○
政府委員(
瀧本忠男君) この
機会に
給與実施の責に任じております
人事院が、法律改正に伴
つてどういう
措置を講じたかということを概括的に
最初に御説明申上げまして、
只今の問題に及びたいというふうに
考えます。
人事院といたしましては、この法律が公布になりましたのが昨年の十二月の二十七日であります。十二月の二十八日にこの法律に基きまする切替えの方法というようなものにつきまして、各省の人事担当官を集めまして説明をいたしたという次第であります。なお問題に
なつております重要な点が二点ございます。その一つは、特別
俸給表におきまして、今回の切替えによ
つて、あとの雁が先になるというような矛盾があるわけでありまして、この点を是正するという問題と、それからもう一つは、号俸の切替えの号俸調整におきまして、従来出ておりました号俸調整ということが切下げられるということのために、その善後
措置として、半号俸を昇給せしめる、或いは何らかそこに
措置いたしまして、それを半号俸だけは回復するというようなことがいろいろ審議されたわけであります。従いまして
人事院といたしましては、この法律に基いては誠に無理な点があるのでございますけれ
ども、とにかくこの法律の第七條というものに根拠を求めまして、この二つの点につきまして特別の
措置を講じた次第であります。先ず第一といたしまして、あとの雁が先になる、これは特別
俸給表にその問題があるわけでありますが、その問題につきましては、すでにお手許に
給與法改正関係資料を差上げてあるわけでありますが、その中にも書いてありますように、
人事院指令百号というものをこしらえまして、そうしてこれに
関係いたします各省庁に対してこういう指令を出したわけであります。その指令によりまして、このあとの雁が先になるようなことがないように
措置いたした次第であります。即ち若しお手許に
只今申上げました
資料をお持ちでありますれば、お聞き願
つて御覧願いたいのでありますが、二十九頁に
別表という頁があります。その
別表によりまして、税務職員及び経済
調査官級別
俸給表の適用を受ける職員、それからその次の欄が警察職員、海上保安庁職員(
人事院規則に定めるものを除く。)及び矯正保護職員級別俸納表の適用を受ける職員、船員級別
俸給表の適用を受ける職員、この三つの欄に分けまして、そこに書いてありますが、それで十二月三十一日に古い
俸給表で二級一号を受けてお
つたという者は、これは新らしい
俸給表におきまして、即ち一月一日には、その従来の古い
俸給表の二級一号は今度は二級二号俸に
相当するのであるというような切替えをいたしたのであります。こういう
措置を講ずることによりまして、あとの雁が先になるというようなことがないという最小限度の手直しをいたしました。尤もこういうことをや
つたからとい
つて全部が
解決したわけではありませんので、或いは昇給期間を短縮して頭を揃えるということになりますから、今後昇給を同じようにや
つて行くということになるといたしますならば、従来或る
程度の昇給時期に早い遅いがあ
つたのが、一律に
なつてしまうという矛盾が残るわけであります。従いまして俸給切替えの際の緊急
措置といたしましては、このような指令百号というものを出しまして、こういう切替えをいたしたわけでありますが、更にこれに引続きまして、この昇給期間の是正というものをや
つて行
つて、なお運営の円滑を期したいというふうに
考えております。ちよつとそこで御覧頂きますと直ちにわかることでありますが、税務職員及び経済
調査官級別俸給の適用を受ける職員という所で、第一欄のほうに三級四号というのがございます。それから三級五号というのがその下にありますが、この三級四号の者も三級五号の者も三級八号俸というところに切替えられ、同じ号俸に切替えられる。これは明らかに矛盾であります。こういうことは我々
承知いたしておりますが、今後こういう問題につきましては、昇給期間の是正によりまして、適宜従来のバランスを維持して行きたい、こういうふうに
考えます。
それが第一点。
次に調整号俸並びに調整額の適用を受けてお
つた者、即ち先ずこの調整号俸の適用を受けてお
つた者というのは、いわゆる従来の政令四百一号の
関係で、ありますが、初任給、昇給、昇格等の
基準に関する政令の十二條の三、各号に掲げる職員、こういうものに相成るのであります。その中で当時問題になりました最重点は、いわゆる第七号職員というのでありますが、これは電通並びに郵政、並びに大蔵省の二つの現業、造幣庁、印刷庁、それから通産省のアルコール工場というものでございます。なおこの七号職員に準ずる職員といたしましては、例えば航空保安庁、或いは電波監理
委員会、農地事務局の現場、それから電気試験所、こういうものがあるのでございます。この七号職員というのは、従来調整号俸というのが一号俸ついており、尤も五級の職におきましては二号俸ついている。これが全部削られましたために、ここに半号俸だけ特別昇給なり何なりで残すということに、この前の審議は相成
つているのでありますが、この問題に対しましては、我々いろいろ苦心いたしたのでありまするが、特別昇給というようなことはなかなかむずかしいが、我々がとりました
措置といたしましては、その册子の三十頁にあります
人事院指令第百一号というものを以ちましてそれの
措置を講じた次第であります。即ち暫定的に半号俸をつけて置く。それは三十一頁に掲げてございますが、この半号俸だけ暫定的に切替え後においてつけております。そういたしまして今度は次期の昇給期間を半減いたしまして、そうしてこの半号俸だけ昇給せしめるという
措置を講ずる。なぜそういうことをいたすかというと、
別表には
俸給表に掲げている
金額だけしかないのであります。その中間の号俸というものはないのであります。こういうものを作るということは、これは
給與行政上誠に困るのでありまして、そういう半端な号俸というものは、成るべく早く解消したいという
考えを持
つているのであります。従いまして昇給期間を半減いたしまして半号俸つけるということは、これは昇給期間を半減しないで一号俸つけるということと同じでありますから、実質においては半号俸だけの調整はできる。そういう方法によるということになるのであります。併しながらこの次期昇給期においては、半号俸という半端なものではなくなる、こういう
措置を講じました。
それから調整額、従来調整額を受けておりました者で、同様の調整号俸が全然なく
なつてしまうものというのが、いわゆる第二種の職業安定所の職員、これにつきましても、指令百二号というものを以ちまして、同様の
措置を講じた次第であります。そのとき、速記録等には出ていないのでありますけれ
ども、問題になりましたのは、政令四百一号
関係の、
先ほど申しました政令四百一号の第十二條の三、第一項各号に掲げる職員というものの中で、第一号に掲げる職員から第五号に掲げる職員というものがあるのであります。即ちこれは厚生省
関係の癩或いは結核、精神病、こういう病院、或いは療養所に勤務する職員、又盲学校、聾学校、こういう所の職員、それから農林省
関係で食糧事務所或いは統計事務所、こういういわゆる作報事務所、こういう所の職員というものが、やはりこの号俸調整で或る
程度切られているのでありますけれ
ども、これは全部切られているというわけではないのであります。従いまして我々当時の速記録等を読んで見ましても、この七号職員並びに七号職員に準ずる者、そういうものにつきましては善後
措置をするということが明確に出ているのでありますけれ
ども、
只今申上げましたような第一号職員並びに第五号に掲げる職員というものにつきましては、そういうことが速記録等においても明確に出ておらないのであります。
人事院といたしましては、やはりこの法律が通
つた以上は、この法律の精神に基きましてや
つて行くということでなくては遵法精神に欠けるわけでありますから、そういう
国会の審議等におきまして明確に出ておりますものにつきましては、最小限度の手直しをして行くということをや
つたのであります。併しながら癩とか結核、精神病の療養所等に勤務いたします職員の俸給というものが、それで適正であるかということに
なつて参りますと、これは又問題が別でありまして、やはりこうい
つた人々に対しましては、職務の特殊性という観点から別個に
考えなければならない問題ではないかというふうに
考えている次第であります。
人事院におきましては、目下こうい
つた職員に対しまして職務の特殊性という観点から、どれだけの号俸調整をすることが適正であるかということを現在
考えているわけであります。即ち調整額によりましてこういう問題を
措置して行きたい。即ちもう一度今まで申上げましたことを繰返して申上げまするならば、この法律の改正に伴いまして、切替えの善後
措置としては、最小限度にとどめる、あとは問題を切離しまして、
給與の特殊性というような観点から別個に
考えて行く、こういうことでや
つて行きたい、こういうふうに思
つておる次第であります。法律改正に際しまして、
人事院がとりました
措置の大略について御説明申上げました。