども、それは各庁、各省にそれぞれ実施機関を置くというようなことでございますが、その総合的な均衡をとる上からはやつぱり中央に一つの大きな組織を持ちまして、権威を集めて誤りない判定を下すための機関が必要だとやつぱり考えるのでございますが、この点は如何でございましようか。
  26. 慶徳庄意

    政府委員慶徳庄意君) 第一点の結核性疾病の問題でありますが、この前にもお答えを申上げましたように、この法律自体損害賠償といたしまして事業主の責任という観点において立法されておりますので、果して公務上の災害に該当するものであるかどうかという判定基準につきましては、明確な線を画する必要が依然として必要であるというふうに考えております。従いまして結核性疾病でありましても公務に起因する、やつぱり公務因果関係のある疾病につきましては当然公務上の疾病として補償の対象になると考えるのでありますが、公務との因果関係のないようなものにつきましては遺憾ながらこの法律で救済することは困難であろうというふうに依然として考えております。但しこの問題につきましては、国家公務員立場からいたしましても十分考慮し検討を加えなければならない問題でありまするので、一方において給与の面におきましても、或いは又休暇の制度の問題にいたしましても、更に又予防的な健康診断等の点にいたしましても、これら全体を総合する観点に立ちまして人事院といたしましても十分な検討を加えまして、公務員に対する、よりよい結核対策というようなものの樹立をいたしたいと考えまして、折角検討中でございます。それから実施機関のほうの問題でございますが、これにつきましては私ども人事院の中にも健康課という一つの機構がございまして、その健康課の中には健康課長そのものがお医者さんでありますると共に、その課員の中にもお医者さんが相当ございまするので、人事の総合調整機関たる人事院立場といたしまして、これら専門的なかたがたの知識経験を十分活用いたしまして、万全を期して参りたいというふうに考えております。
  27. 紅露みつ

    紅露みつ君 大体御説明の筋は通つておるようでございますが、これは関連として伺いたいのでございますが、これまでの恩給局ですね。あれはどういうふうにして認定をされておりましたか。私、何かあれには審議会か顧問会か、そういう特別な権威者を集めた、お医者様の権威を集めた機関があるように聞いておりましたが、それはどういうふうになつておりましようか。
  28. 慶徳庄意

    政府委員慶徳庄意君) 現在の恩給法の運営につきましては、法律的にはそういう専門的な機関を設ける規定は持つておりません。ただ、実際の運行上、恩給局のいわゆる設置法におきまして、顧問医という制度がございます。顧問のお医者さん、その顧問医を活用といいますか、顧問医の力を借りまして適正な認定をいたしておるというようなやり方をとつておるのが現状でございます。
  29. 紅露みつ

    紅露みつ君 恩給局のお話が出来ましたので、伺つて置きたいと思いますが、審議を進めて参りますと、恩給との関係が大分出て来るのでございますが、これは恩給そのものが非常に広汎なものであるから、なかなか容易にこれは整理がつかないというような御意見も伺つておりまして、一応御尤もにも存じますけれども、これはやはりその恩給法と一緒に審議されることが、私どもとしても大変便利だと思いまするし、本当はそうなくてはならないのではございませんでしようか。恩給というものがどういうふうに出されるか、一向に存じませんで、而も近く出されるということがわかつておりまするのに、信用申上げないわけではありませんけれども、やはり審議する者になりますると、不安にも感じますし、公務員のかたがたもこれには不安を持つておられると思うのですが、何とかしてこれは一緒に審議するような段取りにはならないものでございますか。
  30. 慶徳庄意

    政府委員慶徳庄意君) 全く御尤もでございまして、紅露先生のおつしやる趣旨は私ども全く同感でございます。ただこの問題につきまして少しく説明さして頂きたいと思うのでありますが、現在の国家公務員法の百七条に、新らしい恩給制度に関する根本基準、いわゆる精神が明確に謳われてあるのであります。その第百七条第三項に、只今質問公務傷病に関する条項が謳われてございます。一応読上げて見ますると、「公務に基く負傷若しくは疾病に基き退職した者又は公務に基き死亡した者の遺族に対しては、法律の定めるところにより、恩給を与えることができる。」という一本条項がございます。更にもう一つこの関係規定がありまして、この条項に基きまして、公務傷病に対する恩給制度ができました場合においては、只今御審議願つておりますところの補償制度との間において、適当な調整を図らなければならないというような規定が、公務員法の中にあるわけでございます。従いまして、現在人事院といたしまして、新らしい恩給制度を検討いたしておるのでありまするが、御承知通り先般司令部のマイヤース氏の勧告が発表されまして、只今読み上げました国家公務員法第百七条第三項の規定精神に基きまして、新らしい恩給制度の中にも年金制として、公務上の災害に対する補償を行うべきであるというふうに、マイヤース勧告においては明確に謳つてございます。従いまして、私どもの全体の考えといたしましては、このマイヤース勧告を十分尊重いたしまして、国家公務員法に基いて新らしい恩給制度を作りまするときに、年金制の確立を図りたいとかように考えております。ただ何分にも現在の恩給制度が、御承知のごとく従来の官吏にのみ適用がございまして、雇傭人につきましては全然適用がないわけでございます。従いまして、公務傷病に対する年金制自身につきましても、官吏については現在の制度として、恩給としての年金制がありますけれども、雇傭人については何もない。而も新らしい国家公務員法におきましては、申すまでもなく、官吏、雇傭人の区別を撤廃いたしまして、この差別待遇を解消いたしまして、ひとしく公務員としての待遇を図つて行きたいというのが根本の狙いでありますし、更に又現在の恩給制度は、明治初年からの積重ね式でできておりまして、極めて複雑な内容を持つておりますので、本来ならば、この補償法と、新らしい恩給制度とを同時に出しまして、紅露先生のおつしやいますところの疑問を解消するという措置をとるべきが、本来のやり方であろうと率直に考えておりますけれども、実際問題としてはなかなかそう簡単に参りませんし、従いまして漸進的な方法をとりまして、補償法は補償法で一応これでお通しを願いまして、新らしい恩給制度只今申上げますごとき構想を前提といたしまして、年金制を確立いたしまして、少くとも只今の御疑問の点を完全に解消するというような方針で進んで行きたいいわゆる段階的に進んで行きたい、というような方針の下に進んで参つた次第でございます。
  31. 紅露みつ

    紅露みつ君 ほかの委員のかたがたからも御質問があろうかと存じますから、一応打切りたいと存じますが、恩給法につきましても法律に定めた恩給法に従わなければならないということもわかりますし、これを確立しようという御意見もわかりますけれども、私はその内容が知りたいとかように思うのでございまして、又この点は後の機会にさせて頂こうと思います。
  32. 伊藤保平

    ○伊藤保平君 災害補償につきまして、一時金の制度によるか、或いは年金の制度によつたほうがいいかにつきましては、これはいろいろ論議があるところでありまして、只今慶徳次長からマイヤース勧告内容に触れられ、又将来予定されておる恩給法の制定の際の年金制の確立等についてのこの一時金によつたほうがいいか、或いは年金によるべきかにつきまして、本法案内容に盛られております、二、三の条章についての質問をいたしたいと思うのであります。本法案の第二十条は、補償を受けるべき者が希望いたしました場合には、平均給与額の別表第二に定める数字に乗じた金額を、六年に亘つて毎年支給することができるという、いわゆる補償分割の規定を一条設けておるのでありまして、明らかにこれは本人の希望する場合、又分割補償が有利な場合に有利な途を選ばしめようという観点からの条章であるという具合に理解をいたすのでありますが、更に一歩を進められて、この法案におきまして、災害補償或いは遺族補償等に積極的に年金制度を盛込みまする御意思があられますかどうか。先ほどの御発言で一応は了承いたしておりまするが、この点につきまして更にやや詳細な御答弁を賜りたい、こういう工合考えます。
  33. 慶徳庄意

    政府委員慶徳庄意君) 只今申上げますがごとく、この法律事業主の責任としての、いわゆる損害賠償という前提に立つて立法いたしましたので、いわゆる案を立てましたので、損害賠償という観点に関する限りは、官と民とが原則として同じ基準によることを妥当とするであろうという前提に立つておることは、たびたびお答え申上げた通りであります。併しながら国家公務員に対する特色というものは、勿論たくさんございまするので、その国家公務員に対する特殊性に対応するところの問題につきましては、先ほど申上げました新らしい恩給制度の場合に、十分に特殊性を顯現するように努力いたしたい、かように考えておるのであります。従いまして補償制度におきましては、只今申上げました観点に立ちまして、飽くまでも一時金制をとつて行きたい。公務員の特殊性に対応するものとしては、恩給制度において年金制の確立を図つて行きたい、さように基本的考え方をとつておるのでございます。従いまして、只今質問のありました第二十条の補償の分割の条項でございまするが、これがいささか只今申上げました観点とは違うのでありまして、労働基準法の例を申上げまするならば、事業主が一遍に大きな金額を支出すること自体が、困難な場合があるであろうことを予想いたしまして、或る意味におきましては事業主保護的な観点に立ちまして、労働基準法で立法されておるのであります。ところがこの法規におきましては、国という大きな負担能力のあるものでありまするので、労働基準法のごとき事業主の負担能力を考慮して定めるという精神ではなくいたしまして、むしろ遺族のかたがたが、例えば妻たる配偶者のような場合におきましては、実際世の中の有様が、一遍に何十万という金が入りまするというと、諸所ほうぼうからつき廻されて、またたく間になくなつてしまうというような現実の姿が相当ございますので、できればそういうかたがたを救うというような観点に立ちまして、希望がございましたときに分割補償をするという、いわばそういう特殊のかたがたの保護を図つて行きたいという精神に切換えて、第二十条は考えたつもりでございます。
  34. 伊藤保平

    ○伊藤保平君 只今の第二十条のいわゆる補償の分割につきましての慶徳次長説明は、大体了承いたします。先ほど来紅露委員から重ねて発言のございましたように、勿論私もこの補償法と恩給法が同時に制定せられまして、両者の間の矛盾がないことを念願する者でありまするが、併しながら、事ここに至つて恩給法を直ちに上程するということも勿論困難でありまするので、慶徳次長のこの点につきましての説明も、私は一応了承いたすのでありまするが、併しながら将来恩給法が制定せられました場合に、補償法によりまするところの一時金と恩給法によりまする年金が編入されるという場合があり得ると私は思うのでありまするが、そういたしますると恩給法の制定せられまするその時期によりまして時間的のズレによつて非常に不利な結果を、不利な条件補償を受くるにとどまる者があり得るということが私は予想されるのであります。この調整をも同時に将来制定せられる恩給法のうちに必ず経過的な措置を設けて頂きたいということを私希望いたします。
  35. 木下源吾

    委員長木下源吾君) それでは散会いたします。    午後零時二十八分散会  出席者は左の通り。    委員長     木下 源吾君    理事            加藤 武徳君            伊藤 保平君            千葉  信君    委員            宮本 邦彦君            森崎  隆君            小野  哲君            紅露 みつ君   政府委員    人  事  官 山下 興家君    人事院事務総局    給与局次長   慶徳 庄意君    大蔵省主計局給    与課長     磯田 好祐君   事務局側    常任委員会專門    員       川島 孝彦君    常任委員会專門    員       熊埜御堂定君   説明員    人事院事務総局   給与補償課長  堀込惣次郎君